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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】汚物処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/00 20060101AFI20250304BHJP
   C02F 11/02 20060101ALI20250304BHJP
   C02F 11/04 20060101ALI20250304BHJP
   C02F 11/121 20190101ALI20250304BHJP
【FI】
C02F11/00 B ZAB
C02F11/02
C02F11/04 A
C02F11/121
C02F11/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024178361
(22)【出願日】2024-10-10
【審査請求日】2024-10-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524375862
【氏名又は名称】張 ▲キ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲キ▼
(72)【発明者】
【氏名】周 麗玲
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-121696(JP,A)
【文献】特表2001-500056(JP,A)
【文献】特開昭57-001494(JP,A)
【文献】特開2011-121042(JP,A)
【文献】特開2023-173973(JP,A)
【文献】特開平09-010615(JP,A)
【文献】特開2016-182556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00-11/20
C02F 3/28- 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のケースと、
汚物のうちの固体物と液体物とを分離するように前記ケースの下端側に設けられた分離室と、
前記ケースの上端側に設けられた好気性醗酵室と、
前記分離室と前記好気性醗酵室との間に位置するように前記ケースに設けられた嫌気性醗酵室と、
前記ケースの軸方向に沿って延在するとともに前記好気性醗酵室、前記嫌気性醗酵室及び前記分離室を貫通するように設けられた第1回転軸と、
前記第1回転軸回転駆動させるように前記好気性醗酵室の上面に設けられた第1モータと、
前記好気性醗酵室に位置するように前記第1回転軸に固定された第1攪拌棒と、
前記ケースの開口端としての上端をカバーする蓋と、
前記蓋を貫通するように前記蓋に形成され、汚物が供給される供給流路と、
前記供給流路を開閉可能に前記供給流路に設けられた第1液体制御弁と、
前記好気性醗酵室に位置するとともに汚物のうちの固体物を微小固体物に粉砕するように前記ケースに固定された粉砕機構と、
前記ケースの周壁に形成された気体貯蔵室と、
前記気体貯蔵室に設けられたポンプと、
前記気体貯蔵室に貯蔵された気体を前記ポンプにより前記好気性醗酵室に供給する気体供給機構と、を備え、
前記嫌気性醗酵室は、前記好気性醗酵室及び前記分離室と連通している、
汚物処理装置。
【請求項2】
前記好気性醗酵室と前記嫌気性醗酵室との間に設けられた第1隔板と、
前記第1隔板を貫通する第1液体流路と、
前記第1液体流路を開閉可能に前記第1液体流路に設けられた第2液体制御弁と、
外部と前記嫌気性醗酵室とを連通するとともに前記ケースの周壁を貫通して形成された第1気体流路と、
前記第1気体流路に設けられた第1気体制御弁と、
前記嫌気性醗酵室に位置するように前記第1回転軸に固定された第2攪拌棒と、
前記嫌気性醗酵室を取り囲むように前記ケースの周壁に設けられたヒータと、をさらに備える、
請求項1に記載の汚物処理装置。
【請求項3】
前記気体供給機構は、
前記気体貯蔵室と連通するように前記第1隔板に形成された分圧室と、
前記好気性醗酵室の下部と前記分圧室とを連通する複数のノズルと、
前記好気性醗酵室の上部と前記気体貯蔵室とを連通する第2気体流路と、を有する、
請求項2に記載の汚物処理装置。
【請求項4】
前記嫌気性醗酵室と前記分離室との間に設けられた第2隔板と、
