(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】高周波検出方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3581 20140101AFI20250304BHJP
H01Q 13/02 20060101ALI20250304BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20250304BHJP
H01Q 21/30 20060101ALI20250304BHJP
H01P 1/165 20060101ALI20250304BHJP
H01P 5/12 20060101ALI20250304BHJP
H01Q 15/22 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
G01N21/3581
H01Q13/02
H01Q21/06
H01Q21/30
H01P1/165
H01P5/12 E
H01Q15/22
(21)【出願番号】P 2022523154
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 IB2020059775
(87)【国際公開番号】W WO2021074888
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-10-06
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522155095
【氏名又は名称】スルービジョン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マン,クリストファー マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヘイル,シュテファン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,レスリー オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ハワース,シュテファン ポール
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-060841(JP,A)
【文献】特開2015-194359(JP,A)
【文献】特表2009-534976(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0249292(US,A1)
【文献】特表2009-534975(JP,A)
【文献】カナダ国特許出願公開第02975687(CA,A1)
【文献】特開平08-204445(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0342841(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-21/01
G01N21/17-21/61
H01Q 3/00- 3/46
H01Q13/00-25/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出システム(300)であって、
第1の検出器ブロック(308、310、312、400)と、
局部発振器(LO)ソース(326)と、
1つ以上の中間周波数(IF)処理回路(320、321、322、460)と、を含み、
前記第1の検出器ブロックは、
1つ以上のヘテロダインミキサー素子(314)と、
前記LOソースからのLO信号を前記1つ以上のヘテロダインミキサー素子に提供するように構成された1つ以上のLO入力導波路チャネル(202、404)と、
検出された無線周波数(RF)信号を前記1つ以上のヘテロダインミキサー素子に提供するように構成された1つ以上の導波路フィードホーン(116、402)と、
前記1つ以上のヘテロダインミキサー素子からのIF信号を前記1つ以上のIF処理回路に提供するように構成された1つ以上のIF出力チャネル(208、406)と、を含み、
前記1つ以上の導波路フィードホーンおよび前記1つ以上のLO入力導波路チャネルは前記第1の検出器ブロックの第1の軸に沿って伸長し、前記1つ以上のIF出力チャネルは前記第1の検出器ブロックの第2の軸に沿って伸長し、前記第1の軸と前記第2の軸とは垂直であり
前記1つ以上の導波路フィードホーンは、前記第1の検出器ブロックの第1面に露出され、
前記1つ以上のLO入力導波路チャネルの入力は、前記第1の検出器ブロックの第2面に露出され、
前記第2面は、前記第1の検出器ブロックの前記第1面の反対側である、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記第1の検出器ブロックは、複数の前記ヘテロダインミキサー素子と、前記第1の検出器ブロックの表面上のアレイに構成された複数の前記導波路フィードホーンと、複数の前記IF処理回路と、を含み、
前記複数のIF処理回路は積み重ねられた構成で配置される、システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシステムであって、
前記第1の検出器ブロックに隣接する第2の検出器ブロック(450)をさらに含み、前記第2の検出器ブロックは、第2の複数のヘテロダインミキサー素子と、前記第2の検出器ブロックの表面上のアレイに構成された第2の複数の導波路フィードホーンと、を含む、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、
第2の複数のIF処理回路をさらに含み、前記第2の複数のIF処理回路も積み重ねられた構成で配置される、システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載のシステムであって、
前記第1の検出器ブロックの前記複数の導波路フィードホーンは第1の周波数に対してサイズが定められ、前記第2の検出器ブロックの前記第2の複数の導波路フィードホーンは第2の異なる周波数に対してサイズが定められる、システム。
【請求項6】
請求項3~5のいずれかに記載のシステムであって、
前記第1および前記第2の検出器ブロックの少なくとも一方は偏光回転素子を含む、システム。
【請求項7】
請求項3~6のいずれかに記載のシステムであって、
前記LOソースは不均等電力スプリッタによって前記第1または前記第2の検出器ブロックに結合される、システム。
【請求項8】
請求項3~7のいずれかに記載のシステムであって、
前記第1および前記第2の検出器ブロックに対して放射線を通過または反射させるように配置された偏光プレートをさらに含む、システム。
【請求項9】
請求項3~8のいずれかに記載のシステムであって、
第3の検出器ブロックと、第4の検出器ブロックとを含み、
前記第3及び第4の検出器ブロックは、前記第1及び第2の検出器ブロックの上に積み重ねられ、
前記第3及び第4の検出器ブロックは、1つ以上のスタッキングノッチを用いて前記第1及び第2の検出器ブロックの上に取り付けられる、
システム。
【請求項10】
請求項3~9のいずれかに記載のシステムであって、
前記第1および前記第2の検出器ブロッ
クの少なくとも一つには、1つ以上の角度が付けられたスタッキングノッチが設けられている、
システム。
【請求項11】
請求項3~10のいずれかに記載のシステムであって、
前記第1の検出器ブロックの前記複数の導波路フィードホーンは、第1の中央周波数を有する放射線に対してサイズが定められ、前記第2の検出器ブロックの前記複数の導波路フィードホーンは、第2の中央周波数を有する放射線に対してサイズが定められ、
前記第1の中央周波数は250GHzであり、前記第2の中央周波数は375GHzである、システム。
【請求項12】
請求項3~9のいずれかに記載のシステムであって、
前記第1および前記第2の検出器ブロックの前記複数の導波路フィードホーンは、同じ中央周波数を有する放射線に対してサイズが定められる、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記中央周波数は125GHzまたは250GHzである、システム。
【請求項14】
請求項3~13のいずれかに記載のシステムであって、
前記IF処理回路の少なくとも1つは、前記第1または前記第2の検出器ブロックの2つのRFフィードホーンの間に位置する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は高周波電子システムに関し、特に検出システムならびにそれを製造および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波システムを用いて、オブジェクトまたはシーンから受信した放射線を検出した後に、検出された放射線を処理することによって画像を生成できる。アクティブおよびパッシブイメージングシステムの両方が存在する。アクティブイメージングでは、放射線源(例えば、テラヘルツ源)を用いてオブジェクトまたは視野を照らし、検出のための放射線を提供できる。パッシブイメージングでは照明源が存在しない。代わりに、このシステムはオブジェクトまたはシーン自体から放射された放射線を受信する。検出される放射線は単一の周波数(例えば、単一の周波数付近を中心とする帯域)であってもよいし、場合によっては複数の周波数(例えば、複数の別個の帯域または重複する帯域)であり得る。
【0003】
特許文献1に多周波イメージングの方法および装置が提供されており、これは同じ期間にわたって異なる周波数の放射線を受信するように適合された少なくとも1つのテラヘルツ受信機と、画像プロセッサと、合成画像生成器とを有するイメージングシステムを記載している。画像プロセッサは、それぞれの周波数の各々における視野に関する画像データを提供し、合成画像生成器は画像プロセッサが提供した画像データの少なくとも一部から共通範囲に関する合成画像データを生成する。
