(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/32 20200101AFI20250304BHJP
D06F 39/02 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
D06F33/32
D06F39/02 A
D06F39/02 B
(21)【出願番号】P 2021176554
(22)【出願日】2021-10-28
【審査請求日】2024-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】川口 弘暁
(72)【発明者】
【氏名】小倉 範史
(72)【発明者】
【氏名】西村 好美
(72)【発明者】
【氏名】林 美穂
(72)【発明者】
【氏名】増田 美穂
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-065409(JP,A)
【文献】特開平04-338488(JP,A)
【文献】特開2019-042265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0264374(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113026307(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F33/00-33/76
D06F39/00-39/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容可能な収容槽と、
第1洗剤および前記第1洗剤に対して前記洗濯物を傷め難い性質があるとともに洗浄力が弱い傾向がある第2洗剤を含む洗濯処理剤を貯留可能なタンクを複数備え、前記複数のタンクのうちのいずれかに貯留された前記洗濯処理剤を前記収容槽内に自動的に投入する自動投入動作を実行することができる自動投入装置と、
前記自動投入装置の動作を制御するとともに前記収容槽内に収容された前記洗濯物を洗濯する複数のコースを有する洗濯運転を実行することができる制御装置と、
ユーザからの各種の操作を受け付けるための操作部と、
を備え、
前記制御装置は、前記操作部に対する所定の操作に基づいて前記複数のタンクの中から前記自動投入動作の対象とする対象タンクの選択を行うようになって
おり、
前記制御装置は、前記第1洗剤を用いる状態から前記第2洗剤を用いる状態へと前記対象タンクの選択が変更された場合、前記洗濯運転に含まれる前記洗濯物を洗う洗い動作の時間を長くするようになっている洗濯機。
【請求項2】
洗濯物を収容可能な収容槽と、
第1洗剤および前記第1洗剤に対して前記洗濯物を傷め難い性質があるとともに洗浄力が弱い傾向がある第2洗剤を含む洗濯処理剤を貯留可能なタンクを複数備え、前記複数のタンクのうちのいずれかに貯留された前記洗濯処理剤を前記収容槽内に自動的に投入する自動投入動作を実行することができる自動投入装置と、
前記自動投入装置の動作を制御するとともに前記収容槽内に収容された前記洗濯物を洗濯する複数のコースを有する洗濯運転を実行することができる制御装置と、
ユーザからの各種の操作を受け付けるための操作部と、
を備え、
前記制御装置は、前記操作部に対する所定の操作に基づいて前記複数のタンクの中から前記自動投入動作の対象とする対象タンクの選択を行うようになって
おり、
前記制御装置は、前記第1洗剤を用いる状態から前記第2洗剤を用いる状態へと前記対象タンクの選択が変更された場合、前記洗濯運転における前記収容槽の回転動作を弱めるようになっている洗濯機。
【請求項3】
洗濯物を収容可能な収容槽と、
第1洗剤および前記第1洗剤に対して前記洗濯物を傷め難い性質があるとともに洗浄力が弱い傾向がある第2洗剤を含む洗濯処理剤を貯留可能なタンクを複数備え、前記複数のタンクのうちのいずれかに貯留された前記洗濯処理剤を前記収容槽内に自動的に投入する自動投入動作を実行することができる自動投入装置と、
前記自動投入装置の動作を制御するとともに前記収容槽内に収容された前記洗濯物を洗濯する複数のコースを有する洗濯運転を実行することができる制御装置と、
ユーザからの各種の操作を受け付けるための操作部と、
を備え、
前記制御装置は、前記操作部に対する所定の操作に基づいて前記複数のタンクの中から前記自動投入動作の対象とする対象タンクの選択を行うようになって
おり、
前記制御装置は、前記第1洗剤を用いる状態から前記第2洗剤を用いる状態へと前記対象タンクの選択が変更された場合、前記洗濯運転における前記収容槽内の水の流れを抑制するようになっている洗濯機。
【請求項4】
洗濯物を収容可能な収容槽と、
第1洗剤および前記第1洗剤に対して前記洗濯物を傷め難い性質があるとともに洗浄力が弱い傾向がある第2洗剤を含む洗濯処理剤を貯留可能なタンクを複数備え、前記複数のタンクのうちのいずれかに貯留された前記洗濯処理剤を前記収容槽内に自動的に投入する自動投入動作を実行することができる自動投入装置と、
前記自動投入装置の動作を制御するとともに前記収容槽内に収容された前記洗濯物を洗濯する複数のコースを有する洗濯運転を実行することができる制御装置と、
ユーザからの各種の操作を受け付けるための操作部と、
を備え、
前記制御装置は、前記操作部に対する所定の操作に基づいて前記複数のタンクの中から前記自動投入動作の対象とする対象タンクの選択を行うようになって
おり、
前記制御装置は、前記第1洗剤を用いる状態から前記第2洗剤を用いる状態へと前記対象タンクの選択が変更された場合、前記洗濯運転において前記洗濯物をつけおきするつけおき動作を行うようになっている洗濯機。
【請求項5】
洗濯物を収容可能な収容槽と、
第1洗剤および前記第1洗剤に対して前記洗濯物を傷め難い性質があるとともに洗浄力が弱い傾向がある第2洗剤を含む洗濯処理剤を貯留可能なタンクを複数備え、前記複数のタンクのうちのいずれかに貯留された前記洗濯処理剤を前記収容槽内に自動的に投入する自動投入動作を実行することができる自動投入装置と、
前記自動投入装置の動作を制御するとともに前記収容槽内に収容された前記洗濯物を洗濯する複数のコースを有する洗濯運転を実行することができる制御装置と、
ユーザからの各種の操作を受け付けるための操作部と、
を備え、
前記制御装置は、前記操作部に対する所定の操作に基づいて前記複数のタンクの中から前記自動投入動作の対象とする対象タンクの選択を行うようになって
おり、
前記制御装置は、前記第2洗剤を用いる状態から前記第1洗剤を用いる状態へと前記対象タンクの選択が変更された場合、前記洗濯運転に含まれる前記洗濯物を洗う洗い動作の時間を短くするようになっている洗濯機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記操作部に対する所定の操作に基づいて、前記複数のコースのそれぞれ毎に、前記自動投入動作を実行するか否かを決定するとともに前記対象タンクの選択を行うようになっている請求項1
から5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記対象タンクの選択に関する情報を記憶する記憶部を備えている請求項1
から6のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記複数のコースには、標準的な運転内容の第1コースと、前記第1コースに比べて前記洗濯物を傷め難い運転内容の第2コースと、が含まれており、
前記制御装置は、
前記第1コースおよび前記第2コースの双方に対して前記第2洗剤を用いるように前記対象タンクの選択が行われている場合、
前記第1コースで前記洗濯運転を実行する際の前記自動投入動作における前記洗濯処理剤の投入量を、前記第2コースで前記洗濯運転を実行する際の前記自動投入動作における前記洗濯処理剤の投入量に比べて少なくするようになっている請求項1から
7のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記複数のコースには、標準的な運転内容の第1コースと、前記第1コースに比べて前記洗濯物を傷め難い運転内容の第2コースと、が含まれており、
前記制御装置は、
前記第1コースおよび前記第2コースの双方に対して前記第1洗剤を用いるように前記対象タンクの選択が行われている場合、
前記第2コースで前記洗濯運転を実行する際の前記自動投入動作における前記洗濯処理剤の投入量を、前記第1コースで前記洗濯運転を実行する際の前記自動投入動作における前記洗濯処理剤の投入量に比べて少なくするようになっている請求項1から
7のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記制御装置は、
前記収容槽内に収容された前記洗濯物の種類を判別する種類判別部を備え、
前記種類判別部により判別された前記洗濯物の種類に基づいて前記自動投入動作における前記洗濯処理剤の投入量を変更するようになっている請求項1から
9のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記制御装置は、前記種類判別部により判別された前記洗濯物の種類に基づいて前記対象タンクの選択を変更するようになっている請求項1
0に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記制御装置は、前記種類判別部により判別された前記洗濯物の種類に基づいて前記洗濯運転における前記収容槽の回転動作を強めるようになっている請求項1
0または1
1に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記制御装置は、前記種類判別部により判別された前記洗濯物の種類に基づいて前記洗濯運転における前記収容槽の回転動作を弱めるようになっている請求項1
0または1
1に記載の洗濯機。
【請求項14】
前記制御装置は、前記種類判別部により判別された前記洗濯物の種類に基づいて前記洗濯運転に含まれる前記洗濯物を洗う洗い動作の時間を変更するようになっている請求項11から1
3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項15】
前記制御装置は、
前記複数のタンクのそれぞれについて貯留された前記洗濯処理剤が予め定められた種類のものとは異なる種類のものとなっている誤投入を検知する誤投入検知部を備え、
前記誤投入検知部により前記誤投入が検知されると、その旨をユーザに報知する報知動作を実行するようになっている請求項1から1
4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項16】
前記制御装置は、前記誤投入検知部により前記誤投入が検知されると、前記収容槽内に投入された前記洗濯処理剤を排出する排出動作を実行するようになっている請求項1
5に記載の洗濯機。
【請求項17】
前記制御装置は、前記誤投入検知部により前記対象タンクについての前記誤投入が検知されると、前記対象タンクとは異なる別の前記タンクに貯留された前記洗濯処理剤を前記収容槽内に投入するように前記自動投入装置の動作を制御するようになっている請求項1
5または
16に記載の洗濯機。
【請求項18】
前記制御装置は、
前記複数のタンクのそれぞれについて、貯留された前記洗濯処理剤が予め定められた下限量未満である状態または予め定められた装着箇所に正しく装着されていない状態である処理剤不足を検知する不足検知部を備え、
前記不足検知部により前記対象タンクについての前記処理剤不足が検知されると、前記対象タンクとは異なる別の前記タンクに貯留された前記洗濯処理剤を前記収容槽内に投入するように前記自動投入装置の動作を制御する請求項1から
17のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機を用いた洗濯は、洗濯物である衣類に付された取り扱い絵表示に従って行われるのが一般的である。衣類は、洗濯などにより傷み易いデリケートな素材が使われた、いわゆる「おしゃれ着」と呼ばれるものと、おしゃれ着以外のものである普通の衣類と、に分類することができる。おしゃれ着については、上記取り扱い絵表示により、例えば手洗い、弱水流などが推奨されている。
