(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】くさび緊結式仮設足場用支柱構成部材
(51)【国際特許分類】
E04G 7/32 20060101AFI20250305BHJP
【FI】
E04G7/32 A
E04G7/32 B
(21)【出願番号】P 2024157441
(22)【出願日】2024-09-11
【審査請求日】2024-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357468
【氏名又は名称】株式会社エムティオー近畿
(73)【特許権者】
【識別番号】518078728
【氏名又は名称】三栄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】宮本 隆司
(72)【発明者】
【氏名】古田 亘
(72)【発明者】
【氏名】芥川 真大
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-203375(JP,A)
【文献】特開平11-050655(JP,A)
【文献】特許第7377402(JP,B1)
【文献】実開平06-030340(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0002936(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/16,7/22,7/32-7/34
F16B 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の柱部材と、柱部材の外周面に周方向に等角度間隔で固定された平面視コ字形の4つのソケット金具からなるソケット金具群とを備えており、ソケット金具が1対のフランジ部および両フランジ部を一体に連結するウェブ部よりなるとともに両フランジ部の先端部が柱部材に固定されており、柱部材およびソケット金具によって、上方に開口しかつ仮設足場の布材に設けられたインサート金具が挿入される挿入空間が形成されているくさび緊結式仮設足場用支柱構成部材において、
各ソケット金具内における少なくとも各ソケット金具の全高の範囲内に、緊結時にインサート金具のソケット金具内に挿入された部分が圧接させられる受け部を有する第1スペーサが配置されて柱部材に固定されており、
各ソケット金具の上端よりも上方の高さ位置に、緊結時にインサート金具のソケット金具よりも上方に突出した部分が当接させられる当接部を有する第2スペーサが配置されて柱部材に固定されて
おり、
第1スペーサが、柱部材の中心を曲率中心とする水平断面円弧状でかつ柱部材の外周面に沿う板状の本体部を有しており、受け部が、第1スペーサの本体部に一体に形成されてソケット金具のウェブ部側に膨出しており、受け部におけるソケット金具のウェブ部側を向いた面の水平断面形状が柱部材の中心を曲率中心とする円弧状であり、第1スペーサの本体部および受け部の肉厚が等しくなっている、くさび緊結式仮設足場用支柱構成部材。
【請求項2】
第2スペーサが、柱部材の中心を曲率中心とする水平断面円弧状でかつ柱部材の外周面に沿う板状の本体部を有しており、当接部が、第2スペーサの本体部に一体に形成されてソケット金具のウェブ部側に膨出しており、当接部におけるソケット金具のウェブ部側を向いた面の水平断面形状が柱部材の中心を曲率中心とする円弧状であり、第2スペーサの本体部の肉厚と当接部の肉厚とが等しくなっている、請求項1記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【請求項3】
第2スペーサの当接部が、少なくとも布材の下端と上下方向の中心との間の範囲内に位置するように配置されている、請求項2記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【請求項4】
第2スペーサが第1スペーサと一体に形成されており、第1スペーサの本体部と第2スペーサの本体部、および第1スペーサの受け部と第2スペーサの当接部がそれぞれ一体化されている、請求項2記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【請求項5】
第2スペーサが第1スペーサと別個に形成されている、請求項2記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【請求項6】
円筒状の柱部材と、柱部材の外周面に周方向に等角度間隔で固定された平面視コ字形の4つのソケット金具からなるソケット金具群とを備えており、ソケット金具が1対のフランジ部および両フランジ部を一体に連結するウェブ部よりなるとともに両フランジ部の先端部が柱部材に固定されており、柱部材およびソケット金具によって、上方に開口しかつ仮設足場の布材に設けられたインサート金具が挿入される挿入空間が形成されているくさび緊結式仮設足場用支柱構成部材において、
各ソケット金具内における少なくとも各ソケット金具の全高の範囲内に、緊結時にインサート金具のソケット金具内に挿入された部分が圧接させられる受け部を有する第1スペーサが配置されて柱部材に固定されており、
各ソケット金具の上端よりも上方の高さ位置に、緊結時にインサート金具のソケット金具よりも上方に突出した部分が当接させられる当接部を有する第2スペーサが配置されて柱部材に固定されており、
