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特許7644128生物活性コポリマーの調製のためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】生物活性コポリマーの調製のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/78 20060101AFI20250304BHJP
   A01N 31/04 20060101ALI20250304BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20250304BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20250304BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20250304BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20250304BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250304BHJP
   C08G 65/324 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
A61K31/78
A01N31/04
A01P1/00
A01P3/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P35/00
C08G65/324
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022546583
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 AU2021050063
(87)【国際公開番号】W WO2021151160
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】2020900270
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】517173123
【氏名又は名称】レッセ ファーマシューティカルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Recce Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】グラハム ジョン ハミルトン メルローズ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル ケリン デリッツィア
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ガブリエル ウェルズ ジャレット
(72)【発明者】
【氏名】アーサー コララス
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン マーク ウォード
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536374(JP,A)
【文献】特表2019-510731(JP,A)
【文献】特開昭48-086987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を製造するための方法であって、
前記製品は、アクロレイン由来のセグメントとポリアルキレングリコールオリゴマーとを含む生物活性ポリマーであって、
前記方法は、‐5℃~10℃の温度およびpH12.5を超えないアルカリ性のpHにて分子量1000ダルトンを超えないコポリマーを形成するために、水溶液においてポリアルキレングリコールをアクロレインと反応させることを含み、
水溶液におけるポリアルキレングリコールのアクロレインとの反応は、温度を制御するための熱交換器を含む反応容器において行い、
前記溶液は、コポリマーを形成する反応の間、‐5℃~10℃の温度に維持され、および、
前記生物活性ポリマーは、疾患を患う対象の治療方法において使用されるためのものである方法
【請求項2】
ポリアルキレングリコールおよびアクロレインの水溶液は少なくとも20%w/wの量において水を含む、請求項1の方法
【請求項3】
ポリアルキレングリコール:アクロレインの重量比は少なくとも4:1である、請求項1または2方法
【請求項4】
ポリアルキレングリコールの分子量は800ダルトンを超えない、請求項1~3のいずれか一項の方法
【請求項5】
ポリアルキレングリコールの分子量は200から600ダルトンまでである、請求項4方法
【請求項6】
アクロレインはポリアルキレングリコールの水溶液に加える、請求項1~5のいずれか一項の方法
【請求項7】
アクロレインは少なくとも20%w/wの水を含むポリエチレングリコールの水溶液に添加し、そこでアクロレインは濃度50%w/wを超えないアクロレインの水溶液の形態において添加する、請求項1~6のいずれか一項の方法
【請求項8】
アクロレインは少なくとも20%w/wの水を含むポリエチレングリコールの水溶液に添加し、そこでアクロレインは濃度30%w/wを超えないアクロレインの水溶液の形態において添加する、請求項7の方法。
【請求項9】
ポリアルキレングリコールの塩性の水溶液を提供するステップと、
アクロレイン水溶液の50%w/wを超えない濃度の水溶液としてアクロレインを加えるステップと
クロレインモノマーが消費されてから、9未満pHを提供するために酸を加えるステップと、
を含む、請求項1~8のいずれか一項の方法
【請求項10】
前記アクロレイン水溶液の50%w/wを超えない濃度の水溶液としてアクロレインを加えることが、少なくとも2分間または少なくとも5分間にわたってゆっくりと行われる、請求項9の方法。
【請求項11】
前記アクロレインモノマーが消費されてから、酸を加えて8以下のpHを提供する、請求項9または10の方法。
【請求項12】
前記アクロレイン水溶液には保存剤が含まれている、請求項9~11のいずれか一項の方法。
【請求項13】
水溶液におけるポリアルキレングリコールのアクロレインとの反応は、反応容器内の温度を制御するための流れるクーラント液(flowing coolant liquid)のジャケットを備える撹拌反応容器において実行する、請求項1~12のいずれか一項方法
【請求項14】
反応条件はアクロレイン添加の割合、水の流量、ジャケット内の水の温度および水溶液を撹拌する速度から選ばれる一以上の反応パラメータコンピュータ制御することによって調節される、請求項13方法
【請求項15】
細菌感染、ウイルス感染およびガンから選ばれる疾患の処理のための薬の製造における、請求項1~14のいずれか一項の方法に従って調製される、アクロレイン由来セグメントおよびポリアルキレングリコールオリゴマーを含む、有効量の生物活性剤の使用。
【請求項16】
細菌感染、ウイルス感染およびガンから選ばれる疾患の処理のための薬の製造におけるアクロレインおよびポリアルキレングリコールの使用であって、請求項1~14のいずれか一項の方法を含む、使用。
【請求項17】
疾患は非経口的感染である、請求項15または請求項16の使用。
【請求項18】
細菌感染、ウイルス感染およびガンから選ばれる対象における疾患の処理のための組成物であって、前記組成物は請求項1~14のいずれか一項の方法を含むプロセスによって調製される、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクロレインモノマーから導き出されるセグメントとポリアルキレングリコールセグメントとを含む生物活性コポリマーの調製のためのプロセスに関する。本発明はさらに、疾病の処理、特に細菌感染、ウイルス感染またはガンの処理における生物活性ポリマーの使用に関する。
発明の背景
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
有効な抗生剤、抗ウイルス剤および抗ガン剤に対する必要性が高まっている。病原体の抗生剤耐性の進化は、多くの慣習的な抗生剤で感染を制御することができないため、深刻な健康リスクを生じさせている。また、新しいウイルス株の出現により、広域スペクトルの処理に対する、特に重症のウイルス感染症に対する要求がもたらされる。2020年中のSARS-CoV-2によって生じた世界的な大流行の発生は、世界中で数百万人が感染し、高い致死率が特に高齢者および併存疾患を有する人々の間でもたらされた。このことはSARS-CoV-2感染の有効な処理について緊急な必要性を導いた。
【0003】
また、細菌感染、特に重篤で生命を脅かす細菌感染、例えば、敗血症などのようなものの効果的な処理も緊急に必要とされている。2017年での世界の敗血症の発生および死亡数は4890万人で敗血症関連死は1100万人と推定されている(The Lancet(ザ・ランセット)Vol 395(第395巻), Issue 10219(第10219号)pp(頁)200-211 (18 Jan 2020(2020年1月18日発行))。抗生剤耐性を標的とした介入は、敗血症の転帰を改善することへの課題である。
【0004】
我々の同時係属の特許出願WO(国際公開)2016/077879およびWO2017/139849は、アクロレインモノマーから導き出されるセグメントおよびポリアルキレングリコールセグメントを含む抗生剤共重合体(co-polymer)を開示する。コポリマー(copolymers)は、ポリアクロレインのポリアルキレングリコールとの25℃より35℃までの温度での反応によって形成され、広範囲の細菌およびウイルスに対して良好な活性を有する抗生剤を提供する。重合体抗生物質は、それらの活性と、共重合体の作用様式による細菌およびウイルス株の耐性を獲得する傾向の減少とにより、感染、例えば、敗血症などのようなものの処理において意義深い進歩を提供する。
【0005】
活性、特に抗生剤活性が改善された生物活性化合物を提供する必要性が継続的に存在する。
発明の概略
【課題を解決するための手段】
【0006】
我々は今回、アクロレイン由来のセグメントとポリアルキレングリコールオリゴマーとを含むポリマーの生物活性が、コポリマーを低温にて形成する場合に著しく増加することを見出した。したがって、我々はアクロレイン由来セグメントとポリアルキレングリコールオリゴマーセグメントとを含む生物活性ポリマーの調製のためのプロセスを提供し、プロセスは、15℃を超えない、なるべくなら12℃を超えない温度、例えば、10℃を超えない、または8℃を超えないなどのようなものにて1000ダルトンを超えない分子量のコポリマーを形成するために、水溶液においてポリアルキレングリコールをアクロレインと反応させることを含む。
【0007】
さらなる実施形態において、微生物感染、ウイルス感染およびガンから選ばれる疾患を患う対象の処理の方法を提供し、本プロセスに従って調製される生物活性ポリマーの有効量を対象に施すことが含まれる。
【0008】
