(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】スチーム噴霧装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/12 20060101AFI20250306BHJP
F24F 6/02 20060101ALI20250306BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20250306BHJP
B05B 17/00 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
A61H33/12 B
F24F6/02 B
A45D44/22 F
B05B17/00
(21)【出願番号】P 2024120941
(22)【出願日】2024-07-26
【審査請求日】2024-10-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390024017
【氏名又は名称】コメット電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181434
【氏名又は名称】松浦 正明
(74)【代理人】
【識別番号】100180035
【氏名又は名称】生塩 智邦
(72)【発明者】
【氏名】森 秀明
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-013929(JP,A)
【文献】特開2006-189221(JP,A)
【文献】特開2008-032297(JP,A)
【文献】実開平06-035838(JP,U)
【文献】特開平04-357962(JP,A)
【文献】特開2000-046381(JP,A)
【文献】特開2018-153465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/12
F24F 6/02
A45D 44/22
B05B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧ノズルから噴霧するスチームを発生させる沸騰タンクと、
前記沸騰タンクへ供給するための液体を給液可能な給液口と、液体を前記沸騰タンク側へ向かうように流出可能な流出口とを有する給液タンクと、
前記給液タンクの前記給液口を開閉可能な蓋体と、
前記給液タンクの前記流出口に設けられ、前記流出口からの液体の流出を規制する流出口閉止状態と、前記流出口からの液体の流出を許容する流出口開放状態とにすることが可能な流出口弁と、
前記蓋体が前記給液タンクの前記給液口を開放している間は、前記流出口弁を前記流出口閉止状態にし、前記蓋体が前記給液口を密閉した状態で、前記流出口弁を前記流出口開放状態にする流出口弁制御手段と、
前記給液タンクの下方に配置されて前記流出口に連通し、前記流出口から流出した液体を貯留する貯液タンクと、
前記沸騰タンクで沸騰により発生したスチームの一部を、前記貯液タンクから前記沸騰タンクまでの間の液体の流路側へ回収する回収路と、を備え
、
前記給液タンク及び前記貯液タンクの少なくとも一方のタンクの周壁は、二重構造に形成され、
前記回収路は、二重構造の前記周壁内に区画される
ことを特徴とするスチーム噴霧装置。
【請求項2】
噴霧ノズルから噴霧するスチームを発生させる沸騰タンクと、
前記沸騰タンクへ供給するための液体を給液可能な給液口と、液体を前記沸騰タンク側へ向かうように流出可能な流出口とを有する給液タンクと、
前記給液タンクの前記給液口を開閉可能な蓋体と、
前記給液タンクの前記流出口に設けられ、前記流出口からの液体の流出を規制する流出口閉止状態と、前記流出口からの液体の流出を許容する流出口開放状態とにすることが可能な流出口弁と、
前記蓋体が前記給液タンクの前記給液口を開放している間は、前記流出口弁を前記流出口閉止状態にし、前記蓋体が前記給液口を密閉した状態で、前記流出口弁を前記流出口開放状態にする流出口弁制御手段と、
前記給液タンクの下方に配置されて前記流出口に連通し、前記流出口から流出した液体を貯留する貯液タンクと、
前記給液タンクの所定の高さ位置から下方の前記貯液タンクへ連通するバイパス流路と、を備え、
前記バイパス流路は、前記給液タンクに前記所定の高さ位置以上の液体が供給された際に、溢れた液体の前記貯液タンクへの流出を許容する
ことを特徴とするスチーム噴霧装置。
【請求項3】
噴霧ノズルから噴霧するスチームを発生させる沸騰タンクと、
前記沸騰タンクへ供給するための液体を給液可能な給液口と、液体を前記沸騰タンク側へ向かうように流出可能な流出口とを有する給液タンクと、
前記給液タンクの前記給液口を開閉可能な蓋体と、
前記給液タンクの前記流出口に設けられ、前記流出口からの液体の流出を規制する流出口閉止状態と、前記流出口からの液体の流出を許容する流出口開放状態とにすることが可能な流出口弁と、
前記蓋体が前記給液タンクの前記給液口を開放している間は、前記流出口弁を前記流出口閉止状態にし、前記蓋体が前記給液口を密閉した状態で、前記流出口弁を前記流出口開放状態にする流出口弁制御手段と、
前記給液タンクの下方に配置されて前記流出口に連通し、前記流出口から流出した液体を貯留する貯液タンクと、
前記貯液タンクと前記沸騰タンクとの間の液体の流路に配置されるサブタンクと、を備え、
前記サブタンクと前記沸騰タンクとを連通する液体の流路は、前記サブタンクから前記沸騰タンクへ向かって上方へ傾斜する傾斜路を含み、
前記沸騰タンクは、液体を沸騰させるヒータを有し、
前記ヒータは、電力を受けて発熱する発熱板を有し、
前記傾斜路のうち、前記サブタンク側の端部の上端の高さ位置は、前記ヒータの前記発熱板の上下方向の中央の高さ位置よりも上方に配置される
ことを特徴とするスチーム噴霧装置。
【請求項4】
噴霧ノズルから噴霧するスチームを発生させる沸騰タンクと、
前記沸騰タンクへ供給するための液体を給液可能な給液口と、液体を前記沸騰タンク側へ向かうように流出可能な流出口とを有する給液タンクと、
前記給液タンクの前記給液口を開閉可能な蓋体と、
前記給液タンクの前記流出口に設けられ、前記流出口からの液体の流出を規制する流出口閉止状態と、前記流出口からの液体の流出を許容する流出口開放状態とにすることが可能な流出口弁と、
前記蓋体が前記給液タンクの前記給液口を開放している間は、前記流出口弁を前記流出口閉止状態にし、前記蓋体が前記給液口を密閉した状態で、前記流出口弁を前記流出口開放状態にする流出口弁制御手段と、
前記給液タンクから前記沸騰タンクまでの間の液体の流路に設けられて、液体を排出可能な排出口と、
前記排出口に設けられ、前記排出口からの液体の排出を規制する排出口閉止状態と、前記排出口からの液体の排出を許容する排出口開放状態とにすることが可能な排出口弁と、
前記蓋体が前記給液タンクの前記給液口を開放している間は、前記排出口弁を前記排出口開放状態にし、前記蓋体が前記給液口を密閉した状態で、前記排出口弁を前記排出口閉止状態にする排出口弁制御手段と、を備える
ことを特徴とするスチーム噴霧装置。
【請求項5】
前記排出口からの排液の終了を検出する排液検出手段と、
前記排液検出手段が前記排出口からの排液の終了を検出した場合に、排液が終了したことを報知する報知手段と、を備える
ことを特徴とする
請求項4に記載のスチーム噴霧装置。
【請求項6】
噴霧ノズルから噴霧するスチームを発生させる沸騰タンクと、
前記沸騰タンクへ供給するための液体を給液可能な給液口と、液体を前記沸騰タンク側へ向かうように流出可能な流出口とを有する給液タンクと、
前記給液タンクの前記給液口を開閉可能な蓋体と、
前記給液タンクの前記流出口に設けられ、前記流出口からの液体の流出を規制する流出口閉止状態と、前記流出口からの液体の流出を許容する流出口開放状態とにすることが可能な流出口弁と、
前記蓋体が前記給液タンクの前記給液口を開放している間は、前記流出口弁を前記流出口閉止状態にし、前記蓋体が前記給液口を密閉した状態で、前記流出口弁を前記流出口開放状態にする流出口弁制御手段と、を備え、
