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7643880磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
A61B5/055 311
A61B5/055 382
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021019748
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2021126518
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】16/790,792
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 美津恵
(72)【発明者】
【氏名】葛西 由守
【審査官】清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131664(JP,A)
【文献】国際公開第2014/163164(WO,A1)
【文献】特開2013-034549(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0204643(US,A1)
【文献】特開2017-077301(JP,A)
【文献】特開2001-252263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/00-33/64
G01N 24/00-24/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
k空間を複数のセグメントに分割しながら、タグパルスの印加ののち、収集を行うパルスシーケンスを実行するシーケンス制御部と
前記シーケンス制御部が実行した前記パルスシーケンスに基づいて画像を生成する生成部とを備え、
前記パルスシーケンスは、前記k空間の中心を繰り返し収集するパルスシーケンスであり、
前記シーケンス制御部は、前記タグパルスが印加される範囲を前記k空間の前記複数のセグメントごとに変化させながら前記パルスシーケンスを実行する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記シーケンス制御部は、前記タグパルスが印加される領域の幅を一定に保ったまま、前記タグパルスの印加が開始される位置を前記複数のセグメントごとに変化させながら前記パルスシーケンスを実行する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記シーケンス制御部は、前記タグパルスの印加が終了する位置を一定に保ったまま、前記タグパルスが印加される領域の幅を前記複数のセグメントごとに変化させながら前記パルスシーケンスを実行する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記シーケンス制御部は、3D UTE(Ultrashort TE)収集を前記収集として行う、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記シーケンス制御部は、Spiral収集またはStack Of Stars収集を行う、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記シーケンス制御部は、前記タグパルスが印加される範囲を、血管の走行方向と平行方向に変化させながら前記パルスシーケンスを実行する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記シーケンス制御部は、前記タグパルスを同時に複数の領域に印加し、前記複数の領域のうちのそれぞれごとに、異なった変化の仕方で、前記タグパルスが印加される領域を変化させる、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
ユーザからの入力を受け付ける入力装置を更に備え、
前記シーケンス制御部は、前記入力装置が前記ユーザから受け付けた入力に基づいて、前記タグパルスが印加される範囲を前記複数のセグメントごとに変化させながら前記パルスシーケンスを実行する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
磁気共鳴イメージング装置により実行される磁気共鳴イメージング方法であって、
k空間を複数のセグメントに分割しながら、タグパルスの印加ののち、収集を行うパルスシーケンスを実行し、
前記パルスシーケンスに基づいて画像を生成し、
前記パルスシーケンスは、前記k空間の中心を繰り返し収集するパルスシーケンスであり、
前記タグパルスが印加される範囲を前記k空間の前記複数のセグメントごとに変化させながら実行される、磁気共鳴イメージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングにおいて、3D UTE(Ultrashort TE)撮像法がある。3D UTE撮像法は、TEが短いために信号の感度が高いこと、k空間中心でオーバーサンプリングを行うため、比較的モーションアーチファクトに強いこと、また、感受率の影響を受けにくい等の特徴がある。
【0003】
ここで、血管を選択的にイメージングするためには、背景信号(及び脂肪信号)を抑制するのが望ましい。そこで、Time-SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)法を用いてタグパルスの印加を行い、3D UTE収集と、Time-SLIPのフローイン法を組み合わせることで、大動脈、腹部大動脈、末梢部位などを描出することができる。このように、3D UTE撮像とTime-SLIP法とを組み合わせると、背景信号を抑制しながら、3次元k空間データ収集を行うことができる。
【0004】
