(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】ガイド治具
(51)【国際特許分類】
C10B 29/06 20060101AFI20250305BHJP
【FI】
C10B29/06
(21)【出願番号】P 2024131071
(22)【出願日】2024-08-07
【審査請求日】2024-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599090615
【氏名又は名称】株式会社メガテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 康平
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 雅寛
(72)【発明者】
【氏名】島崎 恵司
(72)【発明者】
【氏名】上里 拓司
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-065339(JP,A)
【文献】特開2024-065338(JP,A)
【文献】特開2020-020224(JP,A)
【文献】特開2019-163351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 1/00-57/18
E04G 21/14-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉用のプレキャストブロックを挟むことが可能な2枚のガイド板と、
対向する2枚の前記ガイド板の間を接続する接続体を備え、
2枚の前記ガイド板は、
平面部と、端部が外側へ拡がる湾曲部を有
し、プレキャストブロックに取り付けた際に、前記平面部と前記湾曲部の境界は、炉長方向と垂直方向に対して斜めになることを特徴とする、
ガイド治具。
【請求項2】
コークス炉用のプレキャストブロックを挟むことが可能な2枚のガイド板と、
対向する2枚の前記ガイド板の間を接続する接続体を備え、
2枚の前記ガイド板は、平面部と、端部が外側へ拡がる湾曲部を有し、前記平面部と前記湾曲部の境界は、プレキャストブロックに取り付けた際に炉長方向に対して垂直になることを特徴とする、
ガイド治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉にプレキャストブロックをずれないように設置するためのガイド治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願では、水平方向に関し、コークス炉でコークスを押し出す方向を炉長方向FD、炉長方向FDに直交する水平方向を炉団方向SDと記載する。プレキャストブロックPBについては、コークス炉に設置した際の方向により炉長方向FD、炉団方向SDと記載する。図面では、FDと付した両矢印により炉長方向FDを、SDと付した両矢印により炉団方向SDを示す。また、ガイド治具は、プレキャストブロックPBに取り付けた状態で上下方向を記載し、プレキャストブロックPBがある側を内側と記載する。
【0003】
図1は、プッシャーサイドから見たコークス炉1の断面図である。
図1に示すように、コークス炉1では、蓄熱室11の上方に設けられたコーベル16の上に多数の耐火煉瓦12を積み上げて複数の燃焼室13を構築し、複数の燃焼室13と複数の炭化室14を形成している。
図1において、燃焼室13の中にはフリュー(図示せず)が形成され、炭化室14は2つの燃焼室13の間に形成される。
図1のコークス炉1は、炉団方向SDの両側に、記載を省略した複数の燃焼室13と炭化室14等が設けられている。
【0004】
コークス炉1は高熱の苛酷な状況で使用され、使用し続けることにより経年劣化が生じる。経年劣化により燃焼室13に穴が開いた場合には、特許文献1に記載されているように、燃焼室13の表面に溶射層を形成して補修を行うことができる。一方、経年劣化によって燃焼室13の耐火煉瓦12に熱衝撃によるひび割れ等がおき、炭化室14の側に張り出しが生じることがある。このような劣化が生じると、炭化室14で乾留されたコークスを押し出す際に張り出しが障害となり、コークスを押し出すことが難しくなる。
【0005】
コークス炉1において、経年劣化により燃焼室13に耐火煉瓦12の張り出し等が生じた場合には、耐火煉瓦12を取り壊して補修する必要がある。その場合には、特許文献2、3のように、複数ある燃焼室13のうち、劣化して位置ずれ等が生じた燃焼室13を解体し、新しい燃焼室13を構築する。
図1では、斜線で示した積み替え範囲TRにおける3つの燃焼室13と、その上の炉天井15を解体して再構築する。
【0006】
新たな燃焼室13は、耐火煉瓦12よりも大きなプレキャストブロックPBを多数設置して再構築することができる(特許文献3参照)。