また、細菌感染、ウイルス感染およびガンから選ばれる疾患の処理のための薬の製造におけるアクロレインおよびポリアルキレングリコールの使用も提供し、本使用には、本プロセスが含まれる。
【0009】
本プロセスは、ガン、細菌感染またはウイルス感染の処理に特に適する。
【0010】
我々は低温で形成された共重合体の活性が非常に顕著に増加することを見出した。実際、最小抑制濃度(MIC)は、細菌または細菌群の認識できる増殖を防止する最低濃度であるが、より一層低温では非常に顕著に低くなる。例えば、MICは概して40℃では10℃でのものより少なくとも3倍高い。実際、多くの細菌について、MICは40℃では10℃でのものよりも4倍高く、および少なくとも6倍さえも高い。
【0011】
本発明の例は添付図面を参照して説明する。図面では、すなわち:
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】例2において言及した4つのプロットを有するグラフであり、(i)本発明のプロセスのコポリマー組成物(E1)、(ii)本発明のプロセスでない比較プロセスのコポリマー組成物(CE3)、(iii)既知の抗生剤(Safromycin(サフロマイシン))を用いる陽性コントロール、および(iv)未処理コントロールにより処理した熱傷創感染(burn wound infection)モデルのコロニー形成単位数(Log10CFU/スワッブ(swab))を比較する。
図2】例2において言及した4つのプロットを有するグラフであり、図1において言及した組成物による処理後の感染4日後の創傷収縮を比較する。
図3】例3において言及した5つのプロットを有するグラフであり、4つの処理:2つの異なる処理速度での本発明のプロセスのコポリマー組成物(E1);抗生物質メロペネムを用いる陽性コントロール、および早期と後期の感染コントロールのそれぞれを用いて上行性尿路感染の処理後の腎組織のコロニー形成単位数(Log10CFU/g)を比較する。
図4】例3において言及した5つのプロットを示すグラフであり、4つの処理:2つの異なる処理速度での本発明のプロセスのコポリマー組成物(E1);抗生物質メロペネムを用いる陽性コントロール、および早期と後期の感染コントロールのそれぞれを用いる上行性尿路感染の処理後の膀胱組織のコロニー形成単位数(Log10CFU/g)を比較する。
図5】SARS-CoV-2に感染させ、および例6に記載するように組成物E1およびCE3により処理したハムスターの鼻洗浄力価(log10ゲノム/μL)を示すグラフである。
図6】インビトロ調査におけるSARS-CoV-2ウイルスでの濃度依存的減少を示すカラムチャートであり、7において言及したヒト気道上皮細胞から作成したオルガノイドを用いる。
図7】例7において言及した異なる濃度(ppm)でのE1のコポリマーのVero(ベロー)細胞プロトコルにおける観察された最大細胞傷害性のパーセントを示すカラムチャートである。
図8】例7において言及した異なる濃度(ppm)でのCE1のコポリマーのVero細胞プロトコルにおける観察された最大細胞傷害性のパーセントを示すカラムチャートである。
図9】リファレンスおよび例8において言及した例E1およびCE3の組成物による処理後の膣スワッブにおける細菌負荷を示すグラフである。 詳細な説明
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語「本体」はヒトおよび/または動物の本体を意味し、用語「対象」は例えば、本体などのようなものを意味し、それは対象である。
【0014】
静脈内療法(手短にはIV療法またはiv療法)は、液状物質の直接的な静脈中への注入である。
【0015】
ここで使用するように、「非経口」という用語は、無傷の消化管を通した以外のマナーにおいて体内に取り込まれることを意味する。すなわち、通常の胃や腸の中ではなく;、消化器系ではない。本プロセスによって調製されたコポリマーの非経口投与が好ましい。
【0016】
「非経口感染」という用語は、胃腸管内でない体内に取り込まれることによってかかる感染に言及する。そのような感染は、脈管(血液/リンパ)系、生殖器-尿路を介して、肺、皮膚または外側保護膜の破壊、例えば、手術においてなどのようなもの、針刺し損傷、切り傷、擦り傷、または皮膚または皮膚と粘膜の間の隙間の任意の破壊から発生し得る。任意の薬物投与方法を介して、経口投与(有効用量が感染部位に届くと仮定して)を含め、潜在的に処理され得る非経口感染-および経口以外の投与に制限される薬物の非経口投与の間で明確な区別がなされることが理解されるであろう。
【0017】
ここにおいて細菌性病原体に言及するときに使用されるように、用語「抗生物質耐性」または「スーパーバグ」は細菌性病原体(即ち、細菌性病原体の非耐性株)を処理するために当技術分野において使用される抗生物質の効果に耐えることができる細菌性病原体に言及する。例えば、Staphylococcus aureus(スタフィロコッカス・アウレウス、黄色ブドウ球菌とも言う)は、メチシリンを用いて処理することができる;しかしながら、Staphylococcus aureusの抗生物質耐性株、S. aureus(S.アウレウス)USA 300はメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)である。細種は普通であるが、S. aureus: USA: 300は典型的に通常、免疫無防備状態または影響を受けやすい環境にいる人びとに感染する。感染は多くの場合、小さな切り傷またはソアー(sore、できものなど)から体内に侵入する。USA:300に関連する他の症状は、肺炎、壊死性筋膜炎、心内膜炎、および骨と関節の感染である。
【0018】
「肺内投与(pulmonary administration)」という用語は吸入によって本発明の調剤物を肺に施すことに言及する。
【0019】
用語「ポリアルキレングリコール」には、C2よりC4までのアルキレングリコール単位の線状および分枝ポリエーテルホモポリマーおよびコポリマーが含まれる。好ましいポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールおよびそれらのコポリマーであり、および最も好ましいのはポリエチレングリコールである。
【0020】
用語「全身性」は、元の感染部位から離れた疾患もしくは障害または元の損傷部位、または有機体の全身に関与することに言及する。したがって、用語「局所的」はここでは元の感染部位に関して使用される。ゆえに、全身感染は、病原体が器官または血液中に見出されるものであり(菌血症を含む)、および重篤で生命を脅かす可能性のある疾患、例えば、敗血症などのようなものに関連し得る。局所感染は、病原体が感染局所組織、例えば、肺または創傷部位などのようなものまでしか移動しないものである。
【0021】
ここで使用するように、用語「吸入」は肺の肺胞への空気の取入れに言及する。具体例において、取入れは、本発明の調剤物を自己投与することによって吸入しながら、または呼吸器を介して、例は、人工呼吸器装着ペイシェントへの投与によって生じることができる。本発明の調剤物に関して使用する用語「吸入」は「肺投与」と同義である。
【0022】
用語「処理」および「処理すること」は、予防、治療および治癒も包含するように意図される。したがって、ある態様では、処理は、抗生物質耐性菌に関係する状態、疾患、または障害(例は、疾患、状態、または障害に関係する兆候)の発生を防止すること、または遅延させること、または遅らせることを包含する。別の態様では、処理は、抗生物質耐性菌に関係する現存する状態、疾患、または障害(例は、疾患、状態、または障害に関係する兆候)を処理すること(例は、最小化すること、または低減させること、または発症を遅らせること、または逆転させること)を包含する。一実施形態では、処理は、状態、疾患、または障害についての治癒を提供する。
【0023】
ここで使用するように「薬学的に許容可能な担体」という語句は、薬学的に許容可能な物質、組成物またはビヒクル、例えば、液状または固形充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒封入材料などのようなものを意味し、対象のコポリマーおよび/または組成物をある器官、または本体の一部から別の器官、または本体の一部分へ運搬または輸送することに関与する。各担体は、調剤物の他の原料と適合し、およびペイシェント(人間で言う患者)に不当に有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能な担体として機能することができる材料のいくらかの例としては、以下のようなものが含まれる:糖類、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどのようなもの;スターチ、例えば、コーンスターチおよびポテトスターチなどのようなもの;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのようなもの;粉末状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、ココアバターおよび座剤ワックス(suppository waxes)などのようなもの;油類、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油などのようなもの;グリコール類、例えば、プロピレングリコールなどのようなもの;ポリオール類、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのようなもの;エステル類、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのようなもの;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどのようなもの;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張セーリーン;リンガー溶液;エチルアルコール;pH緩衝溶液;ポリエステル、ポリカーボナートおよび/またはポリアンハイドライド;ならびに薬学的な調剤物において採用される他の非毒性適合物質である。
【0024】
用語アクロレイン由来セグメントは一またはそれよりも多く(一またはそれよりも多くは一以上とも言う)のアクロレインモノマー残基を含むコポリマーセグメントに言及する。
【0025】
用語オリゴマー、ポリアルキレングリコールオリゴマーおよびポリアクロレインオリゴマーは、少なくとも2つのモノマー単位、好ましくは少なくとも3つのモノマー単位からなるポリマーに言及する。オリゴマーは典型的には2から20までのモノマー単位を含むであろう;一実施形態では、単位数は2から10までである。
【0026】
用語「モノマー単位」および「モノマー残基」は反応性モノマー、例えば、アクロレインおよびポリアルキレングリコールなどのようなものから導かれるコポリマーにおいて存在する単位に言及する。ポリアルキレングリコールは概して少なくとも3つのグリコールモノマー単位を提供するプレポリマーと考えられる。
【0027】
