(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】電動型スクータ
(51)【国際特許分類】
B62K 5/027 20130101AFI20250304BHJP
B62K 5/05 20130101ALI20250304BHJP
B62K 5/08 20060101ALI20250304BHJP
B62K 15/00 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
B62K5/027
B62K5/05
B62K5/08
B62K15/00
(21)【出願番号】P 2022535622
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020085303
(87)【国際公開番号】W WO2021116181
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-12-08
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】524412558
【氏名又は名称】ディーフライ グローバル アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジョン ドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ウィルマン
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-529205(JP,A)
【文献】特開2010-052624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/00
B62K 15/00
B62K 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクータであって、
ライダーが起立するためのデッキと、
使用時に前記デッキから上方に突出するティラーと、
2つの前車輪と、
それぞれのステアリング軸周りに前記2つの前車輪を操縦するように構成され
、中央ボスを備えたステアリングシステムと、
少なくとも1つの後車輪と、
を備え、
前記ステアリングシステムが鉛直軸周りの前記ティラーの回転が前記車輪を操縦する第1の操縦モード
を有するように、前記ティラーが、前記中央ボスに対する前記鉛直軸周りの回転のために設置され、
前記ステアリングシステムが水平軸周りの前記デッキの回転が前記車輪を操縦する第2の操縦モード
を有するように、前記デッキが、前記中央ボスに対する前記水平軸周りの回転のために設置されている
スクータ。
【請求項2】
前記ステアリングシステムは、それぞれの前記前車輪に接続された一対のステアリングアームを備え、
前記ステアリングアームはステアリングハブに接続され、
前記ステアリングハブが、前記第1の操縦モードでは前記ティラーの回転とともに移動し、前記第2の操縦モードでは前記デッキの回転とともに移動するように構成された、
請求項
1に記載のスクータ。
【請求項3】
前記ステアリングハブには回転のために前記ティラーが設置され、
前記ティラーが前記鉛直軸周りのティラー旋回部材における回転のために設置され、
前記ティラー旋回部材が前記水平軸周りの前記中央ボスにおける回転のために設置された、
請求項
2に記載のスクータ。
【請求項4】
前記ティラーを前記中央ボスに対する所定のニュートラル回転位置まで反発させるための弾力的センタリング機構を備える請求項
1から
3のいずれか一項に記載のスクータ。
【請求項5】
前記デッキを前記中央ボスに対する所定のニュートラル回転位置まで反発させるためのキャンバー防止機構を備える、
請求項
1から
4のいずれか一項に記載のスクータ。
【請求項6】
前記2つの前車輪が、サスペンションシステムを介して前記中央ボスに設置された、
請求項
1から
5のいずれか一項に記載のスクータ。
【請求項7】
前記サスペンションシステムは、ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムである、
請求項
6に記載のスクータ。
【請求項8】
前記後車輪が後輪マウントにおける回転のために設置され、
前記デッキは前記後輪マウントに関して前記水平軸周りに回転可能である、
請求項1から
7のいずれか一項に記載のスクータ。
【請求項9】
一対の前記後車輪と、
前記2つの後車輪をそれぞれのステアリング軸周りに操縦するように構成された後部ステアリング機構と、
を備える、
請求項1から
8のいずれか一項に記載のスクータ。
【請求項10】
前記水平軸周りの前記デッキの回転が、前記車輪を操縦する、
請求項
9に記載のスクータ。
【請求項11】
前記水平軸周りの前記デッキの回転によって、前記前車輪がそのそれぞれのステアリング軸周りに第1の方向に進み、前記後車輪がそのそれぞれのステアリング軸周りに第2の反対方向に進む、
請求項
10に記載のスクータ。
【請求項12】
前記後部ステアリング機構が、前記第2の操縦モードでは前記後車輪を操縦するが前記第1の操縦モードでは操縦しないように構成された、
請求項
9から
11のいずれか一項に記載のスクータ。
【請求項13】
前記後部ステアリング機構は、各ステアリングが所定の程度のデッキロールに応じて前記車輪を異なる角度で操縦する少なくとも2つのステアリング設定を与えるように調整可能である、
請求項
9から
12のいずれか一項に記載のスクータ。
【請求項14】
前記後部ステアリング機構が、アッカーマンステアリングのために構成された、
請求項
9から
13のいずれか一項に記載のスクータ。
【請求項15】
前部ステアリング機構が、アッカーマンステアリングのために構成された、
請求項1から
14のいずれか一項に記載のスクータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動型スクータに関する。より具体的には、本発明は、電気スクータに関する。
【背景技術】
【0002】
「スクータ」という文言により、我々は、自動二輪車型スクータではなく立ち乗りスクータすなわち「キック」スクータを意味する。本発明によるスクータは、概略として、床面に近くかつ平行であってそこに車輪が設置されたデッキを有することにおいて区別される。アプライト、すなわち「ティラー(tiller)」が、デッキの前端から鉛直上方に延在して設けられてハンドルバーを構成し、安定性及び操縦を促進する。
【0003】
従来的に、そのようなスクータは、人力によって、具体的には、一方の(荷重)足をデッキに載せたまま他方の足でスクータを押し進めることによって動力を与えられていた。最近になると、電動型スクータが市場に登場した。当初の設計は内燃機関を利用していたが、バッテリ給電型電気スクータが2010年代初頭から普及し、速く、効率良く、環境に優しくかつ便利な移動方法となった。
【0004】
従来技術
一部のキックスクータ(特に、ジュニア市場をターゲットとしたもの)は、一般的に単一の前輪及び単一の後輪を有する。それらは、ハンドルバーを用いる鉛直軸周りのティラーの回転が前輪も回転させることになる単純な操縦システムを利用する。
【0005】
上記のような公知のスクータの1つは、Moove(商標)のスクータ群である。それらのバッテリ給電型電気スクータは、前輪が略鉛直軸周りに旋回して操縦する2輪設計(前輪及び後輪)のものである。その軸周りのハンドルバーの回転によって前輪が回転する。これらの製品は、従来的な2輪型「トリック」スクータに基づく。
【0006】
Bajaboard(商標)は、それ自体はスクータではないが、オフロード用途に設計された4輪型電気スケートボードである。それは、長手又は水平軸周りにボードを回転させる(すなわち、ボード上で「傾斜すること」)ことによって操縦可能となる。
【0007】
Cycleboard(商標)は、「傾けて操縦する」操縦システムを特徴とする3輪型電気スクータである。前部に2つの車輪が設けられ、後部に1つの車輪が設けられる。特許文献1は、Cycleboard(商標)に関する。同書類によると、「ステアリングトランスミッションアームが横方向動作を、一対のステアリングロッドを介して前輪に伝達させるので、スクータデッキが傾斜構成の一方に傾けられると、その動作によってステアリングトランスミッションアームがステアリングロッドを介して前輪をターンさせる。」
