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特許7644299サブマージドポンプ及びサブマージドポンプの引抜方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】サブマージドポンプ及びサブマージドポンプの引抜方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/00 20060101AFI20250304BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
F17C9/00 Z
F17C13/00 302Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024153746
(22)【出願日】2024-09-06
【審査請求日】2024-10-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000152170
【氏名又は名称】株式会社酉島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】細貝 和希
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 真次
(72)【発明者】
【氏名】原 貴司
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-034198(JP,U)
【文献】特開2016-204941(JP,A)
【文献】特開平11-030686(JP,A)
【文献】実開平05-071600(JP,U)
【文献】特開2003-021297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 9/00
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの天壁の上側に配置される分岐した排出部を有し、前記天壁に固定されて前記タンク内を上下方向に延び、上端が開口された筒状のバレルと、
前記バレルの軸線に対して交差する向きに突出した連結部を有する複数の筒体を直管状に連結して構成され、前記軸線に沿って前記バレル内に差し込まれた保護管と、
前記保護管の下端に取り付けられて前記保護管と一体に前記バレル内に配置され、前記バレルと前記保護管の間を通して前記排出部から液化ガスを排出するポンプ部と、
前記連結部を挿通可能な開口部を有し、前記バレルの上端に取り付けられた板状の上部カバーと、
前記筒体のうち前記連結部よりも小さく前記連結部以外の部分を挿通可能な挿通孔を有し、前記開口部を覆うように前記上部カバー上に着脱可能に配置され、前記連結部の保持によって前記保護管を介して前記ポンプ部を支持する受け座と
を備え
前記受け座の内周部には、前記保護管に向けて突出したシール部が設けられている、サブマージドポンプ。
【請求項2】
前記受け座は、環状体を周方向に2以上分割した分割体によって構成されている、請求項に記載のサブマージドポンプ。
【請求項3】
タンクの天壁の上側に配置される分岐した排出部を有し、前記天壁に固定されて前記タンク内を上下方向に延び、上端が開口された筒状のバレルと、
前記バレルの軸線に対して交差する向きに突出した連結部を有する複数の筒体を直管状に連結して構成され、前記軸線に沿って前記バレル内に差し込まれた保護管と、
前記保護管の下端に取り付けられて前記保護管と一体に前記バレル内に配置され、前記バレルと前記保護管の間を通して前記排出部から液化ガスを排出するポンプ部と、
前記連結部を挿通可能な開口部を有し、前記バレルの上端に取り付けられた板状の上部カバーと、
前記筒体のうち前記連結部よりも小さく前記連結部以外の部分を挿通可能な挿通孔を有し、前記開口部を覆うように前記上部カバー上に着脱可能に配置され、前記連結部の保持によって前記保護管を介して前記ポンプ部を支持する受け座と
を備え、
前記受け座は、環状体を周方向に2以上分割した分割体によって構成されている、サブマージドポンプ。
【請求項4】
前記分割体には、外周部から分割縁に向けて延びるガイド溝が形成され、
前記上部カバーには、前記ガイド溝に挿入され、前記2以上の分割体をそれぞれ近づく向きと離れる向きである接離方向に誘導するガイド凸部が着脱可能に設けられている、請求項2又は3に記載のサブマージドポンプ。
