(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置、取付位置出力方法、および取付位置出力プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 390
A61B5/055 350
(21)【出願番号】P 2021022262
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大武 史康
(72)【発明者】
【氏名】川尻 将
【審査官】嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-183525(JP,A)
【文献】特開2009-183689(JP,A)
【文献】特開2018-008046(JP,A)
【文献】特開2014-004364(JP,A)
【文献】特開2013-248402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被検者の体型、前記第1被検者の姿勢、前記第1被検者の位置、前記第1被検者に取り付けられた第1RF(Radio Frequency)コイルの取付位置、前記第1RFコイルの種類、前記第1RFコイルの識別情報、およびスキャン部位の少なくとも一つに応じて分類された複数の統計情報を記憶する記憶回路と、
光学撮影装置により撮影された
第2被検者の画像から、前記
第2被検者
の体型、前記第2被検者の姿勢、および前記第2被検者の位置のうちなくとも一つを示す第1情報、および
、前記
第2被検者に取り付けられた
第2R
Fコイル
の取付位置、前記第2RFコイルの種類、前記第2RFコイルの識別情報、およびスキャン部位の少なくとも一つを示す第2情報の少なくとも一
方を取得する取得部と、
前記第1情報が取得された場合には、前記第1情報に対応する統計情報を
前記記憶回路から選択
し、前記第2情報が取得された場合には、前記第2情報に対応する統計情報を前記記憶回路から選択する選択部と、
選択された前記統計情報に
基づいて、前記第2被検者に対する前記第2RFコイルの取付
方法に関する画像を出力させる出力制御部と、
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記
第2被検者をスキャンするためのスキャン条件を取得し、
前記選択部は、
更に、前記スキャン条件に
対応する統計情報を
前記記憶回路から選択する、
請求項
1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記スキャン条件として、スキャン部位、前記
第2RFコイルの種類、および前記
第2RFコイルの識別情報の少なくとも一つを示す情報を取得し、
前記選択部は、前記統計情報として、前記スキャン部位、前記
第2RFコイルの種類、および前記
第2RFコイルの識別情報の少なくとも一つを示す情報に対応する統計情報を選択する、
請求項
2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記統計情報に対応する前記
第2RFコイルの取付
方法に関する画像を表示部に表示させる、
請求項1~
3のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記出力制御部は、前記統計情報に対応する前記
第2RFコイルの取付
方法に関する画像を、前記
第2被検者の画像、または、人体の模式画像に重畳表示させる、
請求項
4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記出力制御部は、
前記統計情報として前記第1RFコイルの取付位置が選択された場合に、前記
第2RFコイルが前記
第1RFコイルの取付位置に取り付けられた旨を示す情報を報知する、
請求項1~
5のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記選択部は、前記
第1情報に基づいて、
前記第1被検者の位置として前記
第1被検者を載置させる載置位置の統計情報を選択し、
前記出力制御部は、前記
第2RFコイルの取付
方法に関する画像として、前記載置位置
を示す画像を出力する、
請求項1~
6のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記出力制御部は、前記
第2被検者が前記載置位置に載置された旨を示す情報を報知する、
請求項
7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記出力制御部は、前記
第2被検者が前記載置位置に載置された場合に、または、操作者からの指示を受け付けた場合に、前記載置位置を非表示とする、
請求項
7または
8に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記選択部は、前記
第2被検者に対して複数の
第2RFコイルが取り付けられる場合には、前記複数の
第2RFコイルの相対位置を含む統計情報を選択し、
前記出力制御部は、前記相対位置に基づいて、前記
第2被検者に対して複数の
第2RFコイルが取り付けられる複数の取付
方法に関する画像を出力させる、
請求項1~
9のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記出力制御部は、前記
第2被検者が載置される寝台の天板に対して、前記
第2RFコイルの取付
方法に関する画像を出力する、
請求項1~
10のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記画像に基づいて、前記統計情報を生成する生成部を更に備える、
請求項1~
11のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記生成部は、前記
第2被検者が横臥した天板がボアに挿入される直前に撮影された画像、または、スキャン後に前記ボアから前記
第2被検者が横臥した天板が排出された時に撮影された画像に基づいて、前記統計情報を生成する、
請求項
12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
光学撮影装置により撮影された
第2被検者の画像から、前記
第2被検者
の体型、前記第2被検者の姿勢、および前記第2被検者の位置のうちなくとも一つを示す第1情報、および
、前記
第2被検者に取り付けられた
第2RF(Radio Frequency)コイル
の取付位置、前記第2RFコイルの種類、前記第2RFコイルの識別情報、およびスキャン部位の少なくとも一つを示す第2情報の少なくとも一
方を取得し、
前記第1情報が取得された場合には、前記第1情報に対応する統計情報を
、第1被検者の体型、前記第1被検者の姿勢、前記第1被検者の位置、前記第1被検者に取り付けられた第1RF(Radio Frequency)コイルの取付位置、前記第1RFコイルの種類、前記第1RFコイルの識別情報、およびスキャン部位の少なくとも一つに応じて分類された複数の統計情報を記憶する記憶回路から選択し、
前記第2情報が取得された場合には、前記第2情報に対応する統計情報を前記記憶回路から選択し、
選択された前記統計情報に
基づいて、前記第2被検者に対する前記第2RFコイルの取付
方法に関する画像を出力させる、
ことを含む、取付位置出力方法。
【請求項15】
光学撮影装置により撮影された
第2被検者の画像から、前記
第2被検者
の体型、前記第2被検者の姿勢、および前記第2被検者の位置のうちなくとも一つを示す第1情報、および
、前記
第2被検者に取り付けられた
第2RF(Radio Frequency)コイル
の取付位置、前記第2RFコイルの種類、前記第2RFコイルの識別情報、およびスキャン部位の少なくとも一つを示す第2情報の少なくとも一
方を取得し、
前記第1情報が取得された場合には、前記第1情報に対応する統計情報を
、第1被検者の体型、前記第1被検者の姿勢、前記第1被検者の位置、前記第1被検者に取り付けられた第1RF(Radio Frequency)コイルの取付位置、前記第1RFコイルの種類、前記第1RFコイルの識別情報、およびスキャン部位の少なくとも一つに応じて分類された複数の統計情報を記憶する記憶回路から選択し、
前記第2情報が取得された場合には、前記第2情報に対応する統計情報を前記記憶回路から選択し、
選択された前記統計情報に
基づいて、前記第2被検者に対する前記第2RFコイルの取付
方法に関する画像を出力させる、
各処理をコンピュータに実行させる、取付位置出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置、取付位置出力方法、および取付位置出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置を用いた検査では、磁気共鳴信号を受信するRFコイルを被検者の付近に配置して、撮像が行われる。例えば、天板に載置された被検者にRFコイルを取り付けて、撮像が行われる。このような撮像では、被検者に取り付けられたRFコイルの位置によって、撮像によって得られる画像の品質に影響が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-039519号公報
【文献】特開2018-183525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、撮像の再現性を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、取得部と、選択部と、出力制御部とを備える。取得部は、光学撮影装置により撮影された被検者の画像から、前記被検者および前記被検者に取り付けられたRF(Radio Frequency)コイルの少なくとも一方に関する画像関連情報を取得する。選択部は、前記画像関連情報に基づいて、RFコイルの取付位置の統計情報を選択する。出力制御部は、前記統計情報に対応するRFコイルの取付位置を出力させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るMRI装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るカメラ画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る統計情報テーブルの一例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施形態に係る出力制御機能による表示例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、第1の実施形態に係る出力制御機能による表示例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の変形例2に係るMRI装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の変形例2に係る出力制御機能による表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の変形例5に係る出力制御機能による表示例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る出力制御機能による表示例を示す図である。
