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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】ハンガーフック
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20250305BHJP
【FI】
A47G29/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022084110
(22)【出願日】2022-05-23
(65)【公開番号】P2023172370
(43)【公開日】2023-12-06
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000152169
【氏名又は名称】株式会社栃木屋
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】弁理士法人白浜国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 健志
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046940(JP,A)
【文献】中国実用新案第203427693(CN,U)
【文献】特開2021-037232(JP,A)
【文献】国際公開第2020/241519(WO,A1)
【文献】中国実用新案第211093232(CN,U)
【文献】特開2010-017482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/00,29/00
B60R 7/10
F16H 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向と、前後方向と、横断方向とを有し、壁板に取り付けられるケースと、前記ケースに旋回可能に連結されたフックとを含むハンガーフックにおいて、前記フックが起立した状態において、前記フックの先端が前記ケースよりも上方に延出した構成とし、
さらに、
前記フックを起立する方向へ付勢する付勢手段と、
ギアを有する回転ダンパーと、前記ギアに噛み合うラックを有するスライダとを備えた制動手段と、
を有し、
前記ギアと前記ラックとの噛み合いによって前記フックの旋回移動を前記回転ダンパーに伝達可能であって、前記回転ダンパーの回転軸が前記前後方向へ延びる構成とし、
さらに、
前記スライダは、上下方向に移動する構成とし、
前記付勢手段は、前記スライダを下方へ付勢する構成とし、
前記フックは、前記スライダの下端に当接する係止部を備え、前記フックを倒伏させると、前記係止部が前記スライダを上方へ移動させ前記回転ダンパーを回転させる構成とした、
ことを特徴とする前記ハンガーフック。
【請求項2】
前記フックは、基底部と、前記基底部から起立する両側壁部とを有し、前記両側壁部の先端側には、後方へ突出する突出部が位置する請求項1に記載のハンガーフック。
【請求項3】
前記フックの前記基底部の後面には、前記フックの長手方向へ延びるリブが位置する請求項2に記載のハンガーフック。
【請求項4】
前記ケースは、ケース本体を含み、前記ケース本体の後面には後方隆起部が位置し、前記後方隆起部に形成された配置凹部に前記回転ダンパーが配置される請求項1に記載のハンガーフック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガーフックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースと、ケースに取り付けた基端部を中心として先端部が旋回可能であって、先端部がケースに対して突出する使用位置および先端部がケースに隣接する収容位置に変位するフックと、ケースとフックとの間に位置して使用位置から収容位置へ向けてフックを付勢する付勢部材(バネ)とを有するハンガーフックは公知である。例えば、引用文献1には、上記のようなケースと、フックと、付勢部材とを備えるハンガーフックが開示されている。また、このハンガーフックは、フックが、使用位置から収容位置まで移動する間、フックの旋回速度を遅くする回転ダンパー(制動手段)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-77364号公報(P2011-77364A)
【0004】
特許文献1に開示のハンガーフックによれば、回転ダンパーによってフックの旋回速度を遅くすることができるため、フックが収容位置へ移動するまでの間に、衣服を吊ったハンガーをフックに容易に掛けることができる。
【0005】
しかしながら、フックの先端がケースの先端の縦断方向の内側に位置していることから、フックを旋回する際に指先がケースに当たって操作し難くいという問題があった。また、ケースが金属製であって、操作者が女性の場合には、爪先がケースに当たって損傷するおそれもある。さらに、ハンガーフックの正面視において、ケースの先端が露出してフックの先端との間に段差を生じるので、すっきりとした印象を与えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の発明の改良であって、正面視において良好な外観を有し、かつ、操作性に優れたハンガーフックの提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上下方向と、前後方向と、横断方向とを有し、壁板に取り付けられるケースと、前記ケースに旋回可能に連結されたフックとを含むハンガーフックに関する。
