(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】斜め三次元X線CT画像のアーチファクトの低減方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20250304BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
G01N23/046
G06T1/00 290B
(21)【出願番号】P 2021010340
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】藤▲高▼ 直也
(72)【発明者】
【氏名】笹田 星児
(72)【発明者】
【氏名】北岸 浩一
(72)【発明者】
【氏名】上山 道明
(72)【発明者】
【氏名】木村 英彦
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-260049(JP,A)
【文献】特開2019-028073(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03561778(EP,A1)
【文献】特開2020-087211(JP,A)
【文献】特開2020-128901(JP,A)
【文献】特開2019-028072(JP,A)
【文献】特開2004-132931(JP,A)
【文献】特開2019-165970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
A61B 6/00-6/58
JSTPlus(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物(2)の回転軸方向に対してX線源(1)と検出器(4)とを結ぶ光軸角度を斜め方向とし、前記検出器により取得した投影画像を再構成して斜め三次元X線CT画像を生成し、その生成した斜め三次元X線CT画像を観察して前記測定対象物を評価する際に、
アーチファクトを除去するための畳み込みニューラルネットワークの重みを学習する学習フェーズと、大きな構造に対応するための全体補正ニューラルネットワーク学習フェーズと、実際の画像に適用する適用フェーズとを順に行い、前記全体補正ニューラルネットワーク学習フェーズにおいて前記斜め三次元X線CT画像の圧縮と分割とを繰り返
すことにより、前記斜め三次元X線CT画像に対して畳み込みニューラルネットワークを適用し、
前記畳み込みニューラルネットワークを適用した複数の前記斜め三次元X線CT画像を組み合わせて処理することで、全体感と細部とを両立した処理を行い、斜め三次元X線CT画像に出現したアーチファクトを低減させる斜め三次元X線CT画像のアーチファクトの低減方法。
【請求項2】
前記畳み込みニューラルネットワークの重み学習において、コンピュータで生成した三次元構造を投影シミュレーションしたデータを学習データとして使用する請求項1に記載した斜め三次元X線CT画像のアーチファクトの低減方法。
【請求項3】
前記畳み込みニューラルネットワークの重み学習において、実物を斜め三次元X線CT又は三次元X線CTにより測定したデータを学習データとして使用する請求項1に記載した斜め三次元X線CT画像のアーチファクトの低減方法。
【請求項4】
前記斜め三次元X線CT画像の圧縮と分割とを繰り返す際に、オフセットさせて分割した斜め三次元X線CT画像を重み付けして結合させる請求項1から3の何れか一
項に記載した斜め三次元X線CT画像のアーチファクトの低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜め三次元X線CT画像のアーチファクトの低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に搭載される車載ディスプレイや電子制御装置等においては、小型化、軽量化、高機能化等を実現すべく高密度実装が求められており、電子基板を多層化して配線パターンを立体化する技術が採用されている。電子基板等の平板形状の測定対象物の内部を可視化する手法として、測定対象物を斜め三次元X線CT(Computed Tomography)により測定し、斜め三次元X線CT画像(以下、単にX線CT画像と称する)を生成する方法が供されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定対象物を斜め三次元X線CTにより測定する方法によれば、測定対象物を非破壊としながら高倍率での三次元的な観察が可能となり、はんだ内のクラックやボイド等の観察が可能となる。しかしながら、X線CT画像を通常の観察断面方向とは異なる別方向から見ると、X線の照射方向にストリーク状のアーチファクトが出現する場合がある。