第1スペーサが、ソケット金具よりも短くかつ中心が柱部材の中心と一致している円筒状であり、第1スペーサがソケット金具の高さ方向の範囲内に位置するように柱部材に嵌め被せられて柱部材に固定されており、第1スペーサの外周面の一部分に受け部が設けられており、第2スペーサが、中心が柱部材の中心と一致している円筒状であって第1スペーサとは別個に形成されており、第2スペーサが柱部材に嵌め被せられて柱部材に固定されており、第2スペーサの外周面の一部分に当接部が設けられている、くさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【請求項7】
各ソケット金具群が、柱部材の1つの直径上に位置する2つの第1ソケット金具と、柱部材の前記1つの直径と直交する他の1つの直径上に位置する2つの第2ソケット金具とからなり、2つの第1ソケット金具は同一高さ位置にあり、2つの第2ソケット金具は同一高さ位置にあるとともに、第1ソケット金具よりも上方の高さ位置にあり、第1ソケット金具の高さ方向の範囲内に位置する第1スペーサの上方に配置された第2スペーサが、第2ソケット金具の高さ方向の範囲内に位置する第1スペーサを兼ねており、当該第2スペーサの外周面に、緊結時にインサート金具の第2ソケット金具内に挿入された部分が圧接させられる受け部、および緊結時にインサート金具の第1ソケット金具よりも上方に突出した部分が当接させられる当接部が設けられている、請求項6記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の支柱と、両端部が隣り合う支柱に着脱自在に取り付けられる布材とを備えているくさび緊結式仮設足場において、支柱に用いられる支柱構成部材に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、
図1、
図2、
図4~
図11の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
上述したくさび緊結式仮設足場の支柱は、円筒状の柱部材と、柱部材の外周面に周方向に等角度間隔で固定された平面視コ字形の4つのソケット金具からなるソケット金具群とを備えた支柱構成部材を、長手方向に複数連結して用いること、または単独で用いることにより構成されている。ソケット金具は1対のフランジ部および両フランジ部を一体に連結するウェブ部とよりなるとともに両フランジ部の先端部が柱部材に固定されており、柱部材およびソケット金具によって、上方に開口しかつ仮設足場の布材に設けられたインサート金具が挿入される挿入空間が形成されている。くさび緊結式仮設足場に用いられる布材の両端部にはインサート金具が設けられており、当該インサート金具がソケット金具の挿入空間内に上方から挿入されるとともに、インサート金具が柱部材の外周面とソケット金具のウェブ部の柱部材側を向いた面とに圧接してくさび作用により緊結状態で保持されることにより布材が支柱に固定されるようになっている。
【0004】
ところで、作業者による運搬の際の負担を軽減する目的で、上記支柱構成部材の軽量化が求められており、支柱構成部材の直径を小さくする場合がある。しかしながら、支柱構成部材の外径を小さくした場合、通常の大きさの外径を有する支柱構成部材に合わせて作られた布材の両端部に設けられたインサート金具を、ソケット金具の挿入空間内に挿入して緊結状態に保持することができないという問題があった。
【0005】
上述した問題を解決するために、本出願人は、先に、特許文献1記載のくさび緊結式仮設足場の支柱構成部材を提案した。
【0006】
特許文献1に記載されたくさび緊結式仮設足場の支柱構成部材は、円筒状の柱部材と、柱部材の外周面に周方向に等角度間隔で固定された平面視コ字形の4つのソケット金具からなるソケット金具群とを備えており、ソケット金具が1対のフランジ部および両フランジ部を一体に連結するウェブ部よりなるとともに両フランジ部の先端部が柱部材に固定されており、柱部材およびソケット金具によって、上方に開口しかつ仮設足場の布材に設けられたインサート金具が挿入される挿入空間が形成されており、ソケット金具の両フランジ部の先端部間に、水平断面形状が柱部材の外周面に沿う円弧状であって柱部材の径方向に一定の厚みを有するスペーサが設けられている、くさび緊結式仮設足場用支柱構成部材である。
【0007】
特許文献1記載の支柱構成部材からなる支柱を備えたくさび緊結式仮設足場によれば、支柱構成部材の直径が小さくなった場合であっても、スペーサの外側面の曲率半径を、通常の大きさの外径を有する支柱構成部材の外径の1/2と等しくしておけば、通常の大きさの外径を有する支柱構成部材に合わせて作成された布材の両端部に設けられたインサート金具をソケット金具の挿入空間内に挿入し、くさび作用により緊結状態に保持することができる。したがって、支柱構成部材の軽量化を図ることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の支柱構成部材からなる支柱を備えたくさび緊結式仮設足場の場合、布材のインサート金具のソケット金具よりも上方に突出した部分と柱部材との間に若干の隙間が存在するので、ゆれや振動が生じることにより支柱に水平方向の力が連続的に加わった場合、当該水平方向の力が直接には布材に伝わりにくくなって、主にソケット金具を介してインサート金具のみに伝わることになる。その結果、インサート金具に上方への力が作用するおそれがある。
【0010】
この発明の目的は、上記問題を解決し、通常の大きさの外径を有する支柱構成部材に合わせて作られた布材の両端部に設けられたインサート金具を緊結状態で保持することを可能にした上で、ふれや振動が生じることにより支柱に連続的に加わった水平方向の力を直接布材に伝えることを可能にした、くさび緊結式仮設足場用支柱構成部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0012】
