(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】トイレ装置、トイレシステム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20250305BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2023050581
(22)【出願日】2023-03-27
【審査請求日】2024-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】荒木 慎平
(72)【発明者】
【氏名】庭野 祥子
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-32788(JP,A)
【文献】特開2023-32787(JP,A)
【文献】特開2023-32786(JP,A)
【文献】特開2017-89236(JP,A)
【文献】特開2019-74328(JP,A)
【文献】特開2022-15669(JP,A)
【文献】特開2022-15670(JP,A)
【文献】特開2022-15671(JP,A)
【文献】特開2022-15672(JP,A)
【文献】特開2022-54995(JP,A)
【文献】特開2023-110839(JP,A)
【文献】特開2023-124053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 17/00
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯情報端末と通信可能な無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部と、を備え、
前記無線通信部の固有の第1識別情報と、前記無線通信部を識別するための変更可能な第2識別情報と、を有し、
前記制御部は、前記携帯情報端末から送信された第2識別情報の書き込み信号を受信した場合に、前記第2識別情報を記憶させることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
携帯情報端末と通信可能であり、固有の第1識別情報と変更可能な第2識別情報とを有する無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部と、を有するトイレ装置と、
前記第2識別情報が格納され、前記携帯情報端末で読み取り可能な使用用ラベルと、
を備え、
前記制御部は、
前記第1識別情報に基づいて前記無線通信部と前記携帯情報端末とが通信接続されている場合に、前記携帯情報端末から送信された前記第2識別情報を受信したときには、前記第2識別情報を記憶させることを特徴とするトイレシステム。
【請求項3】
前記携帯情報端末で読み取り可能な設定用ラベルをさらに備え、
前記設定用ラベルには、前記第1識別情報が格納されていることを特徴とする請求項2に記載のトイレシステム。
【請求項4】
前記制御部は、記憶された前記第2識別情報を有する接続要求信号を受信した場合に、前記無線通信部と、前記接続要求信号を送信した前記携帯情報端末と、を接続させることを特徴とする請求項2または3に記載のトイレシステム。
【請求項5】
前記トイレ装置を使用する使用者の携帯情報端末は、
前記使用用ラベルを読み込んだときに、前記使用用ラベルに格納された前記第2識別情報を記憶し、
前記無線通信部から送信されている前記第2識別情報が、前記携帯情報端末に記憶された第2識別情報と一致する場合には、前記無線通信部と接続させることを特徴とする請求項2または3に記載のトイレシステム。
【請求項6】
トイレ装置の無線通信部と通信可能な携帯情報端末にインストール可能に構成されるプログラムであって、
前記携帯情報端末に、
前記無線通信部の固有の第1識別情報が格納された設定用ラベルを読み込んだときに、前記トイレ装置と前記携帯情報端末とを通信接続させるための初期設定を行う初期設定工程を実行させ、
前記初期設定は、前記無線通信部の変更可能な第2識別情報が格納された使用用ラベルを読み込んだときに、前記第2識別情報の書き込み信号を送信することであることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
トイレ装置の無線通信部と通信可能な携帯情報端末にインストール可能に構成されるプログラムであって、
前記携帯情報端末に、
前記無線通信部の変更可能な第2識別情報を格納した使用用ラベルを読み込んだときに、前記無線通信部との接続を確立するための接続確立工程と、
前記無線通信部との接続が確立した場合に、前記トイレ装置の機能部の操作ボタンを表示部に表示させる使用工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレ装置、トイレシステム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの携帯情報端末を使ってトイレ装置の機能部を遠隔操作できるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、特定の携帯情報端末でしか温水洗浄便座と通信できないようになっているので、使い勝手が悪くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、携帯情報端末とトイレ装置との通信接続を行う場合に、使い勝手を向上できるトイレ装置、トイレシステム、および遠隔操作プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、携帯情報端末と通信可能な無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部と、を備え、前記無線通信部の固有の第1識別情報と、変更可能な第2識別情報と、を有し、前記制御部は、前記携帯情報端末から送信された第2識別情報の書き込み信号を受信した場合に、前記第2識別情報を記憶させることを特徴とするトイレ装置である。
【0007】
このトイレ装置によれば、変更可能な第2識別情報を用いて、無線通信部と携帯情報端末とを接続させることができる。従って、必要に応じて第2識別情報を書き換えて無線通信部と携帯情報端末とを接続させることができる。
【0008】
第2の発明は、携帯情報端末と通信可能であり、固有の第1識別情報と変更可能な第2識別情報とを有する無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部と、を有するトイレ装置と、前記第2識別情報が格納され、前記携帯情報端末で読み取り可能な使用用ラベルと、を備え、前記制御部は、前記第1識別情報に基づいて前記無線通信部と前記携帯情報端末とが通信接続されている場合に、前記携帯情報端末から送信された前記第2識別情報を受信したときには、前記第2識別情報を記憶させることを特徴とするトイレシステムである。
【0009】
このトイレシステムによれば、例えば使用用ラベルが破損したり紛失したりした場合でも、新たな第2識別情報を格納した使用用ラベルを用いて、無線通信部の識別情報を新たな第2識別情報に書き換えることができる。従って、使い勝手のよいトイレシステムとすることができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記携帯情報端末で読み取り可能な設定用ラベルをさらに備え、前記設定用ラベルには、前記第1識別情報が格納されていることを特徴とするトイレシステムである。
【0011】
このトイレシステムによれば、設定用ラベルを読み込むだけで、第1識別情報を取得することができるので、使い勝手のよいトイレシステムとすることができる。例えば、施工者やメンテナンス業者等を呼ばずとも、設定用ラベルを読み込むだけで、使用用ラベルが破損したり紛失したりした場合でも、新たな第2識別情報を格納した使用用ラベルを用いて、無線通信部の識別情報を新たな第2識別情報に書き換えることができる。
【0012】
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記制御部は、記憶された前記第2識別情報を有する接続要求信号を受信した場合に、前記無線通信部と、前記接続要求信号を送信した前記携帯情報端末と、を接続させることを特徴とするトイレシステムである。
【0013】
このトイレシステムによれば、第2識別情報を用いて、無線通信部と携帯情報端末とを接続させるので、例えば使用用ラベルが破損したり紛失したりした場合でも、使用用ラベルを変えるだけでトイレシステムを利用できる。従って、使い勝手のよいトイレシステムとすることができる。
【0014】
第5の発明は、第2または第3の発明において、前記トイレ装置を使用する使用者の携帯情報端末は、前記使用用ラベルを読み込んだときに、前記使用用ラベルに格納された前記第2識別情報を記憶し、前記無線通信部から送信されている前記第2識別情報が、前記携帯情報端末に記憶された第2識別情報と一致する場合には、前記無線通信部と接続させることを特徴とするトイレシステムである。
【0015】
このトイレシステムによれば、第2識別情報を用いて、無線通信部と携帯情報端末とを接続させるので、例えば使用用ラベルが破損したり紛失したりした場合でも、使用用ラベルを変えるだけでトイレシステムを利用できる。従って、使い勝手のよいトイレシステムとすることができる。
【0016】
第6の発明は、トイレ装置の無線通信部と通信可能な携帯情報端末にインストール可能に構成されるプログラムであって、前記携帯情報端末に、前記無線通信部の固有の第1識別情報が格納された設定用ラベルを読み込んだときに、前記トイレ装置の初期設定を行う初期設定工程を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0017】
