(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】エラストマー、充填剤および架橋剤を含む複合材の調製方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/20 20060101AFI20250304BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20250304BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20250304BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20250304BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20250304BHJP
C08L 15/00 20060101ALI20250304BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20250304BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20250304BHJP
C08K 5/405 20060101ALI20250304BHJP
C08K 5/36 20060101ALI20250304BHJP
C08K 5/42 20060101ALI20250304BHJP
C08K 5/18 20060101ALI20250304BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20250304BHJP
C08K 3/20 20060101ALI20250304BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20250304BHJP
B29B 7/10 20060101ALI20250304BHJP
B29B 7/28 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
C08J3/20 D CEQ
C08L21/00
C08L7/00
C08L9/00
C08L9/06
C08L15/00
C08K3/04
C08K3/013
C08K5/405
C08K5/36
C08K5/42
C08K5/18
C08K3/36
C08K3/20
C08K3/26
B29B7/10
B29B7/28
(21)【出願番号】P 2023534621
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 US2021062433
(87)【国際公開番号】W WO2022125679
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-08-01
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521529592
【氏名又は名称】ビヨンド ロータス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】プラチー エー.ダーバル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ディー.モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ポール エス.パランボ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ボーリュー
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-062154(JP,A)
【文献】国際公開第2018/070070(WO,A1)
【文献】特開2018-062613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105652(US,A1)
【文献】特開2019-089901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0144640(US,A1)
【文献】特表2018-528283(JP,A)
【文献】特表2018-524450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28;99/00
B29B 7/00-11/14
B29B 13/00-15/06
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む複合材の調製方法であって、
(a)ミキサーに、少なくとも固体エラストマー
、および湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも20質量%の量で存在する液体と
カーボンブラックとを含む湿潤充填剤、ならびに架橋剤を充填する工程
であって、前記湿潤充填剤が、粉末、ペースト、ペレットまたはケーキの形態である、工程、
(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、前記少なくとも固体エラストマー、前記湿潤充填剤、および前記架橋剤を混合して、混合物を形成させ、そしてその混合物から前記液体の少なくとも1部を、蒸発によって、除去する工程、ならびに、
(c)前記ミキサーから、前記エラストマー中に少なくとも20phrの充填量で分散された前記充填剤を含む前記複合材を排出する工程、ここで前記複合材は、前記複合材の全質量を基準として10質量%以下の液体含有量を有している、
ここで、前記架橋剤は、少なくとも2つの官能基を有する化合物から選択され、
第1の官能基は、-N(R
1)(R
2)、-N(R
1)(R
2)(R
3)
+A
-、-S-SO
3M
1ならびに式(I)および式(II)によって表される構造から選択され、
【化1】
式中、A
-は、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ナイトレートまたはアセテートであり、X=NH、O、またはS、Y=H、OR
4、NR
4R
5、-S
nR
4、そしてnは1~6から選択される整数である、そして、
第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO
3M
2、-S
x-R
6、-SH、-C(R
6)=C(R
7)-C(O)R
8、-C(R
6)=C(R
7)-CO
2R
8、-C(R
6)=C(R
7)-CO
2M
2から選択され、そして、
R
1~R
8は、それぞれ独立して、HおよびC
1~C
8アルキルから選択され、そしてM
1およびM
2は、それぞれ独立して、H、Na
+、K
+、Li
+、N(R’)
4
+から選択され、そこでそれぞれのR’は、独立して、HおよびC
1~C
20アルキルから選択され、そしてxは、1~8から選択される整数である、
を含んでなる、複合材の調製方法。
【請求項2】
前記架橋剤が、前記第1および第2の官能基の間に少なくとも1種のスペーサを更に含み、前記少なくとも1種のスペーサが、-(CH
2)
n-、-(CH
2)
yC(O)-、-C(R
9)=C(R
10)-、-C(O)-、-N(R
9)-、および-C
6H
4-から選択され、ここでR
9およびR
10は、それぞれ独立してHおよびC
1~C
8アルキルから選択され、そしてyは1~10から選択される整数である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記架橋剤が、チオ尿素、シスタミン、ならびに式(1)、式(2)、および式(3)の化合物、
【化2】
から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
M
1およびM
2が、それぞれ独立してH、Na
+、およびN(R′)
4
+から選択され、そしてR
6およびR
7が、独立してHおよびC
1~C
6アルキルから選択される、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記架橋剤が、式(1)の化合物から選択され、そしてR
6およびR
7がそれぞれHである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記架橋剤が、ナトリウム(2Z)-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエートである、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記充填する工程が、前記ミキサーに前記架橋剤と前記湿潤充填剤を別々に充填することを含む、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記充填する工程が、前記固体エラストマー、前記湿潤充填剤、および/または前記架橋剤の複数の添加を含む、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記方法が、前記ミキサーが、65℃以上の温度
、T
z
に設定された少なくとも1つの温度制御手段を有している前記混合工程を実施することを含む、請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記方法が、前記混合工程を、前記ミキサーの1つもしくは2つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%に亘って少なくとも0.6m/秒の先端速度で運転されて、行うことを含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記湿潤充填剤が、炭素質材料、シリカ、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、またはそれらの組み合わせ、ならびにそのコーティングおよび処理された材料から選択される少なくとも1種の材料を更に含む、請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記湿潤充填剤が、シリカを更に含む、請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記湿潤充填剤が、湿潤充填剤の全質量を基準として20質量%~80質量%の範囲の量で存在する液体を有する、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記固体エラストマーが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~
13はのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記固体エラストマーが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~
13のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
加硫物を調製する方法であって、請求項1~
15のいずれか1項記載の方法によって調製された前記複合材を、少なくとも1種の硬化剤の存在で、硬化して前記加硫物を形成することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤を混合することによる複合材の調製方法が開示されている。また、本方法によって作られた複合材およびそれらの複合材から誘導される対応する加硫物が開示されている。
【背景技術】
【0002】
ゴム産業においては、充填剤をエラストマー中に分散させる方法を開発することの要求が常にあり、そして充填剤の分散の品質、時間、労力および/または費用についてそのようにすることができる方法を開発することが特に望ましい。
【0003】
商業的に重要な多くの製品がエラストマー複合材として形成されており、補強用充填剤が種々の合成エラストマー、天然エラストマーまたはエラストマー混合物のいずれかに分散されている。カーボンブラックおよびシリカが、例えば、天然ゴムおよび他のエラストマーを補強するのに広範に用いられている。マスターバッチを生成するのが通例であり、それは、補強用充填剤、エラストマー、および種々の任意の添加剤、例えばエクステンダー油の予備混合物である。そのようなマスターバッチは、次いでプロセス添加剤および硬化添加剤と配合されて、硬化によって、商業的に重要な数々の製品を生成させる。そのような製品としては、例えば、車両用の空気入りのおよび空気入りでないもしくはソリッドタイヤが挙げられ、キャップとベースを含むトレッド部分、アンダートレッド、インナーライナー、サイドウォール、ワイヤースキム、カーカスなどを含んでいる。他の製品としては、例えば、エンジンマウント、コンベヤベルト、風防ガラスワイパー、航空宇宙および船舶装置用のゴム部品、車両の踏面要素、シール、ライナー、ガスケット、ホイール、バンパー、防振システムなどが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充填剤を固体エラストマーに混合する多くの方法があるけれども、エラストマー複合材マスターバッチから、許容でき、そして高められたエラストマー複合材の分散品質および機能性を得る新規な方法への継続した要求が存在しており、それらは対応する加硫されたゴムコンパウンドおよびゴム物品の許容できる、または高められた性質へと転換される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様は、以下の工程を含む複合材の調製方法である。
(a)ミキサーに、少なくとも固体エラストマー、カーボンブラックと湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも20質量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤、ならびに架橋剤を充填する工程、
(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤を混合して混合物を形成し、そして液体の少なくとも一部をその混合物から蒸発によって除去する工程、ならび、
(c)ミキサーから、エラストマー中に少なくとも20phrの充填量で分散された充填剤を含む複合材を排出する工程、この複合材は、その複合材の全質量を基準として10質量%以下の液体含有量を有している、
ここで、架橋剤は、少なくとも2つの官能基を有する化合物から選択され、
第1の官能基は、-N(R
1)(R
2),-N(R
1)(R
2)(R
3)
+A
-,-S-SO
3M
‘、ならびに式(I)および式(II)によって表される構造から選択され、
【化1】
式中、Aは、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ナイトレートまたはアセテート、X=NH、O、またはS、Y=H、OR
4、NR
4R
5、-S
nR
4であり、そしてnは1~6の整数であり、そして、
第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO
3M
2、-S
x-R
6、-SH、-C(R
6)=C(R
7)-C(O)R
8、-C(R
6)=C(R
7)-CO
2R
8、-C(R
6)=C(R
7)-CO
2M
2から選択され、そして、
R
1~R
8は、それぞれ独立して、HおよびC
1~C
8アルキルから選択され、M
1およびM
2は、それぞれ独立して、H、Na
+、K
+、Li
+、N(R’)
4
+から選択され、ここでそれぞれのR’は、独立してHおよびC
1~C
20アルキルから選択され、そしてxは、1~8から選択される整数である。
【0006】
他の態様は、以下の工程を含む複合材の調製方法である。
(a)第1のミキサーに、少なくとも固体エラストマーならびに、カーボンブラックと、湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも20質量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤を充填する工程、
(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマーおよび湿潤充填剤を混合して混合物を形成し、そして液体の少なくとも一部をその混合物から蒸発によって除去する工程、
(c)第1のミキサーから、エラストマー中に少なくとも20phrの充填量で分散された充填剤を含む混合物を排出する工程、この混合物は、工程(b)の開始時における液体含有量よりも少ない量に低減されている液体含有量を有しており、そしてこの混合物は100℃~180℃の範囲の材料温度を有しており、
(d)(c)からの混合物を、第2のミキサー中で混合して複合材を得る工程、ならびに、
(d)第2のミキサーから、その複合材の全質量を基準として3質量%未満の液体含有量を有する複合材を排出する工程、
ここで、架橋剤が、第1のミキサー、第2のミキサー、または第1および第2のミキサーの両方に充填され、架橋剤は、少なくとも2つの官能基を有する化合物から選択され、
ここで、第1の官能基は、-N(R
1)(R
2)、-N(R
1)(R
2)(R
3)
+A
、-S-SO
3M
1
、および式(I)および式(II)によって表される構造から選択され、
【化2】
式中、Aは、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ニトレートまたはアセテート、X=NH、O、またはS、Y=H、OR
4、NR
4R
5、-S
nR
4、そしてnは1~6から選択される整数、そして、
第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO
3M
2、-S
x-R
6、-SH、-C(R
6)=C(R
7)-C(O)R
8、-C(R
6)=C(R
7)-CO
2R
8、-C(R
6)=C(R
7)-CO
2M
2から選択され、そして、
R
1~R
8は、それぞれ独立して、HおよびC
1~C
8アルキルから選択され、M
1およびM
2は、それぞれ独立して、H、Na
+、K
+、Li
+、N(R’)
4
+から選択され、ここでそれぞれのR’は、独立してHおよびC
1~C
20アルキルから選択され、そしてxは、1~8から選択される整数である。
【0007】
他の態様は、加硫物を調製する方法であり、ここに開示された方法のいずれかによって調製された複合材を、少なくとも1種の硬化剤の存在において、硬化して、加硫物を形成することを含んでいる。他の態様は、それから形成される複合材、加硫剤および物品である。
【0008】
ここに開示されるいずれかの態様、方法、または実施態様に関して、該当する場合、本方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる:架橋剤は、第1と第2の官能基の間に少なくとも1つのスペーサを更に含んでおり、ここでその少なくとも1つのスペーサは、-(CH2)n-、-(CH2)yC(O)-、-C(R9)=C(R10)-、-C(O)-、-N(R9)-、および-C6H4-から選択され、ここでR9およびR10は、それぞれ独立してHおよびC1~C8アルキルから選択され、そしてyは1~10から選択される整数であり、架橋剤はチオ尿素、シスタミン、および式(1)、式(2)および式(3)の化合物から選択され、
