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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】産業機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/409 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
G05B19/409 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023523779
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2021019884
(87)【国際公開番号】W WO2022249304
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】荻野 秀雄
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-079286(JP,A)
【文献】特開昭56-56302(JP,A)
【文献】特許第5766762(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/00 ~ 19/416
19/42 ~ 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸の駆動モードを変更するための操作画像を表示画面に表示させる画像表示部と、
前記操作画像に対する操作に基づいて前記駆動モードを決定する決定部と、
前記決定部によって決定された前記駆動モードに基づいて前記駆動軸を制御する制御部と、
前記表示画面に対するタッチ操作を検出する検出部を備え、
前記検出部が前記タッチ操作を検出した場合、前記画像表示部が前記操作画像と前記駆動軸の駆動軸情報を示す駆動軸情報画像を前記表示画面に表示させ、
前記検出部が前記駆動軸情報画像に対する前記タッチ操作を検出した場合、前記画像表示部が前記操作画像を前記表示画面に表示させる制御装置。
【請求項2】
前記画像表示部は、前記決定部が決定した前記駆動モードに基づいて、前記駆動軸情報画像の表示態様を変更する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記画像表示部は、前記操作画像を前記駆動軸情報画像に隣接させて表示させる請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記操作画像に対する消去操作がされた場合、または、前記操作画像に対する操作が所定時間ない場合、前記操作画像を非表示にすると決定する請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記駆動モードを、通常モード、マシンロックモード、ミラーイメージモード、軸取り外しモード、インターロックモード、およびサーボオフモードのうち少なくともいずれかに決定する請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記操作画像は、前記駆動軸を特定する軸特定画像、および前記駆動モードの候補を示す画像を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記候補を示す画像に対する操作に基づいて、前記駆動軸の前記駆動モードを決定する請求項6に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業機械を制御する制御装置の操作盤には、軸の駆動モードを設定するための設定スイッチが設けられる(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭56-56302号公報
【文献】特許第5766762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、操作盤に各軸の駆動モードを設定するための専用の設定スイッチを設けると、操作盤の製造コストの増加を招く。
【0005】
本開示は、操作盤の製造コストを抑えることが可能な産業機械の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
制御装置が、駆動軸の駆動モードを変更するための操作画像を表示画面に表示させる画像表示部と、操作画像に対する操作に基づいて駆動モードを決定する決定部と、決定部によって決定された駆動モードに基づいて駆動軸を制御する制御部と、前記表示画面に対するタッチ操作を検出する検出部を備え、検出部がタッチ操作を検出した場合、画像表示部が操作画像と駆動軸の駆動軸情報を示す駆動軸情報画像を表示画面に表示させ、検出部が駆動軸情報画像に対するタッチ操作を検出した場合、画像表示部が前記操作画像を前記表示画面に表示させる
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様により、制御装置の操作盤の製造コストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】制御装置の機能の一例を示すブロック図である。