このプログラムによれば、設定用ラベルを読み込むだけで、簡単にトイレ装置の初期設定を行うことができる。
【0018】
第7の発明は、第6の発明において、前記携帯情報端末に、前記初期設定工程中に前記無線通信部の変更可能な第2識別情報が格納された使用用ラベルを読み込んだときに、前記第2識別情報の書き込み信号を送信する組み合わせ工程をさらに実行させることを特徴とするプログラムである。
【0019】
このプログラムによれば、携帯情報端末で第1識別情報が格納された設定用ラベル、および第2識別情報が格納された使用用ラベルを読み込んでいるので、識別情報の誤入力を抑制できる。また、第2識別情報の書き込みは、携帯情報端末で使用用ラベルを読み込むだけでよいので、簡単に第2識別情報の設定を行うことができる。
【0020】
第8の発明は、トイレ装置の無線通信部と通信可能な携帯情報端末にインストール可能に構成されるプログラムであって、前記携帯情報端末に、前記無線通信部の変更可能な第2識別情報を格納した使用用ラベルを読み込んだときに、前記無線通信部との接続を確立するための接続確立工程と、前記無線通信部との接続が確立した場合に、前記トイレ装置の機能部の操作ボタンを表示部に表示させる使用工程と、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0021】
このプログラムによれば、使用者は、使用用ラベルを読み込むだけで、無線通信部と携帯情報端末とを簡単に接続させることができる。また、無線通信部との接続が確立されたときには、トイレ装置の機能部の操作ボタンが表示部に表示されるので、携帯情報端末を用いた場合でも分かりやすい操作とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の態様によれば、携帯情報端末とトイレ装置との通信接続を行う場合に使い勝手を向上できるトイレ装置、トイレシステム、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係るトイレシステムを用いたパブリックトイレを示す平面図である。
【
図2】
図1中のトイレ室およびトイレシステムを示す斜視図である。
【
図3】トイレ装置の制御系を示すブロック図である。
【
図4】携帯情報端末の制御系を示すブロック図である。
【
図5】トイレ装置と携帯情報端末とを通信接続させるための初期設定を示す説明図である。
【
図6】使用用IDをトイレ装置に紐付ける場合の説明図である。
【
図7】携帯情報端末に表示される操作ボタンの設定を行う場合の説明図である。
【
図8】初期設定後に試運転を行う場合の説明図である。
【
図9】トイレ室に入室した使用者が携帯情報端末でトイレ装置を操作する場合の説明図である。
【
図10】トイレ装置の制御部が実行するセッティングモードと携帯情報端末使用モードとの制御を示す流れ図である。
【
図11】変形例に係る携帯情報端末の制御部が実行する第2識別情報の書き込み制御を示す流れ図である。
【
図12】変形例に係る携帯情報端末の制御部が実行する使用用ラベルによる接続確立制御を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るトイレシステムを用いたパブリックトイレを示す平面図である。
図2は、
図1中のトイレ室およびトイレシステムを示す斜視図である。
図1に示すように、パブリックトイレ1は、手洗場2、手乾燥装置3、および複数のトイレ室TRを備えている。パブリックトイレ1は、その他に小便器などが備えられていてもよい。パブリックトイレ1は、例えば不特定多数の使用者が利用可能なトイレとなっている。なお、トイレ室TRは、パブリックトイレ1に設けられたものに限らず、例えば住宅などに設けられるトイレ室でもよい。
【0026】
図2に示すように、トイレシステム5は、トイレ装置20と、携帯情報端末100と、を備える。トイレ装置20は、腰掛け大便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)10に設置されている。
【0027】
便器10は、ボウル部12を有する。ボウル部12は、下方に凹む凹状である。便器10は、ボウル部12において使用者の尿や便などの排泄物を受ける。トイレ装置20の本体部22は、便器10のボウル部12よりも後方の部分の上に取り付けられる。
【0028】
また、各トイレ室TRには、例えば各トイレ室TR(トイレ装置20)専用の設定用ラベル150および使用用ラベル160が設けられている。設定用ラベル150および使用用ラベル160は、トイレ装置20と携帯情報端末100とを通信接続するためのものである。設定用ラベル150および使用用ラベル160は、例えばQRコード(登録商標)やNFCタグ(Near Field Communication)などとなっている。
【0029】
設定用ラベル150は、トイレ室TRを管理する管理者、施工者、メンテナンス業者などが使用するものであり、例えば便器10やトイレ装置20などの一般の使用者からは見えにくい位置に設けられている。設定用ラベル150は、後述する第2無線通信部62の固有の第1識別情報が格納されており、携帯情報端末100で読み取り可能となっている。
【0030】
使用用ラベル160は、トイレ室TRを使用する使用者が使用するものであり、例えばトイレ室TRの壁面など使用者からは見え易い位置に設けられている。なお、使用用ラベル160は、例えば後述するリモコン28やトイレ装置20などに設けられていてもよい。使用用ラベル160は、後述する第2無線通信部62の変更可能な第2識別情報が格納されており、携帯情報端末100で読み取り可能となっている。各トイレ室TRに設けられた使用用ラベル160は、管理者により同じトイレ室TRに設置されたトイレ装置20の第2無線通信部62と紐付けられる。使用用ラベル160と第2無線通信部62との紐付け作業、および使用者による携帯情報端末100と第2無線通信部62との接続作業については、後で述べる。
【0031】
トイレ装置20は、便器10の上部に設置されている。トイレ装置20は、便器10に対して一体的に取り付けてもよいし、便器10に対して着脱可能に取り付けてもよい。
【0032】
トイレ装置20は、本体部22と、便座24と、便蓋26と、を備えている。本体部22は、ケーシング23と、ケーシング23内に設けられた複数の機能部と、を有している。便座24は、使用者が着座するための部分であり、ボウル部12を露呈させる開口部を有する。使用者は、便座24に座った状態でボウル部12に排泄を行うことができる。便蓋26は、トイレ装置20に必要に応じて設けられ、省略可能である。便座24と便蓋26とは、本体部22に対して回転可能に軸支されている。なお、本願明細書において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、および「右」のそれぞれは、開いた便蓋26に背を向けて便座24に座った使用者から見た方向である。
【0033】
リモコン28は、例えば複数のスイッチやセンサなどを有し、使用者からの操作指示を受け付ける。また、リモコン28は、有線または無線を介して本体部22と接続され、使用者から入力された操作指示を本体部22に送信する。本体部22(機能部)は、リモコン28から入力された操作指示に応じて所定の作動を実行する。なお、本体部22への操作指示の入力は、例えば本体部22に設けられた操作パネルなどを介して行ってもよい。また、本実施形態では、携帯情報端末100によりトイレ装置20の機能部を作動させることができるようになっている、従って、リモコン28は、必要に応じて設けられていてもよい。
【0034】
ノズル30は、ケーシング23に設けられている。ノズル30は、ケーシング23内に収納された位置と、ケーシング23から前方に突出し、ボウル部12内に進出した位置と、に進退移動する。なお、
図2は、ノズル30がボウル部12内に進出した状態を表している。
【0035】
トイレ装置20は、ノズル30をボウル部12内に進出させた状態で、使用者の「おしり」などの局部に向けてノズル30から洗浄水を吐水することにより、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄機能部を有する。
【0036】
携帯情報端末100は、例えば管理者や使用者の所有するスマートフォンやタブレット端末などである。但し、携帯情報端末100は、これらに限ることなく、管理者や使用者が携帯可能な任意の端末でよい。
【0037】
携帯情報端末100には、トイレ装置20の機能部を遠隔操作するためのプログラム200(アプリケーションソフトウェア)がインストールされている。携帯情報端末100は、そのプログラム200に基づいて、機能部を遠隔操作する遠隔操作モードを実行する。使用者は、トイレシステム5により、携帯情報端末100において上記のプログラム200を起動させ、携帯情報端末100によって機能部の作動を遠隔操作することができる。なお、アプリケーションソフトウェアは、例えばインストール後に所定期間が経過したら、自動的に削除されるようなものでもよい。
【0038】
トイレシステム5では、例えば携帯情報端末100によってトイレ装置20の機能部の作動を遠隔操作することができる。すなわち、トイレシステム5では、リモコン28および携帯情報端末100のいずれかを操作することにより、機能部の作動などを遠隔操作することができる。携帯情報端末100によって遠隔操作されるトイレ装置20の機能部は、リモコン28と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