多分散性指数(polydispersity index)は、ポリマーの重量平均分子量(Mw)対ポリマーの数平均分子量(Mn)の比である。ポリマーの重量平均分子量および数平均分子量は分析法、例えば、高速液体クロマトグラフィーなどのようなものによって定めることができる。重量平均分子量および数平均分子量が決まれば、多分散性指数は、重量平均分子量を数平均分子量により割ること、Mw/Mnによって容易に算出することができる。仮説的に単分散のポリマーは1.000の多分散性指数を有する。しかしながら、典型的な商業上のポリマー、例えば、市場で入手可能な樹脂などのようなものは10以上の多分散性指数を有する。広い分子量分布を有するポリマーはより一層高い多分散性指数をもち、および狭い分子量分布を有するポリマーはより一層低い多分散性指数をもつ。
【0028】
用語「間接的熱交換」は流体を互いに任意の物理的接触または相互混合させること(intermixing)なく熱交換関係に持ち込むことを意味する。冷却流体は重合プロセスの外部にある。
【0029】
この明細を通じて、用語「含む」または「含むこと」またはその文法的変形の使用は、述べられた特長、完全なもの(integers)、ステップまたは成分の存在を特定するために採用されるべきであるが、具体的に述べられていない一以上の他の特長、完全なもの、ステップ、成分またはそれらの群の存在または付加を排除しない。
【0030】
生物学的能動態形(biologically active)の用意のためのプロセスは、15℃を超えない、なるべくなら、12℃を超えない温度、例えば、10℃を超えない、または8℃を超えないなどのようなものにて、1000ダルトンを超えない分子量のコポリマーを形成するために、水溶液においてポリアルキレングリコールをアクロレインと反応させることを含む。
【0031】
理論に束縛されることを望まないが、疎水性ペンダント基を有するより一層活性なコポリマーの形成は、低温で促進されると考えられる。ポリマー内の官能基とそれぞれの標的細菌、ウイルスまたはガンとの間の反応は、概してそれらの間の疎水性引力(hydrophobic attractions)によって増強される。ギブス自由エネルギーに関して測定される疎水性引力は、ポリマーにおける特に疎水性のビニルまたはアルキレン基と、標的(細菌、ウイルスまたはガン)における疎水性タンパク質との間の多くの相互作用の結果として、エンタルピーの減少またはエントロピーの増加として(ギブス熱力学関係ΔG=ΔH-TΔSにおいて等しくするように)生じる。
【0032】
アクロレインモノマー(2-プロペン-オン)はアルキレングリコールオリゴマーと反応することができ、次のいずれか、疎水性ビニルを介して鎖が増加し、およびカルボニルペンダントが残され、またはあるいはカルボニルを介して鎖が増加し、および疎水性ビニルペンダントが残され、および妨げられないでもある。ペンダント疎水性ビニルを有する2つの選択肢のうち後ろのものは、疎水性機構を強化する。
【0033】
理論に束縛されることを望まないが、アクロレインモノマーのカルボニル基を通した重合の発生は、アクロレインモノマーのビニル基を通した重合よりもむしろ、15℃を超えない比較的低温、特に12℃を超えない、例えば、10℃を超えない、または8℃を超えないなどのようなものにてより一層意義深く、その理由はカルボニル重合の駆動力(エンタルピーにおける減少)がより一層弱く、および結果としてより一層高温にて脱重合されるためと考えられる。
【0034】
当技術における熟練した人びとは、親水性、およびゆえに生物学的反応性に影響を与えるために、本発明の構成モノマーの類似体を、交互またはブロック構成において、それらのそれぞれのモノマー反応性比によって指図されるマナーにおいて合成し得ることを認識するであろう。
【0035】
プロセスは、アルカリ触媒の条件下で、水溶液においてポリアルキレングリコールをアクロレインと反応させることを典型的に包含する。なるべくなら、pHは12.5を超えない、およびなるべくなら、7.0より12.5までより高い、例えば、8から12.0までなどのようなもののpH範囲内である。
【0036】
典型的には、ポリアルキレングリコールおよびアクロレインの水溶液は、少なくとも20%w/w、例えば、20%w/wより80%w/wまで、20%w/wより70%w/wまで、または20%w/wより60%w/wまでなどのようなものの量において水を含む。
【0037】
ポリアルキレングリコール:アクロレインの重量比は、典型的には少なくとも4:1、なるべくなら、少なくとも5:1である。例えば、重量比は、約4:1より20:1まで、例えば、5:1より20:1まで、または10:1より15:1までなどのようなものであり得る。
【0038】
コポリマーの分子量は1000ダルトンを超えない。コポリマーは250より1000ダルトンまで、特に300より1000ダルトンまで、例えば、400より1000ダルトンまでなどのようなものの分子量を有し得る。プロセスにおいて、ポリアルキレングリコールは典型的には、600ダルトンを超えない、例えば、200より600ダルトンまでなどのようなものの分子量である。
【0039】
プロセスは、ポリアルキレングリコールの水溶液へのアクロレインの添加によって都合よく実行され得る。ポリエチレングリコールの水溶液は少なくとも20%w/wの水を含み得る。水性ポリエチレングリコールへのポリアクロレインの添加は、発熱反応による溶液温度の上昇の影響を最小限に抑えるように制御することができる。アクロレインモノマーとポリエチレングリコールとの反応中の温度を制御するために、当技術において既知の様々な方法を使用し得る。アクロレインモノマーの添加中に反応混合物の冷却を提供するために、水溶液を熱交換器に接触させ得る。例えば、望ましい温度にて開始させることに基づいて水性組成物の温度を維持するために、コンピュータ化された反応器システムを用いて温度を正確に制御し得る。
【0040】
反応は発熱性であるので、プロセスはなるべくなら、アクロレインモノマーとポリアルキレングリコールとの反応ゾーンから反応熱を除去することを含む。熱の除去は、追加の溶媒、例えば、追加の水などのようなものまたは反応物を反応ゾーンに加えることによって、または商業上入手可能で、およびよく知られる間接熱交換装置、例えば、冷却流体、例えば、水などのようなものの流れを備えたシェルアンドチューブまたはスパイラルワインド熱交換器などのようなものを介して反応ゾーンから熱を移動させることによって達成することができる。
【0041】
一実施形態では、アクロレインとポリアルキレングリコールとの発熱反応の効果は、必要とされる温度を維持するために間接的な熱交換を備えた反応容器において重合反応を行うことによって、コポリマーの調製中に必要とされる範囲において制御され得、および温度が維持された。一実施形態では、反応容器はジャケット付き反応容器であり、および間接的な熱交換は、ジャケットにおいて冷却流体、例えば、水などのようなものの流れによって提供される。プロセスは、冷却流体の流れおよび/または反応物、例えば、アクロレインモノマーなどのようなものの添加の割合を調節することによって、温度が15℃を超えない、なるべくなら12℃を超えないで維持されることを含み得る。反応は適切な反応器において行い、および15℃を超えない、なるべくなら12℃を超えない、例えば、10℃を超えない、または8℃を超えないなどのようなものの必要とされる温度にて開始し、および温度を必要とされる範囲において維持し得る。
【0042】
好ましい実施形態では、重合の熱は、反応器の少なくとも一部を囲むジャケットにおいて、必要な温度に応じて冷却媒体、例えば、水または他のクーラント流体などのようなものとの間接交換を用いて反応器から除去し得る。熱除去の効率は、コポリマーの形成中に温度を必要な範囲内に維持するためにコンピュータ制御し得る。反応器は冷却流体の流れのためのジャケットを有するバッチ反応器であり得、または管状反応器の少なくとも一部分を同心円状に囲む、冷却流体、例えば、水などのようなもののための一以上のジャケットを含む管状反応器、例えば、管状ループ反応器などのようなものであり得る。
【0043】
典型的には、反応容器は、反応発熱および/または熱交換の結果としての比較的高い、または低い領域の発生を最小にするために、かき混ぜ機、例えば、撹拌機または混合を提供する他の手段などのようなものを含むであろう。
【0044】
プロセスは、あるセットの実施形態において、-20℃より15℃までの範囲での温度、なるべくなら12℃を超えない、例えば、-10℃より12℃まで、または-10℃より10℃までなどのようなものにより行われ得る。典型的には、反応物溶液の温度は少なくとも-10℃であろう。
【0045】
実施形態のさらなるセットでは、温度は-10℃より15℃までの範囲、例えば、-5℃より15℃までまたは0℃より15℃までなどのようなものにある。実施形態のさらなるセットでは、温度は-5℃より12℃までまたは-5℃より10℃までの範囲にある。
【0046】
実施形態のあるセットにおいて、水溶液の温度は10℃を超えない、例えば、5℃を超えないなどのようなものに維持される。
【0047】
プロセスは、なるべくなら、ポリアルキレングリコールの水溶液へのアクロレインの添加を包含する。アクロレインは、少なくとも20%w/wの水を含むポリエチレングリコールの水溶液に添加されてよく、そこでアクロレインは、50%w/wを超えない、なるべくなら30%w/wを超えない濃度のアクロレインモノマーの水溶液の形態において添加される。
【0048】
ポリアルキレングリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコールモノマーのより一層多くのうちの一つ(one of more of)を含むコポリマーであり得、それらは一よりも多くあるとき、モノマー単位をランダムまたはブロック分布において含み得る。より一層なるべくならポリアルキレングリコールは、分子量200より600ダルトンまで、例えば、200より400ダルトンまでなどのようなもののポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールという用語は、なるべくならジエチレングリコールを含まないことが当技術における熟練した人びとによって理解されるであろう。平均分子量200より600ダルトンまでのポリエチレングリコールは、公称平均分子量200より600ダルトンまでのポリエチレングリコールを含み、そこで平均分子量は公称値の110%を超えない、および90%より少なくない(なるべくなら105%を超えず、および95%より少なくない)。ポリエチレングリコールは式H--[OCH2CH2]n--OHである。nの平均値は少なくとも3であり、および概して3から10まで、例えば、3より6までなどのようなものである(ただし、平均値は整数である必要はない)。ポリエチレングリコールは、製薬上のグレードにおいて商業的供給者から広く入手可能であり、および特定の公称分子量において販売され、それは概して平均分子量が公称値の105%を超えず、および95%より少なくないことを表す。分子量の決定のための粘度および方法は、USP NF Official Compendium of Standards(米国薬局方国民医薬品集オフィシャル・コンペンディアム・オブ・スタンダード)Volume 11180-1182(第11180-1182巻)[2007 Edition(2007年版)]に開示される。あるセットの実施形態では、ポリエチレングリコールは、200から400までの分子量である。いくらかの実施形態では、なるべくなら、エチレングリコールの特定の純粋なオリゴマー、例えば、式
