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特許7644735粘着剤組成物、粘着シート、粘着シート付き光学フィルム、並びに、粘着シート及び粘着シート付き光学フィルムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、粘着シート、粘着シート付き光学フィルム、並びに、粘着シート及び粘着シート付き光学フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/40 20180101AFI20250305BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20250305BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20250305BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20250305BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20250305BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
C09J7/40
C09J7/38
C09J4/02
C09J11/06
C09J133/04
G02B5/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022117581
(22)【出願日】2022-07-22
(65)【公開番号】P2024014616
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2024-11-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100214639
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟士
(72)【発明者】
【氏名】木村 智之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 翔平
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113724579(CN,A)
【文献】特開2018-183940(JP,A)
【文献】特開2009-208347(JP,A)
【文献】特開平05-193041(JP,A)
【文献】国際公開第2020/009401(WO,A1)
【文献】特開2020-186331(JP,A)
【文献】国際公開第2014/203995(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
G02B5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート、粘着剤組成物を含む塗布層、はく離ライナーをこの順に含む積層体に光を照射して、前記塗布層から粘着シートを形成する工程Aと、
前記粘着シートから前記はく離ライナーを剥離する工程Bと、
を含み、
前記工程Bで剥離された前記はく離ライナーを用いて前記工程A及び前記工程Bを繰り返し実施して、前記はく離ライナーを再利用する、粘着シートの製造方法。
ただし、前記粘着剤組成物は、
(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物、並びに、光重合開始剤を含む、光硬化型の粘着剤組成物であって、
前記粘着剤組成物は、酸化防止剤をさらに含み、
下記試験により求めた剥離力PS1が1.0N/50mm以下である。
試験:前記基材シート、前記粘着剤組成物を含む塗布層、及び前記はく離ライナーをこの順に含む積層体に、照度2.42mW/cm2、照射時間10分の条件で紫外線を照射して、前記塗布層から粘着シートを形成する工程A’と、前記粘着シートから前記はく離ライナーを剥離する工程B’とを行う。前記工程B’で剥離された前記はく離ライナーを用いて前記工程A’及び前記工程B’を繰り返し実施して、前記はく離ライナーを再利用する。未使用の状態から数えて前記粘着シートから1回剥離させた、前記工程B’によって得られた前記再利用のはく離ライナーと、繰り返し実施による前記工程A’で得られた前記粘着シートとの剥離力PS1を特定する。
【請求項2】
前記剥離力PS1が0.5N/50mm以下である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項3】
前記試験において、未使用の状態の前記はく離ライナーと前記粘着シートとの剥離力PS0が0.01N/50mm以上である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項4】
前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項5】
前記酸化防止剤の分子量が1500以下である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項6】
前記単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含む、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項7】
前記粘着剤組成物における溶剤の含有率が5重量%以下である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項8】
前記粘着シートの厚さが5~40μmである、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の製造方法によって形成された粘着シートと光学フィルムとを積層して、粘着シート付き光学フィルムを形成することを含む、粘着シート付き光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記光学フィルムが、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むフィルムである、請求項9に記載の粘着シート付き光学フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、粘着シート、粘着シート付き光学フィルム、並びに、粘着シート及び粘着シート付き光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置及びエレクトロルミネセンス(EL)表示装置に代表される各種の画像表示装置は、一般に、偏光フィルム等の光学フィルムと粘着シートとを含む光学積層体を備えている。光学積層体に含まれる光学フィルム間の接合や、光学積層体と画像表示パネルとの接合には、通常、粘着シートが使用される。粘着シートとしては、アクリル単量体やシリコーン単量体等を含む単量体群を重合及び架橋により硬化させたシートが典型的である。
【0003】
特許文献1は、粘着シートの一例を開示している。特許文献1において、粘着シートは、2つのはく離ライナーの間に配置された粘着剤組成物の塗布層に光を照射することによって作製されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6688054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
硬化による粘着シートの形成には、通常、熱や光等のエネルギーが必要である。光を利用する方法(光硬化法)によれば、例えば粘着剤組成物及び溶剤を含む塗布層をオーブンにより熱硬化させる方法(熱硬化法)に比べて、粘着シートの形成に必要なエネルギーの量を削減できる。しかし、粘着シート製造時の環境負荷を低減する観点からは、塗布層の硬化に必要なエネルギー量に着目するだけでは不十分である。
【0006】
そこで本発明は、粘着シートの製造に必要なはく離ライナーの廃棄量を削減することによって、低環境負荷での粘着シートの製造が可能な粘着剤組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物、並びに、光重合開始剤を含む、光硬化型の粘着剤組成物であって、
前記粘着剤組成物は、酸化防止剤をさらに含み、
下記試験により求めた剥離力PS1が1.0N/50mm以下である、粘着剤組成物を提供する。
試験:基材シート、前記粘着剤組成物を含む塗布層、及び厚さ120nmの離型層を有するはく離ライナーをこの順に含む積層体に、照度2.42mW/cm2、照射時間10分の条件で紫外線を照射して、前記塗布層から粘着シートを形成する工程Aと、前記粘着シートから前記はく離ライナーを剥離する工程Bとを行う。前記工程Bで剥離された前記はく離ライナーを用いて前記工程A及び前記工程Bを繰り返し実施して、前記はく離ライナーを再利用する。未使用の状態から数えて前記粘着シートから1回剥離させた、前記工程Bによって得られた前記再利用のはく離ライナーと、繰り返し実施による前記工程Aで得られた前記粘着シートとの剥離力PS1を特定する。
【0008】
さらに本発明は、
上記の粘着剤組成物から形成された、粘着シートを提供する。
【0009】
さらに本発明は、
上記の粘着シートと、
光学フィルムと、
を備えた、粘着シート付き光学フィルムを提供する。
【0010】
さらに本発明は、
