(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】糞改良組成物並びに肛門に便を付着させずに排泄を可能にするための組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/31 20060101AFI20250304BHJP
A61K 36/54 20060101ALI20250304BHJP
A61K 36/61 20060101ALI20250304BHJP
A61K 36/258 20060101ALI20250304BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20250304BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20250304BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
A61K36/31
A61K36/54
A61K36/61
A61K36/258
A61P1/00
A61P1/14
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2024031396
(22)【出願日】2024-03-01
【審査請求日】2024-03-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】724002922
【氏名又は名称】荒木 翔陽
(72)【発明者】
【氏名】荒木翔陽
【審査官】北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/065962(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105687283(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0175444(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0257506(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106465947(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110419724(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107691720(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104622922(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
わさび3割以上に対し、シナモン、クローブ、朝鮮人参から選択される少なくとも1つを含む肛門に便を付着させずに排泄を可能にするための組成物。
【請求項2】
わさび3割以上にシナモンを4割から6割含む肛門に便を付着させずに排泄を可能にするための組成物。
【請求項3】
わさび3割以上にクローブを0.01割から1.5割含む肛門に便を付着させずに排泄を可能にするための組成物。
【請求項4】
わさびを3割から4.5割含み、シナモンを4割から6割含み、クローブを0.01割から1.5割含む糞改良組成物。
【請求項5】
請求項4に、朝鮮人参を加えた糞改良組成物。
【請求項6】
わさび3割以上に対し、シナモン、クローブ、朝鮮人参から選択される少なくとも1つを含む肛門に便を付着させずに排泄を可能にするための組成物の製造方法。
【請求項7】
わさびを3割から4.5割含み、シナモンを4割から6割含み、クローブを0.01割から1.5割含む糞改良組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項7に、朝鮮人参を加えた糞改良組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
摂取する事により、胃腸の機能が改善し、便の形成機能を高め、便を凝縮させるとともに、腸液でコーティングさせる事で、肛門に便を付着させずに排泄を可能する組成物である。
【背景技術】
【0002】
