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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】ヒートポンプ式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/136 20220101AFI20250305BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20250305BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20250305BHJP
   F24H 15/335 20220101ALI20250305BHJP
【FI】
F24H15/136
F24H9/16 A
F24H4/02 G
F24H15/335
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021179857
(22)【出願日】2021-11-02
(65)【公開番号】P2023068590
(43)【公開日】2023-05-17
【審査請求日】2024-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞柄 隆志
(72)【発明者】
【氏名】上田 真典
(72)【発明者】
【氏名】富澤 祥伍
(72)【発明者】
【氏名】赤木 伸行
(72)【発明者】
【氏名】姫野 竜佑
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-184144(JP,A)
【文献】特開2015-021718(JP,A)
【文献】特開2020-085368(JP,A)
【文献】特開2017-172882(JP,A)
【文献】特開2017-215088(JP,A)
【文献】特開2003-240343(JP,A)
【文献】特開2008-116146(JP,A)
【文献】特開2016-001084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/136
F24H 15/335
F24H 4/02
F24H 9/16
F24H 15/375
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
冷媒を加熱するヒートポンプ式の加熱手段と、
前記加熱手段により加熱された前記冷媒と前記貯湯タンク内の湯水との熱交換を行う熱交換器と、
前記貯湯タンクの下部から前記熱交換器に向かう往き管、及び、前記熱交換器から前記貯湯タンクの上部に戻る戻り管、を備えた湯水循環回路と、
前記湯水循環回路内に前記湯水を循環させる循環ポンプと、
前記戻り管の前記熱交換器および前記循環ポンプよりも下流かつ下方に設けられ、開き状態で管内をエア抜き可能な状態とできる水抜き栓D1
記加熱手段及び前記循環ポンプを制御し、当該加熱手段による加熱を行いつつ前記循環ポンプを駆動することにより、前記往き管を介して前記熱交換器に導入され前記冷媒との熱交換により加熱された前記湯水を、前記戻り管を介して前記貯湯タンク供給する沸上運転を実行可能な制御手段と、
を有するヒートポンプ式給湯機において、
前記貯湯タンク及び前記湯水循環回路のエア抜きのための再注水時においても前記開き状態の前記水抜き栓D1から水が流出しない前記熱交換器での凍結発生時に、解凍指示をユーザが実行可能な操作手段を有し、
前記制御手段は、
前記操作手段を介した前記解凍指示を受け付ける解凍指示受付処理と、
前記解凍指示受付処理により前記解凍指示が受け付けられた場合に、前記加熱手段を制御し、加熱された冷媒を前記熱交換器へ供給する解凍運転を開始する解凍運転開始処理と、
前記解凍運転開始処理による前記解凍運転の開始後、所定期間待機する待機処理と、
前記待機処理による前記所定期間の待機後、前記循環ポンプを駆動するポンプ駆動処理と、
を実行することを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項2】
前記制御手段は、さらに、
予め定められた所定条件が満たされたときに、前記加熱手段を制御し、前記解凍運転開始処理により開始された前記解凍運転を終了する解凍運転停止処理を実行する
ことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項3】
前記所定条件は、
前記戻り管に設けた湯水温度検出手段による検出温度が所定の第1閾値以上で、かつ、前記循環ポンプの回転数が所定の第2閾値以上であることを特徴とする請求項2記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項4】
前記操作手段は、
前記加熱手段を内包する室外機に設けられたスイッチである
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のヒートポンプ式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のヒートポンプ式給湯機においては、特許文献1記載のように、前回貯湯運転完了後から今回貯湯運転の開始前までに水熱交換器が凍結した可能性がある場合に、貯湯運転の開始時に水熱交換器を解凍しながら貯湯タンクへの貯湯を行う解凍貯湯運転を行うものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-184144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものでは、前記解凍貯湯運転の際、ヒートポンプを起動して水熱交換器を加熱する処理と、その後の循環ポンプを起動する処理とが連続して行われる。
ここで、長期間にわたってヒートポンプ式給湯機を使用しない場合には、貯湯タンクや水熱交換器や循環ポンプ及びそれらを接続する配管の水抜きを行い、凍結による破損を防止することが考えられるが、水抜きを行った場合でも、水熱交換器や循環ポンプ内の残水が凍結することがある。
