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7644001調光システム、情報処理装置及びコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】調光システム、情報処理装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/20 20060101AFI20250304BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20250304BHJP
   A01K 29/00 20060101ALI20250304BHJP
   A01K 61/00 20170101ALI20250304BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
A01G9/20 B
A01G7/00 603
A01K29/00 A
A01K61/00
E06B9/24 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021520663
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(86)【国際出願番号】 JP2020017125
(87)【国際公開番号】W WO2020235282
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2019095528
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡本 紳平
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-104863(JP,A)
【文献】特開2011-172522(JP,A)
【文献】特許第5245395(JP,B2)
【文献】特開2011-120557(JP,A)
【文献】特開2019-071802(JP,A)
【文献】特開2006-262852(JP,A)
【文献】国際公開第2012/141091(WO,A1)
【文献】特開2006-296304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0264871(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 9/00 - 9/26
A01K 29/00
A01K 61/00 - 61/65
E06B 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設上の複数の設置領域に設置され、光の透過率が調整可能な調光部材と、
該調光部材に電源を供給する太陽電池と、
前記複数の設置領域毎に前記調光部材の光の透過率を調整する制御部と
前記施設内を撮像する撮像部と、
該撮像部が撮像した画像から、前記設置領域のそれぞれに対応する撮像領域の画像を抽出する抽出部と、
画像を入力した場合に監視対象の検出の有無情報を出力する第1学習モデルに、前記抽出部が抽出した画像を入力して前記有無情報を前記撮像領域毎に取得する第1取得部と
を備え、
前記制御部は、前記第1取得部により取得した有無情報に基づいて前記複数の設置領域毎に前記透過率を調整する
調光システム。
【請求項2】
施設上に設置され、光の透過率が調整可能な調光部材と、
該調光部材に電源を供給する太陽電池と、
前記調光部材の光の透過率を調整する制御部と、
前記施設内を撮像する撮像部と、
画像を入力した場合に監視対象の日焼けの程度情報を出力する第2学習モデルに、前記撮像部により撮像した画像を入力して前記程度情報を取得する第2取得部と
を備え、
前記制御部は、前記第2取得部により取得した程度情報に基づいて前記透過率を調整する
調光システム。
【請求項3】
日射量を検出する日射センサを備え、
前記制御部は、前記日射センサにより検出した日射量に基づいて前記透過率を調整する
請求項1又は請求項2に記載の調光システム。
【請求項4】
前記太陽電池は、前記施設上又は前記施設外に設置されており、
前記制御部は、前記太陽電池の発電電力から検出した日射量に基づいて前記透過率を調整する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の調光システム。
【請求項5】
前記太陽電池からの電力を蓄電する蓄電池を備える請求項1から請求項4の何れか1項に記載の調光システム。
【請求項6】
前記調光部材の透過光が照射される照射対象の選択を受け付ける受付部を備え、
前記制御部は、前記受付部が選択を受け付けた照射対象に応じて前記透過率を調整する
請求項から請求項の何れか1項に記載の調光システム。
【請求項7】
前記施設はビニールハウスを含む温室であり、
前記調光部材の透過光が照射される照射対象は農作物であり、
前記温室内の温度を検出する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサで検出した温度に基づき、前記農作物に応じて前記透過率を調整する
請求項から請求項の何れか1項に記載の調光システム。
【請求項8】
外部端末との間で通信を行う通信部と、
前記制御部が調整した透過率、前記検出した日射量及び前記撮像部が撮像した画像を、前記通信部を介して前記外部端末に出力する第1出力部と
を備える請求項3又は4に記載の調光システム。
【請求項9】
前記監視対象は家畜又は魚介類であり、
前記制御部は、前記第1取得部により取得した有無情報に基づいて検出有と判定した監視対象の前記撮像領域間の移動に応じて前記透過率を調整する
請求項に記載の調光システム。
【請求項10】
外部端末との間で通信を行う通信部と
像を入力した場合に監視対象の生育の程度情報を出力する第3学習モデルに、前記撮像部により撮像した画像を入力して前記程度情報を取得する第3取得部と、
該第3取得部により取得した程度情報を、前記通信部を介して前記外部端末に出力する第2出力部と
を備える請求項1から請求項の何れか1項に記載の調光システム。
【請求項11】
施設上の複数の設置領域に設置され太陽電池から電源が供給される調光部材における光の透過率を調整するための指令値を出力する出力部と、
前記施設の周囲の日射量を取得する取得部と、
該取得部により取得した日射量に基づいて前記出力部から出力する指令値を制御する制御部と
前記施設内を撮像する撮像部と、
該撮像部が撮像した画像から、前記設置領域のそれぞれに対応する撮像領域の画像を抽出する抽出部と、
画像を入力した場合に監視対象の検出の有無情報を出力する第1学習モデルに、前記抽出部が抽出した画像を入力して前記有無情報を前記撮像領域毎に取得する第1取得部と
を備え、
前記制御部は、前記第1取得部により取得した有無情報に基づいて前記複数の設置領域毎に前記透過率を調整する
情報処理装置。
【請求項12】
施設上に設置され太陽電池から電源が供給される調光部材における光の透過率を調整するための指令値を出力する出力部と、
前記施設の周囲の日射量を取得する取得部と、
該取得部により取得した日射量に基づいて前記出力部から出力する指令値を制御する制御部と、
前記施設内を撮像する撮像部と、
画像を入力した場合に監視対象の日焼けの程度情報を出力する第2学習モデルに、前記撮像部により撮像した画像を入力して前記程度情報を取得する第2取得部と
を備え、
前記制御部は、前記第2取得部により取得した程度情報に基づいて前記透過率を調整する
情報処理装置。
【請求項13】
施設上の複数の設置領域に設置され太陽電池から電源が供給される調光部材における光の透過率を調整する外部装置と通信し、
前記外部装置により調整された透過率を取得し、
取得した透過率を表示し、
前記複数の設置領域毎に前記透過率を調整し、
前記施設内を撮像し、
撮像した画像から、前記設置領域のそれぞれに対応する撮像領域の画像を抽出し、
画像を入力した場合に監視対象の検出の有無情報を出力する第1学習モデルに、抽出した画像を入力して前記有無情報を前記撮像領域毎に取得し、
取得した有無情報に基づいて前記複数の設置領域毎に前記透過率を調整する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項14】
施設上に設置され太陽電池から電源が供給される調光部材における光の透過率を調整する外部装置と通信し、
前記外部装置により調整された透過率を取得し、
取得した透過率を表示し、
前記施設内を撮像し、
画像を入力した場合に監視対象の日焼けの程度情報を出力する第2学習モデルに、撮像した画像を入力して前記程度情報を取得し、
取得した程度情報に基づいて前記透過率を調整する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記外部装置は複数の施設にそれぞれ設置されており、
複数の前記施設について取得した透過率を表示する
処理をコンピュータに実行させる請求項13又は請求項14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記施設の選択を受け付け、
選択された施設について取得した透過率を表示する
処理をコンピュータに実行させる請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光部材を用いて日射の透過量を調整する調光システム、情報処理装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物等の植物に対する雨及び結露の影響を防ぐために、躯体をガラス又は合成樹脂のフィルムで覆った温室が広く用いられている。いわゆるビニールハウスもこれに含まれており、サンルームにも温室と同様の部材が用いられる。
【0003】
一方、日射量が比較的多い地域では、温室内の植物に日焼けが生じるため、必要に応じて日射量を低減することが望まれる。過大な日射量の影響を特に受け易い自動車についても同様の事情がある。
【0004】