1)円筒状の柱部材と、柱部材の外周面に周方向に等角度間隔で固定された平面視コ字形の4つのソケット金具からなるソケット金具群とを備えており、ソケット金具が1対のフランジ部および両フランジ部を一体に連結するウェブ部よりなるとともに両フランジ部の先端部が柱部材に固定されており、柱部材およびソケット金具によって、上方に開口しかつ仮設足場の布材に設けられたインサート金具が挿入される挿入空間が形成されているくさび緊結式仮設足場用支柱構成部材において、
各ソケット金具内における少なくとも各ソケット金具の全高の範囲内に、緊結時にインサート金具のソケット金具内に挿入された部分が圧接させられる受け部を有する第1スペーサが配置されて柱部材に固定されており、
各ソケット金具の上端よりも上方の高さ位置に、緊結時にインサート金具のソケット金具よりも上方に突出した部分が当接させられる当接部を有する第2スペーサが配置されて柱部材に固定されており、
第1スペーサが、柱部材の中心を曲率中心とする水平断面円弧状でかつ柱部材の外周面に沿う板状の本体部を有しており、受け部が、第1スペーサの本体部に一体に形成されてソケット金具のウェブ部側に膨出しており、受け部におけるソケット金具のウェブ部側を向いた面の水平断面形状が柱部材の中心を曲率中心とする円弧状であり、第1スペーサの本体部および受け部の肉厚が等しくなっている、くさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【0013】
2)第2スペーサが、柱部材の中心を曲率中心とする水平断面円弧状でかつ柱部材の外周面に沿う板状の本体部を有しており、当接部が、第2スペーサの本体部に一体に形成されてソケット金具のウェブ部側に膨出しており、当接部におけるソケット金具のウェブ部側を向いた面の水平断面形状が柱部材の中心を曲率中心とする円弧状であり、第2スペーサの本体部の肉厚と当接部の肉厚とが等しくなっている、上記1)記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【0014】
3)第2スペーサの当接部が、少なくとも布材の下端と上下方向の中心との間の範囲内に位置するように配置されている、上記2)記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【0015】
4)第2スペーサが第1スペーサと一体に形成されており、第1スペーサの本体部と第2スペーサの本体部、および第1スペーサの受け部と第2スペーサの当接部がそれぞれ一体化されている、上記2)記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【0016】
5)第2スペーサが第1スペーサと別個に形成されている、上記2)記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【0017】
6) 円筒状の柱部材と、柱部材の外周面に周方向に等角度間隔で固定された平面視コ字形の4つのソケット金具からなるソケット金具群とを備えており、ソケット金具が1対のフランジ部および両フランジ部を一体に連結するウェブ部よりなるとともに両フランジ部の先端部が柱部材に固定されており、柱部材およびソケット金具によって、上方に開口しかつ仮設足場の布材に設けられたインサート金具が挿入される挿入空間が形成されているくさび緊結式仮設足場用支柱構成部材において、
各ソケット金具内における少なくとも各ソケット金具の全高の範囲内に、緊結時にインサート金具のソケット金具内に挿入された部分が圧接させられる受け部を有する第1スペーサが配置されて柱部材に固定されており、
各ソケット金具の上端よりも上方の高さ位置に、緊結時にインサート金具のソケット金具よりも上方に突出した部分が当接させられる当接部を有する第2スペーサが配置されて柱部材に固定されており、
第1スペーサが、ソケット金具よりも短くかつ中心が柱部材の中心と一致している円筒状であり、第1スペーサがソケット金具の高さ方向の範囲内に位置するように柱部材に嵌め被せられて柱部材に固定されており、第1スペーサの外周面の一部分に受け部が設けられており、
第2スペーサが、中心が柱部材の中心と一致している円筒状であって第1スペーサとは別個に形成されており、第2スペーサが柱部材に嵌め被せられて柱部材に固定されており、第2スペーサの外周面の一部分に当接部が設けられている、くさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【0018】
7)各ソケット金具群が、柱部材の1つの直径上に位置する2つの第1ソケット金具と、柱部材の前記1つの直径と直交する他の1つの直径上に位置する2つの第2ソケット金具とからなり、2つの第1ソケット金具は同一高さ位置にあり、2つの第2ソケット金具は同一高さ位置にあるとともに、第1ソケット金具よりも上方の高さ位置にあり、第1ソケット金具の高さ方向の範囲内に位置する第1スペーサの上方に配置された第2スペーサが、第2ソケット金具の高さ方向の範囲内に位置する第1スペーサを兼ねており、当該第2スペーサの外周面に、緊結時にインサート金具の第2ソケット金具内に挿入された部分が圧接させられる受け部、および緊結時にインサート金具の第1ソケット金具よりも上方に突出した部分が当接させられる当接部が設けられている、上記6)記載のくさび緊結式架設足場用支柱構成部材。
【発明の効果】
【0019】