流速が比較的大きい血管の場合は、3D UTE収集とTime-SLIP法を組み合わせて血液の描出をすることは可能である。しかしながら、末梢部位のNC-MRA(Non-Contrast Magnetic Resonance Angiography)を行う場合のように、流速が比較的小さい血管の描出は、単純な3D UTE収集とTime-SLIP法の組み合わせでは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2017/0219672号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面の開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、流体を描出することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、シーケンス制御部と、生成部とを備える。シーケンス制御部は、k空間を複数のセグメントに分割しながら、タグパルスの印加ののち、収集を行うパルスシーケンスを実行する。生成部は、シーケンス制御回路が実行した前記パルスシーケンスに基づいて画像を生成する。
【0008】
当該パルスシーケンスは、前記k空間の中心を繰り返し収集するパルスシーケンスである。シーケンス制御部は、タグパルスが印加される範囲を複数のセグメントごとに変化させながらパルスシーケンスを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を示す図である。
図2A図2Aは、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う収集の例を示した図である。
図2B図2Bは、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う収集の例を示した図である。
図2C図2Cは、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う収集の例を示した図である。
図3A図3Aは、実施形態に係るシーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスについて説明した図である。
図3B図3Bは、実施形態に係るシーケケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスについて説明した図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理について説明したフローチャートである。
図5A図5Aは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理について説明した図である。
図5B図5Bは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理について説明した図である。
図6図6は、第1の実施形態においてタグパルスが印加される領域について説明した図である。
図7A図7Aは、第1の実施形態においてタグパルスが印加される領域について説明した図である。
図7B図7Bは、第1の実施形態においてタグパルスが印加される領域について説明した図である。
図8A図8Aは、第1の実施形態においてタグパルスが印加される領域について説明した図である。
図8B図8Bは、第1の実施形態においてタグパルスが印加される領域について説明した図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置に係るGUI(Graphical User Interface)の一例について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法の実施形態について詳細に説明する。ここで、互いに同じ構成には共通の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100を示すブロック図である。図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源(図示しない)と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御回路106と、送信コイル107と、送信回路108と、受信コイル109と、受信回路110と、シーケンス制御回路120(シーケンス制御部)と、画像処理装置130とを備える。なお、磁気共鳴イメージング装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御回路120及び画像処理装置130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。
【0012】
静磁場磁石101は、中空の略円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源は、静磁場磁石101に電流を供給する。別の例として、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場電源を備えなくてもよい。また、静磁場電源は、磁気共鳴イメージング装置100とは別に備えられてもよい。
【0013】
傾斜磁場コイル103は、中空の略円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びリードアウト用傾斜磁場Grである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
【0014】
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御回路106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御回路106は、画像処理装置130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0015】
