(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】電力コンバータに対するブーストバック保護
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20250304BHJP
G05F 1/56 20060101ALI20250304BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
H02M3/155 C
G05F1/56 310C
H02J7/10 A
(21)【出願番号】P 2022504498
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 US2020042722
(87)【国際公開番号】W WO2021016157
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-12
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】オースティン ジェームズ ウォーマック
(72)【発明者】
【氏名】シウ クオック ホーン
(72)【発明者】
【氏名】オーランド ラザロ
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-074769(JP,A)
【文献】米国特許第06246215(US,B1)
【文献】国際公開第2016/043262(WO,A1)
【文献】特開2018-129909(JP,A)
【文献】特開2005-341769(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038742(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0250737(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
G05F 1/56
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
第1のノードに結合される入力と、バッテリに結合するように適合される出力端子に結合される出力とを有する電力コンバータと、
第2のノードと前記第1のノードとの間で前記第2のノードと前記出力端子との間の経路に沿って結合されるブロッキングトランジスタと、
前記第1のノードに結合される第1の入力と前記第2のノードに結合される第2の入力と前記ブロッキングトランジスタの制御ノードに結合される出力とを有するレギュレータであって、前記第1のノードと前記第2のノードとの間の電圧に基づいて前記ブロッキングトランジスタの両端間の電圧を調整するように前記ブロッキングトランジスタを制御するように構成され、また、前記経路に沿って前記出力端子から前記第2のノードに流れるブーストバック電流を遮断するように前記第1のノードにおける第1の電圧が前記第2のノードにおける第2の電圧を閾値だけ超えることに応答して前記ブロッキングトランジスタをオフにするように構成される、前記レギュレータと、
前記制御ノードに結合される第1の入力と前記第2のノードに結合にされる第2の入力とを有する入力検出器であって、前記ブロッキングトランジスタがオフにされたことを検出することに応答して前記第2のノードからの電力をシンクするように構成される、前記入力検出器と、
を含む、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記ブロッキングトランジスタが、前記第1のノードに結合されるドレインと前記第2のノードに結合されるソースとを有する電界効果トランジスタを含み、
前記レギュレータが、前記ブロッキングトランジスタが理想ダイオードとして動作するように、前記ソースから前記ドレインへの電圧降下を基準電圧に基づいて調整するように構成される、デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスであって、
前記レギュレータが、
前記第1のノードに結合される反転入力と、非反転入力と、前記ブロッキングトランジスタのゲートに結合される出力とを有する増幅器と、
前記第2のノードと前記増幅器の非反転入力との間に結合される電圧源であって、前記基準電圧を提供するように構成される、前記電圧源と、
を含む、デバイス。
【請求項4】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記入力検出器が、
前記第2のノードとニュートラルノードとの間に結合されるスイッチデバイスと、
前記ブロッキングトランジスタの制御ノードに結合される第1の入力と、第2の入力と、前記スイッチデバイスの制御入力に結合される出力とを有する比較器と、
前記第2のノードと前記比較器の第2の入力との間に結合される電圧源であって、前記第2の入力に閾値電圧を印加するように構成される、前記電圧源と、
を含み、
前記比較器が、前記ブロッキングトランジスタの前記制御ノードにおける電圧が前記第2のノードにおける前記電圧より少なくとも前記閾値電圧だけ降下したことに応答して、前記スイッチデバイスを有効化して前記第2のノードを放電するように構成される、デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記第1のノードに結合される第1の入力と前記第2のノードに結合される第2の入力とを有するブーストバック検出器であって、前記第1のノードにおける前記電圧が前記第2のノードにおける前記電圧を障害閾値だけ超えたことに応答して障害信号を提供して前記電力コンバータをオフにするように構成される、前記ブーストバック検出器を更に含む、デバイス。
【請求項6】
請求項
5に記載のデバイスであって、
前記ブーストバック検出器が、
前記第1のノードとニュートラルノードとの間に結合されるスイッチデバイスと、
前記第1のノードに結合される第1の入力と、第2の入力と、前記スイッチデバイスの制御入力と前記電力コンバータの障害入力とに結合される出力とを有する比較器と、
前記第2のノードと前記比較器の第2の入力との間に結合される電圧源であって、前記比較器が、前記第1のノードにおける電圧が前記第
2のノードにおける前記電圧を少なくとも障害閾値電圧だけ超えることに応答して、前記スイッチデバイスを有効化して前記第1のノードを放電するように、前記第2の入力に前記障害閾値電圧を印加するように構成される、前記電圧源と、
を含む、デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記電力コンバータが、強制連続導通モードで動作するように構成された降圧型電力コンバータとして構成される、デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記電力コンバータが、
1つ又は複数の制御信号の関数として変化するデューティサイクルを備えるパルス幅変調(PWM)信号を生成するように構成されるパルス幅変調器と、
前記PWM信号に基づいて第1及び第2の駆動信号を生成するように構成される電力段コンバータと、
前記第1のノードと前記電力コンバータの出力との間に結合される高側トランジスタであって、前記高側トランジスタの状態が前記第1の駆動信号に基づいて制御される、前記高側トランジスタと、
前記電力コンバータの前記出力とニュートラルノードとの間に結合される低側トランジスタであって、前記低側トランジスタの状態が前記第2の駆動信号によって制御される、前記低側トランジスタと、
を含み、
チャージ電流が前記出力端子に流れて前記バッテリを充電する、デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記ブロッキングトランジスタを介して調整されていないブーストバック状態を検出することに応答して障害出力において障害信号を提供するように構成されるブーストバック検出器を更に含み、