【0003】
そのため、取り扱い絵表示に基づいた一般的な洗濯の手法によれば、おしゃれ着については、おしゃれ着の洗濯に適した、いわゆる「おしゃれ着用洗剤」を使用するとともに、おしゃれ着の洗濯に適した専用コースである「おしゃれ着コース」などで洗濯することになる。一般に、日常で使用される洗剤、つまり普通の衣類の洗濯に用いられる普通洗剤が概ね「弱アルカリ性」であるのに対し、おしゃれ着用洗剤は「中性」となっている。そのため、おしゃれ着用洗剤は、普通洗剤に対し、衣類を傷め難い性質がある一方で、洗浄力が弱い傾向がある。
【0004】
ユーザの中には、上記した一般的な洗濯の手法とは異なる考え方を持つユーザも存在する。すなわち、おしゃれ着を洗濯する際であっても布の傷みを気にすることなく洗浄力を優先したいと考えるユーザや、逆に、普通の衣類を洗濯する際であっても布の傷みが気になるユーザなど、多種多様な考え方を持つユーザが存在する。このようなユーザによれば、おしゃれ着コースで洗濯する場合であっても普通洗剤を使用したり、標準的なコースである標準コースで洗濯する場合であってもおしゃれ着用洗剤を使用したり、することが考えられる。
【0005】
一方、近年では、ユーザの利便性向上のために、洗剤や柔軟剤などの洗濯処理剤を自動投入用のタンクに予め複数回分貯留しておき、洗濯運転時に必要量をタンクから自動的に投入する自動投入機能を備えた洗濯機が開発されている。このような自動投入機能を備えた洗濯機では、選択されたコースに応じて投入される洗剤が指定されているため、上記した一般的な洗濯の手法とは異なる考え方を持つユーザが望むような使い方を実現することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、洗濯処理剤の自動投入に関するユーザの利便性を向上することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の洗濯機は、洗濯物を収容可能な収容槽と、第1洗剤および前記第1洗剤に対して前記洗濯物を傷め難い性質があるとともに洗浄力が弱い傾向がある第2洗剤を含む洗濯処理剤を貯留可能なタンクを複数備え、前記複数のタンクのうちのいずれかに貯留された前記洗濯処理剤を前記収容槽内に自動的に投入する自動投入動作を実行することができる自動投入装置と、前記自動投入装置の動作を制御するとともに前記収容槽内に収容された前記洗濯物を洗濯する複数のコースを有する洗濯運転を実行することができる制御装置と、ユーザからの各種の操作を受け付けるための操作部と、を備える。前記制御装置は、前記操作部に対する所定の操作に基づいて前記複数のタンクの中から前記自動投入動作の対象とする対象タンクの選択を行うようになっている。前記制御装置は、前記第1洗剤を用いる状態から前記第2洗剤を用いる状態へと前記対象タンクの選択が変更された場合、前記洗濯運転に含まれる前記洗濯物を洗う洗い動作の時間を長くするようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る洗濯機の構成を模式的に示す図
【
図2】第1実施形態に係る洗濯機の電気的構成を示す図
【
図3】第1実施形態に係るコース毎の対象タンクのデフォルトの設定と変更可能な設定との一例を示す図
【
図4】第1実施形態に係るコース毎の自動投入動作における洗濯処理剤の投入量の一例を示す図
【
図5】第1実施形態に係るコース毎の使用する洗濯処理剤の種類、洗剤量、洗い時間および攪拌動作における回転数のデフォルトの設定と洗剤変更後の設定との一例を示す図
【
図6】第1実施形態に係る標準コースの洗濯運転のデフォルトでの運転内容などの一例を示す図
【
図7】第1実施形態に係る標準コースの洗濯運転の洗剤変更後での運転内容などの一例を示す図
【
図8】第1実施形態に係るおしゃれ着コースの洗濯運転のデフォルトでの運転内容などの一例を示す図
【
図9】第1実施形態に係るおしゃれ着コースの洗濯運転の洗剤変更後での運転内容などの一例を示す図
【
図10】第1実施形態に係る洗濯運転に対応するコース選択画面の一例を示す図その1
【
図11】第1実施形態に係る洗濯運転の標準コースに対応するコース詳細画面の一例を示す図その1
【
図12】第1実施形態に係る洗濯運転の標準コースに対応するコース詳細画面の一例を示す図その2
【
図13】第1実施形態に係る洗剤設定画面の一例を示す図
【
図14】第1実施形態に係る運転中画面の一例を示す図
【
図15】第1実施形態に係る一時停止中画面の一例を示す図
【
図16】第1実施形態に係る自動投入設定画面の一例を示す図
【
図17】第1実施形態に係るデフォルト洗剤設定画面の一例を示す図
【
図18】第1実施形態に係る洗濯運転に対応するコース選択画面の一例を示す図その2
【
図19】第1実施形態に係る確認画面の一例を示す図
【
図20】第2実施形態に係る洗濯機の電気的構成を示す図
【
図21】第2実施形態に係る洗濯物の種類毎の洗剤量、洗い中回転数および洗い時間の一設定例を示す図
【
図22】第3実施形態に係る洗濯機の電気的構成を示す図
【
図23】第3実施形態に係るおしゃれ着コースおよび念入りおしゃれ着コースの具体的な設定内容の一例を示す図
【
図24】第4実施形態に係る洗濯機の電気的構成を示す図
【
図25】第4実施形態に係る洗濯処理剤の種類毎のpH値および色の一例を示す図
【
図26】第4実施形態に係る誤投入検知部および投入動作制御部により実行される制御内容の第1具体例を示すフローチャート
【
図27】第4実施形態に係るエラー画面の一例を示す図
【
図28】第4実施形態に係る誤投入検知部および投入動作制御部により実行される制御内容の第2具体例を示すフローチャート
【
図29】変形例に係る操作パネルを示す図であり、洗濯乾燥運転の標準コースにおいて自動投入される洗剤として普通洗剤が設定されている状態を示す図
【
図30】変形例に係る操作パネルを示す図であり、洗濯乾燥運転の標準コースにおいて自動投入される洗剤としておしゃれ着用洗剤が設定されている状態を示す図
【
図31】変形例に係る操作パネルを示す図であり、ユーザに対して誤投入の発生を報知する状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について
図1~
図19を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の洗濯機10は、回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型または後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。なお、洗濯機10は、回転槽13の回転軸が垂直方向へ向いた縦軸型の洗濯機でもよい。本実施形態の洗濯機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、モータ14、排水経路15、排水弁16、循環経路17、循環ポンプ18、およびヒータ19を備えている。なお、
図1において、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。また、洗濯機10のユーザから見て手前側を洗濯機10の前側とし、ユーザの反対側つまり洗濯機10の背面側を洗濯機10の後側とする。
【0012】
外箱11は、例えば鋼板などによって略矩形の箱状に形成されている。水槽12は、外箱11内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されている。水槽12および回転槽13は、いずれも円筒形状の軸方向の一方側つまり前方側が開口し、他方側つまり後方側に底部を有する、いわゆる有底円筒状に形成されている。水槽12および回転槽13は、その内部に洗濯物を出し入れ可能に収容されるものであり、洗濯物を収納可能な収容槽として機能する。なお、洗濯物は、主に衣類であることから、本明細書では、洗濯物のことを衣類と称することがある。
【0013】
また、回転槽13は、バッフル131と多数の孔132とを有している。バッフル131は、回転槽13の内周壁に複数例えば3つ設けられており、回転槽13内に収容された洗濯物を撹拌および掻き上げる機能を有する。孔132は、回転槽13の内周壁の全域にわたって形成されており、例えば脱水行程時においては水が出入りする通水孔としての機能を有する。水槽12および回転槽13は、洗濯物を洗う洗い動作および洗濯物をすすぐすすぎ動作が行われる際には洗濯槽としても機能するとともに、洗濯物を脱水する脱水動作が行われる際には脱水槽としても機能する。
【0014】
モータ14は、水槽12の底部外側に設けられている。モータ14は、回転槽13に接続されており、回転槽13を直接的に回転駆動させる機能を有する。モータ14は、詳細は図示しないが、例えば回転数を変更可能なブラシレスのダイレクトドライブモータで構成されている。なお、モータ14は、ダイレクトドライブモータに限らず、クラッチ機構およびブレーキ装置などを有する構成であってもよい。
【0015】
排水経路15は、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出するための経路である。排水経路15は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁16に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外に引き出されている。排水弁16は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。排水弁16は、水槽12の底部に設けられた排水口121と排水経路15との間に設けられている。排水弁16は、制御装置50からの制御信号に基づき、排水経路15を開閉する。
【0016】
循環経路17は、水槽12の外部に設けられている。循環経路17は、水槽12内に貯留されている水を汲み上げて、その汲み上げた水を水槽12の上部から再び水槽12内に供給するための経路である。循環経路17は、一方の端部が循環ポンプ18を介して排水口121に接続され、他方の端部が水槽12の上部に設けられたノズル部171に接続されている。ノズル部171は、詳細は図示しないが、ノズル部171から吐出された水が水槽12の中央側へ向かってシャワー状に放出されるように構成されている。
【0017】
循環ポンプ18は、循環経路17上に設けられている。排水弁16によって排水経路15が閉じられた状態で循環ポンプ18が駆動すると、循環ポンプ18は、排水口121を通して水槽12内の水を汲み上げて、ノズル部171から再び水槽12内へ注水する。これにより、循環ポンプ18は、循環経路17を通して水槽12内に貯留されている水を循環させる。ヒータ19は、水槽12の底部に設けられている。ヒータ19は、水槽12に供給される水を加熱して温水化する機能を有する。これにより、洗濯機10は、温水を用いて洗い行程またはすすぎ行程を実行することができる。
【0018】
また、洗濯機10は、
図1および
図2に示すように、温風供給経路61、加熱装置62および送風機63を備えている。温風供給経路61は、水槽12の外部に設けられており、水槽12内に乾燥用の温風を供給する機能を有する。本実施形態の場合、温風供給経路61は、水槽12の内部と外部とを循環する循環風路として構成されている。この場合、温風供給経路61は、水槽12および回転槽13内の空気が吸い込まれ、その吸い込まれた空気を水槽12の上部から再び水槽12内に供給する。温風供給経路61は、一方の端部が水槽12の背面側の下端部付近に接続され、他方の端部が水槽12の前面側の上部前端部付近に接続されている。
【0019】
