(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20250305BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20250305BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20250305BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 642P
G09G3/20 670K
G09G3/20 624A
H10K59/12
(21)【出願番号】P 2021124860
(22)【出願日】2021-07-30
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】田中 建悟
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-142775(JP,A)
【文献】特開2006-267149(JP,A)
【文献】特開2018-008578(JP,A)
【文献】特開2019-023676(JP,A)
【文献】特開2015-219306(JP,A)
【文献】特開2011-137912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00- 3/38
H05B 33/00-33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を含む複数の画素が設けられた表示パネルと、
前記複数の画素のそれぞれに駆動電流を供給するための駆動回路と、
映像信号に応じた前記駆動電流が前記複数の画素のそれぞれに供給されるように前記駆動回路を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の画素のうち、発光効率の劣化度合いを示す劣化情報が所定値以上となった画素の有無を判定し、
前記劣化情報が前記所定値以上となった画素が有ると判定すると
、
前記複数の画素のうち、前記劣化情報が前記所定値以上となった複数の画素の割合が所定の割合以上となった場合、前記劣化情報が前記所定値以上となった前記複数の画素のそれぞれに供給される前記駆動電流が、前記劣化情報が前記所定値以上になる前よりも小さくなるように前記駆動回路を制御する、表示装置。
【請求項2】
発光素子を含む複数の画素が設けられた表示パネルと、
前記複数の画素のそれぞれに駆動電流を供給するための駆動回路と、
映像信号に応じた前記駆動電流が前記複数の画素のそれぞれに供給されるように前記駆動回路を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の画素のうち、発光効率の劣化度合いを示す劣化情報が所定値以上となった画素の有無を判定し、
前記劣化情報が前記所定値以上となった画素が有ると判定すると
、
前記劣化情報が前記所定値以上となった画素の画素数を加算し、
さらに、前記複数の画素の画素数に対し、前記劣化情報が前記所定値以上となった複数の画素の画素数の割合が所定の割合以上となった場合、前記劣化情報が前記所定値以上となった前記複数の画素それぞれに供給される前記駆動電流が、前記劣化情報が前記所定値以上になる前よりも小さくなるように前記駆動回路を制御する、表示装置。
【請求項3】
発光素子を含む複数の画素が設けられた表示パネルと、
前記複数の画素のそれぞれに駆動電流を供給するための駆動回路と、
映像信号に応じた前記駆動電流が前記複数の画素のそれぞれに供給されるように前記駆動回路を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の画素のうち、発光効率の劣化度合いを示す劣化情報が所定値以上となった画素の有無を判定し、
前記劣化情報が前記所定値以上となった画素が有ると判定すると、前記画素に供給される前記駆動電流が、前記劣化情報が前記所定値以上になる前よりも小さくなるように前記駆動回路を制御し、
前記制御部は、前記劣化情報が前記所定値以上となった前記画素の前記駆動電流を小さくするとき、前記劣化情報が前記所定値以上となった前記画素に隣接する画素に供給される前記駆動電流も小さくなるように前記駆動回路を制御する、表示装置。
【請求項4】
前記劣化情報は、前記複数の画素のそれぞれ毎に供給された消費電力の時間積算値である、請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記劣化情報に応じて前記駆動電流を小さくする量を変更するよう前記駆動回路を制御する、請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、EL(electroluminescence)素子の累積点灯時間に応じて、EL素子に供給する電圧を増加させることにより、LE素子の劣化補正を行う照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の照明装置によると、EL素子の累積点灯時間に応じて、EL素子に供給する電圧を増加させるため、EL素子の累積点灯時間が多くなる程、EL素子の焼き付きが発生しやすくなる。