前記第2隔板を貫通する第2液体流路と、
前記第2液体流路を開閉可能に前記第2液体流路に設けられた第3液体制御弁と、
前記分離室を上分離室と下分離室とに分割するように前記第1回転軸に固定された分離盤と、
前記上分離室と前記下分離室とを連通するように前記分離盤に形成された複数の貫通孔と、
前記分離盤の上面に位置する処理済みの汚物のうちの液体物を搾り出すように前記上分離室に設けられた搾出機構と、
前記分離盤の上面に位置する処理済みの汚物のうちの微小固体物を掻き取るように前記上分離室に設けられた掻取機構と、
前記上分離室と連通するように前記ケースの周壁を貫通して形成された排出孔と、
前記下分離室と連通するように前記ケースの周壁を貫通して形成された第3液体流路と、をさらに備える、
請求項2に記載の汚物処理装置。
【請求項5】
前記搾出機構は、回転することにより外周面が前記分離盤の上面を押圧可能に前記上分離室に支持されたローラを有する、
請求項4に記載の汚物処理装置。
【請求項6】
前記掻取機構は、前記分離盤の上面を押圧可能に前記ケースに固定された掻取板を有する、
請求項4に記載の汚物処理装置。
【請求項7】
前記気体貯蔵室と前記分離室とを連通するように前記ケースに形成された第3気体流路をさらに備え、
前記ヒータは、前記第3気体流路と隣接して設けられている、
請求項4に記載の汚物処理装置。
【請求項8】
前記分離室と対向するように前記第2隔板に固定された紫外線ランプをさらに備える、
請求項7に記載の汚物処理装置。
【請求項9】
前記粉砕機構は、
前記軸方向に沿って延在して設けられた筒体と、
前記軸方向に沿って延在するように一部が前記筒体に収容された第2回転軸と、
前記筒体に収容されるように前記第2回転軸の外周側に固定されたオーガーと、
前記第2回転軸を回転駆動させるように前記蓋に設けられた第2モータと、
前記筒体の上側に位置するように前記第2回転軸の外周側に固定された研磨盤と、を有し、
前記筒体の上端と前記研磨盤の下面との間には、間隙が形成されている、
請求項1に記載の汚物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜養殖汚物は、大量の病原体を有する高濃度有機汚物であるため、処理することなく、直接排出されると、地下水の水質が汚染されてしまう。
【0003】
先行文献CN111420460Aのように、家畜養殖汚物のうちの固体物と液体物とを分離することができず、かつ、単一の好気性醗酵又は単一の嫌気性醗酵は、汚物のうちの有害物質を充分に分解することができないため、汚物が処理されても多数の微生物が残ってしまい、環境が汚染されてしまうリスクが依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、家畜養殖汚物のうちの固体物と液体物とを分離し、かつ、汚物の有害物質を極力に除去処理することができる汚物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる様態によれば、有底筒状のケースと、汚物のうちの固体物と液体物とを分離するように前記ケースの下端側に設けられた分離室と、前記ケースの上端側に設けられた好気性醗酵室と、前記分離室と前記好気性醗酵室との間に位置するように前記ケースに設けられた嫌気性醗酵室と、前記ケースの軸方向に沿って延在するとともに前記好気性醗酵室、前記嫌気性醗酵室及び前記分離室を貫通するように設けられた第1回転軸と、前記第1回転軸を前記軸方向周りに回転駆動させるように前記好気性醗酵室の上面に設けられた第1モータと、前記好気性醗酵室に位置するように前記第1回転軸に固定された第1攪拌棒と、前記ケースの開口端としての上端をカバーする蓋と、前記蓋を貫通するように前記蓋に形成され、汚物が供給される供給流路と、前記供給流路を開閉可能に前記供給流路に設けられた第1液体制御弁と、前記好気性醗酵室に位置するとともに汚物のうちの固体物を微小固体物に粉砕するように前記ケースに固定された粉砕機構と、前記ケースの周壁に形成された気体貯蔵室と、前記気体貯蔵室に設けられたポンプと、前記気体貯蔵室に貯蔵された気体を前記ポンプにより前記好気性醗酵室に供給する気体供給機構と、を備え、前記嫌気性醗酵室は、前記好気性醗酵室及び前記分離室と連通している汚物処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、家畜養殖汚物のうちの固体物と液体物とを分離し、かつ、汚物の有害物質を極力に除去処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る汚物処理装置を示す概略斜視図である。
