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特許7644566電磁効果保護被覆を有するブラインドファスナシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】電磁効果保護被覆を有するブラインドファスナシステム
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/04 20060101AFI20250305BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20250305BHJP
   B64D 45/02 20060101ALI20250305BHJP
   F16B 33/06 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
F16B37/04 U
B64C1/00 A
B64D45/02
F16B33/06 Z
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019109208
(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2020024036
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-05-26
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-23
(31)【優先権主張番号】16/011,162
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン, ブレイク エー.
(72)【発明者】
【氏名】エルスワース, デイブ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ホリー, スティーヴン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェア, マイケル ハワード-エドワード
(72)【発明者】
【氏名】コーウェル, ケイシー エム.
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】横山 幸弘
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第16/198600号(WO,A1)
【文献】特開2004-100837号公報(JP,A)
【文献】特開2015-224789号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0130335(US,A1)
【文献】米国特許第7857563(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/02
F16B 13/04
F16B 19/10
F16B 33/06
F16B 37/04
B64D 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑性金属被覆を備えるスリーブと、前記スリーブに挿入可能なコアボルトとを備えるブラインドファスナシステムであって、
前記潤滑性金属被覆はスズ、ビスマス、インジウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つを含み、
前記コアボルトがコアボルトシャンク及び前記コアボルトシャンクに接続された駆動プロビジョンを備え、
前記駆動プロビジョンがヘッド部分とシャンク部分とを備え、該ヘッド部分が横方向に向かい合った切断部を備える切り取られた円筒形であり、該切断部が鋸歯状面を備え、
前記駆動プロビジョンが第1の最大横断寸法を有し、前記コアボルトシャンクが第2の最大横断寸法を有し、前記第1の最大横断寸法は前記第2の最大横断寸法よりも大きい、
ブラインドファスナシステム。
【請求項2】
前記コアボルトは前記潤滑性金属被覆を備える、請求項1に記載のブラインドファスナシステム。
【請求項3】
前記スリーブの表面積の少なくとも50%は前記潤滑性金属被覆を備える、請求項1に記載のブラインドファスナシステム。
【請求項4】
前記スリーブは金属材料から形成される、請求項1に記載のブラインドファスナシステム。
【請求項5】
前記潤滑性金属被覆はスズを含む、請求項1に記載のブラインドファスナシステム。
【請求項6】
前記潤滑性金属被覆はスズとビスマスとを含む、請求項1に記載のブラインドファスナシステム。
【請求項7】
前記潤滑性金属被覆はスズと亜鉛とを含む、請求項1に記載のブラインドファスナシステム。
【請求項8】
前記潤滑性金属被覆はスズとビスマスと亜鉛とを含む、請求項1に記載のブラインドファスナシステム。
【請求項9】
前記潤滑性金属被覆はスズとインジウムとを含む、請求項1に記載のブラインドファスナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はブラインドファスナシステムに関し、より具体的にはブラインドファスナシステムに電磁効果(EME)保護を提供する被覆に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式ファスナは、構造アセンブリの2つ以上の構成要素を接合するために広く使用されている。例えば、機械式ファスナは、航空機の機体の構造的な構成要素の接合に広く使用されている。
【0003】
ブラインドファスナシステムは、一般的に片側取付ファスナとも称されるが、特定のタイプの機械式ファスナである。ブラインドファスナシステムはコアボルトとスリーブとを含み、コアボルトとスリーブは共に構造アセンブリの適切なボアに挿入され、構造アセンブリの片側のみから構造アセンブリに係合し、構造アセンブリの反対側からアクセスする必要はない。したがって、ブラインドファスナシステムは、構造アセンブリの片側へのアクセスが困難か、又は利用できないアプリケーションでの使用に適している。
【0004】
航空機は、落雷及び降水空電などの様々なソースから電磁効果(EME)を経験する。金属の航空機構造体は電気を通しやすいため、電磁効果に対して比較的感受性が低い。しかしながら、複合材(例えば、炭素繊維強化プラスチック)の航空機構造体では、電磁効果から生じる大きな電流や電磁力を誘導して逃がすことが容易ではない。ブラインドファスナなどの機械式ファスナが複合材の航空機構造体で使用されるときには、電磁効果から保護するステップが取られなければならない。
【0005】
したがって、当業者はブラインドファスナシステムの分野において研究開発の努力を継続している。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、開示したブラインドファスナシステムは、スズ、ビスマス、インジウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つを含有する潤滑性金属被覆を有するスリーブを含む。
【0007】
別の実施形態では、開示したブラインドファスナシステムは、スズ、ビスマス及びインジウムのうちの少なくとも1つを含有する潤滑性金属被覆を有するスリーブを含む。
【0008】
別の実施形態では、開示したブラインドファスナシステムは、アルミニウム(ほぼ純粋なアルミニウムなど)を含有する潤滑性金属被覆を有するスリーブを含む。
【0009】
別の実施形態では、開示したブラインドファスナシステムは、スリーブとスリーブに挿入可能なコアボルトとを含み、スリーブとコアボルトのうちの少なくとも1つは、スズ、ビスマス、インジウム及びアルミナのうちの少なくとも1つを含有する潤滑性金属被覆を含む。
【0010】
別の実施形態では、開示したブラインドファスナシステムは、スリーブとスリーブに挿入可能なコアボルトを含み、スリーブとコアボルトのうちの少なくとも1つは、スズ、ビスマス及びインジウムのうちの少なくとも1つを含有する潤滑性金属被覆を含む。
【0011】
さらに別の実施形態では、開示したブラインドファスナシステムは、スリーブとスリーブに挿入可能なコアボルトを含み、スリーブとコアボルトのうちの少なくとも1つは、アルミニウム(ほぼ純粋なアルミニウムなど)を含有する潤滑性金属被覆を含む。
【0012】
一実施形態では、スリーブとコアボルトとを含むブラインドファスナシステムに、電磁効果保護を付与するために開示した方法は、スリーブとコアボルトのうちの少なくとも1つを、スズ、ビスマス、インジウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つを含む被覆組成で被覆するステップを含む。
【0013】
別の実施形態では、スリーブとコアボルトとを含むブラインドファスナシステムに、電磁効果保護を付与するために開示した方法は、スリーブとコアボルトのうちの少なくとも1つを、スズ、ビスマス及びインジウムのうちの少なくとも1つを含む被覆組成で被覆するステップを含む。
【0014】