本開示の一態様では、自発光素子の焼き付きを抑制した表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る表示装置は、発光素子を含む複数の画素が設けられた表示パネルと、前記複数の画素のそれぞれに駆動電流を供給するための駆動回路と、映像信号に応じた前記駆動電流が前記複数の画素のそれぞれに供給されるように前記駆動回路を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の画素のうち、発光効率の劣化度合いを示す劣化情報が所定値以上となった画素の有無を判定し、前記劣化情報が前記所定値以上となった画素が有ると判定すると、前記画素に供給される前記駆動電流が、前記劣化情報が前記所定値以上になる前よりも小さくなるように前記駆動回路を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置の概略構成を表す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、複数の画素のそれぞれが有する画素回路の概略構成を表す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る表示装置における画素の経過時間と劣化情報との関係を表す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る表示装置における画素の経過時間と駆動電流との関係を表す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る表示装置における制御部の処理の流れを表す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の変形例1に係る表示装置における画素PXの経過時間と劣化情報との関係を表す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の変形例1に係る表示装置における画素の経過時間と駆動電流との関係を表す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の変形例2に係る表示装置における制御部の処理の流れを表す図である。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例3に係る表示装置の概略構成を表す図である。
【
図10】実施形態の変形例3に係る表示装置における画素の経過時間と劣化情報との関係を表す図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例3に係る表示装置における画素の経過時間と駆動電流との関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る表示装置1の概略構成を表す図である。表示装置1は、表示パネル10と、ソースドライバ(駆動回路)30と、制御部40と、記憶部50とを備える。表示パネル10は、複数の画素PXと、ゲートドライバ13と、複数のゲート線Gと、複数のデータ線Sとを有する。例えば、制御部40は、劣化情報判定部41と、表示制御部42とを有する。
【0008】
複数の画素PXは、表示パネル10のうち画像の表示領域11にマトリクス状に設けられている。複数の画素PXのそれぞれは、自発光する発光素子を備える。複数の画素PXのそれぞれにおいては、
図2等を用いて後述するように、発光素子に駆動電流が供給されることにより、発光素子が発光する。
【0009】
表示パネル10は、例えば、複数の画素PXが自発光することによって表示領域11に画像を表示する。表示パネル10としては、例えば、発光素子にOLED(Organic Light Emitting Diode)が用いられた有機EL(electro-luminescence)表示パネル、または、発光素子にQLED(Quantum dot Light Emitting Diode)が用いられたQLED表示パネルなどを用いることができる。なお、表示パネル10は、複数の画素PXのそれぞれ毎に発光素子を備える表示パネルであればよく、有機EL表示パネル、または、QLED表示パネルに限定されるものではない。
【0010】
複数のゲート線Gと複数のデータ線Sとは、表示領域11内において交差するように延びて設けられている。複数の画素PXのそれぞれは、複数のデータ線Sと、複数のゲート線Gとが交差する部分に設けられている。
【0011】
ゲートドライバ13には、複数のゲート線Gのそれぞれの一方の端部が接続されている。ゲートドライバ13は、制御部40から出力されたゲート制御信号に基づいて、複数のゲート線Gのそれぞれを、順に走査していく。すなわち、ゲートドライバ13は、複数の画素PXを行毎に選択するための走査信号を、複数のゲート線Gのそれぞれを介して複数の画素PXのそれぞれへ出力していく。
【0012】
ソースドライバ30には、複数のデータ線Sのそれぞれの一方の端部が接続されている。ソースドライバ30は、制御部40から出力されたソース制御信号に基づいて、複数のデータ線Sを介して複数の画素PXのそれぞれを駆動する。
図2を用いて後述するように、ソースドライバ30は、複数の画素PXのそれぞれに駆動電流を供給するための駆動回路である。
【0013】
例えば、ソースドライバ30は、制御部40から、画素PXが発光すべき輝度値に応じた階調信号(デジタル信号)を取得すると、取得したデジタル信号をアナログ信号へ変換した階調電圧を生成し、データ線Sへ供給する。これにより、データ線Sに接続された画素PXには、映像信号に基づく画素PXが発光すべき輝度値に応じた駆動電流が流れる。
【0014】
制御部40は、ゲートドライバ13およびソースドライバ30の動作を制御することにより、表示領域11に画像を表示させる。制御部40は、制御部40の外部から入力された映像信号に応じた駆動電流が複数の画素PXのそれぞれに供給されるようにソースドライバ30およびゲートドライバ13を制御する。例えば、制御部40は、制御部40の外部から入力された映像信号を補正し、複数の画素PXのそれぞれが発光すべき輝度値に応じた、デジタル信号である階調信号を生成し、生成した階調信号をソースドライバ30へ出力する。
【0015】
劣化情報判定部41は、制御部40に入力された映像信号に基づき、複数の画素PXのそれぞれの発光効率の劣化度合いを示す劣化情報を生成し、生成した劣化情報を、劣化情報蓄積データ51として記憶部50に記憶する。
【0016】
劣化情報は、複数の画素PXのそれぞれ毎に供給される消費電力の時間積算値である。複数の画素PXのそれぞれ毎に供給された消費電力[mW]とは、映像信号に基づいて各画素PXに供給される階調電圧[mV]と、その階調電圧が供給されたときに各画素PXに流れる駆動電流[mA]との積で表される。劣化情報判定部41は、入力された映像信号に基づいて、複数の画素PXのそれぞれ毎に、それぞれに供給される消費電力[mW]と消費電力が供給される時間[h]とを得ることで、複数の画素PXのそれぞれ毎の劣化情報[mWh]を得る。そして、劣化情報判定部41は、得られた複数の画素PXのそれぞれ毎の劣化情報を、劣化情報蓄積データ51として記憶部50に蓄積して記憶していく。
【0017】
また、詳細は、
図3等を用いて後述するが、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、発光効率の劣化度合いを示す劣化情報が所定値以上となった画素PXの有無を判定する。そして、表示制御部42は、劣化情報が所定値以上となった画素PXが有ると劣化情報判定部41によって判定されると、劣化情報が所定値以上となった画素PXに供給される駆動電流が、劣化情報が前記所定値以上になる前よりも小さくなるようにソースドライバ30の駆動を制御する。
【0018】
制御部40が備える劣化情報判定部41および表示制御部42は、集積回路(ICチップ)等によって形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、制御部40が備える劣化情報判定部41および表示制御部42は、CPU等によって実現できる制御部40が記憶部50に格納されたプログラムを不図示のメモリー等に読み出し、実行することで実現できる。
【0019】
記憶部50は、上述のように、複数の画素PXのそれぞれの発光効率の劣化度合いを示す劣化情報が蓄積された劣化情報蓄積データ51を記憶する。記憶部50としては、例えば、フラッシュメモリーなどを用いることができる。なお、記憶部50は、フラッシュメモリーに限定されず、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)などの半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。
【0020】
図2は、複数の画素PXのそれぞれが有する画素回路20の概略構成を表す図である。画素回路20は、発光素子21と、コンデンサC1と、選択トランジスタTr1と、駆動トランジスタTr2とを含む。
【0021】
発光素子21は、例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode)、または、QLED(Quantum dot Light Emitting Diode)などの自発光素子である。なお、発光素子21は、OLEDまたはQLEDに限定されるものではない。
【0022】
コンデンサC1は、一方の端子がハイレベル電源線ELVDDおよび駆動トランジスタTr2のドレイン端子と接続され、他方の端子は選択トランジスタTr1のドレイン端子および駆動トランジスタTr2のゲート端子と接続されている。
【0023】
選択トランジスタTr1は、データ線Sと、コンデンサC1および駆動トランジスタTr2のゲート端子との間に設けられている。選択トランジスタTr1のうち、ゲート端子はゲート線G1と接続され、ソース端子はデータ線Sと接続され、ドレイン端子は駆動トランジスタTr2のゲート端子およびコンデンサC1の他方の端子と接続されている。
【0024】
駆動トランジスタTr2は、発光素子21と直列に接続されている。駆動トランジスタTr2のうち、ゲート端子は選択トランジスタTr1のドレイン端子およびコンデンサC1の他方の端子と接続され、ドレイン端子はハイレベル電源線ELVDDおよびコンデンサの一方の端子と接続され、ソース端子は発光素子21のアノードと接続されている。
【0025】
次に、
図2を用いて、画素回路20の動作について説明する。画像の表示期間、すなわち、階調電圧の書き込み期間においては、ゲートドライバ13によってゲート線Gがアクティブ状態(選択された状態)とされことにより、選択トランジスタTr1がオン状態となる。
【0026】
そして、制御部40がソースドライバ30へ供給した階調信号に応じて、ソースドライバ30からデータ線Sへ階調電圧が供給される。これにより、供給された階調電圧に応じた電荷がコンデンサC1に充電される。そして、ゲートドライバ13によってゲート線Gが非アクティブ状態(非選択の状態)とされることにより、選択トランジスタTr1がオフ状態となる。そして、駆動トランジスタTr2はオン状態となり、コンデンサC1に充電された電荷に応じて、駆動電流61が、駆動トランジスタTr2のドレイン端子およびソース端子間を通り、さらに発光素子21のアノードおよびカソード間を流れる。これにより、発光素子21が、目標輝度で発光する。
【0027】
図3は、実施形態に係る表示装置1における画素PXの経過時間と劣化情報との関係を表す図である。
図4は、実施形態に係る表示装置1における画素PXの経過時間と駆動電流との関係を表す図である。
【0028】
ここで、複数の画素のそれぞれが有する発光素子が発光することにより画像を表示する自発光の表示装置においては、長時間、高い階調電圧が供給され、大きな駆動電流が流れた画素は、画素の発光効率の劣化が進みやすい。そして、複数の画素の発光効率の劣化が進むと、いわゆる焼き付きが発生する場合がある。画素の焼き付きが発生した表示装置においては、表示された画像のうち、焼き付きが発生した画素を含む部分は変色したり、前フレーム期間に表示していた画像の一部が消えなかったりするなど、画像の表示品質が低下する原因となる。そこで、本実施形態に係る表示装置1では、画素PXにおける焼き付きの発生を抑制した画像の表示制御が行われる。以下、具体的に説明していく。
【0029】
図3において、実線で示すデータM1は、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に早い画素PXの劣化情報の変化の様子を表している。
図3において、一点鎖線で示すデータM2は、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に遅い画素PXの劣化情報の変化の様子を表している。このように、劣化情報の上昇速度は、画素PXによって異なる。
【0030】
図4において、実線で示すデータN1は、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に早い画素PXの駆動電流の変化の様子を表している。
