(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】作業用衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20250304BHJP
A41D 27/08 20060101ALI20250304BHJP
A41D 29/00 20060101ALN20250304BHJP
【FI】
A41D13/00 102
A41D27/08 C
A41D29/00
(21)【出願番号】P 2023135278
(22)【出願日】2023-08-23
【審査請求日】2023-08-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500390733
【氏名又は名称】住商モンブラン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100194777
【氏名又は名称】田中 憲治
(72)【発明者】
【氏名】岸田 真弓
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-020401(JP,U)
【文献】特開2023-062779(JP,A)
【文献】特開2021-130898(JP,A)
【文献】登録実用新案第3232000(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0293169(US,A1)
【文献】中国実用新案第218898474(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00
A41D 27/08
A41D 27/00
A41D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用衣服であって、
前記作業用衣服の外表面に形成された突状片と、
前記突状片の表面及び裏面に対して反転可能に設けられたテープとを有し、
前記テープを前記突状片の表面及び裏面に対して反転させ、前記テープを前記突状片の表面及び裏面のいずれか一方に配置することにより、着用者の勤務区別又は職務区別を識別
し、
前記作業用衣服は、前身頃を開閉するための左前身頃及び右前身頃を有し、
前記突状片は、前記左前身頃及び右前身頃のいずれか一方における開閉端部の上端角部に形成されている、作業用衣服。
【請求項2】
請求項
1に記載の作業用衣服であって、
前記右前身頃及び前記左前身頃のいずれか一方は、上前部であり、
前記突状片は、前記上前部における開閉端部の上端角部に形成されている、作業用衣服。
【請求項3】
作業用衣服であって、
前記作業用衣服の外表面に形成された突状片と、
前記突状片の表面及び裏面に対して反転可能に設けられたテープとを有し、
前記テープを前記突状片の表面及び裏面に対して反転させ、前記テープを前記突状片の表面及び裏面のいずれか一方に配置することにより、着用者の勤務区別又は職務区別を識別
し、
前記作業用衣服は、前記突状片の先端部を前記作業用衣服の外表面に留めるための留め具を有し、
前記留め具は、前記突状片の先端と前記テープとの間に位置付けられる、作業用衣服。
【請求項4】
請求項1
~3のいずれか1項に記載の作業用衣服であって、
前記突状片とテープとは異なる色を有する、作業用衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業、特に看護又は看護作業等をする際に着用する作業用衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、24時間体制で行われる作業等において、作業者が日勤或いは夜勤であるかを区別するために、作業者が着用する作業用衣服の一部に作業用衣服とは異なる配色をした技術が提供されている。
【0003】
特開2023-62779号公報(特許文献1)は、勤務表示用フラップ付き医療用上着を開示している。医療用上着は、ポケットとフラップとを備える。フラップは、ポケット内に収容可能である。フラップの外側の面は、上着の色とは異なる色に配色されている。フラップがポケットから引き出された際、配色が異なるフラップの外側の面が視認可能になる。これにより、昼勤、夜勤の区別やその他、勤務、非勤務の区別、或いは職務の区別が、離れていても他者から判別可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の医療用上着のようにフラップをポケットに設けることは、衣服に設けられたポケットを開閉するために広く用いられている。そのため、特許文献1の医療用上着は、フラップにより昼勤及び夜勤の区別ができるものの、場合によっては単にポケットを開閉するためのフラップが設けられていると認識されるに留まり得る。
【0006】
そこで、本開示は、昼勤及び夜勤の区別等を適切に識別することができる作業用衣服を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は次のような解決手段を講じた。すなわち、本開示に係る作業用衣服は、作業用衣服の外表面に形成されたれた突状片と、突状片の表面及び裏面に対して反転可能に設けられたテープとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る作業用衣服によれば、昼勤及び夜勤の区別等を適切に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る作業用衣服を示す正面図である。