基材シート、上記の粘着剤組成物を含む塗布層、はく離ライナーをこの順に含む積層体に光を照射して、前記塗布層から粘着シートを形成する工程Aと、
前記粘着シートから前記はく離ライナーを剥離する工程Bと、
を含み、
前記工程Bで剥離された前記はく離ライナーを用いて前記工程A及び前記工程Bを繰り返し実施して、前記はく離ライナーを再利用する、粘着シートの製造方法を提供する。
【0011】
さらに本発明は、
上記の製造方法によって形成された粘着シートと光学フィルムとを積層して、粘着シート付き光学フィルムを形成することを含む、粘着シート付き光学フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば粘着シートの製造に必要なはく離ライナーの廃棄量を削減することによって、低環境負荷での粘着シートの製造が可能な粘着剤組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の粘着剤組成物を用いた試験方法を説明するための図である。
図2図1の試験方法で用いられるはく離ライナーを模式的に示す断面図である。
図3】本発明の粘着シートの一例を模式的に示す断面図である。
図4A】粘着シートに対するクリープ量の測定方法を説明するための模式図である。
図4B】粘着シートに対するクリープ量の測定方法を説明するための模式図である。
図5】本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
図6】本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
図7】本発明の粘着シート付き光学フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
図8】本発明の粘着シート付き光学フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1態様にかかる粘着剤組成物は、
(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物、並びに、光重合開始剤を含む、光硬化型の粘着剤組成物であって、
前記粘着剤組成物は、酸化防止剤をさらに含み、
下記試験により求めた剥離力PS1が1.0N/50mm以下である。
試験:基材シート、前記粘着剤組成物を含む塗布層、及び厚さ120nmの離型層を有するはく離ライナーをこの順に含む積層体に、照度2.42mW/cm2、照射時間10分の条件で紫外線を照射して、前記塗布層から粘着シートを形成する工程Aと、前記粘着シートから前記はく離ライナーを剥離する工程Bとを行う。前記工程Bで剥離された前記はく離ライナーを用いて前記工程A及び前記工程Bを繰り返し実施して、前記はく離ライナーを再利用する。未使用の状態から数えて前記粘着シートから1回剥離させた、前記工程Bによって得られた前記再利用のはく離ライナーと、繰り返し実施による前記工程Aで得られた前記粘着シートとの剥離力PS1を特定する。
【0015】
本発明の第2態様において、例えば、第1態様にかかる粘着剤組成物では、前記剥離力PS1が0.5N/50mm以下である。
【0016】
本発明の第3態様において、例えば、第1又は第2態様にかかる粘着剤組成物では、未使用の状態の前記はく離ライナーと前記粘着シートとの剥離力PS0が0.01N/50mm以上である。
【0017】
本発明の第4態様において、例えば、第1~第3態様のいずれか1つにかかる粘着剤組成物では、前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
【0018】
本発明の第5態様において、例えば、第1~第4態様のいずれか1つにかかる粘着剤組成物では、前記酸化防止剤の分子量が1500以下である。
【0019】
本発明の第6態様において、例えば、第1~第5態様のいずれか1つにかかる粘着剤組成物では、前記単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含む。
【0020】
本発明の第7態様において、例えば、第1~第6態様のいずれか1つにかかる粘着剤組成物では、溶剤の含有率が5重量%以下である。
【0021】
本発明の第8態様にかかる粘着シートは、第1~第7態様のいずれか1つにかかる粘着剤組成物から形成される。
【0022】
本発明の第9態様において、例えば、第8態様にかかる粘着シートは、厚さが5~40μmである。
【0023】
本発明の第10態様にかかる粘着シート付き光学フィルムは、
第8又は第9態様にかかる粘着シートと、
光学フィルムと、
を備える。
【0024】
本発明の第11態様において、例えば、第10態様にかかる粘着シート付き光学フィルムでは、前記光学フィルムが、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むフィルムである。
【0025】
本発明の第12態様にかかる粘着シートの製造方法は、
基材シート、第1~第7態様のいずれか1つにかかる粘着剤組成物を含む塗布層、はく離ライナーをこの順に含む積層体に光を照射して、前記塗布層から粘着シートを形成する工程Aと、
前記粘着シートから前記はく離ライナーを剥離する工程Bと、
を含み、
前記工程Bで剥離された前記はく離ライナーを用いて前記工程A及び前記工程Bを繰り返し実施して、前記はく離ライナーを再利用する。
【0026】
本発明の第13態様にかかる粘着シート付き光学フィルムの製造方法は、
第12態様にかかる製造方法によって形成された粘着シートと光学フィルムとを積層して、粘着シート付き光学フィルムを形成することを含む。
【0027】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
【0028】
本発明者らは、剥離後直ちに廃棄されていたはく離ライナーを再使用することにより、粘着シートの製造プロセスにおける環境負荷をさらに低減することを着想し、この着想に基づいて検討を進め、本発明を完成させた。
【0029】
[粘着剤組成物の実施形態]
本実施形態の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は当該単量体群の部分重合物、並びに、光重合開始剤を含む。粘着剤組成物は、酸化防止剤をさらに含む。粘着剤組成物は、光の照射によって硬化する光硬化型の粘着剤組成物である。本明細書では、光硬化型の粘着剤組成物を光硬化性組成物と呼ぶことがある。
【0030】
本発明の一形態において、粘着剤組成物は、下記試験により求めた剥離力PS1が1.0N/50mm以下である。
試験:基材シート、粘着剤組成物を含む塗布層、及び厚さ120nmの離型層を有するはく離ライナーをこの順に含む積層体に、照度2.42mW/cm2、照射時間10分の条件で紫外線を照射して、塗布層から粘着シートを形成する工程Aと、粘着シートからはく離ライナーを剥離する工程Bとを行う。工程Bで剥離されたはく離ライナーを用いて工程A及び工程Bを繰り返し実施して、はく離ライナーを再利用する。未使用の状態から数えて粘着シートから1回剥離させた、工程Bによって得られた再利用のはく離ライナーと、繰り返し実施による工程Aで得られた粘着シートとの剥離力PS1を特定する。この試験に適したはく離ライナーの作製法の一例を実施例の欄に記載する。
【0031】
以下では、図1を参照して、上記の試験方法を詳細に説明する。まず、基材シート11、塗布層12、及びはく離ライナー13をこの順に含む第1の積層体10を作製する。塗布層12は粘着剤組成物を塗布して形成される。はく離ライナー13は、離型層132(図2参照)が塗布層12に接するように配置する。基材シート11は、塗布層12から形成される粘着シート1との剥離力が、はく離ライナー13と当該粘着シート1との剥離力より大きいものである限り、特に限定されない。基材シート11の詳細は後述する。
【0032】
図2に示すとおり、はく離ライナー13は、ライナー基材131と、ライナー基材131の一方の面に形成された離型層132とを備える。ライナー基材131は、例えば、ポリエステルフィルム(ルミラーXD500P、厚さ75μm)である。離型層132は、シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物の硬化層である。はく離ライナー13は、離型層132が塗布層12の側となるように使用される。
【0033】
第1の積層体10は、例えば、基材シート11(又ははく離ライナー13)の上に塗布層12を形成し、形成した塗布層12の上にはく離ライナー13(又は基材シート11)を配置して形成できる。また、互いの主面が向き合うように所定の間隔に保持された基材シート11及びはく離ライナー13の間の空間に粘着剤組成物を流しこむように塗布して第1の積層体10を形成してもよい。塗布層12の厚さは、典型的には、20μmである。
【0034】
次に、第1の積層体10に光(紫外線)14を照射して、塗布層12から粘着シート1を形成する(工程A)。上述のとおり、光14は、照度2.42mW/cm2、照射時間10分の条件で第1の積層体10に照射する。光14の照射は、典型的には、基材シート11の側から実施する。形成された粘着シート1は、はく離ライナー13が剥離されるまでは、基材シート11及びはく離ライナー13によって挟持されて、第2の積層体17の一部を構成している。
【0035】