【0008】
特許文献1は、鉛直ステアリング軸を有するそれぞれの車輪旋回部を中心として2つの前輪がフレームに対して回転可能なスクータを開示する。デッキは、進行方向における「ロール」すなわち水平軸周りの回転のために装備される。開示のスクータのアプライトは、デッキに向けて折畳み可能であるが、それがデッキをロール軸周りに「ロール」又は「傾斜」するのを補助するのに使用可能となるように、デッキに対して強固に取り付けられている。アプライトは、鉛直軸周りに回転固定される。
【0009】
機構は、デッキがロール軸に関して側方に傾斜されると車輪がそれらのそれぞれのステアリング軸周りに(ロールと同じ方向に)ターンするように設けられる。機構は、第1の端部においてフレームに対して旋回され、中間点においてデッキに結合され、第2の端部において2つのステアリングロッドに取り付けられたステアリングトランスミッションアームを有する。デッキが水平軸周りに回転されると、ステアリングトランスミッションアームは回転において駆動され、このようにそれぞれの車輪をそれらのそれぞれのステアリング軸周りに回転させるようにステアリングアームを駆動する。
【0010】
基本的に、従来技術では2つのタイプの操縦が提供される。一方のタイプは、ほとんどの2輪型トリックスクータで見られる「鉛直旋回」操縦である。このタイプの操縦は、非常に敏感であって高度の操作性を与えることができるため、低速移動及びトリックスクータに有用である。他方のタイプは、3輪型オフロード及び高速電気スクータで見られる「傾けて操縦する」操縦である。このタイプの操縦は、高速安定「カービング」ターンに適するが、低速での操作性に欠ける。もちろん、低速で小さなターンを行うには、ライダーがデッキを大きくロールする必要があり、それは困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【0012】
従来技術の上記問題を克服すること又は少なくとも軽減することが、本発明の目的である。
【0013】
本発明の第1の態様によると、スクータであって、
ライダーが起立するためのデッキと、
使用時にデッキから上方に突出するティラーと、
2つの前車輪と、
それぞれのステアリング軸周りに2つの前車輪を操縦するように構成されたステアリング機構と、
少なくとも1つの後車輪と、
を備え、
ステアリングシステムは、
鉛直軸周りのティラーの回転が車輪を操縦する第1の操縦モードと、
水平軸周りのデッキの回転が車輪を操縦する第2の操縦モードと、
を有する、スクータが提供される。
【0014】
有利なことに、このデュアルモード操縦は、デッキロールを用いて、操縦の低速用の第1のモード及び「カービング」高速モードの双方において高い操作性を与える能力を提供する。両モードは、スクータ上で何らの制御も切り換える必要なしに、併せて使用可能である。
【0015】
「第1の操縦モード」及び「第2の操縦モード」によって、2つのモード間を切り換えるのに積極的な制御が必要となることを意味するのではなく、操縦が第1のモード及び/又は第2のモードを用いて操作可能であることを意味する。言い換えると、これらのモードは、ライダーの選好でスクータの使用時の任意の時点で独立して又は同時に利用可能である。
【0016】
好ましくは、中央ボスが設けられ、
ティラーは、中央ボスに対する鉛直軸周りの回転のために設置され、
デッキは、中央ボスに対する水平軸周りの回転のために設置される。
【0017】
好ましくは、ステアリングシステムは、それぞれの前車輪に接続された一対のステアリングアームを備え、ステアリングアームはステアリングハブに接続され、ステアリングハブは第1の操縦モードではティラーの回転とともに移動し、第2の操縦モードではデッキの回転とともに移動するように構成される。
【0018】
好ましくは、ステアリングハブには回転のためにティラーが設置され、ティラーは鉛直軸周りのティラー旋回部材における回転のために設置され、ティラー旋回部材は水平軸周りの中央ボスにおける回転のために設置される。
【0019】
好ましくは、ティラーを中央ボスに対する所定のニュートラル回転位置まで弾性復元させるために弾力的センタリング機構が設けられる。
【0020】
好ましくは、デッキを中央ボスに対する所定のニュートラル回転位置まで弾性復元させるためにキャンバー防止機構が設けられる。
【0021】
好ましくは、2つの前車輪は、サスペンションシステムを介して中央ボスに設置される。
【0022】
好ましくは、サスペンションシステムは、ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムである。
【0023】
好ましくは、後車輪は後輪マウントにおける回転のために設置され、デッキは後輪マウントに関して水平軸周りに回転可能である。
【0024】
4輪を有する実施形態もあり、一対の後車輪と、後部ステアリング機構と、が設けられ、それぞれのステアリング軸に関してその2つの後車輪を操縦するように構成される。
【0025】
好ましくは、水平軸周りのデッキの回転が、車輪を操縦する。
【0026】
好ましくは、水平軸周りのデッキの回転によって、前車輪がそのそれぞれのステアリング軸周りに第1の方向に進み、後車輪がそのそれぞれのステアリング軸周りに第2の反対方向に進む。
【0027】
好ましくは、後部ステアリング機構は、第2の操縦モードでは後車輪を操縦するが第1の操縦モードでは操縦しないように構成される。
【0028】
好ましくは、後部ステアリング機構は、各ステアリングが所定の程度のデッキロールに応じて車輪を異なる角度で操縦する少なくとも2つのステアリング設定を与えるように調整可能である。
【0029】
好ましくは、後部ステアリング機構は、アッカーマンステアリングのために構成される。
【0030】
好ましくは、前部ステアリング機構は、アッカーマンステアリングのために構成される。
【0031】
第2の態様によると、電動型スクータであって、
ライダーが起立するためのデッキと、
使用時にデッキから上方に突出するティラーと、
少なくとも1つの前車輪と、
少なくとも1つの後車輪と、
を備え、
少なくとも1つの車輪が電動化され、
ティラーは左手グリップ、右手グリップ、及び左手グリップと右手グリップの間の第1の制御部材を備え、制御部材は、電動化された車輪への電力を制御するように水平軸周りに旋回可能である、電動型スクータが提供される。
【0032】
有利なことに、これは、ユーザは1本又は2本の親指を用いるだけでスクータを制御できるという手軽な制御を提供する。
【0033】
好ましくは、第1の制御部材は、左手グリップに隣接する第1の制御領域及び右手グリップに隣接する第2の制御領域を備える。
【0034】
好ましくは、制御領域は、少なくとも部分的に円筒状である。
【0035】
好ましくは、第1の制御領域及び第2の制御領域は離間され、第1の制御領域と第2の制御領域の間に第2の制御部材を備える。
【0036】
好ましくは、第2の制御部材はボタンである。
【0037】
好ましくは、第2の制御部材は左手制御領域に近接する左折信号制御部であり、右手制御領域に近接して第1の制御領域と第2の制御領域の間に右折信号制御部の形態で第3の制御部材を備える。
【0038】
好ましくは、第1の制御領域と第2の制御領域の間に第4の制御部材が設けられ、第4の制御部材はホーンである。
【0039】
本発明の第3の態様によると、使用のために組立て可能であるとともに切換のために切離し可能な少なくとも2つのサブバッテリパックを備えるバッテリ給電型電気スクータバッテリーパックが提供される。
【0040】
好ましくは、その各サブバッテリパックは、160Whr以下のエネルギー容量を有する。
【0041】
本発明はまた、第3の態様によるバッテリパックを備えるバッテリ給電型電気スクータを提供する。
【0042】
第4の態様によると、スクータであって、
ライダーが起立するためのデッキと、
使用時にデッキから上方に突出するティラーと、
少なくとも1つの前車輪と、
を備え、
使用時にティラーがデッキから上方に突出する展開状態、及びティラーがデッキと略平行となるように回転される折畳み状態を有し、
