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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
F25D17/08 303
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021008488
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022112627
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2023-09-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 円香
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-035096(JP,A)
【文献】特開2014-043981(JP,A)
【文献】特開2001-099565(JP,A)
【文献】特開平08-189746(JP,A)
【文献】国際公開第2020/144739(WO,A1)
【文献】特開平8-240369(JP,A)
【文献】特開2018-179466(JP,A)
【文献】特開2002-98462(JP,A)
【文献】特開2014-122746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/06 - 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室と、
前記冷蔵室の背面部に上下方向に延びて配置され、前記冷蔵室へ送出される冷気が通る直線状の冷気通路を有する通路形成部材と
を備え、
前記通路形成部材は、
上端に配置された第1吐出口と、
左右方向において前記第1吐出口よりも幅が狭く前記第1吐出口の内側に収まるように前記第1吐出口の下方に配置された縦長形状の少なくとも一つの第2吐出口と
を有しており、
前記第1吐出口の上流側は、前記通路形成部材の前記上端へ向かって左右の幅が小さくなる先細り形状を有している、冷蔵庫。
【請求項2】
複数の前記第2吐出口を有しており、
前記複数の前記第2吐出口は、縦方向に並んで配置されており、
前記複数の前記第2吐出口のうち、上方側に配置されている前記第2吐出口の横幅は、下方側に配置されている前記第2吐出口の横幅よりも大きく、左右方向において下方側に配置されている前記第2吐出口は上方側に配置されている前記第2吐出口の内側に収まるように配置されている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記通路形成部材の前記冷気通路には、
前記最上方に配置された前記第2吐出口と、前記最上方の一つ下に配置された前記第2吐出口との間に、突起部が設けられている、
請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記突起部は、前記第1吐出口の前記先細り形状よりも下方に位置している、
請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記最上方に配置された前記第2吐出口は、前記第1吐出口の前記先細り形状の中に位置している、
請求項からの何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵室の背面部に冷気の吐出口を備えている冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫に備えられている冷蔵室には、冷凍サイクル内の冷却器によって冷却された冷気が吹き出される吐出口が設けられている。この吐出口は、例えば、冷蔵室の背面部に配置された冷気ダクトに形成されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、冷蔵室2の背部に、冷却器16によって冷却された冷気の一部を冷蔵室に導く冷蔵室吐出ダクト30を備えている冷蔵庫が開示されている。この冷蔵室吐出ダクト30には、複数の冷蔵室吐出口31が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-189746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の冷蔵庫において、冷気ダクトを通る冷気を冷蔵室へ送出するための吐出口は、例えば、特許文献1に開示された冷蔵庫の冷蔵室吐出口31のように、横長形状(水平方向に平たい形状)の開口部を有している。一方、冷却器によって冷却された冷気は、冷蔵室の背面に位置している冷気ダクトを下方から上方へ垂直方向に流れる。