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特許7644815座席の識別装置を動作させるための方法及び識別装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】座席の識別装置を動作させるための方法及び識別装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/015 20060101AFI20250305BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20250305BHJP
   B60R 21/0136 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
B60R21/015 340
B60N2/42
B60R21/015 311
B60R21/0136 310
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023526869
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2021076187
(87)【国際公開番号】W WO2022096191
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】102020006794.8
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベロン マルコ
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-187541(JP,A)
【文献】特開2006-010490(JP,A)
【文献】特開2015-116947(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0131607(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0157510(US,A1)
【文献】特表2007-533543(JP,A)
【文献】特表2003-535748(JP,A)
【文献】特表2002-533697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0004628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/015
B60N 2/42
B60R 21/0136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の座席(12)の識別装置(10)を動作させるための方法であって
記自動車の移動中において、前記座席(12)への圧力の変と前記自動車の加速度変動に基づいて、前記加速度の変動に対して前記圧力がどのように変動するかという特性を表す相対変動(34)が決定され
前記自動車の速度(28)の速度変動(30)が前記識別装置(10)の電子計算機(24)を使用して決定され、決定された前記速度変動(30)が所定の閾値(36)を上回らない場合に、前記電子計算機(24)を使用して、前記座席(12)上のチャイルドシート又は前記座席(12)上の大人の識別が実施され、
前記相対変動(34)と前記識別の結果とに応じて、エアバッグ装置のスイッチのオンまたはオフが行なわれ
さらに、前記決定された速度変動(30)が前記所定の閾値(36)を上回る場合に、前記自動車の前記移動中に前記識別実施が抑制される
ことを特徴とする、座席の識別装置を動作させるための方法。
【請求項2】
所定の速度閾値を下回るとき、前記相対変動(34)に対する開始値(40)が決定される
ことを特徴とする、請求項1に記載の座席の識別装置を動作させるための方法。
【請求項3】
前記速度変動(30)前記所定の閾値(36)を上回るとき、前記相対変動(34)の前記開始値(40)が使用される
ことを特徴とする、請求項2に記載の座席の識別装置を動作させるための方法。
【請求項4】
前記速度変動(30)は、速度値の移動平均を生成するフィルタ処理に応じて、かつ平滑化した複数の速度値に応じて規定されている
ことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の座席の識別装置を動作させるための方法。
【請求項5】
付加的に操舵角の操舵角変動が決定され
前記操舵角変動に対する所定の閾値を上回るときにも、前記自動車の前記移動中に前記識別実施が抑制される
ことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の座席の識別装置を動作させるための方法。
【請求項6】
