(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】画像中継装置および画像形成装置ならびに画像形成方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/08 20060101AFI20250305BHJP
B41F 15/20 20060101ALI20250305BHJP
B41F 15/30 20060101ALI20250305BHJP
B41F 15/40 20060101ALI20250305BHJP
B41F 17/18 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
B41F15/08 309A
B41F15/20
B41F15/30
B41F15/40
B41F17/18
(21)【出願番号】P 2024229116
(22)【出願日】2024-12-25
【審査請求日】2024-12-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591282205
【氏名又は名称】島根県
(73)【特許権者】
【識別番号】596092344
【氏名又は名称】株式会社曽田鐵工
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金山 真宏
(72)【発明者】
【氏名】曽田 大輔
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特許第7220404(JP,B1)
【文献】特開2020-157668(JP,A)
【文献】特開2009-095986(JP,A)
【文献】特開2016-120658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/08
B41F 15/20
B41F 15/30
B41F 15/40
B41F 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得データに基づいて作製される画像を一時的に保持して画像形成する対象物の表面に移す画像中継装置であって、
前記画像を形成する画像形成材料よりなる形成画像の一部以上を外表面側に保持する画像保持部材と、
前記画像保持部材の外表面を前記対象物の表面に対して直接接触あるいは前記形成画像を介して接触させつつ前記形成画像の延在方向に相対移動させる相対移動機構と、
を備え、
前記画像保持部材は、循環回転可能な形状かつ変形不能な前記外表面と共に、当該外表面の循環回転方向に対して直交する回転軸を有し、
前記相対移動機構は、前記画像保持部材の外表面および前記対象物の表面の接触箇所において、前記画像保持部材の外表面を循環回転させつつ前記対象物の表面を当該循環回転方向の逆方向に相対移動させることにより、前記形成画像の表裏を反転させることなくそのまま該画像保持部材の外表面側から該対象物表面に当該形成画像を移載させて画像形成する
ことを特徴とする画像中継装置。
【請求項2】
前記画像保持部材は、前記回転軸に直交する断面形状が円形、楕円形、多角形、または異形形状に形成されて、前記外表面が前記循環回転方向に連続する連続面に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像中継装置。
【請求項3】
前記画像保持部材は、前記外表面が前記回転軸を円弧中心とする湾曲面により滑らかに連続する前記連続面に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の画像中継装置。
【請求項4】
前記画像保持部材として、前記形成画像を前記外表面に受け取る前段保持部材と、前記形成画像を前記対象物表面に受け渡して移載する後段保持部材と、を備えて構築されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像中継装置。
【請求項5】
前記画像保持部材として、前記前段保持部材と前記後段保持部材との間に配置されて前記形成画像を前記前段保持部材から受け取って前記後段保持部材に受け渡す1つ以上の中段保持部材を備えて構築されている
ことを特徴とする請求項4に記載の画像中継装置。
【請求項6】
前記画像保持部材の外表面は、前記対象物表面の凹形状湾曲面よりも小さい凸形状湾曲面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像中継装置。
【請求項7】
前記画像保持部材は、前記外表面が前記対象物表面の凹形状湾曲面よりも小さい凸形状湾曲面を有する円筒形状に形成されており、
前記相対移動機構は、前記対象物が完全または不完全の円形内周面に形成されて前記形成画像による画像形成をする前記表面を備えているのに対して、前記画像保持部材の外表面が当該対象物表面に対面するように当該画像保持部材を前記円形内周面内に挿し込んで前記循環回転をさせる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像中継装置。
【請求項8】
前記画像保持部材は、前記回転軸の延在方向の複数個所に配置される複数形状により構成されて、それぞれの前記外表面が離隔している
ことを特徴とする請求項1に記載の画像中継装置。
【請求項9】
前記画像保持部材は、前記形成画像の密着力が該形成画像の前記対象物表面との密着力よりも小さく、前記外表面に保持する当該形成画像が前記接触箇所において該対象物表面に接触したときに当該対象物表面に移載される
ことを特徴とする請求項1に記載の画像中継装置。
【請求項10】
上記の請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の画像中継装置と、
前記対象物を支持する支持装置と、
前記画像中継装置および前記支持装置の相対的な位置関係を調整する機構と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
取得データに基づいて作製される画像を一時的に保持した後に、対象物の表面に移して画像形成する画像形成方法であって、