図2に、積み替え範囲TRに構築した燃焼室13等の斜視図を示す。燃焼室13は、両矢印で示す炉長方向FDに沿って複数のプレキャストブロックPBにより再構築される。
図2の実施形態においては、積み替え範囲TRにおいて炉団方向SDに3つの燃焼室13を構築している。そして、隣接する燃焼室13の間は炭化室14となっている。炉団方向SDに燃焼室13と炭化室14が交互に形成される。プレキャストブロックPBは炉団方向SDに燃焼室13の幅を有し、複数積み上げたプレキャストブロックPBにより燃焼室13を形成する。個々のプレキャストブロックPBの内部には、フリュー用の空間が設けられている。そして、プレキャストブロックPBを積み上げた燃焼室13の内部空間には、フリューが形成される。燃焼室13と炭化室14の上には炉天井15が設置される。
図2の炉天井15は、上側にキャスターを敷設して平坦にする前の状態である。
【0007】
図3に、積み替え範囲TRに複数のプレキャストブロックPBを設置している様子を示す。
図3は、
図1と同様にプッシャーサイドから見た炉長方向FDに垂直なコークス炉1の断面図である。
図3は、点線で示した積み替え範囲TRに、プレキャストブロックPBにより燃焼室13を作成している状態を示している。設置するために吊り下げているプレキャストブロックPBをプレキャストブロックPB1と記載し、設置ずみのプレキャストブロックPBをプレキャストブロックPB2と記載する。プレキャストブロックPBを積み替え範囲TRに設置する際には、
図3に示すように、コークス炉1の上部からプレキャストブロックPB1を吊り下げ、プレキャストブロックPB2のように設置する。
【0008】
燃焼室13と炭化室14を再構築するために、
図3のコークス炉1の上には、プレキャストブロックPB等を運ぶための走行クレーン2が設けられている。走行クレーン2は、クレーン車両等により炉天井15の上に持ち上げられて、装炭車(図示せず)用の軌条Rの上に設置される。軌条Rは、炉団方向SDに延在する。
図3に示す走行クレーン2は、クレーン枠21、クレーンレール22、移動レール23、車輪24、ウィンチ25を備える。クレーン枠21の上部には、炉長方向FDに延在するように2本のクレーンレール22が取り付けられている。また、2本のクレーンレール22の上に跨るように、炉団方向SDに延在する移動レール23が設けられている。走行クレーン2は、車輪24により、軌条Rの上に載置されている。炉団方向SDに延在する移動レール23は、クレーンレール22に沿って炉長方向FDに移動可能である。そして、移動レール23に移動可能に取り付けられたウィンチ25は、クレーン枠21に対して炉団方向SDと炉長方向FDに移動可能である。ウィンチ25はワイヤ3を巻き取り可能であり、ワイヤ3の下では把持装置4によりプレキャストブロックPB1が挟まれ、プレキャストブロックPB1は把持装置4により側面CS1で把持されている。クレーン枠21の下には車輪24が設けられており、走行クレーン2は軌条Rの上を炉団方向SDに移動可能である。軌条Rは炉天井15の上に設けられているが、積み替え範囲TRの上では宙に浮いた状態となっている。
【0009】
図3において、積み替え範囲TRの下に位置するコーベル16の上にはプレキャストブロックPB2が設置されている。そして、設置されたプレキャストブロックPB2の上には、走行クレーン2から他のプレキャストブロックPB1が吊り下げられている。以上のように、コークス炉1の上部には装炭車(図示せず)が走行する軌条Rが設けられており、軌条Rの上に走行クレーン2を設置して上部からプレキャストブロックPB1を吊り下ろして燃焼室13を構築する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2021-130783号公報
【文献】国際公開第2012/078036号
【文献】特開2017-137447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
プレキャストブロックPBは大きく重いため、耐火煉瓦12のように人間が手に持って所定位置に設置することはできず、走行クレーン2等のクレーンから吊り下げて設置する。そして、プレキャストブロックPBが重く作業スペースが狭い等の理由から、
図3に示すようにプレキャストブロックPB2をコーベル16の上や、他のプレキャストブロックPB1の上や側方に設置する際に、正確な位置に設置することが難しい。
図3のように、プレキャストブロックPB1を吊り下げて設置する際に、炉団方向SDにずれて設置してしまうと、炭化室14の両側に凹凸が生じる。そうすると、炭化室14で乾留されたコークスを押し出す際に凹凸が障害となり、コークスを押し出すことが難しくなる。
【0012】
