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特許7644303マグネチックループアンテナおよびマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法
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  • 特許-マグネチックループアンテナおよびマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法 図1
  • 特許-マグネチックループアンテナおよびマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法 図2
  • 特許-マグネチックループアンテナおよびマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法 図3
  • 特許-マグネチックループアンテナおよびマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法 図4
  • 特許-マグネチックループアンテナおよびマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法 図5
  • 特許-マグネチックループアンテナおよびマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】マグネチックループアンテナおよびマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
H01Q7/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024178201
(22)【出願日】2024-10-10
【審査請求日】2024-10-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.公開の事実(1)放送日 令和5年12月20日(2)放送番組 シティケーブル周南「これくと」(3)公開者 株式会社シティケーブル周南(4)公開された発明の内容 株式会社シティケーブル周南が、令和5年12月20日7時から放送した「これくと」という番組にて、河島悠太が発明した新しいマグネチックループアンテナについて公開した。2.特許を受ける権利の承継等の事実(1)公開された発明の発明者 河島 悠太(福岡県福岡市西区桑原522 伊都協奏館334)(2)発明の公開の原因となる行為時の特許を受ける権利を有する者(行為時の権利者) 河島 悠太(3)特許出願人(願書に記載された者) 河島 悠太(福岡県福岡市西区桑原522 伊都協奏館334)(4)公開者 株式会社シティケーブル周南(5)特許を受ける権利の承継について 公開の事実に記載の公開行為により公開された発明は、河島悠太によって発明されたものであり、株式会社シティケーブル周南から非公開で取材を受けた令和5年12月11日(発明の公開の原因となる行為時)において、河島悠太は特許を受ける権利を保有していた。その後、令和6年10月10日に河島悠太が特許出願を行った。(6)行為時の権利者と公開者との関係等について 令和5年12月11日に、特許を受ける者であった河島悠太が、新しいマグネチックループアンテナについて、株式会社シティケーブル周南から非公開で取材を受け、その後、株式会社シティケーブル周南が、その取材内容について、公開の事実に記載のとおり公開を行った。上記記載が事実に相違ないことを証明します。令和6年10月18日 河島 悠太
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.公開の事実(1)開催日 令和6年1月19日(2)集会名 高専ワイヤレステックコンテスト(WiCON)2023表彰大会予選審査(オンライン開催)(3)公開者 河島 悠太(4)公開された発明の内容 河島悠太が、高専ワイヤレステックコンテスト(WiCON)2023表彰大会予選審査にて、河島悠太が発明した新しいマグネチックループアンテナについて公開した。2.特許を受ける権利の承継等の事実(1)公開された発明の発明者 河島 悠太(福岡県福岡市西区桑原522 伊都協奏館334)(2)発明の公開の原因となる行為時の特許を受ける権利を有する者(行為時の権利者) 河島 悠太(3)特許出願人(願書に記載された者) 河島 悠太(福岡県福岡市西区桑原522 伊都協奏館334)(4)公開者 河島 悠太(5)特許を受ける権利の承継について 公開の事実に記載の公開行為により公開された発明は、河島悠太によって発明されたものであり、その後、公開時の令和6年1月19日を経て、特許出願時の令和6年10月10日にに至るまで、河島悠太は特許を受ける権利を保有していた。(6)行為時の権利者と公開者との関係等について 行為時の権利者である河島悠太自ら、新しいマグネチックループアンテナについて、公開の事実に記載のとおり公開を行った。上記記載が事実に相違ないことを証明します。令和6年10月18日 河島 悠太
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.公開の事実(1)開催日 令和6年2月20日(2)集会名、開催場所 2023年度機械電気工学科卒業研究発表会 徳山工業高等専門学校(山口県周南市学園台3538)(3)公開者 河島 悠太(4)公開された発明の内容 河島悠太が、徳山工業高等専門学校の2023年度機械電気工学科卒業研究発表会にて、河島悠太が発明した新しいマグネチックループアンテナについて公開した。2.特許を受ける権利の承継等の事実(1)公開された発明の発明者 河島 悠太(福岡県福岡市西区桑原522 伊都協奏館334)(2)発明の公開の原因となる行為時の特許を受ける権利を有する者(行為時の権利者) 河島 悠太(3)特許出願人(願書に記載された者) 河島 悠太(福岡県福岡市西区桑原522 伊都協奏館334)(4)公開者 河島 悠太(5)特許を受ける権利の承継について 公開の事実に記載の公開行為により公開された発明は、河島悠太によって発明されたものであり、その後、公開時の令和6年2月20日を経て、特許出願時の令和6年10月10日にに至るまで、河島悠太は特許を受ける権利を保有していた。(6)行為時の権利者と公開者との関係等について 行為時の権利者である河島悠太自ら、新しいマグネチックループアンテナについて、公開の事実に記載のとおり公開を行った。上記記載が事実に相違ないことを証明します。令和6年10月18日 河島 悠太