加熱装置62および送風機63は、温風供給経路61の途中に設けられている。加熱装置62は、温風供給経路61の空気を温めて温風供給経路61から水槽12内に供給する温風を生成する機能を有する。加熱装置62で生成された温風は、送風機63の作用によって水槽12内に供給される。この場合、加熱装置62の加熱方式は、例えばヒートポンプ式やヒータ式などを採用することができる。なお、洗濯機10は、上記した水槽12内に乾燥用の温風を供給するための各構成を備えていなくともよい、つまり乾燥機能を有していなくともよい。
【0020】
また、洗濯機10は、接続口21、給水経路22、給水弁23および自動投入装置30を有している。接続口21は、ホース100を介して水道の蛇口等の外部の給水源に接続される。給水経路22は、外部の給水源から供給された水を水槽12および回転槽13内に給水するための経路である。給水経路22は、一方の端部が給水弁23に接続され、他方の端部が水槽12に接続されている。給水弁23は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁である。給水弁23は、接続口21と給水経路22との間に設けられている。給水弁23は、制御装置50からの制御信号に基づき、給水経路22を開閉する。
【0021】
自動投入装置30は、複数回分の洗濯運転に必要な洗剤などの洗濯処理剤を貯留しておき、洗濯運転の進行に伴い必要量の洗濯処理剤を自動的に水槽12に投入する機能を有する装置である。具体的には、自動投入装置30は、洗濯処理剤を貯留可能なタンク31を複数備えている。図示は省略しているが、この場合、自動投入装置30は、3つのタンク31を備えている。自動投入装置30は、複数のタンク31のうちのいずれかに貯留された洗濯処理剤を水槽12内に自動的に投入する自動投入動作を実行することができる。
【0022】
なお、本明細書において、洗濯処理剤とは、例えば粉末洗剤や液体洗剤などの洗剤および柔軟剤や香り付け剤などの仕上げ剤を含む概念である。この場合、液体洗剤には、普通洗剤およびおしゃれ着用洗剤が含まれる。普通洗剤は第1洗剤に相当し、おしゃれ着用洗剤は、第1洗剤に対して洗濯物を傷め難い性質があるとともに洗浄力が弱い傾向がある第2洗剤に相当する。
【0023】
自動投入装置30は、例えば外箱11の上部に設けられており、給水経路22に接続されている。外部の給水源から供給された水は、自動投入装置30から供給される洗濯処理剤と給水経路22内にて直接的に混合し水槽12内に供給される。この場合、自動投入装置30は、例えば図示しないピストンポンプである投入ポンプを用いて予め自動投入装置30に貯留された洗濯処理剤を自動で水槽12内に供給することが可能な構成としている。
【0024】
洗濯機10は、自動投入装置30に加えて図示しない手動投入装置を備え、ユーザが洗濯運転の開始前に手動投入装置に手動で1回の洗濯運転に必要な洗濯処理剤を投入すること、つまり手動投入することができる構成となっている。なお、洗濯機10は、手動投入装置を備えない構成とすることも可能である。自動投入装置30のタンク31は、各種の洗濯処理剤のうち液体洗剤、柔軟剤などの液体の仕上げ剤を貯留することができる。つまり、この場合、自動投入装置30は、液体洗剤および液体の仕上げ剤に対応している。また、この場合、手動投入装置は、液体洗剤と粉末洗剤との両方および液体の仕上げ剤に対応している。
【0025】
自動投入装置30では、3つのタンク31のそれぞれについて、貯留する洗濯処理剤の種類が予め定められている。具体的には、1つ目のタンク31は、普通洗剤の貯留が指定された普通洗剤用タンクとなっており、2つ目のタンク31は、おしゃれ着用洗剤の貯留が指定されたおしゃれ着用タンクとなっており、3つ目のタンク31は、柔軟剤の貯留が指定された柔軟剤用タンクとなっている。なお、以下の説明では、1つ目のタンク31のことを普通洗剤用タンクと称すること、2つ目のタンク31のことをおしゃれ着用タンクと称すること、3つ目のタンク31のことを柔軟剤用タンクと称すること、がある。
【0026】
洗濯機10は、
図2に示すように、操作パネル41、モータ14に流れる電流を検知することができる電流センサ42、水槽12内の水位を検出することができる水位センサ43および制御装置50を備えている。
図1に示すように、操作パネル41は、外箱11の上面前側に設けられている。操作パネル41は、例えば液晶ディスプレイからなる矩形状の表示部411を備えている。この場合、洗濯機10の前後方向に沿う方向を表示部の上下方向とし、洗濯機10の左右方向に沿う方向を表示部の左右方向とする。図 などに示すように、表示部411としては、その画面比率が例えば「16:9」または「16:9」よりも横長の画面サイズのものが採用されている。
【0027】
表示部411には、洗濯機10の運転に関する各種の情報が含まれた各種の画面が表示される。表示部411の表示面は、ユーザによるタッチ操作が可能なタッチパネルとしても機能する。表示部411には、洗濯機10の運転に関する各種の操作を受け付けるための操作キーが含まれた各種の画面が表示される。ユーザは、上記操作キーをタッチ操作することにより、洗濯機10の運転に関する各種の操作を行うことができる。
【0028】
このように、操作パネル41は、運転に関する各種の操作を受け付けるための操作キーが含まれた各種の画面を表示するようになっており、ユーザからの各種の操作を受け付けるための操作部としても機能する。本実施形態では、表示部411のタッチパネルとしては、手指で触れた際に発生する静電容量の変化をセンサで感知する静電容量方式のタッチパネルが採用されている。なお、表示部411のタッチパネルとしては、例えば抵抗膜方式など、各種の方式を採用することができる。また、表示部411は、液晶ディスプレイに限らずともよく、例えば有機ELディスプレイなど、各種の表示装置を採用することができる。
【0029】
制御装置50は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAMおよび書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯機10の動作全般の制御を行う。制御装置50には、モータ14、排水弁16、循環ポンプ18、ヒータ19、給水弁23、自動投入装置30、操作パネル41、電流センサ42、水位センサ43、加熱装置62および送風機63が電気的に接続されている。これらモータ14、排水弁16、循環ポンプ18、ヒータ19、給水弁23、自動投入装置30、操作パネル41、電流センサ42、水位センサ43、加熱装置62および送風機63は、制御装置50により制御される。
【0030】
この場合、制御装置50は、表示制御用のプログラムを実行することにより、操作パネル41の表示部411への表示を制御する。また、制御装置50は、表示部411に表示された上記操作キーに対する操作に応じて、自動投入動作に関する各種の設定、運転の種類の選択、コースの選択、コースの内容の設定、運転の開始や一時停止など、様々な制御を実行する。
【0031】
制御装置50は、運転制御部51および投入動作制御部52といった機能ブロックを備えている。これら機能ブロックは、制御装置50のCPUがROMなどに格納されているコンピュータプログラムを実行してコンピュータプログラムに対応する処理を実行することにより実現されている、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、各機能ブロックのうち少なくとも一部を集積回路などのハードウェアにより実現する構成としてもよい。
【0032】
制御装置50は、各種の設定を記憶する記憶部53を備えている。記憶部53としては、制御装置50を構成するマイクロコンピュータが備えるフラッシュメモリなどの記憶領域により構成してもよいし、上記マイクロコンピュータの外部に設けられた各種のメモリにより構成してもよい。つまり、この場合、制御装置50は、自動投入するタンク31の設定を記憶することが可能となっている。
【0033】
運転制御部51は、水槽12および回転槽13内に収容された洗濯物を洗濯する洗濯運転、つまり洗い行程、すすぎ行程、脱水行程などを含む洗濯運転を実行することができる。この場合、洗濯運転には、例えば標準コース、自動2度洗いコース、スピードコース、メモリコース、おしゃれ着コース、毛布コース、予洗い+(プラス)コース、おやすみコースなどの複数のコースが設けられている。標準コースは、日常の洗濯に用いるのに適した標準的な運転内容のコースであり、第1コースに相当する。おしゃれ着コースは、おしゃれ着の洗濯に用いるのに適したコース、つまり標準コースに比べて洗濯物を傷め難い運転内容のコースであり、第2コースに相当する。このように、複数のコースには、第1コースおよび第2コースが含まれている。
【0034】
投入動作制御部52は、自動投入装置30の動作を次のように制御する。なお、以下の説明では、投入動作制御部52が運転制御部51と協働して行う各種の制御についても、便宜上、投入動作制御部52が単独で行っているように記載する場合がある。すなわち、投入動作制御部52は、操作パネル41に対する所定の操作に基づいて、複数のタンク31の中から自動投入動作の対象とする対象タンクの選択を行うようになっている。投入動作制御部52は、操作パネル41に対する所定の操作に基づいて、複数のコースのそれぞれ毎に、自動投入動作を実行するか否かを決定するとともに対象タンクの選択を行うようになっている。
【0035】
図3に示すように、各コースのそれぞれについて、対象タンクの初期設定がされている、つまりデフォルトの対象タンクが設定されている。この場合、ユーザは操作パネル41に対する所定の操作を行うことにより、各コースのそれぞれについて、対象タンクの選択、つまり変更を行うことができる。例えば、標準コースについては、デフォルトでは普通洗剤用タンクが選択されているが、これをおしゃれ着用タンクに変更することが可能となっている。また、例えばおしゃれ着コースについては、デフォルトではおしゃれ着用タンクが選択されているが、これを普通洗剤用タンクに変更することが可能となっている。
【0036】
このように、ユーザは、コース毎に、普通洗剤を自動投入するか、おしゃれ着用洗剤を自動投入するか、を選択することができる。また、ユーザは、コース毎に、自動投入をするか、自動投入をしないか、つまり手動投入を選択するか、を選択することもできる。そのため、ユーザは、手動投入が選択されているコースでの洗濯運転時には、液体洗剤に比べて洗浄力が高い傾向がある粉末洗剤を手動投入することが可能となる。
【0037】
自動投入装置30の動作に関連する各種の設定に関する情報は、記憶部53に記憶される。つまり、記憶部53は、対象タンクの設定に関する情報を記憶する記憶部として機能する。対象タンクの変更が行われた場合、その変更後の対象タンクの選択に関する情報が記憶部53に記憶されるようになっている。これにより、各コースのそれぞれについて、対象タンクの選択が変更された場合には、その変更後の設定が維持されるようになるため、ユーザが毎回対象タンクの選択を行う必要がなくなる。
【0038】
投入動作制御部52は、標準コースおよびおしゃれ着コースの双方に対しておしゃれ着用洗剤を用いるように対象タンクの選択が行われている場合、つまり標準コースおよびおしゃれ着コースの双方についておしゃれ着用タンクが選択されている場合、標準コースで洗濯運転を実行する際の自動投入動作における洗濯処理剤の投入量を、おしゃれ着コースで洗濯運転を実行する際の自動投入動作における洗濯処理剤の投入量に比べて少なくするようになっている。
【0039】
投入動作制御部52は、標準コースおよびおしゃれ着コースの双方に対して普通洗剤を用いるように対象タンクの選択が行われている場合、つまり標準コースおよびおしゃれ着コースの双方について普通洗剤用タンクが選択されている場合、おしゃれ着コースで洗濯運転を実行する際の自動投入動作における洗濯処理剤の投入量を、標準コースで洗濯運転を実行する際の自動投入動作における洗濯処理剤の投入量に比べて少なくするようになっている。
【0040】
