(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】画像処理装置、方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20250304BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20250304BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20250304BHJP
【FI】
A61B6/03 560J
A61B6/46 536Q
A61B6/50 500Z
(21)【出願番号】P 2021117652
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2024-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】510097747
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立がん研究センター
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 文彦
(72)【発明者】
【氏名】三原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】三宅 基隆
(72)【発明者】
【氏名】向井 まさみ
(72)【発明者】
【氏名】山根 俊瑞
(72)【発明者】
【氏名】荒木田 和正
【審査官】清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0192099(US,A1)
【文献】特開2008-67916(JP,A)
【文献】特開2016-168166(JP,A)
【文献】国際公開第2014/065317(WO,A1)
【文献】特表2015-532144(JP,A)
【文献】特開2005-261440(JP,A)
【文献】特開2011-206531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0212741(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111276221(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の医用画像に対して細長い第1の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第1の候補領域の中から、所定の解剖構造らしさを評価する第1の評価値に基づいて、第1の領域を取得する第1の抽出部と、
前記医用画像における前記第1の領域の所定方向における端点より外側の領域に対して、前記第1の構造要素とは長手方向が異なる細長い第2の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第2の候補領域の中から、少なくとも前記第1の領域との接触度合いを評価する第2の評価値に基づいて第2の領域を取得し、前記第1の領域と前記第2の領域とを合成した合成領域を取得する第2の抽出部と、
前記合成領域から柱状領域を生成する生成部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記第2の抽出部は、前記第1の領域との接触度合いが小さい場合よりも前記第1の領域との接触度合いが大きい場合の方が、値が高くなる前記第2の評価値に基づいて、前記複数の第2の候補領域の中から前記第2の領域を取得する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2の抽出部は、さらに、直前に合成した前記合成領域を新たな第1の領域として、当該新たな第1の領域の所定方向における端点より外側の領域に対して、前記端点に近接する内側の領域を抽出した構造要素とは長手方向が異なる細長い第3の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる新たな複数の第2の候補領域の中から、前記第2の評価値に基づいて新たな第2の領域を取得し、前記新たな第1の領域と前記新たな第2の領域とを合成して新たな合成領域を取得する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の抽出部は、前記第1の候補領域と外部領域との接触度合いと、前記第1の候補領域の柱状形状らしさと、前記第1の候補領域の体積の大きさと、前記第2の候補領域の周囲の形状とに基づいて、前記第1の評価値を算出する、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2の抽出部は、前記第1の領域との接触度合いに加えて、前記第2の候補領域と外部領域との接触度合いと、前記第2の候補領域の体積の大きさとに基づいて、前記第2の評価値を算出し、
前記第2の評価値は、前記第1の領域との接触度合いが大きくなるほど高い値を示し、前記外部領域との接触度合いが小さくなるほど高い値を示し、前記体積が大きくなるほど高い値を示す、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の抽出部は、前記第1の領域が、抽出対象領域ではない外部領域に接しているか否かを判定し、接している場合には、前記第1の領域をさらに分割し、得られる複数の領域の中から、
外部領域との接触度合いと、
前記領域の柱状形状らしさと、
前記領域の体積の大きさと、
前記領域の周囲の形状と、
を総合した評価値に基づいて新たな第1の領域を取得する、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第2の抽出部は、前記第2の領域が、抽出対象領域ではない外部領域に接しているか否かを判定し、接している場合には、前記第2の領域をさらに分割し、得られる複数の領域の中から、
外部領域との接触度合いと、
前記第1の領域との接触度合いと、
前記領域の体積の大きさと、
を総合した評価値に基づいて新たな第2の領域を取得する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第2の抽出部は、前記第3の構造要素の向きを、前記第1の構造要素または前記第2の構造要素とは異なる複数の向きでそれぞれOpening演算を行うことで、前記新たな複数の第2の候補領域を取得し、
前記複数の第2の候補領域の中から、
外部領域との接触度合いと、
前記第1の領域との接触度合いと、
前記領域の体積の大きさと、
を総合した評価値に基づいて前記新たな第2の領域を取得する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記医用画像は、濃淡医用画像に2値化処理とBlack Top-Hat演算とを適用した結果の画像である、請求項1乃至8のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記合成領域を膨張させた領域から、当該領域と前記医用画像に基づく2値化画像とのAnd領域を差分した差分領域に対して、Opening演算及びClosing演算を行うことで、前記柱状領域を生成する、請求項1乃至9のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項11】