図3は、トイレ装置の制御系を示すブロック図である。
図3に示すように、トイレ装置20は、複数の機能部を有している。これら機能部は、ケーシング23に設けられている。これら機能部は、例えば制御部40、記憶部42、人体検知センサ51、着座検知センサ53、第1無線通信部61、第2無線通信部62、便蓋開閉装置70、便座開閉装置71、便座ヒータ72、電磁弁73、温水ヒータ74、ノズル駆動装置75、脱臭装置76、室内暖房装置77、照明装置78、便器洗浄装置79、および温風送風機80などとなっている。
【0040】
記憶部42は、トイレ装置20の各部の作動を制御するための各種の制御プログラムや各種のデータを記憶する。制御部40は、記憶部42に記憶された各種のプログラムやデータを読み出し、逐次処理することにより、トイレ装置20の各部の作動を統括的に制御する。また、記憶部42には、携帯情報端末100とトイレ装置20とを無線接続するためのプログラム、および第2無線通信部62の識別情報が記憶されている。
【0041】
人体検知センサ51は、トイレ装置20に近づく人体を検知する。換言すれば、人体検知センサ51は、トイレ室TRに入室した人体を検知する。人体検知センサ51には、例えば、焦電センサや電波センサ、赤外線センサなどが用いられる。人体検知センサ51は、制御部40と接続されている。人体検知センサ51は、人体の検知結果を制御部40に向けて出力する。
【0042】
着座検知センサ53は、便座24への着座を検知する。着座検知センサ53は、便座24への着座を検知した検知状態と、便座24への着座を検知していない非検知状態と、を有する。着座検知センサ53には、例えば機械的なスイッチや静電センサなどが用いられる。着座検知センサ53は、制御部40と接続されている。着座検知センサ53は、人体の検知結果を制御部40に向けて出力する。
【0043】
第1無線通信部61は、リモコン28との無線通信を行う。第1無線通信部61は、例えばリモコン28から送信された赤外線信号を受光する赤外線受光装置である。第1無線通信部61は、制御部40と接続されている。第1無線通信部61は、リモコン28から送信された指令信号を制御部40に向けて出力する。なお、リモコン28と第1無線通信部61は、電波信号によって無線通信を行ってもよい。また、トイレ室TRにリモコン28が設置されていない場合には、第1無線通信部61はなくてもよい。
【0044】
第2無線通信部62は、携帯情報端末100との無線通信を行う。第2無線通信部62は、例えば携帯情報端末100と双方向の無線通信を行う。第2無線通信部62には、例えばBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Thread(登録商標)、WiFi(登録商標)などの通信規格に準拠した無線通信装置が用いられる。以下では、第2無線通信部62と携帯情報端末100との無線通信に、BLE(Bluetooth Low Energy)を用いた場合を例に説明を行う。なお、第2無線通信部62と携帯情報端末100との無線通信に、Bluetooth Classicを用いてもよい。
【0045】
第2無線通信部62は、制御部40と接続されている。第2無線通信部62は、携帯情報端末100から送信された指令信号を制御部40に向けて出力するとともに、制御部40の指示に基づき指令信号を携帯情報端末100に送信する。なお、第1無線通信部61と第2無線通信部62は、それぞれ別ユニットとして設けてもよいし、第1無線通信部61と第2無線通信部62を同一基板上に設ける構成や同一のユニット内に設ける構成のように、一体的なユニットとして設けてもよい。
【0046】
第2無線通信部62は、本発明の無線通信部を構成している。第2無線通信部62は、固有の第1識別情報と、変更可能な第2識別情報と、を出力している。第1識別情報は、各第2無線通信部62に個別に設定されたものであり、変更(上書き)できないような識別情報となっている。第1識別情報は、記憶部42にあらかじめ記憶されている。なお、第1識別情報は、他の記憶部に記憶されていてもよい。また、第1識別情報は、設定用ラベル150にあらかじめ格納されている。第1識別情報は、管理者が遠隔操作モードの初期設定(セッティング)を行うときに、管理者の携帯情報端末100と第2無線通信部62とを無線接続させるために用いられる。すなわち、第1識別情報は、管理者が用いる設定用IDとなっている。
【0047】
第2識別情報は、変更(上書き)可能な識別情報となっている。第2識別情報は、初期設定で、管理者により記憶部42に記憶される。なお、第2識別情報は、あらかじめ記憶部42に記憶されていてもよい。また、第2識別情報は、他の記憶部に記憶されていてもよい。第2識別情報は、使用用ラベル160にあらかじめ格納されている。第2識別情報は、トイレ室TRに入室した使用者がトイレ装置20と自分の携帯情報端末100とを無線接続させるために用いられる。すなわち、第2識別情報は、使用者が用いる使用用IDとなっている。制御部40は、携帯情報端末100から送信された識別情報と、記憶部42に記憶された第1識別情報および第2識別情報を比較して、無線接続の有無を判定する。管理者による初期設定および使用者による無線接続の作業については、後で述べる。
【0048】
便蓋開閉装置70は、制御部40と接続されており、制御部40の制御に基づいて便蓋26を自動的に開閉する。制御部40は、例えば人体検知センサ51による人体の検知に基づいて便蓋26を開き、人体検知センサ51による人体の非検知に基づいて便蓋26を閉じる。また、制御部40は、例えばリモコン28または携帯情報端末100の操作に応じて便蓋開閉装置70を駆動することにより、便蓋26を開閉する。
【0049】
便座開閉装置71は、制御部40と接続されており、制御部40の制御に基づいて便座24を自動的に開閉する。制御部40は、例えばリモコン28または携帯情報端末100の操作に応じて便座開閉装置71を駆動することにより、便座24を開閉する。
【0050】
便座ヒータ72は、便座24の内部に設けられ、便座24の座面を内側から温める。便座ヒータ72は、制御部40と接続され、制御部40の制御に基づいて便座24の座面を温める。制御部40は、例えば便座24の座面の温度が、リモコン28または携帯情報端末100の操作によって設定された温度となるように、便座ヒータ72の駆動を制御する。
【0051】
電磁弁73は、給水源とノズル30との間に設けられる。電磁弁73を開くことにより、ノズル30に洗浄水が供給される。電磁弁73を閉じることにより、ノズル30への洗浄水の供給が停止される。電磁弁73は、制御部40と接続されている。電磁弁73は、制御部40の制御に基づいて、ノズル30への洗浄水の供給およびノズル30への洗浄水の供給の停止を切り替える。制御部40は、例えばリモコン28または携帯情報端末100の操作によって電磁弁73の開閉を制御する。
【0052】
温水ヒータ74は、電磁弁73の下流に設けられている。温水ヒータ74は、制御部40と接続されている。温水ヒータ74は、制御部40の制御に基づいて、給水源から供給された洗浄水を加熱し、例えば規定の温度まで昇温させる。温水ヒータ74は、給水源から供給された洗浄水を、設定された温度の温水に変換する。温水ヒータ74は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器でもよいし、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器でもよい。
【0053】
また、制御部40は、例えばリモコン28または携帯情報端末100の操作によって、温水温度を設定可能とする。使用者は、リモコン28または携帯情報端末100を操作することにより、温水温度を所望の温度に設定することができる。
【0054】
ノズル駆動装置75は、本体部22内に収納された位置と、本体部22から前方に突出し、ボウル部12内に進出した位置と、にノズル30を進退移動させる。ノズル駆動装置75は、制御部40と接続されている。ノズル駆動装置75は、制御部40の制御に基づいて、ノズル30を進退移動させる。
【0055】
制御部40は、例えばリモコン28または携帯情報端末100の操作によって、ボウル部12内に進出した状態におけるノズル30の位置を調整可能とする。使用者は、ノズル30がボウル部12内に進出した状態において、リモコン28または携帯情報端末100を操作することにより、ノズル30の前後方向の位置などを所望の位置に調整することができる。ノズル30、電磁弁73、およびノズル駆動装置75は、使用者の局部を洗浄するための衛生洗浄機能部となっている。
【0056】
脱臭装置76は、便器10のボウル部12内の空気を吸引し、吸引した空気に含まれる悪臭成分などを低減させた後、本体部22の外に排出することにより、ボウル部12内の空気を脱臭する。脱臭装置76は、制御部40に接続され、制御部40の制御に基づいて、ボウル部12内の空気の脱臭を行う。制御部40は、例えば使用者が便座24から離れたことを着座検知センサ53が検知した場合に、脱臭装置76を所定時間作動させる。また、制御部40は、例えばリモコン28または携帯情報端末100の操作によって、脱臭装置76を作動させる。
【0057】
室内暖房装置77は、本体部22の外に温風を吹き出すことにより、トイレ室TR内の暖房を行う。室内暖房装置77は、制御部40に接続され、制御部40の制御に基づいて、トイレ室TR内の暖房を行う。制御部40は、例えばリモコン28または携帯情報端末100の操作によって、室内温度を設定可能とする。使用者は、リモコン28または携帯情報端末100を操作することにより、トイレ室TR内の設定温度を所望の温度に設定することができる。
【0058】
