(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20250304BHJP
F16K 31/53 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
F16K31/04 K
F16K31/53
(21)【出願番号】P 2023569740
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 CN2022092445
(87)【国際公開番号】W WO2022237869
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】202110523047.6
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110906320.3
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511102675
【氏名又は名称】浙江三花汽車零部件有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG SANHUA AUTOMOTIVE COMPONENTS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#301,12th Street,Economic & Technological Development Area,Hangzhou,Zhejiang,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ジュンドン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、 ヤンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ビアン、 チーカイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、 ハイタオ
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212429824(CN,U)
【文献】米国特許第05540414(US,A)
【文献】実開平06-080967(JP,U)
【文献】特開2014-228039(JP,A)
【文献】中国実用新案第212177921(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
F16K 31/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動機構、弁体及び弁ボデーアセンブリを含み、前記弁ボデーアセンブリは、弁ボデー室を有し、前記弁体は、前記弁ボデー室に位置し、前記伝動機構は、前記弁体に伝動接続される電動弁であって、
前記弁ボデーアセンブリに固定接続される接続座を含み、
前記接続座は、第1の貫通孔を有し、
前記伝動機構は、出力軸を含み、
前記出力軸の一部は、前記第1の貫通孔内に位置し、
前記出力軸の他の一部は、前記弁ボデー室に位置し、
前記電動弁は、前記出力軸
の他の一部に固定接続される位置制限フレームを含み、
前記位置制限フレームは、前記接続座における前記弁体に比較的近い側に位置し、
前記位置制限フレームは、軸方向に沿って前記接続座と対向設置されかつ設定隙間を有することを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記出力軸は、第1の段階部と第2の段階部を含み、
前記第2の段階部は、前記第1の段階部よりも前記弁体に近く、
前記第1の段階部の径方向に沿った幅は、前記第2の段階部の径方向に沿った幅よりも大きく、
前記第1の段階部は、前記接続座における前記弁体から離れる端面に当接し、
前記第2の段階部の一部は、前記第1の貫通孔に位置し、
前記第2の段階部の他の一部は、前記弁ボデー室に位置し、
前記位置制限フレームは、前記第2の段階部に当接することを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記第2の段階部の前記電動弁の軸方向に沿った長さは、h
1であり、
前記第1の貫通孔の前記電動弁の軸方向に沿った深さは、h
2であり、
前記設定隙間をh
1-h
2と定義し、h
1-h
2は、h
1-h