前記画像として作製される画像形成材料よりなる形成画像の一部以上を循環回転可能な形状かつ変形不能な外表面を有する画像保持部材の前記外表面側に保持させた後に、当該画像保持部材の外表面を逆方向に相対移動させる前記対象物表面に直接接触あるいは前記形成画像を介して接触させつつ前記形成画像の延在方向に相対移動させることにより、当該形成画像の表裏を反転させることなくそのまま該画像保持部材の外表面側から該対象物表面に移載させて画像形成する
ことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材表面の任意領域に画像として密接保持される、密着前には変形自在の材料、例えば、成形したペースト材料を一時的に保持した後に画像形成対象物の表面に移すことにより画像形成する画像中継装置および画像形成装置ならびに画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
文字や模様等の画像を画像形成対象物の表面に形成する場合、例えば、その画像の形状に成形したペースト材料をその対象物表面に付着させて定着させることにより画像形成することが知られている。具体的には、スクリーン印刷により画像形成材料のペースト材料を成形して中間体表面に保持させた後に、そのペースト材料の画像(以下では、単にペースト画像あるいは画像形成材料ともいう)を画像形成対象物表面に転写して付着定着させるオフセット印刷のように、中間体を介して間接的に画像形成する間接画像形成方式が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0003】
ここで、上述のスクリーン印刷では、高精度な画像形成を実現するために、スクリーン版を平面のまま取り扱う方が簡易であり、曲面を画像形成対象とするには、中間体表面にペースト画像を形成した後に転写する方式を採用する方が有利である(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
なお、スクリーン印刷の場合、直接的に対象物表面にペースト材料を付着定着させて画像形成することも可能であるが、スクリーン版の作業スペースや取り扱い等を考慮して上述の間接方式のオフセット印刷が多用されている。
【0005】
しかし、このような転写式の間接方式(オフセット印刷)によるペースト材料の画像形成にあっては、中間体の画像形成面に成形して一時的に保持させるペースト画像の全面に押し付けられて、そのペースト画像が画像形成対象物表面に転写されている。
【0006】
このため、画像形成対象物表面のペースト画像は、中間体表面との間に挟まれて薄くされた状態になって載せ換えられて転写されることから、中間体表面から表裏を反転されて画像形成対象物表面に転写されることになって、中間体表面と画像形成対象物表面とにおける画像に差が生じてしまう。
【0007】
このことから、本願の出願人は、中間体表面に保持されるペースト画像を画像形成対象物表面にそのまま載せ換えることを実現して、その画像形成対象物表面への安定した画像形成を形成可能な画像中継装置を実現している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO2014/050560号公報
【文献】特開2016-107407号公報
【文献】特許第7220404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献3に記載の画像中継装置にあっては、保持シート(中間体表面)がペースト画像を受け取って一面側に保持しつつ対象物の表面にナイフエッジ形状の先端部を突き当てて変形させることによって、その保持シート上のペースト画像を対象物の表面にスムーズにそのまま載せ換えることを可能にして高品質な画像形成を実現している。
【0010】
しかしながら、ペースト材料よりなるペースト画像を含む、変形自在の材料よりなる画像には、高品質な画像の移載方式に拘ることなく、大きく崩すことのない程度に画像対象物表面に移載して画像形成することや、一色の画像を画像対象物表面に移載して画像形成することや、あるいは、例えば、その画像形成対象物の表面が狭い空間の内面等の場合などにも、適用したいなどの需要もある。
【0011】
また、画像形成対象物の表面に形成する画像に高品質が求められないのであれば、画像形成する構成部品を見直すことによるコスト削減も期待される。
【0012】
そこで、本発明は、簡易な構造の中間体表面に画像形成する材料を保持して対象物表面への載せ換えを実現して、安価な画像形成材料による画像形成を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する画像中継装置の発明の一態様は、取得データに基づいて作製される画像を一時的に保持して画像形成する対象物の表面に移す画像中継装置であって、前記画像を形成する画像形成材料よりなる形成画像の一部以上を外表面側に保持する画像保持部材と、前記画像保持部材の外表面を前記対象物の表面に対して直接接触あるいは前記形成画像を介して接触させつつ前記形成画像の延在方向に相対移動させる相対移動機構と、を備え、前記画像保持部材は、循環回転可能な形状かつ変形不能な前記外表面と共に、当該外表面の循環回転方向に対して直交する回転軸を有し、前記相対移動機構は、前記画像保持部材の外表面および前記対象物の表面の接触箇所において、前記画像保持部材の外表面を循環回転させつつ前記対象物の表面を当該循環回転方向の逆方向に相対移動させることにより、前記形成画像の表裏を反転させることなくそのまま該画像保持部材の外表面側から該対象物表面に当該形成画像を移載させて画像形成することを特徴とするものである。
【0014】
上記課題を解決する画像形成装置の発明の一態様は、上記の画像中継装置と、前記対象物を支持する支持装置と、前記画像中継装置および前記支持装置の相対的な位置関係を調整する機構と、を備えることを特徴とするものである。
【0015】