次に、粘着シート1からはく離ライナー13を剥離する(工程B)。工程Bで剥離されたはく離ライナー13を用いて、工程A及び工程Bを繰り返し実施する。これにより、はく離ライナー13を再利用する。剥離されたはく離ライナー13を用いた工程Aは、基材シート11、塗布層12、及び剥離されたはく離ライナー13をこの順に含む第1の積層体10を形成し、形成した第1の積層体10に光14を照射することによって実施される。
【0036】
次に、未使用の状態から数えて粘着シート1から1回剥離させた後のはく離ライナー13と、粘着シート1との剥離力PS1を特定する。詳細には、剥離力PS1は、次の方法によって実施する。まず、未使用の状態のはく離ライナー13を用いて工程A及び工程Bを1回実施する。工程Bによって得られた再利用のはく離ライナー13を用いて、さらに2回目の工程Aを実施し、第2の積層体17を得る。第2の積層体17を幅50mmに切り出して試験片を作製し、作製した試験片からはく離ライナー13のみを引きはがす180°引きはがし試験を実施して、剥離力PS1を評価できる。引きはがし試験は、粘着シート1の形成から0.5~1時間程度の時間が経過した後に実施する。粘着シート1の形成から引きはがし試験の実施まで、第2の積層体17及び試験片は23℃±5℃の大気雰囲気に置く。引きはがし試験の引きはがし速度は300mm/分、試験温度は23℃±5℃とする。第2の積層体17の幅が50mmに満たない場合は、原幅での測定値を幅50mmあたりの値に換算してもよい。塗布層12の形成方向を判別できる場合は、その方向であるMDに対して面内に垂直なTDを試験片の幅方向として定めることができる。基材シート11及びはく離ライナー13が長尺状である場合は、その幅方向を試験片の幅方向とすることができる。
【0037】
剥離力PS1は、例えば0.9N/50mm以下であり、0.8N/50mm以下、0.7N/50mm以下、0.6N/50mm以下、0.5N/50mm以下、0.4N/50mm以下、0.3N/50mm以下、0.2N/50mm以下、さらには0.15N/50mm以下であってもよい。剥離力PS1の下限は、例えば0.01N/50mm以上であり、0.03N/50mm以上、0.05N/50mm以上、0.08N/50mm以上、さらには0.1N/50mm以上であってもよい。
【0038】
特に、本実施形態の粘着剤組成物では、未使用の状態から数えて粘着シート1からn回剥離させた後のはく離ライナー13と粘着シート1との剥離力PSn(nは剥離の数に対応する0以上の整数;n=0のときには未使用の状態の剥離力PS0)が、1.0N/50mm以下であることが好ましい。剥離力PSnは、上記のはく離ライナー13を用いて工程A及び工程Bをn回実施し、さらに(n+1)回目の工程Aを実施して形成した第2の積層体17を用いて、上記の引きはがし試験を行うことによって評価できる。
【0039】
一例として、未使用の状態のはく離ライナー13と粘着シート1との剥離力PS0は、例えば1.0N/50mm以下であり、0.5N/50mm以下、0.2N/50mm以下、0.15N/50mm以下、0.12N/50mm以下、0.1N/50mm以下、0.08N/50mm以下、さらには0.05N/50mm以下であってもよい。剥離力PS0は、0.01N/50mm以上であってもよく、0.02N/50mm以上、さらには0.03N/50mm以上であってもよい。
【0040】
上記の剥離力PS0に対する剥離力PS1の比PS1/PS0は、10以下であってもよく、8以下、6以下、さらには5以下であってもよい。比PS1/PS0の下限は、例えば、1.1以上であり、2.0以上であってもよい。
【0041】
上述のとおり、本実施形態の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は当該単量体群の部分重合物を含む。粘着剤組成物における(メタ)アクリル系成分、すなわち(メタ)アクリル系単量体及びその部分重合物、の含有率は、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、さらには80重量%以上であってもよく、この場合、(メタ)アクリル重合体及びその架橋物を主成分とするアクリル系の粘着シートを形成できる。本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリルレートを意味する。
【0042】
(メタ)アクリル系単量体の例は、炭素数1~20のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。アルキル基の炭素数は、7以下、6以下、5以下、さらには4以下であってもよい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びオクタデシル(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、n-ブチル(メタ)アクリレートであってもよい。
【0043】
単量体群における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有率は、例えば40重量%以上であり、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、さらには95重量%以上であってもよい。なお、含有率の計算にあたり、部分重合物の重量は、重合前の各単量体としての重量に換算する。
【0044】
単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がカルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びクロトン酸である。単量体群におけるカルボキシル基含有単量体の含有率は、例えば10重量%以下であり、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5.5重量%以下、さらには5重量%以下であってもよい。含有率の下限は、例えば0.1重量%以上であり、0.5重量%以上、さらには1重量%以上であってもよい。単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいなくてもよい。
【0045】
単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は、粘着シートの凝集力向上に寄与しうる。ヒドロキシ基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル及び(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートである。ヒドロキシ基含有単量体は、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルである。単量体群におけるヒドロキシ基含有単量体の含有率は、例えば10重量%以下であり、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.8重量%以下、0.5重量%以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、さらには0.1重量%以下であってもよい。含有率の下限は、例えば0.01重量%以上であり、0.03重量%以上、さらには0.05重量%以上であってもよい。単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいなくてもよい。
【0046】
粘着剤組成物において、上述した各単量体は部分重合物として含まれていてもよい。部分重合物は、単一重合体及び共重合体のいずれであってもよい。部分重合物は、粘着剤組成物の粘度を適度に増大させることで、塗布層の安定した形成に寄与しうる。
【0047】
上述のとおり、粘着剤組成物は、光重合開始剤をさらに含む。光重合開始剤の例は、波長450nmよりも短い波長の可視光及び/又は紫外線によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤である。
【0048】
光重合開始剤の例は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾインエーテル類;アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル;2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン等のα-ヒドロキシアルキルフェノン;2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファーケトール;2-ナフタレンスルホニルクロライド等の芳香族スルホニルクロライド;1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等の光活性オキシム;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;並びにチタノセン系化合物である。粘着剤組成物は、1種又は2種以上の光重合開始剤を含んでいてもよい。
【0049】
粘着剤組成物における光重合開始剤の配合量は、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、例えば0.02~10重量部であり、0.05~5重量部であってもよい。
【0050】
