(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】タバコ組成物及びタバコ組成物の調製
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20250304BHJP
【FI】
A24B15/167
(21)【出願番号】P 2023517906
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 GB2021052445
(87)【国際公開番号】W WO2022064183
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-05-12
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ストチャイ, アナ
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ウッドコック, ドミニク
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/034884(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/129679(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/183589(WO,A1)
【文献】特表2019-507592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00-15/42
A24D 1/00- 1/22
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入タバコ組成物を得る方法であって、
(a)出発タバコ組成物を用意するステップ、
(b)揮発性成分源を用意するステップ、
(c)前記揮発性成分源を加熱して、揮発成分を得るステップ、及び
(d)前記出発タバコ組成物に前記揮発成分を注入し、それにより前記出発タバコ組成物中に少なくともいくらかの揮発性成分を保持して、
前記注入タバコ組成物を得るステップ
を含み、
前記出発タバコ組成物が処理タバコ組成物であり、該処理が
前記出発タバコ組成物の感覚的及び/若しくは感覚受容的品質に悪影響を及ぼしているか、
又は
前記注入タバコ
組成物が処理され、該処理が前記
注入タバコ組成物の感覚的及び/若しくは感覚受容的品質に悪影響を及ぼす
のいずれかである、方法。
【請求項2】
前記処理タバコ
組成物がpH処理タバコ組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出発タバコ組成物が、未処理タバコよりも大きいpHを有するように処理されたタバコを含むpH処理タバコ組成物であり、したがって(d)で得られる前記注入タバコ組成物がpH処理注入タバコ組成物であるか、
又は
(d)の前記注入タバコ組成物を、前記注入タバコ組成物のpHを上昇させるように処理し、それによりpH処理注入タバコ組成物を得る
のいずれかである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(c)において、前記揮発性成分源が40~90℃に加熱される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記出発タバコ組成物がpH処理タバコ組成物である場合に、前記出発タバコ組成物を用意するステップが、タバコ、塩基及び湿潤剤を含む混合物を押し出すことを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記出発タバコ組成物が再生タバコである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記出発タバコ
組成物が顆粒状である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記揮発性成分源がニコチンを含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記注入タバコ組成物が、前記出発タバコ組成物よりも高いニコチン含有量を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記注入タバコ組成物のニコチン含有量が、乾燥重量で約2%~約5.5%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記出発タバコ組成物のニコチン含有量が、乾燥重量で0.1%~3%である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記揮発性成分源がタバコを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記タバコが、刻みタバコ、挽きタバコ、葉又はタバコ葉抽出物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記揮発性成分源が植物性物質を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記植物性物質が、クローブ、シナモン、コーヒー、メンソール、アニス、レモンピール、ミント、ジュニパー、エルダーフラワー、又はその組合せを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記揮発性成分源が、タバコ及び/又は1種又は複数種の植物性物質からなる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
pHを上昇させるように前記出発タバコ組成物又は前記注入タバコ組成物のいずれかを処理することが、塩基の添加を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
揮発性成分源からの揮発成分が注入された出発タバコ組成物を含む注入タバコ組成物であって、
