(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】超低磁場緩和分散のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20250306BHJP
G01N 24/00 20060101ALI20250306BHJP
G01R 33/381 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
A61B5/055 331
A61B5/055 370
G01N24/00 600B
G01N24/00 600H
G01R33/381
(21)【出願番号】P 2021547329
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(86)【国際出願番号】 US2020018352
(87)【国際公開番号】W WO2020168233
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-16
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521355832
【氏名又は名称】プロマクソ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】デ・マトス・ゴメス、ミュラー・フランシス
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-508857(JP,A)
【文献】特表2001-511597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0313420(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0010497(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0155659(US,A1)
【文献】米国特許第06489767(US,B1)
【文献】特表2018-505009(JP,A)
【文献】特表2018-505751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0103890(US,A1)
【文献】Fast field-cycling magnetic resonance imaging,D. J. Lurie et al.,Comptes Rendus Physique,2010年07月27日,Vol. 11, Issue 2,pp. 136-148,DOI: 10.1016/j.crhy.2010.06.012
【文献】M. Boedenler et al.,Comparison of fast field-cycling magnetic resonance imaging methods and future perspectives,Molecular Physics,英国,Taylor & Francis,2018年12月18日,Vol. 117, Issue 7-8,pp. 832-848,DOI: 10.1080/00268976.2018.1557349
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01N 24/00 - 24/14
G01R 33/20 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の視野に静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石と、
前記静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加するように構成された無線周波数コイルと、
前記静的外部磁場に近接して配置される磁場循環磁石と、
を備える磁気共鳴システムであって、
当該磁気共鳴システムが片面式磁気共鳴撮像システムである、磁気共鳴システム。
【請求項2】
前記静磁場磁石がその中心にボアを備え、該ボアの直径が1インチ乃至20インチである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記所与の視野が球形または円筒形の視野であり、前記球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり、または前記円筒形の視野は長さが2インチ乃至20インチである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記静的外部磁場が10mTから1Tまでにわたる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記循環無線周波数磁場が1μTから1mTまでにわたる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記磁気共鳴システムが、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
所与の視野に静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石と、
前記静磁場磁石に近接して配置され前記静磁場磁石と同心である磁場循環磁石と、
を備える磁気共鳴システムであって、
当該磁気共鳴システムが片面式磁気共鳴撮像システムである、磁気共鳴システム。
【請求項8】
前記静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加するように構成された無線周波数コイルをさらに備える、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記磁場循環磁石が、前記無線周波数コイルが使用されていないときに前記静的外部磁場を変化させるように構成される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記静的外部磁場が10mTから1Tまでにわたる、請求項
7に記載のシステム。
【請求項11】
前記磁場循環磁石の磁場強度が0.5mT乃至1Tである、請求項
7に記載のシステム。
【請求項12】
前記磁気共鳴システムが、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備える、請求項
7に記載のシステム。
【請求項13】
所与の視野に静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石と、
無線周波数コイルと、
磁場循環磁石と、
を備える磁気共鳴システムであって、
当該磁気共鳴システムが片面式磁気共鳴撮像システムである、磁気共鳴システム。
【請求項14】
前記静磁場磁石がその中心にボアを備え、該ボアの直径が1インチ乃至20インチである、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
前記所与の視野が球形または円筒形の視野であり、前記球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり、または前記円筒形の視野は長さが2インチ乃至20インチである、請求項
13に記載のシステム。
【請求項16】
前記磁場循環磁石が、前記無線周波数コイルが使用されていないときに前記静的外部磁場を変化させるように構成される、請求項
13に記載のシステム。
【請求項17】
前記静的外部磁場が10mTから1Tまでにわたる、請求項
13に記載のシステム。
【請求項18】
前記静的外部磁場が20mTから100mTまでにわたる、請求項
13に記載のシステム。
【請求項19】
前記磁気共鳴システムが、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備える、請求項
13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、「SYSTEMS AND METHODS FOR ULTRALOW FIELD RELAXATION DISPERSION」と題して2019年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/806,664号の優先権および利益を主張し、その内容全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される実施形態は、例えば磁気共鳴画像法(MRI)によって、組織標本および患者を撮像するシステムおよび方法を一般的に対象とする。
【背景技術】
【0003】
周知のように、MRIシステムの有効性は、そのシステムが画像中に高品質のコントラストを生成し、それにより相異なる種類の組織同士を、および/または単一種類の組織内での変化を、より良好に区別する能力と強く相関付けることができる。相異なる個別のボクセルのコントラストの差が大きいほど、医師はより容易に診断を行うことができる。したがって、できるだけコントラストを強めることができるシステムを開発することが業界における周知の要望である。コントラストは組織の緩和時間に依存する。これを拡張すれば、相異なる組織の緩和時間は磁場の関数として変化するので、MRIシステムが変動磁場を用意すれば、画像のコントラストをより良好に最大化することができる。
【0004】
従来の手段を用いて磁場循環(field cycled)MRIを生成することは一般に実現不可能であることも周知である。このため、磁場循環を容易にするためにさまざまな方法が使用可能である。相異なる磁場を生成する1つのこのような方法はスピンロッキングである。MRIシステムの大多数は組織の部分をスピンロックすることができるが、そうすることが常に実用的とは限らない。さらに、現在のMRIシステムは一般に、生体内でではなく、切除した組織をスピンロックする。スピンロッキングは、組織が受ける可能性のある任意のオフセットよりも大きい磁場によって磁化が影響されることを必要とし、その結果、大量のエネルギーが組織に蓄積され得る。高磁場では、スピンロッキングに必要な強さは比吸収率(SAR)標準が許容するよりも大きくなり、MRIスキャン中に極めて大量のエネルギーを人体に浴びせる可能性がある。
【0005】
循環磁場を生成する別の方法は、周辺装置を使用して視野内で静磁場を変化させることである。その場合、例えば、既に窮屈な従来のMRIスキャナのボアへの挿入物が必要となる。スキャナを破壊することなくMRIスキャナ室に強磁性(強磁性コアは電磁石の強さを増大させることができる)であることが多い電磁石を単に挿入することは困難であることが知られている。従来のMRIスキャナは一般に、強磁性材料に対して極めて大きい力を及ぼす。鋼鉄製レンチ程の小さいものをスキャナから取り出すことさえ困難であり、磁場をオフにすることが必要な場合があるが、これは高価なプロセスである。
【0006】
これらの短所があるため、例えばスピンロッキングや周辺装置を追加するなどの方法を使用して磁場を効果的に循環させることによって画像内のコントラストを最大化する、現在は実現可能でないMRIシステムおよび方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
さまざまな実施形態によれば、磁気共鳴システムが提供される。磁気共鳴システムは、所与の視野に低い静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石と、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加するように構成された無線周波数コイルと、を含む。磁気共鳴システムは、静磁場磁石に近接して配置され静磁場磁石と同心である磁場循環(field cycling)磁石をさらに含む。磁場循環磁石は、低い静的外部磁場を変化させるように構成される。磁気共鳴システムは、片面式(single-sided)磁気共鳴撮像システムである。
【0008】
さまざまな実施形態によれば、磁気共鳴システムが提供される。磁気共鳴システムは、所与の視野に低い静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石と、静磁場磁石に近接して配置され静磁場磁石と同心である磁場循環磁石と、を含む。磁気共鳴システムは、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加するように構成された無線周波数コイルをさらに含む。磁気共鳴システムは、片面式磁気共鳴撮像システムである。
【0009】
さまざまな実施形態によれば、磁気共鳴システムが提供される。磁気共鳴システムは、所与の視野に低い静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石と、無線周波数コイルと、磁場循環磁石と、を含む。無線周波数コイルは、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加するように構成される。磁場循環磁石は、所与の視野内で低い静的外部磁場を変化させるように構成される。磁気共鳴システムは、片面式磁気共鳴撮像システムである。