さらに別の実施形態では、スリーブとコアボルトとを含むブラインドファスナシステムに、電磁効果保護を付与するために開示した方法は、スリーブとコアボルトのうちの少なくとも1つを、アルミニウム(ほぼ純粋なアルミニウムなど)を含む被覆組成で被覆するステップを含む。
【0015】
ブラインドファスナシステムに電磁効果保護を付与するための関連する方法に加えて、電磁効果保護被覆を有する開示したブラインドファスナシステムの他の実施形態は、以下の詳細な説明、添付図面及び添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ブラインドファスナシステムのコアボルトの側面図である。
図2】コアボルトヘッドに含まれるフランジブル駆動プロビジョン(frangible driving provision)を有する図1のコアボルトの端面図である。
図3】スリーブの長さの一部に沿って軟化した部分を有するブラインドファスナシステムのスリーブの側断面図である。
図4図3のスリーブの端面図である。
図5】構造体の孔に取り付ける前の、図3のスリーブと組み合わせられた図1のコアボルトの側断面図である。
図6図1のコアボルトと図5の構造体に取り付けられた図3のスリーブの側断面図で、最小グリップ及び最大グリップでのファスナシステムの機能を示している。
図7】最大グリップ設定にある図6のファスナシステムの側断面図で、構造体の前面及びスリーブの軟化した部分の座屈から、軸に沿って後方に平行移動された、フランジブル駆動プロビジョンとコアボルトを示している。
図8】最小グリップ設定にある図7のファスナシステムの側断面図で、構造体の前面及びスリーブの軟化した部分の座屈から、軸に沿って後方に平行移動された、フランジブル駆動プロビジョンとコアボルトを示している。
図9】最小グリップ設定及び最大グリップ設定でファスナシステムに張力を加えるため、フランジブル駆動プロビジョンとコアボルトのスリーブに対する回転を示す、図8のファスナシステムの側断面図である。
図10】コアボルト、スリーブ、及び構造体の側断面図で、さらに、最小及び最大のグリップ設定で、所定のファスナ予荷重での、コアボルトヘッドからのフランジブル駆動プロビジョンの分離を図解している。
図11】取付ツールの構成の側断面図である。
図12図11の取付ツールの端面図である。
図13図11の取付ツールの端断面図である。
図14】取付ツールの更なる構成の側断面図である。
図15図14に示した取付ツールを補完するように構成されたフランジブル駆動プロビジョンの側面図である。
図16】フランジブル駆動プロビジョンの構成の側面図である。
図17図16に示したフランジブル駆動プロビジョンの端面図である。
図18】取付ツールの更なる構成の側断面図である。
図19図18に示した取付ツールを補完するように構成されたフランジブル駆動プロビジョンの側面図である。
図20】取付ツールの更なる構成の側断面図である。
図21図20に示した取付ツールの端断面図である。
図22図20に示した取付ツールを補完するように構成されたフランジブル駆動プロビジョンの側面図である。
図23】ツーピース片面取付ファスナシステムの取付方法に含まれうる一又は複数の操作を有するフロー図である。
図24】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
図25】航空機のブロック図である。
図26】開示した電磁効果保護被覆が施された図3のスリーブの一部の断面図である。
図27】開示した電磁効果保護被覆が施された図1のコアボルトの一部の断面図である。
図28】開示したブラインドファスナシステムの1つの代替構成によるコアボルトの側面図である。
図29図28のコアボルトのフランジブル駆動プロビジョンの斜視図である。
図30】開示したブラインドファスナシステムの別の代替的な構成に従うコアボルトの側面図である。
図31図30のコアボルトのフランジブル駆動プロビジョンの斜視図である。
図32】開示したブラインドファスナシステムの別の代替的な構成に従うコアボルトの側面図である。
図33図32のコアボルトのフランジブル駆動プロビジョンの斜視図である。
図34】開示したブラインドファスナシステムの別の代替的な構成に従うコアボルトの側面図である。
図35図34のコアボルトのフランジブル駆動プロビジョンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ブラインドファスナシステムのスリーブ(又はスリーブとコアボルトの両方)を、本書で開示しているように電磁効果保護被覆で覆うことによって、利点が得られることが見出された。本開示の電磁効果保護被覆は、スリーブがねじ切りされているか否かにかかわらず、本開示の範囲を逸脱することなく、スリーブに受容されたコアボルトを含む、様々なブラインドファスナシステムと共に使用されうる。
【0018】
ここで、様々な実施形態を示すための図を参照すると、図1には、本開示の1つの特定の非限定的な実施例による、例示のブラインドファスナシステム100のコアボルト150の側面図が示されている。図3は、構造体300の孔302(図5)に取り付けるため、図1のコアボルト150と組み合わせるようにサイズ決定され、構成されるスリーブ104の側面図である。図1では、コアボルト150は、コアボルトシャンク158を有するコアボルトヘッド152を含みうる。コアボルトシャンク158は、コアボルトシャンク158の長さの少なくとも一部に沿って形成され、コアボルト端162で終わるコアボルト雄ねじ(external core bolt threads)160を有しうる。コアボルトシャンク158は、コアボルトの長さ164の大部分に沿って、実質的にねじ山がないように示されているが、コアボルトシャンク158は、コアボルトヘッド152からコアボルト端162まで、コアボルトの長さ164の任意の部分に沿ってねじ切りされてもよい。
【0019】
図1では、コアボルトスレッド160は、コアボルトの直径166よりも小さな直径で形成されうる。しかしながら、コアボルトスレッド160は、コアボルトの直径166に対して任意の直径で形成されうる。コアボルト150は、コアボルト軸受面154を有する皿頭(countersunk head)156がテーパー処理された構成になっているように示されている。しかしながら、コアボルトヘッド152は、コアボルト軸受面154が一般的に平坦な、或いはテーパー処理されていない構成を有しうる、突出したヘッド構成(図示せず)を含む、任意の構成で提供されてもよい。
【0020】
図1及び図2では、フランジブル駆動プロビジョン180は、コアボルトヘッド152に含まれうる。一つの構成では、フランジブル駆動プロビジョン180は、コアボルトヘッド152及びコアボルトシャンク158と一体形成されてもよい。フランジブル駆動プロビジョン180は一般的に細長い形状を有し、コアボルトヘッド152から外に向かって突出しうる。フランジブル駆動プロビジョン180は一般的にコアボルト150のファスナ軸102に揃えられ、一般的にコアボルトヘッド152よりも小さな外径を有しうる。
【0021】
フランジブル駆動プロビジョン180は、軸方向並進機構192と回転機構186を含みうる。ブラインドファスナシステム100の取付の最初の部分で、構造体300の背面306(図5)に対してスリーブ104(図3)の軟化した部分132(図5)の座屈を引き起こすように、軸方向並進機構192は、構造体300(図5)の前面304(図5)から遠ざかる後方向に沿って、コアボルトヘッド152の軸方向の並進又は変位を促進するように構成されてよい。以下で詳細に説明するように、構造体300の背面306に対して、軟化した部分132が座屈した後に、ブラインドファスナシステム100に張力予荷重(tension preload)を加えるため、回転機構186はスリーブ104に対してコアボルト150を回転するように構成されてよい。
【0022】
図2では、軸方向並進機構192は、コアボルト150を軸方向に並進させるためにフランジブル駆動プロビジョン180に形成されうる、ヘリカルスレッド194(図15)、環状溝196、又は他の幾何形状のうちの少なくとも1つを備える。ヘリカルスレッド194は、フランジブル駆動プロビジョン180の外部に形成されてよく、また、ブラインドファスナシステム100を取り付けるため、取付ツール400(図11図14)によって係合されるように構成されてよい。例えば、ヘリカルスレッド194は、以下で説明するように、取付ツール400(図11図14)のコレット410の雌ねじと同一のねじピッチとねじサイズで形成されてよい。ヘリカルスレッド194は、フランジブル駆動プロビジョン180の回転機構186の向かい合った一対の平坦部で遮られることがあり、或いは、ヘリカルスレッド194は、フランジブル駆動プロビジョン180の周囲で連続(図示せず)することもある。図7及び図8に示したように、構造体300の背面306に対して座屈したスリーブ部分138を平坦化するため、取付ツール400がフランジブル駆動プロビジョン180に十分な大きさの軸方向荷重(図示せず)を伝えうるように、ヘリカルスレッド194は、コレット410のねじによって十分な係合ができる長さで形成されてよい。