前記沸騰タンクは、液体を沸騰させるヒータと、前記ヒータの上端部に取り付けられて前記ヒータの温度を検出するサーミスタと、を有し、
前記ヒータは、電力を受けて発熱する発熱板と、前記発熱板を挟むように配置される1対の導熱板と、を有し、
前記1対の導熱板は、前記発熱板よりも上方まで延出する延出領域をそれぞれ有し、
前記サーミスタは、前記ヒータの前記1対の導熱板の前記延出領域間に配置されて、前記1対の導熱板に接触する
ことを特徴とするスチーム噴霧装置。
【請求項7】
前記ヒータは、前記沸騰タンクに複数設けられ、
前記サーミスタは、複数の前記ヒータのそれぞれに設けられる
ことを特徴とする
請求項6に記載のスチーム噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体を沸騰させてスチームを噴霧するスチーム噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を蒸気化してスチームを噴霧する美容機器(美顔器)として用いられるスチーム噴霧装置が開示されている。このスチーム噴霧装置は、液体を給液する給液タンクと、貯留した液体をヒータによって沸騰させる沸騰タンクと、これらを連通する給液路とを備えている。給液タンクは、スチーム噴霧装置に対して着脱可能に装着されており、スチーム噴霧装置に装着されることで、給液路に接続される。この給液タンクは、スチーム噴霧装置に装着されると、給液弁が給液口を開放する開放状態となり、給液タンク内の液体が給液口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスチーム噴霧装置では、給液タンクがスチーム噴霧装置に対して着脱可能となっているが、構造の簡素化等の要望によって、給液タンクをスチーム噴霧装置に一体化したい場合がある。給液タンクをスチーム噴霧装置に一体化すると、給液タンクの蓋を開けて給液を行う際に、スチームを噴霧するノズル側と給液タンク側の双方が開放されるので、装置内に液体が入り過ぎてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、給液タンクをスチーム噴霧装置に一体化しても、装置内への液体の入り過ぎを防止することが可能なスチーム噴霧装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様のスチーム噴霧装置は、噴霧ノズルから噴霧するスチームを発生させる沸騰タンクと、前記沸騰タンクへ供給するための液体を給液可能な給液口と、液体を前記沸騰タンク側へ向かうように流出可能な流出口とを有する給液タンクと、前記給液タンクの前記給液口を開閉可能な蓋体と、前記給液タンクの前記流出口に設けられ、前記流出口からの液体の流出を規制する流出口閉止状態と、前記流出口からの液体の流出を許容する流出口開放状態とにすることが可能な流出口弁と、前記蓋体が前記給液タンクの前記給液口を開放している間は、前記流出口弁を前記流出口閉止状態にし、前記蓋体が前記給液口を密閉した状態で、前記流出口弁を前記流出口開放状態にする流出口弁制御手段と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のスチーム噴霧装置であって、前記給液タンクの下方に配置されて前記流出口に連通し、前記流出口から流出した液体を貯留する貯液タンクを備える。
【0008】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様のスチーム噴霧装置であって、前記沸騰タンクで沸騰により発生したスチームの一部を、前記貯液タンクから前記沸騰タンクまでの間の液体の流路側へ回収する回収路を備え、前記給液タンク及び前記貯液タンクの少なくとも一方のタンクの周壁は、二重構造に形成され、前記回収路は、二重構造の前記周壁内に区画される。
【0009】
本発明の第4の態様は、上記第2の態様又は上記第3の態様のスチーム噴霧装置であって、前記給液タンクの所定の高さ位置から下方の前記貯液タンクへ連通するバイパス流路を備え、前記バイパス流路は、前記給液タンクに前記所定の高さ位置以上の液体が供給された際に、溢れた液体の前記貯液タンクへの流出を許容する。
【0010】
本発明の第5の態様は、上記第2の態様又は上記第3の態様のスチーム噴霧装置であって、前記貯液タンクと前記沸騰タンクとの間の液体の流路に配置されるサブタンクを備え、前記サブタンクと前記沸騰タンクとを連通する液体の流路は、前記サブタンクから前記沸騰タンクへ向かって上方へ傾斜する傾斜路を含み、前記沸騰タンクは、液体を沸騰させるヒータを有し、前記ヒータは、電力を受けて発熱する発熱板を有し、前記傾斜路のうち、前記サブタンク側の端部の上端の高さ位置は、前記ヒータの前記発熱板の上下方向の中央の高さ位置よりも上方に配置される。
【0011】
本発明の第6の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のスチーム噴霧装置であって、前記給液タンクから前記沸騰タンクまでの間の液体の流路に設けられて、液体を排出可能な排出口と、前記排出口に設けられ、前記排出口からの液体の排出を規制する排出口閉止状態と、前記排出口からの液体の排出を許容する排出口開放状態とにすることが可能な排出口弁と、前記蓋体が前記給液タンクの前記給液口を開放している間は、前記排出口弁を前記排出口開放状態にし、前記蓋体が前記給液口を密閉した状態で、前記排出口弁を前記排出口閉止状態にする排出口弁制御手段と、を備える。
【0012】
本発明の第7の態様は、上記第6の態様のスチーム噴霧装置であって、前記排出口からの排液の終了を検出する排液検出手段と、前記排液検出手段が前記排出口からの排液の終了を検出した場合に、排液が終了したことを報知する報知手段と、を備える。
【0013】
本発明の第8の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のスチーム噴霧装置であって、前記沸騰タンクは、液体を沸騰させるヒータと、前記ヒータの上端部に取り付けられて前記ヒータの温度を検出するサーミスタと、を有し、前記ヒータは、電力を受けて発熱する発熱板と、前記発熱板を挟むように配置される1対の導熱板と、を有し、前記1対の導熱板は、前記発熱板よりも上方まで延出する延出領域をそれぞれ有し、前記サーミスタは、前記ヒータの前記1対の導熱板の前記延出領域間に配置されて、前記1対の導熱板に接触する。
【0014】
本発明の第9の態様は、上記第8の態様のスチーム噴霧装置であって、前記ヒータは、前記沸騰タンクに複数設けられ、前記サーミスタは、複数の前記ヒータのそれぞれに設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、給液タンクをスチーム噴霧装置に一体化しても、装置内への液体の入り過ぎを防止することが可能なスチーム噴霧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスチーム噴霧装置の本体蓋を開けた状態の正面側からの外観斜視図である。
【
図2】蓋を開けて給液した状態を示すスチーム噴霧装置の概略図である。
【
図3】給液後に蓋を閉めて液体が装置内に供給された状態を示すスチーム噴霧装置の概略図である。
【
図4】
図2の概略的なIV-IV矢視断面図である。
【
図6】
図5を矢印VI方向から視た状態を示す説明図である。
【
図7】
図1の概略的なVII-VII矢視断面図である。
【
図8】
図7の概略的なVIII-VIII矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、UPは上方を示す。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るスチーム噴霧装置の本体蓋を開けた状態の正面側からの外観斜視図である。
図2は、蓋を開けて給液した状態を示すスチーム噴霧装置の概略図である。
図3は、給液後に蓋を閉めて液体が装置内に供給された状態を示すスチーム噴霧装置の概略図である。
図4は、
図2の概略的なIV-IV矢視断面図である。
図5は、