上記課題を解決する画像形成方法の発明の一態様は、取得データに基づいて作製される画像を一時的に保持した後に、対象物の表面に移して画像形成する画像形成方法であって、前記画像として作製される画像形成材料よりなる形成画像の一部以上を循環回転可能な形状かつ変形不能な外表面を有する画像保持部材の前記外表面側に保持させた後に、当該画像保持部材の外表面を逆方向に相対移動させる前記対象物表面に直接接触あるいは前記形成画像を介して接触させつつ前記形成画像の延在方向に相対移動させることにより、当該形成画像の表裏を反転させることなくそのまま該画像保持部材の外表面側から該対象物表面に移載させて画像形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明の一態様によれば、画像形成材料の一部以上を保持しつつ、変形することなく循環回転する画像保持部材(中間体)の外表面側に、逆方向に相対移動する対象物表面が継続的に接触される。
【0017】
このとき、その画像形成材料は、画像保持部材の外表面から逆方向(並走する方向ではない離隔方向)に移動する対象物表面に密着しつつ、表裏を反転されることなく、それぞれの表面に密着する面を維持する箇所からそのまま載せ換えられて移載される。
【0018】
したがって、画像保持部材の外表面と対象物表面との接触箇所において、それぞれの表面毎の接線方向の移動方向に連れて載せ換えられる画像形成材料を、その画像保持部材の外表面側から表裏を反転させることなく対象物表面に倣う形態で移載して画像形成することができる。
【0019】
この結果、変形する必要のない画像保持部材を用いて、その外表面に保持する画像形成材料を対象物表面に載せ換えることができ、簡易かつ安価な構造で画像形成材料を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像中継装置を画像作製装置および支持装置と共に搭載して画像形成方法を実行する画像形成装置を示す図であり、その概略全体構成を示す正面図である。
【
図3】
図3は、画像形成する対象物を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、画像中継装置による画像形成対象物表面へのペースト画像(画像形成材料)の移載を説明する図であり、(a)はその移載処理の開始時の状態を示す説明図、(b)はその移載処理の途中の状態を示す説明図、(c)はその移載処理の終了時の状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、画像中継装置の画像保持部材によるペースト画像の移載形態を説明する図であり、(a)は画像保持部材間で移載するペースト画像の変形の説明図、(b)は画像保持部材から対象物表面に移載するペースト画像の変形の説明図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態に係る画像中継装置を画像作製装置および支持装置と共に搭載して画像形成方法を実行する画像形成装置を示す図であり、その概略全体構成を示す正面図である。
【
図9】
図9は、画像中継装置による画像形成対象物表面へのペースト画像(画像形成材料)の移載処理の開始時の状態を説明する図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【
図10】
図10は、
図9に続く、移載処理の途中の状態を説明する図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【
図11】
図11は、
図10に続く、移載処理の途中の状態を説明する図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【
図12】
図12は、
図11に続く、移載処理の途中の状態を説明する図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【
図13】
図13は、
図11に続く、移載処理の途中の状態を説明する図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【
図14】
図14は、
図13に続く、移載処理の終了時の状態を説明する図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1~
図5は本発明の第1の実施形態に係る画像中継装置を搭載して画像形成方法を実行する画像形成装置を示す図である。
【0022】
図1および
図2において、画像形成装置10は、画像作製装置20と、画像中継装置40と、支持装置60と、コントローラ90と、を備えて構築されている。この画像形成装置10は、コントローラ90が各種装置20、40、60を統括制御することにより、例えば、一面側表面Ssに2本の直線溝Sdを有する平板部材Sを画像形成する対象物として(
図3を参照)、その直線溝Sdの底面Sbにペースト材料(画像形成材料)を付着させて直線状2本線のペースト画像(形成画像)P2を形成する処理を実行するように構築されている。このとき、画像形成装置10は、コントローラ90が画像形成対象の平板部材Sの画像形成面の背面側を支持装置60に吸引させるなどして吸着固定させつつ、取得する画像データに基づいて画像作製装置20の形成するペースト画像P1を後述するように画像中継装置40を介して平板部材Sに受け渡して直線溝Sdの底面Sbに形成する画像形成方法を実行する。ここで、ペースト画像を形成するペースト材料は、粘着性を有して対象物表面に付着することで画像形成可能な材料だけでなく、対象物表面に染み込むことなく多少の粘着力で付着するインク等の液体材料に代えてもよい。また、画像中継装置40の後述するペースト保持部材41やペースト中継部材51の外周面41s、51sはペースト材料を剥離可能に付着する表面あるいは液体材料の濡れ性に優れる表面などを有するのが好適である。また、その画像形成する対象物は、直線溝Sdを有する平板部材Sに限るものではなく、例えば、単なるフラットな平面など他の表面形状を有する部材等でもよいことは言うまでもない。
【0023】
画像作製装置20は、スクリーン版21と、版支持部23と、スライド機構25と、スキージ31と、スクレーパ32と、を備えて、ペースト材料よりなる2本の直線状のペースト画像P1を後述の画像中継装置40のペースト保持部材(画像保持部材)41の外周面(外表面)41sに形成する。この画像作製装置20は、所謂、汎用のスクリーン印刷機であり、スクリーンメッシュのスクリーン版21が、画像形成装置10の上部に設置されている版支持部23に支持されつつ、その版支持部23がスライド機構25のレール25rにより
