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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20250305BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20250305BHJP
   G05G 5/05 20060101ALI20250305BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20250305BHJP
   G05G 1/04 20060101ALI20250305BHJP
   G05G 5/04 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
E02F9/16 H
E02F9/20 B
G05G5/05
G05G25/00 C
G05G1/04 Z
G05G5/04 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022168836
(22)【出願日】2022-10-21
(65)【公開番号】P2024061110
(43)【公開日】2024-05-07
【審査請求日】2024-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩入 裕一
(72)【発明者】
【氏名】坂牧 和広
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-2426(JP,U)
【文献】特開2018-24367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
E02F 9/20
G05G 5/05
G05G 25/00-25/04
G05G 1/04
G05G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、油圧により作動する作業装置と、前記走行装置もしくは前記作業装置の操作を行う操作装置と、を備える作業用車両であって、
前記操作装置は、
オペレータが操作を行うレバーと、
前記レバーの操作量を検出するポテンショメータと、
前記レバーを回動可能に支持すると共に前記ポテンショメータが固定される本体と、を有し、
前記本体は、
前記ポテンショメータの入力部に連結されると共に前記入力部と同一中心で回転可能に設けられる軸部材と、
前記軸部材に固定されると共に前記レバーが取付けられる調整プレートと、
前記軸部材が中心を挿通する配置で設けられると共に両端部がそれぞれ外周から外方向へ延出する第1腕部および第2腕部として構成されるねじりバネと、
巻込み方向にねじられることにより巻戻し方向にバネ力を発生させた状態の前記ねじりバネの前記第1腕部および前記第2腕部がそれぞれ最奥部に当接して係止される第1溝部および第2溝部と、を有し、
前記調整プレートは、
前記ねじりバネを巻込み方向にねじるように前記第1腕部と当接して押動する第1押動部と、
前記ねじりバネを巻込み方向にねじるように前記第2腕部と当接して押動する第2押動部と、
前記第1押動部に螺合されて、回転により先端部が前記第1腕部と接離する調整ネジと、を有し、
前記第1腕部が前記第1溝部の最奥部に当接した状態で、前記第2腕部が前記第2溝部の最奥部に当接した状態で、且つ、前記第2押動部が前記第2腕部に当接した状態のときに、前記調整ネジを回転させることにより前記先端部と前記第1腕部との距離がゼロとなるように調整可能に構成されていること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記操作装置は、前記レバーが取付けられる前記調整プレートの回動範囲を調整することにより前記レバーのストローク範囲を調整するストローク調整部を有し、
前記ストローク調整部は、
前記本体に螺合されて、前記第1押動部が前記第1腕部を押動する方向に前記調整プレートが回動されたときに前記調整プレートの第1当接部と当接して回動を規制するように構成され、且つ、回転により先端部と前記調整プレートの前記第1当接部との距離が可変となるように構成された第1ストローク調整ネジと、
前記本体に螺合されて、前記第2押動部が前記第2腕部を押動する方向に前記調整プレートが回動されたときに前記調整プレートの第2当接部と当接して回動を規制するように構成され、且つ、回転により先端部と前記調整プレートの前記第2当接部との距離が可変となるように構成された第2ストローク調整ネジと、を有すること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記第1腕部および前記第1押動部は、前記本体において前記ポテンショメータの固定部から相対的に遠い位置に設けられ、