H2N-Ar-N(H)-C(O)-C(R6)=C(R7)-CO2M2 (1)
H2N-(CH2)n-SSO3M2 (2)
M1O3S-S-(CH2)n-S-SO3M2 (3)
ここで、M1およびM2は、それぞれ独立して、H、Na+、およびN(R’)4
+から選択され、そしてR7は、独立して、HおよびC1~C6アルキルから選択され、架橋剤は、式(1)の化合物から選択され、そしてR6およびR7は、それぞれHであり、架橋剤はナトリウム(2Z)-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエートである。
【0009】
ここに開示されるいずれかの態様、または方法、または実施態様に関して、該当する場合、本方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる:充填する工程が、ミキサーに架橋剤と湿潤充填剤の別々の充填量を充填することを含む;充填する工程が、固体エラストマー、湿潤充填剤および/または架橋剤の複数の添加を含む;前記の混合工程が、1つの混合工程で行われる;前記の混合工程が、2つもしくは3つ以上の混合工程で行われる;(b)における混合が第2の混合工程である、ここで第1の混合工程が、固体エラストマーの少なくとも1部と湿潤充填剤の少なくとも1部とを混合して、次いでミキサーに架橋剤を充填することを含む;(a)における充填が、ミキサーに架橋剤と湿潤充填剤を含む混合物を充填することを含む;(a)における充填が、ミキサーに架橋剤と湿潤充填剤を含む共ペレット(co-pellet)を充填することを含む;混合工程の少なくとも1つにおいて、本方法は、ミキサーが、65℃以上の温度、Tzに設定された少なくとも1つの温度制御手段を有する混合を行うことを含む;混合工程の少なくとも1つにおいて、本方法は、少なくとも50%の混合時間に亘って少なくとも0.6m/sの先端速度で運転されるミキサーの1つもしくは2つ以上のローターで混合を行うことを含む;結果としての、混合のための全体の比エネルギーが少なくとも1300kJ/kg複合材である。
【0010】
ここに開示されるいずれかの態様または方法または実施態様に関して、該当するならば、本方法は、1つもしくは2つ以上の以下の態様を更に含むことができる;湿潤充填剤は、炭素質材料、シリカ、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、グラフェン酸化物、還元型グラフェン酸化物、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、またはそれらの組み合わせ、およびそれらのコーティングされた、そして処理ざれた材料から選択される少なくとも1種の材料を更に含む;湿潤充填剤はシリカを更に含む;湿潤充填剤は、湿潤充填剤の全質量を基準として20質量%~80質量%の範囲の量で存在する液体を含む;湿潤充填剤は、粉末、ペースト、ペレットまたはケーキの形態である。
【0011】
ここに開示されるいずれかの態様または方法または実施態様に関して、該当するならば、本方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる:固体エラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、官能化スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択される;固体エラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、官能化スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、およびそれらの混合物から選択される。
【0012】
ここに開示されるいずれかの態様または方法または実施態様に関して、該当するならば、本方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる:1つもしくは2つ以上の混合工程が、連続プロセスである;1つもしくは2つ以上の混合工程が、バッチプロセスである。
【0013】
ここに開示されるいずれかの態様または方法または実施態様に関して、該当するならば、本方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる:本方法は、複合材をエージングして、エージングした複合材を形成することを更に含んでいる;複合材が少なくとも20℃の温度で少なくとも5日間に亘ってエージングされた;複合材が少なくとも40℃の温度で少なくとも1日間に亘ってエージングされた;エージングされた複合材から調製された加硫物が、エージングされなかった複合材から調製された加硫物の値の10%以下しか増加しない最大のtanδを有している;エージングされた複合材から調製された加硫物が、エージングされなかった複合材から調製された加硫物の価の10%以下しか増加しないペイン効果を有している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここに開示されるのは、一部では、固体エラストマーを湿潤充填剤と混合することによって複合材を調製する、または形成する方法である。また、ここに開示されているのは、一部では、それから形成された複合材、加硫物および物品である。
【0015】
充填剤をエラストマーと混合する場合には、混合物中のエラストマーが高温を経験し、そして分解する前に、十分な充填剤の混合と分散を確実にするのに十分に長い混合時間を確実にすることが課題である。典型的な乾式混合方法では、混合時間および温度は、そのような分解を回避するように制御され、そして充填剤の混合と分散を最適化することはしばしば可能ではない。
【0016】
PCT公開WO2020/247663には、バッチ時間および温度が、既知の乾式混合プロセスで達成できるものを超えて制御されることを確実にする固体エラストマーと湿潤充填剤(例えば、充填剤と液体を含む)との混合プロセスが記載されており、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。他の利点、例えば充填剤の分散を促進すること、および/またはゴム-充填剤の相互作用を促進すること、および/または常法で混合されたマスターバッチと比較して、それらが配合され、そして加硫された場合よりも、ゴムコンパウンド特性が向上すること、を得ることができる。少なくとも1つもしくは2つ以上の性質、例えば300%伸びの引張応力の100%伸びの応力に対する比(M300/M100)、および60℃で測定されたタンジェントデルタ(tanδ)を向上させることができる。より高いM300/M100値は、向上したタイヤ耐摩耗性に関連すると考えられ、そしてより低いtanδ値は、タイヤの向上したエネルギー効率に関連すると考えられる。
【0017】
ここに開示されているのは、固体エラストマーとの混合プロセスにおいて湿潤充填剤の使用を組み込む、そして架橋剤を更に混合する方法である。ここに開示された方法によって形成される複合材は、充填剤およびエラストマーの硬化されていない混合物であると考えることができる。形成される複合材は、混合物またはマスターバッチと考えることができる。形成される複合材は、選択肢として、続いて起こるゴムコンパウンドおよび1つもしくは2つ以上の加硫プロセスにおいて用いることができる中間製品であることができる。コンパウンディングおよび加硫の前の複合材もまた、更なるプロセス、例えば1つもしくは2つ以上の保持工程(holding steps)又は更なる混合工程、1つもしくは2つ以上の更なる乾燥工程、1つもしくは2つ以上の押出工程、1つもしくは2つ以上のカレンダー工程、1つもしくは2つ以上の摩砕工程、1つもしくは2つ以上の粒状化工程、1つもしくは2つ以上のベール化工程、1つもしくは2つ以上の2軸スクリュー排出押出工程、または1つもしくは2つ以上のゴム加工工程に付して、ゴムコンパウンドまたはゴム物品を得ることができる。
【0018】
1つの態様では、ここに開示されるのは、以下の工程を含む複合材の調製方法である。
(a)ミキサーに、少なくとも固体エラストマー、カーボンブラックと、湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも20質量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤、ならびに架橋剤を充填する工程、
(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤を混合して混合物を形成し、そしてその混合物から液体の少なくとも一部を蒸発によって除去する工程、ならびに、
(c)ミキサーから、エラストマー中に少なくとも20phrの充填量で分散された充填剤を含む複合材を排出する工程、この複合材はその複合材の全質量を基準として10質量%以下の液体含有量を有している、
ここで、架橋剤は、少なくとも2つの官能基を有する化合物から選択され、
第1の官能基は、-NR
1R
2,-N(R
1)(R
2)(R
3)
+A
-,-S-SO
3M
1、ならびに式(I)および式(II)によって表される構造から選択され、
【化3】
式中、Aは、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ナイトレートまたはアセテート、X=NH、O、またはS、Y=H、OR
4、NR
4R
5、-S
nR
4であり、そしてnは1~6の整数であり、そして、
第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO
3M
2、-S
x-R
6、-SH、-C(R
6)=C(R
7)-C(O)R
8、-C(R
6)=C(R
7)-CO
2R
8、-C(R
6)=C(R
7)-CO
2M
2から選択され、そして、
R
1~R
8は、それぞれ独立して、HおよびC
1~C
8アルキルから選択され、M
1およびM
2は、それぞれ独立して、H、Na
+、K
+、Li
+、N(R’)
4
+から選択され、ここでそれぞれのR’は、独立してHおよびC
1~C
20アルキルから選択され、そしてxは、1~8から選択される整数である。
【0019】
いずれかの理論によって拘束されることは望まないが、湿潤充填剤との混合プロセスは、充填剤の分散を促進させる一方で、架橋剤は、充填剤および/またはエラストマーと相互作用して、充填剤とエラストマーとの間により強固な相互作用を生成することが信じられる。選択肢として、架橋剤は、少なくとも2つの官能基を有することができ、第1と第2の官能基は、エラストマーおよび/または充填剤と相互作用することができる。その相互作用は、吸着または化学結合、例えばイオン性相互作用、双極子-双極子相互作用、水素結合、共有結合などを介したもの、を含むことができる。この複合材においては、架橋剤は、充填されたままと同じ形態、または、例えば充填剤および/またはエラストマーと相互作用した場合には、異なる形態で存在することができる。
【0020】
少なくとも2つの官能基を有する架橋剤は、2つ、3つ、もしくは4つ以上の官能基を有することができる。それらの態様のいずれかでは、架橋剤は、-NR
1R
2、-N(R
1)(R
2)(R
3)
+A
-、-S-SO
3M
1、および式(I)および式(II)によって表される構造から選択されることができる第1の官能基を含んでいる。
【化4】
式中、Aは、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ニトレートまたはアセテートであり、X=NH、O、またはS、Y=H、OR
4、NR
4R
5、または-S
nR
4、そしてnは1~6から選択される整数である。特定の態様では、第1の官能基は、-NR
1R
2(例えば、-NHR
1または-NH
2)、-CO
2M
1、および-S-SO
3M
1から選択されることができる。
【0021】
架橋剤は、第2の官能基を更に含むことができ、第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO3M2、-Sx-R6、-SH、-C(R6)=C(R7)-C(O)R8、-C(R6)=C(R7)-CO2R8、-C(R6)=C(R7)-CO2M2から選択されることができる。特定の態様では、第2の官能基は、-S-SO3M2および-CR6=CR7-CO2M2から選択されることができる。ここで、官能基は、-CO2M1、および-S-SO3M1、-S-SO3M2、および-CR6=CR7-CO2M2であり、それらは酸またはそれらの塩から選択されることができ、例えばM1およびM2は、それぞれ独立してH、Na+、K+、Li+、およびN(R’)4
+(例えば、アンモニウム塩から選択され、ここでそれぞれのR’は、独立してHおよびC1~C20アルキル、例えばC1~C12アルキルまたはC1~C6アルキルまたはC1~C4アルキル、例えばモノアルキル、ジアルキル、トリアルキルまたはテトラアルキルアンモニウム塩)から選択される。ここで、架橋剤は、2つもしくは3つ以上のM1または2つもしくは3つ以上のM2基を含み、それぞれのM1またはM2は、独立してH、Na+、K+、Li+、およびN(R’)4
+から選択されることができる。
【0022】
ここに記載された態様では、R1~R8は、それぞれ独立してHおよびC1~C8アルキルから選択され、M1およびM2は、それぞれ独立して、H、Na+、K+、Li+、N(R’)4
+から選択され、そしてxは1~8から選択される整数である。
【0023】
選択肢として、第1の官能基は、カーボンブラックと相互作用することができる。カーボンブラックは、1種もしくは2種以上種類の表面官能基、例えば、限定するものではないが、酸素含有基、例えばカルボン酸(およびそれらの塩)、ヒドロキシル(例えば、フェノール)、エステルまたはラクトン、ケトン、アルデヒド、無水物(anhydrides)、およびベンゾキノンを有することができる。他の選択肢としては、第2の官能基は、固体エラストマーと相互作用することができる。固体エラストマーは、天然エラストマー、合成エラストマー、およびそれらの混合物であることができる。例えば、固体エラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、官能化スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択されることができる。選択肢としては、固体エラストマーは、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、およびポリブタジエンゴムから選択されることができる。固体エラストマーは、オレフィン基を有するか、および/または多くの基で官能化されることができる。
【0024】
選択肢として、第1の官能基は、-NR1R2(例えば、-NH2)および-S-SO3M1から選択されることができ、そして第2の官能基は、-S-SO3M2および-CR3=CR4-CO2M2から選択されることができる。
【0025】
架橋剤は、2超の官能基を有することができる。そのような架橋剤では、それぞれの官能基、例えば第3の、第4のなどの官能基は、ここで開示された第1および第2の官能基のリストから選択されることができる。選択肢として、2種以上の架橋剤を用いて、複合材を調製することができる。
【0026】
架橋剤は、第1と第2の官能基の間に少なくとも1つのスペーサを更に有することができる。例えば、1種もしくは2種以上のスペーサは、互いに、そして最後には第1および第2の官能基と結合されることができる。選択肢として、少なくとも1つのスペーサは、-(CH2)n-、-(CH2)yC(O)-、-C(R9)=C(R10)-、-C(O)-,-N(R9)-、-C6H4-から選択され、ここでyは1~10から選択される整数であり、そしてR9およびR10は、それぞれ独立してHおよびC1~C6アルキルから選択される。
【0027】
例示の架橋剤は、式(1)、式(2)および式(3)の化合物から選択される。
H2N-Ar-N(H)-C(O)-C(R6)=C(R7)-CO2M2 (1)
H2N-(CH2)n-SSO3M2 (2)
M1O3S-S-(CH2)n-S-SO3M2 (3)
M1およびM2はここで規定され、R6およびR7は独立してHおよびC1~C8アルキルから選択される(例えば、独立してHおよびC1~C6アルキルから選択されるか、またはHおよびC1~C4アルキルから選択される)。選択肢として、M1およびM2はそれぞれ独立してH、Na+、およびN(R’)4
+、例えばHおよびNa+から選択され、そしてR6およびR7は同じである、例えばR6およびR7はそれぞれHから選択される。式(1)の架橋剤の例としては、ナトリウム(2Z)-4-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエート(Sumilink(登録商標)200架橋剤として商業的に入手可能)があり、そして式(2)の架橋剤の例としては、S-(3-アミノプロピル)チオ硫酸(Sumilink(登録商標)100架橋剤(住友)として商業的に入手可能)がある。式(3)の架橋剤の例は、Duralink(登録商標)HTSタイヤ添加剤(Eastman Chemical Co.)として商業的に入手可能である。他の架橋剤としては、シスタミンおよびチオ尿素が挙げられる。
【0028】
1つの態様は、複合材の調製方法であり、以下の工程を含んでいる。
(a)ミキサーに少なくとも固体エラストマー、カーボンブラックと、湿潤充填剤の全質量を基準として20質量%以上の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤、および架橋剤を充填する工程、
(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤を混合して、混合物を形成し、そしてその混合物から液体の少なくとも一部を蒸発によって除去する工程、ならびに、
(c)ミキサーから、エラストマー中に少なくとも20phrの充填量で分散された充填剤を含む複合材を排出する工程、ここで複合材は、その複合材の全質量を基準として10質量%以下の液体含有量を有している、
ここで、架橋剤は、以下の(i)~(viii)から選択される。
(i)米国特許出願公開第2012/0277359号明細書に開示されているジヒドラジド(その開示はここに参照することによって本明細書の内容とする)、とりわけ、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、およびイソフタル酸ジヒドラジドが、欧州特許出願公開第0478274号明細書に開示されているように、挙げられる(その開示はここに参照することによって本明細書の内容とする)。ならびに/あるいは、
(ii)米国特許出願公開第2019/0177513号明細書に開示されているヒドラジド化合物(その開示はここに参照することによって本明細書の内容とする)、ならびに/あるいは、