図2図1におけるA-A線の断面図である。
図3図2における粉砕機構を示す拡大図である。
図4図2における気体供給機構を示す拡大図である。
図5図2における搾出機構を示す拡大図である。
図6図5におけるB-B線の断面図である。
図7図5における分離盤を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、本実施形態と称する)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0009】
(汚物処理装置の構成)
まず、図1から図7を参照しながら汚物処理装置の構成について詳細に説明する。
【0010】
本実施形態に係る汚物処理装置は、家畜養殖汚物処理装置である。図1から図7に示すように、当該汚物処理装置は、有底筒状のケース11と、家畜養殖汚物(以下、単に汚物ともいう)のうちの固体物と液体物とを分離するように前記ケースの下端側に設けられた分離室12と、ケース11の上端側に設けられた好気性醗酵室29と、分離室12と好気性醗酵室29との間に位置するようにケース11に設けられた嫌気性醗酵室20と、ケース11の軸方向に沿って延在するとともに好気性醗酵室29、嫌気性醗酵室20及び分離室12を貫通するように設けられた第1回転軸13と、第1回転軸13を軸方向周りに回転駆動させるように好気性醗酵室29の上面に設けられた第1モータ28と、好気性醗酵室29に位置するように第1回転軸13に固定された第1攪拌棒25と、ケース11の開口端としての上端をカバーする蓋(符号省略)と、蓋を貫通するように蓋に形成され、汚物が供給される供給流路26と、供給流路26を開閉可能に供給流路26に設けられた第1液体制御弁27と、好気性醗酵室29に位置するとともに汚物のうちの固体物を微小固体物(すなわち、微小粒体)に粉砕するようにケース11に固定された粉砕機構50と、ケース11の周壁に形成された気体貯蔵室40と、気体貯蔵室40に設けられたポンプ39と、気体貯蔵室40に貯蔵された気体(具体的には、高圧気体)をポンプ39により好気性醗酵室29に供給する気体供給機構51と、を備える。
【0011】
後述のように、嫌気性醗酵室20は、好気性醗酵室29及び分離室12と連通している。ここでは、汚物には、液体物及び固体物の両方が含まれている。なお、ケース11は、互いに連結された上ケース及び下ケースから構成されてもよい。第1回転軸13は、一端としての上端が第1モータ28に接続され、他端としての下端が回転可能にケース11の底部に支持されている。
【0012】
そして、供給流路26には、供給源(図示しない)と接続された外部ホース(図示しない)が接続されているため、供給源から流れてきた汚物は、外部ホース及び供給流路26を介して好気性醗酵室29に供給されている。本実施形態では、第1攪拌棒25は、粉砕機構50の下方に位置している。これにより、第1攪拌棒25と粉砕機構50との干渉を気にすることなく、軸方向と直交する径方向に沿って延在する第1攪拌棒25の長さをなるべく大きくすることができる(本実施形態では、第1回転軸13が所定位置に回転されたとき、第1攪拌棒25が粉砕機構50と径方向に沿って重なるように構成されている)。この結果、好気性醗酵室29における汚物の攪拌効果を向上させることができる。
【0013】
また、汚物処理装置は、好気性醗酵室29と嫌気性醗酵室20との間に設けられた第1隔板(符号省略)と、第1隔板を貫通する第1液体流路18と、第1液体流路18を開閉可能に第1液体流路18に設けられた第2液体制御弁49と、外部と嫌気性醗酵室20と連通するとともにケース11の周壁を貫通して形成された第1気体流路23と、第1気体流路23を開閉可能に第1気体流路23に設けられた第1気体制御弁22と、嫌気性醗酵室20に位置するように第1回転軸13に固定された第2攪拌棒19と、嫌気性醗酵室20を取り囲むようにケース11の周壁に設けられたヒータ21と、をさらに備える。
【0014】