【請求項5】
前記連結部は、前記筒体に対して径方向外側へ突出したフランジによって構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のサブマージドポンプ。
【請求項6】
タンクの天壁に固定されて前記タンク内を上下方向に延びる筒状のバレル内に配置され、複数の筒体を直管状に連結した保護管の下端に取り付けられたポンプ部によって、前記バレルと前記保護管の間を通して前記天壁よりも上側に配置された前記バレルの排出部から液化ガスを排出するサブマージドポンプの引抜方法であって、
前記保護管と前記ポンプ部を一体に吊り上げる吊上ステップと、
前記バレルの上端に取り付けられた上部カバーの開口部を覆うように前記上部カバー上に受け座を配置し、前記筒体のうち前記バレルの軸線に対して交差する向きに突出して前記上部カバーから露出した上端の連結部を前記受け座上に保持し、前記保護管を介して前記ポンプ部を支持する支持ステップと、
前記受け座よりも上側の前記筒体を分離する分離ステップと
を、繰り返し行った後、
前記ポンプ部に直接連結した下端の前記筒体の上端が前記上部カバーから露出すると、前記バレルの上端から前記上部カバーと一緒に前記ポンプ部を引き抜く引抜工程を行う、サブマージドポンプの引抜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブマージドポンプ及びサブマージドポンプの引抜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンク内の液体アンモニアを排出するアンモニアタンク内払出ポンプが開示されている。このポンプは、タンク内に挿入されたバレルと、バレルの下端に設けられたフート弁と、バレル内に吊り下げられた払出ポンプとを備える。メンテナンス時、払出ポンプの吊り上げによってフート弁を閉じた後、バレル内にパージガスを供給しつつバレル内からガスを吸引することによって、バレル内を浄化する。その後、バレルの上端を閉止するヘッドプレートを取り外し、バレルの上端から払出ポンプを抜き出すことによって、バレル外(大気)へのアンモニアガスの拡散抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-90418号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パージガスの供給によってバレル内を完全に浄化することは困難である。一方で、特許文献1のポンプでは、ヘッドプレートを取り外した状態で、払出ポンプをバレル内の下部から吊り上げて上端から抜き出すため、大きく開放されたバレルの上端から外部(大気)へ気化ガスが拡散し得る。言い換えれば、特許文献1のポンプには、バレル内からの気化ガスの拡散対策について、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、メンテナンス時に気化ガスが大気に拡散することを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサブマージドポンプは、タンクの天壁の上側に配置される分岐した排出部を有し、前記天壁に固定されて前記タンク内を上下方向に延び、上端が開口された筒状のバレルと、前記バレルの軸線に対して交差する向きに突出した連結部を有する複数の筒体を直管状に連結して構成され、前記軸線に沿って前記バレル内に差し込まれた保護管と、前記保護管の下端に取り付けられて前記保護管と一体に前記バレル内に配置され、前記バレルと前記保護管の間を通して前記排出部から液化ガスを排出するポンプ部と、前記連結部を挿通可能な開口部を有し、前記バレルの上端に取り付けられた板状の上部カバーと、前記筒体のうち前記連結部よりも小さく前記連結部以外の部分を挿通可能な挿通孔を有し、前記開口部を覆うように前記上部カバー上に着脱可能に配置され、前記連結部の保持によって前記保護管を介して前記ポンプ部を支持する受け座とを備える
第1態様では前記受け座の内周部には、前記保護管に向けて突出したシール部が設けられている、サブマージドポンプを提供する。
第2態様では、前記受け座は、環状体を周方向に2以上分割した分割体によって構成されている、サブマージドポンプを提供する。
【0007】