【0023】
軸方向並進機構192はオプションにより、取付ツール400のコレット410(図18及び図20)を補完するように構成される環状溝196(図1図19、及び図22)備えてよく、その結果、コレット410が環状溝196を掴み、構造体300の前面304から遠ざかるようにコアボルト150を軸方向に並進させうる。図19の環状溝196は、図18のコレット410を補完する溝ピッチと直径で形成されうる。さらに、図10に示したように、また、以下で説明するように、フランジブル駆動プロビジョン180がコアボルトヘッド152から破断するときには、環状溝196は、フランジブル駆動プロビジョン180がコレット410から容易に離れるように構成されている。例えば、コアボルトヘッド152から破断した後、コレット410がフランジブル駆動プロビジョン180をスライド可能に開放することができるように、環状溝196は傾斜した面を有してもよい。
【0024】
軸方向並進機構192は、フランジブル駆動プロビジョン180の外側に形成されるように示されているが、フランジブル駆動プロビジョン180内部に形成されうるボア(図示せず)内など、フランジブル駆動プロビジョン180の内側に形成されてもよい。回転機構186は、フランジブル駆動プロビジョン180の内側又は外側に形成され、フランジブル駆動プロビジョン180及びコアボルト150の回転を促進するように構成された、一又は複数のカットされた面188又は他の特徴を含みうる。例えば、図2は、以下で説明される取付ツールの回転駆動部材(例えば、矩形のスロットを有する回転ソケット、図示していない)を受容するための向かい合った平坦部190を備える、外側のカットされた面188を有するフランジブル駆動プロビジョン180を示している。
【0025】
フランジブル駆動プロビジョン180は、ブラインドファスナシステム100に張力予荷重を加えた後に、コアボルトヘッド152から分離されるように構成されうる。例えば、フランジブル駆動プロビジョン180は、フランジブルピンテール182とコアボルトヘッド152との間の界面198に折り溝(break groove)184を有するフランジブルピンテール182を備える。折り溝184は、フランジブルピンテール182の残りの部分に沿った断面積に対して、界面198に小さな断面積を提供しうる。
【0026】
図3を参照すると、ブラインドファスナシステム100のスリーブ104の側面図が示されている。スリーブ104は、スリーブヘッド106からスリーブテール126まで延在してスリーブ長118を確定する、一般的に中空の管状構成を有する、スリーブヘッド106とスリーブシャンク114とを有しうる。スリーブ104は、コアボルトの直径166(図1)を補完するようにサイズ決定されたスリーブ内径122を有しうる。スリーブ104は、構造体300(図5)の孔302(図5)の直径を補完するようにサイズ決定されるスリーブ外径120を有しうる。例えば、スリーブ外径120は、以下に示すように、構造体300(図5)の孔302に隙間嵌め又は締まり嵌めを提供するようにサイズ決定され、構成されうる。スリーブシャンク114は、スリーブ外径120によって部分的に決定されうるスリーブ壁厚124に提供されうる。例えば、約0.25インチのスリーブ外径120に対しては、スリーブ壁厚124は約0.015~0.030インチになりうる。約0.38インチのスリーブ外径120に対しては、スリーブ壁厚124は約0.030~0.050インチになりうる。しかしながら、スリーブ104は任意のスリーブ壁厚124で提供されてよく、上述の範囲に限定されない。
【0027】
図3では、スリーブ104は、スリーブ長118の少なくとも一部に沿って延在するアニールされた部分など、軟化した部分132を含みうる。軟化した部分132は、軟化した部分132が構造体300の背面306(図5)に対して座屈され、座屈したスリーブ部分138(図7)を形成するように、スリーブ長118に沿って配置されうる。軟化した部分132は、環状形状又は帯形状であってよく、高い延性、高い柔軟性、軸方向の圧縮荷重下での高い座屈傾向、及び/又は、延性、柔軟性、座屈傾向に対する高い成形性、或いは、軟化した部分132の外側の位置でのスリーブ104の成形性を有しうる。例えば、限定するものではないが、スリーブ104材料の軟化が望まれる位置で、スリーブ104の上に置かれた誘導コイル(図示せず)を用いることなどにより、スリーブ104の局所熱処理又はアニーリングを含む、様々な異なる手段のうちの任意の1つによって、軟化した部分132はスリーブ104に形成されうる。軟化した部分132は、軸方向の荷重下で高い座屈傾向をもたらしうるスリーブ壁厚(図示せず)の削減など、スリーブ断面(図示せず)を変えることによって、スリーブ104に形成されてもよい。しかしながら、軟化した部分132は、様々な異なる手段のうちの任意の1つでスリーブ104に形成されてよく、局所熱処理によるアニーリングに限定されない。
【0028】
図3では、スリーブシャンク114は、スリーブ104の端部に形成される内側スリーブスレッド116を含みうる。内側スリーブスレッド116は、コアボルトスレッド160を補完するように形成され、スリーブテール126で終わる。スリーブテール126は、構造体にブラインドファスナシステム100を取り付けた後など、スリーブ104に対してコアボルト150の回転を制限するように構成された固定機構128を含みうる。固定機構128は、スリーブテール126に隣接するスリーブシャンク114の上に形成されうる、スリーブ環状溝130を含みうる。しかしながら、固定機構128は、様々な異なる構成の任意の1つで構成されてよく、スリーブ環状溝130に限定されない。これに関連して、固定機構128は、内側スリーブスレッド116に対してコアボルトスレッド160の回転を制限しうる任意の機構を含みうる。例えば、固定機構128は、スリーブテール126に隣接する内側スリーブスレッド116に形成されるナイロンパッチを含みうる。代替的に、固定機構128は、構造体にブラインドファスナシステム100を取り付けた後、スリーブ104に対するコアボルト150の回転を制限する内側スリーブスレッド116の局所形成を含みうる。
【0029】
図3及び図4を参照すると、スリーブ104は、テーパー処理された構成によって、構造体300(図5)に対して耐えるスリーブ軸受面108を有する皿頭110を有するように示されている。しかしながら、スリーブヘッド106は、スリーブ軸受面108が構造体300の表面に対して一般的に平坦及び/又は平行である、突出したヘッド構成(図示せず)で提供されうる。これに関連して、スリーブヘッド106は任意の構成で提供されてよく、皿頭構成又は突出したヘッド構成に限定されない。スリーブヘッド106は、コアボルトヘッド152を受容するようにサイズ決定され構成されうるコアボルトポケット112を含みうる。示した構成では、スリーブヘッド106は、図1に示した皿頭構成を有するコアボルト150を受容するようにサイズ決定され構成されている。しかしながら、上記に示したように、スリーブヘッド106及びコアボルトヘッド152は、皿頭、突出したヘッド(図示せず)、又は他のヘッド構成の様々な組み合わせのうちの任意の1つで提供されうる。
【0030】
図4では、スリーブヘッド106は、ブラインドファスナシステム100の取付中に、コアボルト150に対して、及び/又は構造体300(図5)の孔302(図5)に対して、スリーブ104の回転を防止するための手段を提供する回転防止機構134を含みうる。例えば、スリーブヘッド106は、スリーブ104が通って延びるコアボルト150及び/又は孔302(図5)に対してスリーブ104の回転を防止するため、取付ツール(図示せず)によって係合されるようにサイズ決定され構成されうる、一又は複数の凹み又は突出136を含みうる。
【0031】
スリーブ104及びコアボルト150は、任意の金属材料及び/又は非金属材料を含む、様々な異なる材料のうちの任意の1つから形成されうる。例えば、コアボルト150及び/又はスリーブ104は、6-6-2Ti、6-4Ti、3-8Ti及び他のチタン合金を含むチタン合金から形成されうる。コアボルト150及び/又はスリーブ104はまた、鋼及び/又はA286、A304、及びA266 CRESを含むステンレス鋼、又は他のステンレス鋼合金から形成されうる。コアボルト150及び/又はスリーブ104はまた、インコネル、ニッケル、コバルト及び任意の合金、又はこれらの組み合わせから形成されうる。
【0032】
図5を参照すると、構造体300の孔302にコアボルト150/スリーブ104アセンブリを取り付ける前に、スリーブ104と組み合わせられたコアボルト150が示されている。構造体300は前面304と背面306を有しうる。ブラインドファスナシステム100が最初に孔302に取り付けられ、コアボルト150を軸方向に並進させるときには、コアボルト150のコアボルトシャンク158がスリーブ104の固定機構128と係合しないように、コアボルト150がサイズ決定されることが好ましい。図5では、スリーブ104の固定機構128は、内側スリーブスレッド116のねじ山2~3個以上を占めうる。スリーブ104の軟化した部分132は、以下で詳細に説明するように、軟化した部分132の少なくとも一部が構造体300の背面306のすぐ下に位置するように、スリーブ長118に沿って配置されることが好ましい。