特に、循環ポンプ内の残水が凍結した場合には、循環ポンプ内のインペラがロックしてしまうことがあるため、そのような状況下において、上記従来の解凍貯湯運転を行うと、前記循環ポンプの起動によってポンプの駆動モータに過負荷が生じ、故障を誘発する恐れがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、冷媒を加熱するヒートポンプ式の加熱手段と、前記加熱手段により加熱された前記冷媒と前記貯湯タンク内の湯水との熱交換を行う熱交換器と、前記貯湯タンクの下部から前記熱交換器に向かう往き管、及び、前記熱交換器から前記貯湯タンクの上部に戻る戻り管、を備えた湯水循環回路と、前記湯水循環回路内に前記湯水を循環させる循環ポンプと、前記戻り管の前記熱交換器および前記循環ポンプよりも下流かつ下方に設けられ、開き状態で管内をエア抜き可能な状態とできるに設けられた水抜き栓D1、前記加熱手段及び前記循環ポンプを制御し、当該加熱手段による加熱を行いつつ前記循環ポンプを駆動することにより、前記往き管を介して前記熱交換器に導入され前記冷媒との熱交換により加熱された前記湯水を、前記戻り管を介して前記貯湯タンク供給する沸上運転を実行可能な制御手段と、を有するヒートポンプ式給湯機において、前記貯湯タンク及び前記湯水循環回路のエア抜きのための再注水時においても前記開き状態の前記水抜き栓D1から水が流出しない前記熱交換器での凍結発生時に、解凍指示をユーザが実行可能な操作手段を有し、前記制御手段は、前記操作手段を介した前記解凍指示を受け付ける解凍指示受付処理と、前記解凍指示受付処理により前記解凍指示が受け付けられた場合に、前記加熱手段を制御し、加熱された冷媒を前記熱交換器へ供給する解凍運転を開始する解凍運転開始処理と、前記解凍運転開始処理による前記解凍運転の開始後、所定期間待機する待機処理と、前記待機処理による前記所定期間の待機後、前記循環ポンプを駆動するポンプ駆動処理と、を実行するものである。
【0006】
また、請求項2では、前記制御手段は、さらに、予め定められた所定条件が満たされたときに、前記加熱手段を制御し、前記解凍運転開始処理により開始された前記解凍運転を終了する解凍運転停止処理を実行するものである。
【0007】
また、請求項3では、前記所定条件は、前記戻り管に設けた湯水温度検出手段による検出温度が所定の第1閾値以上で、かつ、前記循環ポンプの回転数が所定の第2閾値以上である。
【0008】
また、請求項4では、前記操作手段は、前記加熱手段を内包する室外機に設けられたスイッチである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の請求項1によれば、湯水循環回路の往き管及び戻り管により貯湯タンクと熱交換器とが接続され、熱交換器において、ヒートポンプ式の加熱手段により加熱された冷媒と貯湯タンク内の湯水との熱交換が行われる。すなわち、制御手段の制御により、加熱手段による加熱が行われつつ循環ポンプが駆動されることにより、往き管を介し前記熱交換器に導入されて加熱された湯水が、前記戻り管を介し前記貯湯タンクへと供給される(沸上運転)。
【0010】
また請求項1によれば、戻り管には水抜き栓D1が設けられている。ユーザは、例えば長期間にわたってヒートポンプ式給湯機が不使用となる場合は、前記水抜き栓D1を開いて湯水循環回路内の水を抜いておくことで、低温による湯水循環回路や熱交換器や循環ポンプ内の凍結による破損防止を図ることができる。
その後、前記不使用の期間が終了しヒートポンプ式給湯機の使用を再開する際には、水抜き栓D1を開いて再通水させて、貯湯タンク及び湯水循環回路のエア抜きを行うが、前記の水抜き時の残水による熱交換器での凍結発生の可能性があることから、エア抜きが完了できなかった場合、ユーザは、水抜き栓D1が開いたままの状態で、操作手段を介して解凍指示を実行する。
【0011】
すると、その解凍指示が制御手段において受け付けられ(解凍指示受付処理)、解凍運転が開始される(解凍運転開始処理)。すなわち、制御手段の制御に基づき前記加熱手段の加熱により加温された冷媒が、前記熱交換器へと供給される。これにより、熱交換器において凍結が発生していたとしても、前記加温された冷媒からの受熱により凍結部位が融解し始める。
その後、時間の経過と共に前記融解が進むことで、熱交換器内において水抜き栓D1に向けた水の流通が徐々に開始される。この水の流通開始により、循環ポンプ内の残水の凍結によってポンプ内のインペラがロックしていたとしてもそのインペラ近傍における水の流通も徐々に開始され、結果として当該インペラまわりの凍結部位も徐々に融解する挙動となる。
【0012】
ここで、仮に、前記解凍運転の開始後すぐに連続して循環ポンプを駆動した場合には、上述したインペラまわりの凍結部位の融解が十分に進まずインペラが回転しないことで循環ポンプの駆動モータに過負荷がかかる恐れが生じる。
これを回避するために、請求項1によれば、制御手段により、解凍運転開始処理による解凍運転の開始後に所定期間だけ待機する待機処理が実行され、この所定期間の待機が完了した後に、循環ポンプの駆動が行われる(ポンプ駆動処理)。この結果、インペラまわりの凍結部位の融解が十分に進んだ後に循環ポンプが駆動開始されるので、インペラの非回転による前記駆動モータの過負荷が生じるのを回避することができる。
【0013】
また、循環ポンプの駆動が行われることで湯水循環回路において確実に水が流通するようになるので、仮に凍結していない状態で誤って解凍指示が行われた場合であっても、加温された冷媒からの熱は熱交換器において流通する水に対し順次供給される。したがって、熱交換器内において過昇温が生じることがない。
【0014】
また、請求項2によれば、制御手段が解凍運転停止処理を実行することで、前記のようにして開始された解凍運転を、予め定められた所定条件が満たされた状態になったときに円滑に終了することができる。
【0015】
また、請求項3によれば、戻り管での検出温度がある程度高くなると共に、循環ポンプの回転数もある程度大きくなったことによって、インペラまわりの凍結部位の融解が進んだ状態で十分な水の流通が行われている(=解凍運転を終了してもよい状態である)ことを精度よく検知することができる。