現在までに、整腸作用を良好にする組成物は多く発明され、腸内環境の改善を促進し、排便を促す事を目的としてはいたが、排便後、肛門に便を付着させない便を形成するという組成物の発明は存在しなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「おなかのカビ」が病気の原因だった (日本人の腸はカビだらけ) 内山葉子 著 ISBN-10 4837613217,ISBN-13 978-4837613213非特許文献1、「おなかのカビ」が病気の原因だった (日本人の腸はカビだらけ) 内山葉子 著では文献内、全体において、おなかのカビによる健康被害やカビ対策の食品などについてが述べられている。文献内で、「わさび」や「便の付着」についての記載はなかったが、カビ対策として、「わさび」を取り入れた結果、便の付着が減少した事に気付き、当該発明のヒントを得るに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在まで、大便後に、肛門に便が付着する事は、当然のものであったが、便が肛門に付着する事により、社会生活に大きく負担を与えている。
【0005】
まずは、介護現場であり、衛生的にも労働的にも、介助者の負担は心身共に、多大なものであり、また、患者側にとっても、精神的なプライドの喪失、過剰な拭き取りによる痛みのストレスが問題となっている。
【0006】
登山による山中の散乱した紙問題は、処理に大きな問題を抱えている。
また、数日に渡り登山、またはアウトドアの趣味を行う場合、便の紙を持ち歩く事は、不衛生である。
【0007】
コンビニエンスストアやデパート等ではトイレ内におけるトイレットペーパーの窃盗が発生しており、その中で、生活困窮により、トイレットペーパーを買う余裕が無い家庭が存在する事も事実である。
また、感染症パンデミックなどが起こると、犯罪件数は顕著に上昇する。こういう場合、買い占め事案もまた深刻な社会問題となる。
【0008】
そして、放屁の臭いによる社会的、健康的な問題は顕在化されにくいが、深刻なものである。
【0009】
いじめ問題が大きな社会問題とされているが、いじめのきっかけは些細なものであり、放屁によって、いじめのきっかけとなり、いじめの対象となる事は珍しくない。
それは、学校での放屁、また、排便を我慢する児童が多く存在する事実においても明らかである。
【0010】
このような、いじめ問題は、いじめられている時期のみに限るものではない。世界保健機関(WHO)によると世界で約10億人の精神疾患、年間約80万人の自殺者の現状において、いじめ後遺症による影響は見逃せるものではない。
【0011】
羞恥心によって多くのひとが放屁の我慢を強いられる社会であるため、健康上、大きな問題を抱えている。社会生活の営みの中で、放屁の匂いを他人に嗅がせてしまう事を、マナー違反とみなす傾向があるからである。
【0012】
その本質は放屁の匂いによるところが大きいのである。長時間、放屁を我慢する生活が長期間に渡り、身体的、精神的な不調を誰にも話せず悩みを抱えている者も多い。
【0013】
胃腸の問題は脳を含め全身の不調へと通じて行くため、胃腸の不調が因子となり様々な病態を引き起こす事は事実であり、放屁の過剰な我慢、また匂いのコンプレックスにおいて対応が必要である。
【0014】
大便の後、拭いても拭いても便が付着する事に悩みを抱えている者は少なくない。 それに伴い、トイレットペーパーの大量消費も環境問題として課題となる。
【0015】
現在、世界でトイレットペーパーは年間29,260,000トン、1720億ロール消費され、相当する木は292億本となる。
環境や労働の負担は多大なものである。
【0016】
世界では、水道管の細さによって、紙が詰まりやすい等の理由により、50ヶ国以上の国々が、トイレットペーパーを流す事ができず、設置されたゴミ箱に入れる仕組みとなっており、衛生面や匂い、清掃や処理においても大きな負担を抱えている。
【0017】
自然災害が大きな課題となる日本である。避難時において糞尿の匂い、また紙の処理や防災セットのかさばり、ひとから分けてもらう事への抵抗、数日間に渡り不衛生な環境を余儀なくされる状況による感染症の危険など、危機的環境下において、非常に深刻な問題へと発展する。
【0018】
便の拭き取りにおける「時間」という観点においても、テーマパークや商業施設などにおけるトイレを待つ行列等で見られるように、無自覚の内に便の拭き取りに時間を必要としており、また、どんなに時間が無くても、便を拭き取り切る事を犠牲にする行為は、その後の衛生的、社会的生活にリスクが伴うものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
当該、発明組成物を摂取する。
【発明の効果】
【0020】