図2のV部分の拡大図である。
図6は、
図5を矢印VI方向から視た状態を示す説明図である。
図7は、
図1の概略的なVII-VII矢視断面図である。
図8は、
図7の概略的なVIII-VIII矢視断面図である。なお、
図3には、スチーム噴霧装置の液体の流れを白抜き矢印で図示し、スチームの流れを矢印で図示している。
【0019】
(スチーム噴霧装置)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るスチーム噴霧装置10は、水などの液体Wを蒸気化してスチームSを噴霧する美容機器(美顔器)として用いられるものであり、テスラー、クリーナーなど各種美容器具を収納可能な筐体100で覆われて形成されている。なお、スチーム噴霧装置10は、美容機器(美顔器)に限定されるものではなく、スチームSを噴霧する加湿器等であってもよい。
【0020】
筐体100は、スチームSを発生させる本体101と、本体101の上面を開閉可能な本体蓋102とを有する。本体蓋102の裏側には、ミラーMが設けられる。なお、筐体100の構成は、これに限定されるものではなく、例えば、本体蓋102を設けなくてもよい。また、筐体100の形状もこれに限定されるものではなく、所望の形状を適用することができる。
【0021】
本体101には、スチームSを噴霧する噴霧ノズル17が設けられる。本実施形態の噴霧ノズル17は、本体101の上面の奥側の幅方向の両側に設けられる。また、本体101の上面の略中央には後述する蓋体34が配置され、蓋体34の下方には後述する給液タンク12が収納されている。本体101の手前側(正面側)の下端部には、スチーム噴霧装置10の使用後に内部の液体Wを排液するための排液タンク103が設けられる。排液タンク103は、前方へ引き出すことによって、本体101から取り外し可能となっている。なお、本体101の上面の手前側には、各種操作スイッチ(図示省略)が設けられる。
【0022】
図2及び
図3に示すように、スチーム噴霧装置10は、液体W又はスチームSが流通する経路に配置される複数のタンク等を備える。具体的には、本実施形態のスチーム噴霧装置10は、沸騰タンク11と、給液タンク12と、貯液タンク13と、給液路(流路)14と、サブタンク15と、チャンバータンク16とを備える。
【0023】
(沸騰タンク)
沸騰タンク11は、液体Wを貯留可能な内部空間S1を区画するタンクであって、噴霧ノズル17から噴霧するスチームSを発生させる。沸騰タンク11は、液体Wを沸騰させるヒータ18と、ヒータ18の温度を検出するサーミスタ19(
図5及び
図6参照)と、を有する。沸騰タンク11は、内部空間S1に貯留した液体Wをヒータ18などの加熱手段により沸騰させて、スチームS(水蒸気)を発生させる。沸騰タンク11で発生したスチームSは、噴霧ノズル17から外部へ噴霧される(
図3参照)。この沸騰タンク11の貯留量は、設定する液位により変化する。
【0024】
(噴霧ノズル)
噴霧ノズル17は、沸騰タンク11に接続されたダクトの末端に設けられており、先端に小径のノズル孔が形成されている。噴霧ノズル17の噴霧方向は、手動により調整できる。なお、噴霧ノズル17の噴霧方向の調整は、手動に限定されるものではなく、例えば、モータやギアなどを用いて自動的に回動するように構成してもよいし、或いは手動と自動とを併用できるように構成してもよい。
【0025】
(ヒータ)
図2~
図6に示すように、ヒータ18は、交流又は直流の電気を流すことで、所定の温度で発熱する、500W程度の電熱ヒータであり、沸騰タンク11内に配置されて沸騰タンク11内の液体Wを加熱する。なお、沸騰タンク11内の液位を検知することで、ヒータ18の空焚きを防止するように、ヒータ18への給電を制御してもよい。
【0026】
ヒータ18の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、
図2~
図4に示すように、上下方向に延びる板状に形成される。ヒータ18は、沸騰タンク11に1つ設けられてもよいし、複数設けられてもよい。本実施形態では、互いに平行に配置される2つのヒータ18を設けている。
【0027】
ヒータ18の構成は、特に限定されるものではないが、
図4に示すように、電力を受けて発熱する発熱板18aと、1対の絶縁板18b,18bと、1対の導熱板18c,18cと、1対の表層板18d,18dとによって、層状に形成されてもよい。発熱板18aは、例えば鉄クロム線が巻き付けられた熱伝導性を有する板であって、電力を受けて発熱する。1対の絶縁板18b,18bは、発熱板18aを両面から挟み、発熱板18aからの電流を絶縁する。1対の導熱板18c,18cは、熱伝導性を有する板(例えばアルミニウム製の薄板)であって、絶縁板18b,18bよりも外側から発熱板18aを挟むように配置される。1対の導熱板18c,18cは、発熱板18aよりも上方まで延出する延出領域18cXをそれぞれ有し、当該延出領域18cXには、後述するようにサーミスタ19が接続される。1対の表層板18d,18dは、ヒータ18の表層を構成し、沸騰タンク11内の液体Wに接触する板(例えば錆が発生し難いステンレス製の薄板)であって、1対の導熱板18c,18cよりも外側から発熱板18aを挟むように配置される。
【0028】
(サーミスタ)
図5及び
図6に示すように、サーミスタ19は、ヒータ18の上端部に取り付けられてヒータ18の温度を検出する素子である。本実施形態では、サーミスタ19は、発熱板18aよりも上方まで延出する1対の導熱板18c,18cの延出領域18cX間に配置されて、1対の導熱板18c,18cに接触した状態で挟まれる。これにより、サーミスタ19は、1対の導熱板18c,18cによって支持される。すなわち、サーミスタ19は、1対の導熱板18c,18cに挟持される。サーミスタ19及び1対の導熱板18c,18cの延出領域18cXは、沸騰タンク11等に対して、ビス等によって直接的には固定されない。サーミスタ19の高さ位置(1対の導熱板18c,18cの延出領域18cXの高さ位置)は、後述する貯液タンク13の下端開口22の高さ位置(気液界面F)よりも上方に配置される。サーミスタ19が検出するヒータ18の温度に基づいて、図示しない制御装置によって、ヒータ18への給電が制御される。
【0029】
沸騰タンク11に複数のヒータ18を設ける場合には、複数のヒータ18のそれぞれにサーミスタ19を取り付けることが好ましい。すなわち、本実施形態のように、沸騰タンク11に2つのヒータ18を設ける場合には、2つのヒータ18のそれぞれに設けられる2つのサーミスタ19を設けることが好ましい。
【0030】
(給液タンク)
図2、
図3、
図7、及び
図8に示すように、給液タンク12は、沸騰タンク11へ供給するための液体Wを貯留可能な内部空間S2を区画するタンクであって、給液口20と、流出口21とを有する。給液タンク12は、本体101に一体化(固定)されている。本実施形態の給液タンク12は、本体101の上部の略中央に配置される。なお、液体W中のカルシウム成分などの不純物を除去するイオン交換樹脂を充填したカートリッジを、給液タンク12に着脱可能に設けてもよい。
【0031】
給液タンク12の給液口20は、給液される液体Wを内部空間S2へ給液可能な開口であって、給液タンク12の上部に設けられる。給液口20は、後述する蓋体34によって開閉可能となっている。給液口20は、上方へ開放されることによって、外部と内部空間S2とを連通する。給液タンク12へ給液する際には、後述する蓋体34を開状態(後述する給液口開放状態)にして、給液口20から内部空間S2へ給液する。
【0032】
給液タンク12の流出口21は、内部空間S2に貯留した液体Wを沸騰タンク11側(本実施形態では貯液タンク13)へ向かうように流出可能な開口であって、給液タンク12の下部に設けられる。流出口21には、後述する流出口弁35によって開閉可能となっている。本実施形態の流出口21は、貯液タンク13へ連通可能となっている。
【0033】
給液タンク12内の液体Wは、後述するように流出口弁35を開放すると、流出口21から貯液タンク13へ流出する。このとき、給液タンク12内の全ての液体Wが貯液タンク13側へ流出するように、給液タンク12の容量を設定することが好ましい。すなわち、給液タンク12に上限(Max)まで給液をし、その後、流出口弁35を開放した際に、給液タンク12内の全ての液体Wが貯液タンク13側へ流出し、給液タンク12内には液体Wが残存しないように、給液タンク12の容量を設定することが好ましい。なお、給液タンク12の容量は上記に限定されるものではない。
【0034】
(貯液タンク)
図2、
図3、
図7、及び
図8に示すように、貯液タンク13は、液体Wを貯留可能な内部空間S3を区画するタンクであって、給液タンク12の下方に配置されて給液タンク12の流出口21に連通し、流出口21から流出した液体を内部空間S3に貯留する。貯液タンク13の内部空間S3の上方は、給液タンク12の下面によって区画される。すなわち、給液タンク12と貯液タンク13とは、給液タンク12を上層に、貯液タンク13を下層に配置した2層構造となっている。貯液タンク13は、給液タンク12に一体化された状態で、本体101に固定されている。貯液タンク13は、給液路14へ連通する下端開口22を有する。
【0035】
(バイパス流路)
本実施形態の給液タンク12及び貯液タンク13は、給液タンク12の所定の高さ位置から下方の貯液タンク13へ連通するバイパス流路23を備える。バイパス流路23の上端は、給液タンク12の上記所定の高さ位置(設定されている液位の上限(Max)の位置)よりも上方に配置される。
図2に白抜き矢印で示すように、バイパス流路23は、給液タンク12に上記所定の高さ位置以上の液体Wが供給された際に、溢れた液体Wの貯液タンク13への流出を許容する。
【0036】
(給液路)
図2及び
図3に示すように、給液路14は、貯液タンク13から沸騰タンク11まで延びる液体Wの流路であって、貯液タンク13の下端からサブタンク15の下端部まで延びる第1領域24と、サブタンク15の下端部から上方へ傾斜して沸騰タンク11の下端部まで延びる第2領域(傾斜路)25とを含む。給液タンク12から沸騰タンク11までの流路(複数のタンク、給液路14、及び後述する回収路27を含む)は、給液タンク12の給液口20が閉止された状態(
図3に示す状態)では、噴霧ノズル17以外が外気と接触しない密閉された構造となっている。
【0037】
(サブタンク)
図2及び
図3に示すように、サブタンク15は、液体Wを貯留可能な内部空間S4を区画するタンクであって、給液タンク12から沸騰タンク11へ向かう液体Wの流通方向(以下、単に「流通方向」という。)において、沸騰タンク11の上流側(手前側)に配置される。沸騰タンク11の下端部の上流側には、貯液タンク13側からの給液路14の第1領域24が接続される。また、沸騰タンク11の下端部の下流側には、沸騰タンク11へ連通する給液路14の第2領域25が接続される。すなわち、サブタンク15は、貯液タンク13と沸騰タンク11との間の給液路14の途中に配置される。
【0038】
サブタンク15と沸騰タンク11とを連通する給液路14の第2領域25は、サブタンク15から沸騰タンク11へ向かって上方へ傾斜する傾斜路となっている。
図3に示すように、給液路14の第2領域25のうち、サブタンク15側の端部の上端の高さ位置h1は、ヒータ18の発熱板18aの上下方向の中央の高さ位置h2よりも上方に配置される。なお、本実施形態では、給液路14の第2領域25の全域が傾斜路となっているが、これに限定されるものではなく、第2領域25の一部の領域が傾斜路となっていてもよい。
【0039】
サブタンク15のうち給液路14の第2領域25よりも上方には、沸騰タンク11の上部へ連通する第1連通路26が設けられる。
図3に矢印で示すように、第1連通路26は、沸騰タンク11で発生した、スチームSの一部を給液路14側へ回収するための回収路27の一部として機能する。また、サブタンク15の上部には、チャンバータンク16へ連通する第2連通路28が設けられる。
図3に矢印で示すように、第2連通路28は、沸騰タンク11で発生した、スチームSの一部を給液路14側へ回収するための回収路27の一部として機能する。
【0040】
第1連通路26を介して沸騰タンク11からサブタンク15へ流入したスチームSは、液滴状など質量の大きなものがサブタンク15内の液体Wの液面に接触して液化することによって、気体状のものと分離される。サブタンク15内で分離されたスチームSは、第2連通路28を介してチャンバータンク16へ流入する。
【0041】
サブタンク15は、沸騰タンク11へ供給される液体Wを、沸騰タンク11の直前の位置で一時的に貯留する。サブタンク15は、給液路14の第1領域24から給液された液体Wを、給液路14の第2領域25内の液体Wと沸騰タンク11内の沸騰した液体Wとの温度差による自然対流によって予熱する機能を有する。また、サブタンク15は、給液路14の第1領域24から給液された液体Wを、第1連通路26(回収路27)から回収したスチームSの一部によって予熱する機能を有する。
【0042】
(チャンバータンク)
図2、
図3、
図7、及び
図8に示すように、チャンバータンク16は、スチームSの流通を許容する内部空間S5を区画するタンクであって、貯液タンク13の下端開口22よりも上方に設けられる。チャンバータンク16の内部空間S5は、沸騰タンク11で発生した、スチームSの一部を給液路14側へ回収するための回収路27の一部として機能する。すなわち、チャンバータンク16は、スチームSの一部を給液路14側へ回収するための回収路27の一部を区画する。チャンバータンク16は、回収したスチームSを冷却する機能を有する。チャンバータンク16は、上述した第2連通路28を介してサブタンク15に接続される。また、チャンバータンク16は、第3連通路29を介して給液路14の第1領域24に接続される。第3連通路29は、チャンバータンク16の下端部から下方へ延びて、給液路14の第1領域24に接続される。第3連通路29は、給液路14の第1領域24のうち、少なくとも貯液タンク13の下端開口22よりも下方の領域を含む高さ位置に接続される。
【0043】
チャンバータンク16で冷却されたスチームSのうち、液滴状など質量の大きなものは、給液路14の第1領域24内の液体Wに回収される。また、チャンバータンク16で冷却されたスチームSのうちの気体は、給液路14内の液位が貯液タンク13の下端開口22よりも下方に下がった際に、貯液タンク13及び給液タンク12内へ流入する。このため、スチームSの噴霧によって沸騰タンク11内の液体Wが減少(消費)されて液位が下がり、給液路14内の液位が貯液タンク13の下端開口22よりも下方へ下がると、貯液タンク13及び給液タンク12内の液体Wが、給液路14を介して沸騰タンク11へ供給される。このとき、貯液タンク13及び給液タンク12内が真空にならないように吸込む空気は、チャンバータンク16から延びる第3連通路29から取り込まれることになる。
【0044】
図3に示すように、貯液タンク13の下端開口22の高さ位置は、気液界面Fとなる。この気液界面Fの位置により、沸騰タンク11の液位が定まることになるので、この貯液タンク13の下端開口22の高さ位置を変更することによって、沸騰タンク11の液位を適宜設定することができる。
【0045】
(チャンバータンクの構成)
図7及び
図8に示すように、本実施形態では、チャンバータンク16は、上面視において、貯液タンク13の全週域を囲むように設けられ、貯液タンク13に一体化される。具体的には、貯液タンク13の周壁30は、二重構造に形成される。この貯液タンク13の二重構造の周壁30は、その内側(周壁内)に回収路27の一部を区画し、チャンバータンク16として機能する。すなわち、二重構造の周壁30とは、その内部に回収路27を区画するとともに、タンクの内部空間の外側を区画するものである。なお、本実施形態では、貯液タンク13の周壁30を二重構造に形成して回収路27を区画したが、これに限定されるものではない。例えば、給液タンク12の周壁を二重構造に形成して回収路27を区画してもよいし、或いは、給液タンク12及び貯液タンク13の双方の周壁を二重構造に形成して回収路27を区画してもよい。すなわち、給液タンク12及び貯液タンク13の少なくとも一方のタンクの周壁を二重構造に形成して回収路27を区画することが好ましい。