照明装置78は、便器10のボウル部12内を照明する。照明装置78は、制御部40に接続され、制御部40の制御に基づいて、ボウル部12内の照明を行う。制御部40は、例えば人体検知センサ51による人体の検知に基づいて照明装置78を点灯させることにより、夜間などにボウル部12を見易くする。また、使用者は、リモコン28または携帯情報端末100を操作することにより、照明装置78の点灯および消灯を行うことができる。
【0059】
便器洗浄装置79は、便器10に洗浄水を供給して便器10を洗浄する。便器洗浄装置79は、例えば便器10の給水タンクや便器10の給水管などに設けられ、便器10の洗浄を自動的に行えるようにする。便器洗浄装置79は、制御部40に接続され、制御部40の制御に基づいて、便器10の洗浄を行う。制御部40は、例えば人体検知センサ51または着座検知センサ53によって、便座24から使用者が離れたことが検知されたことに応じて、便器洗浄装置79を作動させることにより、便器10の洗浄を行う。また、使用者は、リモコン28または携帯情報端末100を操作することにより、便器洗浄装置79を作動させることができる。
【0060】
温風送風機80は、使用者の局部に向けて温風を送風する。温風送風機80は、例えば局部洗浄などで濡れた使用者の局部に温風を送風することにより、使用者の局部を乾燥させる。温風送風機80は、制御部40と接続されている。温風送風機80は、制御部40の制御に基づいて、使用者の局部への温風の送風および送風の停止を切り替える。使用者は、リモコン28または携帯情報端末100を操作することにより、温風送風機80を作動させることができる。
【0061】
このように、トイレ装置20は、例えば便蓋開閉装置70、便座開閉装置71、便座ヒータ72、電磁弁73、温水ヒータ74、ノズル駆動装置75、脱臭装置76、室内暖房装置77、照明装置78、便器洗浄装置79、および温風送風機80などの機能部を有する。なお、機能部は、上記のものに限ることなく、トイレ装置20の利用に関連する所定の作動を行う任意の機能部でよい。トイレ装置20に設けられる機能部の数は、任意の数でよい。トイレ装置20に設けられる機能部の数は、例えば1つでもよい。
【0062】
トイレシステム5では、リモコン28および携帯情報端末100のいずれかを操作することにより、トイレ装置20の機能部の作動を遠隔操作することができる。トイレ装置20の制御部40は、第1無線通信部61を介してリモコン28から受信した信号に基づいて複数の機能部の作動を制御する。また、制御部40は、第2無線通信部62を介して携帯情報端末100から受信した信号に基づいて複数の機能部の作動を制御する。制御部40は、第2無線通信部62を介して携帯情報端末100から受信した信号に基づいて複数の機能部の作動を制御する携帯情報端末使用モードを実行可能である。なお、トイレ装置20は、第2無線通信部62を制御する専用の制御部を有していてもよい。トイレ装置20は、第2無線通信部62の専用の制御部と、制御部40とが通信を行って各種の制御を行ってもよい。
【0063】
図4は、携帯情報端末の制御系を示すブロック図である。
図4に示すように、携帯情報端末100は、制御部110、記憶部112、無線通信部114、操作部116、表示部118、スピーカ120、マイクロフォン122、および取得部124を備える。
【0064】
記憶部112は、携帯情報端末100の各部の作動を制御するための各種の制御プログラムや各種のデータを記憶する。制御部110は、記憶部42に記憶された各種のプログラムやデータを読み出し、逐次処理することにより、携帯情報端末100の各部の作動を統括的に制御する。また、記憶部112には、携帯情報端末100の自己の機器識別情報が記憶されている。
【0065】
無線通信部114は、トイレ装置20の第2無線通信部62との無線通信を行う。無線通信部114には、第2無線通信部62と同じ通信規格に準拠した無線通信装置が用いられる。無線通信部114は、制御部110と接続されている。無線通信部114は、トイレ装置20の第2無線通信部62から送信された指令信号を制御部110に向けて出力する。また、無線通信部114は、制御部110から出力された指令信号をトイレ装置20の第2無線通信部62に送信する。
【0066】
操作部116は、使用者などからの操作指示の入力を受け付ける。操作部116には、例えばタッチパネルが用いられる。操作部116は、例えば機械式のスイッチや他のセンサなどでもよいし、これらを組み合わせて構成してもよい。操作部116は、制御部110と接続されている。操作部116は、入力された操作指示を制御部110に向けて出力する。制御部110は、例えば操作部116から入力された操作指示に応じて、無線通信部114などの各部の作動を制御する。
【0067】
表示部118は、種々の操作画面などの表示を行う。表示部118には、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置が用いられる。表示部118は、制御部110と接続され、制御部110の制御に基づいて各種の表示を行う。例えば、操作部116がタッチパネルである場合には、操作部116は、表示部118の上に重ねて設けられる。
【0068】
スピーカ120は、種々の音の出力を行う。スピーカ120は、制御部110と接続され、制御部110の制御に基づいて各種の音の出力を行う。
【0069】
マイクロフォン122は、入力された音を電気信号に変換する。マイクロフォン122は、制御部110と接続され変換した電気信号を制御部110に向けて出力する。なお、携帯情報端末100でのトイレ装置20の操作は、マイクロフォン122により取得された音声情報によって操作されてもよい。
【0070】
取得部124は、設定用ラベル150および使用用ラベル160の上方を取得する部分となっている。取得部124は、例えば設定用ラベル150および使用用ラベル160がQRコード(登録商標)である場合には撮像装置(カメラ)となっている。また、例えば設定用ラベル150および使用用ラベル160がNFCタグである場合には読取装置となっている。取得部124は、取得した情報を制御部110に向けて出力する。
【0071】
記憶部112には、携帯情報端末100によってトイレ装置20の機能部を遠隔操作するためのプログラム200が記憶されている。換言すれば、携帯情報端末100には、遠隔操作を行うためのプログラム200(アプリケーション)がインストールされている。
【0072】
制御部110は、例えば操作部116からプログラム200の起動を指示されることにより、記憶部112からプログラム200を読み出す。そして、制御部110は、このプログラム200に基づいて遠隔操作モードの作動を実行することにより、トイレ装置20の機能部の遠隔操作を可能にする。
【0073】
次に、
図5~
図8を参照して、管理者による初期設定作業について説明する。
図5は、トイレ装置と携帯情報端末とを通信接続させるための初期設定を示す説明図である。
図6は、使用用IDをトイレ装置に紐付ける場合の説明図である。
図7は、携帯情報端末に表示される操作ボタンの設定を行う場合の説明図である。
図8は、初期設定後に試運転を行う場合の説明図である。
【0074】
まず、管理者は、使用用ラベル160を用意して、トイレ室TRに入室する。そして、管理者は、記憶部112に記憶された遠隔操作のプログラム200(アプリケーション)を起動させる。その後、
図5に示すように、アプリケーション内で取得部124により設定用ラベル150を読み込む。または、
図5に示すように、取得部124により設定用ラベル150を読み込む。それにより、記憶部112に記憶された遠隔操作のプログラム200(アプリケーション)が起動される。なお、携帯情報端末100にアプリケーションがインストールされていない場合には、携帯情報端末100により設定用ラベル150を読み込んだときに、インターネット網を介してアプリケーションの取得(ダウンロード)工程に移行してもよい。
【0075】
アプリケーションのプログラム200は、設定用ラベル150を取得したときに、無線通信部114から自動で第1識別情報を送信させる制御処理を有している。従って、携帯情報端末100は、設定用ラベル150を取得したときに、設定用ラベル150に格納された第1識別情報を送信する。
【0076】
トイレ装置20の制御部40は、携帯情報端末100から送信された第1識別情報と、記憶部42に記憶された第1識別情報と、を比較する。そして、両方の識別情報が一致した場合には、管理者の携帯情報端末100と、第2無線通信部62との無線接続を確立させる。なお、無線接続の確立判定は、第2無線通信部62を制御するための専用の制御部によりなされてもよい。
【0077】
そして、
図5に示すように、携帯情報端末100は、第2無線通信部62との無線接続が確立された場合に、表示部118にセッティング画面(初期設定画面)を表示させる。すなわち、携帯情報端末100にインストールされているプログラム200は、第2無線通信部62の固有の第1識別情報が格納された設定用ラベル150を読み込んだときに、トイレ装置20の初期設定を行う初期設定工程を実行する。
【0078】
なお、この場合の無線接続では、携帯情報端末100からトイレ装置20の機能を作動させることはできないようになっている。従って、例えば使用者が自分の携帯情報端末100で設定用ラベル150を読み込んで、第2無線通信部62と無線接続を行おうとしても、トイレ装置20の機能部を作動させることはできない。
【0079】