図3A】駆動軸情報画像の一例を示す図である。
図3B】操作画像の一例を示す図である。
図3C】操作画像に対する操作の一例を説明する図である。
図3D】操作画像および駆動軸情報画像の一例を示す図である。
図3E】候補画像表示領域の一例を説明する図である。
図3F】操作画像および駆動軸情報画像の一例を示す図である。
図3G】操作画像に対する操作の一例を説明する図である。
図4】制御装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5A】操作画像に対する操作の一例を説明する図である。
図5B】操作画像および駆動軸情報画像の一例を示す図である。
図5C】操作画像に対する操作の一例を説明する図である。
図5D】操作画像および駆動軸情報画像の一例を示す図である。
図6A】駆動軸情報画像の一例を示す図である。
図6B】操作画像および軸特定画像の一例を示す図である。
図6C】操作画像および軸特定画像の一例を示す図である。
図6D】操作画像および軸特定画像の一例を示す図である。
図6E】駆動軸情報画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態で説明する特徴のすべての組み合わせが課題解決に必ずしも必要であるとは限らない。また、必要以上の詳細な説明を省略する場合がある。また、以下の実施形態の説明、および図面は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【0010】
図1は、産業機械のハードウェア構成の一例を示す図である。産業機械1は、例えば、工作機械、ワイヤ放電加工機、ロボットである。工作機械には、旋盤、マシニングセンタおよび複合加工機が含まれる。ロボットは、例えば、マニピュレータなどの産業用ロボットである。
【0011】
産業機械1は、制御装置2と、入出力装置3と、サーボアンプ4およびサーボモータ5と、スピンドルアンプ6およびスピンドルモータ7と、補助機器8とを備える。
【0012】
制御装置2は、産業機械1全体を制御する装置である。制御装置2は、例えば、産業機械1を制御する数値制御装置である。制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)201と、バス202と、ROM(Read Only Memory)203と、RAM(Random Access Memory)204と、不揮発性メモリ205とを備えている。
【0013】
CPU201は、システムプログラムに従って制御装置2全体を制御するプロセッサである。CPU201は、バス202を介してROM203に格納されたシステムプログラムなどを読み出し、システムプログラムに基づいて、各種処理を行う。また、CPU201は、加工プログラムに基づいて、サーボモータ5およびスピンドルモータ7を制御する。
【0014】
CPU201は、制御周期ごとに、例えば、加工プログラムの解析、ならびに、サーボモータ5およびスピンドルモータ7に対する制御指令の出力を行う。
【0015】
バス202は、制御装置2内の各ハードウェアを互いに接続する通信路である。制御装置2内の各ハードウェアはバス202を介してデータをやり取りする。
【0016】
ROM203は、制御装置2全体を制御するためのシステムプログラムなどを記憶する記憶装置である。ROM203は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0017】
RAM204は、各種データを一時的に格納する記憶装置である。RAM204は、CPU201が各種データを処理するための作業領域として機能する。
【0018】
不揮発性メモリ205は、産業機械1の電源が切られ、制御装置2に電力が供給されていない状態でもデータを保持する記憶装置である。不揮発性メモリ205は、例えば、加工プログラム、および入出力装置3から入力される各種パラメータを記憶する。不揮発性メモリ205は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。不揮発性メモリ205は、例えば、SSD(Solid State Drive)で構成される。
【0019】
制御装置2は、さらに、インタフェース206と、軸制御回路207と、スピンドル制御回路208と、PLC(Programmable Logic Controller)209と、I/Oユニット210とを備えている。
【0020】
インタフェース206は、バス202と入出力装置3とを接続する。インタフェース206は、例えば、CPU201が処理した各種データを入出力装置3に送る。
【0021】
入出力装置3は、インタフェース206を介して各種データを受け、各種データを表示する装置である。また、入出力装置3は、各種データの入力を受け付けてインタフェース206を介して各種データをCPU201に送る。入出力装置3は、例えば、タッチパネルである。入出力装置3がタッチパネルである場合、タッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルである。なお、タッチパネルは、静電容量方式に限らず、他の方式のタッチパネルであってもよい。入出力装置3は、例えば、制御装置2が格納される操作盤(不図示)に取り付けられる。