本発明は、炉団方向SDにずれないように、プレキャストブロックPB1を容易に設置可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のガイド治具は、コークス炉用のプレキャストブロックを挟むことが可能な2枚のガイド板と、対向する2枚の前記ガイド板の間を接続する接続体を備え、2枚の前記ガイド板は、端部が外側へ拡がる湾曲部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、コークス炉にプレキャストブロックを容易に位置決めして設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】プッシャーサイドから見たコークス炉の断面図。
【
図2】プレキャストブロックにより形成した燃焼室等の斜視図。
【
図3】積み替え範囲にプレキャストブロックを吊り下げている状態を示すコークス炉の断面図。
【
図4】本発明の実施形態におけるプレキャストブロックを移動させている状態を示すコークス炉の断面図。
【
図7】実施例1のガイド治具をプレキャストブロックに設置した斜視図。
【
図8】実施例1のガイド治具を用いてプレキャストブロックを設置している状況の側面図。
【
図9】実施例2のガイド治具を用いてプレキャストブロックを設置している状況の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図4は、本発明の実施形態におけるプレキャストブロックPB1を移動させている状態を示すコークス炉1の断面図である。炉団方向SDに垂直なコークス炉1の断面図を示している。
図4において、横方向は炉長方向FDであり、奥行き方向は炉団方向SDである。
図4の矢印Sの向きから見た断面図は
図3であり、
図3の矢印Fの向きからみた断面図は
図4である。
【0017】
図3、4において、クレーンレール22や移動レール23によりウィンチ25が移動することにより、ウィンチ25から吊り下げられたコークス炉用のプレキャストブロックPB1は、炉団方向SDや炉長方向FDに移動する。そして、ウィンチ25でワイヤ3を伸ばすことにより、プレキャストブロックPB1は下方に移動する。このようにして、3次元の位置を制御してプレキャストブロックPB1は設置位置に設置される。
【0018】
図4において、ウィンチ25でワイヤ3を緩め、ウィンチ25を矢印Mの方向に移動させる。そうすると、ワイヤ3により吊り下げられたプレキャストブロックPB1は、その接続側端部SE1が、設置されているコークス炉用のプレキャストブロックPB2の接続側端部SE2に接するように、積み替え範囲TRに設置される。その際に、プレキャストブロックPB2に対して、
図3で示した炉団方向SDにずれないように、プレキャストブロックPB1を設置しなければならない。
【実施例1】
【0019】
実施例1では、プレキャストブロックPB1が炉団方向SDにずれないようにするため、
図4に点線で示した位置にガイド治具5を設置する。
図5に実施例1のガイド治具5の上面図を、
図6にガイド治具5の下面図を示す。本願では、プレキャストブロックPBに取り付けられた際の方向でガイド治具5の上下等を示す。ガイド治具5は、プレキャストブロックPB2を挟むことが可能な対向する2枚のガイド板51と、2枚のガイド板51の間を接続する接続体52を備える。2枚のガイド板51は平面部511と湾曲部512を有し、平面部511でコークス炉用のプレキャストブロックPB2を挟むことが可能である。また、2枚のガイド板51において、湾曲部512はガイド板51の斜め上方が外側へ拡がった形状となっている。2枚のガイド板51は、平面部511の上部で接続体52に接続している。ガイド板51において、炉長方向FDでの湾曲部512と反対側には、外側に錘53が設けられている。
【0020】
接続体52は、一方のガイド板51に接続する外部板521、他方のガイド板51に接続する内部板522、ボルト523、ナット524を有している。これらの構成を備えた接続体52は、2枚のガイド板51の間隔を調整するための調整機構となっている。
図6に示すように、外部板521と内部板522は、対向する辺の近傍が下方に直角に折り曲げられて、折曲げ部521aと折曲げ部522aとなっている。そして、外部板521の下側に内部板522が摺動可能に収容されている。
【0021】
図6に示すボルト523は、内部板522の裏側から穴(図示せず)に挿入されて、ボルト523の頭部が内部板522に溶接されて固定されたものである。また、
図5に示すように、外部板521には炉団方向SDに長い調整用長孔521bが設けられている。内部板522から上に突出した2本のボルト523は、外部板521の調整用長孔521bを通過して外部板521の上に突出する。そして、突出したボルト523にナット524が取り付けられ、外部板521の上からナット524を締めることにより、外部板521と内部板522が固定される。
【0022】