送信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信回路108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信回路108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア(Larmor)周波数に対応するRFパルスを送信コイル107に供給する。
【0016】
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、必要に応じて、「MR信号」と呼ぶ)を受信する。受信コイル109は、磁気共鳴信号を受信すると、受信した磁気共鳴信号を受信回路110へ出力する。
【0017】
なお、上述した送信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
【0018】
受信回路110は、受信コイル109から出力される磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成する。具体的には、受信回路110は、受信コイル109から出力される磁気共鳴信号をデジタル変換することによって磁気共鳴データを生成する。また、受信回路110は、生成した磁気共鳴データをシーケンス制御回路120へ送信する。なお、受信回路110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
【0019】
シーケンス制御回路120は、画像処理装置130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路108が送信コイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路110が磁気共鳴信号を検出するタイミング等が定義される。例えば、シーケンス制御回路120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。なお、シーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスの詳細については、後述する。
【0020】
さらに、シーケンス制御回路120は、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路110から磁気共鳴データを受信すると、受信した磁気共鳴データを画像処理装置130へ転送する。
【0021】
画像処理装置130は、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。画像処理装置130は、メモリ132、入力装置134、ディスプレイ135、処理回路150を備える。処理回路150は、インタフェース機能131、制御機能133、生成機能136を備える。
【0022】
第1の実施形態では、インタフェース機能131、制御機能133、生成機能136にて行われる各処理機能は、コンピューターによって実行可能なプログラムの形態でメモリ132へ記憶されている。処理回路150はプログラムをメモリ132から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することになる。なお、図1においては単一の処理回路150にて、インタフェース機能131、制御機能133、生成機能136、にて行われる処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路150が各プログラムを実行する場合であってもよい。別の例として、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。なお、図1において、インタフェース機能131、制御機能133、生成機能136は、それぞれ受付部、制御部、生成部、解析部の一例である。また、シーケンス制御回路120は、シーケンス制御部の一例である。
【0023】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ132に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0024】
また、メモリ132にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、寝台制御回路106、送信回路108、受信回路110等も同様に、上記のプロセッサ等の電子回路により構成される。
【0025】
処理回路150は、インタフェース機能131により、シーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信し、シーケンス制御回路120から磁気共鳴データを受信する。また、磁気共鳴データを受信すると、インタフェース機能131を有する処理回路150は、受信した磁気共鳴データをメモリ132に格納する。
【0026】
メモリ132に格納された磁気共鳴データは、制御機能133によってk空間に配置される。この結果、メモリ132は、k空間データを記憶する。
【0027】
メモリ132は、インタフェース機能131を有する処理回路150によって受信された磁気共鳴データや、制御機能133を有する処理回路150によってk空間に配置されたk空間データ、生成機能136を有する処理回路150によって生成された画像データ等を記憶する。例えば、メモリ132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
【0028】