【0033】
図5では、構造体300の前面304は、スリーブ軸受面108を補完するように構成されうる構造体軸受面308を有しうる。例えば、テーパー処理された軸受面を備える皿頭構成を有するスリーブヘッド106に対して、構造体軸受面308は同様にテーパー処理されうる。孔302は、スリーブ外径120を補完するように好ましくサイズ決定され、構成される孔302の直径を有しうる。孔302は、スリーブ外径120との隙間嵌め(clearance fit)を提供するように、又は、スリーブ外径120との締まり嵌め(interference fit)を提供するように、サイズ決定され構成されうる。ある構成では、ブラインドファスナシステム100は、構造体300の孔302に挿入する前に、密封剤でスリーブ104を被覆することによって取り付けられてもよい。例えば、複合材構造体300内での、金属スリーブ104/コアボルト150アセンブリの取付に関しては、スリーブ104は、ガルバニック腐食から保護するため湿式密封剤で被覆されてもよい。スリーブ104はまた、仕上げ状態の一部として、一又は複数の種類の被覆を含みうる。このような被覆は、孔302(例えば、締まり嵌め孔)へのスリーブ104の挿入時に、或いは、クリアランス孔などの他の種類の孔の取り付けを容易にするために、摩擦を軽減しうる。このような被覆は、アルミニウム顔料被覆、乾燥被膜潤滑剤(例えば、二硫化モリブデン)などの潤滑性被覆、又は他の様々な種類の被覆のうちの任意の1つを含みうる。
【0034】
図6を参照すると、構造体300内に取り付けられたコアボルト150とスリーブ104の側面図が示されており、ブラインドファスナシステム100の最小グリップ312及び最大グリップ310の能力が図解されている。図6は、ブラインドファスナシステム100への最小グリップ312の適用を表す実線で示された構造体300を図解している。最小グリップ312の適用では、スリーブ104の軟化した部分132が構造体300の背面306の表面の上方及び下方に延在して、背面306に対して軟化した部分132の座屈が可能になるように、スリーブ104は構成されうる。図6はまた、ブラインドファスナシステム100への最大グリップ310の適用を表す二点鎖線で示された構造体300を図解している。最大グリップ310の適用では、スリーブ104の軟化した部分132が構造体300の背面306の上方及び下方に延在して、背面306に対して軟化した部分132の座屈が可能になるように、スリーブ104は構成されうる。
【0035】
有利には、開示したブラインドファスナシステム100は、構造体300の比較的大きなグリップ範囲314(例えば、大きな厚みの変動)に取り付けられうる。例えば、開示したブラインドファスナシステム100の単一の構成は、少なくとも0.10インチのグリップ範囲314を提供する軟化した部分132を含みうる。開示したブラインドファスナシステム100によって提供される、このような比較的大きなグリップ範囲314は、比較的小さなグリップ範囲314(例えば、0.050又は0.063インチ)を有する従来のファスナシステムでは、長さの異なる多数のファスナを在庫しなければならないのに対して、在庫しなければならない長さの異なるファスナの数を最小限に抑えるため有利である。加えて、比較的大きなグリップ範囲は、構造体の製造許容誤差により、取付が予測される構造の厚みの範囲を超えうる、付加的なグリップ能力を提供しうる。
【0036】
図7を参照すると、最大グリップ310を適用した取付の初期段階での、ブラインドファスナシステム100の側面図が示されている。フランジブル駆動プロビジョン180及びコアボルト150は、構造体300の前面304から遠ざかる後方向に沿って、軸方向に並進される。コアボルト150の軸方向の並進は、以下で説明されるように、フランジブル駆動プロビジョン180の軸方向並進機構192を取付ツールに係合することによって提供されうる。スリーブヘッド106は、コアボルト150の軸方向での並進中に、構造体軸受面308(図5)に接触して維持されうる。前面304から遠ざかるコアボルトヘッド152の変位は、構造体300の背面306に対して軟化した部分132を座屈させる結果となる。軟化した部分132は、半径方向外向きに座屈し、構造体300の背面306に対して、平坦な環状の座屈したスリーブ部分138となりうる。
【0037】
図8を参照すると、最小グリップ312を適用した取付時のブラインドファスナシステム100が示されている。図7に示した最大グリップ310適用時のコアボルトヘッド152の変位量と比較して、コアボルトヘッド152は構造体300の前面304から大きく離された位置に移動している。加えて、図8に示した最小グリップ312適用時の座屈したスリーブ部分の直径140は、図7に示した最大グリップ310適用時の座屈したスリーブ部分の直径140よりも大きくなっている。
【0038】
有利には、スリーブ104は、軟化した部分132が背面306に対して座屈して、比較的大きな軸受面積を有する平坦に座屈したスリーブ部分138になるように、サイズ決定され構成されてよい。例えば、スリーブ104は、軟化した部分132が座屈して、スリーブ外径120(図3)の1.2倍の最小直径を有する座屈したスリーブ部分138になるように、サイズ決定され構成されてよい。これに関連して、スリーブ104は、座屈したスリーブ部分の直径140がスリーブ外径120(図3)の約1.2~1.5倍の範囲内に入るように、サイズ決定され構成されてよい。しかしながら、スリーブ104は、座屈したスリーブ部分の直径140は、スリーブ外径120の1.2~1.5倍よりも大きく、或いは小さくなるように、サイズ決定され構成されてよい。
【0039】
図9を参照すると、フランジブル駆動プロビジョン180に提供された回転機構186を用いて、回転力がコアボルト150に加えられうるブラインドファスナシステム100が示されている。図9の構造体300の上部は、構造体300での最大グリップ310設定を示しており、図9の構造体300の下部は最小グリップ312設定を示している。図9では、座屈したスリーブ部分138のねじり変形なしでコアボルト150が回転されるように、座屈したスリーブ部分138はほぼ完全に形成されている。そうでない場合には、ファスナからファスナまでの張力予荷重の整合性を損なうことがある。スリーブ104に対してコアボルト150の回転を引き起こすように、フランジブルピンテール182の回転機構186のカットされた面188を係合することにより、コアボルト150はスリーブ104に対して回転されうる。例えば、取付ツール(図示せず)は、フランジブルピンテール182上の回転機構186に係合するように構成された回転駆動ビットを含みうる。
【0040】
有利には、スリーブ104に対するコアボルト150の回転は、ブラインドファスナシステム100に張力予荷重を適用するか、コアボルト150の軸方向の並進(図7及び図8)の結果として、ブラインドファスナシステム100に誘導された張力予荷重を高めることになる。図9では、コアボルトスレッド160がスリーブテール126の固定機構128に係合しているため、フランジブルピンテール182の回転は、コアボルトヘッド152をスリーブヘッド106に向かって後方に並進させる。コアボルト150が所定のファスナ予荷重316に達するまで、スリーブ104に対して回転される間、張力予荷重は、ブラインドファスナシステム100で(例えば、スリーブ104及びコアボルト150で)高まることがある。
【0041】
図10を参照すると、構造体300の最大グリップ310設定及び最小グリップ312設定でのブラインドファスナシステム100の設定が示されている。所定のファスナ予荷重316(図9)に達すると、フランジブルピンテール182とコアボルトヘッド152との間の界面198で破断することによって、フランジブル駆動プロビジョン180はコアボルトヘッド152から分離しうる。例えば、フランジブルピンテール182は、フランジブルピンテール182とコアボルトヘッド152との間の界面198に形成される折り溝184で破断を引き起こすねじり荷重により、コアボルトヘッド152から分離しうる。フランジブルピンテール182はまた、フランジブルピンテール182とコアボルトヘッド152との間の界面198で、張力荷重能力を超えるまで、フランジブル駆動プロビジョン180を軸方向に並進させること(例えば、引っ張ること)によって、コアボルトヘッド152から分離されてもよい。さらには、フランジブルピンテール182は、コアボルトヘッド152に対してフランジブルピンテール182を曲げ、曲げ荷重下で破断(fracturing)を引き起こすことによって、コアボルトヘッド152から分離されてもよい。
【0042】
