(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】原稿読取装置、当該原稿読取装置を備える画像出力装置、原稿読取装置の制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20250306BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20250306BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20250306BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
H04N1/00 L
H04N1/387 800
G03G15/00 107
(21)【出願番号】P 2021074715
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】福留 正一
(72)【発明者】
【氏名】平山 泰崇
(72)【発明者】
【氏名】吉田 章人
(72)【発明者】
【氏名】小川 数馬
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-129990(JP,A)
【文献】特開平07-283933(JP,A)
【文献】特開2001-139169(JP,A)
【文献】特開昭56-012654(JP,A)
【文献】特開2003-296353(JP,A)
【文献】特開2010-265044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
H04N 1/38- 1/393
G03G 15/00
B65H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の原稿
が積層状に複数枚載置可能な原稿載置部、
前記原稿載置部に載置された前記原稿を
当該原稿載置部から1枚単位で取り出して搬送路に沿って搬送させる搬送手段、
前記搬送手段により前記原稿が搬送される前に当該原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段、
前記搬送路中の第1読取位置において当該第1読取位置を通過する前記原稿の一方面の画像を
前記原稿サイズ検知手段により検知された当該原稿の
前記サイズよりも大きい第1読取領域にわたって読み取る第1読取手段、
前記搬送路中の第2読取位置において当該第2読取位置を通過する前記原稿の他方面の画像を前記第1読取領域と共役な第2読取領域にわたって読み取る第2読取手段、
前記第1読取手段により読み取られた第1読取画像から前記一方面の画像に対応する第1画像を切り出すとともに当該第1画像が所定程度以上に傾いているときに当該第1画像の傾きを補正する第1整形処理を行う第1整形手段、および、
前記第2読取手段により読み取られた第2読取画像から前記他方面の画像に対応する第2画像を切り出すとともに当該第2画像が前記所定程度以上に傾いているときに当該第2画像の傾きを補正する第2整形処理を前記第1整形処理に係る整形情報に基づいて行う第2整形手段を備え
、
前記原稿サイズ検知手段は、前記原稿載置部に複数枚の前記原稿が載置された場合、当該複数枚の原稿のうちの最も当該サイズの大きい当該原稿の当該サイズを検知する、原稿読取装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記原稿のサイズが所定サイズ以上である場合に当該原稿の搬送速度として設定された設定速度で当該原稿を搬送し、当該原稿のサイズが当該所定サイズ未満である場合に当該搬送速度として設定可能な最低速度で当該原稿を搬送する、請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記搬送速度に応じて前記第1読取手段および前記第2読取手段それぞれの読取解像度が設定される、請求項2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記原稿が前記設定速度とは異なる前記最低速度で搬送された場合に前記第1画像および前記第2画像それぞれの画像解像度を当該設定速度に応じた画像解像度に変換する第1変換手段をさらに備える、請求項3に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
前記所定サイズは、任意に変更可能である、請求項2から4までのいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項6】
前記原稿が名刺である場合に前記第1画像および前記第2画像の少なくとも一方に含まれる文字画像を文字データに変換するデータ化処理を行うデータ化手段をさらに備える、請求項1から
5までのいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項7】
前記第1画像および前記第2画像のうちの前記データ化処理の対象となる処理対象画像の画像解像度が所定解像度よりも高い場合に当該処理対象画像の画像解像度を当該所定解像度に変換した上で当該処理対象画像を当該データ化処理に供する第2変換手段をさらに備える、請求項
6に記載の原稿読取装置。
【請求項8】
前記原稿が名刺であるかどうかは、当該原稿の
前記サイズに基づいて判断される、請求項
6または
7に記載の原稿読取装置。
【請求項9】
前記原稿が名刺であるかどうかは、前記第1画像および前記第2画像の少なくとも一方のサイズに基づいて判断される、請求項
6または
7に記載の原稿読取装置。
【請求項10】
前記原稿が名刺であるかどうかの判断基準は、任意に変更可能である、請求項
8または
9に記載の原稿読取装置。
【請求項11】
ユーザ操作に応じて前記データ化手段を有効化または無効化するデータ化制御手段をさらに備える、請求項
6から
10までのいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項12】
請求項1から
11までのいずれかに記載の原稿読取装置、および、
前記第1整形手段による前記第1整形処理後の前記第1画像と前記第2整形手段による前記第2整形処理後の前記第2画像とを出力する画像出力手段を備える、画像出力装置。
【請求項13】
シート状の原稿
が積層状に複数枚載置可能な原稿載置部、当該原稿載置部に載置された当該原稿を
当該原稿載置部から1枚単位で取り出して搬送路に沿って搬送させる搬送手段、