折畳み状態は、ティラー上の第1の構成要素とデッキ上の第2の構成要素との間の磁気引力によって維持され、第1の構成要素及び第2の構成要素の位置調整は、第1の構成要素及び第2の構成要素から離間された、ティラー及びデッキの対応する形成物の間の嵌合接続によって確立される、スクータが提供される。
【0043】
好ましくは、対応する形成物の間の嵌合接続は、ティラー上の第1の構成要素及び磁気接続を形成するデッキ上の第2の構成要素よりも、デッキ及びティラーが接合される位置に近い。
【0044】
第5の態様によると、スクータであって、
ライダーが起立するためのデッキと、
第1の端部においてデッキに接続され、第2の端部において一対の離間したハンドル部分を画定するティラーと、
少なくとも1つの前車輪と、
少なくとも1つの後車輪と、
を備え、
ティラーは、ティラーがデッキに達する第1の端部からハンドル部分内の第2の端部まで延在する内部のスパインを備え、スパインはY字形状である、スクータが提供される。
【0045】
本発明による例示のスクータを、添付図面を参照してここに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】折畳み状態における本発明による第1のスクータの第1の斜視図である(
図1a)。
図1のスクータの第2の斜視図である(
図1b)。
図1のスクータの下面図である(
図1c)。
【
図3】平らに寝かせた折畳み状態における
図1のスクータの斜視図である(
図3a)。折畳み直立状態における
図1のスクータの斜視図である(
図3b)。
【
図4】
図1のスクータのデッキアセンブリの斜視図である。
【
図5】
図1のスクータのティラーの斜視図である(
図5a)。
図5aのティラーの一部の詳細図である(
図5b)。
図5aのティラーの一部の詳細断面図である(
図5c)。第1の状態における
図5aのティラーのヒンジ機構の斜視図である(
図5d)。第2の状態における
図5aのティラーのヒンジ機構の斜視図である(
図5e)。第3の状態における
図5aのティラーのヒンジ機構の斜視図である(
図5f)。第4の状態における
図5aのティラーのヒンジ機構の斜視図である(
図5g)。
図5aのティラーの一部の斜視図である(
図5h)。
図5aのティラーのバッテリパックの部分分解斜視図である(
図5i)。
図5aのティラーの制御領域の斜視詳細図である(
図5j)。
図5aのティラーの制御領域の斜視詳細図である(
図5k)。
図5aのティラーの内部構成要素の斜視図である(
図5l)。
【
図6】
図1のスクータの前輪サスペンション・ステアリングアセンブリの斜視図である(
図6a)。
図6aの前輪サスペンション・ステアリングアセンブリの一部の斜視図である(
図6b及び
図6c)。
図6aの前輪サスペンション・ステアリングアセンブリのそれぞれ前方及び後方から見た図である(
図6d及び
図6e)。
図6aの前輪サスペンション・ステアリングアセンブリの斜視図である(
図6f)。
図6aの前輪サスペンション・ステアリングアセンブリのそれぞれ前部及び後部の種々の部品の分解図である(
図6g)。
図6aの前輪サスペンション・ステアリングアセンブリのそれぞれ前部及び後部の種々の部品の斜視図である(
図6h及び
図6i)。
図6aの前輪サスペンション・ステアリングアセンブリのそれぞれ前部及び後部の種々の部品の分解図である(
図6j)。
図6aの前輪サスペンション・ステアリングアセンブリのそれぞれ前部及び後部の種々の部品の詳細図である(
図6k)。
図6aの前輪サスペンション・ステアリングアセンブリの種々の部品の下面図である(
図6l)。
【
図7】
図1のスクータの後輪アセンブリの斜視図である(
図7a)。
図7aの後輪アセンブリの側面図である(
図7b)。
図7aの後輪アセンブリの一部部品の斜視図である(
図7c)。
図7aの後輪アセンブリの一部部品の分解図である(
図7d)。
図7aの後輪アセンブリの一部の斜視図である(
図7e及び
図7f)。
図7aの後輪アセンブリの一部部品の斜視図である(
図7g)。
【
図8】ニュートラル状態における
図1のスクータの一部の正面図である(
図8a)。前部サスペンションの関節接合状態における
図1のスクータの一部の正面図である(
図8b)。
【
図9】ニュートラル状態における
図1のスクータのそれぞれ正面図(
図9a)及び下面図(
図9b)である。第1の操縦モードにおける
図1のスクータのそれぞれ正面図(
図9c)及び下面図(
図9d)である。
【
図10】ニュートラル状態における
図1のスクータのそれぞれ正面図(
図10a)、背面図(
図10b)及び背面断面図(
図10c)である。第2の操縦モードにおける
図1のスクータのそれぞれ正面図(
図10d)、背面図(
図10e)及び背面断面図(
図10f)である。
【
図11】本発明による第2のスクータの第1の斜視図である。
【
図12】
図11のスクータの一部分の詳細図である(
図12a)。
図11のスクータの種々の構成要素の分解斜視図である(
図12b)。
図11のスクータのサブアセンブリの斜視図である(
図12c及び
図12d)。
図11のスクータの後部左サスペンションアセンブリの斜視図である(
図12e)。
図11のスクータの後部右サスペンションアセンブリの斜視図である(
図12f)。
図11のスクータの後部ステアリングアセンブリの斜視図である(
図12g)。
【
図13】ニュートラル状態における
図11のスクータの一部の背面図である(
図13a)。後部サスペンションの関節接合状態における
図11のスクータの一部の背面図である(
図13b)。
【
図14】ニュートラル状態における
図11のスクータの一部の背面図である(
図14a)。後部ステアリングシステムの関節接合状態における
図11のスクータの一部の背面図である(
図14b)。後部ステアリングシステムの関節接合状態における
図11のスクータの平面図である(
図14c)。ティラー旋回操縦モードにおける
図11のスクータの平面図である(
図14d)。後部ステアリングシステムの下面図である(
図14e)。
【
図15】ステアリングシステムの第1の設定における
図11のスクータの一部の背面図である(
図15a)。ステアリングシステムの第2の設定における
図11のスクータの一部の背面図である(
図15b)。
【発明を実施するための形態】
【0047】
第1の実施形態
図1a~
図1c及び
図2bは、本発明の第1の態様による電気スクータ100全体の種々の図面である。本開示の目的のため、以下のように全体的な方向及び軸を定義することが有用である。
・水平長手軸Xに沿う前方進行方向
この軸周りの回転を「ロール」とする。
・水平軸Yに沿う横方向
この軸周りの回転を「ピッチ」とする。
・鉛直軸Zに沿う鉛直方向
この軸周りの回転を「ヨー」とする。
【0048】
スクータ100は、デッキアセンブリ102、ティラーセンブリ104、前輪サスペンション・ステアリングアセンブリ106及び後輪アセンブリ108を備える。
図1a~
図1c並びに
図3a及び
図3bを比較すると、スクータ100は、ティラー104がそれに対して垂直な(直立した)状態で地面上にデッキ102がある展開状態から、デッキとティラーとが平行な折畳み状態に移行可能である。
【0049】
第1の実施形態の構造
デッキアセンブリ102
図4を参照すると、デッキアセンブリ102が示されている。
【0050】
デッキアセンブリ102は、前方部分112、後方部分114及び中央部分116を有するデッキパネル110を備える。前方及び後方部分112、114は、それぞれ平坦な平面状中央部分116に対して45度に延在する上方湾曲領域118、120によって画定される。前方及び後方部分112、114の各々は、中央部分116よりも横方向において狭く、湾曲領域118、120においてテーパ状でもある。デッキパネル110は、軽量かつ硬質となるように複合材(例えば、炭素繊維強化ポリマー)から構成される。
【0051】
デッキアセンブリ102は、前部デッキインサート122及び後部デッキインサート124を備える。デッキインサート122、124は、金属材料から構成され(それにより、ネジを保持することができ)、固定孔126、128をそれぞれデッキアセンブリ102の表面に開口させた状態でパネル110に埋め込まれる。各デッキインサート122、124は、それぞれの湾曲領域118、120を通じて延在する。
