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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/00 20060101AFI20250306BHJP
   F25D 23/04 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
F25D25/00 G
F25D23/04 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021008645
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022112733
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2023-09-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勇也
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-304753(JP,A)
【文献】実開平01-144788(JP,U)
【文献】中国実用新案第209147546(CN,U)
【文献】特開2018-013325(JP,A)
【文献】特開平11-304354(JP,A)
【文献】特開2020-193755(JP,A)
【文献】特開2012-002477(JP,A)
【文献】特開2004-324940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0160151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
F25D 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き出し式の収納室を備えている冷蔵庫であって、
前記引き出し式の収納室は、
前方側に引き出される本体ケースと、前記本体ケースと係合して前記本体ケースに連動して引き出される上段ケースと、を有し、
前記本体ケースは、表面に凹凸形状を有している前方側内壁部と、前記前方側内壁部の下端に連結している前方側底面部と、前記前方側底面部の後方に設けられている後方側底面部と、を有しており、
前記前方側内壁部は、前記本体ケースの全幅に亘って上方側が手前の方へ傾斜しており、
前記上段ケースは、前記前方側底面部の上方部分には前記上段ケースが存在しないように、前記上段ケースの前面部が前記前方側内壁部から間隔を空けた状態で前記本体ケースに係止されており、
前記間隔は、前記上段ケースの前面部から前記前方側内壁部に向かう方向における前記前方側底面部の長さよりも長く、
前記凹凸形状は、前記前方側内壁部の全幅に亘って配置される、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記前方側底面部は、前方へ向かって下方に傾斜している、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記前方側底面部と、前記後方側底面部との間には、段差が設けられている、
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記引き出し式の収納室の内壁にはレールが形成されており、
前記本体ケースが手前に引き出された状態で前記上段ケースを奥に押し込むと、前記上段ケースと前記本体ケースとの係合状態が外れて前記上段ケースが前記レール上を摺動して前記上段ケースが前記引き出し式の収納室の内壁に支持され、
前記上段ケースが前記引き出し式の収納室の内壁に支持された状態で前記本体ケースを前記引き出し式の収納室に戻すと、前記上段ケースと前記本体ケースとが再び係合状態となる、
請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き出し式の収納室を備えている冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には、引き出し式の収納室を備えているものがある。この引き出し式の収納室は、例えば、野菜室、冷凍室などとして利用される。
【0003】
この引き出し式の収納室には、例えば、ペットボトルやビン類などの比較的背の高い収納物を配置した際に、収納物の転倒を防止するための工夫が施されているものがある。例えば、特許文献1には、野菜室内の第一の収納空間305内の収納物の倒れを防止するための転倒防止手段400を備えている冷蔵庫が開示されている。この転倒防止手段400は、仕切部308とは別部品であって、仕切部308に対して着脱可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-216372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷蔵庫の収納室において収納物の転倒を防止するために、特許文献1などに開示されているような転倒防止手段400を用いると、別パーツが余分に必要になる。
