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  • 特許-塗装ロボットのティーチング方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】塗装ロボットのティーチング方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/02 20060101AFI20250306BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20250306BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
B05D1/02 B
B05D3/00 D
B25J9/22 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021029723
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131008
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】593081224
【氏名又は名称】タクボエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小島 光
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-171409(JP,A)
【文献】特開2019-217431(JP,A)
【文献】特開平06-031233(JP,A)
【文献】特開昭60-012167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05B 1/00-17/08
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク供給手段により供給されるワークにスプレーガンから塗料を噴霧して前記供給されるワークの塗装を行う塗装ロボットと、
スプレーガンとワーク供給手段とを備えたデータ作成機と、を用いて、
塗装ロボットによるワークの塗装と並行し、前記データ作成機によって、塗装中のワークとは異なる別品種のワークの塗装のためのスプレーガンの軌道データのティーチングを行うとともに塗装条件の検証を行い、
ティーチングに誤りが無いときは、
適宜ティーチングデータに基づいてワークの塗装を行ってサンプルを生産し、
ティーチングデータを前記塗装ロボットに転送し、
塗装ロボットは、塗装対象のワークが前記データ作成機で作成されたティーチングの対象となったワークに切り替わったときに、前記転送されたティーチングデータに基づいて塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道を切り替える、ことを特徴とする塗装ロボットのティーチング方法。
【請求項2】
前記データ作成機は、各塗装ロボットに対応した専用のデータ作成機であることを特徴とする請求項1に記載の塗装ロボットのティーチング方法。
【請求項3】
前記データ作成機は、予め作成されているティーチングデータを取り込み、その取り込んだデータをベースにして塗装中のワークとは異なる別品種のワークの塗装のためのスプレーガンの軌道データのティーチングを行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗装ロボットのティーチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装ロボットにおける軌道データのティーチング方法に係り、より詳しくは、ワークの塗装を行う塗装ロボットとは異なるデータ作成機を用いて、塗装ロボットによる塗装と並行して塗装ロボットで塗装を行っているワークとは異なるワークの塗装のためのティーチングを行い、その後にティーチングしたデータを塗装ロボットに転送することで塗装ロボットのティーチングを行うことを特徴とする塗装ロボットのティーチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗装の分野においては、被塗装物(以下「ワーク」と言う。)を大量に塗装する場合において、塗装ロボットを用いて自動的に塗装を行なう方法が採用されている。そして、このような塗装ロボットを用いて自動的に塗装を行う場合には、塗装の膜厚を均一にするために、ワークに向けて塗料を噴霧するスプレーガンについて、塗料の噴射口とワークとの距離や角度を一定に保つ必要がある。
【0003】