【0052】
後部デッキインサート124は、強磁性材料から構成されたロック用プレート125を備える。
【0053】
ティラーセンブリ104
図5a~
図5kは、ティラー104を示す。ティラー104は、
・ティラー旋回・折畳みサブアセンブリ130(
図5b~
図5g)、
・バッテリアセンブリ134(
図5h及び
図5i)、
・制御アセンブリ135(
図5j及び
図5k)、及び
・スパイン132(
図5l)
を備える。
【0054】
ティラー旋回・折畳みサブアセンブリ130を
図5b~
図5gに示す。アセンブリは、ティラー旋回シャフト138、ティラーマウント348及び留め具350を備える。
【0055】
ティラー旋回シャフトは、主軸部分342、及びチルト旋回シャフト孔346を画定するヘッド344を備える(
図5c及び
図5g)。
【0056】
ティラーマウント348は、ティラーの主部に取り付けられ、それとともに可動である。ティラーマウント348は、チルト旋回シャフト孔346に係合されるチルト旋回シャフト352を介してティラー旋回シャフト138に旋回可能に設置される。これにより、ティラーマウント348(及びティラー)が折畳み軸FA周りに回転可能となる。
【0057】
留め具350は、ティラーマウント348の両側に2枚の離間したプレートを備える。留め具350は、ティラーマウント348と面一となる収納位置(
図5d)と、デッキに略平行に突出するように90度回転した展開位置との間で回転可能なペダル354を備える。これは、ユーザの足がペダル354を作動させることを可能とする。留め具350は、ティラーマウント348に対する回転を可能とする旋回ピン356を有する。留め具350は、当接シャフト358をさらに備える(
図5c)。
【0058】
バッテリアセンブリ134を
図5d及び
図5eに示す。バッテリアセンブリ134は、ティラーサブアセンブリ300及びバッテリモジュール302を備える。ティラーサブアセンブリは、バッテリモジュールからの(例えば、車輪モータ、ライト、サウンドを給電する際の)電気エネルギー及び例えばブレーキをかけること(車輪モータの逆駆動)からエネルギーを回生する際のバッテリモジュールへの電気エネルギーの伝達のための電力コネクタを備える。
【0059】
バッテリモジュール302は、ティラーのベースに容易に設置及び取外しされるように構成される。モジュール302は、機械的ロック機構を解除して方向BRにおけるモジュール302の取外しを可能とするように方向Lに持ち上げられ得るレバー304を備える。モジュール302の交換は、ティラーサブアセンブリ300とバッテリモジュール302の間の電気的接続部を再接続する。
【0060】
この特定の実施形態では3種類のバッテリモジュール302がある:
・移動パック(モジュール302)、
・標準容量パック、及び
・大容量パック。
【0061】
標準及び大容量パックは、所定量のエネルギーを提供する複数の単位モジュールである(大容量パックは単により多くのセルを含む)。
【0062】
モジュール302の実施形態である移動パックは、320Whr(ワット-時間)のエネルギー貯蔵容量を有する。パック302は、モジュールキャリア306、第1のバッテリサブモジュール308及び第2のバッテリサブモジュール310を備える。各サブモジュール308、310は、160Whrの容量を有する。これは、バッテリサブモジュール308、310が(例えば、双方をキャリア306から取り外すことによって)独立しており、CAA(民間航空局)規則の下で乗客機内持ち込み荷物に収容され得ることを意味する。これにより、スクータ及び付随するバッテリの航空機での許可された輸送が可能となる。
【0063】
制御アセンブリ135は、ティラーの最上部に(展開状態におけるデッキから最遠に)位置し、
図5j及び
図5kに示される。制御アセンブリは、ベース領域312を備え、そこから第1及び第2のアーム314、316がそれぞれ第1の部分318、320において鉛直上方かつ外向きに突出するとともにそれぞれ第2の部分322、324において上方かつ内向きに突出し、それぞれの自由端を接合するクロスバー部分326に達する。したがって、制御アセンブリは、6角形を形成する。
【0064】
ユーザインターフェース328は、ベース領域312に載置して設けられ、ライダーに速度、残り範囲などの情報を通知するのに使用可能な情報画面を備える。画面は、例えば、サウンド、走行制御などを制御する入力デバイスとしても機能し得る。
【0065】
クロスバー326は、主な駆動制御部を備える。アクセル/ブレーキ制御部328が、(クロスバー326に平行な)水平制御軸CA周りに回転可能な単一の回転可能制御部材330を備えて設けられる。部材330は、2つの離間した制御面332、334を備える。一方の制御面332が左手アーム314に近接し、他方の面334が右手アーム316に近接する。面332、334は、そこに形成された凹部336、338を有して円筒形状となる。
【0066】
面332と面334の間には、ボタンアレイ340が設けられる。ボタンアレイ340は、ホーンボタン342及び左右のインジケータボタン344、346を備える。
【0067】
駆動制御部は、以下のように接続されて動作する。
【0068】
ユーザは、アーム314、316の第2の部分322、324を握り、それにより、彼又は彼女の親指を制御面332、334及びボタン344、346、348の一方又は両方に位置させることができる。親指は凹部336、338に乗り、ユーザが部材330を前後に回転させることが可能となる。部材330は、ニュートラル位置に向けて弾力的に付勢される。軸CA周りの前方への回転によって、電力がバッテリから車輪モータに供給されてスクータを加速する。部材330を解放することにより、スクータが自由車輪状態となり、回転方向を逆転することにより(すなわち、下向きにすることで)車輪モータから電気エネルギーを回収すること(すなわち、発電機として作用してバッテリを充電すること)による制動がもたらされる。
【0069】
ユーザはまた、その親指を用いてホーン348及び左右のインジケータ344、346を押下することができる。2つの面332、334がともに回転するので、ユーザは一方の親指を押下させたままとするだけでよく、他方を休ませることができ又は他のボタンの1つを押下するのに用いてもよい。
【0070】
図5lを参照すると、ティラー104は、ティラーマウント348に設置するための第1の端部において設置形成物364から、「Y」形状スパインを形成する第1のアーム368及び第2のアーム370に、長細いU字状部分366を介して延在するスパイン132によって支持される。アーム368、370は、制御アセンブリのアーム314、316の第1の部分318、320内に延在する。スパイン132は、ティラーの内部に設けられ、略単位構成要素となる。したがって、それは硬質であり、ユーザの手によってティラーに掛けられる両方の曲げ荷重に反応し、乗車中に必要となるステアリングトルクを伝達することができる。
【0071】
前輪サスペンション・ステアリングアセンブリ106
図6a~
図6kは、前輪サスペンション・ステアリングアセンブリ106を示す。
【0072】
アセンブリは、以下の部品に分離可能である:
・中央ボス400(
図6b及び
図6c)、
・左サスペンションサブアセンブリ402及び左車輪404(
図6d~
図6g)、
・右サスペンションサブアセンブリ406及び右車輪408、並びに
・ステアリングサブアセンブリ410(
図6h~
図6k)。
【0073】
中央ボス400
中央ボス400を
図6b及び
図6cに詳細に示す。これは、金属から構成される単位構成要素である。ボス400は、(軸Xに平行な)長手方向に配向されたデッキ旋回軸DPAを画定する貫通孔414を有する中央円筒部分412を備える。
【0074】
図6bを参照すると、下部サスペンション取付け部分416が、中央円筒部分412の直下に設けられる。部分416は、左手下部サスペンション取付け孔418及び右手下部サスペンション取付け孔420を備える。孔418、420は、相互からオフセットされ、デッキ旋回軸DPA及び長手軸Xに平行である。グラブねじ孔が、孔418、420と連通してかつそれに垂直に設けられ、部分416の下面(不図示)から延在する。
