(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】乗員保護装置及び乗員保護方法
(51)【国際特許分類】
B60R 21/017 20060101AFI20250305BHJP
B60R 21/015 20060101ALI20250305BHJP
B60R 21/02 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
B60R21/017
B60R21/015 312
B60R21/02
(21)【出願番号】P 2021030999
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック アリワルガ
(72)【発明者】
【氏名】福本 健二
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 征幸
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0061569(US,A1)
【文献】特開2020-131882(JP,A)
【文献】特開2001-322532(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018205577(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0145665(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられ、前記車両の走行状態を示す情報及び前記車両の周囲の状況を示す情報を含む車両情報を出力する第一センサと、
前記車両に取り付けられ、前記車両における乗員の着座状態を示す乗員情報を出力する第二センサと、
前記乗員に装着されると共に、作動時に前記乗員に対して刺激を付与する、
複数の刺激付与部と、
前記刺激付与部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第一センサから取得した前記車両情報に基づいて前記車両が衝撃を受けることを予測し、
前記車両の衝撃を予測した場合に、前記第二センサから取得した前記乗員情報に基づいて、前記乗員の姿勢を前記車両の衝撃に備える姿勢に矯正するために必要な前記刺激付与部による刺激付与内容を決定し、
決定した前記刺激付与内容に則して
複数の前記刺激付与部を
異なるタイミングで作動させ、前記車両が衝撃を受けるタイミングに先立って前記乗員の姿勢を矯正する、
乗員保護装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両情報に基づいて前記車両の衝撃モードを判定し、判定した衝撃モードに応じて前記刺激付与内容を決定する、
請求項1に記載の乗員保護装置。
【請求項3】
前記刺激付与部が、電流、熱、圧力、及び振動のうち少なくとも一つの外部刺激を前記乗員へ付与する、請求項1又は2に記載の乗員保護装置。
【請求項4】
複数の前記刺激付与部は、第1の刺激付与部および第2の刺激付与部を含み、
前記制御部は、前記車両の衝撃を予測した場合に決定した前記刺激付与内容に則して前記第1の刺激付与部を作動させた後、更に前記第二センサから取得した前記乗員情報に基づいて前記乗員の姿勢を前記車両の衝撃に備える姿勢に矯正するために必要な第2の刺激付与内容を決定し、決定した前記第2の刺激付与内容に則して前記第2の刺激付与部を作
動させる、請求項
1に記載の乗員保護装置。
【請求項5】
音又は映像を刺激として前記乗員に付与する補助刺激付与部を、更に備え、
前記制御部は、前記車両の衝撃を予測した場合に、前記車両が衝撃を受けるタイミングに先立って前記補助刺激付与部を補助的に作動させる、請求項1~
4の何れか1項に記載の乗員保護装置。
【請求項6】
前記刺激付与部が、前記乗員の左耳付近に装着される電極及び右耳付近に装着される電極を備え、前記左右の電極間に電気を流すことで刺激を与える請求項1~
5の何れか1項に記載の乗員保護装置。
【請求項7】
前記刺激付与部は、前記乗員の耳の近傍かつ前方位置に装着される第1電極と、前記乗員の耳の近傍かつ後方に装着される第2電極を備え、前記第1電極および第2電極間に電気を流すことで前記乗員に刺激を与える、請求項1~
6の何れか1項に記載の乗員保護装置。
【請求項8】
前記刺激付与部が、
前記乗員に装着される装着部と、
前記装着部を装着する前記乗員の皮膚と接触するように前記装着部に設けられた、刺激付与用のパッドと、
を備える請求項1~
7の何れか1項に記載の乗員保護装置。
【請求項9】
前記刺激付与部が、前記乗員の耳介に装着されるアクチュエータを備え、前記アクチュエータで前記耳介を引っ張ることで前記乗員に刺激を与える、請求項1~
8の何れか1項に記載の乗員保護装置。
【請求項10】
前記刺激付与部が、前記乗員の左右の肩に夫々装着されるバイブレータを備え、前記バイブレータが振動することで前記乗員に刺激を与える、請求項1~
9の何れか1項に記載の乗員保護装置。
【請求項11】
車両に搭載される乗員保護装置の制御部が実行する乗員保護方法であって、
前記乗員保護装置が、前記車両の乗員に装着されると共に作動時に前記乗員に対して刺激を付与する、
複数の刺激付与部を備え、
前記乗員保護方法が、
前記車両に取り付けられた第一センサから、前記車両の走行状態を示す情報及び前記車両の周囲の状況を示す情報を含む車両情報を取得し、取得した前記車両情報に基づいて前記車両が衝撃を受けることを予測するステップと、
前記車両に取り付けられた第二センサから、前記車両における乗員の着座状態を示す乗員情報を取得し、前記車両の衝撃を予測した場合に取得した前記乗員情報に基づいて、前記乗員の姿勢を前記車両の衝撃に備える姿勢に矯正するために必要な前記刺激付与部による刺激付与内容を決定するステップと、
決定した前記刺激付与内容に則して
複数の前記刺激付与部を
異なるタイミングで作動させ、前記車両が衝撃を受けるタイミングに先立って前記乗員の姿勢を矯正するステップと、を含む
乗員保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員保護装置及び乗員保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の衝突が予測された場合、予測された衝突方向及び乗員の姿勢に基づいて、乗員が予測された衝突に備える姿勢に近づくようにシートに設けられた複数の電極の中から選択した電極に通電することで、乗員の姿勢を矯正して乗員保護性能を向上させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-156179号公報
【文献】独国特許出願公開第102018205577号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、車両のシートに電極を設けた場合、電極と乗員の皮膚との間に服が存在するので、介在する服の枚数や服の材質によっては、電気が流れにくくなり、十分に刺激を与えられないという課題があった。
【0005】