これに対し、特許文献1には、フロントガラスの表面、運転席及び助手席の窓ガラスの表面、後部座席の窓ガラスの表面、並びにリアガラスの表面それぞれに、透過状態及び鏡面状態の何れかの状態に可変に制御し得るエレクトロクロミック層が設けられた自動車が開示されている。特許文献1には、ガラス温室及びビニールハウスにエレクトロクロミック層を適用した例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-104863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、エレクトロクロミック層を透過状態及び鏡面状態の何れかに制御することしか考慮されていない。また、制御を行うための電源をどのように供給するかついては、何も言及されていない。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、調光部材における日射の透過率を適時適切に調整することが可能な調光システム、情報処理装置及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る調光システムは、施設上に設置され、光の透過率が調整可能な調光部材と、該調光部材に電源を供給する太陽電池と、前記調光部材の光の透過率を調整する制御部とを備える。
【0009】
本態様にあっては、太陽電池からの電力により光の透過率が調整可能な調光部材が施設上に設置されており、該調光部材における光の透過率を制御部が調整する。これにより、施設内への日射の透過率を外部電源によらずに調整することができる。
【0010】
本開示の一態様に係る調光システムは、日射量を検出する日射センサを備え、前記制御部は、前記日射センサにより検出した日射量に基づいて前記透過率を調整する。
【0011】
本態様にあっては、検出した日射量に基づいて調光部材における光の透過率を調整する。これにより、日射量が過大であるときは日射の透過を抑制し、日射量が比較的少ないときは施設内に日射を有効に取り込むことができる。
【0012】
本開示の一態様に係る調光システムは、前記太陽電池は、前記施設上又は前記施設外に設置されており、前記制御部は、前記太陽電池の発電電力から検出した日射量に基づいて前記透過率を調整する。
【0013】
本態様にあっては、太陽電池は、施設上又は施設外にて効率よく発電することができる。また、日射センサが備わっていない場合であっても、施設上又は施設外に設置された太陽電池の発電電力を換算して日射量を検出し、検出した日射量に基づいて施設内への日射の透過率を調整することができる。
【0014】
本開示の一態様に係る調光システムは、前記太陽電池からの電力を蓄電する蓄電池を備える。
【0015】
本態様にあっては、専用バッテリに太陽電池からの電力を蓄電して自装置内の各部に給電するため、太陽電池の発電量が大幅に低下する雨天又は曇天の場合であっても所要の制御を行うことができる。
【0016】
本開示の一態様に係る調光システムは、前記調光部材の透過光が照射される照射対象の選択を受け付ける受付部を備え、前記制御部は、前記受付部が選択を受け付けた照射対象に応じて前記透過率を調整する。
【0017】
本態様にあっては、調光部材の透過光が照射される照射対象を予め選択しておくことにより、照射対象の違いを考慮して施設内への日射の透過率を調整することができる。
【0018】
本開示の一態様に係る調光システムは、前記施設はビニールハウスを含む温室であり、前記調光部材の透過光が照射される照射対象は農作物であり、前記温室内の温度を検出する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサで検出した温度に基づき、前記農作物に応じて前記透過率を調整する。
【0019】
本態様にあっては、検出した日射量に基づいて調光部材における光の透過率を調整するのみならず、ビニールハウスを含む温室内の温度に基づき、農作物の違いを考慮して調光部材における光の透過率を調整する。これにより、温室内への日射の透過光を農作物の生育に適したレベルに調整することができる。
【0020】
本開示の一態様に係る調光システムは、前記調光部材は、前記施設上の複数の設置領域に設置されており、前記制御部は、前記複数の設置領域毎に前記透過率を調整する。
【0021】
本態様にあっては、施設上の複数の設置領域に設置された調光部材における光の透過率を、設置領域毎に制御部が調整する。これにより、調光部材の透過光が照射される照射対象の施設内における位置、形状が大きい照射対象の部位等に応じて施設内への日射の透過率を調整することができる。
【0022】
本開示の一態様に係る調光システムは、外部端末との間で通信を行う通信部と、前記施設内を撮像する撮像部と、前記制御部が調整した透過率、前記検出した日射量及び前記撮像部が撮像した画像を、前記通信部を介して前記外部端末に出力する第1出力部とを備える。
【0023】
本態様にあっては、外部端末と通信接続した場合は、調整された透過率、現在の日射量及び施設内の画像を外部端末にてモニタすることができる。
【0024】
本開示の一態様に係る調光システムは、前記施設内を撮像する撮像部と、該撮像部が撮像した画像から、前記設置領域のそれぞれに対応する撮像領域の画像を抽出する抽出部と、画像を入力した場合に監視対象の検出の有無情報を出力する第1学習モデルに、前記抽出部が抽出した画像を入力して前記有無情報を前記撮像領域毎に取得する第1取得部とを備え、前記制御部は、前記第1取得部により取得した有無情報に基づいて前記複数の設置領域毎に前記透過率を調整する。
【0025】
本態様にあっては、施設内の画像から、調光部材の設置領域に対応する撮像領域毎に抽出した画像を第1学習モデルに入力し、第1学習モデルから取得した監視対象の検出の有無情報に基づいて、調光部材の設置領域毎に光の透過率を調整する。これにより、監視対象の違い及び監視対象の位置に応じたきめ細かな光の透過率の調整が可能となる。
【0026】
本開示の一態様に係る調光システムは、前記監視対象は家畜又は魚介類であり、前記制御部は、前記第1取得部により取得した有無情報に基づいて検出有と判定した監視対象の前記撮像領域間の移動に応じて前記透過率を調整する。
【0027】
本態様にあっては、監視対象である家畜又は魚介類の撮像領域間の移動に応じて、撮像領域に対応する調光部材における光の透過率を調整する。これにより、家畜又は魚介類の動きに応じて移動先に対する日射の透過率を調整することができる。
【0028】
本開示の一態様に係る調光システムは、前記施設内を撮像する撮像部と、画像を入力した場合に監視対象の日焼けの程度情報を出力する第2学習モデルに、前記撮像部により撮像した画像を入力して前記程度情報を取得する第2取得部とを備え、前記制御部は、前記第2取得部により取得した程度情報に基づいて前記透過率を調整する。
【0029】
本態様にあっては、施設内の画像を第2学習モデルに入力し、第2学習モデルから取得した日焼けの程度情報に基づいて、調光部材における光の透過率を調整する。これにより、監視対象の日焼けの程度に応じたきめ細かな光の透過率の調整が可能となる。
【0030】
本開示の一態様に係る調光システムは、外部端末との間で通信を行う通信部と、前記施設内を撮像する撮像部と、画像を入力した場合に監視対象の生育の程度情報を出力する第3学習モデルに、前記撮像部により撮像した画像を入力して前記程度情報を取得する第3取得部と、該第3取得部により取得した程度情報を、前記通信部を介して前記外部端末に出力する第2出力部とを備える。
【0031】
本態様にあっては、施設内の画像を第3学習モデルに入力し、第3学習モデルから取得した生育の程度情報を外部端末に出力する。これにより、外部端末と通信接続した場合は、監視対象の成育の程度を外部端末にてモニタすることができる。
【0032】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、施設上に設置され太陽電池から電源が供給される調光部材における光の透過率を調整するための指令値を出力する出力部と、前記施設の周囲の日射量を取得する取得部と、該取得部により取得した日射量に基づいて前記出力部から出力する指令値を制御する制御部とを備える。
【0033】
本態様にあっては、光の透過率が調整可能な調光部材が設置された施設の周囲の日射量を取得し、取得した日射量に基づいて上記透過率を調整するための指令値を出力する。これにより、施設から離れた位置にてリモートで調光部材における光の透過率を調整することができる。
【0034】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、施設上に設置され太陽電池から電源が供給される調光部材における光の透過率を調整する外部装置と通信し、前記外部装置により調整された透過率を取得し、取得した透過率を表示する処理をコンピュータに実行させる。
【0035】
本態様にあっては、調整された光の透過率を通信により取得して表示する。これにより、調光部材における光の透過率をコンピュータ端末にてモニタすることができる。
【0036】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、前記外部装置は複数の施設にそれぞれ設置されており、複数の前記施設について取得した透過率を表示する処理をコンピュータに実行させる。
【0037】
本態様にあっては、複数の施設上に設置された調光部材における光の透過率を1台のコンピュータ端末にてモニタすることができる。
【0038】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、前記施設の選択を受け付け、選択された施設について取得した透過率を表示する処理をコンピュータに実行させる。
【0039】
本態様にあっては、コンピュータのユーザによって選択された施設上の調光部材における光の透過率をコンピュータ端末にてモニタすることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、調光部材における日射の透過率を適時適切に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】実施形態1に係る調光システムの構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る外部端末の構成例を示すブロック図である。
図3】調光システムが設置されるビニールハウスの外観を模式的に示す斜視図である。
図4】ビニールハウスの内部を妻面部から見た模式的な透視図である。
図5】調光部材の構成を模式的に示す断面図である。
図6】調光部材における光の透過率の波長特性を例示するグラフである。
図7】日射量及び室温と透過率の調整係数Aとの対応を示す図表である。
図8】調光部材の設置領域と透過率の調整係数Bとの対応を示す図表である。
図9】調光部材における光の透過率を調整する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図10】調光制御装置から取得したデータを表示メモリに記憶する外部端末の処理手順を示すフローチャートである。