【0016】
また、請求項4によれば、操作手段を、普段の使用時における不用意な誤操作を防止できる部位であって凍結発生が疑われる際には確実に操作できるような部位に位置する、スイッチとして構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態のヒートポンプ式給湯機の全体概略構成図
図2】ヒートポンプユニット及びタンクユニットの概略設置状況を表す側面図
図3】加熱制御装置の機能的構成を表す機能ブロック図
図4】ヒートポンプユニットの内部構造を表す分解斜視図である。
図5】ヒートポンプ式給湯機の沸上運転時の作動を表す図
図6】加熱制御装置の解凍運転制御部が実行する制御手順を表すフローチャート図
図7】解凍運転開始後の電子膨張弁、室外ファン、圧縮機、加熱循環ポンプの経時挙動をそれぞれ表すグラフ図
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
【0019】
<概略構成>
図1及び図2において、本実施形態に係わるヒートポンプ式給湯機100は、湯水を貯湯する貯湯タンク2を有したタンクユニット1と、ヒートポンプユニット3と、を有している。図2に示すように、この例では、ヒートポンプ式給湯機100が寒冷地で使用される場合を表しており、前記ヒートポンプユニット3が雪に埋まらないように架台60上に設置されて設置高さがかさ増しされている。
【0020】
図1に示すように、前記ヒートポンプユニット3は、いわゆる室外機として構成されており、前記貯湯タンク2内の湯水を加熱するために水冷媒熱交換器15(熱交換器に相当)と、加熱循環ポンプ19(循環ポンプに相当)と、を備えている。水冷媒熱交換器15は、冷媒入口15A及び冷媒出口15Bを備え冷媒を流通させる冷媒側の流路15bと、温水入口15C、温水出口15Dを備えた水側の流路15aとを有し、高温高圧の冷媒と貯湯タンク2内の湯水とを熱交換する。すなわち、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aと前記貯湯タンク2とが、貯湯タンク2の下部から水冷媒熱交換器15に向かう加熱往き管5(往き管に相当)、及び、水冷媒熱交換器15から貯湯タンク2の上部に戻る加熱戻り管6(戻り管に相当)によって環状に接続され、前記タンクユニット1と前記ヒートポンプユニット3とにわたる湯水循環回路としての加熱循環回路4が形成されている。
【0021】
加熱往き管5は、前記貯湯タンク2の下部に接続され、加熱戻り管6は、前記貯湯タンク2の上部に接続されている。前記加熱循環ポンプ19は、前記加熱往き管5の途中に設けられ、前記水側の流路15aを介し前記加熱往き管5からの湯水を前記加熱戻り管6へ流通させつつ、加熱循環回路4内に貯湯タンク2の湯水を循環させる。前記加熱循環ポンプ19は、駆動モータ19mにより駆動される。
【0022】
このとき、加熱戻り管6は、前記ヒートポンプユニット3とタンクユニット1とに跨って設けられており、接続口C1を介しヒートポンプユニット3の外部へ露出すると共に、接続口C2を介しタンクユニット1の内部へとつながっている。ヒートポンプユニット3における接続口C1の近傍には水抜き栓D1が設けられており、タンクユニット1における接続口C2の近傍には水抜き栓D2が設けられている。なお、加熱戻り管6のうち水抜き栓D2よりも貯湯タンク2側には、水冷媒熱交換器15から貯湯タンク2側へ向かう流れを許容すると共にその逆の貯湯タンク2から水冷媒熱交換器15側へ向かう逆流を防止する、逆止弁Bが設けられている。
同様に、加熱往き管5は、タンクユニット1と前記ヒートポンプユニット3とに跨って設けられており、接続口C3を介しタンクユニット1の外部へ露出すると共に、接続口C4を介しヒートポンプユニット3の内部へとつながっている。ヒートポンプユニット3における接続口C4の近傍には水抜き栓D3が設けられている。
【0023】
なお、前記加熱往き管5には、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aに流入する湯水の入水温度T1を検出する入水温度センサ23が設けられ、前記加熱戻り管6には、前記水側の流路15aから前記貯湯タンク2に向かって流出する湯水の沸上温度Tbを検出する沸上温度センサ24(湯水温度検出手段に相当)が設けられている。
【0024】
前記タンクユニット1において、貯湯タンク2の側面には、貯湯タンク2内の湯の温度Twを検出する貯湯温度センサ12が上下にわたり複数設けられている。前記貯湯タンク2の下部にはまた、貯湯タンク2に水を給水する給水管7が接続され、前記貯湯タンク2の上部にはまた、貯湯されている高温水を出湯する出湯管8が接続されている。出湯管8には、貯湯タンク2内が負圧になった場合に開弁して貯湯タンク2内に空気を導入する負圧吸気機能を有すると共に、貯湯タンク2内が開弁圧力以上になった場合に開弁して圧力を逃がす圧力逃し弁119が設けられ、給水管7からは給水バイパス管9が分岐して設けられている。圧力逃し弁119には、手動で開弁させる手動レバー(図示せず)が備えられている。
【0025】
さらに、出湯管8からの湯と給水バイパス管9からの水とを混合して給湯設定温度の湯とする混合弁10と、混合弁10で混合された湯を給湯端末125に給湯するための給湯管108aと、給湯管108a内の給湯温度を検出する給湯温度センサ11と、が設けられている。給水管7の途中には、市水を一定の給水圧(例えば設定圧力値380kPa)に減圧すると共に貯湯タンク2内の湯水を上流側へ逆流させない機能を備えた逆止弁117が設けられている。
【0026】
なお、前記タンクユニット1外における給湯管108aの給湯端末125側には給湯管108bが設けられており、これら給湯管108a,108bの間には混合弁10で混合された湯を加熱可能なガス熱源機130が設けられている。また、前記タンクユニット1外における逆止弁117の一次側配管121、及び、給湯管108bから分岐した分岐配管123、における凍結深度以下の地中には、給水を止水すると共に一次側配管121及び給湯管108bの水抜きを行うための不凍水栓120が埋設されている。不凍水栓120は、操作ハンドル120aと、排水口120bと、排湯口120cと、を備えている。
