(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】均一性および/または目の安全性が強化されたレーザ照明ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20250306BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/74 Z
(21)【出願番号】P 2022523243
(86)(22)【出願日】2020-10-25
(86)【国際出願番号】 IL2020051113
(87)【国際公開番号】W WO2021079371
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-10-02
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダンジガー,ヨチャイ
(72)【発明者】
【氏名】マイケルズ,ダニエル
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0120559(US,A1)
【文献】国際公開第2019/111237(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0288937(US,A1)
【文献】特開2014-092663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02、27/28
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視認者に画像を表示するためのディスプレイであって、
(a)少なくとも第1の色の照明を生成する照明サブシステムを有する画像生成器であって、前記照明を利用して画像を生成する、画像生成器と、
(b)前記視認者に表示するために、前記画像からの照明を投影するための投影光学系と、を備え、前記投影光学系が、
(i)コリメートされた画像を生成するために前記画像生成器からの前記照明をコリメートするためのコリメート光学系と、
(ii)導光光学素子であって、内部反射によって前記導光光学素子内で前記コリメートされた画像を誘導するための一対の平行な主外面を有し、前記導光光学素子が、前記コリメートされた画像の少なくとも一部分を前記視認者に方向転換するためのカップリングアウト構成を有する、導光光学素子と、を備え、
前記照明サブシステムが、第1の偏光を有する前記第1の色の第1のレーザビームを生成する第1のレーザと、第2の偏光を有する前記第1の色の第2のレーザビームを生成する第2のレーザと、を備え、
前記第1のレーザおよび前記第2のレーザが、前記第1の色のレーザビームを生成する前記照明サブシステムの少なくとも3つのレーザからなるセットのうちの2つであり、前記少なくとも3つのレーザが、前記投影光学系内の少なくとも1つの位置において相互に直交する偏光を有し、前記第1の偏光および前記第2の偏光が、前記投影光学系内の少なくとも1つの位置において直交している、ディスプレイ。
【請求項2】
前記第1のレーザビームおよび前記第2のレーザビームが、相互に直交する偏光を有する並んだビームを生成するために配備される、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記第1のレーザビームおよび前記第2のレーザビームが、前記照明サブシステムの偏光ビームコンバイナによって単一のビームに合成されて、2つの直交する偏光を含む単一のビームが形成される、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項4】
視認者に画像を表示するためのディスプレイであって、
(a)少なくとも第1の色の照明を生成する照明サブシステムを有する画像生成器であって、前記照明を利用して画像を生成する、画像生成器と、
(b)前記視認者に表示するために、前記画像からの照明を投影するための投影光学系と、を備え、前記投影光学系が、
(i)コリメートされた画像を生成するために前記画像生成器からの前記照明をコリメートするためのコリメート光学系と、
(ii)導光光学素子であって、内部反射によって前記導光光学素子内で前記コリメートされた画像を誘導するための一対の平行な主外面を有し、前記導光光学素子が、前記コリメートされた画像の少なくとも一部分を前記視認者に方向転換するためのカップリングアウト構成を有する、導光光学素子と、を備え、
前記照明サブシステムが、第1の偏光を有する前記第1の色の第1のレーザビームを生成する第1のレーザと、第2の偏光を有する前記第1の色の第2のレーザビームを生成する第2のレーザと、を備え、前記第1の偏光および前記第2の偏光が、前記投影光学系内の少なくとも1つの位置において直交し、前記第1のレーザビームおよび前記第2のレーザビームが、それぞれ第1の波長および第2の波長を有し、前記第1の波長および前記第2の波長の差が5%未満であり、前記投影光学系が、前記第1の偏光および前記第2の偏光を平行状態から実質的に直交した状態へと差動的に回転させるように構成されている、ある長さの複屈折材料を含む
、ディスプレイ。
【請求項5】
前記画像生成器が、前記第1のレーザビームおよび第2のレーザビームによって照明される偏光変調空間光変調器を備える、請求項
4に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記画像生成器が、少なくとも1つの走査ミラーを備える走査光学構成をさらに備え、前記走査構成が、前記空間光変調器の異なる領域を順次照明するように、少なくとも1つの方向における前記第1のレーザビームおよび第2のレーザビームの走査運動を生成するように配備されている、請求項
5に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記投影光学系が、コリメートされた画像を生成するためのコリメート光学系と、前記コリメートされた画像を前記視認者に伝達するための導光光学素子と、を備え、前記複屈折材料が、前記コリメート光学系から前記導光光学素子までの光路内に配備されている、請求項
4に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記コリメート光学系が、少なくとも1つの偏光ビームスプリッタを備える、請求項
7に記載のディスプレイ。
【請求項9】
前記複屈折材料が、水晶のブロックである、請求項
4に記載のディスプレイ。
【請求項10】
前記画像生成器が、少なくとも1つの走査ミラーを備える走査光学構成をさらに備え、前記走査構成が、少なくとも1つの方向における前記第1のレーザビームおよび第2のレーザビームの走査運動を生成するように配備されている、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項11】
前記照明サブシステムが、前記画像において直交偏光を有する第2の色のレーザビームを生成する第3のレーザおよび第4のレーザ、ならびに、前記画像において直交偏光を有する第3の色のレーザビームを生成する第5のレーザおよび第6のレーザをさらに備える、請求項1~1
0のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を視認者に表示するためのディスプレイに関するものであり、特に、レーザ光源によって照明されるディスプレイに関するものである。
【0002】
ニアアイディスプレイおよびヘッドアップディスプレイなどの特定のディスプレイは、日中の屋外使用などの明るい条件で使用するときに好適に視認可能であるように、高輝度である必要がある。これは、視覚要素が明るい屋外の風景の上に重なって表示される拡張現実ディスプレイに特に当てはまる。
【0003】
レーザベースの照明システムは、空間光変調器(SLM)の照明に使用する場合、または投影されるフィールド全体で非常に明るいスポットを走査することによって単独で使用する場合に、この平均的な高輝度を達成することができる。走査は、単一のミラーまたは2つの別個のミラーを動かす2つの垂直アクチュエータによって実行される。カラーディスプレイの場合、明るいスポットは、3つの別個のレーザ(赤色、緑色、および青色)によって生成される。
【0004】
レーザの使用は輝度およびエネルギー効率の利点を提供するが、画像の不均一性の問題、および、場合によっては目の安全性の課題も提起し得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ディスプレイである。
【0006】