また、乗員の体格によって電極の当たるところが異なり、適切に刺激を与えられず、姿勢を適切に制御できないないという課題があった。
【0006】
更に、電極に通電して乗員の体が動くと電極から体が離れるため、衝撃回避のための体の変位が不十分な状態で終わってしまという課題があった。
【0007】
本開示の技術は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、的確に乗員の姿勢を制御して、乗員の保護性能を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の乗員保護装置は、
車両に取り付けられ、前記車両の走行状態を示す情報及び前記車両の周囲の状況を示す情報を含む車両情報を出力する第一センサと、
前記車両に取り付けられ、前記車両における乗員の着座状態を示す乗員情報を出力する第二センサと、
前記乗員に装着されると共に、作動時に前記乗員に対して刺激を付与する、少なくとも一つの刺激付与部と、
前記刺激付与部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第一センサから取得した前記車両情報に基づいて前記車両が衝撃を受けることを予測し、
前記車両の衝撃を予測した場合に、前記第二センサから取得した前記乗員情報に基づいて、前記乗員の姿勢を前記車両の衝撃に備える姿勢に矯正するために必要な前記刺激付与部による刺激付与内容を決定し、
決定した前記刺激付与内容に則して前記刺激付与部を作動させ、前記車両が衝撃を受けるタイミングに先立って前記乗員の姿勢を矯正する。
【0009】
前記制御部は、前記車両情報に基づいて前記車両の衝撃モードを判定し、判定した衝撃モードに応じて前記刺激付与内容を決定してもよい。
【0010】
前記刺激付与部は、電流、熱、圧力、及び振動のうち少なくとも一つの外部刺激を前記乗員へ付与してもよい。
【0011】
乗員保護装置は、複数の前記刺激付与部を備え、
前記制御部は、前記車両の衝撃を予測した場合に、複数の前記刺激付与部を作動させてもよい。
【0012】
前記制御部は、複数の前記刺激付与部を異なるタイミングで作動させてもよい。
【0013】
乗員保護装置において、
複数の前記刺激付与部は、第1の刺激付与部および第2の刺激付与部を含み、
前記制御部は、前記車両の衝撃を予測した場合に決定した前記刺激付与内容に則して前記第1の刺激付与部を作動させた後、更に前記第二センサから取得した前記乗員情報に基づいて前記乗員の姿勢を前記車両の衝撃に備える姿勢に矯正するために必要な第2の刺激付与内容を決定し、決定した前記第2の刺激付与内容に則して前記第2の刺激付与部を作動させてもよい。
【0014】
前記乗員保護装置は、
音又は映像を刺激として前記乗員に付与する補助刺激付与部を、更に備え、
前記制御部は、前記車両の衝撃を予測した場合に、前記車両が衝撃を受けるタイミングに先立って前記補助刺激付与部を補助的に作動させてもよい。
【0015】
前記刺激付与部は、前記乗員の左耳付近に装着される電極及び右耳付近に装着される電極を備え、前記左右の電極間に電気を流すことで刺激を与えてもよい。
前記刺激付与部は、前記乗員の耳の近傍かつ前方位置に装着される第1電極と、前記乗員の耳の近傍かつ後方に装着される第2電極を備え、前記第1電極および第2電極間に電気を流すことで前記乗員に刺激を与えてもよい。
【0016】
前記刺激付与部は、
前記乗員に装着される装着部と、
前記装着部を装着する前記乗員の皮膚と接触するように前記装着部に設けられた、刺激付与用のパッドと、
を備えてもよい。
【0017】
前記刺激付与部は、前記乗員の耳介に装着されるアクチュエータを備え、前記アクチュエータで前記耳介を引っ張ることで前記乗員に刺激を与えてもよい。
【0018】
前記刺激付与部は、前記乗員の左右の肩に夫々装着されるバイブレータを備え、前記バイブレータが振動することで前記乗員に刺激を与えてもよい。
【0019】
上記課題を解決するために、本開示の乗員保護方法は、
車両に搭載される乗員保護装置の制御部が実行する方法であって、
前記乗員保護装置が、前記乗員に装着されると共に作動時に前記乗員に対して刺激を付与する、少なくとも一つの刺激付与部を備え、
乗員保護方法が、
前記車両に取り付けられた第一センサから、前記車両の走行状態を示す情報及び前記車
両の周囲の状況を示す情報を含む車両情報を取得し、取得した前記車両情報に基づいて前記車両が衝撃を受けることを予測するステップと、
前記車両に取り付けられた第二センサから、前記車両における乗員の着座状態を示す乗員情報を取得し、前記車両の衝撃を予測した場合に取得した前記乗員情報に基づいて、前記乗員の姿勢を前記車両の衝撃に備える姿勢に矯正するために必要な前記刺激付与部による刺激付与内容を決定するステップと、
決定した前記刺激付与内容に則して前記刺激付与部を作動させ、前記車両が衝撃を受けるタイミングに先立って前記乗員の姿勢を矯正するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、的確に乗員の姿勢を制御して、乗員の保護性能を向上させる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図5】乗員が刺激付与部を装着した状態を示す図である。
【
図7】乗員保護装置の制御部が実行する乗員保護方法のフローを示す図である。
【
図8】第二実施形態に係る刺激付与部を示す図である。
【
図9】第二実施形態における衝撃時の動作を説明する図である。
【
図10】第三実施形態に係る刺激付与部を示す図である。
【
図12】第三実施形態における衝撃時の動作を説明する図である。
【
図13】変形例1に係るパッドの構成を示す図である。
【
図14】第四実施形態に係る刺激付与部を備えた乗員保護装置の構成を示す図である。
【
図15】第四実施形態に係る刺激付与部の装着状態を示す図である。
【
図16】第四実施形態における衝撃時の動作を説明する図である。
【
図17】第五実施形態に係る刺激付与部を示す図である。
【
図18】変形例2に係る刺激付与部の構成を示す図である。
【
図19】第六実施形態に係る刺激付与部を示す図である。
【
図20】
刺激付与部
を乗員の肩に装着する動作の説明図である。
【
図22】変形例3に係る乗員保護装置の構成を示す図である。
【
図23】第七実施形態に係る乗員保護装置の構成を示す図である。
【
図24】第七実施形態に係る乗員保護装置が実行する乗員保護方法の処理手順を示す図である。
【
図25】第八実施形態に係る補助刺激付与部を示す模式平面図である。
【
図26】運転席付近に配置された補助刺激付与部を示す図である。
【
図27】第八実施形態に係る刺激付与部及び補助刺激付与部の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第一実施形態>
以下に、図面を参照して本開示の実施形態に係る乗員保護装置について説明する。なお、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0023】
<システム構成>