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524375574
【氏名又は名称】河島 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 元幸
(72)【発明者】
【氏名】河島 悠太
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-67912(JP,A)
【文献】特開2016-134068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0018775(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0117454(US,A1)
【文献】特開平10-503625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に円環状の大エレメントと円環状の小エレメントとを備え、
大エレメントの上にはんだメッキが施されてはんだメッキ層が形成され、
前記はんだメッキ層の厚みにより共振周波数を調整する
ことを特徴とするマグネチックループアンテナ。
【請求項2】
基板の一方の面に大エレメントを備え、
基板の他方の面に小エレメントを備える
ことを特徴とする請求項1記載のマグネチックループアンテナ。
【請求項3】
さらに、大エレメントが備えられている側の基板面に、固定の容量を有する固定コンデンサを備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載のマグネチックループアンテナ。
【請求項4】
基板上に円環状の大エレメントと円環状の小エレメントとを設け、
大エレメントの上にはんだメッキを施してはんだメッキ層を形成してマグネチックループアンテナを構成し、
前記はんだメッキ層の厚みを変えて共振周波数を調整する
ことを特徴とするマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信用のマグネチックループアンテナに関し、高い周波数帯において共振周波数を設定可能なマグネチックループアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
マグネチックループアンテナ(微小ループアンテナ)は、アンテナを設置するスペースの確保が困難な環境で無線通信を行う場合に用いられる。これまでにマグネチックループアンテナについて種々の提案がなされており、例えば、特許文献1では、直接給電が可能で、且つ高いQが得られる磁界型ループアンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-72612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マグネチックループアンテナはLC共振を用いたアンテナであり、L (インダクタンス) またはC (キャパシタンス) の容量の制約から高い周波数帯(1GHz以上)で動作するアンテナを製作するのは理論上可能でも事実上は難しいという問題がある。
【0005】
また、仮にアンテナの製作ができたとしても、高い周波数帯(1GHz以上)ではLまたはCが微小容量となることから任意の共振周波数に調整することが困難であり、目的の周波数で動作させるのは難しいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑みなされたものであり、高い周波数帯においても共振周波数を調整して動作させることができるマグネチックループアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係るマグネチックループアンテナは、基板上に円環状の大エレメントと円環状の小エレメントとを備え、大エレメントの上にはんだメッキが施されてはんだメッキ層が形成され、前記はんだメッキ層の厚みにより共振周波数を調整することを特徴とする。
【0008】
ここで、基板の一方の面に大エレメントを備え、基板の他方の面に小エレメントを備える、とするのが好ましい。
【0009】
さらに、大エレメントが備えられている側の基板面に、固定の容量を有する固定コンデンサを備える、のが好ましい。
【0010】
また、本発明は、マグネチックループアンテナにおける周波数調整方法として構成することもできる。すなわち、基板上に円環状の大エレメントと円環状の小エレメントとを設け、大エレメントの上にはんだメッキを施してはんだメッキ層を形成してマグネチックループアンテナを構成し、前記はんだメッキ層の厚みを変えて共振周波数を調整することを特徴とするマグネチックループアンテナにおける周波数調整方法、としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るマグネチックループアンテナによれば、大小のループエレメントを基板上に配置し、大きいループエレメントの上にはんだメッキを施し、そのはんだメッキの厚みで共振周波数を調整するので、高い周波数帯においても共振周波数を調整して動作可能なマグネチックループアンテナが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】マグネチックループアンテナの正面図である。