図1中の左右方向にスライド自在に取り付けられている。また、画像作製装置20は、スキージ31およびスクレーパ32がそれぞれ先端部をスクリーン版21に所望の圧力で接触すると同時に、スキージ31の先端部が画像中継装置40の回転するペースト保持部材41の外周面41sに接触する状態を維持しつつスクリーン版21が
図1中の左右方向に相対移動するようになっている。
【0024】
そして、画像作製装置20は、スクリーン版21上のスキージ31およびスクレーパ32の間にペースト画像P1を形成するペースト材料が供給されるようになっており、例えば、後述の画像中継装置40のペースト保持部材41の外周面41sが
図1中反時計回り方向に回転するとともに、スクリーン版21が外周面41sとの接触箇所での接線方向に同等速度で移動(並走)することにより、そのスクリーン版21を透過するペースト材料がペースト保持部材41の外周面41sに付着して所望のペースト画像P1が形成される。
【0025】
画像中継装置40は、上述のように、ペースト画像P1を外周面41sに形成されるペースト保持部材41と、ペースト保持部材41から外周面41sのペースト画像P1を受け取って画像形成対象物の平板部材Sの直線溝Sdの底面Sbに受け渡して画像形成するペースト中継部材(画像保持部材)51と、を備えて構築されている。
【0026】
ペースト保持部材41は、画像作製装置20のスクリーン版21に密接しつつペースト画像P1を受け取るように円筒形状の外周面41sを備えて、回転軸41xを中心に回転駆動することで、画像作製装置20のスキージ31等と外周面41sを等速移動させてペースト画像P1を受け取ることができるようになっている。ここで、ペースト保持部材41は、例えば、外周面41sの周長が画像作製装置20のスキージ31の移動方向に対応するスクリーン版21の長さよりも小さめの周長となる直径を有する円筒形状に作製されて、一回のスキージ31の移動中に全周に対象物の平板部材Sに形成するペースト画像P1を形成されて保持することができるようになっている。ただし、このペースト保持部材41は、これに限らず、スクリーン版21の長さよりも大きめの周長を備えて複数回のスキージ31の移動でペースト画像P1を形成されるようにすることもできる。
【0027】
ペースト中継部材51は、ペースト保持部材41の外周面41sに密接しつつペースト画像P1を受け取るように同様に円筒形状の外周面(外表面)51sを備えて、ペースト保持部材41の回転軸41xと平行の回転軸51xを中心に回転駆動することで、ペースト保持部材41の外周面41sと一緒にその外周面51sを等速移動させてペースト画像P1を受け取ることができるようになっている。ここで、ペースト中継部材51は、ペースト保持部材41と同様に、例えば、外周面51sの周長がペースト保持部材41の周長よりも小さめの周長となる直径を有する円筒形状に作製されて、一回のペースト保持部材41の回転中に全周に対象物の平板部材Sに形成するペースト画像P1を受け取ることができるようになっている。ただし、ペースト中継部材51は、これに限らず、複数回のペースト保持部材41の回転でペースト画像P1を形成されるようにすることもできる。
【0028】
すなわち、画像中継装置40は、画像作製装置20の形成するペースト画像P1をペースト保持部材41(外周面41s)が受け取ってペースト中継部材51(外周面51s)に受け渡して画像形成対象の平板部材S(表面Ssの2本の直線溝Sdの底面Sb)に移載することで画像形成するようになっている。この画像中継装置40は、これらペースト保持部材41およびペースト中継部材51の外周面41s、51sはそれぞれ回転軸41x、51xの円弧中心に対して直交方向に円筒外面(湾曲面)が循環回転する変形不能な連続面に形成されて、ペースト保持部材41が前段保持部材として機能するとともに、ペースト中継部材51が後段保持部材として機能する。なお、画像中継装置40は、ペースト画像P1を順次に受け渡してもよいことから、ペースト保持部材41およびペースト中継部材51の間に1つ以上の中段保持部材を配置してもよいことは言うまでもない。ここで、ペースト保持部材41およびペースト中継部材51の外周面41s、51sは、それぞれ円弧中心の回転軸41x、51xに対して離隔距離の変動しない断面円形の連続面で循環回転するようになっている。ただし、ペースト保持部材41およびペースト中継部材51の外周面41s、51sは、これに限らず、断面形状が楕円形または三角形や四角形や五角形以上などの多角形あるいは画像形成対象の平面形状に対応するように形成された異形形状の連続面を備えていてもよく、この場合には断面形状の角部が湾曲形状などで滑らかに連続するように形成されていてもよい。
【0029】
このペースト中継部材51は、画像形成対象の平板部材Sの表面Ssの2本の直線溝Sdの底面Sbにペースト画像P1を受け渡して画像形成するために、外周面51sに平板部材Sの表面Ssの2本の直線溝Sdに嵌まり込む2本の畝形状51fが周方向に周回する形態で形成されている。このために、ペースト中継部材51は、その畝形状51fの外周頂面51tにペースト保持部材41の外周面41sに直接的あるいはペースト画像P1を介して間接的に接触してそのペースト画像P1を受け取ることができるようになっている。
【0030】
これらペースト保持部材41およびペースト中継部材51は、回転軸41x、51xがそれぞれモータ43、53の回転軸に連結されてスライド機構45、55に回転自在に支持されており、回転軸41x、51xのそれぞれがスライド機構45、55の支柱45p、55pに鉛直方向にスライド自在に支持されている支持部材45s、55s(軸受けは不図示)に回転自在に軸受け保持されている。すなわち、画像中継装置40は、ペースト中継部材51の外周面51sに回転軸51xの延長方向(回転軸の延在方向)の2か所(複数個所)に畝形状51fを配置して当該部材外周面の外周頂面51tを離隔させて、余分な箇所にペースト画像P1が付着してしまうことを回避している。
【0031】
支持装置60は、ステージ61およびスライド機構63を備えて構築されており、ステージ61が画像形成対象の平板部材Sの画像形成面の背面側を吸引して吸着固定する。この支持装置60は、ステージ61のステー61bをスライド機構63がスライドレール63r上でスライド自在に支持するようになっており、スライド機構63がコントローラ90からの制御信号に基づいてステージ61をペースト中継部材51の外周面51sの回転方向に正逆スライドさせるようになっている。