【0027】
前記ヒートポンプユニット3はまた、冷媒を圧縮する圧縮機14と、四方弁31と、前記水冷媒熱交換器15を通過した後の冷媒を減圧させる減圧器としての電子膨張弁16と、熱源としての空気と冷媒との熱交換を行う熱源側熱交換器としての空気熱交換器17と、空気熱交換器17に外気を送り込む室外ファン67と、を備えている。そして、前記圧縮機14と、前記四方弁31と、前記圧縮機14から吐出された冷媒が流通する前記水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bと、前記電子膨張弁16と、前記空気熱交換器17とが冷媒配管18で環状に接続されることにより冷媒循環回路30が形成されている。
【0028】
前記四方弁31は4つのポートを備える弁であり、前記冷媒配管18のうち(冷媒主経路を構成する)配管部18b,18d用の2つのポートのそれぞれに対して、残りの配管部18a,18c用の2つのポートの何れを接続するかを切り替える。前記配管部18a,18c用の2つのポートどうしは、ループ状に配置された前記配管部18a,18cからなる冷媒副経路によって接続されており、この冷媒副経路上に前記圧縮機14が設けられている。前記圧縮機14は、駆動モータ14mにより駆動される。
【0029】
例えば四方弁31は、図1の状態に切り替えられた場合は、前記圧縮機14の吐出側である前記配管部18aを前記水冷媒熱交換器15の入口側である前記配管部18bに連通させることで空気熱交換器17を電子膨張弁16からの低温低圧の冷媒を蒸発させる蒸発器として機能させ、水冷媒熱交換器15において冷媒配管18内の冷媒から放熱して熱を放出し加熱循環回路4内に温水を生成する。生成された温水は、加熱循環ポンプ19が誘起する加熱循環回路4内の温水の流れによって加熱戻り管6を介し貯湯タンク2内に供給され、これによって貯湯タンク2内の湯水の温度を上昇させることができる(=沸上運転)。また四方弁31が別の状態へ切り替えられた場合は、前記配管部18aを前記空気熱交換器17側である前記配管部18dに連通させ、空気熱交換器17を凝縮器として機能させ、空気熱交換器17に生成される霜を溶かすことができる(=除霜運転)。
なお、冷媒循環回路30及びこれに接続された圧縮機14、四方弁31、空気熱交換器17、電子膨張弁16が、加熱手段に相当している。
【0030】
冷媒循環回路30内には、冷媒として例えばR32冷媒が循環され、ヒートポンプサイクルを構成している。前記圧縮機14と前記水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15bとの間の冷媒配管18には、圧縮機14から吐出される冷媒の冷媒吐出温度Toutを検出する吐出温度センサ20が設けられ、前記空気熱交換器17の空気入口側には、外気温度Tairを検出する外気温度センサ22が設けられている。
【0031】
そして、前記タンクユニット1には、前記した各センサ11,12の検出結果が入力される貯湯制御装置40が設けられている。同様に、前記ヒートポンプユニット3には、前記した各センサ20,22,23,24の検出結果が入力される加熱制御装置50(制御手段に相当)が設けられている。加熱制御装置50及び貯湯制御装置40は、互いに通信可能に接続されており、前記各センサ11,12,20,22,23,24の検出結果等に基づき、相互に連携しつつ、前記タンクユニット1及び前記ヒートポンプユニット3内の各機器の動作を制御する。
【0032】
例えば加熱制御装置50は、前記加熱循環ポンプ19の駆動モータ19m、前記圧縮機14、四方弁31、室外ファン67、電子膨張弁16等を制御し、前記ヒートポンプユニット3による加熱を行いつつ加熱循環ポンプ19を所定の回転数で駆動することにより、前記加熱往き管5を介して水冷媒熱交換器15に導入され冷媒との熱交換により加熱された湯水を、前記加熱戻り管6を介して貯湯タンク2に供給する、前記沸上運転を実行する。
【0033】
なお、加熱制御装置50と貯湯制御装置40との間に制御上の主従関係があり、例えばセンサ11,12の検出結果に基づく運転指令を貯湯制御装置40が加熱制御装置50へ出力し、加熱制御装置50はこの運転指令と各センサ20,22,23,24の検出結果とに基づきヒートポンプユニット3内の各機器の動作を制御するようにしてもよい。以下、本明細書においては、このような場合を例にとって説明する。
【0034】
<加熱制御装置>
次に、前記ヒートポンプユニット3に備えられた前記加熱制御装置50について説明する。加熱制御装置50は、詳細な図示を省略するが、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えている。この加熱制御装置50の機能的構成を図3により説明する。
【0035】
図3に示すように、前記加熱制御装置50は、四方弁制御部410Aと、圧縮機制御部410Bと、膨張弁制御部410Cと、室外ファン制御部410Dと、ポンプ制御部410Fと、解凍運転制御部410Hと、を機能的に備えている。
【0036】
本実施形態のヒートポンプユニット3は、貯湯制御装置40から出力される運転指令に基づき各種制御を行う。すなわち、四方弁制御部410Aには、前記貯湯制御装置40により出力された運転指令が入力される。四方弁制御部410Aは、前記運転指令に応じて、実際にヒートポンプユニット3を、空気熱交換器17を蒸発器として機能させるか又は凝縮器として機能させるか、を決定する。四方弁制御部410Aは、前記運転指令が表す運転態様に対応する開閉信号を四方弁31へ出力し、四方弁31を切り替える。
【0037】
また、四方弁制御部410Aは、その決定結果に対応する運転情報を、前記圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、ポンプ制御部410F、及び解凍運転制御部410Hに出力する。なおこの運転情報には、前記貯湯温度センサ12により検出された貯湯タンク2内の湯の温度Tw、及び、適宜に決定された目標沸上温度Tbo、等が含まれる。