そのために、このような塗装ロボットを用いた塗装では、予めワークの外形寸法等に基づいて塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道を決めて、その軌道のデータを塗装ロボットに記憶させておくことが必要であり、この作業を一般に「ティーチング」という。
【0004】
そして、このティーチングによって、塗装ロボットは、ティーチングされた軌道データに基づいてスプレーガンを移動することができ、これにより自動的に、塗装の膜厚を均一にしつつワークを塗装することが可能となる。従って、このような塗装ロボットを用いた塗装では、特に多数個のワークの塗装を行なう場合には、人件費等の経費を削減することができるとともに、すべてのワークに対して正確に同一の塗装を行なうことができるという利点がある。
【0005】
ここで、従来行われているティーチングについて図4を参照して説明すると、図4において31が塗装ロボット、32が塗装対象となるワーク、33が前記塗装ロボットの作動を制御するためのロボットコントローラー、34がティーチングペンダントである。そして、ティーチングは一般的に、前記ティーチングペンダント34を用いて行われる。即ち、このティーチングペンダント34は、リモコンのような物であり、前記ロボットコントローラー33と接続されている。そして、ティーチングを行う際には、塗装ロボット31の近傍において、ティーチングペンダント34を用いて、前記ロボットコントローラー33を介して塗装ロボット31を操作し、所望するスプレーガンの位置を順にロボットコントローラー33に登録し、それにより、ロボットコントローラー33にスプレーガンの軌道を記憶させる方法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-192550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のティーチングは、実際にワークの塗装を行う塗装ロボットを用いて行われていた。即ち、ワークの塗装を行う際には、実際にワークの塗装を行う塗装ロボットと塗装対象となるワークを用いて、ワーク供給用テーブル等にワークを配置して、ティーチングペンダントによってスプレーガンを移動させながら、あるいは手動でスプレーガンとワークとの距離を測りながら、スプレーガンの軌道を決めるとともに、塗装仕上がりを確認しながら塗料条件、噴霧条件等の塗装条件の検証を行っていた。
【0008】
そして、スプレーガンのティーチングが完了した後に、色や仕上がりを確認するために、ティーチングされた軌道等に基づいてサンプルを生産していた。
【0009】
このように、従来の塗装ロボットでは、ワークの塗装を中止して、実際の塗装ロボットを用いてティーチングやサンプル生産を行っていたため、ティーチングを行っている間はワークの塗装ができなかった。
【0010】
その一方、近年は例えば小さい化粧品容器のように、多品種の製品が多く提供されており、これらの多品種の製品では、サンプル生産が多数になるため、ティーチングやサンプル生産の時間をとるために実際のワークの塗装に支障が生じていた。
【0011】
そしてこのとき、一般的にティーチングでは、スプレーガンとワークの距離やスプレーガンのワークへの狙い目に関しては、作業者が現物のワークを近くで見ながら、経験や勘に頼って行うことが現状であり、その方法では、スプレーガンとワークの距離は現物合わせで行い、スプレーガンの狙い目はスケールや専用冶具を用いて確認する必要があるために、ティーチングには更に時間がかかっていた。
【0012】
そこで、本発明は、ワークの塗装を中断することなく、塗装中のワークとは異なる別品種のワークの塗装のためのティーチングを可能にすることで、ワークの塗装を効率良く行うことが可能な塗装ロボットのティーチング方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の塗装ロボットのティーチング方法は、
ワーク供給手段により供給されるワークにスプレーガンから塗料を噴霧して前記供給されるワークの塗装を行う塗装ロボットと、
スプレーガンとワーク供給手段とを備えたデータ作成機とを用いて、
塗装ロボットによるワークの塗装と並行し、前記データ作成機によって、塗装中のワークとは異なる別品種のワークの塗装のためのスプレーガンの軌道データのティーチングを行うとともに塗装条件の検証を行い、
ティーチングに誤りが無いときは、
適宜ティーチングデータに基づいてワークの塗装を行ってサンプルを生産し、
ティーチングデータを前記塗装ロボットに転送し、