【0006】
そこで、本発明では、別パーツを追加することなく収納室内の収納物の転倒を抑制することのできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫は、引き出し式の収納室を備えている。この冷蔵庫において、前記引き出し式の収納室は、表面に凹凸形状を有している前方側内壁部を有し、前記前方側内壁部は、上方側が手前の方へ傾斜している。
【0008】
本発明のもう一つの局面にかかる冷蔵庫は、引き出し式の収納室を備えている。この冷蔵庫において、前記引き出し式の収納室は、表面に凹凸形状を有している前方側内壁部と、前方へ向かって下方に傾斜している前方側底面部とを有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、別パーツを追加することなく収納室内の収納物の転倒を抑制することのできる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる冷蔵庫の正面部の構成を示す平面図である。
図2図1に示す冷蔵庫の野菜室の正面部の構成を示す平面図である。
図3図2に示す野菜室のA-A線部分の構成を示す断面図である。
図4図2に示す野菜室を示す側面図であって、扉が開けられた状態を示す図である。
図5図2に示す野菜室の内部を示す斜視図である。
図6図2に示す野菜室の内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
<第1の実施形態>
(冷蔵庫の全体構成)
先ず、第1の実施形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を説明する。図1には、冷蔵庫1を正面から見た外観を示す。
【0013】
冷蔵庫1の外形は、主として断熱箱体50で構成されている。この断熱箱体50によって冷蔵庫1の貯蔵空間が形成される。断熱箱体50によって形成される貯蔵空間は、水平方向に延びる複数の仕切りによって、例えば、上段から順に、冷蔵室11と、野菜室(引き出し式の収納室)12と、製氷室および第2冷凍室と、冷凍室とに区分けされている。
【0014】
冷蔵室11には、左右に分割された観音開き式の冷蔵室扉11aおよび11bが設けられている。野菜室12には、引き出し式の野菜室扉12aが設けられている。冷凍室には、引き出し式の冷凍室扉13aが設けられている。製氷室には、引き出し式の製氷室扉14aが設けられている。第2冷凍室には、引き出し式の冷凍室扉15aが設けられている。
【0015】
以上のように、本実施の形態にかかる冷蔵庫1は、複数の貯蔵空間に区分けされて、冷蔵室11および野菜室12などが設けられている。但し、各貯蔵空間の配置位置については、これに限定はされない。また、各貯蔵空間に設けられている扉の構成も、上記のものに限定はされない。
【0016】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の正面または前面と呼ぶ。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1の各面を、上面、側面、背面、及び底面とする。また、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1を正面から見て左右の方向(上下方向と直交する横方向)のことを、冷蔵庫1(または、野菜室12など)の左右方向という。また、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1の上下の方向(左右方向と直交する縦方向)のことを、冷蔵庫1(または、野菜室12など)の上下方向という。また、冷蔵庫1の前面側から見て左側に位置する側を、冷蔵庫1の左側と呼び、冷蔵庫1の前面側から見て右側に位置する側のことを、冷蔵庫1の右側と呼ぶ。
【0017】
(野菜室の構成)
続いて、冷蔵庫1に設けられている野菜室12のより詳細な構成について説明する。図2には、野菜室12を正面から見た外観を示す。図3には、野菜室12の内部の構成を示す。図3は、図2のA-A線の位置における野菜室12の断面構成を示すものである。図4には、野菜室12の側面の構成を示す。図5および図6は、野菜室12の庫内を示す斜視図である。なお、図3および図5は、野菜室扉12aが閉じられた状態を示す。また、図4および図6は、野菜室扉12aが手前に引き出された状態を示す。
【0018】
野菜室12は、主として、引き出し式の野菜室扉12a、本体ケース20、ケース支持部21、および上段ケース80などを備えている。
【0019】
野菜室扉12aは、野菜室12の前面に配置されており、手前に引き出し可能に構成されている。