(iii)米国特許出願公開第2020/0231782号明細書に開示されているテトラジン化合物(その開示はここに参照することによって本明細書の内容とする)、ならびに/あるいは、
(iv)PCT公開WO2020/045575号に開示されているピラゾロロン系化合物(その開示はここに参照することによって本明細書の内容とする)(例えば、化合物1および化合物2)、ならびに/あるいは、
(v)米国特許第9,200,145号明細書に開示されている、例えば、2,2´-ビス(ベンズイミダゾリル-2)エチルジスルフィド(その開示はここに参照することによって本明細書の内容とする)、ならびに/あるいは、
(vi)米国特許第5,213,025号明細書に開示されている、例えば、N,N´-ビス(2-ニトロプロピル-1,3-ジアミノベンゼン)(その開示はここに参照することによって本明細書の内容とする)、ならびに/あるいは、
(vii)米国特許第6,084,015号、第6,194,509号、第8,584,725号明細書および米国特許出願公開第2009/0292044号明細書に開示されている、例えば、ニトロキシドラジカルを有する化合物、例えば、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル)(その開示はここに参照することによって本明細書の内容とする)、ならびに/あるいは、
(viii)1,3-ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、Perkalink(登録商標)900加硫戻り防止剤(RheinChemie Additives、ドイツ)として商業的に入手可能。
【0029】
ミキサーに充填される架橋剤の量は、10phr以下、例えば6phr以下、5hr以下、4phr以下、3phr以下、または2phr以下、例えば、0.1phr~10phr、0.1phr~8phr、0.1phr~6phr、0.1phr~5phr、0.1phr~4phr、0.1phr~3phr、0.2phr~10phr、0.2phr~8phr、0.2phr~6phr、0.2phr~5hr、0.2phr~4phr、0.2phr~4phr、0.2phr~3phr、0.5phr~10phr、0.5phr~8phr、0.5phr~6phr、0.5phr~5phr、0.5phr~4phr、0.5phr~3phr、1phr~10phr、1phr~8phr、1phr~6phr、1phr~5phr、1phr~4phr、または1phr~3phrの範囲の量であることができる。
【0030】
複合材を調製する方法は、ミキサー中に、少なくとも固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤、例えば、a)1種もしくは2種以上の固体エラストマーおよび、b)1種もしくは2種以上の湿潤充填剤を、充填する、または導入する工程を含み、ここで少なくとも1種の充填剤または少なくとも1種の充填剤の一部は、固体エラストマーと混合される間に液体で湿潤化されている(湿潤充填剤)。固体エラストマーを湿潤充填剤および架橋剤と混合することで、混合工程の間に混合物が形成される。本方法は、1つもしくは2つ以上の混合工程において、液体の少なくとも一部が蒸発によって除去される混合工程、または混合の間に起こる蒸発プロセスを含んでいる。湿潤充填剤の液体は、蒸発によって除去されることができ(そして、少なくとも一部が、特許請求した混合条件のもとで除去されることができる)、そして揮発性の液体、例えばバルクの混合物温度で揮発性であることができる。例えば、揮発性液体は、オイル(例えば、エクステンダー油、プロセス油)と区別することができ、オイルは、混合工程の少なくとも一部の間に存在することができ、それゆえにオイルは排出される複合材中に存在するということであり、そして従って混合時間の実質的な部分の間に蒸発しない。
【0031】
ミキサーに充填される充填剤は、湿潤充填剤を含んでいる。それらの乾燥状態においては、充填剤はその表面に吸着された液体を含まないか、または少量の液体(例えば、水または水分)を含むことができる。例えば、カーボンブラックは、0質量%、または0.1質量%~1質量%、または3質量%以下、または4質量%以下の液体を含むことができ、そして沈降シリカは、4質量%~7質量%の液体、例えば4質量%~6質量%の液体の液体(例えば、水または水分)含有量を有することができる。そのような充填剤は、ここでは乾燥充填剤または非湿潤充填剤と表される。本発明の湿潤充填剤では、液体または更なる液体を充填剤に加えることができ、そしてそれらは充填剤の実質的な部分または実質的にすべての表面に存在しており、それは液体が到達することができる内部表面もしくは細孔を含むことができる。従って、固体エラストマーとの混合工程の前に、充填剤の実質的な一部の表面または実質的に全ての表面を湿潤化させるのに十分な液体が提供される。混合工程の間に、湿潤充填剤が固体エラストマー中に分散されるにつれて、液体の少なくとも1部もまた除去されることができ、そして充填剤の表面が、次いで固体エラストマーとの相互作用に利用可能となることができる。湿潤充填剤は、湿潤充填剤の全質量に対して少なくとも20質量%、例えば、湿潤充填剤の全質量に対して、少なくとも25質量%、少なくとも質量30%、少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、または20質量%~99質量%、20質量%~95質量%、20質量%~90質量%、20質量%~80質量%、20質量%~70質量%、20質量%~60質量%、30質量%~99質量%、30質量%~95質量%、30質量%~90質量%、30質量%~80質量%、30質量%~70質量%、30質量%~60質量%、40質量%~99質量%、40質量%~95質量%、40質量%~90質量%、40質量%~80質量%、40質量%~70質量%、40質量%~60質量%、45質量%~99質量%、45質量%~95質量%、45質量%~90質量%、45質量%~80質量%、45質量%~70質量%、45質量%~60質量%、50質量%~99質量%、50質量%~95質量%、50質量%~90質量%、50質量%~80質量%、50質量%~70質量%、または50質量%~60質量%の液体含有量を有することができる。充填剤の液体含有量は、質量パーセントで表すことができる:100×[液体の質量]/[液体の質量+乾燥充填剤の量]。他の選択肢として、液体の量は、充填剤のオイル吸着数(OAN)を基準として決定することができ、ここでOANは、ASTM D2414を基に決定される。OANは、充填剤の構造の尺度であり、そして充填剤を湿潤化させる液体の量を決めるのに用いることができる。例えば、湿潤充填剤、例えば湿潤カーボンブラック、湿潤シリカ(例えば、沈降シリカ)、または湿潤ケイ素処理カーボンブラックは、式:k×OAN/(100+OAN)×100、に従って決定された液体含有量を有することができる。1つの態様では、kは、0.3~1.1、または0.5~1.05、または0.6~1.1、または0.7~1.1、または0.8~1.1、または0.9~1.1、または0.6~1.0、または0.7~1.0、または0.8~1.0、または0.8~1.05、または0.9~1.0、または0.95~1、または0.95~1.1、または1.0~1.1の範囲である。1つの選択肢として、湿式充填剤は、20%~80%、30%~70%、30%~60%、40%~70%、または40%~60%の範囲の液体含有量を有している。
【0032】
1つの選択肢として、湿潤充填剤は、固体のコンシステンシーを有している。1つの選択肢として、乾燥充填剤は、結果として得られる湿潤充填剤が、粉末、微粒子、ペレット、ケーキ、またはペーストの形態、または同様のコンシステンシーを維持するような程度にのみ湿潤化され、および/または粉末、微粒子、ペレット、ケーキ、またはペーストの外観を有している。湿潤充填剤は、液体のようには流動しない(加えられた応力ゼロで)。1つの選択肢として、湿潤充填剤は、ある形状に成型された場合には、それが個々の粒子、凝集体、ペレット、ケーキ、またはペーストであったとしても、25℃においてその形状を維持することができる。湿潤充填剤は、液体マスターバッチプロセスによって作られた複合材ではなく、そして固体エラストマー中に分散された充填剤のいずれかの他の予備混合された充填剤でなく、そこではエラストマーは連続相である。湿潤充填剤は、充填剤のスラリーではなく、そして液体もしくはスラリーのコンシステンシーを有してはいない。
【0033】
充填剤を湿潤化させるのに用いられる液体は、水性の液体、例えば、限定するものではないが、水であることができ、水を含むことができる。液体は、少なくとも1種の他の成分、例えば、限定するものではないが、塩基、酸、塩、溶媒、界面活性剤、架橋剤(例えば、充填剤が更にシリカを含む場合に)、および/または加工助剤および/またはそれらのいずれかの組み合わせ、を含むことができる。その成分の、より具体的な例としては、NaOH、KOH、酢酸、ギ酸、クエン酸、リン酸、硫酸、またはそれらのいずれかの組み合わせがある。例えば、塩基は、NaOH、KOH、およびそれらの混合物から選択されることができ、または酸は、酢酸、ギ酸、クエン酸、リン酸、または硫酸、およびそれらの組み合わせから選択されることができる。液体は、用いられるエラストマーと非混和性の溶媒であることができ、または、を含むことができる(例えば、アルコール、例えばエタノール)。あるいは、液体は、液体の全質量を基準として、約80質量%~100質量%、または90質量%~99質量%の水からなることができる。
【0034】
ここに開示される方法では、少なくとも固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤がミキサー中に充填される(例えば、供給される、導入される)。固体エラストマーおよび/または充填剤および/または架橋剤の充填工程は、1つのもしくは複数の工程または添加で行うことができる。充填は、いずれかの様式で、限定するものではないが、コンベヤー送り、計量、投下および/または固体エラストマーと湿潤充填剤のミキサー中へのバッチ、セミバッチ、または連続流れでの供給で、起こることができる。固体エラストマーと湿潤充填剤は、予備混合物は、固体エラストマーと湿潤充填剤を混合することの他の手段によって調製された予備混合物としてはミキサー中に導入されない。固体エラストマーと湿潤充填剤は、一緒に添加されることができるが、しかしながら固体エラストマーと湿潤充填剤を混合するよりほかの手段によって調製された混合物としては添加されない(例えば、湿潤充填剤は、エラストマーと湿潤充填剤を混合するのと他の手段によってエラストマー中に予備分散されて、エラストマーが連続相である、のではない)。固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤からの混合物、予備混合物または予備混合体は、ミキサー中に充填されることができ、そしていずれかの数の既知の方法、例えばミキサーまたは容器中で、調製されることができる。
【0035】
固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤の充填は、全てを一度に、または逐次に起こることができ、そしていずれかの順序で起こることができる。充填は、架橋剤と湿潤充填剤の別々の充填を含むことができる。あるいは、充填は、湿潤充填剤と架橋剤を含む混合物を含むことができる。例えば、(a)全ての固体エラストマーが最初に加えられる、(b)全ての充填剤が最初に加えられる、(c)全ての固体エラストマーが、湿潤充填剤と架橋剤の1部と加えられ、続いて湿潤充填剤と架橋剤の1つもしくは2つ以上の残りの部分が加えられる、(d)固体エラストマーの1部が加えられ、そして次いで湿潤充填剤および/または架橋剤の1部が加えられる、(e)湿潤充填剤の少なくとも1部が最初に加えられ、次いで固体エラストマーの少なくとも1部および/または架橋剤の少なくとも1部が加えられる、(f)同時に、またはほぼ同時に、固体エラストマーの1部、湿潤充填剤の1部、および架橋剤の1部がミキサーに別々の充填として加えられる。(g)固体エラストマーの少なくとも1部、湿潤充填剤の少なくとも1部、および架橋剤の少なくとも1部が、いずれかの順序で、そして1つもしくは2つ以上の部分で、加えられ、固体エラストマーの少なくとも1部と湿潤充填剤の少なくとも1部が混合され、ミキサーに架橋剤の少なくとも1部が充填され、そして固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤を混合して、混合物を形成する。固体エラストマーと湿潤充填剤をミキサーに充填する他の適用可能な方法が、PCT公開公報WO2020/247663に開示されており、その開示を参照することによって本明細書の内容とする。
【0036】
湿潤充填剤と架橋剤を含む混合物については、その混合物は湿潤充填剤と架橋剤の粒子状混合物、例えば粉末であることができる。架橋剤が液体である場合には、それは当技術分野で知られているいずれかの方法によって湿潤充填剤上にコーティングされるか、または他の方法、例えば浸漬、噴霧など、で混合されることができる。架橋剤が固体である場合には、それは溶液または分散液、例えば水溶液または水性分散液によって湿潤充填剤にコーティングされるか、または混合されることができる。その粉末は、ミキサーに、そのまま充填されるか、またはペレット、すなわち架橋剤を含む混合物であるペレット、に形成されることができる。他の選択肢としては、架橋剤を含む溶液または分散液は、綿毛状のカーボンブラック(そして、任意にシリカおよび/または他の充填剤の種類)と混合されることができる。混合に加えて、この溶液はまた、カーボンブラック(そして、任意にシリカおよび/または他の充填剤の種類)を湿潤化することができ、湿潤充填剤が形成される。結果として得られる湿潤充填剤(例えば、湿潤カーボンブラックであるか、または湿潤カーボンブラックを含む)は、次いでピンペレタイザーに供給され、そしてここに開示された方法によってペレット化されることができる。
【0037】
ここに開示された湿潤充填剤はカーボンブラックを含んでいる。乾燥基準で、充填剤は、例えば充填剤の全質量に対して、少なくとも50質量%のカーボンブラック、少なくとも60質量%の、少なくとも70質量%の、少なくとも80質量%の、少なくとも90質量%の、少なくとも95質量%の、少なくとも99質量%のカーボンブラックを含んでいるか、または実質的に全ての充填剤はカーボンブラックである。充填剤は、カーボンブラックに加えて、他の充填剤の種類、すなわち少なくとも1種の更なる充填剤、を含むことができる。更なる充填剤は、粒子状または繊維状またはペースト状であることができる。例えば、粒子状充填剤は別個の個体で作られている。そのような充填剤は、しばしば3:1以下、または2:1以下、または1:5以下のアスペクト比(例えば、直径に対する長さ)を有することができる。繊維状充填剤は、例えば2:1以上、または3:1以上、または4:1以上、またはそれより大きなアスペクト比を有することができる。
【0038】
1つの選択肢として、少なくとも1種の更なる充填剤は、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、再生炭素、回収カーボンブラック(例えば、ASTM D8178-19に規定された,rCB)、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン(例えば、PCT公開WO2019/070514A1に開示された還元型酸化グラフェンウォーム、その開示を参照することによって本明細書の内容とする)、または高密度化した還元型グラフェン酸化物顆粒(2019年6月5日出願の米国特許仮出願第62/857,296号、およびPCT公開第2020/247681号、その開示を参照することによって本明細書の内容とする)、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、またはそれらの組み合わせ、または対応する被覆された材料(例えば、ケイ素処理されたカーボンブラック)またはそれらの化学的に処理された材料(例えば、化学的に処理されたカーボンブラック)から選択される。他の好適な充填剤としては、カーボンナノ構造(CNS、単一のCNS)、分岐されることによって、例えばデンドリマー様に、交互嵌合された、絡み合った、および/または互いに共通の壁を共有した、ポリマー構造に架橋された複数のカーボンナノチューブ(CNT)が挙げられる。CNS充填剤は、米国特許第9,447,259号明細書、およびPCT出願PCT/US2021/027814号に記載されており、それらの開示が参照することによって本明細書の内容とされる。更なる充填剤の混合物、例えばシリカとカーボンブラック、シリカとケイ素処理カーボンブラック、およびカーボンブラックとケイ素処理カーボンブラックの混合物もまた用いることができる。充填剤は、化学的に処理される(例えば、化学的に処理されたカーボンブラック、化学的に処理されたシリカ、ケイ素処理カーボンブラック)および/または化学的に変性されることができる。充填剤は、結合された有機基を有するカーボンブラック、であるか、または、を含むことができる。充填剤は、充填剤上に存在する1種もしくは2種以上のコーティングを有することができる(例えば、ケイ素被覆材料、シリカ被覆材料、炭素被覆材料)。充填剤は、酸化されているか、および/または他の表面処理を有していることができる。用いられることができる充填剤の種類(例えば、シリカ、カーボンブラック、または他の充填剤)に関しては制限がない。
【0039】
更なる充填剤は、繊維状充填剤、例えば天然繊維、半合成繊維、および/または合成繊維(例えば、ナノサイズの炭素フィラメント)、例えばPCT公開WO2021/153643に開示された短鎖繊維を含むことができ、その開示をここに引用することによって本明細書の内容とする。他の繊維状充填剤としては、ポリ(p-フェニレンテレフタールアミドが挙げられ、Kevlar(登録商標)pulp(Du Pont)として商業的に入手可能である。
【0040】
他の好適な充填剤としては、生物由来の、または生物系の材料(生物源から誘導された、再生材料が挙げられ、あるいは再生できる、もしくは持続可能な他の充填剤としては、熱水性炭素(HTC、ここで、この充填剤は、米国特許第10,035,957号および第10,428,218号明細書に記載された熱水性炭化によって処理されたリグニンを含んでおり、その開示をここに引用することによって本明細書の内容とする)、もみ殻シリカ、メタン熱分解からの炭素、加工ポリサッカリド粒子、デンプン、珪質土、クラムラバーおよび官能化クラムラバーが挙げられる。例示的な加工ポリサッカリド粒子としては、米国特許出願公開第2020/0181370号および第2020/0190270号明細書に記載されたものが挙げられ、その開示をここに引用することによって本明細書の内容とする。例えば、ポリサッカリドは、ポリアルファ-1,3-グルカン、ポリアルファ-1,3-1,6-グルカン、90%以上のα-1,3-グリコシド結合、1質量%未満のα-1,3,6-グリコシド分岐点、および55~10000の範囲の数平均重合度を有する水不溶性アルファ-(1,3-グルカン)ポリマー、デキストラン、ポリアルファ-1,3-グルカンエステル化合物を含む組成物、ならびに約10~1000の質量平均重合度(DPw)とセルロースII結晶構造を有する水不溶性セルロースから選択されることができる。