図4において、一点鎖線で示すデータN2は、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に遅い画素PXの駆動電流の変化の様子を表している。
【0031】
例えば、画素PXの発光効率の劣化が進行しているとみなす劣化情報の閾値である所定値Athを、予め設定しておく。所定値Athの一例としては、例えば、40000[mWh]とすることができる。なお、所定値Athは40000[mWh]に限定されず、任意に設定可能である。
【0032】
そして、例えば、
図3のデータM1に示すように、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に早い画素PXの劣化情報が、時間T2のときに、所定値Athに到達したとする。すると、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、劣化情報が時間T2のときに所定値Athに到達した画素PXが有ると判定し、その劣化情報が所定値Athに到達した画素PXを特定する。
図3のデータM1に示す例では、時間T1から時間T2にかけて劣化情報が上昇し、時間T2のときに劣化情報が所定値Athに到達している。
【0033】
すると、
図4のデータN1に示すように、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達したと劣化情報判定部41により特定された画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T2以降は、時間T2以前よりも少なくなるように、階調信号を生成し、ソースドライバ30へ供給する。例えば、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T2以降は時間T2以前の所定の割合だけ減るようにするなど、予め流れる駆動電流を減らす所定の割合が設定されていてもよい。
図4に示す例では、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに流れる駆動電流を、時間T2において、電流値B3から電流値B1へ減らす例を示している。なお、表示制御部42は、時間T2から所定期間かけて、駆動電流を、電流値B3から電流値B1へ減らしてもよい。
【0034】
これにより、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T2以降は時間T2以前よりも小さくなる。
図4のデータN1に示す例では、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流は、時間T1から時間T2の間の電流値B3から、時間T2以降の時間T3までは電流値B1(B1<B3)へ減っている。
【0035】
すると、これにより、
図3のデータM1に示すように、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXの劣化情報の上昇速度は、時間T2以前の時間T1から時間T2までの上昇速度と比べて、時間T2のときの値である所定値Athから時間T3のときの値A2まで等、時間T2以降の上昇速度が小さくなる。これにより、時間T2以降は、時間T2以前と比べて、劣化情報の上昇速度が相対的に早い画素PXの劣化情報の上昇速度を抑制することができる。言い換えると、時間T2以降は、時間T2以前と比べて、劣化情報の上昇速度が相対的に早い画素PXの発光効率の劣化が進む速度を遅くすることができる。
【0036】
一方、例えば、
図3のデータM2に示すように、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に遅い画素PXの劣化情報は、時間T2のときには所定値Athより小さい値A1であり、時間T2より後の時間T3のときに所定値Athに到達したとする。すると、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、劣化情報が時間T3のときに所定値Athに到達した画素PXが有ると判定し、その劣化情報が所定値Athに到達した画素PXを特定する。
図3のデータM2に示す例では、時間T1から時間T3にかけて劣化情報が上昇し、時間T3のときに劣化情報が所定値Athに到達している。
【0037】
すると、
図4のデータN2に示すように、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達したと劣化情報判定部41により特定された画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T3以降は、時間T3以前よりも少なくなるように、階調信号を生成し、ソースドライバ30へ供給する。例えば、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T3以降は時間T3以前の所定の割合だけ減るようにするなど、予め流れる駆動電流を減らす所定の割合が設定されていてもよい。
図4に示す例では、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに流れる駆動電流が、時間T3において、電流値B2から電流値B1へ減らす例を示している。なお、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに流れる駆動電流を、時間T3から一定期間かけて、電流値B2から電流値B1となるよう減らしてもよい。
【0038】
これにより、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T3以降は時間T3以前よりも小さくなる。
図4のデータN2に示す例では、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流は、時間T1から時間T3の間の電流値B2から減っている。
【0039】
すると、これにより、