【
図11】
図11は、第3の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置、取付位置出力方法、および取付位置出力プログラムを説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用可能である。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。例えば、
図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、全身用RF(Radio Frequency)コイル4、局所用RFコイル5、送信回路6、受信回路7、架台8、寝台9、インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路12、処理回路13~16、及びカメラ17を備える。
【0009】
静磁場磁石1は、被検者(被検体)Sが配置される撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、その内周側に形成された撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、超伝導磁石や永久磁石等である。ここでいう超伝導磁石は、例えば、液体ヘリウム等の冷却剤が充填された容器と、当該容器に浸漬された超伝導コイルとから構成される。
【0010】
傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置されており、被検者Sが配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸それぞれに対応するXコイル、Yコイル及びZコイルを有している。Xコイル、Yコイル及びZコイルは、傾斜磁場電源3から供給される電流に基づいて、各軸方向に沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。ここで、Z軸は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束に沿うように設定される。また、X軸は、Z軸に直交する水平方向に沿うように設定され、Y軸は、Z軸に直交する鉛直方向に沿うように設定される。これにより、X軸、Y軸及びZ軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。
【0011】
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給することで、撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2のXコイル、Yコイル及びZコイルに個別に電流を供給することで、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向及びスライス方向それぞれに沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
【0012】
ここで、リードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場及びスライス傾斜磁場は、それぞれ静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳されることで、被検者Sから発生する磁気共鳴信号に空間的な位置情報を付与する。具体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させることで、リードアウト方向に沿った位置情報を磁気共鳴信号に付与する。また、位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿って磁気共鳴信号の位相を変化させることで、位相エンコード方向に沿った位置情報を磁気共鳴信号に付与する。また、スライス傾斜磁場は、スライス方向に沿った位置情報を磁気共鳴信号に付与する。例えば、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域(2D撮像)の場合には、スライス領域の方向、厚さ及び枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域(3D撮像)の場合には、スライス方向の位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために用いられる。これにより、リードアウト方向に沿った軸、位相エンコード方向に沿った軸、及びスライス方向に沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。
【0013】
全身用RFコイル4は、傾斜磁場コイル2の内周側に配置されており、撮像空間に配置された被検者Sに高周波磁場を送信し、当該高周波磁場の影響によって被検者Sから発生する磁気共鳴信号を受信する。具体的には、全身用RFコイル4は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、送信回路6から供給される高周波パルス信号に基づいて、その内周側に位置する撮像空間に配置された被検者Sに高周波磁場を送信する。また、全身用RFコイル4は、高周波磁場の影響によって被検者Sから発生する磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路7へ出力する。
【0014】
局所用RFコイル5は、被検者Sから発生した磁気共鳴信号を受信する。具体的には、局所用RFコイル5は、被検者Sの各部位に適用できるように複数種類用意されており、被検者Sの撮像が行われる際に、撮像対象の部位の表面近傍に配置される。そして、局所用RFコイル5は、全身用RFコイル4によって送信された高周波磁場の影響によって被検者Sから発生した磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路7へ出力する。なお、局所用RFコイル5は、被検者Sに高周波磁場を送信する機能をさらに有していてもよい。その場合には、局所用RFコイル5は、送信回路6に接続され、送信回路6から供給される高周波パルス信号に基づいて、被検者Sに高周波磁場を送信する。例えば、局所用RFコイル5は、サーフェスコイルや、複数のサーフェスコイルをエレメント(コイルエレメント)として組み合わせて構成されたフェーズドアレイコイルである。つまり、局所用RFコイル5は、エレメントそのものではなく、一つまたは複数のエレメントが筐体に格納されたコイル装置である。なお、局所用RFコイル5は、単に「RFコイル」と記載される場合がある。
【0015】
送信回路6は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有のラーモア周波数に対応する高周波パルス信号を全身用RFコイル4に出力する。具体的には、送信回路6は、パルス発生器、高周波発生器、変調器、及び増幅器を有する。パルス発生器は、高周波パルス信号の波形を生成する。高周波発生器は、ラーモア周波数の高周波信号を発生する。変調器は、高周波発生器によって発生した高周波信号の振幅をパルス発生器によって発生した波形で変調することで、高周波パルス信号を生成する。増幅器は、変調器によって生成された高周波パルス信号を増幅して全身用RFコイル4に出力する。
【0016】
受信回路7は、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力される磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成し、生成した磁気共鳴データを処理回路14に出力する。例えば、受信回路7は、選択器、前段増幅器、位相検波器、及び、A/D(Analog/Digital)変換器を含む。選択器は、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力される磁気共鳴信号を選択的に入力する。前段増幅器は、選択器から出力される磁気共鳴信号を電力増幅する。位相検波器は、前段増幅器から出力される磁気共鳴信号の位相を検波する。A/D変換器は、位相検波器から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することで磁気共鳴データを生成し、生成した磁気共鳴データを処理回路14に出力する。なお、ここで、受信回路7が行うものとして説明した各処理は、必ずしも全ての処理が受信回路7で行われる必要はなく、全身用RFコイル4や局所用RFコイル5で一部の処理(例えば、A/D変換器による処理等)が行われてもよい。
【0017】
架台8は、略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成された中空のボア8aを有し、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、及び全身用RFコイル4を収容している。具体的には、架台8は、ボア8aの外周側に全身用RFコイル4を配置し、全身用RFコイル4の外周側に傾斜磁場コイル2を配置し、傾斜磁場コイル2の外周側に静磁場磁石1を配置した状態で、それぞれを収容している。ここで、架台8が有するボア8a内の空間が、撮像時に被検者Sが配置される撮像空間となる。また、架台8は、架台モニタ8bを有する。なお、架台モニタ8bは、表示部の一例である。