【0008】
本発明に係るハンガーフックは、前記フックが起立した状態において、前記フックの先端が前記ケースよりも上方に延出した構成とし、さらに、前記フックを起立する方向へ付勢する付勢手段と、ギアを有する回転ダンパーと、前記ギアに噛み合うラックを有するスライダとを備えた制動手段とを有し、前記ギアと前記ラックとの噛み合いによって前記フックの旋回移動を前記回転ダンパーに伝達可能であって、前記回転ダンパーの回転軸が前記前後方向へ延びる構成とし、さらに、スライダは、上下方向に移動する構成とし、付勢手段は、スライダを下方へ付勢する構成とし、フックは、スライダの下端に当接する係止部を備え、フックを倒伏させると、係止部がスライダを上方へ移動させ回転ダンパーを回転させる構成としたことを特徴とする。

【0009】
本発明に係るハンガーフックは、以下の実施態様を含む。
(1)前記フックは、基底部と、前記基底部から起立する両側壁部とを有し、前記両側壁部の先端側には、後方へ突出する突出部が位置する。
(2)前記フックの前記基底部の後面には、前記フックの長手方向へ延びるリブが位置する。
(3)前記ケースは、ケース本体を含み、前記ケース本体の後面には後方隆起部が位置し、前記後方隆起部に形成された配置凹部に前記回転ダンパーが配置される。

【発明の効果】
【0010】
本発明に係るハンガーフックによれば、フックが起立した状態において、フックの先端が前記ケースよりも上方に延出していることから、フックを操作するときに指先がケースに当たることはなく、旋回操作に優れる。また、正面視において、ケースが露出することがないので、すっきりとした印象を与えることができ、良好な外観を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明に係るハンガーフックの斜視図。
図2】使用状態におけるハンガーフックの斜視図。
図3】前方から視たハンガーフックの分解斜視図。
図4】後方から視たハンガーフックの分解斜視図。
図5】(a),(b)ハンガーフックを壁板に取り付ける際の様子を示す図。
図6図1の矢印VI線から視た拡大図。
図7】ブランケットを取り外した状態におけるハンガーフックの斜視図。
図8図7のVIII-VIII線に沿う断面図。
図9】使用状態における図7と同様のハンガーフックの斜視図。
図10図9のX-X線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照し、この発明に係るハンガーフックの詳細を説明すると、以下のとおりである。また、以下の実施の形態は、本発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい構成を含む。
【0013】
図1図4を参照すると、ハンガーフック10は、上下方向(縦断方向)Yと、横断方向Xと、前後方向Zとを有し、壁板3の取付孔4に取り付けられるケース2と、ケース2に旋回可能に連結された、コート等の衣服を掛けることが可能なフック20とを含む。
【0014】
ハンガーフック10(ケース2)は、フック20を起立する方向へ常時付勢する付勢手段(スプリング8)と、ギア42を有する回転ダンパー40と、ギア42に噛み合うラック56を有するスライダ50とを備えた制動手段とを有し、ギア42とラック56との噛み合いによってフック20の旋回移動を回転ダンパー40に伝達することができる。
【0015】
また、フック20が起立したハンガーフック10の未使用状態(収容状態)において、フック20の先端21は、ケース2の上端からさらに上方へ延出している。それによって、使用する際に、フック20の先端21に指を引っ掛けてフック20を旋回操作する際に、指先がケース2に当たることはなく、操作性に優れる。また、ハンガーフック10の正面視において、フック20にケース2の前面全体が被覆された状態となるので、フック20の先端とケース2との段差が露出されることはなく、凹凸のない外観を呈し、すっきりとした印象を与えることができる。
【0016】
フック20は、先端21と、基端22と、基底部23と、基底部23から後方へ起立して延びる両側壁部24とを有する。基底部23の後面の横断方向Xの中央部分には、フック20の長手方向へ延びるリブ25が形成されている。また、リブ25の下方には、後方へ突出する脚部26が位置する。脚部26は、下方へ向うにつれて後方へ突出するような断面略三角形状を有し、下端部分の基端にはピンを貫通する貫通孔27が位置し、下端部分の先端には収容状態においてスライダ50に当接される係止部28が位置する。係止部28の両側には、略三角状の凹部27aが形成されている。
【0017】
フック20は、両側壁部24の先端21側において後方へ突出する突出部29をさらに有する。突出部29は、凸曲状であって、横断方向Xにおいてケース2の先端と対向して位置する。
【0018】
ケース2は、ケース本体60とブランケット70とを含む。ケース本体60は、曲状の上端61と、上端61に比べて肉厚の下端62とを有し、上端61側には固定ボルト6を貫通する透孔63が位置し、下端62側の前面には縦断方向Yへ延びる溝64が位置する。溝64には、フック20の脚部が挿通される挿通孔65が位置する。溝64を形成する一対の下方壁部には、フック20とケース本体60とを連結するためのピン11が挿通される透孔66が位置する。