【0041】
1つの選択肢としては、湿潤充填剤の充填剤としては、カーボンブラックと少なくとも1種の更なる充填剤(例えば、シリカ、ケイ素処理カーボンブラックなど)の、充填剤の少なくとも50質量%(または、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、少なくとも95質量%、少なくとも99質量%)が乾燥基準でカーボンブラックである限り、いずれかの質量比の混合物、であることができ、または、を挙げることができる。湿潤充填剤は、充填剤の全質量を基準として、25質量%~75質量%、例えば30質量%~75質量%、40質量%~75質量%、45質量%~75質量%、50質量%~75質量%、30質量%~70質量%、40質量%~70質量%、45質量%~70質量%、50質量%~70質量%、30質量%~65質量%、40質量%~65質量%、45質量%~65質量%、50質量%~65質量%、30質量%~60質量%、40質量%~60質量%、45質量%~60質量%、または50質量%~60質量%の量で存在する液体を有することができる。少なくとも1種の更なる充填剤は、充填剤の混合物が、湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも20質量%の液体含有量またはここに開示されたいずれかの量を有するように、湿潤化されることができる。
【0042】
湿潤充填剤に加えて、1つの選択肢として、混合物は、1種もしくは2種以上の非湿潤充填剤(例えば、ここに記載されたようには湿潤化されていないいずれかの充填剤、例えば乾燥充填剤、例えば10質量%以下の液体を有する充填剤)を更に含むことができる。非湿潤化充填剤が存在する場合には、充填剤の全量は、充填剤の全量の少なくとも50質量%、または少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、少なくとも95質量%が湿潤充填剤であるようであり、例えば、充填剤の全量の50%~99%、60%~99%、70%~99%、80%~99%、90%~99%、または95%~99%が湿潤充填剤であることができ、充填剤の残りは、非湿潤化状態であるか、または湿潤充填剤とは考えられない。
【0043】
混合物中に充填される充填剤(例えば、充填剤単独または他の充填剤を有する湿潤充填剤)の量は、少なくとも20phr、少なくとも30phr、少なくとも40phr、または20phr~250phr、20phr~200phr、20phr~180phr、20phr~150phr、20phr~100phr、20phr~90phr、20phr~80phr、30phr~200phr、30phr~180phr、30phr~150phr、30phr~100phr、30phr~80phr、30phr~70phr、40phr~200phr、40phr~180phr、40phr~150phr、40phr~100phr、40phr~80phr、35phr~65phr、または30phr~55phrの範囲、またはそれらの範囲の1つもしくは2つ以上の範囲内のまたは範囲外の他の量となるように目標設定されることができる(乾燥質量基準で)。上記のphrの量は、エアラストマー中に分散された充填剤にもまた適用することができる(充填剤の充填量)。他の充填剤の種類、混合物、組み合わせなども用いることができ、例えばPCT公開WO2020/247663に開示されているものであり、その開示をここに引用することによって本明細書の内容とする。
【0044】
用いられ、そして湿潤充填剤と混合される固体エラストマーについては、固体エラストマーは、乾燥エラストマーまたは実質的に乾燥エラストマーことができる。固体エラストマーは、固体エラストマーの全質量を基準として5質量%以下、例えば4質量%以下、3質量%以下、または2質量%以下、1質量%以下、または0.1質量%~5質量%、0.5質量%~5質量%、1質量%~5質量%、0.5質量%~4質量%などの液体含有量(例えば、溶媒または水含有量)を有することができる。固体エラストマー(例えば、開始の固体エラストマー)は、完全にエラストマー(5質量%以下の含有量の開始の液体、例えば水を含む)であることができ、または1種もしくは2種以上の充填剤および/または他の成分をも含むエラストマーであることができる。例えば、固体エラストマーは、エラストマー中に予備分散された0.1質量%~50質量%の充填剤を有する50質量%~99.9質量%のエラストマーであることができ、ここで予備分散された充填剤は湿潤充填剤に加えられる。そのようなエラストマーは、湿潤化されていない充填剤と固体エラストマーとの間の乾式混合プロセスによって調製されることができる。あるいは、湿潤充填剤と固体エラストマーを混合することによって作られる複合材(ここに開示されたプロセスによって)は、固体エラストマーとして用いられることができ、そしてここに開示されたプロセスによって湿潤充填剤と更に混合されることができる。しかしながら、固体エラストマーは、液体マスターバッチプロセスによって作られた複合材、混合物またはコンパウンドではなく、そして、エラストマーが液体状態、例えばラテックス、懸濁液または溶液である一方で、エラストマー中に分散された充填剤のいずれかの他の予備ブレンドされた複合物でもない。
【0045】
いずれかの固体エラストマーを、本方法で用いることができる。例示的なエラストマーとしては、天然ゴム(NR)、官能化天然ゴム、合成エラストマー、例えばスチレン-ブタジエンゴム(SBR、例えば、溶液SBR(SSBR)、エマルジョンSBR(ESBR)、または油展SSBR(OESSB+R))、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレン-プロピレンゴム(EPDM)、イソブチレン系エラストマー(例えば、ブチルゴム)、ハロゲン化ブチルゴム、ポリクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、およびシリコーンゴム、例えば、天然ゴム、およびそれらのブレンド、例えば、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、およびそれらの混合物、例えば、第1および第2の固体エラストマーの混合物、が挙げられる。本方法に用いることができる他の合成ポリマーとしては(単独で、または混合物としてのいずれか)、水素化SBR、および熱可塑性ブロック共重合体(例えば、再生使用可能なものなど)が挙げられる。合成ポリマーとしては、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエンおよびイソプレンの共重合体が挙げられる。他の合成エラストマーとしては、メタロセン化学で合成されたものが挙げられ、そこでは、金属が、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Tm、Yb、Lu、Co、Ni、およびTiから選択される。生物系モノマーから作られたポリマーもまた用いられることができ、例えば、ASTM D6866で規定された現代炭素(modern carbon)を含むモノマーで、例えば米国特許第9,868,853号明細書(その開示をここに引用することによって本明細書の内容とする)に開示された生物系スチレンモノマーから作られたポリマー、または生物系モノマー、例えばブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、ファルネセン、およびそれらのコモノマーから作られたポリマー。2種もしくは3種以上のエラストマーが用いられる場合には、2種もしくは3種以上のエラストマーは、ミキサー中に、混合物として同時に充填されることができ(1回の充填で、または2回もしくは3回以上の充填で)、またはそれらのエラストマーは、いずれかの順序でそして量で、別々に加えられることができる。例えば、固体エラストマーは、ここに開示された1種もしくは2種以上のエラストマー、例えば、ブタジエンゴムおよび/またはスチレン-ブタジエンゴム、あるいはBRと混合されたSBRなど、と混合された天然ゴムを含むことができる。例えば、更なる固体エラストマーを、ミキサーに別個に加えることができ、そして天然ゴムをミキサーに別個に加えることができる。
【0046】
固体エラストマーは、天然ゴムであるか、または天然ゴムを含むことができ、固体エラストマーが混合物である場合には、それは少なくとも50質量%、または少なくとも70質量%、または少なくとも90質量%の天然ゴムを含むことができる。この混合物は、合成エラストマー、例えばスチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、およびポリブタジエンゴム、および/またはここに開示されたいずれかの他のエラストマーの1種もしくは2種以上を更に含むことができる。
【0047】
また、天然ゴムは、いずれかの方法で化学的に変性されることができる。例えば、天然ゴムは処理されて、種々の非ゴム成分を化学的もしくは酵素学的に変性または変形することができるか、あるいは、ゴム分子それ自体を、種々のモノマーまたは他の化学基、例えば塩素で変性することができる。他の例としては、PCT公開WO2017/207912に記載された、最大で0.3質量%の窒素含有量を有するエポキシ化天然ゴムが挙げられる。
【0048】
他の例示的なエラストマーとしては、限定されるものではないが、ゴム、1,3-ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3-ジアルキル-1,3-ブタジエン(ここで、アルキルはメチル、エチル、プロピルなどであることができる)、アクリロニトリル、エチレン、プロピレンなどのポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマーおよび/またはターポリマー)が挙げられる。
【0049】
ここに開示された方法で用いることのできる他の適用可能な固体エラストマーは、PCT公開WO2020/247663に開示されており、その内容を引用することによって本明細書の内容とする。
【0050】
ここに開示された方法のいずれかで用いることができるミキサーについては、充填剤を固体エラストマーと混合する(例えば、一緒に混合するまたは一緒にコンパウンディングする)ことができる、いずれかの好適なミキサーを用いることができる。ミキサーは、バッチミキサーまたは連続ミキサーであることができる。ミキサーおよびプロセスの組み合わせが、ここに開示された方法のいずれかで用いられることができ、そしてそのミキサーは逐次的に、縦一列で、および/または他のプロセス装置と組み合わせて、用いられることができる。ミキサーは、密閉型ミキサー(internal mixer)、密閉型ミキサー(closed mixer)、開放型ミキサー、あるいは押出機、または連続配合機、混練ミキサー、あるいはそれらの組み合わせであることができる。ミキサーは、充填剤と架橋剤を固体エラストマー中に混合することができる、および/または充填剤と架橋剤をエラストマー中に分散させることができる、および/または充填剤と架橋剤をエラストマー中に分配させることができる。
【0051】
ミキサーは、1つもしくは2つ以上のローターを有することができる(少なくとも1つのローター)。少なくとも1つのローターまたは1つもしくは2つ以上のローターは、スクリュー型のローター、かみ合いローター、タンジェンシャルローター、混錬ローター、押出機に用いられるローター、有意な合計の比エネルギーを与えるロールミル、またはクレーピングミルであることができ、通常は、1つもしくは2つ以上のローターが、ミキサー中に用いられ、例えばミキサーは、1つのローター(例えば、スクリュー型ローター)、2つ、4つ、6つ、8つ、またはそれ以上のローターを組み込むことができる。ローターの組は、与えられたミキサー構成内で、平行に、および/または連続した位置で配置されることができる。
【0052】
混合については、混合は、1つもしくは2つ以上の混合工程で行われることができる。混合は、少なくとも1種の固体エラストマーと湿潤充填剤がミキサーに充填され、そしてエネルギーが混合系に加えられた時に開始し、それがミキサーの1つもしくは2つ以上のローターを駆動する。1つもしくは2つ以上の混合工程は、充填工程が完了した後に起こるか、または充填工程といずれかの時間の長さに亘って重複することができる。例えば、1つもしくは2つ以上の固体エラストマーおよび/または湿潤充填剤の1部が、混合が開始した後に、ミキサー中に充填されることができる。ミキサーは、次いで、固体エラストマーおよび/または充填剤および/または架橋剤の1つもしくは2つ以上の付加的な部分を充填されることができる。バッチ混合では、充填工程は、混合工程が完了する前に完了される。
【0053】
選択肢としては、いずれかの機構による、ミキサー表面温度の制御によって、より長い混合時間または滞留時間の機会を提供することができ、それが、少なくとも1つのミキサー表面の温度制御を行わない混合プロセスと比較して、向上した充填剤の分散および/または向上したゴム-充填剤の相互作用、および/または一貫した混合および/または効率的な混合をもたらすことができる。
【0054】
温度制御手段は、限定するものではないが、ミキサーの1つもしくは2つ以上の部分において、経路を通過する伝熱流体の流れまたは循環であることができる。例えば、伝熱流体は、水または伝熱オイルであることができる。例えば、伝熱流体は、ローター、混合チャンバ壁、ラム、およびドロップドアを通過して流れることができる。他の態様では、伝熱流体は、ジャケット(例えば、流体流動手段を有するジャケット)、またはミキサーの1つもしくは2つ以上の部分の周りのコイルを流れることができる。他の選択肢としては、温度制御手段は(例えば、熱を供給する)、ミキサー中に埋め込まれた電気素子であることができる。温度制御手段を与える系は、伝熱流体の温度またはミキサーの1つもしくは2つ以上の部分の温度のいずれかを測定する手段を更に含むことができる。温度測定値は、伝熱流体の加熱および冷却を制御するのに用いられる系に供給されることができる。例えば、ミキサーの少なくとも1つの表面の所望の温度は、ミキサーの1つもしくは2つ以上の部分、例えば、壁、ドア、ローターなど、に隣接する経路内に位置する伝熱流体の温度を設定することによって制御されることができる。
【0055】
少なくとも1つの温度制御手段の温度は、1つもしくは2つ以上の温度制御ユニット(「TCU」)によって設定および維持されることができる。この設定温度、もしくはTCU温度は、ここでは「Tz」とも表される。伝熱流体を含む温度制御手段の場合には、Tzは、流体自体の温度の指標である。
【0056】
1つの選択肢として、温度制御手段は~30℃~150℃、40℃~150℃、50℃~150℃、または60℃~150℃、例えば30℃~155℃、30℃~125℃、40℃~125℃、50℃~125℃、60℃~125℃、30℃~110℃、40℃~110℃、50℃~110℃、60℃~110℃、30℃~100℃、40℃~100℃、50℃~100℃、60℃~100℃、30℃~95℃、40℃~95℃、50℃~95℃、50℃~95℃、30℃~90℃、40℃~90℃、50℃~90℃、65℃~95℃、60℃~90℃、70℃~110℃、70℃~100℃、70℃~95℃、70℃~90℃、75℃~110℃、75℃~100℃、75℃~95℃、または75℃~90℃の範囲の温度、Tzに設定されることができる。他の範囲も当技術分野で利用可能な装置で可能である。
【0057】
乾式混合と比較して、充填剤の種類、エラストマーの種類、およびミキサーの種類の同じ状態で、本プロセスは、より高いエネルギーの投入を可能にさせる。混合物からの制御された水の除去は、より長い混合時間を可能とさせ、そして従って充填剤の分散を向上させる。ここに記載されているように、本方法は、より長い混合時間と妥当な時間内での水の蒸発または除去とのバランスをとる操作条件を提供する。
【0058】
考慮されるべき他の操作パラメータとしては、用いられることのできる最大の圧力が挙げられる。圧力は、充填剤とゴム混合物の温度に影響する。ミキサーがラムを備えたバッチミキサーである場合には、ミキサーチャンバ内部の圧力は、ラムシリンダに加えられる圧力を制御することによって影響されることができる。
【0059】
他の選択肢として、ローター先端速度は最適化されることができる。混合系に投入されるエネルギーは、少なくとも部分的に、少なくとも1つのローターおよびローターの種類の速度の関数である。先端速度は、ローターの直径とローター速度を考慮に入れて、式に従って計算されることができる。
先端速度, m/s=π×(ローター直径, m)×(回転速度, rpm)/60
【0060】
先端速度は、混合の経過に亘って変更することができ、1つの選択肢として、少なくとも0.5m/sまたは少なくとも0.6m/sの先端速度が、少なくとも50%の混合時間、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または実質的全ての混合時間に亘って得られる。先端速度は、少なくとも50%の混合時間、または上記の混合時間の他の部分に亘って、少なくとも0.6m/s、少なくとも0.7m/s、少なくとも0.8m/s、少なくとも0.9m/s、少なくとも1.0m/s、少なくとも1.1m/s、少なくとも1.2m/s、少なくとも1.5m/s、または少なくとも2m/sであることができる。先端速度は、混合時間を最小化するために選択するか、または、0.6m/s~10m/s、0.6m/s~8m/s、0.6~6m/s、0.6m/s~4m/s、0.6m/s~3m/s、0.6m/s~2m/s、0.7m/s~4m/s、0.7m/s~3m/s、0.7m/s~2m/s、0.7m/s~10m/s、0.7m/s~8m/s、0.7~6m/s、1m/s~10m/s、1m/s~8m/s、1m/s~6m/s、1m/s~4m/s、1m/s~3m/s、または1m/s~2m/s(例えば、混合時間の少なくとも50%、またはここに記載された他の混合時間に亘って)であることができる。
【0061】
1つもしくは2つ以上ローター、温度制御手段、および他の部品を備えた商業的ミキサー、およびゴムコンパウンドを生成するための関連した混合方法のいずれかの組み合わせを、本発明の方法に用いることができ、例えばPCT公開WO2020/247663に開示されたものであり、その開示を参照することによって本明細書の内容とする。
【0062】