前記第2腕部および前記第2押動部は、前記本体において前記ポテンショメータの前記固定部から相対的に近い位置に設けられ、
前記調整ネジは、前記本体において上方から下方へ向かって進入する方向に螺合され、
前記第1ストローク調整ネジおよび前記第2ストローク調整ネジは、前記本体において前方から後方へ向かって進入する方向に螺合され、
前記レバーは、前記調整プレートにおいて前記軸部材よりも前方の位置に取付けられていること
を特徴とする請求項2に記載の作業用車両。
【請求項4】
前記ポテンショメータの前記入力部は、前記本体側に突設されて、先端部にDカット面を有し、
前記軸部材は、前記入力部の先端部が挿入される挿入孔と、外周から前記挿入孔内に貫通するネジ孔と、前記ネジ孔に螺合されて前記ポテンショメータの前記Dカット面に当接可能に設けられる留めネジと、を有すること
を特徴とする請求項2または請求項3に記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧により作動する作業装置を備える作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用車両の例として、走行用のタイヤもしくはクローラが取付けられた下部体と、下部体の上に配設された上部体と、下部体もしくは上部体に取付けられて油圧により作動する作業装置を備えるエクスカベータ、ローダ等が従来より知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-139275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に例示される作業用車両は、作業装置等の操作を行うための各種レバーを備えている。当該レバーに関しては、機械構造上のガタツキ(いわゆる「遊び」)が大きい程、操作性を悪化させてしまう要因となる。さらに、操作性の悪化は、作業用車両全体としての高級感を減殺させ、製品価値を下げてしまう要因ともなる。
【0005】
ところで、従来の作業用車両における操作装置は、レバーの操作によって直接的に制御用の油圧配管を開閉する機構が多く採用されていた。すなわち、レバーを支持する本体に複数の油圧配管が接続される構成となるため、操作装置全体の外形が大型化してしまうという課題があった。
【0006】
一方、レバーの操作量をポテンショメータ(角度センサ)等により検出して制御信号を送信することによって間接的に制御用の油圧配管を開閉する機構も開発されている(特許文献1:特開2020-139275号公報参照)。これによれば、レバーを支持する本体に複数の油圧配管が接続されない構成となるため、操作装置全体の外形を小型化することが可能となる。
【0007】
ここで、上記のようなレバーの操作をポテンショメータによって検出する機構を備える操作装置において、レバーの中立位置をどのように確立し、さらに、レバーの操作を行う際の機械構造上のガタツキ(遊び)をどのように低減するかが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、レバーの操作をポテンショメータによって検出する操作装置を備える作業用車両において、簡素な構成によってレバーの中立位置の確立およびレバーの両方向の復帰動作を可能とし、且つ、レバーの操作を行う際の機械構造上のガタツキ(遊び)をゼロにすることが可能な操作装置を実現することを目的とする。
【0009】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
本実施形態に係る作業用車両は、走行装置と、油圧により作動する作業装置と、前記走行装置もしくは前記作業装置の操作を行う操作装置と、を備える作業用車両であって、前記操作装置は、オペレータが操作を行うレバーと、前記レバーの操作量を検出するポテンショメータと、前記レバーを回動可能に支持すると共に前記ポテンショメータが固定される本体と、を有し、前記本体は、前記ポテンショメータの入力部に連結されると共に前記入力部と同一中心で回転可能に設けられる軸部材と、前記軸部材に固定されると共に前記レバーが取付けられる調整プレートと、前記軸部材が中心を挿通する配置で設けられると共に両端部がそれぞれ外周から外方向へ延出する第1腕部および第2腕部として構成されるねじりバネと、巻込み方向にねじられることにより