前記出発タバコ組成物が処理タバコ組成物であり、該処理が前記出発タバコ組成物の感覚的及び/若しくは感覚受容的品質に悪影響を及ぼしており、前記注入タバコ組成物が、前記出発タバコ組成物と比較して改善された感覚的及び/若しくは感覚受容的品質を有するか、
又は
前記注入タバコ組成物が処理されており、該処理が前記注入タバコ組成物の感覚的及び/又は感覚受容的品質に悪影響を及ぼしている、注入タバコ組成物。
【請求項19】
請求項
18に記載の注入タバコ組成物を備える、エアロゾル送達システム。
【請求項20】
請求項
18に記載の注入タバコ組成物を備える、エアロゾル送達システムで使用するための構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入タバコ組成物及び注入タバコ組成物を得る方法に関する。
【背景】
【0002】
喫煙品、例えば紙巻タバコ、葉巻タバコなどは、使用中にタバコを燃焼させてタバコ煙を生成する。このようなタイプの物品の代替品は、燃焼させずに化合物を放出し、吸入可能な媒体を形成する。
【0003】
このようなエアロゾル生成製品の例は、タバコ加熱製品又はタバコ加熱デバイスとしても公知のいわゆる非燃焼加熱式製品であり、これらは固体基材を加熱するが燃焼させないことによって化合物を放出し、吸入可能なエアロゾルを形成する。このようなエアロゾル生成製品の別の例は、いわゆるeシガレットデバイスであり、これらは通常、液体基材を気化させて吸入可能なエアロゾルを形成し、ここで液体基材はニコチンを含有してもしなくてもよい。ハイブリッドデバイスも公知である。ハイブリッドデバイスは、加熱により気化して吸入可能な蒸気及び/又はエアロゾルを製造する液体を含有する。液体は、グリセロール、及び一部の場合ではニコチンなどの香味剤並びに/又はエアロゾル生成物質を含有してもよい。蒸気及び/又はエアロゾルは、デバイス中の基材材料を通過し、基材材料の1つ又は複数の構成成分(タバコなど)を巻き込み、吸入可能なエアロゾルを製造することができる。代替的に、デバイス中の基材材料を独立して加熱し、さらなるエアロゾルを生成することができる。
【概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、注入タバコ組成物を得る方法であって、
(a)出発タバコ組成物を用意するステップ、
(b)揮発性成分源を用意するステップ、
(c)揮発性成分源を加熱して、揮発成分を得るステップ、及び
(d)出発タバコ組成物に揮発成分を注入し、それにより出発タバコ組成物中に少なくともいくらかの揮発性成分を保持して、注入タバコ組成物を得るステップ
を含み、
出発タバコ組成物が処理タバコ組成物であり、処理がタバコ組成物の感覚的及び/若しくは感覚受容的品質に悪影響を及ぼしているか、
又は
注入タバコ材料が処理され、処理がタバコ組成物の感覚的及び/若しくは感覚受容的品質に悪影響を及ぼす
のいずれかである、方法が提供される。
【0005】
いくつかの実施形態では、処理タバコ材料は、pH処理タバコ組成物である。
【0006】
いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物は、未処理タバコよりも大きいpHを有するように処理されたタバコを含むpH処理タバコ組成物であり、したがって(d)で得られる注入タバコ組成物はpH処理注入タバコ組成物であるか、又は(d)の注入タバコ組成物は、注入タバコ組成物のpHを上昇させるように処理され、それによりpH処理注入タバコ組成物が得られる。
【0007】
いくつかの実施形態では、(c)において、揮発性成分源は40~90℃に加熱される。
【0008】
いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物はpH処理タバコ組成物であり、出発タバコ組成物を用意するステップは、タバコ、塩基及び湿潤剤を含む混合物を押し出すことを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物は再生タバコである。
【0010】
いくつかの実施形態では、出発タバコ材料は顆粒状である。
【0011】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源はニコチンを含有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、注入タバコ組成物は、出発タバコ組成物よりも高いニコチン含有量を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、注入タバコ組成物のニコチン含有量は、乾燥重量で約2%~約5.5%である。
【0014】
いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物のニコチン含有量は、乾燥重量で0.1%~3%である。
【0015】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源はタバコを含む。いくつかの実施形態では、タバコは、刻みタバコ、挽きタバコ、葉又はタバコ葉抽出物を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源は、植物性物質を含む。いくつかの実施形態では、植物性物質は、クローブ、シナモン、コーヒー、メンソール、アニス、レモンピール、ミント、ジュニパー、エルダーフラワー、又はその組合せを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源は、タバコ及び/又は1種又は複数種の植物性物質からなる。
【0018】