図2に示すように、粉砕機構50は、第1回転軸13を挟むように一対となるように構成されている。図3に示すように、粉砕機構50は、軸方向に沿って延在して設けられた筒体(符号省略)と、筒体を保持するようにケース11の周壁に設けられた接続ブロック24と、軸方向に沿って延在するように一部が筒体に収容された第2回転軸31と、筒体に収容されるように前記第2回転軸31の外周側に固定されたオーガー33と、第2回転軸31を回転駆動させるように蓋に設けられた第2モータ35と、筒体の上側に位置するように第2回転軸31の外周側に固定された研磨盤34と、を有する。そして、筒体の上端と研磨盤34の下面との間には、間隙(図示しない)が形成されている。当該間隙は、研磨盤34等により粉砕された微小固体物が通過可能に形成されている。
【0015】
図2及び図4に示すように、気体供給機構51は、気体貯蔵室40と連通するように第1隔板に形成された分圧室37と、好気性醗酵室29の下部と分圧室37とを連通する複数のノズル38と、好気性醗酵室29の上部と気体貯蔵室40とを連通するL字型の第2気体流路30と、を有する。
【0016】
図2に示すように、ノズル38は、上端が研磨盤34が設けられていない筒体の下端と対向するように構成されている。これにより、分圧室37から粉砕機構50への高圧気体の供給をより行いやすくなる。一方、第2気体流路30は、下端が気体貯蔵室40と連通するとともに軸方向に沿って延在するように形成された第1サブ気体流路(符号省略)と、第1サブ気体流路の上端と好気性醗酵室29の上部とを連通するとともに径方向に沿って延在するように形成された第2サブ気体流路(符号省略)とからなる。なお、第2サブ気体流路の好気性醗酵室29の上部と連通する端部は、接続ブロック24の上方に位置している。
【0017】
また、図2図5から図7に示すように、汚物処理装置は、嫌気性醗酵室20と分離室12との間に設けられた第2隔板(符号省略)と、第2隔板を貫通する第2液体流路16と、第2液体流路16を開閉可能に第2液体流路16に設けられた第3液体制御弁17と、分離室12を上分離室(符号省略)と下分離室(符号省略)とに分割するように第1回転軸13に固定された分離盤48と、上分離室と下分離室とを連通するように分離盤48に形成された複数の貫通孔47と、分離盤48の上面に位置する処理済みの汚物のうちの液体物を搾り出すように上分離室に設けられた搾出機構52と、分離盤48の上面に位置する処理済みの汚物のうちの微小固体物を掻き取るように上分離室に設けられた掻取機構53と、上分離室と連通するようにケース11の周壁を貫通して形成された排出孔15と、下分離室と連通するようにケース11の周壁を貫通して形成された第3液体流路14と、をさらに備える。
【0018】
図2に示すように、分離盤48の上面は、径方向に沿って内周側から外周側に向けて下方へ傾斜するテーパー面である。排出孔15は、分離盤48の上面と同じ勾配で傾斜するように構成されている。そして、具体的には、排出孔15は、底部が分離盤48の上面の延長線上に位置するように構成されている。これらの構成によれば、掻取機構53により掻き取られた微小固体物は、分離盤48の上面から転び落ちて排出孔15に進入しやすくなる。また、排出孔15には、外部収集部(図示しない)と接続された通路(図示しない)が接続されている。これにより、排出孔15から排出された微小固体物を外部収集部に収集することができる。複数の貫通孔49は、微小固体物が入り込むことが不能に構成されている。具体的には、貫通孔49は、径が微小固体物の粒径よりも小さくなるように構成されている。これにより、上分離室に位置する液体物のみを、貫通孔49を通じて下分離室に流し落とすことができるため、処理済みの汚物のうちの固体物と液体物とを確実に分離することができる。第3液体流路14は、底部が分離室12の底部と同一直線上に位置するように構成されている。これにより、下分離室に流し落とされた液体物を第3液体流路14を介して外部に流出させることができる。
【0019】
図5から図7に示すように、搾出機構52は、回転することにより外周面が分離盤48の上面を押圧可能に上分離室に支持されたローラ43と、分離盤48の上面と平行となるとともにローラ43を支持するように設けられた第3回転軸46と、第3回転軸46の一端が接続され第3回転軸46を回転駆動させるようにケース11の周壁に固定された第3モータ45と、第3回転軸46の他端が第3回転軸46が回転可能に支持され、第2隔板に固定された支持ブロック42と、を有する。平面視において、ローラ43は、径方向に沿って延在するように支持されている。