図11】実施形態1に係る外部端末における表示例を示す模式図である。
図12】変形例1に係る調光システムで日射量を算出する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図13】実施形態2に係る調光システムで照射対象の選択を受け付ける制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図14】実施形態2に係る調光制御装置における表示例を示す模式図である。
図15】実施形態3に係る調光システムで画像中の監視対象を認識する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図16】実施形態3に係る学習モデルの内容例を示す模式図である。
図17】変形例2に係る学習モデルの内容例を示す模式図である。
図18】実施形態4に係る調光制御装置で日焼け度を認識する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図19】実施形態4に係る学習モデルの内容例を示す模式図である。
図20】実施形態5に係る調光制御装置で生育度を認識する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図21】実施形態5に係る学習モデルの内容例を示す模式図である。
図22】実施形態6に係る調光システムでビニールハウスの選択を受け付ける制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図23】実施形態6に係る外部端末における表示例を示す模式図である。
図24】実施形態7に係る調光システムの構成例を示すブロック図である。
図25】実施形態7に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る調光システム100の構成例を示すブロック図である。調光システム100は、光の透過率が調整可能な調光部材3,3・・3と、該調光部材3,3・・3における光の透過率を制御する調光制御装置1と、該調光制御装置1及び調光部材3,3・・3の電源となる太陽電池をモジュール化したソーラーパネル4,4・・4とを含む。調光制御装置1は、携帯電話網を含むネットワークNwを介して又は1対1で外部端末200(外部装置に相当)と通信可能に接続されている。
【0043】
調光制御装置1は、制御部10、記憶部11、表示部12、操作部13、電圧電流取得部14、日射センサ15、温湿度センサ16、撮像部17、駆動部18及び通信部19を備える。調光制御装置1は、更にソーラーパネル4,4・・4からの電圧を変換して電源Vccの電圧を生成するDCDCコンバータ21及び該DCDCコンバータ21によって充電される電源バッテリ22(蓄電池に相当)を備える。調光制御装置1内の各部は、電源Vccによって動作する。
【0044】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部10は、記憶部11に記憶されている制御プログラムを実行することにより、装置全体を制御する。
【0045】
記憶部11は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically EPROM:登録商標)等の不揮発性メモリ、及びDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の書き換え可能なメモリを含む。不揮発性メモリは、制御部10が実行する制御プログラム及び各種のデータを予め記憶する。書き換え可能なメモリは、後述する学習モデルX,Y,Z及び一時的に発生するデータを記憶する。
【0046】
表示部12は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示器であり、制御部10に制御されて各種の情報を表示する。操作部13は、ユーザによる操作を受け付けるためのインタフェースであり、物理ボタンで構成してもよいし、表示部12と一体化されたタッチパネルで構成してもよい。
【0047】
電圧電流取得部14は、ソーラーパネル4,4・・4が発電した電圧及び電流を検出部40から取得するためのインタフェースである。電圧電流取得部14により取得した電圧及び電流を乗算して移動平均値を求めることにより、発電電力(kW)が算出される。発電電力を換算して日射量(kW/m2 )を求めることもできる。
【0048】
日射センサ15は、後述するビニールハウス300(図3参照)の外側に設けられ、日射量を検出する。温湿度センサ16は、ビニールハウス300の内部に設けられ、ビニールハウス内の温度及び湿度を検出する。撮像部17は、ビニールハウス300内の中央部の上部に設けられ、ビニールハウス300内の俯瞰画像を撮像する。
【0049】
駆動部18は、調光部材3,3・・3における光の透過率を調整するために、調光部材3,3・・3に対して電流を供給する。調光部材3,3・・3は、平面視が矩形状をなし、供給される電流に応じて透明な状態から遮光状態まで光の透過態様が変化するものであるが、これに限定されるものではない。例えば、水素等のガスによって光の透過率が変化するガスクロミックシートであってもよい。
【0050】
通信部19は、無線通信によってネットワークNwに接続するためのインタフェースであり、ネットワークNwを介して外部端末200との間で画像を含むデータの送受信を行う。通信部19は、例えば不図示の基地局を介して移動通信システムの規格に準拠する通信を行うものであるが、無線LANのアクセスポイントを介したインフラストラクチャモード又はピアツーピア接続によるアドホックモードで外部端末200と通信を行うものであってもよい。通信部19は、また、ブルートゥース(登録商標)の通信規格に準拠する無線通信によって外部端末200と通信を行うものであってもよい。
【0051】
DCDCコンバータ21は、ソーラーパネル4,4・・4が発電した電圧及び電流が検出部40を介して入力されており、MPPT(Maximum Power Point Tracking )制御を行うことによって発電電力を効率よく電源バッテリ22に蓄電する。
【0052】
図2は、実施形態1に係る外部端末200の構成例を示すブロック図である。外部端末200は、例えばスマートフォンであるが、タブレット端末、汎用のPC(Personal Computer )、又はスマートウォッチ等のウェアラブルデバイスであってもよい。外部端末200は、制御部210、記憶部211、表示部212、操作部213及び通信部214を備える。操作部213は、表示部212と一体化されたタッチパネルであるが、これに限定されるものではない。
【0053】
制御部210は、CPU、GPU等のプロセッサと、メモリ等を含む。制御部210は、プロセッサ、メモリ、記憶部211及び通信部214を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip )として構成してもよい。制御部210は、記憶部211に記憶されているアプリプログラム211aに基づく制御を行う。
【0054】
記憶部211は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部211は、アプリプログラム211aを記憶する。アプリプログラム211aがWebブラウザ機能を含んでもよいし、汎用のWebブラウザプログラムが別途記憶部211に記憶されていてもよい。アプリプログラム211aは、記憶媒体215に記憶されたものを制御部210が通信部214又は図示しない入出力部を介して読み出して記憶部211に複製したものであってもよい。
【0055】
通信部214は、無線通信によってネットワークNwに接続するためのインタフェースであり、ネットワークNwを介して調光制御装置1との間で画像を含むデータの送受信を行う。通信部214は、無線LANのアクセスポイントを介したインフラストラクチャモード又はピアツーピア接続によるアドホックモードで外部端末200と通信を行うものであってもよいし、ブルートゥース(登録商標)の通信規格に準拠する無線通信によって調光制御装置1と通信を行うものであってもよい。
【0056】
図3は、調光システム100が設置されるビニールハウス300の外観を模式的に示す斜視図である。ビニールハウス300(温室である施設に相当)は、複数のパイプ状骨部材を適宜の箇所にて緊締具で連結して組上げた正面視蒲鉾状の構造物に、合成樹脂フィルムからなるシート材を該シート材に張りを与えるように設けて構成されている。ビニールハウス300は、切妻状の屋根部301を傾斜方向の両側から側面部302が支持し、長手方向に対向する妻面を妻面部303が閉塞している。
【0057】
屋根部301上の高さが比較的高い領域には、調光部材3,3・・3が整列して設置されているが、必ずしも整列されていなくてもよい。調光部材3,3・・3は、側面部302に設置されていてもよい。調光部材3,3・・3は、屋根部301の上面側及び下面側の何れか、又は側面部302の外側及び内側の何れかに設置されている。調光部材3,3・・3自体が屋根部301又は側面部302の一部を構成してもよい。
【0058】
本実施形態1では、ビニールハウス300における一連の領域の長手方向の並びを「行」と称し、長手方向と直交する方向の並びを「列」と称す。図3では、調光部材3,3・・3が2行4列の設置領域に設置されているが、これに限定されるものではなく、1行又は3行以上の設置領域に設置されていてもよいし、1~3列又は5列以上の設置領域に設置されていてもよい。
【0059】
屋根部301上の高さが比較的低い領域には、ソーラーパネル4,4・・4が整列して設置されている。ソーラーパネル4,4・・4は必ずしもビニールハウス300上に設置されている必要はないが、ビニールハウス300の外部で日当たりが良好な位置に設置されていることが好ましい。日射センサ15は、例えば屋根部301上の適宜の位置に設置されている。
【0060】
図4は、ビニールハウス300の内部を妻面部303から見た模式的な透視図である。第m行第n列(m,nは自然数)の設置領域をRa[m,n]で表す。紙面の右側に位置する側面部302が南向きであるとする。屋根部301の南側の傾斜部位にある設置領域は、西側から順にRa[1,1]~Ra[1,4]である。また、屋根部301の北側の傾斜部位にある設置領域は、西側から順にRa[2,1]~Ra[2,4]である。撮像部17は、屋根部301の下面の中央部に下向きに設置されている。