2=0.1~0.2mmという関係式を満たすことを特徴とする請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記接続座は、底部と側壁を含む本体部を含み、
前記接続座は、前記側壁の内壁の内側であって底部の上に位置する収容室を有し、
前記第1の貫通孔は、前記底部に開口を有し、
前記伝動機構は、固定リングギヤと少なくとも1段の遊星歯車アセンブリを含み、
前記固定リングギヤ及び前記遊星歯車アセンブリの少なくとも一部は、前記収容室に位置し、
前記固定リングギヤは、前記接続座に固定接続されることを特徴とする請求項
2または請求項
3に記載の電動弁。
【請求項5】
前記出力軸は、前記第2の段階部よりも前記弁体に近い軸部を含み、
前記位置制限フレームは、軸方向に沿って前記位置制限フレームを貫通する取付孔を有し、
前記軸部の一部は、前記取付孔に位置し前記弁体に伝動接続され、
前記位置制限フレームは、前記軸部に溶接固定されることを特徴とする請求項4に記載の電動弁。
【請求項6】
前記位置制限フレームと嵌合して前記軸部の回動角度を制限する位置制限柱を含み、
前記接続座は、軸方向に沿って前記底部を貫通する取付室を有し、
前記取付室は、前記第1の貫通孔よりも前記接続座の中心から離れ、
前記位置制限柱は、頭部とロッド部を含み、
前記頭部の直径は、前記ロッド部の直径よりも大きく、
前記ロッド部は、前記頭部よりも前記弁体に近く、
前記頭部は、前記取付室に位置し、
前記ロッド部の少なくとも一部は、前記弁ボデー室に位置することを特徴とする請求項5に記載の電動弁。
【請求項7】
前記位置制限フレームは、ストッパ部を含み、
前記ストッパ部は、第1のストッパ面、第2のストッパ面及び非ストッパ面を含み、
前記第1のストッパ面は、非ストッパ面の一端に接続され、
前記第2のストッパ面は、非ストッパ面の他端に接続され、
前記弁ボデー室に位置するロッド部は、前記位置制限フレームの第1のストッパ面又は第2のストッパ面に当接可能であることを特徴とする請求項6に記載の電動弁。
【請求項8】
前記取付室は、軸方向に設けられた第1の取付室と第2の取付室を含み、
前記第2の取付室は、前記第1の取付室よりも前記弁体に近く、
前記第1の取付室の内径は、前記第2の取付室の内径よりも大きく、
前記接続座は、前記取付室を形成する室壁の一部としての第3の段階部を含み、
前記頭部は、前記第1の取付室内に位置し前記第3の段階部に当接し、
前記頭部は、前記第1の取付室における前記弁ボデーアセンブリ側から離れる開口を超えず、
前記ロッド部の一部は、前記第2の取付室内に位置し、
前記ロッド部は、前記第3の段階部に締まり嵌めされることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電動弁。
【請求項9】
前記接続座は、前記本体部の側壁の外周から径方向に沿って外へ延びる第1のフランジ部を含み、
前記電動弁は、前記本体部の側壁の径方向外周に嵌着される圧着ナットを含み、
前記圧着ナットは、前記第1のフランジ部の一端面に当接し、
前記圧着ナットは、前記弁ボデーアセンブリにネジ接続されることを特徴とする請求項
8に記載の電動弁。
【請求項10】
前記接続座は、位置決め孔を有し、
前記弁ボデーアセンブリには、対応する位置決め柱が設けられ、
前記位置決め柱と前記位置決め孔とは、嵌合し、
前記接続座は、前記本体部の側壁の内周に位置する第4の段階部を含み、
前記電動弁の軸方向に沿って、前記第3の段階部は、前記第4の段階部よりも前記弁体に近く、
前記接続座は、前記本体部における弁体から離れる端に位置するかしめ圧着部を含み、
前記固定リングギヤは、前記固定リングギヤにおける前記弁ボデーアセンブリに近い端に位置する第2のフランジ部を有し、
前記第2のフランジ部は、前記固定リングギヤの外周壁から径方向に沿って外へ延び、
前記固定リングギヤの第2のフランジ部の一端面は、前記第4の段階部に当接し、
前記第2のフランジ部の外周面は、前記本体部の側壁に当接し、
前記接続座のかしめ圧着部と前記固定リングギヤとは、リベット接合により固定されることを特徴とする請求項9に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2021年05月13日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202110523047.6であり、発明の名称が「電動弁」であり、及び、2021年08月09日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202110906320.3であり、発明の名称が「電動弁」である2つの中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、援用されることで、本出願に結合される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、流量制御弁に関し、具体的には、電動弁に関する。