いくつかの実施形態では、pHを上昇させるように出発タバコ組成物又は注入タバコ組成物のいずれかを処理することが、塩基の添加を含む。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の方法から得ることができる注入タバコ組成物が提供される。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様の方法から得られるか又は得ることができる注入タバコ組成物を備えるエアロゾル送達システムが提供される。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様の方法から得られるか又は得ることができる注入タバコ組成物を備える、エアロゾル送達システムで使用するための構成要素が提供される。
【0022】
ここで、本発明の実施形態を、添付図面を参照して例示的にのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態を実施するための例示的な装置を示す。
【
図2】本発明の実施形態を実施するための別の例示的な装置を示す。
【
図3】本発明の態様による例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の態様による別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【詳細な説明】
【0024】
ニコチン及び他の香り化合物は、タバコにおけるタバコの香味を担う。しかし、タバコ中の香り化合物は揮発性であり、タバコの製造及び/又は処理のプロセス中に失われる場合がある。一部は保管中又は輸送中に失われる場合もある。
【0025】
一部のタバコ組成物では、pH処理タバコ(塩基処理タバコなど)が含まれてもよい。塩基処理タバコを調製する場合、未処理タバコに存在するニコチン塩が塩基と反応し、この反応によりニコチンがニコチンの「遊離塩基」形態でもたらされ、それによりニコチンの揮発性が高まる。結果として、塩基処理タバコを加熱すると、ニコチンはより容易に揮発する。しかし、本発明者らは、pH処理タバコなどの処理タバコは、望ましくない香味及びオフノートを有する場合があることを見出した。さらに、遊離塩基ニコチンの揮発性が増加することにより、タバコ組成物の保管又は輸送中に、より多くのニコチンが失われる可能性がある。タバコの他の種類の処理もまた、タバコの香味に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0026】
いくつかの実施形態では、注入タバコ組成物は、改善された感覚的品質を有してもよい。いくつかの実施形態では、注入タバコ組成物は、増加したニコチン含有量を有してもよい。
【0027】
タバコの塩基処理は、溶液又は固体の形態の塩基の添加を含んでもよい。タバコが塩基の溶液で処理される実施形態では、1つ又は複数の乾燥ステップを含むことが必要な場合がある。これらの乾燥ステップは、所望の水分含有量を有するタバコ組成物を達成するために水分含有量を低下させるが、乾燥ステップはまた、香り化合物を除去することができる。乾燥ステップは、塩基処理中に生成されたアンモニアを除去する役割も果たすが、アンモニアのすべてを除去しない可能性がある。アンモニアは、望ましくない味及び匂いを有し、理論に束縛されることを望むことなく、本発明者らは、アンモニアの存在がpH処理タバコの望ましくない香味及び/又は感覚受容的品質の一因となり得ると考えている。
【0028】
驚くべきことに、本発明者らは、タバコ組成物に揮発性成分を注入することにより、優れた味、感覚的及び感覚受容的特性を有するタバコ組成物を得ることができることを見出した。これは、処理され、処理がタバコ組成物の感覚的及び/又は感覚受容的品質に悪影響を及ぼしているタバコ組成物、例えばpH処理タバコ組成物の味、感覚的及び感覚受容的特性を改善するのに特に有用である。
【0029】
したがって、本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、pH処理タバコ組成物の感覚的及び/又は感覚受容的品質などの特性が改善される方法が提供される。本明細書に記載のいくつかの方法に従って調製されたpH処理注入タバコ組成物の使用中の感覚的性能は、優れたタバコ製品をもたらし得る。
【0030】
本明細書で使用する場合、「タバコ組成物」という用語は、タバコ又はタバコの派生物を含む任意の材料を指す。「タバコ組成物」という用語は、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替物のうちの1種又は複数種を含むことができる。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ茎、再生タバコ、凝集タバコ、球状化タバコ及び/又はタバコ抽出物のうちの1種又は複数種を含むことができる。
【0031】
タバコ組成物中のタバコは、バージニア及び/又はバーレー及び/又はオリエンタルを含む、単一等級又はブレンド、刻みラグ又は全葉などの任意の適切なタバコであってもよい。タバコは、粒子「微粉」又はダスト、膨張タバコ、スヌース、茎、膨張茎、及びカットロール茎などの他の加工茎材料として供給されてもよい。タバコは、挽きタバコ又は再生タバコ材料であってもよい。再生タバコ材料は、タバコ繊維を含んでもよく、キャスティング、タバコ抽出物の逆添加による長綱式製紙タイプの手法、又は押出によって形成してもよい。
【0032】
本明細書で使用する場合、「pH処理タバコ組成物」という用語は、未処理タバコとは異なるpHを有するように処理されたタバコを含む任意のタバコ組成物を指す。好ましくは、pH処理タバコ組成物は、未処理タバコよりも高いpHを有する(すなわち、pH処理タバコは、未処理タバコよりも塩基性である)。一実施形態では、pH処理タバコ組成物は、未処理タバコよりも高いpHを有する注入タバコ組成物を含んでもよい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「注入タバコ組成物」という用語は、タバコ組成物に感覚的及び/又は感覚受容的品質を付与するために揮発性成分が注入された任意のタバコ組成物を指す。一実施形態では、注入タバコ組成物は、揮発性成分が注入されたpH処理タバコ組成物を含んでもよく、ここでタバコ組成物は、タバコ組成物のpHを上昇させるように処理されている。