本発明の一実施形態の教示によれば、画像を視認者に表示するためのディスプレイであって、(a)少なくとも第1の色の照明を生成する照明サブシステムを有する画像生成器であって、照明を利用して画像を生成する、画像生成器と、(b)視認者への表示のために画像からの照明を投影するため投影光学系と、を備え、照明サブシステムは、第1の偏光を有する第1の色の第1のレーザビームを生成する第1のレーザと、第2の偏光を有する第1の色の第2のレーザビームを生成する第2のレーザと、を備え、第1の偏光および第2の偏光は、投影光学系内の少なくとも1つの位置において直交している、ディスプレイが提供される。
【0007】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、第1のレーザおよび第2のレーザは、照明サブシステムの少なくとも3つのレーザからなるセットのうちの2つであり、少なくとも3つのレーザは、投影光学系内の少なくとも1つの位置において相互に直交する偏光を有する。
【0008】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームは、相互に直交する偏光を有する並んだビームを生成するように配備される。
【0009】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、投影光学系は、コリメートされた画像を生成するためのコリメート光学系と、導光光学素子であって、内部反射によって導光光学素子内でコリメートされた画像を誘導するための一対の平行な主外面を有する導光光学素子と、を備え、導光光学素子は、コリメートされた画像の少なくとも一部分を視認者に方向転換するためのカップリングアウト構成を有する。
【0010】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームは、照明サブシステムの偏光ビームコンバイナによって単一のビームに合成されて、2つの直交する偏光を含む単一のビームが形成される。
【0011】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、投影光学系は、コリメートされた画像を生成するためのコリメート光学系と、導光光学素子であって、内部反射によって導光光学素子内でコリメートされた画像を誘導するための一対の平行な主外面を有する導光光学素子と、を備え、導光光学素子は、コリメートされた画像の少なくとも一部分を視認者に方向転換するためのカップリングアウト構成を有する。
【0012】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームは、それぞれ第1の波長および第2の波長を有し、第1の波長および第2の波長の差が5%未満であり、投影光学系は、第1の偏光および第2の偏光を平行状態から実質的に直交した状態へと差動的に回転させるように構成されている、ある長さの複屈折材料を含む。
【0013】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、画像生成器は、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームによって照明される偏光変調空間光変調器を備える。
【0014】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、画像生成器は、少なくとも1つの走査ミラーを備える走査光学構成をさらに備え、走査構成は、空間光変調器の異なる領域を順次照明するように、少なくとも1つの方向における第1のレーザビームおよび第2のレーザビームの走査運動を生成するように配備されている。
【0015】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、投影光学系は、コリメートされた画像を生成するためのコリメート光学系と、コリメートされた画像を視認者に伝達するための導光光学素子と、を備え、複屈折材料は、コリメート光学系から導光光学素子までの光路内に配備されている。
【0016】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、コリメート光学系は、少なくとも1つの偏光ビームスプリッタを備える。
【0017】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、複屈折材料は、水晶のブロックである。
【0018】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、画像生成器は、少なくとも1つの走査ミラーを備える走査光学構成をさらに備え、走査構成は、少なくとも1つの方向における第1のレーザビームおよび第2のレーザビームの走査運動を生成するように配備されている。
【0019】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、照明サブシステムは、画像において直交偏光を有する第2の色のレーザビームを生成する第3のレーザおよび第4のレーザ、ならびに、画像において直交偏光を有する第3の色のレーザビームを生成する第5のレーザおよび第6のレーザをさらに備える。
【0020】
また、本発明の一実施形態の教示によれば、画像を視認者に表示するためのディスプレイであって、(a)赤色光ビームを生成する赤色光源、緑色光ビームを生成する緑色光源、および青色光ビームを生成する青色光源からなるセットであって、赤色光ビーム、緑色光ビーム、および青色光ビームが並んでいる、セットと、(b)少なくとも1つの走査ミラーを備える走査光学構成であって、走査構成は、二次元走査パターンにある赤色光ビーム、緑色光ビーム、および青色光ビームの走査運動を生成するように配備されている、走査光学構成と、(c)少なくとも1つのプロセッサを含むディスプレイコントローラであって、レーザ光源のセットおよび走査構成と関連付けられており、像面内で画像を生成するように、走査運動と同期してレーザ光源の各々の強度を変調するように構成されている、ディスプレイコントローラと、(d)視認者に表示するために像面において画像からの光をコリメートするためのコリメート光学構成と、を備え、ディスプレイコントローラは、(i)画像の現在の関心領域を決定し、(ii)現在の関心領域の外側の画像の少なくとも一部分の彩度を低減するように、レーザ光源の変調のためにピクセル色データを変更するようにさらに構成されている、ディスプレイもまた提供される。
【0021】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、ユーザの目の現在の視線を追跡するために配備されたアイトラッキング構成もまた提供され、ディスプレイコントローラは、アイトラッキング構成から受信した入力に基づいて現在の関心領域を決定する。
【0022】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、画像は、ビデオ画像であり、ディスプレイコントローラは、ビデオ画像の内容を処理して現在の関心領域を導出する。
【0023】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、画像は、ビデオ画像であり、ディスプレイコントローラは、ビデオ画像と関連付けられている現在の関心領域を示すデータストリームを受信する。
【0024】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、赤色光源、緑色光源、および青色光源の構成、ならびに二次元走査パターンは、赤色光ビーム、緑色光ビーム、および青色光ビームがたどる経路の大部分が重ならないようなものである。
【0025】
また、本発明の一実施形態の教示によれば、画像を視認者に表示するためのディスプレイであって、(a)赤色光ビームを生成する赤色光源、緑色光ビームを生成する緑色光源、および青色光ビームを生成する青色光源を備えるレーザ光源のセットと、(b)少なくとも1つの走査ミラーを備える走査光学構成であって、走査構成は、二次元走査パターンにある赤色光ビーム、緑色光ビーム、および青色光ビームの走査運動を生成するように配備されている、走査光学構成と、(c)少なくとも1つのプロセッサを含むディスプレイコントローラであって、レーザ光源のセットおよび走査構成と関連付けられており、像面内で画像を生成するように、走査運動と同期してレーザ光源の各々の強度を変調するように構成されている、ディスプレイコントローラと、(d)視認者に表示するために像面において画像からの光をコリメートするためのコリメート光学構成と、を備え、青色光源および/または走査光学構成は、像面における青色光ビームの点広がり関数が緑色光ビームの点広がり関数の少なくとも2倍の幅であるように構成されている、ディスプレイもまた提供される。
【0026】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、像面における青色光ビームの点広がり関数は、緑色光ビームの点広がり関数の少なくとも3倍の幅である。
