(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】抗PD-1抗体および融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20250304BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20250304BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20250304BHJP
C07K 14/715 20060101ALI20250304BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20250304BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20250304BHJP
C12N 15/24 20060101ALI20250304BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250304BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20250304BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20250304BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20250304BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250304BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250304BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20250304BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250304BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20250304BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20250304BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20250304BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C07K14/54
C07K14/715
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/24
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61K38/20
A61P35/00
A61P31/12
A61P37/04
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2022578618
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(86)【国際出願番号】 US2021038740
(87)【国際公開番号】W WO2021262880
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2024-06-21
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513190449
【氏名又は名称】カドモン コーポレイション,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ダン・ルー
(72)【発明者】
【氏名】ジャンナ・ポロンスカヤ
(72)【発明者】
【氏名】ズー-ペイ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ステラ・エー・マルトモ
(72)【発明者】
【氏名】ジーガー・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ファイカル・ミヤラ
【審査官】三谷 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/077276(WO,A2)
【文献】特表2019-533443(JP,A)
【文献】国際公開第2019/204665(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
Google/Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融合タンパク質であって、
抗PD-1抗体
;
IL-15Rα sushiドメインポリペプチド;および
IL-15ポリペプチ
ドを含み、
前記融合タンパク質は配列番号219の軽鎖配列、配列番号240の第1の重鎖配列および配列番号241の第2の重鎖配列を含む、前記融合タンパク質。
【請求項2】
前記融合タンパク質は、1つ以下のIL-15Rα sushiドメインポリペプチドおよび1つ以下のIL-15ポリペプチドを含む、請求項
1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
2つの軽鎖および2つの重鎖を含
む、請求項
1に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の
融合タンパク質をコードする核酸
を含む、1以上の発現ベクター。
【請求項5】
請求項
4に記載
の発現ベクタ
ーを含む
、細胞。
【請求項6】
(i)
請求項1~3のいずれか1項に記載の融合タンパク質と、
(ii)薬学的に許容される担体と
を含む
、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体を参照によって本明細書に組み入れる、2020年6月23日に出願された米国仮特許出願第63/043,114号の、および2020年11月9日に出願された米国仮特許出願第63/111,459号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に分子生物学および医薬の分野に関する。より詳しくは、本開示は、IL-15ポリペプチドに連結された抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質を提供し、IL-15ポリペプチドは、次いでIL-15Rα sushiドメインを含むIL-15受容体アルファ(IL-15Rα)ポリペプチドに連結される。さらに、本開示は、PD-1に特異的に結合する抗体およびその抗原結合断片ならびにこのような抗PD-1抗体およびそのPD-1結合断片を含む融合タンパク質を提供する。また、疾患を処置するための抗体融合物または抗体を含む治療組成物も開示される。
【背景技術】
【0003】
PD-1は、286個のアミノ酸の55KDのI型膜貫通タンパク質であり、膜近位免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)および膜遠位チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)を含む。PD-1サイトゾルドメインは、2つのチロシンを含有し、最も近いチロシン(マウスPD-1中のVAYEEL)は、ITIM内に位置する。ヒトPD-1タンパク質およびマウスPD-1タンパク質は、約60%のアミノ酸同一性を共有し、4つの潜在的なN-グリコシル化部位およびIg-Vドメインを規定する残基が保存されている。細胞質領域中のITIMの周囲のITIM様モチーフおよびC末端チロシンも、ヒトオルソログとマウスオルソログとの間で保存されている。PD-1は、受容体のCD-28ファミリーのメンバーであり、主に、末梢組織および腫瘍微小環境において成熟T細胞で発現される。PD-1はまた、B細胞、専門的抗原提示細胞(APC)および、ナチュラルキラー(NK)細胞を含む他の非T細胞サブセットで発現される。
【0004】
PD-1のリガンドには、B7ファミリーメンバーPD-L1(B7-H1およびCD274としても知られる)およびPD-L2(B7-DCおよびCD273としても知られる)がある。PD-L1は、主に、リンパ系および非リンパ系組織の両方、例えば、CD4およびCD8T細胞、マクロファージ系統細胞、末梢組織で、ならびに腫瘍細胞、ウイルス感染細胞および自己免疫組織細胞で発現される。しかし、PD-L2は、PD-L1よりも制限された発現を有し、マクロファージおよび活性化樹状細胞でのみ発現される。PD-1リガンドは、黒色腫、神経膠腫、非小細胞肺がん、頭頸部の扁平上皮癌、白血病、膵臓がん、腎細胞癌および肝細胞癌を含む多数のヒトがんにおいて発現され、ほぼすべてのがんにおいて誘導可能であり得る。PD-1とそのリガンドとの間の相互作用は、T細胞キナーゼZAP70の脱リン酸化および不活性化ならびにSHP2の動員をもたらす。SHP2は、PI3Kを直接的に脱リン酸化し、Aktinの下流活性化を阻害し、腫瘍浸潤性リンパ球の減少およびT細胞受容体媒介性増殖の減少を引き起こし、免疫回避につながる。PD-1とPD-L1との間の相互作用を阻害することは、免疫抑制を逆転させ、PD-1のPD-L2との相互作用が同様にブロッキングされる場合に効果は相加的である場合がある。
【0005】
PD-1媒介性免疫抑制が関与する疾患を処置するために、いくつかの市販の抗PD-1抗体が現在使用されている。しかし、患者のサブセットしかこれらの療法に対して十分に応答しない。適応症および他の因子に応じて、各単剤療法の患者の通常の応答率は、10%~30%の範囲である。この応答の欠如の1つの可能性ある理由は、活性化された抗腫瘍CD8+およびCD4+T細胞ならびに他のエフェクター、例えば、NK細胞を含む炎症性腫瘍微小環境(TME)がないことである可能性がある。
【0006】
種々のサイトカイン、例えば、IL-2、IL-15、IL-21、腫瘍壊死因子(TNF)および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)とともにPD-1抗体が関与する併用療法は、がんおよび感染症の処置において何らかの有効性を有する場合がある。しかし、これらの療法は、有効性を得るために必要なサイトカインの高い血中濃度ならびに罹患細胞および組織に対する投与されるサイトカインの特異性の欠如の両方と関連する全身毒性によって制限される。
【0007】
IL-15は、114個のアミノ酸を有する12.5KDの糖タンパク質であり、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)およびGM-CSFも含むサイトカイン4α-ヘリックスバンドルファミリーに属する。IL-15は、マクロファージ、樹状細胞および単球によって分泌される。IL-15は、他のT細胞に対する効果をモジュレートすることなく、中枢記憶CD8細胞を刺激して免疫性を発揮できる。さらに、IL-15は、NK細胞およびエフェクターおよび記憶CD8T細胞を活性化でき、制御性T細胞(Treg)によって誘導されるアポトーシスからT細胞を救出できる。IL-15の投与はまた、他のサイトカインと比較して、高い用量で全身毒性を誘導するリスクがより低いことと関連している。ヒトIL-15は、可溶性であるか、または膜結合型であり得る。IL-15の主要な形態である膜結合型IL-15は、細胞膜へのIL-15の直接的な結合によって、または膜結合型IL-15R受容体によるIL-15の提示によって形成される。
【0008】
IL-15受容体は、3つのサブユニット:IL-15Rα、IL-15RβおよびIL-15Rγから構成される。IL-15は、通常、T細胞およびNK細胞上の機能的IL-15Rβおよびγユニットへの結合の前に、APC上に発現されたIL-15受容体αと複合体を形成する。IL-15は、IL-15Rα受容体単独に親和性(Ka=1.1011M-1)で結合できる。これはまた、IL-15Rβγcシグナル伝達複合体に、より低い親和性(Ka=1.109M-1)で結合できる。IL-15Rαのsushiドメイン(29.5KD)は、IL-15およびIL-15Rαの複合体形成において重要な役割を果たす。
【0009】
全身IL-15処置を用いる場合の制限の1つは、その極めて短いin vivo半減期である。したがって、免疫応答をモジュレートするその能力を保持しながら、より長いin vivo半減期を有するIL-15/IL-15Rαの適した免疫刺激形態を生成する必要がある。さらに、不要な全身毒性を避け、より有効な治療利益を提供するために、疾患部位に選択的に標的化できる有効なIL-15アンタゴニストが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
PD-1活性をモジュレートする化合物は、がん、炎症および自己免疫疾患を含む種々の疾患および障害の処置のための治療剤としての可能性を有する。非特異的免疫活性と関連する副作用を伴わずに治療利益を提供するために、疾患部位に種々のエフェクター分子を標的化する新規戦略を開発する重要な、満たされていない必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
PD-1に結合する融合タンパク質、抗体およびそれらの抗原結合断片が、本明細書において提供される。実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含む。また、PD-1に結合する抗PD-1抗体およびその抗原結合断片も開示される。また、このような融合タンパク質、抗体およびそれらの抗原結合断片の治療組成物、ならびにこれらの融合タンパク質、抗体およびそれらの抗原結合断片を使用する方法も提供される。
【0012】
一態様では、本開示は、PD-1結合タンパク質、IL-15受容体(IL-15R)結合タンパク質(例えば、IL-15またはそのIL-15R結合部分)およびIL-15結合タンパク質(例えば、IL-15RαまたはIL-15Rα sushiドメインを含むそのIL-15結合部分)を含む融合タンパク質を提供する。一態様では、PD-1結合タンパク質は、抗体またはそのPD-1結合断片である。一実施形態では、IL-15受容体結合部分は、IL-15である。実施形態では、IL-15は、IL-15Rαのsushiドメインに直接的または間接的につなげられる。
【0013】
一実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体およびIL-15ポリペプチドを含み、IL-15ポリペプチドのC末端は、抗体重鎖の1つの重鎖可変領域のN末端に直接的にまたはポリペプチドリンカーを介して共有結合によって連結される(すなわち、抗体重鎖は、ヘテロ二量体を形成し、重鎖の1つは、IL-15ポリペプチドに連結される)。一実施形態では、IL-15ポリペプチドのN末端は、IL-15Rα sushiドメインポリペプチドのC末端に連結される。
【0014】
一実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体および2つのIL-15ポリペプチドを含み、各IL-15ポリペプチドは、抗体重鎖のN末端に共有結合によって連結される。
【0015】
1つのみの重鎖が、IL-15/IL-15Rα sushiドメインに連結される実施形態では、抗体のFcドメインは、ヘテロ二量体形成を促進する1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含み得る(すなわち、重鎖融合物の融合を欠く重鎖との会合)。実施形態では、1つの重鎖のCH3ドメイン(CH3-1)中のアミノ酸残基は、アミノ酸をより大きな側鎖体積を有するアミノ酸残基と置き換えるアミノ酸置換を含み、それによって、CH3ドメイン内に「ノブ」が生成し、これは、他の重鎖のCH3ドメイン(CH3-2)内に存在する、アミノ酸残基をより小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基と置き換えることによって生成された「ホール」中に配置可能である。実施形態では、アミノ酸置換は、以下の群から選択される:
(1)第1の重鎖のCH3ドメイン:S354C、T366W;第2の重鎖のCH3ドメイン:Y349C、T366S、L368A、Y407V
(2)第1の重鎖のCH3ドメイン:T350V、L351Y、F405A、Y407V;第2の重鎖のCH3ドメイン:T350V、T366L、K392L、T394W
(3)第1の重鎖のCH3ドメイン:L351Y、F405A、Y407V;第2の重鎖のCH3ドメイン:T366L、K392L、T394W。
【0016】
第1のまたは第2の重鎖のいずれかは、IL-15/IL-15Rα sushiドメインに連結される。
【0017】
実施形態では、IL-15RαポリペプチドおよびIL-15ポリペプチドは、第1のリンカーによってつなげられる。実施形態では、IL-15ポリペプチドおよび抗PD-1抗体またはそれらの抗原結合部分は、第2のリンカーによってつなげられる。実施形態では、リンカーの長さは独立に10~40個のアミノ酸の間であり得る。実施形態では、リンカーの長さは、25~35個のアミノ酸である。実施形態では、リンカー配列は、Gly(G)、Asn(N)、Ser(S)、Thr(T)、Ala(A)、Leu(L)およびGln(Q)を含む群から、最も好ましくは、Gly(G)、Asn(N)およびSer(S)を含む群において選択される近くの中性アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、リンカー配列は、グリシンおよびセリンリッチであり、一部の実施形態では、リンカーは、セリンおよびグリシン残基のみを含有する。
【0018】
ある特定の実施形態では、IL-15および/またはIL-15Rα sushiドメインは、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含む。実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15の1、4、8、30、45、61、64、65および/または108位に位置する。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15の45、65および/または108位に位置する。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15中のN1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、L45A、N65S/A/D/Kおよび/またはQ108S/E置換のうち1つまたはそれ以上である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15中のL45A、N65S/A/D/Kおよび/またはQ108S置換である。一実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15中のN65S置換である。
【0019】
一実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15Rα sushiドメイン中のN60置換である。一実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15Rα sushiドメイン中のN60A置換である。
【0020】
実施形態では、融合タンパク質は、以下のアミノ酸置換:N65S、N65AまたはN65Dのうち1つを含むIL-15ポリペプチドを含む。実施形態では、融合タンパク質は、以下のアミノ酸置換:(1)L45A、(2)N65S、N65AまたはN65Dおよび(3)Q108Sのうち1つまたはそれ以上を含むIL-15ポリペプチドを含む。一実施形態では、融合タンパク質は、N60Aアミノ酸置換を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドを含む。
【0021】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)IL-15ポリペプチドまたはその誘導体;
(iii)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドまたはその誘導体;および
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドと、IL-15ポリペプチドまたはその誘導体とをつなげるリンカーポリペプチド
を含む融合タンパク質に関する。
【0022】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列または配列番号212に対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチド;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列または配列番号214に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチド;および
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド
を含む融合タンパク質に関する。
【0023】
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片、融合タンパク質の部分は、
図1に提供される、またはそうではなく本明細書において記載される対応する重および軽鎖可変領域および/またはCDRを含むものを含む、PD-1に特異的に結合する任意の抗体またはその抗原結合断片であり得る。実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
重鎖可変領域のCDR1(CDR1H)の配列は、配列番号21の配列を含む;
重鎖可変領域のCDR2(CDR2H)の配列は、配列番号22の配列を含む;
重鎖可変領域のCDR2(CDR3H)の配列は、配列番号23の配列を含む;
軽鎖可変領域のCDR1(CDR1L)の配列は、配列RX
13X
14X
15X
16IX
17X
18WX
19X
20(配列番号135)を含み;
X
13はAまたはVであり;
X
14はSまたはGであり;
X
15はQ、EまたはRであり;
X
16はG、S、DまたはNであり;
X
17はG、SまたはNであり;
X
18はS、I、R、T、K、P、N、HまたはVであり;
X
19はLまたはVであり;
X
20はGまたはAであり;
軽鎖可変領域のCDR2(CDR2L)の配列は、配列X
21AX
22X
23X
24X
25X
26(配列番号136)を含み;
X
21はS、D、EまたはAであり;
X
22はSまたはKであり;
X
23はS、N、T、RまたはDであり;
X
24はLまたはVであり;
X
25はQ、EまたはHであり;
X
26はS、N、A、R、PまたはTであり;
軽鎖可変領域のCDR3(CDR3L)の配列は、配列QQX
27X
28SFPX
29X
30(配列番号137)を含み;
X
27はAまたはGであり;
X
28はN、DまたはYであり;
X
29はFまたはLであり;
X
30はAまたはTである。
【0024】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む。
【0025】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで:
重鎖可変領域は、配列番号24または配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含み;
軽鎖可変領域は、配列番号98または配列番号98に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。
【0026】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重鎖および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1H、CDR2HおよびCDR3Hの配列は、それぞれ、配列番号21、22および23を含み;
CDR1L、CDR2LおよびCDR3Lの配列は、それぞれ、配列番号45、46および47;配列番号66、67および68;配列番号70、67および71;配列番号73、74および75;配列番号77、78および47;配列番号80、81および82;配列番号77、78および84;配列番号77、86および47;配列番号88、89および47;配列番号66、67および47;配列番号80、92および75;配列番号80、94および71;配列番号99、100および47;配列番号102、103および104;配列番号106、103および47;配列番号108、103および47;配列番号110、111および75;配列番号77、103および113;配列番号77、111および47;配列番号116、67および47;配列番号118、119および47;配列番号80、78および47;配列番号122、103および47;配列番号124、125および75;配列番号127、38および68;配列番号129、130および47または配列番号132、133および75を含む。
【0027】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで:
重鎖可変領域は、配列番号24または配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含み;
軽鎖可変領域は、配列番号48、69、72、76、79、83、85、87、90、91、93、95、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131もしくは134または配列番号48、69、72、76、79、83、85、87、90、91、93、95、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131もしくは134のいずれか対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。
【0028】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含む;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含む;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含む;
CDR1Lの配列は、配列RSSX1SLLX2SNGX3X4YLD(配列番号62)を含み、
X1はQまたはEであり;
X2はHまたはYであり;
X3はYまたはNであり;
X4はTまたはNであり;
CDR2Lの配列は、配列X5X6SX7X8X9X10(配列番号63)を含み、
X5はL、QまたはEであり;
X6はS、AまたはVであり;
X7はH、N、TまたはSであり;
X8はRまたはLであり;
X9はG、AまたはHであり;
X10はSまたはTであり;
CDR3Lの配列は、配列MQGX11X12WPYT(配列番号64)を含み、
X11はA、TまたはSであり;
X12はHまたはRである。
【0029】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重鎖および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
軽鎖可変領域のCDR3(CDR3L)の配列は、配列番号50の配列を含む。
【0030】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで:
重鎖可変領域は、配列番号20または配列番号20に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含み;
軽鎖可変領域は、配列番号51または配列番号51に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。
【0031】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重鎖および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1H、CDR2HおよびCDR3Hの配列は、それぞれ、配列番号17、18および19を含み;
CDR1L、CDR2LおよびCDR3Lの配列は、それぞれ、配列番号41、42および43;配列番号41、52および53;配列番号41、55および56;または配列番号58、59および60を含む。
【0032】
さらなる実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで:
重鎖可変領域は、配列番号20または配列番号20に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含み;
軽鎖可変領域は、配列番号44、54、57もしくは61または配列番号44、54、57もしくは61のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。
【0033】
別の態様では、本開示は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体またはその抗原結合断片はPD-1に結合し、抗体またはその抗原結合断片は重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々は、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、抗体重鎖は、3つの定常ドメインCH1、CH2およびCH3を含む定常領域を含む。
【0034】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含む;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含む;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含む;
CDR1Lの配列は、配列RX13X14X15X16IX17X18WX19X20(配列番号135)を含み;
X13はAまたはVであり;
X14はSまたはGであり;
X15はQ、EまたはRであり;
X16はG、S、DまたはNであり;
X17はG、SまたはNであり;
X18は、S、I、R、T、K、P、N、HまたはVであり;
X19はLまたはVであり;
X20はGまたはAであり;
CDR2Lの配列は、配列X21AX22X23X24X25X26(配列番号136)を含み;
X21はS、D、EまたはAであり;
X22はSまたはKであり;
X23はS、N、T、RまたはDであり;
X24はLまたはVであり;
X25はQ、EまたはHであり;
X26はS、N、A、R、PまたはTであり;
CDR3Lの配列は、配列QQX27X28SFPX29X30(配列番号137)を含み;
X27はAまたはGであり;
X28はN、DまたはYであり;
X29はFまたはLであり;
X30はAまたはTである。
【0035】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む。
【0036】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、以下:
配列番号24を含む重鎖可変領域または配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列;および
配列番号98を含む軽鎖可変領域または配列番号98に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列
を含む。
【0037】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1H、CDR2HおよびCDR3Hの配列は、それぞれ、配列番号21、22および23を含み;
CDR1L、CDR2LおよびCDR3Lの配列は、それぞれ、配列番号45、46および47;配列番号66、67および68;配列番号70、67および71;配列番号73、74および75;配列番号77、78および47;配列番号80、81および82;配列番号77、78および84;配列番号77、86および47;配列番号88、89および47;配列番号66、67および47;配列番号80、92および75;配列番号80、94および71;配列番号99、100および47;配列番号102、103および104;配列番号106、103および47;配列番号108、103および47;配列番号110、111および75;配列番号77、103および113;配列番号77、111および47;配列番号116、67および47;配列番号118、119および47;配列番号80、78および47;配列番号122、103および47;配列番号124、125および75;配列番号127、38および68;配列番号129、130および47;または配列番号132、133および75を含む。
【0038】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、以下:
配列番号24を含む重鎖可変領域または配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列;および
配列番号48、69、72、76、79、83、85、90、91、93、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131もしくは134を含む軽鎖可変領域または配列番号48、69、72、76、79、83、85、90、91、93、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131もしくは134のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列
を含む。
【0039】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含む;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含む;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含む;
CDR1Lの配列は、配列RSSX1SLLX2SNGX3X4YLD(配列番号62)を含み、
X1はQまたはEであり;
X2はHまたはYであり;
X3はYまたはNであり;
X4はTまたはNであり;
CDR2Lの配列は、配列X5X6SX7X8X9X10(配列番号63)を含み、
X5はL、QまたはEであり;
X6はS、AまたはVであり;
X7はH、N、TまたはSであり;
X8はRまたはLであり;
X9はG、AまたはHであり;
X10はSまたはTであり;
CDR3Lの配列は、配列MQGX11X12WPYT(配列番号64)を含み、
X11はA、TまたはSであり;
X12はHまたはRである。
【0040】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号50の配列を含む。
【0041】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、以下:
配列番号20を含む重鎖可変領域または配列番号20に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列;および
配列番号51を含む軽鎖可変領域または配列番号51に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列
を含む。
【0042】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1H、CDR2HおよびCDR3Hの配列は、それぞれ、配列番号17、18および19を含み;
CDR1L、CDR2LおよびCDR3Lの配列は、それぞれ、配列番号41、42および43;配列番号41、52および53;配列番号41、55および56;または配列番号58、59および60を含む。
【0043】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、以下:
配列番号20を含む重鎖可変領域または配列番号20に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列;および
配列番号44、54、57もしくは61を含む軽鎖可変領域または配列番号44、54、57もしくは61のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列
を含む。