【0004】
加えて、放射線を1つ以上の検出器アレイに向けて方向付けるために、たとえば走査ミラーまたはリフレクタなどを用いて視野を走査できる。英国特許出願の特許文献2に記載されるとおり、テラヘルツ検出装置は、1つ以上の検出器と、視野を走査するための走査機構とを含んでもよく、この走査機構は、(i)目的のオブジェクトの位置を決定するための検出システムと、(ii)検出システムの出力に少なくとも部分的に基づく制御信号を受信し、かつ走査機構のステアリングに用いるためのステアリング信号を送信することのできるステアリング機構とを含む。
【0005】
しかし、任意の必要な空間的アライメントの要件を維持しながら、効率的かつスケーラブルな配置において最適化されたイメージングを提供するために、ソースまたはシーンから入手可能な放射線を完全に利用できる改善された検出システムおよび方法がなおも要求されている。加えて、効果的に機械加工できるレイアウトおよびコンポーネントを有するシステムがなおも要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2013/117920号
【文献】英国特許出願公開第2519233号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によると、第1の検出器アレイと、第2の検出器アレイと、第1および第2の検出器アレイの間に置かれた、たとえば偏光プレートなどの偏光素子とを含む検出システムが提供される。偏光プレートは、第1の偏光を有する第1の放射線信号を第1の検出器アレイの方に通過させ、かつ第2の偏光を有する第2の放射線信号を第2の検出器アレイの方に反射するように配置される。いくつかの実施形態では、偏光プレートは第1および第2の検出器アレイに対して45度の角度のワイヤグリッドを含み、第1の偏光は鉛直偏光であり、第2の偏光は水平偏光である。
【0008】
いくつかの実施形態によると、第1の電子デバイスと、第2の電子デバイスと、電源と、不均等電力スプリッタとを含むシステムが提供される。特定の態様において、電源は導波路を介して不均等電力スプリッタの入力に結合されており、不均等電力スプリッタに電力信号(例えば、局部発振器信号)を送る。加えて、不均等電力スプリッタの第1の出力は導波路を介して第1の電子デバイスに結合され、不均等電力スプリッタの第2の出力は導波路を介して第2の電子デバイスに結合される。いくつかの実施形態において、不均等電力スプリッタは、第1の出力を通じて電力信号の第1の部分を提供し、第2の出力を通じて電力信号の第2の部分を提供するように構成され、ここで第1の部分は第2の部分より大きい。この不均等な電力信号は、異なるレベルの効率を有する1つ以上の周波数乗算器を駆動するために用いられてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態によると、検出システムが提供される。この検出システムは、たとえば第1の検出器ブロックと、局部発振器(LO:local oscillator)ソースと、1つ以上の中間周波数(IF:intermediate frequency)処理回路とを含む。いくつかの実施形態において、第1の検出器ブロックは、1つ以上のヘテロダインミキサー素子と、LOソースからのLO信号を1つ以上のヘテロダインミキサー素子に提供するように構成された1つ以上のLO入力導波路チャネルと、検出された無線周波数(RF:radio frequency)信号を1つ以上のヘテロダインミキサー素子に提供するように構成された1つ以上の導波路フィードホーンと、1つ以上のヘテロダインミキサー素子からのIF信号を1つ以上のIF処理回路に提供するように構成された1つ以上のIF出力チャネルと、を含む。1つ以上の導波路フィードホーンおよび1つ以上のLO入力導波路チャネルは第1の検出器ブロックの第1の軸に沿って伸長し、1つ以上のIF出力チャネルは第1の検出器ブロックの第2の軸に沿って伸長し、この第1の軸と第2の軸とは垂直である。実施形態によると、入力チャネルと出力チャネルとは直交面にある。いくつかの例においては垂直と記載されるが、いくつかの実施形態は、導波路フィードホーンおよびLO入力の少なくとも一方とは異なる非直交面にあるIF出力チャネルを含んでもよい。
【0010】
実施形態によると、第1の検出器アレイブロックと、第1の検出器アレイブロックの上に積み重ねられた第2の検出器アレイブロックと、を含む検出システムが提供される。この例において、第1および第2の検出器ブロックアレイの各々は、第1の軸に沿って伸長する少なくとも1つの信号入力と、第1の軸に沿って伸長する少なくとも1つの電力入力と、第2の軸に沿って伸長する少なくとも1つの信号出力と、を含み、この第1の軸と第2の軸とは垂直である。特定の態様において、第1および第2の検出器ブロックアレイの各々は、1つ以上のスタッキングノッチを含む。加えて、第1および第2の検出器ブロックアレイは、同一のモジュラーユニットであってもよい。加えて、第1および第2の検出器アレイブロックの各々に対する1つ以上の信号入力は、少なくとも2行のフィードホーンと、少なくとも2列のフィードホーンと、を含んでもよい(例えば、2x2または2x4アレイ)。
【0011】
実施形態によると、スケーラブルなイメージングシステムのための検出モジュールが提供される。このモジュールは、第1の軸に沿って伸長する1つ以上の信号入力と、第1の軸に沿って伸長する1つ以上の電力入力と、第2の軸に沿って伸長する1つ以上の信号出力と、第1のスタッキングノッチと、を含んでもよく、この第1の軸と第2の軸とは垂直である。特定の態様において、信号入力は1つ以上の無線周波数フィードホーンを含み、電力入力は1つ以上の局部発振器チャネルを含み、信号出力は1つ以上の中間周波数出力チャネルを含む。実施形態によると、フィードホーンおよび発振器チャネルは第1の平面にあるのに対し、IFチャネルは第2の直交面にある。モジュールは第2のスタッキングノッチをさらに含んでもよく、両方のノッチは角度を付けられてもよい。いくつかの実施形態において、モジュールは第1の側部と、第2の側部と、第3の側部と、第4の側部と、第5の側部と、第6の側部と、を含むブロックであり、ここで第1および第2の側部は検出モジュールの反対側であり、第3および第4の側部は検出モジュールの反対側であり、第5および第6の側部は検出モジュールの反対側である。加えて、いくつかの実施形態において、1つ以上の信号入力は第1の側部に位置し、1つ以上の電力入力は第2の側部に位置し、1つ以上の信号出力は第3または第4の側部に位置し、第1のスタッキングノッチは第5の側部に位置し、第2のスタッキングノッチは第6の側部に位置する。
【0012】
実施形態によると、検出方法が提供される。この方法は、カメラの第1の検出器ブロックにおいて第1の偏光を有する第1の放射線信号を受信するステップであって、第1の放射線信号は放射線源から偏光プレートを通じて受信される、受信するステップと、カメラの第2の検出器ブロックにおいて第2の偏光を有する第2の放射線信号を受信するステップであって、第2の放射線信号は偏光プレートからの反射信号として放射線源から受信される、受信するステップと、第1の検出情報を形成するために第1の放射線信号を処理するステップと、第2の検出情報を形成するために第2の放射線信号を処理するステップと、を含んでもよい。いくつかの実施形態において、この方法は、処理するステップの前に、第1および第2の受信放射線信号の少なくとも一方を偏光回転素子に通過させるステップを含む。
【0013】
いくつかの実施形態によると、検出器ブロックを製造する方法が提供される。この方法は、第1の無線周波数(RF)チャネル部分と、第1の局部発振器(LO)チャネル部分と、第1の中間周波数(IF)チャネル部分と、偏光回転部分と、第1のミキサー装着キャビティと、を含む第1のハウジングコンポーネントを機械加工するステップと、第2の無線周波数(RF)チャネル部分と、第2の局部発振器(LO)チャネル部分と、第2の中間周波数(IF)チャネル部分と、偏光回転部分と、第2のミキサー装着キャビティと、を含む第2のハウジングコンポーネントを機械加工するステップとを含んでもよい。付加的なステップは、第1および第2の装着キャビティの少なくとも一方の中にヘテロダインミキサーを装着するステップと、第1の検出器ブロックを形成するために第1のハウジングコンポーネントを第2のハウジングコンポーネントに取り付けるステップと、を含んでもよい。加えて、いくつかの場合には、第1のRFチャネル部分および第1のLOチャネル部分は第1のハウジングコンポーネントの第1の軸に沿って機械加工され、第1のIFチャネル部分は第1のハウジングの第2の垂直軸に沿って機械加工され、第2のRFチャネル部分および第2のLOチャネル部分は第2のハウジングコンポーネントの第1の軸に沿って機械加工され、第2のIFチャネル部分は第2のハウジングの第2の垂直軸に沿って機械加工される。第2の検出器ブロックを第1の検出器ブロックに取り付けることによって、統合アレイを形成できる。
【0014】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成する添付の図面は、さまざまな実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態によるシステムを示す概略図である。
【
図5】
図5A-
図5Cは、いくつかの実施形態による回転および分割コンポーネントを示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態による画像形成を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態による画像形成を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態による画像形成を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態による画像形成を示す図である。