図7及び
図8では、サブタンク15側へ連通する第2連通路28の図示を省略している。
【0046】
(水位検出部)
本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、給液路14の第1領域24の途中(サブタンク15の手前)に、水位検出部31を設けている。水位検出部31は、上下方向に延びる内部空間S6を区画し、給液路14からの液体Wの流入を許容する。水位検出部31の下方は、給液路14の第1領域24に接続される。水位検出部31の上方は、貯液タンク13の下端開口22の高さ位置よりも上方まで延びており、上方のチャンバータンク16へ第4連通路32を介して接続される。第4連通路32は、スチームSの一部を給液路14側へ回収するための回収路27の一部を区画する。第4連通路32を介してチャンバータンク16から水位検出部31へ流入したスチームSは、液滴状など質量の大きなものが水位検出部31内の液体Wの液面に接触して液化することによって、気体状のものと分離される。
【0047】
水位検出部31の上下の所定の高さ位置には、液体Wを検出可能な上下の液体センサ33a,33bが設けられる。上方の液体センサ33aが液体Wを検出することによって、液位の上限を検出することができる。また、下方の液体センサ33bが液体Wを検出しないことによって、液位の下限を検出することができる。なお、上方の液体センサ33aを設けなくてもよい。
【0048】
なお、スチーム噴霧装置10の、上述した沸騰タンク11、給液タンク12、貯液タンク13、給液路14、サブタンク15、チャンバータンク16等は、100℃以上の耐熱性を有するPPSなどのプラスチック樹脂、シリコン樹脂で形成されている。
【0049】
図2、
図3、
図7、及び
図8に示すように、本実施形態に係るスチーム噴霧装置10は、蓋体34と、流出口弁35と、流出口弁35に一体的に設けられる軸部(流出口弁制御手段)36と、流出口弁35を付勢するスプリング(流出口弁制御手段)37と、を備える。
【0050】
(蓋体)
蓋体34は、給液タンク12の給液口20を開閉可能な蓋体であって、給液口20を開放した給液口開放状態と、給液口20を閉止した給液口閉止状態とにすることができる。蓋体34を給液口開放状態にすることによって、給液口20が開放され、給液口20から給液タンク12内への給液が可能となる。蓋体34を給液口閉止状態にすることによって、給液タンク12の給液口20は密閉される。なお、蓋体34は、本体101に対して着脱可能であってもよいし、或いは本体101に移動可能(例えば傾動可能又はスライド移動可能など)に支持されていてもよい。
【0051】
(流出口弁)
流出口弁35は、給液タンク12の流出口21に設けられる弁であって、流出口21を開放した流出口開放状態と、流出口21を閉止した流出口閉止状態とにすることができる。流出口弁35を流出口開放状態にすることによって、流出口21が開放され、流出口21からの液体Wの流出が許容される。流出口21から流出した液体Wは、沸騰タンク11側(本実施形態では貯液タンク13)へ流出する。流出口弁35を流出口閉止状態にすることによって、流出口21が閉止され、流出口21からの液体Wの流出が規制される。本実施形態の流出口弁35は、後述する流出口弁制御手段としての軸部36及びスプリング37によって開閉制御される。
【0052】
本実施形態の流出口弁35は、上下方向に移動可能となっており、流出口閉止状態では、給液タンク12の流出口21に対して下方から当接して流出口21を塞ぎ、流出口開放状態では、流出口21を閉止する位置から下方へ移動して流出口21を開放する。このような流出口弁35の開閉制御を行う流出口弁制御手段として、本実施形態では、軸部36と、スプリング37とが設けられる。なお、本実施形態では、上下方向に移動可能な流出口弁35を設けたが、これに限定されるものではなく、流出口弁35は流出口21を開閉可能であればよい。
【0053】
(流出口弁制御手段)
軸部36は、上下方向に延びる棒状に形成され、下端部が流出口弁35に一体的に設けられる。軸部36は、流出口弁35から上方へ延びて、給液タンク12の流出口21を挿通する。本実施形態の軸部36は、上下方向に移動可能に給液タンク12に支持される(図示省略)。軸部36のうち流出口21よりも上方の領域(給液タンク12の内部空間S2に位置する領域)には、後述するスプリング37を支持するスプリング支持部36aが設けられる。
【0054】
スプリング37は、上下に弾性変形可能なコイルスプリングであって、給液タンク12の内部空間S2の底面と、軸部36のスプリング支持部36aとの間に配置される。スプリング37の径方向の内側には、軸部36が挿通している。これにより、スプリング37は、軸部36を介して、流出口閉止状態になるように流出口弁35を付勢(本実施形態では上方へ付勢)する。なお、流出口弁35を付勢する付勢手段は、コイルスプリング(スプリング37)に限定されるものではなく、板バネ等の他の付勢手段であってもよい。
【0055】
図2に示すように、流出口閉止状態では、軸部36の上端は、給液口閉止状態(
図3に示す状態)の蓋体34の下面の高さ位置よりも上方に配置される。そして、
図3に示すように、蓋体34を給液口閉止状態にして、軸部36の上端が蓋体34によって下方へ押されると、軸部36及び流出口弁35が、スプリング37の付勢力に抗して下方へ移動し、流出口弁35を流出口開放状態にする。一方、
図2に示すように、蓋体34を給液口開放状態にすると、軸部36及び流出口弁35が、スプリング37の付勢力によって上方へ移動し、流出口弁35を流出口閉止状態にする。このように、軸部36及びスプリング37は、蓋体34が給液タンク12の給液口20を開放している間(給液口開放状態の間)は、流出口弁35を流出口閉止状態にし、蓋体34が給液口20を密閉した状態(給液口閉止状態)で、流出口弁35を流出口開放状態にする。本実施形態のように、流出口弁制御手段として、機械的な構成(軸部36及びスプリング37)を適用することによって、簡易な構成にすることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、流出口弁制御手段として、機械的な構成(軸部36及びスプリング37)を適用したが、これに限定されるものではない。例えば、蓋体34の開閉を検出する開閉センサを設け、当該開閉センサからの信号に基づいて流出口弁35を電気的に制御する流出口弁制御手段であってもよい。
【0057】
また、
図2及び
図3に示すように、本実施形態のスチーム噴霧装置10は、排出口38と、排出口38に設けられる排出口弁39と、排出口弁39に一体的に設けられる軸部(排出口弁制御手段)40と、排出口弁39を付勢するスプリング(排出口弁制御手段)41と、を備える。また、本実施形態のスチーム噴霧装置10は、排出口38からの排液の終了を検出する排液センサ(排液検出手段)42と、排液の終了を報知する報知手段43(
図1参照)と、を備える。
【0058】
(排出口)
排出口38は、スチーム噴霧装置10の使用後にスチーム噴霧装置10内(沸騰タンク11、給液タンク12、貯液タンク13、給液路14、サブタンク15、チャンバータンク16、水位検出部31等)の液体Wを排出するための開口である。排出口38は、貯液タンク13から沸騰タンク11までの間の液体の流路(給液路14)のうち、スチーム噴霧装置10内(以下、単に「装置内」という。)の液体Wを排出可能な比較的低い位置に配置される。装置内の液体Wを全て排出するという観点から、排出口38を設ける位置は、給液路14の最も低い位置であることが好ましい。本実施形態の排出口38は、下方の排液タンク103(
図1参照)へ連通している。排出口38から排出された液体Wは、排液タンク103へ回収される。回収後に排液タンク103を本体101から取り外すことによって、液体Wを外部へ廃棄することができる。なお、
図2及び