【0044】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドまたは配列番号212に対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドまたは配列番号214に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換S354CおよびT366W(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換Y349C、T366S、L368AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0045】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドまたは配列番号212に対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドまたは配列番号214に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T350V、L351Y、F405AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T350V、T366L、K392LおよびT394W(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0046】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドまたは配列番号212に対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドまたは配列番号214に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換L351Y、F405AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T366L、K392LおよびT394W(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0047】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドであって、場合により、配列番号212のアミノ酸N65がS、DまたはAで置換されている、IL-15ポリペプチド;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドであって、場合により、配列番号214のアミノ酸N28がAで置換されている、IL-15Rα sushiドメインポリペプチド;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換S354CおよびT366W(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換Y349C、T366S、L368AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0048】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドであって、場合により、配列番号212のアミノ酸N65がS、DまたはAで置換されている、IL-15ポリペプチド;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドであって、場合により、配列番号214のアミノ酸N28がAで置換されている、IL-15Rα sushiドメインポリペプチド;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T350V、L351Y、F405AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T350V、T366L、K392LおよびT394W(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0049】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;
ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドであって、場合により、配列番号212のアミノ酸N65がS、DまたはAで置換されている、IL-15ポリペプチド;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドであって、場合により、配列番号214のアミノ酸N28がAで置換されている、IL-15Rα sushiドメインポリペプチド;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換L351Y、F405AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T366L、K392LおよびT394W(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0050】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号50の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドまたは配列番号212に対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドまたは配列番号214に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換S354CおよびT366W(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換Y349C、T366S、L368AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0051】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号50の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドまたは配列番号212に対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドまたは配列番号214に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T350V、L351Y、F405AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T350V、T366L、K392LおよびT394W(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0052】
一態様では、本開示は、以下:
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号50の配列を含む;
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドまたは配列番号212に対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドまたは配列番号214に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換L351Y、F405AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T366L、K392LおよびT394W(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0053】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号50の配列を含む;
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドであって、場合により、配列番号212のアミノ酸N65がS、DまたはAで置換されている、IL-15ポリペプチド;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドであって、場合により、配列番号214のアミノ酸N28がAで置換されている、IL-15Rα sushiドメインポリペプチド;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換S354CおよびT366W(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換Y349C、T366S、L368AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0054】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号50の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドであって、場合により、配列番号212のアミノ酸N65がS、DまたはAで置換されている、IL-15ポリペプチド;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドであって、場合により、配列番号214のアミノ酸N28がAで置換されている、IL-15Rα sushiドメインポリペプチド;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T350V、L351Y、F405AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T350V、T366L、K392LおよびT394W(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0055】
一態様では、本開示は、
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み;ここで:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号50の配列を含む
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列を含むIL-15ポリペプチドであって、場合により、配列番号212のアミノ酸N65がS、DまたはAで置換されている、IL-15ポリペプチド;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチドであって、場合により、配列番号214のアミノ酸N28がAで置換されている、IL-15Rα sushiドメインポリペプチド;
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド;
を含む融合タンパク質に関し、
場合により、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、2つの重鎖:
(a)第1の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換L351Y、F405AおよびY407V(Kabat EUインデックス番号付け)を含み;
(b)第2の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸置換T366L、K392LおよびT394W(Kabat EUインデックス番号付け)を含む、を含む。
【0056】
一実施形態では、本開示によって提供される抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、多重特異性または二重特異性抗体またはその抗原結合断片である。一実施形態では、抗体または抗原結合断片は、PD-L1またはPD-L2に結合する相補的領域を含む二重特異性抗体である。本開示はまた、例えば、制限するものではないが、蛍光標識、造影剤、治療剤または細胞傷害性薬剤への抗体のコンジュゲートまたは融合分子も提供する。
【0057】
本開示は、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片を含む融合タンパク質のうち1つまたはそれ以上と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0058】
実施形態では、本開示は、本明細書において開示される抗PD-1抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸分子および本明細書において開示される融合タンパク質をコードする核酸分子ならびにこのような核酸分子を含むベクターを提供する。また、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または本明細書において開示される融合タンパク質をコードするベクターを含む細胞も提供される。
【0059】
実施形態では、本開示は、PD-1のPD-1のリガンドへの結合を阻害する方法であって、それを必要とする対象に本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0060】
実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において疾患を処置する方法であって、前記対象に、薬学的に許容される形態の、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質を含む組成物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0061】
実施形態では、本開示は、それを必要とする対象においてT細胞活性化を増大する方法であって、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質の有効量を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において免疫系を刺激する方法であって、前記対象に、薬学的に許容される形態の、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質を含む組成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示は、それを必要とする対象においてウイルスの複製を低減する方法であって、対象に、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質を含む組成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0062】
本開示はまた、対象におけるPD-1のPD-L1および/またはPD-L2との相互作用を阻害する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質の有効量を投与することを含む方法も提供する。本開示は、それを必要とする対象においてPD-1によって媒介される免疫抑制を阻害する方法であって、対象に、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質の有効量を投与することを含む方法をさらに提供する。
【0063】
本開示は、それを必要とする対象においてPD-1を発現する細胞または組織に対する免疫応答を刺激する方法であって、対象に、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質の有効量を投与することを含む方法をさらに提供する。ある特定の実施形態では、PD-1を発現する細胞または組織は、がん性細胞またはそれだけには限らないが、ウイルスまたは細菌を含む病原体に感染した細胞である。
【0064】
一態様では、本開示は、がん、免疫障害または感染をそれを必要とする患者において処置する方法であって、(a)本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質を用いて、細胞をin vitroで処置すること、および(b)処置された細胞を患者に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、細胞はT細胞である。
【0065】
別の態様では、本開示は、対象において抗原に応じたT細胞活性化を増大する方法であって、対象に本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片もしくは融合タンパク質の有効量または本明細書において開示される医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0066】
別の態様では、本開示は対象の免疫応答の上方制御から恩恵を受けるであろう対象において状態を処置する方法であって、対象に本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質の有効量を投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、対象は、PD-L1の上方制御された発現を有する、または対象は、PD-L1の発現について陽性と同定されている。
【0067】
一実施形態では、本開示は、チェックポイント阻害剤を用いる療法に応答しない(原発性耐性)対象を処置するために、および/またはチェックポイント阻害剤処置に最初に応答するが、後に、チェックポイント阻害剤遮断に対して耐性になる(続発的または獲得耐性)対象を処置するために、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質を使用する方法を提供する。このような処置するための方法は、前記対象に本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質を投与することを含む。一部の実施形態では、対象は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤およびCTLA-4阻害剤のうち1つまたはそれ以上を用いる療法に対する耐性を獲得した。
【0068】
一実施形態では、本開示は、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質をそれを必要とする対象に投与する方法であって、対象に追加の治療剤または療法を投与することをさらに含み、追加の治療剤または療法は、がんワクチン、チェックポイント阻害剤、腫瘍特異的抗原に対する抗体、カルメット・ゲラン菌(BCG)ワクチン、細胞毒、インターロイキン6受容体(IL-6R)阻害剤、インターロイキン4受容体(IL-4R)阻害剤、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-21、IL-15、抗体-薬物コンジュゲート、抗炎症薬および栄養補助食品からなる群から選択される、方法を提供する。実施形態では、本開示は、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質をそれを必要とする対象に投与する方法であって、対象にCTLA-4、PD-1、PD-L1およびPD-L2阻害剤から選択されるチェックポイント阻害剤を投与することをさらに含む、方法を提供する。実施形態では、本開示は、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質をそれを必要とする対象に投与する方法であって、対象にLAG3、TIGIT、LAP、ポドプラニン、プロテインC受容体、ICOS、GITR、CD226および/またはCD160の阻害剤のうち1つまたはそれ以上を投与することをさらに含む、方法を提供する。実施形態では、本開示は、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質をそれを必要とする対象に投与する方法であって、追加の治療剤または療法を投与することをさらに含み、追加の治療薬または療法は、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質と同時にまたは継続的に投与される、方法を提供する。実施形態では、本開示は、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質をそれを必要とする対象に投与する方法であって、対象に追加の治療剤または療法を投与することをさらに含み、追加の治療剤または療法は、別個に、または本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片もしくは融合タンパク質との混合物として投与される、方法を提供する。一実施形態では、本開示は、本明細書において開示される抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質を、化学療法、放射線療法または手術と組み合わせて投与する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1-1】本明細書において開示される抗PD-1抗体の重および軽鎖可変ドメイン配列ならびにCDR配列を示す図である。CDR配列は、Kabatに従う(AbM/Chothiaに従うCDR配列は、下線が引かれたアミノ酸を除外する)。
図1Aは、ライブラリースクリーニングによって同定された6つの抗ヒトPD-1(hPD-1)抗体の重および軽鎖可変領域を提供する。
図1Bは、23H9のならびに軽鎖シャッフリングによって同定された23H9バリアントの軽鎖およびCDR配列を提供し、軽鎖のライブラリーは、23H9重鎖配列と対を形成していた。X
1はQまたはEであり;X
2はHまたはYであり;X
3はYまたはNであり;X
4はTまたはNであり;X
5はL、QまたはEであり;X
6はS、AまたはVであり;X
7はH、N、TまたはSであり;X
8はRまたはLであり;X
9はG、AまたはHであり;X
10はSまたはTであり;X
11はA、TまたはSであり;X
12はHまたはRである。
図1Cは、24H9のならびに軽鎖シャッフリングによって同定された24H9バリアントの軽鎖およびCDR配列を提供し、軽鎖のライブラリーは、24H9重鎖配列と対を形成していた。X
13はAまたはVであり;X
14はSまたはGであり;X
15はQ、EまたはRであり;X
16はG、S、DまたはNであり;X
17はG、SまたはNであり;X
18はS、I、R、T、K、P、N、HまたはVであり;X
19はLまたはVであり;X
20はGまたはAであり;X
21はS、D、EまたはAであり;X
22はSまたはKであり;X
23はS、N、T、RまたはDであり;X
24はLまたはVであり;X
25はQ、EまたはHであり;X
26はS、N、A、R、PまたはTであり;X
27はAまたはGであり;X
28はN、DまたはYであり;X
29はFまたはLであり;X
30はAまたはTである。
図1Dは、抗体R3A9ならびに軽鎖シャッフリングによって同定されたR3A9誘導体と交差反応するhPD-1/mPD-1の配列を提供し、軽鎖のライブラリーは、R3A9重鎖配列と対を形成していた。
【
図2】ELISAによって決定されるような抗体19B6、19B10、23A8、23H9、24H9および23A11の、hPD-1-Fcへの(
図2A、
図2Bにおけるような表示)およびhPD-1-hisへの(
図2B)結合を例示する図である。
【
図3】
図3は、抗体19B6、19B10、23A8、23H9、24H9および23A11の、hPD-1とhPD-L1の間の相互作用をブロッキングする能力を表す図である。
【
図4】抗体19B6、19B10、23A8、23H9、24H9および23A11の、それぞれ、hPD-1-293細胞への(
図4A)、ドナー「EA」(低PD-1発現)由来のSEB活性化PBMCへの(
図4B)、およびドナー「AF」(高PD-1発現)由来のSEB活性化PBMCへの(
図4C)結合を例示する図である。
図4A:EC
50 23A8>23H9>19B10。MFI 23A8>23H9>19B10。
図4B:23H9>24H9および23A8。
図4C:23H9>24H9および23A8。
【
図5】抗体23A8および23H9(
図5A)ならびに19B6および24H9(
図5B)の、PD-1とhPD-L1との間の相互作用をブロッキングする能力を例示する図である。
【
図6-1】抗体23H9、31B1、33C4、33G8および34C1の、hPD-1-Fcへの結合(
図6A、
図6Bと同一の表示)、ストレプトアビジンによって捕捉されたビオチン-hPD-1-hisへの結合(
図6B)、αhisによって捕捉されたhPD-1-hisへの結合(
図6C、
図6Dと同一の表示)、およびhPD-1-Fc/hPD-L1-Fc相互作用のブロッキング(
図6D)を表す図である。親抗体23H9とその誘導体との間に有意差は観察されなかった(
図6Aおよび
図6B)。すべての誘導体は、親抗体よりも低いEC
50および高い阻害値を有していた(
図6Cおよび
図6D)。
【
図7】抗体24H9、32A11、32D2、32D11、38A6、38A10、38A11、38B2、38C11、39B3、39B11、39G8および38H11の、hPD-1-Fcへの結合(第1の、最左列)、ストレプトアビジンによって捕捉されたhPD-1-hisへの結合(第2の列)、αhisによって捕捉されたhPD-1-hisへの結合(第3の列)およびhPD-1/hPD-L1相互作用のブロッキング(第4の列)を表す図である。
【
図8-1】抗体31B1、33C4、23H9、38A6、24H9および38B2の、hPD-1-293細胞への(
図8A、
図8Bと同一の表示)およびhPD-1ジャーカット細胞への(
図8B)ならびにドナーFA(
図8C、
図8Dと同一の表示)およびドナーFB(
図8D)由来のSEB活性化PBMCへの結合を表す図である。
図8A.hPD1-HEK293のMFI:24H9誘導体(38B2および38A6>24H9)>23H9誘導体(31B1および33C4>23H9)。
図8B.hP01-ジャーカットのMFI:23H9誘導体(33C4>31B1>23H9)>24H9誘導体(38B2>38A6>24H9)。
図8Cおよび
図8D.2人のドナー由来のSEB活性化ヒトPBMCへの結合のEC
50値:23H9誘導体(31B1は33C4と同一)<24H9誘導体(38A6は31B1と同一)。SEB活性化ヒトPBMCへの結合のMFI:23H9誘導体(31B1は33C4と同一)>24H9誘導体(38A6は31B1と同一)。
【
図9】Promega結合アッセイを使用した、抗体23H9、31B1、33C4、24H9、38B2および38A6の、PD-1/PD-L1相互作用をブロッキングする能力を例示する図である。
図9A.23H9およびその誘導体31B1ならびに33C4のEC
50:31B1(0.139μg/ml)>33C4(0.165μg/ml)>23H9(0.511μg/ml)。最大誘導倍数(発光):31B1(6.48)>33C4(6.24)>23H9(5.56)。
図9B.24H9およびその誘導体38A6ならびに38B2のEC
50:38B2(0.855μg/ml)>38A6(0.164μg/ml)>24H9(0.855μg/ml)。最大誘導倍数(発光):38B2(6.54)>38A6(5.66)>24H9(4.97)。
【
図10-1】抗体23H9、31B1、24H9および38B2の存在下でのドナーFA由来のPBMCのIL-2蓄積(
図10A)およびドナーEA PBMCのIL-2蓄積(
図10Bおよび
図10C)を表す図である。
図10A.ドナーFA由来のPBMCにおけるIL-2蓄積:示された抗体の存在下で用量依存的に増大したIL-2濃度。
図10B.23H9および31B1:EC
50は、それぞれ、0.344および0.107nMであり;10nM抗体濃度でのIL-2濃度は、それぞれ、3.9および5.81μg/mlであった。
図10C.24H9および38B2:EC
50は、それぞれ、>10nMおよび0.019nMであった;10nM抗体濃度でのIL-2濃度は、それぞれ、4.5および5.0μg/mlであった。
【
図11】示差走査熱量計(DSC)によって決定された抗体780_38(31B1)、780_39(33C4)、780_46(38A6)および780_54(38B2)の熱安定性測定値を例示する図である。
【
図12-1】抗体31B1、33C4、38B2および38A6のhPD-1FCへの(
図12A)、ストレプトアビジンによって捕捉されたビオチン標識hPD-1hisへの(
図12B、
図12Aにおいてと同じ表示)および抗his抗体によって捕捉されたhPD-1hisへの結合(
図12C、
図12Aにおいてと同じ表示)ならびにhPD-1-hPD-L1(
図12D)およびhPD-1-hPD-L2相互作用のブロッキング(
図12E)を表す図である。
【
図13-1】抗体31B1、33C4、38A6および38B2の、hPD-1-293細胞への(
図13A)、hPD-1-Jurkat細胞への(
図13B)、ドナーFA由来のSEB活性化PBMCへの(
図13C)およびドナーFB由来のSEB活性化PBMCへの(
図13D)用量反応結合を表す図である。
図13A.示されるすべての抗体誘導体は、同様のEC
50値を有するが、24H9誘導体38A6および38B2は、より高い最大結合シグナルを示す。
図13Bにおいてと同一の表示。
図13B.23H9誘導体31B1および33C4は、24H9誘導体38A6および38B2と比較してより低いEC
50値およびより高い最大結合シグナルを有する。
図13C.
図13Dにおいてと同一の表示。
図13Cおよび
図13D.23H9誘導体31B1および33C4は、2人の異なるドナーに由来するPBMCを使用して決定されたように、24H9誘導体38A6および38B2と比較してより高い最大結合シグナルおよびより低いEC
50値を示す。
【
図14】SPRによって決定されるような、抗体38B2、38A6、33C4および31B1のhPD-1-hisへの(
図14A)ならびにhPD-1-Fcへの(
図14B)結合について得られたK
D値を表す図である。
【
図15】抗体31B1および38B2の、細胞間hPD-1-hPD-L1相互作用をブロッキングする能力を例示する図である。31B1および38B2の2つの実験から平均されたEC
50値は、それぞれ0.168および0.154μg/mlであった。発光の誘導倍数もまた、2つの実験から平均された。31B1と38B2との間に有意差は観察されなかった。31B1と38B2との両方とも対照B(商品名オプジーボで販売される、ニボルマブ)より優れており、対照M(商品名キイトルーダで販売される、ペムブロリズマブ)と同様であった。
図15A.実験1。
図15B.実験2。
【
図16】抗PD-1抗体31B1および38B2の、ドナーEA(
図16A)およびドナーFA(
図16B)に由来するSEB活性化PBMCにおけるIL-2サイトカイン産生に対する効果を例示する図である。サイトカインIL-2分泌は、ドナーEAおよびFAに由来するSEB活性化ヒトPBMC細胞において調べた。38B2、31B1、ctMおよびctBのEC
50値は、0.101、0.297、0.210および0.548nM(ドナーEA由来のPBMC)であった。38B2、31B1、ctMまたはctBによって処置された細胞による最大IL-2分泌は、それぞれ、8.05、7.73、7.21および6.79ng/mlであった。38B2は、31B1および2つの対照抗体よりも強力であった;31B1は対照Bよりもより強力であり、対照Mと同等であった。
【
図17-1】ELISAによって決定されるような、抗体m3A7およびR3A9の、可溶性mPD-1-Fcへの(
図17A)、可溶性のストレプトアビジンによって捕捉されたmPD-1-Fcへの(
図17B)、可溶性のストレプトアビジンによって捕捉されたmPD-1-hisへの(
図17C)、mPD-1を発現する細胞への(
図17C)用量依存性結合ならびに抗体m3A7およびR3A9によるPD-L1へのmPD-1のブロッキング(
図17E)ならびにPromegaアッセイによって決定されるような細胞間mPD-1/PD-L1相互作用の遮断(
図17F)を表す図である。
【
図18-1】ELISAによって決定されるような、抗体38B2、m2C1、m2A1、m4D1、m3A7およびR3A9の、hPD-1への(
図18A、
図18Bにおけるような表示)、mPD-1への(
図18B)およびストレプトアビジンによって捕捉されたビオチンmPD-1への(
図18C、
図18Bにおけるような表示)結合ならびにELISAによって決定されるような、抗体38B2、m2C1、m2A1、m4D1、m3A7およびR3A9によるmPD-1-mPD-L1相互作用のブロッキング(
図18D、
図18Eにおけるような表示)およびhPD-1-hPD-L1相互作用のブロッキング(
図18E)を例示する図である。
【
図19-1】抗体m2A1、m2C1、m4D1、R3A9、m3A7および38B2の、hPD-1またはmPD-1を発現する細胞への結合を表す図である。ヒトPD-1を発現する細胞:hPD-293(
図19A、
図19Dにおけるような表示)およびhPD-1ジャーカット(
図19B、
図19Dにおけるような表示)。マウスPD-1を発現する細胞:
図19C(
図19Dにおけるような表示)および
図19D。
【
図20】mPD-1/mPD-L1相互作用のブロッキングならびに抗体38B2、m4D1およびm2C1によるhPD-1-hPD-L1相互作用のブロッキングを表す図である。
図20A.遮断:m4D1は、mPD1-mPDL 1相互作用のブロッキングにおいてm3A7と同程度に強力であった。IC50 m4D1=0.5724nM。IC50 m3A7=0.5615nM。IC50 m2C1=1.127nM。
図20B.m4D1は、hPD1/hPDL 1相互作用をブロックするが、38B2と同程度に強力ではなかった。IC50 38B2=0.7248nM。IC50 m4D1=2.125nM。IC50 m2C1=31.25nM。
【
図21A】例示的PD-1/IL-15融合タンパク質の模式図を表す図である。
【
図21B】例示的PD-1/IL-15融合タンパク質の模式図を表す図である。
【
図22-1】融合タンパク質1N-m3A7/IL-15、2N-m3A7/IL-15、1C-m3A7/IL-15および2C-m3A7/IL-15の、mPD-1への(
図22A)およびmPD-1を発現する細胞への(
図22B)結合ならびに競合ELISA(
図22C)またはPromegaブロッキングアッセイ(
図22D)を使用するmPD-1へのmPD-L1のブロッキングを表す図である。
【
図23-1】、融合タンパク質1N-m3A7/IL-15、2N-m3A7/IL-15、1C-m3A7/IL-15および2C-3A7/IL-15の、CTLL2(
図23A)およびC57BL6(
図23B)の増殖に対する効果を表す図である。
図23C.総脾臓細胞中のCD8
+/CD4
+T細胞集団。融合タンパク質1N-DP47/IL-15、2N-DP47/IL-15、1C-DP47/IL-15および2C-DP47/IL-15を対照として使用した。
【
図24】抗PD-L1/SD15 融合タンパク質の、PD-1/PD-L1耐性ルイス肺モデル(LL2)における、PD-1発現腫瘍を有するマウスの腫瘍成長を低減する能力を表す図である。
【
図25A】C末端融合物と比較して、N末端融合タンパク質は、末梢T細胞と比較してリンパ球に浸潤する腫瘍(TIL)に対して作用するのに特に有用であることを例示する図である。これは、N末端融合構築物によって可能となるcis提示による。
【
図25B】C末端融合物と比較して、N末端融合タンパク質は、末梢T細胞と比較してリンパ球に浸潤する腫瘍(TIL)に対して作用するのに特に有用であることを例示する図である。これは、N末端融合構築物によって可能となるcis提示による。
【
図26-1】hPD-1融合タンパク質(
図26Aおよび
図26B)および突然変異hPD-1融合タンパク質((38B2)/N65D/S/A突然変異IL-15を含む)(
図26C)に対する、PD-1/PD-L1相互作用(
図26Aおよび
図26C)およびPD-1/PD-L2相互作用(
図26B)のブロッキングを例示する図である。
【
図27-1】示された抗PD-L1-SD15融合タンパク質によるM07e細胞の増殖の刺激を例示する図である。
【
図28】
図28は、腫瘍サイズに対する異なる抗PD-L1/IL-15/リンカー/IL-15Rα sushiドメイン融合タンパク質の影響を例示する図である。CT26同系モデルを使用した。単回用量、IV。抗PD-L1抗体:D7A8。
【
図29-1】1N-融合タンパク質におけるIL-15中のN65S突然変異の存在は、融合物の、PD-1に結合する能力およびPD-1相互作用を撹乱する能力に影響を及ぼさないことを例示する図である。
図29A.1N-融合タンパク質の、可溶性hPD-1-Fcへの結合。
図29B.PD-1へのPD-L1結合を測定するためのELISA競合アッセイ。