H-[OCH2CH2]n-OH、ここでnは3または4であるもの
の化合物などのようなものを使用し得る。
【0049】
本発明はまた、微生物感染、ウイルス感染およびガンから選ばれる疾患を患う対象の処理の方法を提供し、本プロセスに従って調製された生物活性ポリマーの有効量を対象に施すことが含まれる。
【0050】
本発明はまた、細菌感染、ウイルス感染およびガンから選ばれる疾患の処理のための薬の製造におけるアクロレインおよびポリアルキレングリコールの使用として表現し得、そこで使用は本プロセスを含む。
【0051】
本プロセスによって調製されるコポリマーは、ガン、ウイルス感染または細菌感染から選ばれる非経口的疾患(parenteral disease)の処理のための投与に特に適する。
【0052】
コポリマーは、典型的には、例えば、経口投与、吸入、経皮デリバリーによって、または注射、例えば、血流中へのもしくは筋肉内注射などのようなものによって、または静脈内療法によって、例えば、注射または注入などのようなものによって全身的に施される。約1000を超えない、特に約800ダルトンより少ない分子量の分子は腹部膜(abdominal membranes)を横切り合理的に自由に通過することが概して受け入れられる。経口投与は、コポリマーが腸壁を通して、および全身循環中に吸収されることを要する。この実施形態では、経口投与されるコポリマーが1000ダルトンを超えない分子量、例えば、250から800ダルトンまでの範囲での分子量などのようなもの、例えば、300より800まで、または350より800までなどのようなものであることが特に好ましい。我々は、この分子量のコポリマーが、経口投与するとき、非経口的なウイルス感染の処理を提供するために、全身循環中に運ばれことを見出した。腸壁を通して吸収されるコポリマーの割合は概して、この範囲のより一層低い分子量のコポリマーほど大きい(greater for)。
【0053】
コポリマーは、経皮または経粘膜デリバリーのために、エアロゾル、ゲル、局所フォームまたは軟膏として適用し得、または皮膚もしくは粘膜に適用するためのドレッシング材に含浸させ得る。コポリマーはエアロゾルまたはその種の他のものなどを介して吸入として適用し得る。
【0054】
さらなる実施形態では、コポリマーは組成物からの経皮デリバリーによって施され、それはポリマーのための浸透促進剤を含み得る。パッチ、マイクロニードルまたは同様のデバイスは経皮デリバリーを強化するために使用し得る。
【0055】
本発明の組成物は、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのようなものも含み得る。微小動植物の作用の防止は各種抗生剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびその他同種類のものなどの含有によって確実にさせ得る。また、張性を調整する薬剤、例えば、糖類、塩化ナトリウム、およびその他同種類のものなどのようなものを含むのが望ましい場合がある。注射可能な製薬上の形態(pharmaceutical form)の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどのようなものの含有によってもたらされ得る。
【0056】
別の好ましい実施形態では、薬剤組成物は皮下(s.c.)投与のために適した形態である。
【0057】
経口投与のために適した製薬上の剤形には、錠剤(コーティングまたは非コーティング)、カプセル(ハードまたはソフトシェル)、カプレット、丸薬、ロゼンジ、シロップ、溶液、粉体、顆粒、エリキシルおよび懸濁物、舌下錠、ウエハーまたはパッチ、例えば、頬側パッチなどのようなものが含まれる。
【0058】
コポリマーは、それが可溶性であり、およびpHの1より14までの全範囲にわたって可溶性を維持するように、水性組成物において調剤され得る。コポリマーは既知の薬学的に許容可能な担体および賦形剤を有する組成物において投与され得;しかしながら、水性調剤物は重要な利益を提供する。組成物は、処理される特定のウイルスおよび投与様式に依存して、広範囲の濃度のコポリマーを含み得る。あるセットの実施形態では、水性薬剤組成物におけるコポリマーの濃度は、組成物の0.01重量%から20重量%までの範囲にある。したがって、好ましいセットの実施形態では、コポリマーは水性溶液として施される。
【0059】
組成物は、錠剤、カプレット、シロップまたは液体の形態において経口投与し得、および経口投与される用量は重症度およびウイルスの種類に依存するが、その範囲、例えば、1日当たり体重1kgにつき1mgから1000mgまで、例えば、1日当たり体重1kgにつき10mgから500mgまでなどのようなものであり得る。
【0060】
さらなる態様において、本発明は、細菌感染、ウイルス感染およびガンから選ばれる対象における疾患の処理のための組成物を提供し、そこで前記組成物はここに記載されるプロセスによって調製される。
【0061】
コポリマーおよび処理方法の重要な利益の1つは、それらが広範囲の病原体からの感染に対して使用され得ることであり、および特に、深刻な脅威、例えば、菌血症または敗血症または肺炎または髄膜炎または蜂巣炎などのようなものを呈するまでに急速に拡大することがある細菌感染の処理において有用なことである。そのような細菌感染の具体例は、Proteus spp(プロテウス属種)、Serratia spp(セラチア属種)、Pseudomonas aeruginosa(シュードモナス・エルジノーサ、緑膿菌)、Neisseria meningitidis(ナイセリア・メニンジティディス)、Escherichia coli(エシェリキア・コリ、大腸菌)、Klebsiella pneumoniae(クレブシエラ・ニューモニアエ)、Staphylococcus aureus(スタフィロコッカス・アウレウス、黄色ブドウ球菌)、coagulase-negative Staphylococcus spp(コアグラーゼ陰性スタフィロコッカス属種)、Streptococcus pyogenes(ストレプトコッカス・ピオゲネス、化膿レンサ球菌)、Streptococcus pneumoniae(ストレプトコッカス・ニューモニアエ、肺炎レンサ球菌)およびEnterococcus spp(エンテロコッカス属種、腸球菌属種)からなる細菌群から選ばれ得る。
【0062】
広範囲の病原体、および特に広範囲の細菌に対する活性は、重篤な、または生命を脅かす感染における処理の最前線としてコポリマーが使用されることを可能にし、そこで例えば、感染の重症度が原因菌を適切に確認するのに十分な時間を許さないかもしれない。
【0063】
ウイルス感染は、一連のウイルス、例えば、ヘルペス、HIV、サイトメガロウイルスおよびインフルエンザを含む被覆ウイルス(例は、脂質被覆ウイルス)などのようなものによって引き起こされ得る。なるべくなら、本発明の方法によって処理および/または制御されるウイルス感染は、HSV-1、HSV-2、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella Zoster Virus)(鶏痘または疱疹の形態において)、HCMV、EBV、ヘルペス6、ヘルペス7、ヘルペス8およびSARS-CoV-2であり得る。
【0064】
別の実施形態では、ウイルスはインフルエンザウイルス、例えば、インフルエンザAなどのようなものである。
【0065】
さらに別の実施形態では、ウイルスはロスリバーウイルス(Ross River virus)である。
【0066】
さらなる実施形態では、ウイルスは、重症急性呼吸器症候群(Severe acute respiratorysyndrome)の原因となるコロナウイルスが含まれるコロナウイルスである。
【0067】
一実施形態では、ウイルス感染は概してCovid-19とも称されるSARS-CoV-2である。
【0068】
好ましいセットの実施形態では、本発明のコポリマーの調製プロセスは、以下のステップ:
ポリアルキレングリコール(なるべくなら、200から600ダルトンまでの範囲における分子量のポリエチレングリコール)の穏やかな塩基性(mildly basic)(なるべくなら、12.5を超えないpH;より一層なるべくなら、pH8より12.5まで、例えば、9.0より12.0までなどのようなもの)の水性溶液を提供すること;
空気を巻き込む(entrain)ために穏やかな塩基性の溶液を激しく混合すること;アクロレイン水溶液(通常、保存剤を含む)の50%w/wを超えない濃度の水溶液としてアクロレインを(なるべくなら、期間、例えば、少なくとも2分、より一層なるべくなら、少なくとも5分などのようなものにわたって緩徐に)加えること;
コポリマーを形成するためにアクロレインの添加の間、15℃を超えない、なるべくなら、12℃を超えない(例えば、10℃を超えない、8℃を超えないなどのようなものの温度にて溶液を維持すること;
およびなるべくなら、アクロレインモノマーが消費されてから、9未満、およびなるべくなら、8を超えないpHを提供するために酸を加えること
を含む。
【0069】
好ましくは、間接熱交換器、例えば、反応容器の少なくとも一部分についてクーラント流体流(例は、水流)を有するジャケットなどのようなものを設けた反応容器において反応を実行することによって、15℃を超えない、なるべくなら、12℃を超えないものに温度を制御する。
【0070】
得られるコポリマーの分子量は、ポリアルキレングリコールの分子量によって制御され、ならびにそのヒドロキシル濃度に正比例する。(重合は周囲温度、次いでおよび重合反応からの発熱にて始められ得、反応混合物の容量溶媒、例えば、水などのようなものの量、反応物の添加の割合(例えば、水性ポリアルキレングリコールへのアクロレインの添加の割合などのようなもの)および間接熱交換を有する反応容器の使用の一以上によって制御される。
【0071】
反応中、好ましくは、撹拌が続けられ、および必要に応じてだけ、pHを緩やかな塩基性(なるべくなら、12.5を超えないpH、より一層なるべくなら、pH9より12.5まで、9より12まで、または9より11まで)に維持する。より多くの塩基の添加およびその濃度は、分解/副反応を低下させ、および生成物におけるカルボニルまたはカルボキシルの生成を低減するように最小化される。
【0072】
最後に、溶液のpHは低下させ得る。好ましいセットの実施形態では、pHは、酸の添加によって、中性近くに調整される。アクロレインの極めて刺激性の臭いは、コポリマー生成物においてはもはや明白ではなく、それは大抵少なくとも99%の収率において形成される。
【0073】