図3には、排出口38を給液路14の第1領域24に設けた状態を図示しているが、排出口38の位置はこれに限定されるものではなく、開放することによってスチーム噴霧装置10内の液体Wを排出可能な位置であればよい。
【0059】
(排出口弁)
排出口弁39は、排出口38に設けられる弁であって、排出口38を開放した排出口開放状態と、排出口38を閉止した排出口閉止状態とにすることができる。排出口弁39を排出口開放状態にすることによって、排出口38が開放され、排出口38からの液体Wの流出(排出)が許容される。排出口38から排出された液体Wは、上述したように排液タンク103へ回収される。排出口弁39を排出口閉止状態にすることによって、排出口38が閉止され、排出口38からの液体Wの排出が規制される。本実施形態の排出口弁39は、後述する排出口弁制御手段としての軸部40及びスプリング41によって開閉制御される。
【0060】
本実施形態の排出口弁39は、上下方向に移動可能となっており、排出口閉止状態では、排出口38に対して上方から当接して排出口38を塞ぎ、排出口開放状態では、排出口38を閉止する位置から上方へ移動して排出口38を開放する。このような排出口弁39の開閉制御を行う排出口弁制御手段として、本実施形態では、軸部40と、スプリング41とが設けられる。なお、本実施形態では、上下方向に移動可能な排出口弁39を設けたが、これに限定されるものではなく、排出口弁39は排出口38を開閉可能であればよい。
【0061】
(排出口弁制御手段)
軸部40は、上下方向に延びる棒状に形成され、下端部が排出口弁39に一体的に設けられる。軸部40は、排出口弁39から上方へ延びる。本実施形態の軸部40は、上下方向に移動可能に本体101に支持される(図示省略)。軸部40の所定の領域には、後述するスプリング41を支持するスプリング支持部40aが設けられる。
【0062】
スプリング41は、上下に弾性変形可能なコイルスプリングであって、本体101の内部の所定の箇所の上面と、当該上面よりも上方に位置する軸部40のスプリング支持部40aとの間に配置される。スプリング41の径方向の内側には、軸部40が挿通している。これにより、スプリング41は、軸部40を介して、排出口開放状態になるように排出口弁39を付勢(本実施形態では上方へ付勢)する。なお、排出口弁39を付勢する付勢手段は、コイルスプリング(スプリング41)に限定されるものではなく、板バネ等の他の付勢手段であってもよい。
【0063】
図2に示すように、排出口開放状態では、軸部40の上端は、給液口閉止状態(
図3に示す状態)の蓋体34の下面の高さ位置よりも上方に配置される。そして、
図3に示すように、蓋体34を給液口閉止状態にして、軸部40の上端が蓋体34によって下方へ押されると、軸部40及び排出口弁39が、スプリング41の付勢力に抗して下方へ移動し、排出口弁39を排出口閉止状態にする。一方、
図2に示すように、蓋体34を給液口開放状態にすると、軸部40及び排出口弁39が、スプリング41の付勢力によって上方へ移動し、排出口弁39を排出口開放状態にする。このように、軸部40及びスプリング41は、蓋体34が給液タンク12の給液口20を開放している間(給液口開放状態の間)は、排出口弁39を排出口開放状態にし、蓋体34が給液口20を密閉した状態(給液口閉止状態)で、排出口弁39を排出口閉止状態にする。本実施形態のように、排出口弁制御手段として、機械的な構成(軸部40及びスプリング41)を適用することによって、簡易な構成にすることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、排出口弁制御手段として、機械的な構成(軸部40及びスプリング41)を適用したが、これに限定されるものではない。例えば、蓋体34の開閉を検出する開閉センサを設け、当該開閉センサからの信号に基づいて排出口弁39を電気的に制御する排出口弁制御手段であってもよい。
【0065】
(排液検出手段)
排液センサ42は、給液路14に配置され、排出口38からの排液の終了を検出する排液検出手段として機能する。例えば、排液センサ42は、給液路14の排出口38の近傍に配置され、排出口38の近傍に液体がないことを検出することによって、排液の終了を検出してもよい。排液センサ42としては、給液路14内に発信されて液体W中を伝わる電波を受信することによって、排出口38の近傍の液体Wの有無を検出できるセンサ等が挙げられる。なお、排液検出手段は、排出口38からの排液の終了を検出可能であれば、上記排液センサ42に限定されるものではない。例えば、排液検出手段は、液体W中に浮かぶフロートを排出口38内に設けておき、当該フロートの浮き沈みによって排出口38内の液位を検出し、排液の終了を検出するものであってもよい。
【0066】
(報知手段)
報知手段43は、排液検出手段(本実施形態では排液センサ42)が排出口38からの排液の終了を検出した場合に、使用者に対して排液が終了したことを報知する。本実施形態では、報知手段43として、排出口38からの排液の終了を検出した際に点灯するランプ(
図1参照)を本体101の上面に設けるとともに、排液の終了を検出した際に報知音(ブザーやチャイム音など)を発生する音発生部(図示省略)を設けている。なお、本実施形態では、報知手段43として、ランプ及び音発生部の双方を設けたが、これに限定されるものではなく、ランプ及び音発生部のいずれか一方であってもよいし、或いはこれら以外(例えば振動等)の方法を含む報知手段43であってもよい。
【0067】
(使用・運転方法)
次に、スチーム噴霧装置10の使用・運転方法の一例について説明する。
【0068】
スチーム噴霧装置10を使用する際には、
図2に示すように、先ず、蓋体34を開けて給液タンク12の給液口20を開放した給液口開放状態にする。蓋体34を給液口開放状態にすると、流出口弁35が流出口閉止状態になり給液タンク12の流出口21が閉止されるとともに、排出口弁39が排出口開放状態になり排出口38が開放される。このとき、排出口38が開放されるので、前回使用していたときの液体Wが装置内に残っている場合には、残存した液体Wが排液タンク103へ回収される。
【0069】
次に、給液タンク12の給液口20から液体Wを給液する。このとき、給液タンク12の流出口弁35が閉止されているので、給液された液体Wは、流出口弁35から貯液タンク13へ流出することなく、給液タンク12に貯留される。なお、給液タンク12に上記所定の高さ位置(Max)以上の液体Wが供給された場合には、溢れた液体Wは、バイパス流路23から貯液タンク13へ流入する。
【0070】
次に、
図3に示すように、蓋体34を閉めて給液タンク12の給液口20を閉止した給液口閉止状態にする。蓋体34を給液口閉止状態にすると、流出口弁35が流出口開放状態になり給液タンク12の流出口21が開放されるとともに、排出口弁39が排出口閉止状態になり排出口38が閉止される。流出口開放状態になると、給液タンク12内の液体Wが流出口21から貯液タンク13、給液路14の第1領域24、サブタンク15、給液路14の第2領域25の順に通過し、沸騰タンク11に給液される。そして、
図3に示すように、沸騰タンク11に所定の液位(貯液タンク13の下端開口22の高さ位置)まで液体Wが貯留されると、給液タンク12側(本実施形態では貯液タンク13)からの給液が止まる。
【0071】
その後、加熱開始ボタンなどをオンにすることで、ヒータ18で液体Wが加熱される。ヒータ18の加熱によって液体Wがその沸点まで加熱されると、液体Wが沸騰してスチームSが生成される。スチームSが生成され続けることで、沸騰タンク11の内部圧力は、徐々に上昇し、生成されたスチームSが噴霧ノズル17から噴霧される。
【0072】
このとき、生成されたスチームSの一部は、第1連通路26からサブタンク15に回収される。サブタンク15に回収されたスチームSは、液体Wの液面に接触することで、液体Wを加熱し、逆にスチームSは熱を奪われ、温度が低下していく。
【0073】