図29C.PD-1へのPD-L2結合を測定するためのELISA競合アッセイ。
図29D.hPD-1がトランスフェクトされたHEK293細胞への1N-融合タンパク質の結合。
図29E.PD-L2のPD-1への結合を決定するためのPromega遮断アッセイ。
図29F.PD-L2のPD-1への結合を決定するためのPromega遮断アッセイ。抗体DP47(非標的化対照抗体)を含む融合タンパク質が対照として働いた。mut=N65S。
【
図30-1】1N-融合タンパク質におけるIL-15中のN65S突然変異の存在は、ヒト細胞の増殖における融合タンパク質の有意な効力の低下につながることを例示する。
図30A、30Bおよび30Cは、抗PD-1(38B2)/N65D/S/A突然変異IL-15融合によるM07e細胞の増殖の刺激を示す。非標的化対照抗体を含む融合タンパク質が対照として働いた(
図30B)。
図30Dは、示された融合タンパク質を用いる刺激の際にhPBMCの増殖を示す。
図30Eは、示された融合タンパク質の、hIL2RβがトランスフェクトされたHEK30細胞への結合を示す。
【
図31-1】1N-融合タンパク質におけるIL-15中のN65S突然変異の存在が、マウス細胞の増殖における融合タンパク質の有意な効力の低下およびCD4
+T細胞よりもCD8
+T細胞の増殖における用量反応の増大につながることを例示する図である。
図31Aおよび31Bは、示された融合タンパク質を用いる刺激の際のマウスCTLL2細胞(
図31A)およびマウスBALB/c脾臓細胞(
図31B)の増殖を示す。
図31Cおよび31Dは、示された融合タンパク質を用いる刺激の際のマウスBALB/c脾臓細胞(
図31C)およびhPBMC(
図31D)におけるCD8
+およびCD4
+T細胞集団を示す。
【
図33】N65S-1N-38B2/IL-15およびN65D-1N-38B2/IL-15融合タンパク質が、hPDL1-CT26腫瘍を有するマウスにおける再負荷を防ぐことを示す図である。
【
図34A】IL-15突然変異を含む1N-融合タンパク質が、非標的化融合タンパク質および抗PD-1抗体の組合せと比較して、hPDL1-CT26腫瘍を有するhPD1/PDL1マウスにおける改善された抗腫瘍活性示したことを示す図である。
図34A.示されたタンパク質を用いる処置後の腫瘍体積。
【
図34B】IL-15突然変異を含む1N-融合タンパク質が、非標的化融合タンパク質および抗PD-1抗体の組合せと比較して、hPDL1-CT26腫瘍を有するhPD1/PDL1マウスにおける改善された抗腫瘍活性示したことを示す図である。
図34B.示されたタンパク質を用いる処置後のマウス生存。
【
図34C】IL-15突然変異を含む1N-融合タンパク質が、非標的化融合タンパク質および抗PD-1抗体の組合せと比較して、hPDL1-CT26腫瘍を有するhPD1/PDL1マウスにおける改善された抗腫瘍活性示したことを示す図である。
図34C.示されたタンパク質を用いる処置後の体重の変化%。
【
図35A】抗PD-1抗体の追加の投与は、1N-融合タンパク質の抗腫瘍活性のさらなる増大につながらないことを示す図である。
図35A.示されたタンパク質を用いる処置後の腫瘍体積。
【
図35B】抗PD-1抗体の追加の投与は、1N-融合タンパク質の抗腫瘍活性のさらなる増大につながらないことを示す図である。
図35B.示されたタンパク質を用いる処置後のマウス生存。
【
図35C】抗PD-1抗体の追加の投与は、1N-融合タンパク質の抗腫瘍活性のさらなる増大につながらないことを示す図である。
図35C.示されたタンパク質を用いる処置後の体重の変化%。
【
図36A】N65S-1N-38B2/IL-15が処置後最大120時間の用量反応でIV(
図36A)およびIP(
図36B)注射の両方において抗体38B2と同様の血清半減期プロファイルを示したことを例示する図である。
【
図36B】N65S-1N-38B2/IL-15が処置後最大120時間の用量反応でIV(
図36A)およびIP(
図36B)注射の両方において抗体38B2と同様の血清半減期プロファイルを示したことを例示する図である。
【
図37A】hPDL1-CT26腫瘍を有するhPDL1/PD1トランスジェニックBALB/cマウスにおける作用機序研究の結果を例示する図である。
図37A.0.5×10
6個のhPDL1/CT26細胞をhPD1/PDL1トランスジェニックBALB/cマウスの右下側腹部に皮下接種した。腫瘍サイズが約175mm
3に到達した時点で、(1)N65S-1N-38B2/IL-15(それぞれ、0.06μmol/kgおよび0.035μmol/kg)、(2)N65S-1N-DP47/IL-15(非標的化対照、0.035μmol/kg)、(3)抗体38B2(0.035μmol/kg)ならびに(4)抗体38B2(0.035μmol/kg)およびN65S-1N-38B2/IL-15(0.035μmol/kg)の組合せを用いてマウスに静脈内注射した。
【
図37B】hPDL1-CT26腫瘍を有するhPDL1/PD1トランスジェニックBALB/cマウスにおける作用機序研究の結果を例示する図である。
図37B.すべての群から血液および流入領域リンパ節(DLN)を収集して、フローサイトメトリーを実施した。腫瘍を収集して、TIL分析を実施した。
【
図37C】hPDL1-CT26腫瘍を有するhPDL1/PD1トランスジェニックBALB/cマウスにおける作用機序研究の結果を例示する図である。
図37C.腫瘍、血液および流入領域リンパ節におけるCD8/CD4比(抗体(1)38B2、(2)PD1に標的化される融合タンパク質N65S-1N-38B2/IL-15、(3)非標的化融合タンパク質N65S-1N-DP47/IL-15または(4)38B2とN65S-1N-38B2/IL-15との組合せを用いて処置した)。
【
図37D】hPDL1-CT26腫瘍を有するhPDL1/PD1トランスジェニックBALB/cマウスにおける作用機序研究の結果を例示する図である。
図37D.腫瘍におけるCD8およびCD4サブタイプの分析(抗体(1)38B2、(2)PD1に標的化される融合タンパク質N65S-1N-38B2/IL-15、(3)非標的化融合タンパク質N65S-1N-DP47/IL-15または(4)38B2とN65S-1N-38B2/IL-15との組合せを用いて処置した)。
【
図38】N65S-1N-m3A7/IL-15(代替物)融合タンパク質が多数のマウス同系腫瘍モデルにおいて有意な抗腫瘍効力を示したことを例示する図である。例示的例として示されるようなEMT6のデータ。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本開示は、IL-15ポリペプチドに連結された抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質を提供し、IL-15ポリペプチドは、次いでIL-15Rα sushiドメインを含むIL-15受容体アルファ(IL-15Rα)ポリペプチドに連結される。さらに、PD-1に特異的に結合する抗体およびその抗原結合断片ならびにこのような抗PD-1抗体およびそのPD-1結合断片を含む融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0071】
抗PD-1抗体またはその抗原断片を含む融合タンパク質
一態様では、本開示は、PD-1に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質を提供する。この融合タンパク質の部分は、
図1に提供される、またはそうではなく本明細書において記載される対応する重および軽鎖可変領域またはCDRを含むものを含む、PD-1に特異的に結合する任意の抗体または抗体断片であり得る。
【0072】
刺激性ドメインを含む融合タンパク質が、本明細書において開示される。本明細書において使用される場合、「刺激性ドメイン」とは、免疫応答を促進するドメインである。刺激性ドメインは、例えば、T細胞もしくはNK細胞活性および/または増殖を誘導することによって媒介される免疫応答を刺激し得る。実施形態では、刺激性ドメインは、制限するものではないが、IL-2、IL-7、IL-15およびIL-21のようなインターロイキンまたはインターフェロンに対して応答する細胞を刺激する。一実施形態では、刺激性ドメインは、制限するものではないが、IL-2、IL-7、IL-13、IL-15およびIL-21のようなインターロイキンまたはインターフェロンに対して応答性である受容体に結合し、刺激する。刺激性ドメインはまた、互いに共有結合によって連結している2つまたはそれより多いリガンドのヘテロ複合体であるハイブリッドドメインであり得る。
【0073】
実施形態では、刺激性ドメインは、IL-15受容体(IL-15R)のIL-15刺激を促進する配列またはドメインを含む。
【0074】
一実施形態では、IL-15R刺激を促進する刺激性ドメインは、IL-15またはIL-15誘導体を含む。
【0075】
一実施形態では、IL-15R刺激を促進する刺激性ドメインは、IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチドを含む。一実施形態では、刺激性ドメインは、IL-15Rα鎖のsushiドメインを含む。
【0076】
一実施形態では、刺激性ドメインは、IL-15またはその誘導体を含み、その結合は、IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチドの存在によって増強される。一実施形態では、刺激性ドメインは、IL-15またはその誘導体およびIL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rα ポリペプチドの複合体を含む。一部の実施形態では、刺激性ドメインは、IL-15またはその誘導体およびIL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチドを含み、2つのポリペプチドは、リンカー(それだけには限らないが、配列番号215を含むリンカーを含む)によって共有結合によって連結される。
【0077】
一実施形態では、IL-15またはその誘導体は、IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15RαポリペプチドのN末端に位置する。一実施形態では、IL-15またはその誘導体は、IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15RαポリペプチドのC末端に位置する。一実施形態では、刺激性ドメインは、配列番号177~180のいずれか1つによって強調されるSD15ドメインの配列を含む。
【0078】
本明細書において実証されるように、(1)PD-1のPD-L1への結合をブロックし、免疫抑制を阻害するPD-1結合ドメインおよび(2)免疫応答を促進する刺激性ドメインを含む融合タンパク質が、本明細書において提供され、融合タンパク質は、前述の機能を別々に提供する2つの別個の分子と比較して、免疫細胞活性の増大を提供する。具体的には、本明細書において開示される実験は、PD-1のPD-L1への結合をブロックするPD-1結合ドメインおよび刺激性ドメインIL-15またはその誘導体ならびにIL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチドの両方を含有する融合タンパク質が、別々の分子中のドメインを提供することと比較して、増殖の増加、Th1サイトカイン放出ならびにNKおよびT細胞の死滅活性関連分子を促進したことを実証する。
【0079】
ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、可動性リンカーを介して本明細書において開示される抗PD-1抗体またはその抗原結合断片に共有結合によって連結している本明細書において開示される刺激性ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書において開示される刺激性ドメインが、本明細書において開示される抗PD-1抗体または抗原結合断片に直接的に融合される融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0080】
本明細書において使用される場合、「共有結合によって連結された」または「融合された」とは、共有結合による2つ以上のポリペプチドの会合を指す。一部の実施形態では、共有結合によって連結している2つのポリペプチドは、互いに直接的に、すなわち、第1のおよび第2のペプチド間に任意の追加のポリペプチド配列を伴わずに融合している。したがって、一部の実施形態では、第1のポリペプチドのN末端は、第2のポリペプチドのC末端に直接的に融合される、または逆の同様である。他の実施形態では、共有結合によって連結している2つのポリペプチドは、連続するポリペプチド鎖の一部であるが、互いに直接的に融合していない(すなわち、2つのポリペプチドは、1個またはそれ以上のアミノ酸、リンカーまたは別のポリペプチドによって分けられている場合がある)。「共有結合によって連結された」という用語は、互いに融合している2つ以上のポリペプチドの特定の配向を暗示しない。
【0081】
IL-15は、14~15KDのサイトカインであり、IL-2と構造的な類似性を有する。IL-15はまた、MGC9721としても知られている。さまざまな細胞種は、IL-15 mRNAを構成的に産生し、これらには、単球、マクロファージ、DC、ケラノサイト、上皮皮膚細胞、線維芽細胞、種々の上皮細胞、骨髄間質細胞および神経細胞が含まれる。さらに、IL-15 mRNAはまた、腎臓、胎盤、肺、心臓、骨格筋および脳組織において産生される。しかし、単球、DC、上皮細胞、骨髄間質細胞、線維芽細胞および極めて少ない他の細胞および組織のみが、検出可能なレベルのIL-15を分泌する。IL-15およびIL-2は、同一ヘマトポエチンサブユニットに結合し、多数の生物学的活性を共有するとわかっている。IL-15は、TおよびNK細胞活性化ならびに増殖を調節し、CD8+記憶細胞数は、IL-15とIL-2との間のバランスによって影響を受ける。実施形態では、本明細書において開示されるIL-15またはIL-15誘導体は、ヒトIL-15の活性の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%を有する。IL-15は、哺乳動物IL-15、好ましくは、霊長類IL-15、およびより好ましくは、ヒトIL-15であり得る。ヒトIL-15(受託番号NP_000576)アミノ酸配列は、配列番号212として提供されている。
【0082】
「IL-15誘導体」という用語は、配列番号212、ヒトIL-15の成熟形態と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを指す。このような誘導体を作製する技術は、当技術分野で公知である。一部の実施形態では、IL-15またはIL-15誘導体配列は、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15の1、4、8、30、45、61、64、65および/または108位に位置する(残基番号は、IL-15タンパク質の成熟形態を指している)。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15の45、65および/または108位に位置する。一部の実施形態では、IL-15中のアミノ酸置換は、N1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、L45A、N65S/A/D/Kおよび/またはQ108S/Eである。一部の実施形態では、IL-15中のアミノ酸置換は、L45A、N65S/A/D/Kおよび/またはQ108Sである。実施形態では、本明細書において開示される融合タンパク質は、以下のアミノ酸置換:N65S、N65AまたはN65Dのうち1つを含むIL-15ポリペプチドを含む。実施形態では、本明細書において開示される融合タンパク質は、以下のアミノ酸置換:L45A、N65S、N65AまたはN65DおよびQ108Sのうち1つまたはそれ以上を含むIL-15ポリペプチドを含む。
【0083】
ヒトIL-15Rαアイソフォーム1前駆体(受託番号NP_002180)のアミノ酸配列は、配列番号213で提供されている。IL-15受容体、すなわち、IL-15受容体複合体は、IL-15に高親和性で特異的に結合し、独特のインターロイキン15受容体αサブユニット、IL-2/IL-15Rβおよび共通のγ鎖/IL-2Rγサブユニットからなる。IL-15Rαは、マイトジェン活性化マクロファージ、NK細胞ならびにCD4+およびCD8+T細胞によって発現される。ヒトIL-15Rαは、7つのエクソンからなり、選択的mRNAスプライシングは、異なる細胞外または細胞内ドメインを有する8つの分子的IL-15Rαアイソフォームをもたらす可能性がある。全長アイソフォームは、保存されたタンパク質結合モチーフ(sushiドメイン)、膜貫通ドメインおよび細胞内テールを含有する細胞外部分からなる。
【0084】
本明細書において使用される場合、IL-15Rαの「sushiドメイン」という用語は、IL-15Rαのシグナルペプチドの後の第1のシステイン残基(C1)で始まり、前記シグナルペプチドの後の第4のシステイン残基(C4)で終わるドメインを指す。IL-15Rαの細胞外領域の部分に対応するsushiドメインは、IL-15への結合に関与する。本開示におけるsushiドメインは、ヒトIL-15Rα鎖のsushiドメインの活性の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%を有する。
【0085】
ヒトIL-15Rαアイソフォーム1前駆体のアミノ酸配列は、配列番号213で提供される(この配列は、シグナル配列を含む)。ヒトIL-15Rαのsushiドメインアミノ酸配列は、配列番号214で提供される。
【0086】
「IL-15Rα sushiドメイン誘導体」または「IL-15Rα sushiドメインバリアント」という用語は、ヒトIL-15Rα sushiドメインの配列(配列番号214)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを指す。このような誘導体またはバリアントを作製する技術は、当技術分野で公知である。すべてのこのような誘導体は、IL-15Rαのsushiドメインの4個のシステイン残基を含む。一部のこのような誘導体では、ポリペプチド半減期を変更するために、天然に存在するアミノ酸が、化学改変アミノ酸によって置き換えられる場合がある。一部の実施形態では、IL-15Rα sushiドメインまたはIL-15Rα sushiドメイン誘導体配列は、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15Rαの60位に位置する(IL-15Rα残基の番号付けは、シグナルペプチドを含む、例えば、配列番号213を参照されたい)。一部の実施形態では、IL-15Rα sushiドメイン中のアミノ酸置換はN60Aである(すなわち、アミノ酸60のアスパラギン(N)が、アラニン(A)と置換される)。
【0087】
IL-15は、IL-15Rαに高親和性で結合し、これは、次いで、同一標的細胞によって発現されるIL-15Rβ/γc複合体と会合する(cis提示)。IL-15Rαはまた、IL-15をIL-15Rβ/γ(c)複合体を発現する異なる標的細胞に高親和性でtrans提示すると知られている(trans提示)。IL-15cis-およびtrans提示機序は、受容体活性化およびシグナル伝達の異なる動力学につながり、cis提示は、迅速な一過性の応答を誘導し、trans提示は、より遅い、より持続性のものを誘導する。
【0088】
一部の実施形態では、本明細書において開示される融合タンパク質は、リンカー(それだけには限らないが、配列番号215のリンカーを含む)によってIL-15に付着しているIL-15Rα鎖のsushiドメインを含むハイブリッドドメインを含む刺激性ドメインを含む。ある特定の実施形態では、本明細書において開示される刺激性ドメインは、第2のリンカー(それだけには限らないが、配列番号216のリンカーを含む)を介して本明細書において開示される抗PD-1抗体またはその抗原結合断片に共有結合によって連結される。他の実施形態では、本明細書において例示される刺激性ドメインは、本明細書において開示される抗PD-1抗体または抗原結合断片に直接的に融合される。
【0089】
一実施形態では、刺激性ドメインが、直接的にまたはリンカーを介して(例えば、1つまたはそれ以上のペプチドを介して)、融合タンパク質の抗PD1結合部分のN末端(例えば、本明細書において開示される抗PD-1抗体の重鎖のN末端)に連結される「N末端融合タンパク質」が提供される。
【0090】
N末端融合タンパク質には、それだけには限らないが、以下の(例示的)融合タンパク質が含まれる(NからC末端に列挙される構成成分、「-」は、直接共有結合連結またはリンカーを介した(例えば、1つまたはそれ以上のペプチドを介した)連結を示した:
(1)(IL-15またはその誘導体)-(抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片)
(2)(IL-15またはその誘導体)-(抗PD-1抗体の軽鎖またはその抗原結合断片)
(3)(IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチド)-(IL-15またはその誘導体)-(抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片)
(4)(IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rα ポリペプチド)-(IL-15またはその誘導体)-(抗PD-1抗体の軽鎖またはその抗原結合断片)
(5)(IL-15またはその誘導体)-(IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチド)-(抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片)
(6)(IL-15またはその誘導体)-(IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチド)-(抗PD-1抗体の軽鎖またはその抗原結合断片)
【0091】
N末端融合タンパク質は、1つより多い刺激性ドメインを含み得る。
【0092】
一実施形態では、刺激性ドメインが、抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片の1つ(および1つのみ)のN末端に共有結合によって連結される、融合タンパク質が提供される。単一の刺激性ドメインを含むN末端融合タンパク質は、「1-N末端融合タンパク質」と呼ばれる。
【0093】
(1)刺激性ドメイン(2)刺激性ドメインが第1の重鎖のN末端に共有結合によって連結される、抗PD-1抗体の第1の重鎖またはその抗原結合断片、および(3)第2の重鎖が刺激性ドメインに連結されない、抗PD-1抗体の第2の重鎖またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質が、本明細書において提供される。一部の実施形態では、刺激性ドメインは、(i)IL-15もしくはその誘導体、または(ii)IL-15Rα sushiドメインもしくはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチド、または(iii)両方を含む。
【0094】
一実施形態では、刺激性ドメインが抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片の両方のN末端に共有結合によって連結される融合タンパク質が提供される。2つの刺激的ドメインを含み、両方とも異なる抗体鎖に連結されたN末端融合タンパク質は、「2-N末端融合タンパク質」と呼ばれる。
【0095】
一実施形態では、刺激性ドメインが、直接的にまたはリンカーを介して(例えば、1つまたはそれ以上のペプチドを介して)融合タンパク質の抗PD1結合部分のC末端(例えば、本明細書において開示される抗PD-1抗体の重鎖のC末端)に連結される「C末端融合タンパク質」が提供される。
【0096】
C末端融合タンパク質には、それだけには限らないが、以下の(例示的)融合タンパク質が含まれる(NからC末端に列挙される構成成分、「-」は、直接共有結合連結またはリンカーを介した(例えば、1つまたはそれ以上のペプチドを介した)連結を示した:
(1)(抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片)-(IL-15またはその誘導体)
(2)(抗PD-1抗体の軽鎖またはその抗原結合断片)-(IL-15またはその誘導体)
(3)(抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片)-(IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチド)-(IL-15またはその誘導体)
(4)(抗PD-1抗体の軽鎖またはその抗原結合断片)-(IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチド)-(IL-15またはその誘導体)
(5)(抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片)-(IL-15またはその誘導体)-(IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチド)
(6)(抗PD-1抗体の軽鎖またはその抗原結合断片)-(IL-15またはその誘導体)-(IL-15Rα sushiドメインまたはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチド)
【0097】
C末端融合タンパク質は、1つより多い刺激性ドメインを含み得る。
【0098】
一実施形態では、刺激性ドメインが、抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片の1つ(および1つのみ)のC末端に共有結合によって連結される融合タンパク質が提供される。単一刺激性ドメインを含むC末端融合タンパク質は、「1-C末端融合タンパク質」と呼ばれる。
【0099】
(1)刺激性ドメイン、(2)刺激性ドメインが第1の重鎖のC末端に共有結合によって連結される、抗PD-1抗体の第1の重鎖またはその抗原結合断片、および(3)第2の重鎖が刺激性ドメインに連結されない、抗PD-1抗体の第2の重鎖またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質が、本明細書において提供される。一部の実施形態では、刺激性ドメインは、(i)IL-15もしくはその誘導体、または(ii)IL-15Rα sushiドメインもしくはその誘導体を含むIL-15Rαポリペプチド、または(iii)両方を含む。
【0100】
一実施形態では、刺激性ドメインが抗PD-1抗体の重鎖またはその抗原結合断片の両方のC末端に共有結合によって連結される融合タンパク質が提供される。2つの刺激的ドメインを含み、両方とも異なる抗体鎖に連結されたC末端融合タンパク質は、「2-C末端融合タンパク質」と呼ばれる。
【0101】
図21は、本明細書において記載されるような例示的融合タンパク質の模式図を表す。
【0102】
IL-2の治療レベルは、IL-2受容体への結合の際の高レベルの毒性と関連している。同様に、治療レベルのIL-15を使用することもまた、IL-15がIL-2と2つの受容体サブユニットを共有するために毒性を引き起こす場合がある。しかし、cis位置で提示された場合に、N末端IL-15融合タンパク質は、末梢T細胞へのより低い結合を示しながら腫瘍浸潤リンパ球(TIL)に選択的に結合できるので、N末端融合タンパク質は、C末端融合タンパク質と比較して低減された毒性を実証する。cis位置で提示されると、N末端融合タンパク質は、IL-15Rβ/γ結合を低減しながらIL-15RβγおよびPD-1と同時に結合することができ、N末端融合タンパク質がTILに選択的に結合し、TIL増殖を促進することを可能にする。対照的に、C末端融合タンパク質は、末梢T細胞およびTILの両方に同等に結合する場合があり、N末端融合タンパク質よりも高い毒性を示す場合がある(
図25)。1N末端融合タンパク質は、本明細書において開示される抗PD-1抗体に共有結合によって連結された2つの刺激性ドメインを含むN末端融合タンパク質(2N末端融合タンパク質)と比較して低減した毒性を示す。突然変異したN末端融合タンパク質は、末梢T細胞への一層低い結合のために毒性のさらなる低減を示す。
【0103】
一態様では、本開示は、以下:
(i)重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、抗体重鎖が、3つの定常ドメインCH1、CH2およびCH3を含む定常領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片;
(ii)配列番号212のアミノ酸配列または配列番号212に対して少なくとも90%または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むインターロイキン15(IL-15)ポリペプチド;
(iii)配列番号214のアミノ酸配列または配列番号214に対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むIL-15Rα sushiドメインポリペプチド;および
(iv)IL-15Rα sushiドメインポリペプチドとIL-15ポリペプチドとをつなげる第1のリンカーポリペプチド
を含む融合タンパク質に関する。
【0104】
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片、融合タンパク質の部分は、
図1に提供される、またはそうではなく本明細書において記載される対応する可変領域またはCDRを含むものを含む、PD-1に特異的に結合する任意のものであり得る。実施形態では、融合タンパク質は、抗体またはその抗原結合断片を含み、重および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含む;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含む;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含む;
CDR1Lの配列は、配列RX
13X
14X
15X
16IX
17X
18WX
19X
20(配列番号135)を含み;
X
13はAまたはVであり;
X
14はSまたはGであり;
X
15はQ、EまたはRであり;
X
16はG、S、DまたはNであり;
X
17はG、SまたはNであり;
X
18はS、I、R、T、K、P、N、HまたはVであり;
X
19はLまたはVであり;
X
20はGまたはAであり;
CDR2Lの配列は、配列X
21AX
22X
23X
24X
25X
26(配列番号136)を含み;
X
21はS、D、EまたはAであり;
X
22はSまたはKであり;
X
23はS、N、T、RまたはDであり;
X
24はLまたはVであり;
X
25はQ、EまたはHであり;
X
26はS、N、A、R、PまたはTであり;
CDR3Lの配列は、配列QQX
27X
28SFPX
29X
30(配列番号137)を含み;
X
27はAまたはGであり;
X
28はN、DまたはYであり;
X
29はFまたはLであり;
X
30はAまたはTである。
【0105】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む。
【0106】
さらなる実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで:
重鎖可変領域は、配列番号24または配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含み;
軽鎖可変領域は、配列番号98または配列番号98に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。
【0107】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重鎖および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1H、CDR2HおよびCDR3Hの配列は、それぞれ、配列番号21、22および23を含み;
CDR1L、CDR2LおよびCDR3Lの配列は、それぞれ、配列番号45、46および47;配列番号66、67および68;配列番号70、67および71;配列番号73、74および75;配列番号77、78および47;配列番号80、81および82;配列番号77、78および84;配列番号77、86および47;配列番号88、89および47;配列番号66、67および47;配列番号80、92および75;配列番号80、94および71;配列番号99、100および47;配列番号102、103および104;配列番号106、103および47;配列番号108、103および47;配列番号110、111および75;配列番号77、103および113;配列番号77、111および47;配列番号116、67および47;配列番号118、119および47;配列番号80、78および47;配列番号122、103および47;配列番号124、125および75;配列番号127、38および68;配列番号129、130および47または配列番号132、133および75を含む。
【0108】
さらなる実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで:
重鎖可変領域は、配列番号24または配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含み;
軽鎖可変領域は、配列番号48、69、72、76、79、83、85、90、91、93、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131もしくは134または配列番号48、69、72、76、79、83、85、90、91、93、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131もしくは134のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。
【0109】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含む;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含む;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含む;
CDR1Lの配列は、配列RSSX1SLLX2SNGX3X4YLD(配列番号62)を含み、
X1はQまたはEであり;
X2はHまたはYであり;
X3はYまたはNであり;
X4はTまたはNであり;
CDR2Lの配列は、配列X5X6SX7X8X9X10(配列番号63)を含み、
X5はL、QまたはEであり;
X6はS、AまたはVであり;
X7はH、N、TまたはSであり;
X8はRまたはLであり;
X9はG、AまたはHであり;
X10はSまたはTであり;
CDR3Lの配列は、配列MQGX11X12WPYT(配列番号64)を含み、
X11はA、TまたはSであり;
X12はHまたはRである。
【0110】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重鎖および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号50の配列を含む。
【0111】
さらなる実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで:
重鎖可変領域は、配列番号20または配列番号20に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含み;
軽鎖可変領域は、配列番号51または配列番号51に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。
【0112】
実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、重鎖および軽鎖可変領域のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1H、CDR2HおよびCDR3Hの配列は、それぞれ、配列番号17、18および19を含み;
