(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 71/00 20060101AFI20250305BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20250305BHJP
C08F 299/00 20060101ALI20250305BHJP
C08G 65/336 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
C08L71/00 A
C08K5/5415
C08F299/00
C08G65/336
(21)【出願番号】P 2023052553
(22)【出願日】2023-03-29
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2022060057
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】本多 義昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友理
(72)【発明者】
【氏名】金子 一貴
(72)【発明者】
【氏名】三橋 尚志
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-066385(JP,A)
【文献】特開2023-066384(JP,A)
【文献】国際公開第2021/229348(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/231068(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/229338(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第113355017(CN,A)
【文献】特表2008-538195(JP,A)
【文献】特開2019-006843(JP,A)
【文献】特開2018-070683(JP,A)
【文献】特開2005-200304(JP,A)
【文献】特開2015-078341(JP,A)
【文献】特開2004-331704(JP,A)
【文献】特表2015-532722(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111910435(CN,A)
【文献】国際公開第2023/190725(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/190742(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/190766(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
C09D 1/00-201/10
C09J 1/00-201/10
C08G 2/00- 85/00
C08F 2/00-299/08
C07F 7/02- 7/21
C09K 3/00
C09K 3/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):(メタ)アクリル基、加水分解性シリル基、及びフルオロポリエーテル基を含有する、フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物、
成分(B):フルオロポリエーテル基、及び加水分解性シリル基を含有し、(メタ)アクリル基を有しない、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物、
成分(C):架橋剤、
成分(D):触媒、及び
成分(E):ラジカル重合開始剤
を含み、
前記架橋剤は、アルコキシシラン化合物であり、
前記触媒は、湿気硬化用触媒であり、
成分(A)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計量に対して、10~90質量%である、硬化性組成物。
【請求項2】
成分(A)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計量に対して、30~70質量%である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式(A1)、(A2)又は(A3):
【化1】
[式中:
R
F1は、Rf
1-R
F-O
q-であり、
R
F2は、それぞれ独立して、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
Aは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の有機基であり、
X
Bは、それぞれ独立して、(m+1)価の基であり、
ただし、各式中、少なくとも1つのX
Bは、加水分解性シリル基を含有する(m+1)価の基であり、
R
Acは、それぞれ独立して、-X
D-X
E(-X
F-OCO-CR
5=CH
2)
m’であり、
X
Dは、単結合、又は二価の基であり、
X
Eは、単結合、又は(m’+1)価の基であり、
X
Fは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の基であり、
R
5は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~8の一価の有機基であり、
m’は、1~10の整数であり、
mは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、
R
aは、それぞれ独立して、(m3+2)価の有機基であり、
m3は、0~4の整数であり、
ただし、
式(A3)において、m及びm3の少なくとも一方は、1以上であり、
かつ、式(A1)及び(A2)において、mは0ではなく、
R
gは、それぞれ独立して、-NR
cCO-R
e-、-NR
cCOO-R
e-、又は-NR
cCONR
c-R
e-であり、ここに、これらの基は、左側がR
aに結合し、
R
cは、それぞれ独立して、水素原子、C
1-6アルキル基、又はC
6-16アリール基であり、
R
eは、それぞれ独立して、単結合、又は2価の有機基であり、
xは、1以上の整数である。]
で表される化合物を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
R
Fは、それぞれ独立して、式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3R
Fa
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、R
Faは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は
5以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのR
Faが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
R
Fは、それぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)、又は(f6):
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは
5~200の整数であり、eは、0又は1である。]、
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり;
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]、
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化2】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は少なくとも
5であり、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は少なくとも
5であり、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
X
Eは、単結合である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
X
Eは、-X
G-X
Hであり、
X
Gは、
単結合、
C
1-6アルキレン基、
-(CH
2)
z9-O-(CH
2)
z10-(式中、z9は、0~6の整数であり、z10は、0~6の整数である)、又は、
-(CH
2)
z11-フェニレン-(CH
2)
z12-(式中、z11は、0~6の整数であり、z12は、0~6の整数である)
であり、
X
Hは、下記
【化3】
であり、
R
8は、水素原子、又はC
1-6アルキル基である、
請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
X
Dは、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-OCONH-、-NHCOO-、-NH-CO-NH-、-CH
2CH(OH)CH
2-、-CH(CH
2OH)CH
2-、-(OSiR
14
2)
d5-、
【化4】
[式中、*及び**は、結合位置を示し、*はX
Bに結合し、**はX
Eに結合する。]
であり、
R
14は、C
1-6アルキル基、又はC
6-16アリール基であり、
d5は、1~10の整数である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
X
Fは、
単結合、
C
1-6アルキレン基、
-(CH
2)
z5-O-(CH
2)
z6-(式中、z5は、0~6の整数であり、z6は、0~6の整数である)、又は、
-(CH
2)
z7-フェニレン-(CH
2)
z8-(式中、z7は、0~6の整数であり、z8は、0~6の整数である)
である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
R
5は、水素原子、又はメチル基である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
X
Aは、それぞれ独立して、単結合、又は
-(C
αR
11
2α)
s1-R
12
t1-
[式中:
R
11は、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、
αは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、
R
12は、それぞれ独立して、-O-、-CO-、-NR
10-、-CONR
10-、-NR
10CO-、-COO-、-OCO-、又は-OCONH-であり、
R
10は、水素原子又はC
1-6アルキル基であり、
s1は、0~3の整数であり、
t1は、0~3の整数であり、
s1とt1の合計は、1以上であり、
s1又はt1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
X
Aは、-CONR
10-C
α1H
2α1-、-(C
α2H
2α2)-OCONR
10-、-(C
α3H
2α3)-、又は-(C
α4H
2α4)-O-(C
α5H
2α5)であり
R
10は、水素原子又はC
1-6アルキル基であり、
α1は、1~10の整数であり、
α2は、1~10の整数であり、
α3は、1~10の整数であり、
α4は、0~6の整数であり、
α5は、0~6の整数である、
請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
X
Bは、それぞれ独立して、
SiR
1
nbR
sb
4-nb
[式中:
R
1は、水酸基又は加水分解性基であり、
R
sbは、単結合であり、
nbは、1又は2である。]
で表される基を含む基である、
請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
X
Bは、それぞれ独立して、X
Ba(R
Si)
na
[式中:
X
Baは、それぞれ独立して、(m+na+1)価の基であり、
R
Siは、それぞれ独立して、-X
C-SiR
1
n’R
2
3-n’であり、
X
Cは、炭素数1~10の二価の有機基であり、
R
1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
2は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n’は、1~3の整数であり、
naは、1~10の整数である。]
で表される基である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
X
Cは、
C
1-6アルキレン基、
-(CH
2)
z1-O-(CH
2)
z2-(式中、z1は、0~6の整数であり、z2は、0~6の整数である)、
-(CH
2)
z3-フェニレン-(CH
2)
z4-(式中、z3は、0~6の整数であり、z4は、0~6の整数である)、又は
-(CH
2)
z13-OCONH-(CH
2)
z14-(式中、z13は、0~6の整数であり、z14は、0~6の整数である)
である、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
n’は3である、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
X
Baは、3価の基であり、
naは1であり、mは1である、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項18】
X
Baは、N、又は
であり、
naは1であり、mは1である、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項19】
式(A3)は、
【化5】
[式中、
R
bは、それぞれ独立して、R
Si、R
Ac、又はR
cであり、
ただし、R
bの少なくとも1つは、R
Siであり、
R
Siは、それぞれ独立して、-X
C-SiR
1
n’R
2
3-n’であり、
X
Cは、炭素数1~10の二価の有機基であり、
R
1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
2は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n’は、1~3の整数であり、
R
dは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の有機基であり、
m3は、1~4の整数であり、
R
F2、R
a、R
c、R
Ac
、及びxは、請求項3の記載と同意義である。]
である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項20】
式(A3-b)における各末端に位置するN原子に結合するR
bの1つはR
Siであり、他方はR
c又はR
Acである、請求項19に記載の硬化性組成物。
【請求項21】
R
dは、それぞれ独立して、単結合、又は-(CH
2)
z17-NR
10-(CH
2)
z18-(式中、R
10は、水素原子又はC
1-6アルキル基であり、z17は、0~6の整数であり、z18は、0~6の整数である)である、請求項19に記載の硬化性組成物。
【請求項22】
R
aは、それぞれ独立して、下記式:
-R
9-(R
a’-R
9)
k-
[式中:
R
9は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
a’は、それぞれ独立して、3価の基であり、
kは、1~4の整数である。]
で表される基である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項23】
R
a’は、それぞれ独立して、
(i)N、
(ii)
又は、
(iii)炭素-炭素原子間に、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、又はエステル結合を含んでもよい3価の基
である、請求項22に記載の硬化性組成物。
【請求項24】
kは、1又は2である、請求項22に記載の硬化性組成物。
【請求項25】
R
cは、それぞれ独立して、水素原子又はC
1-6アルキル基である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項26】
xは、1以上5以下の整数である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項27】
前記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A1)又は(A2)で表される化合物を含む、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項28】
前記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A3)で表される化合物を含む、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項29】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(B1)又は(B2):
【化6】
[式中:
R
F3は、それぞれ独立して、Rf
3-R
FB-O
q3-であり;
R
F4は、-Rf
4
p3-R
FB-O
q3-であり;
Rf
3は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
4は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
FBは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
p3は、0又は1であり;
q3は、それぞれ独立して、0又は1であり;
R
Siは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
少なくとも1つのR
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
X
Zは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
ただし、α+βは2~10であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項30】
R
Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化7】
[式中:
R
25は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
26は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
25
n1R
26
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
X
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり;
R
27は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり;
R
28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11-SiR
25
n1R
26
3-n1であり;
R
29は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
R
a1は、それぞれ独立して、-Z
1-SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1であり;
Z
1は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
21は、それぞれ独立して、-Z
1’-SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’であり;
R
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、p1+q1+r1=3であり;
Z
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
21’は、それぞれ独立して、-Z
1”-SiR
22”
q1”R
23”
r1”であり;
R
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、p1’+q1’+r1’=3であり;
Z
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、q1”+r1”=3であり;
R
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、k1+l1+m1=3であり;
R
d1は、それぞれ独立して、-Z
2-CR
31
p2R
32
q2R
33
r2であり;
Z
2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
31は、それぞれ独立して、-Z
2’-CR
32’
q2’R
33’
r2’であり;
R
32は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、p2+q2+r2=3であり;
Z
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
32’は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、q2’+r2’=3であり;
Z
3は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
e1は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、k2+l2+m2=3であり;
R
g1及びR
h1は、それぞれ独立して、-Z
4-SiR
25
n1R
26
3-n1、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり;
Z
4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、請求項29に記載の硬化性組成物。
【請求項31】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(B3):
【化8】
[式中:
R
F4は、-Rf
4
p3-R
FB-O
q3-であり;
Rf
4は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
FBは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
p3は、0又は1であり;
q3は、0又は1であり;
R
36は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
37は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~8の一価の有機基であり、
R
38は、それぞれ独立して、(j+1)価の有機基であり、
R
39は、それぞれ独立して、-SiR
25
n1R
26
3-n1であり、
R
25は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
26は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
25
n1R
26
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり;
jは、それぞれ独立して、1~9の整数であり、
rは、1以上の整数である。]
で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項32】
R
FBは、それぞれ独立して、式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3R
Fa
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、R
Faは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は
5以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのR
Faが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、請求項29に記載の硬化性組成物。
【請求項33】
前記架橋剤は、式(C1):
【化9】
[式中;
R
g1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
R
g2は、それぞれ独立して、1価の有機基であり;
δは、2~4の整数である。]
で表される化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項34】
前記架橋剤は、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン
、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ-n-オクチルトリエトキシシラン、又はトリデカフルオロ-n-オクチルトリメトキシシランである、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項35】
前記触媒は、酸、塩基、遷移金属
、スズ系触媒、チタン系触媒、ジルコニア系触媒、ビスマス系触媒、
又は有機アミン系触媒
である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項36】
前記触媒は、酢酸、トリフルオロ酢酸、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン、
チタン系金属錯体、
ニッケル系金属錯体、
スズ系金属錯体、ジラウリン酸ジ-n-ブチルスズ(IV)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラ-n-ブトキシド、チタンテトラ-2-エチルヘキソキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、又はビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項37】
前記ラジカル重合開始剤は、ジケトン類、アシロイン類、アシロインエーテル類、チオキサントン類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、キノン類、アミノ安息香酸類、ハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、又は過酸化物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項38】
前記ラジカル重合開始剤は、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、チオキサントン-4-スルホン酸、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、2-(4-トルエンスルホニルオキシ)-2-フェニルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2,2’-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、2-メチル[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、アントラキノン、1,4-ナフトキノン、2-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、アシルホスフィンオキシド、又はジ-t-ブチルパーオキサイド、メチルベンゾイルフォルメート、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、
1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1,2-ジオン=2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、
p-メンタンヒドロペルオキシド、又は
t-ブチルヒドロペルオキシドである、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項39】
請求項1~38のいずれかに記載の硬化性組成物から得られる硬化物。
【請求項40】
