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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20250304BHJP
   F23N 5/20 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
F23N5/24 113Z
F23N5/20 B
F23N5/24 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022006114
(22)【出願日】2022-01-19
(65)【公開番号】P2023105354
(43)【公開日】2023-07-31
【審査請求日】2024-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西山 武志
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-208922(JP,A)
【文献】特開2007-165253(JP,A)
【文献】特開2005-080456(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0315568(US,A1)
【文献】国際公開第2019/044428(WO,A1)
【文献】特開昭57-028920(JP,A)
【文献】特開2012-161150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/00 - 5/26
H01H 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷とを接続する2本の接続線のうち第1の接続線に直列に挿入された第1のリレーと、
前記第1のリレーと前記負荷との間に負荷毎に挿入された第2のリレーと、
前記2本の接続線のうち第2の接続線に直列に挿入された第3のリレーと、
前記第1、第2、第3のリレーを開閉することにより前記負荷を制御するように構成された制御部と、
外部からの起動要求に対して前記制御部による一連の制御シーケンスが開始される前に前記第1、第2、第3のリレーの溶着がないことを確認する第1のチェックシーケンスと、前記制御シーケンスの停止後に次の起動要求を受ける前に前記第1、第2、第3のリレーの溶着がないことを確認する第2のチェックシーケンスとを実行するように構成されたチェック実行部とを備え、
前記チェック実行部は、初回の起動要求に対して前記第1、第2のチェックシーケンスを実行し、2回目以降の起動要求に対しては前記第2のチェックシーケンスのみ実行することを特徴とする制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の制御システムにおいて、
前記チェック実行部は、最新の制御シーケンスの停止から新規の起動要求を受けたときまでの時間が所定時間以上空いた場合、または初回の制御シーケンスの停止から新規の起動要求を受けたときまでに所定時間以上経過した場合、前記新規の起動要求を初回の起動要求とみなして、前記第1のチェックシーケンスを実行することを特徴とする制御システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の制御システムにおいて、
前記第1のチェックシーケンスは、
前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認する第1のステップと、
前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認できた場合に、前記チェック実行部が前記第3のリレーをオン状態にして、前記第1のリレーに溶着がなく、前記第3のリレーが故障していないことを確認する第2のステップと、
前記第1のリレーに溶着がなく、前記第3のリレーが故障していないことを確認できた場合に、前記チェック実行部が全てのリレーをオフ状態して、前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認する第3のステップと、
前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認できた場合に、前記チェック実行部が前記第1のリレーをオン状態にして、前記第2のリレーに溶着がなく、前記第1のリレーが故障していないことを確認する第4のステップとを含み、
前記第2のチェックシーケンスは、
前記第1、第2、第3のリレーがオン状態のときに前記制御部が前記第2のリレーをオフ状態にして前記制御シーケンスを停止させた後に、前記チェック実行部が前記第3のリレーをオフ状態にして、前記第2のリレーに溶着がないことを確認する第5のステップと、
前記第2のリレーに溶着がないことを確認できた場合に、前記チェック実行部が前記第1のリレーをオフ状態にして、前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認する第6のステップとを含むことを特徴とする制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼炉の燃焼を制御する制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼炉、ボイラ等の燃焼装置は、炉内の燃焼をコントロールするための燃焼制御システムとして、点火装置とバーナコントローラとを備えている。