【0075】
中央円筒部分412の下方かつ後方に向けて延在して、デッキ支持部分422が設けられる。デッキ支持部分422は、下部サスペンション取付け部分416のそれぞれ下部サスペンション取付け孔418、420に対して直接対向して位置調整される一対の下部サスペンション取付け孔424、426を備える。
図6bでは、左手下部サスペンション取付け孔424のみが視認可能である。
【0076】
デッキ支持部分422は、凹状部分円筒面として形成されたデッキマウント軸受面428をさらに画定する。デッキ支持部分422の左手側及び右手側には、それぞれのキャンバー防止スプリング支持ウイング430、432が設けられる。
【0077】
ボス400の前面には、中央円筒部分412の直上に、デッキ旋回軸DPAに平行にボス400内に延在して、回転制限長孔434が設けられる。長孔434は、弧状であり、デッキ旋回軸DPAを中心とする。
【0078】
ボス400の背面には、中央円筒部分412の直上に、デッキ旋回軸DPAに平行に後方に向けて延在して、回転制限突起436が設けられる。
【0079】
上部サスペンション取付け部分438は、中央円筒部分412の直上に設けられる。部分438は、左手上部サスペンション取付け孔440及び右手上部サスペンション取付け孔442を備える。孔440、442は、相互からオフセットされ、デッキ旋回軸DPA及び長手軸Xに平行である。それらは、それぞれの下部サスペンション取付け孔424、426の直上にある。グラブねじ孔444、446は、孔440、442と連通してかつ垂直に設けられ、部分438の上面から延在する。
【0080】
部分438の両側から横方向に延在して、2つの平行な左手上部ウィッシュボーン取付けフランジ448、450及び2つの平行な右手上部ウィッシュボーン取付けフランジ452、454が設けられる。各フランジは、それぞれのウィッシュボーン取付け孔456、458、460、462をそれぞれ画定する。
【0081】
左サスペンションサブアセンブリ402及び左車輪404
左サスペンションサブアセンブリ402及び車輪404を
図6d~
図6fに示す。左サスペンションサブアセンブリは、独立したダブルウィッシュボーン構成のものである。
【0082】
アセンブリは、左車輪ハブ464、左上車輪旋回部466、左下車輪旋回部468、左上ウィッシュボーン470、左下ウィッシュボーン472及び左スプリングダンパーアセンブリ474を備える。
【0083】
左車輪ハブ464は、車輪自体の内部に組み込まれたDC電動モータを介して左車輪402の回転設置のために構成された本体476を備える。DC電動モータは、トルクを車輪404にかけて左前輪軸FLW周りの回転において車輪を駆動するように構成される。
【0084】
ハブ464は、泥除け480の取付けのために後方に向かって延在する泥除け取付けフランジ478をさらに備える。
【0085】
左車輪ハブは、鉛直にそこを通じて延在するステアリング中心ピン受容孔482を備える。ハブの前方に延在して、鉛直ステアリングピン受容孔486を画定するステアリングアーム484が画定される。
【0086】
回転制限ピンラグ488は、ピン受容孔490を画定するハブ464から横方向内向きに突出して画定される。
【0087】
左上車輪旋回部466は、弧状長孔494を画定するベース部分492を備える。旋回孔498を画定するウィッシュボーン設置ラグ496は、ベース部分492から上方に突出する。
【0088】
左下車輪旋回部468は、ベース部分500を備える。旋回孔504を画定するウィッシュボーン設置ラグ502は、ベース部分500から下方に突出する。
【0089】
左上ウィッシュボーン470は、位置調整された旋回孔510、512がその自由端に画定された前方アーム506及び後方アーム508を有する略U字形部材である。自由端に対向して、旋回受容長孔514は、交差する貫通孔516を有して画定される。
【0090】
左下ウィッシュボーン472は、位置調整された旋回孔524、526がその自由端に画定された本体部分518、前方アーム520及び後方アーム522を有する。自由端に対向して、旋回受容長孔528は、交差する貫通孔530を有して画定される。スプリングダンパー受容開口532が、貫通孔534によって交差される本体部分に設けられる。
【0091】
左スプリングダンパーアセンブリ474は、当技術で周知であり、詳細に説明しない。それは、孔538を画定する第1の取付けラグ536及び孔542を画定する第2の取付けラグ540を備えると言えば充分である。スプリングダンパーアセンブリ474は、可変長のものであり、当技術で周知であるように圧縮可能かつ弾性復元的である。それは、減衰特性も有する。
【0092】
右サスペンションサブアセンブリ406及び右車輪408
右サスペンションサブアセンブリ及び車輪は、上述したように左サスペンションサブアセンブリ及び左車輪の鏡像となる。部品に対する符号には、例えば右車輪ハブ464´のように、プライム(´)が付される。右車輪408は、右車輪回転軸FRW周りに回転し、ニュートラル操縦位置では左車輪回転軸FLWに平行となる。
【0093】
ステアリングサブアセンブリ410
ステアリングサブアセンブリ410は:
・前部デッキマウント544、
・ティラー旋回部546、
・左手キャンバー防止スプリングアセンブリ548、
・右手キャンバー防止スプリングアセンブリ550、
・左手ステアリングリンク552、
・右手ステアリングリンク554、
・左手ステアリングリンク中央旋回部556(
図6k)、
・右手ステアリングリンク中央旋回部558(
図6k)、
・センタリングアセンブリ560(
図6j)
を備える。
【0094】
ティラーセンブリ104のティラー旋回シャフト138も示される。
【0095】
前部デッキマウント544は、デッキ110の下面にプロファイル化されたデッキ当接面562を備える。2つの離間した位置調整突起563、565が、鉛直上方に突出するように前部デッキマウント544の上側縁部から延在する(
図2aも参照)。デッキマウント544は、略水平に配向されるシャフト受容開口孔564をさらに備える。
【0096】
ティラー旋回部546は、略垂直かつ円筒形態であってそこを通じて延びる旋回シャフト孔568を有してティラー旋回軸TPAを画定する第1の部分566を備える。第1の部分の上端において、軸方向に延在するスプリング当接突起573が画定される。第1の部分の上端の両側の接線方向に延在して、旋回制限当接部575、577が設けられる。デッキ旋回シャフト573は、第1の部分566に垂直に延在し、プロファイル化された端部575とともに略円筒状である。
【0097】
左手及び右手キャンバー防止スプリングアセンブリ548、550は、圧縮スプリングを備える。
【0098】
ステアリングリンク552、554は、相互に鏡像となり、概ね硬質であり、圧縮負荷及び引張負荷を伝達することができる。
【0099】
センタリングアセンブリ560は、ステアリングハブ577、ハウジング581及びトーションスプリング576を備える。
【0100】
ステアリングハブ577は、略平坦であり、そこを通じるシャフト開口578を画定する。ステアリングハブ577から上方に開口及び突出するシャフトに隣接して、弧状スプリング当接部580が設けられる。スプリング当接部580から径方向外向きに、長孔582が画定される。ステアリングハブ577から下向きに突出して、ステアリングラグ584が設けられる。
【0101】
ハウジング581は、空洞及びそこを通じるシャフト開口586を画定する略凹状である。
【0102】
トーションスプリング576は、第1のスプリング当接部588及び第2のスプリング当接部590を備える。
【0103】
後輪アセンブリ108
後輪アセンブリ108を
図7a~
図7gに示す。
【0104】
後輪アセンブリは、後輪700、後輪キャリッジ702、後部デッキマウント704及びブレーキサブアセンブリ706を備える。
【0105】
後車輪(後輪)は、当技術で一般に周知のものであり、後輪軸RW周りの回転を促進する中央軸受構成を備える。
【0106】
後輪キャリッジ702を