そのため、吐出口の開口部が横長形状であると、冷気ダクト内を垂直方向に流れる冷気の流通抵抗が大きくなり、冷蔵室への冷気の送出効率が低下する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明では、冷蔵室の背面側で下方から上方へ向かって流れる冷気を効率よく冷蔵室へ吐出することのできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫は、冷蔵室と、前記冷蔵室の背面部に配置され、前記冷蔵室へ送出される冷気が通る冷気通路を有する通路形成部材とを備えている。前記通路形成部材は、上端に配置された第1吐出口と、前記第1吐出口の下方に配置され、縦長形状の少なくとも一つの第2吐出口とを有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫によれば、冷蔵室の背面側で下方から上方へ向かって流れる冷気を効率よく冷蔵室へ吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態にかかる冷蔵庫の外観構成を示す正面図である。
図2図1に示す冷蔵庫の冷蔵室内の構成を示す正面図である。
図3図2に示す冷蔵室のA-A線部分の構成を示す断面図である。
図4図1に示す冷蔵室の背面部に設けられている冷気ダクト形成部材の正面側の構成を示す平面図である。
図5図4に示す冷気ダクト形成部材の背面側の構成を示す平面図である。
図6図4に示す冷気ダクト形成部材の背面側の構成を示す斜視図である。
図7図4に示す冷気ダクト形成部材の上方側の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<第1の実施形態>
(冷蔵庫の全体構成)
先ず、第1の実施形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を説明する。図1には、冷蔵庫1を正面から見た外観を示す。図2には、冷蔵庫1の上段側の庫内(具体的には、冷蔵室11の内部)を示す。
【0012】
冷蔵庫1の外形は、主として断熱箱体50で構成されている。この断熱箱体50によって冷蔵庫1の貯蔵空間が形成される。断熱箱体50によって形成される貯蔵空間は、上下方向の略中央部において水平方向に延びる仕切り部55などによって、冷蔵室11、野菜室、冷凍室、製氷室、および第2冷凍室などに区分けされている。
【0013】
冷蔵室11には、左右に分割された観音開き式の冷蔵室扉11aおよび11bが設けられている。野菜室には、引き出し式の野菜室扉12aが設けられている。冷凍室には、引き出し式の冷凍室扉13aが設けられている。製氷室には、引き出し式の製氷室扉14aが設けられている。第2冷凍室には、引き出し式の冷凍室扉15aが設けられている。
【0014】
以上のように、本実施の形態にかかる冷蔵庫1は、複数の貯蔵空間に区分けされて、冷蔵室11および冷凍室などが設けられている。但し、各貯蔵空間の配置位置については、これに限定はされない。また、各貯蔵空間に設けられている扉の構成も、上記のものに限定はされない。
【0015】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の正面または前面と呼ぶ。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1の各面を、上面、側面、背面、及び底面とする。また、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1を正面から見て左右の方向(上下方向と直交する横方向)のことを、冷蔵庫1(または、冷蔵室11、冷気ダクト形成部材30など)の左右方向という。また、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1の上下の方向(左右方向と直交する縦方向)のことを、冷蔵庫1(または、冷蔵室11、冷気ダクト形成部材30など)の上下方向という。また、冷蔵庫1の前面側から見て左側に位置する側のことを、冷蔵庫1の左側と呼び、冷蔵庫1の前面側から見て右側に位置する側のことを、冷蔵庫1の右側と呼ぶ。
【0016】
(冷蔵室の構成)
続いて、冷蔵庫1に設けられている冷蔵室11のより詳細な構成について説明する。図2には、冷蔵室11の内部の構成を示す。図3には、冷蔵室11の断面構成を示す。図3は、図2のA-A線の位置における冷蔵室11の内部構成を示す断面図である。
【0017】