通常とは異なる観察断面にアーチファクトが出現すると、その通常とは異なる観察断面で三次元的な観察を行うことが困難であったり、通常の観察断面にも奥行き方向の構造情報がノイズとして出現して通常の観察断面でも三次元的な観察を行うことが困難であったりする問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、測定対象物を斜め三次元X線CTにより測定し、斜め三次元X線CT画像を観察して測定対象物を評価する際に、三次元的な観察を適切に行うことができる斜め三次元X線CT画像のアーチファクトの低減方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、測定対象物の回転軸方向に対してX線源と検出器とを結ぶ光軸角度を斜め方向とし、検出器により取得した投影画像を再構成して斜め三次元X線CT画像を生成し、その生成した斜め三次元X線CT画像を観察して測定対象物を評価する際に、アーチファクトを除去するための畳み込みニューラルネットワークの重みを学習する学習フェーズと、大きな構造に対応するための全体補正ニューラルネットワーク学習フェーズと、実際の画像に適用する適用フェーズとを順に行い、全体補正ニューラルネットワーク学習フェーズにおいて斜め三次元X線CT画像の圧縮と分割とを繰り返すことにより、斜め三次元X線CT画像に対して畳み込みニューラルネットワークを適用し、畳み込みニューラルネットワークを適用した複数の斜め三次元X線CT画像を組み合わせて処理することで、全体感と細部とを両立した処理を行い、斜め三次元X線CT画像に出現したアーチファクトを低減させるようにした。アーチファクトを低減させた状態で斜め三次元X線CT画像を観察することができ、三次元的な観察を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】測定対象物を斜め三次元X線CTにより測定する態様を示す図
【
図6】コンピュータで生成した三次元構造を投影シミュレーションする学習による汎用化を説明する図
【
図10】応用フローチャートの全体補正NN学習フェーズを示す図
【
図11】応用フローチャートの全体補正NN学習フェーズの流れを示す図
【
図12】応用フローチャートの適用フェーズを示す図
【
図13】応用フローチャートの適用フェーズを示す図
【
図14】応用フローチャートの適用フェーズの流れを示す図
【
図16】基本フローチャートによる処理後のX線CT画像を示す図
【
図17】応用フローチャートによる処理後のX線CT画像を示す図
【
図19】基本フローチャートによる処理後のX線CT画像を示す図
【
図20】応用フローチャートによる処理後のX線CT画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、測定対象物は例えば電子基板等の平板形状の物体である。
図1に示すように、測定対象物を斜め三次元X線CTにより測定する方法では、X線源1に対向するように測定対象物2を設置台3上に配置し、観察部位を中心として測定対象物2を水平方向に回転させる。このとき、測定対象物2の回転軸A方向に対してX線源1と検出器4とを結ぶ光軸角度を斜め方向とし、検出器4により取得した投影画像を再構成してX線CT画像を生成する。
【0009】
この場合、投影画像を再構成して生成したX線CT画像を通常の観察断面方向とは異なる別方向から見ると、X線の照射方向にストリーク状のアーチファクトが出現する場合がある。即ち、
図2に示すはんだボールのX線CT画像では、測定対象物2の回転軸方向をZ軸方向とした場合に、
図3に示すように、XY断面のX線CT画像にはアーチファクトが出現しないが、
図4に示すように、XZ断面のX線CT画像にはアーチファクトが出現する場合がある。アーチファクトが出現すると、視認性が低下し、三次元的な観察を適切に行えなくなる虞がある。本実施形態は、このような課題に対し、X線CT画像に対して畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional neural network)を適用し、X線CT画像に出現したアーチファクトを低減させ、視認性の低下を回避する。
【0010】
最初に、CNNを適用する手順について説明する。CNNを適用する手順では、(1)CNNを適用した画像処理、(2)コンピュータで生成した三次元構造を投影シミュレーションする学習による汎用化、(3)CNNの多段化による大画像への適用を順次行う。以下、(1)~(3)の手順について説明する。
【0011】
(1)CNNを適用した画像処理
CNNを適用した画像処理について
図5を参照して説明する。学習過程では、ノイズ有の学習用データに対してCNNを適用して出力画像を生成し、その生成した出力画像とノイズ無の学習用データとの誤差を算出し、その算出した誤差をCNNにフィードバックし、CNNを学習させる。ノイズ除去過程では、誤差が収束したときのCNNの重みを使用し、その収束したときのCNNの重みをノイズ除去前画像に適用してノイズ除去後画像を生成する。
【0012】
(2)コンピュータで生成した三次元構造を投影シミュレーションする学習による汎用化
コンピュータで生成した三次元構造を投影シミュレーションする学習による汎用化について
図6を参照して説明する。コンピュータにより正解画像を生成し、その生成した正解画像を投影シミュレーションして投影画像を生成し、その生成した投影画像を再構成してX線CT画像を生成する。この画像を使って学習したときのCNNを、汎用オートエンコーダとして利用する。正解画像は、多様な特徴を含む画像であり、例えば楕円体、六面体、立方体、平面、直線、粒子等を含む。
【0013】
(3)CNNの多段化による大画像への適用
CNNの多段化による大画像への適用については後述する。
【0014】
畳み込みニューラルネットワークを適用してアーチファクトを低減する方法として、(ア)基本フローチャート、(イ)応用フローチャートがある。以下、各フローチャートについて説明する。
(ア)基本フローチャート
基本フローチャートについて
図7から