3次元の医用画像に対して細長い第1の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第1の候補領域の中から、所定の解剖構造らしさを評価する第1の評価値に基づいて、第1の領域を取得し、
前記医用画像における前記第1の領域の所定方向における端点より外側の領域に対して、前記第1の構造要素とは長手方向が異なる細長い第2の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第2の候補領域の中から、少なくとも前記第1の領域との接触度合いを評価する第2の評価値に基づいて第2の領域を取得し、前記第1の領域と前記第2の領域とを合成した合成領域を取得し、
前記合成領域から柱状領域を生成する、
ことを含む、画像処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させる、画像処理プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の画像処理プログラムを含む、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、画像処理装置、方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療の分野において、様々なモダリティ(医用画像診断装置)から得られた医用画像を解析し、特定の部位の領域を抽出する処理が良く行われている。特に、脊椎の中の脊髄が通っている管である脊柱管のような柱状領域を医用画像から抽出する処理は重要である。
【0003】
グレースケールの医用画像(濃淡医用画像)を入力とし、モルフォロジー演算の一種である3次元Opening演算を使うことで柱状領域を抽出する技術が知られている。例えば、腹部X線CT画像を対象として、体軸(Z軸)方向に広がりをもつ楕円体の構造要素を用いて3次元Opening演算を行い、得られた複数の領域のうち最大体積の領域を柱状領域として抽出する技術が知られている。この技術によって、脊柱管のように、管壁の所々に穴や隙間が開いている管の中の柱状領域を抽出することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】保田竜也 他、“腹部X線CT画像からの脊柱,肋骨,椎間板,脊椎の段階的認識”、J JSCAS vol.19 no.3 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、医用画像から柱状領域を高精度に抽出することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る画像処理装置は、第1の抽出部と、第2の抽出部と、生成部とを備える。第1の抽出部は、3次元の医用画像に対して細長い第1の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第1の候補領域の中から、所定の解剖構造らしさを評価する第1の評価値に基づいて、第1の領域を取得する。第2の抽出部は、前記医用画像における前記第1の領域の所定方向における端点より外側の領域に対して、前記第1の構造要素とは長手方向が異なる細長い第2の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第2の候補領域の中から、少なくとも前記第1の領域との接触度合いを評価する第2の評価値に基づいて第2の領域を取得し、前記第1の領域と前記第2の領域とを合成した合成領域を取得する。生成部は、前記合成領域から柱状領域を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る画像処理装置の処理行程を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る前処理工程のデータフロー図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る第1の抽出工程のデータフロー図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る第1の抽出工程を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る第1の評価値算出処理のデータフロー図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る第2の抽出工程のデータフロー図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る第2の抽出工程のデータフロー図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る第2の抽出工程を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る各工程の解剖学的位置と構造要素の例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る生成工程のデータフロー図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る生成工程を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る外部領域処理のデータフロー図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態に係る第kの抽出工程を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係る第2の抽出工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、画像処理装置、方法、プログラム及び記憶媒体の実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係る画像処理装置、方法、プログラム及び記憶媒体は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態では、モルフォロジー演算による柱状領域の抽出と複数の柱状領域間の接触度合いに基づく連結を繰り返すことで、全体的に湾曲した柱状構造を抽出する。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置10の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、画像処理装置10は、処理回路11と、通信インターフェース12と、記憶回路13と、ディスプレイ14と、入力インターフェース15と、接続部16とを有している。
【0011】
処理回路11は、入力インターフェース15を介してユーザから受け付けた入力操作に応じて、制御機能11aと、前処理機能11bと、第1の抽出機能11cと、第2の抽出機能11dと、生成機能11eとを実行して、画像処理装置10を制御する。ここで、第1の抽出機能11cは、第1の抽出部の一例である。また、第2の抽出機能11dは、第2の抽出部の一例である。また、生成機能11eは、生成部の一例である。
【0012】
制御機能11aは、入力インターフェース15を介した操作に応じて、種々のGUI(Graphical User Interface)や、種々の表示情報を生成して、ディスプレイ14に表示するように制御する。また、制御機能11aは、通信インターフェース12を介して、図示しないネットワーク上の外部装置との情報の送受信を制御する。例えば、制御機能11aは、上記ネットワークに接続されたモダリティや、医用画像保管装置などから、3次元の医用画像(ボリュームデータ)を取得する。