巻戻し方向にバネ力を発生させた状態の前記ねじりバネの前記第1腕部および前記第2腕部がそれぞれ最奥部に当接して係止される第1溝部および第2溝部と、を有し、前記調整プレートは、前記ねじりバネを巻込み方向にねじるように前記第1腕部と当接して押動する第1押動部と、前記ねじりバネを巻込み方向にねじるように前記第2腕部と当接して押動する第2押動部と、前記第1押動部に螺合されて、回転により先端部が前記第1腕部と接離する調整ネジと、を有し、前記第1腕部が前記第1溝部の最奥部に当接した状態で、前記第2腕部が前記第2溝部の最奥部に当接した状態で、且つ、前記第2押動部が前記第2腕部に当接した状態のときに、前記調整ネジを回転させることにより前記先端部と前記第1腕部との距離がゼロとなるように調整可能に構成されていることを要件とする。
【0011】
上記の構成によれば、一つのねじりバネを備える簡素な構成によって、レバーの中立位置の確立および両方向の復帰動作を実現でき、レバーの中立状態および操作状態のいずれにおいても機械構造上のガタツキ(遊び)をゼロにすることができる。
【0012】
また、前記操作装置は、前記レバーが取付けられる前記調整プレートの回動範囲を調整することにより前記レバーのストローク範囲を調整するストローク調整部を有し、前記ストローク調整部は、前記本体に螺合されて、前記第1押動部が前記第1腕部を押動する方向に前記調整プレートが回動されたときに前記調整プレートの第1当接部と当接して回動を規制するように構成され、且つ、回転により先端部と前記調整プレートの前記第1当接部との距離が可変となるように構成された第1ストローク調整ネジと、前記本体に螺合されて、前記第2押動部が前記第2腕部を押動する方向に前記調整プレートが回動されたときに前記調整プレートの第2当接部と当接して回動を規制するように構成され、且つ、回転により先端部と前記調整プレートの前記第2当接部との距離が可変となるように構成された第2ストローク調整ネジと、を有することが好ましい。
【0013】
また、前記第1腕部および前記第1押動部は、前記本体において前記ポテンショメータの固定部から相対的に遠い位置に設けられ、前記第2腕部および前記第2押動部は、前記本体において前記ポテンショメータの前記固定部から相対的に近い位置に設けられ、前記調整ネジは、前記本体において上方から下方へ向かって進入する方向に螺合され、前記第1ストローク調整ネジおよび前記第2ストローク調整ネジは、前記本体において前方から後方へ向かって進入する方向に螺合され、前記レバーは、前記調整プレートにおいて前記軸部材よりも前方の位置に取付けられていることが好ましい。
【0014】
また、前記ポテンショメータの前記入力部は、前記本体側に突設されて、先端部にDカット面を有し、前記軸部材は、前記入力部の先端部が挿入される挿入孔と、外周から前記挿入孔内に貫通するネジ孔と、前記ネジ孔に螺合されて前記ポテンショメータの前記Dカット面に当接可能に設けられる留めネジと、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レバーの操作をポテンショメータによって検出する操作装置を備える作業用車両において、簡素な構成によって、レバーの中立位置の確立、および、レバーの両方向の復帰動作を可能とする操作装置を実現できる。さらに、レバーの中立状態および操作状態のいずれにおいても機械構造上のガタツキ(遊び)をゼロにすることが可能な操作装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る作業用車両の例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す作業用車両の操縦室の例を示す斜視図である。
図3図3は、図2のIII部拡大図である。
図4図4は、図1に示す作業用車両の操作装置の斜視図である。
図5図5は、図1に示す作業用車両の操作装置の斜視図である。
図6図6は、図1に示す作業用車両の操作装置の平面図である。
図7図7は、図6のVII-VII線断面図である。
図8図8Aは、レバーおよび調整プレートがA方向に回動された状態の側面図である。図8Bは、レバーおよび調整プレートが中立状態の側面図である。図8Cは、レバーおよび調整プレートがB方向に回動された状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る作業用車両1の例を示す概略図(左前部上方からの斜視図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