付加的に前記自動車の支援システムにおいて不安定な走行状況および急激な速度変動を伴う走行状況の少なくとも一方を検知した場合に制御信号が前記識別装置(10)に送信され、前記制御信号が送信された場合にも、前記自動車の前記移動中に前記識別実施が抑制される
ことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の座席の識別装置を動作させるための方法。
【請求項7】
前記座席(12)内の圧力センサ(20)を使用して、前記座席(12)への現在の圧力が検知され、検知された前記現在の圧力に応じて、前記圧力変動が前記電子計算機(24)を使用して決定される
ことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の座席の識別装置を動作させる
ための方法。
【請求項8】
チャイルドシートが識別されたとき、前記エアバッグ装置の前記スイッチのオフ行なわれ、大人が識別されたとき、前記エアバッグ装置の前記スイッチのオン行なわれる
ことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の座席の識別装置を動作させるための方法。
【請求項9】
自動車の座席(12)の識別装置(10)であって、前記座席(12)上のチャイルドシート又は大人を識別するためのものであり、少なくとも1つの電子計算機(24)を備え、
前記識別装置(10)は、請求項1からのいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている
ことを特徴とする、識別装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る自動車の座席の識別装置を動作させるための方法に関する。更に、本発明は、識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、座席上の人を識別するための方法が既に公知である。特に、座席上の人が、例えば、チャイルドシート内の子供か大人かを分類することができ、ここで大人とは、特に、補助座席なしで座席上に着座可能な人と解釈される。更に先行技術から、例えば、座席上にチャイルドシートが検知されたとき、エアバッグ装置を適切に無効化可能なことが公知である。これにより、チャイルドシートが検知されたらエアバッグの作動が防止されるので、特に、チャイルドシートにいる子供に対する安全性が向上する。このために、いわゆる静的方法及び動的方法もまた先行技術から公知である。静的方法では、座席への圧力が単に記録され、その圧力に応じて、座席上にチャイルドシートが存在するか否かが決定される。動的方法では、自動車の固有運動、特に、自動車の加速度も考慮されるので、走行中のチャイルドシートの検知向上を同様に実現することができる。
【0003】
米国特許出願公開第2003004628(A1)号には、乗員を特徴付けるための、重量に基づく方法が記載されており、その方法では、子供と小柄な大人と固く締め付けられたチャイルドシートとを、検知された乗員重量の分散及び車両加速度の変動に基づいて信頼性高く区別する。重量分散及び加速度変動は、粗い路面での車両の運転の影響を補償する相対分散又は正規化された分散を決定するために使用される。乗員は、正規化された分散が規定の間隔毎に第1の閾値を下回る場合にチャイルドシートとして特徴付けられ、正規化された分散が規定の間隔毎に第2の閾値を上回る場合に子供又は小柄な大人として特徴付けられる。
【0004】
欧州特許出願公開第1470968(A1)号は、車両座席のフォーム材の下側に配置された少なくとも1つの圧力センサと、少なくとも1つの温度センサと、センサが接続された電子制御装置及び/又は評価装置とを備える車両用の乗員検知システムを含む。特に、周囲温度の変化時に生じる時間応答であって、圧力センサ又は座席フォームから離れて配置された温度センサの出力信号の時間応答を、圧力センサ又は座席フォームの範囲内で優勢な温度の時間応答に調整するための手段が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、座席上の人の改善された識別又は分類を実施することができる方法及び識別装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、独立請求項に係る方法及び識別装置によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明の一態様は、自動車の座席の識別装置を動作させるための方法であって、前記識別装置の電子計算機を使用して、前記座席上のチャイルドシート又は前記座席上の大人の識別が実施され、前記識別に応じて、前記座席のエアバッグ装置が有効化され、前記自動車の移動中の前記座席への圧力の圧力変動と前記自動車の加速度の加速度変動との比から相対変動が決定され、前記相対変動に応じて、識別が実施されて前記エアバッグ装置が有効化される前記方法に関する。