【0020】
図5から図7に示すように、掻取機構53は、分離盤48の上面を押圧可能にケース11(具体的には、ケース11の周壁)に固定された掻取板41を有する。平面視において、掻取板41は、径方向に沿って延在するように設けられている。図6に示すように、本実施形態では、平面視において、ローラ43と掻取板41とは、同一直線上に配置されている。第2液体流路16は、ローラ43及び掻取板41により区画された第1領域(具体的には、図6の上半分領域)に位置し、一方、排出孔15は、ローラ43及び掻取板41により区画された第2領域(具体的には、図6の下半分領域)に位置する。これにより、処理済みの汚物のうちの固体物が搾り出し工程を通過することなく、直接排出口15に入り込むことを抑制することができる。
【0021】
図2に示すように、汚物処理装置は、気体貯蔵室40と分離室12(具体的には、上分離室)とを連通するようにケース11に形成されたL字型の第3気体流路36をさらに備る。第3気体流路36は、上端が気体貯蔵室40と連通するとともに軸方向に沿って延在するように形成された第3サブ気体流路(符号省略)と、第3サブ気体流路の下端と上分離室とを連通するとともに径方向に沿って延在するように形成された第4サブ気体流路(符号省略)とからなる。そして、ヒータ21は、第3気体流路36(具体的には、第3サブ気体流路)と隣接して設けられている。
【0022】
図5に示すように、汚物処理装置は、分離室12(具体的には、上分離室)と対向するように第2隔板に固定された紫外線ランプ44をさらに備える。
【0023】
(汚物処理装置の動作)
次に、汚物処理装置の動作について説明する。
【0024】
まず、ステップS1において、第1液体制御弁27の開閉を制御することにより、供給源から供給された所定量の汚物を、汚物処理装置による処理プロセスの最上流側に位置する処理室としての好気性醗酵室29に入り込ませる。そして、第1モータ28は、第1回転軸13を回転駆動させることにより、第1攪拌棒25、第2攪拌棒19及び分離盤48を同時に回転させることができる。同時に、第2モータ35は、第2回転軸51を回転駆動させることにより、オーガー33及び研磨盤34を同時に回転させ、好気性醗酵室29の汚物を筒体の下端から吸い込み、筒体の上端と研磨盤34との間の間隙から排出することができる。この際に、汚物のうちの固体物を研磨盤34等により微小固体物に粉砕している。同時に、汚物と気体(酸素を含む)との充分接触を図るために、ポンプ39を起動させることにより、ケース11の外部の空気を高圧気体として気体貯蔵室40に取り込むことができる。そして、高圧気体の一部は、順に分圧室37及びノズル38を経由して好気性醗酵室29の下部に供給されるため、第1攪拌棒25により攪拌された汚物の酸素含有量を向上させることができる。一方、高圧気体の他の一部は、第2気体流路30を通じて好気性醗酵室29の上部に供給されるため、粉砕機構50により排出された汚物(具体的には、液体物と微小固体物とを含む)の酸素含有量をさらに向上させることができる。
【0025】
次に、ステップS2において、第2液体制御弁49の開閉を制御することにより、好気性醗酵室29にて処理された汚物を嫌気性醗酵室20に入り込ませる。そして、ヒータ21は、嫌気性醗酵室20の汚物の温度を嫌気性細菌繁殖の適合温度に上昇させる。同時に、第2攪拌棒19を回転させることにより、嫌気性醗酵の効率を向上させることができる。同時に、第1気体制御弁22を開放することにより、嫌気性醗酵室20にて発生したバイオガスをケース11の外部に回収することができる。そして、嫌気性醗酵が完了した後、ヒータ21は、嫌気性醗酵室20の汚物の温度をさらに向上させることにより、嫌気性醗酵室20の汚物の微生物の高温殺菌を行うことができる。
【0026】