【0010】
さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁気共鳴システムを動作させる方法が提供される。本方法は、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成された静磁場磁石を用意することと、所与の視野に低い静的外部磁場を印加することと、循環無線周波数磁場を生成するように構成された無線周波数コイルを用意することと、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加することと、システムから画像を収集することと、を含む。本方法は、磁場循環磁石を用意することと、所与の視野内で低い静的外部磁場を変化させることと、をさらに含む。磁気共鳴システムは、片面式磁気共鳴撮像システムである。
【0011】
さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁気共鳴システムを動作させる方法が提供される。本方法は、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成された静磁場磁石を用意することと、所与の視野に低い静的外部磁場を印加することと、磁場循環磁石を用意することと、所与の視野内で低い静的外部磁場を変化させることと、システムから画像を収集することと、を含む。本方法は、循環無線周波数磁場を生成するように構成された無線周波数コイルを用意することと、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加することと、をさらに含む。磁気共鳴システムは、片面式磁気共鳴撮像システムである。
【0012】
さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁気共鳴システムを動作させる方法が提供される。本方法は、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成された静磁場磁石を用意することと、所与の視野に低い静的外部磁場を印加することと、循環無線周波数磁場を生成するように構成された無線周波数コイルを用意することと、磁場循環磁石を用意することと、所与の視野内で低い静的外部磁場を変化させることと、システムから画像を収集することと、を含む。本方法は、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加することをさらに含む。磁気共鳴システムは、片面式磁気共鳴撮像システムである。
【0013】
これらおよび他の態様および実装形態が以下で詳細に説明される。上記の情報および下記の詳細な説明は、さまざまな態様および実装形態の説明的な例を含み、特許請求の範囲に記載される態様および実装形態の性質および特徴を理解するための概要または枠組を提供する。図面は、さまざまな態様および実装形態の例示およびさらなる理解を提供し、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は縮尺通りに描かれることを意図していない。さまざまな図面における同様の参照番号および符号は同様の要素を示す。明確さのため、あらゆる構成要素があらゆる図面でラベル付けされているとは限らない。
【0015】
【
図1】さまざまな実施形態による、さまざまな種類の組織の緩和分散を示すプロット図である。
【0016】
【
図2】さまざまな実施形態による、さまざまな種類の組織の緩和分散を示すプロット図である。
【0017】
【
図3】さまざまな実施形態による、さまざまな回転相関時間を有する分子の緩和分散を示すプロット図である。
【0018】
【
図4】さまざまな実施形態による、磁場循環磁気共鳴システムの概略図である。
【0019】
【
図5A-5B】さまざまな実施形態による、例示的な磁場循環磁気共鳴システム500の斜視図である。
【0020】
【
図6A】さまざまな実施形態による、例示的な磁場循環磁気共鳴システムの側面図である。
【0021】
【
図6B】さまざまな実施形態による、
図6Aの例示的な磁気共鳴撮像システムの正面図である。
【0022】
【
図7】さまざまな実施形態による、磁場循環磁気共鳴システムを動作させる例示的な方法のフローチャートである。
【0023】
【
図8】さまざまな実施形態による、磁場循環磁気共鳴システムを動作させる例示的な方法の別のフローチャートである。
【0024】
【
図9】さまざまな実施形態による、磁場循環磁気共鳴システムを動作させる例示的な方法の別のフローチャートである。
【0025】
図は必ずしも縮尺通りには描かれず、また、図中の物体は相互の関係において必ずしも縮尺通りには描かれていないと理解すべきである。図は、本明細書に開示される装置、システム、および方法のさまざまな実施形態に明確さおよび理解をもたらすことを意図した図示である。可能である限り、同一の参照番号は図面を通じて同一または同様の部分を指すために使用される。さらに、図面はいかなる意味でも本教示の範囲を限定することを意図していないと認識されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
さまざまな実施形態の以下の説明は例示的および説明的なだけであり、いかなる意味でも限定的または制限的なものと解釈されてはならない。本教示の他の実施形態、特徴、目的、および利点は、この説明および添付の図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0027】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、それらのさまざまな実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0028】
本明細書で言及されるすべての刊行物は、当該刊行物に記載され本開示との関連で使用可能なデバイス、組成物、配合物および方法を説明し開示する目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「備える」、「含有する」、「有する」、「含む」およびそれらの変種は、限定的であることを意図しておらず、包括的または非限定的であり、追加的な、列挙されていない添加物、成分、整数、要素または方法ステップを排除しない。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、システム、組成物、キット、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されず、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、システム、組成物、キット、または装置に固有の他の特徴を含み得る。
【0030】
同位体水素1の核磁気共鳴(NMR)緩和は、主として、関心のある物体内のスピン間の双極子結合のランダム変調の結果である。緩和速度は、測定されている緩和の種類および緩和に寄与する運動に依存する。磁気共鳴撮像法(MRI)において、信号は主として体内の水によって発生される。この水の緩和を特徴づけるランダム回転拡散はその時間スケールで変動し得る。脳脊髄液、尿、または血液に見出される水などの自由水は、正確な数値は流体の粘度とともに変化するが、10ピコ秒のオーダーの相関時間で回転的に拡散する。体内のすべての水が自由とは限らず、実際には人体内には結合水があり得る。
【0031】
水が組織と接している場合、その水のうちのある割合がその組織と相互作用する可能性がある。この相互作用は、組織を構成するタンパク質との結合の形態をとり得る。これらのタンパク質は多くの場合、水分子を受容可能な空洞を有する。これらの空洞は一般に、その中に束縛される水の運動を制約するのに十分なほど小さい。空洞内の水の運動は、関連する空洞内の水分子の全体的な回転相関時間を変化させるほど十分に制約され得る。したがって、結合水の回転相関時間は、それが結合されているタンパク質の回転相関時間に近づく。
【0032】
この結合水は、自由水の緩和速度よりもずっと遅い速度で緩和する。この結合水は自由水との交換も行う。この交換の時間スケールはマイクロ秒のオーダーである。したがって、任意の所与の組織標本において、結合水および自由水という水の2つの集団があり、これらの2つの集団が交換し合っている。結果として、ゆっくりと緩和する自由水は、急速に緩和する結合水と絶えず混合している。自由水および結合水はスペクトル的または空間的に区別できないため、スキャナで測定される水は全体的な緩和時定数で緩和する。この緩和時定数は、水と結合するタンパク質の回転相関時間によって特徴づけられ、数十~数百ナノ秒の範囲である。
【0033】
したがって、数十ピコ秒のオーダーの回転相関時間を有する自由水と、数十ナノ秒の回転相関時間を有する結合水との間には回転相関時間の大きな差がある。この相関時間の差は、水の緩和分散、したがって組織の緩和分散に影響を及ぼす。緩和分散の効果をさらに明らかにするため、以下で示す
図1、
図2、および
図3は、相異なる組織タイプおよび標本の例示的な緩和分散に対するさまざまな測定値を示している。
【0034】
図1は、さまざまな実施形態による、さまざまな種類の組織の緩和分散を示すプロット
図100である。プロット
図100は、図中に示すように、さまざまな種類の組織の緩和分散を示している。
図1に見られるように、組織の緩和時間は、ラーモア周波数(磁場の周りの陽子または電子の磁気モーメントの歳差運動周波数)の関数として急激に変化し得る。類似の緩和時間を有する組織が区別できるようにラーモア周波数を変化させることが有用であり得る。ラーモア周波数の関数としての緩和時間の変動は緩和分散として知られている。標本の緩和分散を測定することは、そのダイナミクスを特徴づけ、他の種類の標本から区別するための鋭敏な方法である。さらに、同じく
図1が示すように、いくつかの組織は高周波数(すなわち、高磁場)で互いに密接に類似する可能性があり、したがって区別が困難であるが、それらの同じ組織はより低い周波数ではより大きく相違する可能性があり、したがってより大きいコントラストが見込まれるため、一見類似する緩和時間の組織間で区別をする能力がより大きくなる。
【0035】
次に
図2を参照すると、
図2は、さまざまな実施形態による、さまざまな種類の組織の緩和分散を示すプロット
図200である。プロット
図200は、図中に示すように、さまざまな種類の組織の緩和分散を示している。しかし、プロット
図200は、この概念をより詳細に論じるために、同じ組織タイプについて健常組織と腫瘍性組織を比較することによって、さまざまな磁場周波数にわたる緩和時間の変動を示している。
図2を参照すると、腫瘍性筋組織と健常筋組織の緩和時間を比較することができ、健常脾臓組織と腫瘍性脾臓組織についても同様である。直ちに明らかなように、ある組織タイプの緩和は、その健常性(健常か腫瘍性か)によって変化する可能性があり、それらの差はより高周波数(すなわち、高磁場)で収束する。したがって、健常組織と腫瘍性組織との間の差の同定は、より低い周波数、またはより低磁場で磁気共鳴画像を収集することによって改善することが可能である。
【0036】
図3は、さまざまな実施形態による、さまざまな回転相関時間を有する分子の緩和分散を示すプロット
図300である。プロット
図300は、図中に示すように、相異なる回転相関時間での緩和速度を示している。自由水分子は短い相関時間を有するのに対して、結合水はより長い相関時間を有する。このことから、自由水が長い緩和時間を有すること、および、その時間はさまざまな磁場にわたって安定していることの両方の結果が得られる。他方、結合水の緩和時間は、磁場に対してより鋭敏な依存性を有する。
【0037】
上記のように、MRIシステムの有効性は、そのシステムが画像内に高品質のコントラストを生成し、それにより相異なる種類の組織同士および/または単一種類の組織内での変化をより良好に区別する能力と強く相関付けることができる。相異なる個別のボクセルのコントラストの差が大きいほど、医師はより容易に診断を行うことができる。MRIにおけるボクセルの強度は、例えば、そのボクセルに関連する空間の部分における水の緩和特性に依存する。類似の緩和時間を有するボクセルは、選択される撮像プロトコルによるが、類似の強度を有する。相異なる緩和時間を有するボクセルは互いにコントラストを成す。あるボクセルを強度において他のボクセルから相違させることには多くの変数が寄与する。例えば各ボクセルの組織組成の差が、コントラストへの重要な寄与である。
【0038】
標本および患者の緩和分散を測定する多くの既存の方法がある。それらの方法は、静磁場循環および有効磁場循環の2種類に大別することができるが、その両方とも従来のMRIスキャナに実装するのは困難である。
【0039】
静磁場循環は、標本または患者の緩和分散を測定する最も直接的な方法である。磁場循環は、磁気共鳴において外場の大きさをスキャンの一部で変化させる技術である。磁場循環は一般に、関心のある領域にわたって相対的に一様な磁場を生成することができる電磁石を用いて行われ、磁場はさまざまな大きさに設定可能である。これらのデバイスは一般に、信号取得のために使用される単一の磁場を有し、他の可能な磁場は、信号上に何らかの情報を符号化するために予約される。