【0032】
コントローラ90は、CPU(Central Processing Unit)や各種メモリを備えて、画像作製装置20と、画像中継装置40と、支持装置60との間で各種情報をやり取り可能に接続されている。
【0033】
このコントローラ90は、画像作製装置20、画像中継装置40および支持装置60の各種位置情報や駆動条件等を予め設定されて、予め格納されている制御プログラムを実行して各種装置20、40、60を連携駆動させる。これにより、コントローラ90は、支持装置60に支持させている画像形成対象の平板部材Sの直線溝Sdの底面Sbに、画像中継装置40のペースト保持部材41およびペースト中継部材51の外周面41s、51sを経由させて画像作製装置20により形成するペースト画像P1の表裏を反転させることなく受け渡す画像形成処理(画像形成方法)を実行する。
【0034】
具体的には、
図4(a)に示すように、コントローラ90は、スクリーン版21およびペースト保持部材41の外周面41sがスクリーン印刷可能に接触する位置に位置させつつ、そのペースト保持部材41の外周面41sおよびペースト中継部材51の外周面51sが後述するように互いの外周面41s、51sをペースト画像P1を受け渡し可能に接触状態に位置させ、また同時に、ペースト中継部材51の外周面51sは支持装置60の支持する平板部材Sの表面Ssに接触しないように離隔する位置に位置するように配置する(前準備)。この前準備では、コントローラ90は、スクリーン版21をスクリーン印刷開始位置に移動させるとともに、ペースト保持部材41およびペースト中継部材51の外周面41s、51sのペースト画像P1の後述する保持開始位置がそれぞれの所定位置に一致するようにそれぞれ回転させて位置決めする。なお、これらペースト保持部材41およびペースト中継部材51は、予め設定されている外周面41s、51sの所定位置をペースト画像P1の保持開始位置として回転させて位置決めしてもよいが、これに限らずに、モータの駆動タイミングを利用することで、それら外周面41s、51sの全周を保持開始位置としてペースト画像P1の保持を開始するようにしてもよい。
【0035】
この前準備の後に、コントローラ90は、ペースト保持部材41の外周面41sおよびスクリーン版21の接触箇所におけるペースト保持部材41の外周面41sの接線方向とスクリーン版21のスライド方向が同一方向で等速に左回転および左スライド移動するように
図4(a)中の矢印方向に相対移動させる。これにより、コントローラ90は、スクリーン版21からペースト保持部材41の外周面41sにペースト画像P1を一次保持開始位置からそのまま高品質に載せて一次中継画像を形成する(一次中継画像形成)。このとき同時に、コントローラ90は、ペースト保持部材41の外周面41sおよびペースト中継部材51の外周面51sの接触箇所における当該外周面41s、51sの接線方向には互いに逆方向に相対移動、言い換えると、スクリーン版21の移動方向と並走回転するペースト保持部材41の外周面41sの左回転に対してペースト中継部材51の外周面51sを逆方向に相対移動するように左回転させる。これにより、画像中継装置40は、
図5(a)に示すように、ペースト保持部材41の外周面41sからペースト中継部材51の外周面51sにペースト画像P1を二次保持開始位置から表裏反転させることなく載せ換え(移載)させて二次中継画像を形成する(二次中継画像形成)。
【0036】
これら一次、二次中継画像形成の後に、
図4(b)に示すように、コントローラ90は、ペースト中継部材51の外周面51sをペースト保持部材41の外周面41sから離隔させて支持装置60の支持する平板部材Sの直線溝Sdの底面Sb(以下、単に平板部材Sの底面Sbとも称する)に接触させる。これにより、コントローラ90は、後述するようにペースト画像P1をペースト中継部材51の外周面51sから平板部材Sの底面Sbにペースト画像P2として受け渡し可能に接触状態に位置するようにペースト中継部材51の外周面51sと共に支持装置60に支持されている平板部材Sを移動させる(中継準備)。この中継準備では、コントローラ90は、ペースト中継部材51の外周面51sのペースト画像P1の二次保持開始位置に支持装置60の支持する平板部材Sの底面Sbのペースト画像P2の移載開始位置が一致するように、
図4(b)中の矢印方向にペースト中継部材51を降下移動させて回転させるとともに支持装置60(平板部材S)を右スライド移動させてそれぞれ位置決めする。
【0037】
これら中継準備の後に、
図4(c)に示すように、コントローラ90は、ペースト中継部材51の外周面51sおよび支持装置60の支持する平板部材Sの底面Sbの接触箇所におけるペースト中継部材51の外周面51sの接線方向と平板部材Sの底面Sbの移動方向とが互いに逆方向に相対移動、言い換えると、図中に矢印方向で示すように、ペースト中継部材51の外周面51sを左回転させるのに対して平板部材Sの底面Sbを左方向に相対移動するように回転移動させる。これにより、画像中継装置40は、
図5(b)に示すように、ペースト画像P1をペースト中継部材51の外周面51sから平板部材Sの表面Ssの2本の直線溝Sdの底面Sbにペースト画像P2として表裏反転させることなく載せ換えさせて画像形成を完了する(画像形成完了)。
【0038】
ここで、コントローラ90は、画像作製装置20、画像中継装置40および支持装置60の各種部材の位置をセンサや画像認識等で検出確認して駆動制御するようにしてもよいが、例えば、予め設定されているモータ等の電気的あるいは嵌め合い等の機械的な基準位置を初期位置として駆動を開始して、所望の一連の画像形成処理を連携実行するようにしてもよい(以下で説明する他の実施形態においても同様である)。
【0039】
このとき、画像中継装置40は、ペースト保持部材41およびペースト中継部材51の外周面41s、51sが逆方向に相対移動する接触箇所において、