【0034】
本明細書で使用する場合、「pH処理注入タバコ組成物」という用語は、本明細書に開示される方法に従い、タバコ組成物のpHを上昇させるように処理され、揮発性成分が注入された任意のタバコ組成物を指す。タバコ組成物は、任意の順序で注入され、pH処理されていてもよい。例えば、一実施形態では、pH処理注入タバコ組成物は、未処理タバコよりも大きいpHを有するように処理され、その後揮発性成分が注入されたタバコを含んでもよい。別の実施形態では、pH処理注入タバコ組成物は、揮発性成分が注入され、次いで未処理タバコよりも大きいpHを有するように処理されたタバコを含んでもよい。
【0035】
タバコのpH処理
タバコ又はタバコ組成物を塩基で処理すると、タバコのpHが増加する。塩基処理前の硬化したタバコ材料の未調整のpHは、タバコの種類によって決まるが、典型的にはわずかに酸性であり、3~6.5の範囲である。
【0036】
以下では、pH処理プロセスを「タバコ」について説明するが、同じプロセスが本明細書で定義される任意のタバコ組成物に実施してもよいことに留意すべきである。
【0037】
一実施形態では、タバコのpHを増加させるようにタバコを処理するプロセスは、例えば、タバコに塩基の溶液を噴霧することにより、処理されるタバコに塩基を適用することを含む。その後、タバコと塩基の溶液の混合物は、例えば混合物を混合することによって撹拌され、塩基とタバコの間の接触を増加させる。一部の場合では、塩基を適用するステップ及び混合物を撹拌するステップを繰り返すことができる。
【0038】
塩基は、任意の適切な塩基を含んでもよい。例えば、塩基は、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びリン酸ナトリウムからなる群から選択してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、塩基は溶液の形態である。塩基の溶液の体積及び濃度は、処理されるタバコの種類に応じて選択され得る。いくつかの実施形態では、約3.0~約9.0mol/Lの範囲の濃度を有する水酸化ナトリウム溶液が使用される。
【0040】
別の実施形態では、タバコのpHを増加させるようにタバコを処理するプロセスは、処理すべきタバコに固体形態の塩基を適用し、次に塩基及びタバコを湿潤剤と組み合わせることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、炭酸ナトリウムなどの塩基の固体粒子をタバコと混合し、その後、水及び/又はグリセロールなどの他の湿潤剤が、混合物が押し出される前又は間にこの乾燥混合物に添加される。
【0041】
本発明者らは、タバコに塩基を適用すると、望ましくない味/匂いを有するアンモニアが生成する場合があることを特定した。したがって、いくつかの場合では、pH処理は、例えば、混合物を穏やかに加熱及び/又は乾燥させることによってアンモニアを除去するステップを含むことができる。他の場合では、アンモニア除去ステップは含まれない。いくつかの場合では、アンモニアの除去は、所望の水分含有量、例えば乾燥重量に基づいて約20%以下を有するpH処理タバコを製造するために、塩基を適用した後にタバコ組成物を加熱及び乾燥することを含む。
【0042】
プロセスはまた、塩基の溶液を適用する前又は後のいずれかでタバコを処理して、例えばタバコ組成物を粉砕し、その後任意選択で所望の粒子サイズ範囲内のサイズを有する粒子を選択することによって(すなわち、ふるい分けによって)所望の粒子サイズを得ることを含んでもよい。
【0043】
pHが通常約7.5~10.5、任意選択で約8~9.5に上昇するようにタバコを処理すると、ニコチンの利用率が高くなる。これは、少なくとも一部のニコチン塩(「結合ニコチン」と呼ばれることもある)がニコチンの塩基性形態(本明細書では「遊離塩基ニコチン」又は単に「遊離ニコチン」と称されることもある)に変換されることに起因する。これにより、ニコチンの揮発性が高まり、したがってタバコからより容易に放出される。したがって、所与の温度に加熱されたpH処理タバコを含有する喫煙デバイスは、同じ温度に加熱されたときに未処理のタバコのみを含有するデバイスと比較して、より高用量のニコチンを使用者に送達することができる。
【0044】
タバコのpH処理は、タバコを製造及び/又は処理するプロセスの任意の段階で実施することができる。いくつかの例では、タバコに塩基の溶液を適用することは、別のステップの間、例えばタバコのコンディショニングの間に行ってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、pH処理タバコ組成物は、7以上、7.5以上、8以上、9以上のpHを有する。いくつかの実施形態では、処理タバコ材料は、12以下、11.5以下、11以下、10.5以下、10以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、処理タバコ材料は、約7、約8、約9のpHを有する。
【0046】
タバコ組成物のpHを測定するために使用される標準的方法の例は、CORESTA推奨方法No.69(CRM-69)である。
【0047】
典型的に、pH処理タバコ組成物のニコチン含有量は、乾燥重量で1~5%、2~3%、又は約3%であってもよい。しかし、ニコチン及び他の香り揮発性化合物は、保管又は輸送中に失われることもあり、結果として使用者に送達されるときのニコチンの濃度が低くなる。
【0048】
出発タバコ材料
注入タバコ組成物を得る方法は、出発タバコ組成物を用意するステップを含む。出発タバコ組成物は、本明細書に記載されるタバコを含んでもよい。任意選択で、この出発タバコ組成物はpH処理されている。好適には、出発タバコ組成物は、香味料、エアロゾル生成剤、結合剤、湿潤剤、塩基などを含むがこれらに限定されない、タバコを製造又は処理するプロセス中に従来から添加される添加剤を含んでもよい。
【0049】