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態によるプロセスを示す流れ図である。
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態によるプロセスを示す流れ図である。
【
図12】
図12A-
図12Cは、いくつかの実施形態による検出器ブロックおよびアセンブリプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
セキュリティ部門において、人々が有する脅威の検出および識別は重要な関心領域である。特に、脅威が拡大する前にそれを解消できるように、かなりの距離、屋外環境、およびリアルタイムにて検出を達成できるシステムがなおも必要とされている。しかし、特にパッシブシステムにとって、こうした検出および識別は、屋外の天候、大気、地理、および季節による条件の変化に対処する能力を必要とすることがある。この開示の態様は、リアルタイムの脅威分析のために望まれる時間的および空間的アライメントを維持しながら最大限の信号捕捉を可能にする検出器セットアップおよびジオメトリを用いて、これらの要求に対処する。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、武器、脅威、違法物品、および盗難品の検出および識別のために使用でき、かつ屋内環境にも屋外環境にも配置されてもよい。
【0017】
実施形態によると、偏光ビームコンバイナを用いて1つ以上の検出器の視野の位置合わせおよび重ね合わせを行い、これを導波路偏光回転子および調整可能な局部発振器電力とともに用いることで、広範囲の周波数の使用を可能にしながら同時にコストを低減して、コンパクトかつ構成可能なフロントエンド受信機モジュールレイアウトを提供する。本開示の態様は、複数の周波数の使用、または二重偏光単一周波数データの同時捕捉、または上記の任意の組み合わせを可能にする。たとえば、いくつかの実施形態は、1~4の周波数を用いてデータを捕捉するために用いられてもよい。
【0018】
図1Aおよび
図1Bは、いくつかの実施形態による検出システム100を示す。たとえばこのシステムは、テラヘルツカメラなどの高周波検出システムなどであってもよい。
図1Bは、
図1Aに示されるシステム100の上面図を示す。
【0019】
ここで
図1Aを参照すると、システム100は第1の検出器アレイ102と、第2の検出器アレイ104と、たとえば偏光プレートなどの偏光素子106とを含み得る。
図1Aに示されるとおり、偏光プレート106は検出器アレイ102、104の間に置かれることによって、ソース108からの放射線信号110を検出器アレイ102、104へ通過および反射の少なくとも一方を行ってもよい。実施形態によると、第1の偏光(例えば、鉛直偏光)を有する第1の放射線信号112は偏光プレート106を通過して第1の検出器アレイ102に向かい、第2の偏光(例えば、水平偏光)を有する第2の放射線信号114は偏光プレート106から反射されて第2の検出器アレイ104に向かう。
図1Aおよび
図1Bの例示において、両方の放射線信号がソース108から出ており、ソース108はたとえば、検出システム100に向かって放射線110を放射する1人以上の人間などであり得る。その他のソースはたとえば、車両もしくは構造物などの単一の目的オブジェクトか、または複数のオブジェクトを有するシーン全体などを含んでもよい。加えて、ソース108からの放射線信号110は、アクティブ検出システムと同様に実際には二次ソース(図示せず)から生じていてもよい。この場合、信号110はソース108から反射してシステム100に向かってもよい。すなわち、システム100はパッシブまたはアクティブ検出実施の一部であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態によると、システム100は、偏光プレート106と第1または第2の検出器アレイ102、104のいずれかとの間に置かれる任意の光学素子を必要としない。
図1Aおよび
図1Bには2つの検出器アレイブロック102、104が示されているが、システム100において、たとえばアレイ102、104の頂部または隣接部などに追加のアレイブロックが使用されてもよい。さらに、システム100は間隔を置かれた検出器アレイブロック102、104によって示されているが、いくつかの実施形態において、これらのアレイは接合されてもよい。たとえばいくつかの実施形態においては、
図12A~12Cに示されるとおり、検出器アレイブロック102がアレイブロック104の頂部に積み重ねられてもよいし、ブロック104のすぐ隣に置かれて接続されてもよい。こうした場合には、偏光プレート106を使用しなくてもよい。
【0021】
検出器アレイ102、104の各々は、たとえばフィードホーン116、118、120などの1つ以上の入力チャネルを含んでもよい。実施形態によると、フィードホーンはソース108からの放射線を捕捉し、受信した信号を後続処理のためにシステムの他の部分に送る。たとえば、フィードホーン116は偏光プレートを通過した放射線112を捕捉でき、フィードホーン118および120は偏光プレート106から反射された放射線114を捕捉してもよい。この例においては円形の導波路が示されているが、他の形の導波路(例えば、楕円形または矩形の導波路)も使用されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態によると、第1の検出器アレイは、第1の幅を有し、かつ第1の幅以上の間隔を有する第1の複数のフィードホーンを含み、第2の検出器アレイは、第2の幅を有し、かつ第2の幅以上の間隔を有する第2の複数のフィードホーンを含む。すなわち、複数のフィードホーンは実質的に間隔を置かれてもよい。加えて、第1の検出器アレイのフィードホーンの間に第1の処理回路が位置でき、第2の検出器アレイのフィードホーンの間に第2の処理回路が位置する。
【0023】
図1Aにおいてはそれぞれ2x2および2x4アレイとして示されているが、第1の検出器アレイ102はアレイの水平方向および鉛直方向の各々に2つより多いフィードホーンを有してもよく、同様に第2の検出器アレイ104はアレイの水平方向および鉛直方向の各々に2つより多いフィードホーンを有してもよい。実施形態によると、たとえば
図4A、
図4B、および
図12A~12Cに示されるとおり、検出器アレイブロック102、104は複数のサブブロックで形成されてもよい。
【0024】
図1Bに示されるとおり、いくつかの実施形態によると、偏光プレート106は、第1および第2の検出器アレイ102、104の各々に対して45度の角度で位置合わせされてもよい。しかし、たとえば1つ以上の検出器102、104の特定のアライメントまたは間隔によって、特定の配置においてはプレート106が異なる角度で位置合わせされてもよい。すなわち、偏光プレートは45度より大きい角度または小さい角度で位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態において、偏光プレートはワイヤグリッド構造を含む。この例において、ワイヤグリッドはソース108からの鉛直偏光放射線112を通過させる一方で、ソース108からの水平偏光放射線は反射するように動作する。ワイヤグリッドおよび水平/鉛直偏光が記載されているが、場合によっては多層誘電偏光子プレートおよび周波数選択性表面が用いられてもよい。平坦なプレートとして示されているが、偏光プレート106は平坦な表面を有する必要はなく、レンズまたはその他の湾曲構造の形を取り得る。実施形態によると、偏光素子(例えば、106)は、通過モードおよび反射モードの両方において低い挿入損失を有する。特定の態様において、偏光素子は自由空間偏光デュプレクサまたはオルトモードトランスデューサとして動作する。
【0025】
図1Aおよび
図1Bに示されるとおり、このシステムは走査機構126をさらに含んでもよい。走査機構126は、入来する放射線をたとえばアレイ102、104などの1つ以上の検出器に向けて反射する1つ以上の可動ミラーに基づいていてもよい。検出器(単数または複数)が視野に対する走査ラスターに効果的に従うようにミラー(単数または複数)を走査する(例えば、動かす)ことによって、画像が回復されてもよい。ミラー(単数または複数)は、間隔を置いた走査線を含む走査ラスターを生成するように動いてもよく、走査ラスターを生成するために、ミラーは異なる方向に異なる態様で動き得る。たとえば、ミラーは第1の軸に関する往復運動をすることで、走査線間隔を設定するための第2の軸に関するステップ回転と結合された走査線を作成してもよい。構造的には、いくつかの実施形態において、走査機構は(i)第1の軸の周りの回転のために装着されたミラー構造物と、(ii)ミラー構造物を支えるための中間支持構造物であって、この中間支持構造物は第2の軸の周りの回転のために装着される、中間支持構造物と、(iii)中間支持構造物を支えるためのベース支持構造物と、(iv)ミラー構造物が第1の軸の周りを回転するように駆動するために、一部が中間支持構造物に装着され、一部がミラー構造物に装着されたミラー駆動機構と、(v)中間支持構造物が第2の軸の周りを回転するように駆動するために、一部がベース支持構造物に装着され、一部が中間支持構造物に装着された中間駆動機構と、を含んでもよく、それによってミラー構造物は第1および第2の軸のいずれか一方または両方の周りを回転するように駆動され得る。ミラー自体は、補強リブを有するかまたは有さない薄い(例えば、0.5mm)シートを含む薄い金属(例えば、アルミニウム)ミラーであってもよい。
【0026】