【0019】
ケース本体60は、後方へ段差状に延びる後方隆起部80をさらに有する。後方隆起部80は、透孔63と、中央に位置する回転ダンパー40を配置するための配置凹部81と、配置凹部81の下方に位置して後方隆起部80からさらに突出するガイド突起82と、ガイド突起82のさらに下方に位置し、横断方向Xにおいて互いに対向して位置する一対の支持板83とを有する。後方隆起部80の外周には、フランジ88が形成される。
【0020】
回転ダンパー40は、ダンパ回転軸Pと、円盤状の主体部41と、主体部41の後面に位置するギア42と、主体部41から上方へ延びる延出部分に位置する係止孔43と、主体部41から下方へ延出する部分に位置する係合凹部44とを有する。
【0021】
ケース本体60の配置凹部81は、上方へ凸となる形状を有し、上方部分には回転ダンパー40の係止孔43が係止される係止突起84が位置する。ガイド突起82は、下方へ向かって断面コ字状に屈曲した形状を有し、後方隆起部80から延出する起立部(ストッパー)82aと、起立部82aから下方へ延びる係止片82bとを有する。また、ガイド突起82の起立部82aの上面側には、回転ダンパー40の係合凹部44が係合される係合凸部86が位置している。
【0022】
ブランケット70は、上下端と、底部71と、底部71からケース本体60へ向かって突出する外周壁部72とを含む。底部71の上端側には、内周面に固定ボルト6に螺合される螺旋溝を有する係合孔73が位置し、底部71の下端側には、ハンガーフック10の組立状態においてケース本体60の一対の支持板83が露出される下方開口74と、ガイド突起82が露出される略長方形状の透孔75とが位置する。
【0023】
スライダ50は、縦長矩形のフレーム状であって、上壁51と、下壁52と、両側壁53と、上壁51と両側壁53との間に画成された上方開口と、下壁52と両側壁53との間に画成された下方開口とを有する。両側壁53の前面は段差を有し、上方側の部分よりも下方側の部分が前方へ突出していて、一方側壁の前面の上方側の部分には、上下方向Yに並んだ複数の歯からなるラック56が位置している。下方開口には、スプリング8が配置される。スプリング8は、両側壁53の下方側の部分と下壁52との当接した状態で安定的に配置されうる。
【0024】
ハンガーフック10を分解した状態から組立てるには、まず、回転ダンパー40の係止孔43を配置凹部81の係止突起84に係止させ、かつ、係合凹部44をガイド突起82の係合凸部86に係合させた状態で回転ダンパ―40を配置凹部81に安定的に配置する。次に、スプリング8を介装したスライダ50の上方開口にガイド突起82の係止片82bを挿通させる。上方開口はガイド突起82に倣う形状を有し、中央の凸曲部分51aにガイド突起82の係合凸部86が当接されることで、操作者が手を離した状態であってもスライダ50はケース本体60から脱落することはない。
【0025】
次に、操作者が一方の手でスライダ50の上方側を摘持して引き上げることで、スライダ50の両側壁53の下側部分と係止片82bとが摺接されながらスライダ50が上方へ移動する。このとき、スライダ50の介装されたスプリング8の上端8aがガイド突起82の起立部82aに当接される。かかる状態において、ケース本体60の前面側からフック20を宛てがって、脚部26の係止部28を溝64からスライダ50の下端の下方に位置する挿通孔65の一部に挿入することによって、係止部28がスライダ50の下端に当接される。それによって、スプリング8は下壁52と起立部82aとの間に弾装され、フック20は起立する方向へ常時付勢される。
【0026】
次に、横断方向Xにおいて互いに連通したケース本体60の透孔66とフック20の貫通孔27とにピン11を貫通させることでケース本体60とフック20とを互いに連結することができる。さらに、スプリングの付勢に抗してフック20を倒伏させた状態として、ブランケット70をケース本体60の後面に宛てがって、前後方向Zにおいて互いに連通するケース本体60の透孔66とブランケット70の係合孔73とに固定ボルト6を挿入し、ドライバー等の締結具で係合孔73の螺旋溝と螺合させることでブランケット70が結合される。
【0027】
このように、固定ボルト6を締結する工程以外に、工具などは必要はなく、比較的簡易に組立操作を行うことができる。また、分解する際には、固定ボルト6とピン11を外して、ケース本体60から回転ダンパー40とスライダ50とを取り外せばよいので、回転ダンパー40やスライダ50が摩耗等を生じたときに簡易に取り換え操作を行うことができる。
【0028】
図5(a),(b)に示すように、ハンガーフック10を取り付ける際には、固定ボルト6を完全に締め付けることなく、ケース本体60のフランジ88とブランケット70との間にクリアランスCLが形成された状態において、壁板3の取付孔4に対して前方からハンガーフック10を僅かに倒伏させて差し込む。その際に、クリアランスCLに壁板3を介在させ、そのままハンガーフック10を起立させる。具体的には、取付孔4の開口縁部の上側部分をクリアランスCLに介在させ、起立させれば、取付孔4の開口縁部の下側部分もケース本体60とブランケット70との間に介在された状態になる。かかる状態において、固定ボルト6を締結具9で締め付けることで、ケース本体60とブランケット70とが互いに接近してクリアランスCLが小さくなって壁板3がこれらに挟圧された状態となり、ハンガーフック10が壁板3に安定的に取り付けられる(図2参照)。