【0018】
寝台9は、被検者Sが載置される天板9aと、当該天板9aを上下方向及び水平方向に移動させる移動機構とを有する。ここで、上下方向は、鉛直方向であり、水平方向は、静磁場磁石1の中心軸に沿った方向である。このような構成により、寝台9は、天板9aを上下方向に移動させることで、天板9aの高さを変更可能となっている。また、寝台9は、天板9aを水平方向に移動させることで、架台8の外側の空間と、架台8の内側のボア8a内にある撮像空間との間で天板9aの位置を変更可能となっている。
【0019】
なお、ここでは、MRI装置100が、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び全身用RFコイル4それぞれが略円筒状に形成された、いわゆるトンネル型の構造を有する場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。例えば、MRI装置100は、被検者Sが配置される撮像空間を挟んで対向するように一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルを配置した、いわゆるオープン型の構造を有していてもよい。このようなオープン型の構造では、一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルによって挟まれた空間が、トンネル型の構造におけるボアに相当する。
【0020】
インタフェース10は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、インタフェース10は、処理回路16に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路16に出力する。例えば、インタフェース10は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、インタフェース10は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を含むものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路もインタフェース10の例に含まれる。
【0021】
ディスプレイ11は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ11は、処理回路16に接続されており、処理回路16から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ11は、液晶モニタやCRTモニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0022】
記憶回路12は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路12は、磁気共鳴データや画像データを記憶する。例えば、記憶回路12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。なお、記憶回路12は、記憶部の一例である。
【0023】
処理回路13は、寝台制御機能13aを有する。寝台制御機能13aは、制御用の電気信号を寝台9へ出力することで、寝台9の動作を制御する。例えば、寝台制御機能13aは、インタフェース10、又は、架台8に設けられた操作パネルを介して、天板9aを上下方向又は水平方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板9aを移動するように、寝台9が有する移動機構を動作させる。例えば、寝台制御機能13aは、被検者Sの撮像が行われる際に、被検者Sが載置された天板9aを架台8の内側のボア8a内にある撮像空間に移動させる。
【0024】
処理回路14は、データ収集機能14aを有する。データ収集機能14aは、各種のパルスシーケンスを実行することで、被検者Sの磁気共鳴データを収集する。具体的には、データ収集機能14aは、処理回路16から出力されるシーケンス実行データに従って傾斜磁場電源3、送信回路6及び受信回路7を駆動することで、各種のパルスシーケンスを実行する。ここで、シーケンス実行データは、パルスシーケンスを表すデータであり、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給する電流の強さ、送信回路6が全身用RFコイル4に高周波パルス信号を供給するタイミング及び供給する高周波パルスの強さ、受信回路7が磁気共鳴信号をサンプリングするタイミング等を規定した情報である。そして、データ収集機能14aは、パルスシーケンスを実行した結果として受信回路7から出力される磁気共鳴データを受信し、記憶回路12に記憶させる。このとき、記憶回路12に記憶される磁気共鳴データは、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によってリードアウト方向、フェーズアウト方向及びスライス方向の各方向に沿った位置情報が付与されることで、2次元又は3次元のk空間を表すデータとして記憶される。
【0025】
処理回路15は、画像生成機能15aを有する。画像生成機能15aは、処理回路14によって収集された磁気共鳴データに基づいて、各種の画像を生成する。具体的には、画像生成機能15aは、処理回路14によって収集された磁気共鳴データを記憶回路12から読み出し、読み出した磁気共鳴データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、2次元又は3次元の画像を生成する。そして、画像生成機能15aは、生成した画像を記憶回路12に記憶させる。
【0026】
処理回路16は、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路16は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)をディスプレイ11に表示し、インタフェース10を介して受け付けられた入力操作に応じて、MRI装置100が有する各構成要素を制御する。例えば、処理回路16は、操作者によって入力された撮像条件に基づいてシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データを処理回路14に出力することで、磁気共鳴データを収集させる。また、例えば、処理回路16は、処理回路15を制御することで、処理回路14によって収集された磁気共鳴データに基づいて画像を生成させる。また、例えば、処理回路16は、操作者からの要求に応じて、記憶回路12に記憶された画像を読み出し、読み出した画像をディスプレイ11に表示させる。
【0027】
また、処理回路16は、取得機能16a、選択機能16b、及び出力制御機能16cを有する。ここで、取得機能16aは、取得部の一例である。選択機能16bは、選択部の一例である。出力制御機能16cは、出力制御部の一例である。取得機能16a、選択機能16b、及び出力制御機能16cの処理内容については、後述する。
【0028】
ここで、上述した各処理回路は、例えば、プロセッサによって実現される。その場合に、各処理回路が有する処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路12に記憶される。そして、各処理回路は、記憶回路12から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各処理回路は、
図1の各処理回路内に示された各機能を有することとなる。
【0029】
なお、ここでは、各プロセッサが単一のプロセッサによって実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて各処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、各処理回路が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、
図1に示す例では、単一の記憶回路12が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路が個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0030】
そして、上述したMRI装置100の各構成要素は、室内の空間を電磁波から遮蔽するシールドルームとして構成された撮影室と、MRI装置100の操作を行う操作室とに分けて配置される。例えば、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、全身用RFコイル4、局所用RFコイル5、受信回路7、架台8、寝台9、及び処理回路13が、撮影室に配置され、傾斜磁場電源3、送信回路6、インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路12、及び処理回路14~16が操作室に設置される。なお、撮影室及び操作室の他に、さらに機械室が設けられている場合には、傾斜磁場電源3、送信回路6、記憶回路12、及び処理回路14~16の一部又は全部が機械室に設置されてもよい。
【0031】
カメラ17は、寝台9の上方に配置された光学撮影装置である。例えば、カメラ17は、撮影室の天井に取り付けられ、寝台9の周辺の様子を俯瞰した画像を撮影する。カメラ17によって撮影された画像は、例えば、記憶回路12、又はPACS(Picture Archiving and Communication System)等の外部記憶装置に記録される。なお、カメラ17によって撮影された画像を「カメラ画像」又は「撮影画像」と記載する。
【0032】
なお、カメラ17は、必ずしも天井に取り付けられなくてもよい。例えば、カメラ17は、架台8又は寝台9の端部に取り付けられてもよいし、架台8又は寝台9の周辺の壁に取り付けられてもよい。また、
図1では、カメラ17が1台設けられる場合を説明するが、2台以上設けられていても良い。
【0033】
また、
図1では、カメラ17がMRI装置100の構成に含まれる場合を説明するが、カメラ17は必ずしもMRI装置100の構成に含まれていなくても良い。例えば、MRI装置100の出荷時にはカメラ17が含まれておらず、MRI装置100の据付後に外部装置としてカメラ17が接続されても良い。