上述のとおり、粘着剤組成物は、酸化防止剤をさらに含む。酸化防止剤は、上記の剥離力PS1を小さい値に調整することに適した成分である。詳細には、上記の試験の工程Aでは、光14の照射によってはく離ライナー13と粘着シート1との間に化学的な結合が生じ、その一部や結合の分解により形成された官能基が粘着シート1の剥離後にもはく離ライナー13の表面に残留することがある。これにより、工程Aの実施後には、実施前よりも粘着シート1に対するはく離ライナー13の剥離力が増大する傾向がある。酸化防止剤によれば、はく離ライナー13と粘着シート1との間に化学的な結合が生じることを抑制できる傾向がある。さらに、酸化防止剤によれば、粘着シートの製造条件(光の照射時間など)によらず、はく離ライナーの表面が粘着シートの材料で汚染されることを抑制できる傾向もある。
【0051】
酸化防止剤としては、フェノール系化合物(特にヒンダードフェノール系化合物)、アミン系化合物(特にヒンダードアミン系化合物)、リン系化合物などが挙げられる。酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましく、ヒンダードフェノール系化合物を含むことが特に好ましい。酸化防止剤に含まれる化合物は、硫黄原子を含んでいなくてもよい。粘着剤組成物は、1種又は2種以上の酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0052】
ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF製「Irganox 1010」)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF製「Irganox 1076」)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF製「Irganox 1135」)、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール(BASF製「Irganox 1330」)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(BASF製「Irganox 3114」)、イソシアヌル酸トリス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル](BASF製「Irganox 3125」)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](ADEKA製「アデカスタブ AO-60」)、3,9-ビス{2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルキシオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(ADEKA製「アデカスタブ AO-80」)、アクリル酸2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニル(住友化学製「スミライザーGS」)、アクリル酸2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル(住友化学製「スミライザー GM」)、2,2’-ジメチル-2,2’-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイル)ジプロパン-1,1’-ジイル=ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノアート](住友化学製「スミライザー GA-80」)、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-tert-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(サイテック製「シアノックス 1790」)などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物は、好ましくはIrganox 1010、Irganox 1135であり、より好ましくはIrganox 1135である。
【0053】
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス-(1-オクチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(BASF社製「Tinuvin123」)、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-52」)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-57」)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシリックアシッド テトラメチルエステル 1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール β,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン-3,9-ジエタノール(ADEKA社製「アデカスタブLA-63P」)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシリックアシッド テトラメチルエステル 2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール β,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン-3,9-ジエタノール(ADEKA社製「アデカスタブLA-68」)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(ADEKA社製「アデカスタブLA-72」)、ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(ADEKA社製「アデカスタブLA-77Y」)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(ADEKA社製「アデカスタブLA-77G」)、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート(ADEKA社製「アデカスタブLA-81」)、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-82」)、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-87」)、SONGLIGHT1190(SONGWON社製)、SONGLIGHT1230(SONGWON社製)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(SONGWON社製「SONGLIGHT2920」)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(SONGWON社製「SONGLIGHT7700」)、ポリ(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノール-オルト-1,4-ブタンジオイック アシッド)(BASF社製「Uvinul5062H」)、Uvinul5050H(BASF社製)、N,N’-ビスホルミル-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ヘキサメチレンジアミン(BASF社製「Uvinul4050H」)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(BASF社製「Uvinul4077H」)などが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物は、好ましくはアデカスタブLA-52である。
【0054】
リン系化合物としては、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、テトラトリデシル-4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)-ジホスファイト、4,4’-イソプロピリデン-ジフェノールアルキルホスファイト(ただし、アルキルは炭素数12~15程度)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化-4,4’-イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)]・1,6-ヘキサンジオールジホスファイト、ヘキサトリデシル-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス[4,4’-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)]ホスファイト、トリス(1,3-ジステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-ホスファフェナンスレン-10-オキシド、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・4,4’-イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノール-A-ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0055】