【0061】
撮像部17で撮像した俯瞰画像に含まれる撮像領域のうち、調光部材3,3・・3の設置領域Ra[1,1]~Ra[2,4]それぞれに対応する露地面の撮像領域をRb[1,1]~Rb[2,4]とする。撮像領域Rb[1,1]~Rb[2,4]それぞれは、例えばビニールハウス300外の1点から設置領域Ra[1,1]~Ra[2,4]を露地面に投影した領域である。この1点は固定的な点であってもよいし、例えば天球上の太陽の移動に伴って変化する点であってもよい。この場合、日時に対して天球上の太陽の位置を変換するテーブルを記憶しておき、該テーブルを用いて変換した太陽の位置に応じて、撮像領域Rb[1,1]~Rb[2,4]を決定すればよい。
【0062】
図5は、調光部材3の構成を模式的に示す断面図である。調光部材3は、電解質層31が間に介在している2つのEC(Electrochromic )層32a及び32bを備え、EC層32a及び32bそれぞれの電解質層31側とは反対側の面には、透明電極33a及び33bが形成されている。透明電極33a及び33bのそれぞれは、ガラス等の透明基材34a及び34bの一面上に形成された導電層である。即ち、2つの透明基材34a及び34bの間に、透明電極33a、EC層32a、電解質層31、EC層32b及び透明電極33bが、この順に積層されている。電解質層31の端部には、電解質を封止するシール材30が設けられている。
【0063】
電解質層31は、EC層32a及び32bに電子又はイオンの供給を行うキャリア供給層である。電解質には、固体、液体、ゲル状等の様々な形態のものを用いることができる。イオン源としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が主に用いられる。
【0064】
EC層32a及び32bは、酸化還元反応によって発色する化合物を含む。例えば、EC層32aに酸化反応で発色する酸化型発色化合物を用い、EC層32bに還元反応で発色する還元型発色化合物を用いた場合、EC層32a及び32bは、通電することにより発色して遮光状態となり、通電を止めることにより退色して透明状態となる。このような変化をもたらす発色化合物の組み合わせとして、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)及びポリアニリン(polyaniline )を用いる。
【0065】
透明電極33a及び33bは、例えば酸化インジウムスズ(ITO=Indium Tin Oxide )を含む透明な導電層である。透明電極33a及び33bそれぞれの一端部には、駆動部18と接続するための取出電極(不図示)が設けられている。
【0066】
透明基材34a及び34bは、ガラスに限定されず、可視光領域にて無色透明で可撓性を有する絶縁フィルムを用いてもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂が好ましい。
【0067】
調光部材3は、透明電極33a及び33bの間に駆動部18から電流を供給することにより、EC層32a及び32bの間で電解質層31を介してイオンが授受される。これにより、EC層32a及び32bが酸化還元されて発色(透明→着色)し、透過光の色が変化する。上記調光部材3の構成は透明電極33a及び33bとEC層32a及び32bとが電解質層31を介して対向した構造となっているが、必ずしも本構造に限定されるものではない。EC層32a又は32bが片側にしかないものや、シール材30が存在しないものなど、要求に応じて柔軟に設計を変更してもよい。
【0068】
図6は、調光部材3における光の透過率の波長特性を例示するグラフである。図の横軸は光の波長(nm)を表し、縦軸は光の透過率(%)を表す。図6に示す例では、調光部材3が駆動部18からの電流によって発色した場合(破線で示す)、波長が380nm~780nmである可視光領域を含む波長域で光の透過率が3%以下に低下する。一方、調光部材3が退色して透明になった場合(実線で示す)、短波長側の一部を除く可視光領域を含む波長域で光の透過率が60~70%に増加する。
【0069】
EC層32a及び32bに含まれる発色化合物の違いにより、調光部材3の発色時の色が変わる。即ち光の透過率が変化するときの波長域を任意に変化させることができる。また、駆動部18から調光部材3に供給する電流の大きさや、EC層32a及び32bの厚み、電解質層31のイオン源種を制御することにより、調光部材3における光の透過率を濃い色の遮光状態と透明な状態との中間の状態にする(即ち、光の透過率を任意に変える)ことが可能である。
【0070】
以上のとおり構成された調光システム100において、調光制御装置1は、日射センサ15から日射量を取得し、温湿度センサ16からビニールハウス300内の温湿度を取得し、時系列的に取得した日射量及び温湿度に基づいて、調光部材3,3・・3における光の透過率を調整する。取得された日射量及び温度と、調整された透過率とは、ネットワークNwを介して外部端末200に出力される。外部端末200は、調光制御装置1から日射量、温度及び透過率を取得して表示部212に表示する。
【0071】
光の透過率は、日射量の変化及び温湿度の変化に応じて、異なる設置領域に設置された調光部材3,3・・3毎に独立して調整される。このため、本実施形態1では、日射量及び温度に応じた透過率の調整係数Aと、調光部材3,3・・3の設置領域に応じた透過率の調整係数Bとを導入する。調光制御装置1は、調整係数A及び調整係数Bの乗算値に応じて調光部材3,3・・3の透過率を調整する。
【0072】
図7は、日射量及び室温と透過率の調整係数Aとの対応を示す図表である。図8は、調光部材3,3・・3の設置領域と透過率の調整係数Bとの対応を示す図表である。図7では、日射量の範囲を0.1kw/m2 から0.9kw/m2 までの5段階と、0.1kw/m2 未満及び0.9kw/m2 以上とに分けてあり、日射量が多いほど調整係数Aが小さくなるようにしてある。また、温度の範囲を0℃から50℃までの5段階と、0℃未満及び50℃以上とに分けてあり、温度が高いほど調整係数Aが小さくなるようにしてある。図7中の数値は、日射量及び温度に対応付けたテーブルとして記憶部11に記憶されている。これらの数値は一例であり、これに限定されない。湿度に応じて図7に示す数値と同一又は異なる数値が記憶されたテーブルを用いることが好ましい。
【0073】
図7に記載した日射量の数値の目安は次の通りである。
(a)0.9以上:2月~10月の晴天下で空の透き通った日の12時頃の値
(b)0.8~0.9:2月~10月の薄い雲で覆われた晴れの日の12時頃の値又は11月~1月の晴れの日の12時頃の値
(c)0.7~0.8:季節にかかわらず雲が多い晴れの日の12時頃の値
(d)0.5~0.7:季節にかかわらず雲が多い晴れか曇りの日の12時頃の値
(e)0.2~0.5:季節にかかわらず曇りの日の12時頃の値
(f)0.1~0.2:季節にかかわらず曇っている時か雨天の時の値
(g)0.1未満:季節にかかわらず雨天の時の値
【0074】
図8に移って、この図では、調光部材3,3・・3の設置領域の行数及び列数それぞれをM(Mは4以上の自然数)及びN(Nは5以上の自然数)に一般化してある。図8では、行番号及び列番号で表される設置領域が、屋根部301の中央部に近いほど調整係数Bが小さくなるようにしてある。図8中の数値は、行番号及び列番号に対応付けたテーブルとして記憶部11に記憶されている。これらの数値は一例であり、これに限定されない。調光部材3,3・・3の透過光が照射される照射対象となる対象物に応じて、図8に示す数値と同一又は異なる数値が記憶されたテーブルを用いることが好ましい。
【0075】
以下では、上述した調光制御装置1の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図9は、調光部材3,3・・3における光の透過率を調整する制御部10の処理手順を示すフローチャートである。図10は、調光制御装置1から取得したデータを表示メモリに記憶する外部端末200の処理手順を示すフローチャートである。図11は、実施形態1に係る外部端末200における表示例を示す模式図である。図9及び図10の処理は一定周期(例えば1分毎)で起動されるが、これに限定されず、不定期に起動されてもよい。
【0076】
図中のM及びNそれぞれは、調光部材3,3・・3の設置領域の行数及び列数である。m及びnそれぞれは行番号及び列番号を計数するためのカウンタである。ここでは例えば農作物を照射対象とし、対象物を示す情報が予め記憶部11に記憶されている。調光部材3の透過率と、調光部材3に供給する電流との関係は、予め記憶部11に記憶されている。なお、調整係数A及び調整係数Bそれぞれは、単に係数A及び係数Bと表記する。
【0077】
調光制御装置1にて図9の処理が起動された場合、制御部10は、撮像部17から1フレーム分の画像を取得し(S11)、取得した画像を、通信部19を介して外部端末200に出力する(S12:第1出力部の一部に相当)。次いで、制御部10は、日射センサ15から日射量を取得する(S13)と共に、温湿度センサ16からビニールハウス300内の温度を取得し(S14)、取得した日射量及び温度を、通信部19を介して外部端末200に出力する(S15:第1出力部の一部に相当)。温度と共に湿度を取得し、取得した湿度を温度と共に出力してもよい。
【0078】
その後、制御部10は、取得した日射量及び温度に応じて記憶部11に記憶されているテーブルから調整係数Aを読み出す(S16)。次いで、制御部10は、調整係数Bを読み出すための準備としてmを1に初期化し(S17)、更にnを1に初期化する(S18)。
【0079】
その後、制御部10は、照射対象として予め記憶部11に記憶されている対象物を読み出し(S20)、読み出した対象物に応じて記憶部11に記憶されているテーブルから第m行第n列の調整係数Bを読み出す(S21)。次いで、制御部10は、常数Pに調整係数A及び調整係数Bを乗算して透過率を算出し(S22)、算出した第m行第n列の調光部材3の透過率を、通信部19を介して外部端末200に出力する(S23:第1出力部の一部に相当)。常数Pは、例えば、図6に示される透明側の透過率の平均的な値にすればよい。なお、透過率には、現在のm及びnの値が付加されて出力される。
【0080】
その後、制御部10は、第m行第n列の設置領域にある調光部材3の透過率を、ステップS23で算出した値になるように調整する(S24)。次いで、制御部10は、列番号を1つ進めるために、nを1だけインクリメントし(S25)、nがN+1になったか否か、即ちnが最終列の番号を越えたか否かを判定する(S26)。