【0013】
前処理機能11bは、制御機能11aによって取得された3次元の医用画像に対象として前処理工程を実行する。第1の抽出機能11cは、前処理工程後の医用画像を対象として第1の抽出工程を実行する。第2の抽出機能11dは、第1の抽出工程後の医用画像を対象として第2の抽出工程を実行する。生成機能11eは、第1の抽出工程の結果と、第2の抽出工程の結果とを用いて生成工程を実行する。なお、各工程については、後に詳述する。
【0014】
上述した処理回路11は、例えば、プロセッサによって実現される。その場合に、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路13に記憶される。そして、処理回路11は、記憶回路13に記憶された各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、処理回路11は、各プログラムを読み出した状態で、
図1に示した各処理機能を有することとなる。
【0015】
なお、処理回路11は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、処理回路11が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路11が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、各処理機能に対応するプログラムが単一の記憶回路13に記憶される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、各処理機能に対応するプログラムが複数の記憶回路が分散して記憶され、処理回路11が、各記憶回路から各プログラムを読み出して実行する構成としても構わない。
【0016】
通信インターフェース12は、画像処理装置10と、ネットワークを介して接続された他の装置との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、通信インターフェース12は、処理回路11に接続されており、他の装置から受信したデータを処理回路11に出力、又は、処理回路11から出力されたデータを他の装置に送信する。例えば、通信インターフェース12は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0017】
記憶回路13は、各種データ及び各種プログラムを記憶する。具体的には、記憶回路13は、処理回路11に接続されており、処理回路11から入力されたデータを記憶、又は、記憶しているデータを読み出して処理回路11に出力する。例えば、記憶回路13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0018】
ディスプレイ14は、各種情報及び各種データを表示する。具体的には、ディスプレイ314は、処理回路11に接続されており、処理回路11から出力された各種情報及び各種データを表示する。例えば、ディスプレイ14は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0019】
入力インターフェース15は、ユーザから各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インターフェース15は、処理回路11に接続されており、ユーザから受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路11に出力する。例えば、入力インターフェース15は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インターフェース、及び音声入力インターフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース15は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース15の例に含まれる。
【0020】
接続部16は、処理回路11と、通信インターフェース12と、記憶回路13と、ディスプレイ14と、入力インターフェース15とを接続するバス等である。
【0021】
以上、画像処理装置10の構成について説明した。かかる構成のもと、画像処理装置10は、医用画像から柱状領域を高精度に抽出することを可能にする。上述したように、脊柱管のような柱状領域を抽出する技術が知られているが、この技術では、例えば、胸腹部を撮影した医用画像における脊柱のS字カーブ全体のように、曲率が変化しながら曲がっている柱状領域を高精度に抽出することができない場合がある。そこで、本実施形態に係る画像処理装置10は、例えば、曲率が変化しながら曲がっている柱状領域についても、医用画像から高精度に抽出するができるように構成されている。以下、画像処理装置10の詳細について説明する。
【0022】
図2は、画像処理装置10の処理工程を示すフローチャートである。画像処理装置10は、濃淡医用画像を入力して、抽出対象である高濃度領域に囲まれた低濃度の柱状領域を表す領域画像を出力する。ここで、濃淡医用画像と領域画像は、共に3次元のボリュームデータである。本実施形態では、濃淡医用画像はX線CT画像であり、高濃度領域は脊柱を構成する椎骨領域であり、低濃度の柱状領域は脊柱管内の脊髄領域を表す。なお、本説明では、脊柱管内の脊髄領域を脊柱管領域と表記する。
【0023】
ここで、
図2におけるステップS10は、処理回路11が、制御機能11aに対応するプログラムを記憶回路13から読み出して実行することで実現される。また、ステップS11は、処理回路11が、前処理機能11bに対応するプログラムを記憶回路13から読み出して実行することで実現される。また、ステップS12は、処理回路11が、第1の抽出機能11cに対応するプログラムを記憶回路13から読み出して実行することで実現される。また、ステップS13及びステップS14は、処理回路11が、第2の抽出機能11dに対応するプログラムを記憶回路13から読み出して実行することで実現される。また、ステップS15は、処理回路11が、生成機能11eに対応するプログラムを記憶回路13から読み出して実行することで実現される。
【0024】
まず、処理回路11は、濃淡医用画像を取得する(ステップS10)。次に、処理回路11は、濃淡医用画像に対して、前処理工程(ステップS11)と、第1の抽出工程(ステップS12)とを順番に実行する。さらに、処理回路11は、第2の抽出工程(ステップS14)をN-1回繰り返した(ステップS13)のち、生成工程(ステップS15)を順番に実行して、領域画像を生成する。
【0025】
ここで、抽出工程の回数Nは2以上の整数である。抽出工程の回数Nは、抽出対象の柱状領域の曲率の変化度合いに応じて決められる。脊柱管を抽出する場合には、Nを4または5程度にするのがよい。
【0026】
なお、本実施形態では、抽出対象の柱状領域を脊柱管領域としたが、これに限らず、高濃度領域に囲まれた低濃度の柱状領域であれば何であってもよい。例えば、四肢の長骨内の髄腔領域を抽出対象の柱状領域としても良い。
【0027】