外部板521と、外部板521に接続したガイド板51は第1治具部品5Aを形成する。また、ボルト523を固定した内部板522と、内部板522に接続したガイド板51は、第2治具部品5Bを形成する。そして、第1治具部品5Aと第2治具部品5Bは、ボルト523に取り付けたナット524を締めることにより接続固定される。第1治具部品5Aと第2治具部品5B及び2つのナット524は、ガイド治具5を形成している。第1治具部品5Aと第2治具部品5Bは別々に運ぶことができるため、作業者が作業しやすい。
【0023】
図7に、実施例1のガイド治具5取り付けたプレキャストブロックPB2の斜視図を示す。第1治具部品5Aは、外部板521が、ガイド板51の上部で平面部511に固定されており、第2治具部品5Bも、内部板522が、ガイド板51の上部で平面部511に固定されている。ガイド治具5は、設置ずみのプレキャストブロックPB2の上に接続体52を載置して用いられる。ガイド治具5をプレキャストブロックPB2に取り付ける際には、第2治具部品5Bの内部板522をプレキャストブロックPB2の上に載置し、その上に、第1治具部品5Aの外部板521を載置する。内部板522の上に外部板521を載置する際には、2本のボルト523が調整用長孔521bを通るようにする。そして、ボルト523にナット524を取り付けてから、対向する2枚のガイド板51の間隔がプレキャストブロックPB2の炉団方向SDにおける幅になるように狭める。そして、ボルト523にナット524を締めつけることにより、第1治具部品5Aと第2治具部品5Bを固定して、ガイド治具5をプレキャストブロックPB2に取り付けることができる。
【0024】
取り付けたガイド治具5は、2枚のガイド板51における平面部511の内側がプレキャストブロックPB2の2つの側面CS2に接する。側面CS2はプレキャストブロックPB2が燃焼室13を形成した際に炭化室14を向く面である。そして、2枚のガイド板51の湾曲部512は、その炉長方向FDの端部が、プレキャストブロックPB2の接続側端部SE2近傍における側面CS2の面よりも外側に位置し、斜め上方に開いている。ガイド治具5は、接続体52の下側と2つのガイド板51における平面部511の内面でプレキャストブロックPB2に接して固定される。以上のようにして、ガイド治具5はプレキャストブロックPB2の上に取り付けられる。
【0025】
図8は、ガイド治具5を用いてプレキャストブロックPB1を設置している状況を示す側面図である。コーベル16の上に設置されたプレキャストブロックPB2に、ガイド治具5が取り付けられている。ガイド板51は、平面部511と、斜線で示す湾曲部512を備えている。平面部511と湾曲部512の境界は、炉長方向FDと垂直方向に対して斜めになっている。湾曲部512は境界の斜め上に位置して斜め上方(
図8においては左斜め上)に向かって外側に開いている。ガイド治具5は、ガイド板51の端部近傍に錘53を有しており、湾曲部512の側が自重により下がりにくくなっている。
【0026】
図8は、吊り下げられたプレキャストブロックPB1を上方から斜めに下して、プレキャストブロックPB2の炉長方向FDに接するように設置しようとしているところを示しており、
図4の下方を部分拡大したものである。把持装置4は表示を省略している。
図4、8の状態の後にプレキャストブロックPB1がプレキャストブロックPB2の横に設置されると、プレキャストブロックPB1の接続側端部SE1と、プレキャストブロックPB2の接続側端部SE2が接する。
【0027】
プレキャストブロックPB2は、
図7に示す形状であって、接続側端部SE2は炉長方向FDに少し突出している。プレキャストブロックPB1も
図7に示したプレキャストブロックPB2と同じ形状である。そして、
図7の接続側端部SE2における炉長方向FDの反対側の端部に相当するプレキャストブロックPB1の接続側端部SE1は、中心部が凹んでいる。したがって、プレキャストブロックPB1の凹みにプレキャストブロックPB2の突出部が入り込むようにして、接続側端部SE1と接続側端部SE2は接続される。
【0028】
図8に示すように、ガイド板51の平面部511における下方の一部は、プレキャストブロックPB2の接続側端部SE2から炉長方向FDに突出している。平面部511の内側は、
図3に示したプレキャストブロックPB2の側面CS2に接しており、側面CS2と同じ面となっている。また、湾曲部512は、ガイド板51の斜め上で側面CS2の面から外側に開いている。
図8では、湾曲部512は、吊り下げられたプレキャストブロックPB1に向かって開いている。湾曲部512は炉団方向SDに開いておりプレキャストブロックPB1の幅よりも広いため、吊り下げられたプレキャストブロックPB1は、2枚のガイド板51の内側に入りやすい。プレキャストブロックPB2に近づくに従い、プレキャストブロックPB1の接続側端部SE1は、湾曲部512により誘導される。そして、プレキャストブロックPB2の接続側端部SE2から突出した平面部511の間に入る。その後、プレキャストブロックPB2と接続した接続側端部SE1を基準として、プレキャストブロックPB1の側面CS1がプレキャストブロックPB2の側面CS2と同じ面になるように調整し、プレキャストブロックPB1を設置する。このようにして、プレキャストブロックPB1は、側面CS1がプレキャストブロックPB2の側面CS2と同じ面となるように設置される。
