(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】WebマーケティングシステムおよびWebマーケティング方法、ならびにブラウザスクリプト
(51)【国際特許分類】
H04M 3/51 20060101AFI20250306BHJP
G06Q 30/0201 20230101ALI20250306BHJP
H04L 67/02 20220101ALI20250306BHJP
【FI】
H04M3/51
G06Q30/0201
H04L67/02
(21)【出願番号】P 2024141828
(22)【出願日】2024-08-23
【審査請求日】2024-09-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515052811
【氏名又は名称】株式会社ソルブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】110004196
【氏名又は名称】弁理士法人ナビジョン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻庭 佑哉
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-045945(JP,A)
【文献】特開2022-059220(JP,A)
【文献】特開2021-083074(JP,A)
【文献】特開2004-015763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z99/00
H04L51/00-51/58
67/00-67/75
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CDP(顧客データプラットフォーム)と、CTI(コンピュータ電話統合)とを連携させたWebマーケティングシステムであって、
CDPが、
ランディングページに初めて訪れたユーザのIDを発行する機能、
ユーザ端末から
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を取得してユーザのIDと紐づけて保存する機能、
ユーザ端末からの要求に応じて前記保存しているユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴をユーザ端末に渡す機能、
CTIのオペレータ端末にユーザのIDに紐づくユーザのプロファイル情報を提供する機能、および
CTIからトランザクションデータを受けてそれをユーザのIDと紐づけて保存する機能、を有するものであり、
CTIが、
ユーザ端末のWebブラウザを通じてユーザとオペレータとのリアルタイムのWeb通話を提供する機能、
ユーザ端末からユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を受けてそれらを保存する機能、および
Web通話に係るトランザクションデータを保存する機能、を有するものであり、
ユーザ端末が、ユーザ端末の画面に表示されるランディングページ中の所定のボタンの押下イベントにより、CTIにWeb通話の開始を要求するとともに、CDPにユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を要求してCDPからそれらを取得してCTIに渡すよう動作する
ことを特徴とするWebマーケティングシステム。
【請求項2】
CDP(顧客データプラットフォーム)と、CTI(コンピュータ電話統合)とを連携させたWebマーケティング方法であって、
CDPが、ランディングページに初めて訪れたユーザのIDを発行するステップと、
CDPが、ユーザ端末から
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を取得してユーザのIDと紐づけて保存するステップと、
ユーザ端末が、ユーザ端末の画面に表示されるランディングページ中の所定のボタンの押下イベントにより、CTIにWeb通話の開始を要求するとともに、CDPにユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を要求するステップと、
CDPが、ユーザ端末からの要求に応じて前記保存しているユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴をユーザ端末に渡すステップと、
ユーザ端末が、CDPからユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を取得してCTIに渡すステップと、
CTIが、ユーザ端末のWebブラウザを通じてユーザとオペレータとのリアルタイムのWeb通話を提供するステップと、