図4に示すように、自動投入動作における洗濯処理剤の投入量は、洗濯物の重量、つまり負荷に応じて、またコース毎に定められている。なお、以下の説明では、自動投入動作における洗濯処理剤の投入量のことを洗剤量と省略することがある。すなわち、標準コースで普通洗剤を用いる場合における洗剤量は、負荷が12kgまでのときには1.1杯、負荷が9kgまでのときには1.0杯、負荷が4kgまでのときには0.8杯、負荷が2kgまでのときには0.6杯、となっている。一方、おしゃれ着コースで普通洗剤を用いる場合における洗剤量は、0.4杯となっている。なお、おしゃれ着コースは、負荷が3kgまでとなる。このように、本実施形態では、投入動作制御部52は、標準コースで普通洗剤を使用する場合における負荷当たりの洗剤量に比べ、おしゃれ着コースで普通洗剤を使用する場合における洗剤量を減らすようになっている。
【0041】
また、標準コースでおしゃれ着用洗剤を用いる場合における洗剤量は、負荷が12kgまでのときには0.9杯、負荷が9kgまでのときには0.8杯、負荷が4kgまでのときには0.6杯、負荷が2kgまでのときには0.4杯、となっている。一方、おしゃれ着コースでおしゃれ着用洗剤を用いる場合における洗剤量は、1.0杯となっている。このように、本実施形態では、投入動作制御部52は、おしゃれ着コースでおしゃれ着用洗剤を使用する場合における洗剤量に比べ、標準コースでおしゃれ着用洗剤を使用する場合における負荷当たりの洗剤量を減らすようになっている。
【0042】
投入動作制御部52は、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗濯運転に含まれる洗濯物を洗う洗い動作の時間である洗い時間を長くするようになっている。また、投入動作制御部52は、おしゃれ着用洗剤を用いる状態から普通洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗い時間を短くするようになっている。さらに、投入動作制御部52は、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗濯運転における回転槽13の回転動作を弱める、つまり回転槽13に収容された洗濯物を攪拌する攪拌動作における回転槽13の回転数を抑制するようになっている。
【0043】
図5に示すように、使用する洗濯処理剤の種類、洗剤量、洗い時間、攪拌動作における回転槽13の回転数などは、コース毎に予めデフォルトの値が設定されている。すなわち、標準コースについては、「普通洗剤を用いる」、「洗剤量=1.1杯」、「洗い時間=14分」および「攪拌動作の回転数=45rpm」がデフォルトの値として設定されている。ここで、標準コースについて、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、つまり使用する洗濯処理剤の種類が変更された場合、標準コースについての各設定がデフォルトの値から次のように変更される。
【0044】
すなわち、標準コースについて、「おしゃれ着用洗剤を用いる」、「洗剤量=0.9杯」、「洗い時間=20分」および「攪拌動作の回転数=20rpm」が洗剤変更後の設定となる。このように、標準コースについて使用する洗濯処理剤が普通洗剤からおしゃれ着用洗剤に変更された場合、投入動作制御部52は、洗剤量をデフォルトの値から減らし、洗い時間をデフォルトの値から増やし、攪拌動作の回転数をデフォルトの値から減らす、ようになっている。
【0045】
また、
図5に示すように、おしゃれ着コースについては、「おしゃれ着用洗剤を用いる」、「洗剤量=1.0杯」、「洗い時間=6分」および「攪拌動作の回転数=20rpm」がデフォルトの値として設定されている。ここで、おしゃれ着コースについて、おしゃれ着用洗剤を用いる状態から普通洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、つまり使用する洗濯処理剤の種類が変更された場合、おしゃれ着コースについての各設定がデフォルトの値から次のように変更される。
【0046】
すなわち、おしゃれ着コースについて、「普通洗剤を用いる」、「洗剤量=0.8杯」、「洗い時間=4分」および「攪拌動作の回転数=20rpm」が洗剤変更後の設定となる。このように、おしゃれ着コースについて使用する洗濯処理剤がおしゃれ着用洗剤から普通洗剤に変更された場合、投入動作制御部52は、洗剤量をデフォルトの値から減らし、洗い時間をデフォルトの値から減らす、ようになっている。
【0047】
投入動作制御部52は、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗濯運転における水槽12内の水の流れを抑制するようになっている。水槽12内の水の流れは、循環ポンプ18の回転数に応じて変化する。そこで、投入動作制御部52は、循環ポンプ18の回転数を低くすることにより、水槽12内の水の流れを抑制するようにしている。また、投入動作制御部52は、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗濯運転において洗濯物をつけおきするつけおき動作を追加して行うようになっている。
【0048】
図6に示すように、標準コースの洗濯運転は、デフォルトでは、普通洗剤を用いるようになっており、自動投入動作を実行する自動投入行程、洗い行程および回転槽13に収容された洗濯物の脱水を行う脱水動作を実行する脱水行程を含む。洗い行程には、所定量の水を水槽12および回転槽13に供給する動作である給水動作と、回転槽13に収容された洗濯物を攪拌して洗う攪拌動作と、が含まれる。この場合、各動作の所要時間は、自動投入動作が1分、給水動作が2分、攪拌動作が14分となっている。
【0049】
また、標準コースの洗濯運転は、デフォルトでは、自動投入動作において普通洗剤が投入されるように投入ポンプの動作が制御されるとともに、給水動作において所定量の水が水槽12および回転槽13に供給されるように給水弁23の動作が制御される。さらに、標準コースの洗濯運転は、デフォルトでは、攪拌動作における回転槽13の回転数が「45rpm」となっているとともに、攪拌動作における循環ポンプ18の回転数が「3500rpm」となっている。なお、
図6などでは、回転槽13の回転数のことをドラム回転数と表すとともに、循環ポンプ18の回転数のことをポンプ回転数と表している。
【0050】
ここで、標準コースについて、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、つまり使用する洗濯処理剤の種類が変更された場合、標準コースについての各行程の内容がデフォルトの値から次のように変更される。すなわち、
図7に示すように、おしゃれ着用洗剤を用いるように変更された標準コースの洗濯運転は、自動投入行程、洗い行程および脱水行程を含む。変更後の洗い行程には、給水動作、つけおき動作および攪拌動作が含まれる。この場合、各動作の所要時間は、自動投入動作が1分、給水動作が2分、つけおき動作が3分、攪拌動作が17分となっている。
【0051】
また、変更後の標準コースの洗濯運転では、自動投入動作においておしゃれ着用洗剤が投入されるように投入ポンプの動作が制御されるとともに、給水動作において所定の量の水が水槽12および回転槽13に供給されるように給水弁23の動作が制御される。さらに、変更後の標準コースの洗濯運転では、攪拌動作における回転槽13の回転数が「20rpm」となっているとともに、つけおき動作および攪拌動作における循環ポンプ18の回転数が「2600rpm」となっている。
【0052】
このように、標準コースについて使用する洗濯処理剤が普通洗剤からおしゃれ着用洗剤に変更された場合、投入動作制御部52は、つけおき動作を追加したうえで洗い時間をデフォルトの値から増やし、攪拌動作における回転槽13の回転数をデフォルトの値から減らし、つけおき動作および攪拌動作における循環ポンプ18の回転数をデフォルトの値から減らす、ようになっている。
【0053】
図8に示すように、おしゃれ着コースの洗濯運転は、デフォルトでは、おしゃれ着用洗剤を用いるようになっており、自動投入行程、洗い行程および脱水行程を含む。洗い行程には、給水動作および攪拌動作が含まれる。この場合、各動作の所要時間は、自動投入動作が1分、給水動作が2分、攪拌動作が6分となっている。また、おしゃれ着コースの洗濯運転は、デフォルトでは、自動投入動作においておしゃれ着用洗剤が投入されるように投入ポンプの動作が制御されるとともに、給水動作において所定量の水が水槽12および回転槽13に供給されるように給水弁23の動作が制御される。
【0054】
さらに、おしゃれ着コースの洗濯運転は、デフォルトでは、攪拌動作における回転槽13の回転数が「20rpm」となっているとともに、攪拌動作における循環ポンプ18の回転数が「2600rpm」となっている。ここで、おしゃれ着コースについて、おしゃれ着用洗剤を用いる状態から普通洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、つまり使用する洗濯処理剤の種類が変更された場合、おしゃれ着コースについての各行程の内容がデフォルトの値から次のように変更される。すなわち、
図9に示すように、普通洗剤を用いるように変更されたおしゃれ着コースの洗濯運転は、自動投入行程、洗い行程および脱水行程を含む。
【0055】
この場合、各動作の所要時間は、自動投入動作が1分、給水動作が2分、攪拌動作が4分となっている。また、変更後のおしゃれ着コースの洗濯運転では、自動投入動作において普通洗剤が投入されるように投入ポンプの動作が制御されるとともに、給水動作において所定の量の水が水槽12および回転槽13に供給されるように給水弁23の動作が制御される。なお、変更後のおしゃれ着コースの洗濯運転では、攪拌動作における回転槽13および循環ポンプ18の各回転数についてはデフォルトの値のままとなっている。
【0056】
このように、おしゃれ着コースについて使用する洗濯処理剤がおしゃれ着用洗剤から普通洗剤に変更された場合、投入動作制御部52は、洗い時間をデフォルトの値から減らすようになっている。なお、この場合、投入動作制御部52は、攪拌動作における回転槽13の回転数および循環ポンプ18の回転数についてはデフォルトの値から変更しないようになっている。
【0057】
次に、自動投入装置30の動作に関連する各種の設定を行うための具体的な操作の内容について、操作パネル41の表示部411に表示される具体的な表示内容の一例を示す
図10~
図19を参照しながら説明する。表示部411には、図示しないトップ画面、
図10に示すようなコース選択画面、
図11および
図12に示すようなコース詳細画面、
図13に示すような運転中画面、
図14に示すような一時停止中画面などが表示される。なお、以下の説明では、表示部411のことを画面とも呼ぶこととする。
【0058】
トップ画面は、洗濯機10への電源投入後、最初の入力操作が行われる前の表示画面であり、運転の種類を選択するため画面として機能する。コース選択画面は、トップ画面において所定の操作が行われた場合などに遷移する画面であり、その時点において選択されている運転に対応したコースを選択するための画面として機能する。
図10には、洗濯運転に対応するコースを選択するためのコース選択画面の一例が示されているが、他のコース選択画面についても同様の内容となっている。
【0059】
図10に示すように、コース選択画面には、その時点において選択されているコースにおいて自動投入される洗剤に関する設定状況を表すための洗剤情報表示部71が設けられている。洗剤情報表示部71には、「洗剤」という表示がされたアイコンが配置されており、そのアイコンの下方には、自動投入される洗剤が普通洗剤であるのかおしゃれ着用洗剤であるのか、または、自動投入されないのか、を表す文字情報が表示される。
図10のコース選択画面では、普通洗剤が自動投入されることを表す「普通洗剤」という文字情報が表示されている。
【0060】
コース詳細画面は、コース選択画面において設定変更キー72に対する操作が行われた場合などに遷移する画面であり、その時点において選択されているコースの内容を設定するための画面として機能する。
図11および
図12には、洗濯運転の標準コースに対応するコース詳細画面の一例が示されているが、他のコース詳細画面についても同様の内容となっている。