図3のデータM2に示すように、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXの劣化情報の上昇速度は、時間T3以前の時間T1から時間T3までの上昇速度と比べて、時間T3以降の上昇速度が小さくなる。これにより、時間T3以降は、時間T3以前と比べて、劣化情報の上昇速度が相対的に遅い画素PXの劣化情報の上昇速度を抑制することができる。
【0040】
また、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXから順に、流れる駆動電流が、所定値Athに到達前よりも小さくしているため、複数の画素PXのそれぞれ間で、劣化情報の差を抑制することができる。具体的には、例えば、
図3の時間T2におけるデータM1に示す画素PXの劣化情報の値である所定値Athと、データM2に示す画素PXの劣化情報の値A1との差よりも、
図3の時間T3におけるデータM1に示す画素PXの劣化情報の値A2と、データM2に示す画素PXの劣化情報の値である所定値Athとの差が小さくなっている。
【0041】
図5は、実施形態に係る表示装置1における制御部40の処理の流れを表す図である。ステップS1において、劣化情報判定部41は、制御部40が取得した映像信号に基づいて、複数の画素PXのそれぞれ毎に劣化情報を生成し、生成した複数の画素PXのそれぞれ毎の劣化情報を、記憶部50に劣化情報蓄積データ51として蓄積していく。
【0042】
次に、ステップS2において、劣化情報判定部41は、記憶部50に記憶された劣化情報蓄積データ51を参照し、複数の画素PXのうち、蓄積された劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXの有無を判定する。ステップS2において、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、蓄積された劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXは無いと判定すると(ステップS2のNoの場合)、ステップS1の処理へ戻る。
【0043】
また、ステップS2において、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、蓄積された劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXが有ると判定すると(ステップS2のYesの場合)、次に、ステップS3において、表示制御部42は、複数の画素PXのうち、蓄積された劣化情報が所定値Ath以上となったと劣化情報判定部41によって判定された画素PXに供給される駆動電流を、劣化情報が所定値Ath以上となる前に供給されていた駆動電流よりも小さくする。
【0044】
なお、
図5に示す制御部40の処理の流れの例では、表示制御部42は、複数の画素PXのうち、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXを、順次、駆動電流を、劣化情報が所定値Ath以上となる前に供給されていた駆動電流よりも小さくしていく例を示している。このように、複数の画素PXのうち、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXを順次、駆動電流を、劣化情報が所定値Ath以上となる前に供給されていた駆動電流よりも小さくすることにより、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXが有する発光素子21を、速やかに焼き付きを抑制することができる。
【0045】
このように、本実施形態に係る表示装置1においては、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、発光効率の劣化度合いを示す劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXの有無を判定する。そして、劣化情報判定部41が、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXが有ると判定すると、表示制御部42は、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXに供給される駆動電流が、劣化情報が所定値Ath以上になる前よりも小さくなるようにソースドライバ30を制御する。
【0046】
言い換えると、例えば、表示制御部42は、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXに供給される駆動電流が、劣化情報が所定値Ath以上になる前よりも小さくなるように、ソースドライバ30に供給する階調信号が示す輝度値を表す値を減らす。
【0047】
これにより、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXの劣化が進んで焼き付きが発生してしまうことを抑制することができる。これにより、発光素子21の焼き付きを抑制した表示装置1を提供することができる。
【0048】
加えて、
図3を用いて説明したように、複数の画素PXのそれぞれ同士の劣化度合いのバラツキを抑制することができる。例えば、
図3の時間T2におけるデータM1に示す画素PXの劣化情報の値である所定値Athと、データM2に示す画素PXの劣化情報の値A1との差よりも、時間T3におけるデータM1に示す画素PXの劣化情報の値A2と、データM2に示す画素PXの劣化情報の値である所定値Athとの差を小さくすることができる。このため、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に早い一部の画素PXだけが焼き付いてしまうことを抑制することができる。これにより、表示装置1が有する複数の画素PXのそれぞれで劣化度合いのバラツキを抑えることができ、表示する画像の表示品質の低下を抑制することができる。
【0049】
図6は、実施形態の変形例1に係る表示装置1における画素PXの経過時間と劣化情報との関係を表す図である。
図7は、実施形態の変形例1に係る表示装置1における画素PXの経過時間と駆動電流との関係を表す図である。例えば、表示制御部42は、劣化情報に応じて、画素PXに流れる駆動電流を小さくする量を変更してもよい。