本発明の他の態様は、タンクの天壁に固定されて前記タンク内を上下方向に延びる筒状のバレル内に配置され、複数の筒体を直管状に連結した保護管の下端に取り付けられたポンプ部によって、前記バレルと前記保護管の間を通して前記天壁よりも上側に配置された前記バレルの排出部から液化ガスを排出するサブマージドポンプの引抜方法であって、前記保護管と前記ポンプ部を一体に吊り上げる吊上ステップと、前記バレルの上端に取り付けられた上部カバーの開口部を覆うように前記上部カバー上に受け座を配置し、前記筒体のうち前記バレルの軸線に対して交差する向きに突出して前記上部カバーから露出した上端の連結部を前記受け座上に保持し、前記保護管を介して前記ポンプ部を支持する支持ステップと、前記受け座よりも上側の前記筒体を分離する分離ステップとを、繰り返し行った後、前記ポンプ部に直接連結した下端の前記筒体の上端が前記上部カバーから露出すると、前記バレルの上端から前記上部カバーと一緒に前記ポンプ部を引き抜く引抜工程を行う、サブマージドポンプの引抜方法を提供する。
【0008】
ポンプ部は、複数の筒体を直管状に連結した保護管の下端に取り付けられ、この保護管と一体にバレル内に配置されている。また、上部カバー上に着脱可能に配置される受け座は、連結部の保持によって保護管を介してポンプ部を支持する。そのため、保護管とポンプ部を一体に吊り上げる吊上ステップ、受け座によって筒体の連結部を保持し、保護管を介してポンプ部を支持する支持ステップ、及び受け座よりも上側の筒体を分離する分離ステップを繰り返し行うことによって、ポンプ部をバレルの上部に吊り上げることができる。上部カバーの開口部を覆う受け座は、筒体のうち連結部よりも小さく連結部以外の部分を挿通可能な挿通孔を有するため、アンモニアのような液化ガスの場合、気化ガスが大気に漏出して拡散することを最小限に抑えることができる。その後、バレルの上端から上部カバーと一緒にポンプ部を引き抜く引抜工程を行うことで、ポンプ部をバレルから引き抜くことができるため、メンテナンス性を向上できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、メンテナンス時に気化ガスが大気に拡散することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るサブマージドポンプをタンクに取り付けた状態の断面図。
図2図1のII部分の拡大断面図。
図3】バレル上端の上部カバー及び第1実施形態の受け座の分解斜視図。
図4】第1実施形態の受け座の断面図。
図5】メンテナンス時の遮断工程を示す断面図。
図6】メンテナンス時の吊上工程の連結ステップを示す断面図。
図7】メンテナンス時の吊上工程の吊上ステップを示す断面図。
図8】メンテナンス時の吊上工程の支持ステップを示す断面図。
図9】メンテナンス時の吊上工程の分離ステップを示す断面図。
図10】メンテナンス時の引抜工程の連結ステップを示す断面図。
図11】メンテナンス時の引抜工程の引抜ステップを示す断面図。
図12】第2実施形態の受け座の断面図。
図13】第3実施形態の受け座の断面図。
図14】第4実施形態の受け座の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1を参照すると、本発明の第1実施形態に係るサブマージドポンプ10は、タンク1の天壁2に設置され、アンモニアのような液化ガス(液体)をタンク1の内部から外部の定められた設備に排出する。
【0013】
サブマージドポンプ10は、バレル15、ポンプ部32、及び保護管36を備える。ポンプ部32は、保護管36の下端に取り付けられている。ポンプ部32と保護管36は、バレル15に対して上方から一体に差し込まれている。また、サブマージドポンプ10は、バレル15に対してポンプ部32を引き抜くときと差し込むときに用いられる受け座40を備える。
【0014】
以下、バレル15、ポンプ部32、保護管36、及び受け座40の構成を具体的に説明する。
【0015】
バレル15は、上端と下端が開口された筒状で、天壁2を貫通してタンク1内を上下方向に延びている。バレル15は、天壁2に固定するためのベースプレート15aを備え、バレル15の上側の一部が、天壁2よりも上側に突出して大気に露出している。バレル15の全長は、タンク1の全高に応じて形成されており、例えば50mである。図1に記載のバレル15は、連続した1本の直管として図示しているが、実際には複数の直管を液密に連結して構成されている。但し、バレル15は、タンク1の全高によっては1本の直管によって構成されてもよい。
【0016】