【0061】
図11および
図12に示すように、コース詳細画面には、その時点において選択されているコースにおいて自動投入される洗剤の設定を変更するための操作キーとして機能する洗剤設定キー73が設けられている。洗剤設定キー73には、自動投入される洗剤の設定状況が表示される。例えば、自動投入される洗剤として「普通洗剤」が設定されている場合、
図11に示すように、洗剤設定キー73には、その時点における自動投入される洗剤の設定状況を表す「普通洗剤」という文字情報が表示される。また、例えば、自動投入される洗剤として「おしゃれ着用洗剤」が設定されている場合、
図12に示すように、洗剤設定キー73には、その時点における自動投入される洗剤の設定状況を表す「おしゃれ着洗剤」という文字情報が表示される。
【0062】
洗剤設定キー73に対する操作が行われると、その時点において選択されているコースにおいて自動投入される洗剤の設定を行うための画面である洗剤設定画面が表示される。
図13に示すように、洗剤設定画面には、普通洗剤という文字情報が表示された操作キー74、おしゃれ着用洗剤という文字情報が表示された操作キー75、閉じるキー76および決定キー77が設けられている。
【0063】
洗剤設定画面において、操作キー74に対する操作が行われると自動投入される洗剤として普通洗剤が選択され、操作キー75に対する操作が行われる自動投入される洗剤としておしゃれ着用洗剤が選択される。閉じるキー76は、洗剤設定画面を閉じてコース詳細画面に戻るための操作キーである。決定キー77は、その時点で選択された洗剤を自動投入する洗剤として決定するための操作キーである。したがって、操作キー74に対する操作が行われたうえで決定キー77に対する操作が行われることで自動投入する洗剤として普通洗剤が設定され、操作キー75に対する操作が行われたうえで決定キー77に対する操作が行われることで自動投入する洗剤としておしゃれ着用洗剤が設定される。
【0064】
運転前の各種の画面であるトップ画面、コース選択画面およびコース詳細画面には、いずれもスタートキー78が表示されている。これら運転前の各種の画面において、スタートキー78に対する操作が行われると、その時点において選択されている運転種類およびコースでの運転が開始される。運転が開始されると、
図14に示すような運転中画面が表示される。
図14には、運転開始後、最初に表示される画面、つまり重量検知動作の実行中であることを示す運転中画面の一例が示されている。
【0065】
図14に示すように、運転中画面には、運転を一時停止するための操作キーである一時停止キー79が表示されている。運転中画面において、一時停止キー79に対する操作が行われると、運転が一時停止されるとともに、
図15に示すような一時停止中画面が表示される。
図15に示すように、一時停止中画面には、設定変更キー80が表示されている。一時停止中画面において、設定変更キー80に対する操作が行われると、
図11および
図12に示したようなコース詳細画面が表示される。
【0066】
したがって、ユーザは、運転の一時停止中、設定変更キー80を操作することにより、自動投入される洗剤の設定を含むコースの内容の変更、見直しを行うことができる。ただし、一時停止画面から遷移したコース詳細画面では、自動投入される洗剤の設定変更については、自動投入動作が実行されるまでの期間、具体的には運転開始から重量検知動作が完了するまでの期間にだけ行うことができるようになっている。
【0067】
トップ画面、コース設定画面、コース詳細画面、運転中画面および一時停止中画面において、画面の下端部には、共通のフッター部81となっている。
図10などに示すように、フッター部81には、設定キー82、自動投入キー83、温水設定キー84、予約設定キー85などが配置されている。設定キー82は、洗濯機1に関わる各種の設定を行うための操作キーである。設定キー82に対する操作が行われると、図示しない各種の設定を行うための画面へと遷移する。
【0068】
温水設定キー84は、運転において用いられる水の温度を設定するための操作キーである。温水設定キー84に対する操作が行われると、洗濯運転または洗濯乾燥運転の洗い行程において水温を何度まで加熱するかなどの設定を行うための温水設定画面が表示される。図示は省略するが、温水設定画面では、例えば、「なし」、「15℃」、「30℃」、「40℃」、「50℃」、「60℃除菌」など、複数の温水設定の中から所望する設定を選択することができる。
【0069】
予約設定キー85は、運転の予約に関する設定を行うための操作キーである。予約設定キー85に対する操作が行われると、予約設定画面が表示される。図示は省略するが、予約設定画面では、例えば、「なし」、「おはよう予約」、「おかえり予約」、「外から予約」など、複数の予約設定の中から所望する設定を選択することができる。また、予約設定画面では、運転の終了時刻を所望する時刻に設定することができる。
【0070】
自動投入キー83は、洗濯処理剤の自動投入に関する各種の設定を行うための操作キーである。自動投入キー83に対する操作が行われると、
図16に示すような自動投入設定画面が表示される。
図16に示すように、自動投入設定画面には、普通洗剤用タンクに貯留されている洗剤である普通洗剤に関連する情報などを表示する第1情報表示部86、おしゃれ着用タンクに貯留されている洗剤であるおしゃれ着用洗剤に関連する情報などを表示する第2情報表示部87、柔軟剤用タンクに貯留されている柔軟剤に関連する情報などを表示する第3情報表示部88などが表示されている。
【0071】
第1情報表示部86には、基準量表示部89、複数の投入量調整キー90a、90b、90c、90d、投入量告知部91などが配置されている。基準量表示部89は、現在設定されている普通洗剤の基準投入量である基準量を表示するものであり、この場合、現在の普通洗剤の基準量として「25ml/水30L」が表示されている。投入量調整キー90a~90dは、自動投入動作における普通洗剤の投入量を調整するための操作キーである。
【0072】
具体的には、投入量調整キー90aは、自動投入動作における普通洗剤の投入量を「なし」つまり「0ml」に調整するための操作キーである。投入量調整キー90bは、自動投入動作における普通洗剤の投入量を、その時点で設定されている普通洗剤の基準量よりも「少なめ」つまり所定量少ない量に調整するための操作キーである。なお、このときの所定量は、適宜変更して設定することができる。
【0073】
投入量調整キー90cは、自動投入動作における普通洗剤の投入量を、その時点で設定されている普通洗剤の基準量に調整するための操作キーである。投入量調整キー90dは、自動投入動作における普通洗剤の投入量を、その時点で設定されている普通洗剤の基準量よりも「多め」つまり所定量多い量に調整するための操作キーである。なお、このときの所定量は、適宜変更して設定することができる。したがって、ユーザは、投入量調整キー90a~90dの操作に応じて、自動投入動作における普通洗剤の投入量について、「なし」、「少なめ」、「標準」、「多め」の中から所望する設定を選択することができる。
【0074】
投入量告知部91には、複数の投入量調整キー90a~90dの操作に応じて調整された自動投入動作における普通洗剤の投入量をユーザに告知するための情報が表示される。例えば、自動投入動作における普通洗剤の投入量が「標準」に設定されている場合には、「標準量を投入します。」といった文字情報が表示されるとともに、自動投入動作における普通洗剤の投入量が「なし」に設定されている場合には、
図16に示すように「自動投入されません。」といった文字情報が表示されるようになっている。
【0075】
第2情報表示部87には、基準量表示部92、複数の投入量調整キー93a、93b、93c、93d、投入量告知部94などが配置されている。基準量表示部92は、現在設定されているおしゃれ着用洗剤の基準投入量である基準量を表示するものであり、この場合、現在のおしゃれ着用洗剤の基準量として「25ml/水30L」が表示されている。投入量調整キー93a~93dは、自動投入動作におけるおしゃれ着用洗剤の投入量を調整するための操作キーである。
【0076】
具体的には、投入量調整キー93aは、自動投入動作におけるおしゃれ着用洗剤の投入量を「なし」つまり「0ml」に調整するための操作キーである。投入量調整キー93bは、自動投入動作におけるおしゃれ着用洗剤の投入量を、その時点で設定されているおしゃれ着用洗剤の基準量よりも「少なめ」つまり所定量少ない量に調整するための操作キーである。なお、このときの所定量は、適宜変更して設定することができる。
【0077】
投入量調整キー93cは、自動投入動作におけるおしゃれ着用洗剤の投入量を、その時点で設定されているおしゃれ着用洗剤の基準量に調整するための操作キーである。投入量調整キー93dは、自動投入動作におけるおしゃれ着用洗剤の投入量を、その時点で設定されているおしゃれ着用洗剤の基準量よりも「多め」つまり所定量多い量に調整するための操作キーである。なお、このときの所定量は、適宜変更して設定することができる。したがって、ユーザは、投入量調整キー93a~93dの操作に応じて、自動投入動作におけるおしゃれ着用洗剤の投入量について、「なし」、「少なめ」、「標準」、「多め」の中から所望する設定を選択することができる。
【0078】
投入量告知部94には、複数の投入量調整キー93a~93dの操作に応じて調整された自動投入動作におけるおしゃれ着用洗剤の投入量をユーザに告知するための情報が表示される。例えば、自動投入動作におけるおしゃれ着用洗剤の投入量が「標準」に設定されている場合には、「標準量を投入します。」といった文字情報が表示されるとともに、自動投入動作におけるおしゃれ着用洗剤の投入量が「なし」に設定されている場合には、
図16に示すように「自動投入されません。」といった文字情報が表示されるようになっている。
【0079】
第3情報表示部88には、基準量表示部95、複数の投入量調整キー96a、96b、96c、96d、投入量告知部97などが配置されている。基準量表示部95は、現在設定されている柔軟剤の基準投入量である基準量を表示するものであり、この場合、現在の柔軟剤の基準量として「25ml/水30L」が表示されている。投入量調整キー96a~96dは、自動投入動作における柔軟剤の投入量を調整するための操作キーである。
【0080】
具体的には、投入量調整キー96aは、自動投入動作における柔軟剤の投入量を「なし」つまり「0ml」に調整するための操作キーである。投入量調整キー96bは、自動投入動作における柔軟剤の投入量を、その時点で設定されている柔軟剤の基準量よりも「少なめ」つまり所定量少ない量に調整するための操作キーである。なお、このときの所定量は、適宜変更して設定することができる。
【0081】
投入量調整キー96cは、自動投入動作における柔軟剤の投入量を、その時点で設定されている柔軟剤の基準量に調整するための操作キーである。投入量調整キー96dは、自動投入動作における柔軟剤の投入量を、その時点で設定されている柔軟剤の基準量よりも「多め」つまり所定量多い量に調整するための操作キーである。なお、このときの所定量は、適宜変更して設定することができる。したがって、ユーザは、投入量調整キー96a~96dの操作に応じて、自動投入動作における柔軟剤の投入量について、「なし」、「少なめ」、「標準」、「多め」の中から所望する設定を選択することができる。
【0082】
投入量告知部97には、複数の投入量調整キー96a~96dの操作に応じて調整された自動投入動作における柔軟剤の投入量をユーザに告知するための情報が表示される。例えば、自動投入動作における柔軟剤の投入量が「標準」に設定されている場合には、「標準量を投入します。」といった文字情報が表示されるとともに、自動投入動作における柔軟剤の投入量が「なし」に設定されている場合には、
図16に示すように「自動投入されません。」といった文字情報が表示されるようになっている。
【0083】