前記電力コンバータが、前記ブーストバック検出器の障害出力に結合される障害入力を有する電力段を含み、前記障害信号に基づいて前記電力段をオフにするように構成される、デバイス。
【請求項10】
システムであって、
1つ又は複数の制御信号に応答して第1のノードにおける電圧に基づいて出力端子にチャージ電流を提供するように構成される電力コンバータと、
第2のノードと前記電力コンバータの入力ノードとの間に結合されるブロッキングトランジスタと、
前記第1のノードにおける電圧と前記第2のノードにおける電圧とに基づいて前記ブロッキングトランジスタの両端間の電圧降下を調整するように構成されるレギュレータであって、前記出力端子から前記第2のノードへの電流が前記ブロッキングトランジスタによって遮断されるように、前記第1のノードにおける電圧が前記第2のノードの電圧を閾値だけ超えることに応答して前記ブロッキングトランジスタをオフにするように更に構成される、前記レギュレータと、
前記ブロッキングトランジスタがオフにされることに応答して前記第2のノードを放電するように構成される入力検出器と、
前記ブロッキングトランジスタのブーストバック状態を検出することに応答して前記電力コンバータをオフにするように構成されるブーストバック検出器と、
を含む、システム。
【請求項11】
請求項
10に記載のシステムであって、
前記ブロッキングトランジスタが、前記第1のノードに結合されるドレインと、前記第2のノードに結合されるソースとを有する電界効果トランジスタを含み、
前記ブロッキングトランジスタが、前記第2のノードにおける前記電圧と前記第1のノードにおける前記電圧とに基づいて理想ダイオードとして動作するように構成されるように、前記レ
ギュレータが、前記ソースから前記ドレインへの電圧降下を基準電圧に基づいて調整するように構成される、システム。
【請求項12】
請求項
11に記載のシステムであって、
前記レギュレータが、
前記第1のノードに結合される反転入力と、非反転入力と、前記ブロッキングトランジスタのゲートに結合される出力とを有する増幅器と、
前記第2のノードと前記増幅器の非反転入力との間に結合される電圧源であって、前記基準電圧を提供するように構成される、前記電圧源と、
を含む、システム。
【請求項13】
請求項
10に記載のシステムであって、
前記ブーストバック検出器が、
前記第1のノードにおける電圧が前記第2のノードにおける電圧を少なくとも障害閾値電圧だけ超えることに応答して障害信号を提供するように構成される比較器と、
前記第1のノードとニュートラルノードとの間に結合されるスイッチデバイスであって、前記障害信号に応答して前記第2のノードを放電するように構成される、前記スイッチデバイスと、
を含み、
前記電力コンバータが、前記障害信号に応答してオフになるように更に構成される、システム。
【請求項14】
請求項
10に記載のシステムであって、
前記入力検出器が、
前記第2のノードとニュートラルノードとの間に結合されるスイッチデバイスと、
前記ブロッキングトランジスタの制御ノードにおける電圧が前記第2のノードにおける電圧より少なくとも閾値電圧だけ降下することに応答して、前記スイッチデバイスを有効化して前記第2のノードを放電するように構成される比較器と、
を含む、システム。
【請求項15】
請求項
10に記載のシステムであって、
前記第2のノードにおける電圧を供給するように構成される電源を更に含む、システム。
【請求項16】
請求項
10に記載のシステムであって、
前記出力端子に結合されるバッテリを更に含み、
前記電力コンバータが、前記バッテリを充電するために前記チャージ電流を提供するように更に構成される、システム。
【請求項17】
方法であって、
第1のノードにおける電圧に基づいて1つ又は複数の制御信号に応答してバッテリに結合するように適合される出力端子へのチャージ電流を制御することと、
第2のノードと前記第1のノードとの間に結合されるブロッキングトランジスタの両端間の電圧を基準電圧に基づいて調整することと、
前記第1のノードにおける電圧と前記第2のノードにおける電圧とを監視することと、
前記第1のノードにおける電圧が前記第2のノードにおける電圧を閾値だけ超えることに応答して前記ブロッキングトランジスタをオフにすることと、
前記第2のノードを放電することと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項
17に記載の方法であって、
前記第2のノードにおける電圧に対する前記第1のノードにおける電圧に基づいて前記ブロッキングトランジスタの調整されていないブーストバック状態を検出することに応答して障害信号を生成することと、
前記障害信号に応答して電力コンバータをディスエーブルすることと、
前記障害信号に応答して前記第1のノードを放電することと、
を更に含む、方法。
【請求項19】
請求項
17に記載の方法であって、
前記ブロッキングトランジスタが電界効果トランジスタであり、
前記ブロッキングトランジスタが、前記第2のノードにおける電圧と前記第1のノードにおける電圧とに基づいて理想ダイオードとして動作するように構成されるように、前記ブロッキングトランジスタ両端間の前記電圧を調整することが、前記ブロッキングトランジスタの両端間のソース・ドレイン間電圧を前記基準電圧に基づいて調整することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全般的に、電子回路要素に関し、特に、電力コンバータにおけるブーストバックの低減に関する。
【背景技術】
【0002】
直流の電源を或る電圧レベルから別の電圧レベルに変換するために、種々のタイプの電力コンバータが設計され得る。一例として、降圧コンバータが、キャパシタ及び/又はインダクタ等の1つ又は複数の記憶素子に対して、入力電圧を降下させて対応する出力電圧を提供するように構成されるトランジスタを典型的に含むスイッチモード電源の1つの種類である。降圧コンバータの一般的な応用例はバッテリチャージャである。例えば、バッテリチャージャは、強制的に電流をバッテリに通すことによって、バッテリにエネルギーを投入するように構成される。通常動作の場合、同期降圧コンバータが、入力から電流を引き出し、出力から電流を押し出す。幾つかの応用例において、その周波数応答及び設計簡素化のために、強制連続導通モード(CCM)動作が望ましい。しかしながら、このモードでは、コントローラが逆(負)方向の電流を要求し得る。負方向の電流は、ブーストバックと呼ばれ、概して降圧型レギュレータにおいては望ましくない。
【0003】
例として、ブーストバックは、調整されたブーストバックと調整されていないブーストバックの2つの一般的なタイプに分類され得る。調整されたブーストバック状態は、コンバータが負電流を要求し、安定した調整ポイントを発見することができるときに発生する。調整されていないブーストバックは、コンバータが負電流を要求するが、安定した動作ポイントに達することができないときに発生する。この状態は、コンバータの入力上で制御されていない電圧及び/又は電流の暴走を引き起こし得、デバイス又はシステムの他の構成要素に損傷を与え得る。調整されていないブーストバックの要因となることが最も多いコンバータにおける調整ループは出力電圧調整及び温度調整である。温度調整について、周囲温度が目標接合部調整ポイントを超える場合、この調整ループは、出力電流をゼロ未満に駆動し、電流をより低く(より負に)駆動し続ける。この状態は正のフィードバック状態であり、コンバータが追い出す負電流が多くなると、デバイスが発散する熱が多くなるため、望ましくない。
【発明の概要】
【0004】