バレル15のうち天壁2よりも上側に位置する部分には、それぞれ筒状の液体排出部15b、ガス流入部15c、及びガス流出部15dが分岐接続されている。液体排出部15bは、下流側の設備に接続された送出管4に接続されている。送出管4には仕切弁5が介設されている。ガス流入部15cは、バレル15内に不活性ガス(例えばNガス)を供給するためのガス供給源7に接続されている。ガス流出部15dは、バレル15内の不活性ガスと気化ガスを処理する設備(図示せず)に接続されている。
【0017】
バレル15の下端には、フート弁16が取り付けられている。バレル15の上端には、上部カバー21を介してシール部材24が取り付けられている。
【0018】
フート弁16は、弁座17と弁体18を備える。弁座17は、筒状であり、ボルト止めによってバレル15の下端に液密に取り付けられている。弁体18は、弁座17の下端のフランジ部と同一直径の円板状であり、弁座17に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。弁体18は、弁座17を閉鎖して閉弁可能であれば、弁座17のフランジ部の外径とは異なる直径であってもよいし、円板以外の形状であってもよい。
【0019】
弁体18には、それぞれ複数の軸部18aと突出部18bが周方向に間隔をあけて設けられている。軸部18aは、弁座17のフランジ部を貫通して上側へ突出している。軸部18aの上端にはストッパ19が取り付けられている。ストッパ19とフランジ部の間には、軸部18aを取り囲むように、弁体18を上向きに付勢するコイルスプリング20が配置されている。突出部18bは上向きに突出し、突出部18bの一部が弁座17内に位置している。突出部18bへのポンプ部32の載置によって、コイルスプリング20の付勢力に抗して弁体18が弁座17から離間して開弁する(図5参照)。突出部18bからのポンプ部32の離間により、コイルスプリング20の付勢力によって弁座17に弁体18が圧接されて閉弁する(図7参照)。
【0020】
図2及び図3を参照すると、上部カバー21は、円環状の金属板によって構成され、ボルト止めによってバレル15の上端のフランジ15eに液密かつ気密に取り付けられている。上部カバー21の開口部21aの中心は軸線A上に位置している。開口部21aの直径は、ポンプ部32の外形よりも小さく、保護管36の外形よりも大きく、後に詳述する保護管36の連結部37aを挿通可能な大きさである。
【0021】
上部カバー21の外周部には、バレル15にボルト止めするための複数のボルト孔21bが設けられている。上部カバー21の内周部には、シール部材24をボルト止めするための複数のボルト穴21cが設けられている。ボルト孔21bとボルト穴21cの間には、吊り上げ用のワイヤ43に取り付けられたアイボルト44(図10参照)を螺合する一対のボルト穴21dが設けられている。ボルト穴21c,21dは、それぞれ上端が開口して下端が塞がれた非貫通の有底筒状である。
【0022】
上部カバー21の開口部21aとボルト穴21cの間には、ガイド凸部22が設けられている。ガイド凸部22は、受け座40を構成する一対の分割体41を誘導するための構成である。ガイド凸部22は、スタットボルトによって構成され、上部カバー21に設けられた有底筒状のボルト穴21eに着脱可能に螺合される。
【0023】
図1及び図2に示す通常時、ガイド凸部22は、上部カバー21から取り外されている。図3及び図6から図11に示すように、バレル15に対してポンプ部32を引き抜くときと差し込むとき、ガイド凸部22は、上部カバー21に取り付けられる。上部カバー21への取付状態では、ガイド凸部22は、軸線Aに沿って上部カバー21から上側へ突出する。ガイド凸部22は、個々の分割体41に対して2本、合計で4本用いられている。一対の分割体41を誘導できる範囲であれば、ガイド凸部22の数は必要に応じて変更可能である。
【0024】
図2を参照すると、シール部材24は、通常時に保護管36との間からバレル15内の気化ガスが外部に漏出して拡散することを抑制するための構成である。シール部材24は、上部カバー21上に液密かつ気密に取り付けられるボビン状の基体25を備える。
【0025】
基体25の下側フランジ部25aには、上部カバー21のボルト穴21c(図3参照)に対応するボルト貫通孔が設けられている。下側フランジ部25aを貫通させたボルトを上部カバー21のボルト穴21cに螺合させることによって、シール部材24が上部カバー21に連結されている。
【0026】