上記1)~7)の支柱構成部材によれば、支柱構成部材の直径が小さくなった場合であっても、第1スペーサの受け部とソケット金具のウェブ部側を向いた面との距離を、通常の大きさの外径を有する支柱構成部材の外周面とソケット金具のウェブ部側を向いた面との距離と等しくしておけば、通常の大きさの外径を有する支柱構成部材に合わせて作成された布材の両端部に設けられたインサート金具をソケット金具の挿入空間内に挿入し、くさび作用により緊結状態に保持することができる。したがって、支柱構成部材の軽量化を図ることが可能になる。
【0020】
しかも、緊結時に各ソケット金具に挿入されたインサート金具のソケット金具よりも上方に突出した部分が第2スペーサの当接部に当接させられるので、上記1)~7)の支柱構成部材からなる支柱を備えたくさび緊結式仮設足場において、ゆれや振動が生じることにより支柱に水平方向の力が連続的に加わった場合には、支柱に加わる水平方向の力が、インサート金具におけるソケット金具よりも上方に突出した部分を介して直接布材に伝わる。したがって、インサート金具に、くさび作用による緊結力を緩めるような上向きの力が作用することを防止することが可能になる。
【0021】
また、上記1)の支柱構成部材によれば、第1スペーサの本体部および受け部の肉厚を、全体の厚みが一定で外周面全体の曲率半径が通常の大きさの外径を有する支柱構成部材の外径の1/2である特許文献1記載のスペーサに比べて軽量化を図ることが可能になる。
【0022】
上記2)の支柱構成部材によれば、第2スペーサを比較的軽量に形成することができる。
【0023】
上記3)の支柱構成部材によれば、第2スペーサの当接部が、少なくとも布材の下端と上下方向の中心との間の範囲内に位置するように配置されているので、上記3)の支柱構成部材からなる支柱を備えたくさび緊結式仮設足場において、ゆれや振動が生じることにより支柱に水平方向の力が連続的に加わった場合には、支柱に加わる水平方向の力が、インサート金具におけるソケット金具よりも上方に突出した部分を介して効率よく直接布材に伝わる。
【0024】
上記4)の支柱構成部材によれば、第1スペーサおよび第2スペーサを比較的簡単に製作することができるとともに、両スペーサの柱部材への設置作業が容易になる。
【0025】
上記7)の支柱構成部材によれば、部品点数を減らすことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明による支柱構成部材からなる支柱を備えたくさび緊結式仮設足場の一部分を示し、両端部にインサート金具を有する布材が隣り合う2つの支柱間に配置されてインサート金具が緊結状態でソケット金具に取り付けられている状態の部分正面図である。
【
図2】この発明による支柱構成部材を示す部分斜視図である。
【
図5】連結一体化された第1スペーサおよび第2スペーサを示す正面図である。
【
図6】
図1のくさび緊結式仮設足場の一部分を拡大して示し、布材の両端部のインサート金具がソケット金具内に挿入されて緊結状態になっている場合を示す垂直断面図である。
【
図7】布材の両端部のインサート金具がソケット金具内に挿入されて非緊結状態になっている場合を示す
図6相当の図である。
【
図8】この発明による支柱構成部材の第1スペーサおよび第2スペーサの第1の変形例を示す正面図である。
【
図9】この発明による支柱構成部材の第1スペーサおよび第2スペーサの第2の変形例を示す正面図である。
【
図10】この発明による支柱構成部材の第1スペーサおよび第2スペーサの第3の変形例を示す正面図である。
【
図11】
図10に示す第1スペーサおよび第2スペーサを備えた支柱構成部材を示す
図6相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
全図面を通じて同一物および同一部分には同一符号を付す。
【0029】
図1はこの発明による支柱構成部材からなる支柱を備えたくさび緊結式仮設足場を示し、
図2~
図4はこの発明による支柱構成部材を示し、
図5は連結一体化された第1スペーサおよび第2スペーサを示す。また、
図6は布材の両端部のインサート金具がソケット金具内に挿入されて緊結状態になっている場合を示し、
図7は同じく非緊結状態になっている場合を示す。
【0030】
なお、以下の説明において、
図1、
図3~
図6の左右を左右というものとする。
【0031】
図1において、くさび緊結式仮設足場(1)は、左右方向および
図1の紙面表裏方向に間隔をおいて複数立設された支柱(2)と、隣り合う支柱(2)間に配置されるとともに両端部が支柱(2)に着脱自在に取り付けられた布材(3)とを備えている。なお、
図1は左右2本の支柱(2)と両支柱(2)間に配置された1つの布材(3)のみを示す。
【0032】
支柱(2)は、この発明による支柱構成部材(10)からなる。支柱構成部材(10)は、円筒状の柱部材(11)と、柱部材(11)の外周面に周方向に等角度間隔で固定された平面視コ字形の4つのソケット金具(12A)(12B)からなり、かつ柱部材(11)の長手方向に間隔をおいて設けられた複数のソケット金具群(13)とを備えている。支柱(2)は、柱部材(11)の長手方向を上下方向に向けた状態で上下方向に複数並べられて隣り合うものどうしが相互に連結されること、または1つの支柱構成部材(10)によって形成されている。布材(3)の両端部にはインサート金具(4)が垂下状に設けられており、インサート金具(4)が支柱(2)の支柱構成部材(10)のソケット金具(12A)(12B)内に上方から挿入されて、くさび作用により緊結状態に保持されている。
【0033】
図2~