図8を参照して説明する。基本フローチャートは、学習フェーズと、適用フェーズとから構成される。
学習フェーズは、アーチファクトを除去するためのCNNの重みを学習するフェーズである。CNNの重み学習において、コンピュータで生成した三次元構造を投影シミュレーションしたデータを学習データとして使用しても良いし、実物を斜め三次元X線CT又は三次元X線CTにより測定したデータを学習データとして使用しても良い。学習フェーズでは、
図7に示すように、学習の正解となる正解画像を生成する(S1、S2)。次いで、その生成した正解画像を、実際の測定を模擬した投影シミュレーションにかけて投影画像を取得する(S3)。次いで、その取得した投影画像を、実測定と同様に再構成してX線CT画像を生成し(S4)、その生成したX線CT画像をアーチファクト付き画像として入力する(S5)。次いで、最初に生成した正解画像を正解データとしてCNNを学習させ(S6)、収束したときのネットワークの重みを学習済みネットワークとして保存する(S7)。
【0015】
適用フェーズは、実際に測定したX線CT画像に出現したアーチファクトを除去するフェーズである。適用フェーズでは、
図8に示すように、測定対象物を斜め三次元X線CTにより測定し、投影画像を再構成してX線CT画像をアーチファクト付き画像として生成する(S11~S14)。次いで、ネットワークの重みで想定している入力サイズとアーチファクト付き画像のサイズとを比較し(S15)、ネットワークの重みで想定している入力サイズが、アーチファクト付き画像のサイズよりも小さいと判定すると(S15:YES)、アーチファクト付き画像を、ネットワークの重みで想定している入力サイズで分割する(S16)。その後、アーチファクト付き画像をCNNに入力してアーチファクトを除去する(S17)。一方、ネットワークの重みで想定している入力サイズが、アーチファクト付き画像のサイズよりも小さくないと判定すると(S15:NO)、そのままアーチファクト付き画像をCNNに入力してアーチファクトを除去する(S17)。
次いで、ネットワークの重みで想定している入力サイズとアーチファクト付き画像のサイズとを比較し(S18)、ネットワークの重みで想定している入力サイズが、アーチファクト付き画像のサイズよりも小さいと判定すると(S18:YES)、その分割したアーチファクト付き画像を再結合し(S19)、アーチファクト除去画像を生成する(S20)。一方、ネットワークの重みで想定している入力サイズが、アーチファクト付き画像のサイズよりも小さくないと判定すると(S15:NO)、そのままアーチファクト除去画像を生成する(S20)。
【0016】
(イ)応用フローチャート
応用フローチャートについて
図9から
図14を参照して説明する。上記した基本フローチャートでは、分割によりマクロ的な情報が失われてしまい、大きな構造由来のアーチファクトには対応不能である。アーチファクトは画像を圧縮しても構造が維持されるので、コンピュータで処理可能なサイズまで圧縮することで大きな構造へ対応可能とする。圧縮したままでは細かな構造情報が消えてしまうので、次のステップでは1回目の圧縮よりも緩く圧縮する。即ち、元の画像のある軸方向のサイズが例えば256ピクセルであれば、最初のステップでは64ピクセルまで圧縮してCNNを適用し、次のステップでは128ピクセルまで圧縮して分割してCNNを適用する。それらの画像を組み合わせて処理することで、全体感と細部とを両立した処理が可能となる。この処理を多段階で適用することで、任意のサイズの画像にも対応可能となる。
【0017】
応用フローチャートは、学習フェーズと、全体補正NN学習フェーズと、適用フェーズとから構成される。学習フェーズは、
図9に示すように、上記した基本フローチャートで説明した学習フェーズと同じである。即ち、S21~S27は、上記した基本フローチャートのS1~S7と同じである。
【0018】
全体補正NN学習フェーズは、大きな構造に対応するための全体補正のフェーズである。
全体補正NN学習フェーズでは、
図10に示すように、1つ目のNNの入力想定画像のサイズよりも大きなサイズの画像を生成する。例えば1つ目のNNの想定サイズが64×64×64ピクセルのサイズであれば、各軸を4倍とする256×256×256ピクセルのサイズの画像を生成し(S31)、その生成した画像を正解画像とし(S32)、その正解画像を、実際の測定を模擬した投影シミュレーションにかけて投影画像を取得する(S33)。次いで、その取得した投影画像を、実測定と同様に再構成してX線CT画像を生成し(S34)、その生成したX線CT画像をアーチファクト付き画像として生成する(S35)。
【0019】
次いで、その生成したアーチファクト付き画像を64×64×64ピクセルのサイズの画像群に分割し(S36)、アーチファクト付き画像をCNNに入力してアーチファクトを除去する(S37)。又、最初に生成した256×256×256ピクセルのサイズの画像を同様に分割して正解画像とする(S38)。更に、その分割した画像を、32×32×32ピクセルのサイズに圧縮し(S39)、S37及びS39を入力データとすると共に、S38を正解データとしてCNNを学習させ(S40)、全体感補正のニューラルネットワークを取得する(S41)。
図11に全体補正NN学習フェーズの流れを概略的に示している。
【0020】
適用フェーズは、実際の画像に適用するフェーズである。適用フェーズでは、
図12及び