冷蔵室11の内壁は、主として、断熱箱体50の内箱51で形成されている。図2に示すように、冷蔵室11には、複数の棚板(図2に示す例では、上段から順に、棚板40a、棚板40b、棚板40c、および棚板40d)が配置されている。これにより、冷蔵室11の内部は、複数の収容空間に区分けされる。なお、図2では図示されていないが、最下方に配置されている棚板40dの下には、一つまたは複数の収納ケースが配置される。この収納ケースは、例えば、チルドケース、野菜ケース、または作り置きケースなどとして使用される。
【0018】
冷蔵室11の背面側には、冷蔵室11へ送出される冷気が通る冷気ダクト(冷気通路)20が設けられている。冷気ダクト20は、冷却器(図示せず)などが配置されている冷却室で冷やされた冷気を、冷蔵室11まで送るための通路である。冷却室で冷やされた冷気は、冷気ダクト20内を上方へと流れ、冷気ダクト形成部材30に設けられている複数の吐出口から冷蔵室11へと送出される。
【0019】
冷気ダクト20は、冷気ダクト形成部材(通路形成部材)30によって形成されている。冷気ダクト形成部材30は、冷蔵室11の背面部に配置されている。冷気ダクト形成部材30の本体部31の表面は、冷蔵室11の背面側の内壁の一部を形成している。
【0020】
冷気ダクト形成部材30には、冷気ダクト20から冷蔵室11へ冷気を吐出する複数の吐出口(例えば、第1吐出口32、第2吐出口33a~33d、第3吐出口34aおよび34bなど)、並びに、冷蔵室11内の空気を冷却室へ戻す戻り口(例えば、戻り口35など)が設けられている。
【0021】
(冷気ダクト周辺の構成)
続いて、冷気ダクト20周辺のより具体的な構成について説明する。上述したように、冷気ダクト20、および、吐出口などの冷気ダクトの周辺の構成は、主として、冷気ダクト形成部材30によって形成される。
【0022】
図4から図7には、冷気ダクト形成部材30の外観を示す。図4には、冷気ダクト形成部材30の正面側(冷蔵室11側)の構成を示す。図5および図6には、冷気ダクト形成部材30の背面側(冷気ダクト20側)の構成を示す。図7には、冷気ダクト形成部材30の上方側(第1吐出口32側)の構成を示す。
【0023】
冷気ダクト形成部材30の外形は、主として、本体部31と、断熱材21とで形成されている。本体部31は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびポリエチレンなどの樹脂材料を所定の形状に成形することによって形成されている。断熱材21は、例えば、発泡スチロールなどの断熱性の高い材料で形成されている。
【0024】
断熱材21は、本体部31の裏面側に配置されており、冷気ダクト20の通路を形成している。このように、断熱材21は、冷気ダクト20の周囲に設けられている。これにより、冷気ダクト20の前面側に位置している冷蔵室11と冷気ダクト20との間の熱伝導を抑制することができる。
【0025】
また、冷気ダクト形成部材30には、冷蔵室11へ冷気を吐出する複数の吐出口として、第1吐出口32、第2吐出口33a~33d、並びに、第3吐出口34aおよび34bなどが設けられている。
【0026】
第1吐出口32は、本体部31の上端に配置されている。図7に示すように、第1吐出口32は、本体部31の上端面に形成されている開口部を有している。冷気ダクト20内を下方から上方へ流れた冷気の一部は、この開口部から冷蔵室11へ送出される。
【0027】
第1吐出口32は、冷気ダクト形成部材30の上端の開口部へ向かって断面積が小さくなる先細り形状32aを有している(図5および図6参照)。このよう先細り形状32aは、断熱材21を形成している発泡スチロールなどを所定形状に成形することによって形成することができる。
【0028】
図5などに示す例では、先細り形状32aは、冷気ダクト20の通路の幅(左右方向の長さ)が、本体部31の上端へ向かって小さくなる形状となっている。しかし、先細り形状32aはこのような形状に限定はされない。先細り形状32aは、冷気ダクト形成部材30の上端の開口部へ向かって水平方向(左右方向)の断面積が小さくなるような形状であればよい。
【0029】
第1吐出口32がこのような先細り形状32aを有していることで、第1吐出口32の上端の開口部から冷蔵室11へ吹き出される冷気の風速の低下が抑えられるため、第1吐出口32の開口部から吹き出された冷気を、第1吐出口32からより離れた冷蔵室11の前方側へと導くことができる。
【0030】
第1吐出口32の下方には、複数個の第2吐出口が設けられている。本実施形態では、4個の第2吐出口33a・33b・33c・33dが設けられている。これらの第2吐出口33a・33b・33c・33dは、本体部31の正面部31aに配置されている。より具体的には、本体部31の正面部31aにおいて上方から順に、4個の第2吐出口33a・33b・33c・33dが縦方向(上下方向)に並んで配置されている。図2に示すように、各第2吐出口33a・33b・33c・33dは、各棚板40a・40b・40c・40dの配置位置を避けて設けられていることが好ましい。