【0034】
ところで、MRI装置において、局所用RFコイルの取付位置は、撮像の再現性に影響を及ぼす。例えば、局所用RFコイルの取り付けは、技師(操作者)の技術や経験などに基づいて感覚的に行われるため、局所用RFコイルの取付位置がずれる場合がある。このため、特定のスキャン部位を同一のスキャン条件で撮像する場合であっても、局所用RFコイルの取付位置がずれると、得られる画像の品質にばらつきが生じ、撮像の再現性が低下する。また、経過観察のため、特定の被検者を一定期間ごとに繰り返し撮像する場合であっても、局所用RFコイルの取付位置が前回撮像時の取付位置からずれてしまうと、撮像の再現性が低下する。撮像の再現性が低下すると、患部の微小な異変(変化)を見つけ難くなってしまうなど、医師による画像診断に影響を及ぼす可能性がある。
【0035】
そこで、第1の実施形態に係るMRI装置100は、撮像の再現性を向上させるために、以下の処理機能を実行する。
【0036】
すなわち、MRI装置100において、取得機能16aは、カメラ17により撮影された被検者Sのカメラ画像から、被検者Sおよび被検者Sに取り付けられた局所用RFコイル5の少なくとも一方に関する画像関連情報を取得する。選択機能16bは、画像関連情報に基づいて、局所用RFコイル5の取付位置の統計情報を選択する。出力制御機能16cは、統計情報に対応する局所用RFコイル5の取付位置を出力させる。これにより、例えば、操作者は、出力された局所用RFコイル5の取付位置を参照しつつ、被検者Sに対して局所用RFコイル5を取り付けることができる。この結果、MRI装置100は、撮像の再現性を向上させることができる。
【0037】
なお、以下の実施形態では、技師(操作者)が被検者Sに対して局所用RFコイル5の取り付けを行う作業を「コイルセッティング」と記載する。例えば、操作者は、被検者Sとともに撮影室に入室すると、被検者Sを天板9aに載置してコイルセッティングを行う。そして、操作者は、コイルセッティングが完了すると、被検者Sが載置された天板9aをボア8aに挿入し、MRI装置100による撮像を開始する。
【0038】
また、以下の実施形態では、MRI装置100による「撮像」と、カメラ17による「撮影」とを区別して記載する。つまり、「撮像」とは、MRI装置100によって被検者Sの体内の様子を画像化することであり、「スキャン」、「MRIスキャン」などとも記載する。また、「撮影」とは、カメラ17によって撮影視野内の様子を光学的に画像化することである。
【0039】
図2は、第1の実施形態に係るMRI装置100の処理手順を示すフローチャートである。
図2に示す処理手順は、例えば、コイルセッティングが開始されるタイミングで開始される。例えば、カメラ17による撮影を常時行っておき、カメラ画像に人物が映ったことを契機として、
図2に示す処理手順が開示される。なお、
図2に示す処理手順は、操作者による指示に応じて開始されても良い。
【0040】
コイルセッティングが開始されると、処理回路16は、カメラ画像の録画を開始する(ステップS101)。例えば、処理回路16は、カメラ画像に人物が映ったことを契機として、カメラ画像の録画を開始する。処理回路16は、録画したカメラ画像を操作者に提示するとともに、記憶回路12やPACS等の外部記憶装置にカメラ画像を記録する。
【0041】
図3は、第1の実施形態に係るカメラ画像の一例を示す図である。
図3に示すように、例えば、カメラ17は、寝台9の上方からカメラ画像I10をリアルタイムに撮影する。そして、出力制御機能16cは、撮影されたリアルタイムのカメラ画像I10を、架台8に設けられた架台モニタ8bに表示させる。カメラ画像I10には、被検者Sの画像I11や局所用RFコイル5の画像I12が描出される。この結果、操作者は、寝台9の周辺における被検者Sのリアルタイムの様子をカメラ画像I10上で閲覧することができる。
【0042】
なお、
図3では、一例として、天板9aに載置された被検者Sに対して局所用RFコイル5が取り付けられた後の様子がカメラ画像I10に描出される場合を例示したが、これに限定されるものではない。カメラ画像I10は、撮影室に入室した技師や被検者Sが寝台9に近づいてくる様子や、天板9aに被検者Sが腰掛けた時の様子など、撮影視野内のリアルタイムの様子を動画像として提供可能である。
【0043】
続いて、取得機能16aは、カメラ画像から、技師、被検者S、および局所用RFコイル5を認識する(ステップS102)。例えば、取得機能16aは、カメラ画像に描出される技師、被検者S、および局所用RFコイル5の特徴に基づいて、技師、被検者S、および局所用RFコイル5を個別に認識する。
【0044】
例えば、技師は、架台8の操作パネルを操作して天板9aの位置を調整するという特徴がある。そこで、取得機能16aは、天板9aの位置が移動したことを契機として、カメラ画像からの画像認識を実行する。このタイミングにおいて、技師は操作パネルの付近に位置し、被検者Sは寝台9の近くに位置する。このため、取得機能16aは、カメラ画像に描出された人物のうち、操作パネルの付近に位置する人物を「技師」と認識し、寝台9の近くに位置する人物を「被検者S」と認識する。または、取得機能16aは、技師ではない人物を「被検者S」と認識しても良い。
【0045】
また、局所用RFコイル5は、技師によって被検者Sに取り付けられるという特徴が有る。そこで、取得機能16aは、技師によって把持された物体に対して画像認識を行って、局所用RFコイル5を認識する。
【0046】
なお、上記の画像認識処理はあくまで一例であり、公知の画像認識技術を適宜選択して適用することができる。例えば、カメラ画像から人物を認識する場合には、骨格認識技術を適用することも可能である。
【0047】
また、技師、被検者S、および局所用RFコイル5の特徴は、上記の例に限定されるものではない。例えば、技師は、技師用の作業着、技師のネームプレートなどの特徴を利用して認識されても良い。また、被検者Sは、検査着、車いすやストレッチャーに乗っていることなどの特徴を利用して認識されても良い。また、局所用RFコイル5は、画像上の特徴のみならず、寝台9のコイルポートに差し込まれた局所用RFコイル5のコネクタから得られる情報を利用して認識されても良いし、局所用RFコイル5にRFID(radio frequency identifier)タグなどの無線タグを備えておくことにより認識されても良い。
【0048】
そして、被検者Sが天板9aに載置される(ステップS103)。例えば、被検者Sは、技師の指示に従って天板9aに上がり、指示された姿勢で待機する。
【0049】
そして、取得機能16aは、被検者Sおよび局所用RFコイル5に関する画像関連情報を取得する(ステップS104)。例えば、取得機能16aは、被検者Sに関する画像関連情報として、被検者Sの体型、被検者Sの姿勢、および被検者Sの位置を示す情報を取得する。
【0050】
例えば、取得機能16aは、被検者Sの体型を示す情報として、身長を取得する。一例としては、取得機能16aは、被検者Sが天板9aの上に横臥した状態のカメラ画像から、被検者Sの身長を計測する。なお、被検者Sの体型を示す情報は、身長に限定されるものではない。取得機能16aは、被検者Sの体型を示す情報として、身長、腹部の厚み、腹部の横幅、および手足の長さのうち少なくとも一つを取得可能である。腹部の厚みは、カメラ17の撮影方向に対して被検者Sが横向きになった時のカラー画像から計測可能である。腹部の横幅は、カメラ17の撮影方向に対して被検者Sが正面或いは背面を向けた時のカラー画像から計測可能である。
【0051】
また、取得機能16aは、被検者Sの姿勢を示す情報として、仰向け、うつ伏せ、または横向きのいずれかを示す情報を取得する。一例としては、取得機能16aは、被検者Sに対して局所用RFコイル5が取り付けられる前(好ましくは直前)のカメラ画像から、被検者Sの姿勢を示す情報を画像認識により取得する。この画像認識は、姿勢に対応するテンプレートによって認識されても良いし、骨格認識によって行われても良い。また、局所用RFコイル5が取り付けられたか否かの判定は、天板9aの上に局所用RFコイル5(または技師)が映り込んだタイミングや、寝台9のコイルポートに局所用RFコイル5のコネクタが差し込まれたタイミングによって判定可能である。
【0052】
また、取得機能16aは、被検者Sの位置を示す情報として、カメラ画像における被検者Sの位置情報(座標)を取得する。一例としては、カメラ画像における位置情報は、カメラ画像における縦方向をy軸とし、横方向をx軸とする座標系によって示される。取得機能16aは、被検者Sが天板9aの上に載置された状態のカメラ画像から、被検者Sの中心位置(重心位置)を示す座標を取得する。なお、被検者Sの位置を示す情報は、カメラ画像における座標系ではなく、撮影室における座標系や天板9aにおける座標系など、任意に設定された座標系にて示すことが可能である。また、被検者Sの位置情報は、中心位置ではなく、頭部、両肩、両手の先端部、両足の先端部など、複数の座標によって示されても良い。
【0053】
また、取得機能16aは、局所用RFコイル5に関する画像関連情報として、局所用RFコイル5が現在取り付けられている現在取付位置、および、局所用RFコイル5の種類を示す情報を取得する。
【0054】
例えば、取得機能16aは、局所用RFコイル5の現在取付位置を示す情報として、カメラ画像における局所用RFコイル5の位置情報(座標)を取得する。一例としては、取得機能16aは、局所用RFコイル5が被検者Sに取り付けられた状態のカメラ画像から、局所用RFコイル5の中心位置(重心位置)を示す座標を取得する。なお、局所用RFコイル5の中心位置は、カメラ画像における座標系、撮影室における座標系、または天板9aにおける座標系など、任意に設定された座標系にて示すことが可能である。また、局所用RFコイル5の位置情報は、中心位置ではなく、局所用RFコイル5の四隅や特徴的な構造部など、任意に指定された複数の座標によって示されても良い。
【0055】
また、取得機能16aは、局所用RFコイル5の種類を示す情報として、「腹部コイル」、「脚部コイル」などの情報を取得する。一例としては、取得機能16aは、局所用RFコイル5の画像上の特徴を利用した画像認識により、カメラ画像から局所用RFコイル5の種類を示す情報を取得する。なお、局所用RFコイル5の種類を示す情報は、画像上の特徴のみならず、寝台9のコイルポートに差し込まれた局所用RFコイル5のコネクタから得られる情報を利用して取得されても良いし、局所用RFコイル5にRFIDタグなどの無線タグを備えておくことにより取得されても良い。