視野の連続的検出において注視野を走査するために、適応走査ミラーが用いられてもよい。この文脈における「視野」とは、検出システムまたは1つ以上の検出器素子のいずれかによって見られるかまたは検知されるシーンの範囲を示すことが意図されている。すなわち、「視野」とは、たとえば走査ミラー(単数または複数)の動きなどによって検出器が現在イメージングまたは検知しているシーンの範囲を示すことが意図されている。たとえば、あるシーンに関する連続的なフレームを与えるためのイメージングにおいて、各フレームが視野を示すこととなる。この文脈における「注視野」とは、検出器を動かさずに走査ミラー(単数または複数)をステアリングすることによってシステム/検出器がアクセス可能となり得るシーンの最大範囲を示すことが意図されている。検出システム100に関して、注視野は、検出システムが目的のオブジェクトを検出できる角度範囲を示す。実施形態によると、検出器出力はグラフィカルデータに変換されて、検出された視野のスクリーンに基づく表現をサポートし、かつたとえば組み合わされて注視野の合成画像を形成してもよい。加えて、異なる帯域の視野が組み合わされて視野の合成画像を形成してもよい。
【0027】
ここで
図2Aを参照すると、いくつかの実施形態による検出器アレイ102の一部分の断面図が示されている。フィードホーン116および局部発振器(LO)チャネル202を含む、実施形態によるさまざまな導波路チャネルの一部分が示されている。さらに詳細部Aは、いくつかの実施形態による、たとえばフィードホーン116またはRF経路に対する接続された導波路のチャネルなどの1つ以上のチャネル内に位置し得る偏光回転素子204を示す。偏光素子204は、チャネルに沿って信号の偏光を回転させる(例えば、水平偏光から鉛直偏光へ)または逆も同様)ことができ、かつ多段階モード変換を含んでもよい。これはたとえば、後続処理のための信号を調製するため、またはチャネルの長さに沿った伝播損失を低減させるためなどであってもよい。後続処理は、たとえばミキサー段階206におけるものであってもよい。実施形態によると、3ステップモード変換器が提供され、ここで各ステップは前者からの1つのモードを後者に結合することによって、各ステップに電界配向を約30度回転させる。いくつかの実施形態によると、2ステップ回転が提供され、各ステップには45度の回転が伴う。
図2Aは、ミキサー段階206からのたとえばIF信号などの信号出力208も示しており、この信号出力208は上方および下方の少なくとも一方に、かつフィードホーン116およびLOチャネル202の平面に対して垂直に伸長する。すなわち、出力信号チャネルは入力信号チャネル(例えば、フィードホーンおよびLOチャネル)と直交してもよい。実施形態によると、IF出力チャネル208は、信号を移送するための同軸ケーブルを含んでもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、
図2Bおよび
図2Cに示されるとおり、たとえば検出器アレイ102、104のチャネルなどの導波路は、2つの半体として機械加工されてから接続されてもよい。
図2Bは、いくつかの場合において損失を低減するように頂部の広い壁に沿って(すなわち、より広い断面に沿って)分割されたミラー半体導波路を用いた低損失導波路を示す。この例において、第1の半体210は第2の半体212と組み合わされて、分割部214を有する導波路を形成することによって、分割部は導波路チャネルのより広い頂面および底面に沿っている。他の場合には、
図2Cに示されるとおり、分割部226が結果として得られる導波路のより短い側壁を通るように、第1の半体222および第2の半体224によって導波路が形成されてもよい。いくつかの配置においては、分割部214を有することによって、分割部226を有するよりも少ない損失がもたらされる場合もある。よっていくつかの実施形態によると、回転素子204を用いて、信号を高損失分割導波路(例えば、226)から低損失分割導波路(例えば、214)に回転させ得る。入力信号によっては、配置を逆転してもよい。
【0029】
金属ブロックのいずれかの面に適切な寸法のスロットを機械加工することによって、導波路が最も容易に形成される。
図2Bに示されるとおり、抵抗損を最小化するために、たとえば30GHzより高い周波数などのより高い周波数においては、しばしば導波路の広い壁の中央点において導波路を分割する必要がある。なぜなら、より高い周波数においては電流が流れる際に抵抗損が支配的になるからであり、これは表皮効果によって制限されるため、表面仕上げが非常に重要になる。加えて、矩形導波路内の電流は広い壁に沿って移動し、狭い壁を降りる。したがって、伝播する信号は広い壁の小さい間隙の影響は比較的受けにくいが、間隙は電流に対する開回路を効果的に生じるため、狭い壁の間隙は信号損失を生じる。
【0030】
特定の態様において、広い壁に対して狭い壁を横切って導波路が分割されるときに損失が増加する問題は、周波数に依存する。周波数が増加するにつれて、表面間の任意の小さな間隙が波長のより大きな部分を効果的に表すために、損失が増加する。クランプねじに必要とされる空間が小さくなるため、導波路を一緒にクランプすることがますます難しくなり、よって間隙を閉じることがより難しくなる。本開示の態様は、比較的低い周波数(例えば、125GHz)において偏光回転子を使用し、かつ偏光回転子をできる限り短く保つことによって、この問題を軽減させる。
【0031】
ここで
図3を参照すると、いくつかの実施形態による検出システム300の概略図が提供されている。それぞれブロック308、310、および312のフィードホーンであってもよい入力302、304、および306において、放射線が受信され得る。いくつかの実施形態において、ブロック308は検出器アレイ102に対応してもよく、ブロック310および312の各々は検出器アレイ104の一部を形成してもよい。入力302、304、306において受信される放射線信号の各々は、素子314a、314b、および314cとして示されるミキサー素子に送られる。いくつかの実施形態において、1つ以上の受信信号は、ミキサーによって処理される前に、たとえば任意の偏光回転素子316などによって回転されてもよい。ミキサーからの、たとえば1つ以上の中間周波数(IF)信号などの処理済み信号は、各ブロックの出力(318a、318b、318c)に送られた後に、低ノイズ増幅器(LNA:low noise amplifier)(320a、320b、320c)、電力検出器(321a、321b、321c)、およびアナログ・デジタル変換器(ADC:analog to digital converter)(322a、322b、322c)による追加の処理を受ける。追加の処理はフィルタリングを含んでもよい。次いでデジタル信号は画像生成器324に送られて、検出された放射線に基づく画像が形成されてもよく、たとえば302、304、および306において受信された放射線を用いてオブジェクトまたはシーンの合成画像が形成されてもよい。画像処理324は、たとえばコンピュータまたはモニタなどの表示システム336に結合されるか、またはその一部であってもよい。いくつかの実施形態において、IF信号は、各ブロック内の同軸ケーブルを用いて出力される。
【0032】
このシステムは3つのミキサー素子または入力を伴って示されているが、このシステムはより多いかまたはより少ない素子によって実施され得る。たとえば、システム300は拡張されて第4のセットの入力フィードホーンを含んでもよく、その各々が対応するミキサーおよび処理回路のセットを有し得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、局部発振器(LO)信号は、ミキサーよりも少ないLOソースを用いてシステム300のミキサーに提供される。たとえば、
図3に示される例において、単一のLOソース326がミキサー314a~cの各々にLO信号を提供する。実施形態によると、これは1つ以上の電力分配器328a、328bと、場合によってはたとえばダブラまたはトリプラなどの1つ以上の周波数乗算器330a~cとを用いて達成される。たとえば、ソース326からの元のLO信号は分配器328aに提供されてもよく、次に分配器328aは信号を分配器328bと、任意の乗算器330aとに提供する。乗算器330を用いて、ソース326が提供したものよりも高い周波数のLO信号をミキサー314aに提供してもよい。同様に、分配器328bは、ミキサー314bおよび314cに対する任意の乗算器330bおよび330cに信号を提供してもよい。このことに関して、ブロック308、310、および312の各々は、異なる周波数/波長における動作のために構成され得る。こうした構成はたとえば、ミキサーの設計ならびに入力フィードホーン(例えば、116、118、および120)の形状および寸法などを含み得る。したがって、処理回路324によって異なる波長の放射線信号の検出、処理、および使用が行われて、複数の波長におけるデータを用いて合成画像が形成されてもよい。たとえば増幅器332などの1つ以上の増幅器を用いて、ソース、分配器、乗算器、およびミキサーの少なくとも1つの間の信号を強化してもよい。他の増幅器は
図3の例に示されていない。
【0034】
フィードホーンのサイズは、選択された光学部品に対する最適な結合を提供するように選択されるべきであり、間隔は用途に応じた最適なカバレッジを提供するように選択されるべきである。
【0035】
特定の態様において、コンポーネントは、できる限り広範囲の回路動作条件にわたるRF結合回路から反射されるLO電力の量を最小化するように最適化される。これは反射されたLO信号が伝播して1つ以上のLO電力スプリッタに戻ることを制限し、よってチャネル間の干渉を制限する。反射の問題をさらに低減させるために、たとえばマジックT(Magic-T)または3dBハイブリッド分岐ガイドカプラなどの90度3dBハイブリッド電力スプリッタを実現し得る。
【0036】
いくつかの実施形態によると、分配器328aおよび328bの1つ以上は、