また、自動投入設定画面には、基準量設定キー98が設けられている。基準量設定キー98は、基準量設定画面を表示させるための操作キーである。図示は省略しているが、基準量設定画面は、普通洗剤、おしゃれ着用洗剤および柔軟剤の基準投入量、具体的には30Lの水に対する普通洗剤、おしゃれ着用洗剤および柔軟剤の基準投入量を設定するための画面となっている。
【0084】
また、自動投入設定画面には、洗剤設定画面と同様、閉じるキー76および決定キー77が設けられている。この場合、閉じるキー76に対する操作が行われると、自動投入設定画面を閉じて前に表示されていた画面に戻る。また、この場合、決定キー77に対する操作が行われると、自動投入設定画面における各種の設定項目、例えば、衣類処理剤の投入量に関する入力内容が決定される。そして、決定キー77に対する操作が行われると、自動投入されるデフォルトの洗剤を設定するための画面であるデフォルト洗剤設定画面が表示される。
図17に示すように、デフォルト洗剤設定画面には、普通洗剤という文字情報が表示された操作キー101、おしゃれ着用洗剤という文字情報が表示された操作キー102、自動投入設定画面と同様の閉じるキー76および決定キー77が設けられている。
【0085】
デフォルト洗剤設定画面において、操作キー101に対する操作が行われると自動投入されるデフォルトの洗剤として普通洗剤が選択され、操作キー102に対する操作が行われる自動投入されるデフォルトの洗剤としておしゃれ着用洗剤が選択される。この場合、閉じるキー76に対する操作が行われると、デフォルト洗剤設定画面を閉じて自動投入設定画面に戻る。また、この場合、決定キー77に対する操作が行われると、その時点で選択された洗剤が自動投入するデフォルトの洗剤として決定される。
【0086】
したがって、操作キー101に対する操作が行われたうえで決定キー77に対する操作が行われることで自動投入するデフォルトの洗剤として普通洗剤が設定される。この場合、全てのコースについて、自動投入するデフォルトの洗剤が普通洗剤となる。また、操作キー102に対する操作が行われたうえで決定キー77に対する操作が行われることで自動投入するデフォルトの洗剤としておしゃれ着用洗剤が設定される。この場合、全てのコースについて、自動投入するデフォルトの洗剤がおしゃれ着用洗剤となる。
【0087】
図18には、自動投入するデフォルトの洗剤が普通洗剤に設定されている状態において、おしゃれ着コースが選択された状態のコース設定画面の一例を示している。この場合、洗剤情報表示部71には、普通洗剤が自動投入されることを表す「普通洗剤」という文字情報が表示されている。おしゃれ着コースで洗濯運転を行う場合にはおしゃれ着用洗剤を用いることが一般的であるのに対し、この場合、普通洗剤を用いておしゃれ着コースで洗濯運転を行うことになる。
【0088】
そこで、このような状態でスタートキー78に対する操作が行われると、普通洗剤を用いておしゃれ着コースで洗濯運転を行うことになる旨をユーザに確認するための確認画面が表示される。
図19に示すように、確認画面には、「普通洗剤で洗濯しますか?」という文字情報、「はい」キー103および「いいえ」キー104が表示される。「はい」キー103に対する操作が行われると、普通洗剤を用いておしゃれ着コースでの洗濯運転が開始される。「いいえ」キー104に対する操作が行われると、おしゃれ着用洗剤を用いておしゃれ着コースでの洗濯運転が開始される。なお、「いいえ」キー104に対する操作が行われた場合、洗濯運転を開始することなく、コース選択画面に戻るようにすることもできる。
【0089】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
洗濯機10は、普通洗剤およびおしゃれ着用洗剤を含む洗濯処理剤を貯留可能なタンク31を複数備え、それら複数のタンク31のうちのいずれかに貯留された洗濯処理剤を回転槽13内に自動的に投入する自動投入動作を実行することができる自動投入装置30を備えている。洗濯機10の制御装置50は、自動投入装置30の動作を制御するものであり、操作パネル41に対する所定の操作に基づいて複数のタンク31の中から自動投入動作の対象とする対象タンクの選択を行う投入動作制御部52を備えている。
【0090】
このような構成によれば、ユーザは、選択されているコースに関係なく、複数のタンク31に貯留された複数種類の洗濯処理剤の中から、自身の判断により自動投入を実施する洗濯処理剤を選択することが可能となる。そのため、ユーザは、例えば、おしゃれ着コースで洗濯する場合であっても普通洗剤を使用したり、標準的なコースである標準コースで洗濯する場合であってもおしゃれ着用洗剤を使用したり、すること、つまり一般的な洗濯の手法とは異なる考え方に基づいた洗濯機10の使い方をすることができる。したがって、本実施形態によれば、洗濯処理剤の自動投入に関するユーザの利便性を向上することができるという優れた効果が得られる。
【0091】
投入動作制御部52は、操作パネル41に対する所定の操作に基づいて、複数のコースのそれぞれ毎に、自動投入動作を実行するか否かを決定するとともに対象タンクの選択を行うようになっている。このようにすれば、コースに応じて普通洗剤またはおしゃれ着用洗剤を使い分けて設定することが可能となる。また、このようにすれば、コースに応じて自動投入動作を実行しない、つまり手動投入を選択することが可能となる。例えば、汚れがひどい衣類を洗濯する場合に適したコースについて、手動投入を選択しておき、普通洗剤などの液体洗剤に対して洗浄力が高い傾向がある粉末洗剤を用いて洗濯運転を行うようにすることが可能となる。このように、上記構成によれば、ユーザは、選択したコースに応じて、普通洗剤、おしゃれ着用洗剤および粉末洗剤を容易に使い分けることが可能となり、洗濯機10の使い勝手を一層向上させることができる。
【0092】
制御装置50は、対象タンクの選択に関する情報を記憶する記憶部53を備えている。このような構成によれば、対象タンクの選択が変更された場合には、その変更後の設定が維持されるようになる。したがって、上記構成によれば、洗濯機10を用いて洗濯運転を行う度にユーザが対象タンクの選択を行うという設定の手間を省くことが可能となり、洗濯機10の使い勝手を一層向上させることができる。
【0093】
投入動作制御部52は、標準コースおよびおしゃれ着コースの双方に対しておしゃれ着用洗剤を用いるように対象タンクの選択が行われている場合、標準コースで洗濯運転を実行する際の自動投入動作における洗濯処理剤の投入量を、おしゃれ着コースで洗濯運転を実行する際の自動投入動作における洗濯処理剤の投入量に比べて少なくするようになっている。つまり、投入動作制御部52は、標準コースでおしゃれ着用洗剤を用いる場合、その投入量を少なめにするようになっている。おしゃれ着用洗剤は、普通洗剤に比べて泡立ちやすい傾向があるため、その投入量を少なめにすることで、標準コースでおしゃれ着用洗剤を用いる場合であっても、泡の発生を抑えることができる。
【0094】
投入動作制御部52は、標準コースおよびおしゃれ着コースの双方に対して普通洗剤を用いるように対象タンクの選択が行われている場合、おしゃれ着コースで洗濯運転を実行する際の自動投入動作における洗濯処理剤の投入量を、標準コースで洗濯運転を実行する際の自動投入動作における洗濯処理剤の投入量に比べて少なくするようになっている。つまり、投入動作制御部52は、おしゃれ着コースで普通洗剤を用いる場合、その投入量を少なめにするようになっている。普通洗剤は、おしゃれ着用洗剤に比べて洗浄力が高いため、その投入量を少なめにすることで、洗剤の使用量の節約を図るとともに洗剤の衣類への影響を低減することができる。
【0095】
投入動作制御部52は、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗濯運転に含まれる洗い動作の時間を長くするようになっている。おしゃれ着用洗剤は、普通洗剤に比べて洗浄力が劣る。そこで、上述したように、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合において洗い時間を長めにすることで、洗浄力を良好に維持することができる。
【0096】
投入動作制御部52は、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗濯運転における回転槽13の回転動作を弱めるようになっている。例えば標準コースについても、おしゃれ着用洗剤を選択するようなユーザは、衣類の布傷みなどを気にしていると想定することができる。そこで、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合において洗濯運転における回転槽13の回転動作を弱めて優しく洗濯することで、衣類の布傷みを低減することができる。また、このようにすれば、おしゃれ着用洗剤を用いることに起因する泡の発生を抑制する泡立ち抑制の効果が得られる。
【0097】
投入動作制御部52は、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗濯運転における水槽12および回転槽13内の水の流れを抑制するようになっている。このようにすれば、おしゃれ着用洗剤を用いることに起因する泡の発生を抑制する泡立ち抑制の効果が得られる。
【0098】
投入動作制御部52は、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗濯運転においてつけおき動作を行うようになっている。前述したように、例えば標準コースについても、おしゃれ着用洗剤を選択するようなユーザは、衣類の布傷みなどを気にしていると想定することができる。そこで、上述したように、普通洗剤を用いる状態からおしゃれ着用洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合においてつけおき動作を行うようにすれば、衣類を十分に濡らした後に攪拌動作が行われることになり、洗浄力を良好に維持しつつ、衣類の布傷みを低減することができる。
【0099】
投入動作制御部52は、おしゃれ着用洗剤を用いる状態から普通洗剤を用いる状態へと対象タンクの選択が変更された場合、洗濯運転に含まれる洗濯物を洗う洗い動作の時間を短くするようになっている。このようにすれば、洗濯運転において衣類と普通洗剤が触れ合う時間を短く抑えることが可能となり、洗剤が衣類に及ぼす影響が軽減され、衣類の布傷みなどを低減することができる。
【0100】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について
図20および
図21を参照して説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対し、制御装置50の構成が異なっている。すなわち、
図20に示すように、本実施形態の制御装置50は、種類判別部54という機能ブロックが追加されている点、投入動作制御部52に代えて投入動作制御部55を備えている点などが異なっている。
【0101】
種類判別部54は、回転槽13内に収容された洗濯物の種類を判別する。種類判別部54は、ユーザにより洗濯する衣類の種類の入力操作を受け付け、その入力操作に基づいて洗濯物の種類を判別することができる。ユーザによる入力操作としては、ユーザのスマートフォンと連携して動作するアプリコースを利用した所定の操作、操作パネル41を用いた所定の操作などを採用することができる。また、種類判別部54は、次のようにして回転槽13内に収容された洗濯物の種類を判別することもできる。
【0102】
すなわち、RFIDなどのICタグなどが取り付けられた衣類の洗濯が想定される場合、そのRFIDを読み取るリーダを洗濯機10に設け、種類判別部54が、そのリーダによる読み取り結果に基づいて洗濯物の種類を判別することができる。なお、RFIDは、Radio Frequency Identificationの略称である。また、回転槽13内を撮像することができる画像センサを洗濯機10に設け、種類判別部54が、その画像センサにより撮像された画像に基づいて洗濯物の種類を判別することができる。例えば、種類判別部54は、撮像された画像中に洗濯ネットが存在する場合、洗濯物の中に少なくともおしゃれ着が含まれていると判別することができる。これらの手法によれば、種類判別部54は、回転槽13内に収容された洗濯物の中に普通の衣類とおしゃれ着とが混在していることをも判別することが可能となる。