【0031】
図4などに示すように、各第2吐出口33a・33b・33c・33dは、縦長形状となっている。すなわち、各第2吐出口33a・33b・33c・33dにおいて、開口部の縦幅L(上下方向の長さ)は、開口部の横幅W(左右方向の長さ)よりも大きくなっている。
【0032】
第2吐出口33a・33b・33c・33dがこのような縦長形状を有していることで、冷気ダクト20内の冷気の流通抵抗が低減し、冷気ダクト20の上端に設けられている第1吐出口32まで、冷気を無駄なく運ぶことができる。また、各第2吐出口33a~33dの形状が冷気ダクト20内の冷気の流通方向に沿った形状となっているため、より上流側の第2吐出口(例えば、33d)から冷気が集中して吐出されることを抑制できる。これにより、冷気ダクト20の最上方に位置している第1吐出口32および第2吐出口33aの方へより多くの冷気を導きやすくなる。
【0033】
なお、各第2吐出口33a・33b・33c・33dの開口部には、冷気ダクト20から冷蔵室11へ送出される冷気の風向きを規定するためのルーバーが設けられている。
【0034】
本実施形態では、縦方向に並んで配置されている複数の第2吐出口のうち、上方側に配置されている2つの第2吐出口33aおよび33bの横幅Wは、下方側に配置されている2つの第2吐出口33cおよび33dの横幅Wよりも大きくなっている(図4参照)。
【0035】
これにより、下方側(上流側)に配置されている第2吐出口33cおよび33dよりも、上方側(下流側)に配置されている第2吐出口33aおよび33bから吹き出される冷気を、冷気ダクト20から取り込み易くすることができる。冷却室で冷やされた冷気を冷気ダクト20へと送るための冷却ファンは、冷気ダクト20の下方に設けられている。そのため、冷気ダクト20のより上方側に位置している第2吐出口33aおよび33b周辺では、冷却ファンからの距離がより遠いため、下方側に位置している第2吐出口33cおよび33d周辺よりも冷気の風圧が弱まる傾向にある。そこで、各第2吐出口33a~33dの横幅Wを上記のように規定することで、各第2吐出口33a~33dから吹き出される冷気の風量の差を小さくすることができる。
【0036】
また、本実施形態では、上方側に配置されている2つの第2吐出口33aおよび33bのうち、最上方に配置された第2吐出口33aの開口面積は、最上方の一つ下に配置された第2吐出口33bの開口面積よりも小さくなっている。ここで、第2吐出口の開口面積とは、(第2吐出口の開口部の横幅W)×(第2吐出口の開口部の縦幅L)で得られる面積を意味する。
【0037】
図4に示す例では、第2吐出口33aの横幅Wと、第2吐出口33bの横幅Wとは、略同じ大きさとなっている。一方、第2吐出口33aの縦幅Lは、第2吐出口33bの縦幅Lよりも小さくなっている。
【0038】
また、本実施形態では、最上方に配置された第2吐出口33aは、第1吐出口32の先細り形状32aの領域の中に位置している。すなわち、図5に示すように、第2吐出口33aは、第1吐出口32の先細り形状32aの下端部(図5において破線で示した箇所)よりも上方に位置している。
【0039】
最上方の第2吐出口33aが第1吐出口32の先細り形状32aの領域の中に位置している構成において、最上方の第2吐出口33aの開口面積が最上方の一つ下の第2吐出口33bの開口面積よりも小さくなっていることで、最上方の第2吐出口33aから吹き出される冷気の風量を低減させることができる。そして、冷気ダクト20の上方の先細り形状32aの領域内に導かれた冷気の多くを、上端に位置する第1吐出口32から吹き出されるようにすることができる。
【0040】
図2および図3に示すように、棚板40aによって区分けされた最上段の収容空間には、第1吐出口32および最上方の第2吐出口33aから冷気が吹出される。したがって、最上方の第2吐出口33aからの冷気の風量を低減させても、第1吐出口32からの冷気によって、最上段の収容空間に十分な冷気を供給することができる。また、上述の通り、第1吐出口32の開口部から吹き出された冷気は、冷蔵室11の前方側へと導くための風速が必要となるため、第1吐出口32から吹き出される冷気の風速を維持するために、第2吐出口33aからの冷気の風量を低減させている。これにより、各棚板によって区分けされた収容空間だけでなく、棚板前方のドアポケットなどの収容空間にも十分な冷気を供給することができる。
【0041】
第2吐出口33a~33dの下方には、複数個の第3吐出口が設けられている。本実施形態では、2個の第3吐出口34a・34bが設けられている。これらの第3吐出口34a・34bは、本体部31の下方に配置されている。本実施形態では、各第3吐出口34a・34bは、冷蔵室11内の棚板40dの下方に配置される収納ケースの背面側に設けられている。