【0022】
軸制御回路207は、サーボモータ5を制御する回路である。軸制御回路207は、CPU201からの制御指令を受けてサーボモータ5を駆動させるための指令をサーボアンプ4に出力する。軸制御回路207は、例えば、サーボモータ5のトルクを制御するトルクコマンドをサーボアンプ4に送る。
【0023】
サーボアンプ4は、軸制御回路207からの指令を受けて、サーボモータ5に電流を供給する。
【0024】
サーボモータ5は、サーボアンプ4から電流の供給を受けて駆動する。サーボモータ5は、例えば、刃物台を駆動させるボールねじに連結される。サーボモータ5が駆動することにより、刃物台などの産業機械1の構造物は、例えば、X軸方向、Y軸方向、またはZ軸方向に移動する。なお、サーボモータ5は、各送り軸の送り速度を検出する速度検出器(不図示)を内蔵していてもよい。
【0025】
スピンドル制御回路208は、スピンドルモータ7を制御するための回路である。スピンドル制御回路208は、CPU201からの制御指令を受けてスピンドルモータ7を駆動させるための指令をスピンドルアンプ6に出力する。スピンドル制御回路208は、例えば、スピンドルモータ7のトルクを制御するトルクコマンドをスピンドルアンプ6に送る。
【0026】
スピンドルアンプ6は、スピンドル制御回路208からの指令を受けて、スピンドルモータ7に電流を供給する。
【0027】
スピンドルモータ7は、スピンドルアンプ6から電流の供給を受けて駆動する。スピンドルモータ7は、主軸に連結され、主軸を回転させる。
【0028】
PLC209は、ラダープログラムを実行して補助機器8を制御する装置である。PLC209は、I/Oユニット210を介して補助機器8に対して指令を送る。
【0029】
I/Oユニット210は、PLC209と補助機器8とを接続するインタフェースである。I/Oユニット210は、PLC209から受けた指令を補助機器8に送る。
【0030】
補助機器8は、産業機械1に設置され、産業機械1において補助的な動作を行う機器である。補助機器8は、産業機械1の周辺に設置される機器であってもよい。補助機器8は、I/Oユニット210から受けた指令に基づいて動作する。補助機器8は、例えば、工具交換装置、切削液噴射装置、または開閉ドア駆動装置である。次に、制御装置2の機能の一例について説明する。
【0031】
図2は、制御装置2の機能の一例を示すブロック図である。制御装置2は、画像表示部211と、検出部212と、決定部213と、制御部214とを備える。画像表示部211、検出部212、決定部213、および制御部214は、例えば、CPU201が、ROM203に記憶されているシステムプログラムならびに不揮発性メモリ205に記憶されている各種データを用いて演算処理することにより実現される。
【0032】
画像表示部211は、駆動軸の駆動軸情報を示す駆動軸情報画像を表示画面に表示する。駆動軸とは、産業機械1の各部を駆動させるための軸である。駆動軸は、例えば、X軸、Y軸およびZ軸などの送り軸を含む。さらに、駆動軸は、A軸、B軸、C軸などの回転軸を含んでいてもよい。また、駆動軸は、主軸を含んでいてもよい。表示画面は、例えば、入出力装置3の表示画面である。
【0033】
駆動軸情報は、駆動軸の軸名称を含む。また、駆動軸情報は、所定の座標系における各軸の座標値を含む。所定の座標系は、例えば、産業機械1の絶対座標系である。所定の座標系は、産業機械1の機械座標系であってもよい。
【0034】
図3Aは、表示画面に表示された駆動軸情報画像の一例を示す図である。図3Aに示す駆動軸情報画像31は、絶対座標系におけるX軸、Y軸およびZ軸の座標値を示している。
【0035】
なお、図3A中、手を模した図は、駆動軸情報画像31がタッチ操作されることを示すものであり、表示画面30に表示されるものではない。これ以降に説明する図に描かれている手を模した図も同様に、表示画面30に表示されるものではない。
【0036】
検出部212は、表示画面30に対するタッチ操作を検出する。検出部212は、駆動軸情報画像31に対するタッチ操作を検出する。駆動軸情報画像31に対するタッチ操作は、駆動軸情報画像31をタッチする操作だけではなく、駆動軸情報画像31付近をタッチする操作であってもよい。
【0037】
検出部212は、例えば、駆動軸情報画像31に含まれる軸名称を表示する領域またはその付近の領域に対するタッチ操作を検出する。図3Aに示す例では、検出部212は、X軸の名称を示す「X」との文字を表示する領域に対するタッチ操作を検出する。
【0038】
タッチ操作には、タップ操作が含まれる。また、タッチ操作は、長押し操作、またはスライド操作であってもよい。タップ操作は、複数回のタップ操作であってもよい。タッチ操作は、作業者の指による操作である。また、タッチ操作は、タッチペンによる操作であってもよい。
【0039】
画像表示部211は、検出部212が表示画面30に対するタッチ操作を検出した場合、操作画像を表示画面30に表示させる。