図5に示すように、セッティング画面には、例えば組み合わせ設定ボタン116a、表示設定ボタン116b、試運転ボタン116c、および終了ボタン116dなどが表示されている。組み合わせ設定ボタン116aは、使用者に遠隔操作モードを使用させるために使用用ラベル160(第2識別情報)と、第2無線通信部62とを組み合わせる組み合わせ設定を行うものである。表示設定ボタン116bは、使用者の携帯情報端末100に表示される操作ボタンの種類(態様)を設定するためのものである。試運転ボタン116cは、初期設定が終了した後に、管理者が遠隔操作モードを試運転するためのものである。
【0080】
まず、管理者は、組み合わせ設定ボタン116aを操作する。これにより、
図6に示すように、携帯情報端末100の表示部118には、使用用ラベル160を読み込む画面が表示される。そして、管理者は、取得部124から使用用ラベル160を読み込む。
【0081】
携帯情報端末100の記憶部112には、使用用ラベル160を取得したときに、無線通信部114から自動で第2識別情報の書き込み信号を送信させるプログラム200が記憶されている。従って、携帯情報端末100は、使用用ラベル160を取得したときに、使用用ラベル160に格納された第2識別情報を送信する。すなわち、携帯情報端末100にインストールされているプログラム200は、初期設定工程中に第2無線通信部62の変更可能な第2識別情報が格納された使用用ラベル160を読み込んだときに、第2識別情報の書き込み信号を送信する組み合わせ工程を実行する。なお、第2識別情報の書き込み信号は、自動的に送信される場合に限らず、管理者の操作に基づいて送信されてもよい。
【0082】
トイレ装置20の制御部40は、受信した第2識別情報を記憶部42に記憶させる。なお、記憶部42に異なる第2識別情報が記憶されている場合には、新たな第2識別情報に書き換え(上書き)がなされる。これにより、使用用ラベル160と第2無線通信部62との組み合わせ(紐付け)がなされる。
【0083】
制御部40は、記憶部42に第2識別情報を記憶させると、第2無線通信部62に組み合わせ完了信号を送信させる。携帯情報端末100の制御部110は、組み合わせ完了信号を受信すると、
図6に示すように、例えば「トイレ装置と使用用IDとの組み合わせ設定完了」などを表示部118に表示させる。そして、携帯情報端末100の制御部110は、確認ボタン116eが操作されることにより、表示部118を
図5中のセッティング画面に戻す。
【0084】
第2無線通信部62は、第2識別情報が記憶されると、第1識別情報と第2識別情報との両方が自己の識別情報として設定されるようになる。そして、第2無線通信部62は、第1識別情報と、記憶部42に記憶された第2識別情報とを常時出力する。
【0085】
次に、管理者は、表示設定ボタン116bを操作する。これにより、
図7に示すように、携帯情報端末100の表示部118には、トイレ装置20の機能部を操作させるための操作ボタンの表示設定を行う画面が表示される。この例では、流すボタン116g(
図8参照)を表示させるか否かを設定している。例えば、トイレ装置20が、人体検知センサ51や着座検知センサ53が人体の検知状態から非検知状態になったときに、自動で洗浄水を流す自動洗浄機能を有する場合には、流すボタン116gの表示を「なし」に設定してもよい。なお、操作ボタンの表示設定の有無は、流すボタン116gに限らず、他の操作ボタンでもよい。
【0086】
管理者は、表示設定を行ってから送信ボタン116fを操作する。これにより、携帯情報端末100の制御部110は、無線通信部114から表示設定の設定信号を送信させる。トイレ装置20の制御部40は、設定信号を受信すると、その設定内容を記憶部42に記憶させて、第2無線通信部62から設定完了信号を送信させる。
【0087】
携帯情報端末100の制御部110は、設定完了信号を受信すると、設定が完了したことを表示部118に表示させる。そして、携帯情報端末100の制御部110は、確認ボタン116eが操作されることにより、表示部118を
図5中のセッティング画面に戻す。
【0088】
次に、管理者は、試運転ボタン116cを操作する。これにより、
図8に示すように、携帯情報端末100の表示部118には、使用用ラベル160を読み込む画面が表示される。なお、セッティング画面において、試運転をせずに、終了ボタン116dが操作された場合には、
図8に示すように、試運転を促す画面が表示部118に表示されてもよい。
【0089】
そして、管理者は、取得部124から使用用ラベル160を読み込む。携帯情報端末100の記憶部112には、使用用ラベル160を取得したときに、無線通信部114から自動で第2識別情報を送信させるプログラム200が記憶されている。従って、携帯情報端末100は、使用用ラベル160を取得したときに、使用用ラベル160に格納された第2識別情報を有する接続要求信号を送信する。
【0090】
トイレ装置20の制御部40は、携帯情報端末100から送信された接続要求信号の第2識別情報と、記憶部42に記憶された第2識別情報と、を比較する。そして、制御部40は、両方の識別情報が一致した場合には、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続を確立させる無線接続工程を実行する。
【0091】
なお、制御部40は、第2識別情報の比較に加えて、第1識別情報の比較を行って、無線接続確立の有無を判定してもよい。具体的には、例えば、携帯情報端末100から送信された接続要求信号の第2識別情報と、記憶部42に記憶された第2識別情報と、を比較し、両方の識別情報が一致した場合に、携帯情報端末100と制御部40とは通信を行う。その際に、制御部40は、第1識別情報を携帯情報端末100へ送信させる。携帯情報端末100は、制御部40から受信した第1識別情報を制御部40へ送信させる。制御部40は、携帯情報端末100から受信した第1識別情報が、記憶部42に記憶されている第1識別情報と一致するか否かを判定する。そして、制御部40は、第1識別情報が一致する場合に、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続を確立させる。この場合において、第1識別情報の比較は、携帯情報端末100が行うように構成してもよい。
【0092】
制御部40は、無線接続が確立した場合には接続許可信号を第2無線通信部62から送信させる。接続許可信号は、記憶部42に記憶された表示設定に関する情報を含んでいる。
図8に示すように、携帯情報端末100の制御部110は、接続許可信号を受信すると、表示設定に関する情報に基づいた操作ボタンの表示(操作画面)を表示部118に表示させる。接続要求信号は、トイレ装置20の第2無線通信部62から送信してもよい。その場合は、例えばトイレ装置20から接続要求信号は常時送信され、携帯情報端末100が使用用ラベル160を取得したときに、携帯情報端末100が取得した第2識別情報と、記憶部42に記憶された第2識別情報と、を比較する。
【0093】
この例では、表示部118には、流すボタン116gの他におしり洗浄ボタン116h、ビデ洗浄ボタン116i、擬音発生ボタン116jなどが表示されている。なお、上述した表示設定において、流すボタン116gの表示「なし」に設定した場合には、接続許可信号に流すボタン116gの表示「なし」の信号が含まれる。このような場合には、表示部118には、流すボタン116gが表示されないことになる。
【0094】
そして、管理者は、例えばおしり洗浄ボタン116hを操作する。携帯情報端末100の制御部110は、おしり洗浄の指令信号を第2無線通信部62に向けて送信する。トイレ装置20の制御部40は、おしり洗浄の指令信号を受信すると、ノズル駆動装置75を作動させて、ノズル30をボウル部12内に進出させる。
【0095】
これにより、管理者は、使用用ラベル160と第2無線通信部62との組み合わせが良好になされたことを確認できる。管理者は、切断ボタン116kを操作することにより、第2無線通信部62との無線接続を切断する。最後に、管理者は、使用用ラベル160をトイレ室TRの壁面などに取り付けて、初期設定完了となる。なお、初期設定は、管理者ではなく、施工者やメンテナンス業者が行ってもよい。
【0096】
次に、使用者が自分の携帯情報端末100によりトイレ装置20の機能部を作動させる場合について説明する。
図9は、トイレ室に入室した使用者が携帯情報端末でトイレ装置を操作する場合の説明図である。
【0097】
まず、トイレ室TRに入室した使用者は、記憶部112に記憶された遠隔操作のプログラム200(アプリケーション)を起動させる。その後、
図9に示すように、アプリケーション内で取得部124により使用用ラベル160を読み込む。または、トイレ室TRに入室した使用者は、
図9に示すように、取得部124により使用用ラベル160を読み込む。これにより、記憶部112に記憶された遠隔操作のプログラム200(アプリケーション)が起動される。なお、使用者の携帯情報端末100にアプリケーションがインストールされていない場合には、携帯情報端末100により使用用ラベル160を読み込んだときに、インターネット網を介してアプリケーションの取得(ダウンロード)工程に移行してもよい。
【0098】
アプリケーションのプログラム200は、使用用ラベル160を取得したときに、無線通信部114から自動で第2識別情報および自己の機器識別情報を送信させる制御処理を有している。従って、携帯情報端末100は、使用用ラベル160を取得したときに、使用用ラベル160に格納された第2識別情報を有する接続要求信号を送信する。すなわち、携帯情報端末100にインストールされているプログラム200は、使用用ラベル160を読み込んだときに、第2識別情報を有する接続要求信号を送信して無線接続を要求する接続要求工程を実行する。
【0099】