第1の例において、デバイスが、第1のノードに結合される入力とバッテリに結合されるように適合された出力端子に結合される出力とを有する、電力コンバータを含む。ブロッキングトランジスタが、第2のノードと第1のノードとの間に結合される。レギュレータが、第1のノード及び第2のノードに結合される入力と、ブロッキングトランジスタの制御ノードに結合される出力とを有する。レギュレータは、ブロッキングトランジスタを制御して、第1のノードと第2のノードとの間の電圧に基づいてブロッキングトランジスタ両端間の電圧降下を調整し、第1のノードにおける電圧が第2のノードにおける電圧を閾値だけ超えることに応答してブロッキングトランジスタをオフにし、出力端子から第2のノードに流れるブーストバック電流を遮断するように、構成される。
【0005】
別の例において、システムが、1つ又は複数の制御信号に応答して、及び第1のノードにおける電圧に基づいて、チャージ電流を出力端子に提供するように構成された電力コンバータを含む。ブロッキングトランジスタが、第2のノードと電力コンバータの入力ノードとの間に結合される。レギュレータが、第1のノードにおける電圧及び第2のノードにおける電圧に基づいてブロッキングトランジスタ両端間の電圧降下を調整するように構成され、またレギュレータは、第1のノードにおける電圧が第2のノードにおける電圧を閾値だけ超えることに応答して、出力端子から第2のノードへの電流がブロッキングトランジスタによって遮断されるように、ブロッキングトランジスタをオフにするように構成される。入力検出器が、ブロッキングトランジスタがオフにされたことに応答して第2のノードを放電するように構成される。ブーストバック検出器が、電力コンバータのブーストバック状態の検出に応答して電力コンバータをオフにするように構成される。
【0006】
また更に別の例において、或る方法が、第1のノードにおける電圧及び制御信号に基づいて、バッテリに結合されるように適合された出力端子へのチャージ電流を制御することを含む。この方法はまた、第2のノードと第1のノードとの間に結合されたブロッキングトランジスタ両端間の電圧を基準電圧に基づいて調整することを含む。この方法はまた、第1のノードにおける電圧が第2のノードにおける電圧を超えたことを検出することに応答して、ブロッキングトランジスタをオフにし、第2のノードを放電することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ブーストバック保護を含むバッテリを充電するためのシステムの例の図である。
【0008】
【0009】
【0010】
【
図4】バッテリを充電するための電力コンバータの例の図である。
【0011】
【
図5】バッテリを充電するための典型的なシステムの例の図である。
【0012】
【
図6】ブーストバック保護を含む一方向電力コンバータの図である。
【0013】
【
図7】出力においてブーストバックを防止する手段を備える典型的な電力コンバータのブロック図である。
【0014】
【
図8】ブーストバック保護を含むバッテリを充電するための電力コンバータシステムの別の例の図である。
【0015】
【
図9】
図8のシステムの信号を時間の関数としてプロットするグラフである。
【0016】
【
図10】時間の関数として、調整されていないブーストバック状態を検出するための信号をプロットするグラフである。
【0017】
【
図11】ブーストバック保護を提供するための例示の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、降圧コンバータ(例えば、強制連続導通モード(CCM)降圧コンバータ)等の電力コンバータにおいて、ブーストバックを低減するためのシステム及び回路に関する。本明細書に開示される例において、システム及び方法が、バッテリチャージャ内に実装される電力コンバータの文脈において説明されているが、本明細書に開示されるシステム及び回路は、電力コンバータの他の応用例におけるブーストバックを低減するために用いることもできる。
【0019】
一例として、電力コンバータが、第1のノードに結合される入力を有する。入力電圧を提供するための電源が結合されている第1のノードと第2のノードとの間にブロッキングトランジスタが結合される。レギュレータが、ブロッキングトランジスタ両端間の電圧降下を調整して、第1のノードにおいて電力コンバータの入力に提供される電圧及び電流を制御するように構成される。例えば、レギュレータは、ブロッキングトランジスタを制御して、電源からの入力電圧と電力コンバータの入力における電圧との比較に基づいて、ブロッキングトランジスタ両端間の電圧を調整するように構成される。入力検出器が、ブロッキングトランジスタがオフにされたことを検出することに応答して、第2のノードを放電するように構成される。ブーストバック検出器が、電源からの入力電圧と電力コンバータの入力における第1のノードにおける電圧とに基づいて障害信号を生成するように構成される。例えば、電力コンバータは、障害信号に応答してオフにされ得る。また/或いは、第1のノードは障害信号に応答して放電され得る。
【0020】
ブロッキングトランジスタは、電力コンバータの入力における電圧が電源からの入力電圧を超えるときに生じ得るブーストバックに対し、システムが監視及び保護することを可能にする。レギュレータは更に、ブロッキングトランジスタ両端間の電圧降下が小さな電圧(例えば、約20mV等、100mV未満)になるように調整すること等によって、ブロッキングトランジスタを理想ダイオードとして動作させる。これによって、pn接合ダイオードによって達成され得るよりも高い総電力効率を可能にする。例えば、ブロッキングトランジスタをこのように制御するために、レギュレータを実装することによって、レギュレータは、(例えば、AC電源が抜けている又は切断されていることに応答して)入力電圧が除去されたとき等のブーストバックの間にブロッキングトランジスタを迅速にオフにし得る。また、ブーストバック保護は電源入力において実装されるので、電力コンバータの電力段内とは対照的に、このアプローチは、ブーストバックを低減するために低側FETを制御する電力コンバータにおいて生じ易い不連続導通を補償するための付加的な回路要素を必要とせずに、実装され得る。例えば、既存の設計の中には、ブーストバック状態を低減するために低側FETをオフにするものもあるが、その結果、不連続導通モードに入り、出力においてリップルが増加し、そのため、そのような望ましくない結果を低減し、その種々の動作モード全体で全ての調整ループの安定性を確実にするために複雑性を増すことになり得る
【0021】
図1は、バッテリ112を充電するための電力コンバータ110を含むシステム100のブロック図を示す。システム100は、制御信号が負のIチャージ電流を示している場合に発生し得るブーストバックを低減(又は遮断)するように構成される。本明細書に記載されるように、ブーストバックは、逆電流が電力コンバータの出力(例えば、バッテリ端子に結合されている)から流れ、バッテリ112からシステム100への望ましくない電力供給を防止するときの状態に対応する。幾つかの例では、バッテリ電圧が104における入力電圧を超えると、ブーストバックが生じ得る。他の例では、バッテリ電圧が入力電圧未満であるが負の方向に電力供給を得るようにブーストされると、ブーストバックが生じ得る。
【0022】
幾つかの例において、システム100は、バッテリチャージャを表す。システム100又はその一部は、集積回路(IC)チップとして、又は回路ボード上に搭載され連係して動作する複数のICチップ(例えば、マルチチップモジュール)として実装され得る。一例として、システム100は、スマートフォン、ノートブック、又はラップトップコンピュータ、モノのインターネット(IoT)デバイス等のモバイルデバイス上に実装される。しかしながら、システム100は、代替的に、バッテリ112を充電するために構成される降圧コンバータ等の任意の電力コンバータシステムにおいて利用可能である。