図3は、前処理工程S11のデータフロー図である。前処理工程S11において、処理回路11は、濃淡医用画像から、高濃度領域(椎骨領域)に囲まれた低濃度の柱状領域(脊柱管領域)の候補領域を粗抽出する。より具体的には、処理回路11は、記憶回路13から濃淡医用画像200を読み出し、各画素値を適当な閾値で分割することで2値化画像201を生成する。本実施形態では、高濃度領域である椎骨領域を十分に分離可能な画素値(例:CT値200)を閾値に採用する。
【0028】
次に、処理回路11は、抽出対象の柱状領域の断面半径より大きな半径を持つ構造要素を使って3次元Closing演算を行い、Closing演算結果画像202を生成する。なお、脊柱管を抽出する場合には、断面半径を15mm程度にするのが良い。さらに、処理回路11は、Closing演算結果画像202から2値化画像201を引き算する(Black Top-Hat演算)ことで、Black Top-Hat演算結果画像203を生成し、これを、柱状領域の候補領域画像210とする。また、処理回路11は、Closing演算結果画像202に対し3次元Erosion演算を適用した後に白黒反転させることで、抽出対象領域の外側の領域を表す外部領域画像204を生成する。
【0029】
なお、本実施形態では、Black Top-Hat演算結果画像203を得る際に、2値化の後でClosing演算と引き算を行ったが、グレースケールのまま(濃淡医用画像のまま)Closing演算と引き算を行ってもよい。
【0030】
図4は、第1の抽出工程S12のデータフロー図である。
図5は、第1の抽出工程S12を示すフローチャートである。
図5のフローチャートの各処理を、
図4のデータフロー図を参照しながら説明する。処理回路11は、3次元の医用画像に対して細長い第1の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第1の候補領域の中から、所定の解剖構造らしさを評価する第1の評価値に基づいて、第1の領域を取得する。例えば、処理回路11は、
図4に示すように、第1の抽出工程S12において、前処理工程S11で得られた柱状領域の候補領域画像(医用画像)210から、不要な領域を取り除いた柱状領域の初期領域(第1の領域)を抽出して、第1の領域を表す第1の領域画像214を生成する。以下、より具体的に説明する。なお、
図5のフローチャート内では、候補領域画像210をIと記述する。また、第1の領域画像214をR1と記述する。
【0031】
ステップS102において、処理回路11は、候補領域画像210(=I)に対して、体軸(Z軸)方向に細長い柱状の構造要素211を用いて3次元Opening演算を行い、演算結果画像212を生成する。なお、
図5のフローチャート内では、演算結果画像212をOと記述する。
【0032】
続いて、ステップS103において、処理回路11は、演算結果画像212(=O)内の連結領域を辿ることで、演算結果画像212内の領域をブロブ(白色領域の塊)に分割し、各ブロブをラベリング(L1、L2、…)したラベル画像213を得る。なお、分割によって生成されたブロブ群の情報は、配列C[:]に格納される。
【0033】
そして、ステップS104において、処理回路11は、ステップS103で得た各ブロブ(=第1の候補領域)に対して、所定の解剖構造(脊柱管)らしさを評価する第1の評価値を算出する処理を行う。ここで、処理回路11は、第1の候補領域と外部領域との接触度合いと、第1の候補領域の柱状形状らしさと、第1の候補領域の体積の大きさと、第2の候補領域の周囲の形状とに基づいて、所定の解剖構造らしさを評価する第1の評価値を算出する。
【0034】
図6は、第1の評価値算出処理S104のデータフロー図である。第1の評価算出処理S104では、処理回路11は、ラベル画像213と、前処理工程S11で生成された外部領域画像204とを読み込む。次に、処理回路11は、各ブロブと外部領域画像204との3次元And演算を行う。And演算結果の体積が大きいならば、処理回路11は、当該ブロブは外部領域との接触度合いが高いと見なし、体積の大きさに応じて(体積が大きいほど)当該ブロブに対して、外部領域との接触度合いが小さい場合よりも、低い評価値を付ける。
【0035】
また、抽出対象が脊柱管の場合、体軸方向に細長い形状をしているという特徴も評価値に反映できる。そこで、処理回路11は、各ブロブのバウンディングボックス218を取得し、体軸方向である縦の長さが横の長さより長いならば、体軸方向に細長い望ましい形状であると見なし、縦横比に応じて当該ブロブに対し、より高い評価値を付ける。なお、抽出対象が脊柱管以外の場合は、その解剖学的特徴を考慮してブロブ形状の評価値を決定してもよい。
【0036】
さらに、なるべく大きなブロブを抽出結果として残したいため、処理回路11は、各ブロブの体積を算出し、体積の大きさに応じて(体積が大きいほど高い)評価値を付ける。最後に、抽出対象が脊柱管の場合、脊柱管と長骨内の髄腔とを区別するために、処理回路11は、ブロブの周囲の形状に基づく評価値を算出する。具体的には、処理回路11は、各ブロブが(椎間孔等に対応する)横向き構造物に多く接触しているならば良い評価値を付ける。処理回路11は、これら4つの評価値を合算して第1の評価値とする。なお、第1の評価値の算出方法は、この方法に限らない。例えば、これら4つの評価値の少なくとも一つに基づいて算出する方法であってもよい。
【0037】
ステップS105において、処理回路11は、ステップS104で算出した第1の評価値の最も高いブロブ(=第1の候補領域)を第1の領域として選択する。そして、処理回路11は、演算結果画像212から当該領域を残した画像を、第1の領域画像214(=R1)として生成する。
【0038】
次に、処理回路11は、ステップS14の第2の抽出工程を所定回数だけ繰り返し実行する(ステップS13)。これにより、処理回路11は、ステップS12で得た第1の領域に複数の第2の領域を合成した合成領域画像Dを生成する。具体的には、処理回路11は、医用画像における第1の領域の所定方向における端点より外側の領域に対して、第1の構造要素とは長手方向が異なる細長い第2の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第2の候補領域の中から、少なくとも第1の領域との接触度合いを評価する第2の評価値に基づいて第2の領域を取得し、第1の領域と第2の領域とを合成した合成領域を取得する。より具体的には、処理回路11は、第1の領域との接触度合いが小さい場合よりも第1の領域との接触度合いが大きい場合の方が、値が高くなる第2の評価値に基づいて、複数の第2の候補領域の中から第2の領域を取得し、第1の領域と合成する。
【0039】
図7は第2の抽出工程S14の初回の場合のデータフロー図、
図8は第2の抽出工程S14の2回目以降のデータフロー図、
図9は第2の抽出工程S14のフローチャートを表す。
図9のフローチャートの各処理を、
図7、8のデータフロー図を参照しながら説明する。例えば、第2の抽出工程S14において、処理回路11は、事前の処理で得られた柱状領域(第1の領域)の端点を基準にして、当該第1の領域に接続する度合いが高い柱状領域(第2の領域)を新たに抽出する。そして、処理回路11は、第1の領域と第2の領域を合成した領域を新たな第1の領域とする。以下に、具体的な説明をする。
【0040】
ステップS200において、処理回路11は、入力として、第1の領域画像214をR1、候補領域画像210をI,外部領域画像204をE、第1の領域の端点の構造要素をS[1]、S[2]と定義する。また、処理回路11は、出力として、新たに生成される第1の領域画像をR1’、新たに設定される端点の構造要素をS’[1]、S’[2]と定義する。そして、処理回路11は、第1の領域画像R1と候補領域画像I,外部領域画像Eを読み込む。