CTIが、ユーザ端末からユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を受けてそれらを保存するステップと、
CDPが、CTIのオペレータ端末にユーザのIDに紐づくユーザのプロファイル情報を提供するステップと、
CTIが、Web通話に係るトランザクションデータを保存するステップと、
CDPが、CTIからトランザクションデータを受けてそれをユーザのIDと紐づけて保存するステップと、を備えた
ことを特徴とするWebマーケティング方法。
【請求項3】
CDP(顧客データプラットフォーム)と、CTI(コンピュータ電話統合)とを連携させたWebマーケティングシステムで使用されるユーザ端末で実行されるブラウザスクリプトあって、
CDPが、
ランディングページに初めて訪れたユーザのIDを発行する機能、
ユーザ端末から
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を取得してユーザのIDと紐づけて保存する機能、
ユーザ端末からの要求に応じて前記保存しているユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴をユーザ端末に渡す機能、
CTIのオペレータ端末にユーザのIDに紐づくユーザのプロファイル情報を提供する機能、および
CTIからトランザクションデータを受けてそれをユーザのIDと紐づけて保存する機能、を有するものであり、
CTIが、
ユーザ端末のWebブラウザを通じてユーザとオペレータとのリアルタイムのWeb通話を提供する機能、
ユーザ端末からユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を受けてそれらを保存する機能、および
Web通話に係るトランザクションデータを保存する機能、を有するものであり、
ユーザ端末の画面に表示されるランディングページ中の所定のボタンの押下イベントにより、CTIにWeb通話の開始を要求するとともに、CDPにユーザのIDおよびそれに紐づく
Webサイトにおけるユーザ行動履歴を要求してCDPからそれらを取得してCTIに渡すようにユーザ端末を機能させる
ことを特徴とするブラウザスクリプト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Webマーケティングに関するシステムおよび方法、ならびにWebマーケティングシステムで使用されるユーザ端末で実行されるブラウザスクリプトに関する。
【背景技術】
【0002】
Webマーケティングは、インターネット上での顧客獲得、顧客育成、および販売促進を目的とした包括的なマーケティング手法である。この手法には、Webサイトの最適化、オンライン広告の運用、ソーシャルメディアの活用、メールマーケティング、コンテンツマーケティング、SEO(検索エンジン最適化)、リード(Lead:見込み客)管理などが含まれる。また、Webマーケティングの重要な目標の一つとして、CV(コンバージョン)の最大化が挙げられる。CVとは、見込み客が特定の行動を完了することを指し、これには商品購入、問い合わせフォームの送信、ニュースレターの登録などが含まれる。
【0003】
Webマーケティングには、リードジェネレーション、リードナーチャリング、およびリードクオリフィケーションの大きく3つのフェーズがある。リードジェネレーションは、リードを特定し、連絡先情報を収集するプロセスであり、ランディングページの作成やオンライン広告の配信、SEOを通じた検索トラフィックの獲得などが含まれる。リードナーチャリングは、収集されたリードに対して継続的に情報提供を行い、購買意欲を高めるプロセスで、メールマーケティングやパーソナライズされたコンテンツの提供、特別オファーの配信などが行われる。リードクオリフィケーションは、Web解析ツールや行動追跡機能を使用して、各リードのスコアリングを行い、セールスチームに引き渡すべきリードを選別するプロセスである。これらのプロセスは、最終的にコンバージョン率を高めるために機能する。
【0004】
さらに、Webマーケティングでは、データ分析とレポート機能を活用して、マーケティング活動の成果をリアルタイムで分析し、効果的な戦略の策定に役立てることができる。これにより、キャンペーンのパフォーマンスを測定し、投資対効果(ROI)を評価することが可能である。また、Webマーケティングは、CRM(顧客関係管理)システムやCDP(顧客データプラットフォーム)、CTI(コンピュータ電話統合)などの他のビジネスシステムと統合されることが多く、マーケティング活動の自動化と顧客対応の一貫性を実現する。
【0005】