わさびを水に混ぜて摂取する事により、肛門に便が付着しにくくなり、便の拭き 取り回数が減少した。
ただし、わさびのみを摂取した場合、わさびに含まれるアリルイソチオシアネー トの作用により胃粘膜に炎症を起こし胃痛や極端に固い便を生成してしまう事 があり、腸液も充分に排出されない。
【0021】
鎮痛作用のあるクローブを用いて、胃痛を抑え、また胃腸を温める作用によ り、消化、腸液の増加を促す。
クローブには抗酸化作用オイゲノールを含み、抗炎症効果、免疫系の正常化へ機能させる。
また、悪性腫瘍を増殖させるNF-kBの抑制作用により細胞の健全化を促す。
【0022】
シナモンを加えシンナムアルデヒドの作用により、毛細血管の細胞を密着させ る受容体である Tie2 を活性化させ血液や栄養の漏れを防ぎ、血流を改善する事により、内臓内の毛細血管に異常が見られる場合であっても、改善が可能となる。また、胃腸の働きと保護をより増進させる。
【0023】
これら内臓機能の改善を図る事で、腹痛の確認されない状態で便の拭き取り頻度を減らす事に成功する。
【0024】
ただし[わさび・クローブ・シナモン]のみでは、便の拭き取り回数を減らす事に止まっており。日によって、付着するなど、付着率に不安定な結果が観察される。
そこに朝鮮人参を加える事で、サポニンのジンセノサイドの作用により、自律神経の働きを高める事で内臓の緊張状態を弛緩させる。
また、腸管での乳酸菌の増殖を促す事も作用し、食事内容等に関わらず排便した際に常に肛門に便が付着しないという安定した効果が確認できた。
【0025】
体内の水分排出機能が高まる事により、便自体は硬さを持ち、便の周りは多くの腸液にコーティングされた便が排出される。
【0026】
上記により内臓機能の正常化、体内の水分の排出、デトックス作用、またそれに伴う免疫機能の向上、消化能力の向上、腸内のホルモン生成なども影響 し、心身共に全身の健康状態の改善にも関与する。
【0027】
当該発明を摂取し便が肛門に付着しない事により、トイレットペーパーの使用削減が飛躍的に可能となりSDGsに大きく貢献する事が可能となる。
SDGs17の目標の6番「安全な水とトイレを世界中に」という観点からも、肛門や便器に便が付着しない事は非常に衛生的であり、感染防止になりうるものである。
【0028】
世界には、様々なトイレ問題を抱えている国が多くあり、それらは排泄後に衛生面が良好になるという事により、本質的に改善され、様々なトイレ問題を解決するものである。
【0029】
また、介護分野での便の拭き取りに関する資源や労働、精神的、肉体的な負担の軽減、登山による山中のトイレットペーパーの散乱や、持ち替えりの負担も無くす事が可能となり、登山中の事件、事故の防止を向上する。
【0030】
肛門に便が付着しなくなる事で、コンビニエンスストアやデパートのトイレ内でのトイレットペーパーの窃盗被害を減らし、犯罪率の低下、利用客への安心安全なトイレの提供が可能となる。
【0031】
個々人の紙の使用頻度が少なくなる事で、買い占め等の社会問題も、深刻化しにくくなる。
【0032】
当該発明を摂取した後の便はコーティングされているため、便器を汚す事がなく、トイレの清掃の負担軽減にもつながる。
【0033】
当該発明により放屁の匂いがしなくなる事により、放屁の匂いによるいじめ問題や放屁の我慢による様々な諸問題、健康問題が少なくなっていく事につながり、平和な社会実現へ一歩近づくものである。
【0034】
災害時にトイレットペーパーの必要性が少なくなる事で、災害時用に用意する防災セットに大きく、ゆとりを持たせる事が可能となり、生存率が高まる。
また避難所での使用後の紙の処理の問題や、ひとから分けてもらう事に対する精神的な負担軽減、衛生面、感染症対策となる。
支給される資源においても、トイレットペーパーは多大な面積を要し、1人あたりトイレットペーパーの使用量は1日平均8メートル。8メートル×人数分となり、1000人の避難民が1週間避難するのに必要なトイレットペーパーは約2500ロールと膨大な面積となる、
その面積を食料等にまわす事が可能となれば、より安全に多くの命の救命が実現される。
当該発明により大便の匂いが軽減され、避難時のストレスやトラブルを避ける事が可能となり、密室での避難所で糞便や放屁の臭いがほとんどしないという事は、他人へのストレス、また本人の健康面、極限状態でのトラブル回避において非常に大切となる。
【0035】