【0003】
一般的に、電動弁は、弁体の回動により流体のオンオフ又は切り替えを制御し、この電動弁は、伝動機構、軸部及び弁体を含む。
そして、この伝動機構が軸部に伝動接続され、軸部が弁体に伝動接続され、高圧の流体が軸部に作用すると、圧力は、軸部によって伝動機構に伝達され、このように、伝動機構が力を受けて押し出され、伝動機構の回動摩擦を増大させ、伝動機構の摩擦損失を増大させ、電動弁の使用寿命を損ねる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、伝動機構の摩擦損失を低減し、使用寿命を向上させる電動弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的を実現するために、本発明は、伝動機構、弁体及び弁ボデーアセンブリを含み、前記弁ボデーアセンブリは、弁ボデー室を有し、前記弁体は、前記弁ボデー室に位置し、前記伝動機構は、前記弁体に伝動接続される電動弁であって、さらに、前記弁ボデーアセンブリに固定接続される接続座を含み、前記接続座は、第1の貫通孔を有し、前記伝動機構は、出力軸を含み、前記出力軸の一部は、前記第1の貫通孔内に位置し、前記出力軸の他の一部は、前記弁ボデー室に位置し、前記電動弁は、さらに、前記出力軸に固定接続される位置制限フレームを含み、前記位置制限フレームは、前記接続座における前記弁体に比較的近い側に位置し、前記位置制限フレームは、軸方向に沿って前記接続座と対向設置されかつ設定隙間を有することを特徴とする電動弁である。
本発明の電動弁において、位置制限フレームは、出力軸の径方向外周に設けられ出力軸に固定接続され、位置制限フレームは、接続座における弁体に比較的近い側に位置し、位置制限フレームは、接続座と対向設置され設定隙間を有し、流体圧力が出力軸の端面に作用すると、圧力の作用で出力軸に固定接続された位置制限フレームは、接続座の端面に当接するまで、接続座側へ設定距離だけ移動することができ、位置制限フレームは、圧力の一部を接続座に伝達することができ、接続座が弁ボデーアセンブリに固定接続されることにより力のバランスを達成することで、一部又は大部分の流体による圧力が相殺され出力軸によって伝動機構に伝達され、このように、伝動機構の間の流体圧力による押し出しを低減し、伝動機構の摩擦損失を低減するのに有利であり、伝動機構の使用寿命を向上させ、電動弁の使用寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1に示す電動弁のA-A方向に沿った断面図である。
【
図3】
図1に示す電動弁のB-B方向に沿った断面図である。
【
図4】
図2又は
図3に示す駆動部、伝動機構、スリーブ、及び、位置制限フレーム並びに位置制限柱と接続座との嵌合の1つの角度の断面図である。
【
図5】
図9に示す接続座と出力軸、位置制限フレーム、位置制限柱との嵌合の1つの角度の立体図である。
【
図7】
図2又は
図3に示す出力遊星歯車アセンブリの1つの角度の立体図である。
【
図8】
図5に示す位置制限フレームの1つの角度の立体図である。
【
図9】
図5に示す接続座の1つの角度の立体図である。
【
図11】
図10に示す接続座のC-C方向に沿った断面図である。
【
図12】
図5に示す位置制限柱の1つの角度の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について、図面と実施例によってさらに説明する。
本発明の電動弁は、
図1~
図12を参照し、車両熱管理システム又は空気調和システムに適用することができる。
電動弁100は、制御装置と、弁ボデー室51を有する弁ボデーアセンブリ5と、弁ボデー室51に位置する弁体6とを含む。
そして、この制御装置は、駆動部2と伝動機構3を含む。
そして、この駆動部2は、トルクを伝動機構3に出力するためのものであり、駆動部2は、伝動機構3に伝動接続され、この伝動機構3は、弁体6に伝動接続され、制御装置は、弁ボデーアセンブリ5に固定接続され、電動弁100は、制御装置によって外界と電気的に接続及び/又は信号的に接続され、ここで記載される固定接続は、溶接、接着又はネジ接続又はフランジによる接続等を含む。