基材と、該基材の表面に、請求項1~38のいずれかに記載の硬化性組成物から形成された層とを含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、含フッ素化合物を含む硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の含フッ素化合物を含む組成物は、優れた撥水性、撥油性、防汚性などを有する硬化物を与えることが知られている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-6843号公報
【文献】国際公開第2019/088126号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、紫外線照射により硬化するが、紫外線照射が困難な場所などでは、十分に硬化できず、未硬化部分が生じ得る。また、得られる硬化物は、弾性率が低く、伸びに乏しい。引用文献2に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、湿気(水分)により硬化可能であるが、硬化速度が遅く、塗布時に液のぬれ広がり、液垂れが生じ得る。
【0005】
本開示は、硬化性及び塗布性に優れた硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の態様を含む。
[1] 成分(A):(メタ)アクリル基、加水分解性シラン基、及びフルオロポリエーテル基を含有する、フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物、
成分(B):フルオロポリエーテル基、及び加水分解性シリル基を含有する、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物、
成分(C):架橋剤、
成分(D):触媒、及び
成分(E):ラジカル重合開始剤
を含む硬化性組成物。
[2] 成分(A)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計量に対して、10~80質量%である、上記[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 成分(A)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計量に対して、30~70質量%である、上記[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 前記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式(A1)、(A2)又は(A3):
【化1】
[式中:
R
F1は、Rf
1-R
F-O
q-であり、
R
F2は、それぞれ独立して、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
Aは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の有機基であり、
X
Bは、それぞれ独立して、(m+1)価の基であり、
ただし、各式中、少なくとも1つのX
Bは、加水分解性シリル基を含有する(m+1)価の基であり、
R
Acは、それぞれ独立して、-X
D-X
E(-X
F-OCO-CR
5=CH
2)
m’であり、
X
Dは、単結合、又は二価の基であり、
X
Eは、単結合、又は(m’+1)価の基であり、
X
Fは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の基であり、
R
5は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~8の一価の有機基であり、
m’は、1~10の整数であり、
mは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、
R
aは、それぞれ独立して、(m3+2)価の有機基であり、
m3は、0~4の整数であり、
ただし、m及びm3の少なくとも一方は、1以上であり、
R
gは、それぞれ独立して、-NR
cCO-R
e-、-NR
cCOO-R
e-、又は-NR
cCONR
c-R
e-であり、ここに、これらの基は、左側がR
aに結合し、
R
cは、それぞれ独立して、水素原子、C
1-6アルキル基、又はC
6-16アリール基であり、
R
eは、それぞれ独立して、単結合、又は2価の有機基であり、
xは、1以上の整数である。]
で表される化合物を含む、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[5] R
Fは、それぞれ独立して、式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3R
Fa
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、R
Faは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのR
Faが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、上記[4]に記載の硬化性組成物。
[6] R
Fは、それぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)、又は(f6):
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは、0又は1である。]、
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり;
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]、
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化2】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、上記[4]又は[5]に記載の硬化性組成物。
[7] X
Eは、単結合である、上記[4]~[6]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[8] X
Eは、-X
G-X
Hであり、
X
Gは、
単結合、
C
1-6アルキレン基、
-(CH
2)
z9-O-(CH
2)
z10-(式中、z9は、0~6の整数であり、z10は、0~6の整数である)、又は、
-(CH
2)
z11-フェニレン-(CH
2)
z12-(式中、z11は、0~6の整数であり、z12は、0~6の整数である)
であり、
X
Hは、下記
【化3】
であり、
R
8は、水素原子、又はC
1-6アルキル基である、
上記[4]~[6]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[9] X
Dは、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-OCONH-、-NHCOO-、-NH-CO-NH-、-CH
2CH(OH)CH
2-、-CH(CH
2OH)CH
2-、-(OSiR
14
2)
d5-、
【化4】
[式中、*及び**は、結合位置を示し、*はX
Bに結合し、**はX
Eに結合する。]
であり、
R
14は、C
1-6アルキル基、又はC
6-16アリール基であり、
d5は、1~10の整数である、上記[4]~[8]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[10] X
Fは、
単結合、
C
1-6アルキレン基、
-(CH
2)
z5-O-(CH
2)
z6-(式中、z5は、0~6の整数であり、z6は、0~6の整数である)、又は、
-(CH
2)
z7-フェニレン-(CH
2)
z8-(式中、z7は、0~6の整数であり、z8は、0~6の整数である)
である、上記[4]~[9]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[11] R
5は、水素原子、又はメチル基である、上記[4]~[10]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[12] X
Aは、それぞれ独立して、単結合、又は
-(C
αR
11
2α)
s1-R
12
t1-
[式中:
R
11は、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、
αは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、
R
12は、それぞれ独立して、-O-、-CO-、-NR
10-、-CONR
10-、-NR
10CO-、-COO-、-OCO-、又は-OCONH-であり、
R
10は、水素原子又はC
1-6アルキル基であり、
s1は、0~3の整数であり、
t1は、0~3の整数であり、
s1とt1の合計は、1以上であり、
s1又はt1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、上記[4]~[11]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[13] X
Aは、-CONR
10-C
α1H
2α1-、-(C
α2H
2α2)-OCONR
10-、-(C
α3H
2α3)-、又は-(C
α4H
2α4)-O-(C
α5H
2α5)であり
R
10は、水素原子又はC
1-6アルキル基であり、
α1は、1~10の整数であり、
α2は、1~10の整数であり、
α3は、1~10の整数であり、
α4は、0~6の整数であり、
α5は、0~6の整数である、
上記[4]~[12]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[14] X
Bは、それぞれ独立して、
SiR
1
nbR
sb
4-nb
[式中:
R
1は、水酸基又は加水分解性基であり、
R
sbは、単結合であり、
nbは、1又は2である。]
で表される基を含む基である、
上記[4]~[13]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[15] X
Bは、それぞれ独立して、X
Ba(R
Si)
na
[式中:
X
Baは、それぞれ独立して、(m+na+1)価の基であり、
R
Siは、それぞれ独立して、-X
C-SiR
1
n’R
2
3-n’であり、
X
Cは、炭素数1~10の二価の有機基であり、
R
1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
2は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n’は、1~3の整数であり、
naは、1~10の整数である。]
で表される基である、上記[4]~[13]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[16] X
Cは、
C
1-6アルキレン基、
-(CH
2)
z1-O-(CH
2)
z2-(式中、z1は、0~6の整数であり、z2は、0~6の整数である)、
-(CH
2)
z3-フェニレン-(CH
2)
z4-(式中、z3は、0~6の整数であり、z4は、0~6の整数である)、又は
-(CH
2)
z13-OCONH-(CH
2)
z14-(式中、z13は、0~6の整数であり、z14は、0~6の整数である)
である、上記[15]に記載の硬化性組成物。
[17] n’は3である、上記[15]又は[16]に記載の硬化性組成物。
[18] X
Baは、3価の基であり、nは1であり、mは1である、上記[15]~[17]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[19] X
Baは、N、又は-C(-O-)-であり、nは1であり、mは1である、上記[15]~[18]に記載の硬化性組成物。
[20] 式(A3)は、
【化5】
[式中、
R
bは、それぞれ独立して、R
Si、R
Ac、又はR
cであり、
ただし、R
bの少なくとも1つは、R
Siであり、
R
Siは、それぞれ独立して、-X
C-SiR
1
n’R
2
3-n’であり、
X
Cは、炭素数1~10の二価の有機基であり、
R
1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
2は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n’は、1~3の整数であり、
R
dは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の有機基であり、
R
F2、R
a、R
c、R
Ac、m3、及びxは、上記[4]の記載と同意義である。]
である、上記[4]~[19]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[21] 式(A3)における各末端に位置するN原子に結合するR
bの1つはR
Siであり、他方はR
c又はR
Acである、上記[20]に記載の硬化性組成物。
[22] R
dは、それぞれ独立して、単結合、又は-(CH
2)
z17-NR
10-(CH
2)
z18-(式中、R
10は、水素原子又はC
1-6アルキル基であり、z17は、0~6の整数であり、z18は、0~6の整数である)である、上記[20]又は[21]に記載の硬化性組成物。
[23] R
aは、それぞれ独立して、下記式:
-R
9-(R
a’-R
9)
k-
[式中:
R
9は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
a’は、それぞれ独立して、3価の基であり、
kは、1~4の整数である。]
で表される基である、上記[4]~[22]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[24] R
a’は、それぞれ独立して、N、-C(-O-)-、炭素-炭素原子間に、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、又はエステル結合を含んでもよい3価の基である、上記[23]に記載の硬化性組成物。
[25] kは、1又は2である、上記[23]又は[24]に記載の硬化性組成物。
[26] R
cは、それぞれ独立して、水素原子又はC
1-6アルキル基である、上記[4]~[25]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[27] xは、1以上5以下の整数である、上記[4]~[26]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[28] 前記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A1)又は(A2)で表される化合物を含む、上記[4]~[27]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[29] 前記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A3)で表される化合物を含む、上記[4]~[28]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[30] 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(B1)又は(B2):
【化6】
[式中:
R
F3は、それぞれ独立して、Rf
3-R
FB-O
q3-であり;
R
F4は、-Rf
4
p3-R
FB-O
q3-であり;
Rf
3は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
4は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
FBは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
p3は、0又は1であり;
q3は、それぞれ独立して、0又は1であり;
R
Siは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
少なくとも1つのR
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
X
Zは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である、上記[1]~[29]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[31] R
Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化7】
[式中:
R
25は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
26は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
25
n1R
26
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
X
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり;
R
27は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり;
R
28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11-SiR
25
n1R
26
3-n1であり;
R
29は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
R
a1は、それぞれ独立して、-Z
1-SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1であり;
Z
1は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
21は、それぞれ独立して、-Z
1’-SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’であり;
R
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
21’は、それぞれ独立して、-Z
1”-SiR
22”
q1”R
23”
r1”であり;
R
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
d1は、それぞれ独立して、-Z
2-CR
31
p2R
32
q2R
33
r2であり;
Z
2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
31は、それぞれ独立して、-Z
2’-CR
32’
q2’R
33’
r2’であり;
R
32は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
32’は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
3は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
e1は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
g1及びR
h1は、それぞれ独立して、-Z
4-SiR
25
n1R
26
3-n1、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり;
Z
4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、上記[30]に記載の硬化性組成物。
[32] 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(B3):
【化8】
[式中:
R
F4は、-Rf
4
p3-R
FB-O
q3-であり;
Rf
4は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
FBは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
p3は、0又は1であり;
q3は、0又は1であり;
R
36は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
37は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~8の一価の有機基であり、
R
38は、それぞれ独立して、(j+1)価の有機基であり、
R
39は、それぞれ独立して、-SiR
25
n1R
26
3-n1であり、
R
25は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
26は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
25
n1R
26
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
jは、それぞれ独立して、1~9の整数であり、
rは、1以上の整数である。]
で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である、上記[1]~[29]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[33] R
FBは、それぞれ独立して、式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3R
Fa
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、R
Faは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのR
Faが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、上記[30]~[32]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[34] 前記架橋剤は、式(C1):
【化9】
[式中;
R
g1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
R
g2は、それぞれ独立して、1価の有機基であり;
δは、2~4の整数である。]
で表される化合物である、上記[1]~[33]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[35] 前記架橋剤は、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ-n-オクチルトリエトキシシラン、又はトリデカフルオロ-n-オクチルトリメトキシシランである、上記[1]~[34]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[36] 前記触媒は、酸、塩基、遷移金属、又は、スズ系触媒、チタン系触媒、ジルコニア系触媒、ビスマス系触媒、及び有機アミン系触媒から選択される金属錯体である、上記[1]~[35]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[37] 前記触媒は、酢酸、トリフルオロ酢酸、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン、Ti、Ni、Sn、ジラウリン酸ジ-n-ブチルスズ(IV)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラ-n-ブトキシド、チタンテトラ-2-エチルヘキソキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、又はビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)である、上記[1]~[36]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[38] 前記ラジカル重合開始剤は、ジケトン類、アシロイン類、アシロインエーテル類、チオキサントン類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、キノン類、アミノ安息香酸類、ハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、又は過酸化物である、上記[1]~[37]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[39] 前記ラジカル重合開始剤は、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、チオキサントン-4-スルホン酸、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、2-(4-トルエンスルホニルオキシ)-2-フェニルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2,2’-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、2-メチル[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、アントラキノン、1,4-ナフトキノン、2-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、アシルホスフィンオキシド、又はジ-t-ブチルパーオキサイド、メチルベンゾイルフォルメート、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、パーメンタヒドロペルオキシド、又はt-メチルブチルヒドロペルオキシドである、上記[1]~[38]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[40] 溶媒をさらに含有する、上記[1]~[39]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[41] 基材と、該基材の表面に、上記[1]~[40]のいずれかに記載の硬化性組成物から形成された層とを含む物品。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、硬化性に優れた硬化性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。尚、単に「有機基」と示す場合、1価の有機基を意味する。また、「2価の有機基」とは、炭素を含有する2価の基を意味する。かかる2価の有機基としては、有機基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。3価以上の有機基も同様に、有機基から所定の数の水素原子を脱離させた基を意味する。
【0009】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、炭化水素から水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、C1-20炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。炭化水素基は、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0010】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
【0011】
本明細書において用いられる場合、「加水分解性基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-ORj、-OCORj、-O-N=CRj
2、-NRj
2、-NHRj、-NCO、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rjは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
【0012】
本開示の硬化性組成物は、
成分(A):(メタ)アクリル基、加水分解性シラン基、及びフルオロポリエーテル基を含有する、フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物、
成分(B):フルオロポリエーテル基、及び加水分解性シリル基を含有する、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物、
成分(C):架橋剤、
成分(D):触媒、及び
成分(E):ラジカル重合開始剤
を含む。
【0013】
成分(A):(メタ)アクリル基、加水分解性シラン基、及びフルオロポリエーテル基を含有する、フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物
【0014】