本明細書で使用する場合、「香味」及び「香味料」という用語は、地域の規制が許可する場合、成人消費者用製品に所望の味又は香りを作り出すために使用することができる材料を指す。それらは、抽出物(例えば、甘草、アジサイ、ホオノキ葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、ピーチ、アップル、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はメンタ(Mentha)属の任意の種からのミント油)、香味増強剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤又は刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール又はマンニトール)、及びチャコール、クロロフィル、鉱物、植物性物質、又は息清涼剤などの他の添加剤を含んでもよい。それらは、模造品、合成若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば油、液体又は粉末であってもよい。
【0050】
出発タバコ組成物中のタバコは、バージニア及び/又はバーレー及び/又はオリエンタルを含む、単一等級又はブレンド、刻みラグ又は全葉などの任意の適切なタバコであってもよい。タバコは、タバコ粒子「微粉」又はダスト、膨張タバコ、茎、膨張茎、及びカットロール茎などの他の加工茎材料であってもよい。タバコは、挽きタバコ又は再生タバコ材料であってもよい。再生タバコ材料は、タバコ繊維を含んでもよく、キャスティング、タバコ抽出物の逆添加による長綱式製紙タイプの手法、又は押出によって形成してもよい。いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物は、顆粒状形態で供給される。
【0051】
本方法の出発タバコ組成物は、タバコ製品を製造するための製造プロセスの任意の段階におけるタバコを含むタバコ組成物であってもよい。例えば、タバコ組成物の粉砕又は押出の前である。一部の場合では、出発タバコ組成物は、粉砕を経たが押し出されていない。別の場合では、出発タバコ組成物は、粉砕と押出の両方を経ている。出発タバコ組成物は、乾燥、硬化、コンディショニングなどの公知の慣行に従って前処理してもしなくてもよい。いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物は未処理である。
【0052】
いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物は、pH処理タバコを含有しない。そのような場合では、出発タバコ組成物のニコチン含有量はタバコの種類によって決まってもよく、典型的には乾燥重量で約0.1~約6%、約2~約5%、又は約4%であってもよい。
【0053】
他の実施形態では、出発タバコ組成物は、未処理タバコよりも大きいpHを有するように処理されたタバコを含み、本明細書に記載のpH処理プロセスに従って実施されてもよい。いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物は、7以上、7.5以上、8以上、8.5以上、9以上のpHを有する。いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物は、12未満、11.5未満、11未満、10.5未満、10未満のpHを有する。いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物は、8~9.5、8.5~9、約8、約9のpHを有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、未処理タバコよりも大きいpHを有するように処理されたタバコを含む出発タバコ組成物は、乾燥重量で0~5%、1~4%、2~3%、5%未満、4%未満、3%未満、又は約3%のニコチン含有量を有する。
【0055】
揮発性成分源
注入タバコ組成物を得る方法は、揮発性成分源を用意するステップをさらに含む。本明細書で使用する場合、「揮発性成分源」という用語は、タバコ組成物に供給されると、味、感覚、感覚受容的性質、又はその組合せなどの特性を出発タバコ組成物に付与し得る揮発性成分を有する物質を指す。揮発性は、物質が気化する傾向であり、物質の揮発性は、物質の蒸気圧に直接関係する。「揮発」という用語は、揮発性成分源からの成分の昇華を含むことも意図する。
【0056】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源は植物性物質を含む。いくつかの実施形態では、揮発性成分源は植物性物質からなる。植物性物質は、植物性物質の揮発性成分を放出するために40~150℃の範囲内の温度に加熱され、及び/又はその温度で維持され得る。注入タバコ組成物の香り及び/又は香味を改善し得る揮発性成分を有する任意の植物性物質を使用することができる。適切な植物性物質の例として、限定することなく、クローブ、シナモン、コーヒー、メンソール、アニス、レモンピール、ミント、ジュニパー、エルダーフラワー、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。植物性物質は、固体、液体、加圧液体又は気体抽出物として供給してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源は、タバコを含んでもよい。タバコは、本明細書に記載される任意の適切なタバコであってもよい。いくつかの実施形態では、揮発性成分源はタバコからなる。
【0058】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源は、ニコチンを含んでもよい。特定の例では、ニコチンを含む揮発性成分は、タバコを含有する。他の例では、ニコチンを含む揮発性成分は、タバコ抽出物などのニコチン溶液を含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源は、タバコ及び1種又は複数種の植物性物質を含む。いくつかの実施形態では、揮発性成分源は、タバコ及び1種又は複数種の植物性物質からなる。揮発性成分源は、ニコチンを含有しても含有しなくてもよい。