図5(a)に示すように、ペースト保持部材41の外周面41sのペースト画像P1がペースト中継部材51の外周面51sの畝形状51fの頂面51tに接触することで付着して、それぞれの接線方向に挟まれた挟角Dt1に応じた変形負荷を受けつつ、そのまま表裏を反転されることなく、中継途中のペースト画像P1として載せ換えられる。
【0040】
また、この画像中継装置40は、ペースト中継部材51の外周面51sおよび支持装置60の支持する平板部材Sの底面Sbの逆方向に相対移動する接触箇所において、
図5(b)に示すように、ペースト中継部材51の外周面51sの2本の畝形状51fの頂面51tのペースト画像P1が平板部材Sの表面Ssの2本の直線溝Sdの底面Sbに接触することで付着して、それぞれの接線方向に挟まれた挟角Dt2に応じた変形負荷を受けつつ、そのまま表裏を反転されることなく、中継完了(画像形成終了)のペースト画像P2として載せ換えられる。
【0041】
この場合、ペースト保持部材41の外周面41sからペースト中継部材51の外周面51sに、またペースト中継部材51の外周面51sから支持装置60の平板部材Sの底面Sbに表裏を反転させることなく移載されるペースト画像P1、P2は、
図5(a)および
図5(b)に示すように、それぞれの接線方向の挟角Dt1、Dt2に応じた変形負荷を受けて画像形成されることになる。要するに、移載時の変形負荷による影響の少ない、例えば、極薄のペースト材料やインク材料などの画像では、画像作製装置20による作製品質で対象物の表面に画像形成することができ、また、単色や画像品質に問題の生じ難い大まかな画像などの場合でも問題なく画像形成することができる。ここで、ペースト保持部材41の外周面41sからペースト中継部材51の外周面51sに、またペースト中継部材51の外周面51sから支持装置60の平板部材Sの底面Sbに表裏を反転させることなく移載されるペースト画像P1、P2は、自身の形状が変形されるのに抗する力で押し出されて移載されることになり、よりスムーズに移載させることを目的として、自身の形状を維持する粘着性や付着する表面との密着力を調整して移載されるようにしてもよく、言い換えると、上流よりも下流側の方との密着力が大きくて載り換えるようにしてもよい。
【0042】
したがって、画像中継装置40は、変形不能なペースト保持部材41の外周面41sおよびペースト中継部材51の外周面51sが、またそのペースト中継部材51の外周面51sおよび支持装置60の平板部材Sの底面Sbが接触する状態を継続しつつ逆方向に相対移動することにより付着保持するペースト画像P1、P2を一方から他方に表裏を反転させることなく載せ換えて移載させることができ、平板部材Sの表面Ssの直線溝Sdの底面Sbに画像形成することができる。
【0043】
このように、本実施形態においては、変形する必要のない簡易かつ安価な構造のペースト保持部材41およびペースト中継部材51を用いて、その外周面41s、51sに保持するペースト画像P1、P2を画像形成対象の平板部材Sの表面Ssの直線溝Sdの底面Sbに載せ換えて画像形成することができる。
【0044】
次に、
図6~
図14は本発明の第2の実施形態に係る画像中継装置を搭載して画像形成方法を実行する画像形成装置を示す図である。なお、本実施形態では、上述実施形態と同様の構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
図6~
図8において、画像形成装置100は、上述実施形態と共通の画像作製装置20およびコントローラ90に加えて、他の構成装置を上述実施形態の装置に代えて、画像中継装置140および支持装置160を備えて構築されている。この画像形成装置100においても、上述実施形態と同様に、コントローラ90が各種装置20、140、160を統括制御することにより、例えば、円筒部材Cを画像形成する対象物として、その内面(内周面)Ciの全面にペースト材料を付着させて円筒内面全面のペースト画像P2(図中には不図示)を形成する処理を実行するように構築されている。このとき、画像形成装置100は、コントローラ90が画像形成対象の円筒部材Cの画像形成面の背面側の外面(外周面)Coを支持装置160に回転制御可能に支持させつつ、上述実施形態と同様に画像作製装置20の形成するペースト画像P1を後述するように画像中継装置140を介して円筒部材Cの内面Ciに受け渡して画像形成する画像形成方法を実行する。ここで、画像形成する対象物は、全周方向に連続する完全円形内周面を有する円筒形状の円筒部材Cに限るものではなく、例えば、後述するペースト中継部材151が進入可能な軸方向に延長されている幅のスリットを有する不完全円形内周面を有するスリット付きの円筒部材などであってもよく、そのスリットからペースト中継部材151を円筒部材内に進入させて内面にペースト画像P2を塗り付けるようにしてもよい。また、画像形成する対象物としては、平板部材の表面にペースト中継部材151の外周面151sからペースト画像P2を移載させて画像形成することもできることは言うまでもない。
【0046】
画像作製装置20は、上述実施形態と同様に、後述の画像中継装置140のペースト保持部材41の外周面41sにペースト材料よりなるペースト画像Pを形成するようになっており、例えば、そのペースト保持部材41の外周面41sが
図6中反時計回り方向に回転することで、同等速度で移動するスクリーン版21を透過するペースト材料がペースト保持部材41の外周面41sに付着して所望のペースト画像P1が形成される。
【0047】
そして、画像中継装置140は、上述実施形態と同様のペースト保持部材41に加えて、そのペースト保持部材41から外周面41sのペースト画像P1を受け取って画像形成対象物の円筒部材Cの内面Ciに受け渡して画像形成するペースト中継部材151を備えて構築されている。
【0048】
ペースト中継部材151は、上述実施形態と同様に、ペースト保持部材41の外周面41sに密接しつつペースト画像P2を受け取るように同様の円筒形状の外周面(外表面)151sを備えて、ペースト保持部材41の回転軸41xと平行の回転軸151xを中心に回転駆動することで、ペースト保持部材41の外周面41sとその外周面151sを等速移動させてペースト画像Pを受け取ることができる。ここで、ペースト中継部材151は、外周面151sが対象物の円筒部材C内に挿し込み可能にその内面Ciよりも小さめの直径を有する円筒形状に作製されており、一回の回転中に円筒部材Cの内面Ciの全周にペースト画像Pを受け渡す形態に限らず、ペースト保持部材41からペースト画像P1を複数回受け取って円筒部材Cに移載することでその内面Ciの全面にペースト画像P2を形成するようにしてもよい。