酸化防止剤は、分子量が小さいことが好ましい。分子量が小さい酸化防止剤によれば、上記の剥離力PS1をより小さい値に調整しやすい。なお、酸化防止剤は、分子量が小さいことに起因して、常温(25℃)で液体であることが好ましい。酸化防止剤の分子量は、例えば1500以下であり、1000以下、800以下、500以下、さらには400以下であってもよい。酸化防止剤の分子量の下限は、特に限定されず、例えば100以上であり、200以上、さらには300以上であってもよい。
【0056】
酸化防止剤の配合量は、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、例えば0.01重量部以上であり、0.05重量部以上、0.1重量部以上、さらには0.3重量部以上であってもよい。酸化防止剤の配合量の上限は、例えば5重量部以下であり、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。
【0057】
粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤の例は、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能単量体である。多官能単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよい。多官能単量体の例は、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体、及び1分子中に1以上のC=C結合と、1以上のエポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、ヒドラジン基、メチロール基等の重合性官能基とを有する単量体である。多官能単量体は、好ましくは、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体である。
【0058】
架橋剤の例は、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート(NDDA)、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート(多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物等);アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートである。多官能単量体は、好ましくは、多官能アクリレートであり、より好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
【0059】
架橋剤の配合量は、分子量や官能基数等により異なるが、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、例えば5重量部以下であり、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。配合量の下限は、例えば0.01重量部以上であり、さらには0.05重量部以上であってもよい。
【0060】
粘着剤組成物は、上述した以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、連鎖移動剤、シランカップリング剤、粘度調整剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、界面活性剤、帯電防止剤及び紫外線吸収剤である。
【0061】
粘着剤組成物における溶剤の含有率は、例えば5重量%以下であり、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、さらには0.5重量%以下であってもよい。粘着剤組成物は、溶剤を実質的に含まなくてもよい。溶剤を実質的に含まないとは、添加剤等に由来する溶剤等を、例えば0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下の含有率で許容する趣旨である。
【0062】
粘着剤組成物の粘度は、好ましくは、5~100ポイズである。上記範囲の粘度を有する粘着剤組成物は、塗布層の形成に特に適している。
【0063】
[粘着シートの実施形態]
本実施形態の粘着シート1の一例を図3に示す。粘着シート1は、上述した粘着剤組成物から形成されている。粘着シート1には、その作製時に用いた基材シートやはく離ライナーが積層されていてもよい。
【0064】
粘着シート1における単量体群の重合率は、好ましくは90%以上である。重合率は、95%以上、98%以上、さらには99%以上であってもよい。
【0065】
粘着シート1のゲル分率は、例えば50%以上であり、75%以上、80%以上、さらには85%以上であってもよい。
【0066】
粘着シート1のクリープ量は、例えば180μm以下であり、160μm以下であってもよい。クリープ量の下限は、例えば5μm以上であり、10μm以上であってもよい。
【0067】
粘着シート1のクリープ量は、以下のように評価できる(図4A及び図4B参照)。まず、評価対象である粘着シート1とサポートフィルム51との積層体を10mm×50mmの短冊状に切り出して試験片52とする。サポートフィルム51は、試験時に荷重が加えられる粘着シート1における当該荷重の印加部分の変形を抑え、これにより、クリープ量をより精度よく測定することを目的として配置する。サポートフィルム51には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムを使用できる。サポートフィルム51は、光学フィルム、あるいは光学フィルムを含む積層体であってもよい。サポートフィルム51の厚さは、上記荷重により自らが変形しない厚さであればよく、例えば、20~200μmである。次に、図4A及び図4Bに示すように、縦10mm×横10mmの接合面にて、ステンレス製試験板53の表面に試験片52を粘着シート1により貼り付ける。なお、図4Bは、図4Aの断面B-Bである。試験板53への試験片52の貼り付けは、試験板53と粘着シート1との間に気泡が混入しないように実施する。また、貼り付けた後、50℃及び5気圧(絶対圧)のオートクレーブ内に15分収容して試験板53と粘着シート1との接合を均質化させる。次に、試験板53及び試験片52を、試験板53が上方となるように垂直に保持して25℃の雰囲気に少なくとも5分放置した後、試験板53を固定した状態で試験片52の下端中央に質量500gの錘を固定して500gfの荷重54を鉛直下方に加える。荷重54を加え始めてから3600秒後の時点における試験板53に対する粘着シート1のクリープ量(ずれ量)を錘の落下量として測定する。錘の落下量の測定には、レーザー変位計を使用できる。
【0068】
粘着シート1の厚さは、例えば2~70μmであり、2~50μm、5~40μm、10~30μm、10~25μm、さらには10~20μmであってもよい。
【0069】
粘着シート1は、例えば、粘着剤組成物を用いて、上述の剥離力PS1を求めるための試験について説明した方法と同様の方法によって作製できる。詳細には、図1に示すように、まずは、基材シート11、粘着剤組成物を含む塗布層12、及びはく離ライナー13をこの順に含む第1の積層体10に光14を照射して、塗布層12から粘着シート1を形成する(工程A)。光14の照射は、典型的には、基材シート11の側から実施する。光14は、基材シート11を透過して塗布層12に到達し、塗布層12を硬化させる。ただし、光14の照射は、はく離ライナー13の側から実施してもよいし、はく離ライナー13及び基材シート11の双方の側から実施してもよい。形成された粘着シート1は、はく離ライナー13が剥離されるまでは、基材シート11及びはく離ライナー13によって挟持されて、第2の積層体17の一部を構成している。工程Aの後、粘着シート1からはく離ライナー13を剥離する(工程B)。図1の方法では、工程Bで剥離されたはく離ライナー13を用いて、工程A及び工程Bが繰り返し実施される。これにより、はく離ライナー13を再利用する。剥離されたはく離ライナー13を用いた工程Aは、基材シート11、塗布層12、及び剥離されたはく離ライナー13をこの順に含む第1の積層体10を形成し、形成した第1の積層体10に光14を照射して実施される。
【0070】
上述のとおり、本実施形態の粘着剤組成物は、上述の剥離力PS1が1.0N/50mm以下である。このような粘着剤組成物によれば、粘着シート1の製造時に、工程Bで剥離されたはく離ライナー13を用いて、工程A及び工程Bが繰り返し実施された場合であっても、粘着シート1に対するはく離ライナー13の剥離力の増加が抑制される傾向がある。はく離ライナー13を繰り返し利用できるため、はく離ライナー13の廃棄量を削減でき、低環境負荷で粘着シート1を製造することができる。
【0071】
<工程A>
(はく離ライナー)
はく離ライナー13のライナー基材の例は、樹脂フィルムである。ライナー基材に含まれうる樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、アセテート樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、並びにポリフェニレンサルファイドである。樹脂は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルである。