【0040】
磁場循環スペクトロメータを用いて行われる例示的な実験は、いくつかのステップで実現可能である。まず、外部磁場を、電磁石が到達および維持することができる最高値まで増大させる。これは偏極磁場と考えられ、標本の核スピン偏極を増大させ、したがって信号対雑音比を増大させる。標本が偏極した後、外部磁場を、標本の緩和分散を所望の状態にする値まで減少させる。その後、標本の相異なる部分の信号の大きさがそれらの相異なる緩和時間によって分岐するのに十分な時間の間、標本を緩和させることができる。標本がそれらの緩和時間で符号化された後、磁石と併用される共鳴無線周波数コイルが同調しているいずれかの周波数まで外部磁場を再び増大させる。このプロセスが、全体的な緩和分散曲線がサンプリングされるまで、符号化磁場を毎回変化させて数回繰り返される。しかし、この方法は、数百ミリテスラ(mT)だけ外部磁場を急速に増減するように設計された強力な電磁石を必要とする。
【0041】
緩和符号化のために使用される磁場の大きさを循環させる方法であって、外部磁場を変化させることを必要としない方法も存在する。すべての磁気共鳴撮像法(MRI)および核磁気共鳴(NMR)スキャナは、スキャン装置の一部として、同調無線周波数コイルを有する。これらのコイルは、共鳴磁場を標本に印加し、磁場の実効的な強さおよび向きを変化させる。例えば、従来のMRIは、3テスラ(T)に等しい静磁場と、数十マイクロテスラ(μT)のオーダーの振動磁場を生成することができる無線周波数コイルとを有する。しかし、無線周波数コイルがオンにされ、標本のラーモア周波数で振動する磁場を生成するように設定されると、標本は無線周波数磁場の大きさに等しい有効磁場を受ける。静磁場は、パルス状無線周波数磁場によって相殺される。これを用いて、ある種の緩和分散を測定することができる。標本または患者は、無線周波数コイルによって生成される有効磁場で緩和させることが可能である。無線周波数磁場の大きさは、電磁石の磁場と同様に磁場を循環させるように変化させることができ、標本の緩和分散を調べることが可能となる。これは、スキャナに電磁石を設置するよりもかなり少ないハードウェア変更しか必要としないことに加えて、磁場の範囲がはるかに限定されている。MRIスキャナの場合、磁場範囲は1~1000μTとなる。NMRスペクトロメータは数十mTに到達し得る。
【0042】
場合によって使用される磁場循環のためのいくつかの他の方法がある。より新しいNMRスペクトロメータは一般に、磁石のフリンジ磁場内に標本を出し入れする能力を有する。NMRで使用される磁石は7.9T~23Tの範囲で変えることができる。スキャナとともに販売されている各磁石は1つの磁場にあると言われ、一般に陽子のラーモア周波数に変換される。しかし、超伝導磁石によって生成される磁場は強い勾配を有する。この勾配はフリンジ磁場と呼ぶことができ、磁石の視野から離れるにつれて磁石の規定磁場から地球磁場まで変化する。いくつかのより新しいスペクトロメータは、このフリンジ磁場を利用する機能を有する。スペクトロメータは、視野からフリンジ磁場内に標本を移動させ、そこで標本はずっと低い磁場で緩和することができる。そして標本は検出のために再び視野内に戻される。
【0043】
磁場循環のための別の方法は、単に相異なるスキャナを使用して相異なる磁場でMRIスキャンを実行することである。いくつかの施設は、1T、3Tおよび7Tのスキャナ(これらは一般に最もありふれた磁場と考えられる)へのアクセスを有し得る。各スキャナを用いて身体の同じ部分の画像を収集することが可能であり、緩和分散に関する情報をそこから導出することが可能である。分散のほとんどは10MHz未満で起こるため、あまり分散が同定されない可能性があるが、コントラストの差は顕著である。しかしこれは、複数のスキャンを実行すること、および複数の磁場強度で複数のスキャナを購入し維持する財源を有することのために、相当の時間およびコストを必要とする。
【0044】
上記のように、および上記のいくつかの既知の例示的方法によって証明されるように、従来の手段を用いて磁場循環MRIを生成することは一般に実現不可能である。MRIシステムの場合、相異なる磁場を生成する潜在的に有効な方法は、スピンロッキングのプロセスである。
【0045】
スピンロッキングは、印加された共鳴磁場と同じ軸に沿って磁化が保持されるときに生成することができる。これは、磁化と同じ軸に沿って無線周波数パルスを印加することによって行うことができる。その結果、これは、スピンロッキングパルスが印加される限り、横磁化が位相を取得することを防止することができる。これはまた、スピンロックされた磁化の緩和特性を変化させる。磁化の緩和特性は2つの方法で変化し、その一方は低磁場システムにとって重要である。緩和にとって重要な変化は、スピンロックされた磁化が、スピンロッキングのために使用される振動磁場に大きさが等しい静磁場中にあるかのように緩和することである。無線周波数パルスは一般にマイクロテスラ(μT)単位であり、偏極のために使用される磁場は一般に数十ミリテスラ(mT)から数十テスラであるため、スピンロッキングによって、他の方法でアクセス可能であるよりもコントラストがずっと大きい磁場で組織を緩和させることが可能となる。スピンロッキングパルスを用いて測定される緩和時間はT1rhoと呼ばれる。
【0046】
MRIシステムの大多数は組織の諸部分をスピンロックすることができるが、そうすることが常に実用的とは限らない。さらに、現在のMRIシステムは一般に、生体内の組織ではなく、切除した組織を有効にスピンロックすることができる場合がある。スピンロッキングは、組織が受ける可能性のある任意のオフセットよりも大きい磁場によって磁化が影響されることを必要とする。高磁場では、スピンロッキングに必要な強さは比吸収率(SAR)標準が許容するよりも大きくなり、MRIスキャン中に極めて大量のエネルギーを人体に曝露する可能性がある。外部磁場が高いほど、より多くのエネルギーが無線周波数コイルによって蓄積される。SARのスケーリングは次に示される。
【数1】
【0047】
再び、上記のように、および上記のいくつかの既知の例示的方法によって証明されるように、従来の手段を用いて磁場循環MRIを生成することは一般に実現不可能である。MRIシステムの場合、相異なる磁場を生成する潜在的に有効な別の方法は、MRIスキャナのボアに挿入物(または周辺装置)を提供することであり、ボアは例えば、スキャンプロセス中に患者を収容する全身MRIスキャナ内の開口部、または特定の身体部分を収容する携帯型もしくは診療現場型スキャナ内の開口部である。
【0048】
出願人は、低磁場MRIスキャナのための特定のMRI(またはスペクトロメータ)設計(例えば、片面式MRI設計)を提供して磁場循環を容易にすることにより、効果的なスピンロッキングによって画像コントラストを改善することができることを見出した。したがって、スピンロッキングは、エネルギー量が上記のようなSAR基準をしばしば超過する可能性のある、標準的なMRI機械でのかようなスピンロッキング方法に対応した大量のエネルギーに身体を曝露せずに、行うことが可能である。また出願人は、低磁場MRIスキャナのための特定のMRI(またはスペクトロメータ)設計(例えば、片面式MRI設計)を提供することにより、磁場循環を支援して画像コントラストを改善するのにも十分な近い距離でボア内に挿入物または周辺装置を効果的に追加することができることをさらに見出した。
【0049】
図4は、さまざまな実施形態による、磁場循環磁気共鳴システム400の概略図である。さまざまな実施形態によれば、システム400は片面式磁気共鳴撮像システムである。さまざまな実施形態によれば、システム400は磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを含み得る。
図4に示すように、システム400は静磁場磁石420を含む。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石420は、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、組織標本は、検査対象者の任意の解剖学的部分であり得る。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石420は並列構成で複数の円筒形永久磁石を含み得る。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石420はその中心にボアを含み得る。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石420はボアを含まなくてもよい。さまざまな実施形態によれば、ボアは1インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、ボアは、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、所与の視野は球形または円筒形の視野であり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの長さを有し得る。
【0050】
図4に示すように、システム400は無線周波数コイル440を含み得る。さまざまな実施形態によれば、無線周波数コイル440は循環無線周波数磁場を生成するように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、無線周波数コイル440はスピンロッキングのために使用され得る。さまざまな実施形態によれば、無線周波数コイル440は、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加するように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、循環無線周波数磁場は1μTから1mTまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、循環無線周波数磁場は100μTから900μTまでわたり得る。
【0051】
図4に示すように、システム400は磁場循環磁石460を含み得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は低い静的外部磁場に近接して配置され得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は静磁場磁石420に近接して配置され得る。例えば、磁場循環磁石460は静磁場磁石420の前、後ろ、または中央に配置され得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は静磁場磁石420と同心であり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石であり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は、静磁場磁石によって発生される磁場に追加または減少する磁場を生成するように構成されたソレノイドコイルであることが可能であり、相異なる磁場での緩和符号化が見込まれる。
【0052】
さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は磁石の中心に開口部を含み得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングであり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は複数の磁石を含むことが可能であり、これら複数の磁石は、リング構成、またはこれら複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は0.5mTから1Tの磁場強度を有し得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460は5mTから195mTの磁場強度を有し得る。
【0053】
図5Aおよび
図5Bは、さまざまな実施形態による、例示的な磁場循環磁気共鳴システム500の斜視図である。さまざまな実施形態によれば、システム500は、例えば、本明細書に開示されるような磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備える片面式磁気共鳴撮像システムを含む、任意のMRIシステムであり得る。
【0054】
図5Aおよび