【0023】
システム100は、本明細書においてバス電圧ノード104として説明されるもの等、ノード上にバス電圧VBUSを生成する電源102を含む。バス電圧ノード104は、システム100の電圧レール(又は電力バス)を表す。バス電圧ノード104は、バス電圧VBUSをブロッキングトランジスタ106の入力ノード(例えば、ソース)に提供するように結合される。
【0024】
例えば、ブロッキングトランジスタ106は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)として実装される。図示された例において、ブロッキングトランジスタは、nチャネルエンハンスメントモードMOSFET(NMOS)として示される。しかしながら、他の例において、pチャネルエンハンスメントモードMOSFET(PMOS)等の他のタイプのトランジスタが、ブロッキングトランジスタ106として用いられ得る。また、他の例において、III-V族トランジスタ(例えば、窒化ガリウム(GaN)トランジスタとして)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、及び炭化ケイ素(SiC)トランジスタ等の、異なるタイプのトランジスタが用いられ得る。バス電圧ノード104は、ブロッキングトランジスタ106の入力ノード(例えば、ソース)に結合される。ブロッキングトランジスタ106の出力ノード(例えば、ドレイン)は、電力コンバータ110の入力電力ノード108に結合される。この例において、入力電力ノード108における電圧は、コンバータ入力電圧(PMID)と呼ばれる。
【0025】
電力コンバータ110は、入力電圧PMIDを変換して、出力端子においてチャージ電流ICHARGEを提供する対応する出力電圧を提供するように構成される。例えば、バッテリ112は、コンバータ入力電圧PMID、及び電力コンバータ110への入力である制御信号CONTROL SIGNALSに基づいて、バッテリを充電するためのチャージ電流ICHARGEを生成するように構成され得る。
【0026】
一例として、CONTROL SIGNALSは、外部ソース及び/又はセンサによって提供されるデータに基づいて変化する。制御信号CONTROL SIGNALSを提供する外部ソース及び/又はセンサは、システム100の温度、バッテリ112の温度、バッテリ112に対する入力電流、バッテリ112への出力電流、バッテリ112に対する入力電圧、及びバッテリ112に対する出力電圧を含み得る。他のタイプのCONTROL SIGNALSは、バッテリ112の充電を制御するためのそれぞれの調整ループの一部として提供され得る。バッテリを充電するために提供される電流信号におけるスイッチング及びその他のノイズを低減するために、電力コンバータ110の出力とバッテリ112との間にフィルタ要素(図示されない)が提供され得る。
【0027】
レギュレータ114が、ブロッキングトランジスタ106の制御ノード(例えば、ゲート)に結合される。レギュレータ114はまた、電力コンバータ110のバス電圧ノード104及び入力電力ノード108に結合される。レギュレータ114は、ブロッキングトランジスタ106両端間の電圧を調整するように構成される。例えば、レギュレータ114は、バス電圧ノード104におけるバス電圧VBUSと入力電力ノード108におけるコンバータ入力電圧PMIDとの間の電位差に対応して、ブロッキングトランジスタ106両端間の電圧を調整するために、制御電圧をブロッキングトランジスタ106の制御ノード(例えば、ゲート)に印加するように構成される。一例において、レギュレータ114は、ブロッキングトランジスタ106両端間の電圧降下を小さな電圧(例えば、10mV又は4mV等、100mV未満)に調整するように構成される。レギュレータ114はまた、PMIDが、VBUSを電圧閾値だけ超えたことに応答してブロッキングトランジスタ106をオフにし(例えば、カットオフ領域において動作する)、その結果、ブロッキングトランジスタが、ブーストバック状態の間に、バッテリ112からバス電圧ノード104に逆電流が流れるのを遮断するように、構成される。
【0028】
入力検出器116が、バス電圧ノード104及びブロッキングトランジスタ106の制御ノードに結合される。入力検出器116は、バス電圧VBUSをレギュレータ114の出力と比較するように構成される。入力検出器116は更に、バス電圧VBUSがコンバータ入力電圧PMIDを閾値電圧だけ超えたことに応答してブロッキングトランジスタ106がオフにされるときに、バス電圧ノード104においてバス電圧VBUSを放電するように構成される。閾値電圧は負の電圧又は正の電圧であり得る。例えば、入力検出器116は、バス電圧ノードと、接地等の電気的に中性な(又はより低い電位)ノードとの間に結合されるスイッチデバイスを含み得る。入力検出器116は、従って、ブロッキングトランジスタがオフにされたことを検出することに応答して、スイッチを活性化し得る。
【0029】
調整されていないブーストバック検出器118が、バス電圧ノード104及び入力電力ノード108に結合される入力を含む。調整されていないブーストバック検出器118は、バス電圧ノード104におけるVBUSが入力電力ノード108における電圧を閾値レベルだけ超えたことに基づいて、障害信号FAULTを生成するように構成される。障害信号は、調整されていないブーストバック状態を検出することに応答して、電力コンバータ110に印加され得る。電力コンバータ110は、障害信号に応答してオフになる(例えば、ICHARGEをバッテリ112に提供しない)ように構成される。また、入力電力ノード108は、障害信号に応答して放電され得る。例えば、入力電力ノード108と電気的接地との間に結合されるスイッチデバイスが、障害信号に応答して活性化され得る。
【0030】
電力コンバータ110は、外部ソース及び/又はセンサ(例えば、温度、電圧、及び電流センサ)によって提供されるコンバータ入力電圧PMID及びCONTROL SIGNALSに基づいて、出力端子における電圧を調整してバッテリ112の過充電を防止するために、チャージ電流ICHARGEをバッテリ112に提供するように構成される。システム100は更に、バス電圧VBUSとコンバータ入力電圧PMIDとの間の差に基づいて、ブロッキングトランジスタ106の制御ノードに制御電圧を印加するように構成される。ブロッキングトランジスタ106は、バス電圧VBUSがコンバータ入力電圧PMIDを閾値だけ超える場合、オフにされ(例えば、カットオフ領域において動作する)、バッテリ112からの逆電力フローを遮断して、それによって、バッテリ112による望ましくない放電を防止する。システム100は更に、電力コンバータ110において制御されていない電圧及び電流を生じさせ得る調整されていないブーストバックを防止するために、電力コンバータ110を遮断するように構成される。
【0031】
システム100は、典型的な電力コンバータに比べて、改善されたブーストバック保護を示す。例えば、ブロッキングトランジスタQBLKを、(出力における回路要素ではなく)電力コンバータの入力において理想ダイオードとして動作させるように構成することによって、システム100は、多くの既存のアプローチに比べ、入力電源をブーストバック電流から一層良好に保護し得る。この保護は、レギュレータが、ブーストバック状態の検出に応答して、ブロッキングトランジスタを迅速にオフにすることによって実装される。また、入力バス電圧ノード104における電圧VBUS及び入力電力ノード108における電圧PMIDは、各々、迅速に放電されて、望ましくないブーストバックの影響の低減を促進し得る。
【0032】