点火装置は、例えば数kV~十数kVの高電圧をロッドに発生させてバーナを点火する。バーナコントローラは、点火装置を介したバーナの点火制御と、バーナの燃焼監視と、燃料遮断弁の制御とを行う。バーナコントローラは、バーナを点火する場合に、バーナへの燃料の供給・停止を行う燃料遮断弁を制御して、燃料をバーナに供給し、バーナによる燃焼を停止する場合に、燃料遮断弁を制御して、バーナへの燃料の供給を停止する。
【0003】
バーナコントローラでは、起動要求を受けたときに、初めに燃料遮断弁や点火装置を駆動するためのバーナコントローラ内部のリレーの溶着の有無を確認し、リレーの溶着がないことを確認した後に、燃焼制御を開始する。この確認は、リレーの溶着による意図しない燃料遮断弁の駆動、つまり燃料の流出を防止するために行われており、この工程はスタートチェック工程と呼ばれている。
【0004】
また、リレーは単一の故障で燃料流出が発生しないように多重化されている(特許文献1参照)。例えば特許文献1に開示された技術では、リレーを2重に設けている。
しかしながら、単にリレーを2重に設けただけでは、両方のリレーに異常が生じた場合には対応することができない。そこで、特許文献2に開示された技術では、リレーを3重に設けることにより、燃料の流出等の異常を防ぐようにしている。
【0005】
以下、特許文献2に開示された技術について、図5図6を用いて説明する。図5はバーナコントローラのリレー回路部の構成を示すブロック図、図6はバーナコントローラの動作を説明するフローチャートである。
バーナコントローラ1のリレー回路部には、電源2と負荷3とを接続する2本の接続線10,11のうち一方の接続線10に直列に挿入されたリレー12-1,12-2と、他方の接続線11に直列に挿入されたリレー12-3とが設けられている。
【0006】
負荷3としては、例えば燃料遮断弁や点火装置がある。各リレー12-1~12-3には、それぞれ動作を検出する検出回路(不図示)が設けられており、その検出結果を示すフィードバック情報FB1~FB3が出力されるようになっている。
停止→スタートチェック→燃焼開始→燃焼停止の処理は以下に示すような手順で行われる。
【0007】
(I)バーナコントローラ1は、例えばオペレータからの起動要求があったときに(図6ステップS100においてYES)、スタートチェックを開始する。
【0008】
(II)スタートチェックの開始時に、バーナコントローラ1は、フィードバック情報FB1,FB3に基づいて第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認する(図6ステップS101)。
【0009】
(III)バーナコントローラ1は、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認できた場合(ステップS101においてYES)、第3のリレー12-3を励磁して接点をオン状態にする(図6ステップS102)。バーナコントローラ1は、フィードバック情報FB1,FB3に基づいて第1のリレー12-1の接点に溶着がなく、第3のリレー12-3の接点がオン状態になっていて、故障していないことを確認する(図6ステップS103)。
【0010】
(IV)バーナコントローラ1は、第1のリレー12-1の接点に溶着がなく、第3のリレー12-3が故障していないことを確認できた場合(ステップS103においてYES)、全てのリレー12-1~12-3の接点をオフ状態にする(図6ステップS104)。バーナコントローラ1は、フィードバック情報FB1,FB3に基づいて第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認する(図6ステップS105)。なお、ステップS101と同様のチェックを実施しているが、ステップS105の主目的は第3のリレー12-3のオフを確認する前に、第1のリレー12-1をオンしてしまい、第2のリレー12-2が溶着していた場合の燃料流出を防ぐことにある。
【0011】
(V)バーナコントローラ1は、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認できた場合(ステップS105においてYES)、第1のリレー12-1を励磁して接点をオン状態にする(図6ステップS106)。バーナコントローラ1は、フィードバック情報FB2,FB1に基づいて第2のリレー12-2の接点に溶着がなく、第1のリレー12-1の接点がオン状態になっていて、故障していないことを確認する(図6ステップS107)。
【0012】
(VI)バーナコントローラ1は、第2のリレー12-2の接点に溶着がなく、第1のリレー12-1が故障していないことを確認できた場合(ステップS107においてYES)、スタートチェック完了とする。スタートチェックが完了したバーナコントローラ1は、燃焼を開始させる。具体的には、バーナコントローラ1は、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3を励磁してそれぞれの接点をオン状態にする(図6ステップS108)。