図5Bに示すように、システム500は、無線周波数磁場を生成するための例えば磁石、電磁石、コイルを含むがそれらに限定されないさまざまな構成要素と、システム500の例えば制御、電源供給、および/または監視のためのものであるがそれらに限定されないさまざまな電子的構成要素とを収納することができるハウジング510を含む。さまざまな実施形態によれば、ハウジング510は、例えば静磁場磁石420、無線周波数コイル440、および/または磁場循環磁石460をハウジング510内に収納し得る。さまざまな実施形態によれば、システム500は、例えば静磁場磁石420、無線周波数コイル440、および/または磁場循環磁石460などであるその磁気的構成要素の中心にボア520をも含む。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460はボア520内に挿入され得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460はボア520に近接して配置され得る。例えば、磁場循環磁石460はボア520の前、後ろ、または中央に配置され得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石460はボア520に近接して、またはボア520の入口部に配置され得る。さまざまな実施形態によれば、ボア520は1インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、ボア520は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、システム500はボアを含まなくてもよい。
【0055】
さまざまな実施形態によれば、システム500は、
図5Bに示されるような所与の視野530内の組織標本を撮像するように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、所与の視野530は3次元(3D)体積測定空間であり、そこで人の任意の解剖学的部分を含むがそれに限定されない組織標本が検査、評価、および/または撮像の対象になる。さまざまな実施形態によれば、所与の視野530は球形または円筒形の視野であり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの長さを有し得る。さまざまな実施形態によれば、例えば静磁場磁石420、無線周波数コイル440、および/または磁場循環磁石460などの磁気的構成要素は、所与の視野530における検査、評価、および/または撮像中に発生および/または増強するように構成される。
【0056】
図5Bに示すように、所与の視野530は、システム500のボア520に近接するか、またはボア520の前にある表面515の近くに存在する。さまざまな実施形態によれば、表面515は、曲面、平面、凹面、凸面であるか、またはその他の曲がった表面である。
【0057】
図6Aは、さまざまな実施形態による、例示的な磁場循環磁気共鳴システム600の側面図である。
図6Bは、例示的な磁場循環磁気共鳴システム600の正面図である。さまざまな実施形態によれば、システム600は、例えば、本明細書に開示されるような磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備える片面式磁気共鳴撮像システムを含む、任意のMRIシステムであり得る。
【0058】
図6Aおよび
図6Bに示すように、システム600は、無線周波数磁場を生成するための例えば磁石、電磁石、コイルを含むがそれらに限定されないさまざまな構成要素と、システム600の例えば制御、電源供給、および/または監視のためのものであるがそれらに限定されないさまざまな電子的構成要素とを収納することができるハウジング610を含む。さまざまな実施形態によれば、ハウジング610は、例えば静磁場磁石420および/または無線周波数コイル440をその内部に収納し得る。さまざまな実施形態によれば、システム600はその中心にボア620をも含む。
図6Aおよび
図6Bに示すように、ハウジング610は、システム600の前部612、後部614、および表面615をも含む。さまざまな実施形態によれば、表面615は、曲面、平面、凹面、凸面であるか、またはその他の曲がった表面である。
【0059】
さまざまな実施形態によれば、システム600は、
図6Bに示されるような所与の視野630内の組織標本を撮像するように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、所与の視野630は3次元(3D)体積測定空間であり、そこで人の任意の解剖学的部分を含むがそれに限定されない組織標本が検査、評価、および/または撮像されている。さまざまな実施形態によれば、所与の視野630は球形または円筒形の視野であり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの長さを有し得る。
【0060】
図6Aおよび
図6Bに示すように、システム600は、システム600の前部612上で表面615の近くに配置された磁場循環磁石660を含む。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石660はシステム600の前部612上の表面615の中心に近接して配置される。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石660は、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石であり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石660は、静磁場磁石によって発生される磁場に加算または減算される磁場を生成するように構成されたソレノイドコイルであることが可能であり、相異なる磁場での緩和符号化が見込まれる。
【0061】
図6Bに示すように、所与の視野630は、システム600の前部612で表面615の中心に存在する。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石660は所与の視野630内に配置される。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石660は所与の視野630と同心に配置される。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石660はボア620内に挿入され得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石660はボア620に近接して配置され得る。例えば、磁場循環磁石660はボア620の前、後ろ、または中央に配置され得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石660はボア620に近接して、またはボア620の入口部に配置され得る。
【0062】
図6Aに示すように、システム600は、例えば、システム600を制御するために構成されたコンピュータ、1つまたは複数の電源、データ取得機器などのようなさまざまな補助的構成要素を収納するためのラック680をも含む。
図6Aに示すように、システム600は、ラック680内に収納されたさまざまな構成要素にハウジング610内のさまざまな構成要素を接続するためのコンジット685をも含む。
図6Aに示すように、磁場循環磁石660は接続665を介してコンジット685に接続される。さまざまな実施形態によれば、接続665は、磁石から遮蔽された任意の好適な電力ケーブルであり得る。
【0063】
さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石(例えば、静磁場磁石420)を含む磁気共鳴システム(本明細書では磁場循環磁気共鳴システムとも呼ばれる)が提供される。磁場は、約50mTから約60mTまで、約45mTから約65mTまで、約40mTから約70mTまで、約35mTから約75mTまで、約30mTから約80mTまで、約25mTから約85mTまで、約20mTから約90mTまで、約15mTから約95mTまでおよび約10mTから約100mTまで、所与の視野に対して変動し得る。磁場は、約10mTから約15mTまで、約15mTから約20mTまで、約20mTから約25mTまで、約25mTから約30mTまで、約30mTから約35mTまで、約35mTから約40mTまで、約40mTから約45mTまで、約45mTから約50mTまで、約50mTから約55mTまで、約55mTから約60mTまで、約60mTから約65mTまで、約65mTから約70mTまで、約70mTから約75mTまで、約75mTから約80mTまで、約80mTから約85mTまで、約85mTから約90mTまで、約90mTから約95mTまで、および約95mTから約100mTまで変動してもよい。さまざまな実施形態によれば、磁場は、約10mTから約1Tまで、約15mTから約900mTまで、約20mTから約800mTまで、約25mTから約700mTまで、約30mTから約600mTまで、約35mTから約500mTまで、約40mTから約400mTまで、約45mTから約300mTまで、約50mTから約200mTまで、約50mTから約100mTまで、約45mTから約100mTまで、約40mTから約100mTまで、約35mTから約100mTまで、約30mTから約100mTまで、約25mTから約100mTまで、約20mTから約100mTまで、および約15mTから約100mTまで変動してもよい。
【0064】
さまざまな実施形態によれば、磁気共鳴システムはMRIスキャナまたはスペクトロメータである。
【0065】
さまざまな実施形態によれば、視野は球形または円筒形の視野である。さまざまな実施形態によれば、視野はおよそ直径が4インチおよび/または長さが4インチである。視野は直径および長さに対して、約10から約11インチまで、約9から約12インチまで、約8から約13インチまで、約7から約14インチまで、約6から約15インチまで、約5から約16インチまで、約4から約17インチまで、約3から約18インチまで、約2から約19インチまで、約1から約20インチまで、約1から約30インチまで、および約1から約40インチまで変動し得る。視野は直径および長さに対して、約1から約2インチまで、約2から約3インチまで、約3から約4インチまで、約4から約5インチまで、約5から約6インチまで、約6から約7インチまで、約7から約8インチまで、約8から約9インチまで、約9から約10インチまで、約10から約11インチまで、約11から約12インチまで、約12から約13インチまで、約13から約14インチまで、約14から約15インチまで、約15から約16インチまで、約16から約17インチまで、約17から約18インチまで、約18から約19インチまで、約19から約20インチまで、約3から約5インチまで、約2から約6インチまで、約1から約7インチまで、約1から約5インチまで、および約1から約4インチまで変動してもよい。
【0066】
さまざまな実施形態によれば、システムは、磁石によって放射される低い静的外部磁場に磁場循環を適用するように構成される。さまざまな実施形態によれば、システムは、スピンロッキング磁場を印加することによって、磁石により提供される低い静的外部磁場に対して磁場循環を提供するように構成され、スピンロッキング磁場は、無線周波数パルスを用いて、磁石によって放射される磁化をスピンロックする。さまざまな実施形態によれば、システムは、所与の視野内で静磁場を変化させるための周辺装置(例えば、磁場循環磁石)をさらに含むことによって、磁石によって放射される低い静的外部磁場に磁場循環を提供するように構成される。スピンロッキングは、周辺装置がアクティブでないときに実行可能である。さまざまな実施形態によれば、与えられる低磁場は実質的にSAR基準未満である。さまざまな実施形態によれば、システムは片面式MRIシステムである。
【0067】
さまざまな実施形態によれば、上記ではスピンロッキングまたは磁石(例えば、静磁場磁石)に対する例えば挿入物(例えば、本明細書に記載されるような磁場循環磁石などの周辺装置)の付加によって、例えば外部磁場を磁場循環させるように構成された磁気共鳴システムについて述べているが、本開示は視野内の組織を撮像する方法をも企図している。本方法は、例えば、磁石を備えた磁気共鳴システムを用意することと、視野内に組織標本を用意することと、所与の視野に低い静的外部磁場を印加することと、その低い静的外部磁場を磁場循環させることと、システムから画像を収集することとを含み得る。磁場循環させることは、スピンロッキング磁場を印加することおよび/または挿入物もしくは周辺装置を磁石に加えることをさらに含み得る。スピンロッキングは、励磁後に所望のスライスのラーモア周波数に共鳴した磁場を連続的に印加することによって行われてもよい。スピンロッキング磁場が磁化と共線的である場合、磁化はスピンロックされる。これは伝達コイルのみを必要とする。
【0068】