【0103】
投入動作制御部55は、投入動作制御部52と同様の制御を実行することができるとともに、さらに次のような制御を実行することができる。すなわち、投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類に基づいて自動投入動作における洗濯処理剤の投入量を変更することができるようになっている。投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類に基づいて洗濯運転における回転槽13の回転動作を強めることができるようになっている。
【0104】
投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類に基づいて洗濯運転における回転槽13の回転動作を弱めることができるようになっている。投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類に基づいて洗濯運転に含まれる洗濯物を洗う洗い動作の時間を変更することができるようになっている。このような投入動作制御部55による制御は、具体的には次のような観点で行われる。
【0105】
すなわち、おしゃれ着コースで洗濯することができる洗濯物として、制服、帽子、ダウンジャケット、セーター、ランジェリーなどが挙げられる。おしゃれ着コースは、洗濯物の布を傷めることなく洗うことを主眼としたコースであるため、標準コースに対して洗浄力は劣るものとなっている。しかし、おしゃれ着コースで洗濯できる洗濯物のうち、制服、帽子などは、肌に触れる機会が多いことから皮脂汚れが付着し易い。そのため、制服、帽子などをおしゃれ着コースで洗濯する場合、他の洗濯物をおしゃれ着コースで洗濯する場合に比べ、洗浄力を向上させることが望ましい。
【0106】
一方、おしゃれ着コースで洗濯できる洗濯物のうち、ランジェリーなどは、レースなどが付いており、洗濯により一層傷み易いものとなっている。そのため、ランジェリーなどをおしゃれ着コースで洗濯する場合、他の洗濯物をおしゃれ着コースで洗濯する場合に比べ、布傷みを一層軽減できるような運転とすることが望ましい。そこで、投入動作制御部55は、おしゃれ着コースで洗濯する場合、種類判別部54により判別された洗濯物の種類に応じて、洗剤量、洗い動作における回転槽13の回転数である洗い中回転数および洗い時間を設定するようになっている。
【0107】
これらの設定の具体的な例としては、例えば
図21に示すような内容とすることができる。なお、
図21では、帽子のことをキャップと称している。すなわち、投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された衣類がランジェリーである場合、「洗剤量=1.0杯」、「洗い中回転数=15rpm」および「洗い時間=6分」となるように各設定を行う。投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された衣類がセーターまたはダウンジャケットである場合、「洗剤量=1.0杯」、「洗い中回転数=20rpm」および「洗い時間=6分」となるように各設定を行う。投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された衣類が学生服またはキャップである場合、「洗剤量=1.2杯」、「洗い中回転数=30rpm」および「洗い時間=9分」となるように各設定を行う。
【0108】
このように、投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類が皮脂汚れの付きやすいものであるほど、洗剤量を増やし、洗い中回転数を増やし、洗い時間を増やす、ようになっている。また、投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類が洗濯により一層傷み易いものであるほど、洗剤量を減らし、洗い中回転数を減らし、洗い時間を減らす、ようになっている。
【0109】
また、投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類に基づいて対象タンクの選択を変更することができるようになっている。例えば、種類判別部54により回転槽13内に収容された洗濯物の中におしゃれ着が含まれていると判別された場合、投入動作制御部55は、対象タンクとしておしゃれ着用タンクを選択する、つまりおしゃれ着用洗剤を投入する。ユーザにより対象タンクの選択が行われている場合、ユーザによる選択と、上記した投入動作制御部55による選択と、が異なるものとなることが考えられる。このような場合、上記した投入動作制御部55による選択よりもユーザによる選択を優先するとよい。このようにすれば、ユーザは、意図通りの内容の洗濯運転が実施されることから、違和感を覚えることがなくなる。
【0110】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類に基づいて自動投入動作における洗濯処理剤の投入量を変更することができるようになっている。また、投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類に基づいて洗濯運転における回転槽13の回転動作を強めることまたは弱めることができるようになっている。このようにすれば、汚れが付き易い衣類を洗濯する場合には洗浄力を高めることができるとともに、洗濯により傷み易い衣類を洗濯する場合には布傷みを低減することができるため、ユーザが満足するような洗濯を提供することができる。
【0111】
投入動作制御部55は、種類判別部54により判別された洗濯物の種類に基づいて対象タンクの選択を変更するようになっている。このようにすれば、ユーザが自身で対象タンクの選択をしない場合、つまりユーザが自身で投入する洗剤を指定しない場合であっても、洗濯機10において洗濯対象となる衣類に最適であると考えられる種類の洗剤を自動投入することになるため、洗濯処理剤の自動投入に関する利便性が高まる効果を得ることができる。
【0112】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について
図22および
図23を参照して説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対し、制御装置50の構成が異なっている。すなわち、
図21に示すように、本実施形態の制御装置50は、投入動作制御部52に代えて投入動作制御部56を備えている点などが異なっている。
【0113】
この場合、洗濯運転の複数のコースには、複数のおしゃれ着コースが含まれている。具体的には、洗濯運転の複数のコースには、上記各実施形態において説明したおしゃれ着コースに加え、運転内容が若干異なる念入りおしゃれ着コースが含まれている。投入動作制御部56は、投入動作制御部52と同様の制御を実行することができるとともに、さらに次のような制御を実行することができる。すなわち、投入動作制御部56は、おしゃれ着コースおよび念入りおしゃれ着コースのそれぞれ毎で自動投入動作における洗濯処理剤の投入量を異ならせるようになっている。
【0114】
投入動作制御部56は、おしゃれ着コースおよび念入りおしゃれ着コースのそれぞれ毎で洗濯運転における回転槽13の回転動作の強弱を異ならせる、つまり洗い中回転数を異ならせるようになっている。投入動作制御部56は、おしゃれ着コースおよび念入りおしゃれ着コースのそれぞれ毎で洗濯運転に含まれる洗濯物を洗う洗い動作の時間を異ならせるようになっている。
【0115】
これらのコース毎の設定の具体的な例としては、例えば
図23に示すような内容とすることができる。すなわち、おしゃれ着コースは、「洗剤量=1.0杯」、「洗い中回転数=20rpm」および「洗い時間=6分」という設定になっている。また、念入りおしゃれ着コースは、「洗剤量=1.2杯」、「洗い中回転数=30rpm」および「洗い時間=9分」という設定になっている。
【0116】
以上説明したように、本実施形態によれば、2つのおしゃれ着コース、つまり通常のおしゃれ着コースと念入りおしゃれ着コースとが設けられている。これら各コースは、洗剤量、洗い中回転数および洗い時間が互いに異なっており、それにより、それぞれ洗浄力が異なっている。具体的には、おしゃれ着コースに比べ、念入りおしゃれ着コースのほうが、洗剤量が多く、洗い中回転数が高く、洗い時間が長く、なっており、洗浄力が高いコースとなっている。
【0117】
おしゃれ着コースが推奨されるような衣類であっても、ユーザの使い方によってはひどく汚れている場合があり得る。このような場合、通常のおしゃれ着コースでは洗浄力が不足するおそれがある。本実施形態によれば、このような汚れのひどいおしゃれ着を洗濯する場合、通常のおしゃれ着コースよりも洗浄力が高い念入りおしゃれ着コースを適用することによりユーザが満足するような洗濯の結果が得られる。このように、本実施形態によれば、洗濯機10の使い勝手を一層向上させることができる。
【0118】
なお、念入りおしゃれ着コースに代えてまたは加えて、通常のおしゃれ着コースに比べ、洗剤量、洗い中回転数および洗い時間の少なくとも1つを減少させることにより洗濯による衣類への影響を低減するようにした第3のおしゃれ着コースを設けてもよい。このようにすれば、一般的なおしゃれ着よりもさらに洗濯により傷み易い衣類を洗濯する場合、第3のおしゃれ着コースを適用することによりユーザが満足するような洗濯の結果を得ることができ、洗濯機10の使い勝手がより一層向上する。
【0119】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について
図24~
図28を参照して説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対し、制御装置50の構成が異なっている。すなわち、
図24に示すように、本実施形態の制御装置50は、誤投入検知部57という機能ブロックが追加されている点、投入動作制御部52に代えて投入動作制御部58を備えている点などが異なっている。
【0120】
誤投入検知部57は、複数のタンク31のそれぞれについて貯留された洗濯処理剤が予め定められた種類のものとは異なる種類のものとなっている誤投入を検知する。誤投入検知部57は、次のような各手法のうち少なくともいずれかの手法を用いて誤投入を検知することができる。すなわち、普通洗剤用タンクにおしゃれ着用洗剤が貯留される誤投入が生じた状態且つ普通洗剤用タンクが対象タンクとされた状態で洗濯運転が行われると、水槽12内に多量の泡が発生する。
【0121】
そこで、洗濯機10に水槽12内の泡を検知する泡センサを設けることにより、誤投入検知部57は、その泡センサの検知結果に基づいて普通洗剤用タンクにおしゃれ着用洗剤が貯留される誤投入を検知することができる。このような手法によれば、誤投入検知部57は、洗濯運転の実行中または実行後、つまり運転中または運転後に誤投入を検知することができる。
【0122】
また、洗濯処理剤は、その種類毎にpH値および色が異なる場合がある。具体的には、
図25に示すように、普通洗剤は、pH値が弱アルカリ性を示す値であるとともに色が透明であり、おしゃれ着用洗剤は、pH値が中性を示す値であるとともに色が透明である。また、
図25に示すように、柔軟剤は、色が白濁した色である。なお、柔軟剤は、pH値は様々なものがあり、一様に定義することが難しいため、ここでは柔軟剤のpH値についての表記は省略している。
【0123】