【0027】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、ディスプレイコントローラは、第1の解像度の画像に対応するピクセルデータに従って緑色光源の強度を変調し、ディスプレイコントローラは、第2の解像度の画像に対応するピクセルデータに従って青色光源の強度を変調し、第2の解像度は、第1の解像度よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。
【
図1A】ディスプレイがそれぞれ反射および回折カップリングアウト構成を利用する、視認者に画像を表示するためのディスプレイの概略側面図である。
【
図1B】ディスプレイがそれぞれ反射および回折カップリングアウト構成を利用する、視認者に画像を表示するためのディスプレイの概略側面図である。
【
図2A】
図1Aおよび
図1Bのディスプレイで使用するためのレーザ照明画像プロジェクタの概略図を示す。
【
図2B】それぞれ通常の走査動作、垂直走査ミラーの障害、および水平走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図2C】それぞれ通常の走査動作、垂直走査ミラーの障害、および水平走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図2D】それぞれ通常の走査動作、垂直走査ミラーの障害、および水平走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図3A】
図2Aの画像プロジェクタを使用して実施するための走査パターンの、順方向走査、逆方向走査、および二重走査の走査パターンの概略図である。
【
図3B】
図2Aの画像プロジェクタを使用して実施するための走査パターンの、順方向走査、逆方向走査、および二重走査の走査パターンの概略図である。
【
図3C】
図2Aの画像プロジェクタを使用して実施するための走査パターンの、順方向走査、逆方向走査、および二重走査の走査パターンの概略図である。
【
図3D】2つのレーザを利用した
図2Aの画像プロジェクタを使用して実施するための走査パターンの、順方向走査および二重走査の走査パターンの概略図である。
【
図3E】2つのレーザを利用した
図2Aの画像プロジェクタを使用して実施するための走査パターンの、順方向走査および二重走査の走査パターンの概略図である。
【
図4A】3つの並んだレーザを利用した、
図2Aの画像プロジェクタのレーザ照明部分の変形実施態様の概略図である。
【
図4B】走査軸に対するレーザビームの相対的配備のための第1のオプションの概略図である。
【
図4C】
図4Bのレーザの配備を用いて実施されるときの、それぞれ通常の走査動作、垂直走査ミラーの障害、および水平走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図4D】
図4Bのレーザの配備を用いて実施されるときの、それぞれ通常の走査動作、垂直走査ミラーの障害、および水平走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図4E】
図4Bのレーザの配備を用いて実施されるときの、それぞれ通常の走査動作、垂直走査ミラーの障害、および水平走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図5A】走査軸に対してずらされた、レーザビームの相対的配備のための第2のオプションの概略図である。
【
図5B】FIG.5Aのレーザの配備を用いて実施されるときの、それぞれ通常の走査動作、垂直走査ミラーの障害、および水平走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図5C】FIG.5Aのレーザの配備を用いて実施されるときの、それぞれ通常の走査動作、垂直走査ミラーの障害、および水平走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図5D】FIG.5Aのレーザの配備を用いて実施されるときの、それぞれ通常の走査動作、垂直走査ミラーの障害、および水平走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図6A】走査軸に対してずらされた、6つのレーザビームの相対的配備の概略図である。
【
図6B】6つの並んだレーザを利用した、
図2Aの画像プロジェクタのレーザ照明部分の変形実施態様の概略図である。
【
図6C】
図6Aのレーザの配備を用いて実施されるときの、それぞれ水平走査ミラーの障害および垂直走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図6D】
図6Aのレーザの配備を用いて実施されるときの、それぞれ水平走査ミラーの障害および垂直走査ミラーの障害の場合のレーザ走査パターンを示す。
【
図7A】
図5Aと同様の構成の走査中に各色が従うトレースの概略図である。
【
図7B】本発明の一態様による、中心窩彩度低減の前後の、
図7Aの線207に沿った位置の関数としての画像強度のプロットである。
【
図7C】本発明の一態様による、中心窩彩度低減の前後の、
図7Aの線207に沿った位置の関数としての画像強度のプロットである。
【
図7D】
図6Aと同様の構成の走査中に各色が従うトレースの概略図である。
【
図8A】ピクセル間隔だけ離間されている走査トレースを用いる2つのレーザを利用した
図2Aの画像プロジェクタを使用して実施するための走査パターンの、順方向走査および二重走査の走査パターンの概略図である。
【
図8B】ピクセル間隔だけ離間されている走査トレースを用いる2つのレーザを利用した
図2Aの画像プロジェクタを使用して実施するための走査パターンの、順方向走査および二重走査の走査パターンの概略図である。
【
図9】
図6Aと同様の構成であるが、類似の色のレーザ走査トレース間の間隔が増大されている構成の走査中に各色が従うトレースの概略図である。
【
図10】本発明の態様を実施するためのディスプレイコントローラのブロック図である。
【
図11A】画像プロジェクタから視認者の目に画像を送達するための導波路ベースの光学開口拡大器の概略図である。
【
図11B】第1の偏光、第2の偏光、および2つのパターンの合計に従って、光開口拡大器を通って伝播する偏光によって生成される2つの強度パターンを示す。
【
図12】投影された画像の偏光解消を容易にするために、各色に複数の並んだレーザを利用するディスプレイの概略図である。
【
図13A】自由空間光学系を利用し、共通の光路に沿って導入された各色に対する複数の直交偏光されたレーザビームを備えたディスプレイの代替的な実施態様の概略図である。
【
図14】本発明の一態様によるディスプレイのさらなる構成を概略的に示す。
【
図15A】本発明の一態様によるディスプレイで使用するための導波路と統合された偏光解消器の概略図である。
【
図15B】
図15Aの偏光解消器に利用される複屈折材料の主軸の配向の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、レーザ照明を利用したディスプレイである。
【0030】
本発明によるディスプレイの原理および動作は、図面および添付の説明を参照することによってより良く理解することができる。
【0031】
前置きとして、本発明は、いくつかの別個の態様を含み、それらの各々は、レーザ照明を使用するディスプレイの実装に関連する問題に対処し、個別にまたは相乗的に組み合わせて重要な利点を提供するために使用することができる。
【0032】
より具体的には、図面を参照すると、
図1Aおよび
図1Bは、本発明の様々な態様が実施される典型的なディスプレイの概略図を提供し、
図2A~
図10は、高速に変調されるレーザビームの走査運動に基づくディスプレイに固有の本発明の態様に関し、
図11A~
図15Bは、レーザ照明の偏光特性から生じる問題に対処する本発明の態様に関する。
【0033】
デバイス概説
ここで図面を参照すると、
図1Aおよび
図1Bは、システムの主要な光学構成要素の概略図を示している。
【0034】
一般的に、本発明は、ユーザの目502に画像を表示するためのディスプレイ500を参照して本明細書に例示され、目はアイモーションボックス504内に位置付けられている。特定の非限定的な実施態様において、ディスプレイは、互いに平行な一対の主外面508、510を有する、本明細書において「基板」または「導波路」として交換可能に呼ばれる導光光学素子(LOE)506を含む。コリメートされた画像の画像照明を投影する画像プロジェクタ512は、画像照明をLOEに導入して、主外面508、510における内面反射によってLOE内を伝播するように、LOE506に光学的に結合される。画像プロジェクタ512は、交換可能に「POD」と呼ばれる。
【0035】