図2】マグネチックループアンテナの背面図である。
図3】マグネチックループアンテナのアンテナ部分を拡大して示す正面図である。
図4】マグネチックループアンテナのアンテナ部分を拡大して示す側面図である。
図5】はんだめっき量に対する共振周波数の変化の一例を示すグラフである。
図6】共振時のアンテナのVSWRの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1はマグネチックループアンテナを示す正面図であり、図2は背面図である。
【0015】
本実施の形態に係るマグネチックループアンテナ1は、ガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板である基板2の端部の片面(正面)側に円環状の大エレメント3を備え、基板2の他方の面(背面)側に円環状の小エレメント4を備えており、大エレメント3の上にはんだメッキ層5が形成されている。また、基板2の他方の端部には同軸コネクタ10がはんだ付けされ、伝送線路であるグランド付きコプレーナ線路11を介して小エレメント4へ給電するようになっている。
【0016】
図3はマグネチックループアンテナのアンテナ部分を拡大して示す正面図であり、図4はマグネチックループアンテナのアンテナ部分を拡大して示す側面図である。
【0017】
基板2の一方の面には大エレメント3が設けられ、他方の面には小エレメント4が設けられている。小エレメント4の給電点以外の端は大エレメント3と伝送線路を用いて接続されており、大エレメント3と小エレメント4との間には誘電体が設けられている。
【0018】
大エレメント3および小エレメント4はいずれも銅箔で構成されている。なお、はんだメッキが可能であれば銅箔以外の金属を使用してもよい。
【0019】
大エレメント3の上には、はんだメッキが施された層であるはんだメッキ層5が積層されている。はんだメッキ層5の厚みは“t”で表されている。はんだメッキ層5は大きい方のループエレメントである大エレメント3のみに積層されており、小さい方のループエレメントである小エレメント4は銅箔のままとなっている。なお、大エレメント3の表面は、はんだメッキを施すために、レジストを取り除いてはんだ面を露出させておくのが好ましい。
【0020】
固定コンデンサ6は一定の静電容量を有するコンデンサである。固定コンデンサ6は、基板2の大エレメント4が備えられている側の面、つまり、大エレメント3と同一面に設けられている。このコンデンサは大エレメント3と共振回路を形成するため、適当な容量(例えば、0.3pF~0.4pF)を有するものが選択される。なお、大エレメント3と固定コンデンサ6とはLC共振回路を形成しており、Lの要素が大エレメント3に対応し、Cの要素が固定コンデンサ6に対応する。ただし、エレメント形状に比べ周波数が高いことから大エレメント3はCの要素成分も持っており、銅箔とはんだメッキを有することから大エレメント3は抵抗成分も持っている。
【0021】
一般的に、周波数の調整には高耐圧な可変容量コンデンサが用いられ、コンデンサの容量C(キャパシタンス)を変化させることで共振周波数が調整される。1GHz以上の高周波数帯ではCの容量が微小になるため、マグネチックループアンテナにおいて高周波数帯で共振周波数を調整しようとすれば、微小容量で、小型、かつ、高耐圧の可変容量コンデンサが求められることになる。しかしながら、このような可変容量コンデンサは希少であり、機械要素を含むものであるから故障しやすいという問題がある。そのため、周波数が高くなるほど共振周波数の調整が困難になっていく。
【0022】
これに対し、本実施形態のマグネチックループアンテナ1では、固定の容量を有する固定コンデンサ6が用いられており、可変容量コンデンサを用いる必要がない。そのため、機械的な故障に強く、また、可変容量コンデンサの耐圧を考慮する必要が無いため大電力送信も可能になるという利点がある。
【0023】
マグネチックループアンテナ1では、アンテナの大エレメント3にはんだメッキを施すことによって共振周波数を調整する。大エレメント3にはんだメッキを施して大エレメント3に導体を付加することで、大エレメント3のインピーダンスが変化し共振周波数も変化する。このとき、大エレメント3のはんだメッキの厚みを厚くすれば、共振周波数が高くなる。
【0024】
このように、マグネチックループアンテナ1は、C(キャパシタンス)の成分で調整するのではなく、大エレメント3のL(インダクタンス)の成分で調整を図るもので、はんだメッキ層5を厚くすると、Lが変化し(インダクタンス成分が減少し)、結果的に共振周波数が上昇する。すなわち、マグネチックループアンテナ1は、大エレメント3の上に積層したはんだメッキ層5の厚みを変化させることで、共振周波数を調整するものである。そして、はんだメッキの量を調整することで、任意の共振周波数に調整することができる。
【0025】
ここで、エレメントのLの成分を調整する方法として、エレメントの形状を変更する、例えば、エレメントのループの一部を削り取ることやループを楕円状に変形させるといったことも考えられる。しかしながら、エレメントの形状変更は、修正ができないという問題があり、アンテナの放射パターンを乱す原因になるという問題がある。
【0026】
この点、マグネチックループアンテナ1では、大エレメント3の上に形成するはんだメッキ層5の厚みを調整するので、大エレメント3の形状変更を伴うことがなく、何度も修正が可能である。また、はんだを用いているので、工作機械を必要とせず、容易に量を調整することができるという利点がある。さらに、周波数の変化に対して、放射パターンの変化への影響が少なく理想的な周波数調整を可能にする。