はじめに、作業用車両1の全体構成について説明する。作業用車両1として、エクスカベータを例に挙げて説明する。ただし、作業用車両1は、エクスカベータに限定されるものではない。
【0019】
図1に示すように、作業用車両1は、走行装置10が取付けられた下部体2を備えている。作業用車両1は、下部体2の上に旋回ベアリング(不図示)を介して旋回可能に配設された上部体3を備えている。上部体3は、旋回油圧モータ(不図示)によって駆動(旋回)される。作業用車両1は、下部体2や上部体3に取付けられて油圧(所定圧力の作動油)により作動する作業装置12、13、14を備えている。
【0020】
上部体3は、前部にオペレータが乗車して走行や作業の操作を行う操作装置が設けられた操縦室(キャビンもしくはキャノピー)16を備えている。上部体3は、オペレータの操作に応じて走行装置10および作業装置12、13、14の制御を行う制御装置(不図示)を備えている。操作装置の詳細構成については後述する。
【0021】
走行装置10の例として、前後に二輪ずつ配置された四輪の走行輪26を備えている。走行輪26は、ホイール26Aの外周にタイヤ26Bが嵌設されている(シングル式、ダブル式の両方の場合がある)。ただし、走行装置10は、走行輪26に限定されるものではない。変形例として、作業用車両1は、走行輪26に代えて無限軌道(クローラ)を備える構成としてもよい(不図示)。走行輪26は、走行油圧モータ(不図示)によって駆動(走行)される。
【0022】
作業装置12の例として、排土板22を備えている。排土板22は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に下部体2に取付けられている。排土板22は、油圧シリンダ32によって駆動される。ただし、作業装置12は、上記の構成に限定されるものではない。
【0023】
作業装置13の例として、アウトリガー24を備えている。アウトリガー24は、左右に張出して接地可能に下部体2に取付けられている。アウトリガー24は、油圧シリンダ(不図示)によって駆動される。ただし、作業装置13は、上記の構成に限定されるものではない。
【0024】
作業装置14の例として、ブーム42、アーム44、およびアタッチメント(本実施形態においては、バケット)46を備えている。ただし、アタッチメント46はバケットに限定されるものではない。ブーム42は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に上部体3に取付けられている。本実施形態においては、上部体3とブーム42との間にブームブラケット48が設けられている。ブームブラケット48によって、ブーム42は上部体3に対して左右(前後成分を含む)に揺動可能となる。なお、ブームブラケット48は省略されてもよい。アーム44は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にブーム42に取付けられている。アタッチメント46は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にアーム44に取付けられている。ブーム42は、油圧シリンダ52によって駆動される。アーム44は、油圧シリンダ54によって駆動される。アタッチメント46は、油圧シリンダ56によって駆動される。ただし、作業装置14は、上記の構成に限定されるものではない。
【0025】
上記の旋回油圧モータ、走行油圧モータ、および各油圧シリンダの駆動を行うための機構は、一例として駆動源18により駆動される油圧ポンプ、制御バルブ等から構成されている(いずれも不図示)。オペレータが操作装置を操作することにより制御バルブを作動させて、油圧ポンプから送出される所定圧力の作動油を旋回油圧モータ、走行油圧モータ、および各油圧シリンダに供給する制御が行われる。これにより、上部体3の旋回、走行装置10による走行、および作業装置12、13、14による作業を行うことができる。
【0026】
本実施形態において、作業用車両1は、駆動源18としてエンジンを備えている。駆動源18は、機器室20に収容されている。ただし、駆動源18はエンジンに限定されるものではない。変形例として、作業用車両1は、エンジンに代えて、もしくは、エンジンと共に、バッテリー駆動の電気モータを備える構成としてもよい(不図示)。
【0027】
なお、本実施形態に係る作業用車両1における走行および作業のためのその他の機構については、公知の作業用車両(エクスカベータ)と同様であるため、詳細の説明を省略する。
【0028】