CDR1L、CDR2LおよびCDR3Lの配列は、それぞれ、配列番号41、42および43;配列番号41、52および53;配列番号41、55および56;または配列番号58、59および60を含む。
【0113】
さらなる実施形態では、融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで:
重鎖可変領域は、配列番号20または配列番号20に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含み;
軽鎖可変領域は、配列番号44、54、57もしくは61または配列番号44、54、57もしくは61のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。
【0114】
表24~27に記載される配列を含む融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0115】
配列番号174~184、187~190、193~199、206~211、224~243からなる群から選択される配列を含む重鎖を含む融合タンパク質が、本明細書において提供される。配列番号170、173、186、192および205からなる群から選択される配列を含む軽鎖を含む融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0116】
表26に列挙される軽鎖および重/重鎖組合せを含む融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0117】
表27に列挙される軽鎖および1つまたはそれ以上の重鎖を含む融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0118】
実施形態では、配列番号219および/または配列番号98を含む軽鎖配列ならびに:
(1)配列番号220を含む第1の重鎖配列および配列番号224を含む第2の重鎖配列;
(2)配列番号221を含む第1の重鎖配列および配列番号225を含む第2の重鎖配列;
(3)配列番号222を含む第1の重鎖配列および配列番号226を含む第2の重鎖配列;
(4)配列番号223を含む第1の重鎖配列および配列番号227を含む第2の重鎖配列
を含む融合タンパク質が提供される。
【0119】
実施形態では、配列番号219および/または配列番号98を含む軽鎖配列ならびに:
(1)配列番号220を含む第1の重鎖配列および配列番号228を含む第2の重鎖配列;
(2)配列番号221を含む第1の重鎖配列および配列番号229を含む第2の重鎖配列;
(3)配列番号222を含む第1の重鎖配列および配列番号230を含む第2の重鎖配列;
(4)配列番号223を含む第1の重鎖配列および配列番号231を含む第2の重鎖配列;
(5)配列番号220を含む第1の重鎖配列および配列番号236を含む第2の重鎖配列;
(6)配列番号221を含む第1の重鎖配列および配列番号237を含む第2の重鎖配列;
(7)配列番号222を含む第1の重鎖配列および配列番号238を含む第2の重鎖配列;
(8)配列番号223を含む第1の重鎖配列および配列番号239を含む第2の重鎖配列;
(9)配列番号240を含む第1の重鎖配列および配列番号241を含む第2の重鎖配列;または
(10)配列番号240を含む第1の重鎖配列および配列番号242を含む第2の重鎖配列
を含む融合タンパク質が提供される。
【0120】
実施形態では、配列番号219および/または配列番号98を含む軽鎖配列ならびに:
(1)配列番号220を含む第1の重鎖配列および配列番号232を含む第2の重鎖配列;
(2)配列番号221を含む第1の重鎖配列および配列番号233を含む第2の重鎖配列;
(3)配列番号222を含む第1の重鎖配列および配列番号234を含む第2の重鎖配列;
(4)配列番号223を含む第1の重鎖配列および配列番号235を含む第2の重鎖配列;または
(5)配列番号240を含む第1の重鎖配列および配列番号243を含む第2の重鎖配列
を含む融合タンパク質が提供される。
【0121】
実施形態では、配列番号219および/または配列番号98を含む軽鎖配列ならびに:
(1)配列番号220を含む第1の重鎖配列および配列番号224を含む第2の重鎖配列;もしくは配列番号221を含む第1の重鎖配列および配列番号225を含む第2の重鎖配列;または
(2)配列番号222を含む第1の重鎖配列および配列番号226を含む第2の重鎖配列;もしくは配列番号223を含む第1の重鎖配列および配列番号227を含む第2の重鎖配列
を含む融合タンパク質が提供される。
【0122】
実施形態では、配列番号219および/または配列番号98を含む軽鎖配列ならびに:
(1)配列番号220を含む第1の重鎖配列および配列番号228を含む第2の重鎖配列;もしくは配列番号221を含む第1の重鎖配列および配列番号229を含む第2の重鎖配列;
(2)配列番号222を含む第1の重鎖配列および配列番号230を含む第2の重鎖配列;もしくは配列番号223を含む第1の重鎖配列および配列番号231を含む第2の重鎖配列;
(3)配列番号220を含む第1の重鎖配列および配列番号236を含む第2の重鎖配列;もしくは配列番号221を含む第1の重鎖配列および配列番号237を含む第2の重鎖配列;
(4)配列番号222を含む第1の重鎖配列および配列番号238を含む第2の重鎖配列;もしくは配列番号223を含む第1の重鎖配列および配列番号239を含む第2の重鎖配列;
(5)配列番号240を含む第1の重鎖配列および配列番号241を含む第2の重鎖配列;または
(6)配列番号240を含む第1の重鎖配列および配列番号242を含む第2の重鎖配列
を含む融合タンパク質が提供される。
【0123】
実施形態では、配列番号219および/または配列番号98を含む軽鎖配列ならびに:
(1)配列番号220を含む第1の重鎖配列および配列番号232を含む第2の重鎖配列;もしくは配列番号221を含む第1の重鎖配列および配列番号233を含む第2の重鎖配列;
(2)配列番号222を含む第1の重鎖配列および配列番号234を含む第2の重鎖配列;もしくは配列番号223を含む第1の重鎖配列および配列番号235を含む第2の重鎖配列;または
(3)配列番号240を含む第1の重鎖配列および配列番号243を含む第2の重鎖配列
を含む融合タンパク質が提供される。
【0124】
抗体およびその抗原結合断片
抗体という用語は、本明細書で最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体(全長または無傷のモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、突然変異抗体およびグラフト化抗体(グラフト化抗体)、二重特異性抗体、特異的抗体部分(例えば、ドメイン抗体)ならびに特異的結合に対して無傷の抗体と競合するその任意の抗原結合部分、その抗原結合部分(例えば、パラトープ、CDR)および所望の生物活性および特異性を示す限り抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変コンホメーションを含む。したがって、抗体は、免疫グロブリン分子または抗原結合部位を含み、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位によって標的に特異的に結合可能な任意のポリペプチドを含むその断片または誘導体である。開示される抗体は、マウス、ラット、ヒトまたは任意の他の起源(キメラまたはヒト化抗体を含む)であり得る。
【0125】
ある特定の実施形態では、抗体のフレームワーク領域(またはその抗原結合断片)は、ヒト生殖系列配列と同一である場合も、天然にもしくは人為的に改変されている場合もある。
【0126】
1つの好ましい実施形態では、開示される抗体構造は、免疫グロブリン分子のIgGクラスに属する。標準IgG免疫グロブリン分子は、2つの同一軽鎖ポリペプチドおよび2つの同一重鎖ポリペプチドを含む。軽鎖ポリペプチドの分子量は、およそ23,000ダルトンであり、重鎖ポリペプチドの分子量は、53,000~70,000ダルトンの間で変わる。4つの鎖は通常、「Y」配置でジスルフィド結合によってつながっている。
【0127】
免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞または遺伝子操作された宿主細胞のいずれかによって生成される場合には、免疫グロブリン分子の2つの重鎖(HC)および2つの軽鎖(LC)は、互いに共有結合によって結合しており、2つの重鎖の末端部分は、共有結合的ジスルフィド結合または非共有結合的連結によって互いに結合している。軽および重鎖は両方とも、構造的および機能的相同性の領域を含有する。「可変」および「定常」という用語は、機能的に使用される。各重鎖は、重鎖可変領域(「HCVR」または「VH」)および重鎖定常領域(ドメインCH1、CH2およびCH3から構成される)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(「LCVRまたは「VL」)および軽鎖定常領域(CL)から構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分できる。各VHおよびVLは、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。
【0128】
可変領域によって、抗体は、抗原上に位置するエピトープを認識し、特異的に結合することが可能になる。軽(VL)および重(VH)鎖部分両方の可変ドメインによって、抗原認識および特異性が決定される。抗体の抗原結合部位は、VLドメインおよびVHドメインまたはCDRのサブセットから構成される。より詳しくは、抗原結合部位は、VHおよびVL鎖各々上の1つ、2つまたは3つのCDR(すなわち、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3)によって定義される。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2またはCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤性移動性、Fc受容体結合、補体結合などのような生物学的特性を与える。慣習により、定常領域ドメインの番号付けは、それらが抗体の抗原結合部位またはアミノ末端から遠位になるにつれ増大する。
【0129】
本明細書において使用される場合、「相補性決定領域」(CDR)という用語は、(通常)抗原結合に関与する抗体可変ドメインの部分を指す。各可変領域は、CDR1、CDR2およびCDR3として知られる3つの非連続CDRを有する。CDRは、可変ドメインの表面上にこれらのループを提示する「コア」β-シート構造を形成するフレームワーク領域と呼ばれる構造的に保存された領域(FR-1、-2、-3および-4)によって分離されている。各抗原結合ドメインに存在する6つのCDRは、抗体が水性環境においてその3次元立体配置をとるときに、抗原結合ドメインを形成するように特異的に配置される、アミノ酸の短い、非連続配列である。CDR配列の長さおよび組成は、特に、CDR3において高度に可変性である。抗原結合ドメインまたは「フレームワーク」領域中に位置するアミノ酸の残部は、より少ない分子間可変性を示す。配置されたCDRによって形成される抗原結合ドメインは、免疫反応性抗原上のエピトープと相補的である表面を規定する。この相補的表面が、抗体の、その同族エピトープへの非共有結合を促進する。各CDRは、例えば、Kabatによって規定されるようなCDRに由来するアミノ酸残基(すなわち、およそ軽鎖可変ドメイン中の残基24~34(L1)、50~56(L2)および89~97(L3)ならびに重鎖可変ドメイン中の31~35(H1)、50~65(H2)および95~102(H3)(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版 Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987、1991))を含み得る。各CDRはまた、「超可変ループ」に由来するアミノ酸残基(すなわち、およそ軽鎖可変ドメイン中の残基26~32(LI)、50~52(L2)および91~96(L3)ならびに重鎖可変ドメイン中の26~32(H1)、53~55(H2)および96~101(H3)(Chothia & Lesk 196 J. Mol. Biol. 901(1987))を含み得る。一部の例では、CDRは、Kabatおよび超可変ループに従って規定される両CDR領域に由来するアミノ酸を含み得る。Kabat番号付けは、基本可変ドメイン構造のフレームワークであろうがCDRであろうが、構造成分の短縮化またはそれへの挿入のためにアミノ酸残基での線形番号付けに常に対応するわけではない。所与の抗体またはその抗原結合断片の、残基の正しいKabat番号付けは、抗体またはその抗原結合断片の配列中の相同性の残基を、「標準的な」Kabat番号付け配列とアラインメントすることによって決定できる、またはImMunoGeneTics(IMGT)システム(Lefranc、M.-P.ら、Dev. Comp. Immunol.、27、55~77頁(2003))に従って規定できる。
【0130】
本明細書において使用される場合、「抗原結合部分」または「抗原結合断片」という用語は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、ドメイン抗体(サメおよびラクダ抗体のようなdAb)、ScFv、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minibody)、ナノボディ(nanobody)、イントラボディ(intrabody)、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、v-NARおよびbis-scFvまたは特異的抗原結合をポリペプチドに付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくともある特定の部分を含有するポリペプチドを含む断片であり得る。
【0131】
抗体は、IgG、IgAまたはIgM(またはそのサブクラス)のような任意のクラスの抗体である場合があり、抗体は、任意の特定のクラスである必要はなく、必要な特異性の抗原認識部位、他の改変された立体配置を含む免疫グロブリン分子のいずれも(抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアントおよび共有結合によって改変された抗体を含む)包含される。これらのクラスおよびアイソタイプ各々の改変バージョンは、当業者に公知であり、したがって、本開示の範囲内である。
【0132】
本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、抗PD-1抗体断片は、軽鎖の可変(VL)および定常(CL)ドメインならびに重鎖の可変ドメイン(VH)および第1の定常ドメイン(CH1)を含む、または本質的にからなるFab断片である。
【0133】
本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、抗PD-1抗体断片は、CH1ドメインのC末端に1つまたはそれ以上のシステイン残基を有するFab断片を指すFab’断片である。
【0134】
本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、抗PD-1抗体断片は、VHおよびCH1ドメインを含む、または本質的にからなるFd断片である。
【0135】
本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、抗PD-1抗体断片は、VHおよびCH1ドメインおよびCH1ドメインのC末端に1つまたはそれ以上のシステイン残基を含むFd’断片である。
【0136】
単鎖FvまたはscFv抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインが単一ポリペプチド鎖で存在するようにこれらのドメインを含む、または本質的にからなる。一般に、Fvポリペプチドは、VHおよびVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これによってscFvが抗原結合のために所望の構造を形成することが可能となる。したがって、本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、抗PD-1抗体断片は、抗体の単一アームのVLおよびVHドメインを含む、または本質的にからなるFv断片である。
【0137】
本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、抗PD-1抗体断片は、同一ポリペプチド鎖中に軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む2つの抗原結合部位を含むダイアボディーである。
【0138】
本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、抗PD-1抗体断片は、VHドメインを含む、または本質的にからなるdAb断片である。
【0139】
本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、抗PD-1抗体断片は、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab’断片を含む二価断片を含むF(ab’)2断片である。
【0140】
本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、抗PD-1抗体断片は、相補的軽鎖ポリペプチドと一緒に、抗原結合領域の対を形成する、タンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)の対を含む線形抗体である。
【0141】
当業者ならば、抗体断片の生成のために開発され、利用可能である種々の技術を使用できる。伝統的に、これらの断片は、無傷の抗体のタンパク質分解的消化によって導かれた。しかし、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接的に単離できる。抗体断片を生成するための他の技術は、当業者には明らかであろう。他の実施形態では、最適の抗体断片は、単鎖Fv断片(scFv)である。例えば、WO93/16185を参照されたい。あるいは、これらの断片はまた、組換え宿主細胞によって直接的に生成できる。例えば、抗体断片は、本明細書において論じられる抗体ファージライブラリーから単離できる。別のアプローチでは、Fab’-SH断片は、大腸菌(E.coli)から直接的に回収でき、F(ab’)2断片を形成するように化学的にカップリングできる(Carterら、1992)。
【0142】
一実施形態では、抗体は、PD-1に結合する相補性領域を含む二重特異性抗体である。
【0143】
企図される抗体または抗原結合断片は、IgM、IgG、IgDおよびIgEを含むすべての種類の定常領域ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意のアイソタイプを有し得る。一実施形態では、アイソタイプは、ヒトIgG1である。別の実施形態では、ヒトアイソタイプIgG4が使用される。軽鎖定常領域は、λまたはκであり得る。抗体またはその抗原結合断片は、1つより多いクラスまたはアイソタイプからの配列を含み得る。
【0144】
抗PD-1抗体およびそのPD-1結合断片
本開示は、PD-1に結合する抗体およびPD-1に結合するその抗原結合断片ならびにこのような抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質を記載する。「PD-1」という用語は、プログラム死-1タンパク質(CD279としても知られる)、T細胞共阻害剤を指す。PD-1という用語は、組換えPD-1および/またはその断片を包含する。この用語はまた、例えば、マウスまたはヒトFc、ヒスチジンタグおよび/またはシグナル配列にカップリングされたPD-1またはその断片も含む。この用語は、PD-1を含む融合タンパク質をさらに包含し得る。全長PD-1のアミノ酸配列は、受託番号NP_005009.2としてGenBankにおいて提供される。PD-1のリガンドは、PD-L1およびPD-L2を含む。全長PD-L1のアミノ酸配列は、受託番号NP_054862.1としてGenBankにおいて提供される。全長PD-L2のアミノ酸配列は、受託番号NP_079515.2としてGenBankにおいて提供される。
【0145】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、PD-1に特異的に結合し、PD-1媒介性免疫抑制をアンタゴナイズする。本明細書において開示される抗PD-1抗体およびその抗原結合断片は、PD-1によって媒介される下流事象を含むPD-1生物活性を妨げ、阻害し、低減し得る。本明細書において開示される抗PD-1抗体およびその抗原結合断片は、以下の機能:(a)PD-1への結合および下流シグナル伝達事象のブロッキング;(b)PD-1へのブロッキングPD-L1-結合;(c)T細胞増殖の増大;(d)T細胞媒介性免疫応答の上方制御;(e)TNF分泌の刺激;(f)PD-1による阻害性シグナル伝達の低減;および/または(g)IFNγ分泌の刺激のうち任意の1つまたはそれ以上を示し得る。本明細書において開示される抗PD-1抗体およびその抗原結合断片は、強力な結合および阻害活性を示し、治療的および診断的使用にとって有用である。
【0146】
一態様では、本開示は、PD-1に結合する抗体およびその抗原結合断片を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、PD-1および少なくとも1つの他の分子に特異的に結合する二重特異性抗体および結合タンパク質を提供する。
【0147】
別の態様では、本開示は、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体またはその抗原結合断片はPD-1に結合し、抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々が、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、抗体重鎖は、3つの定常ドメインCH1、CH2およびCH3を含む定常領域を含む。
【0148】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含む;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含む;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含む;
CDR1Lの配列は、配列RX13X14X15X16IX17X18WX19X20(配列番号135)を含み;
X13はAまたはVであり;
X14はSまたはGであり;
X15はQ、EまたはRであり;
X16はG、S、DまたはNであり;
X17はG、SまたはNであり;
X18は、S、I、R、T、K、P、N、HまたはVであり;
X19はLまたはVであり;
X20はGまたはAであり;
CDR2Lの配列は、配列X21AX22X23X24X25X26(配列番号136)を含み;
X21はS、D、EまたはAであり;
X22はSまたはKであり;
X23はS、N、T、RまたはDであり;
X24はLまたはVであり;
X25はQ、EまたはHであり;
X26はS、N、A、R、PまたはTであり;
CDR3Lの配列は、配列QQX27X28SFPX29X30(配列番号137)を含み;
X27はAまたはGであり;
X28はN、DまたはYであり;
X29はFまたはLであり;
X30はAまたはTである。
【0149】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号21の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号22の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号23の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号96の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号97の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号82の配列を含む。
【0150】
実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、以下:
配列番号24を含む重鎖可変領域または配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列;および
配列番号98を含む軽鎖可変領域または配列番号98に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列
を含む。
【0151】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1H、CDR2HおよびCDR3Hの配列は、それぞれ、配列番号21、22および23を含み;
CDR1L、CDR2LおよびCDR3Lの配列は、それぞれ、配列番号45、46および47;配列番号66、67および68;配列番号70、67および71;配列番号73、74および75;配列番号77、78および47;配列番号80、81および82;配列番号77、78および84;配列番号77、86および47;配列番号88、89および47;配列番号66、67および47;配列番号80、92および75;配列番号80、94および71;配列番号99、100および47;配列番号102、103および104;配列番号106、103および47;配列番号108、103および47;配列番号110、111および75;配列番号77、103および113;配列番号77、111および47;配列番号116、67および47;配列番号118、119および47;配列番号80、78および47;配列番号122、103および47;配列番号124、125および75;配列番号127、38および68;配列番号129、130および47;または配列番号132、133および75を含む。
【0152】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、以下:
配列番号24を含む重鎖可変領域または配列番号24に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列;および
配列番号48、69、72、76、79、83、85、90、91、93、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131もしくは134を含む軽鎖可変領域または配列番号48、69、72、76、79、83、85、90、91、93、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131もしくは134のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列
を含む。
【0153】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含む;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含む;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含む;
CDR1Lの配列は、配列RSSX1SLLX2SNGX3X4YLD(配列番号62)を含み、
X1はQまたはEであり;
X2はHまたはYであり;
X3はYまたはNであり;
X4はTまたはNであり;
CDR2Lの配列は、配列X5X6SX7X8X9X10(配列番号63)を含み、
X5はL、QまたはEであり;
X6はS、AまたはVであり;
X7はH、N、TまたはSであり;
X8はRまたはLであり;
X9はG、AまたはHであり;
X10はSまたはTであり;
CDR3Lの配列は、配列MQGX11X12WPYT(配列番号64)を含み、
X11はA、TまたはSであり;
X12はHまたはRである。
【0154】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1Hの配列は、配列番号17の配列を含み;
CDR2Hの配列は、配列番号18の配列を含み;
CDR3Hの配列は、配列番号19の配列を含み;
CDR1Lの配列は、配列番号41の配列を含み;
CDR2Lの配列は、配列番号49の配列を含み;
CDR3Lの配列は、配列番号50の配列を含む。
【0155】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、以下:
配列番号20を含む重鎖可変領域または配列番号20に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列;および
配列番号51を含む軽鎖可変領域または配列番号51に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である配列
を含む。
【0156】
実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCDRは、以下の配列を含む:
CDR1H、CDR2HおよびCDR3Hの配列は、それぞれ、配列番号17、18および19を含み;
CDR1L、CDR2LおよびCDR3Lの配列は、それぞれ、配列番号41、42および43;配列番号41、52および53;配列番号41、55および56;または配列番号58、59および60を含む。
【0157】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号4、8、12、16、20および24からなる群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号28、32、36、40、44、48、51、54、57、61、65、69、72、76、79、83、85、88、90、91、93、95、98、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131、134および138からなる群から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0158】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号20の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号65の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0159】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号20の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号44、51、54、57および61からなる群から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0160】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号20の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号51の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0161】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号20の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号54の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0162】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号20の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号57の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0163】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号20の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号61の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0164】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号138の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0165】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号20の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号69、72、76、79、83、85、87、90、91、93、95、98、101、105、107、109、112、114、115、117、120、121、123、126、128、131、134および138からなる群から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0166】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号98の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0167】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号69の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0168】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号72の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0169】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号76の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0170】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号79の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0171】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号83の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0172】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号85の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0173】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号87の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0174】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号90の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0175】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号91の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0176】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号93の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0177】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号95の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0178】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号101の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0179】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号105の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0180】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号107の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0181】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号109の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0182】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号112の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0183】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号114の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0184】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号115の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0185】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号117の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0186】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号120の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0187】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号121の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0188】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号123の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0189】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号126の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0190】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号128の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0191】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号131の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0192】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号24の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号134の軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0193】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域の配列は、配列番号142の重鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含み、軽鎖可変領域の配列は、配列番号146、150、153、156、160、164および167からなる群から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0194】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々は、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、ここで:
CDR1Hの配列は、配列、配列番号139を含み;
CDR2Hの配列は、配列、配列番号140を含み;
CDR3Hの配列は、配列、配列番号141を含み;
CDR1Lの配列は、配列、配列番号143を含み;
CDR2Lの配列は、配列、配列番号144を含み;
CDR3Lの配列は、配列、配列番号145を含む。
【0195】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々は、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、ここで:
CDR1Hの配列は、配列、配列番号139を含み;
CDR2Hの配列は、配列、配列番号140を含み;
CDR3Hの配列は、配列、配列番号141を含み;
CDR1Lの配列は、配列、配列番号147を含み;
CDR2Lの配列は、配列、配列番号148を含み;
CDR3Lの配列は、配列、配列番号149を含む。
【0196】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々は、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、ここで:
CDR1Hの配列は、配列、配列番号139を含み;
CDR2Hの配列は、配列、配列番号140を含み;
CDR3Hの配列は、配列、配列番号141を含み;
CDR1Lの配列は、配列、配列番号151を含み;
CDR2Lの配列は、配列、配列番号148を含み;
CDR3Lの配列は、配列、配列番号152を含む。
【0197】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々は、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、ここで:
CDR1Hの配列は、配列、配列番号139を含み;
CDR2Hの配列は、配列、配列番号140を含み;
CDR3Hの配列は、配列、配列番号141を含み;
CDR1Lの配列は、配列、配列番号154を含み;
CDR2Lの配列は、配列、配列番号148を含み;
CDR3Lの配列は、配列、配列番号155を含む。
【0198】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々は、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、ここで:
CDR1Hの配列は、配列、配列番号139を含み;
CDR2Hの配列は、配列、配列番号140を含み;
CDR3Hの配列は、配列、配列番号141を含み;
CDR1Lの配列は、配列、配列番号157を含み;
CDR2Lの配列は、配列、配列番号158を含み;
CDR3Lの配列は、配列、配列番号159を含む。
【0199】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々は、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、ここで:
CDR1Hの配列は、配列、配列番号139を含み;
CDR2Hの配列は、配列、配列番号140を含み;
CDR3Hの配列は、配列、配列番号141を含み;
CDR1Lの配列は、配列、配列番号161を含み;
CDR2Lの配列は、配列、配列番号162を含み;
CDR3Lの配列は、配列、配列番号163を含む。
【0200】
一実施形態では、本開示は、PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片を提供し、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖および軽鎖可変領域の各々は、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、ここで:
CDR1Hの配列は、配列、配列番号139を含み;
CDR2Hの配列は、配列、配列番号140を含み;
CDR3Hの配列は、配列、配列番号141を含み;
CDR1Lの配列は、配列、配列番号157を含み;
CDR2Lの配列は、配列、配列番号165を含み;
CDR3Lの配列は、配列、配列番号166を含む。
【0201】
上記の説明に加えて、
図1は、その全体を参照により組み入れる付随する配列表と同様に、本明細書において開示される抗体の重および軽鎖可変領域および関連CDRを示す。以下の実施例で示されるように、抗PD-1抗体の軽鎖シャッフリングは、PD-1結合親和性の実質的な改善を与える抗体バリアントの同定につながった。バリアントの分析によって、アミノ酸が軽鎖シャッフルされた抗体の間で相対的に不変のままであったある特定のCDR位置、およびPD-1結合を消失させることなく変動を導入できる他のCDR位置が明らかになった。
【0202】
本明細書において開示される抗PD-1抗体およびその抗原結合断片ならびに本明細書において開示される融合タンパク質は、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、挿入および/または付加を有し得る。一部の実施形態では、本明細書において開示される抗PD-1抗体または抗原結合断片(または抗PD-1抗体もしくは抗原結合断片を含む融合タンパク質)の1つまたはそれ以上のCDR残基が、アミノ酸置換、欠失、挿入および/または付加によって変更されている。アミノ酸置換は、保存的置換である場合も、非保存的置換である場合もある。本開示はまた、本明細書において開示されるアミノ酸配列に由来し、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域内の1個またはそれ以上のアミノ酸が、抗体が由来する生殖系列配列の対応する残基に、または別のヒト生殖系列配列の対応する残基に、または対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に突然変異している(このような配列変化は、本明細書においてまとめて「生殖系列突然変異」と呼ばれる)、抗PD-1抗体およびその抗原結合断片(および抗PD-1抗体または抗原結合断片を含む融合タンパク質)を含む。ある特定の実施形態では、抗PD-1抗体またはその結合断片(または抗PD-1抗体もしくは抗原結合断片を含む融合タンパク質)は、
図1に示されるCDRおよび/または可変ドメイン配列に対して少なくとも85%少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する、1つもしくはそれ以上のCDR、または1つもしくはそれ以上の可変ドメインを含む。
【0203】
また、表25に開示される可変重鎖および可変軽鎖およびその対合に対して同様であるが、同一ではない可変重鎖および可変軽鎖配列ならびにその対合が、本明細書において提供される。本明細書において記載されるフレームワークのいずれも、本明細書において記載されるCDRおよびCDRモチーフのいずれかと組み合わせて利用できるということは明らかであろう。一部の実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、表25に記載されるフレームワークを利用する。
【0204】
また、本明細書において開示される抗PD1抗体および抗原結合断片の1、2、3、4、5または6つのCDRを含むキメラ抗原受容体(CAR)が、本明細書において提供される。また、本明細書において開示される抗PD1抗体および抗原結合断片のうちいずれか1つの6つのCDRを含むCARも本明細書において提供される。
【0205】
本明細書において開示される抗PD1抗体および抗原結合断片の1、2、3、4、5または6つのCDRを含むCARを発現する免疫細胞が開示される。本明細書において開示される抗PD1抗体および抗原結合断片のいずれか1つの6つのCDRを含むCARを発現する免疫細胞が、開示される。一部の実施形態では、免疫細胞はT細胞である。
【0206】
「同一性」とは、最適アラインメントに必要とされたギャップの数および各ギャップの長さを考慮した後の、最適にアラインされた配列中の2つのアミノ酸または核酸配列によって共有される同一位置の数またはパーセンテージを指す。「実質的に同一な」とは、元の配列から保存的アミノ酸置換のみによって異なり、タンパク質の機能を破壊しないアミノ酸配列を意味する。
【0207】
また、本明細書において開示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%もしくは少なくとも85%もしくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%もしくは少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質も、本明細書において開示される。それだけには限らないが、GCGプログラムパッケージ(Devereuxら、Nucleic Acids Research 12: 387、1984)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Altschulら、J. Mol. Biol. 215:403(1990)およびALIGNプログラム(バージョン2.0)を含む、配列類似性を決定するための方法およびコンピュータプログラムは、公的に利用可能である。Smith Watermanアルゴリズムも、類似性を決定するために使用できる。BLASTプログラムは、NCBIおよび他の供給源から公的に利用可能である(BLAST Manual、Altschulら、NCBI NLM NIH、メリーランド州、ベゼスタ 20894;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/でBLAST 2.0)。配列の比較において、これらの方法は、種々の置換、欠失および他の改変を説明する。
【0208】
本明細書において記載される態様の一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体もしくはその抗原結合断片または本明細書において記載されるPD-1に結合する融合タンパク質のアミノ酸配列改変が企図される。抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質のアミノ酸配列バリアントは、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片もしくは融合タンパク質をコードする核酸中に適切なヌクレオチド変更を導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。このような改変には、例えば、抗体またはその抗原結合断片のアミノ酸配列内の残基からの欠失および/またはそれへの挿入および/またはその置換が含まれる。最終構築物が所望の特徴、例えば、結合特異性、生物活性の阻害を有する場合、最終構築物に到達するために欠失、挿入および置換の任意の組合せが行われる。
【0209】
アミノ酸置換は、一部の場合には、(a)置換の領域においてペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性;または(c)側鎖の嵩の維持に対するその効果において有意に異ならない置換を選択すること(保存的アミノ酸置換バリアント)によって行うことができる。これらのバリアントは、同様の側鎖特性を有する異なる残基によって置き換えられた、抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質中の少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。アミノ酸は、その側鎖の特性の類似性に従ってグループ化できる(Lehninger、BIOCHEMISTRY(第2版、Worth Publishers、New York、1975を参照されたい):
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);
(2)無電荷極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)。
【0210】
そのようなものとして、保存的アミノ酸置換の限定されない例は、非極性アミノ酸を別の非極性アミノ酸と置き換えるものである。
【0211】
あるいは、天然に存在する残基を、共通側鎖特性に基づいてグループにわけることができる:
(1)疎水性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Met(M);
(2)中性親水性:Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Asn(N)、Gln(Q);
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H);
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly(G)、Pro(P);
(6)芳香族:Phe(F)、Trp(W)、Tyr(Y)。
【0212】
これらのグループ内で行われる置換は、保存的置換と考えることができる。限定されない置換の例として、バリンのアラニンとの、リシンのアルギニンとの、グルタミンのアスパラギンとの、グルタミン酸のアスパラギン酸との、セリンのシステインとの、アスパラギンのグルタミンとの、アスパラギン酸のグルタミン酸との、プロリンのグリシンとの、アルギニンのヒスチジンとの、ロイシンのイソロイシンとの、イソロイシンのロイシンとの、アルギニンのリシンとの、ロイシンのメチオニンとの、ロイシンのフェニルアラニンとの、グリシンのプロリンとの、トレオニンのセリンとの、セリンのトレオニンとの、チロシンのトリプトファンとの、フェニルアラニンのチロシンとの、および/またはロイシンのバリンとの置換が挙げられる。
【0213】
1残基~100個またはそれより多い残基を含有するポリペプチドの長さの範囲のアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合物ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含み得るアミノ酸配列挿入がさらに企図される。末端融合物の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体もしくはの抗原結合断片または細胞傷害性ポリペプチドに融合された抗体もしくはその抗原結合断片(またはこのような抗体もしくはその抗原結合断片を含む融合タンパク質)が挙げられる。抗体またはその抗原結合断片の末端融合物の他の例として、例えば、ビオチンのような抗体またはその抗原結合断片の血清半減期を増大する酵素またはポリペプチドへの、抗体またはその抗原結合断片のN末端またはC末端への融合物(またはこのような抗体もしくはその抗原結合断片を含む融合タンパク質)が挙げられる。
【0214】
分子の酸化的安定性を改善し、異常な架橋を防ぐために、PD-1に結合する抗体またはその抗原結合断片の適切なコンホメーションの維持に関与していない任意のシステイン残基も、例えばセリンまたはアラニンと置換できる。
【0215】
逆に、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片に、その安定性を改善するために(特に、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片がFv断片のような抗体断片である場合に)、システイン結合を加えることができる。
【0216】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片または記載された抗体もしくはその抗原結合断片を含む融合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の元のグリコシル化パターンを変更するアミノ酸変更を有する。「元のグリコシル化パターンを変更すること」とは、抗体もしくはその抗原結合断片において見出される1つまたはそれ以上の炭水化物部分を欠失させること、および/または抗体もしくはその抗原結合断片中に存在しない1つまたはそれ以上のグリコシル化部位を付加することを意味する。抗体のグリコシル化は通常、N連結型またはO連結型のいずれかである。N連結型とは、炭水化物部分のアスパラギン残基の側鎖への付着を指す。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-トレオニン(Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素的付着の認識配列である。したがって、ポリペプチド中のこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が生じる。O連結型グリコシル化とは、糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースのうちの1つの、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンも使用できるが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリンまたはトレオニンへの付着を指す。変更はまた、1つまたはそれ以上のセリンまたはトレオニン残基の、元の抗体またはその抗原結合断片の配列への付加または置換によって行うことができる(O連結型グリコシル化部位について)。
【0217】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、それだけには限らないが、既知保護基/ブロッキング基、タンパク質分解切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質への連結などによる、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、リン酸化、アミド化、誘導体化を含む改変を含み得る。化学的改変のプロセスは、当技術分野で公知であり、それだけには限らないが、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成などが含まれる。付加的に、分子は、1個またはそれ以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。
【0218】
本明細書において開示される抗PD-1抗体およびその抗原結合断片は、結合特徴が直接突然変異、親和性成熟、ファージディスプレイまたは鎖シャッフリングによって変更されている抗PD-1抗体およびその抗原結合断片を含み得る。親和性および特異性は、CDRを突然変異することおよび所望の特徴を有するCDRをスクリーニングすることによって変更される。突然変異誘発の方法は、当業者には公知である。
【0219】
抗体結合
また、抗PD-1抗体およびその抗原結合断片、ならびに本明細書において開示される抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のうちの1つと同一のPD-1上のエピトープに結合する抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質が、本明細書において提供される。
【0220】
一部の実施形態では、本明細書において提供される抗PD-1抗体およびその抗原結合断片は、1つまたはそれ以上のPDファミリーメンバーを上回ってPD-1に選択的に結合する。一実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、CTLA-4および/またはCD28への結合含めて、他のPDファミリーメンバーへの有意な結合を示さない。ヒトPD-1遺伝子は、4種の選択的スプライシングされたPD-1 mRNA転写物を生成する。これらのバリアントのうち1つは、PD-1の可溶性形態を生成する。一態様では、本開示は、PD-1のすべてのアイソフォームに結合する抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を提供する。一部の実施形態では、提供された抗PD-1抗体およびその抗原結合断片は、哺乳動物PD-1に結合する。
【0221】
本明細書において使用される場合、抗体またはその抗原結合断片または抗体もしくはその抗原結合断片を含む融合タンパク質の、PD-1、PD-1上のエピトープ、または以下に記載されるある特定の実施形態では、PD-1上の特定の残基への「結合」は、抗体またはその抗原結合断片のPD-1との選択的相互作用を含む。したがって、結合は、例えば、水素結合、イオン性相互作用、塩橋ならびに親水性および疎水性相互作用を含む一次的または二次的相互作用を含む。
【0222】
ある特定の実施形態では、本明細書において記載される抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、PD-1に、10-2~10-10mol/l、10-3~10-10mol/l、10-4~10-10mol/l、10-5~10-10mol/l、10-6~10-10mol/l、10-7~10-10mol/l、10-8~10-10mol/lまたは10-9~10-10mol/lの解離(KD)の平衡定数で結合する。他の実施形態では、本明細書において記載される抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、PD-1に10-2~10-9mol/l、10-3~10-9mol/l、10-4~10-9mol/l、10-5~10-9mol/l、10-6~10-9mol/l、10-7~10-9mol/l、10-8~10-9mol/lまたは10-9~10-10mol/lのKDで結合する。
【0223】
本明細書において使用される場合、抗原の抗原結合タンパク質とのKDによって表される「親和性」は、抗原決定基と、抗体またはその抗体断片のような抗原結合タンパク質上の抗原結合部位の間の結合強度の尺度である。KDの値は、抗原決定基と抗原結合分子との間の結合強度に反比例する。あるいは、親和性はまた、1/KDである会合定数(KA)として表すことができる。親和性は、当業者によって、目的の特異的抗原に応じてそれ自体公知の様式で決定できる。
【0224】
「特異性」という用語は、本明細書において、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のような抗体またはその抗原結合断片の、PD-1内のエピトープを認識し、一方で、PD-1の他の部分との検出可能な反応性をほとんど有さないまたは全く有さない能力を指す。特異性は、競合アッセイによって、または本明細書において記載されるエピトープ同定/特性決定技術または当技術分野で公知のその均等物によって相対的に決定できる。
【0225】
「エピトープ」という用語は、本明細書において、抗体が結合する特定の標的を指す。エピトープは、アミノ酸の連続ストレッチ(連続エピトープ)によって、および標的タンパク質が特定のコンホメーションにフォールディングされた場合にのみ存在するアミノ酸残基の3次元配置(非連続的エピトープ)の両方によって形成される。一般に、エピトープは、少なくとも3個のアミノ酸、少なくとも4個、少なくとも5個または約7~10個のアミノ酸を含む。
【0226】
抗PD-1抗体38B2と同一のエピトープに特異的に結合する、抗PD-1抗体およびその抗原結合断片ならびに抗PD1抗体またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質が、本明細書において開示される。また、抗PD-1抗体31B1と同一のエピトープに結合する、抗PD-1抗体およびその抗原結合断片ならびに抗PD1抗体またはその抗原結合断片を含む融合タンパク質が、本明細書において開示される。
【0227】
本明細書において使用される場合、「ブロッキング」抗体または抗体「アンタゴニスト」とは、それが結合する抗原の生物活性を阻害または低減するものである。例えば、一部の実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体またはその抗原結合断片は、PD-1に結合し、PD-1の活性および/またはPD-1の、PD-L1もしくはPD-L2のような結合パートナーへの結合を阻害する。活性の阻害および結合の阻害は、部分的阻害を含む。PD-1相互作用をブロッキングするPD-1抗体を同定する方法は、本明細書に記載されており、当業者に公知である。例えば、競合抗体、交差ブロッキング抗体および交差ブロッキングされた(cross-blocked)抗体は、競合抗体または交差ブロッキング抗体のヒトPD-1への結合が、本明細書において開示される抗体の結合を妨げる、または逆もまた同様である競合ELISAまたはBIACORE(登録商標)アッセイを含む、当技術分野で公知の任意の適した方法を使用して同定できる。
【0228】
ある特定の実施形態では、すべてのCDRが抗原への結合に直接的に関与しているわけではない。一実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の6つのCDRのうち4つが、抗原と接触する。一実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の6つのCDRのうち5つが、抗原と接触する。一実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の6つのCDRのうち6つが抗原と接触する。
【0229】
「選択的」および「選択性」という用語は、本明細書において、特定の領域、標的またはペプチド;通常、他のPD-1ファミリーメンバーを含む1種またはそれ以上の他の生体分子とは対照的に、PD-1中の領域またはエピトープに対する、抗体またはその抗原結合断片(すなわち、PD-1抗体またはその抗原結合断片)の優先的な結合を指す。
【0230】
一態様では、PD-1上の結合部位の少なくとも一部に特異的に結合し、それによって、1つまたはそれ以上のPD-1リガンドとのPD-1相互作用をブロッキングする抗PD-1抗体およびその抗原結合断片が提供される。これらのPD-1リガンドは、それだけには限らないが、PD-L1およびPD-L2を含む。
【0231】
ある特定の実施形態では、本開示に従う抗PD-1抗体または抗原結合断片は、第1のおよび第2のサブユニットから構成されるFcドメインを含む。抗体のFcドメインは、免疫グロブリン分子の重鎖ドメインを含むポリペプチド鎖の対からなる。Fcドメインの2つのサブユニットは、安定な会合を形成する。実施形態では、Fcドメインの2つのサブユニットは、同一である。代替的な実施形態では、Fcドメインの2つのサブユニットは、同一ではない。実施形態では、Fcドメインの1つのサブユニットは、免疫複合体分子と融合される。実施形態では、抗体のFcドメインは、IgG Fcドメイン、IgG1 Fcドメイン、IgG2 Fcドメイン、IgG3 Fcドメイン、IgG4 Fcドメインであり得る。さらなる特定の実施形態では、Fcドメインは、ヒトFcドメインである。
【0232】
ヘテロ二量体化を促進するFcドメイン改変
二量体化を促進する開示される抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のFcドメインにおける改変がさらに企図される。実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のFcドメインは、Fcドメインの第1のおよび第2のサブユニットの会合を促進する改変を含む。一実施形態では、前記改変は、FcドメインのCH3ドメインにおいてである。特定の実施形態では、Fcドメインの第1のおよび第2のサブユニットの会合を促進する前記改変は、いわゆる「ノブ・イントゥ・ホール」改変であり、Fcドメインの2つのサブユニットのうちの1つにおける「ノブ」改変およびFcドメインの2つのサブユニットのうちのもう一方における「ホール」改変を含む。
【0233】
ノブ・イントゥ・ホール改変は、「空洞への突起」戦略であり、ヘテロオリゴマー化のための第1のおよび第2のポリペプチド間の界面を操作するように働く。「突起」(すなわち、ノブ)を、第1のポリペプチドの界面に由来する小さいアミノ酸側鎖を、より大きい側鎖と置き換えることによって構築する。突起に対して同一またはより小さい大きさの代償的な「空洞」(すなわち、ホール)を、大きなアミノ酸側鎖をより小さいものと置き換えることによって第2のポリペプチドの界面上に場合によりで作出する。特定の実施形態では、第1のFcサブユニットのCH3ドメイン中のアミノ酸残基が、より大きな側鎖体積を有するアミノ酸残基と置き換えられ、それによって、第1のFcサブユニットのCH3ドメイン内にノブが生成され、これは、第2のFcサブユニットのCH3ドメイン中において1つのアミノ酸残基を、より小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基と置き換えることによって生成した、第2のFcサブユニットのCH3ドメイン内に存在するホール中に配置することができる。好ましくは、より大きい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、システイン(C)、バリン(V)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、リシン(K)、プロリン(P)、グルタミン酸(E)およびトリプトファン(W)からなる群から選択される。好ましくは、より小さい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、アルギニン(R)、トリプトファン(W)、システイン(C)、リシン(L)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)およびバリン(V)からなる群から選択される。
【0234】
ノブおよびホールに対応する突然変異は、例えば、部位特異的突然変異誘発によって、またはペプチド合成によって、ポリペプチドをコードする核酸を変更することによって行うことができる。
【0235】
1つの重鎖のみがIL-15/IL-15Rα sushiに連結される融合タンパク質実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のFcドメインは、ヘテロ二量体形成(すなわち、重鎖融合物と融合を欠く重鎖との会合)を促進する1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含み得る。実施形態では、一方の重鎖のCH3ドメイン(CH3-1)中のアミノ酸残基は、アミノ酸を、より大きな側鎖体積を有するアミノ酸残基と置き換え、それによって、CH3ドメイン内に「ノブ」を生成するアミノ酸置換を含み、これは、アミノ酸残基を、より小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基と置き換えることによって生成した、他方の重鎖のCH3ドメイン(CH3-2)内に存在する「ホール」中に配置することができる。実施形態では、Fcドメインの第1のサブユニット(「ノブ」サブユニット)のCH3ドメインは、以下;T350V、L351Y、S354C、S364H、T366Y、T366W、F405A、Y407Vから1つまたはそれ以上の置換を含み得る。特定の実施形態では、Fcドメインの第2のサブユニット(「ホール」サブユニット)のCH3ドメインは、以下;Y349C、T350V、T366L、T366S、L368A、K392L、T394W、Y407V、Y407Tから1つまたはそれ以上の置換を含み得る。
【0236】
一部の実施形態では、アミノ酸置換は、
(1)第1の重鎖のCH3ドメイン:S354C、T366W;第2の重鎖のCH3ドメイン:Y349C、T366S、L368A、Y407V;
(2)第1の重鎖のCH3ドメイン:T350V、L351Y、F405A、Y407V;第2の重鎖のCH3ドメイン:T350V、T366L、K392L、T394W;
(3)第1の重鎖のCH3ドメイン:L351Y、F405A、Y407V;第2の重鎖のCH3ドメイン:T366L、K392L、T394W;
(4)第1の重鎖のCH3ドメイン:T366W;第2の重鎖のCH3ドメイン:Y407T;