ファスナ予荷重316は、コアボルト150/スリーブ104に張力予荷重を含み、構造体300を作り上げる一又は複数の構成要素の固定を意味する構造体300の圧縮予荷重に対応しうる。ブラインドファスナシステム100は、フランジブルピンテール182がコアボルトヘッド152から回転可能に破断する(例えば、ねじれる)点(すなわち、ファスナ予荷重)を制御するように構成されうる。例えば、ファスナ予荷重316は、座屈したスリーブ部分138が構造体300の背面306に対して平坦化された後に、スリーブ104に対するフランジブルピンテール182の回転量によって特徴付けられうる。
【0043】
図11図14を参照すると、ブラインドファスナシステム100(図9)の取付用に実装されるよう、取付ツール400の構成が示されている。取付ツール400は、側壁408と軸受フランジ404を有するハウジング402を含みうる。コレット410は、ハウジング402内で軸方向にスライド可能で、ハウジング402に形成されうるテーパー412に対して耐えうる。フランジブル駆動プロビジョン180(図10)又はフランジブルピンテール182(図10)がコアボルトヘッド152(図10)から破断した後、取付ツール400からフランジブル駆動プロビジョン180を放出するため、取付ツール400には放出ばね418が含まれうる。フランジブルピンテール182(図15)に上に形成されうる軸方向並進機構192(例えば、図15のヘリカルスレッド194、環状溝196)の上で、コレット410が軸方向に動かされるように、コレット410は図13に示したようにセグメント化され、コレット410セグメントは軸方向に拡張することができる。六角ピンなどの回転駆動部材416は、コレット410内で軸方向にスライドしうる。回転駆動部材416(例えば、6角ピン)は、フランジブルピンテール182(図15)の回転機構186(例えば、六角ボア)に係合しうる。
【0044】
図12を参照すると、図11の取付ツール400の端面図が示されており、スリーブヘッド106(図3及び図4)の上に形成されうる回転防止機構134に係合するため、軸受フランジ404に含まれうるスリーブ係合機構406を図解している。図12はさらに、フランジブルピンテール182(図15)に形成された六角形にカットされた面188(例えば、六角ボア)に係合するための、回転駆動部材416(例えば、六角ピン)の六角形を図解している。図13は、セグメント化されたコレット410と回転駆動部材416を図解する取付ツール400の端部断面図である。
【0045】
図11図15を参照すると、動作中、軸受フランジ404上のスリーブ係合機構406がスリーブヘッド106の回転防止機構134に係合するように、取付ツール400はフランジブルピンテール182の上方に適用されうる。取付ツール400はフランジブルピンテール182の上方に適用されるため、コレット410の自由端はフランジブルピンテール182の自由端に接触し、これにより、セグメント化されたコレット410は、フランジブルピンテール182の上に形成されうるヘリカルスレッド194の上方で、半径方向に拡大し、軸方向に移動する。コレット410がフランジブルピンテール182のヘリカルスレッド194の上方で軸方向に動かされるように、取付ツール400は、フランジブルピンテール182の回転機構186(例えば、六角形ボア)に回転駆動部材416を付勢するため、ハウジング402内に付勢ばね414を含みうる。付勢ばね414が回転駆動部材416上に形成された環状フランジ417に耐えうるように、付勢ばね414は、回転駆動部材416の外径又は幅よりも大きな直径を有してよい。
【0046】
取付ツール400の軸受フランジ404がスリーブヘッド106に対して配置され、コレット410スレッドがフランジブルピンテール182のヘリカルスレッド194に係合された後、コレット410及びコアボルト150は、構造体300の前面304(図7及び図8)から遠ざかるように軸方向後ろ向きに並進されうる。コレット410の外表面は、ハウジング402の内部に形成されるテーパー412に耐え、これは、フランジブルピンテール182のヘリカルスレッド194上のコレット410スレッドの固定力を高めうる。コレット410の回転によって、コアボルト150は前面304(図7及び図8)から遠ざかるように軸方向後ろ向きに並進されるため、回転駆動部材416は、コアボルト150の回転を最初に防止するように構成されている。コレット410の回転は、図7及び図8に示したように、スリーブ104の軟化した部分132(図7及び図8)が座屈して、構造体300の背面306に対して平坦な形状になるまで続く。
【0047】
軟化した部分132(図7及び図8)の平坦化が完了すると、回転駆動部材416は、コレット410に形成された六角ボア419内に格納されうる。次に、コレット410と回転駆動部材416は回転され(図9)、所定のファスナ予荷重に達するまで、ブラインドファスナシステム100の張力予荷重の増加をもたらすコアボルト150の回転を引き起こす。フランジブルピンテール182の折り溝184は、所定のファスナ予荷重でコアボルトヘッド152から分離又は破断(図10)するように構成されうる。放出ばね418は、ハウジング402のテーパー412から離れるようにコレット410の外表面を動かし、これにより、セグメント化されたコレット410が拡張し、フランジブルピンテール182を解放することができる。フランジブルピンテール182は、放出ばね418によって、コレット410から放出されうる。
【0048】
図16及び図17を参照すると、外部回転機構186を有するフランジブル駆動プロビジョン180の構成が示されている。回転機構186は、取付ツール(図示せず)の補完的な回転駆動部材416(図示せず)によって係合するように、サイズ決定され構成されうる、テーパー処理された平坦部422のペアを含みうる。図16及び図17のフランジブル駆動プロビジョン180の係合は、図11図15に示した取付ツール400の操作に関して説明された係合に類似しうる。
【0049】
図18及び図19を参照すると、取付ツール400(図18)と補完的なフランジブル駆動プロビジョン180(図19)の構成が示されている。取付ツール400は、フランジブル駆動プロビジョン180に形成されうる外部レンチ平坦部432に係合するように構成された、内部レンチ平坦部430を含みうる。取付ツール400は、スリーブ104に対してコアボルト150を軸方向に並進させるため、フランジブル駆動プロビジョン180に形成された補完的な環状溝196を有するコレット410を含みうる。次に、取付ツール400の外部レンチ平坦部432は、ブラインドファスナシステム100に所望の張力予荷重を適用するため、コアボルト150を回転するように回転されてもよい。
【0050】
図20図22を参照すると、スリーブ104から遠ざかるようにコアボルト150を引っ張る、或いは軸方向に並進させるため、フランジブル駆動プロビジョン180に形成された外部環状溝196に係合するための内装環状溝を備えた、セグメント化されたコレット410を有する取付ツール400の構成が示されている。図21は、フランジブル駆動プロビジョン180(図22)の補完的な外径平坦部442のペアに係合するように、コレット410に形成された内径平坦部440のペアを図解している。図20図22の取付ツール400の操作は、図11図15に示した取付ツール400に関して上述した操作と同様になりうる。
【0051】
図23は、上述のようにブラインドファスナシステム100(図1)を実装する方法500のフロー図である。有利には、本書に開示のブラインドファスナシステム100及び方法は、ブラインドファスナシステム100に比較的高い予荷重を実現する手段を提供し、構造体300の背面に比較的大きな軸受領域を提供する。加えて、ブラインドファスナシステム100及び方法は、ブラインドファスナシステム100によって提供される比較的大きなグリップ範囲によって、比較的大きな構造体の厚み変動に順応する。
【0052】
図23の方法500のステップ502は、図6に示したように、前面304と背面306を有する航空機構造体300など、構造体300の孔302にコアボルト150及びスリーブ104を挿入することを含みうる。図は単一の構成要素を備えるように構造体300を示しているが、構造体300は、ブラインドファスナシステム100を介して取り付けられうる2つ以上の構成要素から成っていてもよい。上述のように、コアボルト150は、コアボルトヘッド152に連結されたフランジブル駆動プロビジョン180を有する。フランジブル駆動プロビジョン180は、軸方向並進機構192(図1)及び回転機構186(図1)を含みうる。
【0053】
図23の方法500のステップ504は、図7及び図8に示したように、孔302の前面304から遠ざかるように、コアボルト150を後ろ向きに並進させることを含みうる。図7及び図8に示したように、コアボルト150は、フランジブル駆動プロビジョン180の軸方向並進機構192に係合することによって並進されうる。スリーブヘッド106は、孔302に対するスリープヘッドの軸方向の並進を防止するため、構造体300に抗して維持されうる。一構成では、コアボルト150は、スリーブ104の並進又は回転なしで、及び/又は、スリーブ104に対するコアボルト150の回転なしで、また、孔302に対するコアボルト150又はスリーブ104のいずれかの回転なしで、並進されることが好ましい。