【0013】
(VII)続いて、バーナコントローラ1は、第2のリレー12-2を励磁して接点をオン状態にする(図6ステップS109)。これにより、電源2から負荷3に電力が供給され、燃焼炉に設けられたバーナが点火される。
【0014】
なお、バーナコントローラ1は、ステップS101,S103,S105,S107のうち少なくとも1つのチェックで問題を検出した場合、続くステップに進まずに、全ての処理を停止する。
【0015】
(VIII)バーナコントローラ1は、燃焼の継続中に、例えばオペレータから停止指示があったときに(図6ステップS111においてYES)、第2のリレー12-2の接点をオフ状態にする(図6ステップS112)。これにより、電源2から負荷3への電力供給が停止し、燃焼炉内の燃焼が停止する(図6ステップS113)。
【0016】
(IX)バーナコントローラ1は、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点をオフ状態にする(図6ステップS114)。こうして、全てのリレー12-1~12-3がオフ状態になる。
【0017】
以上のように、リレーを3重に設けることにより、特許文献1に開示された技術の課題を解決することができる。
しかし、特許文献2に開示された技術では、燃焼開始時のスタートチェックに長い時間がかかるため、本来燃焼開始したいタイミングよりも、燃焼開始が遅れ、温度制御に影響を与える可能性があるという課題があった。高頻度(例えば数十秒)で発停を繰り返す設備では、停止から再起動までの時間が1秒程度と短い場合があり、スタートチェックにかかる時間が長いと、本来燃焼開始したいタイミングよりも燃焼開始が遅れることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2009-168404号公報
【文献】特開2011-208922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、制御開始時のスタートチェックに要する時間を短縮することができる制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の制御システムは、電源と負荷とを接続する2本の接続線のうち第1の接続線に直列に挿入された第1のリレーと、前記第1のリレーと前記負荷との間に負荷毎に挿入された第2のリレーと、前記2本の接続線のうち第2の接続線に直列に挿入された第3のリレーと、前記第1、第2、第3のリレーを開閉することにより前記負荷を制御するように構成された制御部と、外部からの起動要求に対して前記制御部による一連の制御シーケンスが開始される前に前記第1、第2、第3のリレーの溶着がないことを確認する第1のチェックシーケンスと、前記制御シーケンスの停止後に次の起動要求を受ける前に前記第1、第2、第3のリレーの溶着がないことを確認する第2のチェックシーケンスとを実行するように構成されたチェック実行部とを備え、前記チェック実行部は、初回の起動要求に対して前記第1、第2のチェックシーケンスを実行し、2回目以降の起動要求に対しては前記第2のチェックシーケンスのみ実行することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の制御システムの1構成例において、前記チェック実行部は、最新の制御シーケンスの停止から新規の起動要求を受けたときまでの時間が所定時間以上空いた場合、または初回の制御シーケンスの停止から新規の起動要求を受けたときまでに所定時間以上経過した場合、前記新規の起動要求を初回の起動要求とみなして、前記第1のチェックシーケンスを実行することを特徴とするものである。
また、本発明の制御システムの1構成例において、前記第1のチェックシーケンスは、前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認する第1のステップと、前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認できた場合に、前記チェック実行部が前記第3のリレーをオン状態にして、前記第1のリレーに溶着がなく、前記第3のリレーが故障していないことを確認する第2のステップと、前記第1のリレーに溶着がなく、前記第3のリレーが故障していないことを確認できた場合に、前記チェック実行部が全てのリレーをオフ状態して、前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認する第3のステップと、前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認できた場合に、前記チェック実行部が前記第1のリレーをオン状態にして、前記第2のリレーに溶着がなく、前記第1のリレーが故障していないことを確認する第4のステップとを含み、前記第2のチェックシーケンスは、前記第1、第2、第3のリレーがオン状態のときに前記制御部が前記第2のリレーをオフ状態にして前記制御シーケンスを停止させた後に、前記チェック実行部が前記第3のリレーをオフ状態にして、前記第2のリレーに溶着がないことを確認する第5のステップと、前記第2のリレーに溶着がないことを確認できた場合に、前記チェック実行部が前記第1のリレーをオフ状態にして、前記第1、第3のリレーに溶着がないことを確認する第6のステップとを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、初回の起動要求に対して第1、第2のチェックシーケンスを実行し、2回目以降の起動要求に対しては第2のチェックシーケンスのみを実行することにより、制御開始時のスタートチェックに要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施例に係る燃焼制御システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施例に係るバーナコントローラの構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施例に係るバーナコントローラの動作を説明するフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施例に係るバーナコントローラを実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
図5図5は、従来のバーナコントローラのリレー回路部の構成を示すブロック図である。
図6図6は、従来のバーナコントローラの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本実施例に係る燃焼制御システムの構成を示すブロック図である。燃焼制御システムは、バーナコントローラ1aと、燃焼炉4のバーナ5を点火する点火装置6と、バーナ5への燃料の供給・停止を行う燃料遮断弁7と、燃焼炉4内の火炎の存在を検出する火炎検出器8とを備えている。
【0025】
点火装置6の構成については、例えば特開2016-121845号公報に開示されているので、詳細な説明は省略する。
火炎検出器8は、燃焼炉4内の火炎から放射される光を検出することにより、火炎の存在を検出する。ただし、光による検出は1例であって、別の方法で火炎検出を行ってもよい。
【0026】
図2はバーナコントローラ1aの構成を示すブロック図である。バーナコントローラ1aは、電源2と負荷3とを接続する2本の接続線10,11のうち一方の接続線10に直列に挿入された第1のリレー12-1と、第1のリレー12-1と負荷3との間に負荷毎に挿入された第2のリレー12-2-1,12-2-2と、他方の接続線11に直列に挿入された第3のリレー12-3と、リレー12-1~12-3からのフィードバック情報を取得するフィードバック情報取得部13と、火炎検出器8から火炎信号を取得する火炎信号取得部14と、フィードバック情報を記憶するフィードバック情報記憶部15と、フィードバック情報に基づいてリレー12-1~12-3のチェックを実行するチェック実行部16と、リレー12-1~12-3を駆動して、バーナ5の点火と燃料遮断弁7の開閉制御とを行う燃焼制御部17とを備えている。
【0027】
本実施例では、負荷3として、点火装置6と、燃料遮断弁7とがあるものとする。この場合、第2のリレー12-2は、一方の接点端子が第1のリレー12-1に接続され、他方の接点端子が点火装置6に接続されるリレー12-2-1と、一方の接点端子が第1のリレー12-1に接続され、他方の接点端子が燃料遮断弁7に接続されるリレー12-2-2のように、負荷毎に設けられる。
【0028】
各リレー12-1,12-2-1,12-2-2,12-3には、それぞれ動作を検出する検出回路(不図示)が設けられており、その検出結果を示すフィードバック情報FB1,FB2-1,FB2-2,FB3が出力されるようになっている。
停止→スタートチェック→燃焼開始→燃焼停止の処理は以下に示すような手順で行われる。
【0029】
[初回の運転]
(I)燃焼開始前の停止状態では、バーナコントローラ1aの燃焼制御部17は、全てのリレー12-1,12-2-1,12-2-2,12-3の接点をオフ状態としている。
バーナコントローラ1aのフィードバック情報取得部13は、リレー12-1,12-2-1,12-2-2,12-3からのフィードバック情報FB1,FB2-1,FB2-2,FB3を取得する。取得したフィードバック情報FB1,FB2-1,FB2-2,FB3は、フィードバック情報記憶部15が保存する。
【0030】
(I)バーナコントローラ1aのチェック実行部16は、例えばオペレータからの起動要求があったときに(図3ステップS200においてYES)、チェックシーケンスを開始する。
【0031】
(II)スタートチェックの開始時に、チェック実行部16は、フィードバック情報FB1,FB3に基づいて第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認する(図3ステップS201)。
【0032】
(III)チェック実行部16は、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認できた場合(ステップS201においてYES)、第3のリレー12-3を励磁して接点をオン状態にする(図3ステップS202)。チェック実行部16は、最新のフィードバック情報FB1,FB3に基づいて第1のリレー12-1の接点に溶着がなく、第3のリレー12-3の接点がオン状態になっていて、故障していないことを確認する(図3ステップS203)。