低レベルの外場のために磁場の大きさおよび持続時間がSARによって限定されることのないシステムによって提供される低磁場でのスピンロッキングにより、磁気共鳴システムは、外場を循環させずに組織に対して緩和分散実験を実行することができる。外場は静的であってもよいが、スピンロッキング磁場の強さは変化し得る。システムは、約450μTから約550μTまで、約400μTから約600μTまで、約350μTから約650μTまで、約300μTから約700μTまで、約250μTから約750μTまで、約200μTから約800μTまで、約150μTから約850μTまで、約100μTから約900μTまで、約50μTから約950μTまで、約10μTから約990μTまで、および約1μTから約1mTまでの範囲のスピンロッキング磁場を印加し得る。スピンロッキング磁場の範囲は、約1μTから約50μTまで、約50μTから約100μTまで、約100μTから約150μTまで、約150μTから約200μTまで、約200μTから約250μTまで、約250μTから約300μTまで、約300μTから約350μTまで、約350μTから約400μTまで、約450μTから約500μTまで、約500μTから約550μTまで、約550μTから約600μTまで、約600μTから約650μTまで、約650μTから約700μTまで、約700μTから約750μTまで、約750μTから約800μTまで、約800μTから約850μTまで、約850μTから約900μTまで、約900μTから約950μTまで、および約950μTから約1mTまでにもわたり得る。さまざまな実施形態によれば、システムは、約0.5μTから約1mTまでのスピンロッキング磁場を印加し得る。
【0069】
このスピンロッキング法により、スピンロッキング磁場の強度を変化させることによって画像のコントラストを変化させることが可能となる。複数のスピンロッキング実験を実行することにより、収集された緩和時間を単純なモデルにフィッティングすることによって回転相関時間を抽出することができる。これにより、多くの相異なる条件下で組織を調べることによって、組織に対するより深い洞察を得ることができる。癌に伴う、細胞充実性の増大のような組織への変化は、大きなハードウェア変更なしにシステムの緩和ダイナミクスを変化させることによって可視化することができる。スピンロッキング緩和分散を用により、単なる2元的な時間値T1および時間値T2ではない複数の緩和時間の分布が放射線専門医にとって利用可能となる。
【0070】
上記で開示されたもの以外に、より低い磁場でのスピンロッキングには多くの利点がある。例えば、高磁場では、スピンロッキングの期間中の緩和には、双極子結合による緩和および化学交換による緩和という少なくとも2つの主要な寄与がある。化学交換の寄与は、外部磁場の2乗とともに増大する。磁場が強いほど、より多くの化学交換寄与がT1rho緩和(スピンロッキングパルスで測定される緩和時間)を支配する。より低い磁場では、T1rho緩和への化学交換寄与は消失する。結果として、スピンロッキングを使用して双極子緩和分散を収集することに関心がある場合、高磁場でそれを行うことは、分散が緩和への化学交換寄与と混合するため困難となる。スピンロッキングを用いて高い静磁場でより低い磁場をサンプリングすることも、化学交換からの寄与もまたスピンロッキング磁場の大きさとともにスケールするため、極めて困難となる。
【0071】
さまざまな実施形態によれば、磁気共鳴システムは挿入物もしくは周辺装置をさらに含むことが可能であり、または挿入物もしくは周辺装置を収納するように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、挿入物または周辺装置は電磁石である。電磁石は、例えば、空気コア、強磁性コア、または誘電体コアであり得る。上記のように、例えば低い静磁場のため、電磁石でシステムの静磁場を変化させることの実現可能性ははるかに高くなる。従来のMRIのために使用される超伝導磁石とは異なり、本明細書のシステムはずっと弱い永久磁場を有する。強力な電磁石のために必要なハードウェア、すなわち強磁性構成要素を有し得るハードウェアを本明細書のシステムに近づけることは、超伝導磁石に類似のデバイスを近づけるよりも大幅に安全である。さらに、上記で説明し、例えば
図4、
図5A、
図5B、
図6A、および
図6Cに示したように、視野をボアではなく磁石の表面で提供することができるため、アクセスがずっと容易になる。類似のデバイス(挿入物または周辺装置)は従来のMRIであればそのボアに挿入されることが必要となるが、そこは既に十分な余裕がなく、多くの場合に患者によって占められる可能性がある。したがって、電磁石をシステムに組み込むことにより、静磁場を変化させることを可能にする。電磁石は視野内の静磁場を低減させることができ、その視野では相異なる組織の緩和時間が最も大きく相違する磁場で組織が緩和される。これにより、いくつかの状況では、スピンロッキングよりも磁場の範囲を広げることができる。
【0072】
磁場循環磁石(例えば、磁場循環磁石420)でアクセス可能な磁場の範囲について、磁場循環磁石が静磁場を低減または増大させるように設計されると仮定する。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石でアクセス可能な磁場の範囲は、約95mTから約105mTまで、約90mTから約110mTまで、約85mTから約115mTまで、約80mTから約120mTまで、約75mTから約125mTまで、約70mTから約130mTまで、約65mTから約135mTまで、約60mTから約140mTまで、約55mTから約145mTまで、約50mTから約150mTまで、約45mTから約155mTまで、約40mTから約160mTまで、約35mTから約165mTまで、約30mTから約170mTまで、約25mTから約175mTまで、約20mTから約180mTまで、約15mTから約185mTまで、約10mTから約190mTまで、約5mTから約195mTまで、および約0.5mTから約200mTまでであり得る。磁場循環磁石でアクセス可能な磁場の範囲は、磁場循環磁石が静磁場を低減または増大させるように設計されると仮定すると、約0.5mTから約10mTまで、約10mTから約20mTまで、約20mTから約30mTまで、約30mTから約40mTまで、約40mTから約50mTまで、約50mTから約60mTまで、約60mTから約70mTまで、約70mTから約80mTまで、約80mTから約90mTまで、約90mTから約100mTまで、約100mTから約110mTまで、約110mTから約120mTまで、約120mTから約130mTまで、約130mTから約140mTまで、約140mTから約150mTまで、約150mTから約160mTまで、約160mTから約170mTまで、約170mTから約180mTまで、約180mTから約190mTまでおよび約190mTから約200mTまででもあり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石でアクセス可能な磁場の範囲は、磁場循環磁石が静磁場を低減または増大させるように設計されると仮定すると、約0.5mTから約1Tまで、約5mTから約900mTまで、約10mTから約800mTまで、約20mTから約700mTまで、約30mTから約600mTまで、約35mTから約500mTまで、約40mTから約400mTまで、約45mTから約300mTまで、約50mTから約200mTまで、約50mTから約100mTまで、約40mTから約200mTまで、約40mTから約100mTまで、約30mTから約200mTまで、約30mTから約100mTまで、約20mTから約200mTまで、約20mTから約100mTまで、約10mTから約200mTまでおよび約10mTから約100mTまでであり得る。
【0073】
さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は一様な磁場を生成しない。磁場循環磁石がオンにされている間、画像符号化は行われない。磁場循環磁石は、断熱条件を満たすのに十分なほどゆっくりと外場をシフトさせる。いくつかの実施形態によれば、磁気共鳴システムは、スピンロッキング磁場の印加および挿入物または周辺装置の収納の両方によって、磁石により提供される低い静的外部磁場に磁場循環を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、磁気共鳴システムは、スピンロッキング磁場の印加または挿入物もしくは周辺装置の収納の一方によって、磁石により提供される低い静的外部磁場に磁場循環を提供するように構成され得る。
【0074】
さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、卵形状リング、または磁石に開口部を有する任意の他の好適な形状もしくは形態であり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は磁石のセットを含むことが可能であり、これらの磁石は、リングの形態、または周りを囲む任意の他の好適な形状もしくは形態で配列される。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は磁石に近接して、例えば磁石の前、後ろ、または中央に配置される。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は磁石と同心である。磁場循環磁石は患者の周りに配置されてもよい。
【0075】
磁場循環が可能なMRIスキャナの可能な応用には、例えば、マルチモーダル撮像が含まれる。従来のMRIスキャナは、利用可能なコントラストの種類の数が少ない。一般に、コントラストの種類はT1、T2、T1rho(特別な状況下で)、および拡散を含む。磁場循環MRIスキャナは、T1およびT1rhoコントラストのある範囲が利用可能となる。ある磁場でコントラストが見えない場合、ユーザは、磁場を変化させて再試行してもよい。この技術の別の応用は、例えば、ユーザがある形態のコントラスト分散画像を収集することが可能なことである。コントラスト分散画像は、相異なる緩和符号化磁場で繰り返して収集された画像であり得る。組織は、そのコントラストが磁場の関数としてどのように変動するかによって特徴づけられ得る。そして、分析された画像は、各ボクセルの値が磁場強度の関数としての振幅変動の当てはめから抽出されたものであるような画像であり得る。この当てはめの値は、そのピクセル内の水の回転相関時間に概ね対応し得る。一連の画像が、緩和符号化のために使用される磁場強度ごとに1つずつ、非線型再構成を用いて生成される。これらの画像の各ピクセルの値は、緩和の常磁性増強を記述するために使用されるモデルと同様に、外部磁場の関数として緩和を記述する単純なモデルを用いてフィッティングされる。これは、画像内の各ピクセルが2つの交換する水のプールを有すると仮定されるモデルを使用することによって行うことが可能である。一方のプールはゆっくりと緩和する自由水であり、他方は急速に緩和する結合水である。これら2つのプールは特徴的な交換速度で混合する。この単純なモデルを用いて緩和を記述するパラメータ、すなわち自由水および結合水の回転相関時間ならびにそれらの間の交換速度は、モデルにデータをフィッティングすることによって見出される。
【数2】
【0076】
図7は、さまざまな実施形態による、磁場循環磁気共鳴システム(例えば、システム400、500、または600)を動作させる例示的な方法S100のフローチャートである。さまざまな実施形態によれば、磁気共鳴システムは、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備える片面式磁気共鳴撮像システムである。
図7に示すように、方法S100は、ステップS110で、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成された静磁場磁石を用意することを含む。さまざまな実施形態によれば、組織標本は、検査対象者の任意の解剖学的部分であり得る。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石は並列構成で複数の円筒形永久磁石を含み得る。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石はその中心にボアを含む。さまざまな実施形態によれば、ボアは1インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、ボアは、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、所与の視野は球形または円筒形の視野であり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの長さを有し得る。
【0077】
図7に示すように、方法S100は、ステップS120で、所与の視野に低い静的外部磁場を印加することを含む。さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場は10mTから1Tまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場は20mTから100mTまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場は35mTから75mTまでわたり得る。
【0078】
ステップS130で、方法S100は、循環無線周波数磁場を生成するように構成された無線周波数コイルを用意することを含む。さまざまな実施形態によれば、無線周波数コイルは低い磁場強度でのスピンロッキングのために使用される。