【0008】
前記自動車の速度の速度変動は前記電子計算機を使用して決定され、前記決定された速度変動に応じて前記自動車の前記移動中に識別を実施するか否かが決定されることが企図されている。
【0009】
それにより、チャイルドシートか大人かの改善された識別又は決定が可能となる。
【0010】
特に、本発明は、例えば、チャイルドシートが取り付けられた状態での極めて動的な走行スタイルにおいて、動的アルゴリズムの決定基準、換言すれば相対変動が、意図せず増大し得るという問題を解決する。極めて動的な走行スタイルは、特に、連続した加速操作及び減速操作に加えて、急加速操作及び急減速操作を含む。これは、特に自動車のz方向において、圧力変動が加速度変動と比べてより強く影響を受けるためである。
【0011】
関連状況をできる限り明確に識別するには、速度変動の分析が得策であるとされている。その場合、例えば、変動の算出に使用された複数の速度値を介して、特に、算出をパラメータ化可能とすることができる。更に、算出された値のフィルタ処理を、例えば移動平均値によって実現することができる。ここで、速度変動がパラメータ化可能な閾値を超過する場合、少なくとも超過している継続時間は、対応する反応、例えば、既存のパラメータ化可能な開始値への相対変動のリセットが行われ得る。更に、安定化のために、ヒステリシス機能又は同様の機能、例えば、パラメータ化可能な期間による反応の延長が実行され得る。
【0012】
これは、関連状況、例えば急加速操作及び急減速操作などにおいて、対応する加速度変化を識別可能であるという利点を特に有する。例えば、ペダル絶対位置を単独で評価しても、先行技術がそうであるように、この変化を識別することができない。例えば、ペダル位置に基づく識別では、フォールスポジティブな状況に至るおそれがある。例えば、ブレーキペダルを強く踏み込んだ状態での下り坂走行の場合、対応する状況が検知されることとなる。更に、アクセルペダルを強く踏み込んだ状態での上り坂走行の場合、対応する状況が同様に検知されることとなる。更に、ペダル位置に基づいてフォールスネガティブを決定することができる。例えば、加速度が絶対閾値を下回って変化する場合、対応するフォールスネガティブを検知することができる。
【0013】
有利な実施形態によれば、所定の速度閾値を下回るとき、前記相対変動に対する現在の開始値が決定される。特に、この所定の速度は、例えば時速4キロメートル未満であってもよい。そのうえ、相対変動は、例えば、現在の圧力のみを考慮する、いわゆる静的アルゴリズムを使用して適切に決定される。それにより、相対変動の開始値を信頼性高く生成することができ、その結果、自動車の移動中における現在の開始値に基づいて相対変動が次いで動的に決定され、これにより人を適切に識別することができる。
【0014】
前記速度変動に対して所定の閾値を上回るとき、前記決定された現在の相対変動に基づく識別が抑制される場合も有利である。これにより、例えば、関連状況での誤った識別を抑制することができる。そのため、例えば、急加速時や加速度の変化時など抑制されている間、誤った識別をなくすことができる。このようにして、走行全体にわたって、人の識別の改善を実現することができる。
【0015】
前記速度変動が前記閾値を上回るとき、前記相対変動の前記開始値が使用されるのであれば、有利であることが更に判明した。換言すれば、もし速度変動が閾値を超過する場合には、相対変動の開始値が使用される。したがって、相対変動はリセットされ、再度決定される。それにより、座席上の人を決定するために、信頼性の高いアルゴリズムを提供することができる。
【0016】
更に有利な実施形態では、前記速度変動は、速度値のフィルタ処理に応じて、かつ/又は複数の速度値に応じて規定されている。したがって、速度変動の決定をパラメータ化可能とすることができる。個々の速度値を予め平準化しておき、速度変動の決定のために使用することもできる。更に、算出された値のフィルタ処理を、例えば、移動平均値によって実現することができる。
【0017】
付加的に操舵角の操舵角変動が決定され、前記決定された操舵角変動に応じて、前記自動車の前記移動中に識別を実施するか否かが決定されるのであれば、更に有利である。それにより、対応する走行状況の更なる検知を実現することができる。操舵角変動の決定は、特に速度変動の決定と同様に行われる。
【0018】
