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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20250304BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20250304BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/23
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022199114
(22)【出願日】2022-12-14
(65)【公開番号】P2024084914
(43)【公開日】2024-06-26
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 順一
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101056(JP,A)
【文献】国際公開第2020/158603(WO,A1)
【文献】特開2006-011168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23 - 35/235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両に設けられた表示面に向けて、前記車両の乗員に虚像として視認させる画像を表示光として出射する表示デバイスと、
内部に前記表示デバイスを収容し、前記表示光を前記表示面に向けて射出させる開口部を有するメイン筐体とを備え、
前記表示デバイスは、前記表示光を表示可能な表示画面を含んで構成されるディスプレイと、複数のLEDチップが基板に実装されたLED基板を含んで構成され、前記ディスプレイに対して出射光を照射するバックライトと、内部に前記バックライトを収容するデバイス筐体とを有し、
前記表示画面は、前記出射光の光軸に対して傾斜して配置され、
前記LED基板は、前記表示画面と向かい合って配置され、
前記複数のLEDチップは、前記表示画面の傾斜に沿わせて、前記光軸に沿った光軸方向に対して段階的にずれて配置され、
前記表示デバイスは、金属材料によって形成された前記基板、又は、金属材料によって形成され、前記表示画面側の面に前記LED基板が組みつけられた放熱板の一方を有し、前記一方、前記表示画面と対向して位置する対向部分と、前記対向部分と交差して位置し前記対向部分同士を連結する連結部分とが交互に形成されていることを特徴とする、
車両用表示装置。
【請求項2】
前記一方は、前記基板であり、
前記基板は、前記表示画面の傾斜に沿わせて階段状に形成され、
前記LEDチップの各々は、階段状に形成された前記基板において前記表示画面と対向する面に配置される、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記一方は、前記放熱板であり、
前記表示デバイスは、前記表示画面の傾斜に沿わせて階段状に形成された前記放熱板を有し、
前記LEDチップの各々は、階段状に形成された前記放熱板において前記表示画面と対向する面に前記基板と共に配置される、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示画面は、外光が前記開口部を介して前記メイン筐体に入射した際に、前記表示画面で反射した反射光が、前記開口部が位置する側と反対側に向かうように、前記出射光の光軸に対して傾斜して配置され、
前記LED基板を挟んで前記表示画面側と反対側に形成される外部空間部は、前記表示画面の傾斜に沿わせて階段状に形成され、前記開口部側に位置する部分が、当該開口部側と反対側に位置する部分に対して前記光軸方向において前記表示画面側に突出して位置する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、表示器と、当該表示器を照明する光源と、当該表示器が出射した表示光に対して設けられた位相差板(λ/4板またはλ/2板)と、備える車両用表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6027727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の車両用表示装置は、外光が装置の筐体に入射した際、当該筐体内に搭載されている表示器の表示面で反射した光が乗員の目に戻らない様にするために、当該表示面を光軸に対して傾けて配置した場合、その傾きに応じて表示器の筐体が大きくなり、車両用表示装置全体が大きくなってしまう虞がある。