【0033】
(IV)チェック実行部16は、第1のリレー12-1の接点に溶着がなく、第3のリレー12-3が故障していないことを確認できた場合(ステップS203においてYES)、全てのリレー12-1,12-2-1,12-2-2,12-3の接点をオフ状態にする(図3ステップS204)。チェック実行部16は、最新のフィードバック情報FB1,FB3に基づいて第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認する(図3ステップS205)。
【0034】
(V)チェック実行部16は、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認できた場合(ステップS205においてYES)、第1のリレー12-1を励磁して接点をオン状態にする(図3ステップS206)。チェック実行部16は、最新のフィードバック情報FB2-1,FB2-2,FB1に基づいて第2のリレー12-2-1,12-2-2の接点に溶着がなく、第1のリレー12-1の接点がオン状態になっていて、故障していないことを確認する(図3ステップS207)。
【0035】
(VI)チェック実行部16は、第2のリレー12-2-1,12-2-2の接点に溶着がなく、第1のリレー12-1が故障していないことを確認できた場合(ステップS207においてYES)、第1のチェックシーケンス(ステップS202~S207)完了とする。
【0036】
第1のチェックシーケンスが完了した場合、バーナコントローラ1aの燃焼制御部17は、燃焼(制御シーケンス)を開始させる。具体的には、燃焼制御部17は、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3を励磁してそれぞれの接点をオン状態にする(図3ステップS208)。
【0037】
(VII)続いて、燃焼制御部17は、第2のリレー12-2-1,12-2-2を励磁して接点をオン状態にする(図3ステップS209)。これにより、電源2から負荷3に電力が供給される。第2のリレー12-2-2の接点をオン状態にして燃料遮断弁7に電力を供給することにより、燃料遮断弁7が開いてバーナ5への燃料供給が開始され、第2のリレー12-2-1の接点をオン状態にして点火装置6に電力を供給することにより、点火装置6が点火用の電極棒(不図示)にスパークを発生させて、バーナ5を点火する(図3ステップS210)。
なお、第2のリレー12-2-1,12-2-2のオンを、ステップS208の第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のオンと同時に実行してもよい。
【0038】
なお、チェック実行部16は、ステップS201,S203,S205,S207のうち少なくとも1つのチェックで問題を検出し、判定NOとなった場合、続くステップに進まずに、全ての処理を停止する。ステップS201では、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のうち少なくとも一方の接点に溶着がある場合、判定NOとなる。ステップS203では、第1のリレー12-1の接点に溶着があるか、または第3のリレー12-3の接点がオン状態になっていない場合、判定NOとなる。ステップS205では、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のうち少なくとも一方の接点に溶着がある場合、判定NOとなる。ステップS207では、第2のリレー12-2-1,12-2-2のうち少なくとも一方の接点に溶着があるか、または第1のリレー12-1の接点がオン状態になっていない場合、判定NOとなる。
また、第1のチェックシーケンスはステップS201~S207で説明した手順に限るものではなく、他の手順で実行してもよい。
【0039】
燃焼制御部17は、最新のフィードバック情報FB1,FB2-1,FB2-2,FB3に基づいて全てのリレー12-1,12-2-1,12-2-2,12-3の接点がオン状態になっていて、故障していないことを確認し、火炎検出器8から取得した火炎信号によって燃焼炉4内の火炎の存在を確認した場合、燃料遮断弁7の開動作を維持する。また、燃焼制御部17は、予め定められた時間が経過した時点で第2のリレー12-2-1の接点をオフ状態にして、点火装置6によるスパークの発生を停止させる。
【0040】
(VIII)燃焼制御部17は、燃焼の継続中に、例えばオペレータから停止指示があったときに(図3ステップS211においてYES)、第2のリレー12-2-2の接点をオフ状態にする(図3ステップS212)。これにより、電源2から燃料遮断弁7への電力供給が停止し、燃料遮断弁7が閉じてバーナ5への燃料供給が停止し、燃焼炉4内の燃焼が停止する(図3ステップS213)。
【0041】