図1に示す乗員保護システム1は、車両10の状態を検出する複数のセンサ11、乗員の状態を検出するセンサ20、及び乗員保護装置30を備えている。乗員保護装置30は、乗員に装着される刺激付与部3Aを備えている。乗員保護装置30は、センサ(第一センサ)11から取得した車両情報に基づいて車両10が受ける衝撃を予測し、車両10が衝撃を受ける直前に、刺激付与部3Aを制御して乗員に刺激を与え、乗員が衝撃に備える姿勢をとるように制御し、乗員を保護する。
【0024】
≪車両≫
車両10は、各種センサ11,20、自動ブレーキ制御装置12、及びエアバッグ装置13を備えている。
【0025】
複数のセンサ11は、例えば、車速、走行距離、ブレーキの動作状態、方向指示器の動作状態、及び操舵状態、ヨーレート、重力(G)など、自車両の状態を検出するセンサ(第一センサ)を含む。また、センサ11は、カメラで車両10の周囲を撮影し、撮影画像を画像処理して障害物を検出する装置、レーザレーダ、及びミリ波レーダ等、障害物を検出するレーダ装置など、自車両10の周囲に存在する他車両や障害物の状態を検出するセンサ(第一センサ)を含む。
【0026】
センサ20は、車両10の座席に着座する乗員の姿勢や位置等、乗員の着座状態を検出するための第二センサであり、例えば車内を撮影するカメラや、シートセンサである。
【0027】
自動ブレーキ制御装置12は、センサ11によって、車両10の進行方向に存在する障害物を検出し、この障害物に対する自車両10の相対速度及び躍度等から、当該障害物と衝突せずに停止するのに必要な距離(停止距離)を求める。そして、自動ブレーキ制御装置12は、障害物との間隔が停止距離に近づいた場合に、自動でブレーキを動作させて急制動する。なお、自動ブレーキを動作させる具体的な条件は、公知の技術を利用できるので、詳細な説明は省略する。
【0028】
エアバッグ装置13は、センサ11によって検出した加速度が閾値を越えた場合に、例えばインフレーターを動作させてエアバッグを展開させる。なお、加速度を検出するセンサ11は、エアバッグ装置13専用に設けられたものでも、乗員保護装置30と兼用のものでああってもよい。
【0029】
≪乗員保護装置≫
図2は、乗員保護装置30の構成を示す図である。乗員保護装置30は、制御部310、記憶部320、電力供給部330、及び刺激付与部3Aを備える。本実施形態では、これらの要素のうち、制御部310、記憶部320、及び電力供給部330を一つの筐体内に収めてコントロールユニット300とし、刺激付与部3Aと別体としている。制御部310は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、
又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などの主記憶部を備える。
【0030】
記憶部(補助記憶部)320は、RAM等の揮発性メモリ、ROM等の不揮発性メモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、又はリムーバブルメディアなどの記憶媒体から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、または、CD(Co
mpact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはBD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体である。また、外部から装着可能なメモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて記憶部320を構成してもよい。
【0031】
記憶部320には、乗員保護装置30の動作を実行するための、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種データテーブル、各種データベース、設定データ、ユーザデータなどが記憶可能である。
【0032】
電力供給部330は、車両側のバッテリ及び刺激付与部3Aと接続し、後述のように制御部310によって決定した制御信号に基づいてバッテリから供給された電力を変換し、刺激付与部3Aへ供給する。
【0033】
制御部310は、記憶部320に記憶されたプログラムを主記憶部の作業領域に読み出して実行し、各構成部等を制御することで、所定の機能部、例えば、車両情報取得部311、乗員情報取得部312、衝撃予測部313、姿勢特定部314、制御決定部315、及び刺激制御部316として機能する。なお、これらの機能部は、プログラム(ソフトウェア)に基づいて実現されるものに限らず、その一部又は全部が、プロセッサ、集積回路、及び論理回路等のハードウェア回路により構成されてもよい。
【0034】
車両情報取得部311は、車両10に取り付けられたセンサ11から、車両10の走行状態を示す情報及び車両の周囲の状況を示す情報を車両情報として取得する。
【0035】
乗員情報取得部312は、センサ20から、車両10に乗車している乗員の姿勢や位置等の状態を示す乗員情報を検出する。
【0036】
衝撃予測部313は、車両情報に基づいて、衝突などにより車両10が受ける衝撃を予測する。衝撃予測部313は、例えば、レーダ装置112やカメラ111から周囲の情報を取得する。レーダ装置112は、検出範囲が互いに異なる複数のレーダ装置を含み、自車両10の前方、右側方、左側方、及び後方を含む自車両の周囲に存在する他車両や障害物等の物体を検出し、検出した物体と自車両の相対位置及び相対速度を取得する。
【0037】
カメラ111は、撮影範囲が互いに異なる複数のカメラを含み、自車両10の前方、右側方、左側方、及び後方を含む自車両の周囲を撮影し、撮影画像を出力する。衝撃予測部313は、カメラ111から取得した撮影画像(車両情報)を画像処理し、周囲に存在する他車両や障害物等の物体を求める。また、衝撃予測部313は、レーダ装置112で検出した物体の画像をカメラ111の撮影画像から抽出し、画像処理により歩行者、普通乗用車、大型トラック等、物体の種類を特定してもよい。
【0038】
衝撃予測部313は、例えば車両10の周囲に他車両等の物体を検出した場合、当該物体との相対速度や加速度、及び躍度等から停止距離など、衝突回避に必要な距離(回避可能距離)を推定し、当該物体と自車両10との距離を回避可能距離と比較して、衝突するか否か、即ち衝撃を受けるか否かを予測する。なお、衝撃の予測は、自動ブレーキ制御装置12による判定結果を用いて行ってもよい。また、衝撃予測部313は、車両10が他車両等の物体に衝突すると予測した場合、接近する物体の走行方向(移動軌跡)に基づいて物体が衝突する方向、即ち衝撃を受ける方向を求める。更に、衝撃予測部313は、当該物体との相対速度や物体の大きさ等に基づいて強さを求めてもよい。なお、前方又は側方から衝突されるのか、後方から衝突されるのかなど、衝撃の方向や、強さ、衝突する物体の種類、衝突時の車速などに応じて、衝撃モードを予め定めておき、衝撃予測部313は予測した衝撃の方向や強さ等に応じて衝撃モードを判定する。
【0039】