塗装ロボットは塗装対象のワークが前記データ作成機で作成されたティーチングの対象となったワークに切り替わったときに、前記転送されたティーチングデータに基づいて塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道を切り替える、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の塗装ロボットのティーチング方法では、ワークの塗装を行う塗装ロボットと、スプレーガンとワーク供給手段とを備えたデータ作成機とを用いて、塗装ロボットによってワークの塗装を行っているときにそれと並行し、データ作成機によって、塗装中のワークとは異なる別品種のワークの塗装のためのスプレーガンの軌道データのティーチングと塗装条件の検証を行い、ティーチングに誤りが無いときは、適宜ティーチングされた軌道データに基づいてワークの塗装を行ってサンプルを生産し、その後ティーチングデータを前記塗装ロボットに転送し、塗装ロボットは塗装対象のワークが塗装中のワークとは異なる別品種のワークに切り替わったときに、塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道を転送されたティーチングデータに基づいて切り替えることとしている。そのために、ワークの塗装を行いながら塗装中のワークとは異なる別品種のワークのティーチングを行うことが可能である。
【0015】
従って、本発明の塗装ロボットのティーチング方法によれば、多品種のワークのティーチングを行う場合でも、ワークの塗装を中断することなく、ティーチングが可能であり、ワークの塗装を効率良く行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の塗装ロボットのティーチング方法の実施例を説明するためのシステム全体のブロック図である。
図2】本発明の塗装ロボットのティーチング方法の実施例を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の塗装ロボットのティーチング方法の実施例によりティーチングされる塗装ロボットを説明するための図である。
図4】従来のティーチング方法を説明するためにブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の塗装ロボットのティーチング方法は、ワーク供給手段により供給されるワークにスプレーガンから塗料を噴霧することで供給されるワークの塗装を行う塗装ロボットと、この塗装ロボットと同様にスプレーガンとワーク供給手段とを備えたデータ作成機とを用いて、塗装ロボットのティーチングを行う方法としている。
【0018】
即ち本発明のティーチング方法では、まず、塗装ロボットによるワークの塗装と並行し、データ作成機によって、塗装中のワークとは異なる別品種のワークの塗装のためのスプレーガンの軌道データのティーチングと塗装条件の検証を行う。
【0019】
そして、ティーチングされた軌道データや塗装条件に誤りが無いときには、適宜、ティーチングされた軌道データに基づいてワークの塗装を行ってサンプルを生産し、色や仕上がりを確認し、その後に、ティーチングデータを塗装ロボットに転送する。
【0020】
一方、塗装ロボットでは、ワークの塗装が終了し、塗装対象のワークが、データ作成機で作成されたティーチングの対象となったワークに切り替わったときに、転送されたティーチングデータに基づいて、塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道を切り替える。
【0021】
ここで、データ作成機は、各塗装ロボットに対応した専用のデータ作成機にするとよく、これにより、軌道データを転送する度ごとに、塗装ロボットごとに補正する必要が無くなる。即ち、データ作成機と塗装ロボットは機構が異なることもあり、データ作成機で作成した軌道データを生のまま塗装ロボットに転送した場合には、データ作成機で作成したサンプルと同じ結果の塗装を行うことができない場合がある。そのために、データ作成機で作成した軌道データを塗装ロボットに合わせて補正する必要がある。しかし、各塗装ロボットに対応した専用のデータ作成機を用いることにより、軌道データを転送する度ごとに、データの補正を行う必要が無くなる。
【0022】
また、データ作成機でティーチングを行う際には、PC等によってオフラインで、予めティーチングデータを作成しておき、このティーチングデータを取り込み、取り込んだデータをベースにしてティーチングデータを作成するとよく、これにより、ティーチング作業を短時間で行うことが可能となる。
【実施例1】
【0023】
本発明の塗装ロボットのティーチング方法の実施例について図面を参照して説明すると、図1は、本実施例の塗装ロボットのティーチング方法を実施するためのシステムを説明するためのブロック図であり、図において1が塗装ロボットである。
【0024】
そして、図において塗装ロボット1は、ロボット本体2と、ロボットコントローラー3とを有しており、ロボットコントローラー3は、前記塗装ロボット1の作動を制御するために用いられ、ロボットコントローラー3に、ロボット本体2の動きを決めるティーチングデータ等が記憶される。