【0072】
はく離ライナー13は、工程Aで照射する光14の透過性を有していてもよく、基材シート11と同程度の光14の透過性を有していてもよい。
【0073】
はく離ライナー13の厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
【0074】
はく離ライナー13は、ライナー基材以外の層を備えていてもよい。はく離ライナー13は、離型層を備えていてもよい。図2のはく離ライナー13は、ライナー基材131と、ライナー基材131の一方の面に形成された離型層132とを備える。図2のはく離ライナー13は、離型層132が塗布層12の側となるように使用できる。
【0075】
離型層132は、典型的には、離型剤を含む離型剤組成物の硬化層である。離型剤には、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤、シリカ粉等の種々の離型剤を使用できる。はく離ライナー13は、シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物の硬化層(以下「シリコーン離型層」)を備えていてもよい。シリコーン離型層は、粘着シート1に対する密着性及び剥離性の両立に特に適している。なお、本明細書において主成分とは、最も含有率の大きな成分を意味する。
【0076】
シリコーン系離型剤は、例えば、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型、無溶媒型等の各種の硬化型シリコーン材料であり、付加反応硬化型シリコーン材料が好ましい。付加反応硬化型シリコーン材料は、粘着シート1に対する密着性及び剥離性の両立した離型層の形成に特に適している。硬化型シリコーン材料は、ウレタン、エポキシ、アルキッド樹脂等の有機樹脂にグラフト重合等により反応性シリコーンを導入したシリコーン変性樹脂であってもよい。
【0077】
付加反応硬化型シリコーン材料の例は、ビニル基又はアルケニル基を分子内に有するポリオルガノシロキサンである。付加反応硬化型シリコーン材料は、ヒドロシリル基を有さなくてもよい。アルケニル基の例は、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基、6-ヘプテニル基、7-オクテニル基、8-ノネニル基、9-デセニル基、10-ウンデセニル基、及び11-ドデセニル基である。ポリオルガノシロキサンの例は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン及びポリメチルエチルシロキサン等のポリアルキルアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、並びにポリ(ジメチルシロキサン-ジエチルシロキサン)等の複数種のSi原子含有モノマーの共重合体である。ポリオルガノシロキサンは、好ましくはポリジメチルシロキサンである。
【0078】
シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物(以下「シリコーン離型剤組成物」)は、通常、架橋剤を含む。架橋剤の例は、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンである。架橋剤は、一分子中に2以上のヒドロシリル基を有していてもよい。
【0079】
シリコーン離型剤組成物は、硬化触媒を含んでいてもよい。硬化触媒の例は、白金系触媒である。白金系触媒の例は、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、塩化白金酸のオレフィン錯体である。白金系触媒の使用量は、組成物の全固形分に対して、例えば10~1000ppm(重量基準、白金換算)である。
【0080】
シリコーン離型剤組成物は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、剥離コントロール剤及び密着性向上剤である。剥離コントロール剤の例は未反応性のシリコーン樹脂であり、より具体的な例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のオルガノシロキサン、及びMQレジンである。剥離コントロール剤及び密着性向上剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば1~30重量%である。添加剤のさらなる例は、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び着色剤である。さらなる添加剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば10重量%以下である。
【0081】
シリコーン離型剤組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒の例は、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒である。2種以上の有機溶媒が含まれていてもよい。有機溶媒の使用量は、好ましくは、シリコーン離型剤組成物の80~99.9重量%である。
【0082】
離型層132は、例えば、ライナー基材131上に形成した離型剤組成物を含む塗布膜を加熱及び乾燥して形成できる。離型剤組成物の塗布には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。加熱及び乾燥には、例えば熱風乾燥を適用できる。加熱温度及び時間は、ライナー基材の耐熱性により異なるが、通常、80~150℃及び10秒~10分程度である。必要に応じて、紫外線等の活性エネルギー線の照射を併用してもよい。
【0083】
離型層132の厚さは、例えば10~300nmである。厚さの上限は、200nm以下、150nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、100nm未満、90nm以下、80nm以下、70nm以下、70nm未満、さらには65nm以下であってもよい。厚さの下限は、15nm以上、20nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上、45nm以上、さらには50nm以上であってもよい。離型層132の厚さは110nm以下であってもよく、換言すれば、はく離ライナー13は塗布層12の側の面に離型層132を備え、離型層132の厚さは110nm以下であってもよい。
【0084】
はく離ライナー13は、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
【0085】
(基材シート)
基材シート11の例は、樹脂フィルムである。基材シート11に含まれる樹脂の例は、ライナー基材に含まれうる樹脂の例と同じである。
【0086】
基材シート11は、工程Aで照射する光14の透過性に優れることが好ましい。
【0087】
基材シート11の厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
【0088】
基材シート11は、塗布層12の側の面に離型層を備えていてもよい。基材シート11が備えうる離型層及びその製法の例は、はく離ライナー13が備えうる離型層及びその製法の例と同じである。はく離ライナー13及び基材シート11の双方が離型層を備えていてもよい。この場合、双方の離型層は、同じ離型剤を主成分として含む離型剤組成物から形成されていてもよい。また、双方の離型層の厚さは異なっていてもよく、例えば、基材シート11が備える離型層の方が厚くてもよい。
【0089】
基材シート11には、通常、粘着シート1との剥離力がはく離ライナー13に比べて大きなシートを選択できる。
【0090】
基材シート11は、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
【0091】
(第1の積層体及びその形成)
第1の積層体10は、基材シート11、塗布層12及びはく離ライナー13以外のさらなる層を含んでいてもよい。上記さらなる層は、基材シート11及び/又ははく離ライナー13における塗布層12の側とは反対側に配置されていてもよい。塗布層12は、基材シート11及びはく離ライナー13と接していることが好ましい。
【0092】
第1の積層体10は、例えば、基材シート11(又ははく離ライナー13)の上に塗布層12を形成し、形成した塗布層12の上にはく離ライナー13(又は基材シート11)を配置して形成できる。また、互いの主面が向き合うように所定の間隔に保持された基材シート11及びはく離ライナー13の間の空間に粘着剤組成物を流しこむように塗布して第1の積層体10を形成してもよい。剥離させたはく離ライナー13は、剥離する直前の工程Aにおいて塗布層12の側にあった面、例えば離型層132側の面、が再び塗布層12の側となるように使用してもよい。
【0093】
塗布層12の形成には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。
【0094】
塗布層12の厚さは、目的とする粘着シート1の厚さに応じて調整でき、例えば5~100μmであり、5~50μm、5~25μm、さらには5~20μmであってもよい。
【0095】