(5)第1の重鎖のCH3ドメイン:T366Y;第2の重鎖のCH3ドメイン:Y407T;
(6)第1の重鎖のCH3ドメイン:T366W;第2の重鎖のCH3ドメイン:Y407A;
(7)第1の重鎖のCH3ドメイン:F405A;第2の重鎖のCH3ドメイン:T394W;
(8)第1の重鎖のCH3ドメイン:F405W;第2の重鎖のCH3ドメイン:T394S;
(9)第1の重鎖のCH3ドメイン:T366YおよびF405A;第2の重鎖のCH3ドメイン:T394WおよびY407T;
(10)第1の重鎖のCH3ドメイン:T366WおよびF405W;第2の重鎖のCH3ドメイン:T394S:および407A;
(11)第1の重鎖のCH3ドメイン:F405WおよびY407A;第2の重鎖のCH3ドメイン:T366WおよびT394S
(12)
から選択される。
【0237】
PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片(またはこのような抗体もしくはその抗原結合断片を含む融合タンパク質)が、本明細書において提供され、抗体は、配列番号168~169、171~172、185、191および201~203からなる群から選択される配列を含む重鎖を含む。
【0238】
PD-1に結合する、抗体またはその抗原結合断片(またはこのような抗体もしくはその抗原結合断片を含む融合タンパク質)が、本明細書において提供され、抗体は、配列番号170、173、186、192および205からなる群から選択される配列を含む軽鎖を含む。
【0239】
特定の実施形態では、本開示に従うFcドメインは、天然IgG1 Fcドメインと比較してFc受容体に対する結合親和性の低減および/またはエフェクター機能の低減を示す。ある特定の実施形態では、Fcドメインは、操作されていないFcドメインと比較して、Fc受容体に対する結合親和性の低減および/またはエフェクター機能の低減を有するように操作される。
【0240】
リンカー
実施形態では、本明細書において提供される融合タンパク質は、本明細書において開示される融合タンパク質の成分をつなげる1つまたはそれ以上のリンカーを含み得る。リンカーは、(i)IL-15ポリペプチドとsushiドメインを含むIL15Rαポリペプチドの間;(ii)抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片の重鎖とIL-15ポリペプチドもしくはsushiドメインを含むIL15Rαポリペプチドの間;または(iii)両方に位置し得る。本開示の実施形態では、IL-15ポリペプチドおよびsushiドメインを含むIL15Rαポリペプチドは、第1のリンカーアミノ酸配列によってつなげられる、または連結される。実施形態では、IL-15ポリペプチド(またはIL15Rαポリペプチド)は、第2のリンカーアミノ酸配列によって本明細書において記載される抗体またはその抗原結合断片に連結される。実施形態では、第2のリンカーは、重鎖可変領域のN末端をIL-15ポリペプチドのC末端につなげる。第1のおよび第2のリンカーは、同一または異なるアミノ酸配列を有し得る。
【0241】
本明細書において記載されるリンカーアミノ酸配列は、融合タンパク質が適切な二次および三次構造を形成することを確実にするのに十分な長さのものであり得る。リンカーアミノの長さは、5~40個のアミノ酸、好ましくは、10~40個のアミノ酸、より好ましくは、15~40個のアミノ酸、さらにより好ましくは、20~40個のアミノ酸、最も好ましくは、25~35個のアミノ酸の間であり得る。
【0242】
好ましくは、リンカー配列は、Gly(G)、Asn(N)、Ser(S)、Thr(T)、Ala(A)、Leu(L)およびGln(Q)を含む群において選択される中性に近いアミノ酸を含み、最も好ましくは、Gly(G)、Asn(N)およびSer(S)を含む群から選択されるアミノ酸においてである。好ましくは、リンカー配列は、グリシンリッチおよびセリンリッチであり、一部の実施形態では、リンカーは、セリンおよびグリシン残基のみを含有する。
【0243】
一部の実施形態では、リンカーは、それだけには限らないが、配列番号215(以下)のリンカー中の太字の配列を含む、sushiドメインの外側のIL15Rαポリペプチドの部分を含む。
【0244】
アミノ酸配列の一部の限定されないリンカー例としてIRDPALVHQRPAPPSGGSGGGGSGGGSGGGGSLQ(配列番号215)、
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号216);
IRDPSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGG(配列番号217)、IRDPGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号218)、および
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号244)
が挙げられる。
【0245】
実施形態では、IL-15ポリペプチドとIL-15Rα sushiとをつなげるリンカーは、IRDPALVHQRPAPPSGGSGGGGSGGGSGGGGSLQ(配列番号215)、IRDPSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGG(配列番号217)、またはIRDPGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号218)
を含む。
【0246】
実施形態では、IL-15ポリペプチドを抗PD-1抗体重鎖につなげるリンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号216)またはGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号244)
を含む。
【0247】
実施形態では、本明細書において開示される抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の重および軽鎖は、VRおよびVLドメインが会合して抗原結合部位を形成することを可能にする第3のリンカーを使用して、単一ポリペプチド鎖(「単鎖Fv」または「scFv」)に接続される場合もある。リンカーのアミノ酸配列は、同一である場合も異なっている場合もある。
【0248】
一実施形態では、IL-15ポリペプチドまたはIL-15誘導体は、リンカーによってIL-15Rα sushiポリペプチドまたはIL-15Rα sushi誘導体に共有結合によって連結される。
【0249】
一実施形態では、IL-15ポリペプチドまたはIL-15誘導体は、リンカーによって抗PD-1抗体またはその抗原結合断片に共有結合によって連結される。一実施形態では、IL-15ポリペプチドのC末端またはIL-15誘導体は、リンカーによって抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のN末端に共有結合によって連結される。一実施形態では、IL-15ポリペプチドのN末端またはIL-15誘導体は、リンカーによって抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のC末端に共有結合によって連結される。一実施形態では、IL-15ポリペプチドのN末端またはIL-15誘導体は、リンカーによって抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCH3領域に共有結合によって連結される。
【0250】
一実施形態では、IL-15Rα sushiまたはIL-15Rα sushi誘導体は、リンカーによって抗PD-1抗体またはその抗原結合断片に共有結合によって連結される。一実施形態では、IL-15Rα sushiポリペプチドまたはIL-15Rα sushi誘導体のC末端は、リンカーによって抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のN末端に共有結合によって連結される。一実施形態では、IL-15Rα sushiポリペプチドまたはIL-15Rα sushi誘導体のN末端は、リンカーによって抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のC末端に共有結合によって連結される。一実施形態では、IL-15Rα sushiポリペプチドまたはIL-15Rα sushi誘導体のN末端は、リンカーによって抗PD-1抗体またはその抗原結合断片のCH3領域に共有結合によって連結される。
【0251】
一部の実施形態では、IL-15ポリペプチドまたはIL-15誘導体は、第1のリンカーによってIL-15Rα sushiポリペプチドまたはIL-15Rα sushi誘導体に共有結合によって連結され、IL-15ポリペプチドもしくはIL-15誘導体またはIL-15Rα sushiポリペプチドもしくはIL-15Rα sushi誘導体のいずれかは、第2のリンカーによって抗PD-1抗体またはその抗原結合断片に共有結合によって連結される。一部の実施形態では、第1のおよび第2のリンカーのアミノ酸配列は、同一である。他の実施形態では、第1のおよび第2のリンカーのアミノ酸配列は、異なっている。
【0252】
コンジュゲート
本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質は、1つまたはそれ以上の機能的部分をさらに含み得る。有用な機能的部分の例として、それだけには限らないが、ブロッキング部分、検出可能部分、診断部分、標的化および治療部分が挙げられる。
【0253】
ブロッキング部分は、例えば、抗体またはその抗原結合断片をグリコシル化するスリコシダーゼの能力をブロッキングすることによって、低減されたグリコシル化が生じるように十分な立体的な嵩および/または電荷の部分を含み得る。好ましいブロッキング部分は、システイン、混合ジスルフィド付加物またはジスルフィド結合のようなシステイン付加物ならびにポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、ポリオキシエチル化グリセロール(「POG」)および他のポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール(「PVA」)および他のポリアルキレンオキシド、ポリオキシエチル化ソルビトールまたはポリオキシエチル化グルコースのようなPEG部分を含む。PEGは、いくつかの理由のために生物学的適用において好ましい部分である。PEG化は、分子の見かけの分子量を増大することによって分子の薬物動態性能を改善し得る。増大した見かけの分子量は、皮下または全身投与後の身体からのクリアランスの速度を低減する。多くの場合には、ペグ化は、抗原性および免疫原性を低下させ得る。PEG化はまた、生物学的に活性な分子の溶解度を増大する。付加的に、PEGは通常透明、無色、無臭であり、水に可溶性、熱に対して安定、多数の化学薬品に対して不活性であり、加水分解せず、非毒性であり、これによって生物学的適用にとって好ましい選択になる。
【0254】
本明細書において開示される抗PD-1抗体または抗原結合断片または融合物とコンジュゲートされる検出可能な部分の例として、蛍光部分または標識、造影剤、放射性同位体部分、放射不透過性部分など、例えば、ビオチン、フルオロフォア、発色団、スピン共鳴プローブまたは放射標識のような検出可能標識を挙げることができる。フルオロフォアの例として、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、ローダミンなど)および他の発光分子(例えば、ルミナル)が挙げられる。フルオロフォアは、基質(例えば、ダンシルプローブ)に結合した際に構造的変化を受ける改変タンパク質中の1個またはそれ以上の残基に近接して位置する場合にその蛍光が変化するように環境的に感受性であり得る。例示的放射標識として、1つまたはそれ以上の低感受性核を有する原子(13C、15N、2H、125I、123I、99Tc、43K、52Fe、67Ga、68Ga、111Inなど)を含有する小分子が挙げられる。
【0255】
診断部分は、疾患または障害の存在を明らかにするのに適した検出可能な部分を含む。通常、診断部分によって、疾患または障害と関連している分子、例えば、標的ペプチド、タンパク質(単数または複数)の存在、不在またはレベルを決定することが可能となる。このような診断はまた、疾患または障害およびその進行を予測および/または診断するのに適している。
【0256】
治療部分の例として、抗炎症剤、抗がん剤、抗神経変性剤、抗感染剤または全般的に、治療薬が挙げられる。機能的部分はまた、上記の機能のうち1つまたはそれ以上を有し得る。例示的治療部分には、抗生物質、第2の抗PD-1抗体または腫瘍特異的抗原、自己免疫組織抗原、ウイルス感染細胞抗原のような別の抗原に対する抗体、Fc受容体、T細胞受容体またはT細胞共阻害剤または免疫毒素またはがん、自己免疫疾患もしくは慢性ウイルス感染を含む疾患もしくは状態を処置するのに有用な任意の他の治療部分が含まれる。例示的治療部分はまた、細胞毒、放射活性剤、サイトカイン、インターフェロン、標的またはレポーター部分、酵素、毒素、ペプチドまたは治療剤を、その標的に結合可能である限り分子に沿った任意の位置に含み得る。イムノコンジュゲートの例として、抗体薬物コンジュゲートおよび抗体-毒素融合タンパク質が挙げられる。ある特定の実施形態では、抗体は、腫瘍細胞またはウイルス感染細胞に特異的な薬剤にコンジュゲートされる。
【0257】
例えば、米国特許第5,739,277号に記載されるようなサルベージ受容体結合エピトープを抗体またはその抗原結合断片(特に、抗体断片)に付着して、本明細書において記載される抗体または抗原結合断片の半減期を増大することもできる。「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子のin vivo血清半減期の増大に関与するIgG分子(例えば、IgGl、IgG2、IgG3またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す場合がある(例えば、Ghetieら、18 Ann. Rev. Immunol. 739(2000)。
【0258】
核酸
また、本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質をコードする核酸ならびにベクター、宿主細胞および発現系が、本明細書において提供される。「核酸」という用語は、本明細書において使用される場合、任意の長さの、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドのポリマー形態を指し、それだけには限らないが、単鎖、二本鎖もしくは複数鎖DNAまたはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッドまたはプリンおよびピリミジン塩基を含むポリマーまたは他の天然、化学的もしくは生化学的に改変された、非天然または誘導体化ヌクレオチド塩基が含まれる。本明細書において開示される抗PD-1抗体およびその抗原結合断片ならびに融合タンパク質をコードする核酸は、例えば、DNA、cDNA、RNA、合成的に生成されたDNAもしくはRNAまたはそれらのポリヌクレオチドのいずれかを単独もしくは組み合わせて含む組換え生成されたキメラ核酸分子であり得る。
【0259】
「ベクター」という用語は、核酸分子を細胞中へ輸送可能である核酸分子を含む媒体を指す。「ベクター」には、それだけには限らないが、ウイルスベクター、プラスミド、RNAベクターまたは線形もしくは環状DNAもしくはRNA分子が含まれ、これは、染色体、非染色体、半合成または合成核酸からなる場合がある。一部の実施形態では、用いられるベクターは、それらが連結される核酸の自己複製(エピソームベクター)および/または発現を可能なもの(発現ベクター)である。いくつかの適したベクターが、当業者に公知であり、市販されている。
【0260】
抗体および融合タンパク質調製物および発現系
本明細書において開示される抗PD-1抗体、抗原結合断片または融合タンパク質は通常、組換え発現によって産生される。場合により、定常領域に連結された軽鎖および重鎖可変領域をコードする核酸を、同一発現ベクター中に挿入できる。あるいは、場合により、定常領域に連結された軽鎖および重鎖可変領域をコードする核酸は、異なる発現ベクター中に挿入される。発現ベクターは、それだけには限らないが、プロモーター(例えば、相同または異種プロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメントおよび転写終結配列を含む、1つまたはそれ以上の発現制御配列をさらに含み得る。好ましくは、発現制御配列は、真核生物の宿主細胞を形質転換またはトランスフェクト可能なベクター中の真核生物のプロモーター系である。通常、宿主は、ベクターが適切な宿主中に組み込まれた後の、ヌクレオチド配列の高レベル発現ならびに交差反応抗体の収集および精製に適した条件下で維持される。
【0261】
一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列が形質転換された細胞の検出を可能にするために、選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性またはネオマイシン耐性)を含有する。
【0262】
本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質を発現するために使用される宿主は、原核生物の、または真核生物の宿主であり得る。適した宿主の例として、in vivoまたはin situのいずれかの酵母、昆虫、真菌、鳥および哺乳動物細胞、または哺乳動物、昆虫、鳥もしくは酵母起源の宿主細胞を含む細菌または真核生物宿主が挙げられる。哺乳動物細胞または組織は、ヒト、霊長類、ハムスター、ウサギ、げっ歯類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、イヌまたはネコ起源のものであり得るが、任意の他の哺乳動物細胞を使用できる。
【0263】
本明細書において開示される抗体、抗原結合断片または融合タンパク質を発現させるために使用できる細菌宿主の例は、大腸菌、枯草菌(Bacillus subtilus)のような桿菌ならびにサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)および種々のシュードモナス属(Pseudomonas)の種のような他の腸内細菌科(enterobacteriaceae)であり得る。
【0264】
酵母もまた、本明細書において開示される抗体、抗原結合断片または融合タンパク質を発現するための宿主として使用できる。サッカロミセス属(Saccharomyces)およびピキア属(Pichia)は、例示的酵母宿主であり、適したベクターは、必要に応じて、発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製起点、終結配列などを有する。通常のプロモーターは、3-ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の解糖酵素を含む。誘導酵母プロモーターには、中でも、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムCならびにメタノール、マルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素に由来するプロモーターが含まれる。
【0265】
培養中の哺乳動物細胞はまた、本明細書において開示される抗体、抗原結合断片または融合タンパク質を発現する宿主細胞として使用できる。当技術分野で周知の異種タンパク質(例えば、無傷の免疫グロブリン)を分泌可能な、適した宿主細胞株の例として、CHO細胞株、種々のCOS細胞株、HeLa細胞、293細胞、骨髄腫細胞株、形質転換B細胞およびハイブリドーマが挙げられる。これらの細胞の発現ベクターには、複製起点、プロモーター、エンハンサーのような発現制御配列ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位および/または転写ターミネーター配列のような必要なプロセシング情報部位が含まれる。発現制御配列の例として、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルスなどが挙げられる。
【0266】
本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質は、単一発現構築物もしくはベクターまたは複数の発現構築物もしくはベクター(例えば、2つまたは3つの発現構築物)を使用して発現させることができる。抗体重および軽鎖が別々の発現ベクター上でクローニングされる場合には、無傷の免疫グロブリンの発現およびアセンブリーを得るためにベクターが同時トランスフェクトされる。ひとたび発現されると、本明細書において開示される全抗体、その二量体、個々の軽および重鎖または他の免疫グロブリン形態を、硫酸アンモニウム沈殿、親和性カラム、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動などを含む、技術分野の標準手順に従って精製できる(一般に、Scopes、Protein Purification(Springer-Verlag、N.Y.、(1982)を参照されたい)。医薬使用のためには、少なくとも約90~95%の均一性の実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、98~99%またはそれより高い均一性がもっとも好ましい。
【0267】
開示される抗PD-1抗体、抗原結合断片および融合タンパク質は、当技術分野で公知の任意の方法によって作製できる。ヒトまたはマウス抗体または融合分子を生成するための一般的な技術は、当技術分野で公知である。
【0268】
PD-1活性をモジュレートする方法
一態様では、本開示は、PD-1と、それだけには限らないが、PD-L1およびPD-L2を含むPD-リガンドとの間の相互作用を減少させるために本明細書において記載される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を使用する方法を提供する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質は、PD-1単量体間の相互作用を撹乱する。
【0269】
本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質は、免疫抑制、例えば、T細胞耐性を低減するために有用である。「低減すること」とは、処置されていない対照と比較して、約20%もしくはそれより多い、30%もしくはそれより多い、40%もしくはそれより多い、45%もしくはそれより多い、50%もしくはそれより多い、55%もしくはそれより多い、60%もしくはそれより多い、65%もしくはそれより多い、70%もしくはそれより多い、または75%もしくはそれより多い、80%もしくはそれより多い、85%もしくはそれより多い、90%もしくはそれより多い、または95%もしくはそれより多い全体的な減少を引き起こす能力を意味する。免疫抑制は、免疫細胞の表面上に発現される免疫阻害性受容体およびそのリガンドとのその相互作用によって媒介される。T細胞活性を測定する方法は、当技術分野で公知である。非限定な例として、T細胞耐性は、T細胞を共刺激および/またはイオノマイシンの不在下でリコール抗原、抗CD3と接触させることによって誘導できる。例えば、IL-27、LDH-A、RAB10、および/またはZAP70(細胞内または分泌型の両方)のレベルをモニタリングして、例えば、T細胞寛容形成の程度を決定できる(T細胞耐性の増大と相関するIL-2、インターフェロン-γおよびTNFのレベルを用いて)。
【0270】
本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質は、T細胞拡大増殖、活性化および増殖を増強するためにさらに有用である。
【0271】
処置の方法
PD-1は、自己免疫、腫瘍免疫および感染免疫の調節において免疫系において重要な役割を果たす。PD-1媒介性T細胞阻害は、自己免疫を防ぐ重要な機序である。さらに、がんおよび慢性感染性疾患は、この調節機序を侵害して、免疫抑制を駆動する可能性がある。モノクローナル抗体を含むアンタゴニストを用いてPD-1をブロッキングすることは、がんおよび慢性ウイルス性感染症の処置において研究されてきた。PD-1の、T細胞活性化を阻害する能力は、免疫応答を逃れるために慢性ウイルス性感染症および腫瘍によって利用されている。慢性ウイルス性感染症では、ウイルス特異的T細胞上でPD-1が高度に発現されており、これらのT細胞は、「消耗した」ようになり、エフェクター機能および増殖能を失う。
【0272】
PD-1欠損動物モデルは、自己免疫性心筋症、関節リウマチおよび移植片対宿主病を含む種々の自己免疫表現型を発症する。具体的には、それらは、高レベルのIgG2bおよびIgAを有し、軽度ループス様自己免疫および拡張型心筋症を発症する。免疫応答をモジュレートするPD-1の役割を考慮すると、PD-1媒介性免疫抑制が関与する疾患を処置するために、PD-1シグナル伝達をアンタゴナイズする本明細書において開示される治療剤を投与できる。
【0273】
免疫調節は、種々の疾患および障害を処置するための有用な治療アプローチである。免疫調節のための1つのアプローチは、免疫ホメオスタシスの維持および自己免疫の防止において重要な役割を果たす免疫活性化のレギュレーターによって1つまたはそれ以上の免疫チェックポイントで介入することである。疾患または障害に応じて、免疫応答を上方制御または下方制御することが望ましい場合がある。非自己抗原を提示する腫瘍細胞は、免疫チェックポイントを活性化するサイトカインまたはリガンドを分泌することによって免疫攻撃を回避することができる。したがって、がん療法では、一般に、腫瘍細胞に対する免疫応答を上方制御することが望ましい。対照的に、自己免疫疾患の処置では、一般に、ある特定の組織において免疫応答を下方制御することが望ましい。
【0274】
一態様では、本開示は、それを必要とする対象の処置に有用である抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を提供する。
【0275】
本明細書において記載される方法では、本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質の治療有効量が、それを必要とする哺乳動物投与される。「哺乳動物」という用語は、本明細書において使用される場合、それだけには限らないが、ヒト、実験動物、飼育ペットおよび家畜を含む。好ましくは、哺乳動物はヒトである。本明細書において記載される「治療有効量」とは、哺乳動物に投与された場合に、所望の治療効果をもたらすのに有効である、抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質の量を指す。
【0276】
「対象」とは、それだけには限らないが、ヒトまたはウシ、ウマ、イヌ、ヒツジもしくはネコなどのような非ヒト哺乳動物を含む哺乳動物を意味する。個体および患者も、本明細書における対象である。
【0277】
「処置する」、「処置された」、「処置すること」または「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、目的が、望ましくない生理学的状態、障害もしくは疾患を減速すること(減らすこと)である、または有益なもしくは所望の臨床結果を得ることである治療的処置を指す。本開示の目的上、有益なまたは所望の臨床結果には、それだけには限らないが、症状の軽減;状態、障害または疾患の程度の減少;状態、障害または疾患の状況の安定化(すなわち、悪化しないこと);状態、障害または疾患の進行の発生の遅延または減速;状態、障害または疾患状況の1つまたはそれ以上の症状の改善;および緩解(部分的であろうと、完全であろうと)が含まれる。処置には、過剰なレベルの副作用を伴わずに臨床的に重要な応答を引き出すことが含まれる。処置にはまた、処置を受けていない場合に予測される生存と比較して生存を延長することが含まれる。「防止する」、「防止」などの用語は、疾患もしくは障害が発症することを防止するために、または疾患もしくは障害の程度を最小にするために、または発症の過程を減速するために、明白な疾患または障害発生の前に行動することを指す。
【0278】
一態様では、本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を使用して、それだけには限らないが、円形脱毛症、自己免疫性肝炎、セリアック病、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本病、溶血性貧血、炎症性腸疾患、炎症性筋疾患、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性ループス、エリテマトーデス、白斑、自己免疫性膵炎、自己免疫性じんま疹、自己免疫性血小板減少性紫斑病、クローン病、I型糖尿病、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、グッドパスチャー症候群、重症筋無力症、乾癬の関節炎、リウマチ熱、潰瘍性大腸炎、脈管炎およびウェジナー肉芽腫症を含む自己免疫疾患を患っている対象を処置できる。ある特定の実施形態では、本明細書において開示される活性化抗体を使用して、自己免疫疾患を患っている対象を処置できる。
【0279】
一態様では、本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を使用して、慢性ウイルス性感染症を患っている対象を処置できる。特定の実施形態では、本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を使用して、それを必要とする対象において、消耗したT細胞をレスキューできる、および/またはウイルス力価を減少できる。ある特定の実施形態では、本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を使用して、治療有効用量をそれを必要とする対象に投与することによって慢性ウイルス性感染症を処置できる。一部の実施形態では、対象は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)またはヒトパピローマウイルス(HPV)またはB/C型肝炎ウイルス(HBV/HCV)またはサル免疫不全ウイルス(SIV)によって引き起こされるウイルス性感染症を患っている。
【0280】
別の態様では、本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を使用して、それだけには限らないが、腎細胞癌、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、脳がん(例えば、多形性神経膠芽腫)、頭頸部の扁平上皮癌、胃がん、前立腺がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、多発性骨髄腫および黒色腫を含む原発性または再発性がんを患っている対象を処置できる。
【0281】
ある特定の実施形態では、本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を、がんまたはウイルス性感染症を患っている対象に治療有効量で投与できる。
【0282】
疾患または障害の症状または状態のうち1つまたはそれ以上の重症度を緩和または防止または減少させるために、本明細書において開示される1種またはそれ以上の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質を投与できる。ある特定の実施形態では、慢性ウイルス性感染症または自己免疫疾患を発症するリスクを低減ために、本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を、それを必要とする対象に予防的に投与できる。本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質を、がん、自己免疫疾患またはウイルス性感染症を処置するのに有用な当業者に公知の任意の他の薬剤または任意の他の療法との補助療法として使用できる。
【0283】
併用療法
本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質は、有利には、追加の治療剤と組み合わせることができる。このような追加の薬剤には、それだけには限らないが、細胞傷害性薬剤、化学療法剤、増殖阻害剤、抗炎症剤、抗がん剤、抗神経変性剤、免疫抑制剤および抗感染剤が含まれる。抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質と、追加の治療剤の投与は、同時、逐次または断続的であり得る。抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片または融合タンパク質と、追加の治療剤との投与は、別々である場合も、混合物としての場合もある。さらに、本明細書において提供される処置の方法は、それだけには限らないが、抗体療法、化学療法、サイトカイン療法、樹状細胞療法、遺伝子療法、ホルモン療法、レーザー光療法および放射線療法の群を含む1つまたはそれ以上の療法と組み合わせた処置に関連する場合がある。
【0284】
本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片および融合タンパク質は、それだけには限らないが、腎細胞癌、結腸直腸腸がん、多形性神経膠芽腫、頭頸部の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、結腸がん、卵巣がん、腺癌、前立腺がん、神経膠腫および黒色腫を含む、がんを処置するために使用される1つまたはそれ以上の抗がん薬または療法と相乗的に組み合わせることができる。このような薬剤の例には、それだけには限らないが、PD-L1に対する抗体とともに、PD-1に対する第2の抗体(例えば、ニボルマブ)、LAG-3阻害剤、CTLA-4阻害剤(例えば、イピリムマブ)、TIM3阻害剤、BTLA阻害剤、TIGIT阻害剤、CD47阻害剤、別のT細胞共阻害剤またはリガンドのアンタゴニスト(例えば、CD-28、2B4、LY108、LAIR 1、ICOS、CD160またはVISTAに対する抗体)、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト[例えば、アフリベルセプトのような「VEGF-Trap」またはUS7,087,411に示されるような他のVEGF阻害性融合タンパク質または抗VEGF抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、ベバシズマブまたはラニビズマブ)またはVEGF受容体の小分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブまたはパゾパニブ)]、Ang2阻害剤(例えば、ネスバクマブ(nesvacumab))、トランスフォーミング増殖因子β(TGF3)阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤(例えば、エルロチニブ、セツキシマブ)、共刺激受容体に対するアゴニスト(例えば、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質に対するアゴニスト)、腫瘍特異的抗原(例えば、CA9、CA125、黒色腫関連抗原3(MAGE3)、癌胎児性抗原(CEA)、抗ウイルス薬(例えば、ジドブジン、ラミブジン、アバカビル、リバビリン、ロピナビル、エファビレンツ、コビシスタット、テノホビル、リルピビリンおよび副腎皮質ステロイド)、ビメンチン、腫瘍-M2-PK、前立腺特異的抗原(PSA)、ムチン-1、MART-1およびCA19-9)に対する抗体、ワクチン(例えば、カルメット・ゲラン菌、がんワクチン)、抗原提示を増大するためのアジュバント(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、二重特異性抗体(例えば、CD3xCD20二重特異性抗体、PSMAxCD3二重特異性抗体)、がんワクチン(例えば、MAGE3、MUC1、EGFRv3、ALVAC-CEA)、細胞毒、化学療法剤(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセルおよびビンクリスチン)、シクロホスファミド、放射線療法、IL-6R阻害剤(例えば、サリルマブ)、IL-4R阻害剤(例えば、デュピルマブ)、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-21およびIL-15のようなサイトカイン、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)(例えば、抗CD19-DM4 ADCおよび抗DS6-DM4 ADC)、抗炎症性薬物(例えば、副腎皮質ステロイドおよび非ステロイド系抗炎症薬)、抗酸化物質のような栄養補助食品またはがんを処置するための任意の緩和ケア、放射線療法、および/または自己免疫疾患の処置のための免疫細胞上のFc受容体に対する抗体が含まれる。