このような点を考慮し、タンク31に貯留された洗濯処理剤のpH値を測定すること、および、タンク31に貯留された洗濯処理剤の透過度を測定すること、のうち少なくとも一方を行い、誤投入検知部57は、このような測定結果に基づいて誤投入を検知することができる。なお、pH値の測定は、例えばタンク31内に電極を設けることにより実現することが可能であり、透過度の測定は、光センサを用いることにより実現することが可能である。このような手法によれば、誤投入検知部57は、洗濯運転が実行される前に、つまり事前に誤投入を検知することができる。
【0124】
投入動作制御部58は、投入動作制御部52と同様の制御を実行することができるとともに、さらに次のような制御を実行することができる。すなわち、投入動作制御部58は、誤投入検知部57により誤投入が検知されると、その旨をユーザに報知する報知動作を実行するようになっている。このようにすれば、誤投入検知部57が運転中または運転後に誤投入を検知することができる手法を採用している場合、誤投入が発生したことを洗濯運転の運転中または運転後にユーザに報知することができる。また、このようにすれば、誤投入検知部57が事前に誤投入を検知することができる手法を採用している場合、誤投入が発生したことを洗濯運転の運転前にユーザに報知することができる。
【0125】
また、投入動作制御部58は、誤投入検知部57により誤投入が検知されると、回転槽13内に投入された洗濯処理剤を排出する排出動作を実行するようになっている。さらに、投入動作制御部58は、誤投入検知部57により対象タンクについての誤投入が検知されると、対象タンクとは異なる別のタンク31に貯留された洗濯処理剤を回転槽13内に投入するように自動投入装置30の動作を制御するようになっている。
【0126】
次に、誤投入検知部57および投入動作制御部58により実行される制御内容の2つの具体例について説明する。なお、ここでは、誤投入検知部57は、泡センサの検知結果に基づいて普通洗剤用タンクにおしゃれ着用洗剤が貯留される誤投入を検知するようになっているものとする。
【0127】
[1]第1具体例
第1具体例は、投入動作制御部58が報知動作だけを実行するものである。この場合、洗濯運転が開始された後、
図26に示す内容の処理が繰り返し実行される。
図26に示す処理では、まずステップS100において、多量の泡が発生したか否かが判断される。ここで、多量の泡が発生していないと判断された場合、ステップS100で「NO」となり、ステップS200に進む。
【0128】
ステップS200では、運転継続の判断がなされる。ステップS200の実行後、本処理が終了となる。一方、多量の泡が発生していると判断された場合、ステップS100で「YES」となり、ステップS300に進む。ステップS300では、誤投入が検知された旨をユーザに報知する報知動作が実行される。ステップS300の実行後、本処理が終了となる。
【0129】
報知動作としては、例えば操作パネル41の表示部411に
図27に示すようなエラー画面を表示することが挙げられる。
図27に示すように、エラー画面には、「洗剤タンクに別の種類の洗剤を投入していませんか」という文字情報と、「C26」という誤投入に対応したエラーを表す記号と、が表示される。ユーザは、これら文字情報および記号を確認することにより、誤投入の発生を知ることができる。
【0130】
[2]第2具体例
第2具体例は、投入動作制御部58が報知動作に加え、排出動作および対象タンクとは別のタンク31に貯留された洗濯処理剤を投入する動作についても実行するものである。この場合、洗濯運転が開始された後、
図28に示す内容の処理が繰り返し実行される。
図28に示す処理は、
図26に示した第1具体例の処理に対し、ステップS400~S800が追加されている点などが異なっている。この場合、ステップS300の実行後、ステップS400に進む。
【0131】
ステップS400では、回転槽13内に投入された洗濯処理剤を排出する排出動作が実行される。ステップS400の実行後、ステップS500にて給水動作が実行され、ステップS600にてすすぎ動作が実行される。ステップS600の実行後、ステップS700に進み、再び排出動作が実行される。ステップS700の実行後、ステップS800に進む。ステップS800では、対象タンクとは異なる別のタンク31に貯留された洗濯処理剤を回転槽13内に投入するように自動投入装置30の動作が制御される。つまり、ステップS800では、予め設定された洗濯処理剤とは異なる洗濯処理剤が自動投入される。ステップS800の実行後、本処理が終了となる。
【0132】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
制御装置50は、複数のタンク31のそれぞれについて貯留された洗濯処理剤が予め定められた種類のものとは異なる種類のものとなっている誤投入を検知する誤投入検知部57を備えている。そして、投入動作制御部58は、誤投入検知部57により誤投入が検知されると、その旨をユーザに報知する報知動作を実行するようになっている。このようにすれば、ユーザは、タンク31に指定された洗濯処理剤とは異なる種類の洗濯処理剤を誤って投入した場合でも、その誤りに気付くことができ、タンク31に貯留された洗濯処理剤を指定された正しい種類のものに入れ替えるなど、適切な対処を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、洗濯機10の使い勝手がより一層向上する。
【0133】
また、投入動作制御部58は、誤投入検知部57により誤投入が検知されると、回転槽13内に投入された洗濯処理剤を排出する排出動作を実行するようになっている。このようにすれば、ユーザが所望する種類とは異なる種類の洗濯処理剤を用いた洗濯運転が継続して実施されることを防止できる。
【0134】
自動投入装置30は、洗剤を投入する2つのタンク31を備えた構成となっている。そのため、対象タンクについての誤投入が検知された場合、2つのタンク31に貯留された洗濯処理剤が互いに入れ替わっている可能性が高い。そこで、投入動作制御部58は、誤投入検知部57により対象タンクについての誤投入が検知されると、対象タンクとは異なる別のタンク31に貯留された洗濯処理剤を回転槽13内に投入するように自動投入装置30の動作を制御するようになっている。このようにすれば、ユーザがタンク31に指定された洗濯処理剤とは異なる種類の洗濯処理剤を誤って投入した場合でも、結果的に、所望する種類の洗濯処理剤で洗濯運転を実施することができる。
【0135】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について
図29を参照して説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対し、制御装置50の構成が異なっている。すなわち、
図29に示すように、本実施形態の制御装置50は、不足検知部59という機能ブロックが追加されている点、投入動作制御部52に代えて投入動作制御部521を備えている点などが異なっている。
【0136】
不足検知部59は、複数のタンク31のそれぞれについて、貯留された洗濯処理剤が予め定められた下限量未満である状態または予め定められた装着箇所に正しく装着されていない状態である処理剤不足を検知する。なお、貯留された洗濯処理剤が下限量未満である状態には、洗濯処理剤が全く無い状態も含まれる。投入動作制御部521は、投入動作制御部52と同様の制御を実行することができるとともに、さらに次のような制御を実行することができる。すなわち、投入動作制御部521は、不足検知部59により対象タンクについての処理剤不足が検知されると、対象タンクとは異なる別のタンク31に貯留された洗濯処理剤を回転槽13内に投入するように自動投入装置30の動作を制御する。
【0137】
ただし、投入動作制御部521は、ユーザからの許可が得られた場合にだけ、別のタンク31からの洗剤投入を実施する。ユーザからの許可は、事前に所定の操作により許可が取れていることを登録設定しておく方法、処理剤不足が検知されたときに所定の操作により許可を取る方法などが挙げられる。
【0138】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
制御装置50は、複数のタンク31のそれぞれについて、貯留された洗濯処理剤が予め定められた下限量未満である状態または予め定められた装着箇所に正しく装着されていない状態である処理剤不足を検知する不足検知部59を備えている。そして、投入動作制御部521は、不足検知部59により対象タンクについての処理剤不足が検知されると、対象タンクとは異なる別のタンク31に貯留された洗濯処理剤を回転槽13内に投入するように自動投入装置30の動作を制御する。
【0139】
このようにすれば、ユーザによる適切な洗濯処理剤の補充がされなかったこと、タンク31の装着ミスなどに起因して自動投入される洗濯処理剤の投入量が本来必要な量に対して不足する場合であっても、別のタンク31に貯留された洗濯処理剤を自動投入することにより、洗濯処理剤の投入量が少ない状態で、あるいは洗濯処理剤無しで、洗濯運転が実施されてしまう事態を回避しつつ、今回の洗濯運転を継続することができる。したがって、本実施形態によれば、洗濯機10の使い勝手がより一層向上する。
【0140】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
本発明は、ドラム式洗濯乾燥機である洗濯機10に限らず、縦軸型の洗濯機など、洗濯機全般に適用することができる。
【0141】
ユーザからの操作を受け付けるための操作部としては、液晶ディスプレイからなる表示部411を備えた操作パネル41に限らずともよく、例えば
図29~
図31に示すような構成の操作パネル201であってもよい。操作パネル201は、ユーザによる操作が可能な複数の操作ボタンと、LEDなどを光源として各種の情報を表示する複数の表示部と、を備えた構成となっている。
【0142】
図29は、洗濯乾燥運転の標準コースにおいて自動投入される洗剤として「普通洗剤」が設定されている状態の操作パネル201を示している。この場合、「普通洗剤」という文字が表示された操作ボタン202の上方に存在する表示部203が点灯することにより、自動投入される洗剤が「普通洗剤」に設定されていることが分かるようになっている。なお、表示部203は、自動投入される洗剤量を表すものであり、「少なめ」、「標準」、「多め」などの文字が表示される。
【0143】
また、
図30は、洗濯乾燥運転の標準コースにおいて自動投入される洗剤として「おしゃれ着用洗剤」が設定されている状態の操作パネル201を示している。この場合、「おしゃれ着洗剤」という文字が表示された操作ボタン204の上方に存在する表示部205が点灯することにより、自動投入される洗剤が「おしゃれ着洗剤」に設定されていることが分かるようになっている。なお、表示部205は、表示部203と同様、自動投入される洗剤量を表すものである。
【0144】
図29に示す状態において、操作ボタン204に対する操作が行われると、自動投入される洗剤が「普通洗剤」から「おしゃれ着用洗剤」に変更されて
図30に示す状態となる。また、
図30に示す状態において、操作ボタン202に対する操作が行われると、自動投入される洗剤が「普通洗剤」から「おしゃれ着用洗剤」に変更されて
図30に示す状態となる。
【0145】
また、操作部として操作パネル201を用いる場合、
図31に示すような表示状態とすることで、
図27に示したエラー画面と同様、ユーザに対して誤投入の発生を報知することができる。この場合、操作パネル201の中央付近に設けられた7セグ表示部206により「C26」という誤投入に対応したエラーを表す記号が表示される。ユーザは、このような記号を確認することにより、誤投入の発生を知ることができる。
【0146】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0147】
図面中、10は洗濯機、12は水槽(収容槽)、13は回転槽(収容槽)、30は自動投入装置、31はタンク、41は操作パネル(操作部)、50は制御装置、51は運転制御部、52、55、56、58、521は投入動作制御部、53は記憶部、54は種類判別部、57は誤投入検知部、59は不足検知部、201は操作パネルを示す。