「1つもしくは2つ以上の混合工程」は、ここに開示された工程が、第1の混合工程に、排出の前に更なる混合工程が続くことができることが理解される。1つもしくは2つ以上の混合工程は、単一の混合工程、例えば1段もしくは単一の段階の混合工程もしくはプロセスであることができ、そこでは混合は以下の条件の1つもしくは2つ以上で実施される:少なくとも1つの混合温度が温度制御手段によって制御され、そして1つもしくは2つ以上ローターが少なくとも0.6m/sの先端速度で少なくとも50%の混合時間に亘って運転される、および/または65℃以上の温度、Tzに設定された少なくとも1つの温度制御手段、および/または連続式混合、それぞれがここに更に詳細に記載されている。特定の例では、単一の段階または単一の混合工程では、複合材は、10質量%以下の液体含有量で排出されることができる。他の態様では、2つもしくは3つ以上の混合工程または混合段階が、混合工程の1つが1つもしくは2つ以上の上記の条件で行われる限り、行われることできる。
【0063】
上記のように、1つもしくは2つ以上の混合工程の間に、ここに開示されたいずれかの方法では、混合物および/または導入された湿潤充填剤中に存在する少なくともいくらかの液体が、少なくとも1部が蒸発によって除去される。1つの選択肢として、1つもしくは2つ以上の混合工程または段階は、液体の一部を、混合物から、圧搾、圧縮、および/または絞り、またはそれらのいずれかの組み合わせによって更に除去することができる。あるいは、液体の1部は、複合材が排出された後に、またはその途中で、ミキサーから徐々に排出されることができる。
【0064】
混合サイクルの間に、液体の多くが複合材および混合された充填剤から解放された後に、混合物は温度の上昇を経験する。エラストマーを劣化させる過剰な温度上昇は避けることが望ましい。排出(例えば、バッチ混合における「放下」)は、そのような劣化を最小化するように、時間または温度または比エネルギーまたは出力パラメータを基に起こることができる。
【0065】
ここに開示されたいずれかの方法では、ミキサーからの排出工程が発生し、少なくとも20phr、例えば20~250phrの合計の充填量、またはここに記載された他の充填量で、天然ゴム中に分散された充填剤を含む複合材をもたらす。1つの選択肢として、排出は、規定された混合時間を基に起こる。混合の開始と排出の間の混合時間は、約1分間以上、例えば、約1分間~40分間、約1分間~30分間、約1分間~20分間、または1分間~15分間、または3分間~30分間、5分間~30分間、または5分間~20分間、または5分間~15分間、または1分間~12分間、または1分間~10分間または他の時間であることができる。あるいは、バッチ式の密閉式ミキサーでは、ラムの休止時間は、バッチ混合時間、例えば、ミキサーが、ラムがその最も低い位置で、例えば完全に固定された位置またはラムが撓んでいて(PCT公開WO2020/247663に記載されているように、その内容を引用することによって本明細書の内容とする)、運転される時間、を監視するためのパラメータとして用いられることができる。ラムの休止時間は、30分間以下、15分間以下、10分間以下、または3分間~30分間、または5分間~15分間、または5分間~10分間の範囲であることができる。1つの選択肢として、排出は、放下または排出温度を基に起こる。例えば、ミキサーは、120℃~190℃、130℃~180℃、例えば140℃~180℃、150℃~180℃、130℃~170℃、140℃~170℃、150℃~170℃の範囲の、またはそれらの範囲内もしくは範囲外の他の温度の放下温度を有することができる。
【0066】
本方法は、形成された複合材をミキサーから排出することを更に含んでいる。排出された複合材は、下記の式で略記されるように、複合材の全質量を基準として10質量%以下の液体含有量を有することができる。
複合材の液体含有量,%=100×[液体の質量]/[液体の質量+乾燥複合材の質量]
【0067】
ここに開示されたいずれかの方法では、排出された複合材は、複合材の全質量を基準として10質量%以下、例えば複合材の全質量を基準として、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、1質量%以下の液体含有量を有することができる。この量は、プロセスの最後において、ミキサーから排出された複合材の全質量を基準として、0.1質量%~10質量%、0.5質量%~9質量%、0.5質量%~7質量%、0.5質量%~5質量%、または0.5質量%~3質量%の範囲であることができる。ここに開示されたいずれかの方法では、液体含有量(例えば、「水分含有量」)は、複合材の全質量を基準として複合材中に存在する液体の測定された質量%であることができる。
【0068】
ここに開示されたいずれかの方法において、複合材中の液体含有量は、複合材の全質量を基準として、複合材中に存在する液体の質量として測定されたものであることができる。ゴム材料中の液体(例えば、水)含量を測定するためのいずれかの数の機器が当該技術分野で知られており、例えば、電量分析カールフィッシャー滴定システム、または水分秤、例えばメトラー社(Toledo International, Inc.、コロンバス、オハイオ州)製である。
【0069】
ここに開示された方法のいずれかでは、排出された複合材は10質量%以下の液体含有量を有する一方で、随意選択的に、排出される複合材中に保持されていない、ミキサー中に存在する液体(例えば、水)であることができる。この過剰の液体は、複合材の1部ではなく、そして複合材について計算されたいずれかの液体含有量の1部ではない。
【0070】
ここに開示された方法のいずれかでは、ミキサーに充填される材料の全体の液体含有量(または全体の水含有量または全体の水分含有量)は、プロセスの終わりに排出される複合材の液体含有量よりも多い。例えば、排出される複合材の液体含有量は、ミキサー中に充填される材料の液体含有量よりもより、10%~99.9%(質量%対質量%)、10%~95%、または10%~50%の量だけ少なくあることができる。
【0071】
随意選択的に、本プロセスは、架橋剤および随意選択的な劣化防止剤を、そして充填または混合の間に、すなわち1つもしくは2つ以上の混合工程の間に、加えることを含んでいる。ここに開示されたいずれかの態様では、他の選択肢として、少なくとも固体エラストマーと湿潤充填剤の混合が開始された後に、そして排出工程の前に、本方法は、架橋剤と随意選択的な劣化防止剤を、架橋剤と少なくとも1種の劣化防止剤が、固体エラストマーと湿潤充填剤と混合されるように、ミキサーへ加えることを更に含むことができる。1つの選択肢としては、混合物は、固体エラストマーと湿潤充填剤から本質的になり、混合物は、固体エラストマー、湿潤充填剤と劣化防止剤から本質的になり、複合材は、エラストマー中に分散された充填剤および劣化防止剤から本質的になり、複合材は、エラストマー中に分散された充填剤からなり、複合材は、エラストマー中に分散された充填剤および劣化防止剤からなっている。他の選択肢としては、架橋剤と劣化防止剤の添加は、複合材が形成され、そして10質量%以下、または5質量%以下の水含有量を有する前に起こることができる。
【0072】
架橋剤の添加および随意選択的な劣化防止剤の添加は、排出工程の前のいずれかの時、例えばミキサーが、120℃以上の示されたミキサー温度に到達する前または後に、起こることができる。この示されたミキサー温度は、混合キャビティ内の温度測定装置によって測定されることができる。ミキサーの示された温度は、ミキサー、または混合段階の間に得られた複合材の最大温度、と同じか、あるいは、最大温度から30℃以下、または20℃以下、または10℃以下、(または5℃以下または3℃以下または2℃以下)だけ異なっていることができる(それは、ミキサーから複合材を取り出し、そして複合材中に熱電対または他の温度測定装置を挿入することによって測定されることができる)。この混合方法では、1つの選択肢として、架橋剤および随意選択的な劣化防止剤は、ミキサーが120℃以上の温度に到達したときに、ミキサーに加えられることができる。他の態様では、示された温度は、120℃~190℃、125℃~190℃、130℃~190℃、135℃~190℃、140℃~190℃、145℃~190℃、150℃~190℃、120℃~180℃、125℃~180℃、130℃~180℃、135℃~180℃、140℃~180℃、145℃~180℃、150℃~180℃、120℃~170℃、125℃~170℃、130℃~170℃、135℃~170℃、140℃~170℃、145℃~170℃、150℃~170℃などの範囲であることができる。
【0073】
導入されることができる劣化防止剤の例としては、N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)、および本明細書の他の節に記載された他のものであることができる。劣化防止剤は、形成される複合材の質量を基準として、1%~5%、0.5%~2%、または0%~3%の範囲の量で導入されることができる。充填工程または混合工程の間に加えられる劣化防止剤は、エラストマーの混合の間の劣化を防止することを援けることができるが、しかしながら、混合物中の水の存在のために、エラストマーの劣化の速度は、乾式混合プロセスと比較して、より低く、そして劣化防止剤の添加は遅れさせることができる。
【0074】
複合材が形成され、そして排出された後に、本方法は、複合材を、更なるエラストマーと混合して、エラストマーの混合物を含む複合材を形成する随意選択的工程を更に含むことができる。「更なるエラストマー」または第2のエラストマーは、更なる天然ゴムであることができ、あるいは天然ゴムではない、例えばここに開示されたいずれかのエラストマー、例えば合成エラストマー(例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR、例えばSSBR,ESBRなど)、ポリブタジエン(BR)およびポリイソプレンゴム(IR)、エチレン-プロピレンゴム(例えばEPDM)、イソブチレン系エラストマー(例えばブチルゴム)、ポリクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、多硫化ゴム、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー)であることができる。合成および天然ゴムの混合物または2種もしくは3種以上の種類の合成または天然ゴムの混合物を含む、2種もしくは3種以上の種類のエラストマーの混合物(第1および第2のエラストマーの混合物)も同様に用いられることができる。
【0075】
ミキサーは、異なるエラストマーの2もしくは3回以上の充填で充填されて、複合材混合物を形成することができる。例えば、ミキサーは、全く乾燥されていない天然ゴムおよび少なくとも1種の更なるエラストマーで充填されることができ、ここで少なくとも1種の更なるエラストマーは、凝塊または固体エラストマー(例えば、5%未満の水を有する)でもある。あるいは、ミキサーは、エラストマー混合物を充填されることができる。他の選択肢として、本プロセスは、排出された複合材を更なるエラストマーと混合して混合物を形成することを含むことができる。排出された複合材(例えば、単一の段階または2つもしくは複数の段階の混合)は、1種もしくは2種以上の更なるエラストマーと混合する場合には、複合材の質量に対して5質量%、3質量%、2質量%以下の水分含有量を有することができる(例えば、カーボンブラックおよび天然ゴムを含む複合材は、合成エラストマー、例えばBRまたはSBRと混合されることができる)。更に、エラストマーと充填剤(湿潤または乾燥、例えば湿潤または乾燥カーボンブラックおよび/またはシリカおよび/またはケイ素処理カーボンブラック)の両方は、本複合材と混合されることができる。
【0076】
他の選択肢としては、ここで開示された方法によって調製された、充填剤(例えば、カーボンブラックおよび/またはシリカ)およびエラストマー(例えば、天然ゴムおよび/またはSBRおよび/またはBR)を含む複合材は、当技術分野で知られたいずれかの方法、例えば既知の乾式混合または溶媒マスターバッチプロセス、によって作られた天然ゴムおよび/または合成ポリマーを含むマスターバッチと混合されることができる。例えば、シリカ/エラストマーマスターバッチは、米国特許第9,758,627号および第10,125,229号明細書に記載された調製されることができる、あるいは米国特許第9,758,646号明細書に記載されたネオジムで触媒されたポリブタジエンからのマスターバッチであることができ、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。マスターバッチは、繊維状充填剤、例えば、米国特許第6,068,922号明細書に記載された、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)パルプを有することができ、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。マスターバッチは、充填剤、例えばグラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、または高密度化還元型酸化グラフェン顆粒、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、およびカーボンナノ構造体を有することができ、ここで後者のマスターバッチは米国特許第9,447,259号明細書およびPCT出願PCT/US2021/027814に開示されており、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。他の好適なマスターバッチは、PCT公開WO2020/247663に記載された、湿潤充填剤と固体エラストマーから調製された複合材を含むことができ、その内容をここに参照することによって本明細書の内容とする。例えば、マスターバッチは、充填剤、例えばカーボンブラックおよび/またはシリカならびにエラストマー、例えば天然ゴムおよび/またはSBRおよび/またはブタジエンゴムを有することができる。商業的に入手可能なマスターバッチもまた用いられることができ、例えば商業的に入手可能なマスターバッチ、例えばEmulsil(商標)シリカ/SBRマスターバッチまたはEmulblack(商標)カーボンブラック/SBRマスターバッチ(両方ともDynasol groupから入手可能)。
【0077】
エラストマーマスターバッチを含む例示的なマスターバッチ(混合物が第1もしくは単一の段階の混合から形成されるか、または多段階の混合から形成されるかのいずれであっても)としては、天然ゴムの、合成の、生物由来の、および/または官能化エラストマー(例えば、SSBR、ESBR、BR)との混合物が挙げられ、ここで充填剤はカーボンブラック、シリカ、およびケイ素処理カーボンブラックの1種もしくは2種以上から選択される。
【0078】
固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤に加えて、ミキサーには、少なくとも1種の更なるエラストマーの1回もしくは2回以上の充填で、充填されることができ、複合材混合物が形成される。他の選択肢としては、本プロセスは、排出された複合材を更なるエラストマーと混合して、混合物を形成することを含むことができる。少なくとも1種の更なるエラストマーは、固体エラストマーと同じであるか、または固体エラストマーと異なっていることができる。
【0079】
あるいは、複合材は、排出された時に、劣化防止剤および架橋剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含むことができ(例えば、湿潤充填剤が更にシリカを含む場合、または乾燥シリカがミキサーに充填される場合)、それは、充填または混合の間のいずれかの時間に加えられる。
【0080】
カーボンブラックは、未処理のカーボンブラックまたは処理されたカーボンブラックまたはそれらの混合物であることができる。充填剤は、ペレット、綿毛状の粉末、顆粒、および/または集塊、であるか、または、を含むことができる。湿潤カーボンブラックは、ペレット、顆粒、または集塊に、例えばペレタイザーで、流動床で、または湿潤充填剤を作る他の装置で、形成されることができる。
【0081】
湿潤カーボンブラックは、以下の1種もしくは2種以上であることができる。
・乾燥されていないカーボンブラック、および/または、
・乾燥されていないカーボンブラックペレット、および/または、
・例えば水で、ペレタイザー中で再湿潤化された乾燥カーボンブラック、および/または、
・粉砕されており、そしてペレタイザー中で水で再湿潤化された乾燥カーボンブラック、および/または、
・水と混合された乾燥カーボンブラック、および/または、
・水と混合された綿毛状粉末、顆粒、または集塊。
【0082】
典型的なカーボンブラック製造においては、カーボンブラックは、初めは乾燥した、微細な粒子状(綿毛状)材料として調製される。この綿毛状のカーボンブラックは、慣用のペレット化プロセスによって、例えば、カーボンブラックを液体と混合することによって、例えば水を加えて、そしてその混合物をピンペレタイザーに供給することによって、高密度化されることができる。1つの選択肢として、液体は、架橋剤を含む溶液または分散液であることができる。ピンペレタイザーは、当技術分野でよく知られており、そして米国特許第3,528,785号明細書に記載されたピンペレタイザーが挙げられる。結果として得られる湿潤ペレットは、更なる取り扱いおよび積み出しの前に、ペレットから液体を除去するように、次いで制御された温度および時間パラメータの下で加熱される。他のプロセスでは、カーボンブラックペレットは、乾燥工程を省いたプロセスによって製造されることができる。そのようなプロセスでは、ペレット化されたカーボンブラックは、湿潤カーボンブラックの全質量を基準として、少なくとも20質量%の、例えば少なくとも30質量%の、または少なくとも40質量%のプロセス水を含んでいる。
【0083】
あるいは、乾燥されているカーボンブラックペレット(例えば、商業的に入手可能なカーボンブラックペレット)は、ペレタイザー中で再湿潤化されることができる。ペレットは、顆粒化、粉砕、分級、および/または、例えばジェットミル中でミル粉砕されることができる。結果として得られるカーボンブラックは、綿毛状の形態であり、そしてペレタイザー中で再ペレット化されることができ、または水の存在で、別のやり方で圧縮もしくは集塊化してカーボンブラックを湿潤化することができる。1つの選択肢として、カーボンブラックは、ペレタイザー中で、架橋剤を含む溶液または分散液の存在で再ペレット化されることができる。あるいは、綿毛状カーボンブラックは、他の形態、例えば四角い塊りの形状に、当技術分野で知られている装置で、圧縮されることができる。他の選択肢としては、カーボンブラック、例えばカーボンブラックペレットまたは綿毛状カーボンブラックは、例えば流動床、噴霧器、ミキサー、または回転ドラムなどを用いることによって、湿潤化されることができる。液体が水である場合には、乾燥されていないカーボンブラックまたは再湿潤化されたカーボンブラックは、湿潤カーボンブラックの全質量に対して、20質量%~80質量%、30質量%~70質量%、または他の範囲、例えば55質量%~60質量%の範囲の水含有量を得ることができる。
【0084】
カーボンブラックは、ファーネスブラック、ガスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、またはランプブラック、プラズマブラック、再生カーボンブラック(例えば、ASTM D8178-19に規定された)、またはケイ素含有種およびまたは金属含有種を含む炭素製品などであることができる。