図13に示すように、最初の測定により取得したアーチファクト付き画像のサイズを調整する。例えばアーチファクト除去NNの入力が64×64×64ピクセルのサイズを想定していれば、各軸全てのサイズが64×2^N(^は、べき乗を示す)となるようにサイズを調整し(S51~S55)、サイズを調整した画像を取得する(S56)。例えば500×500×200ピクセルのサイズの画像を処理したい場合は、512×512×512ピクセルのサイズとなるように不足する部分を画素値「0」で埋める。次いで、サイズを調整した画像を64×64×64ピクセルのサイズに圧縮し(S57)、アーチファクト除去NNを適用する(S58)。
【0021】
次いで、ステップS55においてサイズを調整した画像を128×128×128ピクセルのサイズに圧縮し(S59)、その圧縮した画像を64×64×64ピクセルのサイズに8分割し(S60)、その8分割した画像群にアーチファクト除去NNを適用する(S61)。次いで、S58においてアーチファクト除去NNを適用した画像を32×32×32ピクセルのサイズに8分割し(S62)、それらを全体感補正NNに入力する(S63)。次いで、全体感補正NNにより取得した結果を結合し(S64)、128×128×128ピクセルのサイズの全体感及び細部の両方を復元した画像を生成する。この操作を画像のサイズが512×512×512ピクセルになるまで繰り返す。
【0022】
即ち、ステップS55においてサイズを調整した画像を256×256×256ピクセルのサイズに圧縮し(S65)、その圧縮した画像を64×64×64ピクセルのサイズに64分割し(S66)、その64分割した画像群にアーチファクト除去NNを適用する(S67)。次いで、S64において結合した画像を32×32×32ピクセルのサイズに64分割し(S68)、それらを全体感補正NNに入力する(S69)。次いで、全体感補正NNにより取得した結果を結合し(S70)、256×256×256ピクセルのサイズの全体感及び細部の両方を復元した画像を生成する。
【0023】
次いで、ステップS55においてサイズを調整した画像を64×64×64ピクセルのサイズに512分割し(S71)、その512分割した画像群にアーチファクト除去NNを適用する(S72)。次いで、S70において結合した画像を32×32×32ピクセルのサイズに512分割し(S73)、それらを全体感補正NNに入力する(S74)。次いで、全体感補正NNにより取得した結果を結合し(S75)、512×512×512ピクセルのサイズの全体感及び細部の両方を復元した画像を生成する。
【0024】
次いで、最初に「0」で埋めた部分を除去してサイズ調整し(S76)、元の500×500×200ピクセルのサイズのアーチファクトを除去した画像を取得する(S77)。本実施形態では4段階の場合を例示したが、元の画像のサイズが更に大きければ、5段階以上の段数にしても良いし、元の画像のサイズが小さければ、3段階以下の段数にしても良い。
図14に適用フェーズの流れを概略的に示している。
【0025】
図15は、測定対象物をBGA(Ball Grid Array)とした場合の元のX線CT画像を示し、
図16は、基本フローチャートによる処理後のX線CT画像を示し、
図17は、応用フローチャートによる処理後のX線CT画像を示している。
図16及び
図17では、
図15において出現していたアーチファクトが低減されており、アーチファクトが出現していた箇所が鮮明になっている。
図18は、測定対象物をQFN(Quad Flat Non-leaded package)とした場合の元のX線CT画像を示し、
図19は、基本フローチャートによる処理後のX線CT画像を示し、
図20は、応用フローチャートによる処理後のX線CT画像を示している。
図19及び
図20では、
図18において出現していたアーチファクトが低減されており、アーチファクトが出現していた箇所が鮮明になっている。このように上記した基本フローチャートによる処理を行うことで、アーチファクトを低減させることができ、更に応用フローチャートによる処理を行うことで、分割による格子ノイズを低減させることができ、アーチファクトが出現していた箇所を鮮明にすることができる。
【0026】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
X線CT画像を観察して測定対象物2を評価する際に、X線CT画像に対してCNNを適用し、X線CT画像に出現したアーチファクトを低減させるようにした。アーチファクトを低減させた状態でX線CT画像を観察することができ、三次元的な観察を適切に行うことができる。
【0027】
又、CNNの重み学習において、コンピュータで生成した三次元構造を投影シミュレーションして取得したデータを学習データとして使用するようにした。任意の三次元構造を使用することで、汎用性を高めることができる。
【0028】
X線CT画像の圧縮と分割とを繰り返し、X線CT画像に対してCNNを適用するようにした。圧縮と分割とを繰り返すことで、大きなサイズの画像にも対応することができる。又、X線CT画像の圧縮と分割とを繰り返す際に、オフセットさせて分割したX線CT画像を重み付けして結合させるようにした。分割と結合とによる画像の不連続性を補正することができる。
【0029】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0030】
図面中、1はX線源、2は測定対象物、4は検出器である。