【0008】
図2、
図3、
図4を参照し、駆動部2は、ロータアセンブリ21と、このロータアセンブリ21の外周に位置するステータアセンブリ22とを含む。
そして、このロータアセンブリ21は、ロータ室210を有し、伝動機構3の少なくとも一部は、ロータ室210に位置し、伝動機構3の少なくとも一部がロータ室210に位置するように設置されることで、電動弁100の軸方向の高さを低減する。
さらに、制御装置は、回路基板7を含み、ステータアセンブリ22は、回路基板7と電気的に接続及び/又は信号的に接続される。
【0009】
さらに、制御装置は、スリーブ81と接続座9を含む。
そして、スリーブ81の少なくとも一部は、ロータアセンブリ21とステータアセンブリ22との間に位置し、離隔作用を果たす。
スリーブ81は、スリーブ室810を有し、ロータアセンブリ21は、スリーブ室810に位置し、スリーブ81は、接続座9に固定接続される。
本実施例では、スリーブ81は、接続座9に溶接により固定接続される。
接続座9は、収容室91を有し、伝動機構3の一部は、収容室91に位置し、接続座9は、弁ボデーアセンブリ5に固定接続される。
【0010】
本実施例では、伝動機構3は、遊星歯車機構であり、もちろん、他の実施形態として、伝動機構3は、他の形態の伝動機構であってもよい。
図2、
図3、
図4を参照し、伝動機構3は、太陽歯車31、固定リングギヤ32及び少なくとも1段の遊星歯車アセンブリを含む。
そして、伝動機構3は、伝動比のニーズに応じて、1段の又は複数段の遊星歯車アセンブリを設けることができ、本実施例のように、伝動機構の軸方向に沿って、それぞれ、第1の遊星歯車アセンブリ33、第2の遊星歯車アセンブリ34、第3の遊星歯車アセンブリ35及び出力遊星歯車アセンブリ36という合計4段の遊星歯車アセンブリが設けられる。
ロータアセンブリ21は、ロータ磁石リング211と接続板212を含み、接続板212を射出インサートとし、射出によりロータアセンブリ21を形成し、接続板212と太陽歯車31とは、固定接続又は射出成型される。
電動弁100の軸方向、即ち、
図2に示すO-O方向に沿って、第1の遊星歯車アセンブリ33は、第2の遊星歯車アセンブリ34よりも太陽歯車31に近い位置に設けられ、第2の遊星歯車アセンブリ34は、第3の遊星歯車アセンブリ35よりも太陽歯車31に近い位置に設けられ、第3の遊星歯車アセンブリ35は、出力遊星歯車アセンブリ36よりも太陽歯車31に近い位置に設けられる。
固定リングギヤ32は、内歯部を有し、固定リングギヤ32は、遊星歯車アセンブリの外周に位置する。
そして、この固定リングギヤ32の一部は、ロータ室210に位置し、固定リングギヤ32の一部は、接続座9の収容室91に位置し、固定リングギヤ32は、接続座9に固定接続される。
第1の遊星歯車アセンブリ33、第2の遊星歯車アセンブリ34及び第3の遊星歯車アセンブリ35は、同一構造であり、第1の遊星歯車アセンブリ33は、それぞれ太陽歯車31と固定リングギヤ32とに歯車噛合し、第2の遊星歯車アセンブリ34は、それぞれ第1の遊星歯車アセンブリ31と固定リングギヤ32とに歯車噛合し、第3の遊星歯車アセンブリ35は、それぞれ第2の遊星歯車アセンブリ36と固定リングギヤ 32とに歯車噛合する。
【0011】
図7を参照し、出力遊星歯車アセンブリ36は、出力遊星歯車361、位置決め軸362及び出力軸363を含む。
そして、出力遊星歯車361は、位置決め軸362の外周に位置し、出力遊星歯車361は、第3の遊星歯車アセンブリ35に歯車噛合し、出力遊星歯車361は、固定リングギヤ32に歯車噛合している。
そして、位置決め軸362と出力軸363とは、一体に射出され又は組立固定され、本実施例では、位置決め軸362と出力軸363とは、組立固定される。
出力軸363は、第1の段階部3631、第2の段階部3632、及び軸部4を含み、電動弁100の軸方向に沿って、
図2、
図3を結合し、第2の段階部3632は、第1の段階部3631よりも弁体6に近く、軸部4は、第2の段階部3632よりも弁体6に近く、第1の段階部3631の径方向における幅は、第2の段階部3632の径方向における幅よりも大きく、軸部4の径方向における幅は、第2の段階部3632の径方向における幅よりも小さい。