本実施形態の衝撃予測部313は、レーダ装置112及びカメラ111から取得した車両情報に基づいて衝撃を予測したが、これら以外のセンサから取得した情報を用いても、レーダ装置112及びカメラ111の一方から取得した車両情報を用いて衝撃を予測してもよい。また衝撃予測部313は、衝突以外の衝撃、例えば急旋回時、急制動時(急ブレーキなど)、滑りやすい路面でのスリップ、車両の横転などで乗員が受ける衝撃(G)を
感知(予測)してもよい。
【0040】
姿勢特定部314は、乗員情報に基づいて乗員の現時点における姿勢を求める。例えば、姿勢特定部314は、シートセンサにより、乗員が着座したシートの座面に係る圧力の分布を検出し、圧力がシート前方に集中していれば前傾姿勢、圧力がシート後方に集中していれば後傾姿勢、圧力がシート右側に集中していれば右寄りの姿勢、圧力がシート左側に集中していれば左寄りの姿勢であると特定する。また、姿勢特定部314は、車内カメラで撮影した自車両内の撮影画像を取得し、この撮影画像から乗員の画像を抽出し、各乗員の姿勢を特定してもよい。
【0041】
制御決定部315は、車両10が衝撃を受けると予測した場合に、乗員の現在の姿勢や衝撃モードに基づいて、乗員が衝撃に備えた姿勢をとるような刺激付与内容を決定する。例えば、正面、右側方、又は左側方から衝撃を受ける場合、衝撃を受ける方向と逆側へ傾くように、即ち衝撃が入力される方向から離れる方向に体を向けるように姿勢を変化させる。また、後方から衝撃を受ける場合、乗員が前傾し、乗員の頭とヘッドレストとの距離が大きいと衝撃を受けた際に勢いよく頭をヘッドレストに打ち付ける可能性があるため、後方から衝撃を受ける場合、乗員を後傾させ、頭をヘッドレストに付けるように姿勢を変化させる。なお、正面、右側方、又は左側方から衝撃を受ける場合であって、乗員の姿勢が既に、衝撃を受ける箇所から離れた姿勢になっている場合、姿勢を変える必要がないので、制御信号を出力しないようにしてもよい。また、後方から衝撃を受ける場合であって、乗員の姿勢が既に、頭をヘッドレストに付けた姿勢になっている場合、姿勢を変える必要がないので、制御信号を出力しないようにしてもよい。更に、衝撃の強さが、所定値以下の場合にも、制御信号を出力しない、即ち姿勢を変化させないこととしてもよい。
【0042】
刺激制御部316は、車両10が受ける衝撃に先立ち、前記衝撃を受けるタイミングに応じて前記制御信号を前記刺激付与部に供給し、制御信号に応じた刺激を発生させて、前記乗員に与えさせる。例えば、刺激制御部316は、衝撃を受けると予測されるタイミングより所定時間前に刺激付与部へ制御信号を供給し、衝撃を受ける直前に乗員の姿勢を変化させる。なお、衝撃を受けるまでの時間が短く、姿勢制御が間に合わないと判定した場合には、制御信号を供給せず、姿勢制御を行わなくてもよい。
【0043】
≪刺激付与部≫
図3は、刺激付与部3Aの一例を示す図、
図4は、
図3のA-A線における断面である。
図5は、乗員が刺激付与部3Aを装着した状態を示す図である。本実施形態の刺激付与部3Aは、乗員の右耳付近に装着する右側刺激付与部30Rと、乗員の左耳付近に装着する左側刺激付与部30Lとを有している。右側刺激付与部30Rと、左側刺激付与部30Lとは、左右対称であるため、
図5では右側刺激付与部30Rのみを示し、左側刺激付与部30Lの図示を省略する。
【0044】
右側刺激付与部30Rは、乗員の耳付近であって耳の前方に装着される電極(第1電極)30FRと、耳の後方に装着される電極(第2電極)30BRとを備えている。電極30FRと電極30BRとは、連結部305で連結されている。また、電極30FRにはコード30R1が電気的に接続され、電極30BRにはコード30R2が電気的に接続されている。
【0045】
左側刺激付与部30Lは、乗員の耳付近であって耳の前方に装着される電極30FLと、耳の後方に装着される電極30BLとを備えている。電極30FLと電極30BLとは、連結部305で連結されている。また、電極30FLにはコード30L1が電気的に接続され、電極30BLにはコード30L2が電気的に接続されている。
【0046】
図4に示すように、電極30FLは、一方の面(電極面)3011が、乗員の皮膚と接するように配置され、他方の面(背面)3012に電極30FLよりも大径のゲルシート3013が貼付され、ゲルシート3013の粘着力によって電極30FLが乗員の皮膚に貼り付けられる。
図4では、電極30FLのみを示したが、他の電極30BL,30FR,30BRについても同様の構成であり、電極30BL,30FR,30BRは、背面3012に貼付され、周囲に張り出したゲルシート3013の粘着力によって、乗員の皮膚に貼り付けられる。
【0047】
コード303は、左右のコード30L1,30L2,30R1,30R2を有している。コード303は、コードリール304を介してコントロールユニット300の電力供給部330に接続されている。コードリール304は、シートの背もたれ15の内部に設けられ、コード303を巻き取ることができる。
【0048】
刺激付与部3Aは、車両10内の各座席に設けられることが望ましいが、運転席や助手席など、一部の座席にのみ設けられてもよい。また、コントロールユニット300は、座席毎に設けられてもよいが、一つのコントロールユニット300が、各座席の刺激付与部3Aと接続され、複数の刺激付与部3Aを制御する構成であってもよい。
【0049】
本実施形態の刺激付与部3Aは、乗員の前庭器官に微弱な電流を刺激として与えるものである。刺激付与部3Aにより微弱な電流を前庭器官に与えると、乗員は加速度が生じたたように知覚する。通常であれば、乗員は、加速度が生じた場合、これを打ち消すように反射的に体を動かすことで姿勢を保つ。刺激付与部3Aの電気刺激によって加速度が生じたかのように知覚した場合、実際には加速度は生じていないため、加速度を打ち消そうとする動きが体(頭部)を移動させ、姿勢を変えることになる。
【0050】
図6は、刺激付与部3Aの動作を説明する図である。
図6(A)に示すように、電極30FL,電極30BLから電極30FR,30BRへ電流を流すと、乗員は左から右に向かう加速度が生じたように知覚し、これを打ち消すように頭部を左に移動させる。一方、
図6(B)に示すように、電極30FR,30BRから電極30FL,電極30BLへ電流を流すと、乗員は頭部を右に移動させる。
【0051】
また、
図6(C)に示すように、電極30FL,電極30FRから電極30BL,30BRへ電流を流すと、乗員は前から後ろに向かう加速度が生じたように知覚し、これを打ち消すように頭部を前に移動させる。一方、
図6(D)に示すように、電極30BL,30BRから電極30FL,電極30FRへ電流を流すと、乗員は頭部を後ろへ移動させる。
【0052】
このように刺激に反応して乗員が姿勢を変えるため、乗員保護装置30は、衝撃を受けることを検出した際、乗員がこの衝撃に備える姿勢となるように刺激を与える。
【0053】
<乗員保護方法>
図7は、乗員保護装置30の制御部310が実行する乗員保護方法のフローを示す図である。制御部310は、車両10のイグニッションスイッチがオンとなっている場合など、乗員保護装置30に電力が供給されている間、
図7の処理を繰り返し実行する。
【0054】
ステップS10にて、制御部310は、センサ11から、車両10の走行状態を示す情報及び車両の周囲の状況を示す情報を車両情報として取得する。