結果として得られるアクロレイン-コポリマーは典型的に、250から1000ダルトンまで(例えば、300より1000ダルトンまで、400より1000ダルトンまで、または400より800ダルトンまでなどのようなもの)の範囲での分子量を有する。コポリマーはポリアクロレインの任意の含量から予想されるであろう濁りがない。コポリマーのその調製において使用されるアクロレイン:ポリエチレングリコールの重量比は、なるべくなら、1:4および1:40間、およびより一層なるべくなら、1:8および1:20間である。
【0074】
好ましい塩基はアルカリ水酸化物の水溶液であり;より一層なるべくなら、アルカリ水酸化物は水酸化ナトリウムである。
【0075】
好ましい酸は希塩酸である-ただし、酢酸はpH緩衝化目的のために有用である。
【0076】
アクロレインのポリアルキレングリコールの水溶液への添加は約10分かけることが好ましく-および完了までの反応は大抵、約40分かかり、およびなるべくなら、90分を超えない。
【0077】
我々は典型的には、50分の反応時間がコポリマー生成物への実質的に完全な変換を得るのに適していることを見出した。
【0078】
アクロレインはなるべくなら、水性ポリアルキレングリコールに、水溶液として-より一層なるべくなら、水性ポリアルキレングリコール溶液に添加するアクロレイン溶液の重量に基づいて、アクロレインモノマー10重量%から30重量%までの範囲での濃度として添加される。
【0079】
結果として得られるコポリマーは、10%未満、より一層なるべくなら、5%未満、およびさらになるべくなら、零%の反応性カルボニル基含量(プラス任意のカルボキシル基含量)を有する。
【0080】
アクロレイン溶液は通常、インヒビター(抑制物質などとも言う)、ヒドロキノンを例えば、0.5%を超えない、および典型的には0.01より0.5%まで、およびより一層なるべくなら、0.1%w/wなどのようなもので含有する。
【0081】
ここでのコポリマーが、様々な組成物および物理的形態において含まれ得ることは、当技術における人びとには明らかであろう。特に、コポリマーのより一層遅いクリアランスを利用する、インビボでの、組成物および使用の薬学的な方法が明らかになるであろう。また、膜、組織および器官を通した浸透の割合-およびヒトまたは動物の体内での結果として生じる吸収または分配を調整するために、分子量における変動を薬学的に利用し得ることが明らかになるであろう;この関連において、より一層低分子量のコポリマー、例えば、300より800ダルトンまでなどのようなものは、1000ダルトンの分子量を超えるコポリマーよりも迅速に吸収および分配される。
【0082】
ここでの結果に鑑みると、コポリマーの使用中の抗菌活性を高めるために、タンパク質、特にブロスを添加することもまた、想像できる。
【0083】
ここにおいて、対象生産物は、水溶性であり、およびヒト/動物への投与は、医学において知られる通常の方法によって-特に、口または注射によってでよく-および単独または組成物において、器官および組織内、またはヒトもしくは動物のいずれでものインビボ脈管系と接触して、またはそこで、任意の実用的な製薬上のやり方において用いることが可能である。コポリマーをヒトおよび動物に施すとき、それ自体で、または例えば、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、0.1%より99.5%まで(より一層なるべくなら、0.5%より90%まで)の活性原料を含む薬剤組成物として与えることができる。
【0084】
細菌感染は感染が慢性炎症を引き起こすか、または感染がガンを誘発する代謝物を放出するかのいずれでものために、ガンにつながり得ることがまた、当技術における人びとによって知られる(ガンにつながるHelicobacter pylori(ヘリコバクター・ピロリ)はよく知られた例である)。このように、この発明内で記載されるコポリマーは、ここに記載したような細菌、ウイルスおよびガン活動に対する抗生物質薬物(antibiotic drug)として実用的であることが見出されたので、有利に働き、および多分、相乗効果を発揮するはずである。また、ウイルス感染、特にインフルエンザウイルスによってのものとしては、しばしば細菌感染もなお伴うので、-再度、一の薬物における抗ウイルスおよび抗生物の同時発生の特性は有利に相乗的である。
【0085】
本発明を次に、以下の例を参照してさらに説明する。例は、本発明の例示のために提供され、およびそれらは決して本発明の範囲を制限するものではないことが理解される。
【実施例
【0086】
例1および比較例-MW約500ダルトンのコポリマーの調製
【0087】
表1に示すように、10℃(本発明による組成例E1)から40℃の比較例4までに及ぶコンピュータ制御した反応温度を有する容器において、以下のプロセスを実行した。
【0088】
反応は撹拌機および水流ジャケットの熱交換および反応中の自動コンピュータフィードバック温度制御を備えたガラス製反応器において行った。
【0089】
【表1】

【0090】
新しく蒸留したアクロレイン(5g;ハイドロキノン0.1%w/wにより抑制)の水(20g)中の溶液を1M水性水酸化ナトリウムの添加によってpH12とした水(20g)およびポリエチレングリコール(60g;MW200)の溶液に10分かけて緩徐に加えた;10分の間に、酸化したハイドロキノンの黄色が素早く現れ、次いで消失した。プロセスの間に組成物を連続的におよび激しく撹拌して空気との豊富な接触を提供した。発熱を伴った、および急速な重合が起こった。
【0091】
別の50分後、澄んだ溶液を1Mの水性塩酸の添加によりpH7.5に調整した;生成物は澄んで、ほとんど無色(非常に薄い黄色)の溶液であった。サンプルで行われたすべてのテストおよびここでの結果は、何らの精製なしのサンプルで行われた。
【0092】
生成物のUV-可視、200-600nMスペクトルだけは200-300nM領域の遠端において実質吸収を有した。
【0093】
HPLCは重合収率が99-100%w/wであり、およびいかなる残留アクロレインモノマーも1ppm w/w未満であることを指し示し;pH1まで(および最大でpH14まで)テストしたとき、コポリマーは可溶性のままであった。
【0094】
例1および比較例1より4までのそれぞれのコポリマーについて、S. aureusおよびE. coliのMICを定め、および示された異なる波長にて検出されたUVピークと一緒に表2に報告する。
【0095】
【表2】

例2-熱傷感染の処理
【0096】
この例は、例1および比較例3の組成物の、無処理による陰性コントロールおよびサフロマイシンによる陽性コントロールとの創傷感染モーデッド(moded)化合物の処理における有効性を検討する。
【0097】
手順
【0098】
実験デザイン
【0099】
【表3】
【0100】
実験手順
【0101】
接種物の調製[日1]
【0102】
感染誘導の1日前または創傷作成日に、Glycerol Stock(グリセロールストトック)Staphylococcus aureus[ATCC 43300]培養物を解凍し、および新鮮なカゼインダイズ消化(casein soyabean digest)(CSD)ブロスに接種し、および37℃の振とうインキュベーター(200rpm)において夜通しインキュベーションした(なるべくなら、接種は夕方に行う)。
【0103】
熱傷創の創作
【0104】
6-8週齢のWistar系(ウィスター系)雄性ラットの背部皮膚を剃毛した。動物は2-3%のイソフルラン麻酔の吸入によって麻酔をかけた。麻酔の深さはテイルピンチ(尾部をつまむ方法)によって確認した。80℃にまで加熱した溶融ワックスを用いて、剃毛および消毒した表面に熱傷創を創作した。2cm×2cmのプラスチック製の型を通して剃毛した動物の背中にワックスを流し込んだ。ワックスはそれが固まるまで皮膚上にとどめておいた。痛みとストレスを軽減するため、ケトプロフェンを10mg/kgの用量で皮下投与した。動物はエンリッチメントとともに個々に飼育した。
【0105】
感染の誘導
【0106】
創傷を作って1日後、ラットを皮膚創傷部位にて~108CFU/mlのStaphylococcus aureusの100μlにより感染させ、および創傷部位を滅菌綿ガーゼにより覆った。
【0107】
調剤物
【0108】
コポリマーのためのビヒクルは滅菌した0.9%セーリーン(塩類溶液、生理食塩水など)とした。コポリマーのテスト用量は、以下のように調剤した:グループ2-例1の383mgを20mlのビヒクル(濃度(conc)=19.15mg/ml)に添加し、およびグループ3-比較例3の383mgを20mlのビヒクル(濃度=19.15mg/ml)に添加した。
【0109】
処理
【0110】
感染後1日目から処理を開始した。動物は実験デザインにおいて示すように、試験化合物および参照化合物により3日間続けて処理した。
【0111】
例1(濃度=19.15mg/ml)および例3(濃度=19.15mg/ml)の両方を100μlの量でピペットにより創傷感染エリアに適用し、次いで創傷表面に滅菌曲げチップ(sterile bent tip)を用いて中心から周辺端に向かって溶液を均一に広げ、および滅菌綿ガーゼによりカバーした。
【0112】
サフロマイシン(30mg b.i.d.)を滅菌綿スワッブ(sterile cotton swab)により創傷面に塗布した。
【0113】
観察
【0114】
体重:体重は調査を通して毎日記録した。
【0115】
臨床的兆候:動物は調査期間を通して臨床的兆候について毎日モニターした。
【0116】
創傷収縮
【0117】
創傷エリアにおける変化は、0日目および4日目に創傷の境界を透明な紙にトレースすることによって測定した。次いでトレースを1mm2のグラフシートに移し、そこから創傷表面積を評価した。次いで評価した表面積は、以下の式を用いることによって創傷収縮率を算出するために採用した:
初期創傷サイズ-特定日創傷サイズ
%創傷収縮率=―――――――――――――――――― ×100
初期創傷サイズ
【0118】
上皮化期間
【0119】
上皮化の期間は創傷治癒後、生傷のない状態で壊疽(eschar)が落ちるまでに要した日数として記した。
【0120】
創傷の細菌学的評価
【0121】
創傷を作って後1日目および4日目に創傷全体をコットンスワッブにより拭いた。次いでスワッブを切り落とし、および滅菌生理学的セーリーン1mlを含むチューブに置いた。スワッブからセーリーン中に細菌細胞を放出させるためにボルテックスミキサーにより混合した後、100μlの非希釈細胞懸濁物またはその100倍希釈物をプレーティングし、および細菌の計数のためにCSD寒天プレート上で37℃にて夜通し(16h)インキュベーションした。
【0122】
データ分析
【0123】
各動物について体重、創傷収縮率、および細菌負荷(bacterial load)を評価した。グループおよびコントロールの平均値間の有意差は、ソフトウェアGraphpad Prism(グラフパッド・プリズム)(v 5.0)を用いる適切な統計的検定を用いて評価した。
【0124】
結果
【0125】
Staphylococcus aureus[ATCC 4330]に感染したラットでの熱傷創感染モデルにおけるE1およびCE3の組成物の有効性の評価.