図7dにより詳細に示す。キャリッジは、後部フォーク708、左手カバー710及び右手カバー712を備える。後部フォーク708は、略U字形状であり、左アーム714、右アーム716及びベース部分718を備える。各アーム714、716は、車軸受容孔720、722を画定する。ベース部分718は、スプリングピン受容孔728、730を各々が画定する2つの下部ラグ724、726画定する。ベース部分718はまた、そこを通過するブレーキスプリング空洞732を画定し、スプリング当接部734及びその対向壁部に2つの離間したブレーキ旋回孔736、738を画定する。
【0107】
後部デッキマウント704は、デッキ110の下面にプロファイル化されたデッキ当接面740を備える。後部デッキマウント704は、(
図7fを参照すると)それぞれの孔748、750を画定する2つの離間した車輪キャリア取付けラグ744、746を画定する設置部分742をさらに画定する。ラグ744、746の下部には、後方に向かって延在する後部当接アーム752、754が設けられる。スプリングダンパーチャネル756はまた、設置部分742の前方に画定される。伸張可能なスプリングダンパー780が設けられる。
【0108】
ブレーキサブアセンブリ706を
図7gに示す。それは、泥除けの形態の車輪接触ブレーキ部材758及びトーションスプリング772を備える。ブレーキ部材758は、湾曲した凹部車輪接触部分760及びそこから一端において外向きに延在する取付け部分762を画定する。取付け部分762は、スプリングピン孔768、770を画定する2つの離間した壁部764、766を備える。トーションスプリング772は、第1の当接部774及びその両側の一対の第2の当接部776、778を備える。
【0109】
第1の実施形態のアセンブリ及び動作
折畳み
ティラーは、
図1a及び
図3aを比較して示すように2つの位置を有する。これらの位置間の移行は、ティラー旋回・折畳みサブアセンブリ130によって可能となる。
【0110】
ティラーの回転は、
図1aの位置において開始して、最初にペダル354を
図5dから
図5eに展開位置に下すことによって行われる。これにより、ユーザは足をペダル354に置くことによって留め具350を方向C1に回転させることができる(
図5e)。これは、当接シャフト358をシャフト138のヘッド344の干渉外となるように回転させる。これにより、折畳み軸FA周りのティラーマウント348の相対回転が可能となり、
図5eから
図5fに移行する(ティラーを
図3aの位置に下す)。
【0111】
ティラーは、後部デッキインサート124のロック用プレート125を引き付けるティラーにおける永久磁石からの引力によってデッキに対して位置が固定される。位置調整は、ティラーにおける対応する雌型凹部360、362とのデッキの雄型位置調整突起563、565の係合によって保証される(
図2a)。ティラー及びデッキを分離させて展開状態に戻すには手動力が用いられる。
【0112】
前部サスペンション
図6d~
図6gを参照すると、左車輪ハブ464は使用時に略鉛直に配向され、車輪404が左前輪回転軸FLW周りの回転のためにDC電動モータを介してそこに設置されている。泥除け480は、車輪404を少なくとも部分的に覆うように、泥除け取付けフランジ478に取り付けられる。
【0113】
中心ピン(不図示)は、ステアリング中心ピン受容孔482を通過して設けられる。左上車輪旋回部466は左車輪ハブ464の上側において中心ピンの上端に取り付けられ、左下車輪旋回部468は反対側である左車輪ハブ464の下側において中心ピンの下端に接続される。左車輪ハブ464は、左前輪ステアリング軸FLS周りに中心ピン(及び旋回部466、468)周りに回転可能である。左前輪ステアリング軸FLS周りの回転は、ハブ464のピン受容孔490に挿入された操縦制限ピン(不図示)が左上車輪旋回部466における弧状長孔494の端部に対して当接することによって所定範囲に制限される。
【0114】
左上ウィッシュボーン470は、左上車輪旋回部466の旋回孔498及び左上ウィッシュボーン470の貫通孔516に係合された旋回ピンを介した相対回転のために左上車輪旋回部466に設置される。設置ラグ496が、左上ウィッシュボーン470の旋回受容長孔514に位置する。
【0115】
左下ウィッシュボーン472は、左下車輪旋回部468の旋回孔504及び左下ウィッシュボーン472の貫通孔530に係合された旋回ピンを介した相対回転のために左下車輪旋回部468に設置される。設置ラグ502が、左下ウィッシュボーン472の旋回受容長孔528に位置する。
【0116】
左スプリングダンパーアセンブリ474は、左上ウィッシュボーン470の内向端に第1の取付けラグ536を介して第1の端部において設置され、かつ左下ウィッシュボーン472の外向端に第2の取付けラグ540を介して第2の端部を介して設置される。
【0117】
このアセンブリは、以下のように中央ボス400に取り付けられる。左上ウィッシュボーン470は、ウィッシュボーン取付けフランジ448、450の両側にウィッシュボーンアームを位置決めすることによってボス400の左手側に設置される。旋回ピンは、位置調整孔460、462、510、512を貫通する。左下ウィッシュボーン472は、下部サスペンション取付け部分416の両側にウィッシュボーンアームを位置決めすることによってボス400の左手側に設置される。旋回ピンは、位置調整孔418、510、512を貫通する。旋回ピンは、下部サスペンション取付け孔418に直接対向して位置調整された下部サスペンション取付け孔424内に延在する。
【0118】
このように、左車輪をボス400に設置するためにダブルウィッシュボーンサスペンション構成が形成される。車輪404は、ウィッシュボーン470、472の回転によってボス400に対して鉛直に上下動可能である。上方移動(すなわち、車両デッキの下方移動)は、スプリングダンパー474を弾力的に伸張させてサスペンションを与える。
【0119】
右手側車輪も同様にして設置されることが理解されるはずである。
【0120】
図8a及び
図8bを比較して、前部サスペンションの関節接合を示す。
図8aでは、サスペンションはニュートラルな無負荷位置にある。デッキは水平であり、全3個の車輪は第1の高さL1にある。
図8bに進むと、前車輪(前輪)は、より高い第2の高さL2までデッキに対して上昇されている。そのようにする際に、車輪404、408の両方によって、左右のサスペンションサブアセンブリ402、406がそれぞれ関節接合する。例えば、左サスペンション402に関して、上部及び下部ウィッシュボーン470、472は(
図8aに向かって)反時計回り方向に回転して水平面に平行となっている。そのようにする際に、左スプリングダンパーアセンブリ474は弾力的に圧縮して、移動方向と反対の減衰力、及び車輪位置を
図8aに戻すように作用する弾性復元力をもたらしている。なお、ステアリングリンク552、554も、それらのそれぞれの端部設置部を中心に回転している。
【0121】
ステアリング
図6jを参照すると、デッキ旋回シャフト573が、デッキ旋回軸DPA周りの回転のためにボス400の貫通孔414(
図6b及び
図6c)に挿入されてティラー旋回部546を回転設置する。前部デッキマウント544は、デッキマウント544(及び取り付けられる場合にはデッキ)がボス400に対して水平デッキ旋回軸DPA周りに旋回可能となるように、デッキ旋回シャフト573の端部に取り付けられ、そこに固定される。
【0122】
デッキマウント544及びティラー旋回部546の回転位置は、下端におけるボス400のそれぞれのキャンバー防止スプリング支持ウイング430、432と上端のデッキマウント544との間の圧縮において位置決めされた2つのキャンバー防止スプリングアセンブリ548、550の使用によってニュートラル位置に反発して戻される。
【0123】