【0055】
ステップS20にて、制御部310は、ステップS10で取得した車両情報に基づいて、車両10の衝撃を予測する。
【0056】
ステップS30にて、制御部310は、ステップS20の予測の結果、衝撃が発生するか否かを判定し、否定判定の場合、
図7の処理を終了する。一方、ステップS30で、肯定判定の場合、制御部310は、ステップS40へ移行する。
【0057】
ステップS40にて、制御部310は、車両10に乗車している乗員の状態を示す乗員情報をセンサ20から取得する。
【0058】
ステップS50にて、制御部310は、ステップS40で取得した乗員情報に基づいて乗員の現時点における姿勢を求める。
【0059】
ステップS60にて、制御部310は、衝撃モード及び乗員の現在の姿勢に基づき、乗員の姿勢を衝撃に備える姿勢に変化させるための刺激付与内容を決定する。例えば、自車両10の進行方向に存在する物体との衝突(前突)や、他車両等に側方から衝突される場合(側突)などの衝撃モードの場合、衝撃の入力方向から乗員の体、特に頭部を遠ざけるように姿勢を制御する。また、後方から衝撃を受ける衝撃モード(追突)の場合、乗員が前傾していて、乗員の頭とヘッドレストとの距離が大きいと衝撃を受けた際に勢いよく頭をヘッドレストに打ち付ける可能性があるため、後方から衝撃を受ける場合には、乗員を後傾させ、頭をヘッドレストに近づけるように姿勢を変化させる。
【0060】
ステップS70にて、制御部310は、制御信号を電力供給部330へ送り、衝撃を受けるタイミングに応じて刺激付与部3Aに電流を供給し、乗員に電気刺激を与えさせる。
【0061】
このように、本実施形態によれば、自車両10が、他の車両や障害物と衝突して衝撃を受けると予測した場合に、衝撃を受ける前に、乗員へ刺激を与えて衝撃に備える姿勢をとるように制御し、乗員の保護性能を向上させる。特に本実施形態では、刺激付与部3Aを乗員に装着しているので、乗員の着座姿勢や着衣の状態によらずに刺激を与えることができるので、的確に乗員の姿勢を制御でき、乗員の保護性能を向上させることができる。なお本実施形態では、S30に対してS10およびS20の演算を、S40およびS50よりも先に行ったが、これに限定されない。例えばS10とS20およびS40とS50を常に演算しておき、ステップS30で衝突不可避と判断された場合にS50で求めた結果に応じ、S60に進んでもよい。
【0062】
<第二実施形態>
図8は、第二実施形態に係る刺激付与部3Bを示す図である。本実施形態は、前述の第一実施形態と比べて、刺激付与部3Bの構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、前述の実施形態と同一の要素には同符号を付す等して再度の説明を省略する。
【0063】
本実施形態では、装着部の一例である専用服(スーツ)4に、刺激付与部3Bとしての電極3B21~3B30と、コントロールユニット300とが設けられている。電極3B21~3B30は、
図4の電極と同様の構成であり、ゲルシート3013によって服4の内面に張り付けられていると共に、服4を着た乗員の皮膚に貼り付けられる。
図8の例では、電極3B21,3B22が左上腕と接し、電極3B23,3B24が右上腕と接し、電極3B25,3B26が胸と接するように配置されている。また、電極3B27,3B28が背中の右側部分と接し、電極3B29,3B30が背中の左側部分と接するように
配置されている。各電極3B21~3B30は、それぞれコードを介してコントロールユニット300の電力供給部330に接続されている。各電極3B21~3B30及びコントロールユニット300は、服4に対して着脱可能となっており、電極3B21~3B30及びコントロールユニット300を取り外すことで服4を洗濯することができる。各電極3B21~3B30のコードは、カプラ3B3に接続され、カプラ3B3をコントロールユニット300側のカプラ309と接続することで、複数の電極3B21~3B30を一括してコントロールユニット300に接続させることができる。これにより各電極3B21~3B30とコントロールユニット300との接続の間違いを防止でき、確実に乗員の所定部位に刺激を与えることができるようにしている。
【0064】
コントロールユニット300は、前述の第一実施形態と同様に、衝撃を受けると予測した場合に、電極3B21~3B30の少なくともいずれかを動作させ、乗員に電気刺激を与えて乗員の姿勢を制御する。例えば、上腕と接した電極3B21~3B24に電流を流すと、腕を縮めて、腕が体の方に引っ張られるように動く。これにより乗員が衝撃に備えた姿勢をとるように制御する。
【0065】
図9は、第二実施形態における衝撃時の動作を説明する図である。
図9(A)に示すように、車両10の右側座席に乗員が座っており、コントロールユニット300の制御部310が、乗員の右側から衝撃を受けると予測した場合、電極3B29,3B30により電気刺激を与えることで、乗員の左上半身の背面筋肉を収縮させ上半身を左側へ移動(傾斜)させる。これにより、衝撃の入力方向から乗員を遠ざけることができると共に、
図9(B)に示すようにエアバッグが展開する空間を確保することができ、乗員の保護性能を向上させることができる。なお本実施形態ではスーツ4以外にも、装着部をベルト状に形成して、乗員の必要な個所に巻き付けて使用するのでもよい。また、装着部は、帽子、手袋、ベスト(チョッキ)、ズボン、靴下など、スーツ4以外の衣服や、ヘルメット、チョーカー、眼鏡、ヘッドフォン、腕時計、アンクレットなどの装身具であってもよい。
【0066】
<第三実施形態>
図10は、第三実施形態に係る刺激付与部3Cを示す図である。本実施形態は、前述の第二実施形態と比べて、刺激付与部3Cの構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、前述の実施形態と同一の要素には同符号を付す等して再度の説明を省略する。
【0067】
本実施形態では、専用の服(スーツ)4に、刺激付与部3Cとしてのパッド3C21~3C30と、コントロールユニット300とが設けられている。
図10の例では、パッド3C21,3C22が左上腕と接し、パッド3C23,3C24が右上腕と接し、パッド3C25,3C26が胸と接するように配置されている。また、パッド3C27,3C28が右側脇腹と接し、パッド3C29,3C30が左側脇腹と接するように配置されている。
図11は、パッド3C21~3C30の構成を示す図である。パッド3C21~3C30は、
図11(A)に示すように平面形状が円形の筐体3C1内に、駆動部3C4及び針3C5を備えている。各パッド3C21~3C30は、筐体3C1における背板部3C11の外面が服4に貼り付けられる。筐体3C1における背板部3C11と反対側に位置する当接板部3C12の外面には、粘着テープ3C13が設けられ、乗員の皮膚に貼り付けられる。
【0068】