【0085】
ここに開示されたいずれかの方法で用いられるカーボンブラックは、補強カーボンブラック、半補強カーボンブラック、または、例えば20m2/g~250m2/g以上の範囲の統計的厚さ表面積(STSA)を有する他のカーボンブラックであることができる。STSA(統計的厚さ表面積)は、ASTM試験手順D-5816(窒素吸着によって測定される)を基に測定される。ASTM品種の補強グレードの例としては、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N299、N326、N330、N339、N347、N351、N358、およびN375カーボンブラックがある。ASTM品種の半補強グレードとしては、N539、N550、N650、N660、N683、N762、N765、N774、N787、N990カーボンブラック、および/またはN990グレードサーマルブラックがある。
【0086】
カーボンブラックは、例えば20m2/g~250m2/g以上の範囲のいずれかの統計的厚さ表面積(STSA)を有する他のカーボンブラックであることができる。STSA(統計的厚さ表面積)は、ASTM試験手順D-5816(窒素吸着によって測定される)を基に測定される。カーボンブラックは、約30mL/100g~約150mL/100gの範囲の圧縮オイル吸収量(COAN)を有することができる。圧縮オイル吸収量(COAN)は、ASTM D3493に従って測定される。1つの選択肢として、カーボンブラックは、20m2/g~180m2/g、または60m2/g~150m2/gの範囲のSTSA、と40mL/100g~115mL/100gまたは70mL/100g~115mL/100gの範囲のCOANを有することができる。
【0087】
上記のように、カーボンブラックは、ゴムブラック、例えばカーボンブラックの補強グレードまたはカーボンブラックの半補強グレードであることができる。Cabot Corporationから入手可能な商標のRegal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Spheron(登録商標)、Sterling(登録商標)、Propel(登録商標)、Endure(登録商標)、およびVulcan(登録商標)、Birla Carbonから入手可能な(以前はColumbian Chemicalsから入手可能)商標のRaven(登録商標)、Statex(登録商標)、Furnex(登録商標)、およびNeotex(登録商標)、ならびにCDおよびHV系列、そしてOrion Engineered Carbonsから入手可能な(以前はEvonik and Degussa Industriesから入手可能)な商標のCorax(登録商標), Durax(登録商標)、Ecorax(登録商標)、およびPurex(登録商標)CK系列、の名称で販売されているカーボンブラック、ならびにゴムまたはタイヤ用途に用いられる好適な他の充填剤もまた、種々の実施を伴う使用に活用されることができる。好適な化学的に官能化されたカーボンブラックとしては、国際公開WO96/18688および米国特許出願公開第2013/0165560号明細書に開示されたものが挙げられ、その開示を引用することによって本明細書の内容とする。それらのカーボンブラックのいずれかの混合物を用いることができる。
【0088】
ここに開示された方法のいずれかは、部分的には、少なくとも2つの混合工程または段階を含む複合材の調製方法に関する。それらの2つの(または3つ以上の)混合工程は、第1の混合工程もしくは段階と少なくとも第2の混合工程もしくは段階を備えた多工程または多段階の混合であると考えられることができる。1つもしくは2つ以上の段階の混合プロセスは、バッチ式、連続式、半連続式、およびそれらの組み合わせであることができる。
【0089】
多段階のプロセスでは、複合材の調製方法は、少なくともa)1種もしくは2種以上の固体エラストマー、b)1種もしくは2種以上の充填剤、ここで少なくとも1種の充填剤または少なくとも1種の充填剤の一部は、ここに記載された湿潤充填剤(例えば、充填剤と、湿潤充填剤の全質量を基準として、少なくとも20質量%の量で存在する液体を含む湿潤充填剤)である、ならびに随意選択的なc)架橋剤を、第1のミキサー中に充填するまたは導入する工程を含んでいる。固体エラストマーを、湿潤充填剤および随意選択的に架橋剤と混合する工程は、この混合工程の間に混合物もしくは複合材を形成させ、これは第1の工程または段階と考えられることができる。本方法は、この第1の混合工程の中で、混合物を、液体の少なくとも1部が、蒸発によって、または混合の間に起こる蒸発プロセスよって、除去される程度まで、混合されることを更に含んでいる。第1の混合工程(1つもしくは2つ以上の混合工程における)または段階は、複合材を形成させる、前述のプロセスの1つもしくは2つ以上を用いて行われ、以下のことが理解される、第1の混合の完了の後に、第1の混合工程の後に、ミキサーから排出された混合物が(例えば、排出された混合物)、10質量%以下の液体含有量を有する必要はないこと。言い換えれば、多段階プロセスで、第1の混合の完了からもたらされる、第1のミキサー(または第1の混合工程)からの混合物は、約10質量%超の液体含有量を有することができるが、しかしながら、第1の混合工程の開始時の混合された固体エラストマーと湿潤充填剤の液体含有量と比較して低減された液体含有量(質量%で)を有している。
【0090】
第1のミキサーまたは他のミキサーが第2の混合工程で用いられる前に、更なる選択肢として、停止時間があることができ、そこでは第1の混合から形成された複合材は、第1のミキサーまたは他の容器もしくは場所(例えば、混合、停止、および次いで更なる混合)で、そのままあるか、もしくは冷える、もしくはその両方である。例えば、この停止時間は、混合物が、更なる混合工程が開始する前に、180℃未満のの温度(プローブ温度とも表される)を得るような時間であることができる(例えば、排出された混合物は、約100℃~約180℃、または約70℃~179℃、または約100℃~約170℃、または約120℃~約160℃の範囲の材料温度を有することができる)。あるいは、更なる、もしくは第2の混合工程が開始する前の停止時間は、約1分間~60分間以上であることができる。材料温度は、当技術分野で知られている多くの方法によって、例えば熱電対または他の温度測定装置を混合物または複合材中に挿入することによって、得ることができる。
【0091】
本方法は、更に、同じミキサー(すなわち、第1のミキサー)を用いて、および/または第1のミキサーとは異なる第2のミキサーを用いて、少なくとも第2の混合工程または段階において、混合物を混合する、もしくは更に混合することを含んでいる。多段階混合プロセスで、架橋剤を、第1のミキサー、第2のミキサーのいずれか、または両方に充填する選択肢が存在する。
【0092】
第1の混合の後に、多段階混合で行われる更なる混合工程は、ここで記載される第1の混合工程で用いられた混合手順またはパラメータのいずれか1つもしくは2つ以上を用いることができる。従って、更なる混合工程または段階を行う際に、第1のミキサーと、同じもしくは異なるミキサーデザインおよび/または同じもしくは異なる操作パラメータを、更なる混合段階で用いることができる。第1の混合工程について前述したミキサーおよびそれらの選択肢および/またはその混合工程について前述した操作パラメータは、更なるもしくは第2の混合工程において随意選択的に用いられることができる(例えば、混合工程は、ここで記載されているように、少なくとも50%の時間に亘って少なくとも0.5m/sの先端速度または少なくとも50%の時間に亘って少なくとも0.6m/sの先端速度、および/またはここに開示された、またはPCT公開WO2020/247663に開示された他のパラメータの中で65℃以上のTzを含むことができる。
【0093】
多段階プロセスにおいては、第2の混合工程(第2段階の混合)はまた、第1の混合工程から排出された混合物に加えて、他の成分をミキサーに充填することを含むことができる。例えば、架橋剤が第1のミキサーに充填されない場合には、架橋剤は第2のミキサーに、例えば別々の充填として、または充填剤(湿潤もしくは乾燥充填剤、第1のミキサーに充填されたものと同じもしくは異なる)との混合物(粒子状混合物または共ペレット(co-pellet))として、充填されることができる。加えて、もしくはあるいは、例として、本方法は、更なる充填剤、例えば乾燥充填剤、湿潤充填剤、またはそれらの混合物を、第2の混合工程の前に、または間に、充填することを含むことができる。更なる充填剤は、混合物中に既に存在する充填剤、例えばここに開示されたいずれかの更なる充填剤、と同じか、または異なっていることができる。例えば、第1のミキサーから排出される混合物は、マスターバッチと考えられることができ、そこでは全て、もしくは一部のいずれかが、更なる充填剤と混合される。例えば、湿潤または乾燥カーボンブラック、シリカ、ケイ素処理されたカーボンブラック(およびそれらの混合物)は、第1の混合工程から排出された混合物、例えばカーボンブラックと天然ゴムを含む混合物、に加えられることができる。
【0094】
多段階混合プロセスでは、少なくとも1つの選択肢として、少なくとも第2のミキサーが更なる混合工程で用いられる。この選択肢が用いられる場合には、第2のミキサーは、第1のミキサーと同じもしくは異なるデザインを有することができる、および/または第1のミキサーと同じ、または1つもしくは2つ以上の異なる操作パラメータを有することができる。具体的な例が、限定するものではないが、第1のミキサーおよび第2のミキサーの選択肢について以下に提供される。例えば、第1のミキサーは、タンジェンシャルミキサーまたはかみ合いミキサーであることができ、そして第2のミキサーは。タンジェンシャルミキサー、かみ合いミキサー、押出機、混錬機、またはロールミルであることができる。例えば、第1にミキサーは、密閉式ミキサーであることができ、そして第2のミキサーは、混錬機、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、連続式配合機、またはロールミルであることができる。例えば、第1のミキサーは、第1のタンジェンシャルミキサーであることができ、そして第2のミキサーは、第2の(異なる)タンジェンシャルミキサーであることができる。例えば、第1のミキサーは、ラムありで操作され、そして第2のミキサーはラムなしで操作される。例えば、第2のミキサーが用いられ、そして乾燥質量基準で、25%~70%、25%~60%、25%~50%、30%~50%の範囲の、混合物の充填率、またはここに記載された他の充填率の量で操作される。
【0095】
1つの選択肢として、本方法は、同じミキサー(すなわち、第1のミキサー)を用いて、および/または第1のミキサーとは異なる第2のミキサーを用いて、少なくとも第2の混合工程もしくは段階において、混合物を混合する、または更に混合することを含んでいる。第2のミキサーでの混合は、第2のミキサーまたは第2の混合が、5psi以下のラム圧力で、および/またはラムが、ラムの最も高いレベルの少なくも75%(例えば、ラム最も高いレベルの少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、または100%)まで上げられて、および/またはフローティングモードで運転されるラム、および/またはラムが混合物に実質的に接触しないように配置されたラム、および/またはラムなしのミキサー、および/または25%~70%の範囲の混合物の充填率、で運転されるようなものであることができる。本方法は、更に複合材が、複合材の全質量を基準として10質量%以下の液体含有量を有するように形成された複合材を、最後に用いられたミキサーから排出することを含んでいる。好適である第2のミキサーの運転のための方法が、PCT公開WO2020/247663に記載されており、その開示をここに引用することによって本明細書の内容とする。
【0096】
添加剤が、混合工程および/または配合工程(例えば、単一の段階の混合、または多段階混合の第2の段階もしくは第3の段階でのいずれかで)で混合されることができ、そして劣化防止剤、および充填剤のエラストマー中への分散を可能にする1種もしくは2種以上のゴム薬品を挙げることができる。ここに規定されるゴム薬品としては、加工助剤(ゴムの混合および加工を容易にさせるための、例えば種々のオイルおよび可塑剤、ワックス)、活性化剤(加硫プロセスを活性化するための、例えば酸化亜鉛および脂肪酸)、促進剤(加硫プロセスを促進するための、例えばスルフェンアミドおよびチアゾール)、加硫剤(または硬化剤、ゴムを架橋するための、例えば硫黄、過酸化物)、および他のゴム添加剤、例えば、限定するものではないが、加硫遅延剤、架橋助剤、素練り促進剤、粘着促進剤(例えば、スチールコートのゴム系エラストマーへの粘着を促進するコバルト塩の使用(例えば、米国特許第5,221,559号および米国特許出願公開第2020/0361242号明細書に開示されているような、その開示をここに引用することによって本明細書の内容とする)、樹脂(例えば、粘着付与剤、トラクション樹脂(traction resins))、難燃剤、着色材、発泡剤、および発熱を低減させる添加剤(HBU)の1種もしくは2種以上が挙げられる。1つの選択肢として、ゴム薬品は、加工助剤および活性化剤を含むことができる。他の選択肢としては、1種もしくは2種以上の他のゴム薬品は、酸価亜鉛、脂肪酸、脂肪酸の亜鉛塩、ワックス、促進剤、樹脂、およびプロセスオイルから選択される。例示的な樹脂としては、1種もしくは2種以上のC5樹脂、C5~C9樹脂、C9樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アルキルフェノール樹脂、および米国特許第10,738,178号、第10,745,545号明細書、および米国特許出願公開第2015/0283854号明細書に開示された樹脂(これらの開示をここに引用することによって本明細書の内容とする)から選択されるものが挙げられる。
【0097】
ここに開示された複合材のいずれかの製造方法において、本方法は、複合材の形成の後に、以下の工程の1つもしくは2種以上を更に含んでいる。
・1つもしくは2つ以上の保持工程(holding steps)、
・1つもしくは2つ以上の乾燥工程が、乾燥複合材を得るように、複合材を更に乾燥するように用いられることができる、
・1つもしくは2つ以上の押出工程、
・1つもしくは2つ以上のカレンダー加工工程、
・ミル加工された複合材を得るための1つもしくは2つ以上のミル加工工程、
・1つもしくは2つ以上の顆粒化工程、
・1つもしくは2つ以上の切断工程、
・ベール製品または混合物を得るために1つもしくは2つ以上のベール化工程、
・1つもしくは2つ以上のベール混合物または製品は、破壊されて顆粒化混合物を形成する、および/または、
・1つもしくは2つ以上の混合または配合工程、および/または、
・1つもしくは2つ以上のシート化工程。
【0098】
更なる例として、以下の一連の工程が起こることができ、そしてそれぞれの工程は、複合材の形成の後に、いずれかの数(同じまたは異なる設定で)繰り返されることができる。
・更に弾性を向上させるための1つもしくは2つ以上の保持工程、
・1つもしくは2つ以上の冷却工程、
・更に乾燥された複合材を更に得るための複合材を乾燥する工程、
・配合された混合物を得るための複合材を混合するまたは配合する工程、
・ミル加工された混合物を得るための配合された混合物をミル加工する工程、
・ミル加工された混合物の顆粒化工程、
・随意選択的な、ベール化された混合物を得るための顆粒化の後の混合物をベール化する工程、
・随意選択的な、ベール化混合物を破壊し、そして混合する工程。
【0099】
更に、もしくは、あるいは、複合材は、劣化防止剤、酸化亜鉛、脂肪酸、脂肪酸の亜鉛塩、ワックス、促進剤、樹脂、プロセスオイル、および/または硬化剤の1種もしくは2種以上と配合されることができ、そして加硫されて加硫物を形成することができる。そのような加硫化された配合物は、1つもしくは2つ以上の向上した性質、例えば1つもしくは2つ以上の向上したゴム特性、例えば、限定するものではないが、向上したヒステリシス、耐摩耗性、および/またはころがり抵抗、例えばタイヤにおける、あるいは向上した機械的および/または引張強度、または向上したタンデルタおよび/または向上した引張応力比などを有することができる。
【0100】
例として、配合工程において、成分は、硫黄または他の架橋剤および促進剤を除いて、混合装置中で混ぜ物のない複合材と混合される(非加硫剤および/または劣化防止剤は、しばしば予備混合され、そしてまとめて「スモールズ(smalls)」と称される)。最も普通の混合装置は、密閉式ミキサー、例えばバンバリーまたはブラベンダーミキサーであるが、しかしながら他のミキサー、例えば連続式ミキサー(例えば、押出機)もまた用いられることができる。その後に、後のまたは第2の配合工程において、架橋剤、例えば硫黄、および促進剤(必要であれば)(まとめて加硫剤と称される)が加えられる。他の選択肢としては、配合工程は、複合材を、劣化防止剤、酸化亜鉛、脂肪酸、脂肪酸の亜鉛塩、ワックス、促進剤、樹脂、プロセスオイル、および硬化剤の1種もしくは2種以上と、単一の配合段階または工程で混合することを含むことができ、例えば加硫剤は、同じ配合工程においてスモールズとともに加えられることができる。配合工程は、しばしば混合工程と同じ種類の装置で行われるが、しかしながら異なる種類のミキサーまたは押出機またはロールミルで行わせることができる。当業者は、加硫剤が加えられると、架橋剤についての適正な活性化条件に達すると、加硫が開始することを理解するであろう。従って、硫黄が用いられる場合には混合の間の温度は、好ましくは実質的に加硫温度より低く維持される。
【0101】
また、ここに開示されているのは加硫物を作る方法である。本方法は、少なくとも1種の硬化剤の存在で複合材を少なくとも硬化する工程を含んでいる。硬化は、当技術分野で知られているように、熱、圧力またはその両方を加えることによって成し遂げることができる。
【0102】
この加硫物について、加硫物は1つもしくは2つ以上のエラストマー特性を有することができる。例えば、加硫物は、ASTM D412によって評価される、少なくとも5.9、例えば少なくとも6.0、少なくとも6.1、少なくとも6.2の引張応力比M300/M100を有することができ、ここでM100およびM300は、それぞれ100%と300%伸びにおける引張応力を表している。
【0103】
あるいは、もしくは、加えて、加硫物は、0.22以下、例えば0.21以下、0.2以下、0.19以下、0.18以下、例えば0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、または0.11以下のtanδ(60℃)を有することができる。
【0104】