付加的に前記自動車の支援システムの制御信号が前記識別装置に送信され、前記送信された制御信号に応じて、前記自動車の前記移動中に識別を実施するか否かが決定されるのであれば、同様に有利である。これにより、特に、不安定/動的な走行状況を付加的に検知することができる。例えば、支援システムとしてのアンチロックブレーキシステムによって、対応する介入を制御信号として送信することができ、次いで、そのような状況において識別が抑制される。更に、プレセーフ作動の要件もまた、このために使用することができる。更に、支援システムとしての電子安定化プログラムもまた、対応する介入を制御信号として識別装置に送信することができる。
【0019】
更に有利な実施形態では、前記座席内の圧力センサを使用して、前記座席への前記現在の圧力が検出され、前記検出された現在の圧力に応じて、前記圧力変動が前記電子計算機を使用して決定される。例えば、圧力センサは、座席の圧力マット内に配置されていてもよい。それにより、圧力変動を信頼性高く決定することができる。
【0020】
チャイルドシートが検知されたとき、前記エアバッグ装置が無効化され、大人が検知されたとき、前記エアバッグ装置が有効化されるのであれば、有利であることが更に判明した。大人とは、本明細書では特にブースターシートが不要な人とみなされる。大人は、本明細書では、いわばシートサポートが不要な青少年であってもよい。したがって、エアバッグ、例えば助手席エアバッグを無効化する場合、チャイルドシートが検知されたときにエアバッグが作動することでチャイルドシート内の子供の負傷を招くことを防止することができる。
【0021】
本発明の更なる一態様は、自動車の座席の識別装置であって、前記座席上のチャイルドシート又は大人を識別するためのものであり、少なくとも1つの電子計算機を備え、前記識別装置は、前述の態様に係る方法を実施するように構成されているものに関する。特に、この方法は、識別装置を使用して実施される。
【0022】
本発明の更に別の一態様は、前述の態様に係る識別装置を備える自動車に関する。この自動車は、特に乗用車として形成される。
【0023】
本発明のその他の利点、特徴、及び詳細は、以下の好ましい例示的な実施形態の説明及び図面の参照から明らかとなる。前述の説明で挙げた特徴及び特徴の組み合わせ、並びに以下の図面の説明で挙げる、かつ/又は図面にのみ示す特徴及び特徴の組み合わせは、記載された各組み合わせのみならず、本発明の範囲から逸脱しない限り、他の組み合わせ又は単独でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】識別装置の一実施形態の概略斜視図である。
図2】自動車の速度の記録及び関連する速度変動の記録を含む概略的なグラフである。
図3】本方法の一実施形態に係る概略的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面では、同じ要素、又は機能が同じ要素に、同じ参照符号が付与されている。
【0026】
図1は、自動車(図示せず)用の識別装置10の概略斜視図を示す。識別装置10は、特に、自動車の座席12用に構成されている。他方、座席12は、特に、背もたれ14、カバー16、フォームパッド18、及び圧力センサ20を有する。更に、圧力センサ20は、特に、少なくとも1つのシリコーン充填マット22から形成されている。更に、識別装置10は、圧力センサ及び温度センサを備えた少なくとも1つの電子計算機24を有する。座席12は、更に、スプリングベース26を有する。
【0027】
図2は、自動車の速度28及びそれに対応して決定された速度変動30の概略的なグラフを示す。
【0028】
表示された範囲では、本明細書で急ブレーキ操作が行われる関連状況32を特に示すことができる。これは特に、速度曲線の下降によって示されている。これらの関連状況32は、速度変動曲線内のスパイクとしても見受けられる。
【0029】
自動車の座席12の識別装置10を動作させるための方法では、識別装置12の電子計算機24を使用して、座席12上のチャイルドシート又は座席12上の大人の識別が実施され、その識別に応じて、座席12のエアバッグ装置(図示せず)が有効化される。自動車の移動中の座席12への圧力の圧力変動と自動車の加速度の加速度変動との比から相対変動34(図3)が決定され、この相対変動34に応じて、識別が実施されてエアバッグが有効化される。
【0030】
自動車の速度28の速度変動30は、電子計算機24を使用して決定され、決定された速度変動30に応じて、自動車の移動中に識別を実施するか否かが決定されることが企図されている。図2は、関連状況32の領域で識別が抑制されることを特に示している。特に、このために、例えば、速度変動30に対する所定の閾値36を上回るとき、決定された現在の相対変動34に基づく識別が抑制されることが企図されている。
【0031】
更に、速度変動30は、速度値のフィルタ処理に応じて、かつ/又は複数の速度値に応じて規定されていることが、特に企図されていてもよい。
【0032】
