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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】回転装置のための改善された機構
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/08 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
B66C13/08 L
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022506801
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 AU2020050788
(87)【国際公開番号】W WO2021022321
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】2019902777
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519081709
【氏名又は名称】バートン アイピー プロプリエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTON IP PTY LTD
【住所又は居所原語表記】Level 1, 5 Gardner Close, Milton QLD 4064 Australia
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】トムソン,スタンレイ
(72)【発明者】
【氏名】コック,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,ヘフィン
(72)【発明者】
【氏名】ヒクソン,ジェラード
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210607(JP,A)
【文献】特開2013-035651(JP,A)
【文献】特開平09-132382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0344271(US,A1)
【文献】実開昭60-114280(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置から吊り下げられた荷物の回転の向きを制御する方向制御装置であって、
前記荷物に結合するための筐体またはフレームワークと、
前記筐体またはフレームワークに取り付けられた、あるいは前記荷物に結合された少なくとも1つのトルク発生デバイスと、
前記筐体またはフレームワークの中心からの1つ以上のスラスタの位置を変化させるために、1つ以上の取り付け要素を経由して前記筐体またはフレームワークに直接的または間接的に可動式に取り付けられた前記1つ以上のスラスタと、
前記筐体またはフレームワークに直接的または間接的に結合され、前記荷物を吊り下げている1本以上の線に結合している電動フリクションレススイベルと、
前記少なくとも1つのトルク発生デバイス、前記1つ以上のスラスタ、および前記それぞれの取り付け要素、並びに前記電動フリクションレススイベルと通信し、前記少なくとも1つのトルク発生デバイス、前記1つ以上のスラスタ、および前記電動フリクションレススイベルのうちの少なくとも2つから前記荷物に付与される回転力の比率を制御することで、前記荷物の回転の向きを制御する制御装置と、
を備え、
前記少なくとも1つのトルク発生デバイスは、前記荷物に回転力の主な供給源を提供するように構成され、
前記1つ以上のスラスタおよび/または前記電動フリクションレススイベルは、前記荷物に補助的な回転力を提供するために、独立してまたは組み合わせて動作するように構成されている装置。
【請求項2】
荷物の回転の向きを制御する方法であって、
前記荷物に筐体またはフレームワークを結合する工程と、
前記筐体またはフレームワークに少なくとも1つのトルク発生デバイスを取り付ける、あるいは前記荷物に少なくとも1つのトルク発生デバイスを結合する工程と、
前記筐体またはフレームワークの中心からの1つ以上のスラスタの位置を変化させるために、1つ以上の取り付け要素を経由して前記筐体またはフレームワークに前記1つ以上のスラスタを直接的または間接的に可動式に取り付ける工程と、
電動フリクションレススイベルを前記筐体またはフレームワークに直接的または間接的に結合するとともに、前記荷物を吊り下げている1本以上の線に結合する工程と、
前記少なくとも1つのトルク発生デバイス、前記1つ以上のスラスタ、および前記それぞれの取り付け要素、並びに前記電動フリクションレススイベルと通信する制御装置を経由して前記少なくとも1つのトルク発生デバイス、前記1つ以上のスラスタ、および前記電動フリクションレススイベルのうちの少なくとも2つから前記荷物に付与される回転力の比率を制御することにより前記荷物の前記回転の向きを制御する工程と、
を包含し、
前記少なくとも1つのトルク発生デバイスは、前記荷物に回転力の主な供給源を提供し、
前記1つ以上のスラスタおよび/または前記電動フリクションレススイベルは、前記荷物に補助的な回転力を提供するために、独立してまたは組み合わせて動作する方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのトルク発生デバイスは、ジャイロスコープ、ジャイロモジュール(ユニットまたはデバイス)、制御モーメントジャイロスコープ(CMG)、フライホイール、回転質量(例えば、閉鎖された空隙の周りを移動する流体の質量であるが、これに限定されない)、前記荷物にトルクを付与し得る他の回転デバイス、風の存在下で抵抗を生じさせる1つ以上の抵抗要素または機構から選択される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の抵抗要素または機構の位置および/または向きは、前記抵抗、およびその結果として前記1つ以上の抵抗要素または機構によって生成されるトルクを変化させるために調整可能である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の抵抗要素または機構は、前記荷物に結合された場合において、前記筐体またはフレームワークの中心からオフセットされている請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の抵抗要素または機構は、前記制御装置および電源と通信するよう結合される請求項3~5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の抵抗要素または機構は、1つ以上のスラットまたはプレートを備える請求項3~6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記1つ以上のスラットまたはプレートは、駆動手段によって駆動される回転可能なロッドまたはバーに取り付けられ、前記1つ以上の抵抗要素または機構の向きは、前記抵抗、および、その結果として前記1つ以上の抵抗要素または機構によって生成される前記トルクを変化させるために調整可能である請求項7に記載の装置。