【0038】
圧縮機制御部410Bには、この例では、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbと、前記貯湯制御装置40の運転指令に対応した前記運転情報と、が入力される(直接入力される場合のほか、間接的に入力するようにしてもよい。以下同様)。圧縮機制御部410Bは、この例では、入力された前記外気温度Tair及び前記沸上温度Tbに基づき、前記圧縮機14の目標回転数を設定し、この目標回転数となるように圧縮機14の駆動モータ14mの回転数を増減制御する。
【0039】
膨張弁制御部410Cには、前記吐出温度センサ20により検出された前記冷媒吐出温度Toutと、前記貯湯制御装置40の運転指令に対応した前記運転情報と、が入力される。この例では、膨張弁制御部410Cは、前記冷媒吐出温度Toutが制御上の所望の目標温度となるように、電子膨張弁16の開度を増減制御する。
【0040】
室外ファン制御部410Dには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記貯湯制御装置40の運転指令に対応した前記運転情報と、が入力される。この例では、室外ファン制御部410Dは、入力された前記運転情報及び前記外気温度Tairに基づき、前記室外ファン67の目標回転数を設定し、室外ファン67の回転数がその目標回転数となるように増減制御する。
【0041】
ポンプ制御部410Fは、目標回転数設定部410Faと、駆動信号出力部410Fbと、回転数検出部410Fdと、を備える。ポンプ制御部410Fには、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbと、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記入水温度センサ23により検出された前記入水温度T1と、前記貯湯制御装置40の運転指令に対応した前記運転情報と、が入力される。目標回転数設定部410Faは、これらに基づき、前記加熱循環ポンプ19の駆動モータ19mの目標回転数を設定する。駆動信号出力部410Fbは、その設定された目標回転数となるように駆動モータ19mの回転数を増減制御する駆動信号を出力する。回転数検出部410Fdは、加熱循環ポンプ19の駆動モータ19mの実際の回転数である実回転数Nを検出し、その値を後述の解凍運転制御部410Hへと出力する。
【0042】
解凍運転制御部410Hについては後述する。
【0043】
<ヒートポンプユニットの内部構造>
次に、図4を用いて、ヒートポンプユニット3の内部構造について説明する。前記ヒートポンプユニット3は、図4に示されているように、ヒートポンプユニット3の外郭をなす略直方体中空形状に形成された筐体206を備えている。前記筐体206は、上面板206a1と前面上方板206a2と後面上方板206a3とからなる上方カバー206aと、前面下方部分の前面パネル206bと、右側板206cと、を備えている。
【0044】
前記筐体206の内部には、室外ファン67が配設される送風室219と、圧縮機14が配設される機械室220と、を仕切る垂直仕切壁221が設けられている。また、前記筐体206の内部には、送風室219及び機械室220の上方に位置し、送風室219及び機械室220を横断するように配設される水平仕切壁222が設けられている。そして、水平仕切壁222を介した送風室219及び機械室220の上方には、水冷媒熱交換器15が配設される温水回路室223が形成される。これにより、筐体206の内部においては、水平仕切壁222より上方の空間が温水回路室223として区画され、水平仕切壁222より下方の空間で垂直仕切壁221より左右方向一方側(この例では左側)が送風室219として区画され、垂直仕切壁221より左右方向他方側(この例では右側)が機械室220として区画されている。
【0045】
前記温水回路室223には、水冷媒熱交換器15を取り付けるための取付台(図示省略)が設けられ、取付台が水平仕切壁222上に固定される。これにより、前記水冷媒熱交換器15は、水平仕切壁222から所定の空隙(図示省略)を介して配設されている。水平仕切壁222と水冷媒熱交換器15との間に形成される前記空隙Sには、冷媒入口15A又は冷媒出口15Bと接続される冷媒配管18と、前記加熱往き管5と、前記加熱戻り管6とが配設されている(詳細な図示は省略)。この例では、水冷媒熱交換器15は、温水回路室223の左右方向において、送風室219側に配設されている。すなわち、水冷媒熱交換器15は、温水回路室223内であって送風室219の上方に対応する位置に配設されている。また、加熱循環ポンプ19は、温水回路室223内(前記水平仕切壁222の上部)における、水冷媒熱交換器15の右側に配設されている。
【0046】
前記機械室220には、冷媒配管18で接続された、前記圧縮機14、前記四方弁31、前記電子膨張弁16、等が配置されている。
【0047】
<右側板付近の構成>
前記機械室220の右側を覆うように設けられる前記右側板206cは、上開口部211及び下開口部212を備えている。右側板206cの上開口部211に対応する位置には、図示しない信号線や電源線が接続される端子台(図示せず)を取り付ける端子台取付金具213が、右側板206cの内方(左側)から取り付けられる。その際、端子台取付金具213は、その外方端(右端)が前記上開口部211から外方に露出する態様で右側板206cに取り付けられ、上開口部211を右側からふさぐように取り付けられる端子台カバー214によって、その露出した外方端(右端)が覆われる。なお、端子台取付金具213には、後述の解凍運転を開始するための操作スイッチ(図示省略)が設けられており、後述の配管カバー225が取り外されることにより、端子台カバー214に設けた操作窓214aを介し、当該操作スイッチを外部から手動操作可能となる。
【0048】