【0025】
またロボットコントローラー3は、一般的なコントローラーと同様に、CPU等を備えた構成とされ、塗装ロボット1に接続され、塗装ロボット1は、ロボットコントローラー3からの信号に従って稼働することとしている。
【0026】
次に、図において7はワークである。即ち、塗装ロボット本体2にはスプレーガンが備えられており、このスプレーガンからワーク7に向けて塗料が噴霧されて塗装が行われる。
【0027】
次に、図において11は、塗装中のワークとは異なる別品種のワーク(以下「新たなワーク」という。)の塗装のための軌道データをティーチングするためのデータ作成機である。そして本実施例において前記データ作成機11は、前記塗装ロボットと同様に、スプレーガンとワーク供給手段とを備えた構成としており、軌道データのティーチングのみならず、ティーチングされた軌道データに基づいたサンプル生産も可能としている。図において12がデータ作成機の本体であり、13がワーク供給手段である。
【0028】
また、図において14はデータ作成機11用のロボットコントローラーであり、このロボットコントローラー14は、前述した塗装ロボット1のロボットコントローラー3と同様に、データ作成機本体12の作動を制御するために用いられ、CPU等を備えた構成としている。そして、データ作成機11用のロボットコントローラー14は、前記塗装ロボット1のコントローラー3と有線又は無線で接続され、あるいは、USBメモリー等を経由して、塗装ロボット1のコントローラー3へデータを転送することを可能としている。
【0029】
次に図において15はティーチングペンダント15である。ロボットコントローラー14には、ティーチングペンダント15が接続されており、ティーチングペンダント15を用いて、スプレーガンの位置を所望する位置に登録していくことで、スプレーガンのティーチングを行うことを可能としている。
【0030】
ここで、前記塗装ロボット1について図3を参照して説明すると、本実施例において前記塗装ロボット1は、コンベアにより回動しながら搬送されていく多数個のワークに向けて塗料を噴射してワークの塗装を行うシステムとしている。即ち、図において1が塗装ロボット、図において6がコンベアであり、コンベア6と塗装ロボット1は、塗装室8の中に配置されている。
【0031】
コンベア6は、前記塗装室8内を通過するようにしており、治具によって等間隔を置いて、ワーク7を回動自在に装着可能としており、多数個のワーク7を回動させながら搬送することとしている。コンベア3に関しては、各種装置において一般的に用いられているコンベアを用いているためにその詳細な説明は省略する。また、治具を回動する機構は特に限定されないがモーターを用いると良く、モーターを用いる場合には、無端のベルトで治具の基端部分を挟持し、又は無端のベルトを治具の基端部分に当接させ、モーターでベルトを回動することで、ベルトで、挟持又は当接している治具を回動しても良い。
【0032】
次に、図3において前記塗装ロボット1は、塗装ロボット本体2と、この塗装ロボット本体2に連結されたスプレーガン支持シャフト4と、スプレーガン支持シャフト4に取り付けた塗料噴射手段としてのスプレーガン5を有し、スプレーガン5は、前記スプレーガン支持シャフト4に、等間隔を置いて多数個取り付けており、これにより、多数のワークを同時に塗装可能としている。
【0033】
また、塗装ロボット1は、図示しないモーター等の駆動手段を用いて、移動用レール9上を移動可能としており、ワークの移動方向に対して往復移動自在としている。そして、これにより、特定の数のワーク7の移動に追従させながら、この追従している特定のワーク7に向けて塗料を噴射し、塗装が完了した後は、追従前の位置に復元することを可能としている。但し、本発明において塗装ロボットの構成は特に限定されず、ワークを塗装可能な塗装ロボットであればいずれの構成としても良い。
【0034】
次に、このように構成されるシステムを用いて行われる本実施例の塗装ロボットのティーチング方法について図2のフローチャートを参照して説明すると、本実施例のティーチング方法では、塗装ロボットによりワークの塗装が行われているときに、その塗装と平行して、データ作成機11によって、塗装ロボットによって次に塗装が行われる新たなワークについて、スプレーガンの軌道データのティーチングを行う。
【0035】
即ち、塗装ロボットによるワークの塗装と平行して、データ作成機11において、ワーク供給手段13に新たなワークを配置した状態で、ティーチングペンダント15を用いて、あるいは手動によって、スプレーガンの位置を変えながら、スプレーガンの軌道データのティーチングを行う。