図4に示すように、支柱構成部材(10)の柱部材(11)に設けられた各ソケット金具群(13)は、柱部材(11)の1つの直径上に位置する2つの第1ソケット金具(12A)と、柱部材(11)の前記1つの直径と直交する他の1つの直径上に位置する2つの第2ソケット金具(12B)とからなり、2つの第1ソケット金具(12A)は同一高さ位置にあり、2つの第2ソケット金具(12B)は同一高さ位置にあるとともに、第1ソケット金具(12A)よりも上方の高さ位置にある。
【0034】
ソケット金具(12A)(12B)は、先端部における上下方向の中間部に切り欠き(141)が形成された1対のフランジ部(14)および両フランジ部(14)を一体に連結するウェブ部(15)よりなるとともに両フランジ部(14)の先端部が柱部材(11)に固定されている。柱部材(11)およびソケット金具(12A)(12B)によって、上方に開口しかつ仮設足場(1)の布材(3)に設けられたインサート金具(4)が挿入される挿入空間(16)が形成されている。ソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)および両フランジ部(14)のウェブ部(15)側の縁部は、それぞれ下方に向かって柱部材(11)側に傾斜している。ソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)およびウェブ部(15)に、それぞれ軽量化のための貫通穴(142)(151)が形成されている。
【0035】
各ソケット金具(12A)(12B)内に、緊結時に布材(3)のインサート金具(4)が圧接させられる受け部(171)を有する第1スペーサ(17)が配置されて柱部材(11)に固定されている。また、各ソケット金具(12A)(12B)の上端よりも上方の高さ位置に、緊結時に布材(3)のインサート金具(4)が当接させられる当接部(181)を有する第2スペーサ(18)が配置されて柱部材(11)に固定されている。
【0036】
図2~
図5に示すように、第1スペーサ(17)は、柱部材(11)の中心を曲率中心とする水平断面円弧状であるとともに柱部材(11)の径方向に一定の厚みを有し、かつソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の先端部間に配置されて柱部材(11)の外周面の一部に沿う板状の本体部(172)を備えている。本体部(172)の上端および下端から一定長さを有する部分は、それぞれ先端に向かって幅が徐々に狭くなっている。受け部(171)は、本体部(172)の幅方向の中央部に、長手方向を上下方向に向けた状態で一体に形成されてソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)側に膨出しており、受け部(171)の下端は本体部(172)の下端よりも若干上方の高さ位置にある。受け部(171)は、本体部(172)を変形させることにより一体に形成されており、本体部(172)および受け部(171)の肉厚は等しくなっている。受け部(171)のウェブ部(15)側を向いた面は柱部材(11)の中心を曲率中心とする水平断面円弧状である。なお、受け部(171)におけるソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)側を向いた面の曲率半径は、軽量化が図られる以前の通常の大きさの外径を有する支柱の外径の1/2である。
【0037】
第1スペーサ(17)の本体部(172)の両側縁部にソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の切り欠き(141)に嵌まる凸片(173)が一体に設けられている。そして、スペーサ(17)の凸片(171)がソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の切り欠き(141)に嵌まった状態で、ソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の先端部における切り欠き(141)を除いた部分およびスペーサ(17)の凸片(171)が、両者に跨がって形成された溶接金属(図示略)により柱部材(11)に接合されていることになる。
【0038】
第2スペーサ(18)は、柱部材(11)の中心を曲率中心とする水平断面円弧状であるとともに柱部材(11)の径方向に第1スペーサ(17)の本体部(172)と同一の厚みを有し、かつ柱部材(11)の外周面の一部に沿う板状の本体部(182)を備えている。本体部(182)の幅は第1スペーサ(17)の本体部(172)の幅よりも狭く、両本体部(172)(182)の幅方向の中心は一致している。当接部(181)は、本体部(182)の幅方向の中央部に、長手方向を上下方向に向けた状態で一体に形成されて布材(3)側に膨出しており、当接部(181)の上端は本体部(182)の下端よりも若干下方の高さ位置にある。当接部(181)は、本体部(182)を変形させることにより一体に形成されており、本体部(182)および当接部(181)の肉厚は等しくなっている。また、当接部(181)の幅は第1スペーサ(17)の受け部(171)の幅と等しくなっており、受け部(171)および当接部(181)の幅方向の中心は一致している。当接部(181)の布材(3)側を向いた面は柱部材(11)の中心を曲率中心とする水平断面円弧状である。
【0039】
第1スペーサ(17)の本体部(172)および受け部(171)はソケット金具(12A)(12B)の高さ方向の範囲内に位置しており、本体部(172)および受け部(171)の下端はソケット金具(12A)(12B)の下端よりも若干下方に位置している。第2スペーサ(18)の本体部(182)および当接部(181)の上端は布材(3)の上下方向の中心部よりも上方に位置している。
【0040】