ティラー旋回シャフト138は、ティラー旋回部546の旋回シャフト孔568におけるティラー旋回軸TPA周りの回転のために設置される。ティラー旋回シャフトには、センタリングアセンブリ560も設置される。ステアリングハブ577及びハウジング581は、トーションスプリング576をカプセル化する。センタリングアセンブリ560には、回転のためにティラー旋回部が設置される。センタリングアセンブリ560は、複数の機能を有する。第1に、ティラー旋回部546のスプリング当接突起573が長孔582に受容され、スプリング当接部588、590のいずれかのための当接部として作用する。ティラー旋回シャフトがティラー旋回軸TPA周りに回転されると、ステアリングハブ572の(静止した)スプリング当接突起及び移動するスプリング当接部580の離隔がスプリングを引っ張るように作用し、それがそれらを再位置調整しようとする。第2に、ステアリングハブ572は(いずれかの方向における)所定の回転限度において回転制限ストッパとして作用し、ステアリングラグ584はいずれかの静止旋回制限当接部575、577に当接する。
【0124】
図6hを参照すると、ステアリングリンク552、554は、ステアリングハブ572のステアリングラグ584の下面から鉛直軸周りの回転のために設置される。ステアリングリンク552、554の双方は、それぞれ第1の端部においてステアリングラグ584に接続され、かつそれぞれの第2の端部において車輪ハブのそれぞれのステアリングアームに接続される。ステアリングハブへの取付けは、旋回シャフトを介して(例えば、左手ハブのアーム484において)ステアリングピン受容孔486に係合される。
【0125】
上記のように、車輪ハブは、それぞれの鉛直ステアリング軸周りに回転可能である。したがって、右又は左へのステアリングラグの横方向の移動は、それらのそれぞれのステアリング軸周りに車輪を回転させる効果を有する。
図6lを参照すると(車両の下方からの図であり、下部ウィッシュボーンは取り外されている)、ステアリング軸FLS、FRS間の水平距離F1は、ステアリングリンク552、554とそれぞれのステアリングラグ584、584´との間の回転軸間の距離F2未満である。これは、いわゆる「アッカーマン」ステアリングを与え、すなわち、車輪が特定の方向にターンされると(回転円の中心に最も近い)最内輪が外輪よりも大きくステアリング軸周りに回転することになる。本実施形態では、ステアリングリンクは中心ピンの前方にあるため、F1<F2である。なお、ステアリングリンクが中心ピンの後方にある場合には、アッカーマンステアリングのためにF1>F2となる。
【0126】
そのようなボス400(サスペンションが取り付けられる)に対するステアリングラグ584の横方向の移動は、2つの態様すなわち操縦モードで行われる。
【0127】
第1のモードは、「ティラー回転」である。
図9a~
図9dがこれを示す。
図9a及び
図9bでは、スクータ100は、ニュートラルな「車輪前方」位置にある。
【0128】
ライダーの手によるティラーセンブリ104の回転は、ティラー旋回部546及びそれゆえボス400に対してティラー旋回軸TPA周りにティラー旋回シャフトを回転させる。これはステアリングハブ572を回転させ、これはステアリングラグ584の横向きの円弧動作をもたらし、それは車輪を同時に操縦するように作用する。この動作は、
図9a及び
図9bと
図9c及び
図9dとを比較することによって確認可能である。特に、
図9dでは、ステアリングリンク552、554は、それらはティラー旋回軸TPAからオフセットした位置においてラグ584に取り付けられるので右側に(ライダーの視点から見て又は向かって左側に)移動されている。
【0129】
第2のモードは、「デッキロール」である。
図10a~
図10fがこのモードを示す。なお、
図10c及び
図10fは、デッキ110の中心を通る断面を示す。
図10a~
図10cは、ニュートラル位置にあるスクータ100を示す。
【0130】
このモードでは、デッキ110及びそれゆえデッキマウント544は、デッキ旋回軸DPA周りのデッキ110及びティラー旋回部546の回転が発生するように、ライダーの足によって(スケートボード又はスノーボードとほぼ同じように)回転される(なお、デッキ旋回軸は
図9bに明確に示されている)。これは、ステアリングラグ584の横向きの円弧動作をもたらし、それは車輪をそれらのそれぞれのステアリング軸FLS、FRS周りに同時に操縦するように作用する。
【0131】
上記機構は、それぞれのモードを個別に又は組合せてサポートする。重要なこととして、両モードは、車輪を操縦するステアリングラグ584を作動させるように作用する。なお、
図6hを参照すると、ティラー旋回軸TPAとステアリングラグ584の間の水平距離は、デッキ旋回軸DPAとステアリングラグ584の間の鉛直距離未満である。
【0132】
後部サスペンション
後輪700は、後部フォーク708のアーム714、716間に、後輪軸RW周りの回転のために設置される。後輪キャリッジ702の全体(フォーク708はその一部である)が、後輪サスペンション軸RWS周りの回転のために後部デッキマウント704に設置される。スプリングダンパー780は、スプリングダンパーチャネル756内に埋め込まれ、第1の端部において後部デッキマウント704に取り付けられ、第2の端部においてフォーク708に(具体的にはスプリングピン受容孔728、730を介して)取り付けられる。
【0133】
車輪700に対するデッキ110にかかる下向きの圧力(又はデッキ110に対して車輪700にかかる逆方向上向きの力)によって、車輪キャリッジ702は、
図7bで見た場合に後輪サスペンション軸RWS周りに時計回りに回転する。これはスプリングダンパー780を伸張させるように作用し、それは動作に抗する減衰力を与えるとともに後輪のニュートラル位置に戻ろうとする反発スプリング力を与える。
【0134】
後部ブレーキ706は、当技術で周知の摩擦制動力を与えるようにスプリング772の付勢に抗して後輪700に対して押圧可能である。ほとんどの制動はエネルギーをバッテリに回生させるように前輪モータを逆駆動することによって実行されるので、上記は一般に「緊急」ブレーキとして用いられる。
【0135】
第2の実施形態
図11に進むと、本発明による第2のスクータ1100が示される。本開示の目的のため、以下のように全体的な方向及び軸を定義することが有用である。
・水平長手軸Xに沿う前方進行方向
この軸周りの回転を「ロール」とする。
・水平軸Yに沿う横方向
この軸周りの回転を「ピッチ」とする。
・鉛直軸Zに沿う鉛直方向
この軸周りの回転を「ヨー」とする。
【0136】
スクータ1100は、デッキアセンブリ1102、ティラーセンブリ1104、前輪サスペンション・ステアリングアセンブリ1106及び後輪アセンブリ1108を備える。
【0137】
第2の実施形態の構造
第2の実施形態は、後輪アセンブリ1108を除き第1の実施形態と同一である。そのため、デッキアセンブリ1102、ティラーセンブリ1104及び前輪サスペンション・ステアリングアセンブリ1106に関する符号は、スクータ100に従って付されるが、1000だけ大きい。
【0138】
後輪アセンブリ1108
図12a~
図12gは、後輪サスペンション・ステアリングアセンブリ1108を示す。
【0139】
アセンブリは、以下の部品に分離可能である。
・設置サブアセンブリ1800(
図12b~
図12d)、
・左サスペンションサブアセンブリ1802及び左後輪1804(
図12e)、
・右サスペンションサブアセンブリ1806及び右後輪1808(
図12f)、及び
・ステアリングサブアセンブリ1810(
図12g)。
【0140】
設置サブアセンブリ1800
図12b~
図12dに進むと、設置サブアセンブリ1800は、後部デッキマウント1812、後部ボス1814、デッキ旋回シャフト1816及び左右のキャンバー防止スプリング1818、1820を備える。
【0141】
デッキマウント1812は、デッキ110の下面にプロファイル化されたデッキ当接面1822を備える。後部デッキマウント1812は、デッキ旋回軸DPAに沿って略長手方向に延在するデッキ旋回シャフト開口1824をさらに画定する。デッキマウント1812は、2つの下向きキャンバースプリング取付け点1826、1828をさらに画定する。
【0142】
後部ボス1814は、デッキ旋回軸DPAに沿って延在する旋回シャフト貫通孔1830を備える。それはまた、軸DPAの両側に2つの離間した上向きキャンバースプリング取付け点1832、1834を画定する。ボス1814は、下部ウィッシュボーン取付けラグ1836、上部ウィッシュボーン取付けラグ1838、及び上部ウィッシュボーン取付けラグ1838の両側の2つの離間したスプリングダンパー取付けフランジ1840、1842、1844、1846を画定する。