LOE506の少なくともカップリングアウト領域と関連付けられているカップリングアウト構成は、LOE内を伝播する画像照明の少なくとも部分を、ユーザの目502で見るためにアイモーションボックス504に方向転換するように構成されている。カップリングアウト構成の典型的な実施態様は、例えば、
図1Aに示されるように、LOE506内の主外面508、510に対して斜めになっている複数の相互に平行な部分反射面514として実装された反射カップリングアウト構成を含む。代替的なカップリングアウト構成は、
図1Bに示されるように、LOE506に関連付けられ、かつ画像照明の一部分をカップリングアウトするように構成された1つ以上の回折光学素子516を利用する。導光ディスプレイ用の反射型および回折型の両方のカップリングアウト構成の実施態様の詳細は、当該技術分野においてよく知られており、簡潔にするために、ここでは詳細に説明しない。
【0036】
走査システムに関する考慮事項
図2Aは、ディスプレイ500での使用に好適な画像プロジェクタ512の光学的構成を概略的に示している。画像プロジェクタ512は、レーザ19Aのセットを使用する。レーザR、G、およびB(それぞれ、赤色、緑色、および青色を示す)は、ダイクロイックコンバイナ20(ミニレンズは示されていない)によって、単一の偏光を有する単一のビームに合成することができる。合成された発散ビームは、ミラー22によって反射され、レンズ23によって走査ミラー24および25上へと屈折される。これらのミラーは各々、直交軸を中心に走査する。レンズ26は、走査されたビームを導波路瞳34に結合するために必要な瞳イメージングを生成する。マイクロレンズアレイ(MLA)または拡散器が、好ましくは、ビームを拡大するために像面29に配置される。ここに示されている実施態様は、偏光ビームスプリッタプリズムに基づいており、偏光ビームスプリッタ(PBS)31は、ビームをレンズ32に迂回させ、レンズ32は、ビームをコリメートして瞳34から出射させ、ビームはそこでLOE(図示せず)に入る。
【0037】
図2Bは、走査される画像フィールドをカバーする典型的な二次元走査パターンを示している。(すべてのレーザの)合成されたスポット42が、その強度が画像データに従って変調されて画像フィールド46が生成される間、軌道44に沿って走査される。
【0038】
以下の理論的分析の正確度とは無関係に確立された本発明の有用性を決して限定することなく、本発明の特定の態様の理解を高める目的で、以下のように、特定の目の安全性の問題を評価することが有用である。以下では、目に当たる強度を概略的にのみ推定するために概数を想定する。
【0039】
60 Hzにおいて完全にリフレッシュされている画像の800x600ピクセルを想定すると、横方向(共振)ミラーは60x600/2=18KHzで振動する必要がある(走査オーバーヘッドを無視し、両運動方向の照明を想定する)。したがって、ライン当たりの時間は(1/18,000)/2=27マイクロ秒である。
【0040】
ピクセル当たりの時間は27e-6/800=35ナノ秒である。
【0041】
フレーム当たりの時間は1/60=16ミリ秒である。
【0042】
以下の計算では、画像全体にわたって屋外日中の5000NITの白色フィールドに対して照明が最適化されていると想定する。
【0043】
目の安全性に関する考慮事項
以下の分析は、パラメータの大まかな推定のために提供されており、目の安全性の計算の基礎として依拠されるべきではない。
【0044】
誤動作のシナリオでは、レーザが白色スクリーンと同等の出力(公称最大出力)で動作し続けている間に、一方または両方のスキャナが動作しなくなると想定され得る。両方のスキャナが振動を停止し、スポット42が静止すると、強度は1つのピクセルに集中する。
5000NITx600x800=2.4xe9NIT
【0045】
これは非常に明るいスポットであり、これによって人がまばたきし、最終的にはニアアイディスプレイを取り外す。比較のために、正午における太陽の直視は1.6xe9NITである。したがって、このスキャナ停止の状況はユーザにとって不快であり、目に危険を及ぼす可能性がある。
【0046】
図2Cは、スキャナ25が機能しておらず、スキャナ24(共振)のみが機能している状況を示している。共振ミラーは速く動くため、スクリーンのすべての出力がすべてのライン50に沿って分散されていると仮定し、したがって、このラインの強度は以下のようになる。
ピクセル当たりの強度/ライン当たりのピクセル数=2.4xe9NIT/800=3e6NIT
【0047】
これは単一スポットに比べて損傷が少ないが、ユーザにとっては非常に高く、不快な状態が続く。
【0048】
図2Dは、スキャナ24が機能を停止し、スキャナ25のみがアクティブな場合に生成されるライン走査を示している。この場合、このスキャナの動きは遅い(ライン当たりミリ秒、ただし目への損傷の熱定数はマイクロ秒単位である)ため、ピクセル当たりの強度はスタンディングスポット(2.4xe9NIT)と同じになるように概算することができる。
【0049】
走査パターンに関する考慮事項
図3Aは、走査レーザスポット42がパターン44に従うプロット108を示している。このパターンは、高速の横方向走査共振ミラー24および線形(制御式)ミラー25によって生成される。
【0050】
挿入
図45Aは、フィールドの中心のピクセル配置を概略的に示しており、垂直速度が、両方向(矢印としてマークする)における運動中に生成されたピクセルが隣接する、すなわち、単一ピクセルピッチ間隔であるように設定されている。
【0051】
挿入
図45Bに示すように、フィールドの縁部では、一部のピクセルが重なり合っているが、他の場所では間隙がある。
【0052】
走査108では、フィールドの中心のライン62間の間隙は1ピクセル(最適な隣接ピクセル)であり、一方、パターンの縁部64の間隙は2ピクセルに近づく(2ピクセルが重ね合わされ、隣のピクセルに対して1ピクセル間隙)。
図3Bの逆方向走査110も同様のパターンを示している。走査ラインは、
図3Cの合成されたトレース112に示されるように、異なる場所に位置することが好ましい。フィールドの両側のトレースならびに間隙70および72が順に現れ、したがって、フィールドの縁部においてちらつきが発生することがある。
【0053】
人間の視覚は、典型的には、視覚の周縁領域におけるちらつきに特に敏感であり、視覚の中心におけるちらつきには、あまり敏感でないことに留意されたい。その結果、走査された画像の側辺に高速に変化する不均一性(ちらつき)が存在することは、多くの観察者にとって非常に注意を乱す可能性がある。
【0054】
図3Dおよび
図3Eは、すべてのスポットが、重なり合うすべての色を表す2チャネルインターライン走査のさらなるオプションを示している。
図3Dのトレース113Aは単一のフレームを示し、一方、
図3Eの113Bは、オーバーレイされた逆方向トレースを示している。チャネル間に間隙がない場合(中空の円および塗りつぶされた円としてマークされ、1ピクセルの距離として示される)、フィールドの縁部には2ピクセルの間隙73があり、中心75には間隙がない(1ピクセルの間隔を有して隣接する)ことは明らかである。したがって、単一チャネルの場合と同様に、間隙によって縁部にちらつきが発生する。
【0055】
色に関する考慮事項
個々のレーザの出力に関しては、いくつかの矛盾する考慮事項がある。一方では、3つの色光源の相対出力を調整して、色が混合されたときに所望のレベルの白色バランスを提供する必要がある。他方では、絶対出力は目の安全性閾値を下回っている必要がある。後者の要件は、赤色光および緑色光よりも青色光に対してより厳しくなる。したがって、安全上の理由から青色の照明は最も厳しく制限されており、他の色のレーザ出力は、白色バランスを維持するために、必然的に安全制限を十分に下回っている。その結果、青色レーザ出力に安全制限が課せられるため、画像全体の明るさが低減する。
【0056】
偏光に関する考慮事項
本発明は、主に、レーザによって生成される照明を利用するディスプレイに関する。「レーザ」という用語は、本明細書においては、任意のタイプの光生成レーザに広く使用されている。コンパクトなデバイスの場合、ダイオードレーザまたはS-LEDが特に好まれる。これらは、典型的には1ナノメートル未満のスペクトル帯域幅を有する偏光を生成する。画像を目に中継するための導波路とともに使用すると、PODによって出力される偏光画像照明は不均一な出力画像を生成する。これは、全反射(TIR)中に光の偏光が変化するのに対し、出力結合メカニズム(回折または反射)は、偏光に敏感であるためである。レーザビームの高いコヒーレンスおよび高速の走査速度により、すべてのレーザを能動的(例えば、可変LCDによって)または受動的(水晶などの複屈折の狭いウィンドウ)に偏光解消することは実用的でなくなる。
【0057】