【請求項9】
風に対する前記1つ以上のスラットまたはプレートの抵抗係数を変化させるために、前記1つ以上のスラットまたはプレートの風に対する入射角は、前記ロッドまたはバーの軸を中心に調整され得、これにより前記抵抗により前記荷物の中心の周りのトルクを変化させる請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記荷物の中心からの前記1つ以上の抵抗要素または機構の位置は、調整可能または可変である請求項7~9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記電動フリクションレススイベルは、頂部または固定子と駆動手段とを備え、前記頂部または固定子の内部で底部またはローターが前記頂部または固定子に対しスラストベアリング上で回転し、前記駆動手段が前記頂部に対して前記底部を回転させる請求項1及び3~10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記電動フリクションレススイベルの前記頂部または固定子および前記底部またはローターの回転速度を測定するために前記制御装置と通信する1つ以上のセンサーをさらに備える請求項11に記載の装置。
【請求項13】
クレーンブームの回転速度を測定するために前記制御装置と通信する1つ以上のセンサーをさらに備える請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記電動フリクションレススイベルは、前記荷物の回転を開始するにあたって前記荷物を軽減する目的、前記荷物の回転を維持するにあたって前記荷物を軽減する目的、ブレーキングの目的、設定された方向に前記荷物を保持する目的のうち1つ以上の目的に用いられる請求項1及び3~13の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装置のための改善された機構(arrangement)に関する。特に、本発明の実施形態は、大型の荷物の方向制御装置のための改善された機構およびこれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送および建設などの産業業界では、しかしこれに限定されるものではないが、荷物を最終位置に設置するまでに何度も荷物の吊り下げ、移動、再配置が行われる。吊り下げられた荷物を、例えばクレーンを介して、移動することは、周囲の作業者や構造物を危険にさらす可能性がある。特定の移動様態はクレーンによって制御可能であるが、荷物の回転は、予測不能なことが多く、また風などの環境要因および/または荷物自体の性質によって突然影響を受け得ることが多い。1つ以上のジャイロスコープを使用して荷物の回転を制御することが知られている。実際に、本出願人は、制御モーメントジャイロスコープ(CMG)モジュールを含む荷物の追跡および制御のための改善された荷物管理システムおよび方法を考案してきた。これらのシステムや方法において、吊り下げられた荷物の向きは、制御モーメントジャイロモジュール内で角運動量を転送することによって制御される。出願人の改善された荷物管理システムおよび方法は、国際特許出願PCT/AU2016/050941の主題であり、その全体が本明細書に援用として参照される。
【0003】
さらに、回転制御を実現するため、他の物理原理を利用した技術も知られており、例えば、ファンの利用および閉鎖されたチャンバーの周りの液体の移動などが挙げられる。しかしこれらの技術のどれも、非常に重くて長いおよび/または大きい荷物が直面する問題に対処していない。例えば、出願人の従来装置の特徴の一つは、個々のジャイロモジュールの寸法と数の両方の測定能力であり、これはシステムにかなり適応性をもたせる一方で、空間、重量および/または経済的制約により、実行可能な解決策を達成するためにはさらなる機能を必要とする場合がある。
【0004】
従来のシステムの限界は、非常に重く、非常に長いまたは大きい荷物の場合に生じる。そのような荷物の一例として、風力発電用タービンブレードがある。風力タービンブレードはその質量と比べて非常に長いので、質量と比べて非常に大きな回転慣性を引き起こし、非常に大きく偏った風負荷がかかる可能性がある。これとは対照的に、非常に高濃度の質量を有する大きな垂直の柱またはパイプのような海洋構造物の構成要素が存在し、したがって、クレーンフックとクレーンホイストロープとの間の旋回における摩擦は、荷物を方向付けるために必要な総トルクの重要な要因になる。
【0005】
本明細書における何れの従来技術への参照も、その従来技術が一般常識の一部を形成することを承認したり、何らかの形の示唆をしたりするものではないし、そのように解釈されるべきものでもない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の望ましい目的は、回転装置のための改良された機構、および/または改良された方法、および特に、改良された方向制御装置を提供することである。これは、従来技術の上記問題のうちの1つ以上を解決するか、または少なくとも改良し、および/または有用な商用代替物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、本発明は、回転装置のための改善された機構、特に装置から吊り下げられた大きい荷物の回転の向きを制御する回転制御装置と、これに関連する方法に関する。
【0008】
1つの形態において、必ずしも最も広いわけではなく、唯一の形態でもないが、本発明は、装置から吊り下げられた荷物の回転の向きを制御する方向制御装置であって、