便の拭き取りに時間を必要としないというのは間接的に多くの人の時間を生む事にも繋がっていき、精神的、時間的余裕を生活に与える事になり、緊急時や多くのひとが集まる場所においては、様々な現象へ影響を与えて行く事になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】当該、発明物を摂取した後に、排泄された便である。腸液によるコーティング作用により、周囲への付着は確認されない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
粉末状の体積比で、わさびを3割から4.5割、シナモンを4割から6割、クローブを0.01割から1.5割、混ぜ合わせた上で、朝鮮人参を全体の5割以下の分量を加えた組成物。
【0038】
接種してから便が付着しなくなる期間についての検証
(粉末を水に溶かして経口摂取した場合)
表1
(水出しにより24時間、抽出して経口摂取した場合)
表2
【0039】
(配合割合と便の付着の有無と腹痛についての検証)
表3
表4
【0040】
(表3について)
表3は便の付着率と腹痛について説明する。
わさびの経口摂取によって腹痛が確認されたため、鎮痛作用、異なる整腸作用のあるクローブとシナモンの増量によって、腹痛の緩和について観察を行った。
理想的な分量比率は
わさび3割から4.5割、クローブ0.01割から1.5割、シナモン4割から6割の比率である。
「わさびの分量」わさび、クローブ、シナモンを合わせた分量の内の3割から4.5割の分量にする事で、わさびの効果による便の拭き取り頻度の減少も確認でき、摂取した時の腹痛の症状も確認されなくなった。
【0041】
「クローブの分量」クローブ自体の刺激も強く、逆に下痢 や吐き気等を起こしやすくなるため1.5割に抑える。わさび、クローブ、シナモンを合わせた分量の0.01割から1 .5割とする。
【0042】
「シナモンの分量」わさび、クローブ、シナモンを合わせた分量の内の4割から6割の分量にする事で整腸作用により、わさびによる腹痛の刺激を抑制する。
【0043】
わさびの分量が2.5以下の比率になると便の付着が大きく確認された。
【0044】
わさびを3割、シナモンを7割とし、クローブを加えない場合、腹痛の確認がされた。
【0045】
わさび3割、クローブ7割とし、シナモンを加えない場合、吐き気が確認された。
(表4について)
【0046】
「朝鮮人参」全分量の51%を超える朝鮮人参を加えると便の付着が確認され始めるため、朝鮮人参の分量は、50%までに抑える事が望ましい。
【0047】
【0048】
全ての被験者において、摂取している期間は常に便が肛門に付着しなくなる効果が確認できた。
【0049】
半数以上の被験者に、便通の改善と明らかなダイエット効果が確認された。食事内容の変化は行っていない。
ダイエット効果が確認されない被験者に関しては元々、痩せ型の体型であった。
【0050】
(当該発明を摂取する前と後での便の変化の観察について。)
触覚による観察においては、当該発明を摂取する前に比べ、便表面に硬度が確認され、腸液による水分の増加が確認された。
【0051】
嗅覚による観察においては、摂取後の便は摂取前に比べて匂いが少なく、便臭が抑えられる時間もとても短時間で、数秒で匂いは確認しにくくなる。
【0052】
味覚による観察においては、摂取後の便は食事内容に関わらず、無味となり、プラスチックのような味が確認される。
【0053】
当該発明、摂取前と摂取後において明らかな便の変化がみられた。
【0054】
生活環境や食事内容が違う被験者でも同様の観察結果が確認された。
被験者は菜食主義者と雑食主義者でも同様の観測結果であった。
【実施例】
【0055】
全て、オーガニック品を使い、わさびは西洋わさび、朝鮮人参は長白山人参を使用する事が望ましい。
【0056】
当該発明組成物を水出し、煮出し、酒により抽出する。
水出しによる抽出方法が一番即効性の高い効果が確認された。(表2)
【0057】
抽出する水においては、温泉水を使用する事が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
アウトドアショップ等での商品販売。
介護現場での利用。
紙やトイレにおける衛生的問題を抱えている国や人々への提供。
放屁ケア商品等。
【要約】
【課題】
便が肛門につく事により、大量の紙資源が消費され環境問題、社会問題、また個々人の心身の健康に至るまで、肛門に便が付着するという事案に付随して関連しているものであります。
【解決手段】
当該発明を摂取し、排便後の肛門への便の付着を無くし、放屁の匂いを減少させ、それに伴う、環境問題、社会問題、個人の問題を解決する。
【選択図】
図1