ここで、レーザの使用から生じる上記の制限のいくつかに対処するための、本発明の様々な態様に対応するいくつかのアプローチについて考察する。
【0058】
強度の低減
本発明の一実施形態による一群の実施態様が、光学構成114として
図4に示されている。この光学構成は、レーザR、G、およびBが、ダイクロイックコンバイナ20を使用して単一のビームに合成されるのではなく、ここでは19Bとして幾何学的に並んで合成されるという点でその構成とは異なる、デバイス100の上側部分(
図2A)を置き換える。その結果、3つのレーザのビームは重なり合わない。デバイスの残りの部分は、例えば、
図2Aおよび
図1Aまたは
図1Bの他の詳細と同様であってもよい。
【0059】
図4Bは、像面に現れる3つのレーザスポット(3つの円)80、81、および82の配向の1つの可能な配備を示している。2つの直交する軸は、ミラー24および25の走査軸を表す。
【0060】
レーザを走査することによって生成される画像が、
図4Cに示されている。ここでは、3つの画像がいくらかシフトして生成され、レーザ76がスポット80に関連し、77が81に関連し、78が82に関連する。スポットの走査パターンは90(破線、実線、および点線)として示されている。明らかに、水平オフセットはデジタルで補正することができ、重複の領域のみが使用される。
【0061】
3つのスポットの利点は、強度が分散され、したがってすべてのスポットの強度が1/3になることである(これは近似である)。したがって、両方のスキャナが機能停止した場合、スポット当たりの強度は以下と同等になる(わかりやすくするためにこの計算では色は考慮されない)。
2.4e9NIT/3=800e6NIT
これは、単一の合成スポットと比較して低くなっている。これにより、スポットが少なくとも0.5度離間されている場合、目に見える明るさの低減が発生する。
【0062】
図4Bの3つのスポットの走査パターンが
図4Cに示されている。3つのレーザすべてのパターンがほぼ重なり合っていることは明らかである。その結果、同じ目の部分が非常に短い間隔で3つのレーザすべてによって照明される。照明のこの態様は、スキャナ25が誤動作して動かないときに生成されるライン96を表す
図4Dにおいて強調されている。この場合、スポット80、81、および82はほぼ重なり合う経路を有し、それによって明るさの影響が大きくなる。したがって、ユーザに見える明るさは、
図2Cと同等の3e6NITであると概算することができる。それにもかかわらず、0.5度を超えるスポット分離の場合、目への影響は単一のスポットよりも低くなる。
【0063】
図4Eは、スキャナ24が誤動作して機能停止した場合の走査パターンを示している。この場合、
図2Dに示すラインは、ここでは、
図2Dの合成された代替形態と比較して、強度が1/3の3つのラインに分割される。
【0064】
目の損傷の可能性を低減するためのより最適な構成を
図5A~
図5Dに示す。
図5Aは、両方の走査軸に対してある角度でずらされたレーザ構成を示している。走査フィールドは
図5Bに示される。各レーザ76、77、および78の走査フィールドは、他の走査パターンに対して垂直方向および水平方向にシフトされる。間隔は、構造的実施態様に応じて、ピクセルピッチに類似するか、またはピクセルピッチよりも小さいものとしてここに概略的に示されているが、ビーム間の角度間隔は、好ましくは少なくとも0.5度であり、複数ピクセルの寸法に対応し得、場合によっては、20、またはさらには50ピクセル寸法を超える。走査パターンは、最も好ましくは完全に重なり合わず(交差を無視する)、したがって、通常の動作中のすべてのピクセルの局所強度を大幅に低減する。これは、連続して使用されるように意図されたディスプレイデバイスにとって大きな利点である。
【0065】
図5Cおよび
図5Dは、それぞれスキャナ25または24が誤動作したときに生成されるライン走査パターンを示している。傾斜したレーザの配向では、どちらの場合も走査重複を回避し、結果、どちらの場合も局所的な明るさが3分の1に低減することは明らかである。
【0066】
図6Aは、6つのレーザの組み合わせを利用するアーキテクチャのさらなる非限定的な例を示している。このようなアーキテクチャを実装するデバイスの部分図が、構成132として
図6Bに示されており、ここで、レーザアセンブリ19Cは、
図4Aのレーザ19Bの組み合わせに類似しており、ただし2つの赤色レーザ(R1、R2)、2つの緑色レーザ(G1、G2)、および2つの青色レーザ(B1、B2)を有する。レーザの配置は概略的にのみ示されている。
図6Aは、対角線構成にある、像面におけるレーザスポットの好ましい位置整合を概略的に示している。
図6Cおよび
図6Dは、それぞれ、それぞれの走査メカニズムの誤動作から生じることになるライン走査を表すパターン136および138を示し、レーザによって生成されることになる重複しないラインパターンを示す。その結果、明るさは、合成単一スポットアーキテクチャと比較して約6分の1に減少する。
【0067】
他のレーザ配向も可能である。すべての場合において、特に好ましい実施態様は、主走査軸のいずれかに平行なラインに沿って2つ以上のレーザを位置付けることを回避する。
【0068】
目の安全性と計算負荷の軽減のための青色レーザブラーリング
人間の目による色の知覚は、視覚スペクトルの青色および赤色波長よりも緑色波長での解像度に敏感であることに留意されたい。したがって、像面の光学点広がり関数(PSF)によって測定される画像鮮明度の重要性は、緑色の照明よりも青色および赤色の照明の方が低い。
【0069】
他方、レーザの安全性の観点から、青色光への直接的な眼の露光である最大許容露光量(MPE)は、長期的(例えば、数時間)には約0.1mW/cm2であり、緑色光については約1.0mW/cm2である。(これらの数値は、Maini,A.K.(Ed.).(2013).Lasers and Optoelectronics:Fundamentals,Devices and Applications,599-603.https://doi.org/10.1002/9781118688977、付録A、表A.4およびA.6に基づく。)
【0070】
これらの観察結果を利用するために、本発明の一態様によれば、画像を視認者に表示するためのディスプレイは、赤色光ビームを生成する赤色光源R1、R2、緑色光ビームを生成する緑色光源G1、G2、青色光ビームを生成する青色光源B1、B2の各々のうちの少なくとも1つを含むレーザ光源のセットを利用する。少なくとも1つの走査ミラー24、25を利用する走査光学構成は、二次元走査パターンにおける赤色光ビーム、緑色光ビーム、および青色光ビームの走査運動を生成する。少なくとも1つのプロセッサを含むディスプレイコントローラは、レーザ光源のセットおよび走査構成に関連付けられ、像面で画像を生成するように走査運動と同期して各レーザ光源の強度を変調するように構成される。コリメート光学構成は、視認者に表示するために、像面における画像からの光をコリメートする。
【0071】
本発明の一態様の特定の実施形態の特定の特徴は、青色光源および/または走査光学構成が、像面における青色光ビームの点広がり関数が緑色光ビームの点広がり関数の少なくとも2倍の幅であり、好ましくは少なくとも3倍の幅であるように構成されることである。
【0072】
点広がり関数(PSF)の幅は、像面内のレーザスポットの見かけの幅によって直感的に定義することができるが、スポット強度に関連する半値全幅(FWHM)を使用することによってより正確に定義することができる。
【0073】
具体的な例として、像面上の青色光照明の出力密度は、緑色のPSFを維持し、かつ好ましくは赤色照明のPSFを、それらの最適な値に維持しながら、PSF(直径)を約10^0.5=3.2倍に拡大することにより、10分の1に低減される。その結果、青色レーザの出力、および3つのレーザすべての合計出力は、MPEによって決定されるように、目への損傷閾値を超えることなく、10倍に増加することができる。
【0074】
青色のPSFを広げることによって、コントローラ228(
図10)によって提供される青色の解像度を下げることも可能である。例として、緑色画像が1000x1000ピクセルの配列を有し、ピクセルサイズが5x5ミクロンの場合、PSFを拡大した後の青色画像は、333x333ピクセルの配列、および約15ミクロンのピクセルサイズを有し得る。青色画像の解像度が低減すると、コントローラ228内の電子機器のサイズと複雑さが低減するだけでなく、青色レーザドライバにおける必要な高速パルス変調の帯域幅も低減する。赤色画像の解像度も低減した場合、サイズ、複雑さ、および帯域幅の同様の低減が、コントローラ228および赤色レーザドライバにも適用される。したがって、ディスプレイコントローラ228は、第1の解像度の画像に対応するピクセルデータに従って緑色光源の強度を変調し、第2の解像度の画像に対応するピクセルデータに従って、青色光源、および任意選択的に赤色光源の強度も変調し、第2の解像度は第1の解像度よりも低い。