【0060】
タバコ組成物を注入するプロセス
図1及び2は、本発明の態様を実施するのに適した例示的な装置100、200の概略図であり、加熱室110及び冷却室120を備え、冷却室120は導管130を介して加熱室110に流体で接続されている。
【0061】
図3及び4は、pH処理注入タバコ組成物を得る例示的な方法300及び400を示すフロー図である。
【0062】
図3において、pH処理注入タバコ組成物を得る方法300は、pH処理出発タバコ組成物を用意するステップ301を含み、出発タバコ組成物は、未処理タバコよりも大きいpHを有するように処理されたタバコを含む。方法300は、上述の揮発性成分源に対応する揮発性成分源を用意するステップ302をさらに含む。方法300は、揮発性成分源を加熱するステップ303、及びpH処理出発タバコ組成物を注入して、pH処理注入タバコ組成物を得るステップ304をさらに含む。
【0063】
図4において、pH処理注入タバコ組成物を得る方法400は、出発タバコ組成物を用意するステップ401及び揮発性成分源を用意するステップ402を含み、揮発性成分源は、上述の揮発性成分源に対応する。方法400は、揮発性成分源を加熱するステップ403、及び出発タバコ組成物に揮発性成分を注入して、それにより注入タバコ組成物を得るステップ404をさらに含む。方法400は、注入タバコ組成物のpHを上昇させるように注入タバコ組成物を処理して、pH処理注入タバコ組成物を得るステップ405をさらに含む。
【0064】
出発タバコ組成物に揮発成分を注入するプロセスは、タバコ組成物を製造及び/又は処理するプロセスの任意の段階で実施することができる。注入プロセスは、例えば、タバコの硬化の前又は後に行ってもよい。本明細書に記載の例では、注入プロセスは、タバコ組成物のpH処理ステップの前又は後のいずれかで実施してもよい。
【0065】
pH処理注入タバコ組成物を得る方法は、揮発性成分源を加熱して、揮発成分を得るステップ303、403を含む。揮発性成分源が加熱される温度は、揮発性成分源の組成に応じて選択することができる。例えば、揮発性成分源は、出発タバコ組成物に送達されるべき所望の揮発性成分の沸騰温度の30℃以内、20℃以内、10℃以内、又は5℃以内の温度に加熱され得る。揮発性成分源が特定の温度に加熱されると、揮発性成分源内の、その特定の温度に近い又はそれ未満の沸騰温度を有する揮発性成分は、実質的に揮発するようになる。
【0066】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源は、揮発性成分が揮発し、揮発性成分源から放出される温度に加熱してもよい。いくつかの実施形態では、揮発性成分源は、30~150℃、35~140℃、40~130℃、40~120℃、40~110℃、40~100℃、40~90℃に加熱してもよい。好適には、揮発性成分源は、40℃~90℃に加熱される。温度が低すぎると、所望の揮発性成分を気化させるのに十分な熱がない。逆に、温度が高すぎると、揮発性成分(又は他の材料)の望ましくない燃焼又は炭化が起こる可能性がある。
【0067】
いくつかの実施形態では、揮発性成分源の温度は経時的に変化してもよく、例えば、方法は、植物性物質を第1の温度に加熱して第1の揮発性成分を一定期間放出させ、その後、第1の温度よりも高い第2の温度に一定期間加熱して第2の揮発性成分を放出させるステップを含んでもよく、第2の揮発性成分は第1の揮発性成分よりも高い沸点を有する。さらに、揮発性成分を複数の温度まで複数回加熱する複数のステップにより、成分を別々に揮発させることができる。揮発性成分源の温度を変化させるだけでなく、湿度、流量、圧力、プロセスの期間、加熱中の揮発性成分源の撹拌レベルも、揮発性成分源に応じて変化させることができる。いくつかの実施形態では、揮発性成分源は、1~4時間、又は2~4時間の期間にわたって加熱してもよい。さらなる実施形態では、揮発性成分源の複数のバッチが、出発タバコ組成物の単一のバッチに適用される。複数のバッチは、異なる揮発性材料を含んでもよい。例えば、第1のバッチはタバコであってもよく、第2のバッチはクローブであってもよい。
【0068】
加熱中、揮発性成分源は、例えば、加熱室110に保持してもよい。ヒーターが加熱室110の温度を上昇させる。ヒーターは、任意の適切な方法で駆動され得る。一部の場合では、加熱室110は電気的に加熱してもよい。他の態様では、加熱室110は蒸気加熱してもよい。これらに限定されないが、ヒートジャケット、ヒートマット、加熱マントルなどを含む、加熱に適した任意の装置を使用して加熱室110の内容物に熱を加えてもよい。加熱室110に加えられる熱は、加熱室110内の揮発成分の凝縮を防止するのに十分であることが望ましい。
【0069】
一部の場合では、大気圧での沸点よりもはるかに低い温度で揮発性成分の気化を促すために、加熱に加えて加熱室110の圧力を低下させて大気圧未満の圧力を有するようにしてもよく、これにより、高温下で劣化しやすい成分を悪影響なく揮発させることもできる。
【0070】
揮発性成分源を加熱して揮発成分を得た後、pH処理注入タバコ組成物を得る方法は、出発タバコ組成物に揮発成分を注入し、それにより出発タバコ組成物に少なくともいくらかの揮発性成分を保持させて、注入タバコ組成物を得るステップ304、404を含む。
【0071】
本明細書で使用する場合、「注入」という用語は、組成物に成分又は香味を供給し、それにより成分の少なくとも一部が注入組成物中に保持される注入組成物を得るプロセスを指す。
【0072】
方法を実施するための装置は、揮発成分が多くの方法で出発タバコ組成物に供給されるのを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、揮発成分は、揮発成分が加熱室110から冷却室120に移動するように導管130を横断してもよい。