本発明から調製された加硫物は(例えば、開示された、Tzまたは先端速度の混合条件のもとで、単一の段階もしくは多段階のいずれかであっても、湿潤充填剤、固体エラストマー、および架橋剤を混合するここに開示されたプロセスのいずれかで作られたもの)、向上した性質を示すことができる。例えば、本発明の複合材から調製された加硫物は、固体エラストマー、非湿潤充填剤、および架橋剤を乾式混合することによって作られた複合材(「乾式混合複合材」)、特には、同じ組成を有する乾式混合複合材(「乾式混合等価物」)から作られた加硫物よりも、向上した性質を有することができる。従って、乾式混合と本発明の混合プロセスとの間の、匹敵する充填剤、エラストマー、充填剤の充填量(例えば、±5質量%、±2質量%)と配合処方(架橋剤を含む)、および随意選択的な硬化剤との間の比較がなされた。それらの条件のもとで、本加硫物は、同じ組成を有する乾式混合複合材から調製された加硫物のtanδ値よりも小さいtanδ値を有している。加えて、もしくは、あるいは、加硫物は、同じ組成を有する乾式混合複合材から調製された加硫物の引張応力比よりも大きな、引張応力比、M300/M100を有しており、ここでM100およびM300は、それぞれ100%と300%の伸びにおける引張応力を表している。
【0105】
エラストマー(例えば、ジエン系エラストマー)は、空気/酸素の存在で劣化することが知られている。劣化は、ポリマー鎖の切断および/または架橋の形態で起こる可能性があり、それはゴム特性に影響を与える可能性がある。エラストマー複合材は、硬化剤、例えば硫黄の存在で硬化されて、架橋に影響を与えることでき、硬化された(複合材に関して)そして劣化に対してより大きな安定性を有する加硫物をもたらすが、劣化は、なお起こる可能性があるが、しかしながら硬化されていない複合材に比較してより少ない程度である。しかしながら、硬化されていないエラストマー複合材を長期間に亘って(例えば、3、6、9か月間、または1年間以下、または更には2年間以下)貯蔵(および/または輸送)する必要がある可能性がある。更には、しばしば倉庫内または輸送の間(トラック、輸送コンテナ)に存在する上昇した温度は、劣化の速度を促進する可能性がある。この速度を低下させるために、複合材は、冷蔵庫内に、または空気調節のもとで、貯蔵されることができる。そのような貯蔵の解決策は、しかしながら、過剰なエネルギー消費と冷蔵装置を必要とさせる。
【0106】
架橋剤を含む複合材は、経時に亘って、例えば、少なくとも20℃の温度において、少なくとも5日間以上、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1月間(少なくとも30日間)、少なくとも2月間、少なくとも30月間、そして更には少なくとも6月間(少なくとも180日間)、1年間(12月間)以下、または更には2年間以下、低減された劣化を示すことができる。貯蔵または熟成されたそのような複合材は、「熟成複合材」と表される。他の選択肢として、熟成複合材は、高温で、少なくとも1日間保存または熟成されたものであることができる。熟成された複合材の劣化は、複合材または加硫物のゴム特性を監視することによって観察されることができる。例えば、ここに開示されたプロセスに従って架橋剤を含んで作られた複合材から調製されった加硫物は、経時で維持される特定の性質を有している。ここに開示された複合材を少なくとも1日間、5日間など、1年間以下、の期間に亘って熟成することで、最大tanδ、ペイン効果、および/または熟成されていない、例えば2日間以下、もしくは1日間以下熟成された、複合材から調製された加硫物の値よりも10%以下で増加したペイン比値によって示されるように、熟成された複合材から調製された加硫物の向上したヒステリシス特性をもたらすことができる。例えば、複合材(およびそのような複合材から形成された配合物)のレオロジー特性は、高められることができる。そのような特性の1つの例は、加硫物のペイン効果であり、それはペイン比またはペイン差(Payne difference)によって示すことができる。ペイン比は、G‘(0.1%)/G’(50%)によって規定され、ここでG‘(0.1%)は0.1%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率であり、そしてG’(50%)は、50%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率である。ペイン差は、G‘(0.1%)とG’(59%)との間の差異である。
【0107】
室温において(例えば、20℃)、熟成複合材は、少なくとも5日間、またはここに開示された他の期間、貯蔵または熟成されることができる。熟成の時間は、製造日(0日)から決定されることができる。1つの選択肢として、熟成複合材は、少なくとも20℃、例えば20℃~200℃の温度で、あるいは周囲条件、例えば20℃~40℃、もしくは20℃~30℃の範囲の温度のもとで、温度と湿度が調整された環境で、または温度と湿度の制御なしで(例えば、倉庫、トラック)のいずれかで、貯蔵または熟成されたものである。熟成の時間は、少なくとも7日間、少なくとも2週間、少なくとも1月間、少なくとも3月間、少なくとも6月間、または少なくとも1年間以上、例えば5日間~2年間、5日間~1年間、5日間~6月間、5日間~3月間、2週間~1年間、2週間~6月間、1月間~1年間、1月間~6月間、および他の範囲であることができる。
【0108】
1つの選択肢として、熟成複合材は、高温で、少なくとも1日間、例えば、少なくとも40℃の温度で、例えば40℃~200℃、40℃~180℃、40℃~150℃、40℃~120℃、40℃~100℃、40℃~90℃、40℃~75℃、50℃~200℃、50℃~180℃、50℃~150℃、50℃~120℃、50℃~100℃、50℃~90℃、50℃~75℃、60℃~200℃、60℃~180℃、60℃~150℃、60℃~120℃、60℃~100℃、または60℃~90℃の範囲の温度で貯蔵または熟成されることができる。特定の態様では、複合材は、高温で、少なくとも7日間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも1月間、6月間以下、または1年間以下、貯蔵または熟成されることができる。1つの選択肢として、高温での貯蔵は、1月間以内、2週間以内、または1週間以内、例えば5日間~1月間の貯蔵、で行われる。
【0109】
また、ここに開示されるのは、ここに開示された複合材または加硫物、から作られた、または、を含む、物品である。
【0110】
複合材は、エラストマーまたはゴム含有製品を製造するために用いられることができる。1つの選択肢として、エラストマー複合材は、空気入りタイヤならびに空気なしタイヤもしくはソリッドタイヤにおける、タイヤの種々の部品、例えばタイヤトレッド(例えば、オンロードの、またはオフロードのタイヤトレッド)、キャップおよびベース、アンダートレッド、インナーライナー、タイヤサイドウォール、タイヤカーカス、タイヤサイドウォールインサート、タイヤのワイヤースキム、および山掛けタイヤのクッションゴム、に組み込まれる加硫物を形成するための用途、に用いられるか、または、のために製造されることができる。あるいは、もしくは、加えて、エラストマー複合材(およびその後の加硫物)は、空気入りタイヤならびに空気なしタイヤもしくはソリッドタイヤにおける、ホース、シール、ガスケット、目詰め材、風防ワイパー、自動車用部品、ライナー、パッド、ハウジング、ホイールおよびトラック要素、タイヤサイドウォールインサート、タイヤのワイヤースキム、および山掛けタイヤのクッションゴムに用いられることができる。あるいは、もしくは、加えて、エラストマー複合材(およびその後の加硫物)は、ホース、シール、ガスケット、防振物品、トラック、キャタピラー推進装置、例えばブルドーザのためのトラックパッドなど、エンジンマウント、耐震材、鉱業装置、例えばスクリーン、鉱業装置のライニング、コンベヤベルト、シュートライナー、スラリーポンプライナー、泥水ポンプ部品、例えばインペラ、バルブシート、バルブ本体、ピストンハブ、ピストンロッド、プランジャ、種々の用途、例えば混合スラリーおよびスラリーポンプインペラのためのインペラ、粉砕ミルライナー、サイクロンおよびハイドロサイクロン、伸縮継手、船舶用装置、例えばポンプのライニング(例えば、浚渫ポンプおよび船外機ポンプ)、ホース(例えば浚渫ホースおよび船外機ホース)、および他の船舶用装置、船舶用の軸シール、オイル、航空宇宙、および他の用途、プロペラシャフト、運搬用パイプのためのライニング、例えばオイルサンドおよび/またはタールサンド、および耐摩耗性および/または向上した動的性質が必要とされる他の用途に用いられることができる。更に、エラストマー複合材は、加硫されたエラストマー複合材を経由して、ローラー、カム、シャフト、パイプ、車輌用ブッシング、または耐摩耗性および/または向上した動的性質が必要とされる他の用途に用いられることができる。
【0111】
従って、物品としては、車輌用タイヤトレッド、例えばキャップおよびベース、サイドウォール、アンダートレッド、インナーライナー、ワイヤースキム、タイヤカーカス、エンジンマウント、ブッシング、コンベヤベルト、防振装置、目詰め材、風防ワイパー、自動車用部品、シールガスケット、ホース、ライナー、パッド、ハウジング、およびホイールおよびトラック要素が挙げられる。例えば、物品は、米国特許第9,713,541号、第9,713,542号、第9,718,313号、および第10,308,073号明細書に開示されているような複数部品トレッドであることができ、それらの開示を引用することによって本明細書の内容とする。
【実施例1】
【0112】
例IおよびIIの混合工程ならびに全ての配合プロセスは、BR-1600バンバリー(登録商標)ミキサー(「BR1600;製造業者:Farrell」)で、2.8バールのラム圧力で行われた。BR1600ミキサーは、2つの2-ウイング、タンジェンシャルロータ(2WL)で、1.6Lの容量を与えて運転された。例IIIの混合工程は、2つのタンジェンシャル4-ウイングロータ(形式4WN)を取り付けたBB-16タンジェンシャルミキサー(「BB-16」;コベルコ神戸製鋼グループ)で、16.2Lの容量を与えて、行われた。
【0113】
排出された複合材中の水の含有量は、水分秤(型式:HE53:製造業者:Mettler Toledo NA、オハイオ州)を用いて測定された。この複合材は、小片にスライスされ(サイズ:長さ、幅、高さ<5mm)、そして2~2.5gの材料が、使い捨てのアルミニウムディスク/プレート上に置かれ、それが水分秤の内部に置かれた。質量損失が、125℃で30分間記録された。30分間の最後に、複合材の水分含有量が以下のように記録された。
【数1】
【0114】
以下の試験が、それぞれの加硫物のゴム特性を測定するのに用いられた。
・100%伸びにおける引張応力(M100)および300%伸びにおける引張応力(M300)が、ASTM D412(試験方法A、ダイC)によって、23℃、50%の相対湿度、そして500mm/分のクロスヘッド速度で評価された。伸縮計が、引張歪を測定するのに用いられた。M300/M100の比は、引張応力比(または弾性比)と称される。
・最大tanδが、ARES-G2レオメータ(製造業者:TA Instruments)で、8mmの直径の平行プレート配置で、ねじれモードで測定された。加硫物片の直径サイズは8mm直径および約2mmの厚さであった。レオメータは、60℃の定温で、そして10Hzの一定の振動数で操作された。歪掃引(Strain sweeps)は、0.1~68%の歪振幅で行われた。測定は、10個の組当たりに10点で行われ、そして最大の測定されたtanδ(「最大tanδ」)が記録され、特に断りのない限り、「tanδ」とも表された。ペイン比が、0.1%の歪における動的貯蔵弾性率G’の50%の歪における動的貯蔵弾性率G’の比、すなわちG’(0.1%)/G’(50%)から計算された。
例I
【0115】
この例は、複合材および対応する加硫物の調製が記載されており、そこでは固体エラストマーが、湿潤充填剤および架橋剤と混合された。
【0116】
全ての試料は、ASTM品種のN234カーボンブラックで調製され、VULCAN(登録商標)7Hカーボンブラック(「V7H」;Cabot Corporation)として提供された。湿潤カーボンブラックペレットは、55.2%の水分含有量を有しており、そして8インチモデルのMicroJetミルでのミル加工によって調製されて、10ミクロン未満の99.5%粒子サイズ直径を有する綿毛状カーボンブラック粒子を生成させた。この綿毛状カーボンブラックは、次いでピンペレタイザーで湿潤化されて、湿潤化されたペレットを再生させた。用いられたエラストマーは、標準品種のSMR5天然ゴム(Hokson Rubber、マレーシア)であった。この天然ゴムの技術的説明は、例えば、Lippincott and Peto, Inc.(アクロン、オハイオ州、USA)によって出版されているRubber World MagazineのBlue Bookで、広く入手可能である。用いられた架橋剤は、ナトリウム(2Z)-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエートであり、Sumilink(登録商標)200架橋剤(「S200」、住友化学)として商業的に入手可能である。
【0117】
2つの例が、調製され、そこでは架橋剤が、湿潤カーボンブラックと同じ混合段階で加えられた。以下の比較例が調製された:従来どおり混合された天然ゴムおよびカーボンブラック(ドライ1)、従来どおり混合された天然ゴム、カーボンブラックおよびS200(ドライ2)。
【0118】
配合が表1に示されている。カーボンブラックの充填量は、乾燥基準で設定された。
【表1】
【0119】
6PPD=N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-p-フェニレンジアミン
ワックスビーズは、Akrowax(商標)5031ワックスビーズであり、そしてBBTS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)は、促進剤BBTSであり、全ては、Akrochem(アクロン、オハイオ州)から入手可能である。
【0120】
第1段階の実験記録が、表2(乾式混合)および表3(湿潤充填剤との混合)中に略述されている。下記の混合方法において列挙された時間間隔は、「0s」で規定された混合の開始からの時間を表している。例1では、架橋剤は、140℃の温度で加えられ、そして例2では、架橋剤は210秒間の合計混合時間で加えられた。
【表2】
【表3】
【0121】
全ての複合材は、50℃および約37rpmで運転された2-ロールミルでシート化され、次いで約5mmのニップ間隔で6回通過させた。段階1の混合の後の例1および例2の両方で、水分含有量は、複合材の質量に対して、それぞれ0,8%および0.9%であった。
【0122】
加硫物は、表4の手順に従って複合材を段階2の配合物と配合し、続いて表5の手順に従って硬化剤と配合する(段階3の配合物)ことによって形成された。それぞれの配合段階の後に、配合物は、50℃および約37rpmで運転された2-ロールミルで、次いで約5mmのニップ間隔で6回通して、シート化された。最終的な配合物は、60℃で運転された2-ロールミルで2.4mmの厚さにシート化された。最終的な配合物は、加熱プレス(2500lbs)で、150℃で30分間に亘って硬化された。
【表4】
【表5】
【0123】
【0124】
表6のデータは、湿潤充填剤および架橋剤と混合された複合材の動的ヒステリシス損失、最大tanδは、比較の乾燥1および乾燥2の例よりもより低かったことを示している。例1および例2の引張応力比、M300/M100は、乾式混合の例の引張応力比よりも高かった。このことは、向上したゴム特性が、湿潤充填剤との混合と架橋剤の使用の組み合わせによって得ることができることを示している。
例II
【0125】
この例には複合材および対応する加硫物の調製が記載されており、ここで固体エラストマーは、架橋剤と共ペレット化されている湿潤充填剤と混合された。
【0126】
3種の架橋剤が評価された:シスタミンジヒドロクロリド(「シスタミン」;96%、Sigma-Aldrich)、ヘキサメチレン-1,6-ビス(チオスルフェート(「Duralink」;Duralink(商標)HTSタイヤ添加剤、Eastman Chemical Co.)、およびチオ尿素(Sigma-Aldrich)。全ての試料は、VULCAN(登録商標)7Hカーボンブラック(「V7H」; Cabot Corporation)として提供される、ASTM品種のN234カーボンブラックで調製された。用いられたエラストマーは、標準品種SMR20の天然ゴム(Hokson Rubber、マレーシア)であった。この天然ゴムの技術説明は、広範に入手可能であり、例えばLippincott and Peto, Inc.(アクロン、オハイオ州、米国)によって出版されているRubber World MagazineのBlue Book。
【0127】
架橋剤とカーボンブラック(湿潤または乾燥)を含む共ペレットがミキサーに充填された。橋剤とカーボンブラックの共ペレットは、6g(の架橋剤とDI水(310g)の溶液および250gの例Iで調製された綿毛状V7Hカーボンブラックを混合することによって形成された。ペレット化は、10HPの加熱されたピンペレタイザーで、5分間の滞留時間で、60℃で行われた。例3、例4および例5では、結果として得られた湿潤充填剤が乾燥なしに用いられた。例えば、乾燥3、乾燥4、および乾燥5では、結果として得られた湿潤ペレットは、オーブン中で125℃で一晩、混合の前に乾燥された。比較の例乾燥6では、カーボンブラックを含み、そして架橋剤を含まないペレットが、この例に記載されているように調製された。
【0128】
【0129】
6PPD=N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-p-フェニレンジアミン
ワックスビーズは、Akrowax(商標)5031ワックスビーズであり、そしてCBSは、N-シクロへキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドであり、全てはAkrochem, (アクロン、オハイオ州)から入手可能である。
【0130】
乾燥充填剤との全ての混合(すなわち、乾燥6および乾燥3~乾燥5)について、混合手順が表8に示されている。
【表8】
【0131】
湿潤共ペレット例3、例4および例5との混合の手順が、表9中に示されている。
【表9】
【0132】
段階1の混合の後の例3、例4および例5の水分含有量は、複合材の質量に対して、それぞれ0.74%、0.35%、および0.55%であった。全ての複合材は第2の配合段階(表10の手順)に付され、ここで硬化剤およびスモール(湿潤共ペレットからの複合材について;硬化剤は乾式混合された複合材のみ)が加えられた。
【表10】
【0133】
配合物は、50℃および約27rpmで運転された2-ロールミルでシート化され、1分間に亘ってまとめられ、次いで約5mmのニップ間隔で4回通された。配合物は、60℃で運転された2-ロールミルで2.4mmの厚さにシート化された。最終的な配合物は、加熱プレス中で150℃の温度(2500lbs)で21分間に亘って硬化された。加硫物の特性が表11に示されている。