そのため、車両への搭載性の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、省スペース化を実現することができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用表示装置は、車両に搭載され、前記車両に設けられた表示面に向けて、前記車両の乗員に虚像として視認させる画像を表示光として出射する表示デバイスと、内部に前記表示デバイスを収容し、前記表示光を前記表示面に向けて射出させる開口部を有するメイン筐体とを備え、前記表示デバイスは、前記表示光を表示可能な表示画面を含んで構成されるディスプレイと、複数のLEDチップが基板に実装されたLED基板を含んで構成され、前記ディスプレイに対して出射光を照射するバックライトと、内部に前記バックライトを収容するデバイス筐体とを有し、前記表示画面は、前記出射光の光軸に対して傾斜して配置され、前記LED基板は、前記表示画面と向かい合って配置され、前記複数のLEDチップは、前記表示画面の傾斜に沿わせて、前記光軸に沿った光軸方向に対して段階的にずれて配置され、前記表示デバイスは、金属材料によって形成された前記基板、又は、金属材料によって形成され、前記表示画面側の面に前記LED基板が組みつけられた放熱板の一方を有し、前記一方は、前記表示画面と対向して位置する対向部分と、前記対向部分と交差して位置し前記対向部分同士を連結する連結部分とが交互に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用表示装置は、省スペース化を実現することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る車両用表示装置の概略構成を表す図である。
図2図2は、実施形態に係る車両用表示装置を構成する表示デバイスの概略構成を表す図である。
図3図3は、実施形態の変形例に係る車両用表示装置を構成する表示デバイスの概略構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
車両用表示装置1は、自動車等の車両400に適用され、当該車両400のダッシュボードに設けられたインストルメントパネル(不図示)内に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置である。
【0011】
図1図2に示すように、車両用表示装置1は、表示器10と、制御部(不図示)とを備え、表示器10は、表示デバイス100と、ミラー200と、メイン筐体300とを備えている。また、表示デバイス100は、表示光L2を表示可能な表示画面111を含んで構成されるディスプレイ110と、光源としてのLED基板121を含んで構成されるバックライト120と、デバイス筐体130とを備えている。車両用表示装置1は、車両400の前部に設けられた表示面410に向けて表示デバイス100が出射した表示光L2をアイポイント(目視位置)EP側に向けて反射させることで、表示面410に映る画像をアイポイントEPから視える景色と重なって視える虚像Viとして視認させることができるものである。車両用表示装置1に対するアイポイントEPは、車両400の乗員である運転者500の視点の位置であり、空間領域として予め想定される。また、表示デバイス100が出射した表示光L2が反射する表示面410は、車両400の前部に設けられたウインドシールドWSによって構成される。ただし、当該表示面410の形態は特に限定されず、例えば、ウインドシールドWSよりも運転者500側に設けられた透明または半透明のパネル(例えば、コンバイナ)であってもよい。また、車両用表示装置1において、電力供給、制御信号、各種情報等の授受のための各構成要素間の接続方式は、特に断りのない限り、電線や光ファイバ等の配索材を介した有線による接続(例えば、光ファイバを介した光通信等も含む)、無線通信、非接触給電等の無線による接続のいずれであってもよい。
【0012】
そして、本実施形態の車両用表示装置1は、LED基板121を表示画面111の傾斜に沿わせて段階的にずらして配置することで、省スペース化を実現したものである。以下、図1図2を参照して車両用表示装置1の各構成について詳細に説明する。
【0013】
なお、車両用表示装置1の幅方向は、典型的には、当該車両用表示装置1が適用される車両400の車幅方向Yに相当する。また、車両用表示装置1の奥行方向は、典型的には、当該車両用表示装置1が適用される車両400の前後方向X(言い換えれば、車両400の進行方向)に相当する。また、車両用表示装置1の前面側は、車両400の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者500によって視認される側に相当する。一方、車両用表示装置1の背面側とは、奥行方向において前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側に相当する。
【0014】
また、以下の説明では、車両400の前後方向Xにおいて、車両400が前進する側を「前方」、車両400が後進する側を「後方」という場合がある。車両400の車幅方向Yにおいて、前後方向Xの前方に向かって左側を「左側」、前後方向Xの前方に向かって右側を「右側」という場合がある。車両400の高さ方向Zにおいて、鉛直方向上側を「上側」、鉛直方向下側を「下側」という場合がある。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