図5A~5Cに関して記載されるとおりの不均等分配器である。いくつかの実施形態によると、乗算器330aおよび330bはダブラであるのに対し、乗算器330cはトリプラである。いくつかの実施形態において、乗算器の1つ以上は必要でない。たとえば、いくつかの実施形態において乗算器330aは省略されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態によると、共通の局部発振器ソース326が提供され、異なるオーダの周波数乗算器(例えば、ダブラおよびトリプラ)を用いて周波数が乗算されて、サブハーモニックミキサーが実現される。たとえば、ミキサー314a~cはそれぞれ周波数125GHz、250GHz、および375GHzを中心とする帯域で動作してもよく、それは62.5GHz、125GHz、および187.5GHzの局部発振器周波数を使用できる。この例において、ベース局部発振器ソース326は、62.5GHzにて動作する約100mWを提供するガン(Gunn)発振器であってもよい。これは、たとえば分配器328aなどのスプリッタを用いて2つの等しい信号に分割される。このスプリッタは、たとえば標準的なマジックティーなどの均等電力スプリッタであってもよいし、
図5A~5Cに関して記載されるとおりの不均等スプリッタであってもよい。スプリッタ出力の一方の半分は125GHzアレイ(この例におけるブロック308)をポンピングし、第2の半分は電力増幅器(例えば、この例における増幅器332)に入力されて約400mWの信号を与え、次いでこの信号を用いて周波数乗算器330bおよび330cがポンピングされる。この周波数例においてサブハーモニックミキサーが使用されるとき、この場合には乗算器330aは必要ない。いくつかの実施形態において、構成可能な不均等電力分配器を用いて、125GHzアレイおよび電力増幅器に最適電力を提供することによって、システムが最適化される。各周波数ミキサーアレイは類似の局部発振器電力を必要とし、それはこの例においては30~40mWである。しかし、ダブラの典型的な効率は40%であるのに対し、トリプラは15%である。このことは、たとえばマジックティーなどの均等電力スプリッタの使用によって、250GHzアレイ(例えば、この例におけるブロック310)に対する過剰な電力(80mW)が生成され、375GHzアレイ(例えば、この例におけるブロック312)に対する限界電力が生成される結果となり得ることを意味する。マジックティーなどの従来の電力スプリッタは、入力電力が均等に半分に分割されることに依拠するが、もしこうしたアプローチがこの実施形態に使用されれば、結果として過剰な電力が125GHzダブラ(例えば、乗算器330b)に供給され、不十分な電力が187.5GHzトリプラ(例えば、乗算器330c)に供給される。したがって、通常はダブラよりも効率が低いトリプラに十分な電力を供給するために、電力増幅器を過剰仕様にする必要があり、かつダブラに対する電力は不必要に弱められるだろう(そうでなければダブラが損傷され得る)。これはコストがかかり、かつLO信号の無駄になるだけでなく、既存の技術によって達成することが困難である可能性があり、より高い電気バイアス電力および熱除去の要件がもたらされる。よって実施形態によると、局部発振器ポンプ電力を任意に2つ以上の経路に分割できる構成可能な電力分配器が用いられることによって、各局部発振器アームの乗算器に対する電力がそれぞれの電力要件に従って分配される。実施形態によると、分配器328aおよび328bの少なくとも一方は構成可能である。よって、送られる電力が各それぞれの乗算器に対するピーク効率入力電力要件と適合するように、電力分割を各周波数アームと適合させることによって、全体的なシステムLO電力要件(およびコスト)を最小化するシステムを提供できる。
【0038】
いくつかの実施形態によると、第4の周波数の放射線を受信および処理するように構成された1つ以上のブロックが提供されてもよい。たとえば、1つ以上のブロックは500GHzにて構成されてもよい。こうしたブロックに対するミキサーは、同じLOソースを用いて、たとえば
図3に示されるLO経路の1つ以上における追加の分配器およびダブラの少なくとも一方などによって、同様に動作できる。いくつかの実施形態において、このブロックはサブブロックまたはアレイ102、104であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態によると、LOソース326は1つ以上の周波数における複数の出力を有してもよく、最初の分配器328aおよび乗算器330aの少なくとも一方は必要なくてもよい。いくつかの実施形態において、分配器328aおよび乗算器330aの1つ以上は局部発振器ソース326に統合されることによって、ソース326は構成可能な電力の複数の周波数信号を提供する。例として2つの出力が用いられているが、この実施は追加の不均等電力スプリッタおよび乗算器の少なくとも一方を使用することによって拡張され得る。
【0040】
ここで
図4Aおよび
図4Bを参照すると、いくつかの実施形態による1つ以上の検出器アレイブロックが示されている。これらは、たとえばアレイ102、104およびブロック308、310、312に対応してもよい。アレイ102、104などのアレイは、単一のブロックとして(例えば、
図4Aに示されるとおり)形成され得る。加えて、アレイ102、104などのアレイは、複数のブロックから(例えば、
図4Bに示されるとおりに2つのブロックによって)形成されて、複数の行および列のフィードホーンを有する複合検出ブロックを形成し得る。加えて、実施形態によると、各サブブロックは
図12Aに関して示されるとおりに2つの部分から形成されてもよく、
図12Aは半体ブロック部分1202を別の半体ブロック部分1204に取り付けることを示している。
【0041】
ここで
図4Aを参照すると、いくつかの実施形態によるブロック400が提供される。いくつかの場合には、検出器アレイ102、104の1つ以上がブロック400を含んでもよい。ブロック400は1つ以上の信号入力402と、1つ以上の二次入力404と、1つ以上の出力406とを含む。たとえば、信号入力402は、
図1A、
図1B、
図2、および
図3に示される複数の検出器フィードホーン116、118、または120に対応してもよい。同様に、二次入力(単数または複数)404は、たとえば
図2Aおよび
図3に関して記載されるものなどのLO信号入力であってもよい。出力(単数または複数)406は、たとえば
図3に関連して記載されるとおりのミキサーからの1つ以上のIF信号などの、検出された信号出力であってもよい。実施形態によると、入力は同じ平面において提供されるのに対し、出力は直交面において提供される。
図4Aの例において、入力402、404はz軸に沿って提供されるのに対し、出力406はx軸に沿って提供される。各々の入力402、404はブロック400を通ってz軸に沿って伸長するのに対し、各々の出力406は直交する方式でブロック400を通ってx軸に沿って伸長する。実施形態によると、処理回路が出力406に接続されてもよい。たとえば、ブロック400から出力される信号を処理するために、複数の処理回路ユニットがy軸方向にあってもよい。同様に、y軸方向に追加のブロック(例えば、400)が積み重ねられて、検出器を延長してもよい。回路素子460a~nを有する類似の配置が
図4Bに示されている。
図3に関して示されるとおり、こうした回路はたとえば1つ以上のLNA、広帯域電力検出器、およびADCの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態において、熱的手段(例えば、ボロメーター)によって、または振幅変調(AM:amplitude modulation)検出器を用いることによって、広帯域マイクロ波電力をベースバンド信号に変換するために電力検出器が用いられる。加えて処理回路は、たとえばLNAまたはADCのいずれかの側などに1つ以上のフィルタを含み得る。実施形態によると、たとえば321a、321b、321cなどの電力検出器は、帯域全体にわたる電力を検出し、その電力に関連する電圧を出力する。
【0042】
ここで
図4Bを参照して、実施形態によると、第1のブロック(例えば、ブロック400)が第2のブロック(例えば、450)と組み合わされて、たとえばアレイ102、104などの単一の検出アレイブロックを形成できる。この例において、ブロック450の入力452および454はz軸に沿って伸長し、出力456は垂直のx軸に沿って伸長する。この入力および出力の配置が与えられるとき、処理回路460a~nは、入力452によるソースからの信号捕捉を妨げることも、入力454へのLOの伝達を阻害することもなく、ブロック400、450の外表面においてy軸方向に積み重ねられ得る。回路460a~nはアレイのブロック400側に示されているが、このスタック(積み重ね)はアレイの他方の側(例えば、ブロック450側)にも提供されてもよい。このことに関して、処理回路の第1のスタック460a~nはアレイの1つの側部に提供されてもよく、処理回路の第2のスタック4670a~nはアレイの第2の側部に提供されてもよく、入力信号(例えば、RF入力)はアレイの第3の側部に提供されてもよく、いくつかの実施形態においては、別の入力信号(例えば、LO)がアレイの第4の側部に提供され得る。回路460a~nはたとえば、1つ以上のLNA、AM(エンベロープ)電力検出器、およびADCの少なくとも1つ、ならびに場合によってはフィルタを含んでもよい。
図4Bに示されるとおり、いくつかの実施形態によると、ブロック400、450の頂部または底部には入力も出力も存在しなくてもよい。
【0043】