次に、操縦室16に設けられる操作装置の構成について詳しく説明する。図2は、操縦室16の斜視図(左前部上方からの斜視図)である。作業用車両1は、作業装置12の操作を行う操作装置30を備える。作業用車両1は、作業装置14の操作を行う操作装置40、41を備える。ただし、操作装置は、上記の構成に限定されるものではない。変形例として、操作装置30は、作業装置13の操作を行う機構が併設される構成としてもよい(不図示)。
【0029】
図3は、図2のIII部拡大図である。図4は、操作装置30の斜視図(左前部上方からの斜視図)である。図5は、操作装置30の斜視図(右前部上方からの斜視図)である。図6は、操作装置30の平面図(レバー58の上端部は不図示)である。図7は、図6のVII-VII線断面図である。操作装置30は、本体60と、オペレータが操作を行うレバー58と、レバー58の操作量を検出するポテンショメータ80と、を備える。レバー58は、本体60に回動可能に支持される。ポテンショメータ80は、本体60に固定(取付けネジによる締結)される。
【0030】
本体60は、回転可能に設けられた軸部材62を備えている。軸部材62は、ポテンショメータ80の入力部82に連結されている。本体60は、レバー58が固定される調整プレート70を備えている。調整プレート70は、軸部材62に固定される。レバー58の固定方法および調整プレートの固定方法は、一例として溶接であるが、これに限定されない。調整プレート70は、一例として所定厚さの板材を用いて構成されているが、これに限定されない。
【0031】
軸部材62とポテンショメータ80(入力部82)との連結構造は以下の通りである。ポテンショメータ80の入力部82は、本体60側に突設される入力軸84を備える。入力軸84は、先端部84aにDカット面84bが形成されている。軸部材62は、入力部82(入力軸84)の先端部84aが挿入される挿入孔62Aを備える。軸部材62は、外周から挿入孔62A内に貫通するネジ孔62Bを備える。軸部材62は、ネジ孔62Bに螺合されてポテンショメータ80(入力軸84)のDカット面84bに当接可能に設けられる留めネジ94を備える。上記の構成によれば、留めネジ94がDカット面84bに当接するように締め込まれることで、ポテンショメータ80(入力部82)と軸部材62とを、ガタツキ(遊び)の無い連結状態とすることができる。
【0032】
次に、本体60は、ねじりバネ(ねじりコイルバネ)64を備える。ねじりバネ64は、両端部64a、64bがそれぞれ外周(コイル状部分の外周面位置を指す)から外方向へ延出する第1腕部64A、第2腕部64Bとして構成される。ねじりバネ64は、軸部材62が中心(巻回中心に形成される空間部)64Cを挿通する配置で本体60に設けられる。ねじりバネ64は、巻込み方向にねじられることにより巻戻し方向にバネ力を発生させる。
【0033】
本体60は、バネ力(巻込み方向にねじられることにより巻戻し方向に発生するバネ力)を発生させた状態のねじりバネ64の第1腕部64Aが最奥部65aに当接して係止される第1溝部65、および、第2腕部64Bが最奥部66aに当接して係止される第2溝部66を備える。
【0034】
調整プレート70は、板面に直交し、ねじりバネ64が配置される側へ延出する第1押動部71および第2押動部72を備える。第1押動部71は後述の調整ネジ74を備える。
【0035】
図8は、操作装置30の動作説明図である。図8Aはレバー58および調整プレート70が一方向(A方向)に回動された状態の側面図である。図8Bはレバー58および調整プレート70が回動されていない状態(中立状態)の側面図である。図8Cはレバー58および調整プレート70が逆方向(B方向)に回動された状態の側面図である。
【0036】
レバー58の操作で、軸部材62を中心として調整プレート70が一方向(A方向)に回動されたとき、第1押動部71は、ねじりバネ64を巻込み方向にねじるように第1腕部64Aと当接して当該第1腕部64Aを押動する(図8A参照)。レバー58の操作で、軸部材62を中心として調整プレート70が逆方向(B方向)に回動されたとき、第2押動部72は、ねじりバネ64を巻込み方向にねじるように第2腕部64Bと当接して当該第2腕部64Bを押動する(図8C参照)。
【0037】
調整ネジ74は、第1押動部71に螺合されて、第1押動部71を構成する。調整ネジ74は、回転により先端部が第1腕部64Aに対して接近(当接を含む)・離反する。
【0038】