【0020】
本体ケース20は、野菜室扉12aの背面に配置されている。より具体的には、本体ケース20は、野菜室扉12aの背面に取り付けられているケース支持部21によって支持されている。
【0021】
ケース支持部21は、例えば、金属などの剛性を有する材料で形成される。ケース支持部21は、野菜室扉12aの背面に取り付けられており、冷蔵庫1の側面に沿って前後方向に延びている。本実施形態では、2つのケース支持部21が設けられており、一方が野菜室扉12aの背面の右側端部近傍に取り付けられ、他方が野菜室扉12aの背面の左側端部近傍に取り付けられている。
【0022】
ケース支持部21の後端部には、移動ローラ(摺動部)22が設けられている。野菜室扉12aが冷蔵庫1内に収容された状態で、移動ローラ22は、断熱箱体50の内側壁に形成されたレール(図示せず)に当接する。そして、野菜室扉12aを冷蔵庫1から引き出す際には、移動ローラ22は、レールの底面に当接しながら、レール上を摺動する。
【0023】
上記の構成により、野菜室扉12aを手前に引き出して扉12aを開放すると、図6などに示すように、ケース支持部21に支持されている本体ケース20は、扉12aとともに引き出される。これにより、使用者は、野菜室12の本体ケース20内に収納された物品を取り出すことができる。
【0024】
上段ケース80は、野菜室12の上段側に配置されている。上段ケース80は、上面視で略長方形の箱型の形状を有している。上段ケース80は、上面視で、本体ケース20の上方部分の大きさ(平面積)の約2/3程度の大きさ(平面積)を有しており、本体ケース20の上方の中央部分から後方部分を覆っている(図5参照)。上段ケース80の左右両側の側面には摺動部81が設けられており、本体ケース20の両側面部の上端縁に摺動可能に支持される。本体ケース20の両側面部の上端縁にはストッパ82が設けられており、摺動部81から下方に延びた突起(図示せず)と係合することで、上段ケース80は、本体ケース20とともに、扉12aの開閉に連動して移動する。
【0025】
上段ケース80は、例えば、果物などを収容する果物ケースとして利用することができる。なお、上段ケース80は、図5などに示すように、左右に区分けされた2つの収容空間を有していてもよい。
【0026】
断熱箱体50の内側壁には、第2のレール(図示せず)が形成されており、本体ケース20が手前に引き出された状態で上段ケース80を奥に押し込むと、上段ケース80の摺動部81が第2のレール上を摺動して上段ケース80が支持される。これにより、使用者は、上段ケース80を奥に押し込んで本体ケース20の後方に収納された物品を取り出すことができる。上段ケース80を奥に押し込んだ状態で野菜室扉12aを閉じると、本体ケース20のストッパ82が上段ケース80の摺動部81の突起に再び係合する。これにより、上段ケース80は、本体ケース20とともに、扉12aの開閉に連動して移動できるようになる。
【0027】
このように、主として、引き出し式の扉12aと本体ケース20および上段ケース80とで、引き出し式の収納室の一例である野菜室12が形成される。
【0028】
本体ケース20は、箱型の形状を有している。本体ケース20は、主として、前面部20a、左右両側の側面部20b、後面部20c、主底面部(後方側底面部)20d、および前方側底面部25を有している。これらの本体ケース20の各部分の名称は、本体ケース20が冷蔵庫1内に収容された状態での位置に基づいて規定されている。
【0029】
前面部20aの内側の壁(前方側内壁部)は、波型形状24を有している。この波型形状24は、湾曲した凹部が複数連続した凹凸形状である。凹部を湾曲面とすることで、様々なサイズの物品に対しても横方向の支持を可能にする。また、湾曲面とすることで、物品に対して局所的な圧力をかけずに支持することができ、葉物野菜(具体的には、ホウレンソウ、白菜、小松菜など)等を傷つけずに収納できる。この湾曲した一つの凹部の横幅(左右方向の幅)は、例えば、飲料ボトル(具体的には、2リットル程度のペットボトル、一升瓶など)、葉物野菜の大きさに合わせて決めることができる。具体的には、湾曲した一つの凹部の横幅は、例えば、7cm以上20cm以下の範囲内とすることができる。
【0030】
また、図3などに示すように、前面部20aは、その上方側が手前の方へわずかに傾斜している。この傾斜に沿って、波型形状24を有する前面部20aの内側の壁も、上方側が手前の方へ傾斜している。これにより、本体ケース20の前方側に配置された物品は、その上方側が手前側に傾斜するため、本体ケース20の前方側に配置された物品を取り出しやすい構成とすることができる。
【0031】
また、本体ケース20の後面部20cは、その上方側が後方へ向かって傾斜している。後面部20cの上端は、野菜室扉12aが閉じられた状態で、上段ケース80の後面部の位置と略同じ位置に存在する(図3参照)。