荷物に結合するための筐体またはフレームワークと、
筐体またはフレームワークに取り付けられた少なくとも1つのジャイロスコープまたはジャイロモジュールと、
筐体またはフレームワークの中心からのその位置を変化させるために1つ以上の取り付け要素を経由して筐体またはフレームワークに直接的または間接的に可動式に取り付けられた1つ以上のスラスタと、
少なくとも1つのジャイロスコープまたはジャイロモジュール、1つ以上のスラスタ、および1つ以上の取り付け要素と通信し、少なくとも1つのジャイロスコープまたはジャイロモジュールおよび1つ以上のスラスタから荷物に付与される回転力の比率を制御することで、荷物の回転の向きを制御する制御装置と
を備える装置である。
【0009】
好適には、装置は、筐体またはフレームワークに直接的または間接的に結合され、荷物を吊り下げている1本以上の線に結合している電動フリクションレススイベルを備え、制御装置は、電動フリクションレススイベルと通信し、電動フリクションレススイベルから荷物に付与される回転力の比率を制御する。
【0010】
他の実施形態において、必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、装置から吊り下げられた荷物の回転の向きを制御するための方向制御装置であって、
荷物に結合するための筐体またはフレームワークと、
筐体またはフレームワークに取り付けられた少なくとも1つのトルク発生デバイスと、
筐体またはフレームワークに直接的または間接的に結合され、荷物を吊り下げている1本以上の線に結合している電動フリクションレススイベルと、
少なくとも1つのトルク発生デバイスおよび電動フリクションレススイベルと通信し、少なくとも1つのトルク発生デバイスおよび電動フリクションレススイベルから荷物に付与される回転力の比率を制御することで、荷物の回転の向きを制御する制御装置と
を備える装置である。
【0011】
好適には、装置は、筐体またはフレームワークの中心からのその位置を変化させるために1つ以上の取り付け要素を経由して筐体またはフレームワークに直接的または間接的に可動式に取り付けられた1つ以上のスラスタを備え、制御装置は、1つ以上のスラスタと通信し、1つ以上のスラスタから荷物に付与される回転力の比率を制御する。
【0012】
他の実施形態において、必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、装置から吊り下げられた荷物の回転の向きを制御する方向制御装置であって、
荷物に結合するための筐体またはフレームワークと、
筐体またはフレームワークに直接的または間接的に結合され、荷物を吊り下げている1本以上の線に結合している電動フリクションレススイベルと、
筐体またはフレームワークの中心からのその位置を変化させるために1つ以上の取り付け要素を経由して筐体またはフレームワークに直接的または間接的に可動式に取り付けられた1つ以上のスラスタと、
電動フリクションレススイベルおよび1つ以上のスラスタと通信し、電動フリクションレススイベルおよび1つ以上のスラスタから荷物に付与される回転力の比率を制御することで、荷物の回転の向きを制御する制御装置と
を備える。
【0013】
好適には、装置は、筐体またはフレームワークに取り付けられた少なくとも1つのトルク発生デバイスを備え、制御装置は、少なくとも1つのトルク発生デバイスと通信し、少なくとも1つのトルク発生デバイスから荷物に付与される回転力の比率を制御する。
【0014】
別の形態では、必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、荷物の回転の向きを制御する方法であって、
荷物に筐体またはフレームワークを結合する工程と、
筐体またはフレームワークに少なくとも1つのトルク発生デバイスを取り付ける工程と、
筐体またはフレームワークの中心からの1つ以上のスラスタの位置を変化させるために、1つ以上の取り付け要素を経由して筐体またはフレームワークに1つ以上のスラスタを直接的または間接的に可動式に取り付ける工程と、
少なくとも1つのトルク発生デバイス、1つ以上のスラスタ、および1つ以上の取り付け要素と通信する制御装置を経由して少なくとも1つのトルク発生デバイスおよび1つ以上のスラスタから荷物に付与される回転力の比率を制御することにより荷物の回転の向きを制御する工程と
を包含する。
【0015】
好適には、その方法は、電動フリクションレススイベルを筐体またはフレームワークに直接的または間接的に結合するとともに、荷物を吊り下げている1本以上の線に結合する工程を包含し、制御装置は、電動フリクションレススイベルと通信して、電動フリクションレススイベルから荷物に付与される回転力の比率を制御する。
【0016】
他の実施形態において、本発明は、荷物の回転の向きを制御する方法であって、
荷物に筐体またはフレームワークを結合する工程と、
筐体またはフレームワークに少なくとも1つのトルク発生デバイスを取り付ける工程と、
電動フリクションレススイベルを筐体またはフレームワークに直接的または間接的に結合するとともに、荷物を吊り下げている1本以上の線に結合する工程と、
少なくとも1つのトルク発生デバイス、および電動フリクションレススイベルと通信する制御装置を経由して少なくとも1つのトルク発生デバイスおよび電動フリクションレススイベルから荷物に付与される回転力の比率を制御することにより荷物の回転の向きを制御する工程と
を包含する。
【0017】
好適には、その方法は、筐体またはフレームワークの中心からの1つ以上のスラスタの位置を変化させるために、1つ以上の取り付け要素を経由して筐体またはフレームワークに直接的または間接的に1つ以上のスラスタを可動式に取り付ける工程を包含し、制御装置は、1つ以上のスラスタと通信して、1つ以上のスラスタから荷物に付与される回転力の比率を制御する。
【0018】
他の実施形態において、本発明は、荷物の回転の向きを制御する方法であって、
荷物に筐体またはフレームワークを結合する工程と、
電動フリクションレススイベルを筐体またはフレームワークに直接的または間接的に結合するとともに、荷物を吊り下げている1本以上の線に結合する工程と、
筐体またはフレームワークの中心からの1つ以上のスラスタの位置を変化させるために、1つ以上の取り付け要素を経由して1つ以上のスラスタを直接的または間接的に筐体またはフレームワークに可動式に取り付ける工程と、