基体25の上側フランジ部には、端子台28をボルト止めするためのボルト貫通孔が設けられている。下側フランジ部25aと上側フランジ部の間の内周部には、保護管36との間をシールするグランドパッキン(図示せず)が取り付けられている。
【0027】
図1を参照すると、シール部材24の上側には、端子台28がボルト止めによって取り付けられている。端子台28には、ポンプ部32に電力を供給するための電源接続部と、ポンプ部32を制御するためのコントロール機盤とが接続されている。
【0028】
ポンプ部32は浸漬式であり、バレル15内の下端部に配置され、バレル15内に浸入した液化ガスをバレル15と保護管36の間を通して液体排出部15bから排出する。ポンプ部32は、バレル15内への配置によって、弁体18を下向きに押圧してフート弁16を開弁させ、弁体15上に載置される。ポンプ部32は、ケーシング内にそれぞれ図示しないモータとインペラを備える。モータは、保護管36内に配索されたケーブル33によって端子台28に接続されている。ケーブル33は、複数の電線をコネクタ34によって接続した構成である。ケーブル33は、コネクタ34によって繋ぎ合わせることなく、1本の電線によって構成されてもよい。
【0029】
図1を参照すると、保護管36は、全体として円筒状で、ケーブル33を保護するための構成である。保護管36は、金属製で複数の筒体37を直管状に連結することによって構成され、バレル15の軸線Aに沿って差し込まれている。個々の筒体37の外径は、全て同じであり、バレル15の内径は勿論、上部カバー21の開口部21aの内径よりも小さい。個々の筒体37の全長は、図示しないクレーン(吊上機構)によって吊り上げ可能な長さ(例えば5m)である。筒体37の上下端に、前述したケーブル33のコネクタ34が取り付けられている。
【0030】
複数の筒体37のうち下端の筒体37Aと上端の筒体37B以外の上下端部には、径方向外側へ突出した連結部37aがそれぞれ設けられている。筒体37Aには、上端のみに連結部37aが設けられ、筒体37Aの下端にはポンプ部32が連結されている。筒体37Bには、下端のみに連結部37aが設けられている。上下に隣接する筒体37の連結部37aを重ね合わせ、ボルト止めすることによって複数の筒体37が直管状に連結されている。
【0031】
連結部37aは、筒体37に対して円環状をなすように突出したフランジによって構成されている。連結部37aの外径は、上部カバー21の開口部21aの直径よりも小さい。これにより、連結部37aは、上部カバー21の開口部21a内を通り、バレル15の上端から外部へ引抜可能になっている。連結部37aは、筒体37に対して径方向外側へ突出する構成であれば、断続的な円環状であってもよいし、円環以外の形状であってもよい。
【0032】
上端の筒体37Bの上部は、上部カバー21及びシール部材24を貫通して上側へ突出している。図6を参照すると、メンテナンス時、筒体37Bの上端には、ワイヤ43を連結するための連結部材38が取り付けられる。連結部材38は、上部カバー21の開口部21aの直径よりも大きい外径を有する円環状である。連結部材38には、ワイヤ43のアイボルト44を螺合するボルト孔が設けられている。
【0033】
図6から図8を参照すると、受け座40は、バレル15に対してポンプ部32を引き抜くときと差し込むときに用いられ、上部カバー21上に着脱可能に配置される。受け座40は、金属製であり、筒体37のうち上端の連結部37aの保持によって、保護管36を介してポンプ部32を吊り下げた姿勢で支持する。
【0034】
図2から図4を参照すると、第1実施形態の受け座40は、全体としてボビン状の環状体を周方向に2分割した一対の分割体41によって構成されている。個々の分割体41は、基部41a、基部41aの下端に設けられた下支持部41b、及び基部41aの上端に設けられた上支持部41cを備え、直線状の分割縁が接するように対向配置した使用状態で環状になる。受け座40は、3以上の分割体41によって構成されてもよい。
【0035】
基部41aは、筒体37の本体部分の外径よりも大きく、連結部37aの外径よりも小さい内径の半円筒状で、一対の分割体41を対向させて近接配置することによって円筒状になる。基部41aの内部空間は、筒体37のうち連結部37a以外の部分を挿通可能な挿通孔41dを構成する。
【0036】