【0079】
ステップS140で、方法S100は、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加することを含む。さまざまな実施形態によれば、循環無線周波数磁場は1μTから1mTまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、循環無線周波数磁場は100μTから900μTまでわたり得る。
【0080】
ステップS150で、方法S100は、磁場循環磁石を用意することを任意選択で含む。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は低い静的外部磁場に近接して配置され得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は静磁場磁石に近接して、例えば、静磁場磁石の前、後ろ、または中央に配置されることが可能であり、静磁場磁石と同心である。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石であり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は磁石の中心に開口部を含み得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングであり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は複数の磁石を含むことが可能であり、これら複数の磁石は、リング構成、またはこれら複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は0.5mT乃至1Tの磁場強度を有する。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は5mT乃至195mTの磁場強度を有する。
【0081】
ステップS160で、方法S100は、所与の視野内で低い静的外部磁場を変化させることを任意選択で含む。さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場を変化させることは、低い静的外部磁場の増大、減少、または方向の変化のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0082】
ステップS170で、方法S100は、磁気共鳴システムから画像を収集することを含む。さまざまな実施形態によれば、所望のコントラストを符号化するために、無線周波数コイルおよび磁場循環磁石は画像取得の開始前に切り替えられる。
【0083】
図8は、さまざまな実施形態による、磁場循環磁気共鳴システム(例えば、システム400、500、または600)を動作させる例示的な方法S200のフローチャートである。さまざまな実施形態によれば、磁気共鳴システムは、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備える片面式磁気共鳴撮像システムである。
図8に示すように、方法S200は、ステップS210で、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成された静磁場磁石を用意することを含む。さまざまな実施形態によれば、組織標本は、検査されている人の任意の解剖学的部分であり得る。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石は並列構成で複数の円筒形永久磁石を含み得る。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石はその中心にボアを含む。さまざまな実施形態によれば、ボアは1インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、ボアは、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、所与の視野は球形または円筒形の視野であり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの長さを有し得る。
【0084】
図8に示すように、方法S200は、ステップS220で、所与の視野に低い静的外部磁場を印加することを含む。さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場は10mTから1Tまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場は20mTから100mTまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場は35mTから75mTまでわたり得る。
【0085】
ステップS230で、方法S200は、磁場循環磁石を用意することを含む。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は低い静的外部磁場に近接して配置され得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は静磁場磁石に近接して、例えば、静磁場磁石の前、後ろ、または中央に配置されることが可能であり、静磁場磁石と同心である。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石であり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は磁石の中心に開口部を含み得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングであり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は複数の磁石を含むことが可能であり、これら複数の磁石は、リング構成、またはこれら複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は0.5mTから1Tの磁場強度を有する。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は5mTから195mTの磁場強度を有する。
【0086】
ステップS240で、方法S200は、所与の視野内で低い静的外部磁場を変化させることを含む。さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場を変化させることは、低い静的外部磁場の増大、減少、または方向の変化のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0087】
ステップS250で、方法S200は、循環無線周波数磁場を生成するように構成された無線周波数コイルを用意することを任意選択で含む。さまざまな実施形態によれば、無線周波数コイルは低い磁場強度でのスピンロッキングのために使用される。
【0088】
ステップS260で、方法S200は、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加することを任意選択で含む。さまざまな実施形態によれば、循環無線周波数磁場は1μTから1mTまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、循環無線周波数磁場は100μTから900μTまでわたり得る。
【0089】
ステップS270で、方法S200は、磁気共鳴システムから画像を収集することを含む。
【0090】
図9は、さまざまな実施形態による、磁場循環磁気共鳴システム(例えば、システム400、500、または600)を動作させる例示的な方法S300のフローチャートである。さまざまな実施形態によれば、磁気共鳴システムは、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備える片面式磁気共鳴撮像システムである。
図9に示すように、方法S300は、ステップS310で、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成された静磁場磁石を用意することを含む。さまざまな実施形態によれば、組織標本は、検査されている人の任意の解剖学的部分であり得る。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石は並列構成で複数の円筒形永久磁石を含み得る。さまざまな実施形態によれば、静磁場磁石はその中心にボアを含む。さまざまな実施形態によれば、ボアは1インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、ボアは、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、所与の視野は球形または円筒形の視野であり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり得る。さまざまな実施形態によれば、球形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの直径を有し得る。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである。さまざまな実施形態によれば、円筒形の視野は、1インチ乃至4インチ、4インチ乃至8インチ、および10インチ乃至20インチの長さを有し得る。
【0091】
図9に示すように、方法S300は、ステップS320で、所与の視野に低い静的外部磁場を印加することを含む。さまざまな実施形態によれば、低い静的磁場は10mTから1Tまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、低い静的磁場は20mTから100mTまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、低い静的磁場は35mTから75mTまでわたり得る。
【0092】
ステップS330で、方法S300は、循環無線周波数磁場を生成するように構成された無線周波数コイルを用意することを含む。さまざまな実施形態によれば、無線周波数コイルは低い磁場強度でのスピンロッキングのために使用される。
【0093】
ステップS340で、方法S200は、磁場循環磁石を用意することを含む。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は低い静的外部磁場に近接して配置され得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は静磁場磁石に近接して、例えば、静磁場磁石の前、後ろ、または中央に配置されることが可能であり、静磁場磁石と同心である。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石であり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は磁石の中心に開口部を含み得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングであり得る。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は複数の磁石を含むことが可能であり、これら複数の磁石は、リング構成、またはこれら複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は0.5mT乃至1Tの磁場強度を有する。さまざまな実施形態によれば、磁場循環磁石は5mT乃至195mTの磁場強度を有する。
【0094】
ステップS350で、方法S300は、所与の視野内で低い静的外部磁場を変化させることを含む。さまざまな実施形態によれば、低い静的外部磁場を変化させることは、低い静的外部磁場の増大、減少、または方向の変化のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0095】
ステップS360で、方法S300は、低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加することを任意選択で含む。さまざまな実施形態によれば、循環無線周波数磁場は1μTから1mTまでわたり得る。さまざまな実施形態によれば、循環無線周波数磁場は100μTから900μTまでわたり得る。
【0096】
ステップS370で、方法S300は、磁気共鳴システムから画像を収集することを含む。
【0097】
実施形態の列挙
1.所与の視野に低い静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石と、前記低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加するように構成された無線周波数コイルと、を備える磁気共鳴システム。
【0098】
2.前記静磁場磁石が、並列構成で複数の円筒形永久磁石を備える、実施形態1のシステム。
【0099】