電動フリクションレススイベルおよび1つ以上のスラスタと通信する制御装置によって電動フリクションレススイベルおよび1つ以上のスラスタから荷物に付与される回転力の比率を制御することにより荷物の回転の向きを制御する工程と
を包含する。
【0019】
好適には、その方法は、筐体またはフレームワークを少なくとも1つのトルク発生デバイスに取り付ける工程と、少なくとも1つのトルク発生デバイスと通信する制御装置を経由して少なくとも1つのトルク発生デバイスから荷物に付与される回転力の比率を制御する工程とを包含する。
【0020】
好適には、少なくとも1つのトルク発生デバイスは、ジャイロスコープ、ジャイロモジュール(ユニットまたはデバイス)、制御モーメントジャイロスコープ(CMG)、フライホイール、回転質量(例えば、閉鎖された空隙の周りを移動する流体の質量であるがこれに限定されない)、荷物にトルクを付与し得る他の回転デバイスから選択される。
【0021】
いくつかの実施形態において、方向制御装置は、風の存在下で抵抗を生じさせる1つ以上の抵抗要素または機構の形態でトルク発生デバイスを備える。好適には、1つ以上の抵抗要素または機構の位置および/または向きは、抵抗、およびその結果として1つ以上の抵抗要素または機構によって生成されるトルクを変化させるために調整可能である。
【0022】
好適には、1つ以上の抵抗要素または機構は、荷物に結合され、筐体またはフレームワークの中心からオフセットされている。
【0023】
好適には、1つ以上の抵抗要素または機構は、制御装置および電源と通信するよう結合される。
【0024】
いくつかの実施形態において、1つ以上の抵抗要素または機構は、1つ以上のスラットまたはプレートを備える。
【0025】
好適には、1つ以上のスラットまたはプレートは、駆動手段によって駆動される回転可能なロッドまたはバーなどに取り付けられ、1つ以上の抵抗要素または機構の向きは、抵抗、およびその結果として1つ以上の抵抗要素または機構によって生成されるトルクを変化させるために調整可能である。
【0026】
好適には、風に対する1つ以上のスラットまたはプレートの抵抗係数を変化させるために、1つ以上のスラットまたはプレートの風に対する入射角は、ロッドまたはバーの軸を中心に調整され得、結果として抵抗により荷物の中心の周りのトルクを変化させる。
【0027】
いくつかの実施形態において、荷物の中心からの1つ以上の抵抗要素または機構の位置は、調整可能または可変である。
【0028】
好適には、電動フリクションレススイベルは、頂部または固定子と駆動手段を備え、頂部または固定子の内部で底部またはローターが頂部または固定子に対しスラストベアリング上で回転し、駆動手段が頂部に対して底部を回転させる。
【0029】
いくつかの実施形態において、装置は、電動フリクションレススイベルの頂部または固定子および底部またはローターの回転速度を測定するために制御装置と通信する1つ以上のセンサーをさらに備える。
【0030】
いくつかの実施形態において、装置は、クレーンブームの回転速度を測定するために制御装置と通信する1つ以上のセンサーをさらに備える。
【0031】
好適には、電動フリクションレススイベルは、荷物の回転を開始するにあたって荷物を軽減する目的、荷物の回転を維持するにあたって荷物を軽減する目的、ブレーキングの目的、設定された方向に荷物を保持する目的のうち1つ以上の目的に用いられる。
【0032】
本発明のさらなる局面および/または実施形態および/または特徴は、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下、本発明が容易に理解および実施され得るために、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態を参照する。図面において、同一の要素は、同様の参照符号によって示される。図面は、あくまで例として提供される。
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る吊り下げられた荷物の回転の向きを制御するための方向制御装置の正面図である。
図2図2は、図1に示す装置の平面図である。
図3図3は、図1に示す装置の一部を備える電動フリクションレススイベルの正面図である。
図4図4は、図3に示す電動フリクションレススイベルの断面図である。
図5図5は、図3に示す電動フリクションレススイベルの正面斜視図である。
図6図6は、図1に示す装置の要素の模式図である。
図7図7は、1つの動作モードに係る動作を示す図1に示す装置の平面図である。
図8図8は、他の動作モードに係る動作を示す図1に示す装置の平面図である。
図9図9は、本発明のいくつかの実施形態に係る荷物の回転の向きを制御する方法を説明する一般的なフロー図である。
図10図10は、本発明の他の実施形態に係る吊り下げられた荷物の回転の向きを制御する方向制御装置の正面図である。
図11図11は、図10に示す方向制御装置の平面図である。
図12図12は、図10に示す方向制御装置の空力抵抗機構の動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面における要素は、簡潔および明瞭となるように例示され、必ずしも正確な縮尺にはなっていないことが当業者に理解される。例えば、図面における要素のいくつかの相対的な寸法は、本発明の実施形態を理解しやすくするために変形されていることがある。装置の要素のいくつかは、分かりやすくするために一部の図面から省略されていることがある。
【0035】