【0056】
また、取得機能16aは、被検者をスキャンするためのスキャン条件を取得する。例えば、取得機能16aは、スキャン条件として、スキャン部位、コイルの種類、およびコイルの識別情報を示す情報を取得する。ここで、スキャン部位とは、「腹部」、「脚部」など、スキャン対象となる被検者Sの部位を示す情報である。また、コイルの種類は、「腹部コイル」、「脚部コイル」など、スキャンに用いる局所用RFコイル5の種類を示す情報である。また、コイルの識別情報は、スキャンに用いる局所用RFコイル5を一意に識別するために、局所用RFコイル5ごとに割り当てられた識別情報(番号、記号)である。スキャン条件は、スキャン対象となる被検者S(患者)の患者ID(Identification)に紐付けてMRI装置100内の任意の記憶領域に格納されており、任意に取得可能である。
【0057】
このように、取得機能16aは、被検者Sおよび局所用RFコイル5に関する画像関連情報を取得する。なお、取得機能16aは、必ずしも被検者Sの体型、被検者Sの姿勢、および被検者Sの位置(座標)を全て取得しなくても良い。つまり、取得機能16aは、被検者Sの体型、被検者Sの姿勢、および被検者Sの位置の少なくとも一つを示す情報を取得しても良い。
【0058】
また、取得機能16aは、必ずしも局所用RFコイル5の現在取付位置、および局所用RFコイル5の種類を全て取得しなくても良い。つまり、取得機能16aは、局所用RFコイル5の現在取付位置、および局所用RFコイル5の種類の少なくとも一つを示す情報を取得しても良い。
【0059】
また、取得機能16aは、必ずしもスキャン部位、コイルの種類、およびコイルの識別情報の全てを取得しなくても良い。つまり、取得機能16aは、スキャン部位、コイルの種類、およびコイルの識別情報の少なくとも一つを示す情報を取得しても良い。
【0060】
選択機能16bは、画像関連情報に基づいて、局所用RFコイル5の取付位置の統計情報を選択する(ステップS105)。例えば、選択機能16bは、被検者の体型、被検者の姿勢、被検者の位置、コイルの取付位置、コイルの種類、コイルの識別情報、およびスキャン部位の少なくとも一つを示す情報に対応する統計情報を選択する。
【0061】
図4は、第1の実施形態に係る統計情報テーブルの一例を示す図である。統計情報テーブルは、例えば記憶回路12に記憶されるが、これに限らず、選択機能16bによって参照可能な任意の外部記憶装置に記憶されていても良い。
【0062】
図4に示すように、例えば、統計情報テーブルは、「統計ID」、「体型」、「姿勢」、「被検者位置」、「スキャン部位」、「コイルの種類」、および「コイル取付位置」が対応付けられた情報を記憶する。
【0063】
「統計ID」は、統計情報テーブルに記憶された統計情報を一意に識別するための識別情報である。統計情報テーブルは、統計IDとして、「001」、「002」、「003」などの情報を記憶する。なお、統計IDは、数値に限らず、文字、記号、或いはこれらを組み合わせた情報であっても良い。
【0064】
「体型」は、被検者の体型を示す情報であり、例えば、身長[cm]である。統計情報テーブルは、体型(身長)として、「150-160」、「160-170」などの情報を記憶する。なお、体型は、身長に限らず、身長、腹部の厚み、腹部の横幅、および手足の長さのうち少なくとも一つを示す情報であれば良い。
【0065】
「姿勢」は、被検者の姿勢を示す情報である。統計情報テーブルは、姿勢として、「仰向け」、「横向き」、「うつ伏せ」などの情報を記憶する。なお、姿勢は、これらに限定させるものではなく、任意の姿勢を示す情報を設定可能である。
【0066】
「被検者位置」は、被検者の位置を示す情報であり、例えば、カメラ画像における被検者の中心位置(重心位置)を示す座標である。統計情報テーブルは、被検者位置として、「(X1,Y1)」、「(X2,Y2)」、「(X3,Y3)」などの情報を記憶する。被検者位置を示す座標は、過去に行われた複数回分のスキャンにおける被検者位置を示す座標の平均値である。なお、被検者位置は、カメラ画像における座標系ではなく、撮影室における座標系や天板9aにおける座標系など、任意に設定された座標系にて示すことが可能である。また、被検者位置は、中心位置ではなく、頭部、両肩、両手の先端部、両足の先端部など、複数の座標によって示されても良い。
【0067】
「スキャン部位」は、スキャン対象となる被検者の部位を示す情報である。統計情報テーブルは、スキャン部位として、「腹部」、「脚部」など、部位を示す情報を記憶する。なお、スキャン部位は、これらに限定させるものではなく、任意の姿勢を示す情報を設定可能である。
【0068】
「コイルの種類」は、局所用RFコイルの種類を示す情報である。統計情報テーブルは、コイルの種類として、「腹部コイル」、「脚部コイル」などの情報を記憶する。なお、コイルの種類は、これらに限定させるものではなく、任意の姿勢を示す情報を設定可能である。
【0069】
「コイル取付位置」は、スキャンにおいて被検者に対して取り付けられた局所用RFコイルの位置を示す情報であり、例えば、カメラ画像における局所用RFコイルの中心位置(重心位置)を示す座標である。統計情報テーブルは、コイル取付位置として、「(x1,y1)」、「(x2,y2)」、「(x3,y3)」などの情報を記憶する。コイル取付位置を示す座標は、過去に行われた複数回分のスキャンにおけるコイル取付位置を示す座標の平均値である。なお、コイル取付位置は、カメラ画像における座標系ではなく、撮影室における座標系や天板9aにおける座標系など、任意に設定された座標系にて示すことが可能である。また、コイル取付位置は、中心位置ではなく、局所用RFコイルの四隅や特徴的な構造部など、任意に指定された複数の座標によって示されても良い。
【0070】
例えば、統計情報テーブルは、統計ID「001」、体型「150-160」、姿勢「仰向け」、被検者位置「(X1,Y1)」、スキャン部位「腹部」、コイルの種類「腹部コイル」、およびコイル取付位置「(x1,y1)」が対応付けられた情報を記憶する。つまり、統計ID「001」の統計情報は、体型「150-160」、姿勢「仰向け」、スキャン部位「腹部」、およびコイルの種類「腹部コイル」にそれぞれ該当する条件で行われた複数回分のスキャンについて、平均的な被検者位置が「(X1,Y1)」であり、平均的なコイル取付位置が「(x1,y1)」であることを示す。また、統計情報テーブルは、他の統計IDの統計情報についても同様に各種情報を記憶する。
【0071】
なお、
図4に例示する統計情報テーブルはあくまで一例であり、統計情報テーブルに記憶される情報は任意に設定可能である。例えば、統計情報テーブルは、被検者の体型、被検者の姿勢、被検者の位置、コイルの取付位置、コイルの種類、コイルの識別情報、およびスキャン部位の少なくとも一つに応じて分類された複数の統計情報を記憶する。また、例えば、統計情報テーブルは、
図4に示した統計ID「001」、「002」、および「003」に限らず、他の統計IDの統計情報を記憶していても良い。また、統計情報テーブルは、コイル取付位置の平均座標のみならず、平均化する前の各座標を記憶しても良い。例えば、統計情報テーブルは、3回のスキャンにおけるコイル取付位置として、「(x4,y4)」、「(x5,y5)」、および「(x6,y6)」の情報を記憶していても良い。
【0072】
そして、選択機能16bは、統計情報テーブルを参照し、統計情報テーブルに記憶された複数の統計情報の中から、取得機能16aによって取得された情報に対応する統計情報を選択する。
【0073】
例えば、コイルセッティングの対象者(つまり、スキャン対象者)である被検者Sについて、身長「156cm」、姿勢「仰向け」、スキャン部位「腹部」、およびコイルの種類「腹部コイル」をそれぞれ示す情報が、取得機能16aによって取得された場合を説明する。この場合、選択機能16bは、
図4の統計情報テーブルを参照し、取得機能16aによって取得された情報に対応する統計情報を探索する。そして、選択機能16bは、
図4の統計情報テーブルの中から、統計ID「001」の統計情報を選択する。
【0074】
このように、選択機能16bは、画像関連情報に基づいて、局所用RFコイル5の取付位置の統計情報を選択する。なお、上述した内容はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、選択機能16bは、統計情報として、被検者の体型、被検者の姿勢、被検者の位置、コイルの取付位置、コイルの種類、スキャン部位、およびコイルの識別情報の少なくとも一つを示す情報に対応する統計情報を選択すれば良い。
【0075】
例えば、選択機能16bは、被検者Sに関する画像関連情報、および、局所用RFコイル5に関する画像関連情報の少なくとも一方に関する画像関連情報に基づいて、局所用RFコイル5の取付位置の統計情報を選択することができる。例えば、被検者Sに関する画像関連情報として「体型(身長)」が取得された場合には、選択機能16bは、「体型(身長)」に基づいて統計情報を選択可能である。また、局所用RFコイル5に関する画像関連情報として「コイルの種類」が取得された場合には、選択機能16bは、「コイルの種類」に基づいて統計情報を選択可能である。
【0076】
図2の説明に戻る。出力制御機能16cは、統計情報に対応する局所用RFコイル5の取付位置をカメラ画像上に表示させる(ステップS106)。例えば、出力制御機能16cは、選択機能16bによって選択された統計情報に対応するコイル取付位置を、架台モニタ8bに表示させる。
【0077】
図5Aおよび
図5Bは、第1の実施形態に係る出力制御機能16cによる表示例を示す図である。
図5Aおよび
図5Bには、統計情報に対応するコイル取付位置が、架台モニタ8bに表示されたカメラ画像I10に重畳表示される場合を例示する。
【0078】
図5Aに示す例では、出力制御機能16cは、リアルタイムのカメラ画像I10上に、中心位置画像I20および輪郭位置画像I21を重畳表示させる。ここで、中心位置画像I20は、平均的なコイル取付位置を示す点形状のインジケータであり、例えば、統計ID「001」の統計情報に対応するコイル取付位置「(x1,y1)」に表示される。また、輪郭位置画像I21は、平均的なコイル取付位置に配置された局所用RFコイル5の輪郭位置を示す枠線のインジケータであり、例えば、統計ID「001」の統計情報に対応する「腹部コイル」がコイル取付位置「(x1,y1)」に表示された場合の輪郭位置を示す。