トイレ装置20の制御部40は、携帯情報端末100から送信された接続要求信号の第2識別情報と、記憶部42に記憶された第2識別情報と、を比較する。そして、制御部40は、両方の識別情報が一致した場合には、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続を確立させる。
【0100】
なお、制御部40は、第2識別情報の比較に加えて、第1識別情報の比較を行って、無線接続確立の有無を判定してもよい。具体的には、例えば、携帯情報端末100から送信された接続要求信号の第2識別情報と、記憶部42に記憶された第2識別情報と、を比較し、両方の識別情報が一致した場合に、携帯情報端末100と制御部40は通信を行う。その際に、制御部40は、第1識別情報を携帯情報端末100へ送信させる。携帯情報端末100は、制御部40から受信した第1識別情報を制御部40へ送信させる。制御部40は、携帯情報端末100から受信した第1識別情報が、記憶部42に記憶されている第1識別情報と一致するか否かを判定する。そして、制御部40は、第1識別情報が一致する場合に、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続を確立させる。この場合において、第1識別情報の比較は、携帯情報端末100が行うように構成してもよい。
【0101】
制御部40は、無線接続が確立した場合には接続許可信号を第2無線通信部62から送信させる。接続許可信号は、記憶部42に記憶された表示設定に関する情報を含んでいる。
図9に示すように、携帯情報端末100の制御部110は、接続許可信号を受信すると、表示設定に関する情報に基づいた操作ボタンの表示を表示部118に表示させる。すなわち、携帯情報端末100にインストールされているプログラム200は、第2無線通信部62から送信された接続許可信号を受信したときに、トイレ装置20の機能部の操作ボタンを表示部118に表示させる使用工程を実行させる。
【0102】
携帯情報端末100の制御部110は、例えば流すボタン116gが操作された場合には、便器洗浄の指令信号を送信する。制御部40は、便器洗浄の指令信号に基づいて、便器洗浄装置79を作動させて便器10の洗浄を行う。このように、使用者は、表示部118に表示された各種の操作ボタンを操作することにより、自分の携帯情報端末100によりトイレ装置20の各種の機能部を作動させることができる。
【0103】
使用者がトイレ装置20の使用を終了させる場合には、切断ボタン116kを操作する。これにより、使用者の携帯情報端末100と、第2無線通信部62との無線接続が解除(無線通信が切断)される。この場合、無線接続が解除された場合には、携帯情報端末100に通信切断がなされたことが報知(表示)されてもよい。
【0104】
なお、携帯情報端末100と第2無線通信部62との間の無線接続の解除は、無線接続が確立されてから所定時間の経過でなされてもよい。この場合、所定時間の経過は、携帯情報端末100でタイマ計測されてもよいし、トイレ装置20でタイマ計測されてもよい。また、携帯情報端末100の歩数計や携帯情報端末100と第2無線通信部62との間の電波強度を利用して、使用者がトイレ室TRから所定の距離だけ離れたら無線接続の解除がなされてもよい。これにより、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続が長時間継続してしまうことを抑制できる。従って、例えばパブリックトイレ1などにおいて、不特定多数の使用者が自分の携帯情報端末100を用いてトイレシステム5を利用できる。
【0105】
次に、トイレ装置20の制御部40が実行するセッティングモードと、携帯情報端末使用モードとの制御処理について説明する。
図10は、トイレ装置の制御部が実行するセッティングモードと携帯情報端末使用モードとの制御を示す流れ図である。
図10に示す制御処理は、記憶部42にあらかじめ記憶されている。
図10に示す制御処理は、トイレ装置20の電源が投入されてから所定の周期で繰り返し実行される。
図10では、各ステップを「S」で示している。
【0106】
図10中のS1~S3は、制御部40が使用用ラベル160と第2無線通信部62とを紐付けるセッティングモードとなっている。
図10中のS4、S5は、使用用ラベル160と第2無線通信部62とが紐付けられた後に、使用者の携帯情報端末100と第2無線通信部62とを無線接続させる携帯情報端末使用モードとなっている。
【0107】
まず、S1では、第2識別情報の書き込み信号を受信したか否かを判定する。すなわち、制御部40は、携帯情報端末100が設定用ラベル150を読み込んだ後に、使用用ラベル160を読み込んで、第2識別情報の書き込み信号が送信されたか否かを判定する。そして、S1で「YES」、すなわち第2識別情報の書き込み信号を受信したと判定された場合には、S2に進む。一方、S1で「NO」、すなわち第2識別情報の書き込み信号を受信していないと判定された場合には、S4に進む。
【0108】
S2では、第2識別情報を書き込む。すなわち、制御部40は、受信した第2識別情報を記憶部42に書き込む(上書きする)。これにより、第2無線通信部62の識別情報は、第1識別情報に加えて第2識別情報となる。すなわち、制御部40は、第2識別情報の書き込み信号を受信した場合に、第2識別情報を記憶させるセッティングモードを有する。
【0109】
次のS3では、第1識別情報と第2識別情報とを出力する。すなわち、制御部40は、第2無線通信部62から第1識別情報と第2識別情報との両方の識別情報を出力させる。これにより、第2識別情報を第2無線通信部62に設定するセッティングモードが終了する。
【0110】
S4、S5は、管理者が試運転する場合や、使用者が自分の携帯情報端末100を使用する場合となっている。使用者によるものである場合には、S1で「NO」でS4に移行することになる。一方、管理者による試運転である場合には、S3からS4に移行することになる。
【0111】
S4では、受信した接続要求信号の第2識別情報が記憶部42に記憶された第2識別情報と一致するか否かを判定する。すなわち、制御部40は、S2で記憶部42に書き込まれた第2識別情報の受信を監視する。そして、S4で「YES」、すなわち制御部40は、受信した接続要求信号の第2識別情報が記憶部42に記憶された第2識別情報と一致すると判定した場合には、S5に進む。一方、S4で「NO」、すなわち制御部40は、受信した接続要求信号の第2識別情報が記憶部42に記憶された第2識別情報と一致しないと判定した場合には、エンドとする。すなわち、制御部40は、記憶された第2識別情報を受信した場合に、第2無線通信部62と携帯情報端末100とを無線接続させる携帯情報端末使用モードを有する。
【0112】
S5では、接続許可信号を送信する。すなわち、制御部40は、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続を確立した場合に、携帯情報端末100に向けて接続許可信号を送信させて、エンドとする。接続許可信号を受信した携帯情報端末100は、表示部118に操作画面が表示される。その後、制御部40は、接続された携帯情報端末100から送信される指令信号に基づいて、トイレ装置20の機能部を作動させる。
【0113】
本実施形態によるトイレシステム5は、携帯情報端末100と通信可能な第2無線通信部62と、第2無線通信部62を制御する制御部40と、を有するトイレ装置20と、第2無線通信部62の固有の第1識別情報が格納され、携帯情報端末100で読み取り可能な設定用ラベル150と、第2無線通信部62の変更可能な第2識別情報が格納され、携帯情報端末100で読み取り可能な使用用ラベル160と、を備えている。そして、制御部40は、第1識別情報に基づいて第2無線通信部62と携帯情報端末100とが無線接続されている場合に、携帯情報端末100から送信された第2識別情報を受信したときには、第2識別情報を記憶させる。
【0114】
第2無線通信部62の第1識別情報は、固有なもの(変更不可)となっている。従って、例えば、設定用ラベル150のみで使用者の携帯情報端末100と第2無線通信部62とを無線接続させたような場合には、設定用ラベル150が破損したり、紛失したりした場合に、それに対応する設定用ラベル150を用意しなければならない。すなわち、設定用ラベル150を用意するまで、携帯情報端末100を用いてトイレ装置20の機能部を作動することができない。その結果、第2無線通信部62と設定用ラベル150との管理を適切にしなければならない。また、新たな設定用ラベル150を用意するのに時間を費やすおそれある。従って、トイレシステム5の使い勝手が悪くなるおそれがある。
【0115】
そこで、本実施形態によるトイレシステム5は、第2無線通信部62に第1識別情報に加えて、変更(上書き)可能な第2識別情報を用いている。トイレシステム5は、第1識別情報を格納する設定用ラベル150を管理者用とし、第2識別情報を格納する使用用ラベル160を使用者用としている。すなわち、使用用ラベル160は、複数の第2無線通信部62に用いることができる汎用性の高いものとなっている。これにより、例えば使用用ラベル160が破損したり、紛失したりした場合でも、新たな使用用ラベル160を用いてトイレシステム5を使用できる。
【0116】
また、本実施形態によるトイレシステム5は、第2無線通信部62に第1識別情報に加えて、変更(上書き)可能な第2識別情報を用いている。これにより、例えば使用用ラベルがいたずら目的(例えば、使用者ではないのに、使用用ラベルを用いて無線接続を行い、トイレ装置の機能部を使用者の意図とは関係なく作動させるなど。)で意図的に紛失されたとしても、新たな使用用ラベル160では、元の(紛失前の)第2識別情報とは異なる第2識別情報を用いることができるため、いたずらを抑制することができる。