Webマーケティングはまた、パーソナライゼーションを通じて、顧客の行動履歴やプロファイル情報に基づいたコンテンツやオファーを提供し、顧客エンゲージメントを向上させる。さらに、オンライン広告とキャンペーン管理を統合することで、各種広告配信プラットフォームと連携し、広告キャンペーンの一元管理を可能にする。これにより、ターゲットオーディエンスの設定、予算管理、広告パフォーマンスの追跡などが効率的に行えるようになる。
【0006】
このように、Webマーケティングは、顧客の獲得から育成、販売といったコンバージョンを管理して一連のマーケティングプロセスを支援する包括的な手法であり、企業のマーケティング活動の効果と効率を大幅に向上させることができる。これにより、顧客満足度の向上、リードからの売上転換率の増加、そして全体的なマーケティングROIの最適化が期待される。
【0007】
このようなWebマーケティングに関して、Webサイトにおける顧客の行動履歴やそれに基づくWeb解析データと、電話での顧客の行動履歴やそれに基づくコールトラッキングデータとを統合し、その一連の流れを通して一貫した真のCVの計測を可能にする技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のコールトラッキングでは、ユーザ追跡用の電話番号を一定数プールしておいてWebサイトに訪れたユーザにそのとき空いている電話番号を割り当てている。このため、プールしている本数以上のユーザがWebサイトに訪れた場合には追跡用の電話番号を割り当てることができなくなる。さらに、一定期間が経過すると同じ電話番号が別のユーザに再割り当てされるため、電話番号でユーザを区別することができない。このため、CV計測の精度を上げるのが困難である。
【0010】
また、従来のコールトラッキングでは、ユーザがあらかじめ企業のWebサイトを通じて相談事項などを伝えていたとしても、Webサイトにアクセスしたユーザとコールセンターに問い合わせをするユーザの同一性が確認できないため、ユーザはオペレータに再度同じ説明をしなければならないことがある。このようにWebマーケティングにおいて電話システムがWebシステムから分離していることで企業は顧客体験を損ねている。
【0011】
そこで、本発明は、Webマーケティングシステムに通話機能を組み込んでCV計測の精度を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面に従ったWebマーケティングシステムは、CDP(顧客データプラットフォーム)と、CTI(コンピュータ電話統合)とを連携させたWebマーケティングシステムである。CDPは、ランディングページに初めて訪れたユーザのIDを発行する機能、ユーザ端末からユーザ行動履歴を取得してユーザのIDと紐づけて保存する機能、ユーザ端末からの要求に応じて前記保存しているユーザのIDおよびそれに紐づくユーザ行動履歴をユーザ端末に渡す機能、CTIのオペレータ端末にユーザのIDに紐づくユーザのプロファイル情報を提供する機能、およびCTIからトランザクションデータを受けてそれをユーザのIDと紐づけて保存する機能、を有する。CTIは、ユーザ端末のWebブラウザを通じてユーザとオペレータとのリアルタイムのWeb通話を提供する機能、ユーザ端末からユーザのIDおよびそれに紐づくユーザ行動履歴を受けてそれらを保存する機能、およびWeb通話に係るトランザクションデータを保存する機能、を有する。そして、Webマーケティングシステムにおいて、ユーザ端末が、ユーザ端末の画面に表示されるランディングページ中の所定のボタンの押下イベントにより、CTIにWeb通話の開始を要求するとともに、CDPにユーザのIDおよびそれに紐づくユーザ行動履歴を要求してCDPからそれらを取得してCTIに渡すよう動作する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、Webマーケティングシステムに通話機能が組み込まれ、それによりCV計測の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るWebマーケティングシステムの概要図である。
【
図2】スマートフォンの画面に表示されたLP中のWebコールボタンおよびそれをタップしたときの画面遷移の例を示す図である。
【
図3】LP流入から受注に至るまでのデータ取得・管理の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0016】
≪システム構成≫
図1は、本発明の一実施形態に係るWebマーケティングシステムの概要図である。本実施形態に係るWebマーケティングシステム100は、CDP10とCTI20を連携させたシステムである。
【0017】