【0015】
また、以下の説明では、表示デバイス100において、ディスプレイ110の表示画面111から出射される光を表示光L2と称する。また、バックライト120のフィールドレンズ123から出射される平行光を出射光L1と称し、当該出射光L1の軸線を光軸L1xと称する。また、光軸L1xの延在方向を光軸方向L1dと称する。
【0016】
[表示器]
表示器10は、前後方向Xに対してウインドシールドWSとアイポイントEPとの間に位置し、ウインドシールドWSに虚像Viを投影することによって、車両400の状況を運転者500に認知させることができる部分である。
【0017】
表示デバイス100は、表示光L2をミラー200に向けて出射する部分である。表示デバイス100は、バックライト120からディスプレイ110に対して出射光L1が照射されることによって、ディスプレイ110の表示画面111に画像を表示し、表示光L2として出射することができる。なお、表示デバイス100の詳細については後述する。
【0018】
ミラー200は、表示光L2をウインドシールドWSに向けて反射させる部分である。図1に示すように、ミラー200は、凹状の反射面を有しており、画像を拡大することができる。なお、反射面の形状は、例えば、自由曲面であり、画像の歪みや収差を補正することができる形状とすることができる。
【0019】
メイン筐体300は、樹脂材料等によって構成され、箱状に形成に形成されることで、内部(内部空間部300S)に表示デバイス100やミラー200等を収容することができる部分である。図1に示すように、本実施形態のメイン筐体300は、壁部300Kによって形成され、表示デバイス100を組み付けることができる組付開口部300aと、表示光L2を外部に向かって射出することができる開口部300bとを有している。
【0020】
組付開口部300aは、図1に示すように、メイン筐体300の後方側に位置し、前後方向Xに沿って開口するように形成されている。また、表示デバイス100は、デバイス筐体130の後方側がメイン筐体300の外部に露出するように組み付けられている。そのため、表示デバイス100は、ディスプレイ110から出射された表示光L2が前方側に向かって射出されるようにメイン筐体300に組み付けられ、壁部300Kによってディスプレイ110の周囲が覆われることで、当該表示光L2が遮光される。
【0021】
一方で、開口部300bは、図1に示すように、メイン筐体300の上側(表示面410が位置する側)に位置する壁部300Kbに設けられ、高さ方向Zに沿って開口するように形成されている。そのため、メイン筐体300は、ディスプレイ110から出射された表示光L2がミラー200等を介して開口部300bに向かうと、当該表示光L2を外部に向かって射出することができる。したがって、表示器10は、インストルメントパネル内に搭載された状態で、表示光L2を開口部300bの上側に位置する表示面410に向かって射出することができる。なお、開口部300bは、表示光L2を透過させることができる透明なカバーによって閉塞されていてもよい。
【0022】
[制御部]
制御部は、マイクロコンピュータとして構成され、表示器10を制御することができる部分である。制御部は、車両400に搭載されている機器や、サーバー等から車両400の状況を取得することができる。また、制御部は、取得した情報に基づいて画像を生成し、当該画像をディスプレイ110の表示画面111に表示させることで、アイポイントEPから視える景色に虚像Viを重畳表示させる処理を実行することができる。
【0023】
[表示デバイス]
次に、表示デバイス100の詳細について説明する。
【0024】
ディスプレイ110は、出射光L1を透過させることで、当該光を表示光L2として出射する部分である。ディスプレイ110の表示画面111は、光透過型のTFT液晶(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)等から構成されている。
【0025】
バックライト120は、LED基板121と、集光レンズ122と、フィールドレンズ123とを含んで構成されるユニットである。
【0026】
LED基板121は、複数のLEDチップ121aと、LEDチップ121aの各々を実装可能な基板121bとを含んで構成されている。基板121bは、アルミなどの金属材料によって構成され、平板状に形成されることで、一方の面にLEDチップ121aを固定することができる部材である。一方で、LEDチップ121aは、発光ダイオードによって構成される光源であり、車両400の二次電池等の電源(不図示)から電力が供給されることで発光する部材である。LEDチップ121aは、基板121b上において格子状に配置され、基板121bがデバイス筐体130に組み付けられた状態で表示画面111と向かい合うように配置されることで、表示画面111に向けて光を出射することができる。