次に、ステップS3において、第3液体制御弁17の開閉を制御することにより、嫌気性醗酵室20にて処理された汚物を、汚物処理装置による処理プロセスの最下流側に位置する処理室としての分離室12(具体的には、上分離室/すなわち、分離盤48の上面)に入り込ませる。同時に紫外線ランプ44は、上分離室に対し紫外線を照射することにより、嫌気性醗酵室20にて処理された汚物に対し消毒殺菌を行い、汚物のうちの有害病原菌が消滅されたことを保証することができる。同時に、第3モータ45は、第3回転軸46を回転駆動させることにより、ローラ43を回転させることができる。すると、回転(本実施形態では、図6の逆時計回り方向)する分離盤48の上面に付着する微小固体物を押圧させることにより、微小固体物に含まれる水分(液体物)を搾り出すことができる。同時に、気体貯蔵室40に貯蔵された高圧気体は、ヒータ21により加熱されながら第3気体流路36を経由して分離室12に供給される。これにより、分離盤48の上面に付着する微小固体物を乾燥させることができる。そして、分離盤48がさらに回転すると、水分が搾り出され乾燥された微小固体物(すなわち、汚物から分離された微小固体物)を掻取板41により掻き取ることができる。そして、掻き取られた微小固体物は、分離盤48の上面に沿って転び落ちて排出孔15を介して排出される。同時に、汚物から分離された処理済みの液体物は、複数の貫通孔47を通じて下分離室に流れ落ちて第3液体流路14を介して排出される。以上のことから、処理済みの汚物のうちの微小固体物及び液体物を確実に分離することができる。
【0027】
そして、好気性醗酵室29、嫌気性醗酵室20及び分離室12が汚物に充満されてから、上記ステップS1からステップS3を同時に行うことができる。
【0028】
(本実施形態による作用効果)
本実施形態に係る汚物処理装置は、有底筒状のケース11と、家畜養殖汚物(以下、単に汚物ともいう)のうちの固体物と液体物とを分離するように前記ケースの下端側に設けられた分離室12と、ケース11の上端側に設けられた好気性醗酵室29と、分離室12と好気性醗酵室29との間に位置するようにケース11に設けられた嫌気性醗酵室20と、ケース11の軸方向に沿って延在するとともに好気性醗酵室29、嫌気性醗酵室20及び分離室12を貫通するように設けられた第1回転軸13と、第1回転軸13を軸方向周りに回転駆動させるように好気性醗酵室29の上面に設けられた第1モータ28と、好気性醗酵室29に位置するように第1回転軸13に固定された第1攪拌棒25と、ケース11の開口端としての上端をカバーする蓋(符号省略)と、蓋を貫通するように蓋に形成され、汚物が供給される供給流路26と、供給流路26を開閉可能に供給流路26に設けられた第1液体制御弁27と、好気性醗酵室29に位置するとともに汚物のうちの固体物を微小固体物(すなわち、微小粒体)に粉砕するようにケース11に固定された粉砕機構50と、ケース11の周壁に形成された気体貯蔵室40と、気体貯蔵室40に設けられたポンプ39と、気体貯蔵室40に貯蔵された気体(具体的には、高圧気体)をポンプ39により好気性醗酵室29に供給する気体供給機構51と、を備え、嫌気性醗酵室20は、好気性醗酵室29及び分離室12と連通している。
【0029】
この構成によれば、好気性醗酵室29、嫌気性醗酵室20及び分離室12を汚物処理装置に統合させることで、汚物のうちの固体物と液体物とを分離し、かつ、汚物の有害物質を極力に除去処理することができる汚物処理装置を提供することができる。
【0030】
また、汚物処理装置は、ケース11の周壁に形成された気体貯蔵室40と、気体貯蔵室40に設けられたポンプ39と、気体貯蔵室40に貯蔵された気体(具体的には、高圧気体)をポンプにより好気性醗酵室29に供給する気体供給機構51と、をさらに備えるため、ポンプ39により発生し、気体貯蔵室40に貯蔵された気体(具体的には、高圧気体)を気体供給機構51により好気性醗酵室29に供給させることができる。この結果、好気性醗酵室29における汚物の好気性発酵の効率を向上させることができる。
【0031】
また、汚物処理装置は、気体供給機構51に加え、好気性醗酵室29に位置するとともに汚物のうちの固体物を微小固体物(すなわち、微小粒体)に粉砕するようにケース11に固定された粉砕機構50をさらに備えるため、好気性醗酵室29における汚物の好気性発酵を充分に行うことができる。
【0032】
また、粉砕機構50は、嫌気性醗酵室20ではなく、好気性醗酵室29(すなわち、汚物処理装置による処理プロセスの最上流側に位置する処理室)に設けることにより、嫌気性醗酵室20に粉砕機構50が設けられた構成に比べ、好気性発酵室29による汚物(特に、汚物のうちの固体物)の好気性発酵を充分に行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では、汚物処理装置は、好気性醗酵室29と嫌気性醗酵室20との間に設けられた第1隔板(符号省略)と、第1隔板を貫通する第1液体流路18と、第1液体流路18を開閉可能に第1液体流路18に設けられた第2液体制御弁49と、外部と嫌気性醗酵室20と連通するとともにケース11の周壁を貫通して形成された第1気体流路23と、第1気体流路23を開閉可能に第1気体流路23に設けられた第1気体制御弁22と、嫌気性醗酵室20に位置するように第1回転軸13に固定された第2攪拌棒19と、嫌気性醗酵室20を取り囲むようにケース11の周壁に設けられたヒータ21と、をさらに備える。