一方、ヒートポンプユニット3内にある加熱往き管5のうち前記接続口C4側の部分は、略鉛直方向に配置される略平板形状のサイドパネル215に挿通され、挿通後の先端に当該接続口C4が設けられる。同様に、ヒートポンプユニット3内にある加熱戻り管6のうち前記接続口C1側の部分もサイドパネル215に挿通され、挿通後の先端に当該接続口C1が設けられる。このように加熱往き管5、接続口C4、加熱戻り管6、接続口C1が取り付けられたサイドパネル215は、前記下開口部212から外方(右側)に突出して配置される態様で右側板206cに取り付けられる。この結果、後述の配管カバー225が取り外されサイドパネル215が露出することにより、前記接続口C1近傍に位置する前記水抜き栓D1、及び、前記接続口C4近傍に位置する前記水抜き栓D3、が外部から手動操作可能となる。
【0049】
前記のようにして上開口部211近傍に端子台取付金具213及び端子台カバー214が取り付けられ、下開口部212近傍にサイドパネル215が取り付けられた状態の右側板206cのさらに外方(右方)が、着脱可能な配管カバー225によって覆われる。
【0050】
<沸上運転>
以上説明した構成において実行される前記沸上運転を、図5を用いて説明する。すなわち、沸上運転が実行される際には、四方弁制御部410Aにより空気熱交換器17を蒸発器として機能させるように四方弁31が切り替えられ、圧縮機制御部410Bにより圧縮機14の駆動モータ14mが目標回転数となるように駆動制御される。また、膨張弁制御部410Cにより前記冷媒吐出温度Toutが制御上の所望の目標温度となるように電子膨張弁16の開度が制御され、室外ファン制御部410Dにより室外ファン67が目標回転数となるように駆動制御される。
【0051】
また、ポンプ制御部410Fの目標回転数設定部410Faにより、加熱循環ポンプ19の目標回転数が通常回転数に設定される。そして、駆動信号出力部410Fbにより、前記目標回転数設定部410Faにより設定された目標回転数の回転を実行するための駆動信号が生成されて加熱循環ポンプ19の駆動モータ19mへと出力される。
【0052】
以上により、図5に示すように、加熱循環回路4では、水冷媒熱交換器15→加熱戻り管6→貯湯タンク2→加熱往き管5→水冷媒熱交換器15→・・の順で湯水を通過させつつ、加熱循環回路4内での湯水の循環が行われる。一方で、冷媒循環回路30では、水冷媒熱交換器15→電子膨張弁16→空気熱交換器17→圧縮機14→水冷媒熱交換器15→・・の順で冷媒を通過させつつ、冷媒循環回路30内での冷媒の循環が行われる。その結果、水冷媒熱交換器15において流路15b内の冷媒が流路15a内の湯水に熱を放出して温水を生成し、生成された温水が貯湯タンク2内に供給されることで、貯湯タンク2内の湯水の温度が上昇する。
【0053】
<実施形態の背景及び特徴>
ここで、本実施形態では、加熱戻り管6に前記水抜き栓D1が設けられ、加熱往き管5にも前記水抜き栓D3が設けられている。ユーザは、例えば長期間にわたってヒートポンプ式給湯機100を不使用とする場合は、不凍水栓120を操作して給水を止水すると共に、前記水抜き栓D1,D3を開いて加熱循環回路4や水冷媒熱交換器15や加熱循環ポンプ19や貯湯タンク2内の水を抜いておくことで、低温による加熱循環回路4や水冷媒熱交換器15や加熱循環ポンプ19や貯湯タンク2内の凍結による破損防止を図ることができる。
【0054】
その後、前記不使用の期間が終了しユーザがヒートポンプ式給湯機100の使用を再開する際は、不凍水栓120を操作してヒートポンプ式給湯機100への給水を再開させると共に、貯湯タンク2へ再通水することで貯湯タンク2内のエア抜きを行う。
貯湯タンク2内のエア抜きが完了したら、水抜き栓D1又はD2を開いて加熱往き管5、加熱循環ポンプ19、水冷媒熱交換器15、水抜き栓D1又はD2までの加熱戻り管6に再通水することでこれらの加熱循環回路4のエア抜きを行う。このとき貯湯タンク2の上部から水抜き栓D1,D2の経路は逆止弁Bの作用により通水が阻止されている。なお、逆止弁Bに代えて、加熱戻り管6のうち水抜き栓D1,D2と貯湯タンク2の上部との間に手動の開閉弁を設け、前記の加熱循環回路4のエア抜きを行う際にはその開閉弁を手動で閉塞しておくようにしてもよい。
そして、水抜き栓D1又はD2から水が流出したことを確認したら加熱循環回路4のエア抜きが完了したとして水抜き栓D1,D2を閉栓し、ヒートポンプ式給湯機100の使用を再開する。
【0055】
しかしながら、前記のような水抜きを行った場合でも、水冷媒熱交換器15や加熱循環ポンプ19から抜け切れずにわずかに残った残水が凍結することがある。水冷媒熱交換器15の残水の凍結により流路閉塞が発生していると、水抜き栓D1,D2から水が流出できない。また、加熱循環ポンプ19内の底部の残水やインペラの軸部の残水が凍結するとインペラがロックしてしまうことがある。所定の時間待っても開栓状態の水抜き栓D1,D2から水が出ず、エア抜きが完了できなかった場合、ユーザは水冷媒熱交換器15での凍結発生を認識し、所定の解凍運転を実行させる。本実施形態の特徴は、この解凍運転の実行時における、加熱制御装置50の制御態様にある。そのために、図3に示したように、加熱制御装置50に解凍運転制御部410Hが設けられ、対応する各部への制御が行われる。以下、その詳細を、図6及び図7を用いて説明する。
【0056】
図6は、前記の解凍運転の実行時に加熱制御装置50の解凍運転制御部410Hが実行する制御手順を表すフローチャート図である。図7(a)~(d)は、解凍運転開始後の前記電子膨張弁16、前記室外ファン67、前記圧縮機14、及び前記加熱循環ポンプ19の経時挙動をそれぞれ表すグラフ図である。
【0057】
ユーザは、まず準備手順として、ユーザは、不凍水栓120を操作してヒートポンプ式給湯機100への給水を再開させると共に、圧力逃し弁119の手動レバーを操作して圧力逃し弁119を開弁させ、貯湯タンク2へ再通水することで貯湯タンク2内のエア抜きを行う。このとき、加熱循環回路4は貯湯タンク2に比べて圧力損失が大きいため、仮に水抜き栓D1,D2が開栓していても通水しない。貯湯タンク2内のエアが抜けて圧力逃し弁119から水が流出したことを確認したら貯湯タンク2内のエア抜きが完了したとして圧力逃し弁119の手動レバーを操作して圧力逃し弁119を閉弁する。次いで、ユーザは、加熱循環回路4内のエア抜きのため、前記水抜き栓D1,D2を開く。この状態で、図6において、まずS5で、前記の不使用によりこの時点でOFF状態になっていた電源が、ユーザの適宜の操作に対応してON状態とされる。