【0041】
ステップS201において、処理回路11は、第1の領域画像R1における第1の領域のZ軸方向の端点(上端P1、下端P2)を特定する。そして、処理回路11は、各端点(P1、P2)に対して、対応する構造要素S[1]、S[2]を関連付ける。
図7の例では、第1の領域画像214(=画像R1)上で上端P1、下端P2が特定されている。ここで、
図7の例のように、第2の抽出工程S14の処理が初回の場合には、処理回路11は、構造要素S[1]、S[2]として、第1の抽出工程S12で用いたZ方向に細長い構造要素211を設定する。一方、第2の抽出工程S14の処理が2回目以降の場合には、処理回路11は、構造要素S[1]、S[2]として、前回以前の第2の抽出工程で第2の領域を抽出する際に用いた構造要素を設定する。
【0042】
ステップS202において、処理回路11は、第1の領域の上端P1より上側の領域(Z軸負の方向の領域)をU、第1の領域の下端P2より下側の領域(Z軸正の方向の領域)をLと設定する。
【0043】
ステップS203において、処理回路11は、上側の領域Uと下側の領域Lのうち、体積の大きい方を、処理対象の外側領域Tと設定する。例えば、処理回路11は、
図7の第2の抽出工程(初回)の例では、第1の領域画像214(R1)において上端P1より上側の領域Uの方が、下端P2より下側の領域Lよりも体積が大きいため、領域Uを処理対象の外側領域Tとして設定する。なお、ここでは上端側と下端側の領域のうち体積の大きい方を選択したが、それ以外の選択方法でも構わない。例えば、
図10に示すように事前に決められた方を選択してもよい。
【0044】
ステップS204において、処理回路11は、処理対象の外側領域Tと候補領域画像IのAND演算を行い、処理対象の外側候補領域画像Aを生成する。
図7の例では、処理回路11は、処理対象の外側候補領域画像221(=画像A)として、候補領域画像Iのうち、上端P1より上側の領域(領域T=領域U)が切り出された画像が生成されている。
【0045】
ステップS205において、処理回路11は、処理対象の外側領域Tが第1の領域より上側(Z軸負の方向)の場合は、変数i=1と設定し、処理対象の外側領域Tが第1の領域より下側(Z軸正の方向)の場合は、変数i=2と設定する。このとき、処理対象の端点の構造要素をS[i]とすると、処理対象の外側領域Tが第1の領域より上側の場合は、処理対象の端点の構造要素はS[1]となり、第1の領域の上端の構造要素が対象となる。一方、処理対象の外側領域Tが第1の領域より下側の場合は、処理対象の端点の構造要素はS[2]となり、第1の領域の下端の構造要素が対象となる。
図7の例では第1の領域より上側が処理対象のためi=1となり、上端の構造要素S[1]が処理対象となる。
【0046】
ステップS206において、処理回路11は、端点の新たな構造要素S’[i]として、S[i]とは異なる向きの構造要素を設定する。ここで、構造要素S’[i]の傾き度合いは、処理対象の外側候補領域画像Aの大まかな解剖学的位置に応じて事前に定めた傾き度合いを選択する。例えば、脊柱管抽出の場合には、
図10に示すように事前に定めた傾き度合いを選択する。
【0047】
図10は、脊柱管抽出の場合における各工程の抽出対象領域の大まかな解剖学的位置と構造要素の形状の例である。例えば、2番目の抽出工程(第2の抽出工程の初回)の場合には、外側候補領域画像Aが胸椎上部付近の領域になることが経験的に分かっている。このため、処理回路11は、構造要素S’[i]の傾き度合いとして、Z軸をX軸回りにやや反時計回りに回転させた向きの構造要素を選択する(
図7における構造要素222)。
【0048】
なお、構造要素の向きの選択方法はこの方法に限らない。例えば、外側候補領域画像Aに最も整合する直線を推定し、その直線の角度を構造要素S’[i]の傾きとして設定するようにしてもよい。例えば、外側候補領域画像A上で上端P1を回転の基準点、構造要素S[i]の向きを初期値にして、方向を示す直線lを所定の範囲内(例:X軸回りに±45°)で徐々に回転させ、直線lと画像A上の外側候補領域が最も整合するときの直線の傾きを、S’[i]の向きとして採用することで、直線を推定できる。このとき、直線lと画像A上の外側候補領域の整合度合いの算出方法としては、直線lと画像A上の外側候補領域の重なる量の大きさで計算できる。なお、直線lに所定の幅の太さを持たせた細長い領域と外側候補領域の重なる量(体積)の大きさによって整合度合いを計算するようにしてもよい。また、外側候補領域画像Aに対してハフ変換などの公知技術による直線フィッティングを行うことで、直線を推定するようにしてもよい。
【0049】
ステップS207において、処理回路11は、外側候補領域画像Aを構造要素S[i]でOpening演算した演算結果画像Oを生成する。
図7の例では、外側候補領域画像221(=A)を構造要素222(=S[1])でOpening演算した画像223が、演算結果画像Oとして取得されている。
【0050】
ステップS208において、処理回路11は、演算結果画像O内の連結領域を辿ることでブロブに分割し、ラベリング(L1、L2、…)する。処理回路11は、分割によって生成されたブロブ群を配列C[:]に格納する。
図7の例では、演算結果画像OからL1とL2の2つの領域がラベリングされている。
【0051】
ステップS209において、処理回路11は、各ブロブC[:](=第2の候補領域)に対して、第2の評価値算出処理を行い、評価値の最も高いブロブを残すことで、第2の領域画像R2を生成する。例えば、処理回路11は、各ブロブについて、第1の領域との接触度合いが大きくなるにつれて値が高くなる評価値(第2の評価値)を算出し、最も高い評価値を示すブロブを取得する。すなわち、処理回路11は、第1の領域と接触している領域が最も大きいブロブを取得する。ここで、処理回路11は、第1の領域との接触度合いに加えて、第2の候補領域と外部領域との接触度合いと、第2の候補領域の体積の大きさとに基づいて、第2の評価値を算出することもできる。この場合、処理回路11は、第1の領域との接触度合いが大きくなるほど高い値を示し、外部領域との接触度合いが小さくなるほど高い値を示し、体積が大きくなるほど高い値を示す第2の評価値を算出する。
【0052】
例えば、第2の評価値算出処理において、処理回路11は、まず、第1の領域画像214にDilation演算を行った結果画像と各ブロブとの間でそれぞれAnd演算を行う。And演算結果の体積が大きいならば、処理回路11は、当該ブロブは第1の領域との接触度合いが高く柱状に連続していると見なし、And演算結果の体積に応じて当該ブロブに良い評価値を付ける。さらに、なるべく大きなブロブを抽出結果として残したいため、処理回路11は、各ブロブの体積を算出し、体積の大きさに応じて当該ブロブに高い評価値を付ける。また、第1の評価値算出処理と同様に、処理回路11は、外部領域との接触度合いに応じて当該ブロブに低い評価値を付ける。処理回路11は、これら3つの評価値を合算して第2の評価値とする。なお、第2の評価値の算出方法は、この方法に限らない。例えば、これら3つの評価値の少なくとも一つに基づいて算出する方法であってもよい。
図7の例では、ラベルL1に対応するブロブが選択された結果、第2の領域画像225(=画像R2)が取得されている。