【0034】
この構成によれば、第2攪拌棒19を、第1攪拌棒25が固定された第1回転軸13に固定させて第1回転軸13を回転駆動させるのみで、第1攪拌棒25による好気性醗酵室29の汚物の攪拌及び第2攪拌棒19による嫌気性醗酵室20の汚物の攪拌を同時に行うことができるため、両攪拌棒を駆動させるための駆動機構(第1モータ28)の簡易化を図ることができる。
【0035】
また、汚物処理装置は、嫌気性醗酵室20を取り囲むようにケース11の周壁に設けられたヒータ21をさらに備えるため、嫌気性醗酵室20内の温度を嫌気性細菌繁殖の適合温度に上昇させることができる。この結果、嫌気性醗酵室20における汚物の嫌気性醗酵の効率を向上させることができる。
【0036】
また、汚物処理装置は、外部と嫌気性醗酵室20と連通するとともにケース11の周壁を貫通して形成された第1気体流路23と、第1気体流路23を開閉可能に第1気体流路23に設けられた第1気体制御弁22と、をさらに備えるため、第1気体制御弁22を開放することにより、嫌気性醗酵室20にて発生したバイオガスをケース11の外部に回収することができる。
【0037】
また、本実施形態では、気体供給機構51は、気体貯蔵室40と連通するように第1隔板に形成された分圧室37と、好気性醗酵室29の下部と分圧室37とを連通する複数のノズル38と、好気性醗酵室29の上部と気体貯蔵室40とを連通する第2気体流路30と、を有する。
【0038】
この構成によれば、気体貯蔵室40に貯蔵された高圧気体の一部は、順に分圧室37及びノズル38を経由して好気性醗酵室29の下部に供給されるため、第1攪拌棒25により攪拌された汚物の酸素含有量を向上させることができ、一方、高圧気体の他の一部は、第2気体流路30を通じて好気性醗酵室29の上部に供給されるため、粉砕機構50により排出された汚物(具体的には、液体物と微小固体物とを含む)の酸素含有量をさらに向上させることができる。この結果、好気性醗酵室29における汚物の好気性発酵の効率を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、汚物処理装置は、嫌気性醗酵室20と分離室12との間に設けられた第2隔板(符号省略)と、第2隔板を貫通する第2液体流路16と、第2液体流路16を開閉可能に第2液体流路16に設けられた第3液体制御弁17と、分離室12を上分離室(符号省略)と下分離室(符号省略)とに分割するように第1回転軸13に固定された分離盤48と、上分離室と下分離室とを連通するように分離盤48に形成された複数の貫通孔47と、分離盤48の上面に位置する処理済みの汚物のうちの液体物を搾り出すように上分離室に設けられた搾出機構52と、分離盤48の上面に位置する処理済みの汚物のうちの微小固体物を掻き取るように上分離室に設けられた掻取機構53と、上分離室と連通するようにケース11の周壁を貫通して形成された排出孔15と、下分離室と連通するようにケース11の周壁を貫通して形成された第3液体流路14と、をさらに備える。
【0040】
また、本実施形態では、搾出機構52は、回転することにより外周面が分離盤48の上面を押圧可能に上分離室に支持されたローラ43を有する。
【0041】
また、本実施形態では、掻取機構53は、分離盤48の上面を押圧可能にケース11に固定された掻取板41を有する。
【0042】
これらの構成によれば、分離盤48を、第1攪拌棒25及び第2攪拌棒19が固定された第1回転軸13に固定させて第1回転軸13を回転駆動させるのみで、第1攪拌棒25による好気性醗酵室29の汚物の攪拌、第2攪拌棒19による嫌気性醗酵室20の汚物の攪拌及び分離盤48の回転を同時に行うことができるため、両攪拌棒及び分離盤48を駆動させるための駆動機構の簡易化を図ることができる。
【0043】