本開示の硬化性組成物は、(メタ)アクリル基、加水分解性シラン基、及びフルオロポリエーテル基を含有する、フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物を含む。本開示の硬化性組成物は、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物を含むことにより、UV硬化性を有する。ここに、(メタ)アクリル基は、アクリル基及びメタクリル基を包含する。
【0015】
上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、分子中に、(メタ)アクリル基、加水分解性シラン基、及びフルオロポリエーテル基を含有する。
【0016】
好ましい態様において、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式(A1)、(A2)又は(A3):
【化10】
[式中:
R
F1は、Rf
1-R
F-O
q-であり、
R
F2は、それぞれ独立して、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
Aは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の有機基であり、
X
Bは、それぞれ独立して、(m+1)価の基であり、
ただし、各式中、少なくとも1つのX
Bは、加水分解性シリル基を含有する(m+1)価の基であり、
R
Acは、それぞれ独立して、-X
D-X
E(-X
F-OCO-CR
5=CH
2)
m’であり、
X
Dは、単結合、又は二価の基であり、
X
Eは、単結合、又は(m’+1)価の基であり、
X
Fは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の基であり、
R
5は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~8の一価の有機基であり、
m’は、1~10の整数であり、
mは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、
R
aは、それぞれ独立して、(m3+2)価の有機基であり、
m3は、0~4の整数であり、
ただし、m及びm3の少なくとも一方は、1以上であり、
R
gは、それぞれ独立して、-NR
cCO-R
e-、-NR
cCOO-R
e-、又は-NR
cCONR
c-R
e-であり、ここに、これらの基は、左側がR
aに結合し、
R
cは、それぞれ独立して、水素原子、C
1-6アルキル基、又はC
6-16アリール基であり、
R
eは、それぞれ独立して、単結合、又は2価の有機基であり、
xは、1以上の整数である。]
で表される化合物を含む。
【0017】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A1)又は(A2)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A1)又は(A2)で表される化合物である。
【0018】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A1)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A1)で表される化合物である。
【0019】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A2)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A2)で表される化合物である。
【0020】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A3)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A3)で表される化合物である。
【0021】
好ましい態様において、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A2)で表される化合物および/または式(A3)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A2)で表される化合物および/または式(A3)で表される化合物である。
【0022】
別の好ましい態様において、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A2)で表される化合物および式(A3)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、式(A2)で表される化合物および式(A3)で表される化合物である。
【0023】
両末端に(メタ)アクリル基を有する化合物(例えば、式(A2)で表される化合物および式(A3)で表される化合物)と、片末端に(メタ)アクリル基を有する化合物(例えば、式(A1)で表される化合物)のモル比(両末端化合物/片末端化合物)は、好ましくは50/50~100/0、より好ましくは60/40~100/0、さらに好ましくは90/10~100/0であり得る。
【0024】
上記式(A1)において、RF1は、Rf1-RF-Oq-である。
【0025】
上記式(A2)及び(A3)において、RF2は、-Rf2
p-RF-Oq-である。
【0026】
上記式において、Rf1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
【0027】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
【0028】
上記Rf1は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはCF2H-C1-15パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
【0029】
上記C1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF3、-CF2CF3、又は-CF2CF2CF3である。
【0030】
上記式において、Rf2は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基である。
【0031】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
【0032】
上記Rf2は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3パーフルオロアルキレン基である。
【0033】
上記C1-6パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF2-、-CF2CF2-、又は-CF2CF2CF2-である。
【0034】
上記式において、pは、0又は1である。一の態様において、pは0である。別の態様においてpは1である。
【0035】
上記式において、qは、それぞれ独立して、0又は1である。一の態様において、qは0である。別の態様においてqは1である。
【0036】
上記式(A1)~(A3)において、RFは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基である。
【0037】
RFは、好ましくは、直鎖の二価のフルオロポリエーテル基である。直鎖の二価のフルオロポリエーテル基とすることにより、比較的低粘度となり、塗布性及びハンドリング性が向上する。
【0038】
RFは、好ましくは、式:
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3RFa
6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-
[式中:
RFaは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上である。a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である。
【0039】
RFaは、好ましくは、水素原子又はフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。
【0040】
a、b、c、d、e及びfは、好ましくは、それぞれ独立して、0~100の整数であってもよい。
【0041】
a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下であり、例えば50以下又は30以下であってもよい。
【0042】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、環構造を含んでいてもよい。例えば、-(OC6F12)-は、-(OCF2CF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF2CF(CF3))-等であってもよい。-(OC5F10)-は、-(OCF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3))-等であってもよい。-(OC4F8)-は、-(OCF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3))-、-(OC(CF3)2CF2)-、-(OCF2C(CF3)2)-、-(OCF(CF3)CF(CF3))-、-(OCF(C2F5)CF2)-及び-(OCF2CF(C2F5))-のいずれであってもよい。-(OC3F6)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2)-及び-(OCF2CF(CF3))-のいずれであってもよい。-(OC2F4)-は、-(OCF2CF2)-及び-(OCF(CF3))-のいずれであってもよい。
【0043】
上記環構造は、下記三員環、四員環、五員環、又は六員環であり得る。
【化11】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0044】
上記環構造は、好ましくは四員環、五員環、又は六員環、より好ましくは四員環、又は六員環であり得る。
【0045】
環構造を有する繰り返し単位は、好ましくは、下記の単位であり得る。
【化12】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0046】
一の態様において、上記繰り返し単位は直鎖状である。上記繰り返し単位を直鎖状とすることにより、硬化物層の耐久性等を向上させることができる。
【0047】
一の態様において、上記繰り返し単位は分枝鎖状である。
【0048】
一の態様において、R
Fは、それぞれ独立して、下記式(f1)~(f6)のいずれかで表される基である。
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは0又は1、好ましくは1である。];
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、e及びfの和は2以上であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。];
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。];
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化13】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0049】
上記式(f1)において、dは、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、さらに好ましくは15~50、例えば25~35の整数である。一の態様において、eは、1である。別の態様において、eは0である。上記式(f1)における(OC3F6)は、好ましくは、(OCF2CF2CF2)、(OCF2CF(CF3))又は(OCF(CF3)CF2)で表される基であり、より好ましくは、-(OCF2CF2CF2)d-で表される基である。上記式(f1)における(OC2F4)は、好ましくは、(OCF2CF2)、又は(OCF(CF3))で表される基であり、より好ましくは、(OCF2CF2)で表される基である。
【0050】
上記式(f2)において、e及びfは、それぞれ独立して、好ましくは5~200、より好ましくは10~200の整数である。また、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは、-(OCF2CF2CF2CF2)c-(OCF2CF2CF2)d-(OCF2CF2)e-(OCF2)f-で表される基である。別の態様において、式(f2)は、-(OC2F4)e-(OCF2)f-で表される基であってもよい。
【0051】
上記式(f3)において、R6は、好ましくは、OC2F4である。上記(f3)において、R7は、好ましくは、OC2F4、OC3F6及びOC4F8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC3F6及びOC4F8から選択される基である。OC2F4、OC3F6及びOC4F8から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OC2F4OC3F6-、-OC2F4OC4F8-、-OC3F6OC2F4-、-OC3F6OC3F6-、-OC3F6OC4F8-、-OC4F8OC4F8-、-OC4F8OC3F6-、-OC4F8OC2F4-、-OC2F4OC2F4OC3F6-、-OC2F4OC2F4OC4F8-、-OC2F4OC3F6OC2F4-、-OC2F4OC3F6OC3F6-、-OC2F4OC4F8OC2F4-、-OC3F6OC2F4OC2F4-、-OC3F6OC2F4OC3F6-、-OC3F6OC3F6OC2F4-、及び-OC4F8OC2F4OC2F4-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC2F4、OC3F6、OC4F8、OC5F10及びOC6F12は、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC2F4-OC3F6)g-又は-(OC2F4-OC4F8)g-である。
【0052】
上記式(f4)において、R
6、R
7及びgは、上記式(f3)の記載と同意義であり、同様の態様を有する。R
6’、R
7’及びg’は、それぞれ、上記式(f3)に記載のR
6、R
7及びgと同意義であり、同様の態様を有する。R
rは、好ましくは、
【化14】
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり、より好ましくは
【化15】
[式中、*は、結合位置を示す。]
である。
【0053】
上記式(f5)において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0054】
上記式(f6)において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0055】
一の態様において、上記RFは、上記式(f1)又は(f2)で表される基である。
【0056】
一の態様において、上記RFは、上記式(f1)で表される基である。
【0057】
一の態様において、上記RFは、上記式(f2)で表される基である。
【0058】
一の態様において、上記RFは、上記式(f3)又は(f4)で表される基である。
【0059】
一の態様において、上記RFは、上記式(f3)で表される基である。
【0060】
一の態様において、上記RFは、上記式(f4)で表される基である。
【0061】
一の態様において、上記RFは、上記式(f5)で表される基である。
【0062】
一の態様において、上記RFは、上記式(f6)で表される基である。
【0063】
上記RFにおいて、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、0.1~10であり、好ましくは0.2~5であり、より好ましくは0.2~2であり、さらに好ましくは0.2~1.5であり、さらにより好ましくは0.2~0.85である。e/f比を10以下にすることにより、この化合物から得られる硬化物層の耐久性及び耐ケミカル性(例えば、人工汗に対する耐久性)がより向上する。e/f比がより小さいほど、硬化物層の耐久性及び耐ケミカル性はより向上する。一方、e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。e/f比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上する。
【0064】
一の態様において、上記e/f比は、好ましくは0.2~0.95であり、より好ましくは0.2~0.9である。
【0065】
一の態様において、耐熱性の観点から、上記e/f比は、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.0~2.0である。
【0066】
上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物において、RF1及びRF2部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。本明細書において、RF1及びRF2の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0067】
上記式(A1)~(A3)において、RAcは、それぞれ独立して、-XD-XE(-XF-OCO-CR5=CH2)m’である。
【0068】
上記XDは、単結合、又は二価の基、例えば二価の有機基である。
【0069】
X
Dは、好ましくは、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-OCONH-、-NHCOO-、-NH-CO-NH-、-CH
2CH(OH)CH
2-、-CH(CH
2OH)CH
2-、-(OSiR
14
2)
d5-、
【化16】
[式中、*及び**は、結合位置を示し、*はX
Bに結合し、**はX
Eに結合する。]
であり、
R
14は、C
1-6アルキル基、又はC
6-16アリール基であり、
d5は、1~10の整数である。これらの基は、左側がX
Bに結合する。
【0070】
XDは、より好ましくは-CONH-、-CH2CH(OH)CH2-、又は-CH(CH2OH)CH2-、より好ましくは-CONH-である。
【0071】
上記XEは、単結合、又は(m’+1)価の基である。
【0072】
一の態様において、XEは、単結合である。
【0073】
一の態様において、X
Eは、
-X
G-X
H
[式中:
X
Gは、
単結合、
C
1-6アルキレン基、
-(CH
2)
z9-O-(CH
2)
z10-(式中、z9は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z10は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、又は、
-(CH
2)
z11-フェニレン-(CH
2)
z12-(式中、z11は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z12は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)
であり、
X
Hは、下記
【化17】
であり、
R
8は、水素原子、又はC
1-6アルキル基である。]
で表される三又は四価の基である。
【0074】
上記C1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0075】
好ましい態様において、上記C1-6アルキレン基は、C2-4アルキレン基である。
【0076】
上記C1-6アルキル基は、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0077】
上記XFは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の基、例えば2価の有機基(好ましくは炭素数1~10の二価の有機基)である。
【0078】
一の態様において、XFは、
単結合、
C1-6アルキレン基、
-(CH2)z5-O-(CH2)z6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である。)、又は、
-(CH2)z7-フェニレン-(CH2)z8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)
である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。これらの基は、左側がXBに結合する。
【0079】
上記C1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0080】
好ましい態様において、XFは、C1-6アルキレン基、好ましくはC2-4アルキレン基である。
【0081】
一の態様において、XD、XE、及びXFは、単結合である。
【0082】
上記R5は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~8の一価の有機基である。
【0083】
上記一価の有機基は、好ましくはC1-8アルキル基、C3-8シクロアルキル基、又はC5-8アリール基であり、より好ましくはC1-6アルキル基又はフェニル基であり、さらに好ましくはC1-3アルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0084】
一の態様において、R5は、水素原子である。
【0085】
一の態様において、R5は、メチル基である。
【0086】
上記m’は、1~10の整数、好ましくは1~3の整数、より好ましくは1である。
【0087】
上記式(A1)~(A3)において、XAは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の有機基である。
【0088】
一の態様において、XAは、それぞれ独立して、単結合、又はウレタン結合を含まない二価の有機基である。
【0089】
好ましい態様において、XAは、それぞれ独立して、単結合、又は
-(CαR11
2α)s1-R12
t1-
[式中:
R11は、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、
αは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、
R12は、それぞれ独立して、-O-、-CO-、-CONH-、-NHCO-、-COO-、-OCO-、又は-OCONH-であり、
s1は、0~3の整数であり、
t1は、0~3の整数であり、
s1とt1の合計は、1以上であり、
s1又はt1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である。なお、式中、左側が、RF1又はRF2に結合する。
【0090】
一の態様において、XAは、単結合である。
【0091】
一の態様において、XAは、それぞれ独立して、上記-(CαR11
2α)s1-R12
t1-である。
【0092】
上記R11は、好ましくは水素原子である。
【0093】
上記αは、それぞれ独立して、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~4の整数、さらに好ましくは2~4の整数である。
【0094】
上記R12は、それぞれ独立して、好ましくは、-O-、-CO-、-NR10-、-CONH-、又は-COO-、より好ましくは-CONH-である。
【0095】
上記R10は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子である。
【0096】
上記s1は、好ましくは1~3の整数、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
【0097】
上記t1は、好ましくは0~2の整数、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
【0098】
好ましい態様において、
R11は、水素原子であり、
αは、2~4の整数であり、
R12は、-O-、-CO-、-NR10-、-CONH-、又は-COO-であり、
R10は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
s1は、1又は2であり、
t1は、0又は1である。
【0099】
より好ましい態様において、XAは、-CONR10-Cα1H2α1-、-(Cα2H2α2)-OCONR10-、-(Cα3H2α3)-、又は-(Cα4H2α4)-O-(Cα5H2α5)であり、
R10は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
α1は、1~10の整数であり、
α2は、1~10の整数であり、
α3は、1~10の整数であり、
α4は、0~6の整数であり、
α5は、0~6の整数である。かかる基は、左側が、RF1又はRF2に結合する。
【0100】
XAは、好ましくは-CONH-CαH2α-である。かかる基は、左側が、RF1又はRF2に結合する。
【0101】
上記Cα1H2α1は、好ましくは(CH2)α1である。
【0102】
上記Cα2H2α2は、好ましくは(CH2)α2である。
【0103】
上記Cα3H2α3は、好ましくは(CH2)α3である。
【0104】
上記Cα4H2α4は、好ましくは(CH2)α4である。
【0105】
上記Cα5H2α5は、好ましくは(CH2)α5である。
【0106】
上記式(A1)~(A3)において、XBは、それぞれ独立して、(m+1)価の基である。ただし、各式中、少なくとも1つのXBは、加水分解性シリル基を含有する(m+1)価の基である。
【0107】
一の態様において、XBは、それぞれ独立して、加水分解性シリル基を含有する(m+1)価の基である。
【0108】
一の態様において、XBは、それぞれ独立して、
SiR1
nbRsb
4-nb
[式中:
R1は、水酸基又は加水分解性基であり、
Rsbは、単結合であり、
nbは、1又は2である。]
で表される基を含む基、又は、
XBa(RSi)na
[式中:
XBaは、それぞれ独立して、(m+na+1)価の基であり、
RSiは、それぞれ独立して、-XC-SiR1
n’R2
3-n’であり、
XCは、炭素数1~10の二価の有機基であり、
R1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R2は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n’は、1~3の整数であり、
naは、1~10の整数である。]
で表される基である。
【0109】
一の態様において、XBは、それぞれ独立して、XBa(RSi)na
[式中:
XBaは、それぞれ独立して、(m+na+1)価の基であり、
RSiは、それぞれ独立して、-XC-SiR1
n’R2
3-n’であり、
XCは、炭素数1~10の二価の有機基であり、
R1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R2は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n’は、1~3の整数であり、
naは、1~10の整数である。]
で表される基である。
【0110】
かかる態様において、式(A1)及び(A2)は、それぞれ、下記式(A1-a)及び(A2-a):
【化18】
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
で表される。
【0111】
上記RSiは、それぞれ独立して、-XC-SiR1
n’R2
3-n’である。
【0112】
上記XCは、炭素数1~10の二価の有機基である。
【0113】
一の態様において、XCは、
C1-6アルキレン基、
-(CH2)z1-O-(CH2)z2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である。)、
-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、又は
-(CH2)z13-OCONH-(CH2)z14-(式中、z13は、0~6の整数であり、z14は、0~6の整数である)
である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。これらの基は、左側がXBに結合する。
【0114】
上記C1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0115】
好ましい態様において、XCは、C1-6アルキレン基、好ましくはC2-4アルキレン基である。
【0116】
上記R1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0117】