入力装置134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力装置134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。ディスプレイ135は、制御機能133を有する処理回路150による制御の下、撮像条件の入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、生成機能136を有する処理回路150によって生成された画像等を表示する。ディスプレイ135は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
【0029】
処理回路150は、制御機能133により、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、制御機能133を有する処理回路150は、撮像条件(撮像パラメータ等)の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、制御機能133を有する処理回路150は、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信する。
【0030】
処理回路150は、生成機能136により、k空間データをメモリ132から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。
【0031】
続いて、実施形態に係る背景について簡単に説明する。
【0032】
磁気共鳴イメージングにおいて、3D UTE(Ultrashort TE)撮像法がある。3D UTE撮像法は、TEが短いために信号の感度が高いこと、k空間中心でオーバーサンプリングを行うため、比較的モーションアーチファクトに強いこと、また、感受率の影響を受けにくい等の特徴がある。
【0033】
ここで、血管を選択的にイメージングするためには、背景信号(及び脂肪信号)を抑制するのが望ましい。そこで、Time-SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)法を用いてタグパルスの印加を行い、3D UTE収集と、Time-SLIPのフローイン法を組み合わせることで、大動脈、腹部大動脈、末梢部位などを描出することができる。このように、3D UTE撮像とTime-SLIP法とを組み合わせると、背景信号を抑制しながら、3次元k空間データ収集を行うことができる。
【0034】
ここで、流速が比較的大きい血管の場合は、3D UTE収集とTime-SLIP法を組み合わせて血管の描出をすることは可能である。しかしながら、末梢部位のNC-MRA(Non-Contrast Magnetic Resonance Angiography)を行う場合のように、流速が比較的小さい血管の描出は、単純な3D UTE収集とTime-SLIP法の組み合わせでは難しかった。
【0035】
従って、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、k空間を複数のセグメントに分割しながら、タグパルスの印加ののち、k空間の中心を繰り返し収集しながら収集を行うパルスシーケンスを実行する。ここで、シーケンス制御回路120は、タグパルスが印加される範囲を複数のセグメントごとに変化させながらパルスシーケンスを実行する。
【0036】
これにより、流れが遅く、従来法では描出が難しかった部位等についても、血管を効果的に描出することができる。
【0037】
かかる構成について、図2A図9を用いて説明する。
【0038】
実施形態において、シーケンス制御回路120は、k空間の中心を繰り返し収集しながら収集を行うパルスシーケンスを実行する。k空間の中心を繰り返し収集しながら行われるこれらの収集の例が、図2A図2B図2Cに示されている。図2A図2B図2Cは、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が行う収集の例を示した図である。具体的には、図2Aは、3次元Spherical収集の例であり、図2Bは、spiral収集の例であり、図2Cは、stack-of-star収集の例である。なお、シーケンス制御回路120は、3次元UTE撮像を行う場合、図2Aに示される3次元spherical収集を用いて収集を行う。
【0039】
図2Aは、3次元spherical収集の場合を示している。シーケンス制御回路120は、3次元UTE収集を行う場合、図2Aのように3次元spherical収集を行い、収集がk空間の中心から外側へ向かって行われるcenter-outの収集を行う。ライン10a、10b、10cなどに、それら1ラインの収集がしめされている。また、シーケンス制御回路120は、例えばPETRA(Pointwise Encoding Time Reduction with Radial Acquisition)シーケンス等を用いて、k空間の中心部分に対してCartesianサンプリングを行って追加的な収集を行ってもよい。
【0040】
図2Bは、spiral収集の場合を示す。シーケンス制御回路120は、spiral収集を行う場合、2次元面内をspiral収集で行い、当該2次元面内と垂直方向(k方向)の異なる位置でk空間データを順番に収集することにより3次元k空間データの収集を行う。面40a、40b、40cは、それらの2次元のスタックをあらわす。シーケンス制御回路120は、一つの2次元面内を、例えば、渦巻き41または42に沿って、k空間の中心から外側へ向かって、center-outの収集を行う。
【0041】
図2Cは、stack-of-star収集の場合を示す。シーケンス制御回路120は、stack-of-star収集を行う場合、2次元面内をラジアル収集で行い、当該2次元面内と垂直方向(k方向)の異なる位置でk空間データを順番に収集することにより3次元k空間データの収集を行う。面43a、43b、43c、43d、43e、43f、43g、43hは、それらの2次元のスタックをあらわす。シーケンス制御回路120は、一つの2次元面内を、例えば、一つのラインに沿って、k空間の外側から始まりk空間の中心を通り、再びk空間の外側へ向かう、out-center-outの収集を行う。ライン44a、44b、44c、44d、44e等が、それらそれぞれの1ラインを示している。