【0081】
nがN+1ではない場合(S26:NO)、制御部10は、次の列の調光部材3の透過率を調整するためにステップS20に処理を移す。一方、nがN+1である場合(S26:YES)、制御部10は、列番号nを1に初期化した(S27)後、行番号を1つ進めるために、mを1だけインクリメントし(S28)、mがM+1になったか否か、即ちmが最終行の番号を越えたか否かを判定する(S29)。
【0082】
mがM+1ではない場合(S29:NO)、制御部10は、次の行の調光部材3の透過率を調整するためにステップS20に処理を移す。一方、mがM+1である場合(S29:YES)、制御部10は、図9の処理を終了する。なお、対象物がビニールハウス300内の全域で一定であることが分かっている場合は、ステップS26及びS29からステップS21に処理を移してもよい。
【0083】
次に、外部端末200にて図10の処理が起動された場合、制御部210は、前回の起動時から現在までの間に調光制御装置1からデータを受信したか否かを判定し(S201)、受信しない場合(S201:NO)、特段の処理を実行することなく図10の処理を終了する。調光制御装置1からデータを受信した場合(S201:YES)、制御部201は、透過率を受信したか否かを判定し(S202)、透過率を受信した場合(S202:YES)、受信して取得した透過率を、記憶部11に確保された表示メモリに記憶して(S203)、図10の処理を終了する。透過率は、取得時に付加されているm及びnの値に応じて表示メモリ内に順次記憶される。
【0084】
ステップS202で透過率を受信しない場合(S202:NO)、制御部210は、日射量を受信したか否かを判定し(S204)、日射量を受信した場合(S204:YES)、受信して取得した日射量を表示メモリに記憶して(S205)、図10の処理を終了する。ステップS204で日射量を受信しない場合(S204:NO)、制御部201は、温度を受信したか否かを判定し(S206)、温度を受信した場合(S206:YES)、受信して取得した温度を表示メモリに記憶して(S207)、図10の処理を終了する。
【0085】
ステップS206で温度を受信しない場合(S206:NO)、制御部210は、画像データを受信したか否かを判定し(S208)、画像データを受信した場合(S208:YES)、受信して取得した画像データを表示メモリに記憶する(S209)。表示メモリに記憶された透過率、日射量及び温度と、記憶された画像データに基づく画像とは、所定のフレームレートで表示部212に表示される。ステップS209の処理を終えた場合、又はステップS208で画像データを受信しない場合(S208:NO)、制御部210は、図10の処理を終了する。
【0086】
図11に移って、外部端末200の表示部212には、調光制御装置1側の処理手順におけるステップS12と、S23と、S15とにてそれぞれ出力された画像(ハウス内モニタ画像:ここではキャベツの画像)と、M行N列の調光部材3,3・・3における透過率と、日射量及び温度とが表示されている。温度に加えて湿度が表示されてもよい。例えば、ハウス内モニタ画像には、撮像領域を示すグリッドを表示してもよい。また、透過率の表示は単なるマトリックス状の数値表示ではなく、調光部材3,3・・3の並びのイメージ図の上に透過率の数値を表示してもよい。
【0087】
以上のように本実施形態1によれば、ソーラーパネル4,4・・4からの電力により光の透過率が調整可能な調光部材3,3・・3がビニールハウス300上に設置されており、該調光部材3,3・・3における光の透過率を制御部10が調整する。従って、ビニールハウス300内への日射の透過率を外部電源によらずに適時適切に調整することが可能となる。
【0088】
また、実施形態1によれば、検出した日射量に基づいて調光部材3,3・・3における光の透過率を制御部10が調整する。従って、日射量が過大であるときは日射の透過を抑制し、日射量が比較的少ないときは施設内に日射を有効に取り込むことが可能となる。
【0089】
更に、実施形態1によれば、電源バッテリ22にソーラーパネル4,4・・4からの電力を蓄電して自装置内の各部に給電するため、ソーラーパネル4,4・・4の発電量が大幅に低下する雨天又は曇天の場合であっても所要の制御を行うことが可能となる。
【0090】
また、実施形態1によれば、検出した日射量に基づいて調光部材3,3・・3における光の透過率を調整するのみならず、ビニールハウス300内の温度に基づき、農作物の違いを考慮して調光部材3,3・・3における光の透過率を調整する。従って、ビニールハウス300内への日射の透過光を農作物の生育に適したレベルに調整することが可能となる。
【0091】
更に、実施形態1によれば、ビニールハウス300上の複数の設置領域に設置された調光部材3,3・・3における光の透過率を、設置領域毎に制御部10が調整する。これにより、調光部材3,3・・3の透過光が照射される照射対象のビニールハウス300内における位置、形状が大きい照射対象の部位等に応じてビニールハウス300内への日射の透過率を調整することが可能となる。
【0092】
更に、実施形態1によれば、外部端末200と通信接続した場合は、調整された透過率、現在の日射量及び施設内の画像を外部端末200にてモニタすることが可能となる。
【0093】
更に、実施形態1によれば、外部端末200は、調整された光の透過率を通信により取得して表示部212に表示する。従って、調光部材3,3・・3における光の透過率を外部端末200にてモニタすることができる。
【0094】
(変形例1)
実施形態1は、日射センサ15により日射量を検出する形態であるのに対し、変形例1は、ソーラーパネル4,4・・4の発電電力から日射量を検出する形態である。変形例1に係る調光制御装置1のブロック構成は、実施形態1の図1に示すブロック構成と同様であるため、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0095】
本変形例1では、調光制御装置1は、ソーラーパネル4,4・・4が発電した電圧及び電流を時系列的に取得して発電電力(kW)を算出し、算出した発電電力を日射量(kW/m2 )に換算する。この換算は、ソーラーパネル4,4・・4の発電効率、表面積、太陽光に対する法線の角度等に基づいて行われる。換算式は予め記憶部11に記憶されている。制御部10が換算によって検出した日射量は記憶部11に記憶され、図9のステップS13における日射センサ15からの日射量の取得に代えて、記憶部11から読み出される。
【0096】
以下では、上述した調光制御装置1の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図12は、変形例1に係る調光システムで日射量を算出する制御部10の処理手順を示すフローチャートである。図12の処理は一定周期(例えば10秒毎)で起動されるが、これに限定されず、不定期に起動されてもよい。
【0097】
調光制御装置1にて図12の処理が起動された場合、制御部10は、ソーラーパネル4,4・・4が発電した電力に関して、検出部40から発電電圧を取得し(S31)、続いて発電電流を取得する(S32)。制御部10は、取得した発電電圧及び発電電流を乗算して発電電力を算出し(S33)、発電電力の移動平均を算出する(S34)。これにより、発電電力の瞬時変動を平滑化する。その後、制御部10は、移動平均をとった発電電力を日射量に換算し(S35)、換算することによって検出した日射量を記憶部11に記憶して(S36)、図12の処理を終了する。
【0098】
以上のように本変形例1によれば、ソーラーパネル4,4・・4は、ビニールハウス300上にて効率よく発電することができる。また、日射センサ15が備わっていない場合であっても、ビニールハウス300上又はビニールハウス300外に設置されたソーラーパネル4,4・・4の発電電力を換算して日射量を検出し、検出した日射量に基づいてビニールハウス300内への日射の透過率を調整することが可能となる。
【0099】
(実施形態2)
実施形態1は、調光部材3,3・・3の透過光が照射される対象物を示す情報が、予め記憶部11に記憶されている形態であったが、実施形態2は、照射対象の選択を受け付ける形態である。実施形態2に係る調光制御装置1のブロック構成は、実施形態1の図1に示すブロック構成と同様であるため、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0100】
本実施形態2では、ユーザが操作部13に対して照射対象のメニューを選択する操作を行った場合に、これを受け付けた制御部10が表示部12に対象物の選択画面を表示し、ユーザに対象物を選択させる。調光部材3,3・・3の設置領域毎に選択された対象物は記憶部11に記憶され、実施形態1の図9に示すステップS20にて読み出される。なお、対象物を設置領域毎に選択することは、対象物を設置領域に対応する撮像領域毎に選択することと意味的に等しい。
【0101】
以下では、上述した調光制御装置1の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図13は、実施形態2に係る調光システムで照射対象の選択を受け付ける制御部10の処理手順を示すフローチャートである。図14は、実施形態2に係る調光制御装置1における表示例を示す模式図である。図13の処理は一定周期(例えば0.1秒毎)で起動されるが、これに限定されず、不定期に起動されてもよい。
【0102】
調光制御装置1にて図13の処理が起動された場合、制御部10は、操作部13への操作が有ったか否かを判定し(S41)、操作が無かった場合(S41:NO)、特段の処理を実行することなく図13の処理を終了する。操作が有った場合(S41:YES)、当該操作が、照射対象のメニュー選択に係る操作であるか否かを更に判定する(S42)。当該操作がメニュー選択に係る操作であった場合(S42:YES)、制御部10は、表示部12に対象物の選択画面を表示して(S43)、図13の処理を終了する。
【0103】
ステップS42で、操作部13への操作がメニュー選択に係る操作ではないと判定した場合(S42:NO)、制御部10は、当該操作がテキストボックスの選択操作であるか否かを判定する(S44)。当該操作がテキストボックスの選択操作である場合(S44:YES)、制御部10は、選択されたテキストボックスにカーソルを移動させて(S45)、図13の処理を終了する。