【0032】
本体ケース20の底面は、主に、主底面部20dと前方側底面部25とで形成されている。主底面部20dは、主に上段ケース80と上下方向に対向する領域に形成されている。前方側底面部25は、主底面部20dの前方側に位置しており、その前端部は前面部20aに連結している。
【0033】
前方側底面部25と主底面部20dとの間には、段差26が設けられている。これにより、本体ケース20内を、段差26を境界にして簡易的に区画することができる。
【0034】
また、本実施形態では、図3などに示すように、前方側底面部25は、前方へ向かって下方に傾斜している。一方、主底面部20dは、その前後方向において略水平に延びている。
【0035】
前方側底面部25が前方へ向かって下方に傾斜していることで、本体ケース20の手前側に配置される物品を、手前側(すなわち、波型形状24を有する前方側内壁部)へ立てかけるようにして載置することができる。
【0036】
また、本実施形態では、図3および5などに示すように、本体ケース20の前面部20aの後方側に、前面部20aの波型形状24を有する内壁部から間隔を空けた状態で上段ケース80の前面部80aが位置するように、上段ケース80が係止されている。これにより、前方側底面部25および前面部20aで形成される本体ケース20の前方側の上方部分には、上段ケース80が存在せず、ケース内の上方側が開放された状態となる。そのため、本体ケース20の後方側と比較して、本体ケース20の前方側には、より背の高い物品を収容することができる。
【0037】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、野菜室12などの引き出し式の収納室を備えている。野菜室12は、本体ケース20を備えている。本体ケース20は、内側表面に波型形状24などの凹凸形状を有している前面部20a(前方側内壁部)を有している。この前面部20aは、上方側が手前の方へ傾斜している。また、本体ケース20は、前方へ向かって下方に傾斜している前方側底面部25を有している。
【0038】
前面部20aの内側の表面に凹凸が設けられていることで、本体ケース20の前面部20a側に収容された物品の左右方向の揺れを吸収することができる。そのため、野菜室扉12aを引き出す場合などに起こり得る本体ケース20の振動によって、本体ケース20の前面部20a側に収容された物品が転倒することを抑制することができる。
【0039】
また、本体ケース20の前面部20aの上方側が手前の方へ傾斜し、かつ、本体ケース20の前方側底面部25が前方へ向かって下方に傾斜していることで、本体ケース20の前方側に配置された物品を、前面部20aの内壁面にもたれかかるように配置させることができる。これにより、前面部20aの内壁面に設けた凹凸形状に物品が支持された状態を維持できるため、本体ケース20の振動によって物品が横に倒れることを効果的に防止できる。したがって、例えば、ペットボトルなどの縦長の飲料容器を安定した状態で配置することができる。
【0040】
また、上記の構成によれば、例えば、ホウレンソウ、白菜、小松菜などの葉物野菜を、縦方向に配置された状態で安定して保持することができる。これにより、葉物野菜の鮮度の低下を抑えることができる。
【0041】
また、上記の構成によれば、本体ケース20の前方側に配置された物品は、その上方側が前面部20aおよび前方側底面部25の傾斜に沿って手前側に傾斜するため、本体ケース20の前方側に配置された物品を取り出しやすい構成とすることができる。
【0042】
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1によれば、別パーツを追加することなく野菜室12内の収納物の転倒を抑制することができる。したがって、飲料容器および葉物野菜などの縦長の物品の横倒れを抑制して、安定した状態で収容することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、引き出し式の収納室の一例として野菜室12を挙げているが、引き出し式の収納室は、野菜室に限定されない。本発明の別の実施態様では、引き出し式の収納室は、例えば、冷凍室、チルド室などであってもよい。
【0044】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、野菜室の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0045】
第1の実施形態と同様に、本実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室12は、主として、引き出し式の野菜室扉12a、本体ケース20、ケース支持部21、および上段ケース80などを備えている。野菜室扉12a、ケース支持部21、および上段ケース80については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0046】