出力軸363の一部は、接続座9の収容室91に位置し、出力軸363の一部は、接続座9を通過し、軸部4によって弁体6に接続される。
本実施例では、弁体6は、球状表面又は略球状表面を含み、他の実施形態として、弁体6は、円柱形、円錐台形、テーパ状、針状等のような他の形状であってもよい。
弁体6は、弁体を貫通する孔路61を有し、弁ボデーアセンブリ5は少なくとも2つの流通通路52、53を含む。
回路基板7は、ステータアセンブリ22が通電するように制御した後、ステータアセンブリ22は、励磁磁界を発生し、ロータアセンブリ21は、磁力による励起で、太陽歯車31を回動させ、太陽歯車31は、第1の遊星歯車アセンブリ33を回動させ、第1の遊星歯車アセンブリ33は、第2の遊星歯車アセンブリ34を回動させ、第2の遊星歯車アセンブリ34は、第3の遊星歯車アセンブリ35を回動させ、第3の遊星歯車アセンブリ35は、出力遊星歯車361を回動させ、出力遊星歯車361は、位置決め軸362によって出力軸363を動かせ、出力軸363の軸部4は、弁体6に伝動接続され、軸部4の回動により弁体6を回動させ、弁体6の回動に伴って、弁体6の孔路61は、弁ボデーアセンブリ5の流通通路52、53を連通又は非連通させることができるため、電動弁100による流体のオンオフ制御を実現する。
本実施例では、電動弁100は、二方弁であり、流通通路の数は、2つであり、他の実施形態として、電動弁100は、三方弁、四方弁又は他の多方弁であってもよく、即ち、弁ボデーアセンブリ5の流通通路の数が3つ、4つ等の複数の流通通路であってもよく、弁体6を回転させることで、流通通路のうちの2つの又は複数を連通させることができるため、電動弁100による流体の切り替え制御を実現する。
【0012】
図9~
図11を参照し、接続座9は、本体部92と第1のフランジ部93を含み、この第1のフランジ部93は、本体部92の側壁の外周から径方向に沿って外へ延び、本体部92は、第1のフランジ部93と一体的に加工成型される。
本体部92は、底部921と側壁922を含む。
そして、本体部92は、側壁922の内壁の内側であって底部921の上に位置する収容室91を形成する。
底部921は、収容室91の1つの開口としての第1の貫通孔923を有し、この第1の貫通孔923は、軸方向に沿って底部921を貫通し底部921の中部に位置する。
【0013】
さらに、
図2、
図3に示すように、電動弁100は、接続座9の本体部92の側壁の径方向外周に嵌着される圧着ナット82を含み、圧着ナット82は、第1のフランジ部93の一端面に当接し、
図2の方向で上下方向を設定している。
本実施例では、圧着ナット82は、第1のフランジ部93の上面に当接し、圧着ナット82は、弁ボデーアセンブリ5にネジ接続されることで、接続座9は、弁ボデーアセンブリ5に固定接続される。
接続座9と固定リングギヤ32との間は、溶接、リベット接合等の方法により固定接続される。
【0014】
図5、
図6、
図9~
図11を結合し、出力軸363の第1の段階部3631は、接続座9の収容室91に位置し底部921に当接し、出力軸363の第2の段階部3632の電動弁の軸方向に沿った高さは、h
1であり、第1の貫通孔923の電動弁の軸方向に沿った深さをh
2とする。
出力軸363の第2の段階部3632の電動弁の軸方向に沿った高さは、第1の貫通孔923の電動弁の軸方向に沿った深さよりも大きく、即ち、h
1>h
2である。
そのため、第2の段階部3632の一部は、第1の貫通孔923内に位置し、第2の段階部3632の他の一部は、第1の貫通孔923を通過して底部921の下端面から突出し、突出した部分は、弁ボデー室51に位置し、この弁ボデー室51内に位置する第2の段階部3632の電動弁の軸方向に沿った高さは、h
1-h
2であり、h
1-h
2=0.1~0.2mmである。
【0015】
図5、
図8を参照し、電動弁100は、さらに、軸部4に固定接続される位置制限フレーム83を含む。
ここで説明すべきは、位置制限フレーム83と軸部4とは、別体構造であってもよく、両者は、溶接、仮締め又は他の方法により固定接続され、位置制限フレーム83と軸部4とは、一体構造であってもよく、固定接続を実現する。
位置制限フレーム83は、接続座9における弁体6に比較的近い側に位置し、位置制限フレーム83は、接続座9と軸方向に沿って対向設置されている。
ここで記載される対向設置とは、位置制限フレーム83の外径は、第1の貫通孔923の孔径よりも大きく、位置制限フレーム83のうち第1の貫通孔923の孔径よりも大きい部分と接続座9の対応する部分とは、対向設置されることを指す。