【0027】
また、マグネチックループアンテナ1では、大エレメント3と小エレメント4との間に基板2が介在しているので、大エレメント3側のはんだの影響を小エレメント4が受けることがない。すなわち、はんだメッキ層5を積層する大エレメント3と、はんだメッキを施さない小エレメント4とを分離させることで、不要部分にメッキがされない構造になっている。
【0028】
なお、大エレメント3と小エレメント4とを基板2の同じ面上に配置してもよい。大エレメント3と小エレメント4とを基板2の同一面に配置する場合、小エレメント4をレジストで被覆して、大エレメント3に施すはんだの影響を小エレメント4が受けることがないように構成する。大エレメント3と小エレメント4とが基板2の同一面上に設けられていると、小エレメント4の一方の端は大エレメント3に繋ぎ、他方の端は大エレメント3をまたぐ形で伝送線路を経由し同軸コネクタ10へ接続する必要がある。このような伝送線路が大エレメント3をまたぐ構成とした場合、アンテナの特性を低下させる一因になりうる。この点、大エレメント3と小エレメント4とが基板2の両面に分かれて配置されていれば、伝送線路が大エレメント3をまたぐことなく小エレメント4を接続することができるので、アンテナの特性を低下させるおそれがない。そのため、大エレメント3と小エレメント4とは基板2の両面に分けて配置するのが好ましいといえる。
【0029】
上述したように、マグネチックループアンテナ1では、大エレメント3に施されるはんだメッキ層5の厚みによって共振周波数を調整するものである。具体的に、はんだめっき量に対して共振周波数がどのように変化するか、アンテナモデルのシミュレーションによって、付加した導体厚さに対する共振周波数の変化を求めた。図5は、はんだめっき量に対する共振周波数の変化の一例を示すグラフである。図5に示されるように、はんだメッキ層5の厚みtの値を1mm増やすことで、共振周波数が約80MHz変化する。はんだメッキ層5の厚さで共振周波数を調整することで、高周波数帯の範囲でも共振周波数を調整可能であることが示されている。
【0030】
図6は、共振時のアンテナのVSWRの一例を示すグラフである。図6に示すように、検証のため製作したマグネチックループアンテナ1では、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)が、設定した中心周波数(1.3GHz)付近において1.05程度で、アンテナとしての実用性が確保されているといえる2.0以下の数値を示しており、その実用性は十分確保されている。また、マグネチックループアンテナ1を4つ試作し、全てのアンテナの共振周波数を所定の目的周波数に合わせることができるか検証したところ、試作した4つのアンテナの特性はすべてはんだメッキによって調整可能で、調整後の特性もほぼ一致していた。はんだメッキによる周波数調整で、任意の共振周波数を有するアンテナを量産可能であることが示されたといえる。
【0031】
なお、ここでは共振周波数を1.3GHz付近としたが、マグネチックループアンテナ1は、これを超える共振周波数でも動作させることができる。
【0032】
このように、本実施形態のマグネチックループアンテナでは、基板の一方の面に大きいループエレメントを設け、他方の面に小さいループエレメントを設け、大きいループエレメントの上にはんだメッキを施し、そのはんだメッキの厚みで共振周波数を調整するので、1GHz以上の高い周波数帯においても動作可能なマグネチックループアンテナが得られる。
【0033】
また、共振周波数調整にはんだメッキを用いるので、周波数の調整を繰り返し行うことができ、共振周波数の調整も基板上のはんだ量調整で設定可能であるため、アンテナ製造のプロセスも容易化することができる。
【0034】
さらに、アンテナのループエレメントの厚さを変化させることで共振周波数を調整するので、周波数の変化に対し放射パターンの変化が少なく理想的な周波数調整が可能となる。
【0035】
以上、本発明に係るマグネチックループアンテナについて、実施の形態に基づいて説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【0036】
例えば、上記実施形態ではマグネチックループアンテナとして説明したが、本発明は、マグネチックループアンテナにおける基板の一方の面に円環状の大エレメントを設け、基板の他方の面に円環状の小エレメントを設け、大エレメントの上にはんだメッキを施してはんだメッキ層を形成してマグネチックループアンテナを構成し、はんだメッキ層の厚みを変えて共振周波数を調整する周波数調整方法として構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るマグネチックループアンテナは、小型アンテナを必要とする通信機器用アンテナ等として用いることができ、特に帯域が狭く他の通信が多く行われている周波数帯での通信用アンテナ等として好適である。
【符号の説明】
【0038】
1 マグネチックループアンテナ
2 基板
3 大エレメント
4 小エレメント
5 はんだメッキ層
6 固定コンデンサ
10 同軸コネクタ
11 グランド付きコプレーナ線路
【要約】
【課題】 高い周波数帯においても共振周波数を調整して動作させることができるマグネチックループアンテナを提供する。
【解決手段】 基板2の一方の面に円環状の大エレメント3を備え、基板2の他方の面に円環状の小エレメント4を備え、大エレメント3が備えられている側の基板2の面に、固定の容量を有する固定コンデンサ6を備え、大エレメント3の上にはんだメッキが施されてはんだメッキ層5が形成され、はんだメッキ層5の厚みtにより共振周波数を調整することを特徴とする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6