【0075】
青色PSFの拡大は、
図1の光学レイアウトの中継部分(MLA 29の後)またはレーザ部分(MLA 29の前)のいずれかで、様々な方法で実施することができる。例えば、赤色、緑色、青色の照明に対応するレンズ焦点距離が異なるように、中継部分に色収差を導入することができる。32(または276)の焦点面をMLA 29に対して、青色には準最適であり(焦点がぼけている)、緑色および赤色にはほぼ最適である距離に配置することによって、青色PSFが広がり、青色画像の解像度が画像ディスプレイにおいて低くなる。
【0076】
ただし、中継におけるPSF広がりに色収差を使用することは、2つの理由から最善のアプローチではない場合がある。第一に、青色光学系のコリメーションの欠如は、青色画像強度の空間的不均一性を引き起こし、場合によっては他の画像アーチファクトを引き起こす。さらに、場合によっては、観察者の目が、青色画像の焦点ぼけを補償しまたはこれに「適応」し、目のレンズの焦点を合わせ直して、青色レーザ画像を鮮明にする場合がある。このような場合、適応後の目の網膜の出力密度は、MPEを超えることがある。
【0077】
上記の困難を克服する、PSF拡大への別のより好ましいアプローチは、光がMLA29において像面に到達する前に、レーザ部分において青色レーザビームの焦点をぼかすことである。これにより、必要に応じてPSFが広がるだけでなく、像面内の拡散器またはMLAを通過した後の光学位相情報も部分的に削除される。その結果、画像ディスプレイ上の画像は、観察者の目によって再び焦点を合わせることができず、目の網膜上の低減された出力密度が維持される。さらに、入射瞳34に到達する青色の照明は、レンズ32(または276)によって良好にコリメートされており、観察者に提示される青色画像に不均一性は現れない。
【0078】
青色照明のPSF拡大はまた、
図1の青色レーザの位置を光路に沿ってシフトさせて、像面においてわずかに焦点がずれている位置にすることによって達成され得ることに留意されたい。PSFを広げるためのすべての方法は、赤色照明にも適用することができる。
【0079】
青色レーザ照明の前述のPSF拡大は、レーザを並べて配備する場合、またはレーザビームを共通の軸に沿って合成する場合の両方において実施することができる。並んだ構成は、すでに考察したように、光強度をより広い領域にわたって分散させるという追加の利点を提供し、したがって、通常好まれる。
【0080】
色忠実度の低減によるちらつきの解消
図7Aにおいて、
図5Aまたは
図6Aの異なる色スポットが、明確にするために、異なる形状を有して提示されている。色レーザスポット202は、赤色としての実線の走査を有する円、緑色としての一点鎖線の走査を有する長方形、および青色としての破線の走査を有する正方形を含む。
【0081】
レーザは、走査中にトレース(走査ライン)が図のように重ならないように、走査速度を考慮した特定の配向を有する焦点面に配置される。赤色204の2つの走査間の間隙は、青色206および緑色208のトレースを含む。
【0082】
人間の視覚は周縁視野の色に鈍感であり、したがって、すべての色が照明されている限り(白からの多少のずれ)、観察者は照明されたすべてのトレースに差がないと知覚する。したがって、間隙204が均一に照明され、視野の縁部に間隙がないと知覚される。したがって、周縁において白またはバランスの取れたグレーレベル(色の組み合わせを含む)を有する画像について、最小限のちらつきが観察される。ただし、投影された画像の周縁領域の色が濃い場合、これは、他の1つ以上の色の強度が低くなり、照明されていない領域が残り、ちらつきが発生することを意味する。
【0083】
これらの観察結果を利用するために、本発明の一態様によれば、画像を視認者に表示するためのディスプレイは、赤色光ビームを生成する少なくとも1つの赤色光源R1、R2、緑色光ビームを生成する少なくとも1つの緑色光源G1、G2、青色光ビームを生成する少なくとも1つの青色光源B1、B2を含むレーザ光源のセットを利用し、赤色光ビーム、緑色光ビーム、および青色光ビームは並んでいる。走査光学構成は、少なくとも1つの走査ミラー24、25を利用して、二次元走査パターンにおける赤色光ビーム、緑色光ビーム、および青色光ビームの走査運動を生成する。少なくとも1つのプロセッサを含むディスプレイコントローラは、レーザ光源のセットおよび走査構成に関連付けられ、像面で画像を生成するように走査運動と同期して各レーザ光源の強度を変調する。コリメート光学構成は、視認者に表示するために、像面において画像からの光をコリメートする。
【0084】
本発明の一態様の特定の実施形態の特定の特徴は、ディスプレイコントローラが、(i)画像の現在の関心領域を決定し、(ii)現在の関心領域の外側の画像の少なくとも一部分の彩度を低減するようにレーザ光源の変調のためにピクセル色データを変更するようにさらに構成されることである。言い換えれば、どの領域が現在の関心領域でないかを決定した後、それらの領域の輝度を維持しながらそれらの領域の彩度を下げて、それによって3つの色の強度を少なくとも部分的に均等にし、それによって、そうでなければ注意を乱すちらつきを引き起こすことがある異なる色走査間の間隙を埋めることができる。
【0085】
このアプローチは、
図7Bおよび
図7Cに示されている。
図7Bは、赤色のみである画像の領域における
図7Aの垂直ライン207に沿った画像照度を示している(2つの近くの交差点が単一のピーク208として示されている)。走査ライン間の間隙が明らかである。
図7Cは、同じ画像の同じ線に沿った画像照度を示しているが、色の忠実度は抑制されている(彩度は低減しているが、輝度は維持されている)。この場合、赤色(実線)が引き続き支配的な色であるが、緑色(一点鎖線)および青色(点線)も照明され、結果、全体的な輝度エンベロープ210は不均一性を低減した。人間の周縁視野は色に対する感度が低いため、これは均一な照明として知覚され、それによって知覚されるちらつきが減少する。
【0086】
前述のように、上記のアプローチは、視野の中心では人間の目は色に敏感であるがちらつきには敏感ではなく、一方、周縁視野ではその逆が当てはまる、すなわち、目は色に鈍感であるがちらつきにはより敏感であるという観察に基づいている。これらの目の特性を使用すると、知覚される色の忠実度を損なうことなく、ちらつきの視認性を抑えることができる。
【0087】
画像内の「関心領域」を定義するために、様々なアプローチを使用することができる。特定の用途では、特にディスプレイの異なる部分を使用して異なるタイプの情報を提示する場合、ディスプレイの特定の領域を色の忠実度にとってより重要であると事前定義し、他の領域をそれほど重要ではないと事前定義することが可能である場合がある。より好ましくは、「関心領域」は、いくつかのアプローチのうちの1つによって動的に定義される。オプションは以下を含むが、これらに限定されない。
1.ユーザの目の現在の視線を追跡するために配備されたアイトラッキング構成の使用。このとき、ディスプレイコントローラは、アイトラッキング構成から受信した入力に基づいて現在の関心領域を決定する。
2.表示される画像がビデオ画像である場合、ディスプレイコントローラは、例えば、大きい運動のある領域において、ビデオ画像の内容を処理して現在の関心領域を導出する。
3.場合によって、画像がビデオ画像である場合、ディスプレイコントローラは、画像データとともに、ビデオ画像と関連付けられている現在の関心領域を示す関連するデータストリームを受信することができる。
【0088】
これらの各場合において、観察者が関心のある領域を見ていると想定されるため、その領域内の色の忠実度は変更されない。この領域にちらつきが存在する場合、中心視野がちらつきに鈍感であるため、ちらつきは目立たなくなる。残りの視野の色の忠実度は、画像処理によって(関心領域からの距離およびディスプレイのその領域内で発生する可能性のある不均一性に従って)低減し得る。このようにして、色の変更を目立たないようにしながら、ちらつきが抑制される。説明したように、関心領域が視野にわたって移動すると、色の忠実度が維持される領域も移動する。
【0089】
図7Dは
図7Aに類似しているが、上記で
図6Aにおいて示したものと同様の、各RGB色が2つある6つのレーザスポット212の構成を示している。他の構成も可能である。トレースが重ならないように構成することにより(レーザの向き、間隔、走査速度をずらして選択することにより)、間隙214(この例では、赤色レーザの隣接するトレース間)は他の色のトレースで埋められる。適切な傾斜および垂直走査速度の設定により、トレースの均一な分散が生成される。このように、
図7Bおよび