【0126】
【表4】

【0127】
概要
・組成物E1テスト用量(100μl(19.15mg/ml)、局所的、u.i.d、3日)は、1日目と比較したとき4日目に細菌負荷での有意な減少を示した一方で、ビヒクルコントロールでは細菌負荷での有意な減少がなかった(p>0.05)。
・CE3テスト用量(100μl(19.15mg/ml)、局所的、u.i.d、3日)は,4日目にE1より一層低い有効性を有意に示した。
・サフロマイシン(30mg、局所的、b.i.d、Q=12hr、3日)は、平均荷重がより一層低かったが、1日目と比較するとき4日目に有意な有効性を示さなかった。
【0128】
結果を図1において示すグラフでプロットする。
【0129】
【表5】

【0130】
概要
・組成物E1テスト用量(100μl(19.15mg/ml)、局所的、u.i.d、3日)、組成物CE3テスト用量(100μl(19.15mg/ml)、局所的、u.i.d、3日)およびサフロマイシン(30mg、局所的、b.i.d、Q=12hr、3日)は1日目と比較するとき、ビヒクルコントロールと比較するとき、4日目に著しい創傷の減少(p<0.05)を示した。
【0131】
結果を図2においてプロットする。
【0132】
このように、E1組成物はCE3と比較して優れたインビボ有効性を見せ、15℃未満の温度にて調製されたコポリマーについて記録されたより一層低いMICと一致した。
【0133】
例3-上行性尿路感染の処理
【0134】
この例は上行性尿路感染ラットモデルにおけるE. coliに対するE1およびCE3の組成物の有効性を比較する。
【0135】
実験手順
【0136】
頸静脈のカテーテル挿入[2]
【0137】
感染の24時間前に、6-8週齢の雄Wistar系ラットをケタミンおよびキシラジン(70+10mg/kg)を用いて麻酔をかけた。麻酔はテイルピンチによって確認した。頸部背面および腹面(3-4cm)をWahl(ウォール)ペットトリマーで剃毛し、および手術部位を70%アルコールにより消毒した。ラットを背臥位(dorsal recumbence)にし、および腹側頸部(ventral neck side)にて1-2cm切開した;頸静脈を解剖し、および周囲組織から遊離させた。2本の外科用縫合糸を静脈の下に置いた(頭蓋端でのものおよび尾方端での別のもの)。頭蓋端を固く結び,尾方端にてスプリングシザーにより小切開し、およびヘパリン処理したセーリーン(100IU/ml)フィルドカテーテルを血管内腔(およそ25-35mm)へ挿入した。適切な配置および開存性(patency、パテンシー)を確実にするために十分な血液をカニューレ中に引き込んだ。
【0138】
接種物の調製[日-1]
【0139】
感染の1日前(日-1)にE. coli[ATCC 25922]のグリセロールストックを滅菌カゼインダイズ消化ブロス(Casein Soyabean Digest Broth)に接種し、および37℃にてインキュベーションのために保った。
【0140】
0日目(感染の日)
【0141】
感染の日に、夜通し培養物をチェックし、遠心分離し、およびペレット化した細胞を滅菌ノーマルセーリーンにおいて再懸濁し、および~1×109CFU/mlを取得するために連続希釈し、および感染のために使用した。接種物を滅菌CSDブロスにおいて10倍に連続希釈し、および接種物の生細胞数(CFU/ml)を定めるために各菌株についての6回希釈の0.05mlを予めインキュベートしたCSD寒天プレートにプレーティングした。
【0142】
感染の誘導[3,4,5]
【0143】
100%開存性を有する動物は調査のために選び、および実験デザインにおいて指定するように異なるグループに分けた。グループ化した動物のケージを生物学的安全キャビネットに近い処置室(procedure room)に運んだ。すべての感染は、生物学的安全キャビネットにおいて適切な人員保護(personnel protection)と共に実行した。動物はケタミンおよびキシラジン(60+10mg/kg i.p.)カクテルの腹腔内注射によって麻酔した。動物がペダル反射(pedal reflex)によってモニターされるように十分に深い麻酔面(plane of anaesthesia)にあったなら、各ラットの腹壁を電気バリカンで剃り、および皮膚を10%ポビジンヨード(povidine iodine)で清浄化した。1.5より2cmまでの下腹部壁切開後、腹壁筋を鈍的剥離により分離した。膀胱を分離し、および露出させ、膀胱内の尿を取り出し、および0.1mlの滅菌セーリーンまたは細菌培養E. coli(~1×108CFU/動物)を膀胱内に注入した。膀胱を元の位置に戻した後、縫合糸を用いて腹筋を接合させ、および皮膚を閉じた。手術部位は10%ポビジンヨードを用いてきれいにした。
【0144】
調剤物
【0145】
組成物E1のためのビヒクルは滅菌した0.9%セーリーンであった。メロペネムはMilliQ(ミリQ)水において調製した。
【0146】
処理
【0147】
感染4時間後、グループ4、5および6に、24時間の期間をかけて注入の一定割合(2ml/kg/hr)にて48ml/kgの用量容積(dose volume)で組成物E1を意識がある動物において静脈内(頸静脈(Jugular vein))に単回用量で投与した。組成物E1の用量レベルは50、500および4000mg/kgであった。グループ2には、意識がある動物において静脈内(Jugular vein)に24時間の期間をかけて一定割合の注入(2ml/kg/hr)にて滅菌した0.9%セーリーンを48ml/kgの用量容積で単回用量として投与した。メロペネム(グループ3)は30mg/kg(5ml/kgの用量容積)の単回IVボーラス用量として投与とした。処理の合計持続時間は24時間であった。
【0148】
終結
【0149】
処理開始後24時間(感染後28時間)にて、実験デザインに規定するように、適切な曝露室においてCO2の過剰用量により動物群を安楽死させた。グループ1の動物は感染後4時間で犠牲にした。
【0150】
組織の採取およびホモジナイゼーション
【0151】
安楽死させた動物を表面の除染のために70%エタノール中に浸した。器官は無菌的に取り出し-膀胱は尿道付近で切り取られ、および腎臓は出血を避けるために鈍的剥離によって除去した。膀胱および各腎臓を別々にホモジナイザー(Omni Tip(オムニ・ティップ)(THB220 hand held(ハンドヘルド)))を使用して滅菌セーリーンにおいてホモジナイズし、およびCSD寒天プレートを用いることによってスプレッドプレート技術により生細胞数を測定した。膀胱および腎臓のホモジネート1mlあたりのCFUは、37℃にて18-24時間培養した後に測定した。
【0152】
データ分析
【0153】
Log10CFU/グラム膀胱およびLog10CFU/グラム腎臓を各グループにおいて評価した。グループ平均間の有意差は95%信頼水準にてGraphpad Prism(グラフパッド・プリズム)を使用して一元配置ANOVA(oneway分散分析)、続いてDunnett's(ダネットの)多重比較検定によって分析した。<0.05のP値は有意であると考えた。
【0154】
【表6】


腎臓:
・メロペネムは30mg/kgの単回IVボーラス用量後に、腎臓においてビヒクルコントロールと比較するとき有意な殺菌活性を示した。
・組成物E1[4000mg/kg]は毒性を示し、-注入開始後12時間にてすべての動物が死亡した。
・組成物E1は50および500mg/kgにて用量依存的な抗菌効果を示し、500mg/kgでは、ビヒクルコントロールと比較するとき有意な活性を示した(p<0.05)。
【0155】
結果を図3においてプロットする。
【0156】
【表7】


膀胱
・メロペネムは膀胱において30mg/kgの単回IVボーラス用量後、ビヒクルコントロールと比較するとき有意な殺菌活性を示した。
・組成物E1は、膀胱においてビヒクルコントロールと比較するとき、50および500mg/kgにて意義深い用量依存的効果を示した(p<0.05)。
【0157】
膀胱感染の処理の結果を図4に示す。
【0158】
例4-インフルエンザAウイルス感染
【0159】
概要
【0160】
この調査の目的は組成物E1、CE3の組成物、およびインフルエンザAウイルス(H1N1)株:A/NWS/33(ATTCC(R)VR-219TM)((R)は米国等での登録商標表示、TMは米国等でのトレードマーク表示)に対する有効性をC57BL/6マウスにおいて1日2回5日間静脈内(IV)投与した後に決定することであった。E1およびCE3により処理したマウスは、調査を通して体重での用量依存性の改善を示した。リババリン(Ribavarin)、E1(25mg/kg、50および100mg/kg)およびCE3(100mg/kg、500および1000mg/kg)における動物は、4日目にビヒクルコントロールと比較するとき、有意により一層高い体重を示した(p<0.05)。
【0161】
リババリンはビヒクルコントロールと比較するとき、肺におけるウイルス増殖率およびウイルス量を有意に減少させた;E1は、ビヒクルコントロールと比較するとき、肺におけるウイルス増殖率およびウイルス量での有意な用量依存的減少を示した。CE3は、ビヒクルコントロールと比較するとき、肺におけるウイルス増殖率およびウイルス負荷での有意な用量依存的減少を示した。リババリンE1(25mg/kg、50および100mg/kg)およびCE3(100mg/kg、500および1000mg/kg)における動物は、4日目にビヒクルコントロールと比較するとき、有意により一層低いウイルス力価を示した(p<0.05)。
【0162】
提供された溶液における組成物CE3および組成物E1は、1000mg/mlの濃度であった。
【0163】
テストシステム
種 :マウス
株、性 :C57BL/6、雌性
齢 :6-8週
グループの数 :9
動物/グループの数 :12
動物の合計数 :108
【0164】
ウイルス:インフルエンザAウイルス(H1N1)株:A/NWS/33(ATTCC(R)VR-219TM