R1は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0118】
R1は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0119】
上記R2は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0120】
R2において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0121】
上記式中、n’は、(SiR1
n’R2
3-n’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3であり、より好ましくは3である。
【0122】
上記naは、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、特に好ましくは1である。
【0123】
一の態様において、上記X
Baは、3価の基であり、好ましくは
【化19】
であり得る。一の態様において、上記-C(-O-)-は、OがR
Siに結合する。別の態様において、-C(-O-)-は、OがR
Acに結合する。
【0124】
好ましい態様において、XBaは、Nである。この場合、式中、mは1であり、nは1である。
【0125】
別の態様において、XBは、それぞれ独立して、SiR1
nbRsb
4-nb
[式中:
R1は、水酸基又は加水分解性基であり、
Rsbは、単結合であり、
nbは、1又は2である。]
で表される基を含む基、好ましくは、-XBb-SiR1
nbRsb
4-nb
[式中:
XBbは、単結合、又は2価の基であり、
R1は、水酸基又は加水分解性基であり、
Rsbは、単結合であり、
nbは、1又は2である。]
で表される基である。
【0126】
かかる態様において、式(A1)及び(A2)は、それぞれ、下記式(A1-b)及び(A2-b):
【化20】
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
で表される。
【0127】
一の態様において、nbは、1である。
【0128】
別の態様において、nbは、2である。
【0129】
一の態様において、XBbは、単結合である。
【0130】
別の態様において、XBbは、2価の基、C1-6アルキレン基である。
【0131】
上記式(A1)及び(A2)において、mは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、nは、それぞれ独立して、1~10の整数である。
【0132】
mは、好ましくは1~10の整数、より好ましくは1~6の整数、さらに好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1である。
【0133】
nは、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、特に好ましくは1である。
【0134】
好ましい態様において、mは、1であり、nは、1である。
【0135】
上記(A3)において、Raは、それぞれ独立して、(m3+2)価の有機基である。
【0136】
一の態様において、Raは、下記式:
-R9-(Ra’-R9)k-
[式中:
R9は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、
Ra’は、それぞれ独立して、3価の基、例えば3価の有機基であり、
kは、1~4の整数である。]
で表される基である。かかる基において、上記-C(-O-)-は、OがRAcに結合する。
【0137】
R9は、好ましくはC1-4アルキレン基であり、より好ましくはC2-4アルキレン基である。
【0138】
一の態様において、kは、0である。
【0139】
別の態様において、kは、1~4の整数である。
【0140】
好ましい態様において、kは、1~2の整数である。
【0141】
一の態様において、kは、1である。
【0142】
一の態様において、kは、2である。
【0143】
一の態様において、Ra’は、それぞれ独立して、N原子又はO原子を含む3価の基である。
【0144】
好ましい態様において、Ra’は、それぞれ独立して、N、-C(-O-)-、炭素-炭素原子間に、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、又はエステル結合を含んでもよい3価の基である
【0145】
一の態様において、R
a’は、それぞれ独立して、下記の基:
【化21】
である。
【0146】
一の態様において、Ra’は、Nである。
【0147】
一の態様において、Ra’は、-C(-O-)-である。
【0148】
上記式(A3)において、m3は、0~4の整数である。
【0149】
m3は、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1又は2である。
【0150】
一の態様において、m3は、1である。
【0151】
一の態様において、m3は、2である。
【0152】
上記式(A3)において、Rgは、それぞれ独立して、-NRcCO-Re-、-NRcCOO-Re-、又は-NRcCONRc-Re-である。ここに、これらの基は、左側がRaに結合する。
【0153】
上記Rgは、好ましくは、-NRcCO-Re-である。
【0154】
上記Rcは、それぞれ独立して、水素原子、C1-6アルキル基、又はC6-16アリール基である。
【0155】
上記C1-6アルキル基は、好ましくはC1-3アルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。C1-6アルキル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。
【0156】
上記C6-16アリール基は、好ましくはC6-10アリール基、より好ましくはフェニル基である。
【0157】
一の態様において、Rcは、水素原子である。
【0158】
一の態様において、Rcは、メチル基である。
【0159】
上記式において、Reは、それぞれ独立して、単結合、又は2価の有機基である。
【0160】
一の態様において、Reは、単結合である。
【0161】
一の態様において、Reは、それぞれ独立して、2価の有機基である。
【0162】
上記2価の有機基は、好ましくは-R43-Ox2-R44-(式中、R43及びR44は、それぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、x2は0又は1である。)である。かかるC1-20アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。かかるC1-20アルキレン基は、好ましくはC1-10アルキレン基、より好ましくはC1-6アルキレン基、さらに好ましくはC1-3アルキレン基である。
【0163】
上記式(A3)において、xは、1以上の整数である。
【0164】
一の態様において、xは、好ましくは1以上100以下の整数、より好ましくは1以上10以下の整数、さらに好ましくは1以上5以下の整数、例えば2以上10以下の整数、さらに好ましくは2以上5以下の整数である。
【0165】
好ましい態様において、式(A3)は、下記式(A3-a):
【化22】
[式中、
R
bは、それぞれ独立して、R
Si、R
Ac、又はR
cであり、
ただし、R
bの少なくとも1つは、R
Siであり、
R
jは、それぞれ独立して、-CO-R
d-、-O-R
d-、又は-NR
c-R
d-であり、ここに、これらの基は左側がR
F2に結合し、
R
dは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の有機基であり、
R
F2、R
a、R
c、R
Ac、m3、及びxは、上記と同意義である。]
である。
【0166】
上記式(A3-a)において、Rbは、それぞれ独立して、RSi、RAc、又はRcである。
【0167】
上記式(A3-a)中、少なくとも1つのRbは、RSiである。
【0168】
好ましい態様において、式(A3-a)の各末端に位置するN原子に結合するRbの少なくとも1つはRSiである。
【0169】
一の態様において、式(A3-a)の各末端に位置するN原子に結合するRbの1つはRSiであり、他方はRcである。
【0170】
別の態様において、式(A3-a)の各末端に位置するN原子に結合するRbの1つはRSiであり、他方はRAcである。
【0171】
好ましい態様において、RAcは、-CONH-XF-OCO-CR5=CH2である。
【0172】
上記Rjは、それぞれ独立して、-CO-Rd-、-O-Rd-、又は-NRc-Rd-である。ここに、これらの基は左側がRF2に結合する。
【0173】
一の態様において、Rjは、それぞれ独立して、-CO-Rd-である。
【0174】
上記Rdは、それぞれ独立して、単結合、又は二価の有機基である。
【0175】
一の態様において、Rdは、単結合である。
【0176】
別の態様において、Rdは、二価の有機基である。
【0177】
Rdにおける二価の有機基は、
C1-10アルキレン基、好ましくはC2-6アルキレン基、
-(CH2)z13-O-(CH2)z14-(式中、z13は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z14は、0~6の整数、例えば1~6の整数である。)、
-(CH2)z15-フェニレン-(CH2)z16-(式中、z15は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z16は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、又は
-(CH2)z17-NR10-(CH2)z18-(式中、R10は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、z17は、0~6の整数であり、z18は、0~6の整数である)、
である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。これらの基は、左側がCOに結合する。
【0178】
Rdにおける二価の有機基は、好ましくは-(CH2)z17-NR10-(CH2)z18-(式中、R10は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、z17は、0~6の整数であり、z18は、0~6の整数である)、より好ましくは-NR10-(CH2)z18-(式中、R10は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、z18は、1~6の整数である)である。
【0179】
上記C1-10アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0180】
好ましい態様において、式(A3)は、式(A3-b):
【化23】
[式中、R
F2、R
a、R
b、R
c、R
d、R
Ac、m3、及びxは、上記と同意義である。]
である。
【0181】
上記式(A1)~(A3)で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、特に限定されるものではないが、5×102~2×105の数平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、2×103~1×105、より好ましくは3×103~2×104の数平均分子量を有することが、摩耗耐久性の観点から好ましい。なお、かかる「数平均分子量」は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0182】
上記式(A1)及び(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、まず、-NH-、-C(OH)-等の反応性部位を有するフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を調製し、次いで、上記反応性部位に、(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。
【0183】
一の態様において、上記式(A1)及び(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式:
RF1-COOR21
R21OOC-RF2-COOR21
(式中、R21は水素原子又はメチル基であり、RF1及びRF2は、式(A1)及び(A2)に関する記載と同意義である。)
で表される化合物と、下記式:
R24-R23-NH-R22-SiR1
n’R2
3-n’
(式中、R22は、二価の基であり、
R23は、二価の基であり、
R24は、NH2等の反応性基であり、
R1、R2、及びn’は、式(A1)及び(A2)に関する記載と同意義である。)
で表される化合物とを反応させ、下記式:
RF1-R25-R23-NH-R22-SiR1
n’R2
3-n’
R2
3-n’R1
n’Si-R22-HN-R23-R25-RF2-R25-R23-NH-R22-SiR1
n’R2
3-n’
で表される化合物を得る。次いで、上記化合物と、下記式:
R54-R55-OCOCH=CH2
(式中、R54は、-NCO、-COOH、COOCl等の反応性基であり、
R55は、二価の基である。)、又は
R56-OCOCR57=CH2
(式中、R56はハロゲン、H、又は一価の炭化水素基であり、
R57は、水素原子又はC1-3アルキルである。)
で表される化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0184】
一の態様において、上記式(A1)及び(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式:
RF1-COF
FOC-RF2-COF
(式中、RF1及びRF2は、式(A1)及び(A2)に関する記載と同意義である。)
で表される化合物と、
Br-Mg-CH2CH=CH2
とを反応させて、
RF1-C(OH)(CH2CH=CH2)2
(CH2=CHCH2)2(HO)C-RF2-C(OH)(CH2CH=CH2)2
で表される化合物を得る。次いで、上記化合物と、下記式:
HSiR1
n’R2
3-n’
とを反応させて、
RF1-C(OH)(CH2CH=CH2)2
(R2
3-n’R1
n’Si-CH2CH2CH2)2(HO)C-RF2-C(OH)(CH2CH2CH2-SiR1
n’R2
3-n’)2
で表される化合物を得る。次いで、上記化合物と、下記式:
R34-R35-OCOCH=CH2
(式中、R34は、-NCO、-COOH等の反応性基であり、
R35は、二価の基である。)
で表される化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0185】
一の態様において、上記式(A1)及び(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式:
HOCH
2-R
F2-CH
2OH
(式中、R
F1及びR
F2は、式(A1)及び(A2)に関する記載と同意義である。)
で表される化合物と、
【化24】
とを反応させて、
【化25】
を得る。次いで、上記化合物と、
OCN-(CH
2)
3-SiR
1
n’R
2
3-n’
(式中、各記号は上記と同意義である。)
とを反応させて、
【化26】
(式中、各記号は上記と同意義である。)
で表される化合物を得ることができる。
【0186】
一の態様において、上記式(A1)及び(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式:
【化27】
(式中、各記号は上記と同意義である。)
で表される化合物と、
HOOC=CH
2
とを反応させて、
【化28】
(式中、各記号は上記と同意義である。)
で表される化合物を得る。次いで、上記化合物と、
OCN-(CH
2)
3-SiR
1
n’R
2
3-n’
(式中、各記号は上記と同意義である。)
とを反応させて、
【化29】
(式中、各記号は上記と同意義である。)
で表される化合物を得ることができる。
【0187】
一の態様において、上記式(A3)で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式:
R21OOC-RF2-COOR21
[式中、R21は水素原子又はメチル基であり、RF2は、式(A3)に関する記載と同意義である。]
で表される化合物と、下記式:
NH2-R9-(NH-R9)k-NH2
[式中、R9、及びkは、式(A3)に関する記載と同意義である。]
とを反応させて、
R21OOC-(RF2-CONH-R9-(NH-R9)k-NHCO)x-RF2-COOR21
[式中、R21は、水素原子又は又はメチル基であり、RF2、R9、及びkは、式(A3)に関する記載と同意義である。]
を得る。次いで、得られた化合物と、
NR23
mH2-m-R22-SiR1
n’R2
3-n’
[式中、R23はC1-6のアルキル基又はフェニル基であり、mは0または1であり、R22は、二価の基であり、R1、R2、及びn’は、式(A3)に関する記載と同意義である。]
で表される化合物とを反応させ、下記式:
R2
3-n’R1
n’Si-R22-HNOC-(RF2-CONH-R9-(NH-R9)k-NHCO)x-RF2-CONH-R22-SiR1
n’R2
3-n’
で表される化合物を得る。次いで、得られた化合物と、下記式:
R34-R35-OCOCH=CH2
[式中、R34は、-NCO、-COOH等の反応性基であり、
R35は、二価の基である。]
で表される化合物とを反応させることにより、式(A3)で表される化合物を得ることができる。
【0188】
一の態様において、上記式(A3)で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式:
R21OOC-RF2-COOR21
[式中、R21は水素原子又はメチル基であり、RF2は、式(A3)に関する記載と同意義である。]
で表される化合物と、下記式:
NH2-R9-(CH(OH)-R9)k-NH2
[式中、R9、及びkは、式(A3)に関する記載と同意義である。]
とを反応させて、
R21OOC-(RF2-CONH-R9-(CH(OH)-R9)k-NHCO)x-RF2-COOR21
[式中、R21は水素原子又はメチル基であり、RF2、R9、及びkは、式(A3)に関する記載と同意義である。]
を得る。次いで、得られた化合物と、
NR23
mH2-m-R22-SiR1
n’R2
3-n’
[式中、R23はC1-6のアルキル基又はフェニル基であり、mは0または1であり、R22は、二価の基であり、R1、R2、及びn’は、式(A3)に関する記載と同意義である。]
で表される化合物とを反応させ、下記式:
R2
3-n’R1
n’Si-R22-HNOC-(RF2-CONH-R9-(CH(OH)-R9)k-NHCO)x-RF2-CONH-R22-SiR1
n’R2
3-n’
で表される化合物を得る。次いで、得られた化合物と、下記式:
R34-R35-OCOCH=CH2
[式中、R34は、-NCO、-COOH等の反応性基であり、
R35は、二価の基である。]
で表される化合物とを反応させることにより、式(A3)で表される化合物を得ることができる。
【0189】
一の態様において、上記式(A3)で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物は、下記式:
R21OOC-RF2-COOR21
[式中、R21は水素原子又はメチル基であり、RF2は、式(A3)に関する記載と同意義である。]
で表される化合物と、下記式:
NH2-R9-(NH-R9)k-NH2
[式中、R9、及びkは、式(A3)に関する記載と同意義である。]
とを反応させて、
R21OOC-(RF2-CONH-R9-(NH-R9)k-NHCO)x-RF2-COOR21
[式中、R21は水素原子又はメチル基であり、RF2、R9、及びkは、式(A3)に関する記載と同意義である。]
を得る。次いで、得られた化合物と、
NH2-R9‘-NH2
[式中、R9‘は、R9に関する記載と同意義である。]
で表される化合物とを反応させ、下記式
R21OOC-(RF2-CONH-R9-(NH-R9)k-NHCO)x-(RF2-CONH-R9‘-NHCO)x’―RF2-COOR21
[式中、R21は水素原子又はメチル基であり、RF2、R9、及びkは、式(A3)に関する記載と同意義であり、R9‘はR9に関する記載と同意義である]
を得る。次いで、得られた化合物と、
NR23
mH2-m-R22-SiR1
n’R2
3-n’
[式中、R23はC1-6のアルキル基又はフェニル基であり、mは0または1であり、R22は、二価の基であり、R1、R2、及びn’は、式(A3)に関する記載と同意義である。]
で表される化合物とを反応させ、下記式:
R2
3-n’R1
n’Si-R22-HNOC-(RF2-CONH-R9-(NH-R9)k-NHCO)x-(RF2-CONH-R9‘-NHCO)x’-RF2-CONH-R22-SiR1
n’R2
3-n’
で表される化合物を得る。次いで、得られた化合物と、下記式:
R34-R35-OCOCH=CH2
[式中、R34は、-NCO、-COOH等の反応性基であり、
R35は、二価の基である。]
で表される化合物とを反応させることにより、式(A3)で表される化合物を得ることができる。
【0190】
上記の反応の各工程の反応条件は、当業者は適宜設定することができる。
【0191】
成分(B):フルオロポリエーテル基、及び加水分解性シリル基を含有する、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物
【0192】
本開示の硬化性組成物は、フルオロポリエーテル基、及び加水分解性シリル基を含有する、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む。本開示の硬化性組成物は、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含むことにより、湿気(水分)による硬化性を有する。
【0193】
上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、分子中にフルオロポリエーテル基、及び加水分解性シリル基を含有する。
【0194】
好ましい態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(B1)又は(B2):
【化30】
[式中:
R
F3は、それぞれ独立して、Rf
3-R
FB-O
q3-であり;
R
F4は、-Rf
4
p3-R
FB-O
q3-であり;
Rf
3は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
4は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
FBは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
p3は、0又は1であり;
q3は、それぞれ独立して、0又は1であり;
R
Siは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
少なくとも1つのR
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
X
Zは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である。
【0195】
上記式(B1)において、RF3は、それぞれ独立して、Rf3-RFB-Oq3-である。
【0196】
上記式(B2)において、RF4は、-Rf4
p3-RFB-Oq3-である。
【0197】
上記式において、Rf3は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
【0198】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
【0199】
上記Rf3は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはCF2H-C1-15パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
【0200】
上記C1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF3、-CF2CF3、又は-CF2CF2CF3である。
【0201】
上記式において、Rf4は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基である。
【0202】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
【0203】
上記Rf4は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3パーフルオロアルキレン基である。
【0204】
上記C1-6パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基、具体的には-CF2-、-CF2CF2-、又は-CF2CF2CF2-である。
【0205】
上記式において、p3は、0又は1である。一の態様において、p3は0である。別の態様においてp3は1である。
【0206】
上記式において、q3は、それぞれ独立して、0又は1である。一の態様において、q3は0である。別の態様においてq3は1である。
【0207】
上記式(B1)及び(B2)において、RFBは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基である。
【0208】
上記RFBは、上記RFと同様のフルオロポリエーテル基であり、同様の態様を有する。
【0209】
RFBは、好ましくは、直鎖の二価のフルオロポリエーテル基である。直鎖の二価のフルオロポリエーテル基とすることにより、比較的低粘度となり、塗布性及びハンドリング性が向上する。
【0210】
即ち、RFBは、好ましくは、式:
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3RFa
6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-
[式中:
RFaは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上である。a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である。
【0211】
一の態様において、R
FBは、それぞれ独立して、式(f1)~(f6)のいずれかで表される基である。
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは0又は1である。];
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、e及びfの和は2以上であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。];
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。];
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化31】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0212】
一の態様において、上記RFBは、上記式(f1)又は(f2)で表される基である。
【0213】
一の態様において、上記RFBは、上記式(f1)で表される基である。
【0214】
一の態様において、上記RFBは、上記式(f2)で表される基である。
【0215】
一の態様において、上記RFBは、上記式(f3)又は(f4)で表される基である。
【0216】
一の態様において、上記RFBは、上記式(f3)で表される基である。
【0217】
一の態様において、上記RFBは、上記式(f4)で表される基である。
【0218】
一の態様において、上記RFBは、上記式(f5)で表される基である。
【0219】
一の態様において、上記RFBは、上記式(f6)で表される基である。
【0220】
上記式(B1)及び(B2)において、RSiは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は1価の有機基が結合したSi原子(以下、「加水分解性シリル基」ともいう)を含む1価の基であり、少なくとも1つのRSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。
【0221】
好ましい態様において、RSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。
【0222】
好ましい態様において、R
Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化32】
[式中:
R
25は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
26は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
25
n1R
26
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
X
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり;
R
27は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり;
R
28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11-SiR
25
n1R
26
3-n1であり;
R
29は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
R
a1は、それぞれ独立して、-Z
1-SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1であり;
Z
1は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
21は、それぞれ独立して、-Z
1’-SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’であり;
R
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
21’は、それぞれ独立して、-Z
1”-SiR
22”
q1”R
23”
r1”であり;
R
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
d1は、それぞれ独立して、-Z
2-CR
31
p2R
32
q2R
33
r2であり;
Z
2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
31は、それぞれ独立して、-Z
2’-CR
32’
q2’R
33’
r2’であり;
R
32は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
32’は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
3は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
e1は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
g1及びR
h1は、それぞれ独立して、-Z
4-SiR
25
n1R
26
3-n1、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり;
Z
4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である。
【0223】
上記式中、R25は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0224】
R25は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0225】
R25は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORj、-OCORj、-O-N=CRj
2、-NRj
2、-NHRj、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rjは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORj(即ち、アルコキシ基)である。Rjとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rjは、メチル基であり、別の態様において、Rjは、エチル基である。
【0226】
上記式中、R26は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0227】
R26において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0228】
上記式中、n1は、(SiR25
n1R26
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、RSiが式(S1)又は(S2)で表される基である場合、式(B1)及び式(B2)の末端のRSi部分(以下、単に式(B1)及び式(B2)の「末端部分」ともいう)において、n1が1~3である(SiR25
n1R26
3-n1)単位が少なくとも1つ存在する。即ち、かかる末端部分において、すべてのn1が同時に0になることはない。換言すれば、式(B1)及び式(B2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
【0229】
n1は、(SiR25
n1R26
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0230】
上記式中、X11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基である。かかる2価の有機基は、好ましくは-R41-Ox-R42-(式中、R41及びR42は、それぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、xは0又は1である。)である。かかるC1-20アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。かかるC1-20アルキレン基は、好ましくはC1-10アルキレン基、より好ましくはC1-6アルキレン基、さらに好ましくはC1-3アルキレン基である。
【0231】
一の態様において、X11は、それぞれ独立して、-C1-6アルキレン-O-C1-6アルキレン-又は-O-C1-6アルキレン-である。
【0232】
好ましい態様において、X11は、それぞれ独立して、単結合又は直鎖のC1-6アルキレン基であり、好ましくは単結合又は直鎖のC1-3アルキレン基、より好ましくは単結合又は直鎖のC1-2アルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖のC1-2アルキレン基である。
【0233】
上記式中、R27は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基である。かかるC1-20アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0234】
好ましい態様において、R27は、それぞれ独立して、水素原子又は直鎖のC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子又は直鎖のC1-3アルキル基、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0235】
上記式中、tは、それぞれ独立して、2以上の整数である。
【0236】
好ましい態様において、tは、それぞれ独立して、2~10の整数、好ましくは2~6の整数である。
【0237】
上記式中、R28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X11-SiR25
n1R26
3-n1である。かかるハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。好ましい態様において、R28は、水素原子である。
【0238】
上記式中、R29は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
【0239】
一の態様において、R29は、それぞれ独立して、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
【0240】
好ましい態様において、R29は、単結合である。
【0241】
一の態様において、式(S1)は、下記式(S1-a)である。
【化33】
[式中、
R
25、R
26、R
27、X
11、及びn1は、上記式(S1)の記載と同意義であり;
t1及びt2は、それぞれ独立して、1以上の整数、好ましくは1~10の整数、より好ましくは2~10の整数、例えば1~5の整数又は2~5の整数であり;
t1及びt2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0242】
好ましい態様において、式(S1)は、下記式(S1-b)である。
【化34】
[式中、R
25、R
26、R
27、X
11、n1及びtは、上記式(S1)の記載と同意義である]
【0243】
上記式中、Ra1は、それぞれ独立して、-Z1-SiR21
p1R22
q1R23
r1である。
【0244】
上記Z1は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1として記載する構造は、右側が(SiR21
p1R22
q1R23
r1)に結合する。
【0245】
好ましい態様において、Z1は、2価の有機基である。
【0246】
好ましい態様において、Z1は、Z1が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0247】
上記Z1は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1-O-(CH2)z2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0248】
好ましい態様において、Z1は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4-である。Z1がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0249】
別の好ましい態様において、上記Z1は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1は、-CH2CH2-であり得る。
【0250】
上記R21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’である。
【0251】
上記Z1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)に結合する。
【0252】
好ましい態様において、Z1’は、2価の有機基である。
【0253】
好ましい態様において、Z1’は、Z1’が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1’-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0254】
上記Z1’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1’-O-(CH2)z2’-(式中、z1’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3’-フェニレン-(CH2)z4’-(式中、z3’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0255】
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3’-フェニレン-(CH2)z4’-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4’-である。Z1’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0256】
別の好ましい態様において、上記Z1’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CH2CH2-であり得る。
【0257】
上記R21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22”
q1”R23”
r1”である。
【0258】
上記Z1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1”として記載する構造は、右側が(SiR22”
q1”R23”
r1”)に結合する。
【0259】
好ましい態様において、Z1”は、2価の有機基である。
【0260】
好ましい態様において、Z1”は、Z1”が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1”-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0261】
上記Z1”は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1”-O-(CH2)z2”-(式中、z1”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3”-フェニレン-(CH2)z4”-(式中、z3”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0262】
好ましい態様において、Z1”は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3”-フェニレン-(CH2)z4”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4”-である。Z1”がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0263】
別の好ましい態様において、上記Z1”は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1”は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CH2CH2-であり得る。
【0264】
上記R22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0265】
上記R22”は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0266】
上記R22”は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORj、-OCORj、-O-N=CRj
2、-NRj
2、-NHRj、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rjは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORj(即ち、アルコキシ基)である。Rjとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rjは、メチル基であり、別の態様において、Rjは、エチル基である。
【0267】
上記R23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0268】
上記R23”において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0269】
上記q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q1”とr1”の合計は、(SiR22”
q1”R23”
r1”)単位において、3である。
【0270】
上記q1”は、(SiR22”
q1”R23”
r1”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0271】
上記R22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0272】
R22’は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0273】
R22’は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORj、-OCORj、-O-N=CRj
2、-NRj
2、-NHRj、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rjは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORj(即ち、アルコキシ基)である。Rjとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rjは、メチル基であり、別の態様において、Rjは、エチル基である。
【0274】
上記R23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0275】
R23’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0276】
上記p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p’、q1’とr1’の合計は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位において、3である。
【0277】
一の態様において、p1’は、0である。
【0278】
一の態様において、p1’は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1’は、3である。
【0279】
一の態様において、q1’は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0280】
一の態様において、p1’は0であり、q1’は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0281】
上記R22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0282】
R22は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0283】
R22は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORj、-OCORj、-O-N=CRj
2、-NRj
2、-NHRj、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rjは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORj(即ち、アルコキシ基)である。Rjとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rjは、メチル基であり、別の態様において、Rjは、エチル基である。
【0284】
上記R23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0285】
R23において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0286】
上記p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p1、q1とr1の合計は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位において、3である。
【0287】
一の態様において、p1は、0である。
【0288】
一の態様において、p1は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1は、3である。
【0289】
一の態様において、q1は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0290】
一の態様において、p1は0であり、q1は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0291】
上記式中、Rb1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0292】
上記Rb1は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0293】
上記Rb1は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORj、-OCORj、-O-N=CRj
2、-NRj
2、-NHRj、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rjは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORj(即ち、アルコキシ基)である。Rjとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rjは、メチル基であり、別の態様において、Rjは、エチル基である。
【0294】
上記式中、Rc1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0295】
上記Rc1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0296】
上記k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k1、l1とm1の合計は、(SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1)単位において、3である。
【0297】
一の態様において、k1は、(SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。好ましい態様において、k1は、3である。
【0298】
上記式(B1)及び(B2)において、RSiが式(S3)で表される基である場合、好ましくは、式(B1)及び式(B2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0299】
好ましい態様において、式(S3)で表される基は、-Z1-SiR22
q1R23
r1(式中、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1は、0~2の整数である。)、-Z1’-SiR22’
q1’R23’
r1’(式中、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1’は、0~2の整数である。)、又は-Z1”-SiR22”
q1”R23”
r1”(式中、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1”は、0~2の整数である。)のいずれか1つを有する。Z1、Z1’、Z1”、R22、R23、R22’、R23’、R22”、及びR23”は、上記と同意義である。
【0300】
好ましい態様において、式(S3)において、R21’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21’において、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0301】
好ましい態様において、式(S3)において、R21が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21において、p1’は、0であり、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0302】
好ましい態様において、式(S3)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、p1は、0であり、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0303】
好ましい態様において、式(S3)において、k1は2又は3、好ましくは3であり、p1は0であり、q1は2又は3、好ましくは3である。
【0304】
Rd1は、それぞれ独立して、-Z2-CR31
p2R32
q2R33
r2である。
【0305】
Z2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z2として記載する構造は、右側が(CR31
p2R32
q2R33
r2)に結合する。
【0306】
好ましい態様において、Z2は、2価の有機基である。
【0307】
上記Z2は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5-O-(CH2)z6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7-フェニレン-(CH2)z8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0308】
好ましい態様において、Z2は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7-フェニレン-(CH2)z8-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8-である。Z2がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0309】
別の好ましい態様において、上記Z2は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z2は、-CH2CH2-であり得る。
【0310】
R31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’
q2’R33’
r2’である。
【0311】
Z2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z2’として記載する構造は、右側が(CR32’
q2’R33’
r2’)に結合する。
【0312】
上記Z2’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5’-O-(CH2)z6’-(式中、z5’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7’-フェニレン-(CH2)z8’-(式中、z7’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0313】
好ましい態様において、Z2’は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7’-フェニレン-(CH2)z8’-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8’-である。Z2’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0314】
別の好ましい態様において、上記Z2’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2’は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CH2CH2-であり得る。
【0315】
上記R32’は、それぞれ独立して、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2である。
【0316】
上記Z3は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z3として記載する構造は、右側が(SiR34
n2R35
3-n2)に結合する。
【0317】
一の態様において、Z3は酸素原子である。
【0318】
一の態様において、Z3は2価の有機基である。
【0319】
上記Z3は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0320】
好ましい態様において、Z3は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8”-である。Z3がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0321】
別の好ましい態様において、上記Z3は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z3は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z3は、-CH2CH2-であり得る。
【0322】
上記R34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0323】