基部41aの内周部には、保護管36に向けて径方向内側へ突出するシール部41eが接合によって設けられている。シール部41eは半円環状で、一対の分割体41を対向させて近接配置することによって円環状になる。シール部41eの内径は、連結部37aを除く筒体37の本体部分の外径よりも大きいが、筒体37を挿通できる範囲で可能な限り小さく設定されている。
【0037】
下支持部41bは、基部41aの下端に接合されている。下支持部41bは半円環状で、一対の分割体41を対向させて近接配置することによって円環状になる。下支持部41bの外径は、上部カバー21の開口部21aの直径よりも大きい。また、下支持部41bの外径は、上部カバー21の一対のボルト穴21d間の寸法、つまり上部カバー21においてボルト穴21dを形成する位置である仮想直径よりも小さい。これにより、上部カバー21上に受け座40を配置した状態で、ボルト穴21dが露出するように設定されている。
【0038】
下支持部41bには、外周部から分割縁に向けて延びる一対のガイド溝41fが設けられている。一対のガイド溝41fは、分割縁に対して直交する方向へ平行に延びている。これらのガイド溝41fに上部カバー21のガイド凸部22を挿入することにより、一対の分割体41を互いに近づく向き(径方向内側)と離れる向き(径方向外側)である接離方向に誘導できる。一対の分割体41を離間した状態では、保護管36の連結部37aが挿通孔41d内を挿通可能である。一対の分割体41を近接した状態では、保護管36の連結部37aは挿通孔41d内を挿通不可能である。
【0039】
上支持部41cは、基部41aの上端に接合されている。上支持部41cは半円環状で、一対の分割体41を対向させて近接配置することによって円環状になる。上支持部41cの外径は、筒体37の連結部37aの外径よりも大きく、下支持部41bの外径よりも小さい。上支持部41cの外径は、ガイド溝41fを露出可能な大きさである。上支持部41cと下支持部41bの間には、補強用のリブ41gが周方向に間隔をあけて複数設けられている。リブ41gは、基部41a、下支持部41b、及び上支持部41cにそれぞれ接合されている。
【0040】
次に、メンテナンス時にサブマージドポンプ10のポンプ部32をバレル15から引き抜く方法について説明する。
【0041】
本実施形態のサブマージドポンプ10の引抜方法は、図5に示す遮断工程、図6から図9に示す吊上工程、図10及び図11に示す引抜工程を備える。
【0042】
遮断工程では、図1に示す仕切弁5を開弁状態から閉弁状態に切り換える。また、図5に示すように、シール部材24から端子台28を取り外し、ケーブル33の接続を解除する。
【0043】
続いて、吊上工程では、ガス供給源7を作動させ、ガス流入部15cへの不活性ガスの供給を開始する。これにより、バレル15内が浄化される(パージステップ)。また、吊上工程では、パージステップと並行して、図6に示す連結ステップ、図7に示す吊上ステップ、図8に示す支持ステップ、及び図9に示す分離ステップを、下端の筒体37Aの連結部37aが露出するまで、繰り返し行う。
【0044】
具体的には、上端(上から一番目)の筒体37Bを吊り上げるとき、図6に示す連結ステップでは、まず、シール部材24の下側フランジ部25aのボルトを取り外し、上部カバー21に対するシール部材24の連結を解除する。続いて、筒体37Bからシール部材24を取り外す。その後、ガイド凸部22(図3参照)を配置した上部カバー21上に一対の分割体41を配置する。また、筒体37Bの上端に連結部材38を取り付け、ワイヤ43の先端に取り付けられたアイボルト44を連結部材38に螺合する。
【0045】
続いて、図7に示す吊上ステップでは、クレーンによってワイヤ43を引き上げることによって、保護管36を介してポンプ部32を吊り上げる。これにより、ポンプ部32が弁体18から離間し、フート弁16が閉弁する。一番目の筒体37Bに連結した二番目の筒体37の上端の連結部37aが上部カバー21よりも上側、より具体的には受け座40の上側に露出すると、クレーンによるワイヤ43の引き上げを止める。
【0046】
続いて、図8に示す支持ステップでは、一対の分割体41をガイド溝41f(図3参照)に沿って近接方向に移動させ、受け座40によって上部カバー21の開口部21aを覆う。その後、クレーンによってワイヤ43を引き下げることによって、受け座40上に二番目の筒体37の連結部37aを載置する。これにより、受け座40によって保護管36を介してポンプ部32を吊り下げた状態に支持する。
【0047】