第1の実施形態と同様に、本体ケース20は、主として、前面部20a、左右両側の側面部20b、後面部20c、主底面部(後方側底面部)20d、および前方側底面部25で形成された箱型の形状を有している。
【0047】
第1の実施形態では、前面部20aの内側の壁(前方側内壁部)は、波型形状24を有する壁面で構成されている。これに対して、本実施形態では、前面部20aの内側の壁(前方側内壁部)には、複数のリブなどの突起が設けられている。例えば、リブは、前面部20aの内壁面に対して略垂直に突出する板状部材で形成されている。このようにして、前面部20aの内側の壁(前方側内壁部)には凹凸形状が形成されている。
【0048】
複数のリブ同士の間隔は、飲料ボトル(具体的には、2リットル程度のペットボトル、一升瓶など)、葉物野菜(具体的には、ホウレンソウ、白菜、小松菜など)の大きさに合わせて決めることができる。具体的には、複数のリブ同士の間隔は、例えば、7cm以上20cm以下の範囲内とすることができる。
【0049】
また、第1の実施形態と同様に、前面部20aは、その上方側が手前の方へわずかに傾斜している。この傾斜に沿って、複数のリブを有する前面部20aの内側の壁も、上方側が手前の方へ傾斜している。また、前方側底面部25は、前方へ向かって下方に傾斜している。
【0050】
上記の構成によれば、本体ケース20の前方側に配置された物品は、その上方側が手前側に傾斜するため、本体ケース20の前方側に配置された物品を取り出しやすい構成とすることができる。
【0051】
また、複数のリブなどによって前面部20aの内側の壁には凹凸形状が設けられている。そのため、この壁に対して物品をわずかに傾斜させた状態で配置することで、飲料容器および葉物野菜などの縦長の物品の横倒れを抑制して、より安定した状態で配置することができる。したがって、野菜室12内の収納物の転倒を抑制することのできる冷蔵庫1が得られる。
【0052】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、野菜室の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0053】
第1の実施形態と同様に、本実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室12は、主として、引き出し式の野菜室扉12a、本体ケース20、ケース支持部21、および上段ケース80などを備えている。野菜室扉12a、ケース支持部21、および上段ケース80については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0054】
第1の実施形態と同様に、本体ケース20は、主として、前面部20a、左右両側の側面部20b、後面部20c、主底面部(後方側底面部)20d、および前方側底面部25で形成された箱型の形状を有している。
【0055】
第1の実施形態では、前方側底面部25は、前方へ向かって下方に傾斜している。これに対して、本実施形態では、前方側底面部25は、前後方向に傾斜することなく略水平方向に延びている。なお、前方側底面部25は、主底面部20dと一体(すなわち、面一)となっていてもよい。また、別の実施態様では、前方側底面部25と主底面部20dとは別々の面で形成されており、これらの間に段差26が設けられていてもよい。
【0056】
一方、前面部20aは、第1の実施形態と同様に、その上方側が手前の方へわずかに傾斜している。この傾斜に沿って、複数のリブを有する前面部20aの内側の壁も、上方側が手前の方へ傾斜している。
【0057】
前面部20aの内側の壁(前方側内壁部)は、凹凸形状を有している。この凹凸形状は、第1の実施形態と同様の波型形状24であってもよいし、第2の実施形態と同様の複数の突起(例えば、リブなど)で形成されていてもよい。
【0058】
上記の構成によれば、本体ケース20の前方側に配置された物品は、その上方側が前面部20aの傾斜に沿って手前側に傾斜するため、本体ケース20の前方側に配置された物品を取り出しやすい構成とすることができる。
【0059】
また、前面部20aの内側の壁には凹凸形状が設けられているため、この壁に対して物品をわずかに傾斜させた状態で配置することで、飲料容器および葉物野菜などの縦長の物品の横倒れを抑制して、より安定した状態で配置することができる。したがって、野菜室12内の収納物の転倒を抑制することのできる冷蔵庫1が得られる。
【0060】
<第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、野菜室の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0061】