【0027】
集光レンズ122は、ガラス又は透明樹脂によって構成されるレンズである。集光レンズ122は、平坦面で構成される入射面と、凸状の湾曲面で構成される出射面とを有し、入射面がLEDチップ121aと向かい合うように配置される。集光レンズ122は、図2に示すように、LEDチップ121aにそれぞれ設けられることで、LEDチップ121aから出射される光をそれぞれ集光することができる。
【0028】
フィールドレンズ123は、ガラス又は透明樹脂によって構成されるレンズである。フィールドレンズ123は、入射面と、出射面とを有し、入射面が集光レンズ122と向かい合うように配置される。フィールドレンズ123は、図2に示すように、集光レンズ122と表示画面111との間に設けられることで、集光レンズ122からそれぞれ入射した入射光の進行方向を所定の方向に整えることができる。そのため、バックライト120は、表示画面111に向けて平行光を出射することができる。
【0029】
デバイス筐体130は、樹脂材料等によって構成され、箱状に形成に形成されることで、内部(内部空間部130S)にディスプレイ110やバックライト120等を収容することができる部分である。図1図2に示すように、本実施形態のデバイス筐体130は、壁部130Kによって形成され、ディスプレイ110を組み付けることができる組付開口部130aと、バックライト120を構成するLED基板121を組み付けることができる組付開口部130bとを有している。
【0030】
組付開口部130aは、図1図2に示すように、表示デバイス100がメイン筐体300に組み付けられている状態で、デバイス筐体130の前方側に位置し、前後方向Xに沿って開口するように形成されている。また、ディスプレイ110の表示画面111は、組付開口部130aに組み付けられることで、インストルメントパネル内に搭載された状態で出射光L1の光軸L1xに対して傾斜方向Z1に傾斜して配置されている。より詳しく言えば、本実施形態の表示画面111は、高さ方向Zにおいて、メイン筐体300の開口部300b側(表示面410側)に位置する端部P1が出射光L1の出射方向において前方側(光軸L1xの光軸方向L1dにおいて表示画面111側)に突出して形成されるように傾斜して配置されている。このとき、表示デバイス100は、表示画面111の端部P1が、開口部300b側と反対側に位置する端部P2より前方側に配置されることで、外光が開口部300bを介してメイン筐体300に入射した際に、表示画面111で反射した反射光L3を端部P2側に向かわせることができる。そのため、表示デバイス100は、表示画面111で反射した外光が入射経路をたどって再び開口部300bから射出されて運転者500の目に戻らない様に、当該光の経路を変更させることができる。
【0031】
一方で、組付開口部130bは、図2に示すように、表示デバイス100がメイン筐体300に組み付けられている状態で、デバイス筐体130の後方側に位置し、前後方向Xに沿って開口するように形成されている。また、バックライト120を構成するLED基板121は、ネジ等の締結部材により、デバイス筐体130の壁部130Kの所定の箇所に組み付けられることで、組付開口部130bを閉じるように組み付けられている。より詳しく言えば、本実施形態のバックライト120は、図2に示すように、表示画面111側から、フィールドレンズ123、集光レンズ122、LED基板121の順に配置され、LED基板121がメイン筐体300の外部に露出する位置に組み付けられている。また、LED基板121は、高さ方向Zにおいて、メイン筐体300の開口部300b側(表示面410側)に位置する端部Q1が開口部300b側と反対側に位置する端部Q2より出射光L1の出射方向において前方側に突出して形成されている。
【0032】
また、本実施形態のLED基板121は、図2に示すように、基板121bが階段状に形成され、基板121bは、表示画面111と対向して位置する対向部分Dと、当該対向部分Dと交差して位置し、対向部分D同士を連結する連結部分Eとが交互に形成されている。また、LED基板121は、組付開口部130bに組み付けられた際に、基板121bの対向部分Dから表示画面111までの距離X1が一定の値となるように構成されている。また、LED基板121の対向部分DにLEDチップ121aがそれぞれ配置されることで、当該LEDチップ121aは、表示画面111と対向して配置され、出射光L1の出射方向に対して段階的にずれて配置されている。そのため、LED基板121は、LEDチップ121aを表示画面111の傾斜に沿わせて配置することができ、LEDチップ121aから表示画面111までの距離を一定の値にすることができる。なお、基板121bの加工方法は特に限定されず、曲げ加工等によって階段状に形成される。
【0033】