R34は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0324】
R34は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORj、-OCORj、-O-N=CRj
2、-NRj
2、-NHRj、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rjは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORj(即ち、アルコキシ基)である。Rjとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rjは、メチル基であり、別の態様において、Rjは、エチル基である。
【0325】
上記R35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0326】
上記R35において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0327】
上記式中、n2は、(SiR34
n2R35
3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、RSiが式(S4)で表される基である場合、式(B1)及び式(B2)の末端部分において、n2が1~3である(SiR34
n2R35
3-n2)単位が少なくとも1つ存在する。即ち、かかる末端部分において、すべてのn2が同時に0になることはない。換言すれば、式(B1)及び式(B2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
【0328】
n2は、(SiR34
n2R35
3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0329】
上記R33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0330】
上記R33’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(CsH2s)t1-(O-CsH2s)t2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0331】
一の態様において、R33’は、水酸基である。
【0332】
別の態様において、R33’は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0333】
上記q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q2’とr2’の合計は、(CR32’
q2’R33’
r2’)単位において、3である。
【0334】
q2’は、(CR32’
q2’R33’
r2’)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0335】
R32は、それぞれ独立して、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2である。かかる-Z3-SiR34
n2R35
3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0336】
上記R33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0337】
上記R33において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(CsH2s)t1-(O-CsH2s)t2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0338】
一の態様において、R33は、水酸基である。
【0339】
別の態様において、R33は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0340】
上記p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p2、q2及びr2の合計は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位において、3である。
【0341】
一の態様において、p2は、0である。
【0342】
一の態様において、p2は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p2は、3である。
【0343】
一の態様において、q2は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0344】
一の態様において、p2は0であり、q2は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0345】
上記Re1は、それぞれ独立して、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2である。かかる-Z3-SiR34
n2R35
3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0346】
上記Rf1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0347】
上記Rf1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(CsH2s)t1-(O-CsH2s)t2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0348】
一の態様において、Rf1は、水酸基である。
【0349】
別の態様において、Rf1は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0350】
上記k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2及びm2の合計は、(CRd1
k2Re1
l2Rf1
m2)単位において、3である。
【0351】
上記式(B1)及び(B2)において、RSiが式(S4)で表される基である場合、好ましくは、式(B1)及び式(B2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0352】
一の態様において、RSiが式(S4)で表される基である場合、n2が1~3、好ましくは2又は3、より好ましくは3である(SiR34
n2R35
3-n2)単位は、式(B1)及び式(B2)の各末端部分において、2個以上、例えば2~27個、好ましくは2~9個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは3個存在する。
【0353】
好ましい態様において、式(S4)において、R32’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32’において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0354】
好ましい態様において、式(S4)において、R32が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0355】
好ましい態様において、式(S4)において、Re1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0356】
好ましい態様において、式(S4)において、k2は0であり、l2は2又は3、好ましくは3であり、n2は、2又は3、好ましくは3である。
【0357】
上記Rg1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z4-SiR25
n1R26
3-n1、-Z4-SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1、-Z4-CRd1
k2Re1
l2Rf1
m2である。ここに、R25、R26、Ra1、Rb2、Rc1、Rd1、Re1、Rf1、n1、k1、l1、m1、k2、l2、及びm2は、上記と同意義である。
【0358】
好ましい態様において、Rg1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z4-SiR25
n1R26
3-n1である。
【0359】
上記Z4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z4として記載する構造は、右側が(SiR25
n1R26
3-n1)に結合する。
【0360】
一の態様において、Z4は酸素原子である。
【0361】
一の態様において、Z4は2価の有機基である。
【0362】
上記Z4は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0363】
好ましい態様において、Z4は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8”-である。Z3がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0364】
別の好ましい態様において、上記Z4は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z4は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z4は、-CH2CH2-であり得る。
【0365】
一の態様において、RSiは、式(S2)、(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。これらの化合物は、高い表面滑り性を有する硬化物層を形成することができる。
【0366】
一の態様において、RSiは、式(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。これらの化合物は、一の末端に複数の加水分解性基を有することから、基材に強く密着し、高い摩耗耐久性を有する硬化物層を形成することができる。
【0367】
一の態様において、RSiは、式(S3)又は(S4)で表される基である。これらの化合物は、一の末端に、一のSi原子又はC原子から分岐した複数の加水分解性基を有し得ることから、さらに高い摩耗耐久性を有する硬化物層を形成することができる。
【0368】
一の態様において、RSiは、式(S1)で表される基である。
【0369】
一の態様において、RSiは、式(S2)で表される基である。
【0370】
一の態様において、RSiは、式(S3)で表される基である。
【0371】
一の態様において、RSiは、式(S4)で表される基である。
【0372】
一の態様において、RSiは、式(S5)で表される基である。
【0373】
上記式(B1)及び(B2)において、XZは、主に撥水性及び表面滑り性等を提供するフルオロポリエーテル部(RF3及びRF4)と基材との結合能を提供する部(RSi)とを連結するリンカーと解される。従って、当該XZは、式(B1)及び(B2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの基であってもよい。
【0374】
上記式(B1)において、αは1~9の整数であり、βは1~9の整数である。これらα及びβは、XZの価数に応じて変化し得る。α及びβの和は、XZの価数と同じである。例えば、XZが10価の有機基である場合、α及びβの和は10であり、例えばαが9かつβが1、αが5かつβが5、又はαが1かつβが9となり得る。また、XZが2価の有機基である場合、α及びβは1である。
【0375】
上記式(B2)において、γは1~9の整数である。γは、XZの価数に応じて変化し得る。即ち、γは、XZの価数から1を引いた値である。
【0376】
XZは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
【0377】
上記XZにおける2~10価の有機基は、好ましくは2~8価の有機基である。一の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは2~4価の有機基であり、より好ましくは2価の有機基である。別の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは3~8価の有機基、より好ましくは3~6価の有機基である。
【0378】
一の態様において、XZは、単結合又は2価の有機基であり、αは1であり、βは1である。
【0379】
一の態様において、XZは、単結合又は2価の有機基であり、γは1である。
【0380】
一の態様において、XZは3~6価の有機基であり、αは1であり、βは2~5である。
【0381】
一の態様において、XZは3~6価の有機基であり、γは2~5である。
【0382】
一の態様において、XZは、3価の有機基であり、αは1であり、βは2である。
【0383】
一の態様において、XZは、3価の有機基であり、γは2である。
【0384】
X
Zが、単結合又は2価の有機基である場合、式(B1)及び(B2)は、下記式(B1’)及び(B2’)で表される。
【化35】
【0385】
一の態様において、XZは単結合である。
【0386】
別の態様において、XZは2価の有機基である。
【0387】
一の態様において、XZとしては、例えば、単結合又は下記式:
-(R51)p5-(X51)q5-
[式中:
R51は、単結合、-(CH2)s5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CH2)s5-であり、
s5は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、
X51は、-(X52)l5-を表し、
X52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-Si(R53)2-、-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、-CONR54-、-O-CONR54-、-NR54-及び-(CH2)n5-からなる群から選択される基を表し、
R53は、それぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基又はC1-6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
R54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m5は、各出現において、それぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n5は、各出現において、それぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
l5は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される2価の有機基が挙げられる。ここに、XZ(典型的にはXZの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、XZは、これらの基により置換されていない。
【0388】
好ましい態様において、上記XZは、それぞれ独立して、-(R51)p5-(X51)q5-R52-である。R52は、単結合、-(CH2)t5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CH2)t5-である。t5は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R52(典型的にはR52の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R56は、これらの基により置換されていない。
【0389】
好ましくは、上記XZは、それぞれ独立して、
単結合、
C1-20アルキレン基、
-R51-X53-R52-、又は
-X54-R5-
[式中、R51及びR52は、上記と同意義であり、
X53は、
-O-、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR54-、
-O-CONR54-、
-Si(R53)2-、
-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、
-O-(CH2)u5-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、
-O-(CH2)u5-Si(R53)2-O-Si(R53)2-CH2CH2-Si(R53)2-O-Si(R53)2-、
-O-(CH2)u5-Si(OCH3)2OSi(OCH3)2-、
-CONR54-(CH2)u5-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、
-CONR54-(CH2)u5-N(R54)-、又は
-CONR54-(o-、m-又はp-フェニレン)-Si(R53)2-
(式中、R53、R54及びm5は、上記と同意義であり、
u5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。)を表し、
X54は、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR54-、
-O-CONR54-、
-CONR54-(CH2)u5-(Si(R54)2O)m5-Si(R54)2-、
-CONR54-(CH2)u5-N(R54)-、又は
-CONR54-(o-、m-又はp-フェニレン)-Si(R54)2-
(式中、各記号は、上記と同意義である。)
を表す。]
であり得る。
【0390】
より好ましくは、上記XZは、それぞれ独立して、
単結合、
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-、
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-
-X54-、又は
-X54-(CH2)t5-
[式中、X53、X54、s5及びt5は、上記と同意義である。]
である。
【0391】
より好ましくは、上記XZは、それぞれ独立して、
単結合、
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-、又は
-X54-(CH2)t5-
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0392】
好ましい態様において、上記XZは、それぞれ独立して、
単結合
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-、又は
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-
[式中、
X53は、-O-、-CONR54-、又は-O-CONR54-であり、
R54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり得る。
【0393】
好ましい態様において、上記XZは、それぞれ独立して、
-(CH2)s5-O-(CH2)t5-
-CONR54-(CH2)t5-
[式中、
R54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり得る。
【0394】
一の態様において、上記XZは、それぞれ独立して、
単結合、
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-O-(CH2)t5-、
-(CH2)s5-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-(CH2)t5-、
-(CH2)s5-O-(CH2)u5-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-(CH2)t5-、又は
-(CH2)s5-O-(CH2)t5-Si(R53)2-(CH2)u5-Si(R53)2-(CvH2v)-
[式中、R53、m5、s5、t5及びu5は、上記と同意義であり、v5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]
である。
【0395】
上記式中、-(CvH2v)-は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)-、-CH(CH3)CH2-であり得る。
【0396】
上記XZは、それぞれ独立して、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。一の態様において、XZは、非置換である。
【0397】
尚、上記XZは、各式の左側がRF3又はRF4に結合し、右側がRSiに結合する。
【0398】
一の態様において、XZは、それぞれ独立して、-O-C1-6アルキレン基以外であり得る。
【0399】
別の態様において、X
Zとしては、例えば下記の基が挙げられる:
【化36】
【化37】
[式中、R
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、又はC
1-6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
-CH
2O(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3-、
-CF
2O(CH
2)
3-、
-(CH
2)
2-、
-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
4-、
-CONH-(CH
2)
3-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
3-、
-CON(Ph)-(CH
2)
3-(式中、Phはフェニルを意味する)、及び
【化38】
(式中、R
42は、それぞれ独立して、水素原子、C
1-6のアルキル基又はC
1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、-(CH
2)
n-(nは2~6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のR
F3又はR
F4に結合し、Eは、R
Siに結合する。]
【0400】
上記X
Zの具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CH
2OCH
2-、
-CH
2O(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3-、
-CH
2O(CH
2)
4-、
-CH
2O(CH
2)
5-、
-CH
2O(CH
2)
6-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2-C(O)NH-CH
2-、
-CH
2OCH
2(CH
2)
7CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2-、
-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-、
-CH
2-、
-(CH
2)
2-、
-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
4-、
-(CH
2)
5-、
-(CH
2)
6-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH
2-、
-CONH-(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3-、
-CONH-(CH
2)
4-、
-CONH-(CH
2)
5-、
-CONH-(CH
2)
6-、
-CON(CH
3)-CH
2-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
2-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
3-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
4-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
5-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
6-、
-CON(Ph)-CH
2-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
2-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
3-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
4-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
5-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
6-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CH
2)
2NH(CH
2)
3-、
-CONH-(CH
2)
6NH(CH
2)
3-、
-CH
2O-CONH-(CH
2)
3-、
-CH
2O-CONH-(CH
2)
6-、
-S-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
2S(CH
2)
3-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-C(O)O-(CH
2)
3-、
-C(O)O-(CH
2)
6-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-CH(CH
3)-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-(CH
2)
3-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-CH(CH
3)-CH
2-、
-OCH
2-、
-O(CH
2)
3-、
-OCFHCF
2-、
【化39】
などが挙げられる。
【0401】
さらに別の態様において、XZは、それぞれ独立して、式:-(R16)x1-(CFR17)y1-(CH2)z1-で表される基である。式中、x1、y1及びz1は、それぞれ独立して、0~10の整数であり、x1、y1及びz1の和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0402】
上記式中、R16は、それぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、-NR18-(式中、R18は、水素原子又は有機基を表す)又は2価の有機基である。好ましくは、R18は、酸素原子又は2価の極性基である。
【0403】
上記「2価の極性基」としては、特に限定されないが、-C(O)-、-C(=NR19)-、及び-C(O)NR19-(これらの式中、R19は、水素原子又は低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1~6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピルであり、これらは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0404】
上記式中、R17は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0405】
さらに別の態様において、X
Zの例として、下記の基が挙げられる:
【化40】
[式中、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、又はC
1-6アルコキシ基好ましくはメチル基であり;
各X
Z基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のR
F3又はR
F4に結合する以下の基:
-CH
2O(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3-、
-CF
2O(CH
2)
3-、
-(CH
2)
2-、
-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
4-、
-CONH-(CH
2)
3-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
3-、
-CON(Ph)-(CH
2)
3-(式中、Phはフェニルを意味する)、又は
【化41】
[式中、R