【
図6】
図6は、変形例の作業用衣服を示す正面図である。
【
図7】
図7は、変形例の作業用衣服を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(構成1)
本開示の実施形態に係る作業用衣服は、作業用衣服の外表面に形成された突状片と、突状片の表面及び裏面に対して反転可能に設けられたテープとを有する。
【0011】
特徴的なテープを、作業用衣服の外表面に形成された突状片に反転可能に設けたことにより、昼勤及び夜勤の区別等を適切に識別することができる。
【0012】
(構成2)
構成1の作業用衣服であって、突状片とテープとは異なる色を有してよい。これにより、昼勤及び夜勤の区別等をより適切に識別することができる。
【0013】
(構成3)
構成1又は2の作業用衣服であって、前身頃を開閉するための左前身頃及び右前身頃を有してよい。突状片は、左前身頃及び右前身頃のいずれか一方における開閉端部の上端角部に形成されてよい。前身頃の上端部は、外方から視認し易い。これにより、昼勤及び夜勤の区別等をより適切に識別することができる。
【0014】
(構成4)
構成3の作業用衣服であって、右前身頃及び前記左前身頃のいずれか一方は、上前部であってよい。突状片は、上前部における開閉端部の上端角部に形成されてよい。これにより、上前部の視認し易い位置にテープを設けることができ、昼勤及び夜勤の区別等をより適切に識別することができる。
【0015】
(構成5)
構成1~4のいずれか1つの作業用衣服であって、作業用衣服は、突状片の先端部を作業用衣服の外表面に留めるための留め具を有してよい。留め具は、突状片の先端とテープとの間に位置付けられてよい。これにより、意図せずテープが反転することを抑制することができる。
【0016】
以下、本開示の作業用衣服1の実施形態について、
図1~
図7を用いて具体的に説明する。なお、図中同一及び相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0017】
作業用衣服1は、衣服、特に、医療用及び介護用等の作業を職務とする者に着用される衣服である。また、作業用衣服1は、例えば、食品工場での作業を職務とする者や所定のサービスを提供する者等、種々の作業を職務とする者により着用される衣服であってもよい。
【0018】
図1に示すように、作業用衣服1は、前身頃2、突状片3及びテープ4を有する。
【0019】
前身頃2は、右前身頃21と左前身頃22とを有する。本実施形態において、右前身頃21は、上前部である。右前身頃21の開閉端部、すなわち、右前身頃21と左前身頃22とを閉じる箇所には、一方のファスナーF(
図4を参照)が上下方向に取り付けられている。左前身頃22の開閉端部には、一方のファスナーFに対応して他方のファスナー(図示せず。)が取り付けられている。前身頃2は、一方のファスナーFと他方のファスナーとの開閉に応じて開閉することができる。
【0020】
突状片3は、本実施形態では、
図1に示すように、右前身頃21の開閉端部における上端角部に形成されている。右前身頃21と左前身頃22とを閉じた際、突状片3は、前身頃2の左衿部の一部を形成する。突状片3は、右前身頃21の一部に上方に突出して形成されている。突状片3は、その主面において先端に向かって先細り形状を有している。すなわち、突状片3は、先端に向かって徐々に幅が小さくなる。突状片3は、その主面が略四角形状となるように突出して形成されている。ただし、突状片3は、その主面が他の多角形状であってもよく、或いは、半円形状又は半楕円形状であってもよい。すなわち、突状片3は、後述するテープ4を突状片3の表面及び裏面に対して反転可能に設けることができればその形状は限定されるものではない。また、突状片3は、通常、前身頃2等と同じ布地を用いて作製されるが、本実施形態では前身頃2から突状に形成できれば、その素材は特に限定されない。なお、突状片3は、これに限られるものではなく、種々変形可能である。突状片3の変形例については後述する。
【0021】
図2に示すように、テープ4は、突状片3に設けられる。テープ4は、突状片3の突出方向に対して交差するように延びている。テープ4の両端は、突状片3の端部に固定される。例えば、
図3に示すように、突状片3は、表地31と裏地32とを有している。テープ4の両端は各々、突状片3の突出方向に対する左右端部において表地31と裏地32との間に配置することができる。表地31と裏地32とは、テープ4の左右の両端を挟み込んだ状態で縫製することができる。このように突状片3に設けられるテープ4は、作業用衣服1の前身頃2等と同じ布地を用いて作製されてもよく、他の布地、例えば、突状片3よりも伸縮性を有する布地やその表面がラミネート加工された布地を用いて作製されてもよく、或いは、樹脂素材を用いて作製されてもよい。すなわち、テープ4は、後述するように、突状片3の表面及び裏面に対して反転可能な帯状体であれば、その素材は特に限定されるものではない。
【0022】