【0049】
これらペースト保持部材41およびペースト中継部材151は、上述実施形態と同様に、回転軸41x、151xがそれぞれモータ43、153の回転軸に連結されてスライド機構45、155の支持部材45s、155sに回転自在に支持されており、そのスライド機構45、155は支持部材45s、155sを支柱45p、155pに鉛直方向にスライド自在に支持している。
【0050】
また、ペースト中継部材151は、後述するように、対象物の円筒部材Cへのペースト画像Pの載せ換え作業の妨げにならないように、モータ153の反対側に位置するスライド機構155の支持部材155sがその回転軸151xの延長線上から退避するスライド支持部材155ssに回転自在に支持される軸受け155smを備えており、この回転軸151xの軸受け155smは軸送り機構157によって移動される軸受け軸158に連結されてスライド支持部材155ssに代わって回転自在に支持されるようになっている。
【0051】
支持装置160は、対象物の円筒部材Cの内面Ciにペースト中継部材151の外周面151sを密接させつつペースト画像P2を移載可能に、その円筒部材Cを回転可能に適宜に所望位置で支持するようになっている。
【0052】
この支持装置160は、対象物の円筒部材Cを軸心中心の回転運動可能に両端部側で離隔する一対の計4か所の支持ローラ161と、これら支持ローラ161群を円筒部材Cの軸心を中心にする離隔方向に正逆移動させる支持幅調整機構163と、支持ローラ161群および支持幅調整機構163を円筒部材Cの軸方向へ正逆移動させる対象物送り機構165と、を備えている。
【0053】
また、支持装置160は、支持ローラ161群、支持幅調整機構163、および対象物送り機構165に加えて、円筒部材Cの内面Ciの安定周回回転を実現するように外面Coを外周面171sで押さえつつ回転する円柱形状の回転駆動部材171と、この回転駆動部材171の回転軸171xに連結されたモータ173と、このモータ173と共に回転駆動部材171の回転軸171xを支持部材175sが回転自在に支持しつつペースト中継部材151のスライド機構155の支柱155pを共通利用して鉛直方向にスライド自在に支持されているスライド機構175と、をも備えて構築されている。
【0054】
コントローラ90は、上述実施形態と同様に、画像作製装置20と、画像中継装置140と、支持装置160との間で各種情報をやり取り可能に接続されて、各種装置20、140、160を連携駆動させる。これにより、コントローラ90は、支持装置160に支持させている画像形成対象の円筒部材Cの内面Ciに、画像中継装置140のペースト保持部材41およびペースト中継部材151の外周面41s、151sを経由させて画像作製装置20により形成するペースト画像P2の表裏を反転させることなく受け渡す画像形成処理(画像形成方法)を実行する。
【0055】
具体的には、
図6~
図8に示すように、上述実施形態と同様に、コントローラ90は、スクリーン版21およびペースト保持部材41の外周面41sをスクリーン印刷可能な接触位置に位置させつつ、そのペースト保持部材41およびペースト中継部材151の外周面41s、151sを互いにペースト画像P1を受け渡し可能な接触状態に位置させている(前準備)。この前準備状態では、ペースト中継部材151は、支持装置160の支持する円筒部材Cから離隔している。
【0056】
この前準備の後に、コントローラ90は、ペースト保持部材41の外周面41sおよびスクリーン版21を同一方向に等速に左回転および左スライド移動するように図中矢印方向に相対移動させることにより、スクリーン版21からペースト保持部材41の外周面41sにペースト画像P1を高品質に載せて一次中継画像を形成する(一次中継画像形成)。このとき同時に、コントローラ90は、ペースト保持部材41の外周面41sの左回転に対してペースト中継部材151の外周面151sを逆方向に相対移動するように左回転させることにより、ペースト保持部材41の外周面41sからペースト中継部材151の外周面151sにペースト画像P1を二次保持開始位置から表裏反転させることなく載せ換え(移載)させて二次中継画像を形成する(二次中継画像形成)。
【0057】
これら一次、二次中継画像形成の後に、コントローラ90は、ペースト中継部材151の外周面151sをペースト保持部材41の外周面41sから離隔させて支持装置160の支持する円筒部材Cの内面Ciに載せ換え可能に、後述するようにペースト画像P1をペースト中継部材151の外周面151sから円筒部材Cの内面Ciにペースト画像P2として受け渡し可能に接触状態に位置するようにペースト中継部材151の外周面151sと共に支持装置160に支持されている円筒部材Cを移動させる(中継準備)。
【0058】
この中継準備では、
図9に示すように、コントローラ90は、同図中に矢印で示すように、まずは、支持装置160が支持する円筒部材Cの中心軸が軸送り機構157によって移動される軸受け軸158の高さに一致するように、その円筒部材Cの両端部側をそれぞれ支持する一対の支持ローラ161間の間隔を支持幅調整機構163が広げてその円筒部材Cを降下させる。また、コントローラ90は、ペースト中継部材151の回転軸151xをその降下した円筒部材Cの軸心および軸送り機構157の軸受け軸158の高さに一致する位置まで降下させる(中継準備1)。
【0059】
この中継準備1の後に、
図10に示すように、コントローラ90は、軸送り機構157が軸受け軸158をペースト中継部材151の回転軸151xの軸受け155smに向かうように同図中に矢印で示すように移動させて、スライド機構155の支持部材155sのスライド支持部材155ssと共に回転自在に支持するようにその軸受け軸158を回転軸151xの軸受け155smに連結する(中継準備2)。
【0060】
この中継準備2の後に、