第1の積層体10は、長尺状の基材シート11、長尺状の塗布層12及び長尺状のはく離ライナー13を含んでいてもよく、換言すれば、長尺状であってもよい。長尺状の第1の積層体10は、例えば、巻回体から繰り出した基材シート11及びはく離ライナー13を搬送しながら両者の間に塗布層12を形成して得ることができる。
【0096】
(光の照射)
第1の積層体10に照射する光14は、例えば、波長450nmよりも短い波長を有する可視光又は紫外線である。光14は、粘着剤組成物が含む光重合開始剤の吸収波長と同じ領域の波長の光を含んでいてもよい。波長300nm以下の短波長光をフィルター等でカットした光14を照射してもよく、短波長光をカットすることは、光14による基材シート11の劣化の抑制に適している。光14の光源は、例えば紫外線照射ランプを備える光照射装置である。紫外線照射ランプの例は、紫外光LED、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、ブラックライトランプ、ケミカルランプ、殺菌ランプ、低圧放電水銀ランプ、エキシマレーザーである。2以上の紫外線照射ランプが組み合わされていてもよい。
【0097】
光14の照射は、連続的であっても断続的であってもよい。
【0098】
光14の照度は、例えば1~20mW/cm2である。光14の照射時間は、例えば5分~5時間である。第1の積層体10に対する光14の積算光量は、例えば100~5000mJ/cm2である。
【0099】
<工程B>
工程Bでは、硬化後の第2の積層体17からはく離ライナー13を剥離する。第2の積層体17は、基材シート11、粘着シート1及びはく離ライナー13をこの順で含む。上記剥離により、はく離ライナー13と、基材シート11及び粘着シート1を含む第3の積層体15とが得られる。
【0100】
はく離ライナー13と粘着シート1との剥離力は、例えば、基材シート11と粘着シート1との剥離力に比べて小さい。粘着シート1に対する基材シート11の剥離力は、例えば0.1~10N/50mmであり、1~8N/50mm、2~7N/50mm、さらには3~5N/50mmであってもよい。
【0101】
はく離ライナー13を剥離して粘着シート1の製造に再利用する回数は、特に制限されないが、例えば、3回以上、5回以上、さらには7回以上であってもよい。
【0102】
剥離されたはく離ライナー13は、巻き取ることで巻回体とした後に再利用してもよい。
【0103】
次に、図5を参照して、粘着シート1の製造方法の別の一例を説明する。この例では、巻回体31から繰り出した長尺状の基材シート11の片面に対して、塗布装置32により粘着剤組成物の塗布層12を形成する。次に、塗布層12の上に、巻回体33から繰り出した長尺状のはく離ライナー13を配置して、長尺状の第1の積層体10を形成する。次に、光照射装置34から第1の積層体10に光14を照射して、長尺状の粘着シート1を形成する。次に、粘着シート1を含む第2の積層体17からはく離ライナー13を剥離して巻回体35に巻き取る。以上の工程は、基材シート11及びはく離ライナー13を搬送しながら実施する。巻き取られたはく離ライナー13は、再利用される。図5の方法は、粘着シート1の量産に特に適している。
【0104】
図6を参照して、粘着シート1の製造方法の別の一例を説明する。この例は、第2の積層体17から剥離したはく離ライナー13を巻回体35に巻き取ることなく、粘着シート1の製造に再利用している以外は、図5の例と同じである。図6の方法は、粘着シート1の量産に特に適している。
【0105】
[粘着シート付き光学フィルムの実施形態]
本実施形態の粘着シート付き光学フィルムの一例を図7に示す。図7の粘着シート付き光学フィルム20Aは、粘着シート1と光学フィルム2とを含む。粘着シート1は、光学フィルム2と直接接していてもよく、間接的に接していてもよい。粘着シート付き光学フィルム20Aは、粘着シート1の作製時に用いた基材シートが粘着シート1に積層された構造を有していてもよい。
【0106】
光学フィルム2は、例えば、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むフィルムである。光学フィルム2は、偏光フィルム及び/又は位相差フィルムを含む積層フィルムであってもよい。光学フィルム2は、ガラス製のフィルムを含んでいてもよい。ただし、光学フィルム2は上記例に限定されない。
【0107】
偏光フィルムは、偏光子を含む。偏光フィルムは、典型的には、偏光子及び保護フィルム(透明保護フィルム)を含む。保護フィルムは、例えば、偏光子の主面(最も広い面積を有する表面)に接して配置されている。偏光子は、2つの保護フィルムの間に配置されていてもよい。保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置されていてもよい。
【0108】
偏光子としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの;ポリビニルアルコールの脱水処理物、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。偏光子は、典型的には、ポリビニルアルコール系フィルム(ポリビニルアルコール系フィルムには、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムが含まれる)、及び、ヨウ素等の二色性物質からなる。
【0109】
偏光子の厚さは、特に限定されず、例えば80μm以下であり、50μm以下、30μm以下、25μm以下、さらには20μm以下であってもよい。偏光子の厚さの下限は、特に限定されず、例えば1μm以上であり、5μm以上、10μm以上、さらには15μm以上であってもよい。薄型の偏光子(例えば、厚さ20μm以下)は、寸法変化が抑制されており、光学積層体の耐久性、特に高温下の耐久性、の向上に寄与しうる。
【0110】
保護フィルムの材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び、これらの混合物が挙げられる。保護フィルムの材料は、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂であってもよい。偏光フィルムが2つの保護フィルムを有する場合、2つの保護フィルムの材料は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、偏光子の一方の主面に対して、接着剤を介して、熱可塑性樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされ、偏光子の他方の主面に対して、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされていてもよい。保護フィルムは、任意の添加剤を1種類以上含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等が挙げられる。
【0111】
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より10~200μm程度である。
【0112】
偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。上記の接着剤以外の他の接着剤としては、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、各種の保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。接着剤は、金属化合物フィラーを含んでいてもよい。
【0113】
偏光フィルムでは、保護フィルムに代えて、位相差フィルム等を偏光子上に形成することもできる。保護フィルム上には、さらに別の保護フィルムを設けること、位相差フィルム等を設けること等もできる。
【0114】
保護フィルムについて、偏光子と接着している表面と対向する表面には、ハードコート層が設けられていてもよく、反射防止、スティッキング防止、拡散、アンチグレア等を目的とした処理を施すこともできる。
【0115】
偏光フィルムは、円偏光フィルムであってもよい。
【0116】
位相差フィルムとしては、高分子フィルムを延伸させて得られるものや液晶材料を配向、固定化させたものを用いることができる。位相差フィルムは、例えば、面内及び/又は厚さ方向に複屈折を有する。
【0117】
位相差フィルムには、反射防止用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0221〕、〔0222〕、〔0228〕参照)、視野角補償用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0225〕、〔0226〕参照)、視野角補償用の傾斜配向位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0227〕参照)等が含まれる。
【0118】
位相差フィルムの具体的な構成、例えば、位相差値、配置角度、3次元複屈折率、単層か多層か等は特に限定されず、公知の位相差フィルムを使用することができる。
【0119】
位相差フィルムの厚さは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは1~9μmであり、特に好ましくは3~8μmである。
【0120】
位相差フィルムは、例えば、液晶材料が配向、固定化された1/4波長板及び/又は1/2波長板を含んでいてもよい。
【0121】