【0040】
操作画像は、駆動軸の駆動モードを変更するための画像である。駆動モードとは、駆動軸の設定状態を意味する。つまり、設定される駆動モードに応じて、移動指令に対する駆動軸、および制御装置2の挙動が決まる。駆動モードは、例えば、通常モード、マシンロックモード、ミラーイメージモード、軸取り外しモード、インターロックモード、およびサーボオフモードを含む。
【0041】
通常モードとは、産業機械1が通常の動作を行うときに設定されるモードである。通常モードは、例えば、ワークの加工を行うときに設定されるモードである。
【0042】
マシンロックモードとは、駆動軸の移動をロックして、駆動軸を動作させないモードであり、ロックされた駆動軸の座標値は、機械座標系は更新されずに絶対座標系が更新される。このためマシンロックモードは、例えば、プログラムチェックの際に用いられる。
【0043】
ミラーイメージモードとは、各駆動軸を反転させて動作させるモードである。例えば、駆動軸をX軸のプラス方向に動作させる指令が実行される場合、ミラーイメージモードでは、駆動軸はX軸のマイナス方向に動作する。
【0044】
軸取り外しモードとは、駆動軸が産業機械1から取り外されている状態でもアラームを発しないモードである。つまり、軸取り外しモードでは、対象の駆動軸が制御対象から除外される。例えば、産業機械1の保守作業時において、A軸、B軸などの回転軸が取り外された状態で、X軸、Y軸およびZ軸の動作確認をする場合に軸取り外しモードは用いられる。
【0045】
インターロックモードとは、装置間の動作を相互に関連させて安全性を確保するモードである。インターロックモードでは、例えば、開閉扉が閉状態になっている場合にのみ、駆動軸が動作する。
【0046】
サーボオフモードとは、対象の駆動軸を駆動するサーボモータへの通電をしないモードである。サーボオフモードでは、対象の駆動軸がフリーの状態となる。例えば、X軸がサーボオフモードに設定された場合、テーブルを手で押すことによってテーブルをX軸に沿って移動させることができる。
【0047】
画像表示部211は、操作画像とともに、軸特定画像を表示画面30に表示させる。軸特定画像は、モード変更の対象となる駆動軸を特定する画像である。
【0048】
図3Bは、操作画像および軸特定画像の一例を示す図である。操作画像32は、駆動軸情報画像31に隣接させて表示される。言い換えれば、画像表示部は、操作画像と駆動軸情報画像31とを並べて表示させる。この場合、操作画像と駆動軸情報画像31とは、一部が重なって表示されてもよい。また、操作画像の1つの端部と駆動軸情報画像31の1つの端部とが接触するように表示されてもよい。また、操作画像と駆動軸情報画像31とは、離れて表示されてもよい。操作画像32には、設定モード表示領域321、および候補画像表示領域322が含まれる。
【0049】
設定モード表示領域321は、現在設定されている駆動モードを示す画像が表示される領域である。図3Bに示す例では、設定モード表示領域321には、通常モードを示す「通常状態」との文字が表示されている。これにより、作業者は、現在設定されている駆動モードが通常モードであることを認識することができる。なお、設定モード表示領域321に「通常状態」との文字が表示されている場合、設定モード表示領域321の背景は、例えば、白色で表示される。
【0050】
候補画像表示領域322は、設定される駆動モードの候補を示す画像が表示される領域である。候補画像表示領域322には、駆動モードの種類を示す1または複数の画像が表示される。候補画像表示領域322は、例えば、設定モード表示領域321の下方に配置される。
【0051】
図3Bに示す例では、候補画像表示領域322には、マシンロックモードを示す「マシンロック」との文字、ミラーイメージモードを示す「ミラーイメージ」との文字、および軸取り外しモードを示す「軸取り外し」との文字が表示されている。このとき、候補画像表示領域322の背景は、例えば、灰色で表示される。
【0052】
軸特定画像33は、モード変更の対象となる駆動軸を特定する画像である。図3Bに示す例では、軸特定画像33は、駆動軸情報画像31の「X」の位置から水平方向左側に延びる線分である。これにより、作業者は、モード変更の対象となる駆動軸がX軸であることを認識することができる。
【0053】
検出部212は、候補画像表示領域322に表示された画像に対するタッチ操作を検出する。検出部212が検出するタッチ操作は、例えば、長押し操作、タップ操作、またはスライド操作である。
【0054】
図3Cは、候補画像表示領域322に表示された画像に対するタッチ操作の一例を示す図である。図3Cに示す例は、「軸取り外し」との文字に対して長押し操作がされていることを示している。画像表示部211は、例えば、候補画像表示領域322に表示された画像がタッチされると、候補画像表示領域322の背景を灰色から黄色に変更する。
【0055】
画像表示部211は、画像がタッチされた状態で所定時間が経過した後に、指が表示画面30から離されると、タッチされた画像を設定モード表示領域321に表示させる。つまり、検出部212が候補画像表示領域322に表示された画像への長押し操作を検出すると、画像表示部211はタッチされた画像を設定モード表示領域321に表示させる。