【0050】
例えば、
図6のデータM1に示すように、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に早い画素PXの劣化情報が、時間T2のときに、所定値Athに到達したとする。すると、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、劣化情報が時間T2のときに所定値Athに到達した画素PXが有ると判定し、その劣化情報が所定値Athに到達した画素PXを特定する。
図6のデータM1に示す例では、時間T1から時間T2にかけて劣化情報が上昇し、時間T2のときに劣化情報が所定値Athに到達している。
【0051】
すると、
図7のデータN1に示すように、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達したと劣化情報判定部41により特定された画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T2以降は、時間T2以前よりも少なくなるように、階調信号を生成し、ソースドライバ30へ供給する。例えば、
図7に示す例では、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに流れる電流値B4である駆動電流を、時間T2から時間T4にかけて少なくする量を増加させながら減らし、時間T4において、電流値B2で一定になるようにしている。このように、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T2以前の電流値B4から、時間T2以降は所定の割合だけ減らした電流値B2となるようにしてもよい。
【0052】
すると、これにより、
図6のデータM1に示すように、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXの劣化情報の上昇速度は、時間T2以前の時間T1から時間T2までの上昇速度と比べて、時間T2以降の上昇速度は小さくなる。
図6に示す例では、時間T2における値である所定値Athから時間T4における値A3までは、劣化情報の上昇速度が小さくなる量が増加しており、時間T4以降は、一定の割合で劣化情報が上昇している。このように、
図6のデータM1に示す例では、時間T2から時間T4までは、劣化情報の上昇速度を速やかに小さくすることができる。言い換えると、時間T2から時間T4において、劣化情報の上昇速度が相対的に早い画素PXの発光効率の劣化が進む速度を、速やかに遅くすることができる。
【0053】
一方、例えば、
図6のデータM2に示すように、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に遅い画素PXの劣化情報は、時間T2のときには所定値Athより小さい値A1であり、時間T2より後の時間T3のときに所定値Athに到達したとする。すると、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、劣化情報が時間T3のときに所定値Athに到達した画素PXが有ると判定し、その劣化情報が所定値Athに到達した画素PXを特定する。
図6のデータM2に示す例では、時間T1から時間T3にかけて劣化情報が上昇し、時間T3のときに劣化情報が所定値Athに到達している。
【0054】
すると、
図7のデータN2に示すように、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達したと劣化情報判定部41により特定された画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T3以降は、時間T3以前よりも少なくなるように、階調信号を生成し、ソースドライバ30へ供給する。例えば、
図7に示す例では、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに流れる電流値B3である駆動電流を、時間T3から時間T5にかけて少なくする量を増加させながら減らし、時間T5において、電流値B1で一定になるようにしている。このように、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T3以前の電流値B3から、時間T3以降は所定の割合だけ減らした電流値B1となるようにしてもよい。
【0055】
すると、これにより、
図6のデータM2に示すように、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXの劣化情報の上昇速度は、時間T3以前の時間T1から時間T3までの上昇速度と比べて、時間T3以降の上昇速度が小さくなる。
図6に示す例では、時間T3における値である所定値Athから時間T5における値A2までは、劣化情報の上昇速度が小さくなる量が増加しており、時間T5以降は、一定の割合で劣化情報が上昇している。このように、
図6のデータM2に示す例では、時間T3から時間T5までは、劣化情報の上昇速度を速やかに小さくすることができる。言い換えると、時間T3から時間T5において、劣化情報の上昇速度が相対的に遅い画素PXの発光効率の劣化が進む速度を、速やかに遅くすることができる。
【0056】
なお、上述した例では、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに流れる電流の量を一定期間(例えば、時間T2から時間T4、または、時間T3から時間T5)、減少させる量を増加させることにより、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXの劣化情報の上昇速度が小さくなる量が一定期間(例えば、時間T2から時間T4、または、時間T3から時間T5)だけ増加する例を説明した。
【0057】