操作装置30は、下記状態となったとき、レバー58の位置が中立状態として確立される。具体的に、ねじりバネ64の第1腕部64Aが第1溝部65の最奥部65aに当接した状態(バネ力が生じて当接している状態)である。且つ、ねじりバネ64の第2腕部64Bが第2溝部66の最奥部66aに当接した状態(バネ力が生じて当接している状態)である。且つ、調整プレート70の第2押動部72が第2腕部64Bに当接した状態(この場合、第2押動部72が第2腕部64Bを押動していない状態で、且つ、第2押動部72が第2腕部64Bから押動されていない状態)である。且つ、調整ネジ74の先端部と第1腕部64Aとの距離がゼロ(プラスマイナスゼロ)となる状態(すなわち、調整ネジ74が第1腕部64Aを押動していない状態で、且つ、調整ネジ74が第1腕部64Aから押動されていない状態)である。
【0039】
操作装置30は、調整ネジ74の調整(回転)によって、上記状態を実現できる。この状態のとき、レバー58は、本体60に対して機械構造上のガタツキ(遊び)がゼロの(全く発生しない)状態となる。参考までに、その状態から調整ネジ74を締めると、第1腕部64Aが最奥部65aから乖離するため、レバー58の操作を行う際に、第1腕部64Aと最奥部65aとの間、もしくは、第2腕部64Bと最奥部66aとの間にガタツキ(遊び)が発生する。一方、その状態から調整ネジ74を緩めると、調整ネジ74(先端部)が第1腕部64Aから乖離するため、レバー58の操作を行う際に、調整ネジ74(先端部)と第1腕部64Aとの間、もしくは、第2押動部72と第2腕部64Bとの間にガタツキ(遊び)が発生する。なお、作業用車両1の使用中に調整ネジ74が意図せずに回転しないように、ダブルナットによって回り止めを行っている。
【0040】
上記の構成によれば、レバー58の操作をポテンショメータ80によって検出する機構を備える操作装置30において、一つのねじりバネ64を備える簡素な構成によって、レバー58の中立位置の確立、および、レバー58の両方向の復帰動作を可能とする機構を実現できる。さらに、レバー58の操作を行う際の機械構造上のガタツキ(遊び)をゼロにすることができる。したがって、極めて良好な操作性を実現することができる。さらに、製品としての高級感を醸成でき、製品価値をより一層高めることができる。
【0041】
次に、操作装置30は、レバー58のストローク範囲(動作範囲)を調整するストローク調整部90を備える。ストローク調整部90は、レバー58が取付けられる調整プレート70の回動範囲を調整することによって、レバー58のストローク範囲を調整する。
【0042】
ストローク調整部90は、本体60に螺合される第1ストローク調整ネジ91を備える。第1ストローク調整ネジ91は、回転により先端部と調整プレート70の第1当接部75との距離が可変となる(第1当接部75に対して接近・離反する)。ストローク調整部90は、本体60に螺合される第2ストローク調整ネジ92を備える。第2ストローク調整ネジ92は、回転により先端部と調整プレート70の第2当接部76との距離が可変となる(第2当接部76に対して接近・離反する)。
【0043】
レバー58の操作で、軸部材62を中心として調整プレート70が一方向(A方向)(第1押動部71が第1腕部64Aを押動する方向)に回動されたとき、第1ストローク調整ネジ91の先端部と調整プレート70の第1当接部75とが当接して、それ以上の回動が規制される(図8A参照)。レバー58の操作で、軸部材62を中心として調整プレート70が逆方向(B方向)(第2押動部72が第2腕部64Bを押動する方向)に回動されたとき、第2ストローク調整ネジ92の先端部と第2当接部76とが当接して、それ以上の回動が規制される(図8C参照)。
【0044】
上記の構成によれば、第1ストローク調整ネジ91および第2ストローク調整ネジ92をそれぞれ回転させることによって、調整プレート70の回動範囲(すなわち、レバー58のストローク範囲)を調整することができる。なお、作業用車両1の使用中に第1ストローク調整ネジ91および第2ストローク調整ネジ92が意図せずに回転しないように、ダブルナットによって回り止めを行っている。
【0045】
特に、一つの調整プレート70が、レバー58の操作を行う際の、ガタツキ(遊び)調整と、ストローク調整と、の両方に供される構造を実現できる。したがって、簡素な構造の操作装置30を実現できる。
【0046】
次に、操作装置30の各構成の配置について説明する。図6に示すように、第1腕部64Aおよび第1押動部71(具体的には、第1腕部64Aとの当接位置)は、本体60においてポテンショメータ80の固定部60Aから相対的に遠い位置に設けられる。第2腕部64Bおよび第2押動部72(具体的には、第2腕部64Bとの当接位置)は、本体60においてポテンショメータ80の固定部60Aから相対的に近い位置に設けられる。調整ネジ74は、本体60において上方から下方へ向かって進入する方向に螺合される。第1ストローク調整ネジ91および第2ストローク調整ネジ92は、本体60において前方から後方へ向かって進入する方向に螺合される。レバー58は、調整プレート70において軸部材62よりも前方の位置に取付けられている。