【0042】
実施形態では、シーケンス制御回路120は、例えば3次元UTE撮像など、k空間の中心を繰り返し収集しながら行う収集と、Time-SLIP法など、タグパルスの印加を用いて背景信号の抑制を行う方法を組み合わせたパルスシーケンスを実行する。図3Aを用いて、シーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスの全体像を説明する。
【0043】
はじめに、シーケンス制御回路120は、タグパルス11を印加する。ここで、シーケンス制御回路120は、タグパルスが印加される範囲を、複数のセグメントごとに変化させながら、タグパルスを印加するが、これらの処理については後述する。なお、図3Aは、パルスシーケンスのうち、タグパルスの印加1個当たりの繰り返し部分について説明しており、タグパルスが印加されるたびに、同様のパルスシーケンスが繰り返される。
【0044】
続いて、シーケンス制御回路120は、タグパルス11の印加後に、必要に応じて、静脈抑制パルス12を印加する。その後、シーケンス制御回路120は、データ収集時間16において、収集シーケンス15を実行する。一例として、シーケンス制御回路120は、データ収集時間16において、3D UTEシーケンスを、収集シーケンス15として実行する。一例として、シーケンス制御回路120は、ハーフパルスを印加したのち、所定の傾斜磁場の組み合わせを印加することでグラジエントエコーを発生されるパルスシーケンスを3D UTEシーケンスとして実行する。
【0045】
なお、図3Aにおいて、mは、脂肪抑制ループであり、シーケンス制御回路120が、脂肪抑制パルス13及びスポイラー14を印加したのち、異なるk空間セグメントに係る収集シーケンス15をm回繰り返す。また、nは、タグループであり、すなわち、シーケンス制御回路120は、一つのタグパルス11あたり、n×m個の異なるk空間セグメントについて、収集シーケンス15を実行する。シーケンス制御回路120は、これらの処理を複数のタグパルスについて実行する。このようにして、シーケンス制御回路120は、k空間を複数のセグメントに分割しながら、タグパルス11の印加ののち、収集シーケンス15により収集を行うパルスシーケンスを実行する。
【0046】
なお、タグパルスの位置を固定して、k空間のセグメントすべてについての収集を行った場合、当該タグパルスの位置に係る通常のk空間データを得ることができる。
【0047】
続いて、図3Bを用いて、タグパルスの印加による信号値の影響について説明する。図3Bにおいて、曲線17は、タグパルス11が印加されている領域以外の領域における縦磁化の振る舞いをあらわし、曲線18は、タグパルス11が印加された時刻においてタグパルス11が印加されている領域に存在したスピンの縦磁化の振る舞いをあらわしている。曲線17によって示されるように、タグパルス11が印加された時刻においてタグパルス11が印加された領域に存在しないスピンの縦磁化は変化しない。一方で、曲線18によって示されるように、タグパルス11が印加された領域に存在したスピンの縦磁化は、タグパルス11によって反転され、その後ゆるやかに緩和する。この縦磁化がゼロとなる点であるヌルポイント20でシーケンス制御回路120が収集シーケンスを実行すると、タグパルス11が印加された時刻にタグパルス11が印加された領域に存在し、収集が行われた時刻(データ収集時間16)でイメージング領域に存在するスピンの縦磁化の信号を抑制することができる。このようにして、タグパルスの印加を受けたスピンと、そうでないスピンとの間にコントラストが生じるので、これを利用することができる。
【0048】
なお、シーケンス制御回路120が印加するタグパルスのパターンには、いくつかのバリエーションが存在する。例えば、領域選択タグパルスのみを印加するフローイン法、領域選択タグパルス及び領域非選択パルスを印加するフローアウト法、領域選択タグパルスを印加する撮像と領域選択タグパルスを印加しない撮像との合計2回の撮像を行ってそれらの間で差分処理を行うタグオン/タグオフ法など、さまざまな方法がある。
【0049】
図4は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理について説明したフローチャートである。
【0050】
はじめに、ステップS100において、シーケンス制御回路120は、パルスシーケンスの実行において、タグパルス11が印加される範囲を、複数のセグメントごとに変化させながら、タグパルスを印加する。
【0051】
一例として、シーケンス制御回路120は、タグパルス11が印加される領域の幅を一定に保ったまま、タグパルスの印加が開始される位置を複数のセグメントごとに変化させながらパルスシーケンスを実行する。
【0052】
かかる例が図5Aに示されている。シーケンス制御回路120は、第1のタグパルスを、開始位置2aから終了位置3aまでの長方形領域である領域1aに、第2のタグパルスを、開始位置2bから終了位置3bまでの長方形領域である領域1bに、第3のタグパルスを、開始位置2cから終了位置3cまでの長方形領域である領域1cに、第4のタグパルスを、開始位置2dから終了位置3dまでの長方形領域である領域1dに、第5のタグパルスを、開始位置2eから終了位置3eまでの長方形領域である領域1eに、印加する。このように、シーケンス制御回路120は、収集が行われるセグメントごとに、少しずつタグパルスの印加領域を平行移動させながら、タグパルスを印加する。
【0053】
このように、シーケンス制御回路120が、タグパルスを印加される領域を、複数のセグメントごとに変化させながら、タグパルスを印加する理由は以下の通りである。
【0054】