駆動部3C4は、コード3C7を介してコントロールユニット300の電力供給部330と接続され、動作時に電力が供給される。駆動部3C4は、熱膨張率の異なる2種類の金属を合わせて平板状に形成されたバイメタルであり、電力供給部330によって作動電流が流されると発熱し、その熱膨張率の違いによって変形するようになっている。駆動部3C4は、一端が筐体3C1の背板部3C11における周縁部分に固定され、他端(作動端)3C41が筐体3C1の中央付近に配置されている。駆動部3C4は、作動前の状態
では背板部3C11に沿った平板状であり、作動電流によって発熱すると作動端3C41が当接板部3C12側へ近づくように湾曲する。作動端3C41の当接板部3C12側には、針3C5が配置されており、駆動部3C4の作動前は針3C5の全体が筐体内に収容されているのに対し、駆動部3C4が作動して作動端3C41が当接板部3C12側に移動すると、針3C5の先端が筐体3C1から突出する。これにより各パッド3C21~3C30は作動時に針3C5が乗員の皮膚を刺突して刺激を与える。
【0069】
このパッド3C21~3C30によって刺激(痛み)を受けた乗員は、侵害反射により、この痛みから逃れる方向に体を移動させる。この反応を利用し、制御部310は、衝撃を受けると予測した場合に、乗員が衝撃に備えた姿勢をとるように制御する。なお、制御部310は、パッド3C21~3C30を作動させた場合、作動してから所定時間後に作動電流を停止させてもよい。これにより、駆動部3C4が冷めて作動前の平板状に戻り針3C5が筐体3C1内に収容される。
【0070】
図12は、第三実施形態における衝撃時の動作を説明する図である。
図12(A)に示すように、車両10の右側座席に乗員が座っており、コントロールユニット300の制御部310が、乗員の右側から衝撃を受けると予測した場合、パッド3C21,3C22,3C29,3C30によって電気刺激を与えることで、上半身を左側へ移動(傾斜)させる。これにより、
図12(B)に示すように衝撃を受ける箇所から乗員を遠ざけることができ、乗員の保護性能を向上させることができる。
【0071】
<変形例1>
図13は、変形例1に係るパッドの構成を示す図である。本実施形態は、前述の第三実施形態と比べて、刺激付与部3Cのパッド3C6の構成が異なり、その他の構成は同じである。前述の第三実施形態では、各パッド3C21~3C30が針3C5の刺突による痛みを刺激として与える構成であるが、これに代えて本変形例では、加熱シートによる熱を刺激として与えるパッド3C6を用いた構成である。
【0072】
パッド3C6は、基板3C61の当接面側に加熱シート3C62を備えている。加熱シート3C62は、コード3C63を介してコントロールユニット300の電力供給部330と接続し、作動時に電力供給部330から作動電流を受ける。
【0073】
パッド3C6は、基板3C61の外面が服4に貼り付けられ、加熱シート3C62の基板3C61と反対側の面が乗員の皮膚と接するように配置される。
【0074】
制御部310は、衝撃を受けると予測した場合、作動電流をパッド3C6に供給し、加熱シート3C62を発熱させて、この熱を刺激として乗員に与える。なお、制御信号の決定など、その他の処理は、第三実施形態と同じである。本変形例によれば、熱の刺激によって前述の実施形態と同様に乗員の姿勢を制御し、乗員を保護することができる。
【0075】
<第四実施形態>
図14は、第四実施形態に係る刺激付与部3Dを備えた乗員保護装置30の構成を示す図、
図15は、第四実施形態に係る刺激付与部3Dの装着状態を示す図である。本実施形態は、前述の第一~第三実施形態と比べて、刺激付与部3Dの構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、前述の実施形態と同一の要素には同符号を付す等して再度の説明を省略する。
【0076】
本実施形態では、ベルト状の刺激付与部本体5に、刺激付与部3Dとしての風船部3D1~3D4が設けられている。
図14の例では、風船部3D1が左腹部と接し、風船部3D2が右腹部と接し、風船部3D3が腰の右側部分と接し、風船部3D4が腰の左側部分
と接するように配置されている。また、本実施形態の乗員保護装置30では、前述の電力供給部330に代えて加圧ボンベ3D5,コンプレッサー3D6を備えている。
【0077】
各風船部3D1~3D4は、エアチューブ3D7を介して加圧ボンベ3D5と接続している。加圧ボンベ3D5は、コントロールユニット300から受信する制御信号に基づいて、風船部3D1~3D4へ空気を供給し、各風船部3D1~3D4を膨らませることができる。なお、加圧ボンベ3D5は、各風船部3D1~3D4と接続するエアチューブ3D7に夫々設けられたバルブ3D51の開閉を制御信号に基づいて制御することにより、各風船部3D1~3D4への空気の供給を個別に供給できる。
【0078】
図15に示すように、刺激付与部3Dは、刺激付与部本体5を乗員の腰付近に巻回して装着される。本実施形態の加圧ボンベ3D5及びコンプレッサー3D6は、座席内に設けられ、刺激付与部3Dの風船部3D1~3D4に接続されたエアチューブ3D7と、加圧ボンベ3D5に接続されたエアチューブ3D8とがカプラ3D9を介して接続されている。コンプレッサー3D6は、加圧ボンベ3D5から刺激付与部3Dへ速やかに空気を供給できるように、加圧ボンベ3D5内の空気圧が所定値以上となるように加圧ボンベ3D5へ空気を補充する。
【0079】
刺激付与部本体5が乗員に装着された状態で、制御部310が刺激付与部3Dを作動させる制御信号を加圧ボンベ3D5(バルブ3D51)に送り、加圧ボンベ3D5が風船部3D1~3D4に空気を供給すると、風船部3D1~3D4が刺激付与部本体5と乗員の体表面との間で膨らむことで、乗員の体表面に圧力(刺激)を与える。なお、風船部3D1~3D4には不図示の排気口(ベントホール)が設けられ、供給された空気が所定の速度で排気されるので、加圧ボンベ3D5から空気の供給が停止すると、空気が排出されて圧力を与えない状態に戻るようにしてもよい。またバルブ3D51に排気弁を取り付け、コントロールユニットからの信号で排気弁を開き、風船部3D1~3D4の空気を排出してもよい。
【0080】
図16は、第四実施形態における衝撃時の動作を説明する図である。
図16(A)に示すように、本実施形態では、水平面において風船部3D1~3D4が乗員の四方に配置され、各風船部3D1~3D4の位置を頂点とする四角形の対角位置にある風船部3D2,3D4を作動させると、乗員は、ハンガー反射により、この風船部3D2,3D4から圧力を受けた筋肉を縮ませるように動き、上半身を左へ捻るように姿勢を変化させる。
【0081】
一方、
図16(B)に示すように、風船部3D1,3D3を作動させると、乗員は、ハンガー反射により、上半身を右へ捻るように姿勢を変化させる。このハンガー反射を利用し、制御部310は、右側から衝撃を受けると予測した場合に、風船部3D2,3D4を作動させて上半身を左へ捻るように姿勢を制御し、左側から衝撃を受けると予測した場合に、風船部3D1,3D3を作動させて上半身を右へ捻るように姿勢を制御する。これにより、衝撃を受ける箇所から乗員を遠ざけて、乗員の保護性能を向上させることができる。
【0082】