【0054】
図23の方法500のステップ506は、図7及び図8に示したように、座屈したスリーブ部分138を形成するため、構造体300の背面306に対してスリーブ104の軟化した部分132を座屈することを含みうる。軟化した部分132は、図7及び図8に示したように、コアボルトヘッド152が構造体300の前面304から遠ざかるように並進されるにつれて、半径方向外向きに座屈して環状スリーブバルブになりうる。
【0055】
図23の方法500のステップ508は、図7及び図8に示したように、構造体300の背面306に対して、座屈したスリーブ部分138を平坦化することを含みうる。これに関連して、コアボルト150は、図7及び図8に示したように、座屈したスリーブ部分138が構造体300の背面306に対して一般的に平坦化されるまで、構造体300の前面304から遠ざかる方向に沿って一般的に並進されうる。しかしながら、軟化した部分132(図7及び図8)の座屈のプロセスは、軟化した部分の平坦化前の任意の時点で停止されてもよい。
【0056】
図23の方法500のステップ510は、図9に示したように、スリーブ104に対してコアボルト150を回転することを含みうる。コアボルト150は、図9に示したように、フランジブル駆動プロビジョン180に形成された回転機構186に係合することによって回転されうる。一構成では、回転機構186は、図9に示したように、フランジブル駆動プロビジョン180上に提供されうる一又は複数のカットされた面188又は他の回転機構幾何形状を備えうる。コアボルト150の回転中、コアボルトヘッド152は、図9に示したように、スリーブヘッド106のコアボルトポケット112内に戻り、入れ子になってもよい。コアボルト150の回転中、コアボルトスレッド160は、図9に示したように、スリーブテール126上の固定機構128に係合しうる。方法は、図4に示したように、スリーブヘッド106に形成されうる回転防止機構134(例えば、凹み又は突出)に係合することによって、スリーブ104に対してコアボルト150を回転するとき、孔302に対してスリーブ104の回転を防止することを含みうる。
【0057】
図23の方法500のステップ512は、スリーブ104(図9及び図10)に対するコアボルト150の回転に応答して、ファスナの張力を高めることを含みうる。有利には、座屈したスリーブ部分138を平坦化した後、スリーブ104は、ファスナの予荷重を促進しうる孔302(図9及び図10)に対する回転に抗するように抑制されうる。予荷重は、所定のファスナ予荷重316レベル(図9)に達するまで、(例えば、スリーブ104及びコアボルト150内で)増大しうる。
【0058】
図23の方法500のステップ514は、所定のファスナ予荷重316(図10)で、コアボルトヘッド152からフランジブル駆動プロビジョン180を分離することを含みうる。フランジブル駆動プロビジョン180は、フランジブル駆動プロビジョン180とコアボルトヘッド152との間の、界面198(図9)の変形能力を超えることによって、界面198で引張能力を超えるまでフランジブル駆動プロビジョン180(図10)を引っ張ることによって、或いは、界面198の曲げ能力を超えるまでフランジブル駆動プロビジョン180を曲げることによって、コアボルト150から分離するまで回転されうる。プロセスは、フランジブル駆動プロビジョン180とコアボルトヘッド152との間の界面198に形成されうる折り溝184(図10)で、コアボルトヘッド152からフランジブル駆動プロビジョン180を分離することを含みうる。
【0059】
図24及び図25を参照すると、本開示の構成は、図25に示したように、航空機の製造及び保守方法600、及び航空機602に照らして説明されうる。製造前の段階では、例示的な方法600は、航空機602の仕様及び設計604と、材料の調達606とを含みうる。製造段階では、航空機602の、構成要素及びサブアセンブリの製造608とシステムインテグレーション610とが行われる。その後、航空機602は、認可及び納品612を経て、運航614に供されうる。顧客により運航される間に、航空機602は定期的な整備及び保守616(改造、再構成、改修なども含みうる)が予定されている。
【0060】
例示的な方法600の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレーター(例えば顧客)によって実行又は実施されうる。本明細書の目的のために、システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでもよく、オペレーターは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってもよい。
【0061】
図25に示したように、例示的な方法600によって製造された航空機602は、複数のシステム620及び内装622を備えた機体618を含みうる。高レベルのシステム620の例には、推進システム624、電気システム626、油圧システム628、及び環境システム630のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムも含まれてよい。航空宇宙産業の例を示しているが、本開示の原理は、他の産業(自動車産業など)にも適用されうる。
【0062】
本書で構成された装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法600の一又は複数の任意のプロセスで採用されうる。例えば、製造プロセス608に対応する構成要素またはサブアセンブリは、航空機602の運航中614に製造される構成要素またはサブアセンブリと同様の方法で作製または製造されうる。また、一又は複数の装置の構成、方法の構成、或いはそれらの組み合わせは、例えば、航空機602の組立てを迅速化するか、又は航空機602のコストを削減することにより、製造プロセス608及び610で利用することができる。同様に、装置の構成、方法の構成、又はこれらの組み合わせのうちの一又は複数は、航空機602の運航中、例えば、限定しないが、整備及び保守616に利用することができる。
【0063】
ここで図26を参照すると、電磁効果保護被覆1000が、ブラインドファスナシステム100のスリーブ104の本体1002(図5)に適用される。したがって、スリーブ104の本体1002は、本体組成(例えば、本書で開示されているように、チタニウム合金、ステンレス鋼など)を有してよく、被覆1000は、スリーブ104の本体組成とは異なる被覆組成を有してよい。
【0064】
開示した電磁効果保護被覆1000は、スリーブ104全体を被覆しうる。しかしながら、スリーブ104全体に満たない被覆も想定されている。1つの表現では、スリーブ104の表面積の少なくとも50%が被覆1000によって被覆されてよい。別の表現では、スリーブ104の表面積の少なくとも60%が被覆1000によって被覆されてよい。別の表現では、スリーブ104の表面積の少なくとも70%が被覆1000によって被覆されてよい。別の表現では、スリーブ104の表面積の少なくとも80%が被覆1000によって被覆されてよい。別の表現では、スリーブ104の表面積の少なくとも90%が被覆1000によって被覆されてよい。
【0065】
図26に示したように、スリーブ104は外面1004と内面1006とを含みうる。開示した電磁効果保護被覆1000は、外面1004と内面1006の両方に適用されるように示されている。しかしながら、1つの変形では、被覆1000は1つの表面のみ、例えば、スリーブ104の外面1004のみに適用されうる。
【0066】
図27を参照すると、開示した電磁効果保護被覆1000はオプションにより、ブラインドファスナシステム100(図5)のコアボルト150の本体1010にも適用されうる。したがって、コアボルト150の本体1010は本体組成(例えば、本書で開示されているように、チタニウム合金、ステンレス鋼など)を有してよく、被覆1000は、コアボルト150の本体組成とは異なる被覆組成を有してよい。
【0067】
開示した電磁効果保護被覆1000は、コアボルト150全体(例えば、コアボルト150の全外面)を被覆しうる。しかしながら、コアボルト150全体に満たない被覆も想定されている。1つの表現では、コアボルト150の表面積の少なくとも50%が被覆1000によって被覆されてよい。別の表現では、コアボルト150の表面積の少なくとも60%が被覆1000によって被覆されてよい。別の表現では、コアボルト150の表面積の少なくとも70%が被覆1000によって被覆されてよい。別の表現では、コアボルト150の表面積の少なくとも80%が被覆1000によって被覆されてよい。別の表現では、コアボルト150の表面積の少なくとも90%が被覆1000によって被覆されてよい。