しかし、反対に、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXに流れる電流の量を一定期間(例えば、時間T2から時間T4、または、時間T3から時間T5)、減少させる量を減少させることにより、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXの劣化情報の上昇速度が小さくなる量が一定期間(例えば、時間T2から時間T4、または、時間T3から時間T5)だけ減少するようにしてもよい。
【0058】
このように、表示制御部42は、劣化情報に応じて駆動電流を小さくする量を変更するようソースドライバ30を制御するようにしてもよい。これによっても、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXの劣化が進んで焼き付きが発生してしまうことを抑制することができる。これにより、発光素子21の焼き付きを抑制した表示装置1を提供することができる。
【0059】
加えて、
図6を用いて説明したように、複数の画素PXのそれぞれ同士の劣化度合いのバラツキを抑制することができる。例えば、
図6の時間T2におけるデータM1に示す画素PXの劣化情報の値である所定値Athと、データM2に示す画素PXの劣化情報の値A1との差よりも、時間T5におけるデータM1に示す画素PXの劣化情報の値A3と、時間T5データにおけるデータM2に示す画素PXの劣化情報の値A2との差を小さくすることができる。このため、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に早い一部の画素PXだけが焼き付いてしまうことを抑制することができる。これにより、表示装置1が有する複数の画素PXのそれぞれで劣化度合いのバラツキを抑えることができ、表示する画像の表示品質の低下を抑制することができる。
【0060】
図8は、実施形態の変形例2に係る表示装置1における制御部40の処理の流れを表す図である。表示制御部42は、複数の画素PXのうち、劣化情報が所定値Ath以上となった複数の画素PXの数が所定の割合以上になってから、劣化情報が所定値Ath以上となった複数の画素PXのそれぞれの駆動電流を、劣化情報が所定値Ath以上となる前に供給されていた駆動電流よりも小さくしてもよい。
【0061】
図8に示すように、劣化情報判定部41は、
図5を用いて説明した、ステップS1、ステップS2の処理を順に経る。ステップS2において、劣化情報判定部41は、記憶部50に記憶された劣化情報蓄積データ51を参照し、複数の画素PXのうち、蓄積された劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXの有無を判定する。ステップS2において、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、蓄積された劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXは無いと判定すると(ステップS2のNoの場合)、ステップS1の処理へ戻る。
【0062】
また、ステップS2において、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、蓄積された劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXが有ると判定すると(ステップS2のYesの場合)、次に、ステップS11において、劣化情報判定部41は、劣化情報が所定値以上となった画素の画素数を加算する。なお、劣化情報判定部41は、加算した画素数を、記憶部50または図示しないメモリーに記憶してもよい。
【0063】
次に、ステップS12において、劣化情報判定部41は、表示パネル10に設けられた複数の画素PXの画素数に対し、劣化情報が所定値以上となった複数の画素PXの画素数が所定の割合(例えば、全画素PXのうち90%など)以上になったか否かを判定する。ステップS12において、劣化情報判定部41は、表示パネル10に設けられた複数の画素PXの画素数に対し、劣化情報が所定値以上となった複数の画素PXの画素数が所定の割合以上になっていないと判定すると(ステップS12のNoの場合)、ステップS1の処理へ戻る。
【0064】
また、ステップS12において、劣化情報判定部41は、表示パネル10に設けられた複数の画素PXの画素数に対し、劣化情報が所定値以上となった複数の画素PXの画素数が所定の割合以上になったと判定すると(ステップS12のYesの場合)、ステップS13において、表示制御部42は、表示パネル10に設けられた複数の画素PXのうち、劣化情報が所定値Ath以上となったと劣化情報判定部41によって判定された複数の画素PXに供給される駆動電流をそれぞれ、劣化情報が所定値Ath以上となる前に供給されていた駆動電流よりも小さくなるようにソースドライバ30を制御する。言い換えると、例えば、表示制御部42は、劣化情報が所定値Ath以上となった複数の画素PXに供給される駆動電流が、劣化情報が所定値Ath以上になる前よりも小さくなるように、ソースドライバ30に供給する階調信号が示す輝度値を表す値を減らす。
【0065】
このように、劣化情報判定部41は、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXが有ると判定すると、さらに、表示パネル10に設けられた複数の画素PXのうち、劣化情報が所定値Ath以上となった複数の画素PXの割合が所定の割合以上となった場合、劣化情報が所定値Ath以上となった複数の画素PXのそれぞれに供給される駆動電流が、劣化情報が所定値Ath以上になる前よりも小さくなるようにソースドライバ30を制御する。
【0066】
これにより、表示パネルに設けられた複数の画素のうち、劣化情報が所定値以上となった画素を、順次、駆動電流を、劣化情報が所定値以上となる前に供給されていた駆動電流よりも小さくする場合と比べて、制御部40における処理の負荷を抑制することができる。これにより、制御部40における処理速度の低下を抑制することができる。
【0067】