本発明の実施形態は、回転装置のための改善された機構と、特に装置から吊り下げられた大きな荷物の回転の向きを制御するための方向制御装置、および関連する方法に関する。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、方向制御装置は、荷物の回転位置の全体的かつ精密な制御を提供するために補助的なトルク源を備える。いくつかの実施形態によれば、補助的なトルク源は、ファン、複数のファン、または他のタイプのスラスタであり、一定の推力、したがって、トルクの特性を有し、重心から距離が増加すると効果が増大する。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、方向制御装置は、クレーンフックとクレーンフックのスイベルの上部との間に機械的駆動部を備え、フックとフックブロックとの間に相対的な回転を強制し、要求に応じて、クレーンフックのスイベル特有の摩擦を効果的に除去する。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、方向制御装置は、非常に大きな荷物の制御を可能にするトルクを提供する装置またはシステムの異なる構成要素から荷物に付与される回転力の比率を制御する制御装置または制御システムを備える。システムの構成要素は、厳密に制御された方法で必要に応じて回転力に寄与する。制御装置または制御システムは構成要素のあらゆる側面を最適化し、様々な負荷や環境条件の下で最も効果的な方向出力と制御を提供する。回転力を提供する各構成要素、例えば1つ以上のトルク発生デバイス、1つ以上のジャイロスコープまたはジャイロモジュール/ユニット/デバイス、動力付きスイベル、および1つ以上のファン/スラスタ、の異なる特性は、柔軟性および拡張性のために完全なシステムを構成する上で高い自由度を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、方向制御装置は、以下の目的のために制御システムのサブモジュールを構成する。a)例えば、洋上環境において、クレーンを搭載している船舶が動いているためにクレーンの先端が動いている際に、荷物の揺れを減らすため、1つ以上のファンを使用する、b)1つ以上のファンをオンおよびオフに循環することによって減衰効果を提供する、c)回転に加えて、または代わりに、横方向/縦方向移動のために推力を直接適用する。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、方法制御装置は、直面し得る場面として、例えば非常に大きな荷物を長期にわたって制御可能とするために電源を備える。いくつかの実施形態によれば、ディーゼル発電機および/または、高性能バッテリーなど1つ以上のエネルギー源が使われ得る。他のオプションとして、外部の電力源の使用があり、リフト前に例えばジャイロスコープ/ジャイロモジュールといったトルク発生デバイスに回転を付け、リフト中にオンボード電源に戻すためにこれを使用する。さらなるオプションとして、ジャイロスコープ・ローターに折りに触れ蓄積されたエネルギーを使用することが挙げられ、他のデバイスで使用するためにシステムにフィードバックする。
【0041】
本発明の実施形態は、はるかに広範な荷物のタイプおよび環境条件において、吊りさげられた荷物に関わる人手による作業を最小限に抑える実現可能な方法を提供する。
【0042】
図1および図2を参照する。本発明のいくつかの実施形態によれば、方向制御装置100から吊り下げられた荷物102の回転の向きを制御するための方向制御装置100は、荷物102に結合するためのブレードヨークなどの筐体またはフレーム104と、筐体またはフレームワーク104に取り付けられた少なくとも1つのトルク発生デバイス106を備える。この少なくとも1つのトルク発生デバイス106は、以下のものから選択される。ジャイロスコープ、ジャイロモジュール(ユニットまたはデバイス)、制御モーメントジャイロスコープ(CMG)、フライホイール、回転質量(例えば、閉鎖された空隙の周りを移動する流体の質量であるが、これに限定されない)、荷物にトルクを付与し得る他の回転デバイス。方向制御装置100は、筐体またはフレームワーク104の中心からスラスタ108の位置を変化させるために、1つ以上の取り付け要素110を経由して筐体またはフレームワーク104に直接的または間接的に可動式に取り付けられる1つ以上のスラスタ、または推力デバイス108を備える。この実施形態では、装置は、一対のスラスタ108を備え、他の実施形態は1つのスラスタ108または2つ以上のスラスタ108を備え得る。この実施形態では、スラスタ108は、それぞれの伸縮アーム112を経由して筐体またはフレーム104に取り付けられる。方向制御装置100は制御装置114を備え、これは少なくとも1つのトルク発生デバイス106、一対のスラスタ108および1つ以上の取り付け要素110と通信して、少なくとも1つのトルク発生デバイス106および一対のスラスタ108から荷物102に付与される回転力の比率を制御することで、荷物102の回転の向きを制御する。したがって、いくつかの実施形態では、制御装置114は、少なくとも2つのソース、つまり少なくとも1つのトルク発生デバイス106(例えば、ジャイロスコープ、ジャイロモジュール/ユニット/デバイス、フライホイール等)、および1つ以上のスラスタ108から荷物に付与される回転力の比率を制御する。
【0043】
図1および図2に示すいくつかの実施形態によれば、方向制御装置100は、筐体またはフレームワーク104に直接的または間接的に結合され、荷物104を吊り下げている1本以上の線118に結合している電動フリクションレススイベル116を備える。この実施形態では、電動フリクションレススイベル116は、複数のホイストライン120を経由して筐体またはフレームワーク104に間接的に結合され、例えばクレーン(図示なし)から荷物102を吊り下げている線118に結合される。この実施形態では、制御装置114は、電動フリクションレススイベル116と通信し、電動フリクションレススイベル116から荷物に付与される回転力の比率をさらに制御する。したがって、図1および図2に示すいくつかの実施形態によれば、制御装置114は、少なくとも3つのソース、つまり少なくとも1つのトルク発生デバイス106,1つ以上のスラスタ108、および電動フリクションレススイベル116から荷物に付与される回転力の比率を制御する。
【0044】
方向制御装置100は、少なくとも1つのトルク発生デバイス106,1つ以上のスラスタ108、取り付け要素110および電動フリクションレススイベル116に結合する電源または電力源132を備える。
【0045】
他の実施形態によれば、方向制御装置100から吊り下げられた荷物102の回転の向きを制御するための方向制御装置100は、荷物102に結合するための筐体またはフレームワーク104、筐体またはフレームワークに取り付けられた少なくとも1つのトルク発生デバイス106、筐体またはフレームワーク104に直接的または間接的に結合され、荷物を吊り下げている1本以上の線118に結合されている電動フリクションレススイベル116と、制御装置114とを備える。そのような実施形態では、制御装置114は、少なくとも1つのトルク発生デバイス106および電動フリクションレススイベル116と通信し、少なくとも1つのトルク発生デバイス106および電動フリクションレススイベル116から荷物102に付与される回転力の比率を制御することで、荷物102の回転の向きを制御する。