【0029】
プレキャストブロックPB1が設置されると、ガイド治具5のナット524を外して、ガイド治具5を取り外す。そして、次のプレキャストブロックPB1を設置するために、他のプレキャストブロックPB2の上にガイド治具5が取り付けられる。
【0030】
実施例1のガイド治具5では、調整用長孔521bの上で直接にナット524を締めている。しかし、調整用長孔521bの上にボルト523用の穴が開いた板を当てて、その上からナット524をボルト523に取り付けて締めてもよい。
【実施例2】
【0031】
実施例2のガイド治具6は、実施例1のガイド治具5におけるガイド板51の形状を異ならせたものである。
図9は、実施例2のガイド治具6を用いてプレキャストブロックPB1を設置している状況の側面図である。実施例1の
図8と同様に、吊り下げたプレキャストブロックPB1を、プレキャストブロックPB2の横に設置しようとしているところである。
【0032】
実施例2のガイド治具6は、プレキャストブロックPB2を挟むことが可能な2枚のガイド板61が接続体62(図示せず)により接続されている。接続体62の構造等は実施例1の接続体52と同様であり、外部板621(図示せず)と内部板622(図示せず)がガイド板61の平面部611に固定されている。接続体62も、2枚のガイド板61の間隔を調整するための調整機構を有している。一方、実施例2の2枚のガイド板61は、湾曲部612の炉長方向FDの端部が炉団方向SDに開いている。また、平面部611は、炉長方向FDで湾曲部612側の一部が接続側端部SE2よりも外側に突出するように設置される。実施例2のガイド板61では、平面部611と湾曲部612の境界が炉長方向FDに対して垂直である。そして、炉長方向FDにおいて、平面部611は境界の一方側に位置し、湾曲部612は境界の他方側に位置する。湾曲部612は、炉長方向FD(
図9においては左方向)に向かって外側に開き、炉団方向SDに開いている。
【0033】
ガイド治具6を用いてプレキャストブロックPB1を設置する際には、
図9に示すように、プレキャストブロックPB1の下端がガイド板61の側方に位置するまでプレキャストブロックPB1を下げる。そして、その後にプレキャストブロックPB1をプレキャストブロックPB2に近づける。そうすると、プレキャストブロックPB1の接続側端部SE1は、ガイド板61の湾曲部612に誘導されて、プレキャストブロックPB2の接続側端部SE2から突出した平面部611の間に入る。その後は実施例1と同様に、プレキャストブロックPB1を、側面CS1がプレキャストブロックPB2の側面CS2と同じ面となるように設置する。
【0034】
実施例1、2のガイド治具5、6は、設置されているプレキャストブロックPB2に取り付けた。しかし、吊り下げられたプレキャストブロックPB1に取り付けてもよい。
【0035】
その他、具体的な構成は実施例等に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の実施例等は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 コークス炉
11 蓄熱室
12 耐火煉瓦
13 燃焼室
14 炭化室
15 炉天井
16 コーベル
2 走行クレーン
21 クレーン枠
22 クレーンレール
23 移動レール
24 車輪
25 ウィンチ
3 ワイヤ
4 把持装置
5 ガイド治具
5A 第1治具部品
5B 第2治具部品
51 ガイド板
511 平面部
512 湾曲部
52 接続体
521 外部板
521a 折曲げ部
521b 調整用長孔
522 内部板
522a 折曲げ部
523 ボルト
524 ナット
53 錘
6 ガイド治具
61 ガイド板
611 平面部
612 湾曲部
62 接続体
621 外部板
622 内部板
PB プレキャストブロック
PB1 プレキャストブロック
PB2 プレキャストブロック
CS1 側面
CS2 側面
SE1 接続側端部
SE2 接続側端部
TR 積み替え範囲
R 軌条
FD 炉長方向
SD 炉団方向
【要約】
【課題】本発明は、炉団方向にずれないように、プレキャストブロックを容易に設置可能とすることを課題とする。
【解決手段】本発明のガイド治具は、コークス炉用のプレキャストブロックを挟むことが可能な2枚のガイド板と、対向する2枚の前記ガイド板の間を接続する接続体を備え、2枚の前記ガイド板は、端部が外側へ拡がる湾曲部を有することを特徴とする。
【選択図】
図7