すなわち、タグパルスを印加する範囲の移動は、すべてのk空間データの収集が行ったあとに行うのが通常である。すなわち、ある領域でタグパルスを印加して、k空間のすべてのセグメントに係るデータを収集し、すべてのk空間データのセグメントに係るデータを収集したのち、タグパルスの印加領域を変化させる、との操作を繰り返せば、血液の流れに関する情報を得ることができる。しかしながら、3次元収集は一般に撮像時間がかかるので、k空間のすべてのセグメントのデータが出そろうのを待ってからタグパルスの印加領域を変化させるのでは、血液の流れが早い場合しか十分な描出ができず、血液の流れが遅い場合に描出が不十分となる。従って、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100においては、タグパルスを印加される領域を、複数のセグメントごとに変化させる。このことにより、撮像のターゲットの動きが遅い場合にも、例えば動脈、静脈、CSF、膵液などの動きのある流体に対して、十分なインフロー効果を得ることができる。
【0055】
なお、シーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスが、例えばCartesianサンプリングによりk空間データを収集するパルスシーケンスである場合、タグパルスを印加される領域を、複数のセグメントごとに変化させると、誤差が増大することが予想されるが、実施形態においては、シーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスが、k空間の中心を繰り返し収集するタイプのパルスシーケンスであるため、誤差が増大しにくく、従ってこのような処理が正当化される。
【0056】
図4に戻り、ステップS110において、シーケンス制御回路120は、静脈抑制パルス12を印加する。
【0057】
続いて、ステップS120において、シーケンス制御回路120は、脂肪抑制パルス13を印加後、3D UTE撮像シーケンスなどの収集シーケンス15を実行して、ヌルポイント20を含むデータ収集時間16においてk空間データを収集する。なお、図3Aに示されるパルスシーケンスの場合、脂肪抑制ループがmであり、タグループがnであるから、脂肪抑制パルス13の1回の印加あたり、収集シーケンス15の実行がm回繰り返され、タグパルス11の1回の印加あたり、脂肪抑制パルス13の印加及び続く脂肪抑制ループが、n回繰り返される。また、図5Aの場合、タグ分割数が「5」であり、5つのタグパルスの印加が1セットとなり、これらが複数セット、異なるk空間についてさらに繰り返される。
【0058】
なお、タグパルス11の印加領域が図5Aで示される領域の場合、図5Bのイメージング領域21が、典型的なイメージング領域となる。
【0059】
続いて、ステップS130において、処理回路150は、生成機能136により、ステップS100~120においてシーケンス制御回路120が実行したパルスシーケンスに基づいて、磁気共鳴画像を生成する。
【0060】
なお、ステップS100において、シーケンス制御回路120は、タグパルス11が印加される範囲を、血管の走行方向と平行方向に変化させながらパルスシーケンスを実行すると、血液の流れを効率的に描出することができる。例えば、血管4の走行方向が図6に示されているような走行方向であった場合、シーケンス制御回路120は、タグパルス11が印加される範囲を、領域3a、3b、3c、3d、3eのように変化させていくとよい。
【0061】
また、ステップS100において、タグパルスが印加される領域の変化のさせかたのバリエーションの別の例として、シーケンス制御回路120は、タグパルス11の印加が終了する(または開始する)位置を一定に保ったまま、タグパルス11が印加される領域の幅を複数のセグメントごとに変化させながらパルスシーケンスを実行してもよい。例えば、図7Aに示されているように、シーケンス制御回路120は、タグパルス11の印加が終了する位置51を一定に保ったまま、タグパルス11の開始位置が位置50aであるような第1のタグパルス5a、タグパルス11の開始位置が位置50bであるような第2のタグパルス5b、タグパルス11の開始位置が位置50cであるような第3のタグパルス5c、タグパルス11の開始位置が位置50dであるような第4のタグパルス5dといった具合に、タグパルス11が印加される領域の幅を複数のセグメントごとに狭めながらパルスシーケンスを実行してもよい。タグパルスが印加される領域をこのように変化させることで、タグパルス11の印加が終了する位置が固定されているために、最終的な画質が安定する場合がある。
【0062】
また、血管の走行方向が斜めであった場合において、タグパルスが印加される領域を変化させる方向を血管の走行方向に対して最適化してもよいのも、このようなタグパルスが印加される領域の変化の仕方の場合でも同様である。例えば、血管4の走行方向が図7Bに示されるものであった場合、シーケンス制御回路120は、タグパルス11が印加される範囲を、血管の走行方向と平行方向に変化させながらパルスシーケンスを実行する。例えば、シーケンス制御回路120は、タグパルス11の印加が終了する位置61を一定に保ったまま、タグパルス11の開始位置が位置60aであるような第1のタグパルス6a、タグパルス11の開始位置が位置60bであるような第2のタグパルス6b、タグパルス11の開始位置が位置60cであるような第3のタグパルス6c、タグパルス11の開始位置が位置60dであるような第4のタグパルス6dといった具合に、タグパルス11が印加される領域の幅を複数のセグメントごとに狭めながらパルスシーケンスを実行する。
【0063】
また、応用例として、シーケンス制御回路120はタグパルスを同時に複数の領域に印加してもよく、さらに、シーケンス制御回路120当該複数の領域のうちのそれぞれごとに、異なった変化の仕方で、タグパルス11が印加される領域を変化させてもよい。
【0064】