【0046】
さらなる実施形態によると、方向制御装置100から吊り下げられた荷物102の回転の向きを制御する方向制御装置100は、荷物102に結合するための筐体またはフレームワーク104、筐体またはフレームワーク104に直接的または間接的に結合され、荷物を吊り下げている1本以上の線118に結合している電動フリクションレススイベル116、筐体またはフレームワーク104の中心からのその位置を変化させるために、1つ以上の取り付け要素110を経由して筐体またはフレームワーク104に直接的または間接的に可動式に取り付けられた1つ以上のスラスタ108と、制御装置114を備える。そのような実施形態では、制御装置114は、電動フリクションレススイベル116および1つ以上のスラスタ108と通信し、電動フリクションレススイベル116および1つ以上のスラスタ108から荷物102に付与される回転力の比率を制御することで、荷物102の回転の向きを制御する。
【0047】
したがって、本発明の方向制御装置100の異なる実施形態は、回転力源またはトルクの異なる組み合わせを備え、これらを個別に同時に制御して望ましい回転力またはトルクを提供し、特定の用途にしたがって、荷物の回転の向きを制御する。
【0048】
1つ以上のスラスタ108の位置を変化させるための1つ以上の可動取り付け要素110は、図1および図2に示すように伸縮自在のフレームまたはアームの形態とすることができ、あるいは動作中に重心からの変数分離を提供するためにヒンジ式、折り畳み式または回転式のアーム、フレームまたはロッドのような他の可動要素の形態となり得る。他の実施形態では、1つ以上のスラスタ108は特殊用途のまたは標準的なスプレッダーバーを使ってリギングに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の取り付け要素110は、動作中に荷物102に取り付けられ得、輸送とセットアップのためリギングへ取り付けられ得る。他の実施形態では、1つ以上のスラスタ108が、荷物102の両端の所定の位置に飛ばされて、任意の適切な手段によってそこに取り付けられたそれぞれのドローンに取り付けられることが想定される。ドローンからの推力は垂直から水平に再配向される。リフト終了後、ドローンをリギングに戻し、任意の適切な手段によって再度取り付けられ得る。ドローンは、テザーで固定されていても、自由に飛行していてもよい。
【0049】
1つ以上のスラスタ108は、双方向のファン、固定ピッチのファン、可変ピッチファン、単一速度ファン、可変速ファン、直接推力ファン、ベクトル化推力ファンなどのファンの形態とすることができ、例えば、ガソリンまたはバッテリー駆動であってよい。ファンは、独自の電源を有する独立式、または方向制御装置100の中央電源132から給電されるものであってよい。他の実施形態では、方向制御装置100が、電源に接続された状態で充電する搭載バッテリーと、方向制御装置100の一部を構成しないコントロールハブを備えるハイブリッド電源が使われる。
【0050】
図3図5を参照する。いくつかの実施形態によれば、電動フリクションレススイベル116は頂部または固定子122を備え、その内部で底部またはローター124が頂部または固定子122に対してスラストベアリング126上で回転する。電動モーターのような駆動手段128は、底部またはローター124に取り付けられる。駆動手段128は、これに取り付けられた平歯車(図示なし)を備え、この平歯車は頂部または固定子122に取り付けられるかその内部の一部であるリングギア(図示なし)と係合する。駆動手段128は、相対的なトルクを付与できる電気機械式、油圧式、またはその他の駆動手段のどの形式であってもよい。いくつかの実施形態では、電力は、バッテリー、モーター、または発電機によって提供され得、バッテリー、モーターまたは発電機はクレーンフックの上部に取り付けられ得、回転機構と同じソースから供給され得る。いくつかの実施形態では、電源は、本明細書で説明する電源132となり得る。いくつかの実施形態では、制御装置114と通信する1つ以上のセンサー136は、電動フリクションレススイベル116の頂部または固定子122および底部またはローター124の回転速度を測定し、制御装置114と通信する1つ以上のセンサー(図示なし)はクレーンブームの回転速度を測定する。いくつかの実施形態では、電源および制御ケーブル130は、スリングまたはチェーンなどに沿って、電源132および制御装置に流れ得る。駆動手段128を操作させることにより、頂部または固定子122に対して底部またはローター124を回転させる。電動フリクションレススイベル116は、少なくとも荷物102の回転開始および維持のため負荷を軽減するのに使用され得る。荷物の回転移動の終了時により速く制動するため、電動フリクションレススイベル116は、オフされるかトルクが逆回転され得る。
【0051】
吊り下げられた荷物の向きを制御している回転機構が克服しなければならない様々な負荷がある。このような負荷は、負荷特性の機能であり安定している、負荷の回転の特性を備える。このような負荷は、クレーンフックスイベルの摩擦によるトルク、および荷物102とリギングに対する偏った風圧をさらに備え、何れも変動する。2つの外発的効果の相対的寄与は、本明細書に記載されるように、風速および1つ以上の抵抗要素または1つ以上のスラットまたはプレート140を備える機構138の面積に対する負荷慣性の割合によって変化する。
【0052】
風の影響がない場合では、回転機構が荷物102の回転を開始した後に、スイベルの摩擦だけが、荷物102の回転を停止させる。非回転頂部または固定子122に対して回転している底部またはクレーンフックのローター124に十分なトルクを与え得れば、スイベル摩擦の効果は打ち消すことができ、回転していた荷物102は、主要な回転機構からの追加インプットを必要とせずに回転し続ける。回転率と回転方向に関して、制御システムがフックの頂部および底部両方からインプットを受けるように構成される場合、フックの底部またはローター124を回転させるために付与されるトルクにより、底部またはローター124は回転機構が吊り下げられた荷物102を動かすのと同じ速度で回転する。この状態が達成されると、スイベルは回転機構に対して効果的に摩擦なしとなり得る。
【0053】