図4Bのアレイは2つの接続されたブロックによって示されているが、実施形態はそれに限定されない。たとえば、実施形態によると、たとえばアレイ102、104などの検出器アレイは、直接接続されていないブロックで形成されてもよく、2つより多くのブロックでも形成され得る。たとえば、処理回路460a~nは、アレイの2つのサブブロックの間(例えば、ブロック400および450の間)に置かれ得る。場合によっては3つのサブブロックが、第1および第2のブロックの間、ならびに第2および第3のブロックの間に置かれた回路とともに用いられ得る。こうした配置において、第1および第2のブロックの間の回路は、第1または第2のブロックの一方または両方からの信号を処理できるのに対し、第2および第3のブロックの間の回路は、第2および第3のブロックの一方または両方からの信号を処理できる。加えて、たとえば第1または第3のブロックからの信号を処理するために、アレイの外側部の1つ以上に別の回路スタックが提供され得る。3つのブロックを用いて説明したが、実施形態によると、アレイの幅を3ブロックより大きく延長するためにこの配置を繰り返すことができる。たとえば追加のブロック400、450を積み重ねることなどによって、検出アレイをy方向に拡張することもできる。実施形態によると、アレイブロック400、450の上側および下側の表面には入力も出力も存在しないため、妨害なしに別のブロックを積み重ねることができる。いくつかの実施形態は6つの一次側部を有するブロック400、450を含み、入力および出力の少なくとも一方は外側部に露出している(例えば、入力および出力の少なくとも一方はx方向およびz方向にある)が、頂部または底部(例えば、y方向)にはない。
図12Aおよび
図12Bに示されるとおり、ノッチ1206によって積み重ねをさらに改善できる。
【0044】
実施形態によると、最大4つの検出周波数帯域に対して検出システムを最適化してもよい。たとえば、アレイ102、104の各々は、
図4Bに示されるとおりに組み合わされたブロック400、450などの2つのブロックを含んでもよい。この場合、各々の入力フィードホーン452および後続処理は異なる周波数帯域に対応でき、最大4つの周波数帯域の多周波検出を可能にする。実施形態によると、帯域幅はミキサー、IF増幅器、およびエンベロープ検出器の少なくとも1つの組み合わせによって設定されてもよい。いくつかの実施形態において、帯域は導波路に対する中央周波数の+/-20%である。
【0045】
ここで
図5A~
図5Cを参照すると、いくつかの実施形態による1つ以上の不均等電力分配器および偏光回転子の少なくとも一方のジオメトリが示されている。
図5Aに示されるとおり、不均等電力分配器500は入力502と、出力504および506とを含んでもよい。出力504における電力は、506における出力と異なっていてもよい。加えて、
図5Bの詳細図に示されるとおり、1つ以上のチャネル(すなわち、入力、第1の出力、または第2の出力)は偏光回転素子508を含んでもよい。こうした回転素子は、
図5Cの514a~cとしてさらに示されている。
図5Cにさらに示されるとおり、不均等電力分配は、分割部における2つの導波路開口部によって達成されてもよい。すなわち、第1の導波路開口部510は第2の導波路開口部512よりも小さいことによって、出力504よりも出力506の方に多くの電力が向けられてもよい。この例においては、回転素子514a~cのために、入力502または出力504、506における信号とは異なる偏光によって導波路電力分割が行われる。特定の態様において、電力分割の比率は、導波路が分割される地点における導波路の相対的高さに対してほぼ線形従属であってもよい。もし分割部が導波路の高さ(狭い寸法)の半分であれば、電力は均等に分割される。もし分割部がたとえば高さの20%であれば、電力は80:20に分割され、他も同様である。
【0046】
実施形態によると、
図5A~
図5Cをさらに参照すると、各ポートにおける偏光子回転子の統合によって、不均等構成可能電力スプリッタを達成できる。次いで、たとえばコンポーネントのバルクを第1の向きに機械加工して、導波路分割部が広い壁の中央に来るように配置できる。さらに、このアプローチを利用して、電力増幅器と乗算器との間で使用され得る単一のCNC機械加工が容易な結合マニホルドにLO電力ネットワークを完全に統合する手段を提供できる。特定の態様において、このアプローチは、全体のシステムレイアウト要件に応じて導波路の向きを任意に90度回転させる能力を提供する。こうしたLOネットワークマニホルドは、コストを低減すること、コンポーネント間のフランジの必要をなくすこと、および大幅にコンパクトなシステムの実現を可能にすることの少なくとも1つを行い得る。
【0047】
実施形態によると、検出システムは、地球の大気の最適な特徴を利用するために最適化された屋外(または屋内)シーンからの時間的および空間的に位置合わせされた多周波データを提供する。それを行う際に、本開示の態様は、脅威事項の正確な性質の判定における意思決定プロセスを大きく支援できるある程度の材料の特異性を可能にするデータを提供する。人間の組織は特異的性質を有するため、それを用いて雑然とした屋外シーンにおいてリアルタイムで人間のシグネチャーを示すこともできる。
【0048】
地球の大気は、観察される周波数の大気の透過率によって独自の照度特性を提供し、それはシーンの上に存在する水蒸気の量および検出に使用される波長によって定められる。2つの現象がこの効果を支配する。第1に、水分子はミリメートルからテラヘルツドメインにおける回転共鳴を有するため、それは特定の周波数において光子を吸収する。これらの線から離れた周波数において、水分子は光子を通し、これは水ウィンドウとして理解されてもよい。加えて、波長が短くなると大気を通る有効経路の長さが長くなり、減衰が増加する。透過率が最高である周波数においては、地球の大気は透明であるため、ミリメートル波検出の際に、空間の冷たいバックグラウンドが非常に高いコントラストを提供する。すなわち、観察中の屋外シーンは「冷たい」空の照度に支配される。地球の大気の透過率が低い周波数において、シーンは、シーンの上の空気柱からの「暖かい」照度に支配される。実施形態によると、異なるコントラストタイプが達成されるカラーシーンを提供するために、高透過率、中程度透過率および低透過率の波長の混合が必要とされる。実験調査によって、これらの波長は約125GHz、250GHz、および375GHzを中心とする約35GHzの幅の帯域であることが定められた。
【0049】
実施形態によると、有用性を最大化するために、画像は最短時間で、最高の熱感受性を伴い、かつ可能な限り最高の空間分解能を伴って生成される。これらの要件の最初の2つは、通常は対立する。シーンの熱感受性には、次の等式が適用される。
ΔT=Tsys/(t x B)1/2、
ここでΔTは、空間的に分解された領域の間の最小分解可能温度差である。変数Tsysは検出器エレクトロニクスのシステムノイズ温度であり、tはサンプルを収集するためにかかった時間であり、Bは検出器の帯域幅である。
【0050】
いくつかの実施形態で用いられるヘテロダイン検出器については、システム帯域幅が固定されているため、熱感受性を改善するための選択肢は、Tsysを減少させることおよび統合時間tを増加させることである。しかし、Tsysを改善する余地はアレイ全体を冷却すること以外にほとんどないかもしれず、これは実行不可能であり得る。統合時間tを増加させることは可能だが、代わりにフレーム更新速度が犠牲になる。よって、実施形態によると、検出器の数を増やすことによって、最速のフレーム速度を維持する改善が提供される。このことによって、各検出器はより多くの時間シーンを観察できる。実施形態によると、検出器の数は鉛直方向および水平方向の両方に増加でき、加えて検出器アレイは、間に置かれたプレートによって対にされ得る。さらに、積み重ね可能な多周波検出器構成が記載され、これは最大3つ以上の周波数帯域の組み合わせによる任意の数の検出器を組み込むようにスケーリングされ得る。
【0051】
実施形態によると、偏光子素子および電力分配器が検出システムに統合される。これら2つのコンポーネントが組み合わされて動作することによって、多周波データ検索のほぼ完璧な空間的および時間的アライメントを提供するコンパクトな多重光学供給システムを可能にできる。実施形態は、鉛直平面に検出器を反復方式で積み重ねることによって検出器カウントをスケーリングするための手段も提供する。
【0052】
実施形態によると、各検出器の視野を重ね合わせるために、検出器アレイのフィードホーンに非常に近接して置かれた直線偏光グリッドを用いて、仮想アレイが形成される。たとえば、
図6に概略図が示されており、これは602において直線偏光グリッドを通過して第1のセットのフィードホーンに向かう入射放射線と、604において第2のセットのフィードホーンの方に反射する入射放射線と、606の検出データの組み合わせとを示す。この例において、偏光グリッドは鉛直に直線偏光された放射線にとっては完全に透明であるが、水平に偏光された放射線は完全に反射する。直交アレイ(たとえばアレイ102、104など)の間に45度にて置かれるとき、水平に偏光された放射線は、606において鉛直に偏光されたアレイと重なり合う鉛直アレイとして現れる。この特定の例において、「鉛直」および「水平」という用語は、直交する軸を区別することが意図されている。
【0053】
実際には、通常2~5%の少量の信号が、散乱およびワイヤグリッドビームコンバイナ内での抵抗損によって失われる。この損失を受容することによって、非常にコンパクトかつ構成可能なフィードホーンの積み重ね配置を実現できる。偏光ビームコンバイナからの各偏光出力におけるフィードホーンを重複させるか、または間隔を置くことによって、完全に多用途かつ構成可能な「仮想」2Dアレイが可能である。これは複数の周波数、複数の重複する偏光、またはたとえばスパースアレイなどの任意のアレイレイアウトで作製され得る。たとえば、1つのアレイ(例えば、102)は第1の周波数または周波数セットに対して構成されてもよく、一方で第2のアレイ(例えば、104)は第2の周波数または周波数セットに対して構成されてもよい。これに関して、2次元での捕捉によって多周波検出を達成できる。代替的には、両方のアレイ(例えば、102、104)を同じ周波数で構成することによって、その周波数の鉛直偏光放射線が捕捉され(例えば、602)、かつその周波数の水平偏光放射線が捕捉されて(例えば、604)、単一周波数検出に対する合成物606が形成され得る。実施形態によると、この準2Dアレイのレイアウトを適応走査のために設計できる。たとえば、走査ミラーを小さく速いインクリメントでディザリングすることによって、スパースアレイを「充填」できる。2つの偏光の組み合わせによって、追加の現象論的情報を集め得る。