また、汚物処理装置は、分離盤48の上面に位置する処理済みの汚物のうちの液体物を搾り出すように上分離室に設けられた搾出機構52と、分離盤48の上面に位置する処理済みの汚物のうちの微小固体物を掻き取るように上分離室に設けられた掻取機構53と、をさらに備えるため、回転する分離盤48の上面に付着する微小固体物を搾出機構52(具体的には、搾出機構52)により押圧させることにより、微小固体物に含まれる水分(液体物)を搾り出すことができるとともに、分離盤48がさらに回転すると、水分が搾り出され乾燥された微小固体物(すなわち、汚物から分離された微小固体物)を掻取機構53(具体的には、掻取板41)により掻き取ることができる。
【0044】
また、汚物処理装置は、上分離室と下分離室とを連通するように分離盤48に形成された複数の貫通孔47をさらに備えるため、微小固体物から搾り出された水分(液体物)を複数の貫通孔47を通じて下分離室に流し落とすことができる。この結果、処理済みの汚物のうちの微小固体物及び液体物を確実に分離することができる。
【0045】
また、本実施形態では、汚物処理装置は、気体貯蔵室40と分離室12(具体的には、上分離室)とを連通するようにケース11に形成されたL字型の第3気体流路36をさらに備、ヒータ21は、第3気体流路36と隣接して設けられている。
【0046】
この構成によれば、気体貯蔵室40に貯蔵された高圧気体は、ヒータ21(具体的には、ヒータ21の余熱)により加熱されながら第3気体流路36を経由して分離室12に供給される。これにより、分離盤48の上面に付着する微小固体物を乾燥させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、汚物処理装置は、分離室12と対向するように第2隔板に固定された紫外線ランプ44をさらに備える。
【0048】
この構成によれば、紫外線ランプ44は、上分離室に対し紫外線を照射することにより、嫌気性醗酵室20にて処理された汚物に対し消毒殺菌を行い、汚物のうちの有害病原菌が消滅されたことを保証することができる。
【0049】
また、本実施形態では、粉砕機構50は、軸方向に沿って延在して設けられた筒体(符号省略)と、筒体を保持するようにケース11の周壁に設けられた接続ブロック24と、軸方向に沿って延在するように一部が筒体に収容された第2回転軸31と、筒体に収容されるように前記第2回転軸31の外周側に固定されたオーガー33と、第2回転軸31を回転駆動させるように蓋に設けられた第2モータ35と、筒体の上側に位置するように第2回転軸31の外周側に固定された研磨盤34と、を有する。そして、筒体の上端と研磨盤34の下面との間には、間隙が形成されている。
【0050】
この構成によれば、第2モータ35は、第2回転軸51を回転駆動させることにより、オーガー33及び研磨盤34を同時に回転させ、好気性醗酵室29の汚物を筒体の下端から吸い込み、筒体の上端と研磨盤34との間の間隙から排出することができる。この際に、汚物のうちの固体物を研磨盤34等により微小固体物に粉砕することができる。
【0051】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0052】
11 ケース
12 分離室
13 第1回転軸
20 嫌気性醗酵室
24 粉砕機構
25 第1攪拌棒
26 供給流路
28 第1モータ
29 好気性醗酵室
39 ポンプ
40 気体貯蔵室
51 気体供給機構

【要約】      (修正有)
【課題】家畜養殖汚物を固体物と液体物に分離し、かつ有害物質を極力除去処理することができる汚物処理装置の提供。
【解決手段】汚物処理装置は、ケース11と、ケースの下端側に設けられた分離室12と、上端側に設けられた好気性醗酵室29と、それらの間に位置するようにケースに設けられた嫌気性醗酵室20と、ケースの軸方向に沿って延在するとともに好気性醗酵室、嫌気性醗酵室及び分離室を貫通するように設けられた第1回転軸13と、該軸を回転駆動させるように好気性醗酵室の上面に設けられた第1モータ28と、好気性醗酵室に位置するように第1回転軸に固定された第1攪拌棒25と、蓋に形成され汚物が供給される供給流路26と、好気性醗酵室に位置するようにケースに固定された粉砕機構24と、ケースの周壁に形成された気体貯蔵室と、そこに設けられたポンプと、気体貯蔵室の気体をポンプにより好気性醗酵室に供給する気体供給機構とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7