【0117】
また、制御部40は、記憶された第2識別情報を受信した場合に、第2無線通信部62と、第2識別情報を送信した携帯情報端末100と、を無線接続させる。これにより、トイレシステム5は、変更可能な第2識別情報を用いて、第2無線通信部62と携帯情報端末100とを無線接続できる。従って、現在使用している使用用ラベル160が使用不可となっても、新たな使用用ラベル160を用いることにより、トイレシステム5を早急に利用できるようにすることができる。
【0118】
上述した実施形態では、トイレ装置20(第2無線通信部62)と、携帯情報端末100との無線接続の確立を、トイレ装置20の制御部40が判定した場合を例に挙げて説明した。しかし、
図11、
図12に示す変形例のように、トイレ装置20(第2無線通信部62)と、携帯情報端末100との無線接続確立の判定を、携帯情報端末100で行ってもよい。
【0119】
図11は、変形例に係る携帯情報端末の制御部が実行する第2識別情報の書き込み制御を示す流れ図である。
図12は、変形例に係る携帯情報端末の制御部が実行する使用用ラベルによる接続確立制御を示す流れ図である 。
図11、
図12に示す制御処理は、携帯情報端末100の記憶部112にあらかじめ記憶されている。
図11、
図12に示す制御処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図11、
図12では、各ステップを「S」で示している。
【0120】
まず、管理者が使用用ラベル160(第2識別情報)をトイレ装置20(第2無線通信部62)に紐付ける場合について、
図11を参照して説明する。
【0121】
管理者は、使用用ラベル160を用意して、トイレ室TRに入室する。そして、管理者は、記憶部112に記憶された遠隔操作のプログラム200(アプリケーション)を起動させる。アプリケーション内で取得部124により設定用ラベル150を読み込んだ場合に、記憶部112に記憶された遠隔操作のプログラム200(アプリケーション)が起動されてもよい。なお、携帯情報端末100にアプリケーションがインストールされていない場合には、携帯情報端末100により設定用ラベル150を読み込んだときに、インターネット網を介してアプリケーションの取得(ダウンロード)工程に移行してもよい。
【0122】
S11では、第1識別情報を取得する。すなわち、管理者は、携帯情報端末100の取得部124により、第1識別情報が格納された設定用ラベル150を読み込む。携帯情報端末100の制御部110は、取得した第1識別情報を記憶部112に記憶させる。
【0123】
次のS12では、第2無線通信部62から送信されている第1識別情報を受信したか否かを判定する。第2無線通信部62は、トイレ装置20の電源が投入されてから第1識別情報を常時出力(送信)している。従って、携帯情報端末100は、第2無線通信部62の検知範囲内に入れば、第1識別情報を受信することになる。
【0124】
そして、S12で「YES」、すなわち第1識別情報を受信していると判定された場合には、S13に進む。一方、S12で「NO」、すなわち第1識別情報を受信していないと判定された場合には、エンドとなる。
【0125】
次のS13では、取得した第1識別情報が受信した第1識別情報と一致するか否かを判定する。すなわち、制御部110は、記憶部112に記憶されている第1識別情報と、受信した第1識別情報とを比較する。
【0126】
そして、S13で「YES」、すなわち取得した第1識別情報が受信した第1識別情報と一致すると判定された場合には、S14に進む。一方、S13で「NO」、すなわち取得した第1識別情報が受信した第1識別情報と一致しない場合には、エンドとなる。第1識別情報が一致しない場合は、例えば他のトイレ室TRに設置された第2無線通信部62の第1識別情報を受信した場合などである。なお、S12、S13において、携帯情報端末100は、例えば設定用ラベル150を読み込んでから所定時間の間で第1識別情報の受信を監視している。
【0127】
S14では、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続が確立される。すなわち、制御部110は、受信した第1識別情報と、記憶部112に記憶された第1識別情報とが一致している場合に、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続を確立させる。
【0128】
制御部110は、第2無線通信部62との無線接続が確立した場合にはセッティング画面(
図5参照)を表示部118に表示させる。すなわち、携帯情報端末100にインストールされたプログラム200は、携帯情報端末100に、第2無線通信部62の固有の第1識別情報が格納された設定用ラベル150を読み込んだときに、トイレ装置20の初期設定を行う初期設定工程を実行させる。
【0129】
制御部110は、初期設定工程(セッティング画面)で、組み合わせ設定ボタン116aが選択されると、使用用ラベル160を読み込む画面を表示部118に表示させる。S15では、第2識別情報を取得する。すなわち、管理者は、携帯情報端末100の取得部124により、第2識別情報が格納された使用用ラベル160を読み込む。携帯情報端末100の制御部110は、取得した第2識別情報を記憶部112に記憶させる。
【0130】
次のS16では、第2識別情報の書き込み信号を送信する。携帯情報端末100の記憶部112には、使用用ラベル160を取得したときに、無線通信部114から自動で第2識別情報の書き込み信号を送信させるプログラム200が記憶されている。従って、携帯情報端末100は、使用用ラベル160を取得したときに、使用用ラベル160に格納された第2識別情報を送信する。
【0131】
すなわち、携帯情報端末100にインストールされているプログラム200は、初期設定工程中に第2無線通信部62の変更可能な第2識別情報が格納された使用用ラベル160を読み込んだときに、第2識別情報の書き込み信号を送信する組み合わせ工程を実行する。
【0132】
なお、第2識別情報の書き込み信号は、自動的に送信される場合に限らず、管理者の操作に基づいて送信されてもよい。制御部110は、第2識別情報の書き込み信号を送信すると、表示部118をセッティング画面に戻して、エンドとなる。
【0133】
トイレ装置20の制御部40は、受信した第2識別情報を記憶部42に記憶させる。なお、記憶部42に異なる第2識別情報が記憶されている場合には、新たな第2識別情報に書き換え(上書き)がなされる。これにより、使用用ラベル160と第2無線通信部62との組み合わせ(紐付け)がなされる。第2無線通信部62は、第2識別情報が記憶されると、第1識別情報と第2識別情報との両方が自己の識別情報として設定されるようになる。そして、第2無線通信部62は、第1識別情報と、第2識別情報とを常時出力する。
【0134】
制御部40は、記憶部42に第2識別情報を記憶させると、第2無線通信部62に組み合わせ完了信号を送信させてもよい。携帯情報端末100の制御部110は、組み合わせ完了信号を受信すると、例えば「トイレ装置と使用用IDとの組み合わせ設定完了」などを表示部118に表示させてもよい。そして、携帯情報端末100の制御部110は、確認ボタン116eが操作されることにより、表示部118をセッティング画面に戻してもよい。
【0135】
次に、使用者が自分の携帯情報端末100によりトイレ装置20の機能部を作動させる場合について、
図12を参照して説明する。なお、管理者による試運転についても同様の制御処理がなされる。
【0136】
まず、トイレ室TRに入室した使用者は、記憶部112に記憶された遠隔操作のプログラム200(アプリケーション)を起動させる。または、アプリケーション内で取得部124により使用用ラベル160を読み込むことにより、記憶部112に記憶された遠隔操作のプログラム200(アプリケーション)が起動されてもよい。なお、使用者の携帯情報端末100にアプリケーションがインストールされていない場合には、携帯情報端末100により使用用ラベル160を読み込んだときに、インターネット網を介してアプリケーションの取得(ダウンロード)工程に移行してもよい。
【0137】
S21では、第2識別情報を取得する。すなわち、使用者は、トイレ室TRの壁面などに取り付けられている使用用ラベル160を携帯情報端末100の取得部124により読み込む。携帯情報端末100の制御部110は、取得した第2識別情報を記憶部112に記憶させる。
【0138】
S22では、第2無線通信部62から送信(出力)されている第2識別情報を受信したか否かを判定する。第2無線通信部62は、管理者により第2識別情報がトイレ装置20(第2無線通信部62)に紐付けられた場合に、第1識別情報と第2識別情報とを常時出力(送信)している。従って、携帯情報端末100は、第2無線通信部62の検知範囲内に入れば、第2識別情報を受信することになる。
【0139】
そして、S22で「YES」、すなわち第2識別情報を受信していると判定された場合には、S23に進む。一方、S22で「NO」、すなわち第2識別情報を受信していないと判定された場合には、エンドとなる。
【0140】
次のS23では、取得した第2識別情報が受信した第2識別情報と一致するか否かを判定する。すなわち、制御部110は、記憶部112に記憶されている第2識別情報と、受信した第2識別情報とを比較する。
【0141】