【0042】
本実施形態では、図2などに示すように、第3吐出口34aは、正面から見て、冷蔵室11内の左右方向の中央部付近に配置されている。また、もう一つの第3吐出口34bは、正面から見て、第3吐出口34aの右側に配置されている。
【0043】
なお、各第3吐出口34a・34bの開口部には、冷気ダクト20から冷蔵室11へ送出される冷気の風向きを規定するためのルーバーが設けられている。
【0044】
また、冷気ダクト形成部材30には、冷蔵室11内の空気を冷気ダクト20へ戻す戻り口として、戻り口35などが設けられている。戻り口35は、冷蔵室11の背面部の下方に位置している。本実施形態では、戻り口35は、冷蔵室11内の棚板40dの下方に配置される収納ケースの背面側に設けられている。
【0045】
本実施形態では、図4などに示すように、戻り口35は、正面から見て、第3吐出口34aの左側に配置されている。すなわち、戻り口35は、第3吐出口34aを間に挟んで第3吐出口34bとは左右方向の反対側に配置されている。
【0046】
冷気ダクト形成部材30に設けられている各吐出口から冷蔵室11へ送出され、冷蔵室11内を流れた冷気は、戻り口35から冷却室へと戻される。
【0047】
また、冷気ダクト20には、最上方に配置された第2吐出口33aと、最上方の一つ下に配置された第2吐出口33bとの間に、ビス止め用突起(突起部)37が設けられている(図5など参照)。ビス止め用突起37は、冷気ダクト20内を後方へ向かって突出している。冷気ダクト形成部材30は、このビス止め用突起37の部分がビスなどによって断熱箱体50の内箱51に固定されることで、断熱箱体50に取り付けられる。
【0048】
なお、図5に示すように、ビス止め用突起37は、第1吐出口32の先細り形状32aの領域よりも下方(すなわち、図5において破線を付した箇所よりも下方)に位置していることが好ましい。これにより、第1吐出口32の先細り形状32aの流路内の冷気の流れが、ビス止め用突起37によって阻害されることを抑制することができる。
【0049】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、冷蔵室11を備えている。冷蔵室11の背面部には、冷蔵室11へ送出される冷気が通る冷気ダクト(冷気通路)20を有する冷気ダクト形成部材(通路形成部材)30が備えられている。冷気ダクト形成部材30は、第1吐出口32と、少なくとも一つの第2吐出口33a~33dとを有している。第1吐出口32は、冷気ダクト形成部材30の上端に配置されている。第2吐出口33a~33dは、第1吐出口32の下方に配置され、縦長形状を有している。
【0050】
上記の構成によれば、第2吐出口33a~33dが縦長形状を有していることで、冷気ダクト20内の冷気の流通抵抗が低減し、冷気ダクト20の上端に設けられている第1吐出口32まで、冷気を無駄なく運ぶことができる。また、各第2吐出口33a~33dの形状が冷気ダクト20内の冷気の流通方向に沿った形状となっているため、より上流側の第2吐出口33dなどから冷気が集中して吐出されることを抑制できる。これにより、冷気ダクト20の最上方に位置している第1吐出口32および第2吐出口33aの方へより多くの冷気を導きやすくなる。したがって、冷蔵室11の背面側で下方から上方へ向かって流れる冷気を効率よく冷蔵室11へ吐出することのできる冷蔵庫1が得られる。
【0051】
本実施形態では、第1吐出口32は、冷気ダクト形成部材30の上端の開口部へ向かって水平方向の断面積が小さくなる先細り形状32aを有している。そして、最上方に配置された第2吐出口33aは、第1吐出口32の先細り形状32aの領域の中に位置している。さらに、最上方の第2吐出口33aの開口面積は、最上方の一つ下の第2吐出口33bの開口面積よりも小さくなっている。
【0052】
上記の構成によれば、最上方の第2吐出口33aから吹き出される冷気の風量を低減させることができる。そして、冷気ダクト20の上方の先細り形状32aの領域内に導かれた冷気の多くを、上端に位置する第1吐出口32から吹き出されるようにすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、冷気ダクト形成部材30の正面部31aに、縦方向に並んで配置されている複数の第2吐出口のうち、上方側に配置されている2つの第2吐出口33aおよび33bの開口部の大きさは、下方側に配置されている2つの第2吐出口33cおよび33dの開口部の大きさよりも大きくなっている(図4参照)。
【0054】