CDP10は、顧客に関するデータを一元的に収集・統合し、管理するためのプラットフォームである。CDP10は、複数のチャネルから得られる顧客データを統合し、顧客の全体像を把握するために利用される。これにより、企業は顧客に対してよりパーソナライズされたサービスやマーケティングを提供することが可能となる。
【0018】
CDP10は、主にWebサイトにおけるユーザの行動データ、購買履歴、CRMデータ、メールキャンペーンの反応データ、ソーシャルメディアのインタラクションなど、さまざまなソースからデータを収集する。これらのデータは、リアルタイムで統合され、一つの統一された顧客プロファイルとして管理される。CDP10の特徴は、これらのデータを単一のデータベースで管理し、マーケティングやセールスチームが容易にアクセスできるようにする点にある。
【0019】
さらに、CDP10は、顧客データの収集だけでなく、データのクレンジング、標準化、セグメンテーションなどの機能も提供する。これにより、企業は高精度なターゲティングが可能となり、顧客のライフサイクル全体を通じて効果的なコミュニケーションを実現できる。また、CDP10は、既存のマーケティングオートメーションシステムや広告プラットフォームと連携し、統合されたキャンペーン管理を支援する。
【0020】
CDP10は、顧客の行動パターンや購買履歴に基づいて、予測分析やパーソナライズドキャンペーンの実行を可能にする。また、顧客のセグメンテーションを自動化し、最適なタイミングで最適なメッセージを顧客に届けることができる。このように、CDP10は企業のマーケティング戦略を強化し、顧客との関係を深めるための重要なツールである。
【0021】
CDP10の導入により、企業は顧客データのサイロ化を防ぎ、一貫した顧客体験を提供することが可能となる。これにより、顧客の満足度やロイヤルティの向上、さらに収益の増加が期待される。このように、CDP10は、顧客中心のビジネスモデルを推進するWebマーケティングシステム100において中核をなすプラットフォームである。
【0022】
CTI20は、電話システムとコンピュータシステムを統合し、企業のコールセンターやカスタマサポートにおける顧客対応を効率化する技術である。CTI20を導入することで、オペレータは顧客からの着信時に自動的に顧客情報を取得し、迅速かつ的確な対応が可能となる。CTI20の主要な機能には、自動コールルーティング(ACD)、インタラクティブ・ボイス・レスポンス(IVR)、スクリーンポップ、通話記録と再生、さらには異なるコミュニケーションチャネルの統合などが含まれる。
【0023】
CTI20にWebRTC(Web Real-Time Communication:Webリアルタイム通信)が導入されることで、さらに高度なコミュニケーションが実現されている。WebRTCは、Webブラウザやモバイルアプリケーション間でリアルタイムの音声通話、ビデオ通話、およびデータ共有を可能にするオープンソース技術である。これにより、ユーザは電話回線を使わず、また特別なプラグインやソフトウェアをインストールすることなく、Webブラウザ上で直接通話やビデオ会議を行うことができる。
【0024】
WebRTCを組み込んだLPとCTI20が直接接続されることで、企業は電話システムをWebブラウザ上で運用できるようになる。顧客はWebサイトからWebブラウザを通じて直接オペレータに電話をかけることができ、通話からデータ共有、ビデオ通話まですべてを一つのインターフェースで行うことが可能となる。これにより、設備コストの削減や運用の効率化が期待でき、顧客にとっても利便性の高いコミュニケーション環境が提供される。
【0025】
≪機能・動作≫
次に、Webマーケティングシステム100の各種機能および動作の詳細についてリードジェネレーションのフェーズでの利用例を説明する。なお、便宜のため、
図1のWebマーケティングシステム100の概要図に、リードジェネレーションの各場面で発生するイベントを発生番号とともに示している。
【0026】
ユーザがユーザ端末30のWebブラウザ32を通じて任意の企業のランディングページ(LP)にアクセスすると、図略のWebサーバからユーザ端末30にHTMLおよびCSSを含むページデータが送られ、Webブラウザ32がページデータを処理してユーザ端末30の画面34にLPが表示される(ステップ1)。
【0027】
LPへの流入経路は、検索エンジンの検索ページ、メールマガジン、他のWebサイトやSNSの広告などさまざまである。なお、ここで言うユーザとは、まだ企業の顧客とはなっておらずユーザ登録もされていない匿名ユーザ、すなわち見込み客(リード)である。ユーザ端末30は、PC、スマートフォン、タブレット端末など、Webブラウザ32を通じてインターネット上の任意のWebサイトにアクセスできる電子機器であれば何でもよい。
【0028】