そして、S23で「YES」、すなわち取得した第2識別情報が受信した第2識別情報と一致すると判定された場合には、S24に進む。一方、S23で「NO」、すなわち取得した第2識別情報が受信した第2識別情報と一致しない場合には、エンドとなる。第2識別情報が一致しない場合は、例えば他のトイレ室TRに設置された第2無線通信部62の第2識別情報を受信した場合やトイレ室TRに紐付けられていない第2識別情報を受信した場合などである。なお、S22、S23において、携帯情報端末100は、例えば使用用ラベル160を読み込んでから所定時間の間で第2識別情報の受信を監視している。
【0142】
S24では、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続が確立される。すなわち、制御部110は、第2無線通信部62の変更可能な第2識別情報を格納した使用用ラベル160を読み込んだときに、第2無線通信部62との接続を確立するための接続確立工程を実行する。具体的には、制御部110は、受信した第2識別情報と、記憶部112に記憶された第2識別情報とが一致している場合に、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続を確立させる。
【0143】
なお、制御部110は、第2識別情報の比較に加えて、第1識別情報の比較を行って、無線接続確立の有無を判定してもよい。具体的には、例えば、受信した第2識別情報と、記憶部112に記憶された第2識別情報とが一致している場合に、携帯情報端末100と制御部40とは通信を行う。その際に、制御部40は、携帯情報端末100に第1識別情報と、第1識別情報を暗号化した情報と、を送信させる。制御部110は、制御部40から受信した第1識別情報をもとにして、それを制御部40と同様に暗号化する。そして、制御部110は、その暗号化した情報が、制御部40から受信した第1識別情報を暗号化した情報と一致するか否かを判定する。そして、制御部110は、第1識別情報が一致する場合、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線接続を確立させる。この場合において、第1識別情報の比較は、制御部40が行うように構成してもよい。
【0144】
制御部110は、第2無線通信部62との無線接続が確立した場合にはトイレ装置20の機能部を作動させるための操作ボタン(
図9参照)を表示部118に表示させる。すなわち、携帯情報端末100にインストールされているプログラム200は、第2無線通信部62との無線接続が確立した場合にはトイレ装置20の機能部の操作ボタンを表示部118に表示させる使用工程を実行させる。
【0145】
なお、表示部118に表示される操作ボタンは、管理者が初期工程で表示設定により設定した態様で表示される。従って、制御部110は、第2無線通信部62から送信された表示設定の指令信号に基づいて、表示部118に操作ボタンを表示させる。
【0146】
この場合、携帯情報端末100は、第2無線通信部62との無線接続を確立される間(S23の間)に、第2無線通信部62から表示設定に関する情報を有する指令信号を受信していてもよい。また、携帯情報端末100と第2無線通信部62との無線通信接続が確立したことにより、第2無線通信部62から表示設定に関する情報を有する指令信号が送信されて、その指令信号を携帯情報端末100が受信してもよい。
【0147】
これにより、使用者は、トイレ装置20の各種の機能部を自分の携帯情報端末100で操作できるようになる。例えば、流すボタン116gが操作された場合には、携帯情報端末100から便器洗浄の指令信号が送信される。制御部40は、便器洗浄の指令信号に基づいて、便器洗浄装置79を作動させて便器10の洗浄を行う。
【0148】
上述した実施形態では、管理者が設定用ラベル150により第2無線通信部62と通信接続して、初期設定を行った場合を例に挙げて説明した。しかし、本実施形態はこれに限らず、例えば管理者の所有する携帯情報端末を有線でトイレ装置に接続して、初期設定を行ってもよい。また、トイレ室TRから離れた場所(例えば、管理室など)からインターネット網を介して、初期設定を行ってもよい。これらのような場合には、第1識別情報を格納した設定用ラベル150は、不要となる。
【0149】
また、上述した実施形態では、第2識別情報の書き込みは、設定用ラベル150を読み取ることにより行った場合を例に挙げて説明した。しかし、本実施形態はこれに限らず、例えば、管理者の所有する携帯情報端末からの入力操作により行ってもよい。
【0150】
また、第2識別情報は、特定の指令情報を含んでいてもよい。例えば、第2識別情報に、トイレ装置20の機能部の作動禁止の指令情報や、特定の第2識別情報でしか上書きできないような上書き禁止の指令情報などを含んでいてもよい。これにより、管理者は、例えばトイレシステム5の利用を一時的に禁止させることができる。そして、特定の管理者のみがトイレシステム5を復帰させることができる。
【0151】
また、例えば第2識別情報に、高齢者用の操作画面に遷移させる情報を含ませていてもよい。これにより、例えば使用者は、自分の携帯情報端末で操作画面の選択を行うことができる。また、第1識別情報または第2識別情報は、暗号化されたものを用いてもよい。
【0152】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
携帯情報端末と通信可能な無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部と、を備え、
前記無線通信部の固有の第1識別情報と、変更可能な第2識別情報と、を有し、
前記制御部は、前記携帯情報端末から送信された第2識別情報の書き込み信号を受信した場合に、前記第2識別情報を記憶させることを特徴とするトイレ装置。
(構成2)
携帯情報端末と通信可能であり、固有の第1識別情報と変更可能な第2識別情報とを有する無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部と、を有するトイレ装置と、
前記第2識別情報が格納され、前記携帯情報端末で読み取り可能な使用用ラベルと、
を備え、
前記制御部は、
前記第1識別情報に基づいて前記無線通信部と前記携帯情報端末とが通信接続されている場合に、前記携帯情報端末から送信された前記第2識別情報を受信したときには、前記第2識別情報を記憶させることを特徴とするトイレシステム。
(構成3)
前記携帯情報端末で読み取り可能な設定用ラベルをさらに備え、
前記設定用ラベルには、前記第1識別情報が格納されていることを特徴とする構成2に記載のトイレシステム。
(構成4)
前記制御部は、記憶された前記第2識別情報を有する接続要求信号を受信した場合に、前記無線通信部と、前記接続要求信号を送信した前記携帯情報端末と、を接続させることを特徴とする構成2または3に記載のトイレシステム。
(構成5)
前記トイレ装置を使用する使用者の携帯情報端末は、
前記使用用ラベルを読み込んだときに、前記使用用ラベルに格納された前記第2識別情報を記憶し、
前記無線通信部から送信されている前記第2識別情報が、前記携帯情報端末に記憶された第2識別情報と一致する場合には、前記無線通信部と接続させることを特徴とする構成2または3に記載のトイレシステム。
(構成6)
トイレ装置の無線通信部と通信可能な携帯情報端末にインストール可能に構成されるプログラムであって、
前記携帯情報端末に、
前記無線通信部の固有の第1識別情報が格納された設定用ラベルを読み込んだときに、前記トイレ装置の初期設定を行う初期設定工程を実行させることを特徴とするプログラム。
(構成7)
前記携帯情報端末に、
前記初期設定工程中に前記無線通信部の変更可能な第2識別情報が格納された使用用ラベルを読み込んだときに、前記第2識別情報の書き込み信号を送信する組み合わせ工程をさらに実行させることを特徴とする構成6に記載のプログラム。
(構成8)
トイレ装置の無線通信部と通信可能な携帯情報端末にインストール可能に構成されるプログラムであって、
前記携帯情報端末に、
前記無線通信部の変更可能な第2識別情報を格納した使用用ラベルを読み込んだときに、前記無線通信部との接続を確立するための接続確立工程と、
前記無線通信部との接続が確立した場合に、前記トイレ装置の機能部の操作ボタンを表示部に表示させる使用工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【0153】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置、トイレシステム、およびプログラムなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0154】
1 パブリックトイレ
2 手洗場
3 手乾燥装置
5 トイレシステム
10 便器
12 ボウル部
20 トイレ装置
22 本体部
23 ケーシング
24 便座
26 便蓋
28 リモコン
30 ノズル
40 制御部
42 記憶部
51 人体検知センサ
53 着座検知センサ
61 第1無線通信部
62 第2無線通信部(無線通信部)
70 便蓋開閉装置
71 便座開閉装置
72 便座ヒータ
73 電磁弁
74 温水ヒータ
75 ノズル駆動装置
76 脱臭装置
77 室内暖房装置
78 照明装置
79 便器洗浄装置
80 温風送風機
100 携帯情報端末
110 制御部
112 記憶部
114 無線通信部
116 操作部
116a 組み合わせ設定ボタン
116b 表示設定ボタン
116c 試運転ボタン
116d 終了ボタン
116e 確認ボタン
116f 送信ボタン
116g 流すボタン
116h おしり洗浄ボタン
116i ビデ洗浄ボタン
116j 擬音発生ボタン
116k 切断ボタン
118 表示部
120 スピーカ
122 マイクロフォン
124 取得部
150 設定用ラベル
160 使用用ラベル
200 プログラム
TR トイレ室