図1に示す実施形態では、導管130は、揮発成分が加熱室110からの熱によって導管130を介して冷却室120に向かって移送されるように、加熱室110及び冷却室120とともに配置されてもよく、例えば、導管130及び冷却室120は、揮発成分の熱エネルギーが冷却室120の方向での揮発成分の運動を引き起こすように、加熱室110より上に配置される。
図2に示す実施形態では、導管130は配管であり、したがって加熱室110及び冷却室120は異なる形態で配置されてもよい。
図1及び2は、導管130を2つの配置で示すが、これらは単なる例示目的であり、導管130が加熱室110を冷却室120に流体で結合する限り、他の配置が想定され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、導管130は、ファン、ポンプ、真空システム、又はその組合せを含むがこれらに限定されない、導管130に沿って揮発成分を移送するための手段も含んでもよい。他の実施形態では、導管130は、ガス透過性膜などの、加熱室110と冷却室120の間のガス透過性界面であってもよい。
【0074】
出発タバコ組成物は、冷却室120に位置する。揮発成分を冷却室120に移送すると、冷却室120の温度により、揮発成分が出発タバコ組成物に接触し、任意選択でタバコ組成物上で凝縮する。いくつかの実施形態では、pH処理タバコに揮発成分を供給することは、凝縮をさらに促進するために増加した圧力下で実施してもよく、すなわち、冷却室120は加熱室110の圧力よりも高い圧力で保持してもよい。いくつかの実施形態では、冷却室は、大気圧を超える圧力で保持してもよい。揮発成分が凝縮すると、出発タバコ組成物に揮発成分が注入されるようになり、したがって揮発成分の少なくとも一部が出発タバコ組成物中に保持され、それにより注入タバコ組成物が得られる。このようにして、揮発成分が出発タバコ組成物内に保持されると、製造される注入タバコ組成物は、凝縮した揮発成分を含み、それに付与された揮発成分の特性の一部、例えば、味、感覚的又は感覚受容的特性を有する。
【0075】
出発タバコ組成物が、未処理タバコよりも大きいpHを有するように処理されたタバコを含む場合、注入タバコ組成物はpH処理注入タバコ組成物である。或いは、出発タバコ組成物が未処理タバコより大きいpHを有するように処理されたタバコを含まない場合、注入タバコ組成物はpH処理タバコを含まないが、その後pHを上昇させるように処理され、pH処理注入タバコ組成物を得る。
【0076】
好適には、冷却室120の温度は、冷却室120に供給される揮発性成分の性質に応じて選択され得る。好ましくは、冷却室120の温度は、揮発性成分源内の所望の揮発性成分の沸騰温度よりも低い(所望の圧力で)。いくつかの実施形態では、冷却室120の温度は、-10℃~60℃、-5℃~50℃、0℃~40℃、0℃~30℃、又は約25℃、又は約20℃であってもよい。方法は、例えば、冷却ファン又はコンデンサなどの水冷システムを含む、冷却室120の温度が所定値を超えて上昇するのを防止する冷却手段も含み得る。いくつかの実施形態では、加熱室110と冷却室120の温度の両方を監視及び/又は制御するために1つ又は複数のサーモスタットを使用してもよく、加熱手段又は冷却手段を、それぞれの目標温度を維持するために選択的に適用してもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、出発タバコ組成物の撹拌は、出発タバコ組成物を揮発成分で均質に被覆することを可能にするために、出発タバコ組成物の注入中に行われてもよい。したがって、冷却室120は、例えば回転式ミキサーなどのミキサーも含んでもよい。いくつかの実施形態では、冷却室自体は、出発タバコ組成物を転倒させるために、モータを介して回転される。
【0078】
注入タバコ組成物を得る際に、使用された出発タバコ組成物が、未処理タバコよりも大きいpHを有するように処理されたタバコを含むpH処理タバコ組成物ではなかった場合、注入タバコ組成物は、その後本明細書に記載の方法を使用して注入タバコ組成物のpHを上昇させるように処理され、pH処理注入タバコ組成物を得てもよい。
【0079】
タバコの製造及び/又は処理のプロセス中に、タバコの香味に寄与する香り化合物及びニコチンを含む揮発性化合物が失われ、香り化合物及び/又はニコチンのレベルが減少した又は低いタバコ組成物が得られる場合がある。タバコ組成物がpH処理プロセスを経た場合、タバコの化学組成及び感覚的品質は、香り化合物の不足及びアンモニアの存在(タバコ組成物に望ましくない味/匂いを与える場合がある)によって影響を受ける場合がある。さらに、タバコのpH処理後、遊離ニコチンとして、より揮発性になったニコチンは、pH処理タバコ組成物の処理及び/又は保管中に失われ、使用者に送達されたときの全体的なニコチン含有量が低くなる可能性がある。
【0080】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、揮発性成分源は、ニコチン含有成分(タバコなど)を含んでもよい。そのような場合、本明細書に記載の方法は、タバコ組成物のニコチン含有量を増加させることもできる。すなわち、出発タバコ組成物に供給される揮発性成分は、ニコチンを含んでもよい。その結果、注入タバコ組成物は、出発タバコ組成物より高いニコチン含有量を有する。したがって、本方法に従って調製されたタバコ組成物は、使用者に送達されるニコチン含有量が所望の範囲内にあるように、タバコ組成物の処理及び/又は保管中に生じるニコチン含有量の減少を相殺し得る。いくつかの実施形態では、タバコ組成物のニコチン含有量は、乾燥重量で1~4%、2~3%の量だけ増加させることができる。いくつかの実施形態では、pH処理注入タバコ組成物のニコチン含有量は、乾燥重量で3~7%、4~6%、約5%である。
【0081】
pH処理注入タバコ組成物