【0165】
【表8】

【0166】
感染の誘導
【0167】
マウスはケタミン60mg/kg IP+キシラジン10mg/kgにより腹腔内(i.p.)に麻酔をかけた。麻酔したマウスは鼻孔において30μlのウイルス接種物(~1×104)IAV(プラーク形成単位(PFU)/マウス)の滴注(instillation)により鼻腔内感染させた(15μl/鼻孔)。
【0168】
調剤物
【0169】
E1、CE3およびリババリンの組成物を滅菌0.9%セーリーンにおいて調剤化した。
【0170】
処理
【0171】
感染の4時間前に、実験デザインに示すように、動物にテストおよび参照品目を投与した。動物は実験デザインに示すように6日間の持続期間について処理した。
【0172】
終結
【0173】
感染後1、2、4、6日目に各グループからの3匹の動物をCO2の過量投与により犠牲にした。
【0174】
組織の採取およびホモジナイゼーション
【0175】
安楽死させた動物は表面除染のために70%エタノールに浸した。肺を無菌的に摘出し、および1mLの冷感染媒体において滅菌ホモジナイザーでホモジナイズした。サンプルは300×gにて5-10分間RTで遠心分離し、上清を新鮮な滅菌チューブにおいて収集し、および4℃にてまたは-80℃にて貯蔵した。
【0176】
臨床観察
【0177】
動物を一般的な臨床的兆候、病的状態および死亡率についてモニターした。体重は調査終了時に測定した。
【0178】
データ分析
【0179】
平均±SD Log10PFU/g肺を各グループにおいて評価した。グループ平均およびコントロール間の有意差は95%信頼水準にてGraphpad Prismを使用して一元配置ANOVA、次いでDunnett's多重比較検定によって分析した。P値<0.05を有意と考えた。
【0180】
結果
【0181】
6日目PIに、ビヒクルコントロールグループにおいて3匹中二匹の動物が死亡しているのが見出された。グループE1(25mg/kg一日二回(IVボーラス、q12h)、5日)では、3匹中二匹の動物が衰弱し、および三匹目の動物が死亡しているのが見出された。他のグループにおける動物は調査を通して明らかに正常であった。調査を通した動物の体重は表9に示す。
【0182】
【表9】


非感染コントロールにおける動物は重量が増加し;ビヒクルコントロールおよびE1(25mg/kg)グループにおける動物は調査を通して有意に体重が減少し;陽性コントロールグループにおける動物は体重での有意な減少を示さなかった。E1(50mg/kgおよび100mg/kg)グループにおける動物は、2日目に平均体重での下落を示したが、その後体重での増加を示し;CE3(100mg/kg)における動物は調査を通して体重における減少を示したが、一方で500mg/kgおよび1000mg/kgは6日目に有意な減少を示さなかった。ビヒクルコントロールのグループにおけるマウスの数は1であったため6日目の体重(bodyweight)についての統計的分析を行うことは可能でなかった。代わりに、4日目に統計的分析を行った。リババリン(Ribavarin)、E1(25mg/kg、50および100mg/kg)およびCE3(100mg/kg、500および1000mg/kg)における動物は、4日目にビヒクルコントロールと比較するとき、有意により一層高い体重を示した(p<0.05)。
【0183】
マウスの肺におけるウイルス力価を表10に示す。
【0184】
【表10】


リババリンはビヒクルコントロールと比較するとき、肺におけるウイルス増殖率およびウイルス負荷を有意に減少させた;E1はビヒクルコントロールと比較するとき、肺でのウイルス増殖率およびウイルス負荷における有意な用量依存的減少を示した。CE3はビヒクルコントロールと比較するとき、肺でのウイルス増殖率およびウイルス負荷における有意な用量依存的減少を示した。
【0185】
ビヒクルコントロール群のマウスの数が1匹であったため、6日目のウイルス力価についての統計的分析を行うことは可能でなかった。代わりに、統計的分析は4日目に行った。リババリン、E1(25mg/kg、50および100mg/kg)およびCE3(100mg/kg、500および1000mg/kg)における動物は4日目にビヒクルコントロールと比較するとき、有意により一層低いウイルス力価を示した(p<0.05)。
【0186】
結論
【0187】
インフルエンザAウイルス(H1N1)株:A/NWS/33(ATCC(R)VR-219TM)により感染させたマウスインフルエンザモデルにおいて、ビヒクルにより処理した動物は重量を著しく失った;リバビリン(Ribavirin)処理したマウスは体重における有意な減少を示さなかった;E1およびCE3により処理したマウスは、調査を通して体重における用量依存的改善を示した。リババリン(Ribavarin)、E1(25mg/kg、50および100mg/kg)およびCE3(100mg/kg、500および1000mg/kg)における動物は、4日目にビヒクルコントロールと比較するとき、有意により一層高い体重を示した(p<0.05)。リババリンは,肺におけるウイルス増殖率およびウイルス負荷をビヒクルコントロールと比較するとき有意に減少させた;E1は,肺でのウイルス増殖率およびウイルス負荷においてビヒクルコントロールと比較するとき,有意な用量依存的減少を示した。CE3は、肺でのウイルス増殖率およびウイルス負荷においてビヒクルコントロールと比較するとき、有意な用量依存的減少を示した。リババリン、E1(25mg/kg、50および100mg/kg)およびCE3(100mg/kg、500および1000mg/kg)における動物はビヒクルコントロールと比較するとき、4日目に有意により一層低いウイルス力価を示した(p<0.05)。
【0188】
例5-最大耐用量(Maximum Tolerated Dose)
【0189】
例5A-マウスにおける7日間の反復静脈内ボーラス投薬後のMTD.
【0190】
雌BALB/cマウスに、ビヒクル、CE3(5、50および500mg/kg q12h、7日間)およびE1(5、50および500mg/kg q12h、7日間)を静脈内投薬した(ボーラス)。投薬後、動物は一般的な臨床的徴候を観察された。まとめると、マウスにおけるCE3のMTDは1日2回(q=12h)、1週間、静脈内投薬するとき、500mg/kgであることが見出された。マウスにおけるE1のMTDは、1日2回(q=12h)、1週間、静脈内投薬するとき、50mg/kgであることが見出された。
【0191】
材料および方法
【0192】
テストシステム
種 :マウス
株、性 :BALB/c、雌
齢 :6週
グループの数 :7
動物/グループの数 :5
動物の合計数 :35
【0193】
E1およびCE3の組成物は濃度1000mg/mlの液状調剤物として提供した。
【0194】
【表11】

【0195】
実験手順
【0196】
動物にビヒクルおよびテスト物質の異なる用量を1日2回(q12h)、上記に示すように7日間静脈内(ボーラス)投薬した。動物を7日間観察し、および以下のパラメータについてビヒクルコントロールグループと比較した:
1.投薬直前および投薬7日後までの体重
2.投薬前および直後から7日間までの臨床的徴候(歩行、姿勢、病的状態)
3.動物を死亡率について観察した。
【0197】
調剤物
【0198】
E1およびCE3についてビヒクルとして0.9%ノーマルセーリーンを用いた。
【0199】
E1組成物
【0200】
5mg/kg:2.0μlの調剤物(1000mg/ml)は1.998mlの0.9%ノーマルセーリーンを加えると共に2mlにまで希釈した。
【0201】
50mg/kg:20μlの調剤物(1000mg/ml)は1.980mlの0.9%ノーマルセーリーンにより2mlに希釈した。
【0202】
500mg/kg:200μlの調剤物(1000mg/ml)は1.800mlの0.9%ノーマルセーリーンにより2mlに希釈した。
【0203】
CE3組成物
【0204】
5mg/kg:2.0μlの調剤物(1000mg/ml)は1.998mlの0.9%ノーマルセーリーンを加えると共に2mlにまで希釈した。
【0205】
50mg/kg:20μlの調剤物(1000mg/ml)は1.980mlの0.9%ノーマルセーリーンにより2mlに希釈した。
【0206】
500mg/kg:200μlの調剤物(1000mg/ml)を1.800mlの0.9%ノーマルセーリーンにより2mlに希釈した。
【0207】
調剤物は各投薬前に毎日新しく調製した。
【0208】
投薬
【0209】
動物に異なる用量にてCE3およびE1により1日2回(q12h(12時間おき))、上記に示すように7日間静脈内投薬した(ボーラス)。用量容積は5ml/kgであった。
【0210】
結果
【0211】
動物の臨床的徴候、肉眼的所見および体重を表12および13に示す。
【0212】
【表12-1】


【表12-2】


【0213】
【表13】

【0214】
結論
【0215】
E1の低用量(5および50mg/kg、i.v、q12h日(q12 h days)、7日間)により処理したマウスは、投薬後明らかに正常であり、およびビヒクルグループと同等であった。E1高用量を投薬(500mg/kg、i.v、q12h日、7日間)されたマウスでは、5匹中3匹のマウスが4回目の投薬後に死亡することが見出された。
【0216】
CE3処理グループ、即ち、ビヒクル、低、中および高用量グループでの動物は、試験を通じて明らかに正常であった。
【0217】
両方のCE3およびE1で処理したマウスグループ、即ち、E1高用量グループを除くビヒクル、低、中および高用量グループにおいて平均体重が増加した。
【0218】
要するに、1日2回(q=12h)1週間静脈内投薬したときマウスにおけるCE3のMTDは500mg/kgであると見出された。マウスにおけるE1のMTDは、1日2回(q-12h)1週間静脈内投薬したとき50mg/kgであると見出された。
【0219】
例5B-ラットにおける7日間の反復経口投薬後の例CE3およびE1の組成物の最大耐用量MTDの識別.