なお、本実施形態では、加圧ボンベ3D5から各風船部3D1~3D4へ空気を供給する構成としたが、加圧ボンベ3D5を省略し、コンプレッサー3D6から各風船部3D1~3D4へ空気を供給してもよい。また、加圧ボンベ3D5やコンプレッサー3D6に代えて点火器を用い、点火器で火薬に点火した際に膨張した空気を風船部3D1~3D4へ供給する構成としても良い。更に、ガス発生器で発生したガスを風船部3D1~3D4へ供給することで風船部3D1~3D4を膨らませる構成としても良い。
【0083】
<第五実施形態>
図17は、第五実施形態に係る刺激付与部3Eを示す図である。本実施形態は、前述の第一実施形態と比べて、刺激付与部3Eの構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、前述の実施形態と同一の要素には同符号を付す等して再度の説明を省略する。
【0084】
本実施形態の刺激付与部3Eは、ヘルメット3E1、フレーム部3E2、引張り部3E3、ワイヤー3E4、巻き取り部(アクチュエータ)3E5L,3E5Rを備えている。
【0085】
ヘルメット3E1の左右には、フレーム部3E2が取り付けられ、乗員がヘルメット3E1を装着した場合に、フレーム部3E2が左右の耳の外側に位置するように構成されている。引張り部3E3は、乗員の耳介に取り付けられ、耳介を引っ張るための部材である。ワイヤー3E4は、一端が引張り部3E3に接続され、他端が、フレーム部3E2に設けられている滑車(不図示)を介して巻き取り部3E5L,3E5Rに接続されている。
【0086】
巻き取り部3E5L,3E5Rは、制御信号に応じて、ワイヤー3E4を巻き取る、又はワイヤー3E4を繰り出すアクチュエータである。刺激付与部3Eが乗員に装着された状態で、巻き取り部3E5L,3E5Rがワイヤー3E4を巻き取ると、ワイヤー3E4が引張り部3E3をフレーム部3E2に設けられている滑車の方向に引き、乗員の耳介をこの方向、即ち乗員の左右方向外側に引っ張る。このように耳介が引っ張られると、乗員は耳介が引っ張られた方向に上体を傾けることになる。例えば、巻き取り部3E5Rが右耳側のワイヤー3E4を巻き取り、乗員の右耳を引っ張ると、乗員は
図17(B)に示すように、上体を右側に傾けるように姿勢を変化させる。この反応を利用し、制御部310は、右側から衝撃を受けると予測した場合に、左側の巻き取り部3E5Lを作動させて、左の耳介を引っ張り、上体を左へ傾けるように姿勢を制御し、左側から衝撃を受けると予測した場合には、右側の巻き取り部3E5Rを作動させて、右の耳介を引っ張り、上体を右へ傾けるように姿勢を制御する。これにより、衝撃を受ける箇所から乗員を遠ざけて、乗員の保護性能を向上させることができる。
【0087】
<変形例2>
図18は、変形例2に係る刺激付与部3Fの構成を示す図である。本変形例は、前述の第五実施形態と比べて、刺激付与部3Fの構成が異なり、その他の構成は同じである。
【0088】
刺激付与部3Fは、左右一対のアーム部3FL,3FRを備えている。アーム部3FL,3FRは、一方の端部が座席のヘッドレスト16に固定され、他方の端部3FL1,3FR1が乗員の耳介に接続されている。アーム部3FL,3FRは、制御信号に応じて、端部3FL1,3FR1を前後左右に動かすことができ、これにより乗員に耳介を引っ張るという刺激を与えることができる。
【0089】
制御部310は、後方から衝撃を受けると予測した場合、
図18(B)に示すように、端部3FL1,3FR1を後方に動かし、耳介を後方へ引っ張ることで、乗員の頭をヘッドレストに近づけるように姿勢を制御する。これにより後方から衝撃を受ける場合にヘッドレストと頭部との間隔を狭め、乗員の保護性能を向上させることができる。
【0090】
<第六実施形態>
図19は、第六実施形態に係る刺激付与部3Gを示す図である。本実施形態は、前述の第一実施形態と比べて、刺激付与部3Gの構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、前述の実施形態と同一の要素には同符号を付す等して再度の説明を省略する。
【0091】
刺激付与部3Gは、振動による刺激を乗員に与える構成である。乗員が着座する前(非使用時)の刺激付与部3Gは、座席の背もたれ15に保持されており、乗員が着座した際に自動でユーザに装着される。
【0092】
支持部151は、非使用時に刺激付与部3Gを背もたれ15の上方に支持するアーム状の部材である。支持部151は、基端部1511が、背もたれ15の上端部であってヘッドレスト16の両脇に埋設された回転駆動部152に軸支され、基端部1511を中心に回転駆動される。支持部151の先端には、磁石1512が設けられている。
【0093】
刺激付与部3Gは、筐体3G1の側面に、鉄芯を用いた電磁石3G2を備えると共に、筐体3G1の下面側に、乗員の肩を把持して刺激付与部3Gを乗員に装着するための把持部3G3を備えている。把持部3G3は、一対の弧状部材3G31と、当該弧状部材3G31の上端を回動可能に保持し、弧状部材3G31の下端側を開閉させるように駆動する開閉駆動部3G32を有している。また、把持部3G3は、コード3G4を介してコントロールユニット300と電気的に接続されている。
【0094】
電磁石3G2は、コントロールユニット300の電力供給部330から電力の供給を受けて磁力を発生させる。刺激付与部3Gは、非使用時に、電磁石3G2の鉄芯が、支持部151の磁石1512に吸着されることで支持部151の先端に取り付けられる。
【0095】
図20は、刺激付与部3Gを乗員の肩に装着する動作の説明図である。乗員が着座する前は、
図20(A)に示すように、刺激付与部3Gは弧状部材3G31が開いた状態で支持部151に支持されている。座席の圧力センサー(シートセンサ)により乗員が着座したことを検知すると、制御部310は、
図20(B)に示すように支持部151を乗員側へ回転させる。そして、
図20(C)のように、刺激付与部3Gが乗員の肩に当たり回転が停止すると、制御部310は、開閉駆動部3G32を制御して弧状部材3G31を閉じ、乗員の肩を把持して刺激付与部3Gを乗員の両肩に装着する。その後、制御部310は、電磁石3G2に電力を供給して磁石1512と同極となるように磁力を発生させ、磁石1512と反発させることで、
図20(D)のように支持部151を分離させる。また、分離後の支持部151は、元の位置に回動させる。
【0096】
刺激付与部3Gは、筐体3G1内に、コントロールユニット300の電力供給部330から電力の供給を受けて振動するバイブレータ3G5を有している。
図21は、バイブレータ3G5の構成を示す図である。バイブレータ3G5は、回転ホイール3G51と、リンク3G52と、錘3G53とを有している。回転ホイール3G51は、不図示のモータによって回転駆動される。リンク3G52は、一方の端部521が、回転ホイール3G51の周縁部に軸着され、他方の端部522が錘3G53に軸着されている。錘3G53は、直線状の溝3G54内に嵌め込まれ、溝3G54に沿ってスライド可能となっている。
【0097】