これにより、冷気の風圧が弱まる傾向にある、冷気ダクト20の上方側に位置している第2吐出口33aおよび33bから吹き出される冷気の風量の低下を抑えることができる。したがって、各第2吐出口33a~33dから吹き出される冷気の風量の差を小さくすることができる。
【0055】
なお、上述した実施形態では、冷気ダクト形成部材30の本体部31の正面部31aに、4個の第2吐出口33a・33b・33c・33dが設けられている構成を例に挙げて説明した。しかし、第2吐出口の個数は、4個に限定されない。第2吐出口の個数は、冷蔵室11の大きさなどに応じて決めることができる。冷蔵室11が縦長形状の貯蔵空間を有している場合には、第2吐出口の個数は2個以上であることが好ましい。そして、2個以上の第2吐出口のうち、上方側に配置されている第2吐出口の横幅は、下方側に配置されている第2吐出口の横幅よりも大きくなっていることが好ましい。これにより、冷蔵室の背面側に位置する冷気ダクト20内で下方から上方へ向かって流れる冷気を、各吐出口から比較的均等な割合で冷蔵室11へ向けて吐出することができる。
【0056】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、冷気ダクト形成部材30の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0057】
第1の実施形態と同様に、本実施形態にかかる冷蔵庫1には、冷蔵室11の背面側に、冷蔵室11へ送出される冷気が通る冷気ダクト(冷気通路)20が設けられている。冷気ダクト20は、冷気ダクト形成部材(通路形成部材)30によって形成されている。冷気ダクト形成部材30は、冷蔵室11の背面部に配置されている。
【0058】
冷気ダクト形成部材30には、冷気ダクト20から冷蔵室11へ冷気を吐出する複数の吐出口(例えば、第1吐出口32、第2吐出口、第3吐出口など)、並びに、冷蔵室11内の空気を冷却室へ戻す戻り口(例えば、戻り口35など)が設けられている。
【0059】
第1の実施形態と同様に、第1吐出口32は、本体部31の上端に配置されている。第1吐出口32の下方には、複数個の第2吐出口が設けられている。複数個の第2吐出口は、本体部31の正面部31aに配置されている。
【0060】
第1の実施形態と同様に、各第2吐出口は、縦長形状となっている。なお、本実施形態では、各第2吐出口の開口部の大きさは、略同じとなっている。
【0061】
第2吐出口が縦長形状を有していることで、冷気ダクト20内の冷気の流通抵抗が低減し、冷気ダクト20の上端に設けられている第1吐出口32まで、冷気を無駄なく運ぶことができる。また、各第2吐出口の形状が冷気ダクト20内の冷気の流通方向に沿った形状となっているため、より上流側の第2吐出口から冷気が集中して吐出されることを抑制できる。これにより、冷気ダクト20の最上方に位置している第1吐出口32および上方側(下流側)の第2吐出口の方へより多くの冷気を導きやすくなる。
【0062】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、冷気ダクト形成部材30の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0063】
第1の実施形態と同様に、本実施形態にかかる冷蔵庫1には、冷蔵室11の背面側に、冷蔵室11へ送出される冷気が通る冷気ダクト(冷気通路)20が設けられている。冷気ダクト20は、冷気ダクト形成部材(通路形成部材)30によって形成されている。冷気ダクト形成部材30は、冷蔵室11の背面部に配置されている。
【0064】
冷気ダクト形成部材30には、冷気ダクト20から冷蔵室11へ冷気を吐出する複数の吐出口(例えば、第1吐出口32、第2吐出口、第3吐出口など)、並びに、冷蔵室11内の空気を冷却室へ戻す戻り口(例えば、戻り口35など)が設けられている。
【0065】
第1の実施形態と同様に、第1吐出口32は、本体部31の上端に配置されている。第1吐出口32の下方には、複数個の第2吐出口が設けられている。複数個の第2吐出口は、本体部31の正面部31aに配置されている。
【0066】
第1吐出口32は、冷気ダクト形成部材30の上端の開口部へ向かって断面積が小さくなる先細り形状32aを有している。第1の実施形態では、先細り形状32aは、冷気ダクト20の通路の幅(左右方向の長さ)が、本体部31の上端へ向かって小さくなる形状となっている。
【0067】
一方、本実施形態では、先細り形状32aは、冷気ダクト20の通路の厚み(前後方向の長さ)が、本体部31の上端へ向かって小さくなる形状となっていている。さらに別の実施形態では、先細り形状32aは、冷気ダクト20の通路の厚みおよび幅の両方が、本体部31の上端へ向かって小さくなる形状となっていている。これにより、第1吐出口32の上端の開口部までの冷気通路の形状は、その水平方向の断面積が上端に向かって小さくなる先細り形状となる。