【0053】
ステップS210において、処理回路11は、元の第1の領域画像R1と第2の領域画像R2とをOr演算によって合成して、新たな第1の領域画像R1’を生成する。
【0054】
以上のようにして、第2の抽出工程S14の処理が行われる。上記では
図2のフローチャートで合計N-1回繰り返し実行される第2の抽出工程の初回を例にして説明した。以降、第2の抽出工程の2回目以降の処理を、
図8を参照しながら説明する。第2の抽出工程の2回目以降の処理では、処理回路11は、さらに、直前に合成した合成領域を新たな第1の領域として、当該新たな第1の領域の所定方向における端点より外側の領域に対して、端点に近接する内側の領域を抽出した構造要素とは長手方向が異なる細長い第3の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる新たな複数の第2の候補領域の中から、第2の評価値に基づいて新たな第2の領域を取得し、新たな第1の領域と新たな第2の領域とを合成して新たな合成領域を取得する。
【0055】
例えば、ステップS200において、処理回路11は、前回実行された第2の抽出工程で生成された第1の領域画像R1’および、第1の領域の端点の構造要素S’[1]、S’[2]を、入力である第1の領域R1および、第1の領域の端点の構造要素S[1]、S[2]として取得する。
図8の例では、処理回路11は、前回の第1の領域と第2の領域が合成された画像(=画像R1’)を今回の第1の領域画像240(=画像R1)として取得している。そして、処理回路11は、上述と同様に、ステップS201~S202を実行する。さらに、処理回路11は、ステップS203において、体積が大きい方を処理対象として選択し、ステップS204において、処理対象の外側領域Tと候補領域画像IのAND演算を行った結果、
図8の例では、処理対象の外側候補領域画像Aとして、下端P2よりも下側の候補領域を設定する。
【0056】
次に、ステップS205において、処理回路11は、変数i=2を設定し、ステップS206において、端点の構造要素S’[2]として、
図10に示すように、処理対象の外側候補領域画像Aの大まかな解剖学的位置に応じた傾き度合いを選択した結果、
図8の例では、Z軸をX軸回りにやや反時計回りに回転させた向きの構造要素242を設定する。そして、処理回路11は、上述と同様に、ステップS207~S209を実行した結果、
図8の例では、Opening演算結果画像243(=画像O)を経て、第2の領域画像245(=画像R2)を生成する。最後に、処理回路11は、ステップS210の処理を行い、第1の領域画像R1と第2の領域画像R2を合成した新たな第1の領域画像R1’を生成する。
【0057】
処理回路11は、以上の処理をN-1回行い、最後に生成した新たな第1の領域画像R1’を、合成領域画像Dとする。
【0058】
このように、処理回路11は、第2の抽出工程S14の処理を繰り返すことで、構造要素の角度を変化させながら第2の領域R2の抽出を繰り返し実行して、第1の領域R1に対して順次連結(合成)して第1の領域R1を上下に拡張していく。これにより、処理回路11は、抽出対象である柱状領域がZ軸方向に真っ直ぐに伸びずに湾曲している場合でも、抽出することができる。
【0059】
図11は、生成工程S15のデータフロー図である。
図12は、生成工程S15を示すフローチャートである。
図12のフローチャートの各処理を、
図11を参照しながら説明する。処理回路11は、合成領域から柱状領域を生成する。具体的には、生成工程S15において、処理回路11は、S14までの処理で生成した合成領域画像Dに基づいて、より精密な抽出画像を生成する。例えば、処理回路11は、合成領域を膨張させた領域から、当該領域と医用画像に基づく2値化画像とのAnd領域を差分した差分領域に対して、Opening演算及びClosing演算を行うことで、柱状領域を生成する以下に、具体的な説明をする。
【0060】
ステップS300において、処理回路11は、S14までの処理で生成した合成領域画像Dを読み込む。
図11の例では、第1の抽出工程S12の後、第2の抽出工程S14を2回繰り返して得られた合成領域画像250(=D)が入力されている。また、処理回路11は、前処理工程S11で生成した2値化画像201を2値化画像Bとして読み込む。
【0061】
ステップS301において、処理回路11は、実際の抽出対象を十分に含むように合成領域画像DにDilation演算を行い、少し膨らんだ結果画像を生成する。そして、Dilation演算の結果画像を、処理前の画像Dと置き換えて新たな画像Dとする。
図11の例では、合成領域画像250に基づき、Dilation演算結果画像251が得られている。
【0062】
ステップS302において、処理回路11は、実際の抽出対象の形状を精密に抽出するために、画像Dに含まれている、抽出対象(脊柱管領域)を取り囲む高濃度領域(椎骨領域)を取り除く処理を行う。具体的には、処理回路11は、Dilation演算結果画像Dと前処理工程S11で生成した2値化画像BとをAnd演算した後、Dilation演算結果画像DからAnd演算領域を引くことで、柱状領域画像を得る。そして、処理回路11は、得られた柱状領域画像を、処理前のDと置き換えて新たな画像Dとする。
図11の例では、Dilation演算結果画像251(=画像D)と2値化画像201(=画像B)のAnd演算結果画像252を生成したのち、画像251から画像252を引くことで、柱状領域画像253が得られている。
【0063】
ステップS303において、処理回路11は、柱状領域画像Dの外側のノイズを除去するために、画像Dに対してOpening演算を行う。そして、得られたOpening演算結果画像を、処理前のDと置き換えて新たな画像Dとする。
【0064】
ステップS304において、処理回路11は、柱状領域画像Dの内側のノイズを除去するために、画像Dに対してClosing演算を行う。そして、得られたClosing演算結果を、最終的な柱状領域画像Fとして取得する。
【0065】
また、柱状領域の抽出精度を高めるために、処理回路11は、ステップS301からS303を複数回繰り返しても良い。また、柱状領域を精密抽出する方法は本フローチャートの処理に限らない。例えば、S14までに得られた合成領域画像Dに対して、合成領域画像D内の領域を初期値として、公知の領域抽出手法(領域拡張法、Snakes、Level Set法、Graph Cut法など)を適用することで、柱状領域を精密抽出するようにしてもよい。
【0066】
上述したように、第1の実施形態によれば、第1の抽出機能11cは、3次元の医用画像に対して細長い第1の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第1の候補領域の中から、所定の解剖構造らしさを評価する第1の評価値に基づいて、第1の領域を取得する。第2の抽出機能11dは、医用画像における第1の領域の所定方向における端点より外側の領域に対して、第1の構造要素とは長手方向が異なる細長い第2の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる複数の第2の候補領域の中から、少なくとも第1の領域との接触度合いを評価する第2の評価値に基づいて第2の領域を取得し、第1の領域と第2の領域とを合成した合成領域を取得する。生成機能11eは、合成領域から柱状領域を生成する。したがって、第1の実施形態に係る画像処理装置10は、複数の領域に分けて柱状領域を抽出することができ、医用画像から柱状領域を高精度に抽出することを可能にする。すなわち、本実施形態に係る画像処理装置10を用いることで、脊柱管のように管壁の所々に穴や隙間が開いていて、かつ、曲率が変化しながら曲がっている管の中の柱状領域を医用画像から精度よく抽出できる。