粘着シート付き光学フィルム20Aは、例えば、基材シート11、粘着シート1及びはく離ライナー13をこの順で含む第2の積層体17からはく離ライナー13を剥離することで形成された粘着シート1の露出面に光学フィルム2を配置し、粘着シート1と光学フィルム2とを積層することによって形成できる。第2の積層体17は、上記工程Aにより形成できる。はく離ライナー13の剥離は、上記工程Bとして実施してもよい。
【0122】
本実施形態の粘着シート付き光学フィルムの別の一例を図8に示す。図8の粘着シート付き光学フィルム20Bは、粘着シート1A、光学フィルム2A、粘着シート1B及び光学フィルム2Bがこの順に積層された積層構造を有する。粘着シート付き光学フィルム20Bは、粘着シート1Aの作製時に用いた基材シートが粘着シート1Aに積層された構造を有していてもよい。
【0123】
粘着シート付き光学フィルム20Bにおいて、典型的には、光学フィルム2Aが位相差フィルムであり、光学フィルム2Bが偏光フィルムである。粘着シート1Bは、光学フィルム2A及び2Bの層間粘着剤として機能する。粘着シート1Bは、公知の粘着剤を使用したものであってもよい。
【0124】
本実施形態の粘着シート付き光学フィルムは、例えば、帯状の粘着シート付き光学フィルムを巻回した巻回体として、あるいは枚葉状の粘着シート付き光学フィルムとして、流通及び保管が可能である。
【0125】
本実施形態の粘着シート付き光学フィルムは、典型的には、画像表示装置に用いられる。画像表示装置は、例えば、粘着シート付き光学フィルム20A又は20Bと画像表示パネルとを接合して形成できる。接合は、例えば、粘着シート1により行う。画像表示装置は、有機ELディスプレイであってもよく、液晶ディスプレイであってもよい。ただし、画像表示装置は上記例に限定されない。画像表示装置は、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)等であってもよい。画像表示装置は、家電用途、車載用途、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)用途等に用いることができる。
【実施例
【0126】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0127】
[はく離ライナーAの作製]
付加反応硬化型シリコーン(ヘキセニル基含有ポリオルガノシロキサンを含むLTC761、30重量%トルエン溶液、東レ・ダウコーニング製)30重量部、剥離コントロール剤(未反応性シリコーン樹脂を含むBY24-850、東レ・ダウコーニング製)0.9重量部、及び硬化触媒(白金触媒を含むSRX212、東レ・ダウコーニング製)2重量部、及び希釈溶媒としてトルエン/ヘキサン混合溶媒(体積比1:1)を混合して、シリコーン系離型剤組成物Aを得た。離型剤組成物Aにおけるシリコーン固形分の濃度は、1.0重量%であった。次に、ライナー基材(ポリエステルフィルムであるルミラーXD500P、厚さ75μm)の片面に離型剤組成物Aをワイヤーバーにより塗布し、130℃で1分間加熱して、離型層(厚さ120nm)を片面に備えるはく離ライナーAを作製した。
【0128】
(実施例1)
[粘着剤組成物の調製]
n-ブチルアクリレート(BA)95.1重量部、アクリル酸(AA)4.8重量部、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)0.1重量部と、光重合開始剤としての2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Omnirad651、IGM Resins B.V.社製)0.05重量部、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Omnirad819、IGM Resins B.V.社製)0.05重量部とを4つロフラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線を照射することによって、部分的に光重合したモノマーシロップを得た。紫外線の照射は、フラスコ内の液体の粘度(計測条件:BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで実施した。次に、モノマーシロップ100重量部に対して、架橋剤として1,9-ノナンジオールジアクリレート(NDDA)0.09重量部と、酸化防止剤としてイソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF製「Irganox 1135」)0.3重量部とを添加し、均一に混合することによって実施例1の粘着剤組成物を得た。
【0129】
[剥離力PS0の評価]
基材シート(離型層を有さないポリエステルフィルムであるルミラーXD500P、厚さ75μm)の片面に、実施例1の粘着剤組成物をアプリケーターにより塗布し、塗布層(厚さ20μm)を形成した。次に、形成した塗布層の上にはく離ライナーAを配置して第1の積層体を得た。はく離ライナーAは、離型層が塗布層に接するように配置した。次に、第1の積層体における基材シートの側から、照度2.42mW/cm2、照射時間10分の条件で紫外線(ブラックライト光源)を照射し、塗布層を光硬化させて、基材シート、粘着シート(厚さ20μm)及びはく離ライナーAにより構成される第2の積層体を形成した。
【0130】
形成した第2の積層体から長さ220mm及び幅50mmの試験片(長さの方向は粘着剤組成物の塗布方向)を切り出した。試験片に対して、引張試験機を用いてはく離ライナーAのみを長さ方向に引きはがす180°引きはがし試験を実施して、剥離力PS0を評価した。引きはがし試験の条件は上述のとおりとした。
【0131】
[剥離力PS1の評価]
上記の剥離力PS0の評価と同じ方法によって、第2の積層体を作製し、粘着シートからはく離ライナーAを剥離した。次に、剥離したはく離ライナーAを用いて、第1の積層体の形成、紫外線の照射による第2の積層体の形成、試験片の切り出し、及び剥離力の評価を上記と同様の方法で行った。これにより、剥離力PS1を評価した。
【0132】
(実施例2~4)
酸化防止剤として表1に記載の化合物を用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、実施例2~4の粘着剤組成物を得た。これらの粘着剤組成物について、実施例1と同じ方法によって、剥離力PS0及びPS1を評価した。
【0133】
(比較例1)
酸化防止剤を用いなかったことを除き、実施例1と同じ方法によって、比較例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物について、実施例1と同じ方法によって、剥離力PS0及びPS1を評価した。
【0134】
【表1】
【0135】
表1中の略称は以下のとおりである。
Irg1135:イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF製「Irganox 1135」、分子量390)
Irg1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF製「Irganox 1010」、分子量1178)
LA-52:テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-52」、分子量847)
2112:トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(ADEKA社製「アデカスタブ2112」、分子量647)
【0136】
表1からわかるとおり、実施例の粘着剤組成物は、上記の試験により求めた剥離力PS1が1.0N/50mm以下であった。このような粘着剤組成物によれば、粘着シートの製造時に、はく離ライナーが繰り返し利用されても、粘着シートに対するはく離ライナーの剥離力の増加が抑制される傾向がある。これにより、はく離ライナーの廃棄量を削減でき、低環境負荷で粘着シートを製造することができる。
【0137】
(参考例1)
[はく離ライナーBの作製]
ライナー基材に塗布する離型剤組成物Aの厚さを変更したことを除き、上述したはく離ライナーAの作製方法と同じ方法によって、離型層(厚さ60nm)を片面に備えるはく離ライナーBを作製した。
【0138】
上記のはく離ライナーBを用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、剥離力PS0及びPS1を評価した。
【0139】
(参考例2~4)
紫外線の照射条件を表2に示すように変更したことを除き、実施例1と同じ方法によって、剥離力PS0及びPS1を評価した。
【0140】
【表2】
【0141】
表2からわかるとおり、本実施形態の粘着剤組成物について、剥離力PS1を求める試験の条件(はく離ライナーにおける離型層の厚さや、紫外線の照射条件)を変更した場合であっても、剥離力PS1は小さい値に維持されていた。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明の粘着剤組成物は、例えば、光学積層体や画像表示装置に利用できる。
【符号の説明】
【0143】
1 粘着シート
2 光学フィルム
10 (第1の)積層体
11 基材シート
12 塗布層
13 はく離ライナー
20A,20B 粘着シート付き光学フィルム
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8