図7Cを参照して説明した前述の色忠実度管理は、ちらつき解消を達成するために非常に効率的に実施することができる。
【0090】
これまでに示した例では、2つのチャネルを利用する走査パターンは、チャネルが隣接しているように示されている(
図3D)。
図8Aは、レーザチャネルがそれらの間に間隙を有する代替的な構成を示している。レーザチャネルを隣接して配置すると、フィールドの中心に間隙がないという利点があり(
図3Dの領域75)、したがって、フィールドの中心にちらつきはないが、フィールドの側辺の間隙が2倍になるという欠点がある(
図3Dの領域73)。
図8Aの構成では、2つの離間したチャネルは、それらの間に間隙を有し、1つの空のピクセルの間隙をそれらの間に有する2つのピクセル216として離間されている。
図8Bは、逆方向走査も含む組み合わせトレースを示している。このチャネル構成のために、フィールド218の側辺の間隙は、
図3D)の間隙73からよりもわずか1ピクセルのちらつきであり、ただし、この場合、中心はここでも1ピクセルの間隙を有し(
図8Aにおいて220でマークされている)、これによって、
図3Dの領域75において発生するよりも多くのちらつきが導入される。
【0091】
図9は、2つの3色チャネル156のセットに適用されるこの離間されたアプローチを示す。トレースの重なり合わない構成は、好ましくは、フィールド222の側辺の間隙を埋め(
図7Dの領域214と同様であるが、間隙がより狭い)、フィールド224の中心の間隙も埋める。
【0092】
この構成156では、前述の中心窩の低減された色忠実度は、フィールド全体(縁部だけでなく)にわたって有利に適用され得、そのため、現在の関心領域がフィールドの側辺に位置する場合、色忠実度は有利には、中心を含む画像の残りの部分において低減され得る。トレース間の間隙がより小さいため、色の忠実度の低減はあまり必要でなくなる。
【0093】
ここで、および図面全体を通して、走査パターンは、レーザスポットが互いに近く、1ピクセルまたは2ピクセル離れているかのように概略的に示されていることに留意されたい。しかしながら、上で考察される目の安全性の理由、および製造の便宜のために、レーザスポット間の物理的距離は、好ましくは、はるかに大きく、最適な目の安全性のために、好ましくは、0.5度以上に対応する。しかしながら、それらのレーザスポットの動きのトレースは、概略図に表されているように、近接している(例えば、隣接するピクセル、または1ピクセル離れている)。レーザスポットのこのより大きな間隔は、
図4Cおよび
図5Bに記載のフレームの側辺の上に、および/または側辺に、対応してより大きいマージンを生成する。これらのマージンは、ここでは、縮尺外の概略図面での提示を明確にするために、ほとんどの図面で示されていない。
【0094】
図10は、特に2チャネルレーザ走査システムの例について、本発明のこの態様および他の態様を実施するのに好適なレーザドライバを概略的に示すブロック図を示す。画像は、CPUプロセッサ228によって受信または生成される。CPUはまた、アイトラッカ226から、観察者の注視方向を示す信号を受信することができ、それにより、関心領域を定義する。代替的に、関心領域は、投影される画像に関連する記録データ227から受信されるか、または画像データから直接導出される。CPUは、必要に応じて色忠実度の変更を定義し、画像をプリプロセッサ230(2つのレーザチャネルに対応する2つの別個のプリプロセッサを含み得る)に転送する。プリプロセッサ230は、特定のチャネルに関連する画像修正を行う。これは、白色バランスおよび連続的な色忠実度の変更を含む。ハードウェア232は、スキャナドライバ238からのミラー位置情報に従ってパルスを調整し、レーザドライバ234は、レーザ236への電力を駆動する。
【0095】
偏光解消
前置きとして、本発明のさらなる態様は、画像の照明が1つ以上のレーザから得られる場合、および、斜めに角度が付けられた部分反射内面および回折カップリングアウト構成に基づくカップリングアウトの場合のように、カップリングアウト構成がLOE内を伝播する光の偏光に敏感である場合における、導光光学素子(LOEまたは基板または導波路)からカップリングアウトされた画像の不均一性を低減するための光学アセンブリ、システム、および方法に関する。本発明のこの態様の原理は、1つ以上のレーザからの光によって照明される広範囲のディスプレイに適用可能であり、連続するピクセルを次々に照明するための変調レーザビームの高速走査に基づくディスプレイ、および、LCOS(シリコン上液晶)画像生成器またはマイクロミラー変調器などの空間光変調器(SLM)を照明するためにレーザ照明が使用されるディスプレイを含む。SLMを照明する場合、照明は、静的な「フラッド」照明であり得るか、またはSLMの表面にわたって走査される照明であり得る。
【0096】
偏光されていない光を導波路に注入すると、通常、均一な画像が生成される。(特定の光学設計の様々な制限により、投影画像内の暗い縞の追加の原因があり得るが、そのような問題は回避される適切な光学設計であり得、ここでは扱われない。)本発明の一態様によれば、効果的に無偏光の光は、ほぼ同じ波長であるが直交する偏光を有する2つの無相関レーザからの照明を導入することによって生成され得る。2つのレーザ間の波長の偏差(下記にさらに考察される)は、好ましくは、2つの波長が同じ色として色彩的に知覚されるように十分に小さい。
【0097】
図11Aは、観察者の目に向かって画像を投影するための二次元開口拡張を達成するための内部反射器の2つのセット250および252を有する導波路構成158を示している。プロジェクタからの光は、プリズム258を通じて導波路254に注入され、反射器250によって反射されるまで内部全反射(TIR)によって誘導される。方向転換された光は引き続き誘導され、反射器252は、観察者の目に出射光256を反射する。反射器250および252は偏光選択性である。導波路254に注入されるレーザ光の第1の偏光配向は、
図11Bに示すような不均一な画像、画像260を生成する。導波路254に注入された第2の直交偏光レーザ光は、別の不均一であるが相補的な画像262を生成する。2つの直交偏光レーザを同時に注入することにより、
図11Bの画像264に示すように、均一な画像が生成される。これらの2つの直交偏光レーザのカップルは、好ましくは、各色(R、G、およびB)に実装され、合計6つのレーザを必要とする。
【0098】
本明細書において与えられる例は、色ごとに2つのレーザからなる対に言及しているが、本発明はまた、同じ色の3つ以上のレーザを使用して実施され得る。偏光パラメータは、数学的に定義されたポアンカレ球上のベクトルとして説明するのが一般的である。直交偏光を有する2つのレーザビームの上記の定義は、ポアンカレ球上の2つの反対のベクトルを参照するものとして数学的に一般化することができ、それにより、ゼロの大きさの合成ポアンカレベクトルを有する。この同じ数学的記述を使用して、同じ色の3つ以上のビームに所望される相対偏光を定義して、合成ベクトルの大きさがゼロであるという要件も満たすことができる。このような合成は、「直交」とも呼ばれる。
【0099】
したがって、本発明のこの態様の特定の実施形態によれば、画像を視認者に表示するためのディスプレイは、少なくとも第1の色の照明を生成する照明サブシステムを有する画像生成器を含み、画像生成器は、照明を利用して画像を生成する。投影光学系が、視認者に表示するために、画像からの照明を投影する。本発明のこの態様の特定の実施形態の特定の特徴は、照明サブシステムが、第1の偏光を有する第1の色の第1のレーザビームを生成する第1のレーザと、第2の偏光を有する第1の色の第2のレーザビームを生成する第2のレーザと、を含み、第1の偏光および第2の偏光が、投影光学系内の少なくとも1つの位置において直交していることである。
【0100】
本発明の偏光解消態様の実施態様は、画像生成器および/または画像投影光学系が偏光素子を含むか否かに応じて、大きく2つのカテゴリに細分することができる。したがって、画像プロジェクタ内で、LCOS変調器など、またはPBSベースの光学系を使用する偏光修正空間光変調器を利用するデバイスは、光が画像生成器およびプロジェクタの最後の偏光素子を横断するまで、明らかに偏光解消を達成することができない。そのような例の1つが
図12に示され、ここで、PBS31に基づく光学系がコリメート画像プロジェクタの一部分として使用される。
【0101】
コリメート画像プロジェクタから現れる平面偏光レーザ照明の偏光解消を可能にするために、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームは、好ましくは、それぞれの波長において5%未満のわずかな差で実装される。この波長の差は、レーザの各対が同じ色として知覚されるのに十分に小さいが、画像照明がある長さの複屈折材料を伝播するときに偏光の異なる回転速度を提供するのに十分であり、それによって2つのレーザ成分が、それらの偏光面が実質的に直交するまで差動回転することを可能にする。