【0104】
ステップS44で、操作部13への操作がテキストボックスの選択操作ではないと判定した場合(S44:NO)、制御部10は、当該操作がテキストボックスへの入力操作であるか否かを判定する(S46)。当該操作がテキストボックスへの入力操作である場合(S46:YES)、制御部10は、入力された文字/数字をテキストボックスに表示させて(S47)、図13の処理を終了する。
【0105】
ステップS46で、操作部13への操作がテキストボックスへの入力操作ではないと判定した場合(S46:NO)、制御部10は、当該操作が対象物の選択操作であるか否かを判定する(S48)。当該操作が対象物の選択操作である場合(S48:YES)、制御部10は、選択された対象物を受け付け(受付部に相当)、指定された行番号,列番号の設置領域に対応付けて記憶部11に記憶する(S49)。ステップS49の処理を終えた場合、又はステップS48で当該操作が対象物の選択操作ではないと判定した場合(S48:NO)、制御部10は、図13の処理を終了する。
【0106】
図14に移って、表示部12には、調光部材3,3・・3の設置領域の行番号及び列番号を指定するためのテキストボックス121,122と、対象物の選択メニュー123と、選択する対象物の番号を入力するためのテキストボックス124と、対象物の選択を確定するための選択ボタン125とが表示されている。ユーザが、テキストボックス121,122,124に数字を入力した後に、選択ボタン125にタッチした場合、制御部10が対象物の選択を受け付ける。
【0107】
本実施形態2にあっては、表示部12及び操作部13により、照射対象となる対象物の選択を受け付けたが、これに限定されるものではない。例えば、外部端末200にて選択された対象物を、通信部19を介して取得し、取得した対象物を受け付けて(受付部に相当)記憶部11に記憶するようにしてもよい。
【0108】
以上のように本実施形態2によれば、調光部材3,3・・3の透過光が照射される照射対象を予め選択しておくことにより、照射対象の違いを考慮してビニールハウス300内への日射の透過率を調整することが可能となる。
【0109】
(実施形態3)
実施形態2は、調光部材3,3・・3の透過光が照射される照射対象の選択を受け付ける形態であるのに対し、実施形態3は、撮像部17で撮像した画像中の監視対象を認識し、認識した対象物を照射対象とする形態である。実施形態3に係る調光制御装置1のブロック構成は、実施形態1の図1に示すブロック構成と同様であるため、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0110】
本実施形態3では、調光制御装置1は、撮像部17で撮像した画像から、調光部材3,3・・3それぞれの設置領域に対応する撮像領域の画像を抽出し、抽出した画像中の監視対象(農作物)をAI(Artificial Intelligence )で認識する。認識された対象物は、当該撮像領域における照射対象として記憶部11に記憶され、実施形態1の図9に示すステップS20にて第m行(mは1からMの自然数)第n列(nは1からNの自然数)の撮像領域における対象物として読み出される。読み出された対象物は、ステップS21にてテーブルの選択に用いられる。
【0111】
以下では、上述した調光制御装置1の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図15は、実施形態3に係る調光システムで画像中の監視対象を認識する制御部10の処理手順を示すフローチャートである。図16は、実施形態3に係る学習モデルX1の内容例を示す模式図である。学習モデルX1(第1学習モデルに相当)は、図1に示す学習モデルXに含まれている。図15の処理は一定周期(例えば1日毎)で起動されるが、これに限定されず、不定期に起動されてもよい。図15のステップS51からS55までの処理は、図9のステップS25からS29までの処理と同等であるため、説明を簡略化する。
【0112】
調光制御装置1にて図15の処理が起動された場合、制御部10は、撮像部17から1フレーム分の画像を取得する(S41)。次いで、制御部10は、第1行第1列の撮像領域から処理を開始するためにmを1に初期化し(S42)、更にnを1に初期化する(S43)。
【0113】
その後、制御部10は、取得した画像から第m行第n列の撮像領域の画像を抽出し(S44:抽出部に相当)、抽出した画像を学習モデルX1に入力して(S45)、学習モデルX1から監視対象の検出の有無情報を取得する(S46:第1取得部に相当)。
【0114】
ここで一旦図16に移って、上述のステップS45,S46で用いられる学習モデルX1は、例えば、深層学習(ディープラーニング)によって学習された多層の畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network )を用いることができるが、他の機械学習で学習したものであってもよい。畳み込みニューラルネットワークは、入力層と出力層との間に中間層を備える。中間層は、複数段からなる畳み込み層及びプーリング層、並びに最終段の全結合層を備える。畳み込み層、プーリング層及び全結合層の数は適宜決定できる。
【0115】
入力層、中間層及び出力層それぞれには、1又は複数のノードが存在する。各層のノードは、前後の層に存在するノードと一方向に所望の重み及びバイアスで結合されている。入力層に入力されたデータが中間層に入力された場合、重み及びバイアスを含む活性化関数を用いて、一の層の出力が算出され、算出された出力が次の層に入力される。以下同様にして、出力層の出力が求められるまで次々と後の層に伝達される。
【0116】
学習モデルX1は、1フレーム分の画像から抽出した画像を構成する各画素の画素値を入力とし、入力画像中に監視対象が存在する(即ち検出有りの)確率及び何れの監視対象も存在しない(即ち検出無しの)確率を出力とする。出力層の各出力ノードが出力する確率は0~1.0の値であり、全ての出力ノードが出力する確率の合計は1.0である。ここでの監視対象は、レタス、トマト、イチゴ等の農作物の少なくとも1つである。なお、入力層に画像を入力する前に、畳み込みフィルタを含む適宜のフィルタを画像に適用し、フィルタを適用した後に得られる各画素の画素値を入力層に入力してもよい。
【0117】
学習モデルX1は、監視対象の画像と、それぞれの種類を示す情報とを含む教師データを用いて、画像が入力された場合に、監視対象毎に検出の有無情報を出力するように学習されたモデルである。学習モデルX1は、入力値に対して行う所定の演算を規定する関数の係数や閾値等のデータが最適化されている。学習モデルX1は、パーソナルコンピュータやサーバコンピュータ等で構成された学習装置で学習された後にダウンロードされて記憶部11に記憶されてもよく、学習モデルX1を記憶する可搬型記憶媒体から読み取られて記憶部11に記憶されてもよい。
【0118】
図15に戻って、制御部10は、取得した有無情報が検出無しを示すか否かを判定し(S47)、検出無しを示す場合(S47:YES)、監視対象の検出無しの旨を記憶部11に記憶する(S48)。検出無しを示すか否かは、例えば検出無しの確率が0.6より大きいか否かを判定する。判定の閾値は0.6に限定されない。
【0119】
有無情報が検出無しを示さない場合(S47:NO)、制御部10は、監視対象毎に有無情報が検出有りを示すか否かを判定する(S49)。特定の監視対象(レタス、トマト、イチゴ等の農作物)について有無情報が検出有りを示す場合(S49:YES)、制御部10は、該特定の監視対象の検出有りの旨を記憶部11に記憶する(S50)。検出有りを示すか否かは、例えば検出有りの確率が0.6より大きいか否かを判定する。判定の閾値は0.6に限定されない。
【0120】
ステップS48若しくはS50の処理を終えた場合、又はステップS49で何れの監視対象についても有無情報が検出有りを示さない場合(S49:NO)、制御部10は、nを1だけインクリメントし(S51)、nがN+1になったか否かを判定する(S52)。nがN+1ではない場合(S52:NO)、制御部10は、次の列の撮像領域における画像を認識するためにステップS44に処理を移す。
【0121】
一方、nがN+1である場合(S52:YES)、制御部10は、列番号nを1に初期化した(S53)後、行番号mを1だけインクリメントし(S54)、mがM+1になったか否かを判定する(S55)。mがM+1ではない場合(S55:NO)、制御部10は、ステップS44に処理を移す。一方、mがM+1である場合(S55:YES)、制御部10は、図15の処理を終了する。
【0122】
なお、図15のフローチャートに示す処理手順によれば、第m行第n列の撮像領域毎に監視対象の検出の有無を判定したが、これに限定されるものではなく、撮像部17から取得した画像全体について監視対象の検出の有無を判定してもよい。この場合は、ステップS42~S44,S51~S55を削除し、ステップS45にて取得した画像全体を学習モデルX1に入力すればよい。
【0123】
以上のように本実施形態3によれば、ビニールハウス300内の画像から、調光部材3,3・・3の設置領域に対応する撮像領域毎に抽出した画像を学習モデルX1に入力し、学習モデルX1から取得した監視対象(農作物)の検出の有無情報に基づいて、調光部材3,3・・3の設置領域毎に光の透過率を調整する。これにより、監視対象の違い及び監視対象の位置に応じたきめ細かな光の透過率の調整が可能となる。
【0124】
(変形例2)
実施形態3は、農作物である監視対象の画像認識を比較的長周期で実施する形態であったが、変形例2は家畜又は魚介類である監視対象の画像認識を比較的短周期で実施する形態である。変形例2に係る調光制御装置1のブロック構成は、実施形態1の図1に示すブロック構成と同様であるため、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。なお、調光制御装置1は家畜の飼育又は魚介類の養殖に適した施設(例えば牛舎等の畜舎又は水槽若しくは海上の生け簀等)に設置されている。
【0125】
本変形例2では、調光制御装置1は、撮像部17で撮像した画像から、調光部材3,3・・3それぞれの設置領域に対応する撮像領域を抽出し、抽出した画像中の監視対象(家畜又は魚介類)をAIで認識する。認識された対象物が記憶部11に記憶されて図9に示すステップS20で利用されるのは、実施形態3の場合と同様である。但し、家畜及び魚介類は施設内を動き回るため、実施形態3の図15に示すものと同様のフローチャートを、例えば1分周期で実行して対象物の動きに追従させる。