3.前記静磁場磁石がその中心にボアを備え、該ボアの直径が1インチ乃至20インチである、実施形態1~2のうちのいずれかのシステム。
【0100】
4.前記所与の視野が球形または円筒形の視野であり、前記球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり、または前記円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである、実施形態1~3のうちのいずれかのシステム。
【0101】
5.前記静磁場磁石に近接して配置され前記静磁場磁石と同心である磁場循環磁石をさらに備える、実施形態1~4のうちのいずれかのシステム。
【0102】
6.前記低い静的外部磁場に近接して配置される磁場循環磁石をさらに備える、実施形態1~4のうちのいずれかのシステム。
【0103】
7.前記磁場循環磁石が、前記所与の視野内で前記低い静的外部磁場を変化させるように構成される、実施形態5~6のうちのいずれかのシステム。
【0104】
8.前記磁場循環磁石が、前記無線周波数コイルが使用されていないときに前記低い静的外部磁場を変化させるように構成される、実施形態7のうちのいずれかのシステム。
【0105】
9.前記磁場循環磁石が、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または前記低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石である、実施形態5~8のうちのいずれかのシステム。
【0106】
10.前記磁場循環磁石が前記磁石の中心に開口部を含む、実施形態5~9のうちのいずれかのシステム。
【0107】
11.前記磁場循環磁石が、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングである、実施形態5~10のうちのいずれかのシステム。
【0108】
12.前記磁場循環磁石が複数の磁石を備え、該複数の磁石は、リング構成、または該複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される、実施形態5~11のうちのいずれかのシステム。
【0109】
13.前記低い静磁場が10mTから1Tまでにわたる、実施形態1~12のうちのいずれかのシステム。
【0110】
14.前記低い静磁場が20mTから100mTまでにわたる、実施形態1~13のうちのいずれかのシステム。
【0111】
15.前記低い静磁場が35mTから75mTまでにわたる、実施形態1~14のうちのいずれかのシステム。
【0112】
16.前記循環無線周波数磁場が1μTから1mTまでにわたる、実施形態1~15のうちのいずれかのシステム。
【0113】
17.前記循環無線周波数磁場が100μTから900μTまでにわたる、実施形態1~16のうちのいずれかのシステム。
【0114】
18.前記磁場循環磁石の磁場強度が0.5mT乃至1Tである、実施形態1~17のうちのいずれかのシステム。
【0115】
19.前記磁場循環磁石の磁場強度が5mT乃至195mTである、実施形態1~18のうちのいずれかのシステム。
【0116】
20.前記磁気共鳴システムが、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備えた片面式磁気共鳴撮像システムである、実施形態1~19のうちのいずれかのシステム。
【0117】
21.所与の視野に低い静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石と、前記静磁場磁石に近接して配置され前記静磁場磁石と同心である磁場循環磁石と、を備える磁気共鳴システム。
【0118】
22.前記磁場循環磁石が前記低い静的外部磁場に近接して配置される、実施形態21のシステム。
【0119】
23.前記静磁場磁石が、並列構成で複数の円筒形永久磁石を備える、実施形態21~22のうちのいずれかのシステム。
【0120】
24.前記静磁場磁石がその中心にボアを備え、該ボアの直径が1インチ乃至20インチである、実施形態21~23のうちのいずれかのシステム。
【0121】
25.前記所与の視野が球形または円筒形の視野であり、前記球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり、または前記円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである、実施形態21~24のうちのいずれかのシステム。
【0122】
26.前記磁場循環磁石が、前記所与の視野内で前記低い静磁場を変化させるように構成される、実施形態21~25のうちのいずれかのシステム。
【0123】
27.前記低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加するように構成された無線周波数コイルをさらに備える、実施形態21~26のうちのいずれかのシステム。
【0124】
28.前記磁場循環磁石が、前記無線周波数コイルが使用されていないときに前記低い静的外部磁場を変化させるように構成される、実施形態26~27のうちのいずれかのシステム。
【0125】
29.前記磁場循環磁石が、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または前記低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石である、実施形態21~28のうちのいずれかのシステム。
【0126】
30.前記磁場循環磁石が前記磁石の中心に開口部を含む、実施形態21~29のうちのいずれかのシステム。
【0127】
31.前記磁場循環磁石が、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングである、実施形態21~30のうちのいずれかのシステム。
【0128】
32.前記磁場循環磁石が複数の磁石を備え、該複数の磁石は、リング構成、または該複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される、実施形態21~31のうちのいずれかのシステム。
【0129】
33.前記低い静磁場が10mTから1Tまでにわたる、実施形態21~32のうちのいずれかのシステム。
【0130】
34.前記低い静磁場が20mTから100mTまでにわたる、実施形態21~33のうちのいずれかのシステム。
【0131】
35.前記低い静磁場が35mTから75mTまでにわたる、実施形態21~34のうちのいずれかのシステム。
【0132】
36.前記循環無線周波数磁場が1μTから1mTまでにわたる、実施形態21~35のうちのいずれかのシステム。
【0133】
37.前記循環無線周波数磁場が100μTから900μTまでにわたる、実施形態21~36のうちのいずれかのシステム。
【0134】
38.前記磁場循環磁石の磁場強度が0.5mT乃至1Tである、実施形態21~37のうちのいずれかのシステム。
【0135】
39.前記磁場循環磁石の磁場強度が5mT乃至195mTである、実施形態21~38のうちのいずれかのシステム。
【0136】
40.前記磁気共鳴システムが、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備えた片面式磁気共鳴撮像システムである、実施形態21~39のうちのいずれかのシステム。
【0137】
41.所与の視野に低い静的外部磁場を提供するように構成された静磁場磁石と、無線周波数コイルと、磁場循環磁石と、を備える磁気共鳴システム。
【0138】
42.前記静磁場磁石が、並列構成で複数の円筒形永久磁石を備える、実施形態41のシステム。
【0139】
43.前記静磁場磁石がその中心にボアを備え、該ボアの直径が1インチ乃至20インチである、実施形態41~42のうちのいずれかのシステム。
【0140】
44.前記所与の視野が球形または円筒形の視野であり、前記球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり、または前記円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである、実施形態41~43のうちのいずれかのシステム。
【0141】
45.前記無線周波数コイルが前記低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加するように構成される、実施形態41~44のうちのいずれかのシステム。
【0142】
46.前記磁場循環磁石が、前記静磁場磁石に近接して配置され前記静磁場磁石と同心である、実施形態41~45のうちのいずれかのシステム。
【0143】
47.前記磁場循環磁石が前記低い静的外部磁場に近接して配置される、実施形態41~46のうちのいずれかのシステム。
【0144】
48.前記磁場循環磁石が、前記所与の視野内で前記低い静的外部磁場を変化させるように構成される、実施形態41~47のうちのいずれかのシステム。
【0145】
49.前記磁場循環磁石が、前記無線周波数コイルが使用されていないときに前記低い静的外部磁場を変化させるように構成される、実施形態48のシステム。
【0146】
50.前記磁場循環磁石が、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または前記低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石である、実施形態41~49のうちのいずれかのシステム。
【0147】
51.前記磁場循環磁石が前記磁石の中心に開口部を含む、実施形態41~50のうちのいずれかのシステム。
【0148】
52.前記磁場循環磁石が、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングである、実施形態41~51のうちのいずれかのシステム。
【0149】
53.前記磁場循環磁石が複数の磁石を備え、該複数の磁石は、リング構成、または該複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される、実施形態41~52のうちのいずれかのシステム。
【0150】
54.前記低い静磁場が10mTから1Tまでにわたる、実施形態41~53のうちのいずれかのシステム。
【0151】
55.前記低い静磁場が20mTから100mTまでにわたる、実施形態41~54のうちのいずれかのシステム。
【0152】
56.前記循環無線周波数磁場が1μTから1mTまでにわたる、実施形態41~55のうちのいずれかのシステム。
【0153】
57.前記循環無線周波数磁場が100μTから900μTまでにわたる、実施形態41~56のうちのいずれかのシステム。
【0154】
58.前記磁場循環磁石の磁場強度が0.5mT乃至1Tである、実施形態41~57のうちのいずれかのシステム。
【0155】
59.前記磁場循環磁石の磁場強度が5mT乃至195mTである、実施形態41~58のうちのいずれかのシステム。
【0156】
60.前記磁気共鳴システムが、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備えた片面式磁気共鳴撮像システムである、実施形態41~59のうちのいずれかのシステム。
【0157】
61.磁場循環磁気共鳴システムを動作させる方法であって、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成された静磁場磁石を用意することと、前記所与の視野に低い静的外部磁場を印加することと、循環無線周波数磁場を生成するように構成された無線周波数コイルを用意することと、前記低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加することと、前記システムから画像を収集することと、を含む、磁場循環磁気共鳴システムを動作させる方法。
【0158】
62.磁場循環磁石を用意することと、前記所与の視野内で前記低い静的外部磁場を変化させることと、をさらに含む、実施形態61の方法。
【0159】
63.前記低い静的外部磁場を変化させることが、前記低い静的外部磁場の増大、減少、または方向の変化のうちの少なくとも1つを含む、実施形態61~62のうちのいずれかの方法。
【0160】
64.前記静磁場磁石が、並列構成で複数の円筒形永久磁石を備える、実施形態61~63のうちのいずれかの方法。
【0161】
65.前記静磁場磁石がその中心にボアを備え、該ボアの直径が1インチ乃至20インチである、実施形態61~64のうちのいずれかの方法。
【0162】
66.前記所与の視野が球形または円筒形の視野であり、前記球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり、または前記円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである、実施形態61~65のうちのいずれかの方法。
【0163】
67.前記磁場循環磁石が前記低い静的外部磁場に近接して配置される、実施形態61~66のうちのいずれかの方法。