【0102】
図12の実施態様では、偏光解消器がPBS平面31の後の光路に配置される。このアーキテクチャでは、すべてのレーザの初期偏光方向は同じであるが(双頭矢印で示されている)、各色の2つのレーザの各対はわずかに異なる波長を有する(例えば、550ナノメートルの波長において9ナノメートルの差)。比較的薄い複屈折ウィンドウ266(例えば、主軸が45度にある1.7mm水晶)は、2つのレーザの相対偏光を90度離し(点および双頭矢印で示す)、したがって、画像264として知覚される相補的な画像260および262を生成する。2つの合成された画像のスペクトル(色)の差は目立たなくなる。
【0103】
異なる色のレーザは同じウィンドウを使用するため、すべての色のすべての2つのレーザ間のスペクトル差は、最も好ましくは、同じ長さにわたって約90度の偏光回転を達成するように設定される。例えば、1.7mmの水晶ウィンドウを使用する場合、最適な非限定例では、640nmの波長について12nm、550nmについて9nm、470nmの波長について7nmのスペクトル差を利用する。
【0104】
このために、導波路の配向(垂直および平行)に従って2つの(ここでは直交する)偏光が配向される場合、この配向を設定するために、波長板をウィンドウ266に隣接して導入することができることが最善である。
【0105】
場合によっては、2つのレーザの偏光の垂直性がドリフトするか、または他の様態で不正確になる場合がある。任意選択的に、そのような場合、複屈折結晶に加えて、アクティブ偏光回転子(例えば、LCD)をウィンドウ266に導入することができる。
【0106】
それらの間に波長の事前定義された小さいオフセットを有するレーザの対を生成するために、いくつかのオプションが利用可能である。これらは以下を含む。
1.構造変更:
1.1.波長選択共振器:レーザ共振は、選択ミラーまたは格子などの波長選択光学系を共振器に導入することにより、異なる波長で共振するように設定することができる。
1.2.外部フィードバック:光を反射して共振器に戻す外部空洞光反射器(ミラーまたは格子)を使用して、レーザを事前定義された波長でアクティブにすることもできる。
2.活性化パラメータの変更:
2.1.温度:異なる温度で2つのレーザを安定させることによって、2つの異なる波長での伝送が可能になる。
2.2.異なる動作電流:各レーザの電流が、波長をシフトさせる。例えば、一方のレーザは短くて狭いパルスを伝送することができ、他方のレーザはより低い強度でより長いパルスを伝送することができる。
3.利得媒体の変更:
3.1.半導体レーザのバンドギャップを変更することによって、レーザ波長が変更される。ドーピングをわずかに変更して、これを達成することができる。
3.2.レーザ自体のコーティング層構造(例として量子ドット構成)が、レーザ出力波長を変更する。
【0107】
使用する複屈折材料の選択は、波長差の大きさ、および、偏光の必要な直交化を達成するために利用可能な光路長に依存する。特定の実施態様では、水晶のブロックが材料の好ましい選択である。様々な複屈折ポリマー材料もまた、好適である。
【0108】
図12の構成は、光が最後の偏光ビームスプリッタ(PBS)を離れた後、複屈折材料内の比較的短い光路を使用して2つの成分の直交偏光を達成するために、前述の波長オフセットを必要とする。プロジェクタ内にPBSベースの光学系を使用することによって、本質的に偏光出力が生成され、したがって、直交偏光は、光学構成の後続の段階でのみ生成することができる。対照的に、
図13Aは、画像照明を走査(関連する場合)、方向付け、およびコリメートするために、自由空間光通信などの非偏光光学系を利用する構成を示している。この場合、直交偏光を有するレーザビームの対を単一のビームに合成することからなる複合ビームを生成することが実現可能になり、2つのビームに同じ波長を使用することができるようになる。この場合、前述のように軸を導波路の主軸と位置整合する一部の場合を除いて、通常、導波路に入るときにビームの偏光特性をさらに変更する必要はない。
【0109】
したがって、
図13Aは、コリメート光学系276に偏光成分を組み込んでいない光学系の場合を示している。RGBレーザ光P偏光の1つのセットが、波長板268によって回転されてS偏光(点で示す)され、一方、他方のレーザセットはP偏光(双頭矢印として示す)においてPBS270に伝送される。この点から光学系全体にわたる光は両方の偏光を含み、偏光解消器は必要ない。
【0110】
RGBレーザのすべてのセットの組み合わせは、ダイクロイックコンバイナ20(図示のとおり)を含むことができ、または、PBS 270のすべての側辺に並べて配置することができ、それによって、
図13B(PBSに合成されたレーザのみを示す)に示すような別個の並んだスポットが生成される。
図6Bに示されるレーザアセンブリ19Cのように6つのレーザすべてが並んでいて、
図6Aに示されるようなスポットを有する場合にも、同等の偏光解消を達成することができる。
【0111】
2つのレーザを組み合わせることによる偏光解消の本発明は、レーザを使用して、振幅もしくは位相変調LCOS(偏光感受性)などの画像生成マトリックス、またはTexas InstrumentによるDigital Light Processing(DLP)などのマイクロミラーマトリックスをフラッド照明または走査する場合にも適用可能である。
【0112】
走査用途では、レーザが同じ光学開口(スキャナミラー)を通じて視野を走査するという事実により、2つの直交偏光レーザが重なり合うビームを有する必要性が軽減される。それにより、偏光解消は、
図12に示されるように構成162に適用可能である。この図では、構成162は、
図2Aのデバイス100と同等のアーキテクチャを示しており、これは、レーザアセンブリ19Cと、コリメート光学系と出力開口34との間に配置された追加の複屈折ウィンドウ266を有する。
【0113】
図14は、本発明の一実施形態の教示によるさらなるディスプレイの実施態様を示している。この場合、レーザ部分280は、レンズ282によってコリメートされ、スキャナ24および25によって走査される(この図面では、単一の2軸スキャナが提示されている)。スキャナからの光は、光学系284によってLCOS286に集束される。LCOSから、反射光はLOEへの入口である出口開口34にコリメートされる(ここでは原寸に比例しない)。この例では、光学系は偏光ビームスプリッタに基づいており、したがって、
図12を参照して説明したように、同じ知覚色で、同じ偏光の波長微分レーザのレーザ部分280の対に導入することによって偏光解消が実行される。ここでは、複屈折ウィンドウ266がPBSの直後に配置されている。
【0114】
PBSを使用しない同等のシステムを、DLP構成を使用して実装することができ、光学部分は、
図13Aまたは
図13Bに示されるレーザと同等であり得る。選択的な偏光回転を有する並んだレーザを実装することもできる。
【0115】
PBSの直後に投影光学系の一部分として複屈折偏光解消ウィンドウが配備された状態で上に示されているが、複屈折構成要素は、代替的に、導波路と統合され得る。このような実施態様は、ここで
図15Aに示されている。この実施態様により、複屈折材料の比較的長い偏光解消ブロックを使用することが可能になり得、これにより、単一のレーザビームでも(前述の波長オフセットなしで)効果的な偏光解消を達成することができる。
【0116】
したがって、
図15Aは、導波路250に統合された複屈折部分280の実装を示し、それによって、比較的長い光路にわたって偏光解消(または偏光回転)が達成される。注入された光は、複屈折材料280の透明部分に取り付けられた結合プリズム258に入る。その後、光は反射ファセットを含む部分250に渡される。複屈折部分280の主軸282の配向(
図15B)は、導波路配向の主軸に平行でなければならず、レーザ照明は、それらの軸に対して約45度の偏光面で導波路に注入されるべきである。
【0117】
部分280に入る光は、偏光170(PおよびS偏光)に示されるように、すべての偏光の屈折率に従って屈折する。主軸が直交しているため、TIRは偏光間の結合を引き起こさない。光が複屈折部分280を出て次の部分250に入ると、2つの偏光の光ビームは再び平行になる。複屈折部分における比較的長い伝播を使用して、スペクトル幅が狭いにもかかわらず、単一のレーザ光ビームでも偏光解消を効果的に達成することができる。
【0118】
上記の説明は例としてのみ役立つことを意図し、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内で多くの他の実施形態が可能であることが理解される。