【0079】
また、
図5Bに示す例では、出力制御機能16cは、リアルタイムのカメラ画像I10上に、3つの中心位置画像I22を重畳表示させる。ここで、3つ中心位置画像I22は、コイル取付位置を平均化する前の3回のスキャンにおけるコイル取付位置を示すインジケータである。例えば、3つ中心位置画像I22は、3回のスキャンにおけるコイル取付位置「(x4,y4)」、「(x5,y5)」、および「(x6,y6)」の位置(座標)をそれぞれ示す点形状のインジケータである。
【0080】
このように、出力制御機能16cは、
図5Aの表示形態または
図5Bの表示形態にて、局所用RFコイル5の取付位置をカメラ画像上に表示させる。なお、
図5Aおよび
図5Bに示した表示例はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、中心位置画像I20、輪郭位置画像I21、および3つの中心位置画像I22に限らず、任意の表示形態にて局所用RFコイル5の取付位置を表示することが可能である。
【0081】
また、
図5Aおよび
図5Bでは、カメラ画像I10上に重畳表示する場合を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、人体のイラストや人体の輪郭線など、人体の模式画像に重畳表示しても良い。つまり、出力制御機能16cは、統計情報に対応するコイルの取付位置を、カメラにより撮影された被検者Sの画像、または、人体の模式画像に重畳表示させても良い。
【0082】
また、必ずしも重畳表示に限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、統計情報に対応する取付位置を、カメラ画像I10と並列表示しても良い。
【0083】
また、取付位置の表示先となる表示部(表示装置)は、架台モニタ8bに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、架台モニタ8b以外のモニタやディスプレイ、タブレットなど、任意の表示部に取付位置を表示可能である。ただし、取付位置の表示先となる表示部は、撮影室の中に設置可能または持ち運び可能な装置であるのが好適である。
【0084】
また、出力制御機能16cによる出力形態は、表示部による画像表示に限定されるものではなく、例えば、音声やプロジェクタによる投影(プロジェクションマッピング)によって出力されても良い。なお、プロジェクタによる投影については後述する。
【0085】
図2の説明に戻る。被検者Sに対して局所用RFコイル5が取り付けられる(ステップS107)。例えば、技師は、架台モニタ8bに表示された局所用RFコイル5の取付位置を参照しつつ、被検者Sに対して局所用RFコイル5を取り付ける。そして、技師は、適切な取付位置に局所用RFコイル5を取り付けたと判断すると、寝台9のコイルポートに局所用RFコイル5のコネクタを差し込み、コイルセッティングを完了する。コイルセッティングが完了すると、被検者Sが載置された天板9aがボア8aに挿入され、スキャンが開始される。
【0086】
なお、ステップS107の処理では、局所用RFコイル5の取付位置の確定が行われれば良い。例えば、技師は、ステップS103の処理の後に、被検者Sの身体の上や付近に局所用RFコイル5を配置しておき、ステップS107の処理では、局所用RFコイル5の取付位置を必要に応じて調整し、その取付位置を確定すれば良い。
【0087】
なお、
図2にて説明した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、
図2に示した処理手順は、処理内容に矛盾しない範囲内で任意に変更可能である。例えば、ステップS104の処理およびステップS105の処理は、ステップS103の処理の前に実行されても良い。
【0088】
上述してきたように、第1の実施形態に係るMRI装置100において、取得機能16aは、カメラ17により撮影された被検者Sのカメラ画像から、被検者Sおよび被検者Sに取り付けられた局所用RFコイル5の少なくとも一方に関する画像関連情報を取得する。選択機能16bは、画像関連情報に基づいて、局所用RFコイル5の取付位置の統計情報を選択する。出力制御機能16cは、統計情報に対応する局所用RFコイル5の取付位置を出力させる。これによれば、MRI装置100は、撮像の再現性を向上させることができる。
【0089】
例えば、MRI装置100は、複数の統計情報に基づいて、局所用RFコイル5の好適な取付位置を技師に提示する。このため、技師は、局所用RFコイル5の好適な取付位置を参照しつつ、被検者Sに対して局所用RFコイル5を取り付けることができる。この結果、MRI装置100は、技師の経験や技術に依存せず、撮像の再現性を向上させることができる。
【0090】
(第1の実施形態の変形例1)
例えば、上記の実施形態において、出力制御機能16cは、局所用RFコイル5が取付位置に取り付けられた旨を示す情報を報知することも可能である。
【0091】
例えば、出力制御機能16cは、局所用RFコイル5が取付位置に取り付けられたか否かを判定する。局所用RFコイル5が取付位置に取り付けられたか否かの判定は、カメラ画像I10の画像認識によって自動的に行われる。例えば、出力制御機能16cは、カメラ画像I10から認識された局所用RFコイル5の現在取付位置と、統計情報に対応する取付位置とを比較する。そして、出力制御機能16cは、局所用RFコイル5の現在取付位置と、統計情報に対応する取付位置との間の距離が所定の範囲内(閾値内)となった場合に、局所用RFコイル5が取付位置に取り付けられたと判定する。そして、出力制御機能16cは、局所用RFコイル5が取付位置に取り付けられたと判定すると、例えば、「RFコイルが好適な取付位置に取り付けられました」というメッセージを架台モニタ8bに表示する。
【0092】
なお、局所用RFコイル5が取付位置に取り付けられた旨を示す情報の出力形態は、必ずしもメッセージに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、カメラ画像I10や輪郭位置画像I21の枠線の色を変更したり、中心位置画像I20を非表示にしたりすることで、局所用RFコイル5が取付位置に取り付けられた旨を示す情報を報知しても良い。
【0093】
また、局所用RFコイル5が取付位置に取り付けられた旨を示す情報の出力形態は、必ずしも表示態様の違いによって報知されなくてもよい。例えば、出力制御機能16cは、「RFコイルが好適な取付位置に取り付けられました」というメッセージを音声出力しても良いし、効果音や振動によって報知しても良い。
【0094】
(第1の実施形態の変形例2)
また、上記の実施形態では、局所用RFコイル5の取付位置を出力させる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、被検者Sを載置させる載置位置を出力することも可能である。
【0095】
すなわち、第1の実施形態の変形例2に係るMRI装置100において、選択機能16bは、画像関連情報に基づいて、被検者Sを載置させる載置位置の統計情報を選択する。出力制御機能16cは、局所用RFコイル5の取付位置とともに、被検者Sを載置させる載置位置を出力する。
【0096】
図6は、第1の実施形態の変形例2に係るMRI装置100の処理手順を示すフローチャートである。
図6に示す処理手順は、
図2に示した処理手順と比較して、ステップS203及びステップS204の処理が相違する。
【0097】
図6に示す処理手順は、例えば、コイルセッティングが開始されるタイミングで開始される。
図6に示す処理手順の開始条件については、
図2に示した処理手順の開始条件と同様である。
【0098】
コイルセッティングが開始されると、処理回路16は、カメラ画像の録画を開始する(ステップS201)。なお、ステップS201の処理は、
図2に示したステップS101の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0099】
続いて、取得機能16aは、カメラ画像から、技師、被検者S、および局所用RFコイル5を認識する(ステップS202)。なお、ステップS202の処理は、
図2に示したステップS102の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0100】
そして、取得機能16aは、被検者Sに関する画像関連情報を取得する(ステップS203)。例えば、取得機能16aは、被検者の体型、被検者の姿勢、および被検者の位置の少なくとも一つを示す情報を取得する。なお、ステップS203の処理は、
図2に示したステップS104の処理のうち、被検者Sに関する画像関連情報を取得する処理と同様であるので、説明を省略する。また、この時点でカメラ画像に局所用RFコイル5が描出されている場合には、取得機能16aは、局所用RFコイル5に関する画像関連情報を取得することも可能である。
【0101】
そして、選択機能16bは、画像関連情報に基づいて、被検者Sを載置させる載置位置の統計情報を選択する(ステップS204)。例えば、選択機能16bは、被検者の体型、被検者の姿勢、および被検者の位置の少なくとも一つを示す情報に対応する統計情報を選択する。
【0102】
具体的には、コイルセッティングの対象者(つまり、スキャン対象者)である被検者Sについて、身長「156cm」および姿勢「仰向け」をそれぞれ示す情報が、取得機能16aによって取得された場合を説明する。この場合、選択機能16bは、
図4の統計情報テーブルを参照し、取得機能16aによって取得された情報に対応する統計情報を探索する。そして、選択機能16bは、
図4の統計情報テーブルの中から、統計ID「001」の統計情報を選択する。この統計ID「001」の統計情報には、被検者位置「(X1,Y1)」が対応付けられている。被検者位置は、載置位置の一例である。
【0103】
このように、選択機能16bは、被検者Sに関する画像関連情報に基づいて、被検者Sを載置させる載置位置の統計情報を選択する。
【0104】