【0058】
その後、前記したようにヒートポンプユニット3の筐体206の配管カバー225が取り外され、端子台取付金具213の操作スイッチ(操作手段に相当)がユーザにより操作されると、S10においてその操作が受け付けられる。なおこの操作スイッチの操作が解凍指示に相当し、S10において解凍運転制御部410Hが実行する処理が解凍指示受付処理に相当している。
なお、前記操作スイッチに代えて、タンクユニット1側に備えられたリモコン等の適宜の操作手段を用いてもよい。この場合、ユーザによる当該リモコン等の操作に対応した操作信号が直接又は貯湯制御装置40を介し加熱制御装置50の解凍運転制御部410Hにより取得され、前記S10で当該操作が受け付けられる。なお、前記S10の操作が受け付けられた際、前記の外気温度Tairの検知結果に基づいて凍結の恐れがないと判断される場合(例えば夏季)には解凍運転の受付をキャンセルすることで、不要な解凍運転の実行を抑制するようにしてもよい。
【0059】
その後、S15で、筐体206又はその内部の適宜の箇所に設けた、前記解凍運転の実行を表すLED(図示省略:好ましくは前記操作スイッチの近傍に設けられる)の点滅が開始される。そして、S20において、ヒートポンプユニット3の冷媒循環回路30において、前記沸上運転と同様のヒートポンプ起動が行われ、前記解凍運転が開始される(図7(a)~(d)における時間t0参照)。なお、S20において解凍運転制御部410Hが実行する処理が解凍運転開始処理に相当している。
【0060】
すなわち、四方弁制御部410Aへの運転指令出力により、空気熱交換器17を蒸発器として機能させるように四方弁31が切り替えられる。また、圧縮機制御部410Bへの運転指令出力により、圧縮機14が解凍運転における所定の目標回転数となるように駆動制御される(図7(c)参照)。また、膨張弁制御部410Cへの運転指令出力により、前記冷媒吐出温度Toutが解凍運転における所定の目標温度となるように電子膨張弁16の開度が制御される(図7(a)参照)。さらに、室外ファン制御部410Dへの運転指令出力により、室外ファン67が解凍運転における所定の目標回転数となるように駆動制御される(図7(b)参照)。
【0061】
上記により、前記沸上運転時と同様、冷媒循環回路30において、水冷媒熱交換器15→電子膨張弁16→空気熱交換器17→圧縮機14→水冷媒熱交換器15→・・の順で冷媒の循環が行われる結果、水冷媒熱交換器15において流路15b内の冷媒からの熱放出が行われる。これにより、水冷媒熱交換器15において凍結が発生していたとしても、冷媒循環回路30において加温された冷媒からの受熱により凍結部位が融解し始める。
【0062】
その後、時間の経過と共に前記融解が進むことで、水冷媒熱交換器15内において水抜き栓D1,D2に向けた加熱戻り管6側への水の流通が徐々に開始される。この水の流通開始により、加熱循環ポンプ19内の残水の凍結によってポンプ内のインペラがロックしていたとしてもそのインペラ近傍における水の流通も徐々に開始され、結果として当該インペラまわりの凍結部位も徐々に融解する挙動となる。
ここで、仮に、S20のヒートポンプ起動後すぐに連続して加熱循環ポンプ19を駆動開始した場合には、上述したインペラまわりの凍結部位の融解が十分に進まずインペラが回転しないことで加熱循環ポンプ19の駆動モータ19mに過負荷がかかる恐れが生じる。
【0063】
そこでこれを回避するために、本実施形態では、前記S20でのヒートポンプ起動後、S25において、所定の待機期間(例えば2分。所定期間に相当)だけ待機したか否かが判定される。前記待機期間が経過するまではNo判定となってループ待機し(=待機処理に相当)、前記待機期間が経過したらYes判定となってS30へ移行する。
【0064】
S30では、ポンプ制御部410Fへの運転指令出力により、前記加熱循環ポンプ19が起動され、その目標回転数が解凍運転における所定の目標回転数となるように制御される(図7(d)の時間t1参照)。なお、S30において解凍運転制御部410Hが実行する処理がポンプ駆動処理に相当している。このように、前記所定期間の待機が完了した後に、加熱循環ポンプ19の駆動が行われる結果、インペラまわりの凍結部位の融解が十分に進んだ後に加熱循環ポンプ19が駆動開始されるので、インペラの非回転による前記駆動モータ19mの過負荷が生じるのを回避することができる。
【0065】
その後、S35に移行し、沸上温度センサ24により検出される前記沸上温度Tbが所定温度(第1閾値に相当。この例では3[℃]。以下同様)以上であり、かつ、ポンプ制御部410Fの前記回転数検出部410Fdから入力された前記実回転数Nが所定回転数(第2閾値に相当。この例では500[rpm]。以下同様)以上であるか否か、が判定される。Tb≧3[℃]かつN≧500[rpm](=所定条件に相当)であればYes判定され、凍結していた残水が融解状態であると判断され、後述のS50へ移行する。Tb<3[℃]若しくはN<500[rpm]であればNo判定され、S40へ移行する。
なお、上記判定条件に、Tb>T1の条件を加えて、融解状態判断の精度向上を図るようにしてもよい。
【0066】
S40では、S30の実行後、所定のタイムアウト時間(この例では30分。以下同様)が経過したか否か、が判定される。30分が経過していればYes判定され、後述のS50へ移行する。30分が経過していなければNo判定され、S45へ移行する。
【0067】
S45では、強制終了用に予め用意された適宜の終了操作手段(図示せず)を介したユーザの強制終了操作がなされたか否か、が判定される。強制終了操作がなさされたらYes判定され、後述のS50へ移行する。強制終了操作がなされていなければ前記S35へ戻り、同様の手順が繰り返される。
【0068】