【0054】
実施形態によると、偏光グリッドビームコンバイナを重なり合うビームとともに用いることによって、視野の各位置に対する信号収集が2倍になる。
【0055】
ここで
図7を参照すると、いくつかの実施形態によると、受信した放射線の偏光に対する検出システム700が概略的に示されている。この例において、鉛直偏光を有する視野からの放射線は、素子710を通過してフィードホーン702および704に向かう。同時に、その視野からの水平偏光放射線は、素子710から反射されてフィードホーン706および708に向かう。
図7に示されるとおり、フィードホーン702、704、706、および708において受信された検出データを組み合わせて、その視野の合成表現を形成できる。実施形態によると、フィードホーン702および704は互いに間隔を置かれており、フィードホーン706および708も同様である。したがって
図7に示されるとおり、水平および鉛直の信号情報は、出力において部分的に重複してもよい。
【0056】
実施形態によると、システムの検出器レイアウトはスパースアレイを形成する。
【0057】
いくつかの実施形態によると、フィードホーン702、704、706、および708はすべて、同じ波長の放射線に対して構成される。偏光素子710を2セットのアレイとともに用いることによって、使用可能な受信および処理された放射線の量が効果的に2倍にされる。
【0058】
実施形態によると、
図7および
図8に示された間隔を置いた配置を、多周波検出システムに適用できる。すなわち、フィードホーン702、704、706、および708を異なる周波数に対して最適化してもよい。
【0059】
ここで
図8を参照すると、LOソース802、806およびIF処理回路804、808を伴う実施形態によって、システム700がさらに示されている。実施形態によると、複数のフィードホーンは十分に間隔を置かれているので、IF処理回路804、808はフィードホーンの間に物理的に位置していてもよい。こうした回路はたとえば、1つ以上のLNA、電力検出器、およびADCの少なくとも1つなどを含んでもよい。これは、たとえば
図4Aおよび
図4Bに関して示された直交チャネル配置などを用いて行われてもよい。このセットアップによって、鉛直および水平アレイの少なくとも一方の両方に対して、視界の幅Xnを必要なだけ遠くまで延長できる。高さも、たとえばブロックの積み重ねまたはブロックの高さの変動などによって所望の高さに設定できる。このことによって、視野の時間的および空間的対応の損失を伴わない幅広い捕捉(フィードホーンの数の増加)が可能になる。その結果得られる、幅2および高さ4の間隔を置かれた複数のフィードホーンを有する一対の検出器アレイによる画像表示900が
図9に示されている。
図9に図示されるとおり、アレイ(すなわち画像捕捉)の幅および高さを、必要に応じていずれの次元にもXn延長できる。いくつかの実施形態において、複数のフィードホーンの間に置かれる回路のサイズによって定められる距離によって、複数のフィードホーンは間隔を置かれる。たとえば、フィードホーンは回路のサイズに等しい距離、そのサイズの1.5倍、またはそのサイズの2倍の距離にて配置されてもよい。
【0060】
実施形態によると、
図7~
図9に示される複合分割偏光素子のビームフットプリントに示されるとおり、開示されるシステムは、交互の偏光を有するn素子に延長され得る「仮想」2Dイメージングアレイを作製できる。
【0061】
ここで
図10を参照すると、いくつかの実施形態による検出方法1000が提供される。このプロセスは、たとえば実施形態による
図1Aおよび
図1B、
図3、ならびに
図13Aおよび
図13Bの1つ以上に関して記載される検出システムなどを用いて実行されてもよい。たとえば、このプロセスはテラヘルツカメラによって実行されてもよい。
【0062】
方法1000はステップs1010から始まってもよく、このステップは、カメラの第1の検出器ブロックにおいて第1の偏光を有する第1の放射線信号を受信することを含み、ここで第1の放射線信号は放射線源から偏光プレートを通じて受信される。ステップs1020において、プロセス1000は、カメラの第2の検出器ブロックにおいて第2の偏光を有する第2の放射線信号を受信することを含み、ここで第2の放射線信号は偏光プレートからの反射信号として放射線源から受信される。ステップs1040およびs1050において、信号が処理され、その処理は、たとえば
図3および
図4に関して記載されるとおり、第1の検出情報を形成するために第1の放射線信号を処理することと、第2の検出情報を形成するために第2の放射線信号を処理することとを含む。この処理は、たとえば信号をミキサーに送り、中間周波数信号を生成し、LNA、P.D.、およびADCの1つ以上によって信号をさらに処理することを含み得る。いくつかの実施形態によると、たとえば
図6~
図9に関して記載されるとおり、検出情報は、検出された放射線信号が対応する視野の少なくとも一部の2次元画像を構築するために用いられ得る画像データである。場合によっては、検出情報は所与のチャネルが受信した放射線の強度を示すデジタルマグニチュードである。
【0063】
いくつかの実施形態において、プロセス1000は任意のステップs1030を含み、ここでは第1および第2の受信放射線信号の少なくとも一方が後続処理の前に偏光回転素子を通過する。
【0064】
任意のステップs1060において、いくつかの実施形態によると、方法1000は、放射線源の1つ以上の特性を示す画像を形成するために第1および第2の検出情報を組み合わせることをさらに含む。画像を形成するために検出情報を組み合わせることは、たとえば
図3に関連して示されるとおり、画像処理324および表示システム336の少なくとも一方によって行われてもよい。いくつかの実施形態において、組み合わせることは、
図6~
図9に関して記載されるとおりに行われる。
【0065】
実施形態によると、第1の検出情報に対応する画像の部分(例えば、第1のフィードホーンで検出された信号から生成された情報)と、第2の検出情報に対応する画像の部分(例えば、第2のフィードホーンで検出された信号から生成された情報)とは画像において完全に重複するか、または第1の検出情報に対応する画像の部分と、第2の検出情報に対応する画像の部分とは画像において部分的に重複するか、または第1の検出情報に対応する画像の部分と、第2の検出情報に対応する画像の部分とは画像においてまったく重複しない。
【0066】
実施形態によると、第1の検出情報に対応する画像の部分と、第2の検出情報に対応する画像の部分とは画像において部分的に重複するか、またはまったく重複しない(すなわち、完全に重複しない)。この例において、第1の検出器は、第1の幅を有し、かつ第1の幅以上の間隔を有する第1の複数のフィードホーンを含み、第2の検出器は、第2の幅を有し、かつ第2の幅以上の間隔を有する第2の複数のフィードホーンを含む。この例において、第1の放射線信号を処理することは、第1の複数のフィードホーンのうちの2つのフィードホーンの間に位置する第1の処理回路において少なくとも部分的に実行されてもよく、第2の放射線信号を処理することは、第1の複数のフィードホーンのうちの2つのフィードホーンの間に位置する第2の処理回路において少なくとも部分的に実行され得る。加えて、実施形態によると、第1の複数のフィードホーンは高さおよび幅がどちらも2より大きいフィードホーンのアレイに配置され、第2の複数のフィードホーンは高さおよび幅がどちらも2より大きいフィードホーンのアレイに配置される。
【0067】
実施形態によると、処理素子は、異なる周波数(および異なる検出器アレイの少なくとも一方)において生成された画像データを色分けするように適合されることによって、複合画像データは、異なる周波数において生成された画像データからの複合的色分けを含むようにできる。この複合的色分けは、表面を特徴付けるために用いられ得る。たとえば、反射金属は低い周波数および高い周波数の両方において環境の温度であることが示されるだろうが、皮膚はより低い周波数においてのみ環境の温度であることが示されるだろう。より高い周波数においては、皮膚は体温であることが示されるだろう。よって、異なる周波数からの複合的色分けは、皮膚を金属とは異なる色として示すと考えられる。データを画像中の画素に割り当てて、指定された特徴を有する範囲を識別できる。
【0068】
実施形態によると、検出器アレイは自身のアナログIF信号を1つ以上のLNA、AM検出器、およびデジタイザに送り、それらは最終的にIF信号をデジタル信号に変換してフィルタリングする。これは、たとえばステップs1040およびステップs1050の一部であってもよい。この例において、処理素子(例えば、324および326の少なくとも一方)は、それぞれの検出器の選択されたセットからフィルタリングされたデジタル信号を受け取り、セット内の各検出器に画像の色を割り当て、次いで画像信号335の各画素に対する信号を加えることによって、それらの画素は、検出器チャネルの選択されたセットに対する異なる周波数にて受信された色の組み合わせである色で表示されるだろう。実施形態によると、アレイは位置合わせされないことがあるため、それらが生成するデータが少なくとも視野における目的の共通範囲にわたって対応することを確実にするために、何らかの調整が必要かもしれない。