【0067】
また、第1の実施形態によれば、第2の抽出機能11dは、第1の領域との接触度合いが小さい場合よりも第1の領域との接触度合いが大きい場合の方が、値が高くなる第2の評価値に基づいて、複数の第2の候補領域の中から第2の領域を取得する。したがって、第1の実施形態に係る画像処理装置10は、複数の領域における柱状領域の抽出をより精度よく行うことを可能にする。
【0068】
また、第1の実施形態によれば、第2の抽出機能11dは、さらに、直前に合成した合成領域を新たな第1の領域として、当該新たな第1の領域の所定方向における端点より外側の領域に対して、端点に近接する内側の領域を抽出した構造要素とは長手方向が異なる細長い第3の構造要素によるOpening演算を行うことで得られる新たな複数の第2の候補領域の中から、第2の評価値に基づいて新たな第2の領域を取得し、新たな第1の領域と前記新たな第2の領域とを合成して新たな合成領域を取得する。したがって、第1の実施形態に係る画像処理装置10は、曲率が変化しながら曲がる管の中の柱状領域を長手方向に沿って精度よく抽出することを可能にする。
【0069】
また、第1の実施形態によれば、第1の抽出機能11cは、第1の候補領域と外部領域との接触度合いと、第1の候補領域の柱状形状らしさと、第1の候補領域の体積の大きさと、第2の候補領域の周囲の形状とに基づいて、第1の評価値を算出する。したがって、第1の実施形態に係る画像処理装置10は、脊柱管に対応する柱状領域を精度よく抽出することを可能にする。
【0070】
また、第1の実施形態によれば、第2の抽出機能11dは、第1の領域との接触度合いに加えて、第2の候補領域と外部領域との接触度合いと、第2の候補領域の体積の大きさとに基づいて、第2の評価値を算出し、第2の評価値は、第1の領域との接触度合いが大きくなるほど高い値を示し、外部領域との接触度合いが小さくなるほど高い値を示し、体積が大きくなるほど高い値を示す。したがって、第1の実施形態に係る画像処理装置10は、脊柱管に対応する柱状領域を精度よく抽出することを可能にする。
【0071】
また、第1の実施形態によれば、医用画像は、濃淡医用画像に2値化処理とBlack Top-Hat演算とを適用した結果の画像である。したがって、第1の実施形態に係る画像処理装置10は、柱状領域の抽出処理を容易に行うことを可能にする。
【0072】
また、第1の実施形態によれば、生成機能11eは、合成領域を膨張させた領域から、当該領域と医用画像に基づく2値化画像とのAnd領域を差分した差分領域に対して、Opening演算及びClosing演算を行うことで、柱状領域を生成する。したがって、第1の実施形態に係る画像処理装置10は、柱状領域を精密に抽出することを可能にする。
【0073】
(第2の実施形態)
本願に係る別の実施形態としては、各抽出工程で出力された柱状領域が、抽出対象領域の外部に接している場合の処理を追加した実施形態が考えられる。特に、脊柱管は回りを複数個の椎骨で囲まれているため、椎骨と椎骨の間に椎間孔のような隙間が存在している。このため、抽出された柱状領域がこの隙間からはみ出すことがある。椎骨の外部領域に接するような脊柱管領域は解剖学的に不適当であり、これを排除するような処理を行うことが好ましい。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して各抽出工程に係る処理が異なる。以下、これを中心に説明する。
【0074】
図13は外部領域処理のデータフロー図である。外部領域処理は、第1と第2の抽出工程どちらにも組み込むことが可能なので、以下では第kとして説明する。
図14は、外部領域特殊処理を組み込んだ場合の第kの抽出工程を示すフローチャートである。
図14の破線で囲まれた部分の処理は、k=1(第1の抽出工程S12)の場合は、第1の実施形態のステップS100からS102と同じ処理のため、説明を省略する。k=2(第2の抽出工程S14)の場合は、第1の実施形態のステップS200からS207と同じ処理のため、説明を省略する。
【0075】
ステップS408において、処理回路11は、演算結果画像O内の連結領域を辿ることでブロブに分割し、ラベリング(L1、L2、…)する。本ステップでは、分割によって生成されたブロブ群を配列C[:]に格納している。
【0076】
ステップS409において、処理回路11は、各ブロブC[:]に対して、第kの評価値算出処理を行い、評価値の最も高いブロブを残すことで、第kの領域画像候補Xを生成する。k=1の場合は第1の評価算出処理S104を行い、第1の領域画像R1を生成する。k=2の場合は第2の評価算出処理S209を行い、第2の領域画像R2を生成する。
図13の例では、第kの領域画像候補260(=画像X)が生成されている。
【0077】
ステップS410において、処理回路11は、外部領域画像Eと領域画像候補XとのAnd演算を行い、その結果が空かどうかを判定する。空の場合は、外部領域に接してはいないと見なし、ステップS412に移る。空ではない場合は、外部領域に接しているとみなし、ステップS411に移る。
図13の例では、外部領域画像261(=画像E)と領域画像候補260(=画像X)とのAnd演算した結果画像262が取得された結果、空ではないため、外部領域に接していると判定されている。
【0078】
ステップS411において、処理回路11は、領域画像候補Xを分割した画像を生成し、演算結果画像Oを生成した画像に置き換える。領域画像候補Xの分割方法は例えば、Opening演算等の分割する方法を用いる。そして、再びステップS408へと処理を移し、ステップS409、S410が実行される。
図13の例では、領域画像候補260が分割された結果画像263が取得され、ステップS408で領域が分割された結果画像263において、L1、L2の領域がラベリングされている。そして、ステップS409で評価値が高いL1の領域が選択される。
【0079】
すなわち、処理回路11は、第1の領域が、抽出対象領域ではない外部領域に接しているか否かを判定し、接している場合には、第1の領域をさらに分割し、得られる複数の領域の中から、外部領域との接触度合いと、前記領域の柱状形状らしさと、前記領域の体積の大きさと、前記領域の周囲の形状と、を総合した評価値に基づいて新たな第1の領域を取得する。また、処理回路11は、第2の領域が、抽出対象領域ではない外部領域に接しているか否かを判定し、接している場合には、前記第2の領域をさらに分割し、得られる複数の領域の中から、外部領域との接触度合いと、前記第1の領域との接触度合いと、前記領域の体積の大きさと、を総合した評価値に基づいて新たな第2の領域を取得する。このように、ステップS408~S411の処理を繰り返すことにより、領域画像候補Xは外部領域に接している柱状領域がなくなるまで、領域が削り落とされる処理が行われる。
【0080】
ステップS412において、処理回路11は、領域画像候補Xを最終的な第kの領域画像Rkとする。
図13の例では第kの領域画像264(=Rk)が取得されている。
【0081】
ステップS413において、処理回路11は、k=2(第2の抽出工程S14)の場合のみ、ステップS210と同様に、新たな第1の領域画像R1’を、元の第1の領域画像R1と第kの領域画像Rk(=R2)とのOr演算によって生成する。