【0164】
68.前記磁場循環磁石が、前記静磁場磁石に近接して配置され前記静磁場磁石と同心である、実施形態61~67のうちのいずれかの方法。
【0165】
69.前記磁場循環磁石が、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または前記低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石である、実施形態61~68のうちのいずれかの方法。
【0166】
70.前記磁場循環磁石が前記磁石の中心に開口部を含む、実施形態61~69のうちのいずれかの方法。
【0167】
71.前記磁場循環磁石が、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングである、実施形態61~70のうちのいずれかの方法。
【0168】
72.前記磁場循環磁石が複数の磁石を備え、該複数の磁石は、リング構成、または該複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される、実施形態61~71のうちのいずれかの方法。
【0169】
73.前記低い静磁場が10mTから1Tまでにわたる、実施形態61~72のうちのいずれかの方法。
【0170】
74.前記低い静磁場が20mTから100mTまでにわたる、実施形態61~73のうちのいずれかの方法。
【0171】
75.前記低い静磁場が35mTから75mTまでにわたる、実施形態61~74のうちのいずれかの方法。
【0172】
76.前記循環無線周波数磁場が1μTから1mTまでにわたる、実施形態61~75のうちのいずれかの方法。
【0173】
77.前記循環無線周波数磁場が100μTから900μTまでにわたる、実施形態61~76のうちのいずれかの方法。
【0174】
78.前記磁場循環磁石の磁場強度が0.5mT乃至1Tである、実施形態61~77のうちのいずれかの方法。
【0175】
79.前記磁場循環磁石の磁場強度が5mT乃至195mTを有である、実施形態61~78のうちのいずれかの方法。
【0176】
80.前記磁気共鳴システムが、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備えた片面式磁気共鳴撮像システムである、実施形態61~79のうちのいずれかの方法。
【0177】
81.磁場循環磁気共鳴システムを動作させる方法であって、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成された静磁場磁石を用意することと、前記所与の視野に低い静的外部磁場を印加することと、磁場循環磁石を用意することと、前記所与の視野内で前記低い静的外部磁場を変化させることと、前記システムから画像を収集することと、を含む、磁場循環磁気共鳴システムを動作させる方法。
【0178】
82.前記低い静的外部磁場を変化させることが、前記低い静的外部磁場の増大、減少、または方向の変化のうちの少なくとも1つを含む、実施形態81の方法。
【0179】
83.循環無線周波数磁場を生成するように構成された無線周波数コイルを用意することと、前記低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加することと、をさらに含む、実施形態81~82のうちのいずれかの方法。
【0180】
84.前記磁場循環磁石が前記低い静的外部磁場に近接して配置される、実施形態81~83のうちのいずれかの方法。
【0181】
85.前記磁場循環磁石が、前記静磁場磁石に近接して配置され前記静磁場磁石と同心である、実施形態81~84のうちのいずれかの方法。
【0182】
86.前記静磁場磁石が、並列構成で複数の円筒形永久磁石を備える、実施形態81~85のうちのいずれかの方法。
【0183】
87.前記静磁場磁石がその中心にボアを備え、該ボアの直径が1インチ乃至20インチである、実施形態81~86のうちのいずれかの方法。
【0184】
88.前記所与の視野が球形または円筒形の視野であり、前記球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり、または前記円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである、実施形態81~87のうちのいずれかの方法。
【0185】
89.前記磁場循環磁石が、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または前記低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石である、実施形態81~88のうちのいずれかの方法。
【0186】
90.前記磁場循環磁石が前記磁石の中心に開口部を含む、実施形態81~89のうちのいずれかの方法。
【0187】
91.前記磁場循環磁石が、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングである、実施形態81~90のうちのいずれかの方法。
【0188】
92.前記磁場循環磁石が複数の磁石を備え、該複数の磁石は、リング構成、または該複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される、実施形態81~91のうちのいずれかの方法。
【0189】
93.前記低い静磁場が10mTから1Tまでにわたる、実施形態81~92のうちのいずれかの方法。
【0190】
94.前記低い静磁場が20mTから100mTまでにわたる、実施形態81~93のうちのいずれかの方法。
【0191】
95.前記低い静磁場が35mTから75mTまでにわたる、実施形態81~94のうちのいずれかの方法。
【0192】
96.前記循環無線周波数磁場が1μTから1mTまでにわたる、実施形態81~95のうちのいずれかの方法。
【0193】
97.前記循環無線周波数磁場が100μTから900μTまでにわたる、実施形態81~96のうちのいずれかの方法。
【0194】
98.前記磁場循環磁石の磁場強度が0.5mT乃至1Tである、実施形態81~97のうちのいずれかの方法。
【0195】
99.前記磁場循環磁石の磁場強度が5mT乃至195mTである、実施形態81~98のうちのいずれかの方法。
【0196】
100.前記磁気共鳴システムが、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備えた片面式磁気共鳴撮像システムである、実施形態81~99のうちのいずれかの方法。
【0197】
101.磁場循環磁気共鳴システムを動作させる方法であって、所与の視野内の組織標本を撮像するように構成された静磁場磁石を用意することと、前記所与の視野に低い静的外部磁場を印加することと、循環無線周波数磁場を生成するように構成された無線周波数コイルを用意することと、磁場循環磁石を用意することと、前記所与の視野内で前記低い静的外部磁場を変化させることと、前記システムから画像を収集することと、を含む、磁場循環磁気共鳴システムを動作させる方法。
【0198】
102.前記低い静的外部磁場を変化させることが、前記低い静的外部磁場の増大、減少、または方向の変化のうちの少なくとも1つを含む、実施形態101の方法。
【0199】
103.前記低い静的外部磁場にパルス状循環無線周波数磁場を印加することをさらに含む、実施形態101~102のうちのいずれかの方法。
【0200】
104.前記静磁場磁石が、並列構成で複数の円筒形永久磁石を備える、実施形態101~103のうちのいずれかの方法。
【0201】
105.前記静磁場磁石がその中心にボアを備え、該ボアの直径が1インチ乃至20インチである、実施形態101~104のうちのいずれかの方法。
【0202】
106.前記所与の視野が球形または円筒形の視野であり、前記球形の視野は直径が2インチ乃至20インチであり、または前記円筒形の視野は長さがおよそ2インチ乃至20インチである、実施形態101~105のうちのいずれかの方法。
【0203】
107.前記磁場循環磁石が前記低い静的外部磁場に近接して配置される、実施形態101~106のうちのいずれかの方法。
【0204】
108.前記磁場循環磁石が、前記静磁場磁石に近接して配置され前記静磁場磁石と同心である、実施形態101~107のうちのいずれかの方法。
【0205】
109.前記磁場循環磁石が、電磁石、主磁石に対して相対的に移動するように構成された永久磁石、または前記低い静的外部磁場を調節および成形する強磁性もしくは磁化可能材料を含む永久磁石である、実施形態101~108のうちのいずれかの方法。
【0206】
110.前記磁場循環磁石が前記磁石の中心に開口部を含む、実施形態101~109のうちのいずれかの方法。
【0207】
111.前記磁場循環磁石が、ドーナツ形状リング、円筒形状リング、または卵形状リングである、実施形態101~110のうちのいずれかの方法。
【0208】
112.前記磁場循環磁石が複数の磁石を備え、該複数の磁石は、リング構成、または該複数の磁石が周囲に形成された任意の他の好適な形状もしくは構成で配列される、実施形態101~111のうちのいずれかの方法。
【0209】
113.前記低い静磁場が10mTから1Tまでにわたる、実施形態101~112のうちのいずれかの方法。
【0210】
114.前記低い静磁場が20mTから100mTまでにわたる、実施形態101~113のうちのいずれかの方法。
【0211】
115.前記低い静磁場が35mTから75mTまでにわたる、実施形態101~114のうちのいずれかの方法。
【0212】
116.前記循環無線周波数磁場が1μTから1mTまでにわたる、実施形態101~115のうちのいずれかの方法。
【0213】
117.前記循環無線周波数磁場が100μTから900μTまでにわたる、実施形態101~116のうちのいずれかの方法。
【0214】
118.前記磁場循環磁石の磁場強度が0.5mT乃至1Tである、実施形態101~117のうちのいずれかの方法。
【0215】
119.前記磁場循環磁石の磁場強度が5mT乃至195mTである、実施形態101~118のうちのいずれかの方法。
【0216】
120.前記磁気共鳴システムが、磁気共鳴撮像スキャナまたは磁気共鳴撮像スペクトロメータを備えた片面式磁気共鳴撮像システムである、実施形態101~119のうちのいずれかの方法。
【0217】
本明細書は多くの具体的な実装形態の詳細を含むが、これらは任意の実施形態または特許請求の範囲となり得る対象の範囲に対する限定と解釈されるべきではなく、特定の実施形態の特定の実装に固有の特徴の記述と解釈されるべきである。個別の実装形態の文脈で本明細書に記載されるいくつかの特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実装されることも可能である。逆に、単一の実装形態の文脈で記載されるさまざまな特徴は、個別に複数の実装形態で、または、任意の好適な部分的組合せにおいて実装されることも可能である。さらに、諸特徴はいくつかの組合せにおいて作用するものとして上記に記載され、そのようなものとして最初に特許請求の範囲に記載されているかもしれないが、特許請求の範囲の組合せからの1つまたは複数の特徴は、場合によってその組合せから削除されることが可能であり、特許請求の範囲の組合せは部分的組合せを、または部分的組合せの変形を対象としてもよい。
【0218】
同様に、動作は特定の順序で図面に図示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が図示された特定の順序もしくは逐次的順序で実行されること、または図示された動作のすべてが実行されることを要求していると理解されるべきではない。いくつかの状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有利であり得る。さらに、上記の実装形態におけるさまざまなシステム構成要素の分離は、すべての実装形態におけるそのような分離を要求していると理解されるべきではなく、記載されたプログラム構成要素およびシステムは一般に単一のソフトウェア製品に統合されること、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化されることが可能であると理解されるべきである。
【0219】
「または」への言及は、「または」を用いて記載される任意の用語が、記載された用語の単一、複数、およびすべてのもののいずれをも示し得るように包括的と解釈され得る。「第1」、「第2」、「第3」などのラベルは、順序を示すことを必ずしも意味せず、同様または類似の項目または要素間を単に区別するために一般的に使用される。
【0220】
本開示に記載される実装形態へのさまざまな変更は当業者には直ちに明らかであろうし、本明細書に規定される一般的原理は本開示の精神または範囲から逸脱することなく他の実装形態にも適用可能であろう。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図しておらず、本開示、すなわち本明細書に開示される原理および新規な特徴と整合する最も広い範囲が与えられるべきである。