位置制限フレーム83は、軸方向に沿って設けられ位置制限フレーム83を貫通する取付孔831を有し、軸部4の一部は、位置制限フレーム83の取付孔831内に位置し、軸部4の一部は、取付孔831を通過して弁体6に接続される。
取付孔831の形状は、取付孔831内に位置するこの軸部4の一部の形状と同じであり、取付孔831の外形サイズは、軸部4の外形サイズよりもわずかに大きく、例えば、取付孔831の長さを軸部4の長さよりも0.02mm大きくし、取付孔831の幅を軸部4の幅よりも0.02mm大きくすることで、軸部4は、位置制限フレーム83を通過可能となった。
位置制限フレーム83の上端面の一部は、出力軸363の第2の段階部3632に当接し、位置制限フレーム83の上端面の他の一部は、出力軸363の第2の段階部3632に当接しておらず、位置制限フレーム83の下端は、軸部4に溶接固定される。
本実施例では、取付孔831は、略直方体であり、取付孔831の下端面は、略矩形状であり、下端面は、平行に設置された2つの長辺と2つの短辺を含む。
そして、位置制限フレーム83の平行に設置された2つの長辺の近くで軸部4とレーザー溶接により固定されることが可能であり、位置制限フレーム83と軸部4を補強するために、平行に設置された2つの短辺も、軸部4とレーザー溶接により固定される。
位置制限フレーム83と軸部4とを組立並びに溶接の方法で固定しており、位置制限フレーム83と軸部4とを仮締めにより固定することよりも、この固定方法は、より確実であり、位置制限フレーム83の固定不良のリスクを低減し、位置制限フレーム83の使用寿命を延ばす。
ここで、取付孔831は、実施例における直方体構造に限らず、円柱形等の他の構造であってもよい。
【0016】
出力軸363の第2の段階部3632の電動弁の軸方向に沿った高さh1は、第1の貫通孔の電動弁の軸方向に沿った深さh2よりも大きく、位置制限フレーム83の上端面の一部は、出力軸363の第2の段階部3632に当接し、位置制限フレーム83の上端面の他の一部は、出力軸363の第2の段階部3632に当接していない。
このため、位置制限フレーム83における出力軸363の第2の段階部3632に当接していない部分の上端面は、接続座9における弁体6に近い端面である接続座9の下端面と対向設置され、かつ、隙間が存在する。
そして、この隙間の大きさは、h1-h2であり、h1-h2は、通常0.1~0.2mmの間であり、位置制限フレーム83と接続座9との間に一定の隙間を保持することにより、位置制限フレーム83の回転時の摩擦抵抗を低減することができる。
電動弁を流れた流体が高圧流体である場合に、弁ボデー室51内に位置する流体は、軸部4の端面に作用して、軸部4に対して1つの軸方向に沿って上向きの圧力が発生し、圧力の作用で軸部4に固定接続された位置制限フレーム83及び出力軸363は、位置制限フレーム83と接続座9の下端面とが当接するまで、上向きに一定の距離だけ移動する。
そして、この距離は、即ち、前述隙間h1-h2であり、軸方向の圧力が大きい場合に、位置制限フレーム83と接続座9の下端面とは、当接し、位置制限フレーム83は、圧力の一部を接続座9に伝達することができ、接続座9が弁ボデーアセンブリ5に固定接続されることにより力のバランスを達成することで、一部又は大部分の高圧流体による圧力が相殺され出力軸363によって各段の遊星歯車アセンブリ33~36に伝達され、このように、各段の遊星歯車アセンブリの間の流体圧力による押し出しを低減するのに有利であり、遊星歯車アセンブリの摩擦損失を低減するのに有利であり、伝動機構の使用寿命を向上させ、ひいては、電動弁の使用寿命を向上させるのに有利である。
【0017】
図8を参照し、位置制限フレーム83は、さらに、ストッパ部832を含む。
そして、ストッパ部832は、第1のストッパ面8321、第2のストッパ面8323及び非ストッパ面8322を含む。
本実施例では、非ストッパ面8322は、弧面であり、第1のストッパ面8321と第2のストッパ面8323は、平面であり、第1のストッパ面8321は、非ストッパ面8322の一端に直接的に接続され又は接続弧面で接続され、第2のストッパ面8323は、非ストッパ面8322の他端に直接的に接続又は接続弧面で接続され、第1のストッパ面8321は、第2のストッパ面8323に直接的に接続されない。
図8では、第1のストッパ面8321、非ストッパ面8322、第2のストッパ面8323は、ストッパ部832の環状の外周壁の一部である。
【0018】