図2は、入力における電圧を変換して出力において出力電圧を提供するように(例えば、順方向電力供給)、並びに、出力から入力への電力変換及び供給を実施するように(例えば、逆方向電力供給)設計される双方向電力コンバータのブロック図を示す。双方向電力コンバータの設計に起因して、望ましくない電力供給はない。双方向電力コンバータは、双方向の電力変換及び供給を提供するように構成される回路要素及び制御回路を含む。そのため、双方向電力コンバータは、一方向電力コンバータより、複雑で高価で大型である。
【0033】
図3は、一方向の電力供給、即ち、入力から出力への電力供給(例えば、順方向電力供給)を提供するように設計された一方向電力コンバータのブロック図を示す。一方向電力コンバータにおいて、出力から入力への如何なる電力供給(例えば、逆方向電力供給)も望ましくない。ブーストバック電流等の望ましくない電力供給は、電力コンバータの入力及び/又は出力における回路要素、又は電力コンバータ自体に損傷を与え得る。
【0034】
図4は、
図3のバッテリチャージャとして実装される一方向電力コンバータの例を図示する。従って、
図4は、入力電力源(例えば、電源)及び出力電力デバイス(例えば、バッテリ)を示す。入力電力源が切断されることに応答する等、出力電力デバイスからの望ましくない電力供給(例えば、逆方向電力供給)の結果、出力電力デバイス(例えば、バッテリ)を消耗させ、また、電力コンバータ回路に損傷を与え得る。一方向電力コンバータの問題に加えて、望ましくない電力供給が存在するとき、出力電力源は完全に充電しない。
【0035】
図5は、コンバータの出力においてダイオードD1を実装することによって、逆方向電力供給(例えば、ブーストバック状態)を低減するように構成される一方向電力コンバータの例を示す。従って、ダイオードは、出力からの負電流を検出及び遮断するように構成される。しかしながら、このようなアプローチは、典型的に、設計複雑性を増し、デバイスコストを増加させ、さらに/或いは、デバイス性能を低下させる。一方向電力コンバータの出力において望ましくない電力供給を監視することは、設計複雑性、デバイスコストを増加させ、性能を低下させる。例えば、
図5に示すように、出力においてダイオードを含むことによって、電力コンバータは、不連続導通モードに入り得る。従って、種々の調整制御ループは、(例えば、パルス周波数変調を実装することによって)この或いはその他の望ましくない状態を補償することが可能でなければならない。付加的な回路要素及びDCMを用いることは、帯域幅を減少させ、並びに、出力におけるリップルを増加させる傾向がある。
【0036】
図6は、
図5にあるように、出力ではなく入力においてダイオードD2を実装することによって、望ましくない逆方向電力供給を低減するように構成される一方向電力コンバータの例のブロック図を図示する。例えば、一方向電力コンバータ600は、ブーストバック状態を遮断するために、入力電圧源VINと一方向電力コンバータとの間に結合されるダイオードD2を含む。入力において、望ましくない電力供給を監視することによって、複雑性及び/又はデバイスコストが低減され得、
図5のアプローチに比べて改善された性能を示し得る。例えば、一方向電力コンバータの入力において監視することによって、システム(例えば、
図1のシステム100)に、入力電源(例えば、
図1の電源102)が除去されたか否かを監視させることができる。また一方向電力コンバータの入力において監視することは、ブーストバック状態が検出された場合に、システムがより迅速に、電力コンバータをオフにすることが可能になる。例えば、出力におけるリップルが低減される。しかしながら、実際には、ダイオードは、電力コンバータの全体的な効率を低下させる電圧降下を示す。
【0037】
図7は、電力コンバータ708を介して逆方向電力供給(例えば、ブーストバック状態)を低減するために、入力においてブロッキングトランジスタQBLKを含む
図6のアプローチに従った一方向電力コンバータシステム700のブロック図の例を示す。システム700は、入力電圧VINPUTをブロッキングトランジスタQBLKの入力ノード(例えば、ソース)715に提供する電源702を含む。電力コンバータ708は、コンバータトポロジに従って、入力電圧VINPUTを対応する出力電圧に変換するように構成される。電力コンバータ708は更に、出力電力ノード716において、チャージ電流ICHARGEを提供する。ブロッキングトランジスタQBLKは、MOSFET、バイポーラ接合トランジスタ、又は他のタイプのトランジスタデバイスとして実装され得る。この例において、チャージポンプ704は、供給電圧VINPUTによって電力供給されて、ブロッキングトランジスタQBLKの制御ノード(例えば、ゲート)を駆動する。ブロッキングトランジスタQBLKの出力ノード(例えば、ドレイン)は、入力電力ノード714において、コンバータ入力電圧PMIDを電力コンバータ708に供給する。電力コンバータ708は、PWM信号を電力段712に提供するように構成されるパルス波変調器(pulse wave modulator)(PWM)コンバータ710を含む。PWM制御信号は、1つ又は複数の調整ループに対するCONTROL SIGNALSに基づく。例えば、調整ループは、システム700の温度、入力電圧VINPUT、電圧出力、入力電流、及び出力電流を監視する。
【0038】
電力段712は、高側駆動信号HSCTRLを高側トランジスタQHSFETに提供し、低側駆動信号LSCTRLを低側トランジスタQLSFETに提供するように構成される。高側駆動信号HSCTRL及び低側制御信号LSCTRLは相補信号であり、その結果、高側制御信号HSCTRLが論理1の値を有するときに、低側駆動信号LSCTRLは論理0の値を有し、高側駆動信号HSCTRLが論理0の値を有するときに、低側駆動信号LSCTRLは論理1の値を有する。充電モードにおいては、高側駆動信号HSCTRLが高電圧(例えば、論理1)を有することに応答して、高側トランジスタQHSFETはオンにされ(例えば、飽和において動作する)、一方、低側駆動信号LSCTRLが低電圧(例えば、論理0)として提供されることに応答して、低側トランジスタQLSFETはオフにされる(例えば、カットオフにおいて動作する)。非充電モードにおいて、高側トランジスタQHSFETは、高側駆動信号HSCTRLが論理0を有することに応答して、オフにされ(例えば、カットオフにおいて動作する)、一方、低側トランジスタQLSFETは、低側制御信号LSCTRLが論理1を有することに応答して、オフにされる(例えば、飽和において動作する)。
【0039】
システム700は、一方向電力コンバータにおいて、逆方向電力供給を防止する。しかしながら、システム700は、ブロッキングトランジスタQBLK両端間の電圧降下に起因して、性能の低下を示す。また、システムは、ブロッキングトランジスタQBLKの受動制御に起因して、ブーストバック状態に迅速に応答できない。代わりに、ブロッキングトランジスタQBLKは、入力電圧VINPUTが除去された後又はチャージポンプによって提供されたゲート電圧より充分下回った後にのみ、オフにされる(例えば、カットオフ領域において動作する)。システム700はまた、CONTROL SIGNALSを電力コンバータ710に提供する調整ループの動作に対して敏感である傾向がある。
【0040】
図8は、ブーストバック状態を低減するように構成される電力コンバータシステム800の例を示す。
図8の例において、システムは、例えば
図1のシステム100に対応する等、出力に接続されたバッテリ802を充電するためのものとして示される。システム800は、
図7のシステム700に存在する問題に対処する。システム800は、幾つかの例において、ICチップとして、又は関連する回路要素を備えた回路ボード上に搭載される複数のICチップとして実装される。一例として、システム800は、スマートフォン、ノートブック、又はラップトップコンピュータ等の携帯型電子デバイス上に実装される。
【0041】