そして、出力制御機能16cは、統計情報に対応する載置位置をカメラ画像上に表示させる(ステップS205)。例えば、出力制御機能16cは、選択機能16bによって選択された統計情報に対応する被検者位置「(X1,Y1)」を、架台モニタ8bに表示させる。
【0105】
図7は、第1の実施形態の変形例2に係る出力制御機能16cによる表示例を示す図である。
図7には、統計情報に対応する被検者位置が、架台モニタ8bに表示されたカメラ画像I10に重畳表示される場合を例示する。
【0106】
図7に示す例では、出力制御機能16cは、リアルタイムのカメラ画像I10上に、輪郭位置画像I30を重畳表示させる。ここで、輪郭位置画像I30は、平均的な被検者位置に配置された人物の輪郭位置を示す枠線のインジケータである。輪郭位置画像I30は、例えば、統計ID「001」の統計情報に対応する体型「150-160」の人物が、被検者位置「(X1,Y1)」に表示された場合の輪郭位置を示す。
【0107】
また、
図7に示す例では、出力制御機能16cは、リアルタイムのカメラ画像I10上に、中心位置画像I20および輪郭位置画像I21を重畳表示させる。中心位置画像I20および輪郭位置画像I21は、
図5Aにて説明した処理と同様の処理によって表示可能であるので、説明を省略する。
【0108】
このように、出力制御機能16cは、
図7の表示形態にて、被検者Sの載置位置をカメラ画像上に表示させる。なお、
図7に示した表示例はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、輪郭位置画像I30に限らず、任意の表示形態にて局所用RFコイル5の取付位置を表示することが可能である。例えば、輪郭位置画像I30は、破線の輪郭線ではなく、半透明にした人体の模式画像にて描出されても良い。
【0109】
また、
図7では、局所用RFコイル5の取付位置を表示させる場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、被検者Sが天板9aに載置されるまで、局所用RFコイル5の取付位置を表示させなくてもよい。被検者Sが天板9aに載置されたか否かの判定は、技師によるマニュアル操作で行われても良いし、カメラ画像I10の画像認識によって自動的に行われても良い。
【0110】
また、
図7では、カメラ画像I10上に重畳表示する場合を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、人体のイラストや人体の輪郭線など、人体の模式画像に重畳表示しても良い。また、必ずしも重畳表示に限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、被写体Sの載置位置を、カメラ画像I10と並列表示しても良い。
【0111】
また、載置位置の表示先となる表示部(表示装置)は、架台モニタ8bに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、架台モニタ8b以外のモニタやディスプレイ、タブレットなど、任意の表示部に載置位置を表示可能である。ただし、載置位置の表示先となる表示部は、撮影室の中に設置可能または持ち運び可能な装置であるのが好適である。
【0112】
また、出力制御機能16cによる出力形態は、表示部による画像表示に限定されるものではなく、例えば、音声やプロジェクタによる投影(プロジェクションマッピング)によって出力されても良い。なお、プロジェクタによる投影については後述する。
【0113】
図6の説明に戻る。被検者Sが天板9aに載置される(ステップS206)。例えば、被検者Sは、技師の指示に従って天板9aに上がり、指示された姿勢で待機する。
【0114】
そして、取得機能16aは、局所用RFコイル5に関する画像関連情報を取得する(ステップS207)。例えば、取得機能16aは、局所用RFコイル5に関する画像関連情報として、局所用RFコイル5が現在取り付けられている現在取付位置、および、局所用RFコイル5の種類を示す情報を取得する。なお、ステップS207の処理は、
図2に示したステップS104の処理のうち、局所用RFコイル5に関する画像関連情報を取得する処理と同様であるので、説明を省略する。
【0115】
そして、選択機能16bは、画像関連情報に基づいて、局所用RFコイル5の取付位置の統計情報を選択する(ステップS208)。なお、ステップS208の処理は、
図2に示したステップS105の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0116】
そして、出力制御機能16cは、統計情報に対応する局所用RFコイル5の取付位置をカメラ画像上に表示させる(ステップS209)。なお、ステップS209の処理は、
図2に示したステップS106の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0117】
そして、被検者Sに対して局所用RFコイル5が取り付けられる(ステップS210)。なお、ステップS210の処理は、
図2に示したステップS107の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0118】
このように、第1の実施形態の変形例2に係るMRI装置100は、被検者Sを載置させる載置位置を出力することができる。これによれば、技師は、被検者Sの好適な載置位置を参照しつつ、被検者Sを天板9aに載置することができる。この結果、MRI装置100は、技師の経験や技術に依存せず、撮像の再現性を向上させることができる。
【0119】
なお、
図7にて説明した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、
図7に示した処理手順は、処理内容に矛盾しない範囲内で任意に変更可能である。例えば、ステップS205の処理において局所用RFコイル5の取付位置も表示される場合には、ステップS207~ステップS209の各処理は実行されなくても良い。
【0120】
(第1の実施形態の変形例3)
また、出力制御機能16cは、被検者Sが載置位置に載置された旨を示す情報を報知することも可能である。
【0121】
例えば、出力制御機能16cは、被検者Sが載置位置に載置されたか否かを判定する。被検者Sが載置位置に載置されたか否かの判定は、カメラ画像I10の画像認識によって自動的に行われる。例えば、出力制御機能16cは、カメラ画像I10から認識された被検者Sの現在の位置と、統計情報に対応する載置位置とを比較する。そして、出力制御機能16cは、被検者Sの現在の位置と、統計情報に対応する載置位置との間の距離が所定の範囲内(閾値内)となった場合に、被検者Sが載置位置に載置されたと判定する。そして、出力制御機能16cは、被検者Sが載置位置に載置されたと判定すると、例えば、「被検者が好適な載置位置に載置されました」というメッセージを架台モニタ8bに表示する。
【0122】
なお、被検者Sが載置位置に載置された旨を示す情報の出力形態は、必ずしもメッセージに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、カメラ画像I10や輪郭位置画像I30の枠線の色を変更したり、輪郭位置画像I30を非表示にしたりすることで、被検者Sが載置位置に載置された旨を示す情報を報知しても良い。
【0123】
また、被検者Sが載置位置に載置された旨を示す情報の出力形態は、必ずしも表示態様の違いによって報知されなくてもよい。例えば、出力制御機能16cは、「被検者が好適な載置位置に載置されました」というメッセージを音声出力しても良いし、効果音や振動によって報知しても良い。
【0124】
(第1の実施形態の変形例4)
また、第1の実施形態の変形例2にて説明した被検者Sの載置位置は、必要に応じて非表示としても良い。例えば。出力制御機能16cは、被検者Sが載置位置に載置された場合に、または、操作者からの指示を受け付けた場合に、載置位置を非表示とする。
【0125】
例えば、出力制御機能16cは、被検者Sが載置位置に載置されたか否かを判定する。被検者Sが載置位置に載置されたか否かの判定は、上記の変形例3の処理と同様であるので説明を省略する。そして、出力制御機能16cは、被検者Sが載置位置に載置されたと判定すると、輪郭位置画像I30を非表示とする。
【0126】
なお、被検者Sが載置位置に載置されたか否かの判定は、画像認識に限らず、技師によるマニュアル操作で行われても良い。例えば、技師は、被検者Sが載置位置に横臥したと判断した場合に、被検者Sの位置が確定した旨の入力(所定のボタンの押下など)を行う。この入力が行われた場合に、出力制御機能16cは、載置位置を非表示とする。
【0127】
(第1の実施形態の変形例5)
また、上記の実施形態では、1つの局所用RFコイル5が被検者Sに対して取り付けられる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、高速撮像法の一つであるパラレルイメージングでは、被検者Sの腹部に配置されたボディコイルと、被検者Sの背面に配置されたスパインコイルとを組み合わせてMRIスキャンが実行される。このように、複数の局所用RFコイル5が被検者Sに対して取り付けられる場合には、MRI装置100は、複数の局所用RFコイル5の相対位置に基づいて、複数の取付位置を出力しても良い。
【0128】
例えば、選択機能16bは、被検者Sに対して複数の局所用RFコイル5が取り付けられる場合には、複数の局所用RFコイル5の相対位置を含む統計情報を選択する。この場合、統計情報テーブルは、複数の局所用RFコイル5の相対位置を統計情報ごとに記憶する。相対位置は、例えば、各局所用RFコイル5の中心位置(座標)の距離と方向によって規定される。
【0129】
そして、選択機能16bは、複数の局所用RFコイル5の相対位置を含む統計情報を選択する。例えば、選択機能16bは、統計情報テーブルに記憶された複数の統計情報の中から、取得機能16aによって取得された情報に対応する統計情報を選択する。ここで、選択された統計情報は、複数の局所用RFコイル5が被検者Sに対して取り付けられる場合には、複数の局所用RFコイル5の相対位置を含む。
【0130】
そして、出力制御機能16cは、複数の局所用RFコイル5の相対位置に基づいて、被検者Sに対して複数の局所用RFコイル5が取り付けられる複数の取付位置を出力させる。
【0131】
図8は、第1の実施形態の変形例5に係る出力制御機能16cによる表示例を示す図である。なお、図示の都合上、