【0220】
概要
【0221】
雄のSprague Dawley rat(スプラーグドーリーラット)に、ビヒクル、CE3の組成物(vehicle, The Composition of CE3)(5、50および500mg/kg q12h)およびE1の組成物(5、50および500mg/kg q12h)を7日間経口で投薬した。投薬後、動物の一般的な臨床的徴候および体重について観察した。CE3およびE1の最大耐用量MTDは1日2回7日間繰り返し経口投与したときラットにおいて少なくとも500mg/kgであると見出された。
【0222】
試験
【0223】
CE3およびE1の組成物はガラスバイアルにおける濃度1000mg/mlの溶液として供給した。
【0224】
テスト対象
種:ラット
株:Sprague Dawley
齢:6-8週
性:雄性
【0225】
実験手順
【0226】
動物は実験デザインにおいて示すように異なるグループに分け、および餌料と水を随意に与えた。ラットのグループは上に示すように異なる用量にてテスト物質を1日2回(q12h)、7日間経口投薬した。
【0227】
結果
【0228】
ビヒクル、CE3およびE1をすべての用量にて投薬された動物は、調査を通して外見上正常であった(表1)。動物の平均体重はすべてのグループにおいて増加し、および明らかな異常性はすべてのグループにおいて肉眼的所見で観察されなかった。
【0229】
結論
【0230】
CE3およびE1の最大耐用量MTDは1日2回7日間繰り返し経口投与したときラットにおいて少なくとも500mg/kgであることが見出された。
【0231】
例6-SARS-CoV-2
【0232】
E1およびCE3の組成物は、よく受け入れられる感染のモデルであるSyrian golden hamsters(シリアンゴールデンハムスター)において、SARS-CoV-2ウイルスに対してインビボで用量依存的活性を実証した。
【0233】
両化合物の鼻腔内投与はSARS-CoV-2に対する複数の潜在的な投与様式をサポートする。
【0234】
方法
【0235】
調査は8匹のハムスターの5つのグループからなり、それぞれ異なる処理-セーリーン鼻洗浄のプラセボコントロール、CE3の低用量(200mg/kg)、CE3の高用量(400mg/kg)、E1の低用量(100mg/kg)、およびE1の高用量(200mg/kg)を受けた。すべての動物は0日目にSARS CoV-2に感染させられ、1-5日目に1日2回投与される処理を伴い、および2、4および6日目にqPCRを介してウイルス力価を直接測定した。このモデルでは、ウイルス力価は2および4日目間で典型的にピークに達する。
【0236】
結果は、CE3およびE1の両方において、プラセボグループと比較してCOVID-19ウイルス負荷における正の減少を実証した。結果を図面の図5において示し、グラフはSARS-CoV-2に感染し、および組成物E1およびCE3により処理したハムスターにおける鼻洗浄力価(log10ゲノム/μL)を示す。グラフでは、各日の左から右へのプロットはプラセボ、CE3(200mg/Kg)、CE3(400mg/Kg)、E1(100mg/Kg)およびE1(200mg/Kg)に関連する。4日目でのグループ内の平均ログ減少(mean log reduction)は、そこで低E1用量が1.5ログのオーダーでログ減少を達成し、および高用量のCE3が1.25ログのログ減少を達成した。6日目にCOVID-19に感染した5匹のハムスターのうち2匹は、高用量E1グループで有害な臨床症状を示し、および調査から除外した。カンパニーはE1がインビボで著しくより一層高い脈管内注入用量にて日常的に良好な耐性があることから、調査特有の例外と考える。調査の開始および終了時のすべてのグループにわたるハムスターの重量はおおよそ同じなままであった。
【0237】
このハムスターの調査はE1の鼻腔投与について特にウイルスに対して使用するときの可能性を実証する。
【0238】
E1は低用量にてSARS-CoV-2に対してより一層高い活性を実証した。E1組成物はこのように、CE3と比較して優れたインビボ抗ウイルス有効性を見せ、15℃未満の温度にて調製したコポリマーについて記録されたより一層低いMICと一致する。
【0239】
例7-SARS-CoV-2-ヒト気道上皮(HAE)細胞
【0240】
パートA
【0241】
COVIDオルガノイドプロトコル:ヒト気道上皮(HAE)細胞を含むオルガノイドをSARS-CoV-2ウイルスによる接種によって感染させ、およびCE3(H:31ppm、M:10ppm、L:3ppm)とE1(H:82ppm、M:41ppm、L:8ppm)の濃度を変えて37度Cにてインキュベーションし、およびPFUs(ウイルスのプラーク形成単位)の数によって測定したウイルス負荷を時間点にて評価した。コントロールはポリエチレングリコール(PEG)200であった。
【0242】
データはコントロールグループと比較すると、CE3およびE1によるSARS-CoV-2(COVID-19)ウイルスのベースラインからの濃度依存的な減少を指し示す。SARS-CoV-2ウイルスは世界的なCOVID-19の全国的流行の原因である。利用された濃度はCE3静脈内注入プログラムのコポリマーに関する一続きの前臨床データよりはるかに低かった。
【0243】
ウイルス感染における濃度依存的減少は、2つのコポリマー組成物の濃度を変えて決定し、および添付図面の図6において示す。
【0244】
データは特に低用量にて、CE3と比較した組成物E1のSARS-CoV-2に対するより一層高い活性を指し示した。
【0245】
パートB
【0246】
別々の調査において、CE3およびE1はテストした濃度にてVero(サル)細胞に対する影響が0.25%未満である優れた毒性プロファイルを指し示した。
【0247】
Vero細胞における細胞傷害性試験プロトコル:CE3(153ppm、76ppm、38ppm、19ppm、13ppm、6ppm、3ppm、2ppm、1ppm)およびE1(82ppm、55ppm、41ppm、33ppm、27ppm、16ppm、12ppm、8ppm、4ppm)のある範囲の濃度にわたる細胞傷害性は、Vero細胞発光アッセイにおいて評価し、および未処理の健全なVero細胞のコントロールを用い1時間、24時間および72時間のインキュベーションの時点にて細胞生存率を測定した。測定したすべての時点および濃度において、両化合物は最小限の細胞傷害性効果を実証し、試験した細胞の99%よりも多くがそれらの生存性を保持される。
【0248】
細胞傷害性試験の結果は、E1について図7に、およびCE3については図8に示す。各濃度について、1時間、24時間および72時間についての最大細胞傷害性のパーセントを報告する(左から右へ)。
【0249】
例8-マウスにおけるNeisseria gonorrhoea(ナイセリア・ゴノレエ)(ATCC700825)に対するE1およびCE3の有効性
【0250】
概要
【0251】
調査の目的は、マウス膣感染モデルにおけるNeisseria gonorrhoea(ATCC700825)に対する例E1および比較例CE3の組成物の有効性を評価することであった。メロペネムは50mg/kgを7日間IVボーラス投薬した後、膣負荷において、ビヒクルコントロールと比較するとき有意な殺菌活性を示した(p<0.05)。E1は用量依存的な抗菌効果を示した。25および50mg/kgの用量にてE1は細菌負荷において平均の用量依存的な減少を示したが、それらは特に有意ではなかった; 100mg/kgの用量にてE1は、ビヒクルコントロールと比較するとき、有意な抗菌効果を示した(p<0.05)。
【0252】
CE3は、ビヒクルコントロール7日間PIと比較するとき、膣負荷において100、500および1000mg/kg(7日間IVボーラス)にて有意な用量依存的抗菌効果を示した(p<0.05)。
【0253】
テスト項目
【0254】
CE3およびE1.は1000mg/mlの水溶液中であった。
テストシステム種 :マウス
株、性 :BALB/c、

齢 :4-6週
グループの数 :9
動物の合計数 :90
【0255】
N. gonorrhoeae(N.ゴノレエ)の接種
【0256】
発情周期の発情休止ステージにおける動物に、5mg、21日間の制御放出型エストラジオールペレットを皮下に移植し、および感染中はN. gonorrhoeaeに対するそれらの感受性を増加させるためにストレプトマイシンおよびトリメトプリムにより処理した。ペレット移植の2日後、マウスにN.gonorrhoeae(~2×106CFU/動物)を膣内接種した。
【0257】
調剤物
【0258】
CE3、E1およびメロペネムについてのビヒクルは、滅菌した0.9%セーリーンであった。テスト化合物は必要とされる濃度にビヒクルにより希釈した。
【0259】
処理
【0260】
感染後2日で動物を実験デザインにおいて示すように7日間連続して処理した。
【0261】
【表14】
【0262】
結果を図9に描き、マウスにおける参照およびテスト品目により処理した後の膣スワッブにおける細菌負荷を示す。*P<0.05ビヒクルコントロールから有意に異なる。
【0263】
結論
【0264】
N. gonorrhea(ATCC700825)に感染したマウス膣感染モデルにおいて、メロペネムは50mg/kgを7日間IVボーラス投薬後、膣負荷においてビヒクルコントロールと比較するとき有意な殺菌活性を示した(p<0.05)。
【0265】
E1は用量依存的な抗菌効果を示した。25および50mg/kgの(7日間のIVボーラス)の用量にてE1は、細菌負荷において平均用量依存的な減少を示し;100mg/kgにて(7日間のIVボーラス)E1は、ビヒクルコントロールと比較するとき有意な抗菌効果を示した(p<0.05)。
【0266】
CE3は、ビヒクルコントロール7日間PIと比較するとき、100、500および1000mg/kg(7日間のIVボーラス)での膣負荷において有意な用量依存的抗菌効果を示した(p<0.05)。
【0267】
このように、E1組成物は、CE3と比較して優れたインビボ有効性を見せ、15℃未満の温度にて調製されたコポリマーについて記録されたより一層低いMICと一致する。
【0268】
例9-本発明の5℃および10℃にて調製した組成物のMIC決定
【0269】
本発明の組成物は、例1の手順を用いて、5℃(例2-E2)および10℃(例1 E1)にて調製した。
【0270】
例1および例2のそれぞれのコポリマーについて、S. aureus(S.アウレウス)およびE. coli(E.コリ)のMICを決定し、表15において報告する。
【0271】
【表15】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9