【0036】
そして、ティーチングが終了した後、又はティーチングの途中に、作成した又は作成している軌道データに基づいてスプレーガンを動かしながら、スプレーガンより実際にワークにむけて塗料等を噴霧し、それによって、塗装仕上がりを確認しながら、塗料条件、噴霧条件等の塗装条件の検証を行う。そして、ティーチングが誤っているか、不十分な場合には、ティーチングが正確にされるまで、ティーチング及び検証を繰り返す。
【0037】
一方、ティーチングが正確にされた場合は、まず、適宜、ティーチングされた軌道データに基づいてサンプルを生産し、これにより、塗装ロボットによる量産前に、塗装後の色や仕上がりを確認する。
【0038】
そして、生産されたサンプルの色や仕上がりが希望するものである場合は、ティーチングされたデータを、塗装ロボット1のロボットコントローラーに、有線又は無線、あるいはUSBメモリー等を経由して転送する。
【0039】
次に、塗装を行う新たなワークの塗装のための軌道データが転送された塗装ロボット1では、データ作成機11におけるティーチングが行われていたときに塗装していたワークの塗装が終了し、塗装対象のワークが新たなワークに切り替わったときに、スプレーガンの軌道を、前記転送されたティーチングデータに基づいた軌道に切り替えて、新たなワークの塗装を行う。そして以後は、塗装を必要とするすべての種類のワークの塗装が終了するまで、塗装ロボットによる塗装と並行した、データ作成機11における新たなワークのためのティーチング、検証、サンプル生産、ティーチングデータの転送と、塗装対象のワークが切り替わったときの塗装ロボットにおける軌道データの切り替え、を繰り返す。
【0040】
このように、本実施例の塗装ロボットのティーチング方法では、ワークの塗装を行っている間に、データ作成機によって、次の塗装が行われる新たなワークに対する軌道データのティーチング、塗装条件の検証、及びサンプル生産を行い、ティーチングが正確にされているとともに塗装条件も正しくされており、サンプルの色や仕上がりが希望するものであった場合に、ティーチングデータを塗装ロボットに転送し、塗装ロボットでは、塗装対象のワークが切り替わったときに、スプレーガンの軌道データを新たなデータに切り替える方法を採用している。そのため、多品種のワークのティーチングを行う場合でも、ワークの塗装を中断することなく、新たなワークのティーチングができ、ワークの塗装を効率良く行うことが可能である。またそのとき、ティーチングデータを各塗装工場に配布することで、ワークの種類が同じ場合には各塗装工場でティーチングを行う必要が無くなるので、各塗装工場で同じ品質の塗装を行うことができ、塗装の品質を均一に確保することもできる。
【0041】
なお、前記データ作成機は、複数の塗装ロボットで共通に使用してもよいが、各塗装ロボットに対応した専用機を用いると良い。塗装ロボットは機構等が相違しているために、データ作成機で作成したティーチングデータを転送する際には、各塗装ロボットに対応させてデータの補正が必要となる。そこで、データ作成機を各塗装ロボットに対応した専用機にすることで、転送する度ごとにデータの補正を行う手間を省くことが可能となる。
【0042】
また、データ作成機で新たなワークのティーチングを行う際には、予めワークのティーチングデータを作成しておき、ティーチングを行う際にその予め作成しておいたティーチングデータをロボットコントローラーに取り込み、その取り込んだデータをベースにティーチングを行っても良い。例えば、塗装ロボットやデータ作成機を用いずに、予めPC等において、PCの画面上においてオフラインでティーチングを行っておき、データ作成機でティーチングを行う際にそのデータをデータ作成機のロボットコントローラーに取り込み、その取り込んだデータをベースにして、ティーチングを行う。そうすると、最初からティーチングを行う場合と比較してティーチングに要する時間を短縮することができ、更に、多数のワークについて軌道データを予め作成しておくことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の塗装ロボットのティーチング方法では、ワークの塗装を行う塗装ロボットとは異なるデータ作成機でティーチングを行ことにしているため、ティーチングを必要とする塗装ロボットの全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 塗装ロボット
2 塗装ロボット本体
3 ロボットコントローラー
4 支持シャフト
5 スプレーガン
6 コンベア
7 ワーク
8 塗装室
9 移動用レール
11 データ作成機
12 データ作成機本体
13 ワーク供給手段
14 ロボットコントローラー
15 ティーチングペンダント
図1
図2
図3
図4