上述のように、いくつかの実施形態では、pH処理注入タバコ組成物のニコチン含有量は、乾燥重量で約2%~約5.5%、又は約2.5~約5%、又は約3~約4%である。いくつかの実施形態では、pH処理注入タバコ組成物のニコチン含有量は、注入される前のpH処理タバコ組成物のニコチン含有量よりも約0.1~約3%高く、任意選択で約0.5~約2.5%高いか、又は約1~約2%高い。
【0082】
いくつかの実施形態では、pH処理注入タバコ組成物は、組成物の乾燥重量に対して約40%以下、約30%以下、又は約20%以下の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、水分含有量は、例えばガスクロマトグラフィーによって決定されるタバコ組成物の含水量である。他の実施形態では、水分含有量は、110℃±1℃に調節された温度で、強制通風オーブンで試料を3時間±0.5分間乾燥させたときの質量減少として測定されるオーブンの揮発分を指す。そのような実施形態では、pH処理注入タバコ組成物の水分含有量は、最大約50%(乾燥重量基準)の水分含有量を有してもよい。いくつかの実施形態では、pH処理注入タバコ組成物は、乾燥重量で15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満の水分含有量を有する。本明細書に記載の水分含有量は、pH処理注入タバコ組成物が、非燃焼加熱式デバイスなどのエアロゾル生成デバイスでの使用に適するようなものである。
【0083】
いくつかの実施形態では、pH処理注入タバコ組成物は、Coresta推奨方法CRM-81「Routine analytical machine for e-cigarette aerosol generation and collection - definitions and standard conditions」(2015年6月の)に基づき、タバコ1グラムあたり0.01mg以上、0.015mg以上、0.02mg以上、0.025mg以上、0.03mg以上の吸入可能なニコチンの用量を与えるために使用される。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のpH処理注入タバコ組成物は、使用中に、注入されていないpH処理タバコ組成物と比較して改善された味/香味を有してもよい。
【0085】
デバイス
本明細書に記載のpH処理注入タバコ組成物は、デバイスに組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、エアロゾル生成デバイス又は非燃焼加熱式デバイスなどのエアロゾル送達システムである。他の実施形態では、デバイスは、eシガレット又はハイブリッドエアロゾル生成デバイスなどのエアロゾル送達システムである。
【0086】
一実施形態では、不燃性エアロゾル送達システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END)としても公知の電子タバコであるが、エアロゾル化可能材料中のニコチンの存在は要件ではないことに留意されたい。
【0087】
一実施形態では、不燃性エアロゾル送達システムは、非燃焼加熱式システムとしても公知のタバコ加熱システムである。
【0088】
一実施形態では、不燃性エアロゾル送達システムは、そのうちの1種又は複数種が加熱され得るエアロゾル化可能材料の組合せを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムである。エアロゾル化可能材料のそれぞれは、例えば、固体、液体又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有してもしなくてもよい。一実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル化可能材料及び固体のエアロゾル化可能材料を含む。固体のエアロゾル化可能材料は、例えば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。
【0089】
典型的に、不燃性エアロゾル供給システムは、不燃性エアロゾル供給デバイス、及び不燃性エアロゾル供給システムとともに使用するための物品を含んでもよい。しかし、それ自体がエアロゾル生成成分に電力を供給するための手段を含む物品が、それ自体が不燃性エアロゾル供給システムを形成することが想定される。
【0090】
一実施形態では、不燃性エアロゾル供給デバイスは、動力源及びコントローラを含んでもよい。動力源は、電力源又は発熱動力源であってもよい。一実施形態では、発熱動力源は、発熱動力源に近接するエアロゾル可能材料又は熱伝達材料に熱の形態で動力を分配するように通電され得る炭素基材を含む。一実施形態では、発熱動力源などの動力源は、不燃性エアロゾル供給を形成するように物品に設けられる。
【0091】
一実施形態では、不燃性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料を含んでもよい。
【0092】
本明細書に記載された様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を支援するためにのみ提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供され、網羅的及び/又は排他的でない。本明細書に記載された利点、実施形態、例、機能、特徴、構造及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲に対する制限又は特許請求の範囲の等価物に対する制限と考えられるものではなく、特許請求された本発明の範囲から逸脱せずに他の実施形態が利用され得ること、及び修正がなされ得ることが理解される。本発明の様々な実施形態は、好適には、本明細書に具体的に記載されたもの以外の開示された要素、成分、特徴、部品、ステップ、手段などの適切な組合せを含み、それらからなり、又はそれらから本質的になってもよい。さらに、本開示は、現在特許請求されていないが、将来特許請求され得る他の発明を含むことができる。