続いて、図9に示す分離ステップでは、筒体37B,37の連結部37aを連結したボルトを取り外す。その後、クレーンによってワイヤ43を再び引き上げ、コネクタ34によるケーブル33の接続を解除する。これにより、受け座40よりも上側の筒体37Bを分離する。
【0048】
次に、図6に示す連結ステップに戻り、下端の筒体37Aの連結部37aが露出するまで、上から二番目以下の筒体37の連結、吊り上げ、支持、及び分離を繰り返し行う。二番目以下の筒体37を吊り上げるときには、連結部材38の代わりに、受け座40上に位置する筒体37の連結部37aにアイボルト44を螺合する点で相違し、その他の点は同様である。この間、パージステップは継続して行われる。
【0049】
ここで、吊上工程では、保護管36を挿通可能な上部カバー21の開口部21a上に、筒体37の本体部分のみを挿通可能な挿通孔41dを有する受け座40を配置している。しかも、受け座40には、筒体37の本体部分を挿通できる範囲で可能な限り小さい隙間になるように、保護管36に向けて突出したシール部41eが形成されている。よって、バレル15内の気化ガスが外部へ漏出して拡散することを効果的に抑制できる。
【0050】
図10に示すように、ポンプ部32に連結した下端の筒体37Aの連結部37aを受け座40によって支持し、受け座40上の筒体37を分離すると、引抜工程を行う。引抜工程のうち図10に示す連結ステップでは、上部カバー21のボルト穴21dにアイボルト44を螺合させる。また、バレル15のフランジ15eと上部カバー21を連結したボルトを取り外す。また、ガス供給源7を停止し、ガス流入部15cへの不活性ガスの供給を停止する。
【0051】
続いて、図11に示す引抜ステップでは、クレーンによってワイヤ43を引き上げる。これにより、バレル15の上端からポンプ部32が引き抜かれ、ポンプ部32と一体に上部カバー21及び下端の筒体37Aが取り外される。
【0052】
一方で、メンテナンス後にポンプ部32をバレル15内に配置するときには、ポンプ部32をバレル15から引き抜くときとは逆順で作業を行う。つまり、受け座40によって支持した筒体37A,37に別の筒体37,37Bをボルト止めによって連結し、クレーンによって引き下げるステップを繰り返し行う。これにより、図1に示すように、タンク1に設置したバレル15内にポンプ部32を配置できる。
【0053】
このように構成されたサブマージドポンプ10は、以下の特徴を有する。
【0054】
ポンプ部32は、複数の筒体37を直管状に連結した保護管36の下端に取り付けられ、この保護管36と一体にバレル15内に配置されている。また、上部カバー21上に着脱可能に配置される受け座40は、連結部37aの保持によって保護管36を介してポンプ部32を支持する。そのため、保護管36とポンプ部32を一体に吊り上げる吊上ステップ、受け座40によって筒体37の連結部37aを保持し、保護管36を介してポンプ部32を支持する支持ステップ、及び受け座40よりも上側の筒体37を分離する分離ステップを繰り返し行うことによって、ポンプ部32をバレル15の上部に吊り上げることができる。また、分離ステップは、受け座40によって保護管36を介してポンプ部32を吊り下げた状態で行われるため、受け座40よりも上側の筒体37を分離する作業を容易かつ安定して行うことができる。
【0055】
上部カバー21の開口部21aを覆う受け座40は、筒体37のうち連結部37aよりも小さく連結部37a以外の部分を挿通可能な挿通孔41dを有するため、アンモニアのような液化ガスの場合、気化ガスが大気に漏出して拡散することを最小限に抑えることができる。その後、バレル15の上端から上部カバー21と一緒にポンプ部32を引き抜く引抜工程を行うことで、ポンプ部32をバレル15から引き抜くことができるため、メンテナンス性を向上できる。
【0056】
受け座40の内周部には、保護管36に向けて突出したシール部41eが設けられている。そのため、シール部41eによって受け座40の内周部と保護管36の間から気化ガスが漏出することを効果的に抑制できる。
【0057】
受け座40は、環状体を2以上に分割した分割体41によって構成されている。そのため、上部カバー21よりも上側に吊り上げられた保護管36の筒体37の外周を取り囲むように、受け座40を容易かつ確実に配置できる。
【0058】