【0082】
上述したように、第2の実施形態によれば、第1の抽出機能11cは、第1の領域が、抽出対象領域ではない外部領域に接しているか否かを判定し、接している場合には、第1の領域をさらに分割し、得られる複数の領域の中から、外部領域との接触度合いと、領域の柱状形状らしさと、前記領域の体積の大きさと、前記領域の周囲の形状と、を総合した評価値に基づいて新たな第1の領域を取得する。したがって、第2の実施形態に係る画像処理装置10は、外部領域を排除することができ、柱状領域を高精度に抽出することを可能にする。
【0083】
また、第2の実施形態によれば、第2の抽出機能11dは、第2の領域が、抽出対象領域ではない外部領域に接しているか否かを判定し、接している場合には、第2の領域をさらに分割し、得られる複数の領域の中から、外部領域との接触度合いと、第1の領域との接触度合いと、領域の体積の大きさと、を総合した評価値に基づいて新たな第2の領域を取得する。したがって、第2の実施形態に係る画像処理装置10は、外部領域を排除することができ、柱状領域を高精度に抽出することを可能にする。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置10を用いることで、抽出対象領域の外部に接するような柱状領域を排除し、脊柱管領域のような周りを隙間の開いた骨に囲まれた柱状領域に対する抽出精度を高めることが可能である。
【0085】
(第3の実施形態)
本願に係る別の実施形態としては、脊柱側弯症のような病的な脊柱管の曲がりへの対応が考えられる。この場合、
図9のステップS206において構造要素の向きを決める際に、一般的な解剖学的位置に応じて事前に定めておいた傾き度合いを選択することが出来ない。このため、傾き度合いを変えた複数の向きの構造要素を試す必要がある。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態と比較して第2の抽出工程に係る処理が異なる。以下、これを中心に説明する。
【0086】
図15は、複数の向きの構造要素試行を組み込んだ場合の第2の抽出工程を示すフローチャートである。
図15の破線に囲まれた部分の処理は、第1の実施形態のステップS200からS205と同じ処理のため、説明を省略する。処理回路11は、第3の構造要素の向きを、第1の構造要素または第2の構造要素とは異なる複数の向きでそれぞれOpening演算を行うことで、新たな複数の第2の候補領域を取得し、複数の第2の候補領域の中から、外部領域との接触度合いと、第1の領域との接触度合いと、領域の体積の大きさと、を総合した評価値に基づいて新たな第2の領域を取得する。
【0087】
ステップS506において、処理回路11は、前回の第2の抽出工程で用いられた構造要素S[i]の向きとは異なる向きの複数の構造要素群をJ個生成し、配列s[:]に格納する。例えば、処理回路11は、構造要素S[i]を基準にして、角度を所定の範囲内(例:X軸回りに±45°)で、所定間隔(例:5°間隔)で順に回転させた際の夫々の構造要素の集合(例:合計18個)を構造要素群とすることができる。また、所定の回数だけランダムに角度を変更した際の(ただし、S[i]と同じ角度は除く)構造要素の集合を構造要素群としてもよい。
【0088】
ステップS507において、処理回路11は、ステップS508からS510の処理を構造要素s[:]の個数分(J回))だけ繰り返す。このとき、ステップS510で生成された第2の領域画像を別々にJ個分格納する配列r2[:]を確保しておく。
【0089】
ステップS508は、Opening演算に用いる構造要素が、第1の実施形態のステップS207では、S’[i]であったのに対し、本ステップではs[j]である点以外は同じ処理である。
【0090】
ステップS509の処理は、第1の実施形態のステップS208と同じである。
【0091】
ステップS510は、生成される第2の領域画像が、第1の実施形態のステップS209がR2であったのに対し、本ステップではr2[j]である点以外は同じ処理である。
【0092】
ステップS511において、処理回路11は、生成された第2の領域画像群r2[:]の中で、ステップS510の第2の評価値が最も高かった領域のインデックスjmaxを取得する。これにより、複数の構造要素の候補の中から、最も適した向きの構造要素を抽出することができる。
【0093】
ステップS512において、処理回路11は、画像r2[jmax]を画像R2に格納し、構造要素s[jmax]を構造要素S’[i]に格納する。
【0094】
ステップS513は、第1の実施形態のステップS210と同じ処理である。
【0095】
上述したように、第3の実施形態によれば、第2の抽出機能11dは、第3の構造要素の向きを、第1の構造要素または第2の構造要素とは異なる複数の向きでそれぞれOpening演算を行うことで、新たな複数の第2の候補領域を取得し、複数の第2の候補領域の中から、外部領域との接触度合いと、第1の領域との接触度合いと、領域の体積の大きさと、を総合した評価値に基づいて新たな第2の領域を取得する。したがって、第3の実施形態に係る画像処理装置10は、一般的な解剖学構造以外の構造についても高精度に抽出することを可能にする。すなわち、本実施形態に係る画像処理装置を用いることで、脊柱側弯症のように病的に脊柱管が曲がっている場合でも、柱状領域の抽出精度を高めることが可能である。
【0096】
(その他の実施形態)
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体(記憶媒体)等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、撮像装置、Webアプリケーション等)から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0097】
また、上述した実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0098】
ここで、プロセッサによって実行される画像処理プログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、この画像処理プログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、この画像処理プログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体から医用情報処理プログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0099】
また、上述した実施形態において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0100】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0101】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、医用画像から柱状領域を高精度に抽出することができる。
【0102】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
10 画像処理装置
11a 制御機能
11b 前処理機能
11c 第1の抽出機能
11d 第2の抽出機能
11e 生成機能