42は、それぞれ独立して、水素原子、C
1-6のアルキル基又はC
1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のR
Siに結合し、存在する場合、残りのTは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C
1-6アルコキシ基又はラジカル捕捉基又は紫外線吸収基である。
【0406】
ラジカル捕捉基は、光照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、又はトリアジン類の残基が挙げられる。
【0407】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換及び未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレート又はアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0408】
好ましい態様において、好ましいラジカル捕捉基又は紫外線吸収基としては、
【化42】
が挙げられる。
【0409】
この態様において、XZは、それぞれ独立して、3~10価の有機基であり得る。
【0410】
さらに別の態様において、X
Zの例として、下記の基が挙げられる:
【化43】
[式中、R
25、R
26及びR
27は、それぞれ独立して2~6価の有機基であり、
R
25は、少なくとも1つのR
F3に結合し、R
26及びR
27は、それぞれ、少なくとも1つのR
Siに結合する。]
【0411】
一の態様において、上記R25は、単結合、C1-20アルキレン基、C3-20シクロアルキレン基、C5-20アリーレン基、-R57-X58-R59-、-X58-R59-、又は-R57-X58-である。上記、R57及びR59は、それぞれ独立して、単結合、C1-20アルキレン基、C3-20シクロアルキレン基、又はC5-20アリーレン基である。上記X58は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-又は-COO-である。
【0412】
一の態様において、上記R26及びR27は、それぞれ独立して、炭化水素、又は炭化水素の端又は主鎖中にN、O及びSから選択される少なくとも1つの原子を有する基であり、好ましくは、C1-6アルキル基、-R36-R37-R36-、-R36-CHR38
2-などが挙げられる。ここに、R36は、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1~6のアルキル基、好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。R37は、N、O又はSであり、好ましくはN又はOである。R38は、-R45-R46-R45-、-R46-R45-又は-R45-R46-である。ここに、R45は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基である。R46は、N、O又はSであり、好ましくはOである。
【0413】
この態様において、XZは、それぞれ独立して、3~10価の有機基であり得る。
【0414】
さらに別の態様において、X
Zの例として、下記:
【化44】
[式中、X
aは、単結合または2価の有機基である。]
で表される基が挙げられる
【0415】
上記Xaは、イソシアヌル環に直接結合する単結合または二価の連結基である。Xaとしては、単結合、アルキレン基、または、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む二価の基が好ましく、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む炭素数1~10の二価の炭化水素基がより好ましい。
【0416】
Xaとしては、下記式:
-(CX121X122)x1-(Xa1)y1-(CX123X124)z1-
(式中、X121~X124は、それぞれ独立して、H、F、OH、または、-OSi(OR121)3(式中、3つのR121は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基である。)であり、
上記Xa1は、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-O-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、または、-NHC(=O)NH-であり(各結合の左側がCX121X122に結合する。)、
x1は0~10の整数であり、y1は0または1であり、z1は1~10の整数である。)
で表される基が更に好ましい。
【0417】
上記Xa1としては、-O-または-C(=O)O-が好ましい。
【0418】
上記Xaとしては、下記式:
-(CF2)m11-(CH2)m12-O-(CH2)m13-
(式中、m11は1~3の整数であり、m12は1~3の整数であり、m13は1~3の整数である。)
で表される基、
-(CF2)m14-(CH2)m15-O-CH2CH(OH)-(CH2)m16-
(式中、m14は1~3の整数であり、m15は1~3の整数であり、m16は1~3の整数である。)
で表される基、
-(CF2)m17-(CH2)m18-
(式中、m17は1~3の整数であり、m18は1~3の整数である。)
で表される基、
-(CF2)m19-(CH2)m20-O-CH2CH(OSi(OCH3)3)-(CH2)m21-
(式中、m19は1~3の整数であり、m20は1~3の整数であり、m21は1~3の整数である。)
で表される基、または、
-(CH2)m22-
(式中、m22は1~3の整数である。)
で表される基が特に好ましい。
【0419】
上記Xaとして、特に限定されないが、具体的には、
-CH2-、-C2H4-、-C3H6-、-C4H8-、-C4H8-O-CH2-、-CO-O-CH2-CH(OH)-CH2-、-(CF2)n5-(n5は0~4の整数である。)、-(CF2)n5-(CH2)m5-(n5およびm5は、それぞれ独立して、0~4の整数である。)、-CF2CF2CH2OCH2CH(OH)CH2-、-CF2CF2CH2OCH2CH(OSi(OCH3)3)CH2-
等が挙げられる。
【0420】
この態様において、XZは、それぞれ独立して、2又は3価の有機基であり得る。
【0421】
上記式(B1)又は式(B2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、特に限定されるものではないが、5×102~1×105の平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、1,000~32,000、より好ましくは1,500~8,000の平均分子量を有することが、組成物粘度と、各成分との溶解性と、硬化物の物性との間のバランスがよく好ましい。なお、かかる「平均分子量」は、数平均分子量を言い、「平均分子量」は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0422】
上記式(B1)又は式(B2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、例えば、自体公知の方法、例えば国際公開第97/07155号、特表2008-534696号、特開2014-218639号、特開2017-82194号等に記載の方法により得ることができる。
【0423】
別の好ましい態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(B3):
【化45】
[式中:
R
F4は、-Rf
4
p3-R
FB-O
q3-であり;
Rf
4は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
FBは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
p3は、0又は1であり;
q3は、0又は1であり;
R
36は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
37は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~8の一価の有機基であり、
R
38は、それぞれ独立して、(j+1)価の有機基であり、
R
39は、それぞれ独立して、-SiR
25
n1R
26
3-n1であり、
R
25は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
26は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
25
n1R
26
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
jは、それぞれ独立して、1~9の整数であり、
rは、1以上の整数である。]
で表される化合物である。
【0424】
式(B3)中、RF4、Rf4、RFB、R25、R26、n1、p3、及びq3は、上記式(B1)及び(B2)に関する記載と同意義であり、同じ態様を含む。
【0425】
上記式(B3)において、R38は、それぞれ独立して、(j+1)価の有機基である。
【0426】
R38は、R39とアミド結合(CONR32)とを連結するリンカーとして作用する基である。R38は、各出現において独立して、j+1価の有機基を表す。ここで、jの値は、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B3)の末端に存在するケイ素原子を含む基の数を表し、その値は1~9の範囲である。よって、R38は、各出現において独立して、2~10価の有機基を表す。従って、当該R38は、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B3)が安定に存在し得る2~10価の有機基であれば、いずれの基であってもよい。R38の具体的な例としては、上記した式(B1)及び(B2)におおける、XZと同意義であり、同じ態様を含み得る。R38は、好ましくは2~7価であり、より好ましくは2~4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0427】
R38は、R39とアミド結合とを直接連結する分子鎖上にヘテロ原子または芳香族の構造を有していないことが好ましく、芳香族の構造を有していないことがより好ましい。R38としては、場合によりヘテロ原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは非置換の脂肪族炭化水素であり、さらに好ましくは2価のアルキレン基である。R38としてより好ましくはC1-20アルキレン基であり、さらに好ましくはC1-6アルキレン基であり、特に具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等である。上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B3)中に存在する二つのR38は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、化合物の調製が容易となることから、同じであることが好ましい。また、R38は、j+1個の結合手を有していることになるが、どの結合手で-C(=O)NR37-部分と結合していてもよい。
【0428】
上記式(B3)において、jは、それぞれ独立して、1~9の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらに好ましくは1である。
【0429】
上記式(B3)において、R36は、それぞれ独立して、2価の有機基である。
【0430】
R36は、その両端に位置する-C(=O)NR37-で表される構造同士を連結する、2価の有機基である。「2価の有機基」の定義はR38が2価の有機基である場合におけるそれと同様であるが、R36として好ましくは2価のアルキレン基であり、より好ましくはC1-20アルキレン基、さらに好ましくはC1-6アルキレン基であり、特に具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等である。また、R36は、2つの-C(=O)NR37-部分を連結する基であるが、それが安定な化合物として調製できるものである限り、R36が有する2つの結合手は、その両側の-C(=O)NR37-部分のどちらと結合していてもよい。例えば、式(B3)においてR36がメチルエチレン基(-CH(CH3)CH2-)である場合、メチルエチレン基のCH2-部分は、式(B3)において右側にある-C(=O)NR37-部分に結合していてもよいし、左側にある-C(=O)NR37-部分に結合していてもよい。R36部分は、例えばRF4の両末端に、アミド結合を介してR38またはR36と結合を形成可能な反応性官能基を有する化合物に対し、ジアミンを作用させることにより、導入することができる。分子鎖中のR36部分の個数(換言するとrの値)は、反応物の量関係を調整することで操作することができる。
【0431】
好ましい態様において、R38とR36は、ともに2価のアルキレン基である。
【0432】
上記式(B3)において、R37は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~8の一価の有機基である。
【0433】
R37における炭素数1~8の一価の有機基は、好ましくはC1-8アルキル基、C3-8シクロアルキル基、又はC5-8アリール基であり、より好ましくはC1-6アルキル基又はフェニル基であり、さらに好ましくはC1-3アルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0434】
一の態様において、R37は、水素原子である。
【0435】
一の態様において、R37は、C1-8アルキル基、好ましくはメチル基である。
【0436】
上記式(B3)において、rは、1以上の整数である。
【0437】
一の態様において、rは、好ましくは1~100の整数、より好ましくは1~10の整数、さらに好ましくは1~5の整数、例えば2~10の整数、さらに好ましくは2~5の整数である。
【0438】
上記式(B3)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、特に限定されるものではないが、5×102~1×105の平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、1,000~32,000、より好ましくは1,500~8,000の平均分子量を有することが、組成物粘度と、各成分との溶解性と、硬化物の物性との間のバランスがよく好ましい。なお、かかる「平均分子量」は、数平均分子量を言い、「平均分子量」は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0439】
上記式(B3)で表されるで表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、例えば、国際公開第2021/125058号等に記載の方法により製造することができる。
【0440】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B1)又は(B2)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B1)又は(B2)で表される化合物である。
【0441】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B1)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B1)で表される化合物である。
【0442】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B2)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B2)で表される化合物である。
【0443】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B3)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B3)で表される化合物である。
【0444】
好ましい態様において、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B2)で表される化合物および/または式(B3)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B2)で表される化合物および/または式(B3)で表される化合物である。
【0445】
別の好ましい態様において、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B2)で表される化合物および式(B3)で表される化合物を含む。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B2)で表される化合物および式(B3)で表される化合物である。
【0446】
両末端に加水分解性シリル基を有する化合物(例えば、式(B2)で表される化合物および式(B3)で表される化合物)と、片末端に加水分解性シリル基を有する化合物(例えば、式(B1)で表される化合物)のモル比(両末端化合物/片末端化合物)は、好ましくは50/50~100/0、より好ましくは60/40~100/0、さらに好ましくは90/10~100/0であり得る。
【0447】
本開示の硬化性組成物において、成分(A)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計量に対して、好ましくは10~90質量%、より好ましくは20~80質量%、さらに好ましくは30~70質量%であるであり得る。上記フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物の含有量を上記の範囲にすることにより、得られる硬化物の、UV硬化性及び柔軟性がより向上し、また、ブリードアウトがより少なくなり得る。
【0448】
成分(C):架橋剤
上記架橋剤は、特に限定されないが、例えば、アルコキシシラン化合物であり得る。
【0449】
好ましい態様において、上記架橋剤は、好ましくは、式(C1):
【化46】
[式中;
R
g1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
R
g2は、それぞれ独立して、1価の有機基であり;
δは、2~4の整数である。]
で表される化合物である。
【0450】
Rg1は、それぞれ独立して、好ましくは1価の有機基、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基又はエチル基であり得る。
【0451】
Rg2は、それぞれ独立して、好ましくはC1-16アルキル基、C3-16シクロアルキル基、C6-16アリール基、又はC1-16アルケニル基、より好ましくはC1-16アルキル基、さらに好ましくはC1-10アルキル基、さらにより好ましくはC1-3アルキル基であり得る。
【0452】
Rg2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基が挙げられる。
【0453】
δは、好ましくは3又は4である。一の態様において、δは3である。別の態様において、δは4である。
【0454】
上記架橋剤は、好ましくは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ-n-オクチルトリエトキシシラン、又はトリデカフルオロ-n-オクチルトリメトキシシランである。
【0455】
成分(C)は、上記成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは1~5質量部含まれる。
【0456】
成分(D):触媒
上記触媒は、特に限定されないが、例えば、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)、金属錯体、例えばスズ系触媒、チタン系触媒、ジルコニア系触媒、ビスマス系触媒、有機アミン系触媒等であり得る。
【0457】
上記スズ系触媒としては、ジラウリン酸ジ-n-ブチルスズ(IV)が挙げられる。
上記チタン系触媒としては、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラ-n-ブトキシド、チタンテトラ-2-エチルヘキソキシド、チタンテトラアセチルアセトナートが挙げられる。
上記ジルコニア系触媒としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)が挙げられる。
上記ビスマス系触媒としては、ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)が挙げられる。
上記有機アミン系触媒としては、ジアザビシクロウンデセンが挙げられる。
【0458】
上記触媒は、使用直前に硬化性組成物に添加してもよい。
【0459】
上記触媒は、使用直前に、使用方法に応じて、硬化性組成物に追加で添加してもよい。
【0460】
上記成分(D)は、上記成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.2~10質量部、さらに好ましくは0.5~5質量部含まれる。
【0461】
成分(E):ラジカル重合開始剤
上記ラジカル重合開始剤は、好ましくはラジカル光重合開始剤であり得る。ラジカル光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ジアセチル等の-ジケトン類、ベンゾイン等のアシロイン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、チオキサントン-4-スルホン酸等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、2-(4-トルエンスルホニルオキシ)-2-フェニルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2,2’-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、2-メチル[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン類、アントラキノン、1,4-ナフトキノン等のキノン類、2-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のアミノ安息香酸類、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン等のハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、ジ-t-ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。
【0462】
好ましい態様において、上記ラジカル重合開始剤は、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、チオキサントン-4-スルホン酸、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、2-(4-トルエンスルホニルオキシ)-2-フェニルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2,2’-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、2-メチル[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、アントラキノン、1,4-ナフトキノン、2-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、アシルホスフィンオキシド、又はジ-t-ブチルパーオキサイド、メチルベンゾイルフォルメート、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、パーメンタヒドロペルオキシド、又はt-メチルブチルヒドロペルオキシドである。
【0463】
上記ラジカル光重合開始剤の市販品としては、以下のものが例示される。
OMNIRAD 651:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、
OMNIRAD 184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、
OMNIRAD 2959:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、
OMNIRAD 127:2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、
OMNIRAD 907:2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、
OMNIRAD 369:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、
OMNIRAD 379:2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、
OMNIRAD 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、
OMNIRAD 784:ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、
OMNIRAD OXE 01:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、
OMNIRAD OXE 02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、
OMNIRAD261、OMNIRAD369、OMNIRAD500、
DAROCUR 1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、
DAROCUR TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、
DAROCUR1116、DAROCUR2959、DAROCUR1664、DAROCUR4043、
OMNIRAD 754 オキシフェニル酢酸:2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、
OMNIRAD 500:OMNIRAD 184とベンゾフェノンとの混合物(1
:1)、
OMNIRAD 1300:OMNIRAD 369とOMNIRAD 651との混合物(3:7)、
OMNIRAD 1800:CGI403とOMNIRAD 184との混合物(1:3)、
OMNIRAD 1870:CGI403とOMNIRAD 184との混合物(7:3)、
DAROCUR 4265:DAROCUR TPOとDAROCUR 1173との混合物(1:1)。
なお、OMNIRADはBASF社製であり、DAROCURはメルクジャパン社製である。
【0464】
成分(E)は、上記成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは1~5質量部含まれる。
【0465】
本開示の硬化性組成物は、溶媒を含み得る。
【0466】
上記溶媒は、好ましくは、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、グリコールエーテル類、アルコール類、グリコール類、環状エーテル類、アミド類、エーテルアルコール類、炭素数5~12のパーフルオロ脂肪族炭化水素、ポリフルオロ芳香族炭化水素、ポリフルオロ脂肪族炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、又は、ハイドロフルオロエーテルであり得る。溶媒は、これらの2種以上の混合溶媒であってもよい。
【0467】
好ましい態様において、溶媒は、アルコール類、又は、ハイドロフルオロエーテル、あるいはこれらの2種以上の混合溶媒である。
【0468】
上記脂肪族炭化水素類としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等が挙げられる。
【0469】
上記芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等が挙げられる。
【0470】
上記エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等が挙げられる。
【0471】
上記ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等が挙げられる。
【0472】