図8には、カメラ画像I10に描出される被検者Sの画像を省略して図示する。
【0132】
図8に示すように、出力制御機能16cは、リアルタイムのカメラ画像I10上に、輪郭位置画像I22および輪郭位置画像I23を重畳表示させる。輪郭位置画像I22および輪郭位置画像I23は、それぞれ異なる局所用RFコイル5の取付位置を示すインジケータである。輪郭位置画像I22および輪郭位置画像I23の位置関係は、各局所用RFコイル5の相対位置に基づいて規定される。
【0133】
このように、MRI装置100は、複数の局所用RFコイル5が被検者Sに対して取り付けられる場合には、複数の局所用RFコイル5の相対位置に基づいて、複数の取付位置を出力することができる。
【0134】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、出力制御機能16cによる出力形態として、プロジェクタが利用される場合を説明する。
【0135】
図9は、第2の実施形態に係るMRI装置100の構成例を示す図である。第2の実施形態に係るMRI装置100は、
図1に例示したMRI装置100と同様の構成を備え、更に、プロジェクタ18を備える点と、出力制御機能16cの処理の一部とが相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、
図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0136】
プロジェクタ18は、出力制御機能16cの制御に従って、寝台9の天板9aに対して映像を出力(投影)する装置である。プロジェクタ18は、例えば、撮影室の天井や壁、架台8など、寝台9の天板9aに対して映像を投影可能な位置に配置される。
【0137】
出力制御機能16cは、被検者Sが載置される寝台9の天板9aに対して、局所用RFコイル5の取付位置および被検者Sの載置位置の少なくとも一方を出力(投影)する。
【0138】
図10は、第2の実施形態に係る出力制御機能16cによる表示例を示す図である。
図10には、統計情報に対応するコイル取付位置および被検者位置が、天板9aに対して投影される場合を例示する。
【0139】
図10に示す例では、出力制御機能16cは、天板9aに対して、輪郭位置画像I41および輪郭位置画像I42を投影する。ここで、輪郭位置画像I41は、平均的な被検者位置に配置された人物の輪郭位置を示す枠線のインジケータである。輪郭位置画像I42は、平均的なコイル取付位置を示す枠線のインジケータである。輪郭位置画像I41および輪郭位置画像I42は、第1の実施形態にて説明した処理と同様の処理によって表示可能であるので、説明を省略する。
【0140】
このように、出力制御機能16cは、プロジェクションマッピングによって局所用RFコイル5の取付位置および被検者Sの載置位置を投影することができる。
【0141】
なお、
図10に示した表示例はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16cは、出力制御機能16cは、輪郭位置画像I41および輪郭位置画像I42のいずれか一方を投影しても良い。
【0142】
また、天板9aに被検者Sが載置される場合には、出力制御機能16cは、被検者Sが載置された状態の天板9aに対して映像を投影する。この場合、プロジェクタ18によって投影された映像は、天板9aまたは被検者Sの体表面に対して投影されることとなる。
【0143】
また、第2の実施形態にて説明した処理は、上記の実施形態や変形例にて説明した処理と適宜組み合わせ可能である。
【0144】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、カメラ画像から統計情報を生成する場合を説明する。
【0145】
図11は、第3の実施形態に係るMRI装置100の構成例を示す図である。第3の実施形態に係るMRI装置100は、
図1に例示したMRI装置100と同様の構成を備え、更に、処理回路16が生成機能16dを備える点が相違する。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、
図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0146】
生成機能16dは、カメラ画像I10に基づいて、統計情報を生成する。例えば、生成機能16dは、被検者Sが横臥した天板9aがボア8aに挿入される直前に撮影されたカメラ画像I10、または、スキャン後にボア8aから被検者Sが横臥した天板9aが排出された時に撮影されたカメラ画像I10に基づいて、統計情報を生成する。これらのタイミングで撮影されたカメラ画像I10は、実際のスキャンにおける被検者位置およびコイル取付位置が反映された画像であると考えられるからである。
【0147】
具体的には、生成機能16dは、カメラ画像I10に描出された被検者Sの中心位置および局所用RFコイル5の中心位置を算出する。そして、生成機能16dは、算出した被検者Sの中心位置および局所用RFコイル5の中心位置に基づいて、記憶回路12に記憶された統計情報テーブルを更新する。
【0148】
例えば、処理対象となるカメラ画像I10が撮影される直前のコイルセッティングにおいて、身長「156cm」、姿勢「仰向け」、スキャン部位「腹部」、およびコイルの種類「腹部コイル」をそれぞれ示す情報が、取得機能16aによって取得されていた場合を説明する。この場合、生成機能16dは、
図4の統計情報テーブルを参照し、取得機能16aによって取得された情報に対応する統計情報を探索する。そして、選択機能16bは、
図4の統計情報テーブルの中から、統計ID「001」の統計情報を選択する。そして、生成機能16dは、カメラ画像I10から算出した被検者Sの中心位置および局所用RFコイル5の中心位置に基づいて、統計ID「001」の統計情報を更新する。
【0149】
例えば、統計情報には、コイル取付位置をそれぞれ平均化する前の過去数回分のスキャンにおけるコイル取付位置(座標)が対応付けられている。そこで、生成機能16dは、過去数回分のスキャンにおけるコイル取付位置とともに、今回算出したコイル取付位置を加えて平均値を算出する。そして、生成機能16dは、新たに算出したコイル取付位置の平均値を用いて統計ID「001」の統計情報を更新する。なお、被検者位置の平均値を算出する処理は、コイル取付位置の平均値を算出する処理と同様であるので、説明を省略する。
【0150】
このように、生成機能16dは、カメラ画像I10に基づいて、統計情報を更新する。これにより、MRI装置100は、統計情報テーブルを最新のスキャンに基づいて更新することができる。
【0151】
なお、上記の生成機能16dの説明はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、生成機能16dの処理対象となるカメラ画像I10は、上記のタイミングで撮影されたカメラ画像I10を自動的に取得するのではなく、操作者によるマニュアル操作によって指定されても良い。
【0152】
また、上記の例では、MRI装置100(記憶回路12)に記憶された統計情報テーブルのみを更新する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100と同じ機種のMRI装置間で統計情報テーブルを共有しておき、共有の統計情報テーブルを更新することとしても良い。なお、共有の統計情報テーブルは、記憶回路12に記憶されても良いが、PACS等の外部記憶装置に記憶されるのが好適である。
【0153】
また、統計情報テーブルの共有は、同じ機種のMRI装置間に限定されるものではなく、例えば、同じクラス(例えば1.5テスラ)のMRI装置間、同じメーカー(MRI装置の製造者)のMRI装置間など、任意の装置間にて共有することが可能であり、この共有の統計情報テーブルを更新することも可能である。
【0154】
また、生成機能16dは、必ずしもMRI装置100が備えていなくても良い。例えば、MRI装置100に接続された任意の外部装置に生成機能16dを備えておき、MRI装置100からカメラ画像I10を取得して統計情報テーブルを更新しても良い。
【0155】
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0156】
(他の医用画像診断装置)
例えば、上記の実施形態および変形例では、実施形態に係る各処理機能がMRI装置100に適用される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置以外にも、X線CT(Computed Tomography)装置など、被検者Sを寝台に載置して撮像を行う医用画像診断装置に対して広く適用可能である。
【0157】
例えば、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0158】
また、上記の実施形態および変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0159】
また、上記の実施形態および変形例で説明した取付位置出力方法は、予め用意された取付位置出力プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この取付位置出力プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この取付位置出力プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0160】
また、上記の実施形態および変形例において、「リアルタイム」とは、処理対象となる各データが発生するたびに、即時に各処理を行うことを意味する。例えば、リアルタイムで画像を表示する処理は、被検者が撮像される時刻と画像が表示される時刻とが完全に一致する場合に限らず、画像処理などの各処理に要する時間によって画像がやや遅れて表示される場合を含む概念である。
【0161】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、撮像の再現性を向上させることができる。
【0162】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0163】
100 MRI装置
16 処理回路
16a 取得機能
16b 選択機能
16c 出力制御機能
16d 生成機能