【0143】
デッキ旋回シャフト1816は、テーパ状前端1848及びプラグ1852が挿入される平坦な後端1850を有して略中空円筒状となる。
【0144】
左サスペンションサブアセンブリ1802及び左後輪1804
図12eに進むと、左サスペンションサブアセンブリ1802が示される。左サスペンションサブアセンブリ1802は、独立したダブルウィッシュボーン構成のものである。アセンブリは、左車輪ハブ1854、左上車輪旋回部1856、左下車輪旋回部1858、左上ウィッシュボーン1860、左下ウィッシュボーン1862及び左スプリングダンパーアセンブリ1864を備える。
【0145】
左車輪ハブ1854は、左後輪軸RLW周りの左車輪1804の回転設置のために構成された本体1866を備える。本体1866は、そこから後方に延在するステアリングアーム1868を画定する。
【0146】
旋回部1856、1858は、本体1866の上下に設置され、それに対する左後輪ステアリング軸RLS周りの回転のためのステアリング中心ピンによって接合される。
【0147】
上部、下部ウィッシュボーン1860、1862及びスプリングダンパーアセンブリ1864は、前部サスペンションのものと同様であり、詳細には説明しない。
【0148】
右サスペンションサブアセンブリ及び右後輪1808
右サスペンションサブアセンブリ及び車輪は、上述したように左サスペンションサブアセンブリ及び左車輪の鏡像となる。部品に対する符号には、例えば右車輪ハブ1866´のように、プライム(´)が付される。右車輪1804´は、右車輪回転軸RRW周りに回転し、ニュートラル操縦位置では左車輪回転軸RLWに平行となる。
【0149】
ステアリングサブアセンブリ
ステアリングサブアセンブリ1806は:
・デッキ旋回カム1870、
・左手ステアリングリンク1872、及び
・右手ステアリングリンク1874
を備える。
【0150】
図12gに進むと、デッキ旋回カム1870は、旋回シャフト受容形成物1876、並びにデッキ旋回軸DPAから第1の半径r1にある第1のセットのリンク開口1880及びデッキ旋回軸DPAからより大きな第2の半径r2にある第2のセットのリンク開口1882を備える偏心部分1878を有する略平坦なプレートである。
【0151】
左手及び右手ステアリングリンク1872、1874は、内側端部におけるそれぞれのボールジョイント1884、1886及び側方端部におけるそれぞれのボールジョイント1888、1890を備える。
【0152】
第2の実施形態のアセンブリ及び動作
図12b~
図12dを参照すると、デッキ旋回シャフト1816は、開口1824内部の取付けによってデッキマウント1812に取り付けられる。そして、それが、デッキマウント1812(及びそれに取り付けられたデッキ110)がデッキ旋回軸DPA周りに回転可能となるように、ボス1814の貫通孔1830に挿入される。
【0153】
デッキマウント1812とボス1814の間の相対回転は、それぞれ点1826、1832と点1828、1834との間に延在する2つのキャンバー防止スプリング1818、1820によって制御される。このようにして、マウント1812及びボス1814は、ニュートラル位置(
図12aによる)に弾力的に付勢される。
【0154】
左右のサスペンションサブアセンブリ1802、1806は、ボス1814に取り付けられる。上部ウィッシュボーン1860、1860´は上部ウィッシュボーンラグ1838に取り付けられ、下部ウィッシュボーン1862、1862´は下部ウィッシュボーンラグ1836に取り付けられる。ウィッシュボーンは、進行方向Xに平行な軸周りの、ボスに対する回転のために設置される。
【0155】
スプリングダンパーアセンブリ1864、1864´は、ボス1814のスプリングダンパー取付けフランジ1840、1842、1844、1846と、下部ウィッシュボーン1862、1862´との間に延在するように位置決めされる。
【0156】
デッキ旋回カム1870は、デッキ110に対してボス1814の反対側において、シャフト1816とともに回転するように設置される。ステアリングリンク1872、1874は、各それぞれのハブ1854、1854´において第2のセットのリンク開口1882からステアリングアーム1868、1868´の上側に反対方向に延在する。
【0157】
図13a及び
図13bを比較して、後部サスペンション関節接合を示す。
図13aでは、サスペンションは、ニュートラルな無負荷位置にある。デッキは水平であり、全4個の車輪は第1の高さL1にある。
図13bに進むと、後輪は、より高い第2の高さL2までデッキに対して上昇されている。そのようにする際に、車輪1804、1808の両方によって、左右のサスペンションサブアセンブリ1802、1806がそれぞれ関節接合する。例えば、左サスペンション1802に関して、上部及び下部ウィッシュボーン1860、1860は(
図13aに向かって)時計回り方向に回転して水平面に平行となっている(
図13b)。そのようにする際に、左スプリングダンパーアセンブリ1864は弾力的に圧縮して、移動方向と反対の減衰力、及び車輪位置を
図13aに戻すように作用する反発力をもたらしている。なお、ステアリングリンク1872、1874も、それらのそれぞれの端部設置部を中心に回転している。
【0158】
後部操縦能力は、(デッキロール及びティラー旋回に応答する前輪とは異なり)デッキロールのみに応答する。
図14a及び
図14bを比較すると、デッキ旋回軸DPA周りの時計回り方向のデッキの回転によって、ボス1814内のデッキ旋回シャフト1816がキャンバー防止スプリング1818、1820の付勢に抗して回転する。なお、上記より、右への(進行方向の)この傾斜によって、右に進むように(すなわち、平面視において、それらのそれぞれのステアリング軸FLS、FRS周りに時計回り方向に)前輪が回転する。そのような動作は、デッキ旋回カム1870の偏心部分1878を移動させるように作用する。これにより、ステアリングリンク1872、1874も右側に移動して後部ステアリング軸RLS、RRS周りに平面視で反時計回り方向にハブ1854、1854´(及びそれゆえ車輪)が回転する。言い換えると、後輪は左に進む。
図14cは、ボード傾斜時の車輪1804、1808の操縦動作を示す。
図14dは、操縦のティラー旋回モード時の車輪位置を示し、後輪1804、1808はこのモードに影響されず、前方を向いたままである。
【0159】
図14eを参照すると(車両の下方からの図であり、下部ウィッシュボーンは取り外されている)、ステアリング軸RLS、RRS間の水平距離R1は、ステアリングリンク1872、1874とそれぞれのステアリングラグ1868、1868´との間の回転軸間の距離R2未満である。これは、いわゆる「アッカーマン」ステアリングを与え、すなわち、車輪が特定の方向にターンされると(回転円の中心に最も近い)最内輪が外輪よりも大きくステアリング軸周りに回転することになる。本実施形態では、ステアリングリンクは中心ピンの前方にあるため、R1<R2である。なお、ステアリングリンクが中心ピンの後方にある場合には、アッカーマンステアリングのためにR1>R2となる。
【0160】
第2の実施形態の後部ステアリングの調整
後部ステアリングサブアセンブリ1810は、様々なレベルの後部操縦補助をライダーに与えるように調整可能である。
図15a及び
図15bを比較すると、
図15aは上記のように構成され、すなわち、ステアリングリンク1872、1874は、各それぞれのハブ1854、1854´において第2のセットのリンク開口1882からステアリングアーム1868、1868´の上側に反対方向に延在している。
図15bでは、リンク1872、1874は、取り外されて交換されており、各それぞれのハブ1854、1854´において第1のセットのリンク開口1880からステアリングアーム1868、1868´の下側に反対方向に延在する。第1の開口1880の下部半径は、デッキの回転がリンク1872、1874に対して非常に低い程度の移動しか与えず、結果としてより小さな後部操縦効果しか生成しないことを意味する。これは、例えば、初心者、及びデッキ傾斜モードの操縦による「カービング」ターンにはあまり関心のない者に対して有用である。