刺激付与部3Gは、制御部310から制御信号を受けた場合、この制御信号に基づいて回転ホイール3G51を回転させ、この回転に伴ってリンク3G52の端部521が回転し、他端部522に接続された錘3G53を溝3G54に沿って、第一方向と第二方向とに往復運動させ、振動を発生させる。なお、刺激付与部3Gは、制御信号に応じた特定の方向へ錘3G53が移動するときの加速度が、他の方向へ移動するときの加速度に比べて高くなるように駆動する。例えば、刺激付与部3Gは、錘3G53が第一方向へ移動するときの加速度が、第二方向へ移動するときの加速度に比べて高くなるように駆動する。また反対に、刺激付与部3Gは、錘3G53が第二方向へ移動するときの加速度が、第一方向へ移動するときの加速度に比べて高くなるように駆動させてもよい。
【0098】
刺激付与部3Gが乗員の肩に装着された状態で、このように刺激付与部3Gが、方向によって加速度を偏らせた振動を刺激として乗員に与えると、乗員は加速度を高くした方向に、実際の加速度が生じたように知覚し、この方向に引っ張られるように姿勢を変更する。このため本実施形態では、バイブレータ3G5の第一方向と第二方向が車両の前後方向
となるように配置したバイブレータ3G5と、第一方向と第二方向が車両の幅方向(左右方向)となるように配置したバイブレータ3G5とを左右の肩に装着する刺激付与部3Gに夫々設け、乗員の姿勢を前後左右に制御できるようにしている。なお、これに限らず、左右の肩に装着する刺激付与部3Gのうち一方に、第一方向と第二方向が車両の前後方向となるように配置したバイブレータ3G5を備え、他方の刺激付与部3Gに、第一方向と第二方向が車両の幅方向(左右方向)となるように配置したバイブレータ3G5を備える構成としてもよい。
【0099】
<変形例3>
図22は、変形例3に係る乗員保護装置30の構成を示す図である。本変形例は、前述の第一~第六実施形態と比べて、刺激付与部を複数備えた構成が異なり、その他の構成は同じである。本変形例では、
図22に示すように、第四実施形態と同じ刺激付与部3D、及び第六実施形態と同じ刺激付与部3Gとを備えている。
【0100】
なお、各刺激付与部3Dと刺激付与部3Gの制御は、前述の実施形態と同じであり、これら複数の刺激付与部を組み合わせて作動させてもよいし、同時に作動させてもよい。
【0101】
<第七実施形態>
図23は、第七実施形態に係る乗員保護装置30の構成を示す図、
図24は、第七実施形態に係る乗員保護装置30が実行する乗員保護方法の処理手順を示す図である。本実施形態は、前述の第一~第六実施形態と比べて、刺激付与部を複数備え、第1の刺激で行き過ぎてしまった姿勢を矯正する処理を行う構成が異なっている。なお、その他の構成は同じであるため、同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0102】
本実施形態では、
図23(A)に示すように、複数の刺激付与部として、第四実施形態と同じ刺激付与部(第1の刺激付与部)3D、及び第六実施形態と同じ刺激付与部(第2の刺激付与部)3Gとを備えている。
【0103】
本実施形態の乗員保護装置30が実行する乗員保護方法は、
図24に示すように、ステップS10からステップS70までは、前述の第四実施形態と同様に、刺激付与部3Dによって乗員へ刺激を与えて姿勢を制御する。
図23では、乗員の右側から衝撃を受けると予測し、乗員を左側へ傾かせている。
【0104】
ステップS80にて、制御部310は、センサ20から乗員情報を取得する。そしてステップS90にて、制御部310は、取得した乗員情報に基づいて乗員の姿勢を求める。
【0105】
ステップS100にて、制御部310は、ステップS90で求めた姿勢が正しく衝撃に備える姿勢になっているか否かを判定する。ここで肯定判定であれば、制御部310は、
図24の処理を終了し、
図23(B)のように乗員の傾きが大きすぎ、否定判定の場合、ステップS110へ移行する。
【0106】
ステップS110にて、制御部310は、車両の衝撃に備える姿勢に矯正するために必要な第2の刺激付与内容を決定する。
【0107】
ステップS120にて、制御部310は、ステップS110で決定した第2の刺激付与内容に則して刺激付与部3Gを作動させる。
【0108】
このように本実施形態によれば、第一の刺激によって、乗員が移動し過ぎた場合でも第二の刺激によって、衝撃に備える適切な姿勢に矯正できる。
【0109】
<第八実施形態>
図25は、第八実施形態に係る補助刺激付与部を示す模式平面図、
図26は、運転席付近に配置された補助刺激付与部を示す図である。本実施形態は、前述の第一~第七実施形態と比べて、補助刺激付与部を備えた構成が異なっている。なお、その他の構成は同じであるため、同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0110】
本実施形態の乗員保護装置30は、
図25に示すように、音を刺激として乗員に付与する複数の補助刺激付与部(スピーカ)3Hを備えている。また、本実施形態の乗員保護装置30は、映像を刺激として乗員に付与する補助刺激付与部(プロジェクタ)3Jを備えている。補助刺激付与部3Jは、
図26に示すように、車両10のダッシュボード19内に配置され、フロントガラス(ウインドシールド)18に立体映像を投影するヘッドアップディスプレイである。なお、これに限らず、車内に設けられた表示装置で表示する構成であってもよい。
【0111】
図27は、第八実施形態に係る刺激付与部及び補助刺激付与部の動作を説明する図である。なお、本実施形態において、補助刺激付与部3H,3Jで刺激を与える処理手順は、前述の第七実施形態において、第2の刺激付与部によって刺激を与える処理手順と同様である。また、第1の刺激付与部として、第六実施形態と同じ刺激付与部3Gを備えている。
【0112】
図27(A)に示すように、乗員の右側から衝撃を受けると予測した場合、制御部310は、刺激付与部3Gを作動させて、乗員が衝撃から遠ざかるように左側へ移動させる。
【0113】
このとき
図27(B)のように、乗員が移動し過ぎた場合、この姿勢を矯正する第2の刺激付与内容を決定し、この刺激付与内容に則って補助刺激付与部3H,3Jを作動させる。例えば、補助刺激付与部3Jにより、フロントガラスに映像を投影することで、
図27(C)に示すように、飛翔体17が乗員に向かって飛んでくるような映像を乗員に対して表示する。また、この表示に合わせて飛翔体17の接近する音を補助刺激付与部(スピーカ)3Hから出力し、この音像を飛翔体17と同様に移動させる。これにより乗員が、その飛翔体17を避けるように体をわずかに戻し、適正な姿勢をとるように制御する。
【0114】
このように本実施形態によれは、第一の刺激によって、乗員の姿勢を変更させすぎた場合であっても音や映像を用いた補助的な刺激によって、衝撃に備えた適切な姿勢に矯正できる。
【0115】
以上、本開示に係る乗員保護装置の実施形態について説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0116】
1 乗員保護システム
3A~3F 刺激付与部
B29,3B30 電極
4 専用服(スーツ)
5 刺激付与部本体
10 車両
11,20 センサ
12 自動ブレーキ制御装置
30 乗員保護装置
111 カメラ
112 レーダ装置
300 コントロールユニット