図9は、実施形態の変形例3に係る表示装置1の概略構成を表す図である。表示制御部42は、複数の画素PXのうち、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXの駆動電流を、劣化情報が所定値Ath以上となる前に供給されていた駆動電流よりも小さくするとき、併せて、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXに隣接する少なくとも1つの画素PXの駆動電流を小さくしてもよい。
図9に示すように、劣化情報の上昇速度が相対的に早い画素PXaと、劣化情報の上昇速度が相対的に遅い画素PXbとが隣接するとする。
【0068】
図10は、実施形態の変形例3に係る表示装置1における画素PXa・PXbの経過時間と劣化情報との関係を表す図である。
図11は、実施形態の変形例3に係る表示装置1における画素PXa・PXbの経過時間と駆動電流との関係を表す図である。
【0069】
図10において、実線で示すデータM1aは、画素PXaの劣化情報の変化の様子を表している。
図10において、一点鎖線で示すデータM2bは、画素PXbの劣化情報の変化の様子を表している。
図11において、実線で示すデータN1aは、画素PXaの駆動電流の変化の様子を表している。
図11において、一点鎖線で示すデータN2bは、画素PXbの駆動電流の変化の様子を表している。
【0070】
例えば、
図10のデータM1aに示すように、複数の画素PXのうち、劣化情報の上昇速度が相対的に早い画素PXaの劣化情報が、時間T2のときに、所定値Athに到達したとする。すると、劣化情報判定部41は、複数の画素PXのうち、劣化情報が時間T2のときに所定値Athに到達した画素PXaが有ると判定し、その劣化情報が所定値Athに到達した画素PXaを特定する。
図10のデータM1に示す例では、時間T1から時間T2にかけて劣化情報が上昇し、時間T2のときに劣化情報が所定値Athに到達している。加えて、劣化情報判定部41は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXaに隣接する少なくとも1つの画素PXを特定する。本変形例3では、劣化情報判定部41は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXaに隣接する画素PXbを特定する。
【0071】
そして、
図11のデータN1aに示すように、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達したと劣化情報判定部41により特定された画素PXaに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T2以降は、時間T2以前よりも少なくなるように、階調信号を生成し、ソースドライバ30へ供給する。例えば、
図11に示す例では、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXaに流れる電流値B4である駆動電流を、時間T2から時間T4にかけて少なくする量を増加させながら減らし、時間T3において、電流値B2で一定になるようにしている。
【0072】
加えて、
図11のデータN2bに示すように、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達したと劣化情報判定部41により特定された画素PXaに隣接する画素PXbに、映像信号に応じて流れる駆動電流が、時間T2以降は、時間T2以前よりも少なくなるように、階調信号を生成し、ソースドライバ30へ供給する。例えば、
図11に示す例では、表示制御部42は、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXaに隣接する画素PXbに流れる電流値B3である駆動電流を、時間T2から時間T3にかけて少なくする量を増加させながら減らし、時間T3において、電流値B1で一定になるようにしている。
【0073】
すると、これにより、
図10のデータM1aに示すように、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXaの劣化情報の上昇速度は、時間T2以前の時間T1から時間T2までの上昇速度と比べて、時間T2以降の上昇速度は小さくなる。
図10に示す例では、データM1aは、時間T2のときの値である所定値Athから、時間T3のときの値A3まで、劣化情報の上昇速度が小さくなる量が増加しており、時間T3以降は、一定の割合で劣化情報の値が上昇している。
【0074】
加えて、
図10のデータM2bに示すように、劣化情報が所定値Athに到達した画素PXaに隣接する画素PXbの劣化情報の上昇速度は、時間T2以前の時間T1から時間T2までの上昇速度と比べて、時間T2以降の上昇速度は小さくなる。
図10に示す例では、時間T2のときの値A1から、時間T3のときの値A2までは、劣化情報の上昇速度が小さくなる量が増加しており、時間T3以降は、一定の割合で劣化情報が上昇している。
【0075】
このように、表示制御部42は、複数の画素PXのうち、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXaの駆動電流を小さくするとき、劣化情報が所定値Ath以上となった画素PXaに隣接する画素PXbに供給される駆動電流も小さくなるようにソースドライバ30を制御する。これにより、劣化が進みやすい画素PXaの焼き付きを抑制するとともに、劣化が進みやすい画素PXaに隣接する画素PXbの劣化が進むことを抑制することができる。加えて、互いに隣接する画素PXa・PXbのそれぞれに流れる駆動電流を小さくするため、それぞれの輝度に差が生じることを抑制することができる。この結果、表示装置1が表示する画像の表示品質の低下を抑制することができる。
【0076】
なお、前述した実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1:表示装置、10:表示パネル、11:表示領域、13:ゲートドライバ、20:画素回路、21:発光素子、30:ソースドライバ(駆動回路)、40:制御部、41:劣化情報判定部、42:表示制御部、50:記憶部、51:劣化情報蓄積データ、PX・PXa・PXb:画素