一例として、図8Aに示すように、シーケンス制御回路120は、第1のタグパルスを、開始位置2aから終了位置3aまでの領域である領域1aと、開始位置8aから終了位置9aまでの領域である領域7aとに、第2のタグパルスを、開始位置2bから終了位置3bまでの領域である領域1bと、開始位置8bから終了位置9bまでの領域である領域7bとに、第3のタグパルスを、開始位置2cから終了位置3cまでの領域である領域1cと、開始位置8cから終了位置9cまでの領域である領域7cとに、第4のタグパルスを、開始位置2dから終了位置3dまでの領域である領域1dと、開始位置8dから終了位置9dまでの領域である領域7dとに、印加する。この際、シーケンス制御回路120は、同時に印加される複数の領域のそれぞれごとに、タグパルスの開始位置が変化する幅を異ならせる。このことにより、シーケンス制御回路120は、撮像を撮像対象にあわせて最適化することができる。
【0065】
同様に、図8Bに示すように、タグパルス11の印加が終了する位置2e及び8eを一定に保ったまま、タグパルス11の開始位置がそれぞれ位置3e及び位置9eであるような複数のタグパルスを第1のタグパルス1i及び7eとして、タグパルス11の開始位置がそれぞれ位置3f及び位置9fであるような複数のタグパルスを第2のタグパルス1f及び7fとして、タグパルス11の開始位置がそれぞれ位置3g及び位置9gであるような複数のタグパルスを第3のタグパルス1g及び7gとして、タグパルス11の開始位置がそれぞれ位置3h及び位置9hであるような複数のタグパルスを第4のタグパルス1p及び7hとして、タグパルス11が印加される領域の幅を複数のセグメントごとに変化させながらパルスシーケンスを実行してもよい。
【0066】
図9に、実施形態に係るGUIの一例を示している。処理回路150は、制御機能133により、ユーザからの入力を受け付ける入力装置134を通じて、ボタン30及びボタン31を通じて、タグパルス11の印加が、タグパルス11が印加される領域の幅を一定に保ったままタグパルスの印加が開始される位置がセグメントごとに変化される単純スライディングモードか、タグパルス11の印加が終了する位置を一定に保ったまま、タグパルス11が印加される領域の幅がセグメントごとに変化するvariable slice thicknessモードかの選択を受け付ける。
【0067】
ユーザがボタン30をクリックして単純スライディングモードを選択した場合、処理回路150は、制御機能133により、入力装置を通じて、ボタン32a及び32bによりタグ分割数の変更を、ボタン32c及び32dにより初期タグスライス位置の変更を、ボタン32e及び32fによりスライス厚の変更を、ボタン32g及び32hにより、各タグでのタグの移動距離の変更を受け付け、受け付けた設定に基づきタグパルスの設定を行い、設定結果をディスプレイ135の表示領域1に表示させる。例えば、タグ分割数が「5」であり、初期タグスライス位置が「30cm」であり、スライス厚が「30cm」であり、タグ移動距離が「5cm」であった場合、シーケンス制御回路120は、第1のタグパルスを、「0cm~30cm」の位置に印加し、第2のタグパルスを「-5cm~25cm」の位置に印加し、第3のタグパルスを「-10cm~20cm」の位置に印加し、第4のタグパルスを「-15cm~15cm」の位置に印加し、第5のタグパルスを、「-20cm~10cm」の位置に印加する。
【0068】
また、ユーザがボタン31をクリックしてVariable Slice thicknessモードを選択した場合、処理回路150は、制御機能133により、入力装置を通じて、ボタン33a及び33bによりタグ分割数の変更を、ボタン33c及び33dにより初期タグスライス位置の変更を、ボタン33e及び33fにより初期スライス厚の変更を、ボタン33g及び33hにより、スライス厚の減少幅の変更を受け付け、受け付けた設定に基づきタグパルスの設定を行い、設定結果をディスプレイ135の表示領域5に表示させる。例えば、タグ分割数が「5」であり、初期タグスライス位置が「30cm」であり、初期スライス厚が「30cm」であり、スライス厚減少が「3cm」であった場合、シーケンス制御回路120は、第1のタグパルスを、「0cm~30cm」の位置に印加し、第2のタグパルスを「0cm~27cm」の位置に印加し、第3のタグパルスを「0cm~24cm」の位置に印加し、第4のタグパルスを「0cm~21cm」の位置に印加し、第5のタグパルスを「0cm~18cm」の位置に印加する。
【0069】
また、処理回路150は、制御機能133により、入力装置134を通じて、ボタン34a及び34bにより撮像全体のライン数の変更を、ボタン34c及び34dにより、1セットのタグパルス全体で撮像が行われるセグメント数(またはライン数)の変更を受け付ける。また、処理回路150は、制御機能133により、1セットのタグパルス全体で撮像が行われるセグメント数と、タグ分割数とに基づいて、一つのタグパルスの撮像に係るセグメント数(またはライン数)を計算し、計算結果を表示領域35に表示する。例えば、1セットのタグパルス全体で撮像が行われるセグメント数が200であり、タグ分割数が5であった場合、一つのタグパルスの撮像に係るセグメント数は、200/5=40となる。
【0070】
また、処理回路150は、制御機能133により、入力装置134を通じて、タグパルスの印加領域の変更を受けつけることができる。例えば、処理回路150は、制御機能133により、入力装置134を通じて、ボタン36a、36b、36c、36d、36e、36f、36g、36h、37c、37d、37eによりタグパルスの印加領域の変更を、ボタン37a、37bによりタグパルスの印加領域の拡大縮小を、ボタン37f、37g、37hによりタグパルスの印加方向の設定(タグパルスの印加領域の回転操作)を受け付けることができる。
【0071】
このようなGUIにより、シーケンス制御回路120は、入力装置134がユーザから受け付けた入力に基づいて、タグパルス11が印加される範囲を複数のセグメントごとに変化させながらパルスシーケンスを実行することができる。