【0029】
このように、ハンガーフック10を組み立てた状態で前方から壁板3に取り付けることができ、また、締結具9も壁板3の後方から操作する必要がないので、操作者は壁板3の前方側からの操作のみで取り付けを行うことができる。したがって、壁板3の後方側から部材を取り付けたりする必要がないので、壁板3を施工した後であって後方側から取付操作を行うことができない場合であってもハンガーフック10の取付操作を容易に行うことができる。
【0030】
図6を参照すると、ハンガーフック10の取付状態において、フック20の一対の突出部29が壁板3に当接されている。このように、フック20の両側壁部24が一対の突出部29において壁板3に当接されることで、外部衝撃を受けた場合であっても安定的に起立した状態を維持することができる。
【0031】
また、既述のとおり、フック20は先端21がケース2から上方へ延出することで指先を引っ掛け易いといえるが、突出部29が壁板3と当接されることで、先端21とケース本体60の上端61との離間寸法が比較的に大きくなり、指先を挿入しやすくなるといえる。また、ケース本体60の上端61の前面61aは、下方から上方へ向かって次第に後方へ延びる傾斜面であることから、前面61aが垂直面である場合に比べて、フック20の先端21とケース本体60の上端61との離間寸法をより大きくして指先が入り易くなるといえる。
【0032】
既述のとおり、フック20の基底部23の後面にリブ25が設けられていることによってフック20の強度が高くなるとともに、リブ25はケース本体60から延出するフック20の先端21にも延在していることから、フック20の先端の後面が平滑面状である場合に比べて、操作者の指先が滑り難く、安定的に指先を引っ掛けることができるといえる。
【0033】
図7~10を参照して、ハンガーフック10の非使用状態から使用状態へのフック20の開閉機構の動作を説明すると、まず、非使用状態においてフック20は、スプリング8の付勢によってケース本体60と対向するように起立した状態にある。スライダ50のラック56は回転ダンパー40のギア42に噛み合っている。かかる状態において、フック20にコート等の衣服を掛ける際に、操作者がフック20を矢印Aの方向(前方)へ倒伏させることによって、フック20の脚部26の係止部28がスライダ50を押し上げて、スライダ50が上方へ移動するとともにそれに連結された回転ダンパー40が回転する。操作者がフック20に衣服を掛けた後は、その自重によってスプリング8が圧縮され、その上端8aはガイド突起82の起立部82aに当接されて、スライダ50の上方への移動が規制される。
【0034】
使用後に、フック20から衣服を取り外した際に、スプリング8が圧縮された状態から解放され、その付勢によって回転ダンパー40を回転させながら比較的にゆっくりとスライダ50が下方へ移動する。スライダ50が下方へ移動することで、フック20の脚部26の係止部28が押し下げられてフック20は矢印Bの方向へと移動して起立した状態となる。図示していないが、フック20の脚部26の凹部27aにスライダ50の両側壁53が係合されることで、確実に力の伝達を行うことができる。
【0035】
フック20の旋回機構に回転ダンパー40を用いることによって、フック20の旋回速度を遅速して、起立する際にその先端21に位置する突出部29が壁板3に強く衝突するのを抑制することができる。また、フック20が比較的にゆっくりと矢印Bへ旋回するので、操作者がフック20から手を離した状態であっても、倒伏状態にあるフック20に衣服を掛けることができる。
【0036】
図示された実施態様から明らかなように、回転ダンパー40はケース本体60の配置凹部81に配置されていて、回転ダンパー40の回転軸Pは前後方向Zに延びている。従来の回転ダンパー40の回転軸が横断方向へ延びる配置態様の場合には、ケース自体の前後方向の寸法(厚さ寸法)が少なくとも回転ダンパー40の直径以上の大きさであることが必要であって、比較的に肉厚となる。本発明においては、従来の回転ダンパーの配置態様と異なり、その回転軸Pが前後方向Zへ延びる配置態様を有することから、ケース2(ケース本体60)を比較的に肉薄にすることができ、ハンガーフック10を全体としてスマートつコンパクトにすることができる。
【0037】
ハンガーフック10の各構成部品は、従来公知の材料から形成することができるが、回転ダンパー40を除き、ステンレス,鉄,銅,アルミニウム等の金属から形成することが好ましい。特に、ステンレスで形成して、フック20の基底部23に鏡面加工を施すことによって、正面視においてシャープな印象を与えることができる。
【符号の説明】
【0038】
2 ケース
3 壁板
10 ハンガーフック
20 フック
21 フックの先端
23 基底部
24 両側壁部
25 リブ
29 突出部
40 回転ダンパー
42 ギア
50 スライダ
56 ラック
60 ケース本体
80 後方隆起部
81 配置凹部
Y 上下方向
X 横断方向
Z 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10