【0047】
上記の構成によれば、一つのねじりバネ64によってレバー58の中立および復帰動作を可能とする操作装置30において、レバー58の操作方向(A方向およびB方向)と直交する方向の幅寸法を小さく(薄く)することができる。さらに、操作装置30が作業用車両1に搭載(固定)された状態で、調整ネジ74、第1ストローク調整ネジ91、および第2ストローク調整ネジ92のいずれも容易に調整(工具を用いた回動)を行うことが可能となる。
【0048】
本実施形態として、作業装置12の操作装置30を例に挙げて説明した。なお、本実施形態は、操作装置30に限定されるものではなく、その他の装置(例えば、走行装置10、作業装置13、作業装置14等)の操作装置に対して同様に適用できる。
【0049】
次に、操縦室16に設けられるスイッチ類は以下のように構成されている。図3に示すように、前から順に、走行系スイッチ110、ジョグダイヤル付き操作スイッチ120、共通スイッチ130、キースイッチ140、オプション機構スイッチ150の全てが一つのコンソールボックス100にまとめて配置されている。さらに、上記のスイッチ類の配線が一つのコネクタ(不図示)に集約され、本体側コネクタ(不図示)と接続される構成としている。一例として、コンソールボックス100は、樹脂材料を用いた一体成型によって形成されている。
【0050】
走行系スイッチ110の例として、パーキングブレーキ、フットアクセル、ラムロック(ロック/オート)、ハザード、アタッチメントロック、走行変速、オートクルーズ用の各スイッチを備えている。ジョグダイヤル付き操作スイッチ120の例として、ジョグダイヤル122、および、エアコン、ラジオ、ディスプレー用の各スイッチを備えている。共通スイッチ130の例として、車幅灯、前照灯、作業灯、ギヤ変速、ビーコン、エコモード、ディテント、スイング/アジャスト切替、デフロック用の各スイッチを備えている。オプション機構スイッチ150の例として、四輪操舵切替、その他予備用の各スイッチを備えている。ただし、スイッチ類は、上記の構成に限定されるものではない。
【0051】
上記の構成によれば、部品点数の削減を図ることができ、構造の簡素化、コスト削減、組付け作業の容易化、および工数削減が実現できる。
【0052】
コンソールボックス100および上記のスイッチ類の配置について説明する。コンソールボックス100は、操作装置30と操作装置40とに挟まれる位置に配置されている。さらに、レバー58に近接する前方側に走行系スイッチ110が配置され、レバー58に近接する後方側に、ジョグダイヤル付き操作スイッチ120が配置されている。これにより、使用頻度の高い走行系スイッチ110、ジョグダイヤル付き操作スイッチ120、操作装置30、および操作装置40をオペレータが視線を変えずに(大きく変えずに)操作することができ、良好な操作性を実現できる。
【0053】
以上説明した通り、上記の作業用車両によれば、レバーの操作をポテンショメータによって検出する操作装置を備える場合において、簡素な構成によって、レバーの中立位置の確立、および、レバーの両方向の復帰動作を可能とする操作装置を実現できる。さらに、レバーの中立状態および操作状態のいずれにおいても機械構造上のガタツキ(遊び)をゼロにすることが可能な操作装置を実現できる。
【0054】
上記の作業用車両によれば、部品点数の削減とそれに伴うコストダウンおよび組付け工程簡素化を図ることができる。
【0055】
本発明は、上記の実施形態(エクスカベータ)に限定されるものではない。本発明は、その他の作業用車両(例えば、ローダ、キャリア等)に対して同様に適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 作業用車両
10 走行装置
12、13、14 作業装置
16 操縦室
30 操作装置
58 レバー
60 本体
62 軸部材
64 ねじりバネ
64A 第1腕部
64B 第2腕部
65 第1溝部
66 第2溝部
70 調整プレート
71 第1押動部
72 第2押動部
74 調整ネジ
80 ポテンショメータ
90 ストローク調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8