【0068】
第1吐出口32がこのような先細り形状32aを有していることで、第1吐出口32の上端の開口部から冷蔵室11へ吹き出される冷気の風速を確保することができる。
【0069】
(まとめ)
本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、冷蔵室(例えば、冷蔵室11)と、前記冷蔵室の背面部に配置され、前記冷蔵室へ送出される冷気が通る冷気通路(例えば、冷気ダクト20)を有する通路形成部材(例えば、冷気ダクト形成部材30)とを備えている。前記通路形成部材は、上端に配置された第1吐出口(例えば、第1吐出口32)と、前記第1吐出口の下方に配置され、縦長形状の少なくとも一つの第2吐出口(例えば、第2吐出口33a~33d)とを有している。
【0070】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記第1吐出口(例えば、第1吐出口32)は、前記通路形成部材(例えば、冷気ダクト形成部材30)の前記上端へ向かって断面積が小さくなる先細り形状(例えば、先細り形状32a)を有していてもよい。
【0071】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、複数の前記第2吐出口(例えば、第2吐出口33a~33d)を有しており、前記複数の前記第2吐出口は、縦方向に並んで配置されていてもよい。そして、前記複数の前記第2吐出口のうち、上方側に配置されている前記第2吐出口(例えば、第2吐出口33aおよび33b)の横幅(例えば、横幅W)は、下方側に配置されている前記第2吐出口(例えば、第2吐出口33cおよび33d)の横幅(例えば、横幅W)よりも大きくなっていてもよい。
【0072】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、複数の前記第2吐出口(例えば、第2吐出口33a~33d)を有しており、前記複数の前記第2吐出口は、縦方向に並んで配置されていてもよい。そして、前記複数の前記第2吐出口のうち、最上方に配置された前記第2吐出口(例えば、第2吐出口33a)の開口面積は、最上方の一つ下に配置された前記第2吐出口(例えば、第2吐出口33b)の開口面積よりも小さくなっていてもよい。
【0073】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記通路形成部材(例えば、冷気ダクト形成部材30)の前記冷気通路(例えば、冷気ダクト20)には、前記最上方に配置された前記第2吐出口(例えば、第2吐出口33a)と、前記最上方の一つ下に配置された前記第2吐出口(例えば、第2吐出口33b)との間に、突起部(例えば、ビス止め用突起37)が設けられていてもよい。
【0074】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記第1吐出口(例えば、第1吐出口32)は、前記通路形成部材(例えば、冷気ダクト形成部材30)の前記上端へ向かって断面積が小さくなる先細り形状(例えば、先細り形状32a)を有しており、前記突起部(例えば、ビス止め用突起37)は、前記第1吐出口の前記先細り形状よりも下方に位置していてもよい。
【0075】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記第1吐出口(例えば、第1吐出口32)は、前記通路形成部材(例えば、冷気ダクト形成部材30)の前記上端へ向かって断面積が小さくなる先細り形状(例えば、先細り形状32a)を有しており、前記最上方に配置された前記第2吐出口(例えば、第2吐出口33a)は、前記第1吐出口の前記先細り形状の中に位置していてもよい。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 :冷蔵庫
11 :冷蔵室
20 :冷気ダクト(冷気通路)
21 :断熱材(発泡スチロール)
30 :冷気ダクト形成部材(通路形成部材)
31 :(冷気ダクト形成部材の)本体部
32 :第1吐出口
32a :(第1吐出口の)先細り形状
33a :第2吐出口(上方側または最上方に配置された第2吐出口)
33b :第2吐出口(上方側または最上方の一つ下に配置された第2吐出口)
33c :第2吐出口(下方側に配置された第2吐出口)
33d :第2吐出口(下方側に配置された第2吐出口)
34a :第3吐出口
34b :第3吐出口
35 :戻り口
37 :ビス止め用突起(突起部)
図1
図2
図3
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図5
図6
図7