上記グリコールエーテル類としては、エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0473】
上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等が挙げられる。アルコール類は、好ましくは、メタノール、エタノール、iso-プロパノールである。
【0474】
上記グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0475】
上記環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等が挙げられる。
【0476】
上記アミド類としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0477】
上記エーテルアルコール類としては、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0478】
上記炭素数5~12のパーフルオロ脂肪族炭化水素としては、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0479】
上記ポリフルオロ芳香族炭化水素としては、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0480】
上記ポリフルオロ脂肪族炭化水素としては、C6F13CH2CH3(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H)等が挙げられる。
【0481】
ハイドロフルオロカーボン(HFC)としては、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc))等が挙げられる。
【0482】
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)としては、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)(例えば、アサヒクリン(登録商標)AK225))等が挙げられる。
【0483】
上記ハイドロフルオロエーテル(HFE)としては、パーフルオロプロピルメチルエーテル(C3F7OCH3)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(C4F9OCH3)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(C4F9OC2H5)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(C2F5CF(OCH3)C3F7)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分枝状であってよい)、CF3CH2OCF2CHF2(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000)等が挙げられる。
【0484】
好ましい態様において、溶媒は、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、パーフルオロプロピルメチルエーテル、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルメチルエーテル、又はCF3CH2OCF2CHF2、あるいはこれらの2種以上の混合溶媒である。
【0485】
上記溶媒の含有量は、成分(A)~成分(E)の合計量に対して、20~90質量%、好ましくは40~90質量%である。
【0486】
本開示の硬化性組成物は、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物(以下、まとめて「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、アルコール類、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
【0487】
含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3)で表される化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル化合物)が挙げられる。
Rf5-(OC4F8)a’-(OC3F6)b’-(OC2F4)c’-(OCF2)d’-Rf6 ・・・(3)
式中、Rf5は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rf6は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1-16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子又は水素原子を表し、Rf5及びRf6は、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’及びd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロ(ポリ)エーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’及びd’の和は少なくとも1、好ましくは1~300、より好ましくは20~300である。添字a’、b’、c’又はd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、環構造を含んでいてもよい。例えば、-(OC4F8)-は、-(OCF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3))-、-(OC(CF3)2CF2)-、-(OCF2C(CF3)2)-、-(OCF(CF3)CF(CF3))-、-(OCF(C2F5)CF2)-及び(OCF2CF(C2F5))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCF2CF2CF2CF2)-である。-(OC3F6)-は、-(OCF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2)-及び(OCF2CF(CF3))-のいずれであってもよく、好ましくは-(OCF2CF2CF2)-である。-(OC2F4)-は、-(OCF2CF2)-及び(OCF(CF3))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCF2CF2)-である。
【0488】
上記環構造は、下記三員環、又は四員環:
【化47】
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり得る
【0489】
例えば、(OC
4F
8)は、
【化48】
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり得る。
【0490】
上記一般式(3)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物の例として、以下の一般式(3a)及び(3b)のいずれかで示される化合物(1種又は2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf5-(OCF2CF2CF2)b”-Rf6 ・・・(3a)
Rf5-(OCF2CF2CF2CF2)a”-(OCF2CF2CF2)b”-(OCF2CF2)c”-(OCF2)d”-Rf6 ・・・(3b)
これら式中、Rf5及びRf6は上記の通りであり;式(3a)において、b”は1以上100以下の整数であり;式(3b)において、a”及びb”は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c”及びd”はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a”、b”、c”、d”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
【0491】
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf3-F(式中、Rf3はC5-16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。
【0492】
上記含フッ素オイルは、500~10000の平均分子量を有していてよい。含フッ素オイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
【0493】
含フッ素オイルは、本開示の硬化性組成物に対して、例えば0~50質量%、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~5質量%含まれ得る。一の態様において、本開示の硬化性組成物は、含フッ素オイルを実質的に含まない。含フッ素オイルを実質的に含まないとは、含フッ素オイルを全く含まない、又は極微量の含フッ素オイルを含んでいてもよいことを意味する。
【0494】
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0495】
本開示の硬化性組成物中、かかるシリコーンオイルは、上記本開示のフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物及びフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~300質量部、好ましくは50~200質量部で含まれ得る。
【0496】
上記アルコール類としては、例えば1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、tert-ブタノール、CF3CH2OH、CF3CF2CH2OH、(CF3)2CHOHが挙げられる。これらのアルコール類を硬化性組成物に添加することにより、硬化性組成物の安定性を向上させ、また、パーフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物及びフルオロポリエーテル基含有シラン化合物と溶媒の相溶性を改善させる。
【0497】
上記アルコールは、好ましくは、メタノール、エタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール又は2,2,2-トリフルオロエタノールである。
【0498】
本開示の硬化性組成物は、上記した成分に加え、不純物として、例えばPt、Rh、Ru、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリフェニルホスフィン、NaCl、KCl、シランの縮合物などを微量含み得る。
【0499】
本開示の硬化性組成物の粘度は、好ましくは5000mPa・s以下、より好ましくは3000mPa・s以下、さらに好ましくは2000mPa・s以下であり得る。硬化性組成物の粘度を小さくすることにより、硬化性組成物をより微細な形状の箇所に塗布することが可能になる。また、本開示の硬化性組成物の粘度は、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは500mPa・s以上、さらに好ましくは1000mPa・s以上であり得る。硬化性組成物の粘度を大きくすることにより、厚みが大きな膜の形成、濡れ広がりの制御が容易になる。
【0500】
一の態様において、本開示の硬化性組成物の粘度は、好ましくは100~5000mPa・s、より好ましくは500~3000mPa・s、さらに好ましくは1000~2000mPa・sであり得る。
【0501】
(用途)
本開示の硬化性組成物の硬化物は、例えば、ポッティング材、シール材等に使用し得る。本開示の硬化性組成物の硬化物は、例えば、電子部材の空隙(例えば、筐体とプリント基板の張り合わせ部、又は樹脂モールドされた金属端子部とモールド樹脂の隙間等)に充填し、硬化させることによって使用し得る。
【0502】
より高い耐摩耗性を有する硬化物(例えば、ポッティング材、シール材)を形成するためには、本開示の硬化性組成物による処理に先だって、空隙の壁面の油分を取り除くために、処理対象物をアセトン、ハイドロフルオロエーテル等で洗浄した後、乾燥することが好ましい。更に、上記の洗浄に加えて、UVオゾン、酸素プラズマ等で、前処理するとより、硬化物の耐摩耗性をより向上させることができる。
【0503】
本開示の硬化性組成物による処理に先立って、必要に応じて、空隙の壁面等に対してプライマー処理を施すことによって、硬化性組成物から形成されるポッティング材の接着性を向上させて、耐摩耗性をより向上させることができる。プライマー処理は、常法に従って、シランカップリング剤を用いる場合のプライマー処理と同様の条件で処理を行えばよい。
【0504】
なお、本開示の硬化性組成物から得られる硬化物を各種基材に接着させる場合、各種プライマーを併用することもできる。
【0505】
一の態様において、硬化性組成物は、室温で硬化し得る。このような硬化性組成物は、ポッティング材形成用の組成物として特に有用である。
【0506】
一の態様において、本開示の硬化性組成物を使用するにあたり、その用途、目的に応じて該組成物をさらに溶剤を用いて希釈して用いてもよい。希釈に用いる溶剤としては、上記に例示したフッ素型用剤を用いることができる。例えば、溶剤として1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、フロリナート(3M社製)、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル等に所望の濃度に溶解して使用してもよい。特に、薄膜コーティング用途においては上記溶剤を使用することが好ましい。
【0507】
本開示の硬化性組成物は、金属またはプラスチック基材に対して、良好な接着性を有する硬化物を形成し得ることから、特に電気電子部品周辺や車載用部品周辺用途の接着剤又はシール材として有用であり得る。本開示の硬化性組成物は、特に低温においても良好な弾性率を有することから、自動車部材(例えば、シール材、具体的には、ガスケット)等、特に寒冷地(例えば-50℃以下)において使用可能な自動車部材において有用に用い得る。さらに、本開示の硬化性組成物の硬化物は、ナノインプリントの樹脂型(レプリカモールド)としても有用であり得る。
【0508】
本開示の硬化性組成物の硬化物は、耐薬品性、耐酸性、耐塩基性が良好である。このような本開示の硬化性組成物の硬化物は、化学プラント、半導体製造装置等においても使用できる。
【0509】
本開示は、本開示の硬化性組成物から得られる硬化物を提供する。本開示の硬化性組成物は、硬化性及び塗布性に優れていることから、種々の用途に用いる硬化物となり得る。
【0510】
本開示は、基材と、該基材上に本開示の硬化性組成物が硬化した硬化物層とを含む物品を含む。
【0511】
本開示において使用可能な基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然又は合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよい)、OCA(Optical Clear Adhesive)、偏光板金属、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、電子機器、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、衛生用品、任意の適切な材料で構成され得る。
【0512】
好ましい態様において、上記基材は、ガラス、樹脂、偏光板、OCA(Optical Clear Adhesive)又は金属であり、好ましくはガラス、樹脂、偏光板又はOCA(Optical Clear Adhesive)である。
【0513】
上記ガラスとしては、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、及び化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
【0514】
上記基材の形状は、特に限定されず、例えば、板状、フィルム、その他の形態であってよい。また、硬化物層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途及び具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
【0515】
本開示の物品は、上記基材の表面に、上記の本開示の硬化性組成物の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の硬化性組成物から層を形成することにより製造することができる。
【0516】
本開示の硬化性組成物の層形成は、上記硬化性組成物を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用できる。
【0517】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、バーコーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ニードルディスペンス、ジェットディスペンス及び類似の方法が挙げられる。湿潤被覆法は、好ましくはバーコーティング、スピンコーティング、フローコーティング、ロールコーティング、ニードルディスペンス、又はジェットディスペンスである。
【0518】
好ましい態様において、本開示の物品は、電気電子部品、車載用部品、自動車部材(例えば、シール材、具体的には、ガスケット)、化学プラント、半導体製造装置等であり得る。
【0519】
また、本開示の物品は、医療機器又は医療材料であってもよい。
【0520】
上記層の厚さは、特に限定されないが、例えば1μm以上、10μm以上、又は100μm以上であってもよい。また、上記層の厚さは、特に限定されないが、1000μm以下、500μm以下、又は100μm以下であってもよい。
【0521】
以上、本開示の硬化性組成物、硬化物、及び物品等について詳述した。なお、本開示のこれらは、上記で例示したものに限定されない。
【実施例】
【0522】
以下、本開示の化合物について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、フルオロポリエーテルを構成する繰り返し単位の存在順序は任意であり、以下に示される化学式は平均組成を示す。
【0523】
成分(A):フルオロポリエーテル基含有アクリル化合物の合成
合成例1
還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付けた100mLの3つ口フラスコに、平均組成CH3OCOCF2O(CF2O)12(CF2CF2O)12CF2COOCH3で表されるパーフルオロポリエーテル変性エステル体10.0g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン5.0g、及び3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン1.69gを仕込み、窒素気流下、25℃で1時間攪拌した。その後減圧下で揮発分を留去することにより、下記式で表されるシラン化合物(A)を得た。
(CH3O)3SiCH2CH2CH2NHCH2CH2NHCOCF2O(CF2CF2O)12(CF2O)12CF2CONHCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3
【0524】
合成例2
還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付けた100mLの3つ口フラスコに、合成例1で得られたパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)10.0g、及び2-イソシアナトエチルアクリレート(昭和電工株式会社製カレンズ(登録商標)AOI)1.08gを仕込み、窒素気流下、25℃で1時間攪拌し、下記式で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物(B)を得た。
(CH3O)3SiCH2CH2CH2N(X)CH2CH2NHCOCF2O(CF2CF2O)12(CF2O)12CF2CONHCH2CH2N(X)CH2CH2CH2Si(OCH3)3
X=-CONHCH2CH2OCOCH=CH2
【0525】
合成例3
還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付けた100mLの3つ口フラスコに、平均組成CH3OCOCF2O(CF2O)12(CF2CF2O)12CF2COOCH3で表されるパーフルオロポリエーテル変性エステル体10.0g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン5.0g、及び3-アミノプロピルトリメトキシシラン1.37gを仕込み、25℃で1時間攪拌し、下記式で表されるシラン化合物(C)を得た。
(CH3O)3SiCH2CH2CH2NHCOCF2O(CF2CF2O)12(CF2O)12CF2CONHCH2CH2CH2Si(OCH3)3
【0526】
次いで、CH2=CHCOOCH2Si(CH3)2OHを4.40g加えた。その後50℃で3時間攪拌した後に、溶媒および低沸成分を完全に留去して、下記式で表されるフルオロポリエーテル基含有アクリル化合物(D)を得た。
Xn(CH3O)
3-n
SiCH2CH2CH2NHCOCF2O(CF2CF2O)12(CF2O)12CF2CONHCH2CH2CH2Si(OCH3)3-nXn
X=(OSi(CH3)2CH2OOCCH=CH2
)
n=1.9
【0527】
成分(B):フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合成
合成例4
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた100mLの3つ口フラスコに、平均組成CH3OCOCF2O(CF2O)12(CF2CF2O)12CF2COOCH3で表されるパーフルオロポリエーテル変性エステル体10.0g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン5.0g、及び4,4-メチレンビス-シクロヘキシルアミン0.40gを仕込み、窒素気流下、25℃で1時間攪拌した。続いて、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.62gを加えたのち、25℃で1時間攪拌した。その後減圧下で揮発分を留去することにより、下記式で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(E)を得た。
(CH3O)2CH3SiCH2CH2CH2NHCOCF2O(CF2CF2O)12(CF2O)12CF2CONHC6H
10
-CH2-C6H
10
-NHCOCF2O(CF2CF2O)12(CF2O)12CF2CONHCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2
【0528】
合成例5
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた100mLの3つ口フラスコに、平均組成CH3OCOCF(CF3){OCF2CF(CF3)}mOCF2CF2O{CF(CF3)CF2O}nCF(CF3)COOCH3(m+n≒34)で表されるパーフルオロポリエーテル変性エステル体10.0g、ヘキサフルオロベンゼン5.0g、ジエチレントリアミン0.082g、および3-アミノプロピルトリメトキシシラン0.29gを加えたのち、70℃で12時間攪拌した。その後減圧下で揮発分を留去することにより、下記式で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(F)を得た。
(CH3O)3SiCH2CH2CH2NHCOCF(CF3){OCF2CF(CF3)}mOCF2CF2O{CF(CF3)CF2O}nCF(CF3)CONHCH2CH2NHCH2CH2NHCOCF(CF3){OCF2CF(CF3)}mOCF2CF2O{CF(CF3)CF2O}nCF(CF3)CONHCH2CH2CH2Si(OCH3)3
【0529】
(対照化合物の合成)
合成例6
還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付けた100mLの3つ口フラスコに、平均組成HOCH2CF2O(CF2O)10(CF2CF2O)13CF2CH2OHで表されるパーフルオロポリエーテル変性アルコール体10.0g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン5.0g、及び2-イソシアナトエチルアクリレート(昭和電工株式会社製カレンズ(登録商標)AOI)1.26gを仕込んだ。攪拌後、ジ-nブチルスズジラウレートを数滴仕滴下し、25℃で24時間攪拌し、下記式で表されるアクリル化合物(G)を得た。
CH2=CHCOOCH2CH2NHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)
13
(CF2O)
10
CF2CH2OCONHCH2CH2OOCCH=CH2
【0530】
合成例7
還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付けた100mLの3つ口フラスコに、平均組成CH3OCOCF2O(CF2O)12(CF2CF2O)12CF2COOCH3で表されるパーフルオロポリエーテル変性エステル体10.0g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン5.0g、及び3-アミノプロピルトリメトキシシラン1.37gを仕込み、25℃で1時間攪拌して、下記式で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(H)を得た。
(CH3O)3SiCH2CH2CH2NHCOCF2O(CF2CF2O)12(CF2O)12CF2CONHCH2CH2CH2Si(OCH3)3
【0531】
次いで、CH2=CHCOOCH2Si(CH3)2OH4.70g、及び縮合触媒としてのチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)0.1gを加えた。その後50℃で3時間攪拌し、更に室温で24時間反応させ、化合物(H)のアルコキシシラン基が完全に脱水縮合したことを確認した。溶媒および低沸成分を完全に留去し、下記式で表されるアクリル化合物(J)を得た。
X3SiCH2CH2CH2NHCOCF2O(CF2CF2O)12(CF2O)12CF2CONHCH2CH2CH2SiX3
X=(OSi(CH3)2CH2OOCCH=CH2)
【0532】
成分(C):架橋剤
(C-1)メチルトリメトキシシラン
(C-2)テトラエトキシシラン
【0533】
成分(D):触媒
(D-1)チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)(オルガチックスTC750、マツモトファイン社製)
【0534】
成分(E):ラジカル重合開始剤
(E-1)Omnirad184
(E-2)メチルベンゾイルフォルメート
【0535】
実施例及び比較例
成分(A)~(E)を、下記表に示す比率(重量比)で混合し、硬化性組成物を調製した。得られた硬化性組成物について、以下の評価を実施した。
【0536】
UV硬化性試験
ガラス板上に200μmのフィルムをアプリケーターで成膜後、大気下で高圧水銀ランプにて積算光量1000mJのUV照射を行った。その後塗布膜の硬化状態を評価した。
◎:表面・内部とも硬化し流動性がなくなっている状態
〇:表面は硬化しているが内部が液状、もしくは流動性はないが表面にタックが残り硬化が十分でない。
×:内部も表面も硬化が不十分で液状のまま。
【0537】
ブリードアウト性試験
硬化膜を80℃の電気炉で2時間加熱させた後に、表面に未反応物が油滴状にブリードアウトしていないか評価した。
◎:ブリードアウトなし
〇:表面にわずかに油がにじむ
×:油滴状の凝集物がありブリードアウトが確認される
【0538】
耐ケミカル性試験
硬化フィルムをトルエン溶液に室温で3日間浸漬させ、重量膨潤率を算出した。
◎:重量膨潤率が3%未満
〇:重量膨潤率が3%以上10%未満
×:重量膨潤率が10%以上
【0539】
引張伸び/弾性率
離型剤を処理したガラス上7×10cmの範囲にアプリケーターで膜厚200μmの膜を成膜し、高圧水銀ランプで積算光量1000mJ/cm2のUV照射を行った。次いで、室温で3日静置し引張試験用のフィルムを作成した。得られたフィルムを1cm×7cmの短冊に切り出し、引っ張り試験機によってチャック間距離20mm、引張速度10mm/minの条件で引張試験を行い弾性率、伸び率を測定した。
【0540】
【0541】
【産業上の利用可能性】
【0542】
本開示の硬化性組成物は、多種多様な基材に硬化物層を形成するために好適に利用され得る。