したがって、特に図2は強力で単純なブレーキを示している。この挙動が検知され、その後、識別が抑制されることとなる。これは特に、例えば急ブレーキなどの極めて動的な走行スタイルにおいて、相対変動34が意図せず増大し得るためである。その理由は、特にz方向において、加速度変動よりも圧力変動への影響が比較的大きいためである。特に、関連状況32をできる限り明確に識別するには、速度変動30の分析が得策であることが判明した。これにより、例えば、速度変動30の算出に使用された複数の速度値、特に予め平準化された速度値を介して、決定をパラメータ化可能とすることができる。更に、算出された値のフィルタ処理を、例えば移動平均値によって実現することができる。速度変動30が、パラメータ化可能な閾値、特に閾値36を超過する場合、少なくとも超過している継続時間は、対応する反応、例えば、既存のパラメータ化可能な開始値への相対変動34のリセットが行われ得る。更に、安定化のために、ヒステリシス機能又は同様の機能、例えば、パラメータ化可能な期間による反応の延長が実行され得る。
【0033】
本発明に係る方法は、静的アルゴリズムのみが実行される場合も、安定化のために使用することができる。更に、付加的に操舵角の操舵角変動が決定され、決定された操舵角変動に応じて、自動車の移動中に識別を実施するか否かを決定してもよい。それにより、対応する走行状況の更なる検知を実現することができる。操舵角変動の決定は、特に速度変動の決定と同様に行われる。付加的に自動車の支援システムの制御信号が識別装置10に送信され、送信された制御信号に応じて、自動車の移動中に識別を実施するか否かが決定されてもよい。これにより、特に、不安定/動的な走行状況を付加的に検知することができる。例えば、支援システムとしてのアンチロックブレーキシステムによって、対応する介入を制御信号として送信することができ、次いで、そのような状況において識別が抑制される。更に、プレセーフ作動の要件もまた、このために使用することができる。更に、支援システムとしての電子安定化プログラムもまた、対応する介入を制御信号として識別装置10に送信することができる。
【0034】
図3は、相対変動34を含む、更なる概略的なグラフを示す。特に、図3は、フィルタ処理された相対変動38と、相対変動34の開始値40と、チャイルドシートを検知するための相対変動34に対する閾値42と、人、特に大人を検知するための相対変動34に対する閾値44とを示す。本明細書では、特に、自動車の移動時に大人が座席12に着座していることが識別される。相対変動34に対する開始値40は、特に、速度が時速4キロメートル未満のときに決定される。速度が時速4キロメートルを超える場合、パラメータ化可能な開始値40が出力される。本明細書では、もし相対変動34が閾値44を上回る場合には、対応するエアバッグ装置のスイッチがオンにされることが特に示されている。もし相対変動34が閾値42を下回る場合には、エアバッグ装置のスイッチはオフにされる。
【0035】
速度変動30の決定は、特に、時速4キロメートルからの圧力変動及び加速度変動の決定と同様に行われる。このために、例えばフィルタ処理装置を介した対応する変動範囲と、対応する事前フィルタ処理とが必要とされる。ここで、もし速度変動30が対応する閾値36を上回る場合には、相対変動34の開始値40へのリセットが行われることが企図されており、これは特に矢印46で図示されている。これにより、安全な状態を確立することができる。速度変動30は、未加工のフレーム(raw frames)で出力可能である。例えば、相対圧力の代わりに、テスト走行用の直接出力が有意義である。
【0036】
したがって、本発明に係る着想は、全体として、座席12内の圧力センサ20を使用した人検知及び人分類の改善を提示しており、閾値36を上回る速度変動30では、対応する信号を使用しない、又はその信号を現在の評価から除外するものとして使用し、パラメータを最初にリセットすることにより、走行運動の変化中における誤評価を防止し、決定アルゴリズムを安定化する。本方法の重要な特徴として、特に、速度変動30が閾値36を上回る場合、測定値が切り捨て又は無視されることが企図されている。それにより、例えば、ペダル位置のみを介して可能な評価よりも、走行運動に関連した人検知及び人分類のより良好かつ安定した評価が可能となる。したがって、速度変動30が閾値36を上回る場合には、対応するパラメータがスキップ及びリセットされるとともに速度変動30が分析及び使用される。
【符号の説明】
【0037】
10 識別装置
12 座席
14 背もたれ
16 カバー
18 フォームパッド
20 圧力センサ
22 シリコーン充填マット
24 電子計算機
26 スプリングマット
28 速度
30 速度変動
32 関連状況
34 相対変動
36 閾値
38 フィルタ処理された相対変動
40 開始値
42 閾値
44 閾値
46 矢印
図1
図2
図3