【0069】
実施形態によると、本明細書に記載される検出システムは、ヘテロダインミキサーを使用できる。たとえば、フィードホーンのアレイは、入来する放射線を導波路を介してダイオードに基づくミキサーに送るとともに、中間周波数(IF)出力を処理回路に送る。フィードホーンは、周波数に従って導波路に同じ結合係数を与えるようにサイズがスケーリングされる。ミキサーにおいて、入来信号は、たとえば局部発振器(LO)などから提供される参照信号と組み合わされ、参照信号は周波数制御を組み込んでもよい。ミキサーは、たとえばショットキー(Schottky)ダイオードなどの非線形素子を含んでもよく、これは放射線を参照信号の整数倍数と組み合わせて、IFを含む和信号および差信号を生成する。実施形態によると、サブハーモニックミキサーが用いられてもよい。IF信号は通常、受信されるテラヘルツ放射線および参照信号と比べて周波数が低く、典型的にIFは0.1~40GHzであるのに対して、入力放射線および参照LO信号は100~500GHzである。ここでIF信号は比較的低周波数であるため、それを容易にフィルタリングし、増幅し、エンベロープ(AM)検出して、受信したテラヘルツ放射線の強度に正比例する強度の電圧を生成でき、その後視野に関する画像を形成するために使用できる。実施形態によると、エンベロープ検出は省略され得る。特定の態様において、1つ以上のデジタイザはGHz(または数十GHz)のクロック速度で動作する。
【0070】
ここで
図11を参照すると、いくつかの実施形態による製造プロセス1100が提供される。たとえばプロセス1100は、実施形態による1つ以上の検出器アレイ102、104、ならびに
図4Aおよび
図4Bに示される1つ以上のブロックの少なくとも一方を製造するために用いられてもよい。同様にプロセス1100は、
図13Aに示されるシステム1300の1つ以上の素子(例えば、素子1302および1304)を製造するために用いられてもよい。
図12Aは、いくつかの実施形態およびプロセス1100による第1の機械加工されたハウジングコンポーネント1202と、第2の機械加工されたハウジングコンポーネント1204との組み合わせを示す。
【0071】
プロセス1100はステップs1110から始まってもよく、このステップは、第1の無線周波数(RF)チャネル部分と、第1の局部発振器(LO)チャネル部分と、第1の中間周波数(IF)チャネル部分と、偏光回転部分と、第1のミキサー装着キャビティとを含む第1のハウジングコンポーネントを機械加工することを含む。同様に、ステップs1120は、第2の無線周波数(RF)チャネル部分と、第2の局部発振器(LO)チャネル部分と、第2の中間周波数(IF)チャネル部分と、偏光回転部分と、第2のミキサー装着キャビティとを含む第2のハウジングコンポーネントを機械加工することを含む。いくつかの実施形態において、プロセス1100は任意のステップs1130~s1150を含む。ステップs1130において、第1および第2の装着キャビティの少なくとも一方にヘテロダインミキサーが装着される。ステップs1140において、第1の検出器ブロックを形成するために第1および第2のハウジングコンポーネントが取り付けられる。ステップs1150において、第2の検出器ブロックが第1の検出器ブロックに取り付けられて、たとえばアレイ102、104またはブロック400、450などの統合ブロックが形成される。第1および第2の検出器ブロックを取り付けることは、第1の検出器ブロックの外表面を第2の検出器ブロックの外表面に取り付けることを含んでもよく、ここで第1の検出器ブロックの外表面は、RFおよびLOチャネル部分と同じ平面、かつIFチャネル部分と直交する平面に形成される。
【0072】
いくつかの実施形態において、第1および第2のブロックは直接取り付けられず、代わりにそれらの間に処理回路が置かれる。したがってプロセス1100は、第1および第2のブロックの間に処理回路を提供するステップを含んでもよい。
【0073】
実施形態によると、偏光プレートの第1の側部に1つ以上のブロックを形成し、次いで偏光プレートの第2の側部に1つ以上のブロックを形成するために、プロセス1100が繰り返されてもよい。したがってプロセス1100は、検出器ブロックの間に偏光プレートを(例えば、45度の角度で)置くことを含んでもよい。
【0074】
ここで
図12Aを参照すると、コンポーネント1202および1204を取り付けることによって、ブロック1200を形成できる。ブロック1200は、アレイブロック102、104、400、および450か、またはアレイブロック102、104、400、および450のサブブロックの1つ以上であってもよい。
図12Aに示されるとおり、ブロック1200はノッチ1206を含んでもよい。たとえば、第1のノッチ1206aはブロック1200の第1の表面1208(例えば、下側表面)に提供されてもよく、一方で第2のノッチ1206bは反対側の表面(例えば、上側表面)に提供される。いくつかの実施形態において、これらのノッチは角度を付けられる。しかし、他の実施形態において、これらのノッチはブロック表面1208に対して垂直であってもよい。
図12Aにさらに示されるとおり、第1および第2のノッチ1206a、1206bは互いに位置合わせされ得る。たとえばこれらのノッチは、たとえばアレイ102、104、およびシステム100などに対して、アレイサイズを鉛直方向に拡張するために複数のブロック1200を積み重ねるために用いられてもよい。これは例として、
図12Bにおいて積み重ねられた配置のブロック1200によって示されている。この例においてはブロック1210がブロック1212の頂部に積み重ねられており、いくつかの実施形態においては同一の積み重ねモジュールであってもよい。同じフィードホーンサイズを有する同一のブロックが示されているが、異なる周波数(すなわちフィードホーンサイズ)に対するブロック1200が、1つ以上のノッチ1206を含む全体的に同じ形状およびサイズを有してもよく、よって積み重ねられ得る。
図12A~
図12Cの例において、スタッキングノッチ1206を含む表面上にはRF入力、LO入力、またはIF出力が存在しない。
図12Cに示されるとおり、たとえば
図6~
図9に関連して考察されたとおり、(n
1ブロックによる)鉛直方向および(n
2ブロックによる)水平方向の両方にアレイサイズを延長するようにブロック1200が配置されてもよい。ブロック1200は信号入力またはフィードホーン1214と、電力入力またはLOチャネル1216と、信号出力またはIFチャネル1218とを含んでもよい。
図12Aに示されるとおり、入力1214、1216は第1の軸に沿って伸長するのに対し、出力1218は第2の垂直軸に沿って伸長する。
【0075】
ここで
図13Aおよび
図13Bを参照すると、いくつかの実施形態による検出システム1300の画像が提供される。
図13Aに示されるとおり、システム1300は第1および第2の検出器アレイ1302および1304を含み、その間に偏光プレート1306が置かれている。処理回路1308は積み重ねられた構成で提供され、画像処理1310に対する出力を有する。分配器1314aおよび1314bを有するソース1312によって、LO信号が提供される。
図13Bはシステム1300の別の角度を示しており、偏光プレート1306と、プレートのワイヤグリッド1320部分との詳細を表記している。
【0076】
実施形態は例として125GHz、250GHz、375GHz、および500GHzを使用するが、他の周波数セットが用いられてもよい。たとえば、60、120、240、360、および480GHzが用いられてもよい。この周波数セットは、大気中の酸素の吸収特性に関する。
【0077】
本開示の態様は、センチメートルからミリメートル未満の範囲の波長における電磁スペクトルを用いた電磁的検出のための走査方法および装置に関する。特定の実施形態は、電磁スペクトルの高周波またはテラヘルツ領域に適用されてもよく、それは多くの用途に対する特定の利益を有し、小さいシステムにおいて高分解能を提供する。この文脈における高周波およびテラヘルツという用語は、ミリメートル付近、ミリメートル、およびミリメートル未満の範囲(例えば、30GHz~1THz)の波長における電磁スペクトルを示し得る。
【0078】
本明細書において本開示のさまざまな実施形態を説明しているが、それらは単なる例として提供されたものであり、限定ではないことが理解されるべきである。よって本開示の広さおよび範囲は、上述の例示的実施形態のいずれかによって限定されるべきではない。一般的に、本明細書で用いられるすべての用語は、異なる意味が明確に与えられるとき、およびその用語が用いられる文脈から示されるときの少なくとも一方の場合を除いて、関連技術分野における通常の意味によって解釈されるべきである。a/an/the素子、装置、コンポーネント、手段、ステップなどに対するすべての参照は、別様に明確に述べられていない限り、その素子、装置、コンポーネント、手段、ステップなどの少なくとも1つの実例を示すものとしてオープンに解釈されるべきである。上述の素子のすべての可能な変形の任意の組み合わせは、本明細書において別様に示されるか、または別様に文脈によって明確に否定されない限り、本開示に包含される。
【0079】
加えて、上述されて図面に示されたプロセスは一連のステップとして示されているが、これは単に例示のために行われたものである。したがって、いくつかのステップが追加されてもよく、いくつかのステップが省略されてもよく、ステップの順序が再配置されてもよく、いくつかのステップが並行して行われてもよいことが予期される。すなわち、あるステップが別のステップに後続または先行することが明確に記載されるとき、およびあるステップが別のステップに後続または先行する必要があることが絶対的であるときの少なくとも一方の場合を除いて、本明細書に開示される任意の方法のステップは、開示された正確な順序で行われる必要はない。