また、スチームSが生成される続けることで、沸騰タンク11内の液体Wが消費され、消費された分の液体Wは、給液タンク12側(本実施形態では貯液タンク13)から順次給液されてくるが、サブタンク15を通過することで、液体Wはある程度昇温されて、沸騰タンク11に給液されるため、沸騰タンク11内の液体Wの温度が、急激に低下することがない。
【0074】
サブタンク15を通過したスチームSは、第2連通路28を介して、チャンバータンク16に回収される。スチームSがチャンバータンク16に回収され、冷却されると、スチームSの水成分は液化又は結露化して液体Wに戻り、第3連通路29から給液路14の第1領域24へ回収(供給)される。
【0075】
スチーム噴霧装置10の運転を終了する場合には、電源をオフにするなどしてスチーム噴霧装置10を停止させる。スチーム噴霧装置10を停止させた後、蓋体34を給液口開放状態にすると、排出口開放状態になるので、装置内に残存する液体Wを排液タンク103へ回収することができる。なお、仮に、スチーム噴霧装置10の使用後に装置内の液体Wの回収を忘れたとしても、次にスチーム噴霧装置10を使用する際の給液時に、蓋体34を給液口開放状態にすることによって、装置内に残存する液体Wを排液タンク103へ回収することができる。
【0076】
上記のように構成されたスチーム噴霧装置10では、給液タンク12の流出口21に設けられる流出口弁35と、流出口弁35を制御する流出口弁制御手段(本実施形態では軸部36及びスプリング37)と、を備える。そして、流出口弁制御手段は、蓋体34が給液口開放状態の間は流出口弁35を流出口閉止状態にし、蓋体34が給液口閉止状態で流出口弁35を流出口開放状態にする。このように、給液タンク12の給液口20が開放されているときには、給液タンク12の流出口21が閉止されているので、噴霧ノズル17側と給液タンク12側の双方が開放される場合とは異なり、スチーム噴霧装置10内への液体の入り過ぎを防止することができる。
【0077】
このように、本実施形態によれば、給液タンク12をスチーム噴霧装置10に一体化しても、装置内への液体の入り過ぎを防止することが可能なスチーム噴霧装置10を提供することができる。
【0078】
また、給液タンク12の流出口21から流出した液体Wを貯留する貯液タンク13を備えるので、蓋体34を給液口閉止状態にして流出口弁35を流出口開放状態にすることによって、液体Wを貯液タンク13に貯留することができる。このため、貯液タンク13を設けない場合とは異なり、多くの液体Wを装置内に貯留することができる。
【0079】
また、給液路14には排出口38が設けられ、排出口38には排出口弁39が設けられ、排出口弁39を制御する排出口弁制御手段(本実施形態では軸部40及びスプリング41)が設けられる。そして、排出口弁制御手段は、蓋体34が給液口開放状態の間は排出口弁39を排出口開放状態にし、蓋体34が給液口閉止状態で排出口弁39を排出口閉止状態にする。このため、蓋体34を開けることによって、給液路14内の水を排出することができるので、スチーム噴霧装置10の使用後に装置内の液体Wの回収を忘れたとしても、次にスチーム噴霧装置10を使用する際に、蓋体34を開けて給液タンク12に給液しつつ、装置内に残存する液体Wを排出(排液タンク103へ回収)することができる。
【0080】
また、貯液タンク13を給液タンク12の下方に配置した2層構造になっており、蓋体34を給液口開放状態にした際に閉止される流出口弁35は、貯液タンク13と給液タンク12とを連通する給液タンク12の流出口21に設けられる。このため、蓋体34を給液口開放状態にして、排出口弁39を排出口開放状態にした際に、給液タンク12の流出口21は閉止されても、貯液タンク13の下端開口22は開放されているので、貯液タンク13内に残存する液体Wを全て排出することができる。仮に、貯液タンク13を設けることなく、給液タンク12を下方へ拡大した1層構造であった場合、給液タンク12の流出口21は、上記実施形態の貯液タンク13の下端開口22の位置に配置される。この場合、蓋体34を給液口開放状態にすると流出口弁35が流出口閉止状態になるので、蓋体34を開けても給液タンク12内の液体Wを全て排出することができない可能性がある。本実施形態では、貯液タンク13を給液タンク12の下方に配置した2層構造にしており、給液タンク12の流出口21に排出口弁39を設けているので、蓋体34を開けることによって、貯液タンク13内に残存する液体Wを全て排出することができる。
【0081】
また、蓋体34を閉めた際に、給液タンク12内の全ての液体Wが貯液タンク13側へ流出するように、給液タンク12の容量を設定することによって、給液口閉止状態では給液タンク12内に液体Wは残存しない。このため、蓋体34を開けた際に、装置内の全ての液体Wを排出口38から排出することができる。
【0082】
このように、蓋体34を開けた際に、装置内の液体Wを排出口38から排出することによって、スチーム噴霧装置10を使用する際には、給液する際に装置内に残存する液体Wが排出され、新規に給液された液体Wを使用することができる。これにより、装置内に残存する液体Wを使用する場合(残存する液体Wに新規の液体Wを継ぎ足して使用する場合も含む。)とは異なり、液体Wに含まれる成分(主にミネラル成分)の濃縮やヒータ18の表面への付着を防止することができる。また、スチーム噴霧装置10を使用する際には、常に新規に給液された液体Wを使用することができるので、衛生的にスチーム噴霧装置10を使用することができる。
【0083】
(装置の小型化)
また、美容機器(美顔器)等のスチーム噴霧装置では、装置全体の小型化の要望がある。しかし、装置内には、複数のタンク等が配置されるので、装置の小型化が難しい。上記のように構成されたスチーム噴霧装置10では、給液タンク12及び貯液タンク13の少なくとも一方のタンクの周壁30を、二重構造に形成し、この二重構造の周壁30内にスチームSの回収路27を区画し、少なくとも一方のタンクの周壁30をチャンバータンク16として機能させる。このように、一体化された給液タンク12及び貯液タンク13の少なくとも一方のタンクの周壁30をチャンバータンク16として機能させるので、給液タンク12及び貯液タンク13とは別体でチャンバータンク16を設ける場合とは異なり、本体101の内部をコンパクトにすることができ、スチーム噴霧装置10の小型化に寄与することができる。また、貯液タンク13を設けない場合には、給液タンク12の周壁30を二重構造に形成し、給液タンク12の二重構造の周壁30内にスチームSの回収路27を区画することによって、スチーム噴霧装置10の小型化に寄与することができる。なお、スチーム噴霧装置10の小型化を目的とする場合には、給液タンク12の周壁、又は給液タンク12及び貯液タンク13の少なくとも一方のタンクの周壁30を二重構造に形成し、当該周壁30を、回収路27を区画するチャンバータンク16として機能する構成を、少なくとも備えていればよい。
【0084】
(排液検知)
また、従来、スチーム噴霧装置では、内部の液体Wを排液する場合、排液の動作(排水ボタンを押す等)を行った後、時間の経過(例えば、30秒から1分等)によって、排液の終了を推測していた。上記のように構成されたスチーム噴霧装置10では、排出口38からの排液の終了を検出する排液検出手段(本実施形態では排液センサ42)と、排液の終了を検出した場合に排液が終了したことを報知する報知手段43とを設けることによって、使用者は排液の終了を容易に認識することができる。なお、排液の終了を容易に認識することを目的とする場合には、排液検出手段と報知手段43とを、少なくとも備えていればよい。
【0085】
(オーバーフロー防止)