システム800は、電圧ノード(例えば、電圧レール又はバス)808に電力を供給するように構成される電源804(例えば、
図1の電源102)を含む。従って、電源804は、入力電圧VINPUTをノード808に供給する。ノード808は、システム800に関して示されたものを含めて、種々の回路要素に電力を供給し得る入力電圧レールを表す。幾つかの例において、バッテリ802は、外部回路806に電力を提供するように構成される。
【0042】
ノード808は、ブロッキングトランジスタQBLK(例えば、
図1のブロッキングトランジスタ106に対応する)の端子に結合される。ブロッキングトランジスタQBLKは、MOSFET、バイポーラ接合トランジスタ、又はその他のトランジスタデバイスとして実装され得る。
図8の例において、ブロッキングトランジスタQBLKは、NMOSであり、ノード808は、ブロッキングトランジスタQBLKのソース(例えば、入力ノード)に結合される。ブロッキングトランジスタQBLKのドレイン(例えば、出力ノード)は、電力コンバータ812の入力ノード810に結合され、ノード810における電圧は、コンバータ入力電圧(PMID)と呼ばれる。
【0043】
一例において、レギュレータ820は、PMIDノード810に結合される反転入力を有する増幅器821(例えば、オペアンプ)を含む。電圧源は、ノード808と増幅器821の非反転入力との間に結合される。電圧源は、ブロッキングトランジスタQBLK両端間の電圧降下を調整するために用いられる基準電圧(VREF)を提供するように構成される。一例として、基準電圧VREFは、低電圧に設定される(例えば、基準電圧は約20mV又は4mV等、100mV未満であり得る)。増幅器821の出力がブロッキングトランジスタのゲートに結合され、本明細書に記載されるように、調整及び遮断モードを含む動作を制御する。このように、ブロッキングトランジスタQBLK両端間の降下を調整することに加えて、レギュレータ820はまた、電圧PMIDが第2のノードにおける電圧VINPUTを(例えば、少なくとも閾値だけ)超えたことに応答して、ブロッキングトランジスタQBLKをオフにして、出力端子から第2のノードへ流れるブーストバック電流を遮断するように構成される。
【0044】
更なる例として、チャージポンプ823もまた、ブロッキングトランジスタQBLKの制御ノード(例えば、ゲート)に結合される。チャージポンプ823は、調整の間、並びに遮断するためにオフにされているときを含め、その動作を促進するために、ブロッキングトランジスタQBLKを駆動するように構成される。従って、電圧レギュレータ820及びチャージポンプ823は、ブロッキングトランジスタQBLKの動作を連係及び制御して、その両端間の電圧降下が基準電圧によって決定されるように非常に小さく、電流(例えば、PMIDからVINPUTへ)をオフにし遮断する動作が高速である、理想ダイオードとして動作させるように、構成される。例えば、上述のように、電圧降下は、100mV未満(例えば、約20mV又は4mV又はそれ以下)の電圧等、典型的なダイオードの降下よりはるかに小さい電圧に調整され得る。
【0045】
電力コンバータ812(例えば、
図1の電力コンバータ110に対応する)は、出力電力ノード818において、チャージ電流ICHARGE及び出力電圧VBATを提供するように構成され、それらは、充電モードの間にバッテリ802を充電するように印加され得る。例えば、電力コンバータは、強制連続導通モードにおいて動作するように構成された降圧型電力コンバータとして実装される。
【0046】
一例として、電力コンバータ812は、1つ又は複数のCONTROL SIGNALSに応答して、PWM信号を電力段816に提供するように構成されるパルス幅変調(PWM)生成器814を含む。電力段816は、PWM信号に基づいて、高側制御信号HSCTRLを高側トランジスタQHSFETに適用し、低側制御信号LSCTRLを低側トランジスタQLSFETに適用するように構成される。電力段816は、高側制御信号HSCTRL及び制御信号LSCTRLを相補駆動信号として提供し得、その結果、一方の制御信号が論理1をアサートするときに、他方の制御信号が論理0をアサートする。CONTROL SIGNALSは、それぞれの調整ループに対応する等、PWM生成器814に入力される外部ソース及び/又はセンサから提供され得る。例えば、CONTROL SIGNALSは、バッテリチャージャの温度、バッテリ802の温度、バッテリ802の充電状態を含む。バッテリ802の充電状態は、バッテリ802の入力及び/又は出力電流及び電圧に基づく。幾つかの例において、電力コンバータ812は、バッテリ802が完全に充電されている場合は、過充電を防止するために非充電モードで動作する。他の例において、電力コンバータ812は、システム800及び/又はバッテリ802が温度閾値を超えたことを検出することに応答して、非充電モードで動作する。更に別の例において、電力段816は、ブーストバック検出器826から障害信号を受信することに応答して、非充電モードで動作するように構成される。
【0047】
更なる例として、電力段は、高側制御信号HSCTRLを高側トランジスタQHSFETの制御ノード(例えば、ゲート)に適用し、低側制御信号LSCTRLを低側トランジスタQLSFETの制御ノード(例えば、ゲート)に適用する。高側トランジスタQHSFET及び低側トランジスタQLSFETは、MOSFET又はバイポーラ接合トランジスタとして実装され得る。
図8の例において、NMOSデバイスが用いられている。高側トランジスタQHSFETの入力ノード(例えば、ドレイン)が、入力電力ノード810に結合され、高側トランジスタQHSFETの出力ノード(例えば、ソース)が、出力電力ノード818に結合される。低側トランジスタQLSFETの入力ノード(例えば、ドレイン)が、出力電力ノード818に結合され、低側トランジスタQLSFETの出力ノード(例えば、ソース)が、ニュートラルノード(例えば、電気的接地)に結合される。QHSFET及びQLSFETの各々は、対応する制御信号が論理1のときにオンになり、対応する制御信号が論理0のときにオフになるように構成される。電力段816は、PWM生成器814、812に適用されたCONTROL SIGNALSに基づいて、高側制御信号HSCTRL及び低側制御信号LSCTRLを適用するように構成される。
【0048】
電力コンバータ812は、高側トランジスタQHSFETがオンにされ、低側トランジスタQLSFETがオフにされるときに、充電モードで動作するよう構成され、その結果、チャージ電流ICHARGEが、バッテリ802に適用され、対応するバッテリ電圧VBATを提供する。電力コンバータ812は、更に、高側トランジスタQHSFETがオフにされ、低側トランジスタQLSFETがオンにされるか又は三極管領域において動作するときに、非充電又は放電モードで動作するように構成され得る。放電モードでは、出力電力ノード818におけるチャージ電流ICHARGE及び出力電圧VBATは、低側トランジスタQLSFETの出力ノードに結合されたニュートラルノードに放電され得る。
【0049】
レギュレータはまた、レギュレータ出力電圧VCRを入力検出器824(例えば、
図1の入力検出器116に対応する)に提供するように構成される。入力検出器824は、電圧VBUSに対応する制御ノード822及びノード808に結合された入力を有する。入力検出器824は、VBUS及び制御ノード822における電圧に基づいて、ブロッキングトランジスタがオフにされたことを検出することに応答して、ノード808から電流をシンクするように構成される。
【0050】