第1スペーサ(17)と第2スペーサ(18)は一体化されており、1つの素材に加工を施すことにより一体に形成されている。第2スペーサ(18)の本体部(182)は第1スペーサ(17)の本体部(172)の上端の幅方向中央部に連なっており、第2スペーサ(18)の当接部(181)は第1スペーサ(17)の受け部(171)の上端に真っ直ぐに連なっている。第1スペーサ(17)の本体部(172)および受け部(171)の下端はソケット金具(12A)(12B)の下端よりも若干下方に位置し、同上端はソケット金具(12A)(12B)の上端よりも若干上方に位置している。第2スペーサ(18)の本体部(182)および当接部(181)の上端は布材(3)の上下方向の中心部よりも上方に位置している。
【0041】
図6および
図7は、
図1に示すくさび緊結式仮設足場(1)の一部分を拡大して示し、
図6はインサート金具(4)のソケット金具(12A)(12B)内での緊結時の状態を示し、
図7はインサート金具(4)のソケット金具(12A)(12B)内での非緊結時の状態を示す。
【0042】
図6に示すように、インサート金具(4)は、上下方向に一定の長さを有するくさび保持部材(5)と、上下方向に一定の長さを有しかつくさび保持部材(5)に上下動自在に保持されたくさび(6)とよりなる。以下、布材(3)の右端部に設けられたインサート金具(4)のみについて説明する。布材(3)の左端部に設けられたインサート金具(4)は右端部のインサート金具(4)と左右対称形である。
【0043】
くさび保持部材(5)は、横断面形状(水平断面形状)が左方(布材(3)の長手方向中央部側)に開口した略コ字形であって、上下方向に一定の長さを有するとともに柱部材(11)の周方向に一定の幅を有し、かつ第1スペーサ(17)の受け部(171)および第2スペーサ(18)の当接部(181)に沿う水平断面円弧状の板状ベース部(51)と、ベース部(51)の幅方向の両側縁に一体に形成されて左方に突出した1対の突出壁(52)と、ベース部(51)および両突出壁(52)の下端と一体に形成されて突出壁(52)から左方に突出した突出片(53)とを有している。ベース部(51)の上端部には、円形の貫通穴(54)が形成されている。突出壁(52)の上端部には、左方に突出した凸部(55)が設けられており、凸部(55)よりも下方の部分において、布材(3)の右端面が突出壁(52)の上部に当接させられるとともに凸部(55)が布材(3)の右端部外周面の上端に係合した状態で、布材(3)と突出壁(52)および凸部(55)とが溶接により固定されている。この状態で、第2スペーサ(18)の当接部(181)の上端は、布材(3)の上下方向の中心よりも上方に位置している。
【0044】
くさび保持部材(5)の突出壁(52)の上下方向の中間部でかつ布材(3)よりも下方の部分に、左方に突出しかつソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)の上端に係合する係合部(56)が設けられている。くさび保持部材(5)は、下端部がソケット金具(12A)(12B)よりも下方に突出するとともに、係合部(56)よりも上方の部分がソケット金具(12A)(12B)よりも上方に位置するように、ソケット金具(12A)(12B)の挿入空間(16)内に上方から挿入される。くさび保持部材(5)は、ベース部(51)が第1スペーサ(17)の受け部(171)の左側面および第2スペーサ(18)の当接部(181)の左側面に沿うとともに係合部(56)がソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)の上端に係合し、さらに突出壁(52)がソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)に非接触の状態で、ソケット金具(12A)(12B)に保持される。
【0045】
くさび(6)の長さはくさび保持部材(5)よりも長くなっており、長手方向を上下方向に向けた状態で、くさび保持部材(5)の内部に上下方向に移動可能に収容されている。くさび(6)は、下部の左側部分にソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)内面に圧接しうる第1圧接部(61)を有するとともに、第1圧接部(61)よりも下方の右側部分にくさび保持部材(5)の突出片(53)の突出端縁に圧接しうる第2圧接部(62)を有している。第1圧接部(61)は下方に向かって右側に傾斜しており、上下方向の長さはソケット金具(12A)(12B)の上下方向の長さよりも若干長くなっている。第2圧接部(62)は下方に向かって左側に傾斜しており、上下方向の長さは突出片(53)の厚みより長くなっている。くさび(6)の下端面は下方に突出するように丸みを帯びている。くさび(6)の右側面における第2圧接部(62)よりも下方の部分に、くさび(6)の下端面に連なりかつ上方に向かって右方に傾斜したガイド部(63)が設けられている。
【0046】
図7に示すように、非緊結時のくさび(6)は、下端がくさび保持部材(5)の突出片(53)に受けられるとともに上部がくさび保持部材(5)の上方に突出しており、第1圧接部(61)がソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)内面に対して非圧接状態となるとともに、第2圧接部(62)がくさび保持部材(5)の突出片(53)の突出端縁に対して非圧接状態となっている。
【0047】