本実施形態の表示デバイス100は、上記ように構成されたLED基板121がデバイス筐体130の組付開口部130bに組み付けられることによって、内部空間部130Sに収容されているバックライト120の高さX2を小さくすることができる。そのため、メイン筐体300は、基板121bが図2に示す端部Q2の位置を基準として高さ方向Zに沿って形成されているとき、すなわち、基板121bが直線状に形成されているときと比べて大きさ(容積)が小さくなる。
【0034】
また、LED基板121は、基板121bが階段状に形成されていることで、表面積を増やすことができる。基板121bは、直線状に形成されていると比べて、対向部分D同士の間に位置する連結部分Eの分だけ表面積が広くなる。そのため、LED基板121は、LEDチップ121aが発光する際に生じる熱を効率よく逃がすことができる。また、LED基板121は、基板121bがデバイス筐体130の開口部に組み付けられ、基板121bの一方の面がメイン筐体300から露出するように組み付けられていることで、LEDチップ121aが発光する際に生じる熱を効率よく逃がすことができる。
【0035】
また、LED基板121の基板121bが階段状に形成されていることで、当該LED基板121を挟んで表示画面111側と反対側に形成される外部空間部Sは、表示画面111の傾斜に沿わせて階段状に形成される。また、LED基板121の基板121bの上側に位置する端部Q1が下側に位置する端部Q2より出射光L1の出射方向において前方側に突出して形成されることで、外部空間部Sは、基板121bの端部Q1側に位置する部分が基板121bの端部Q2側に位置する部分に対して光軸方向L1dにおいて表示画面111側に突出して位置する。そのため、外部空間部Sは、LEDチップ121aが発光する際に生じる熱を上方へそれぞれ逃がすことができる。
【0036】
以上で説明した車両用表示装置1は、車両400に搭載され、車両400に設けられた表示面410に向けて、車両400の乗員である運転者500に虚像Viとして視認させる画像を表示光L2として出射する表示デバイス100と、内部に表示デバイス100を収容し、表示光L2を表示面410に向けて射出させる開口部300bを有するメイン筐体300とを備える。また、表示デバイス100は、表示光L2を表示可能な表示画面111を含んで構成されるディスプレイ110と、複数のLEDチップ121aが基板121bに実装されたLED基板121を含んで構成され、ディスプレイ110に対して出射光L1を照射するバックライト120と、内部にLED基板121を収容するデバイス筐体130とを有する。また、表示画面111は、出射光L1の光軸L1xに対して傾斜して配置され、LED基板121は、表示画面111と向かい合って配置され、複数のLEDチップ121aは、表示画面111の傾斜に沿わせて、光軸L1xに沿った光軸方向L1dに対して段階的にずれて配置される。
【0037】
このような構成によれば、表示デバイス100は、LED基板121のLEDチップ121aが段階的にずれて配置されていることで、内部に収容されているバックライト120の高さX2を抑えることができる。そのため、表示デバイス100は、LEDチップ121aが直線状に配置されているときと比べて容積を抑えることができ、これに伴い、車両用表示装置1は、メイン筐体300の外部に露出している部分の容積を抑えることができる。したがって、車両用表示装置1は、省スペース化を実現することができる。
【0038】
さらに、以上で説明した基板121bは、金属材料によって、表示画面111の傾斜に沿わせて階段状に形成され、LEDチップ121aの各々は、階段状に形成された前記基板121bにおいて表示画面111と対向する面(対向部分D)に配置される。このような構成によれば、基板121bは、階段状に形成されていることで、直線状に形成されていると比べて表面積を増やすことができる。そのため、LED基板121は、基板121bを介して、LEDチップ121aが発光する際に生じる熱を効率よく放熱させることができる。
【0039】
さらに、以上で説明した車両用表示装置1の表示画面111は、外光が開口部300bを介してメイン筐体300に入射した際に、表示画面111で反射した反射光L3が、開口部300bが位置する側と反対側に向かうように出射光L1の光軸L1xに対して傾斜して配置される。また、LED基板121を挟んで前記表示画面111側と反対側に形成される外部空間部Sは、表示画面111の傾斜に沿わせて階段状に形成され、開口部300b側に位置する部分が、当該開口部300b側と反対側に位置する部分に対して光軸方向L1dにおいて表示画面111側に突出して位置する。このような構成によれば、表示デバイス100は、LEDチップ121aが直線状に配置されているときと比べて、開口部300b側に位置する部分(高さ方向Zにおいて上側に位置する部分)の容積を抑えることができる。また、LEDチップ121aが発光する際に発生する熱によってLED基板121の周りの気体が膨張し、当該気体が上方へと逃げようとする場合に、表示デバイス100は、気体を効率よく逃がすことで、当該気体に含まれる熱をメイン筐体300の外部に効率よく放出させることができる。
【0040】