【0285】
投与方法
本明細書において記載される抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質のいずれかを含む治療組成物を、それだけには限らないが、注射、輸注、留置または移植によってを含む任意の好都合な様式で、それを必要とする対象に投与できる。本明細書において記載される組成物は、それを必要とする対象に皮下に、皮内に、腫瘍内に、節内に、髄内に、筋肉内に、頭蓋内に、静脈内もしくはリンパ内注射によって、または腹膜内に投与できる。一実施形態では、本開示の細胞組成物は、好ましくは、静脈内注射によって投与される。
【0286】
ある特定の実施形態では、抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質は、哺乳動物に、静脈内注入、すなわち、ある特定の期間にわたる抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質の哺乳動物の静脈中への導入によって投与される。ある特定の実施形態では、期間は、約5分、約10分、約30分、約1時間、約2時間、約4時間または約8時間である。
【0287】
投与レジメン
本開示のこの態様に従う方法は、本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質の複数用量を対象に逐次投与することを含む。本明細書で使用される場合、「逐次投与すること」とは、本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質の各用量が、対象に異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間または数ヶ月)によって隔てられた異なる日に投与されることを意味する。本開示は、患者に本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質の単一の初回用量、続いて、本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質の1つまたはそれ以上の第2の用量、および場合により、続いて、本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質の1つまたはそれ以上の第3の用量を逐次投与することを含む方法を含む。本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質は、0.01mg/kg~100mg/kgの間の用量で投与できる。
【0288】
ある特定の実施形態では、化合物または組成物の用量が、対象に毎日、隔日で、数日毎に、3日目毎に、週に1回、週に2回、1週間に3回、2週間毎に1回または1ヶ月に1回投与される。他の実施形態では、化合物または組成物の2、3または4用量が、対象に毎日、数日毎に、3日目毎に、週に1回、2週間毎に1回または1ヶ月に1回投与される。一部の実施形態では、化合物または組成物の用量が2日、3日、5日、7日、14日、21日または28日間投与される。ある特定の実施形態では、化合物または組成物の用量が、1ヶ月、1.5ヶ月、2ヶ月、2.5ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月間またはそれ以上投与される。
【0289】
医薬組成物
別の態様では、1つまたはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤と一緒に製剤化された、本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質の治療有効量を含む薬学的に許容される組成物が提供される。
【0290】
活性剤の投与量は、使用上の理由、個々の対象および投与様式に応じて変わり得る。投与量は、対象の体重、年齢および対象の健康ならびに化合物または組成物に対する耐性に基づいて調整できる。
【0291】
活性剤および賦形剤は、当技術分野で公知の方法に従って組成物および剤形に製剤化できる。本明細書において提供される医薬組成物は、例えば、皮下、腫瘍内、筋肉内または静脈内注射による非経口投与に適応させたものを含む固体または液体形態、例えば、滅菌溶液または懸濁液に特別に製剤化できる。
【0292】
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片またはその融合タンパク質を含む治療組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤とともに製剤化でき、これは、液体または固体充填剤、希釈剤、担体、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛またはステアリン酸)、対象への投与のための治療用化合物の運搬または輸送に関与する溶媒またはカプセル化材料、嵩高剤、塩、界面活性剤および/または保存料のような薬学的に許容される材料、組成物または媒体であり得る。薬学的に許容される賦形剤として働くことができる材料の一部の例として以下が挙げられる:ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖;コーンスターチおよびジャガイモデンプンのようなデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなセルロースおよびその誘導体;ゼラチン;タルク;ワックス;ピーナッツオイル、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油のようなオイル;エチレングリコールおよびプロピレングリコールのようなグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;緩衝剤;水;等張性生理食塩水;pH緩衝溶液;および医薬製剤において用いられる他の非毒性適合性物質。
【0293】
本明細書において言及されるような嵩高剤は、医薬組成物の質量を増大するために、また凍結乾燥形態で製剤の物理的構造に寄与するために添加される化合物として記載される。嵩高剤の例には、それだけには限らないが、適したマンニトール、グリシン、ポリエチレングリコールおよびソルビトールが含まれる。
【0294】
治療組成物は、場合により、界面活性剤を含み得る。界面活性剤の使用は、再構成されたタンパク質の凝集を低減し得る、および/または再構成された製剤の粒子の形成を低減し得る。本開示に従って使用してもよい、適した界面活性剤の例として、それだけには限らないが、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20または80);ポロキサマー(例えばポロキサマー188);Triton;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウリル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-またはステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノレアミドプロピル-、ミリストアミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリストアミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;タウ酸メチルココイルナトリウム、またはタウ酸メチルオレイル二ナトリウム;およびポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコールならびにエチレンおよびプロピレングリコールのコポリマー(例えば、プルロニック、PF68など)が挙げられる。
【0295】
本明細書において記載される治療組成物において、保存料を場合により使用してもよい。本明細書において提供される製剤において使用するための適した保存料として、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンズアルコニウム(アルキル基が長鎖化合物である、アルキルベンジル-塩化ジメチルアンモニウムの混合物)および塩化ベンゼトニウムが挙げられる。他の種類の保存料として、フェノール、ブチルおよびベンジルアルコールのような芳香族アルコール、メチルまたはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノールおよびm-クレゾールが挙げられる。
【0296】
本明細書において記載される治療組成物は、変動濃度の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質を有し得る。例えば、組成物は、10mg/ml~200mg/ml、25mg/ml~130mg/ml、50mg/ml~125mg/ml、75mg/ml~110mg/mlまたは80mg/ml~100mg/mlの抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質を含み得る。組成物はまた、約10mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、100mg/ml、110mg/ml、120mg/ml、130mg/ml、140mg/mlまたは150mg/mlの抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質を含み得る。一部の実施形態では、治療組成物は、凍結乾燥し、投与の前に再構成するための組成物で提供できる。
【0297】
診断的使用
本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質を使用して、例えば、診断目的のために試料中のPD-1を検出および/または測定できる。本明細書において開示される抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質をアッセイにおいて使用して、がん、自己免疫疾患または慢性ウイルス性感染症のような疾患または障害を検出できる。PD-1の例示的診断アッセイは、例えば、患者から得られた試料を、本開示の抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質と接触させることを含む場合があり、抗PD-1抗体、その抗原結合断片または融合タンパク質は、検出可能な標識もしくはレポーター分子で標識されるか、または患者試料からPD-1を選択的に単離するための捕捉リガンドとして使用されるか、または代替的に、それ自体が検出可能に標識される二次抗体と組み合わせて使用される。検出可能な標識またはレポーター分子は、3H、C、32P、35Sまたは25lのような同位元素;フルオレセインイソチオシアネートまたはローダミンのような蛍光または化学発光部分;またはアルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはルシフェラーゼのような酵素であり得る。試料中のPD-1を検出または測定するために使用できる特定の例示的アッセイとして、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光活性化細胞選別(FACS)が挙げられる。
【0298】
本開示のキットは、本明細書において提供される薬剤、組成物、成分、試薬、投与デバイスまたは機序または他の実体の任意の組合せを含み得る。例えば、本開示のキットは、本明細書において開示される、1つもしくはそれ以上の抗PD-1抗体もしくは
その抗原結合断片または融合タンパク質と、担体組成物、投与デバイスおよび併用療法剤とのうち1つまたはそれ以上を含み得る。キットは、注射のためのシリンジのような送達を容易にするデバイスまたはそれを必要とする対象への治療組成物の送達を容易にするツールをさらに含み得る。本明細書において提供されるキットのいずれも、投与のための使用説明書と一緒に容器、パックまたはディスペンサー中に含めることができる。
【0299】
すべての他の言及された特許および出願は、その全体を参照により本明細書に組み入れる。さらに、本明細書に参照により組み入れる参考文献中の用語の定義または使用が、本明細書において提供される用語の定義と不一致であるか、それに反している場合には、本明細書において提供されるその用語の定義が適用され、参照文献中のその用語の定義は適用されない。
【0300】
本開示は、記載された特定の分子、組成物、方法論またはプロトコールに限定されず、これはこれらが変わる可能性があるからであるということは理解されるべきである。本明細書において記載されるものと同様または同等である任意の方法および材料を、本開示の実施形態の実行または試験において使用できる。さらに、本明細書における本開示は、このような特定の構成のすべての可能性ある組合せを含むということは理解されるべきである。例えば、特定の構成が、本明細書における本開示または特定の請求項の特定の態様または実施形態の文脈において開示される場合には、本開示の他の特定の態様および実施形態と組み合わせて、および/または本開示の他の特定の態様および実施形態の文脈において、ならびに全般的に本開示において、その構成も可能な限り使用できる。
【0301】
2つまたはそれより多い定義された工程を含む方法が本明細書において言及される場合には、定義される工程は、列挙されるとおりの順序で、または任意の順序で、または同時に(文脈がその可能性を排除する場合を除いて)実施でき、方法は、定義される工程のいずれかの前に、定義される工程の2つの間に、または定義される工程すべての後に実施される、1つまたはそれ以上の他の工程を含み得る(文脈がそれらの可能性を排除する場合を除いて)。
【0302】
本開示のより良好な理解を容易にするために、特定の実施形態の以下の実施例を示す。以下の実施例は、本開示の全範囲を制限または規定すると読まれるべきではない。
【実施例1】
【0303】
Distributed Bio SuperHuman 2.0 Inc.ライブラリーからの抗PD-1抗体の同定
hPD-1-Fc(ヒトIgG1FcのN末端に融合されたヒトIgVドメイン;溶液中で二量体として存在する)またはhPD-1-his(6個のヒスチジンペプチドのN末端に接続されたPD-1のヒトIgVドメイン;溶液中で単量体として存在する)を、抗his抗体または抗hFc抗体でコーティングされたイムノチューブ上に固定化した。ビオチン標識hPD-1-hisをストレプトアビジンがコンジュゲートされた磁性ビーズによって捕捉した。ファージライブラリーを3% PBSミルクでブロッキングし、抗原でコーティングされたチューブに添加するか、または抗原でコーティングされたビーズと混合し、室温で0.5~1時間インキュベートして、ファージが固定化抗原に結合することを可能にした。結合していないファージを洗浄除去し、一方で結合しているファージをトリエチルアミン(pH>11)を用いて溶出した。中和されたファージを使用して、対数期の大腸菌に感染させ、これを30℃で一晩増殖させた。回収した細菌を使用して、次のラウンドのパニングのためにファージを増幅させた。
【0304】
ファージライブラリーから単離された選択されたscFv抗体の重および軽鎖可変ドメインを、PCRによって増幅させ、エフェクター機能が除去されている改変ヒトIgG1定常ドメインを含有する哺乳動物発現ベクター中に挿入した。HEK293細胞において全長IgG抗体を発現させ、プロテインAによって精製した。精製された抗19B6、19B10、23A8、23H9、24H9および23A11(配列番号1~48、表25を参照されたい)を、結合(可溶性および細胞によって発現されたPD-1)およびブロッキングアッセイ、Biacore動態解析およびSEBによって刺激されたヒトPBMCにおけるサイトカイン分泌によって特性決定した。
【0305】
より高親和性の抗体を同定するために、それぞれ、リード抗体23H9または24H9の重鎖を、R1パニングからの軽鎖混合物と組み合わせることによって、2つの軽鎖シャッフリングライブラリーを構築した。より制限された条件でのパニングによってより高親和性のおよび/またはより安定なバリアントを同定した。これらの成熟抗体をIgGに変換し、発現させ、精製し、再度特性決定した。CHO細胞においてより高親和性のクローンを発現させ、さらなる研究を実行するために、プロテインAおよびSE-HPLCによって精製して、より高い品質を得た。23H9の重鎖を使用する軽鎖シャッフリングによって抗体31B1、33C4、33G8、34C1(配列番号49~65、表25を参照されたい)を得た。24H9の重鎖を使用する軽鎖シャッフリングによって抗体32A11、32D11、32D2、32G6、38A10、38A11、38A4、38A6、38A8、38B1、38B10、38B2、38C11、38C6、38G11、38G9、38H3、39A3、39B11、39B3、39B6、39F11、39G5、39G8、39H11、39H2および39H7(配列番号66~138、表25を参照)を得た。
【0306】
図1は、本明細書において生成された例示的抗体の配列アラインメントを表す。表25は、Kabat CDR定義に従う選択された抗PD-1抗体の重および軽鎖可変領域ならびにCDRのアミノ酸配列識別子を示す。この実施例の方法に従って生成された例示的抗体の生物学的特性は、以下に示される実施例において詳細に説明される。
【実施例2】
【0307】
ファージディスプレイライブラリーから単離された抗体は、hPD-1に結合する
抗hPD1抗体19B6、19B10、23A8、23H9、24H9、23A11(HEK293細胞から単離された)の、hPD1に結合する能力を、一次抗体として示された抗体を使用する用量反応結合ELISAを使用して評価した。このために、高結合(Immulon 2HB)プレートを、ヒトPD-1-Fc(R&D、カタログ番号1086-PD-050)を用いて直接的にコーティングした。ビオチン標識されたhPD-1-his(Sino Biologicals、カタログ番号10377-H08H)を、1日前にプレート上にコーティングされたストレプトアビジン(Jackson 016-000-114)または抗his抗体(R&D、カタログ番号MAB050-100)によって捕捉した。抗体19B6、19B10、23A8、23H9、24H9および23A11の段階希釈を、抗原がコーティングされたプレートに添加し、室温で1~2時間インキュベートした。PBST(0.05%)を用いてプレートを3回洗浄した後、1/5000~1/10,000希釈した抗hFab-HRP抗体(Jackson 109-036-097)をプレートに添加し、これを室温で1時間インキュベートした。TMB製の基質AとBと(Fisher、カタログ番号5120-0050)の1:1希釈物を添加すること、続いて、1N H2SO4を用いて中和することによって色を発色させた。TECANプレートリーダーを使用してOD450を読み取った(表1)。GraphPad Prism8を使用して、OD450読取りの平均±S.D.を対数抗体濃度に対してプロットした。対数(アゴニスト)対反応(3パラメーター)または対数(アゴニスト)対反応-変化のある傾斜(4パラメーター)(
図2)をプロットすることによってEC50値を算出した。
図2中のデータ点は、2連の定量の平均±S.D.を表す。ヒトPD-1-Fcに結合された場合には、6種の抗体すべてが、同様のEC
50およびOD
450(10nM)値を示したが、PD-1-hisに結合された場合には、異なるEC
50およびOD
450(10nM)値を示した(表1)。抗体23A8、23H9および24H9は、他の抗体と比較して、hPD-1-hisに優れた結合を示した(
図2)。PD-1-hisへのそれらの結合に基づいて3種のリード抗体-23A8、23H9および24H9を選択した(表1および
図2)。
【0308】
【実施例3】
【0309】
ファージディスプレイライブラリーから単離された抗体は、hPD-1/hPD-L1相互作用をブロッキングする。抗hPD1抗体19B6、19B10、23A8、23H9、24H9、23A11(HEK293細胞から単離された)の、hPD-1/hPD-L1相互作用をブロッキングする能力を調べるために、高結合(Immulon 2HB)プレートを、それぞれヒトPD-L1-Fc(R&D、カタログ番号156-B7-100)またはPD-L2-Fc(R&D、カタログ番号1224_PL)を用いてコーティングし、3% PBSミルクを用いてブロッキングした。抗体19B6、19B10、23A8、23H9、24H9および23A11の段階希釈を、0.5μg/ml(最終濃度)のビオチン標識されたhPD-1-Fcと混合し、室温で1時間インキュベートした。混合物をPD-L1-FcまたはPD-L2-Fcでコーティングされたプレートに移し、室温でさらに1~2時間インキュベートした。プレートをPBST(0.05%)を用いて3回洗浄した後、プレートに1/5000~1/10,000希釈されたストレプトアビジン-HRP(Thermofisher、カタログ番号21140)を添加し、これを室温で約1時間インキュベートした。TMB製の基質AとBとの1:1希釈物を添加すること、続いて、1N H2SO4を用いて中和することによって色を発色させた。TECANプレートリーダーを使用してOD450を読み取った(表2)。GraphPad Prism8を使用して、OD読取りの平均±S.D.を対数抗体濃度に対してプロットした。対数(アゴニスト)対反応(3パラメーター)または対数(アゴニスト)対-反応変化のある傾斜(4パラメーター)を分析することによってEC50値を算出した。2連の定量のデータ点は、平均±S.D.である(
図3)。6種の抗体はすべて、ヒトPD-L1へのhPD-1-Fc結合をブロッキングし、異なるIC50値を有するとわかった(表2および
図3)。6種の抗体はすべて、hPD-Fcに対して極めて類似した親和性を有する。しかし、抗体23A8、23H9および24H9は、他の抗体と比較して、hPD-1-hisに対して優れたブロッキング活性を示した(表2および
図3)。3種のリードクローン23A8、23H9および24H9は、それぞれ30および3.3nMの抗体の存在下で>93%の阻害および≧70%の阻害を示した(表2および
図3)。
【0310】
【実施例4】
【0311】
ファージディスプレイライブラリーから単離された抗体は、ヒトPD-1を発現する細胞に結合する
抗PD-1抗体の、ヒトPD-1を過剰発現するHEK293およびJurkat細胞への結合:細胞を、10%熱不活性ウシ胎児血清(FBS)を補給した、グルタミンを含むIMDM培地で培養した。細胞をまず、示された抗PD-1抗体とともにインキュベートし、続いて、PE-抗ヒトIgG1-Fc(R-フィコエリトリンがコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG:Jackson ImmunoResearchカタログ番号109-116-098)とともにインキュベートした。フローサイトメトリーGuava EasyCyte(商標)HTサンプリングフローサイトメーター(EMD Millipore)を使用して、hPD-1に結合する抗体を決定した。
図4中のデータ点は、2連の定量の平均±S.D.を表す。抗体23A8、23H9および19B10は、 HEK293細胞に対して最強の結合を示し、抗体23A8、24H9および19B10は、最高平均蛍光強度(MFI)を示した(表4および
図4)。
【0312】
抗PD-1抗体の、SEB活性化ヒトPBMCへの結合:製造業者の使用説明書を使用してHistopaque-1077(Sigma)を使用して、LeukoPak(単球、リンパ球、血小板、血漿および赤血球を含む高濃度の血液細胞を含有する濃縮白血球アフェレーシス)からPBMCを単離した。PBMCを、10% FBS(GE Healthcare HyClone)を補給したIMDM(Gibco、Life Technologies)を含有する12ウェルプレート中で2×10
6個/mLで培養し、1μg/mLのSEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB(Staphylococcal enterotoxin B)、Sigma)によって3~4日間活性化した。活性化されたPBMCをまず、示された抗PD-1抗体とともにインキュベートし、続いて、PE-抗ヒトIgG1-Fc(R-フィコエリトリンがコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG:Jackson ImmunoResearchカタログ番号109-116-098)と、抗ヒトCD4-APC(eBioscience clone RPA-T4カタログ番号17-0049-42)または抗ヒトCD8-APC(eBioscience clone RPA-T8カタログ番号17-0088-42)のいずれかの組合せとともにインキュベートした。細胞上に発現されたPD-1に結合する抗体を、Guava EasyCyte(商標)HTサンプリングフローサイトメーター(EMD Millipore)を使用して評価した。データ点は2連の定量の平均±S.D.を算出することによって生成した(表3および
図4)。抗体19B6、23A8、23H9および24H9は、試験した抗体の間PBMCへの結合について最高MFIおよび最低EC50を示し、さらなる特性決定のために選択した(表3および
図4)。
【0313】
【実施例5】
【0314】
ファージディスプレイライブラリーから単離された抗体は、細胞間PD-1/PD-L1相互作用を撹乱する
選択された抗PD-1抗体の、PD-1を発現する細胞のPD-L1を発現する細胞への結合を撹乱する能力を評価するために、Promega PD-1/PD-L1遮断バイオアッセイを使用した。このアッセイは、2種の遺伝子操作された細胞株、PD-1エフェクター細胞およびPD-L1 aAPC/CHO-K1細胞からなる。同時培養すると、PD-1/PD-L1相互作用がTCR媒介性発光を阻害する。PD-1/PD-L1相互作用が撹乱されると、TCR活性化が発光を誘導し(NFAT経路の活性化によって)、これをBio-Glo(商標)試薬の添加およびルミノメーターを用いる定量化によって検出できる。
【0315】
実験は、製造業者の使用説明書に従って実施した。手短には、PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞をプレーティングし、16~20時間インキュベートし、その後、漸増濃度の抗PD-1抗体およびPD-1エフェクター細胞を添加した。37℃で6時間のインキュベーション後、Bio-Glo(商標)試薬を添加し、TECANプレートリーダーを使用して発光(相対光単位、RLUとして記録される)を測定した。誘導倍数を、RLU(誘導されたもの-バックグラウンド)/RLU(抗体なし対照-バックグラウンド)によって算出した。データ点は、2連の定量の平均±S.D.として表されている(
図5)。抗体19B6、23A8、23H9および24H9は、hPD-1/hPD-L1相互作用をブロッキングし、異なるEC50および誘導倍数を有していた(表4および
図5)。
【0316】
【0317】
軽鎖シャッフリングのために抗体23H9および24H9を選択し、23H9または24H9の重鎖をそれぞれ、軽鎖のライブラリーと対形成した。抗体31B1、33C4、33G8、34C1(配列番号49~65、表25を参照されたい)が、23H9の重鎖を使用する軽鎖シャッフリングによって得られた。抗体32A11、32D11、32D2、32G6、38A10、38A11、38A4、38A6、38A8、38B1、38B10、38B2、38C11、38C6、38G11、38G9、38H3、39A3、39B11、39B3、39B6、39F11、39G5、39G8、39H11、39H2および39H7(配列番号66~138、表25を参照されたい)が、24H9の重鎖を使用する軽鎖シャッフリングによって得られた。
【実施例6】
【0318】
抗hPD-1抗体23H9およびその誘導体は、hPD-1に結合し、hPD-1/hPD-L1相互作用をブロッキングする
抗hPD1抗体23H9およびその誘導体31B1、33C4、33G8および34C1の、hPD1に結合し、hPD-1/hPD-L1相互作用をブロッキングする能力を、実施例2および3にそれぞれ記載されたプロトコールを使用して決定した。親抗体23H9およびその誘導体は、hPD-1-Fcおよびストレプトアビジンによって捕捉されたビオチン-hPD-1-hisへの結合において有意差を示さなかった(表5および
図6A)。しかし、すべての誘導体は、抗hisによって捕捉されたhPD-1-hisへの結合において、およびhPD-1-F/hPD-L1-Fcの相互作用のブロッキングにおいて、その親23H9よりも強力であった(表5および
図6B)。2つのクローン(31B1および33C4)をさらなる特性決定のために選択した(表5)。
【0319】
【実施例7】
【0320】
抗hPD-1抗体24H9およびその誘導体は、hPD-1に結合し、hPD-1/hPD-L1相互作用をブロッキングする
抗hPD1抗体24H9およびその誘導体32A11、32D2、32D11、38A6、38A10、38A11、38B2、38C11、39B3、39B11、39G8および38H11の、hPD1に結合し、hPD-1/hPD-L1相互作用をブロッキングする能力を、実施例2および3にそれぞれ記載されたプロトコールを使用して決定した。親抗体24H9およびその誘導体は、ストレプトアビジンによって捕捉されたhPD-1-FcおよびhPD-1-hisへの結合において有意差を示さなかった(
図7)。しかし、すべての誘導体は、抗hisによって捕捉されたhPD-1-hisへの結合およびhPD-1-Fc-hPD-L1-Fcの相互作用のブロッキングにおいて親24H9よりも強力であるとわかった(
図7)。
【0321】
2つのクローン(38A6および38B2)をさらなる特性決定のために選んだ(表6)。
【0322】
【実施例8】
【0323】
23H9および24H9誘導体の結合プロファイルは、これらの抗体が異なる結合エピトープに結合することを示す
23H9、31B1、33C4、24H9、38A6および38B2を使用する用量反応結合アッセイを、実施例4に開示されるプロトコールに従って実施した。結果は、
図8に示されている。23H9誘導体および24H9誘導体は、その親抗体よりもPD-1発現細胞への結合においてより強力であるとわかった(表7)。さらに、23H9誘導体および24H9誘導体は、異なる結合プロファイルを示し、それらが異なる結合エピトープに結合することを示した(
図8)。
【0324】
【実施例9】
【0325】
抗体23H9、24H9およびその誘導体は、細胞間PD-1/PD-L1相互作用を撹乱する
PD-1遮断バイオアッセイを、抗体23H9、31B1、33C4、24H9、38A6および38B2を使用し、実施例5に概説されたプロトコールに従って実施した。すべての誘導体が、hPD-1-hPD-L1相互作用のブロッキングにおいて、その親抗体23H9および24H9よりも強力であるとわかった(
図9)。38B2および31B1は、試験した6種の抗体の間で最低EC50および最大誘導倍数を示すとわかった(表8および
図9)。
【0326】
【実施例10】
【0327】
SEB活性化PBMCにおけるサイトカイン産生に対する抗PD-1抗体の効果
ドナーFA由来のSEB活性化PBMCにおける38A6、38B2、31B1および33C4を使用するサイトカイン産生に対する抗PD-1抗体の効果を、培養培地においてPBMCによって放出されたサイトカインの量を測定することによって評価した。Histopaque-1077(Sigma)を製造業者の使用説明書によって使用して、LeukoPak(単球、リンパ球、血小板、血漿および赤血球を含む高濃度の血液細胞を含有する濃縮白血球アフェレーシス)からPBMCを単離した。PBMCを、10% FBS(GE Healthcare HyClone)を補給したIMDM(Gibco、Life Technologies)を含有する96ウェルプレート中のウェルあたり1×105個で培養した。細胞を0.01μg/mLのSEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB、Sigma)によって2日間活性化した。Duoset ELISAキット(R&D Systems)を製造業者の使用説明書によって使用するIL-2の測定のために上清を収集した(
図10A)。
【0328】
実験を反復して、ドナーEA由来のPBMCを使用して抗体23H9、31B1、24H9および38B2のEC50値を得た(
図10B)。
【0329】
IL-2濃度は、すべての抗体の存在下で用量依存的に増大した(
図10A、10B)。IL-2濃度は、23H9誘導体31B1および24H9誘導体38B2の存在下で増大し、これは、その親抗体23H9および24H9それぞれよりも強力であるとわかった(表9および
図10B)。
【0330】
【実施例11】
【0331】
選択された23H9および24H9誘導体のBiacore解析
抗体のhPD-1-FcまたはhPD-1-hisのいずれかに対する結合動態を、Biacore T200を使用して表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した。ヒトPD-1-FcまたはPD-1-hisタンパク質を、標準アミンカップリング化学を使用してpH5でSeries S CM5センサーチップ上に固定化した。抗体23H9および23H9誘導体31B1、33C4ならびに24H9および24H9誘導体38A6、38B2、32D11、39G8、38A10および38A11を、ランニングバッファーとして1X HBSEPを使用して固定化表面上に1.5~100nMの範囲の濃度で30μl/分で注入した。接触時間(会合相)は3分とした。解離時間は6~10分とした。30秒間30μl/分の流速で20mM HClの注入を用いて、各結合サイクル後に再生を実施した。各濃度でセンサーグラムを得、導かれた曲線をBiaevaluationソフトウェアを使用して1:1ラングミュア結合モデルにフィッティングした。誘導体31B1および33C4は、hPD-1-Fcとのその結合において親23H9より強力であるとわかった(表10)。24H9のすべての誘導体は、hPD-1-hisおよびhPD-1-Fcへのその結合において親抗体24H9よりも強力であるとわかった。
【0332】
【実施例12】
【0333】
示差走査熱量計(DSC)による選択された23H9および24H9誘導体の熱安定性測定
WuXi BiologicsによってWuXiの哺乳動物発現ベクターおよびCHOノックアウト細胞株を使用することによって、選択された23H9および24H9誘導体、31B1、33C4、38A6および38B2をクローニングし、発現させた。すべての抗体を、プロテインAおよびSEC-HPLCを使用して精製した。プロテインAおよびSEC-HPLC精製後に20mlの培養物から2.5mgより多い精製抗体が得られた。すべての抗体の単量体パーセンテージは、1.0EU/mgより低いエンドトキシンレベルを用いて96%を上回っていた。示差走査熱量測定(DSC)を使用して、4つの抗体の安定性を決定した。Malven DSCシステムを使用してDSC分析を実施した。タンパク質試料をまず、分析の前に製剤化バッファーを用いて1mg/mLに希釈した。400μlのそれぞれの製剤化バッファーを、参照として96ウェルプレートに添加し、400μLのタンパク質試料を添加した。試料を、キャピラリーDSCシステムにおいて90℃/時間の加熱速度で10℃から100℃に加熱した。供給業者のソフトウェアを使用してDSC結果(Tm開始およびTm値)を分析した。31B1、33C4、38A6および38B2の最低熱転移中間点(Tm1)は、それぞれ70.5、74.0、71.0および71.9℃であった(
図11A)。すべての抗体の単量体パーセンテージは、1.0EU/mgよりも低いエンドトキシンレベルを用いて96%を上回っていた(表11)。33C4および38B2は、試験されたすべての抗体のうち最も熱安定性であるとわかった(表11)。
【0334】
【実施例13】
【0335】
選択された23H9および24H9誘導体は、hPD-1に結合し、hPD-1/hPD-L1およびhPD-1/hPD-L2相互作用をブロッキングする
それぞれ実施例2および3において概説されたプロトコールを使用して、一過性CHOk細胞から単離された抗体31B1、33C4、38A6、38B2を使用して、結合およびブロッキングELISAを実施した。結合ELISAを使用する抗体の比較によって、hPD-1-Fc、ストレプトアビジンによって捕捉されたビオチン標識hPD-1hisおよびプレートに直接的に結合された抗his 抗体によって捕捉されたhPD-1-hisへの結合において誘導体間で有意差は示されなかった(