くさび(6)の上部とくさび保持部材(5)の上端部との間には、くさび(6)の上部を布材(3)側に付勢することにより、非緊結状態のくさび(6)を保持する圧縮コイルばね(7)が配置されている。圧縮コイルばね(7)は、一端部がくさび保持部材(5)のベース部(51)の円形貫通穴(54)内に嵌め込まれている。圧縮コイルばね(7)は、ベース部(51)の円形貫通穴(54)よりも上方の部分に設けられた抜け止め片(57)により、くさび(6)がくさび保持部材(5)に対して上方に移動させられた際に圧縮コイルばね(7)と当接して圧縮コイルばね(7)の円形貫通穴(54)からの外れが阻止されるようになっている。
【0048】
非緊結時の状態から緊結時の状態への移行は、くさび(6)が非緊結時の状態から下方に打ち込まれ、ガイド部(63)が突出片(53)に摺接しながら下方に移動して下端部がくさび保持部材(5)の下方に突出させられることにより行われる。このとき、第1圧接部(61)がソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)内面に圧接させられるとともに、第2圧接部(62)がくさび保持部材(5)の突出片(53)の突出端縁に圧接させられる。これにより、くさび保持部材(5)のベース部(51)のソケット金具(12A)(12B)内に存在する部分が第1スペーサ(17)の受け部(171)に圧接させられ、その結果インサート金具(4)がソケット金具(12A)(12B)のウェブ部(15)とスペーサ(17)との間で突っ張って緊結状態となる。これと同時に、インサート金具(4)のくさび保持部材(5)のベース部(51)のソケット金具(12A)(12B)よりも上方に存在する部分が第2スペーサ(18)の当接部(181)に圧接させられ、支柱(2)に加わる水平方向の力がインサート金具(4)のくさび保持部材(5)を介して直接布材(3)に作用するようになっている。
【0049】
そして、この発明の支柱構成部材(10)からなる支柱(2)を備えたくさび緊結式仮設足場(1)においては、使用する支柱構成部材(10)の直径が小さくなった場合であっても、第1スペーサ(17)の受け部(171)のウェブ部(15)側を向いた面の曲率半径を、通常の大きさの外径を有する支柱構成部材の外径の1/2と等しくしておけば、通常の大きさの外径を有する支柱構成部材に合わせて作成された布材(3)の両端部に設けられたくさび保持部材(5)をソケット金具(12A)(12B)の挿入空間(16)内に挿入し、くさび作用により緊結状態に保持することができる。
【0050】
しかも、ふれや振動が生じることにより支柱(2)に水平方向の力が連続的に加わった場合には、支柱(2)に加わる水平方向の力がインサート金具(4)のくさび保持部材(5)におけるソケット金具(12A)(12B)よりも上方に突出した部分を介して直接布材(3)に伝わる。したがって、インサート金具(4)に、くさび作用による緊結力を緩めるような上向きの力が加わることを防止することが可能になる。
【0051】
図8~
図10は支柱構成部材の第1スペーサおよび/または第2スペーサの変形例を示す。
【0052】
図8において、ソケット金具(12A)(12B)内に配置される第1スペーサ(20)は、緊結時に布材(3)のインサート金具(4)が圧接させられる受け部(21)と、柱部材(11)の中心を曲率中心とする水平断面円弧状であるとともに柱部材(11)の径方向に一定の厚みを有し、かつソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の先端部間に配置されて柱部材(11)の外周面の一部に沿う板状の本体部(22)とを備えている。
【0053】
本体部(22)の上下方向の長さはソケット金具(12A)(12B)の高さよりも若干長くなっており、上端部および下端部がソケット金具(12A)(12B)の外部に位置している。本体部(22)におけるソケット金具(12A)(12B)内に位置する部分の幅は全体に一定であり、当該一定幅部分の両側縁部の上下両端にそれぞれ側方へ突出した凸片(23)が一体に形成されている。図示は省略したが、ソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の上下両端部にそれぞれ切り欠きが形成され、当該切り欠き内に凸片(23)が嵌められるようになっている。
【0054】
第1スペーサ(20)の受け部(21)は、
図2~
図5に示す第1スペーサ(17)の受け部(171)と同じ構成である。
【0055】
各ソケット金具(12A)(12B)の上端よりも上方の高さ位置に配置されて柱部材(11)に固定され、かつ緊結時に布材(3)のインサート金具(4)が当接させられる当接部(181)を有する第2スペーサ(18)は、
図2~
図5に示す第2スペーサ(18)と同じ構成であり、第1スペーサ(20)と一体化されている。第2スペーサ(18)の本体部(182)は第1スペーサ(20)の本体部(22)の上端の幅方向中央部に連なっており、第2スペーサ(18)の当接部(181)は第1スペーサ(20)の受け部(21)の上端に真っ直ぐに連なっている。
【0056】
図9において、ソケット金具(12A)(12B)内に配置されて柱部材(11)に固定され、かつ緊結時に布材(3)のインサート金具(4)が圧接させられる受け部(31)を有する第1スペーサ(30)と、各ソケット金具(12A)(12B)の上端よりも上方の高さ位置に配置されて柱部材(11)に固定され、かつ緊結時に布材(3)のインサート金具(4)が当接させられる当接部(41)を有する第2スペーサ(40)とは別個に形成されている。
第1スペーサ(30)は、柱部材(11)の中心を曲率中心とする水平断面円弧状であるとともに柱部材(11)の径方向に一定の厚みを有し、かつソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の先端部間に配置されて柱部材(11)の外周面の一部に沿う板状の本体部(32)を備えている。