荷物を回転する回転機構の能力を低下させる偏った風荷重の存在下で、電動スイベル116によって付与されるトルクが、回転機構によって発生するトルクを補強するために使われ得、フックの底部またはローター124に付与されるトルクを、スイベル摩擦を克服するのに必要なトルクよりも大きくすることによって、この場合、電動スイベル116は、回転機構の有効な回転能力を増加させる。
【0054】
反対に、荷物102が回転していて減速または停止する必要がある場合、頂部または固定子122に対してフックの底部またはローター124に逆方向のトルクを付与すると、荷物102を停止させ、効果的に回転機構の制動能力を高める。
【0055】
すべての場合において、ある程度の限られた量のねじれは許容されているが、電動スイベル116が発生するトルクは、クレーンホイストロープのねじり剛性を越えてロープに付与されるトルクとなり得ない。フックの非回転頂部または固定子122のセンサー136はホイストロープが許容なねじれの限界に近付いていないか監視する。クレーンが旋回する場合は、補償を行うために、クレーンブームの追加のセンサー(図示なし)が必要となり、そうしないと実際のホイストロープのねじれを正しく読み取れないことになる。
【0056】
要約すると、クレーンフックの上部および下部との間にトルクを与える能力を有することで、開始時、回転中、制動時、および設定姿勢での保持時で、回転機構の有効回転能力を向上し得る。
【0057】
図6を参照する。制御装置114は、少なくとも1つのトルク発生デバイス106、例えばジャイロスコープ、ジャイロモジュール/ユニット/デバイス、制御モーメントジャイロスコープ(CMG)、フライホイールまたは荷物にトルクを与えることができる他の回転デバイス、1つ以上のスラスタ108、および電動フリクションレススイベル116と通信する。制御装置114は、1つ以上のトルク発生デバイス106,1つ以上のスラスタ108およびそれぞれの取り付け要素110、および電動フリクションレススイベル116に電力を提供する電源または電力源132と通信する。電源または電力源132は、1つ以上のソースを備え、1つ以上のバッテリー、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、またはそれらのハイブリッドの形態をとり得る。いくつかの実施形態では、電力は、リフトの前に主電源から供給される。電力は、小型搭載用バッテリーや他の電源の形式で電源または電力源132を使って制御装置114、トルク発生デバイス106,1つ以上のスラスタ108およびそれぞれの取り付け要素110,および電動フリクションレススイベル116で機能するためリフト中、維持され得る。制御装置114は、フィードバックを得るために1つ以上のセンサー136と通信でき得、これは例えば1つ以上のカメラ、マイク、リアルタイムの運動学的地球測位センサー(RTK GPS)のような1つ以上の測位センサー、9つの自由度(DOF)のIMUなどの慣性計測ユニット(IMU)、光検知および距離(LIDAR)ユニット、1つ以上のステレオカメラ、写真測量法および/または同時位置決め地図作成(SLAM)の目的で画像を記録するための1つ以上のカメラ、風速計および/または拡声器または光源のような1つ以上の出力デバイスがあるが、これらに限定されないことが理解される。
【0058】
図7を参照する。いくつかの実施形態によれば、1つ以上のスラスタ108は、剛体アーム形状の取り付け要素110を介してトルク発生デバイス106のような1つ以上の回転デバイスにしっかりと結合される。アームは、伸縮自在、またはその他の方法で伸縮させることができ、これにより、ピボットポイント134を中心とした1つ以上のスラスタ108の調整可能なモーメントが提供される。ジャイロスコープまたはジャイロモジュール106および1つ以上のスラスタ108などの1つ以上のトルク発生デバイスは、協働し、すなわち、同じ方向に回転力を提供し、ピボットポイント134に対して荷物102を回転させ、方向付ける。
【0059】
ピボットポイント134は、電動スイベル116により摩擦なし、または実質的に摩擦がない。ピボットポイント134は、1つ以上のトルク発生デバイス106と1つ以上のスラスタ108の複合された適用モーメントに対して、ごく少量の逆作用モーメントに貢献する。
【0060】
1つ以上のトルク発生デバイス106および1つ以上のスラスタ108は、同時に動作し得て、またはリレーで動作し得、それによって1つ以上のスラスタ108は、大きな回転角のために用いられ、ジャイロスコープまたはジャイロモジュールなどの1つ以上のトルク発生デバイス106は、その後荷物の最終的な微細なまたは精密な方向のために配備される。
【0061】
図8を参照する。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのトルク発生デバイス106が、1つ以上のジャイロスコープまたはジャイロモジュールの形態である場合、1つ以上のジャイロスコープまたはジャイロモジュール106のフライホイールがリセット位置に鋭く回転して戻される間、1つ以上のスラスタ108は、1つ以上のジャイロスコープまたはジャイロモジュール106と反対の回転力、またはトルクを提供するために使用される。この反対のモーメントは、慎重に制御/減速され、その結果、再生サイクル中に、荷物に対する正味モーメントがゼロになり、したがって、回転がゼロになる。
【0062】
本発明の方向制御装置100は、様々な動作モードで操作され得る。例えば、すべての力/トルク要素、すなわち、1つ以上のトルク発生デバイス106,1つ以上のスラスタ108、および電動フリクションレススイベル116は、一緒に操作され得る。あるいは、そのサブセットを組み合わせて操作され得る。いくつかの動作モードでは、1つ以上のスラスタ108は、風荷重オフセット補償を行い、1つ以上のトルク発生デバイス106は慣性および微細な位置決めを制御する。いくつかの動作モードでは、1つ以上のスラスタ108は、1つ以上のトルク発生デバイス106を最適な制御位置のために垂直に再セットしつつ、荷物を保持する。いくつかの動作モードでは、クレーン制御システムと連携して、力/トルク要素を組み合わせて、最大限の位置および回転の管理を行う。例えば、本発明の方向制御装置100は、クレーンブームのスリュー運動およびラフ運動と、1つ以上のジャイロスコープまたはジャイロモジュール106および1つ以上のスラスタ108からの方向運動とを組み合わせることによって、タービンブレードなどの荷物が重心ではない点を中心に水平面内で回転しているように見えるようにし得る。