さらに、電動弁100は、位置制限柱84を含む。
図12を参照し、位置制限柱84は、略T字状であり、位置制限柱84は、頭部841とロッド部842を含む。
そして、頭部841の直径は、ロッド部842の直径よりも大きい。
さらに、
図9、
図11を参照し、接続座9は、位置制限柱84を取り付けるための取付室924を有し、この取付室924は、軸方向に沿って底部921を貫通し、取付室924は、第1の貫通孔923よりも接続座9の中心軸線D-Dから離れ、取付室924は、軸方向に設けられた第1の取付室9241と第2の取付室9242を含む。
そして、第1の取付室9241と第2の取付室9242とは連通し、第2の取付室9242は、第1の取付室9241よりも弁体6に近く、この第1の取付室9241の内径は、第2の取付室9242の内径よりも大きい。
接続座9は、取付室924の室壁の一部としての第3の段階部925を含む。
そして、第3の段階部925の段階面9251を境として、この段階面9251の上の部分が第1の取付室9241であり、段階面9251の下の部分が第2の取付室9242である。
位置制限柱84の頭部841は、第1の取付室9241に位置し、位置制限柱84の頭部841は、第3の段階部925に当接し、この位置制限柱84の頭部841は、第1の取付室9241における弁ボデーアセンブリの端から離れる開口である第1の取付室9241の上端の開口を超えないようにして、位置制限柱84が出力軸363の回転に影響を与えることを防止し、頭部841の直径は、第1の取付室9241の内径よりも小さく、頭部と第1の取付室を形成する室壁とは、隙間嵌めされる。
位置制限柱84のロッド部842の一部は、第2の取付室9242に位置し、ロッド部842の直径は、第2の取付室9242の内径よりもわずかに大きく、この第2の取付室9242内に位置するロッド部842と第2の取付室を形成する室壁である第3の段階部925との間は、締まり嵌めされ、ロッド部842の残りの部分は、第2の取付室9242を通過し弁ボデー室51内に位置し、位置制限フレーム83が回動する場合に、第2の取付室9242を通過し弁ボデー室51内に位置するこの一部ロッド部842は、位置制限フレーム83の第1のストッパ面8321又は第2のストッパ面8323に当接可能であり、位置制限柱84は、非ストッパ面8322に接触しないため、位置制限フレーム83の回動の角度を制限することができ、軸部4の回動の角度を制限することができる。
そして、位置制限柱84は、この位置制限柱84の頭部841が取付室を形成する室壁である接続座9の第3の段階部925に当接ように、位置制限柱84を取付室924の上端から下へ押し込む。
これにより、取り付け可能であり、第3の段階部925は、位置制限柱84が弁ボデーアセンブリ5に近い方向に動くことを制限し、位置制限柱84が弁ボデー室51内に落下するリスクを低減し、位置制限柱84の使用寿命を向上させることができる。
【0019】
なお、
図5に示すように、接続座9は、位置決め孔94を有し、弁ボデーアセンブリ5には、対応する位置決め柱(図示せず)が設けられ、位置決め柱84と位置決め孔94とは、嵌合して位置決めの役割を果たす。
さらに、
図4と
図9に示すように、接続座9は、接続座9の側壁の内周に位置する第4の段階部926を含み、電動弁の軸方向に沿って、第3の段階部925は、第4の段階部926よりも弁体6に近い。
さらに、接続座9は、本体部92の上端に位置するかしめ圧着部927を含み、かしめ圧着部927は、固定リングギヤ32との固定接続のために使用される。
接続座9は、例えば、ステンレス鋼を採用して切削加工により所望の構造及び形状を得るような金属部材であってもよい。
図3と
図9に示すように、固定リングギヤ32は、固定リングギヤ32における弁ボデーアセンブリ5に近い端に位置する第2のフランジ部321を有し、第2のフランジ部321は、固定リングギヤ32の外周壁から径方向に沿って外へ延びる。
そして、この固定リングギヤ32の第2のフランジ部321の下面は、第4の段階部926に当接し、第2のフランジ部321の外周面は、接続座の本体部の側壁922に当接し、接続座のかしめ圧着部927と固定リングギヤ32とはリベット接合により固定される。
【0020】
以上の実施例は、本発明を限定するものではなく、本明細書は、上記の実施例を参照して本発明を既に詳しく説明したが、本発明に対して補正又は均等な置換を行うことは可能であり、本発明の精神及び範囲から逸脱しない全ての改良は、いずれも本発明の請求項範囲に該当している。