ユーザがLPに初めて訪れると、図略のWebサーバがクッキー(Cookie)を生成してユーザ端末30のWebブラウザ32に渡し、Webブラウザ32はそれを保存する。また、図略のWebサーバは、生成したクッキーをCDP10に渡すとともにCDP10に対してユーザのID(グローバルID)の発行を依頼する(ステップ2)。CDP10は、図略のWebサーバからの依頼を受けてグローバルIDを発行するとともに、ユーザのプロファイル情報を新規に生成する。具体的には、CDP10は、図略のWebサーバから渡されたクッキーを当該グローバルIDと紐づけて顧客データベース12に格納する(ステップ2)。
【0029】
図略のWebサーバは、Webサイト内でのユーザの回遊履歴、各ページの滞在時間、およびLPへの流入元を表すリファラ情報などを含むユーザ行動履歴をWebブラウザ32を通じてユーザ端末30から取得し、当該ユーザ行動履歴をクッキーとともにCDP10に渡す。CDP10は、クッキーとユーザ行動履歴を受けてグローバルIDと紐づけて顧客データベース12に保存する(ステップ2)。以後、ユーザが再び同じLPにアクセスするとクッキーがWebブラウザ32から図略のWebサーバに送られ、図略のWebサーバは送られたクッキーを読み取ってユーザの状態を確認する。また、CDP10は、Webブラウザ32を通じてユーザ端末30から送られるユーザ行動履歴を顧客データベース12に追加保存する(ステップ2)。
【0030】
LPに問い合わせフォームが含まれる場合、ユーザがユーザ端末30の画面34に表示された問い合わせフォームにメールアドレス、住所、電話番号、問い合わせ内容などの情報を入力して送信ボタンをタップ(画面のタッチ操作ができるスマートフォンやタブレット端末の場合)あるいはクリック(画面のタッチ操作に対応していないPCなどの場合)すると、入力情報がCDP10に送られる。CDP10は、Webブラウザ32を通じてユーザ端末30から送られた情報をグローバルIDと紐付けて顧客データベース12に保存する。後述するように、CTI20のオペレータは、ユーザとのWeb通話中にこの情報を適宜参照することができる。
【0031】
LPで紹介されている商品あるいはサービスに関してユーザが口頭で問い合わせしたいと思う場合、ユーザがユーザ端末30の画面34に表示されているLP中のWebコールボタン36をタップあるいはクリックすることで(ステップ3)、コールセンターに繋がってWebブラウザ32を通じてオペレータと直接会話することができる。
【0032】
図2は、スマートフォンの画面に表示されたLP中のWebコールボタンおよびそれをタップしたときの画面遷移の例を示す図である。左図に示したように、LPにWebコール36が埋め込まれており、ユーザがそれをタップすることでコールセンターに架電して、右図に示したようにコールセンター呼び出しの画面に遷移する。
【0033】
図1へ戻り、LP中のWebコールボタン36がタップあるいはクリックされたというボタン押下イベントがあると、ユーザ端末30が、Webブラウザ32を通じてCDP10に対してグローバルIDとそれに紐づく顧客データベース12に保存されているユーザ行動履歴を要求する。CDP10は、Webブラウザ32を通じてユーザ端末30から送られるクッキーに基づいてグローバルIDを特定し、顧客データベース12から当該グローバルIDに紐づくユーザ行動履歴を読み出し、グローバルIDとともに読み出したユーザ行動履歴をWebブラウザ32を通じてユーザ端末30に提供する(ステップ4)。
【0034】
ユーザ端末30のWebブラウザ32は、CDP10から取得したグローバルIDとユーザ行動履歴をユーザの属性データとしてWebRTC API42に提供する(ステップ5)。API42は、CTI20のCTIサーバ22にアクセスしてコンタクトを開始し、ユーザの属性データをCTIサーバ22に渡す(ステップ6)。コンタクトとは、ユーザとオペレータとの間のインタラクションのことである。コンタクトが開始されることで、ユーザとオペレータとの間の新しいインタラクションが確立される。そして、ユーザがコンタクトに参加することでリアルタイムのWeb通話が開始される(ステップ7)。
【0035】
より詳細には、上記ステップ4、5でのユーザ端末30の動作を規定するJavaScript(登録商標)40が、図略のWebサーバからユーザ端末30に送られるLPのHTMLに含まれている。ユーザ端末30のWebブラウザ32は、Webコールボタン36の押下イベントが発生することでJavaScript40を実行する。これにより、上述したように、ユーザ端末30は、CTI20にWeb通話の開始を要求するとともに、CDP10にグローバルIDおよびそれに紐づくユーザ行動履歴を要求してCDP10からそれらを取得してCTI20に渡すよう動作する。