また、一般的に、スチーム噴霧装置では、液体Wの量が少ないと空焚き等の問題が発生する可能性がある。このため、給液タンクに給液する際に、給液タンクに給液し過ぎてしまい、液体Wが給液タンクから溢れてしまうことがある。給液タンクがスチーム噴霧装置に一体化されている場合には、液体Wが給液タンクから溢れてしまうと、スチーム噴霧装置の周りが水浸しになってしまう可能性がある。上記のように構成されたスチーム噴霧装置10では、給液タンク12の所定の高さ位置から下方の貯液タンク13へ連通するバイパス流路23を備え、バイパス流路23は、給液タンク12に上記所定の高さ位置以上の液体Wが供給された際に、溢れた液体Wの貯液タンク13への流出を許容する。このため、給液タンク12に注ぎすぎて溢れる液体Wは、バイパス流路23から貯液タンク13へ流れ込むので、給液タンク12がスチーム噴霧装置10に一体化されている場合であっても、スチーム噴霧装置10の周りが水浸しになってしまうことを防止することができる。なお、オーバーフロー防止を目的とする場合には、給液タンク12の所定の高さ位置から下方の貯液タンク13へ連通するバイパス流路23を、少なくとも備えていればよい。
【0086】
(空焚き防止)
また、一般的に、スチーム噴霧装置では、何らかの問題が発生し、沸騰タンクへの給液が滞った状態で沸騰タンク内の液体Wが減り続けると、ヒータが沸騰タンク内で液面よりも上に大きく露出し、空焚きが発生してしまう可能性がある。上記のように構成されたスチーム噴霧装置10では、仮に、沸騰タンク11への給液が滞った状態で沸騰タンク11内の液体Wが減り続けたとしても、サブタンク15内には液体Wが貯留されているので、沸騰タンク11内の液体Wの低下は、給液路14の第2領域25のサブタンク15側の端部の上端の高さ位置h1までとなる。そして、給液路14の第2領域25のサブタンク15側の上端の高さ位置h1は、ヒータ18の発熱板18aの上下方向の中央の高さ位置h2よりも上方に配置されるので、沸騰タンク11内での液面よりも上方への発熱板18aの露出を抑えることができる。これにより、空焚きの発生を抑制することができる。なお、空焚き防止を目的とする場合には、沸騰タンク11とサブタンク15とを連通する傾斜路(上記実施形態では給液路14の第2領域25)を設け、当該傾斜路のうちサブタンク15側の端部の上端の高さ位置を、ヒータ18の発熱板18aの上下方向の中央の高さ位置よりも上方に配置する構成を、少なくとも備えていればよい。
【0087】
(温度検出の精度)
また、従来のスチーム噴霧装置では、ヒータから引き出したアルミ板等の導熱板とサーミスタとを接触させた状態で、当該部分を装置の本体に対して直接的にネジ止めする場合がある。このような場合、導熱板からの熱がネジや装置の本体に奪われるので、サーミスタによる温度検出の精度が低下する可能性がある。上記のように構成されたスチーム噴霧装置10では、サーミスタ19は、ヒータ18の1対の導熱板18c,18cの延出領域18cX間に配置されて、1対の導熱板18c,18cに接触する。このように、サーミスタ19が1対の導熱板18c,18cに挟持されるので、上述したネジ止め等による伝熱ロスを抑えることができ、温度検出の精度を向上させることができる。なお、温度検出の精度向上を目的とする場合には、ヒータ18に、発熱板18aと1対の導熱板18c,18cとを設け、サーミスタ19を1対の導熱板18c,18cのうち発熱板18aよりも上方へ演出する延出領域18cX間に配置して1対の導熱板18c,18cに接触させる構成を、少なくとも備えていればよい。
【0088】
また、ヒータ18の1対の導熱板18c,18cの延出領域18cXは、発熱板18aよりも上方まで延出する領域であり、サーミスタ19はヒータ18の上端部に取り付けられる。このため、サーミスタ19及び1対の導熱板18c,18cの延出領域18cXが、沸騰タンク11内の液体Wに浸り難い高さ位置に配置されるので、サーミスタ19は、ヒータ18の上部に伝わった熱を効率よく検出することができる。
【0089】
また、サーミスタ19は、複数のヒータ18のそれぞれに設けられる。このため、各ヒータ18から引き出した1対の導熱板18c,18cを1箇所にまとめて、当該まとめた位置に1つのサーミスタ19を設ける場合とは異なり、フェールセーフ構造となっているので、仮に一方のサーミスタ19が故障したとしても、他方のサーミスタ19によってヒータ18の温度を検出することができる。
【0090】
(変形例)
なお、本実施形態では、サーミスタ19を、複数のヒータ18のそれぞれに設けた、これに限定されるものではなく、複数のヒータ18に対して1つのサーミスタ19を設けてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、複数のヒータ18を沸騰タンク11に設けたが、これに限定されるものではなく、1つのヒータ18を沸騰タンク11に設けてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、サーミスタ19を、1対の導熱板18c,18cによって挟持したが、1対の導熱板18c,18cに対するサーミスタ19の取り付け方法はこれに限定されるものではない。
【0093】
また、本実施形態では、給液路14の途中にサブタンク15を設けたが、サブタンク15を設けなくてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、給液タンク12と貯液タンク13とを連通するバイパス流路23を設けたが、バイパス流路23を設けなくてもよい。
【0095】
また、本実施形態では、排出口38からの排液の終了を検出する排液検出手段(本実施形態では排液センサ42)と、排液の終了を検出した場合に排液が終了したことを報知する報知手段43とを設けたが、排液検出手段及び報知手段43とを設けなくてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、給液タンク12及び貯液タンク13の少なくとも一方のタンクの周壁30を二重構造に形成し、当該周壁30を、回収路27として機能させたが、これに限定されるものではない。例えば、回収路27として機能するチャンバータンクを給液タンク12及び貯液タンク13とは別体的に設けてもよい。
【0097】
また、本実施形態では、給液タンク12の下方に貯液タンク13を設けて2層構造のタンクとしたが、これに限定されるものではない。例えば、貯液タンク13を設けることなく、給液タンク12を下方へ拡大した1層構造にしてもよく、給液タンク12の流出口21を、上記実施形態の貯液タンク13の下端開口22の位置に配置してもよい。
【0098】
また、本実施形態では、排出口38の排出口弁39を、給液口開放状態のときに排出口開放状態にし、給液口閉止状態のときに排出口閉止状態にする排出口弁制御手段を設けたが、排出口弁39の制御はこれに限定されるものではない。
【0099】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0100】
10:スチーム噴霧装置
11:沸騰タンク
12:給液タンク
13:貯液タンク
14:給液路(流路)
15:サブタンク
17:噴霧ノズル
18:ヒータ
18a:発熱板
18c:1対の導熱板
18cX:延出領域
19:サーミスタ
20:給液口
21:流出口
23:バイパス流路
25:第2領域(傾斜路)
27:回収路
30:周壁
34:蓋体
35:流出口弁
36:軸部(流出口弁制御手段)
37:スプリング(流出口弁制御手段)
38:排出口
39:排出口弁
40:軸部(排出口弁制御手段)
41:スプリング(排出口弁制御手段)
42:排液センサ(排液検出手段)
43:報知手段
【要約】
【課題】給液タンクをスチーム噴霧装置に一体化しても容易に給液作業を行うことが可能なスチーム噴霧装置を提供する。
【解決手段】本開示のスチーム噴霧装置10は、噴霧ノズル17から噴霧するスチームを発生させる沸騰タンク11と、沸騰タンク11へ供給するための液体Wを給液可能な給液口20と、液体Wを沸騰タンク11側へ向かうように流出可能な流出口21とを有する給液タンク12と、給液タンク12の給液口20を開閉可能な蓋体34と、給液タンク12の流出口21に設けられ、流出口21からの液体Wの流出を規制する流出口閉止状態と、流出口21からの液体Wの流出を許容する流出口開放状態とにすることが可能な流出口弁35と、蓋体34が給液タンク12の給液口20を開放している間は、流出口弁35を流出口閉止状態にし、蓋体34が給液口20を密閉した状態で、流出口弁35を流出口開放状態にする軸部36及びスプリング37と、を備える。
【選択図】
図2