第1の実施形態と同様に、本実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室12は、主として、引き出し式の野菜室扉12a、本体ケース20、ケース支持部21、および上段ケース80などを備えている。野菜室扉12a、ケース支持部21、および上段ケース80については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0062】
第1の実施形態と同様に、本体ケース20は、主として、前面部20a、左右両側の側面部20b、後面部20c、主底面部(後方側底面部)20d、および前方側底面部25で形成された箱型の形状を有している。
【0063】
第1の実施形態では、前面部20aは、その上方側が手前の方へわずかに傾斜している。これに対して、本実施形態では、前面部20aは、傾斜することなく上下方向に略垂直に延びている。
【0064】
一方、前方側底面部25は、第1の実施形態と同様に、前方へ向かって下方に傾斜している。そして、前方側底面部25と主底面部20dとの間には段差26が設けられている。
【0065】
前面部20aの内側の壁(前方側内壁部)は、凹凸形状を有している。この凹凸形状は、第1の実施形態と同様の波型形状24であってもよいし、第2の実施形態と同様の複数の突起(例えば、リブなど)で形成されていてもよい。
【0066】
上記の構成によれば、本体ケース20の前方側に配置された物品は、その上方側が前方側底面部25の傾斜に沿って手前側に傾斜するため、本体ケース20の前方側に配置された物品を取り出しやすい構成とすることができる。
【0067】
また、前面部20aの内側の壁には凹凸形状が設けられているため、この壁に対して物品をわずかに傾斜させた状態で配置することで、飲料容器および葉物野菜などの縦長の物品の横倒れを抑制して、より安定した状態で配置することができる。したがって、野菜室12内の収納物の転倒を抑制することのできる冷蔵庫1が得られる。
【0068】
(まとめ)
本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、引き出し式の収納室(例えば、野菜室12)を備えている。この冷蔵庫において、前記引き出し式の収納室は、表面に凹凸形状(例えば、波型形状24、複数の突起など)を有している前方側内壁部(例えば、本体ケース20の前面部20a)を有し、前記前方側内壁部は、上方側が手前の方へ傾斜している。
【0069】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記引き出し式の収納室(例えば、野菜室12)は、前方へ向かって下方に傾斜している前方側底面部(例えば、本体ケース20の前方側底面部25)を有していてもよい。
【0070】
上記の本発明のもう一つの局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、引き出し式の収納室(例えば、野菜室12)を備えている。この冷蔵庫において、前記引き出し式の収納室は、表面に凹凸形状(例えば、波型形状24、複数の突起など)を有している前方側内壁部(例えば、本体ケース20の前面部20a)と、前方へ向かって下方に傾斜している前方側底面部(例えば、本体ケース20の前方側底面部25)とを有している。
【0071】
上記の本発明の何れかの局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記引き出し式の収納室(例えば、野菜室12)は、前記前方側底面部(例えば、本体ケース20の前方側底面部25)の後方に設けられている後方側底面部(例えば、本体ケース20の主底面部20d)をさらに有しており、前記前方側底面部と、前記後方側底面部との間には、段差(例えば、段差26)が設けられていてもよい。
【0072】
上記の本発明の何れかの局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記引き出し式の収納室(例えば、野菜室12)は、前記収納室の上段に配置されたケース(例えば、上段ケース80)をさらに有しており、前記前方側内壁部(例えば、本体ケース20の前面部20a)の後方側に、前記前方側内壁部から間隔を空けた状態で前記ケースの前面部(例えば、前面部80a)が位置していてもよい。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 :冷蔵庫
12 :野菜室(引き出し式の収納室)
12a :野菜室扉
20 :本体ケース
20a :(本体ケースの)前面部(前方側内壁部)
20b :(本体ケースの)側面部
20c :(本体ケースの)後面部
20d :(本体ケースの)主底面部(後方側底面部)
24 :(前方側内壁部の)波型形状(凹凸形状)
25 :前方側底面部
26 :段差
80 :上段ケース
80a :(上段ケースの)前面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6