【0056】
図3Dは、操作画像32および駆動軸情報画像31の一例を示す図である。図3Dは、候補画像表示領域322に表示された画像に対して長押し操作がされた後の操作画像32および駆動軸情報画像31を示している。作業者によって長押しされた「軸取り外し」の文字は設定モード表示領域321に表示される。一方、通常モードを示す「通常状態」の文字は、候補画像表示領域322に表示される。
【0057】
画像表示部211は、設定モード表示領域321に表示された画像を強調表示する。強調表示は、タッチ操作された画像とタッチ操作されていない画像とが区別される表示態様であればよい。画像表示部211は、例えば、設定モード表示領域321に表示された画像の背景を緑色で表示する。これにより、設定された駆動モードを作業者に容易に認識させることができる。
【0058】
また、画像表示部211は、設定された駆動モードが、通常モード以外の駆動モードである場合、通常モード以外のモードに設定された駆動軸の軸名称および座標値を強調表示する。画像表示部211は、駆動軸の軸名称および座標値の背景を緑色で表示する。
【0059】
決定部213は、操作画像32に対する操作に基づいて駆動モードを決定する。決定部213は、検出部212によって検出された表示画面30に対するタッチ操作に基づいて、設定する駆動モードを決定する。例えば、図3Cおよび図3Dに示すように、検出部212によって「軸取り外し」との文字に対する長押し操作、すなわち、軸取り外しモードの選択操作が検出された場合、決定部213は、駆動モードを軸取り外しモードに設定することを決定する。
【0060】
制御部214は、決定部213によって決定された駆動モードに基づいて駆動軸を制御する。例えば、駆動モードが通常モードに設定されている場合、制御部214は、駆動軸に対する指令に基づいて、駆動軸を動作させる。また、駆動モードがマシンロックモードに設定されている場合、制御部214は、駆動軸に対する指令が実行されたとしても、駆動軸を動作させない。
【0061】
駆動モードが再び通常モードに設定される場合は、候補画像表示領域322に表示された「通常状態」との文字に対するタッチ操作が行なわれる。
【0062】
図3Eは、候補画像表示領域322に表示された画像に対する操作の一例を示す図である。図3Eは、「通常状態」との文字に対してタッチ操作がされていることを示している。画像表示部211は、「通常状態」との文字がタッチされると、候補画像表示領域322の背景を灰色から黄色に変更する。
【0063】
画像表示部211は、「通常状態」との文字がタッチされた状態で所定時間が経過した後に、指が表示画面30から離されると、タッチされた「通常状態」との文字を設定モード表示領域321に表示させる。つまり、検出部212が「通常状態」との文字に対する長押し操作を検出すると、画像表示部211はタッチされた「通常状態」との文字を設定モード表示領域321に表示させる。
【0064】
図3Fは、操作画像32および駆動軸情報画像31の一例を示す図である。図3Fは、「通常状態」との文字に対して長押し操作がされた後の操作画像32および駆動軸情報画像31を示している。作業者によって長押し操作された「通常状態」との文字は設定モード表示領域321に表示される。一方、「軸取り外し」との文字は、候補画像表示領域322に表示される。
【0065】
画像表示部211は、「通常状態」との文字を設定モード表示領域321に表示する場合、設定モード表示領域321の背景を白色で表示する。また、画像表示部211は、「軸取り外し」との文字を候補画像表示領域322に表示する場合、「軸取り外し」との文字の強調表示を解除する。つまり、画像表示部211は、候補画像表示領域322に表示された「軸取り外し」との文字の背景を灰色に戻す。また、画像表示部211は、駆動軸の軸名称および座標値の背景を灰色に戻す。
【0066】
決定部213は、操作画像32に対する消去操作がされた場合、または、操作画像32に対する操作が所定時間ない場合、操作画像32を非表示にすると決定する。
【0067】
図3Gは、操作画像32に対する操作の一例を説明する図である。操作画像32に対する消去操作がされた場合、決定部213は操作画像32を非表示にすると決定する。消去操作は、例えば、フリック操作である。これにより、画像表示部211は、表示画面30から軸特定画像33とともに操作画像32を消去する。フリック操作の方向は、いずれの方向であってもよい。なお、フリック操作とは、表示画面30上において指を素早く動かす操作、または表示画面30を弾く操作である。また、操作画像32に対する操作が、例えば、20秒間ない場合、決定部213は、操作画像32を非表示にすると決定する。
【0068】
次に、制御装置2が駆動モードを変更するときに実行する処理の流れについて説明する。
【0069】
図4は、制御装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御装置2では、まず、画像表示部211が、表示画面30に駆動軸情報画像31を表示させる(ステップS1)。