一例として、入力検出器824は、ノード808とニュートラルノード(例えば、電気的接地)との間に結合されるスイッチデバイスQIDを含み、例えば、放電の間、電流を放散するために抵抗器と直列に接続され得る。スイッチデバイスは、MOSFET(例えば、NMOS又はPMOS)又はバイポーラ接合トランジスタ等の、トランジスタデバイスとして実装され得る。比較器825が、ブロッキングトランジスタQBLKの制御ノード822に結合された第1の入力と、スイッチデバイスQIDの制御入力(例えば、ゲート)に結合された出力とを有する。電圧源VTHが、ノード808(例えば、QIDのドレイン)と比較器の第2の入力との間に結合される。電圧源VTHは、比較器の第2の入力において閾値電圧を印加するように構成される。比較器は、ノード808における電圧を、制御ノード822における電圧VCRに対して比較することに基づいて、スイッチデバイスQIDを制御するように構成される。例えば、比較器825は、ブロッキングトランジスタQBLKの制御ノード822における電圧VCRが第2のノードにおける電圧より少なくとも閾値電圧VTHだけ下回ることに応答して、スイッチデバイスQIDを活性化し(例えば、オンにする)、VBUSノード808を放電するように構成される。これは、電源804がVBUSノード808から切断されるときを含むブーストバック状態の間に起こり得る。電源804は、スイッチSWを開にすることによって、又はその他(例えば、プラグをACアウトレットから除去すること)によって切断され得る。
【0051】
ブーストバック検出器826(例えば、
図1の調整されていないブーストバック検出器118に対応する)は、電圧PMID及び電圧VBUSに基づいて、調整されていないブーストバック状態を示す障害信号を生成するように構成される。ブーストバック検出器826は、電圧PMIDを受け取るためにPMIDノード810に、及び電圧VBUSを受け取るためにノード808に結合された入力を有する。ブーストバック検出器826は、PMIDノード810における電圧が、VBUSノード808における電圧を、障害閾値(VFAULT)だけ超えたことに応答して、電力コンバータをオフにする障害信号を提供するように構成される。
【0052】
図8の例において、ブーストバック検出器826は、電圧PMIDに対応するノードに結合される第1の入力(例えば、非反転入力)を有する比較器827を含む。比較器827の出力が、ブーストバック検出器電圧VBDを、スイッチデバイスQBDの制御入力に、及び電力コンバータ812の障害入力に提供するように結合される。ノード828におけるブーストバック検出器電圧VBDも、障害信号に対応する。スイッチデバイスQBDは、PMIDノード810とニュートラルノード(例えば、電気的接地)との間に結合される。例えば、スイッチデバイスQBDは、MOSFET(例えば、NMOS又はPMOS)、バイポーラ接合トランジスタ、又は他のタイプのトランジスタデバイス等のトランジスタデバイスである。
図8の例において、電圧源が、VBUSノード808と比較器827の第2の入力(例えば、反転入力)との間に結合される。電圧源は、第2の入力において障害閾値電圧を印加して、ノード828においてブーストバック検出器電圧VBDを提供し、電圧VBUS及びPMIDを障害閾値電圧と比較することに基づいて、スイッチデバイスQBDを制御するように構成される。ブーストバック検出器電圧は、トランジスタデバイスQBDの制御ノード(例えば、ゲート)に印加される。例えば、比較器827は、PMIDノード810における電圧が、VBUSノード808における電圧を、少なくとも障害閾値電圧だけ超えたことに応答して、ノード828において障害信号を提供し、スイッチデバイスQBDを活性化し、第1のノードを放電するように構成される。
【0053】
更なる例として、スイッチデバイスQBDは、VBUSノード808に結合されるドレインと、ニュートラルノード(例えば、電気的接地)に結合されるソースとを有するNMOSである。比較器827の出力は、QBDのゲートに結合される。ブーストバック検出器826は、808におけるバス電圧VBUSが、810におけるPMID電圧を少なくとも障害閾値電圧VFAULTだけ超えたことに応答して、ブーストバック検出器電圧VBD(例えば、FAULT信号)をトランジスタQBDのゲートに印加することによって、トランジスタQBDをオンにするように構成される。トランジスタQBDをオンにすることに応答して、入力電力ノード810における808PMIDにおけるPMID電圧は、ニュートラルノード(例えば、電気的接地)に放電される。ブーストバック検出器電圧VBDはまた、FAULT信号として電力コンバータ812の電力段816に印加される。FAULT信号は、検出されたブーストバック状態の間、電力コンバータ812の電力段816をオフ状態(例えば、ICHARGEをバッテリ802に提供しない)にするように動作可能である。
【0054】
上記を考慮して、
図8のシステム800は、
図7のシステム700等の幾つかの電力システムの問題を克服するように構成される。特に、システム800は、ブロッキングトランジスタQBLKに対して強化された制御(例えば、レギュレータ820によって)を実装することによって、改善されたブーストバック保護を提供する。例えば、レギュレータ820は、ブロッキングトランジスタQBLKを制御して、電力コンバータ812の入力において、電圧降下が非常に低く(例えば、4mV等、100mV未満)、ブーストバック発生時に高速にオフにすることができる理想ダイオードとして動作させる。また、本明細書に開示されるように、システム800は、バス電圧VBUSが(例えば、入力検出器824を介して)放電され、コンバータ入力電圧PMIDが(例えば、ブーストバック検出器826を介して)放電されることを可能にする。更に、システム800はまた、コンバータ入力電圧PMIDがバス電圧VBUSを閾値電圧だけ超えたことに応答して、電力コンバータ812の電力段816に(例えば、ブーストバック検出器826によって)FAULT信号を生成する。
【0055】
図9及び
図10に示すように、システム800は、入力電圧VINPUTが除去されると、チャージ電流ICHARGEの安定性の増加(例えば、リップルの減少)、及び、コンバータ入力電圧PMIDの低下を示す。
図9は、
図8のシステム800等の電力コンバータシステムの過渡解析を示す。特に、
図9は、電力が出力(例えば、
図8のバッテリ802)に供給されている間に、電源(例えば、
図8の電源804)が一方向電力コンバータから切断されたときの例に対して、システム800からの種々の波形を時間の関数として図示するグラフ900を示す。例えば、スイッチSWを開にすること又はACアウトレットからアダプタが抜けていることに応答して、電源は切断され得る。
【0056】
図9は、時間t1における入力電圧VINPUTの除去を示す。電力コンバータシステムが電力を出力に提供し続けると、コンバータ入力電圧PMID及びバス電圧VBUSは(例えば、約4.2Vから約-0.2Vに)低下する。チャージ電流ICHARGEは、時間t1と時間t2との間で増減し、出力からの逆方向電力供給(例えば、ブーストバック状態に対応する)を示す。逆方向電力供給に応答して、システムは、時間t2において開始するコンバータ入力電圧PMIDの調整を開始し、VDPMが(例えば、約-0.1Vから約1.pVに)増加する。時間t2は、ICHARGEの減少によって示されるように、ニュートラルノード(例えば、接地)に放電され始める
図8の出力電力ノード818における電力を示す。従って、時間t4までに、チャージ電流ICHARGE及びコンバータ入力電圧PMIDは完全に放電される。また、従って、コンバータ入力電圧PMIDは、時間t1から時間t2まで減少し、最終的に、時間t3において安定化する(例えば、約4Vまで)。時間t5において、
図8のブロッキングトランジスタQBLKは、QBLKのVGSに基づいて、レギュレータ820によってオフにされる。時間t5において、入力検出器824のトランジスタQIDはまたオンにされ、その結果、ノード808における電圧VBUSが、抵抗器を介してニュートラルノード(例えば、接地)に放電される。QBLKのVGSが低にプルされることに応答して、比較器821は高に向かう(902において示されている)。時間t6において、