【0068】
開示した電磁効果保護被覆1000は潤滑性で、これにより、開示した方法500(図23)などを介して、ブラインドファスナシステム100の取付を促進する。開示した被覆1000はまた導電性で、これにより、電磁効果に対する保護を提供する。開示した被覆100はまた、電気的に炭素繊維と互換性があり、炭素繊維強化プラスチックから形成された構造体300(図5)との併用を促進する。
【0069】
開示した電磁効果保護被覆1000は金属性である。言い換えるならば、開示した電磁効果保護被覆1000は金属又は金属合金である。
【0070】
一実施形態では、開示した電磁効果保護被覆1000は、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)及びインジウム(In)のうちの少なくとも1つを含む金属被覆である。被覆1000の被覆組成は、設計上の検討事項であってよく、被覆組成の選択は、下部の本体1002、1010の本体組成、ブラインドファスナシステム100(図5)が使用される構造体300(図5)の組成など、多数の要因に依存しうる。
【0071】
開示した電磁効果保護被覆1000は、基本的に1つの金属(例えば、スズ、ビスマス又はインジウム)から成りうる。代替的に、被覆1000は、スズ、ビスマス及びインジウムのうちの少なくとも1つを含む合金であってよい。
【0072】
1つの表現では、開示した電磁効果保護被覆1000はスズであってよい(又は、スズを含んでよい)。言い換えるならば、被覆1000は基本的にスズ(例えば、ほぼ純粋なスズ)から成るか、スズ合金になりうる。適切なスズ合金は、少なくとも約50重量%のスズ、例えば、60重量%のスズ又は75重量%のスズを含みうる。適切なスズ合金の特有の非限定的な実施例の1つがスズ-インジウム(Sn-In)である。適切なスズ合金のもう1つの特有の非限定的な実施例がスズ-ビスマス(Sn-Bi)で、ビスマスの添加は、スズ-ビスマス合金の重量の約1~約3%になりうる。適切なスズ合金のさらに別の特有の非限定的な実施例がスズ-亜鉛(Sn-Zn)で、亜鉛の添加は、スズ-亜鉛合金の重量の約8~約15%になりうる。適切なスズ合金のさらに別の特有の非限定的な実施例がスズ-ビスマス-亜鉛(Sn-Bi-Zn)で、例えば、65.5Sn-31.5Bi-3Znである。
【0073】
別の表現では、開示した電磁効果保護被覆1000は、ビスマスであってよい(又は、ビスマスを含みうる)。言い換えるならば、被覆1000は基本的にビスマス(例えば、ほぼ純粋なビスマス)から成るか、ビスマス合金になりうる。適z切なビスマス合金は、電気めっき、機械めっき又は蒸着によって適用可能であってよく、少なくとも約50重量%のビスマス、例えば、少なくとも約60重量%のビスマス、又は少なくとも約70重量%のビスマス、又は少なくとも約80重量%のビスマス、又は少なくとも約90重量%のビスマスを含みうる。
【0074】
さらに別の表現では、開示した電磁効果保護被覆1000はインジウムであってよい(又は、インジウムを含んでよい)。言い換えるならば、被覆1000は基本的にインジウム(例えば、ほぼ純粋なビスマス)から成るか、ビスマス合金になりうる。適切なインジウム合金は、電気めっき、機械めっき又は蒸着によって適用可能であってよく、少なくとも約50重量%のインジウム、例えば、少なくとも約60重量%のインジウム、又は少なくとも約70重量%のインジウム、又は少なくとも約80重量%のインジウム、又は少なくとも約90重量%のインジウムを含みうる。適切なインジウム合金の特有の非限定的な実施例の1つがインジウム-スズ(In-Sn)である。
【0075】
1つの代替的な実施形態では、開示した電磁効果保護被覆1000は、基本的にアルミニウムからなる金属被覆である。例えば、被覆1000はほぼ純粋なアルミニウムであってよい。
【0076】
別の代替的な実施形態では、開示した電磁効果保護被覆1000は、アルミニウムを含む金属被覆である。言い換えるならば、被覆1000はアルミニウム合金であってよい。
【0077】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示した電磁効果保護被覆1000をブラインドファスナシステム100(図5)に適用するため、様々な技術が利用されうる。適切な適用技術の1つの実施例は、電気めっきである。適切な適用技術の別の実施例は、機械メッキである。適切な適用技術のさらに別の実施例は蒸着である。
【0078】
被覆1000の所望の被覆厚みT(図26及び図27)を実現するため、開示した電磁効果保護被覆1000がブラインドファスナシステム100に適用されうる。被覆厚みTは、設計上の検討事項であってよく、被覆組成、ブラインドファスナシステム100のサイズ、ブラインドファスナシステム100の幾何形状など、多数の要因に依存しうる。例えば、被覆厚みTは、約0.00001インチから約0.01インチまで、例えば、約0.00001インチから約0.001インチまで、例えば、約0.00001インチから約0.0001インチまで変化しうる。
【0079】
オプションにより、開示した電磁効果保護被覆1000は、リン酸化成処理又はクロム酸塩化成処理などの化成処理を受けうる。当業者であれば、化成処理の使用が開示したブラインドファスナシステム100のすべて又は一部の被覆(例えば、塗布)を促進しうることを理解するであろう。
【0080】
開示した電磁効果保護被覆1000は、本書で詳細に示され説明されている、スリーブ及びコアボルトを含むブラインドファスナシステム100を参照して提示されているが、当業者であれば、開示した電磁効果保護被覆1000は、本開示の範囲を逸脱することなく、コアボルト(又は、スリーブに受容されるマンドレルなどの他の機構)の有無にかかわらず、様々なスリーブを含むブラインドファスナシステムと共に使用されうることを理解するであろう、例えば、開示した電磁効果保護被覆1000は、ポップリベットなどのブラインドリベットのスリーブ(管状部分)に適用されうる。
【0081】
ブラインドファスナシステムに電磁効果保護を付与する方法も開示されており、ブラインドファスナシステムはスリーブを含みと、オプションで、スリーブに受容されるように構成されたコアボルトを含む。一実施形態では、開示された方法は、スズ、ビスマス及びインジウムのうちの少なくとも1つを含む被覆組成で、スリーブとコアボルトのうちの少なくとも1つを被覆するステップを含む。別の実施形態では、開示した方法は、スズ、ビスマス及びインジウムのうちの少なくとも1つを含む被覆組成で、スリーブとコアボルトの両方を被覆するステップを含む。別の実施形態では、開示した方法は、アルミニウム(例えば、ほぼ純粋なアルミニウム)又はアルミニウム合金で、スリーブとコアボルトのうちの少なくとも1つを被覆するステップを含む。さらに別の実施形態では、開示した方法は、アルミニウム(例えば、ほぼ純粋なアルミニウム)又はアルミニウム合金で、スリーブとコアボルトの両方を被覆するステップを含む。被覆ステップの後に化成処理が続いてもよい。
【0082】
図28図35を参照すると、新しいコアボルト、具体的にはコアボルト用の駆動プロビジョンが開示されている。新しい駆動プロビジョンは、複雑な製造を軽減しつつ、ブラインドファスナシステムの取付を改善する。取付が完了すると、新しい駆動プロビジョンは、分離、切断などにより、新しいコアボルトから取り外されうる。
【0083】
図28及び図29を参照すると、コアボルト1100はコアボルトシャンク1102を含み、コアボルトシャンク1102は延長されて、第1の端部1104と向かい合った第2の端部1106を含む。コアボルトヘッド1108は、コアボルトシャンク1102の第1の端部1104に配置される。コアボルトシャンク1102は、(例えば、全体的に又は部分的に)ねじ切りされてもよい。
【0084】
駆動プロビジョン1110は、コアボルト1100のコアボルトヘッド1108に接続される。取付ツールがコアボルト1100をファスナ軸102に沿って軸方向に引っ張ること(牽引)ができ、また、取付ツールがコアボルト1100をファスナ軸102の周りに回転(トルク生成)ができるように、駆動プロビジョン1110は、本書に開示した取付ツール400(図11)と同様に、取付ツールによって係合されるように意図されている。駆動プロビジョン1110は、コアボルトシャンク1102の最大横断寸法D2(直径)よりも大きな(例えば、実質的により大きな)最大横断寸法D1を有する。
【0085】
駆動プロビジョン1110は、ヘッド部分1112とシャンク部分1114とを含む。駆動プロビジョン1110のヘッド部分1112は、横方向に向かい合った切断部1116、1118を備え、鋸歯状面1120、1122を画定する切り取られた円筒形として構成される。当業者であれば、向かい合った切断部1116、1118はトルク生成を促進し、一方で鋸歯状面1120、1122は牽引を促進しうることを理解するであろう。
【0086】