図11に示すように、コントローラ90は、モータ153の反対側の支持部材155sのスライド支持部材155ssをペースト中継部材151の回転軸151xの軸受け155smから外れる(離隔する)ように後退させて、モータ153側の支持部材155sと共に軸送り機構157の軸受け軸158にその回転軸151xを回転自在に支持させる(中継準備3)。
【0061】
この中継準備3の後に、
図12に示すように、コントローラ90は、支持装置160の支持ローラ161群と共に支持幅調整機構163をペースト保持部材41の下方に対象物送り機構165により移動させて支持する円筒部材Cの軸心とその回転軸41xとを平行状態に保持する(中継準備3)。
【0062】
これら中継準備2、3では、ペースト中継部材151の回転軸151xの一端側の軸受け(不図示)と共に他端側の軸受け155smにより両端側が支持部材155sおよび軸送り機構157の軸受け軸158により回転自在に支持されてモータ153により回転駆動可能にされる。また、中継準備3では、そのペースト中継部材151が支持装置160の支持ローラ161群により回転自在に支持されている円筒部材C内に挿入されて内装状態にされることで、そのペースト中継部材151の外周面151sが円筒部材Cの内面Ciに対面する状態にされている。
【0063】
そして、中継準備3の後に、
図13に示すように、コントローラ90は、同図中に矢印で示すように、円筒部材Cの両端部側をそれぞれ支持する一対の支持ローラ161間の間隔を支持幅調整機構163により狭めさせてその円筒部材Cを上昇させてペースト中継部材151の外周面151sに上昇させた円筒部材Cの内面Ciを接触させる(中継準備4)。
【0064】
さらに、この中継準備4の後に、
図14に示すように、コントローラ90は、同図中に矢印で示すように、スライド機構175が回転駆動部材171を降下させて外周面171sを円筒部材Cの外面Coに押し当てて回転駆動させるとともに、モータ173がペースト中継部材151を回転駆動させてその円筒部材Cの内面Ciに接触する外周面151sを回転させて画像形成を完了する(画像形成完了)。
【0065】
この画像形成完了では、ペースト中継部材151の外周面151sおよび支持装置160の支持する円筒部材Cの内面Ciの接触箇所におけるペースト中継部材151の外周面151sの接線方向と円筒部材Cの内面Ciの移動方向とが互いに逆方向に相対移動、言い換えると、ペースト中継部材151の外周面151sを左回転させるのに対して円筒部材Cの内面Ciを右回転させて相対移動するようにそれぞれ回転移動させる。これにより、画像中継装置140は、図示することは省略するが、上述実施形態の
図5(b)に類似する形態で、ペースト画像P1をペースト中継部材151の外周面151sから円筒部材Cの内面Ciにペースト画像P2として表裏反転させることなく載せ換えさせて画像形成を完了することができる。
【0066】
このとき、画像中継装置140は、ペースト中継部材151の外周面151sおよび支持装置160の支持する円筒部材Cの内面Ciの逆方向に相対移動する接触箇所においては、同じ側に湾曲するペースト中継部材151の外周面151sおよび円筒部材Cの内面Ciが接触する。このことから、ペースト中継部材151の外周面151sから支持装置160の円筒部材Cの内面Ciに表裏を反転させることなく移載されるペースト画像P2は、上述実施形態の
図5(b)に示す形態よりも、それぞれの接線方向に挟まれた挟角が小さくなって大きくなった変形負荷を受けつつ載せ換えられてそのまま表裏を反転されることなく載せ換えられる。このため、上述実施形態と同様に、移載時の変形負荷による影響の少ない、例えば、極薄のペースト画像Pでは、画像作製装置20による作製品質のまま対象物の表面に画像形成することができ、また、単色や画像品質に問題の生じ難い大まかな画像などの場合には問題なく画像形成することができる。
【0067】
このように、本実施形態においては、上述実施形態と同様の作用効果を得ることができ、画像形成対象の円筒部材Cの内面Ciに画像形成することができる。
【0068】
ところで、上述第1、第2実施形態では、画像保持部材として前段のペースト保持部材41と共に後段のペースト中継部材51、151を備える場合を一例として説明するが、これに限るものではなく、1つのペースト保持部材41の外周面41sから対象物の平板部材Sの表面Ssにペースト画像Pを直接移載するように構成してもよいことは言うまでもない。
【0069】
また、画像中継装置40、140は、上述第1、第2実施形態におけるペースト保持部材41の外周面41sに対するペースト中継部材51、151の外周面51s、151sや、このペースト中継部材51、151の外周面51s、151sに対する支持装置60、160の支持する平板部材Sの表面Ssや円筒部材Cの内面Ciの相対速度を増減することによって、平板部材Sの表面Ssや円筒部材Cの内面Ciに形成する画像を相対移動方向に伸縮させることができる。ここで、この相対速度の増減は、それぞれの速度検出部を備えて、それぞれの各種モータによる回転移動速度を調整すればよく、または、各種モータの駆動制御によっても実現することができる。
【0070】
さらに、画像中継装置40、140は、ペースト保持部材41およびペースト中継部材51、151の外周面41s、51s、151sや支持装置60、160の支持する平板部材Sの表面Ssや円筒部材Cの内面Ciを相対移動方向に対する直交方向にスライド自在に支持する機構を備えることによっても形成画像を適宜に変形可能にすることもできる。
【0071】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【要約】
【課題】簡易な構造の中間体表面に画像形成する材料を保持して対象物表面への載せ換えを実現して、安価な画像形成材料による画像形成を提供すること。
【解決手段】作製画像を一時的に保持して対象物表面に移す画像中継装置40であって、ペースト画像Pを外周面41s、51sに保持するペースト保持部材41およびペースト中継部材51と、対象物の平板部材Sを支持するステージ61を移動させるスライド機構63と、を備え、外周面41s、51sを接触させつつ逆方向に相対回転させるとともに平板部材Sも逆方向に相対的にスライドさせることにより、外周面41s上のペースト画像P1を表裏反転させることなく外周面51sを経て平板部材Sの直線溝Sdの底面Sbに移載させて画像形成する。
【選択図】
図4