なお、上述した本発明の車両用表示装置1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、表示画面111の傾斜方向Z1は、特に限定されない。図2に示すように、表示画面111は、メイン筐体300の開口部300b側に位置する端部P1が前方側に突出して形成されるものとして説明したが、開口部300b側の反対側に位置する端部P2が前方側に突出して形成されるものであってもよい。
【0042】
また、デバイス筐体130に対するLED基板121の組み付け方法は、特に特に限定されず、LED基板121の基板121bの形状は、LEDチップ121aが表示画面111の傾斜に沿わせて配置され、光軸L1xに沿った光軸方向L1dに対して段階的にずれて配置される限り、特に限定されない。図2に示すように、LED基板121は、デバイス筐体130の組付開口部130bに直接組み付けられるものとして説明したが、組付開口部130bに組み付け可能なその他の構造部材を介して間接的に組み付けられるものであってもよい。
【0043】
例えば、図3は、変形例に係る車両用表示装置1Aに適用される表示デバイス100Aを示すものである。表示デバイス100Aは、ディスプレイ110と、バックライト120Aと、デバイス筐体130とを備え、デバイス筐体130の組付開口部130bに組み付け可能な放熱板600をさらに備えている。
【0044】
放熱板600は、いわゆるヒートシンクであり、金属材料によって構成されている。また、放熱板600は、表示画面111の傾斜に沿わせて階段状に形成され、表示画面111と対向して位置する対向部分DAと、当該対向部分DAと交差して位置する連結部分EAが交互に形成されている。また、放熱板600は、高さ方向Zにおいてメイン筐体300の開口部300b側(表示面410側)に位置する端部R1が、開口部300b側と反対側に位置する端部R2より出射光L1の出射方向において前方側に突出して形成されている。
【0045】
また、バックライト120Aは、複数のLED基板121Aと、集光レンズ122と、フィールドレンズ123とを含んで構成され、LED基板121Aは、帯状に形成される基板121bAと、基板121bA上に直線状に配置される複数のLEDチップ121aを有している。LED基板121Aは、ネジ等の締結部材により、放熱板600の対向部分DAにそれぞれ組み付けられる。そして、LED基板121Aが組み付けられた放熱板600は、デバイス筐体130の壁部130Kの所定の箇所に組み付けられることで、組付開口部130bを閉じるように組み付けられる。そのため、LEDチップ121aの各々は、階段状に形成された放熱板600において表示画面111と対向する面に基板121bAと共に配置され、表示画面111の傾斜に沿わせて、光軸L1xに沿った光軸方向L1dに対して段階的にずれて配置される。
【0046】
また、LED基板121Aを挟んで表示画面111側と反対側に形成される外部空間部SAは、上記で説明した外部空間部Sと同様に階段状に形成され、開口部300b側に位置する部分が、当該開口部300b側と反対側に位置する部分に対して出射光L1の出射方向において前方側に突出して位置する。
【0047】
このような構成によれば、放熱板600は、上記で説明した基板121bと同様に、対向部分DAから表示画面111までの距離が一定の値となるように構成されることで、LEDチップ121aから表示画面111までの距離を一定の値にすることができる。また、LED基板121Aは、熱伝導率が高い放熱板600に組み付けられることで、当該放熱板600を介して、LEDチップ121aが発光する際に生じる熱を効率よく放熱させることができる。また、表示デバイス100Aは、上記で説明した表示デバイス100と同様に、内部に収容されているバックライト120Aの高さを抑えることができ、これに伴い、車両用表示装置1Aは、メイン筐体300の外部に露出している部分の容積を抑えることができる。したがって、車両用表示装置1Aは、省スペース化を実現することができる。また、さらに言えば、外部空間部SAが、上記で説明した外部空間部Sと同様に、表示画面111の傾斜に沿わせて階段状に形成されることで、LEDチップ121aが発光する際に発生する熱をメイン筐体300の外部に効率よく放出させることができる。
【0048】
なお、本実施形態に係る車両用表示装置1、1Aは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1、1A 車両用表示装置
100、100A 表示デバイス
111 表示画面
110 ディスプレイ
120、120A バックライト
121、121A LED基板
121a LEDチップ
121b、121bA 基板
130 デバイス筐体
200 ミラー
300 メイン筐体
300b メイン筐体の開口部
400 車両
410 表示面
500 運転者(乗員)
L1 出射光
L1x 光軸
L1d 光軸方向
L2 表示光
L3 反射光
S、SA 外部空間部
Vi 虚像
X 前後方向
Y 車幅方向
Z 高さ方向
Z1 傾斜方向

図1
図2
図3