【0057】
本体部(32)の上下方向の長さはソケット金具(12A)(12B)の高さよりも若干長くなっており、上端部および下端部がソケット金具(12A)(12B)の外部に位置している。本体部(32)におけるソケット金具(12A)(12B)内に位置する部分の幅は全体に一定であり、当該一定幅部分の両側縁部における上下方向の中央部に、ソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の切り欠き(141)に嵌まる凸片(33)が一体に設けられている。そして、第1スペーサ(30)の凸片(33)がソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の切り欠き(141)に嵌まるようになっている。
【0058】
第1スペーサ(30)の受け部(31)は、上端が本体部(32)の上端よりも下方に位置し、下端が本体部(32)の下端よりも上方に位置している。受け部(31)のその他の構成は
図2~
図5に示す第1スペーサ(17)の受け部(171)と同様である。
【0059】
第2スペーサ(40)は第1スペーサ(30)とは別体であり、当接部(41および当接部(41)が設けられている板状本体部(42)が、第1スペーサ(30)の当接部(31)および板状本体部(32)と別個に形成されていることを除いては、
図2~
図5に示す第2スペーサ(17)の当接部(171)および本体部(172)と同様な構成である。第2スペーサ (40)の本体部(42)および当接部(41)の上端は布材(3)の上下方向の中心部よりも上方に位置し、同じく下端は布材(3)の下端よりも下方に位置するようになっている。
【0060】
図10および
図11において、各ソケット金具(12A)(12B)の上下方向の中間部に、緊結時に布材(3)のインサート金具(4)が圧接させられる受け部(81)を有する第1スペーサ(80)が配置されて柱部材(11)に固定されている。また、各ソケット金具(12A)(12B)の上端よりも上方の高さ位置に、緊結時に布材(3)のインサート金具(4)が当接させられる当接部(91)を有する第2スペーサ(90)が配置されて柱部材(11)に固定されている。
【0061】
第1スペーサ(80)は、ソケット金具(12A)(12B)よりも短くかつ中心が柱部材(11)の中心と一致している円筒状である。第1スペーサ(80)は、各ソケット金具群(13)のソケット金具(12A)(12B)の高さ方向の範囲内に位置するように柱部材(11)に嵌め被せられるとともに、ソケット金具(12A)(12B)の両フランジ部(14)の先端部に形成された切り欠き(143)に通された状態で柱部材(11)に固定されている。第1スペーサ(80)の外周面の一部分に受け部(81)が設けられている。
【0062】
第2スペーサ(90)は、第2ソケット金具(12B)よりも短くかつ中心が柱部材(11)の中心と一致している円筒状であって、第1スペーサ(80)とは別個に形成されている。第2スペーサ(90)の外周面の一部分に当接部(91)が設けられている。
【0063】
第1ソケット金具(12A)の高さ方向の範囲内に位置する第1スペーサ(80)の上方に配置された第2スペーサ(90)は、第2ソケット金具(12B)の高さ方向の範囲内に位置しており、緊結時に第2ソケット金具(12B)内に挿入される布材(3)のインサート金具(4)が圧接させられる受け部(81)を有する第1スペーサ(80)を兼ねている。したがって、当該第2スペーサ(90)の外周面に、緊結時にインサート金具(4)の第2ソケット金具(12B)内に挿入された部分が圧接させられる受け部(81)、および緊結時にインサート金具(4)の第1ソケット金具(12A)よりも上方に突出した部分が当接させられる当接部(91)が設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0064】
この発明による支柱構成部材は、くさび緊結式仮設足場の支柱に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0065】
(1):くさび緊結式仮設足場、(2):支柱、(3):布材、(4):インサート金具、(10):支柱構成部材、(11):柱部材、(12A)(12B):ソケット金具、(13):ソケット金具群、(14):フランジ部、(15):ウェブ部、(16):挿入空間、(17):第1スペーサ、(171):受け部、(172):本体部、(18):第2スペーサ、(181):当接部、(182):本体部、(20)(30)(80):第1スペーサ、(21)(31)(81):受け部、(22)(32):本体部、
(40)(90):第2スペーサ、(41)(91):当接部。
【要約】
【課題】支柱に加わった水平方向の力を、直接布材で受けることができるくさび緊結式仮設足場用支柱構成部材を提供する。
【解決手段】くさび緊結式仮設足場用支柱構成部材10は、柱部材11と、平面視コ字形のソケット金具12A,12Bとを備えている。各ソケット金具12A,12B内における各ソケット金具12A,12Bの全高の範囲内に配置された第1スペーサ17と、各ソケット金具12A,12Bの上端よりも上方の高さ位置に配置された第2スペーサ18とを備えている。第1スペーサ17が、緊結時に布材のインサート金具が圧接させられる受け部171を有する。第2スペーサ18が、緊結時に布材のインサート金具が当接させられる当接部181を有する。
【選択図】
図2