図12A~C)。しかし、38B2および38A6(両方とも24H9誘導体)のEC50は、31B2および33C4(両方とも23H9誘導体)よりも低く、両対照よりも優れていた(表12および
図12A~C)。
【0336】
ブロッキングELISAを使用する抗体の比較によって、hPD-1/hPD-1およびhPD-1/hPD-L2相互作用のブロッキングにおいて誘導体間に有意差は示されなかった(
図12D~E)。しかし、結合ELISAと同様に、抗体38A6および38B2(両方とも24H9誘導体)は、特に、hPD-1へのhPD-L2結合の阻害について31B2および33C4(両方とも23H9誘導体)よりも強力であるとわかった(表13および
図12D~E)。
【0337】
【0338】
【実施例14】
【0339】
33B1、33C4、38A6および38B2を使用する用量反応結合アッセイ
実施例4において概説されたプロトコールを使用し、抗体33B1、33C4(両方とも23H9誘導体)、38A6および38B2(両方とも24H9誘導体)を使用して、用量反応結合アッセイを実施した。
【0340】
用量反応結合アッセイは、抗体の、hPD-1がトランスフェクトされたHEK-293およびJurkat細胞ならびにSEB活性化PBMCへの結合において、同一の親抗体に由来する2種の誘導体間で差を示さなかった(表14および
図13)。しかし、異なる親抗体に由来する誘導体は、異なる細胞株への結合の差を示し、23H9誘導体および24H9誘導体が異なる結合エピトープを有することを示唆する(表14および
図13)。
【0341】
【実施例15】
【0342】
選択された23H9および24H9誘導体は、高親和性でhPD-1に結合する
選択された抗体の、hPD-1 hisおよびhPD-1Fcへの結合を、SPRによって決定した。31B1、33C4、38A6および38B2のBiacore解析を、実施例11に記載されたプロトコールを使用して実施した。4種の抗体すべてが、hPD-1-FcおよびhPD-1-hisの両方に対して高親和性を有するとわかった(表15および
図14)。しかし、23H9の2種の誘導体の間で、31B1は、PD-1-FcおよびPD-1-hisへの両結合において33C4よりも強力であるとわかった(表15)。24H9の2種の間で、38B2は、hPD-1-Fcへの結合において38A6よりもわずかにより強力であるとわかり、hPD-1-hisへの結合において有意差を示さなかった。31B1および38B2の両方とも、2種の対照よりも優れているとわかった(表15)。
【0343】
【実施例16】
【0344】
抗体31B1および38B2は、細胞間PD-1/PD-L1相互作用31B1および38B2を撹乱する
31B1および38B2の、PD-1を発現する細胞のPD-L1を発現する細胞への結合を撹乱する能力を評価するために、Promega PD-1/PD-L1遮断バイオアッセイを、実施例5において記載されたプロトコールを使用して実施した。31B1および38B2の間でEC50および誘導倍数において有意差は観察されなかった(
図15)。31B1および38B2の両方とも、対照B(商品名オプジーボで販売される、ニボルマブ)に対して優れており、対照M(商品名キイトルーダで販売される、ペムブロリズマブ)に対して同様であるとわかった(表16)。
【0345】
【実施例17】
【0346】
SEB活性化されたPBMCにおけるサイトカイン産生に対する31B1および38B2の効果
SEB活性化PBMCにおけるサイトカイン産生に対する31B1および38B2の効果を、実施例4において概説されたプロトコールを使用して決定した。38B2は、31B1および試験した2種の対照抗体よりも強力であるとわかった(表17および
図16)。
【0347】
【実施例18】
【0348】
Distributed Bio SuperHuman 2.0 Inc.ライブラリーからのヒトおよびマウスと交差反応する抗体の単離
マウスおよびヒトPD-1の両方に結合するPD-1抗体を、実施例1において概説されたプロトコールを使用し、mPD-1-Fc(ヒトIgG1FcのN末端に融合するマウスIgVドメイン;溶液中で二量体として存在する)またはmPD-1-his(6個のヒスチジンのN末端に接続されたPD-1のマウスIgVドメイン;溶液中で単量体として存在する)を使用して単離した。
【0349】
R3A9のVH鎖を使用する軽対シャッフリングによる抗mPD-1抗体R3A9(配列番号139~146)の誘導体。R3A9およびその誘導体(例えば、配列番号147~167を参照されたい)を選択して、さらに開発した。WuXi BiologicsによってWuxiの哺乳動物発現ベクターおよびCHOノックアウト細胞株を使用して、抗体をクローニングし、発現させた。抗体をプロテインAおよびSEC-HPLCによって精製した。プロテインA精製後に20mlの培養物から2.5mgより多い精製抗体が得られた。抗体をSEC-HPLCによってさらに精製した。
【0350】
この実施例の方法に従って生成された選択された抗体の生物学的特性は、以下に示される実施例において詳述される。
図1および表25は、選択された抗mPD-1抗体の重および軽鎖可変領域およびCDRのアミノ酸配列を提供する(Kabat番号付け)。
【実施例19】
【0351】
抗mPD-1抗体R3A9およびその誘導体は、mPD-1に結合し、mPD-1/mPD-L1相互作用をブロッキングする
実施例2および3において概説されたようなプロトコールを使用し、R3A9およびその誘導体を使用して、用量反応結合およびブロッキングELISAを実施した。抗体の、mPD-1を発現する細胞への結合は、実施例4に記載されるように実施した。細胞間PD-1/PD-L1相互作用の遮断は、実施例5において記載されたPromegaバイオアッセイを使用して調べた。結果は、
図17に示されている。
【0352】
R3A9誘導体m3A7は、可溶性の細胞によって発現されたmPD-1への結合およびmPD-1/mPD-L1相互作用のブロッキングの両方において親R3A9抗体よりも強力であるとわかった(表18)。
【0353】
【実施例20】
【0354】
R3A9誘導体m2C1、m2A1、m4D1およびm3A7は、ヒトおよびマウスPD-1に結合する
それぞれ実施例2および3において概説されたプロトコールを使用して、抗体について用量反応結合およびブロッキングELISAを実施した。実験は、すべてのR3A9誘導体がhPD-1およびmPD-1の両方に強力に結合し(
図18A~C)、hPD-L1-hPD-1およびmPD-L1/mPD-1相互作用をブロッキングする(
図18D~E)と示した。表19は、試験した抗体のEC50/IC50データを提供する。
【0355】
【実施例21】
【0356】
R3A9は、ヒトまたはマウスPD-1を発現する細胞に結合する
R3A9およびそのR3A9誘導体m2A1、m2C1、m4D1、m3A7の、PBMC細胞への結合を、実施例4において概説されたプロトコールを使用して試験した。さらに、実施例11において提供されたプロトコールを使用して、この実施例において開示されたすべての抗体でBiacore解析を実施した。
【0357】
3種の誘導体m4d1、m2A1およびm3C1のみが、細胞で発現されたヒトおよびマウスPD-1の両方に結合するとわかった(表21および
図19)。細胞結合(表20)およびBiacore解析(表20)に基づいて、m4D1は、試験した他の2種の抗体(表20および
図19)と比較して結合特性の改善を示すとわかった。
【0358】
【0359】
【実施例22】
【0360】
m4D1を、38B2およびm3A7と比較するPromega(h/m)PD-1/(h/m)PD-L1遮断バイオアッセイ
実施例4において概説されたプロトコールを使用して、Promega遮断バイオアッセイを実施して、m4D1、m3A7および38B2の、細胞間PD-1/PD-L1相互作用を撹乱する効力を比較した。結果は、
図20に表されている。
【0361】
m4D1は、hPD-1/PD-L1およびmPD-1/mPD-L1相互作用の両方をブロッキングするとわかった。さらに、m4D1は、mPD-1/mPD-L1遮断アッセイにおいてm3A7と同程度に強力であり、効力が38B2の3分の1であるとわかった(
図20)。
【実施例23】
【0362】
抗mPD1-または抗hPD-1抗体、IL-15およびIL-15Rα sushiドメインを含む融合タンパク質
抗体m3A7(m3A7/IL-15と呼ばれる)を含む抗mPD-1融合抗体を、IL-15Rαのsushi-ドメインおよびIL-15ポリペプチドを、抗体のC末端またはN末端のいずれかに付加することによって操作した。IL-15Rα sushiドメインの、ヒンジ領域の部分、リンカー1およびIL-15とともの融合物は、「SD15」と呼ばれる。SD15ドメインの一例については、表25中の配列番号174、太字で強調されたSD15ドメインを参照されたい。
【0363】
融合タンパク質の第1のバージョンでは、SD15ドメインを、1つのみのIgG1 CH1-CH2-CH3ドメインのC末端に融合した(「1C-m3A7/IL-15」と表される)。
【0364】
第2のバージョンでは、SD15ドメインを、両方のIgG1 CH1-CH2-CH3ドメインのC末端に融合した(「2C-m3A7/IL-15」と表される)。
【0365】
融合タンパク質の第3のバージョンでは、SD15ドメインを、第2のリンカーを介して1つのみのVHドメインのN末端に連結した(「1N-m3A7/IL-15」と表される)。
【0366】
融合タンパク質の第4のバージョンでは、SD15ドメインを、第2のリンカーを介して両方のVHドメインのN末端に連結した(「2N-m3A7/IL-15」と表される)。
【0367】
上記の第4の構築物では、軽鎖は、従来の抗体のものであった。補体結合および固定ならびにFc-γ依存性抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を排除するために、アミノ酸置換L234A、L235A、P329G(LALA-PG)を両方のCH2ドメインに導入した。
【0368】
さらに、ヘテロ二量体融合物については、突然変異を重鎖の定常領域中に導入し、アミノ酸置換は、以下の群:(1)CH3-1:T366Y(「ノブ」);CH3-2:Y407T(「ホール」)、(2)CH3-1:S354C、T366W(「ノブ」);CH3-2:Y349C、T366S、L368A、Y407V(「ホール」)および(3)CH3-1:T350V、L351Y、F405A、Y407V(「ノブ」);CH3-2:T350V、T366L、K392L、T394W(「ホール」)のうち1つから選択した。
【0369】
融合抗体は、CHOk1細胞において一過性に発現させた。プロテインAおよびSEC-HPLCを用いる精製後に少なくとも95%の純度の単量体が得られた。抗体38B2を含む抗hPD-1/IL-15融合抗体(本明細書において38B2-hSD15または38B2/IL-15として記載される)の4つの対応するバージョン-1C-38B2-hSD15、2C-38B2-hSD15、1N-38B2-hSD15、2N_-38B2-hSD15-を、同一手順に従って作出した。IL-15配列の65位にアミノ酸置換を有する1N_38B2-SD15の3つの対応するバージョン、65A_1N_38B2-hSD15、65D_1N_38B2-hSd15および65S_1N_38B2-hSD15を同一手順を使用して作出した。
【0370】
対照融合抗体(DP47/IL-15)の4つの対応するバージョン、1C-DP47/IL-15、2C-DP47/IL-15、1N-DP47/IL-15、2N-DP47/IL-15を、同一手順に従って作出した。DP47を非標的化対照抗体として使用した。抗体配向を示す模式図が
図21に示されている。
【実施例24】
【0371】
mPD-1/IL-15融合分子は、マウスPD-1に結合し、mPD-1とmPD-L1との間の相互作用をブロッキングする
融合タンパク質1N-m3A7/IL-15、1C-m3A7/IL-15、2N-m3A7/IL-15および2C-m3A7/IL-15の、mPD-1に結合し、mPD-1とmPD-L1との間の相互作用をブロッキングする能力を、それぞれ実施例2および3において記載されたプロトコールに従って評価した。
【0372】
4つの異なる分子の間で、結合およびブロッキング能に有意差は観察されなかった(表22および
図22)。
【0373】
【実施例25】
【0374】
マウスリンパ球CTLL2およびC57BL6脾臓細胞のIL-2依存性細胞増殖刺激に対するmPD-1/IL-15融合分子の効果
CTLL2培養および増殖アッセイ:マウスTリンパ球細胞株CTLL2を、10%熱不活化FBSおよび10%IL-2サプリメント(ConAを含むT細胞培養サプリメント、Corning)を補給したIMDM培地で培養した。この実施例では以下の融合タンパク質を試験した:1N-m3A7/IL-15、2N-m3A7/IL-15、1C-m3A7/IL-15および2C-m3A7/IL-15。1N-DP47/IL-15、2N-DP47/IL-15、1C-DP47/IL-15、2C-DP47/IL-15およびm3A7を対照として使用した。
【0375】
抗体または融合タンパク質の段階希釈を96ウェルプレートに添加し、次いで、細胞を、10%熱不活化FBSを補給したIMDM培地においてウェルあたり2.5×104個で播種した。細胞を37℃で3~5日間インキュベートし、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存力アッセイキット(Promega)を使用して細胞増殖を検出した。
【0376】
マウス脾臓細胞単離および増殖アッセイ:C57BL/6マウス脾臓を、70μmのセルストレーナーによってIMDM培地中でホモジナイズした。1×RBC溶解バッファー(eBioscience)を脾臓細胞に添加し、時折振盪しながら3分間静置し、次いで、5倍体積のPBSバッファーで希釈した。PBSバッファーで洗浄した後、直ちに増殖アッセイのために、10%熱不活化FBSを補給した完全IMDM培地で脾細胞細胞懸濁液を調製した。この実施例では以下の融合タンパク質を試験した:1N-m3A7/IL-15、2N-m3A7/IL-15、1C-m3A7/IL-15および2C-m3A7/IL-15。1N-DP47/IL-15、2N-DP47/IL-15、1C-DP47/IL-15および2C-DP47/IL-15を対照として使用した。
【0377】
融合タンパク質および対照の段階希釈を96ウェルプレートに添加し、次いで、細胞を、ウェルあたり1×105個で播種した。細胞を37℃で5~7日間培養し、フローサイトメトリー分析のために収集した。細胞を洗浄し、固定可能生存性色素Fluor780(eBioscience)を用いて4℃で30分間染色した。洗浄後、細胞を固定し、Foxp3転写因子染色バッファーセット(eBioscience)を用いて透過処理し、続いて、eBioscience製のCD3(145-2C11)-PE、CD4(RM4-5)-APC、CD8α-(53-6.7)-PECy7およびKi67(SolA15)-FITCを用いて染色した。増殖性CD4(CD4+Ki67+)またはCD8(CD8+Ki67+)T細胞集団を分析し、GuavaフローサイトメトリーEasyCyteシステムを使用して規定した。
【0378】
すべてのmPD-1/IL-15融合構築物が、IL-2依存性マウスリンパ球CTLL2(
図23A)およびC57BL6脾臓細胞増殖(
図23B)の両方を刺激した。T細胞集団の分析によって、CD8+T細胞集団のパーセンテージのみが増大し、一方CD4
+T細胞の集団パーセンテージは、影響を受けないままであったことが示された(
図23C)。試験した4種の構築物のうち、1N-m3A7/IL-15が、IL-2依存性マウスリンパ球および脾臓細胞増殖およびT細胞増殖に対して最小の刺激効果を示し、2C-m3A7/IL-15は、細胞増殖およびT細胞増殖に対して最も刺激効果を示した。
【実施例26】
【0379】
PD-1/PD-L1ルイス肺がんモデルにおけるmPD-1/IL-15融合分子の有効性研究
融合タンパク質中のIL-15/IL-15Rα sushiドメインの配向または数が、融合分子の、腫瘍成長を低減する能力に対して何らかの効果を有するか否かを決定するために、LL/2マウス肺がん同系モデルにおけるin vivo有効性研究を、m3A7/IL-15/IL-15Rα sushi融合タンパク質を使用してCrown Bioscience Inc.(太倉)によって実施した。この実施例では、構築物1N-m3A7/IL-15および1C-m3A7/IL-15を試験し、1N-DP47/IL-15および1C-DP47/IL-15を対照として使用した。
【0380】
C57BL/6株のマウス、8~10週齢および16.5~20.7gの体重を、Shanghai Lingchang Biotechnology Co., Ltd(中国、上海)から購入した。LL/2腫瘍細胞を、10%ウシ胎児血清を補給したDMEM培地を用い、5% CO2の存在下、37℃でin vitroで維持した。細胞を対数増殖期で回収し、カウントし、その後、腫瘍接種した。この実施例において使用した融合タンパク質は、WuXi Biologicsによって産生され、少なくとも95%の純度を示し、95%より多い単量体を含有していた。
【0381】
各マウスの右後側腹部領域に、腫瘍発生のために0.1mlのPBS中のLL/2腫瘍細胞(3×105個)を皮下接種した。無作為化の日付および第1の投薬日を0日目と示した。平均腫瘍サイズがおよそ100mm3に到達したときに、無作為化プロセスを開始した。マウスを異なる研究群に無作為に割り当てた。無作為化は、マルチタスク法(StudyDirector(商標)ソフトウェア、バージョン3.1.399.19)無作為化ブロックデザインを使用し、「マッチした分布(matched distribution)」法に基づいて実施した。
【0382】
融合タンパク質を示された用量に従って希釈し、10μl/kgの融合タンパク質を、毎週1回、3週間マウスに静脈内注射した。無作為化後、マウスを週に2回秤量した。腫瘍体積をノギスを使用して2つの寸法で週に2回測定し、体積は式:“V=(L×W×W)/2(式中、Vは、腫瘍体積を表し、Lは、腫瘍の長さ(最長腫瘍寸法)を表し、Wは、腫瘍の幅(Lに対して垂直な最長腫瘍寸法)を表す)を使用してmm3で表した。投薬ならびに腫瘍および体重測定は、Laminar Flow Cabinet中で実施した。体重および腫瘍体積は、StudyDirector(商標)ソフトウェア(バージョン3.1.399.19)を使用することによって測定した。
【0383】
融合タンパク質の抗腫瘍活性を決定するために、腫瘍成長阻害(TGI)パーセンテージは、以下の式TGI(%)=100×(1-T/C)(式中、TおよびCは、融合タンパク質および対照各々のそれぞれ処置群および対照群の平均腫瘍体積(または体重)を表す)を使用して毎日測定し、記録した。
【0384】
試験した融合タンパク質のうち、1N-m3A7/IL-15は、腫瘍成長に対して最も阻害効果を示した(表23および
図24)。
【0385】
まとめると、実施例25および26から得られたデータは、末梢T細胞のより低い刺激のために、C末端融合抗体と比較して、N末端融合抗体は、毒性をさらに低減することを示唆する。データは、N末端融合分子が、cis提示のために、末梢T細胞に対してと比較して腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)の刺激において特に有効であることをさらに示す;N末端融合分子におけるIL-2Rβγ結合の低減によって、PD-1/IL-15が、TILに選択的に結合し、したがって、その毒性を低減することが可能となる。最後に、データは、1N-融合分子が2N-融合分子よりも優れていることを示す。
【0386】
【実施例27】
【0387】
hPD-1/IL-15融合タンパク質は、そのPD-1/PD-L1阻害機能を保持していた
Promega遮断バイオアッセイを、融合タンパク質1C-38B2-hSD15、2C-38B2-hSD15、1N-38B2-hSD15、2N-38B2-hSD15、1N-65D-hSD15-38B2および1N-65S-hSD15-38B2を使用して実施例5に記載されたように実施した。すべての融合分子は、38B2と比較してPD-1/PD-L1阻害機能を保持した(
図26)。1N-融合物は、最もPD-1/PD-L1阻害機能を提供した。
【実施例28】
【0388】
hPD-1/IL-15融合タンパク質は、IL-15活性を刺激する
ExaM07e培養および増殖アッセイ:融合タンパク質の、in vitroでIL-15を刺激する能力を決定するために、ヒト急性巨核芽球白血病M07e細胞株を、15%熱不活化FBSおよび20%の細胞株5637の条件付け培地を補給したIMDM培地で培養した。
【0389】
抗体または融合タンパク質の段階希釈を、96ウェルプレートに添加し、次いで、細胞を10%熱不活化FBSを補給したIMDM培地でウェルあたり2.5×104個で播種した。細胞を37℃で3~5日間インキュベートし、細胞増殖をCellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存力アッセイキット(Promega)を使用して検出した。
【0390】
すべての試験した融合タンパク質構築物がIL-15活性を刺激したが、1N融合物は、1C、2Cまたは2N構築物と比較して、刺激する能力の低下を示した(
図27)。
【実施例29】
【0391】
CT26同質遺伝子モデルにおけるhPD-L1/SD15融合分子の有効性研究
IL-15/IL-15Rα sushiドメインの配向または数が、融合分子の、腫瘍成長を阻害する能力に対して何らかの効果を有するか否かを決定するために、1N-SD15-D7A8、2N-SD15-D7A8、1C-SD15-D7A8および2C-SD15-D7A8を使用してCT26同質遺伝子モデルにおいてin vivo有効性研究を実施した。CT26同質遺伝子モデルマウスを、融合タンパク質を用いて処置し、腫瘍発生/低減について観察した。CT26は、マウス結腸癌腫株である。
【0392】
腫瘍体積をノギスを使用して2つの寸法で週に2回測定し、体積は式:“V=(L×W×W)/2(式中、Vは、腫瘍体積を表し、Lは、腫瘍の長さ(最長腫瘍寸法)を表し、Wは、腫瘍の幅(Lに対して垂直な最長腫瘍寸法)を表す)を使用して体積をmm3で表した。投薬ならびに腫瘍および体重測定は、Laminar Flow Cabinet中で実施した。体重および腫瘍体積は、StudyDirector(商標)ソフトウェア(バージョン3.1.399.19)を使用することによって測定した。
【0393】
PD-L1/IL-15分子を用いる有効性研究の結果は、
図28に示されている。
【実施例30】
【0394】
1N-融合タンパク質中のIL-15アミノ酸置換の存在は、融合タンパク質のPD-1/PD-L1阻害機能に影響を及ぼさなかった
Promega遮断バイオアッセイ(
図26C、
図29Eおよび
図29F)およびELISA競合アッセイ(
図29Bおよび29C)は、IL-15を含む1N-融合タンパク質中のN65SまたはN65Dアミノ酸置換が、融合タンパク質の、PD-1/PD-L1またはPD-1/PD-L2相互作用を効果的に撹乱する能力に影響を及ぼさなかったことを示した。
【0395】
同様に、可溶性PD-1またはPD-1を発現する細胞への、それぞれ野生型IL-15またはIL-15 N65Sを含む1N-融合タンパク質の強力な結合において有意差は観察されなかった(
図29Aおよび29D)。
【実施例31】
【0396】
IL-15アミノ酸置換を含む1N-融合タンパク質は、in vitroで弱いIL-15刺激を示した
1N-融合タンパク質の、ヒトおよびマウス細胞においてIL-15活性を刺激する能力を調べた。N65S-1N-IL-15/38B2の存在下で、ヒト急性巨核芽球白血病細胞(M07e、
図30A、30Bおよび30C)、hPBMC(
図30D)、IL-2/IL-15依存性マウスリンパ球細胞株(CTLL2、
図31A)、マウス脾臓細胞(
図31B)は、野生型1N-IL-15/38B2の存在下よりも遅く増殖した。N65S-1N-/38B2の、hIL-2RβがトランスフェクトされたHEK293への結合は、減少した(
図30E)。
【0397】
さらに、1N-IL-15/38B2およびmut-1N-IL-15/38B2の両方とも、マウス脾臓(
図31C)およびhPBMC(
図31D)の両方におけるCD4
+T細胞よりも、CD8
+T細胞の増殖において、より良好な用量反応を誘導した。
【実施例32】
【0398】
IL-15アミノ酸置換を含む1N-融合タンパク質は、抗PD-1抗体耐性マウスモデルにおいてin vivoで強力な抗腫瘍活性を示した
それぞれ野生型IL-15、IL-15 N65SまたはIL-15 N65Dを含む1N-融合タンパク質のin vivo有効性を、キイトルーダ(抗PD-1抗体)耐性hPD-L1-CT26腫瘍を有するhPD-1/hPD-L1トランスジェニックBALB/cマウスにおいて評価した。腫瘍サイズがおよそ100mm3に到達したときに、融合抗体(週に1回)および対照(週に2回)を注射(腹腔内)した。
【0399】
1N-38B2/IL-15およびN65S-1N-38B2/IL-15の両方とも、強力な抗腫瘍活性を示した(
図32A)。N65S-1N-38B2/IL-15の抗腫瘍効力は、用量依存性であった(
図32B)。12mg/kg、QW×3週間のN65S-1N-38B2/IL-15は、腫瘍退縮を実証した(
図32Bおよび32C)。N65S-1N-38B2/IL-15を用い12mg/kgで投薬された場合に、体重減少または死亡は観察されなかったが、1N-38B2/IL-15を用い≧1mg/kgで投薬された場合に有意な体重減少および死亡が観察された(
図32Eおよび
図32E)。非標的化1N-IL-15融合物は、抗腫瘍効力を全く示さなかった。非標的化1N-IL-15融合物について≧1mg/kgが投薬された場合に有意な体重減少(
図32D)および死亡が観察された(データは示されていない)。
【0400】
IL-15 N65Sを含む1N-融合タンパク質は、IL-15 N65Dを含む1N-融合タンパク質と比較して有効性の改善を示した(
図32Iおよび32K)。
【0401】
要するに、突然変異IL-15を含む融合タンパク質は、IL-15が関連する効力および刺激を低下させ、その結果、毒性が低下し、治療的処置ウィンドウが増大した。
【実施例33】
【0402】
IL-15アミノ酸置換を含む1N-融合タンパク質は、腫瘍細胞を再負荷されたマウスにおいてin vivoで強力な抗腫瘍活性を示した
hPD-1/hPD-L1トランスジェニックマウスにおいて、それぞれIL-15 N65SまたはIL-15 N65Dを含む1N-融合タンパク質のin vivo有効性を評価した。
【0403】
0.5×106個のhPDL1/CT26をマウスの右下側腹部に皮下接種した。腫瘍サイズが約100mm3に到達したときに、マウスに12mg/kgのN65S-1N-38B2/IL-15またはN65D-1N-38B2/IL-15をそれぞれ毎週1回および毎週2回、3週間腹膜内注射した。5匹のマウス(6匹のうち)において、N65S-1N-38B2/IL-15処置について約25日で、およびN65D-1N-38B2/IL-15処置について40日で腫瘍が完全に消失した。
【0404】
88日目に、0.5×10
6個のhPDL1/CT26細胞および0.1×10
6個のCT26細胞を、それぞれ左下側腹部および左上側腹部に皮下接種した。両細胞株について最大135日目まで腫瘍成長は観察されず、融合タンパク質がマウスを腫瘍細胞を用いた再負荷から保護することを示した(
図33)。
【実施例34】
【0405】
IL-15アミノ酸置換を含む1N-融合タンパク質は、非標的化融合タンパク質と抗PD-1抗体との組合せと比較して、hPDL1-CT26腫瘍を有するhPD1/PDL1マウスにおいて抗腫瘍活性の改善を示した
0.5×106個のhPDL1/CT26細胞を、マウスの右下側腹部に皮下接種した。腫瘍サイズが約100mm3に到達したときに、マウスにそれぞれ10mg/kgの38B2、12mg/kgのN65S-1N-38B2/IL-15および10mg/kgの38B2と12mg/kgのN65S-1N-DP47/IL-15の組合せを毎週1回、3週間腹膜内注射した。組合せ処置については、2つの試験物質を1時間間隔で逐次注射した。
【0406】
以下の構築物について腫瘍成長を抑制する能力を比較した:(1)N65S-1N-38B2/IL-15融合タンパク質;(2)非標的化融合N65S-1N-DP47/IL-15;(3)抗PD-1抗体38B2と非標的化融合(すなわち、N65S-1N-DP47/IL-15)との組合せ;および(4)抗PD-1抗体38B2のみ。
【0407】
腫瘍は、組合せ群と比較してN65S-1N-38B2/IL-15群において有意により遅く成長した(
図34A)。N65S-1N-38B2/IL-15融合物群では、83%(5/6)のマウスが腫瘍を有していなかったが、一方、組合せ群では腫瘍を有さないマウスは観察されず、抗PD-1抗体38B2のみの群では1匹の腫瘍を有さないマウスが観察された(
図34B)。65S-1N-IL15/38B2融合物群については体重減少は観察されず、非標的化融合物65S-1N-IL15/DP47群については約-5%の体重減少が観察された(
図34C)。
【0408】
このデータは、N65S-1N-38B2/IL-15融合タンパク質の頑強な抗腫瘍活性を示し、その二機能性ならびにTIL上に同時発現されるPD1およびIL2Rβγ両方に結合するその能力を強調する。
【実施例35】
【0409】
抗PD-1抗体の追加の投与は、1N-融合タンパク質の抗腫瘍活性のさらなる増大につながらない
0.5×106個のhPDL1/CT26細胞を、マウスの右下側腹部に皮下接種した。腫瘍サイズが約100mm3に到達したときに、マウスに10mg/kgの38B2、12mg/kgのN65S-1N-38B2/IL-15および10mg/kgの38B2と12mg/kgのN65S-1N-38B2/IL-15の組合せを、それぞれ毎週1回、3週間腹膜内注射した。組合せ処置については、2つの試験物質をまず混合し、次いでマウスに注射した。
【0410】
以下の構築物について、腫瘍成長を抑制する能力を比較した:(1)N65S-1N-38B2/IL-15融合タンパク質;(2)抗PD-1抗体38B2とN65S-1N-38B2/IL-15融合タンパク質との組合せ;および(3)抗PD-1抗体38B2のみ。
【0411】
腫瘍は、組合せ群と比較してN65S-1N-38B2/IL-15群において有意により遅く成長した(
図35A)。N65S-1N-38B2/IL-15群では83%(5/6)のマウスが腫瘍を有していなかったが、組合せ群では腫瘍を有さないマウスは観察されず、抗体のみでは1匹の腫瘍を有さないマウスが観察された(
図35B)。体重は、
図35Cに示されている。
【0412】
このデータは、1N-融合タンパク質と抗PD-1抗体との組合せよりも、腫瘍成長の低減において1N-融合タンパク質がより有効であることを示す。
【実施例36】
【0413】
N65S-1N-38B2/IL-15融合タンパク質は、hPDL1-CT26腫瘍を有するhPD1/PDL1トランスジェニックマウスにおいて長い血清半減期を示した
hPD1/PDL1トランスジェニックBalb/cマウスに、0.1mLのPBS中のhPDL1/CT26腫瘍細胞(0.5×106個)を右下側腹部に皮下接種した。動物を無作為化し、平均腫瘍体積がおよそ83mm3に到達したときに処置を開始した。5.1mg/kg(0.35μmol/kg)の38B2または1もしくは6mg/kg(0.06または35μmol/kg)のN65S-1N-38B2/IL-15をマウスに腹膜内(IP)または静脈内(IV)投与した。投薬後、注射後0.2時間、5時間、2時間、4時間、12時間、24時間、48時間、72時間、120時間および168時間で血液を採取し、精製血清を使用して、ヒトPD1を捕捉されたタンパク質として使用し、ビオチン-IL15および抗ヒトFabを別々に使用してKD050および38B2結合を検出する伝統的なELISAによって、抗体濃度を測定した。
【0414】
N65S-1N-38B2/IL-15は、IV(
図36A)およびIP(
図36B)注射の両方において、抗体38B2と同様の血清半減期プロファイルを示し、処置後最大120時間まで用量反応を示した。
【実施例37】
【0415】
hPDL1-CT26腫瘍を有するhPDL1/PD1トランスジェニックBALB/cマウスにおける作用機序研究
0.5×10
6個のhPDL1/CT26細胞を、hPD1/PDL1トランスジェニックBALB/cマウスの右下側腹部に皮下接種した。腫瘍サイズが約175mm
3に到達したときに、(1)N65S-1N-38B2/IL-1、(2)N65S-1N-DP47/IL-15(非標的化対照)、(3)抗体38B2および(4)抗体38B2とN65S-1N-38B2/IL-15との組合せの各0.06または0.35μmol/kg用いてマウスに静脈内注射した。腫瘍サイズを、週に2回測定し、投薬後7日目にマウスを終了させた(
図37A)。すべての群から血液および流入領域リンパ節(DLN)を採取して、フローサイトメトリーを実施した。腫瘍を採取して、TIL分析を実施した(
図37B)。統計分析には一元ANOVAを使用した。有意なF-統計量(誤差分散に対する処置分散の比率)が得られた場合には、異なる群間の比較を、ゲームス・ハウエル(等分散を仮定しない)またはチューキー(等分散を仮定する)検定を用いて実施した。媒体と他の群との間の比較、*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001。エラーバーは、平均の標準誤差を表した(SEM)。
【0416】
N65S-1N-38B2/IL-15が、PD1およびIL2Rβγを発現するTILに結合し、CD8+T細胞を異なって増殖させることが示された。具体的には、腫瘍、血液および流入領域リンパ節(抗体(1)38B2、(2)PD1標的化融合タンパク質N65S-1N-38B2/IL-15、(3)非標的化融合タンパク質N65S-1N-DP47/IL-15または(4)38B2とN65S-1N-38B2/IL-15との組合せを用いて処置された)におけるCD8/CD4比率を分析すると、腫瘍ではN65S-1N-38B2/IL-15がCD8
+T細胞増殖を促進するが、血液および流入領域リンパ節では促進しないことがわかった。CD8/CD4比率は、他の処置((1)38B2、(2)非標的化融合タンパク質N65S-1N-DP47/IL-15または(3)38B2とN65S-1N-38B2/IL-15との組合せ))の結果として変化しなかった(
図37C)。
【0417】
次いで、腫瘍(抗体(1)38B2、(2)PD1標的化融合タンパク質N65S-1N-38B2/IL-15、(3)非標的化融合タンパク質N65S-1N-DP47/IL-15または(4)38B2とN65S-1N-38B2/IL-15との組合せを用いて処置した)におけるCD8およびCD4サブタイプを分析した。腫瘍においてエフェクター記憶CD8T細胞は、N65S-1N-38B2/IL-15処置サンプルについて有意に増大し、38B2処置サンプルについてはわずかに増大したことがわかった(
図37D)。異なる処置群において他のT細胞サブタイプの間では差は観察されなかった。
【実施例38】
【0418】
複数のマウス同系腫瘍モデルにおけるN65S-1N-m3A7/IL-15(代替物)有効性研究
0.1mLのPBS中の示された量の腫瘍細胞(表24)を、マウスの右側腹部に皮下接種した。動物を無作為化し、平均腫瘍体積がおよそ100mm3(75~125mm3の間)に到達したときに処置を開始した。腫瘍体積をノギスを使用して2つの寸法で週に2回測定し、体積は、式:V=(L×W×W)/2(式中、Vは、腫瘍体積であり、Lは、腫瘍の長さ(最長腫瘍寸法)であり、Wは、腫瘍の幅(Lに対して垂直な最長腫瘍寸法)である)を使用してmm3で表した。
【0419】
単一用量処置で12モデルすべてにおいて有意な抗腫瘍効力が観察された(TGI>50%)(表24)。CT26、EMT6、MC38、H22、A20およびPan02について完全奏功(腫瘍がない)が見られた(表24)。例示として示されるEMT6のデータ(
図38)。
【0420】
【0421】
【表25-1】
【表25-2】
【表25-3】
【表25-4】
【表25-5】
【表25-6】
【表25-7】
【表25-8】
【表25-9】
【表25-10】
【表25-11】
【表25-12】
【表25-13】
【表25-14】
【表25-15】
【表25-16】
【表25-17】
【表25-18】
【0422】
【0423】
【0424】
【表28-1】
【表28-2】
【表28-3】
【表28-4】
【表28-5】
【表28-6】
【配列表】