【0070】
次に、作業者が表示画面30に対するタッチ操作を行った場合、検出部212が、表示画面30に対するタッチ操作を検出する(ステップS2)。このとき、検出部212は、例えば、駆動軸情報画像31に対するタッチ操作を検出する。
【0071】
検出部212が表示画面30に対するタッチ操作を検出すると、画像表示部211が操作画像32を表示画面30に表示させる(ステップS3)。
【0072】
作業者が操作画像32に対するタッチ操作を行った場合、検出部212が、操作画像32に対するタッチ操作を検出する(ステップS4)。
【0073】
次に、決定部213が、検出部212が検出した操作画像32に対するタッチ操作に基づいて、駆動モードを決定する(ステップS5)。
【0074】
次に、制御部214は、決定部213が決定した駆動モードに基づいて、駆動軸を制御する(ステップS6)。
【0075】
駆動モードを決定する操作が終了すると、画像表示部211は、操作画像32を消去する(ステップS7)。画像表示部211は、例えば、操作画像32に対するタッチ操作が所定時間ない場合、操作画像32を消去する(ステップS7)。
【0076】
以上説明したように、制御装置2は、駆動軸の駆動モードを変更するための操作画像32を表示画面30に表示させる画像表示部211と、操作画像32に対する操作に基づいて駆動モードを決定する決定部213と、決定部213によって決定された駆動モードに基づいて駆動軸を制御する制御部214と、を備える。
【0077】
したがって、制御装置2の操作盤には駆動軸の駆動モードを設定するための専用のスイッチを設ける必要がなく、制御装置2のコストを抑えることができる。また、操作盤の部品点数を減らすことができ、操作盤の組み立てが容易になるとともに、操作盤の組立時間を減らすことができる。また、操作画像32の表示態様などの設計変更を容易にすることができる。この場合、例えば、産業機械1のモデルに合わせて表示態様を設計することができる。
【0078】
また、表示画面30に対するタッチ操作を検出する検出部212をさらに備え、検出部212がタッチ操作を検出した場合、画像表示部211が操作画像32を表示画面30に表示させる。したがって、駆動モードの変更のための操作が必要なときだけ操作画像32を表示画面30に表示させることができる。つまり、表示画面30が情報過多になることを防ぎ、表示画面30に対する視認性を向上させることができる。
【0079】
また、画像表示部211は、さらに、駆動軸の駆動軸情報を示す駆動軸情報画像31を表示し、検出部212が駆動軸情報画像31に対するタッチ操作を検出した場合、画像表示部211が操作画像32を表示画面30に表示させる。また、画像表示部211は、操作画像32を駆動軸情報画像31に隣接させて表示させる。したがって、作業者は、駆動軸情報画像31と操作画像32とを同時に視認することができる。あるいは、作業者は、駆動軸情報画像31と操作画像32との間で視線を大きく動かす必要がない。そのため、駆動軸の駆動モードの設定操作における作業者の負担を軽減することができる。
【0080】
また、画像表示部211は、決定部213が決定した駆動モードに基づいて、駆動軸情報画像31の表示態様を変更する。したがって、作業者は、設定された駆動モードを容易に認識することができる。
【0081】
また、決定部213は、操作画像32に対する消去操作がされた場合、または、操作画像32に対する操作が所定時間ない場合、操作画像32を非表示にすると決定する。したがって、表示画面30には、必要な情報のみを表示せることができる。すなわち、表示画面30が情報過多になることを防ぐことができる。
【0082】
また、決定部213は、駆動モードを、通常モード、マシンロックモード、ミラーイメージモード、軸取り外しモード、インターロックモード、およびサーボオフモードのうち少なくともいずれかに決定する。したがって、複数の駆動モードを設定するためのスイッチを操作盤に設ける必要がなく、操作盤の製造コストを削減することができる。また、操作盤の操作性も向上する。
【0083】
また、操作画像32は、駆動軸を特定する軸特定画像33、および駆動モードの候補を示す画像を含む。また、決定部213は、候補を示す画像に対する操作に基づいて、駆動軸の駆動モードを決定する。したがって、作業者は、操作画像32がどの駆動軸の駆動モードを変更するための画像であるかを容易に認識することができる。また、駆動モードの設定操作を容易にすることができる
【0084】
上述した実施形態では、操作画像32に対する操作に基づいて、1つの駆動モードが設定される。しかし、操作画像32に対する操作に基づいて複数の駆動モードが設定されるようにしてもよい。
【0085】
図5Aは、操作画像32に対する操作の一例を示す図である。図5Aは、「マシンロック」との文字および「ミラーイメージ」との文字が同時にタッチされていることを示している。
【0086】
画像表示部211は、「マシンロック」との文字および「ミラーイメージ」との文字がタッチされるとこれらの文字の背景を、例えば、灰色から黄色に変更する。
【0087】