図8の電力段816は、(例えば、ブーストバック検出器826によって提供されたFAULT信号に応答して)オフにされ、電力を出力に提供するのを停止する。従って、時間t6において、比較器821の出力822は、VDPM、及び818における電力段の出力と同様に低に向かう。図示された例において、時間t1から時間t6の間の時間は、約0.34msである。
【0057】
図10は、本明細書に開示されるように、ブーストバック保護を実装しない例示のシステム(例えば、
図7のシステム700)において入力電源が除去されたときの、典型的な電力コンバータシステムに対する波形の例を示すグラフ1000である。
図10において、バッテリ電圧VBATは、調整されていないブーストバックに応答して時間t1において増加し、バッテリ調整電圧を超える。チャージ電流ICHARGEは、時間t1と時間t2の間で減少する。時間t2において、チャージ電流ICHARGEの振動が増加し始め、約2Aの電流スイングが存在する時間t5まで増加し、そこで、電力コンバータシステムがオフにされる。時間t2において、システムがバッテリを充電しようとすると、コンバータ入力電圧PMIDも増加し始める。電位差VBUS-PMIDも、時間t1から減少し、時間t4においてPMIDがVBUSを上回って増加するまで、減少する。ブロッキングトランジスタ(例えば、
図5又は
図7のブロッキングトランジスタQBLK)は、1002において示されるように、QBLKのVGSが低くなることに応答して、時間t3においてオフにされる。しかしながら、
図10の例において(
図9とは対照的に)、チャージ電流ICHARGEは、ブロッキングトランジスタがオフにされた後でも、振動し続ける。それは、電力コンバータシステムがオフにされると(時間t6)、コンバータ入力電圧PMIDが、約4V(時間t2)から約8.4Vに増加することに起因する。電力コンバータシステムがオフにされると、コンバータ入力電圧PMIDは、電力コンバータシステムに残る。時間t5において、障害信号FAULTが適用されて電力段をオフにして、電力コンバータシステムが電力コンバータシステムの出力を充電しようとするのを停止させる。
図10に図示される電力コンバータシステムは、オフになるのに約0.2msかかる。バッテリ調整電圧を超えること、チャージ電流ICHARGEの振動、及びコンバータ入力電圧PMIDにおける制御されていない増加は、電力コンバータシステム及び/又はバッテリにおいて過熱及び過剰な電圧による損傷を引き起こす。
【0058】
比較すると、
図9に示されている電力コンバータシステムの動作は、
図10に示される典型的な電力コンバータシステムに比べて、最小の振幅振動を有するチャージ電流ICHARGE及び電力段出力を提供する。
図9に示される波形はまた、入力電圧VINPUTが除去されると、
図10に示されるアプローチにあるように、電力段がオフにされる(例えば、変換しない)まで増加し電圧を維持するわけではなく、コンバータ入力電圧PMIDが放電していることを示す。従って、本明細書に開示されるように、
図1及び
図8のシステムは、このように、典型的なシステムに比べ、改善された性能を示す。
【0059】
図11は、電力コンバータ(例えば、一方向バック電力コンバータ)を保護するための、例示の方法1100を示すフローチャートである。方法1100は、
図8のシステム800に関して説明され、付加的なコンテキストについては、
図8に戻って参照され得る。
【0060】
ステップ1102において、この方法は、バッテリ(例えば、バッテリ802)に結合するように適合された出力端子(例えば、ノード818に対応する)へのチャージ電流(例えば、ICHARGE)を、第1のノード(例えば、PMIDノード810)における電圧及び制御信号に基づいて、制御することを含む。例えば、PWMコンバータ814及び電力段816は、チャージ電流ICHARGEを提供するために、QHSFET及びQLSFETを制御する。ステップ1104において、ブロッキングトランジスタ(例えば、QBLK)両端間の電圧が調整される。ブロッキングトランジスタQBLKは、第2のノード(例えば、VBUSノード808)と第1のノード(例えば、PMIDノード810)との間に結合される。例えば、レギュレータ820は、電圧VBUS及びPMIDに基づいて、QBLK両端間の電圧電位を調整するように構成される。従って、QBLK両端間の電圧調整(例えば、レギュレータ820による)は、VBUSノード808における電圧に基づいて、PMIDノード810における電圧を設定するように動作可能である。ステップ1106において、第1のノード及び第2のノードにおける電圧が検出され、第1のノードにおける電圧が第2のノードにおける電圧を閾値だけ超えるか否かの判定が行われる。例えば、レギュレータは、VBUSノード808及びPMIDノード810における電圧を閾値VREFに対して比較するように構成される。ステップ1108において、第1のノードにおける電圧が、第2のノードにおける電圧を閾値だけ超えたことを検出することに応答して、ブロッキングトランジスタはオフにされる。例えば、レギュレータ820は、PMIDノード810における電圧がVBUSノード808における電圧を超えると、ブロッキングトランジスタQBLKをオフにするように構成される。また、ステップ1108において、第2のノードが放電される。例えば、入力検出器824は、QBLKのゲートにおける電圧及びVBUSノードにおける電圧(例えば、ゲート・ソース間電圧)に基づいて、ノード808における電圧VBUSを放電するように構成される。ステップ1106における判定が、ブーストバック状態が存在しないことを示す負である場合、この方法は、ステップ1102に戻り、1102及び1104におけるアクションを繰り返す。
【0061】
幾つかの例において、方法1100は、第2のノードにおける電圧に対する第1のノードにおける電圧に基づいて、ブロッキングトランジスタQBLKの調整されていないブーストバック状態を検出することに応答して、(例えば、ブーストバック検出器826によって)障害信号を生成することを更に含み得る。例えば、ブーストバック検出器826は、VBUSノード808及びPMIDノード810における電圧を、閾値VFAULTに対して比較し、調整されていないブーストバック状態を検出することに応答してFAULT信号を提供するように構成される。例えば、調整されていないブーストバック状態は、本明細書に開示されるように、電圧(PMID)がバス電圧VBUSを少なくとも障害閾値(VFAULT)だけ超えるときに、ブーストバック検出器826によって検出され得る。障害信号を生成することに応答して、チャージ電流は、(例えば、電力コンバータの電力段をオフにすることによって)ディスエーブルされ得、及び/又は第1のノードは、(例えば、ブーストバック検出器826のスイッチを有効化することによって)放電され得る。
【0062】
別の例として、ブロッキングトランジスタQBLKは、MOSFETデバイス(例えば、NMOS)として実装される。従って、ブロッキングトランジスタQBLK両端間の電圧調整は、基準電圧(例えば、電圧VREF)に基づいて、ブロッキングトランジスタ両端間のドレイン・ソース間電圧を調整することを含み得、その結果、ブロッキングトランジスタが、VBUSノード808における電圧とPMIDノード810における電圧とに基づいて、理想ダイオードとして動作するように構成される。
【0063】
本明細書において、用語「基づいて」は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。特許請求の範囲内で、説明した実施形態における変更が可能であり、他の実施形態が可能である。