図30及び図31を参照すると、コアボルト1200は、延長されて、第1の端部1204と向かい合った第2の端部1206を含む、コアボルトシャンク1202を含む。コアボルトヘッド1208は、コアボルトシャンク1202の第1の端部1204に配置される。コアボルトシャンク1202は、(例えば、全体的に又は部分的に)ねじ切りされてもよい。
【0087】
駆動プロビジョン1210は、コアボルト1200のコアボルトヘッド1208に接続される。取付ツールがコアボルト1200をファスナ軸102に沿って軸方向に引っ張ること(牽引)ができ、また、取付ツールがコアボルト1200をファスナ軸102の周りに回転(トルク生成)ができるように、駆動プロビジョン1210は、本書に開示した取付ツール400(図11)と同様に、取付ツールによって係合されるように意図されている。駆動プロビジョン1210は、コアボルトシャンク1202の最大横断寸法D2(直径)よりも大きな(例えば、実質的により大きな)最大横断寸法D1を有する。
【0088】
駆動プロビジョン1210は、ヘッド部分1212とシャンク部分1214とを含む。駆動プロビジョン1210のヘッド部分1212は六角形である。当業者であれば、六角形のヘッド部分1212は、トルク生成を促進し、一方で、駆動プロビジョン1210のより大きな最大横断寸法D1が牽引を促進しうることを理解するであろう。
【0089】
図32及び図33を参照すると、コアボルト1300は、延長されて、第1の端部1304と向かい合った第2の端部1306とを含む、コアボルトシャンク1302を含む。コアボルトヘッド1308は、コアボルトシャンク1302の第1の端部1304に配置される。コアボルトシャンク1302は、(例えば、全体的に又は部分的に)ねじ切りされてもよい。
【0090】
駆動プロビジョン1310は、コアボルト1300のコアボルトヘッド1308に接続される。取付ツールがコアボルト1300をファスナ軸102に沿って軸方向に引っ張ること(牽引)ができ、また、取付ツールがコアボルト1300をファスナ軸102の周りに回転(トルク生成)ができるように、駆動プロビジョン1310は、本書に開示した取付ツール400(図11)と同様に、取付ツールによって係合されるように意図されている。駆動プロビジョン1310は、コアボルトシャンク1302の最大横断寸法D2(直径)よりも大きな(例えば、実質的により大きな)最大横断寸法D1を有する。
【0091】
駆動プロビジョン1310は、ヘッド部分1312とシャンク部分1314とを含む。駆動プロビジョン1310のヘッド部分1312は、横方向に向かい合った切断部1316、1318を備える切り取られた円筒形として構成される。当業者であれば、向かい合った切断部1316、1318は、トルク生成を促進し、一方で、駆動プロビジョン1310のより大きな最大横断寸法D1が牽引を促進しうることを理解するであろう。
【0092】
図34及び図35を参照すると、コアボルト1400は、延長されて、第1の端部1404と向かい合った第2の端部1406とを含む、コアボルトシャンク1402を含む。コアボルトヘッド1408は、コアボルトシャンク1402の第1の端部1404に配置される。コアボルトシャンク1402は、(例えば、全体的に又は部分的に)ねじ切りされてもよい。
【0093】
駆動プロビジョン1410は、コアボルト1400のコアボルトヘッド1408に接続される。取付ツールがコアボルト1400をファスナ軸102に沿って軸方向に引っ張ること(牽引)ができ、また、取付ツールがコアボルト1400をファスナ軸102の周りに回転(トルク生成)ができるように、駆動プロビジョン1410は、本書に開示した取付ツール400(図11)と同様に、取付ツールによって係合されるように意図されている。駆動プロビジョン1410は、コアボルトシャンク1402の最大横断寸法D2(直径)よりも大きな(例えば、実質的により大きな)最大横断寸法D1を有する。
【0094】
駆動プロビジョン1410は、ヘッド部分1412とシャンク部分1414とを含む。駆動プロビジョン1410のヘッド部分1412はバルブ形状で、横方向に向かい合った切断部1416、1418を含む。当業者であれば、向かい合った切断部1416、1418はトルク生成を促進し、一方でヘッド部分1412のバルブ形状が牽引を促進しうることを理解するであろう。
【0095】
電磁効果保護被覆を有する様々なブラインドファスナシステムが示され、説明されてきたが、当業者であれば、本明細書を読むことで、修正例を想起するであろう。本願は、このような修正例を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0096】
本開示の一態様によれば、スズ、ビスマス、インジウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つを含む潤滑性金属被覆を備えるスリーブを備えるブラインドファスナシステムが提供される。
【0097】
本書に開示のブラインドファスナシステムはさらに、スリーブに挿入可能なコアボルトを備える。
【0098】
コアボルトが潤滑性金属被覆を備える、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0099】
スリーブの表面積の少なくとも50%が潤滑性金属被覆を備える、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0100】
スリーブが金属材料から形成される、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0101】
潤滑性金属被覆がスズを含む、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0102】
潤滑性金属被覆がスズとビスマスとを含む、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0103】
潤滑性金属被覆がスズと亜鉛とを含む、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0104】
潤滑性金属被覆がスズとビスマスと亜鉛とを含む、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0105】
潤滑性金属被覆がスズとインジウムとを含む、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0106】
潤滑性金属被覆がビスマスを含む、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0107】
潤滑性金属被覆がインジウムを含む、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0108】
潤滑性金属被覆がアルミニウムを含む、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0109】
潤滑性金属被覆がほぼ純粋なアルミニウムを含む、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0110】
コアボルトがコアボルトシャンク及びコアボルトシャンクに接続された駆動プロビジョンを備える、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0111】
駆動プロビジョンが第1の最大横断寸法を有し、コアボルトシャンクが第2の最大横断寸法を有し、第1の最大横断寸法は第2の最大横断寸法よりも実質的に大きい、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0112】
駆動プロビジョンがヘッド部分とシャンク部分とを備え、ヘッド部分が横方向に向かい合った切断部を備える切り取られた円筒形である、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0113】
切断部が鋸歯状面を備える、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0114】
駆動プロビジョンがヘッド部分とシャンク部分とを備え、ヘッド部分が六角形である、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0115】
駆動プロビジョンがヘッド部分とシャンク部分を備え、ヘッド部分がバルブ形状で横方向に向かい合った切断部を備える、ブラインドファスナシステムが開示される。
【0116】
本開示の別の態様によれば、スリーブを含むブラインドファスナシステムに電磁効果保護を付与するための方法であって、スズ、ビスマス、インジウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つを含む潤滑性金属被覆組成によってスリーブを被覆することを含む方法が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
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