【0126】
図17は、変形例2に係る学習モデルX2の内容例を示す模式図である。学習モデルX2(第1学習モデルに相当)は、図1に示す学習モデルXに含まれている。学習モデルX2は学習モデルX1とは異なり、入力画像中に牛、ブタ、エビ等の家畜又は魚介類が存在する確率を出力層から出力する。学習モデルX2の学習方法等については学習モデルX1と同様である。
【0127】
以上のように本変形例2によれば、監視対象である家畜又は魚介類の撮像領域間の移動に応じて、撮像領域に対応する調光部材3,3・・3における光の透過率を調整する。従って、家畜又は魚介類の動きに応じて移動先に対する日射の透過率を調整することが可能となる。
【0128】
(実施形態4)
実施形態3は、監視対象である農作物の違いに応じて調光部材3,3・・3における光の透過率を調整する形態であるのに対し、実施形態4は、農作物の日焼けの程度に応じて光の透過率を調整する形態である。実施形態4に係る調光制御装置1のブロック構成は、実施形態1の図1に示すブロック構成と同様であるため、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0129】
本実施形態4では、調光制御装置1は、撮像部17で撮像した画像から、調光部材3,3・・3それぞれの設置領域に対応する撮像領域を抽出し、抽出した画像中の監視対象(農作物)の日焼けの程度(以下、日焼け度という)をAIで認識する。日焼け無し及び日焼け度j(j=1,2・・J:Jは2以上の自然数)は、0から1までの日焼けの割合を昇順に表している。調光制御装置1は、更に、認識した日焼け度に基づいて調光部材3,3・・3における透過率の調整係数Cを、撮像領域に対応する設置領域毎に算出し、算出した調整係数Cを、M行N列の日焼けの調整係数のテーブルにして記憶部11に記憶する。
【0130】
透過率を調整する処理手順は、実施形態1の図9に示す処理手順と同様である。但し、制御部10は、図9のステップS21とS22の間にて、上記日焼けの調整係数のテーブルから第m行第n列の調光部材3の調整係数Cを読み出し、ステップS22では、右辺の算式に更に調整係数Cを乗算することにより、日焼け度に応じて透過率を低減する。図9に示すその他のステップの処理内容は、実施形態1の場合と同様であるため、フローチャートの記載を省略する。
【0131】
以下では、上述した調光制御装置1の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図18は、実施形態4に係る調光制御装置1で日焼け度を認識する制御部10の処理手順を示すフローチャートである。図19は、実施形態4に係る学習モデルYの内容例を示す模式図である。図18の処理は一定周期(例えば1時間毎)で起動されるが、これに限定されず、不定期に起動されてもよい。図18のステップS61からS64までの処理及びステップS71からS75までの処理は、図15のステップS41からS44までの処理及びステップS51からS55までの処理と同等であるため、説明の大部分を省略する。
【0132】
調光制御装置1にて図18の処理が起動され、第m行第n列の撮像領域の画像を抽出した(S64)場合、制御部10は、抽出した画像を学習モデルY(第2学習モデルに相当)に入力し(S65)、学習モデルYから監視対象の日焼け度jを取得する(S66:第2取得部に相当)。ここで取得する日焼け度jは、例えば確率が最大の日焼け度である。
【0133】
次いで、制御部10は、日焼けの調整係数のテーブルにおける第m行第n列に、「1-日焼け度j」によって算出した調整係数Cの値を記憶する(S67)。以下、n及びmを順次インクリメントするのは、図15の場合と同様である。最後にmがM+1となった場合(S75:YES)、制御部10は図18の処理を終了する。この時点で、日焼けの調整係数のテーブルには、M行N列の全てに調整係数Cが記憶されており、実施形態1の図9に示す処理の中で参照される準備が整う。
【0134】
図19に移って、上述のステップS65,S66で用いられる学習モデルYは、例えば、深層学習(ディープラーニング)によって学習された多層の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いることができるが、他の機械学習で学習したものであってもよい。学習モデルYは、監視対象の画像と、それぞれの日焼け度を示す情報とを含む教師データを用いて、画像が入力された場合に、監視対象毎に日焼け無し又は日焼け度1~日焼け度Jを出力するように学習されたモデルである。
【0135】
学習モデルYは、1フレーム分の画像から抽出した画像を構成する各画素の画素値を入力とし、入力画像中の監視対象が日焼け度1~日焼け度Jそれぞれである確率及び日焼け無しの確率を出力とする。出力層の各出力ノードが出力する確率は0~1.0の値であり、全ての出力ノードが出力する確率の合計は1.0である。なお、学習モデルYは、実施形態3の図16に示す学習モデルX1と一体化してもよい。この場合、出力層の各出力ノードからは、監視対象が特定の日焼け度(無し又は1~J)を有する特定の農作物(レタス、トマト、・・イチゴ)である確率が、農作物毎に細分化されて出力される。
【0136】
以上のように本実施形態4によれば、ビニールハウス300内の画像を学習モデルYに入力し、学習モデルYから取得した日焼け度に基づいて、調光部材3,3・・3における光の透過率を調整する。従って、監視対象の日焼けの程度に応じたきめ細かな光の透過率の調整が可能となる。
【0137】
(実施形態5)
実施形態4は、農作物の生育の程度を認識して外部端末200に出力する形態である。実施形態5に係る調光制御装置1のブロック構成は、実施形態1の図1に示すブロック構成と同様であるため、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0138】
本実施形態5では、調光制御装置1は、撮像部17で撮像した画像から、調光部材3,3・・3それぞれの設置領域に対応する撮像領域を抽出し、抽出した画像中の監視対象(農作物)の生育の程度(以下、生育度という)をAIで認識する。未生育及び成育度k(k=1,2・・K:Kは2以上の自然数)は、0から1までの生育の割合を昇順に表している。調光制御装置1は、更に、認識した生育度を外部端末200に出力して表示させる。
【0139】
以下では、上述した調光制御装置1の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図20は、実施形態5に係る調光制御装置1で生育度を認識する制御部10の処理手順を示すフローチャートである。図21は、実施形態5に係る学習モデルZの内容例を示す模式図である。図20の処理は一定周期(例えば1日毎)で起動されるが、これに限定されず、不定期に起動されてもよい。図20のステップS81からS84までの処理及びステップS91からS95までの処理は、図15のステップS41からS44までの処理及びステップS51からS55までの処理と同等であるため、説明の大部分を省略する。
【0140】
調光制御装置1にて図20の処理が起動され、第m行第n列の撮像領域の画像を抽出した(S84)場合、制御部10は、抽出した画像を学習モデルZ(第3学習モデルに相当)に入力し(S85)、学習モデルZから監視対象の生育度kを取得する(S86:第3取得部に相当)。ここで取得する生育度kは、例えば確率が最大の生育度である。
【0141】
次いで、制御部10は、取得した生育度kを、通信部19を介して外部端末200に出力する(S87:第2出力部に相当)。この場合、生育度kに撮像領域の行番号m及び列番号nが付与される。以下、n及びmを順次インクリメントするのは、図15の場合と同様である。最後にmがM+1となった場合(S95:YES)、制御部10は図20の処理を終了する。全ての撮像領域について生育度kを受信した外部端末200は、例えば実施形態1の図11に示す透過率の表示と同様に、全ての生育度を表示することができる。
【0142】
図21に移って、上述のステップS85,S86で用いられる学習モデルZは、例えば、深層学習(ディープラーニング)によって学習された多層の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いることができるが、他の機械学習で学習したものであってもよい。学習モデルZは、監視対象の画像と、それぞれの生育度を示す情報とを含む教師データを用いて、画像が入力された場合に、監視対象毎に未生育又は生育度1~生育度Kを出力するように学習されたモデルである。
【0143】
学習モデルZは、1フレーム分の画像から抽出した画像を構成する各画素の画素値を入力とし、入力画像中の監視対象が生育度1~生育度Kそれぞれである確率及び未生育の確率を出力とする。出力層の各出力ノードが出力する確率は0~1.0の値であり、全ての出力ノードが出力する確率の合計は1.0である。なお、学習モデルZは、実施形態3の図16に示す学習モデルX1と一体化してもよい。この場合、出力層の各出力ノードからは、監視対象が特定の生育度(未生育又は1~K)を有する特定の農作物(レタス、トマト、・・イチゴ)である確率が、農作物毎に細分化されて出力される。
【0144】
以上のように本実施形態5によれば、ビニールハウス300内の画像を学習モデルZに入力し、学習モデルZから取得した生育度を外部端末200に出力する。従って、外部端末200と通信接続した場合は、監視対象の生育度を外部端末200にてモニタすることが可能となる。
【0145】
なお、本実施形態5にあっては、監視対象である農作物の生育度を単にモニタするだけであったが、実施形態4にて調光部材3,3・・3における光の透過率の調整に日焼け度を反映させたように、光の透過率の調整に生育度を反映させてもよい。この場合、制御部10は、認識した生育度に基づいて調光部材3,3・・3における透過率の調整係数Dを、撮像領域に対応する設置領域毎に算出し、算出した調整係数Dを、M行N列の日焼けの調整係数のテーブルにして記憶部11に記憶する。具体的には、図20に示すフローチャートのステップS86及びS87の間に、実施形態4の図18に示すフローチャートのステップS67と同等のステップを挿入し、生育の調整係数のテーブルにおける第m行第n列に、「1-生育度k」によって算出した調整係数Dの値を記憶する。
【0146】