【0063】
他の側面または形態によれば、本発明は荷物104の回転方向を制御する方法にある。図9を参考にする。いくつかの実施形態によれば、このような方法200は、202において、荷物102に筐体またはフレームワーク104を結合する工程を包含する。204において、このような方法は、少なくとも1つのトルク発生デバイス106を筐体またはフレームワーク104に取り付ける工程を包含する。206において、このような方法は、筐体またはフレームワーク104の中心から1つ以上のスラスタ108の位置を変化させるために、1つ以上のスラスタ108を1つ以上の取り付け要素110を経由して筐体またはフレームワーク104に直接的または間接的に可動式に取り付ける工程を包含し得る。208において、このような方法は、少なくとも1つのトルク発生デバイス106,1つ以上のスラスタ108および1つ以上の取り付け要素110と通信する制御装置114を経由して少なくとも1つのトルク発生デバイス106および1つ以上のスラスタから荷物102に付与される回転力の比率を制御することで荷物102の回転方向を制御する工程を包含し得る。いくつかの実施形態によれば、方法200は、210において、電動フリクションレススイベル116を筐体またはフレームワーク104に直接的または間接的に結合するとともに、荷物102を吊り下げている1本以上の線118に結合する工程と、電動フリクションレススイベル116と通信する制御装置114が電動フリクションレススイベル116から荷物102に付与される回転力の比率を制御する工程とを包含し得る。方法200は、回転力源が使用されていないすべての工程を含まない可能性があることが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、方法は少なくとも1つのトルク発生デバイス106および電動フリクションレススイベル116のみが使用されている206において、1つ以上のスラスタ108を1つ以上の取り付け要素110を経由して筐体またはフレームワーク104に直接的または間接的に可動式に取り付ける工程を包含しない。
【0064】
図10~12を参照する。本発明の方向制御装置100の他の実施形態は、風の存在下で抵抗を生じさせる1つ以上の抵抗要素または機構138の形態でトルク発生デバイス106を備える。1つ以上の抵抗要素または機構138は、荷物102に結合され、筐体またはフレームワーク104の中心から例えば荷物102の一端へ向かってオフセットされる。1つ以上の抵抗要素または機構138は制御装置114および電源132と通信するよう結合される。1つ以上の抵抗要素または機構138は、例えば長方形の外形を有する1つ以上のスラットまたはプレート140を備え得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のスラットまたはプレート140は、例えば、モーター、油圧式、空気圧アーム、または他の駆動手段によって駆動される回転可能なロッドまたはバー142などに取り付けられて、1つ以上の抵抗要素または機構138の方向は、抵抗、およびその結果として1つ以上の抵抗要素または機構138によって生成されるトルクを変化させるために調整可能である。風に対する1つ以上のスラットまたはプレート140の入射角は、風に対する1つ以上のスラットまたはプレート140の抗力係数を変化させるために、ロッドまたはバー142の軸を中心に調整でき、したがって抵抗による荷物102の中心のトルクを変化させ得る。いくつかの実施形態では、荷物102の中心からの1つ以上の抵抗要素または機構138の位置は、例えば本明細書に記載のように1つ以上の取り付け要素110を経由して調整可能または可変である。
【0065】
1つ以上の抵抗要素または機構138は、1つ以上のスラスタ108またはジャイロモジュールなどの1つ以上のトルク発生デバイス106の代わりとして、または1つ以上のスラスタ108またはジャイロモジュールなどのトルク発生デバイス106に追加して使用され得る。明確にするために、1つ以上のスラスタ108は、図10および11から省略されている。
【0066】
よって、本発明の実施形態は、前述の問題の少なくともいくつかに対処し、または少なくとも改善する。例えば、本発明の実施形態に係る方向制御装置100は、1つ以上のトルク発生デバイス106の形態のトルクの主要なソースによって提供される回転制御に追加の回転制御を提供するための1つ以上の回転力またはトルクの補助源を備え、これは大形のおよび/または重い荷物の回転運動を制御するのに特に有効である。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の回転力またはトルクの補助源は、1つ以上の抵抗要素または機構138および/または1つ以上のスラスタ108の形態であり、これは重心からの距離の増加に伴った増大効果を有する一定の推力、よってトルクを提供する。1つ以上のスラスタ108は、1つ以上の取り付け要素110を経由して可動式であり、重心からの距離に選択性を提供し、したがって1つ以上のスラスタ108によって提供されるモーメントを提供する。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の回転力、またはトルクの補助源は電動フリクションレススイベル116の形態であり、これは、1つ以上のスラスタ108と組み合わせて、またはその代わりに使用され得る。ここで記載されている様々な動作モードは、方向制御装置100を経由して吊り下げられた荷物の回転方向の制御についてさらに柔軟性および適応性を与える。
【0067】
本明細書では、「備える」、「包含する」または同様の用語は、要素のリストから構成される装置がそれらの要素のみを含むのではなく、リストにない他の要素を含むことも十分にあり得るように、非排他的包含を意味することを意図している。
【0068】
本明細書全体を通じて、本発明を任意の1つの実施形態または特定の特徴の集合に限定することなく、説明することを目的としている。当業者は、特定の実施形態から変形にも拘らず本発明の範囲内に入る形態を理解し得る。例えば、本明細書に記載された2つ以上の実施形態からの1つ以上の特徴を組み合わせて、1つ以上のさらなる実施形態を形成し得ることが想定される。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12