画像表示部211は、「マシンロック」との文字および「ミラーイメージ」との文字がタッチされた状態で所定時間が経過した後に、指が表示画面30から離れると、タッチされた「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字を設定モード表示領域321に表示させる。つまり、検出部212が「マシンロック」との文字および「ミラーイメージ」との文字に対する長押し操作を検出すると、画像表示部211はタッチされた「マシンロック」との文字および「ミラーイメージ」との文字を設定モード表示領域321に表示させる。
【0088】
図5Bは、操作画像32および駆動軸情報画像31の一例を示す図である。図5Bは、「マシンロック」との文字および「ミラーイメージ」との文字に対して長押し操作がされた後の操作画像32および駆動軸情報画像31を示す。作業者によって長押し操作された「マシンロック」との文字および「ミラーイメージ」との文字は設定モード表示領域321に表示される。一方、「通常状態」との文字は、候補画像表示領域322に表示される。
【0089】
画像表示部211は、設定モード表示領域321に表示された画像を強調表示する。強調表示は、タッチ操作された画像とタッチ操作されていない画像とが区別される表示態様であればよい。画像表示部211は、例えば、設定モード表示領域321に表示された画像の背景を緑色で表示する。これにより、設定された駆動モードを作業者に容易に認識させることができる。
【0090】
また、画像表示部211は、設定された駆動モードが、通常モード以外の駆動モードである場合、通常モード以外のモードに設定された駆動軸の軸名称および座標値を強調表示する。画像表示部211は、駆動軸の軸名称および座標値の背景を緑色で表示する。
【0091】
決定部213は、操作画像32に対する操作に基づいて駆動モードを決定する。決定部213は、検出部212によって検出された表示画面30に対するタッチ操作に基づいて、設定する駆動モードを決定する。例えば、図5Aおよび図5Bに示すように、検出部212によって「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字に対するタッチ操作が検出された場合、決定部213は、駆動モードをマシンロックモードおよびミラーイメージモードに設定することを決定する。
【0092】
なお、駆動モードが再び通常モードに設定される場合は、候補画像表示領域322に表示された「通常状態」との文字に対するタッチ操作が行なわれる。
【0093】
図5Cは、操作画像32に対する操作の一例を示す図である。図5Cは、「通常状態」との文字に対するタッチ操作が行われたことを示している。画像表示部211は、「通常状態」との文字がタッチされると、候補画像表示領域322の背景を、例えば、灰色から黄色に変更する。
【0094】
画像表示部211は、「通常状態」との文字がタッチされた状態で所定時間が経過した後に、指が表示画面30から離れると、タッチされた「通常状態」との文字を設定モード表示領域321に表示させる。つまり、検出部212が「通常状態」との文字に対する長押し操作を検出すると、画像表示部211はタッチ操作された「通常状態」との文字を設定モード表示領域321に表示させる。
【0095】
図5Dは、操作画像32および駆動軸情報画像31の一例を示す図である。図5Dは、「通常状態」との文字に対して長押し操作がされた後の操作画像32および駆動軸情報画像31を示す。作業者によって長押し操作された「通常状態」との文字は設定モード表示領域321に表示される。一方、「マシンロック」との文字および「ミラーイメージ」との文字は、候補画像表示領域322に表示される。
【0096】
画像表示部211は、「通常状態」との文字を設定モード表示領域321に表示する場合、設定モード表示領域321の背景を、例えば、白色で表示する。また、画像表示部211は、「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字を候補画像表示領域322に表示する場合、「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字の強調表示を解除する。つまり、画像表示部211は、候補画像表示領域322に表示された「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字の背景を灰色に戻す。
【0097】
上述した実施形態では、駆動軸情報画像31に対する操作に基づいて、1つの駆動軸の駆動モードが変更される。しかし、駆動軸情報画像31に対する操作に基づいて複数の駆動軸の駆動モードが変更されるようにしてもよい。
【0098】
図6Aは、駆動軸情報画像31の一例を示す図である。検出部212は、駆動軸情報画像31のうち駆動軸の名称を示す部分に対するタッチ操作を検出する。検出部212は、例えば、駆動軸の名称を表示する複数の領域に対するタッチ操作を検出する。複数の領域に対するタッチ操作は、例えば、X軸およびY軸の名称をそれぞれ示す「X」および「Y」と文字が表示されている領域に対して、2本の指で同時にタップする操作である。
【0099】