透過率を調整する処理手順は、実施形態1の図9に示す処理手順と同様である。但し、制御部10は、図9のステップS21とS22の間にて、上記生育の調整係数のテーブルから第m行第n列の調光部材3の調整係数Dを読み出し、ステップS22では、右辺の算式に更に調整係数Dを乗算することにより、生育度に応じて透過率を低減する。
【0147】
(実施形態6)
実施形態1は、ビニールハウス300に設置される調光制御装置1が1つだけ調光システム100に含まれている形態であるのに対し、実施形態6は、複数のビニールハウス300に各別に設置される複数の調光制御装置1が調光システムに含まれている形態である。実施形態6に係る調光システムのブロック構成は、調光制御装置1の数が異なる点を除いて実施形態1の図1に示すブロック構成と同様であるため、ブロック図の図示を省略する。
【0148】
本実施形態6における各調光制御装置1の動作は、実施形態1の場合と全く同様である。外部端末200は、複数の調光制御装置1と通信し、それぞれのビニールハウス300について日射量、温度、透過率及び画像データを取得して、それぞれ異なる表示メモリ(図10参照)に記憶する。個々のビニールハウス300についての表示は、実施形態1の図11に示すものと同様にすることができる。
【0149】
一のビニールハウス300に係る表示から、他のビニールハウス300に係る表示に切り替えるには、例えば画面のページめくりを行うか又は画面をスクロールさせてもよいが、本実施形態6では、どのビニールハウス300について表示部212に表示させるのかをユーザに選択させる。制御部210は、ユーザによるビニールハウス300の選択を受け付け、選択されたビニールハウス300について、図11と同様の表示を行う。
【0150】
以下では、上述した外部端末200の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図22は、実施形態6に係る調光システムでビニールハウス300の選択を受け付ける制御部210の処理手順を示すフローチャートである。図23は、実施形態6に係る外部端末200における表示例を示す模式図である。図22の処理は一定周期(例えば0.1秒毎)で起動されるが、これに限定されず、不定期に起動されてもよい。
【0151】
外部端末200にて図22の処理が起動された場合、制御部210は、操作部213への操作が有ったか否かを判定し(S211)、操作が無かった場合(S211:NO)、特段の処理を実行することなく図22の処理を終了する。操作が有った場合(S211:YES)、当該操作が、表示対象のメニュー選択に係る操作であるか否かを更に判定する(S212)。当該操作がメニュー選択に係る操作であった場合(S212:YES)、制御部210は、表示部212にハウスの選択画面を表示して(S213)、図22の処理を終了する。
【0152】
ステップS212で、操作部213への操作がメニュー選択に係る操作ではないと判定した場合(S212:NO)、制御部210は、当該操作がテキストボックスの選択操作であるか否かを判定する(S214)。当該操作がテキストボックスの選択操作である場合(S214:YES)、制御部210は、選択されたテキストボックスにカーソルを移動させて(S215)、図22の処理を終了する。
【0153】
ステップS214で、操作部213への操作がテキストボックスの選択操作ではないと判定した場合(S214:NO)、制御部210は、当該操作がテキストボックスへの入力操作であるか否かを判定する(S216)。当該操作がテキストボックスへの入力操作である場合(S216:YES)、制御部210は、入力された文字/数字をテキストボックスに表示させて(S217)、図22の処理を終了する。
【0154】
ステップS216で、操作部13への操作がテキストボックスへの入力操作ではないと判定した場合(S216:NO)、制御部210は、当該操作がハウスの選択操作であるか否かを判定する(S218)。当該操作がハウスの選択操作である場合(S218:YES)、制御部210は、選択されたハウスについて、表示メモリ(図10参照)に記憶した内容を表示部212に表示する(S219)。ステップS219の処理を終えた場合、又はステップS218で当該操作がハウスの選択操作ではないと判定した場合(S218:NO)、制御部210は、図22の処理を終了する。
【0155】
図23に移って、表示部212には、ハウスの選択メニュー223と、選択するハウスの番号を入力するためのテキストボックス224と、ハウスの選択を確定するための選択ボタン225とが表示されている。ユーザが、テキストボックス224に数字を入力した後に、選択ボタン225にタッチした場合、制御部210がハウスの選択を受け付ける。
【0156】
以上のように本実施形態6によれば、複数のビニールハウス300上に設置された調光部材3,3・・3における光の透過率を1台の外部端末200にてモニタすることができる。
【0157】
また、実施形態6によれば、外部端末200のユーザによって選択されたビニールハウス300上の調光部材3,3・・3における光の透過率を外部端末200にてモニタすることができる。
【0158】
(実施形態7)
実施形態1~6は、調光部材3,3・・3における光の透過率を調整するための全ての機能を調光制御装置1が有する形態であったが、実施形態7は、ネットワークNw上の情報処理装置が調光制御装置1の機能の一部を分担する形態である。
【0159】
図24は、実施形態7に係る調光システム100bの構成例を示すブロック図である。調光システム100bは、調光部材3,3・・3と、調光制御装置1bと、ソーラーパネル4,4・・4と、情報処理装置400とを含む。情報処理装置400は、携帯電話網を含むネットワークNwを介して調光制御装置1b及び外部端末200と通信可能に接続されている。
【0160】
調光制御装置1bは、実施形態1に係る調光制御装置1から、記憶部11における学習モデルX,Y,Xと、表示部12と、操作部13とを除いた構成である。調光制御装置1bは、電圧電流取得部14が取得した電圧及び電流と、日射センサ15が検出した日射量と、温湿度センサ16が検出した温度及び湿度と、撮像部17が撮像した画像データとを通信部19を介して情報処理装置400に送信する。調光制御装置1bは、また、情報処理装置から各調光部材3,3・・3について算出された透過率を受信し、受信した透過率となるように各調光部材3,3・・3に対して電流を供給する。
【0161】
図25は、実施形態7に係る情報処理装置400の構成例を示すブロック図である。情報処理装置400は、例えば汎用のPCであるが、クラウドサーバであってもよい。情報処理装置400は、制御部410、記憶部411、表示部412、操作部413及び通信部419を備える。情報処理装置400がサーバである場合は、表示部412及び操作部413の機能を、更に他のPC又は外部端末200が分担すればよい。具体的には、実施形態3に示した対象物の選択を受け付ける処理を、他のPC又は外部端末200が実行すればよい。
【0162】
制御部410は、CPU、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU等の1又は複数のプロセッサを含む。記憶部411は、不揮発性メモリ及び書き換え可能なメモリを含む。書き換え可能なメモリは、実施形態1の図1に示す学習モデルX,Y,Zを記憶する。表示部412は、制御部410に制御されて各種の情報を表示する。操作部413は、例えば表示部412と一体化されたタッチパネルである。通信部419は、ネットワークNwを介して調光制御装置1b及び外部端末200との間で画像を含むデータの送受信を行う。
【0163】
以上のとおり構成された情報処理装置400は、調光制御装置1bから日射センサ15が検出した日射量と、温湿度センサ16が検出した温度と、撮像部17が撮像した画像データとを通信部419により受信して取得する。情報処理装置400は、取得した日射量、温度及び画像データを外部端末200に送信すると共に、取得した日射量及び温度(又は温湿度)に基づいて各調光部材3,3・・3における光の透過率を算出し、算出した透過率を調光制御装置1bに送信する。
【0164】
調光制御装置1bの動作を示すフローチャートは、実施形態1の図9に示すものから一部を削除又は変更したものとなる。具体的には、ステップS12,S15における出力の対象を情報処理装置とし、ステップS16,S20~S22を削除し、ステップS23にて透過率を情報処理装置400から受信し、ステップS24にて調光部材3,3・・3における光の透過率を調整する。
【0165】
情報処理装置400の動作を示すフローチャートは、実施形態1の図9に示すものと概ね同一である。具体的には、図9の全てのステップを制御部410が実行し、ステップS11,S13(取得部に相当),S14における取得の対象を調光制御装置1bとし、ステップS12,S15における出力の対象を外部端末200とし、ステップS23(指令値を出力する出力部に相当)における出力の対象を調光制御装置1b及び外部端末200とする。なお、指令値に基づく透過率の調整は調光制御装置1bで行われるため、ステップS24を削除する。
【0166】
以上のように本実施形態7によれば、光の透過率が調整可能な調光部材3,3・・3が設置されたビニールハウス300の周囲の日射量を、情報処理装置400が調光制御装置1bを介して取得し、取得した日射量に基づいて上記透過率を調整するための指令値を調光制御装置1bに出力する。これにより、ビニールハウス300から離れた位置にてリモートで調光部材3,3・・3における光の透過率を調整することができる。即ち、調光制御装置1の機能を調光制御装置1bと情報処理装置400とで分担した場合であっても、実施形態1の場合と同様の効果を奏する。
【0167】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0168】
100 調光システム
1、1b 調光制御装置
10 制御部
11 記憶部
12 表示部
13 操作部
14 電圧電流取得部
15 日射センサ
16 温湿度センサ
17 撮像部
18 駆動部
19 通信部
21 DCDCコンバータ
22 電源バッテリ
3 調光部材
4 ソーラーパネル
40 検出部
200 外部端末
210 制御部
211 記憶部
211a アプリプログラム
212 表示部
214 通信部
215 記憶媒体
300 ビニールハウス
301 屋根部
302 側面部
303 妻面部
400 情報処理装置
410 制御部
411 記憶部
419 通信部
X、Y、Z 学習モデル
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