【表11】
【0134】
表11のデータから、架橋剤を含む湿潤共ペレットから調製された複合材の加硫物は、対応する比較例の乾式混合された例と比較して、より低い最大tanδ、より高い引張応力比(M300/M100)のいずれか、またはその両方を示したことがわかる。例3、例4および例5の加硫物の全てが、比較例の乾燥6よりも、より低い最大tanδおよびより高い引張応力比の両方を示した。
例III
【0135】
この例では、湿潤複合材と天然ゴムおよび加硫剤と混合することによる複合材の調製、ならびに複合材の性質およびその複合材から調製された配合物の性質の評価結果が記載されている。
【0136】
全ての試料は、VULCAN(登録商標)7Hカーボンブラック(「V7H」;Cabot Corporation)として提供されるASTM品種のN234カーボンブラックで調製された。湿潤カーボンブラックペレットは、56%の水分含有量を有しており、そして8インチモデルのMicroJetミルでミル加工して、10μm未満の99.5%粒子サイズ直径を有する綿毛状カーボンブラック粒子を生成させることによって調製された。この綿毛状カーボンブラックは、次いでピンペレタイザーで湿潤化されて、湿潤化されたペレットに再生された。用いられたエラストマーは、標準品種のRSS3天然ゴム(Von Bundit Co. Ltd.、タイ)であった。この天然ゴムの技術説明は、広範に入手可能であり、例えばLippincott and Peto, Inc.(アクロン、オハイオ州、米国)によって出版されているRubber World MagazineのBlue Book。用いられた架橋剤は、Sumilink(登録商標)200架橋剤(「S200」;住友化学)として商業的に入手可能なナトリム(2Z)-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエートであった。
【0137】
湿潤カーボンブラックの天然ゴムとの混合は、2段階の混合とそれに続く2段階の配合として行われた。用いられた配合物は、表12に示されている。カーボンブラックの充填量は、乾燥基準で設定された。
【表12】
【0138】
2段階の混合手順は、表13(第1段階)および表14(第2段階)に略述されている。下記の混合方法で列挙されている時間間隔は、工程時間を表している。全ての混合は、以下の条件のもとで行われた:TCU温度=90℃、充填率=66%、ラム圧力=112バールG。第1段階の混合は、4WNロータを取り付けられたBB-16ミキサー(16.2Lの容量)で、112バールGのラム圧力で行われ、そして表13の手順に略述されている。第1段階の混合の後に、複合材が、静止ナイフを取り付けられたTSR-1252軸スクリュー排出押出機(コベルコ神戸製鋼グループ)で処理された。
【0139】
第2段階の混合は、6WIロータを取り付けられたBB-16ミキサー(14.4Lの容量)で、表13の手順に従って、行われた。混合は、ラムをその最も高い位置に上げて行われた。初期の素練りの後に、PID制御(比例積分形微分)のもとで行われ、それがフィードバックループによってバッチ温度の自動制御を可能とする。ミキサーのドロップドアをとおして挿入された熱電対で、バッチ温度が測定され、それがPID制御機に伝達される。制御機の出力が、ミキサーロータの速度を制御するのに用いられた。第2段階の混合条件は、TCU温度=65℃、充填率=35%、混合時間=582秒間。
【表13】
【表14】
【0140】
第1段階の混合の後の複合材の水分含有量は4.96%であり、第2段階の混合の後の水分含有量は0,51%であった。第2段階の複合材は、ローラーダイを取り付けられたTSR-1252軸スクリュー排出押出機(コベルコ神戸製鋼グループ)で処理された。結果として得られたシートは、周囲空気のもとで冷却された。
【0141】
複合材は、空気中で、30日間または180日間貯蔵された。その貯蔵期間の後に、加硫物が、表15の手順に従った段階3の配合物で複合材を配合し、次いで、表16の手順に従って硬化剤(段階4の配合物)と配合することによって形成された。それぞれの配合段階の後に、複合材は、50℃および37rpmで運転された2-ロールミルで、次いで約2mmのニップ間隔で6回の通過によって、シート化された。最終的な配合物は、60℃で運転された2-ロールミルで2.4mmの厚さにシート化された。最終的な配合物は、加熱プレス(2500lbs)で、150℃で30分間に亘って硬化された。
【表15】
【表16】
【0142】
30日間養生(例6および例7)および180日間養生(例8および例9)の複合材試料のそれぞれの2種の試料から調製された加硫物の性質が、表17に示されている。
【表17】
【0143】
表17のデータからわかるように、加硫剤を含み、熟成された複合材から調製された加硫物の性質は、驚くべきことに、その複合材が30日間(例6および例7)または180日間(例8および例9)保存されたかのいずれにせよ、同様であった。更により驚くべきことには、最大のtanδ値は、全ての加硫物について、変わらなかった。それらのデータは、架橋剤は、経時で、例えば、少なくとも180日間までは、複合材の性能の劣化を低減させるのを援けることができることを示している。
【0144】
用語「a」および「an」および「the」の使用は、特に断りのない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、単数と複数の両方を包含すると理解されなければならない。用語「comprising(含む)」、「having(有する)」、「including(含む)」および「containing(含む)」は、特に断りのない限り、開放的な用語(すなわち、「含むが、それには限定されない」を意味する)と理解されなければならない。ここでの値の範囲の記載は、ここで特に断りのない限り、その範囲内に収まるそれぞれの個々の値を独立して表すための簡略な方法として供されることが単に意図されており、そしてそれぞれの個々の値は、それが、ここに独立して記載されたように、明細書中に組み込まれる。ここに記載された全ての方法は、ここで特に断りのない限り、またはさもなければ文脈によって明確に否定されない限り、いずれかの好適な順序で実施されることができる。いずれかの例および全ての例の使用、あるいはここに提供された例示的な用語(例えば、「例えば」)は、単に、本発明をよりよく明確にすることが意図されており、特に断りのない限り、本発明の範囲に限定を与えるものではない。本明細書中のいずれの用語も、本発明の実施に必須の特許請求されていない要素を示すとは解釈されてはならない。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)以下の工程、
(a)ミキサーに、少なくとも固体エラストマー、カーボンブラック、および湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも20質量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤、ならびに架橋剤を充填する工程、
(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、前記少なくとも固体エラストマー、前記湿潤充填剤、および前記架橋剤を混合して、混合物を形成させ、そしてその混合物から前記液体の少なくとも1部を、蒸発によって、除去する工程、ならびに、
(c)前記ミキサーから、前記エラストマー中に少なくとも20phrの充填量で分散された前記充填剤を含む前記複合材を排出する工程、ここで前記複合材は、前記複合材の全質量を基準として10質量%以下の液体含有量を有している、
ここで、前記架橋剤は、少なくとも2つの官能基を有する化合物から選択され、
第1の官能基は、-N(R
1
)(R
2
)、-N(R
1
)(R
2
)(R
3
)
+
A
-
、-S-SO
3
M
1
ならびに式(I)および式(II)によって表される構造から選択され、
【化5】
式中、A
-
は、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ナイトレートまたはアセテートであり、X=NH、O、またはS、Y=H、OR
4
、NR
4
R
5
、-S
n
R
4
、そしてnは1~6から選択される整数である、そして、
第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO
3
M
2
、-S
x
-R
6
、-SH、-C(R
6
)=C(R
7
)-C(O)R
8
、-C(R
6
)=C(R
7
)-CO
2
R
8
、-C(R
6
)=C(R
7
)-CO
2
M
2
から選択され、そして、
R
1
~R
8
は、それぞれ独立して、HおよびC
1
~C
8
アルキルから選択され、そしてM
1
およびM
2
は、それぞれ独立して、H、Na
+
、K
+
、Li
+
、N(R’)
4
+
から選択され、そこでそれぞれのR’は、独立して、HおよびC
1
~C
20
アルキルから選択され、そしてxは、1~8から選択される整数である、
を含んでなる、複合材の調製方法。
(2)前記架橋剤が、前記第1および第2の官能基の間に少なくとも1種のスペーサを更に含み、前記少なくとも1種のスペーサが、-(CH
2
)
n
-、-(CH
2
)
y
C(O)-、-C(R
9
)=C(R
10
)-、-C(O)-、-N(R
9
)-、および-C
6
H
4
-から選択され、ここでR
9
およびR
10
は、それぞれ独立してHおよびC
1
~C
8
アルキルから選択され、そしてyは1~10から選択される整数である、(1)記載の方法。
(3)前記架橋剤が、チオ尿素、シスタミン、ならびに式(1)、式(2)、および式(3)の化合物、
【化6】
から選択される、(1)記載の方法。
(4)M
1
およびM
2
が、それぞれ独立してH、Na
+
、およびN(R′)
4
+
から選択され、そしてR
6
およびR
7
が、独立してHおよびC
1
~C
6
アルキルから選択される、(1)~(3)のいずれか1項記載の方法。
(5)前記架橋剤が、式(1)の化合物から選択され、そしてR
6
およびR
7
がそれぞれHである、(4)記載の方法。
(6)前記架橋剤が、ナトリウム(2Z)-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエートである、(1)~(5)のいずれか1項記載の方法。
(7)前記充填する工程が、前記ミキサーに前記架橋剤と前記湿潤充填剤を別々に充填することを含む、(1)~(6)のいずれか1項記載の方法。
(8)前記充填する工程が、前記固体エラストマー、前記湿潤充填剤、および/または前記架橋剤の複数の添加を含む、(1)~(7)のいずれか1項記載の方法。
(9)前記混合工程が、単一の混合工程で行われる、(1)~(8)のいずれか1項記載の方法。
(10)前記混合工程が、2つまたは3つ以上の混合工程で行われる、(1)~(8)のいずれか1項記載の方法。
(11)(b)における前記混合工程が、第2の混合工程であり、ここで第1の混合工程が、前記固体エラストマーの少なくとも1部および前記湿潤充填剤の少なくとも1部を混合し、続いて前記ミキサーに前記架橋剤を充填することを含む、(10)記載の方法。
(12)(a)の前記充填する工程が、前記ミキサーに、前記架橋剤と前記湿潤充填剤を含む混合物を充填することを含む、(1)~(11)のいずれか1項記載の方法。
(13)(a)の前記充填する工程が、前記ミキサーに、前記架橋剤と前記湿潤充填剤を含む共ペレットを充填することを含む、(1)~(11)のいずれか1項記載の方法。
(14)前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記方法が、前記ミキサーが、65℃以上の温度に設定された少なくとも1つの温度制御手段を有している前記混合工程を実施することを含む、(1)~(13)のいずれか1項記載の方法。
(15)前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記方法が、前記混合工程を、前記ミキサーの1つもしくは2つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%に亘って少なくとも0.6m/秒の先端速度で運転されて、行うことを含む、(1)~(14)のいずれか1項記載の方法。
(16)前記混合工程の結果として得られる全比エネルギーが、少なくとも1300kJ/kg複合材である、(1)~(15)のいずれか1項記載の方法。
(17)前記湿潤充填剤が、炭素質材料、シリカ、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、またはそれらの組み合わせ、ならびにそのコーティングおよび処理された材料から選択される少なくとも1種の材料を更に含む、(1)~(16)のいずれか1項記載の方法。
(18)前記湿潤充填剤が、シリカを更に含む、(1)~(16)のいずれか1項記載の方法。
(19)前記湿潤充填剤が、湿潤充填剤の全質量を基準として20質量%~80質量%の範囲の量で存在する液体を有する、(1)~(18)のいずれか1項記載の方法。
(20)前記湿潤充填剤が、粉末、ペースト、ペレット、またはケーキの形態である、(1)~(19)のいずれか1項記載の方法。
(21)前記固体エラストマーが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択される、(1)~(20)のいずれか1項記載の方法。
(22)前記固体エラストマーが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、およびそれらの混合物から選択される、(1)~(20)のいずれか1項記載の方法。
(23)前記1つもしくは2つ以上の混合工程が、連続式プロセスである、(1)~(22)のいずれか1項記載の方法。
(24)前記1つもしくは2つ以上の混合工程が、バッチプロセスである、(1)~(22)のいずれか1項記載の方法。
(25)複合材の調製方法であって、以下の工程、
(a)第1のミキサーに、少なくとも固体エラストマー、ならびにカーボンブラックと、湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも20質量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤を充填する工程、
(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、前記少なくとも固体エラストマーと前記湿潤充填剤を混合して混合物を形成させ、そして前記混合物から前記液体の少なくとも1部を蒸発によって除去する工程、
(c)前記第1のミキサーから、前記エラストマー中に少なくとも20phrの充填量で分散された充填剤を含む前記混合物を排出する工程であって、前記混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量よりも少ない量に低減された液体含有量を有し、そして前記混合物が、100℃~180℃の範囲の材料温度を有している、工程、
(d)(c)からの前記混合物を、第2のミキサー中で混合して、前記複合材を得る工程、ならびに、
(e)前記第2のミキサーから、前記複合材の全質量を基準として3質量%未満の液体含有量を有する前記複合材を排出する工程、
ここで、架橋剤は、前記第1のミキサー、前記第2のミキサー、または前記第1および第2のミキサーの両方に充填され、前記架橋剤が、少なくとも2つの官能基を有する化合物から選択され、
第1の官能基は、-N(R
1
)(R
2
)、-N(R
1
)(R
2
)(R
3
)
+
A
-
、-S-SO
3
M
1
、ならびに式(I)および式(II)によって表される構造から選択され、
【化7】
式中、A
-
は、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ナイトレートまたはアセテートであり、X=NH、O、またはS、Y=H、OR
4
、NR
4
R
5
、-S
n
R
4
、そしてnは1~6から選択される整数である、そして、
第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO
3
M
2
、-S
x
-R
6
、-SH、-C(R
6
)=C(R
7
)-C(O)R
8
、-C(R
6
)=C(R
7
)-CO
2
R
8
、-C(R
6
)=C(R
7
)-CO
2
M
2
から選択され、そして、
R
1
~R
8
は、それぞれ独立して、HおよびC
1
~C
8
アルキルから選択され、そしてM
1
およびM
2
は、それぞれ独立して、H、Na
+
、K
+
、Li
+
、N(R’)
4
+
から選択され、そこでそれぞれのR’は、独立して、HおよびC
1
~C
20
アルキルから選択され、そしてxは、1~8から選択される整数である、
(26)前記架橋剤が、前記第1のミキサーに充填され、そして工程(b)が前記少なくとも固体エラストマー、前記湿潤充填剤、および前記架橋剤を混合して前記混合物を形成することを含む、(25)記載の方法。
(27)前記架橋剤が、前記第2の混合物に充填され、そして工程(d)が、(c)からの前記混合物と前記架橋剤とを前記第2のミキサー中で混合して前記複合材を得ることを含む、(25)または(26)記載の方法。
(28)前記第1および第2のミキサーが、同じである、(25)~(27)のいずれか1項記載の方法。
(29)前記第1および第2のミキサーが、異なっている、(25)~(27)のいずれか1項記載の方法。
(30)前記第2のミキサーが下記の条件、
(i)5psi以下のラム圧力、
(ii)ラムが、その最も高いレベルの少なくとも75%に上げられている、
(iii)ラムがフローティングモードで運転される、
(iv)ラムが、ラムが前記混合物に実質的に接触しないように配置される、
(v)前記ミキサーがラムなしである、ならびに、
(vi)前記ミキサーの充填率が、25%~70%の範囲である、
の少なくとも1つのもとで運転される、(25)~(29)のいずれか1項記載の方法。
(31)加硫物を調製する方法であって、(1)~(30)のいずれか1項記載の方法によって調製された前記複合材を、少なくとも1種の硬化剤の存在で、硬化して前記加硫物を形成することを含む、方法。
(32)前記複合材を養生して養生された複合材を形成する、(1)~(31)のいずれか1項記載の方法。
(33)前記複合材が、少なくとも20℃の温度で少なくとも5日間に亘って養生された、(32)記載の方法。
(34)前記複合材が、少なくとも40℃の温度で少なくとも1日間に亘って養生された、(32)記載の方法。
(35)
前記養生された複合材から調製された加硫物が、養生されていない複合材から調製された加硫物の値の10%以下だけ増加した最大tanδを有する、(32)記載の方法。
(36)前記養生された複合材から調製された加硫物が、養生されていない複合材から調製された加硫物の値の10%以下だけ増加したペイン効果を有する、(32)記載の方法。
(37)(31)~(36)のいずれか1項記載の方法によって調製された前記加硫物を含む物品。