X軸およびY軸に同じ駆動モードが設定されている状態で、検出部212が「X」および「Y」との文字に対するタッチ操作を検出した場合、画像表示部211は、操作画像32および軸特定画像33を表示画面30に表示させる。
【0100】
図6Bは、操作画像32および軸特定画像33の一例を示す図である。図6Bに示す例では、X軸およびY軸は、ともに、通常モードに設定されている。
【0101】
軸特定画像33は、モード変更の対象となる駆動軸を特定する。図6Bに示す例では、軸特定画像33は、駆動軸情報画像31の「X」および「Y」との文字の位置からそれぞれ水平方向左側に延び、設定モード表示領域321に接続する線である。検出部212は、候補画像表示領域322に表示された画像に対するタッチ操作を検出する。
【0102】
図6Cは、操作画像32に対する操作の一例を示す図である。図6Cは、「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字が同時にタッチされていることを示している。画像表示部211は、「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字がタッチされるとこれらの文字の背景を、例えば、灰色から黄色に変更する。
【0103】
画像表示部211は、「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字がタッチされた状態で所定時間が経過した後に、指が表示画面30から離されると、タッチされた「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字を設定モード表示領域321に表示させる。つまり、検出部212が「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字に対する長押し操作を検出すると、画像表示部211はタッチされた「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字を設定モード表示領域321に表示させる。
【0104】
図6Dは、操作画像32および軸特定画像33の一例を示す図である。図6Dは、「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字に対して長押し操作がされた後の操作画像32および駆動軸情報画像31を示す。作業者によって長押し操作された「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字は設定モード表示領域321に表示される。一方、「通常状態」との文字は、候補画像表示領域322に表示される。
【0105】
画像表示部211は、設定モード表示領域321に表示された画像を強調表示する。画像表示部211は、例えば、設定モード表示領域321に表示された画像の背景を緑色で表示する。
【0106】
また、画像表示部211は、設定された駆動モードが、通常モード以外の駆動モードである場合、通常モード以外のモードに設定された駆動軸の軸名称および座標値を強調表示する。図6Dに示す例では、X軸およびY軸の軸名称および座標値がそれぞれ強調表示されている。検出部212によって「マシンロック」および「ミラーイメージ」との文字に対するタッチ操作が検出された場合、決定部213は、駆動モードをマシンロックモードおよびミラーイメージモードに変更することを決定する。
【0107】
決定部213は、操作画像32に対する消去操作がされた場合、または、操作画像32に対する操作が所定時間ない場合、操作画像32を非表示にすると決定する。


【0108】
図6Eは、駆動軸情報画像31の一例を示す図である。上述したように、X軸およびY軸の駆動モードが通常モード以外の駆動モードに設定されている場合、駆動軸情報画像31におけるX軸およびY軸の軸名称および座標値の表示領域の強調表示は維持される。つまり、操作画像32が消去されても、画像表示部211は、駆動軸情報画像31における強調表示を維持する。これにより、作業者は、X軸およびY軸の駆動モードが、通常モード以外のモードに設定されていることを容易に認識することができる。
【0109】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本開示では、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 産業機械
2 制御装置
201 CPU
202 バス
203 ROM
204 RAM
205 不揮発性メモリ
206 インタフェース
207 軸制御回路
208 スピンドル制御回路
209 PLC
210 I/Oユニット
211 画像表示部
212 検出部
213 決定部
214 制御部
3 入出力装置
30 表示画面
31 駆動軸情報画像
32 操作画像
321 設定モード表示領域
322 候補画像表示領域
33 軸特定画像
4 サーボアンプ
5 サーボモータ
6 スピンドルアンプ
7 スピンドルモータ
8 補助機器
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E