【0036】
CTIサーバ22は、Webコールの発生日時、発生ページなどの情報とともに、ユーザ端末30から受けたユーザの属性データをトランザクションデータベース24に保存する(ステップ8)。そして、CTI20は、CDP10にアクセスして、グローバルIDをキーにして、トランザクションデータベース24に保存したユーザの属性データと、CDP10の顧客データベース12に保存されているユーザのプロファイル情報とを連携させる(ステップ9)。
【0037】
一方、ユーザ端末30からの要求により開始したコンタクトがCTIサーバ22により提供されるWeb通話サービスのキューに入り、オペレータがそれを着信し(ステップ10)、ユーザとオペレータとの間でWeb通話機能を使った音声による会話が開始される(ステップ11)。
【0038】
オペレータは、ユーザとのWeb通話中に、オペレータ端末26からCDP10にアクセスして、CTI20のトランザクションデータベース24に保存されているユーザの属性データと、CDP10の顧客データベース12に保存されているユーザのプロファイル情報とを連携させた顧客データを取得して適宜参照することができる。すなわち、オペレータは、コールセンターに連絡する以前に、ユーザが、いつどのWebサイトからLPに流入してきたのか、Webサイト内でいつどのようなページをどれくらい閲覧しているかといった行動履歴を見ながら適切に顧客対応することができる(ステップ12)。
【0039】
ユーザとの音声通話が終わると、CTIサーバ22は、通話データ、通話時間、通話内容、対応オペレータなどのWeb通話に係るトランザクションデータをトランザクションデータベース24に保存する(ステップ13)。そして、CTI20は、CDP10にアクセスして、グローバルIDをキーにして、トランザクションデータベース24に保存した通話データなどのトランザクションデータと、CDP10の顧客データベース12に保存されているユーザのプロファイル情報とを連携させる(ステップ14)。例えば、CDP10が、CTI20からトランザクションデータを受けて、それをユーザのIDを紐づけて顧客データベース12に保存する。
【0040】
さらに、必要に応じて、オペレータは、問い合わせ内容などのWeb通話における対応メモやユーザから口頭で聞き出した性別や年齢などの属性情報をオペレータ端末26からCDP10に入力する(ステップ15)。CDP10は、オペレータ端末26を通じてオペレータから入力された情報をグローバルIDと紐づけて顧客データベース12に保存する。
【0041】
図3は、LP流入から受注に至るまでのデータ取得・管理の流れを説明する図である。ユーザがLPに流入すると訪問日時、LP、流入元の広告媒体などの情報がCDP10に保存される。その後、ユーザからコールセンターに問い合わせがあると、Web通話の発生日時、発生ページ、発生ボタンなどの情報がCTI20に保存される。オペレータとのWeb通話が終了すると、録音データ、通話時間、通話内容、対応オペレータなどの情報がCTI20に保存される。それらの情報はCDP10に渡され、ユーザのグローバルIDに紐づけてCDP10に保存される。さらに、ユーザから注文を受けると、ユーザの名前、電話番号、受注金額などの情報がCDP10に保存される。
【0042】
このように、Webマーケティングシステム100ではユーザがLPに初めて訪問してから顧客となるまでに得られる情報をCDP10に集約することができる。これにより、電話(Web通話)コンバージョン顧客がWeb通話の直前にWebサイトでどのような行動をしていたか把握して正確な効果計測が可能となる。また、電話コンバージョン顧客のWeb通話直前のWeb行動の把握および架電内容を直後のマーケティング活動に反映させて、顧客体験を高め、顧客獲得精度を向上させることができる。
【0043】
以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
100 リードマーケティングシステム
10 CDP
20 CTI
26 オペレータ端末
30 ユーザ端末
32 Webブラウザ
34 画面
36 Webコールボタン(所定のボタン)
【要約】
【課題】WebマーケティングシステムにおけるCV計測の精度を向上させる。
【解決手段】CDP10と、CTI20とを連携させたWebマーケティングシステム100において、ユーザ端末30が、ユーザ端末30の画面34に表示されるランディングページ中の所定のボタン36の押下イベントにより、CTI20にWeb通話の開始を要求するとともに、CDP10に、CDP10が発行したユーザのIDおよびそれに紐づくCDP10に保存されているユーザ行動履歴を要求してCDP10からそれらを取得してCTI20に渡すよう動作する。
【選択図】
図1