図4に示すように、テープ4は、矢印Aに示す通り、突状片3の先端をテープ4に潜らせるようにして突状片3の表面から裏面に対して反転することができる。上述の通り、突状片3はその主面において先細り形状を有しているため、突状片3の先端をテープ4に潜らせ易くなる、すなわち、テープ4を容易に反転することができる。なお、特に図示はしないが、上述の通り、テープ4の両端は突状片3の左右端部に固定されているが、テープ4の一端を突状片3の左右端部のいずれか一方に固定し、テープ4の一端を軸としてテープ4の他端を突状片3の左右方向から回転させるようにして、テープ4を反転させてもよい。この際、テープ4の他端は、例えば、面ファフナー等の固定具により、突状片3の左右端部のいずれか他方に固定することできる。すなわち、テープ4は、突状片3の表面及び裏面に対して反転可能に突状片3に設ければよく、その固定方法は特に限定されるものではない。
【0023】
図4に示すように、突状片3は、留め具51を有する。留め具51は、本実施形態において、突状片3の裏面に設けられた雄スナップボタンである。留め具51は、突状片3の突出方向において、テープ4よりも突状片3の先端側に設けられている。すなわち、留め具51は、突状片3の先端とテープ4との間に位置付けられる。
【0024】
図5に示すように、左前身頃22は、その表面に留め具51に対応する留め具52を有している。留め具52は、本実施形態において、雄スナップボタンを押し込んで留め可能な雌スナップボタンである。突状片3は、留め具51と留め具52とにより、左前身頃22の外表面に留めることができる。このように、テープ4よりも突状片3の先端側で突状片3を左前身頃22の外表面に留めることにより、作業用衣服1の着用者が作業している際に、テープ4が突状片3の表面及び裏面に対して意図せず反転することを抑制することができる。このテープ4の意図しない反転を抑制するという観点から、テープ4は、その主面において先太り形状を有してもよい。なお、留め具51及び留め具52は、スナップボタンに限られるものではなく、突状片3を作業用衣服1の外表面に留めることができればよい。
【0025】
このように突状片3の表面及び裏面に対して反転可能にテープ4を設けたことにより、昼勤及び夜勤等の区別を適切に識別することができる。例えば、テープ4が突状片3の表面に配置されていた場合は昼勤であると識別することでき、一方でテープ4が突状片3の裏面に配置されていた場合は夜勤であると識別することができる。
【0026】
右前身頃21の開閉端部の上端角部に突状片3を形成したことにより、外方からテープ4を視認し易くなり、より適切に昼勤及び夜勤の区別等を識別することができる。また、作業用衣服1の着用者は、作業用衣服1を着用する際、ファスナーFを前身頃2の下方から上方に向かって上げる。ファスナーFを上げ終わった際、その近傍にテープ4及び留め具51が位置するため、テープ4の反転及び留め具51による突状片3の留めを着用者が失念し難くなる。したがって、より確実にテープ4を反転させることができ、昼勤及び夜勤等の区別をより適切に識別することができるようになる。
【0027】
特に図示はしないが、テープ4は、突状片3とは異なる色を有する。テープ4は、突状片3よりも濃い色を有してもよく、突状片3よりも薄い色を有してもよい。これにより、より適切に昼勤及び夜勤等の区別を識別することができる。
【0028】
(変形例)
図6及び
図7に示すように、突状片3は、作業用衣服1の外表面において種々の位置に形成することができる。例えば、
図6に示すように、上述の実施形態における右前身頃21の開閉端部の上端角部の形状が異なる場合であっても、当該上端角部を突状片3としてテープ4を反転可能に設けることができる。また、右前身頃21の開閉端部の下端角部を突状片3としてテープ4を設けることができる。また、衿23の角部を突状片3としてテープ4を設けることもでき、袖口24等の開口端部からスリット6を設けて突状片3を形成し、テープ4を設けることもできる。さらに、ポケット25の角部先端部を遊動自在となるようにポケット25を前身頃2に縫製し、ポケット25の角部先端部を突状片3としてテープ4を設けることもできる。
【0029】
また、
図7に示すように、作業用衣服1は、後身頃7を有する。後身頃7において、衿23の後ろ側端部を突状片3としてテープ4を設けてもよく、後身頃7の下端に形成した突状片3にテープ4を設けてもよい。
【0030】
本実施形態の作業用衣服1では、右前身頃21を上前部としたが、左前身頃22が上前部であってもよい。また、作業用衣服1は、開閉可能な前身頃2に限られるものではなく、開閉不能なものであってもよい。作業用衣服1の外表面において、外方から視認可能なように突状片3を形成してテープ4を設けることができればよく、作業用衣服の形状又はサイズ等は特に限定されない。
【0031】
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 作業用衣服、2 前身頃、21 右前身頃、22 左前身頃、23 襟、24 袖口、25 ポケット、3 突状片、31 表地、32 裏地、4 テープ、51 留め具、52 留め具、6 スリット、7 後身頃
【要約】
【課題】昼勤及び夜勤の区別等を適切に識別することができる作業用衣服を提供する。
【解決手段】作業用衣服1は、前身頃2を有する。前身頃2は、右前身頃21と左前身頃22とを有する。右前身頃21における左前身頃22との開閉端部の上端角部には、突状片3が形成されている。突状片3にはテープ4が設けられる。テープ4の両端は突状片3に固定されている。突状片3の先端をテープ4に潜らせるようにすることで、テープ4は、突状片3の表面及び裏面に対して反転可能となっている。
【選択図】
図1