S50では、S20で起動済みであるヒートポンプが停止され、前記解凍運転が終了される(図7(a)~(c)における時間t2参照)。すなわち圧縮機制御部410B、室外ファン制御部410D、膨張弁制御部410Cそれぞれへの運転指令出力により、圧縮機14及び室外ファン67が停止されかつ電子膨張弁16は所定の停止開度とされる。なお、S50において解凍運転制御部410Hが実行する処理が解凍運転停止処理に相当している。またその後すぐS55で、S30で起動済である加熱循環ポンプ19が停止される(図7(d)における時間t2参照)。
【0069】
そして、S60において、前記S15より点滅されていた前記LEDが消灯され、このフローを終了する。なお、ユーザは、前記のように開いていた水抜き栓D1,D2を閉じる。これにより、前記沸上運転等の通常の運転を実行可能な状態に復帰することができる。
【0070】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、ユーザによる前記不使用の期間が終了しヒートポンプ式給湯機100の使用を再開する際、水抜き栓D1,D2を開き再通水させて貯湯タンク2及び加熱循環回路4のエア抜きを行う。エア抜きが完了できなかった場合、ユーザは、水抜き栓D1(又は水抜き栓D2でもよい)が開いたままの状態で操作スイッチを介して解凍指示を実行することで解凍運転が開始され、冷媒循環回路30の加熱により加温された冷媒が、前記水冷媒熱交換器15へと供給される(S20)。これにより、前記不使用期間の間に水冷媒熱交換器15において凍結が発生していたとしても、前記加温された冷媒からの受熱により凍結部位を融解させることができる。
【0071】
その際、S20による解凍運転の開始後、所定期間(前記の例では2分)が完了した後に(S25)、加熱循環ポンプ19の駆動が行われる(S30)。この結果、融解が進み水冷媒熱交換器15内において水抜き栓D1,D2に向けた水の流通が開始されインペラまわりの凍結部位の融解が十分に進んだ後に加熱循環ポンプ19が駆動開始されるので、前記解凍運転の開始後すぐに連続して加熱循環ポンプ19を駆動させる場合のようにインペラの非回転による前記駆動モータの過負荷が生じるのを、回避することができる。
また、加熱循環ポンプ19の駆動が行われることで加熱循環回路4において確実に水が流通するようになるので、仮に凍結していない状態で誤って前記操作スイッチによる解凍指示が行われた場合であっても、加温された冷媒からの熱は水冷媒熱交換器15において流通する水に対し順次供給される。したがって、水冷媒熱交換器15内において過昇温が生じることがない。
【0072】
また、本実施形態では特に、前記のようにしてS20で開始された解凍運転を、予め定められた所定条件(前記の例ではTb≧3[℃]かつN≧500[rpm])が満たされた状態になったときに円滑に終了することができる(S50)。
【0073】
また、本実施形態では特に、前記所定条件が、Tb≧3[℃]で、かつ、N≧500[rpm]である。これにより、加熱戻り管6での検出温度がある程度高くなると共に、加熱循環ポンプ19の回転数もある程度大きくなったことによって、インペラまわりの凍結部位の融解が進んだ状態で十分な水の流通が行われている(=解凍運転を終了してもよい状態である)ことを精度よく検知することができる。
【0074】
また、本実施形態では特に、前記操作スイッチが、前記圧縮機14を備えた冷媒循環回路30を内包するヒートポンプユニット3に設けられたスイッチである。これにより、前記操作スイッチを、普段の使用時における不用意な誤操作を防止できる部位であって凍結発生が疑われる際には確実に操作できるような部位に位置する、スイッチとして構成することができる。
【0075】
なお、本発明は以上の態様に限定されることなく、その趣旨を変更しない範囲で適用可能なものである。
【0076】
例えば、前記ヒートポンプサイクルとしては、減圧器としてエジェクターを用いたエジェクターサイクルでもよいものである。
【0077】
また、上記実施形態では、熱源機として、熱源側熱交換器としての空気熱交換器17に冷媒を通じる一方で外気を送風する室外ファン67を有し、熱源としての外気と前記冷媒とが熱交換される、空気熱源式のヒートポンプである場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、熱源機を、熱源側熱交換器に対して水や不凍液が供給されそれらの液体と冷媒とが当該熱源側熱交換器において熱交換する構成のものとしてもよい。
また、地中又は比較的大容量の水源中に熱源側熱交換器を設け、この熱源側熱交換器で前記地中又は前記水源と冷媒とが熱交換する構成のものとしてもよい。さらには、前記地中又は前記水源の熱を用いたヒートポンプ回路と空気熱を用いた別のヒートポンプ回路とを備えた複合熱源型の構成としてもよい。
さらには、熱源側熱交換器において前記冷媒と熱交換できるものであれば、前記液体や前記外気や前記水源に代えて、それ以外のもの(例えば、発煙、排煙、各種高温ガス等を含む気体や、熱砂、塵埃、各種粒子等を含む流動固体)を熱源側熱交換器に通じたり、太陽光、反射光、その他輻射等による熱を熱源側熱交換器に供給して用いる構成としても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 タンクユニット
2 貯湯タンク
3 ヒートポンプユニット
4 加熱循環回路(湯水循環回路)
5 加熱往き管(往き管)
6 加熱戻り管(戻り管)
12 貯湯温度センサ
14 圧縮機(加熱手段)
15 水冷媒熱交換器(熱交換器)
16 電子膨張弁(加熱手段)
17 空気熱交換器(加熱手段)
19 加熱循環ポンプ(循環ポンプ)
22 外気温度センサ
23 入水温度センサ
24 沸上温度センサ(湯水温度検出手段)
30 冷媒循環回路(加熱手段)
31 四方弁(加熱手段)
40 貯湯制御装置
50 加熱制御装置(制御手段)
100 ヒートポンプ式給湯機
410F ポンプ制御部
T1 入水温度
Tair 外気温度
Tb 沸上温度
Tout 冷媒吐出温度

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7