分割体41には、外周部から分割縁に向けて延びるガイド溝41fが形成され、上部カバー21には、ガイド溝41fに挿入されるガイド凸部22が設けられている。そのため、筒体37のうち挿通孔41dを通過不可能な連結部37aを受け座40よりも上側に吊り上げるとき、分割体41の離れる向きへの移動によって容易に通過させることができる。また、連結部37aを吊り上げた後には、分割体41の近づく向きへの移動によって分割体41を容易に支持位置に復帰させ、保護管36を介してポンプ部32を確実に支持できる。
【0059】
連結部37aは、筒体37に対して径方向外側へ突出したフランジによって構成されている。そのため、受け座40を配置するときの方向性を無くし、受け座40によって連結部37aを容易かつ安定して保持できる。
【0060】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0061】
受け座40のシール部41eは、図12から図14に示すように構成されてもよい。図12に示す第2実施形態の受け座40では、複数(本実施形態では3つ)のシール部41eが、バレル15の軸線A(保護管36の軸線)に沿って間隔をあけて設けられている。図13に示す第3実施形態の受け座40では、半円環状で複数(本実施形態では3つ)のシール部41eが、バレル15の軸線Aに沿って間隔をあけて設けられている。図14に示す第4実施形態の受け座40では、一対の分割体41を対向させて近接配置した状態で螺旋状となるようにシール部41eが形成されている。これらのように構成した受け座40では、バレル15に対してポンプ部32を引き抜くとき、バレル15内の気化ガスが外部へ漏出して拡散することをより効果的に抑制できる。
【0062】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0063】
例えば、シール部41eは、分割体41を構成する基部41aとは別体で、摺動性の良い樹脂によって構成されてもよい。
【0064】
受け座45は、環状体を周方向に分割する構成ではなく、1つの部材によって構成されてもよい。具体的には、受け座45は、円筒状の基部46aとそれぞれ円環状の支持部46b,46cとを備える環状体に対し、上方から見てC字状をなすように、筒体41の連結部41a以外の部分を挿通可能な溝を設けた構成であってもよい。
【0065】
バレル15の流入部15cには、不活性ガスの代わりに水(水分)を処理剤として噴射してもよい。受け座40のシール部41eによってバレル15内の気化ガスの外部への拡散を抑制可能であれば、バレル15には、不活性ガスを供給するための流入部15c及び流出部15dを設けない構成としてよい。
【0066】
サブマージドポンプ10によって排出する液体は、アンモニアのような液化ガスに限られず、必要に応じて変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 タンク
2 天壁
4 送出管
5 仕切弁
7 ガス供給源
10 サブマージドポンプ
15 バレル
15a ベースプレート
15b 液体排出部
15c ガス流入部
15d ガス流出部
15e フランジ
16 フート弁
17 弁座
18 弁体
18a 軸部
18b 突出部
19 ストッパ
20 コイルスプリング
21 上部カバー
21a 開口部
21b ボルト孔
21c ボルト穴
21d ボルト穴
21e ボルト穴
22 ガイド凸部
24 シール部材
25 基体
25a 下側フランジ部
28 端子台
32 ポンプ部
33 ケーブル
34 コネクタ
36 保護管
37 筒体
37A 下端の筒体
37B 上端の筒体
37a 連結部
38 連結部材
40 受け座
41 分割体
41a 基部
41b 下支持部
41c 上支持部
41d 挿通孔
41e シール部
41f ガイド溝
41g リブ
43 ワイヤ
44 アイボルト
【要約】
【課題】メンテナンス時に気化ガスが大気に拡散することを抑制する。
【解決手段】サブマージドポンプ10は、天壁2に固定された筒状のバレル15と、複数の筒体37を直管状に連結した保護管36と、保護管36の下端に取り付けられて保護管36と一体にバレル15内に配置されたポンプ部32と、バレル15の上端に取り付けられた板状の上部カバー21と、上部カバー21上に着脱可能に配置され、筒体37の連結部37aの保持によって保護管36を介してポンプ部32を支持する受け座40とを備える。受け座40は、筒体37のうち連結部37aよりも小さく、連結部37a以外の部分を挿通可能な挿通孔41dを有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14