(IX)燃焼制御部17による制御シーケンスが停止すると、チェック実行部16は、第2のチェックシーケンスを開始する。具体的には、チェック実行部16は、第3のリレー12-3の接点をオフ状態にする(図3ステップS214)。チェック実行部16は、最新のフィードバック情報FB2-1,FB2-2に基づいて第2のリレー12-2-1,12-2-2の接点に溶着がないことを確認する(図3ステップS215)。
なお、第3のリレー12-3のオフは、ステップS212の第2のリレー12-2-2のオフと同時に実行してもよい。
【0042】
(X)チェック実行部16は、第2のリレー12-2-1,12-2-2の接点に溶着がないことを確認できた場合(ステップS215においてYES)、第1のリレー12-1の接点をオフ状態にする(図3ステップS216)。こうして、全てのリレー12-1,12-2-1,12-2-2,12-3がオフ状態になる。チェック実行部16は、最新のフィードバック情報FB1,FB3に基づいて第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認する(図3ステップS217)。
【0043】
チェック実行部16は、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のそれぞれの接点に溶着がないことを確認できた場合(ステップS217においてYES)、第2のチェックシーケンス(ステップS214~S217)完了とする。第2のチェックシーケンスが完了した場合、燃焼制御部17は、次の起動要求を待つ待機状態となる。
【0044】
また、チェック実行部16は、ステップS215,S217のうち少なくとも一方のチェックで問題を検出し、判定NOとなった場合、続くステップに進まずに、全ての処理を停止する。ステップS215では、第2のリレー12-2-1,12-2-2のうち少なくとも一方の接点に溶着がある場合、判定NOとなる。ステップS217では、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3のうち少なくとも一方の接点に溶着がある場合、判定NOとなる。
【0045】
[2回目以降の運転]
(XI)第2のチェックシーケンスの完了後、燃焼制御部17は、例えばオペレータからの起動要求があったときに(図3ステップS218においてYES)、燃焼(制御シーケンス)を開始させる。具体的には、燃焼制御部17は、第1のリレー12-1と第3のリレー12-3を励磁してそれぞれの接点をオン状態にする(図3ステップS219)。
【0046】
(XII)続いて、燃焼制御部17は、第2のリレー12-2-1,12-2-2を励磁して接点をオン状態にする(図3ステップS220)。これにより、燃料遮断弁7が開いてバーナ5への燃料供給が開始され、点火装置6が点火用の電極棒にスパークを発生させて、バーナ5を点火する(図3ステップS210)。以降の処理は上記のとおりである。
【0047】
以上のように、本実施例では、初回の運転の停止時に、ステップS214~S217の第2のチェックシーケンスの分だけ時間が長くなるが、2回目の以降の運転では、ステップS202~S207の第1のチェックシーケンスを省くことができる。これにより、本実施例では、2回目以降の運転において起動要求から燃焼開始までの遅れを従来よりも短くすることができる。
【0048】
なお、チェック実行部16と燃焼制御部17とは、最新の制御シーケンスの停止から新規の起動要求を受けたときまでの時間が所定時間(例えば24時間)以上空いた場合、または初回の制御シーケンスの停止から新規の起動要求を受けたときまでに所定時間以上経過した場合、リレー12-1,12-2-1,12-2-2,12-3の故障・溶着を考慮する必要があるため(JISB8415-3 F.2)、新規の起動要求を初回の起動要求とみなして、ステップS202から処理を始める。
【0049】
本実施例で説明したバーナコントローラ1aのフィードバック情報取得部13と火炎信号取得部14とフィードバック情報記憶部15とチェック実行部16と燃焼制御部17とは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインターフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図4に示す。
【0050】
コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インタフェース装置(I/F)202とを備えている。I/F202には、リレー12-1,12-2-1,12-2-2,12-3と火炎検出器8等が接続される。本発明の制御方法を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、燃焼炉を含む設備に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1a…バーナコントローラ、2…電源、3…負荷、4…燃焼炉、5…バーナ、6…点火装置、7…燃料遮断弁、8…火炎検出器、10,11…接続線、12-1,12-2,12-2-1,12-2-2,12-3…リレー、13…フィードバック情報取得部、14…火炎信号取得部、15…フィードバック情報記憶部、16…チェック実行部、17…燃焼制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6