【0072】
(プログラム)
また、上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用コンピューターが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態の磁気共鳴イメージング装置100による効果と同様の効果を得ることも可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピューターに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピューター又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピューターは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態の磁気共鳴イメージング装置100と同様の動作を実現することができる。また、コンピューターがプログラムを取得する場合又は読み込む場合は、ネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
【0073】
また、記憶媒体からコンピューターや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピューター上で稼働しているOS(Operating System)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(Middleware)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。更に、記憶媒体は、コンピューターあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0074】
なお、実施形態におけるコンピューター又は組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。また、実施形態におけるコンピューターとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0075】
以上述べた少なくとも一つの実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置によれば、血液などの流体を効果的に描出することができる。
【0076】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、流体を描出することができる。
【0077】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0078】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
【0079】
(付記1)
本発明の一つの側面において提供される磁気共鳴イメージング装置は、シーケンス制御部と、生成部とを備える。シーケンス制御部は、k空間を複数のセグメントに分割しながら、タグパルスの印加ののち、収集を行うパルスシーケンスを実行する。生成部は、前記シーケンス制御部が実行した前記パルスシーケンスに基づいて画像を生成する。前記パルスシーケンスは、前記k空間の中心を繰り返し収集するパルスシーケンスであり、前記シーケンス制御部は、前記タグパルスが印加される範囲を前記複数のセグメントごとに変化させながら前記パルスシーケンスを実行する。
【0080】
(付記2)
前記シーケンス制御部は、前記タグパルスが印加される領域の幅を一定に保ったまま、前記タグパルスの印加が開始される位置を前記複数のセグメントごとに変化させながら前記パルスシーケンスを実行してもよい。
【0081】
(付記3)
前記シーケンス制御部は、前記タグパルスの印加が終了する位置を一定に保ったまま、前記タグパルスが印加される領域の幅を前記複数のセグメントごとに変化させながら前記パルスシーケンスを実行してもよい。
【0082】
(付記4)
前記シーケンス制御部は、3D UTE(Ultrashort TE)収集を前記収集として行ってもよい。
【0083】
(付記5)
前記シーケンス制御部は、Spiral収集またはStack Of Stars収集を行ってもよい。
【0084】
(付記6)
前記シーケンス制御部は、前記タグパルスが印加される範囲を、血管の走行方向と平行方向に変化させながら前記パルスシーケンスを実行してもよい。
【0085】
(付記7)
前記シーケンス制御部は、前記タグパルスを同時に複数の領域に印加し、前記複数の領域のうちのそれぞれごとに、異なった変化の仕方で、前記タグパルスが印加される領域を変化させてもよい。
【0086】
(付記8)
ユーザからの入力を受け付ける入力装置を更に備え、
前記シーケンス制御部は、前記入力装置が前記ユーザから受け付けた入力に基づいて、前記タグパルスが印加される範囲を前記複数のセグメントごとに変化させながら前記パルスシーケンスを実行してもよい。
【0087】
(付記9)
本発明の一つの側面において提供される磁気共鳴イメージング方法は、磁気共鳴イメージング装置により実行される磁気共鳴イメージング方法であって、k空間を複数のセグメントに分割しながら、タグパルスの印加ののち、収集を行うパルスシーケンスを実行し、前記パルスシーケンスに基づいて画像を生成する。前記パルスシーケンスは、前記k空間の中心を繰り返し収集するパルスシーケンスであり、前記タグパルスが印加される範囲を前記複数のセグメントごとに変化させながら実行される。
【符号の説明】
【0088】
120 シーケンス制御回路
130 画像処理装置
131 インタフェース機能
133 制御機能
136 生成機能
150 処理回路
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9