当該搬送手段により当該原稿が搬送される前に当該原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段、当該搬送路中の第1読取位置において当該第1読取位置を通過する当該原稿の一方面の画像を読み取る第1読取手段、および、当該搬送路中の第2読取位置において当該第2読取位置を通過する当該原稿の他方面の画像を読み取る第2読取手段を備え
、当該原稿サイズ検知手段は、当該原稿載置部に複数枚の当該原稿が載置された場合、当該複数枚の原稿のうちの最も当該サイズの大きい当該原稿の当該サイズを検知する、原稿読取装置の制御プログラムであって、
前記原稿の一方面の画像を
前記原稿サイズ検知手段により検知された当該原稿の
前記サイズよりも大きい第1読取領域にわたって前記第1読取手段に読み取らせる第1読取手順、
前記原稿の他方面の画像を前記第1読取領域と共役な第2読取領域にわたって前記第2読取手段に読み取らせる第2読取手順、
前記第1読取手順により読み取られた第1読取画像から前記一方面の画像に対応する第1画像を切り出すとともに当該第1画像が所定程度以上に傾いているときに当該第1画像の傾きを補正する第1整形処理を行う第1整形手順、および、
前記第2読取手順により読み取られた第2読取画像から前記他方面の画像に対応する第2画像を切り出すとともに当該第2画像が前記所定程度以上に傾いているときに当該第2画像の傾きを補正する第2整形処理を前記第1整形処理に係る整形情報に基づいて行う第2整形手順を、前記原稿読取装置のコンピュータに実行させる、制御プログラム。
【請求項14】
シート状の原稿
が積層状に複数枚載置可能な原稿載置部、当該原稿載置部に載置された当該原稿を
当該原稿載置部から1枚単位で取り出して搬送路に沿って搬送させる搬送手段、
当該搬送手段により当該原稿が搬送される前に当該原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段、当該搬送路中の第1読取位置において当該第1読取位置を通過する前記原稿の一方面の画像を読み取る第1読取手段、および、当該搬送路中の第2読取位置において当該第2読取位置を通過する当該原稿の他方面の画像を読み取る第2読取手段を備え
、当該原稿サイズ検知手段は、当該原稿載置部に複数枚の当該原稿が載置された場合、当該複数枚の原稿のうちの最も当該サイズの大きい当該原稿の当該サイズを検知する、原稿読取装置の制御方法であって、
前記原稿の一方面の画像を
前記原稿サイズ検知手段により検知された当該原稿の
前記サイズよりも大きい第1読取領域にわたって前記第1読取手段により読み取る第1読取ステップ、
前記原稿の他方面の画像を前記第1読取領域と共役な第2読取領域にわたって前記第2読取手段により読み取る第2読取ステップ、
前記第1読取ステップにより読み取られた第1読取画像から前記一方面の画像に対応する第1画像を切り出すとともに当該第1画像が所定程度以上に傾いているときに当該第1画像の傾きを補正する第1整形処理を行う第1整形ステップ、および、
前記第2読取ステップにより読み取られた第2読取画像から前記他方面の画像に対応する第2画像を切り出すとともに当該第2画像が前記所定程度以上に傾いているときに当該第2画像の傾きを補正する第2整形処理を前記第1整形処理に係る整形情報に基づいて行う第2整形ステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置、当該原稿読取装置を備える画像出力装置、原稿読取装置の制御プログラムおよび制御方法に関し、特に、シート状の原稿を搬送路に沿って搬送させながら当該原稿の両面の画像を並行して読み取る、原稿読取装置、当該原稿読取装置を備える画像出力装置、原稿読取装置の制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された技術によれば、シート状の原稿が自動原稿送り装置(以下、「ADF」と言う。)によって搬送され、詳しくはADF内の搬送路に沿って搬送される。そして、搬送路中の第1読取位置において、当該第1読取位置を通過する原稿の一方面の画像が、第1読取部により読み取られる。併せて、搬送路中の第1読取位置とは異なる第2読取位置において、当該第2読取位置を通過する原稿の他方面の画像が、第2読取部により読み取られる。これと同じ要領で、名刺などの小サイズの原稿についても、その両面の画像を並行して、言わば同時に、読み取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようないわゆる流し読み方式により原稿の両面の画像を同時に読み取る構成においては、当該原稿が傾いた状態で搬送されることがある。これに対処するために、たとえば機械的な機構により原稿の傾きそのものを補正することが考えられる。しかし、この手法では、原稿の傾きそのものを補正するための機械的な機構のみならず、原稿の姿勢を検出するためのセンサなどの付随的な要素が必要となり、その分、構成が複雑になる。これに対して、読み取られた画像上で、つまり画像処理により、原稿の画像の傾きを補正することが考えられる。しかし、この手法では、原稿の両面の画像について、つまり2つの画像について、それぞれの傾きを補正する必要があり、その分、処理が複雑になる。
【0005】
そこで、本発明は、原稿が傾いた状態で搬送されたときに、これに簡素な構成かつ簡素な処理により対処することができる、新規な技術を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、原稿読取装置に係る第1の発明、当該原稿読取装置を備える画像出力装置に係る第2の発明、原稿読取装置の制御プログラムに係る第3の発明、および、原稿読取装置の制御方法に係る第4の発明を含む。
【0007】
このうちの原稿読取装置に係る第1の発明は、原稿載置部、搬送手段、原稿サイズ検知手段、第1読取手段、第2読取手段、第1整形手段および第2整形手段を備える。原稿載置部には、シート状の原稿が積層状に複数枚載置可能である。搬送手段は、原稿載置部に載置された原稿を当該原稿載置部から1枚単位で取り出して搬送路に沿って搬送させる。原稿サイズ検知手段は、搬送手段により原稿が搬送される前に、当該原稿のサイズを検知する。また、原稿サイズ検知手段は、原稿載置部に複数枚の原稿が載置された場合、たとえば当該原稿載置部に互いにサイズの異なる複数枚の原稿が載置された場合も、これら複数枚の原稿のうちの最もサイズの大きい原稿のサイズを検知する。第1読取手段は、搬送路中の第1読取位置において、当該第1読取位置を通過する原稿の一方面の画像を、原稿サイズ検知手段により検知された原稿のサイズよりも大きい第1読取領域にわたって、換言すれば当該第1読取領域を読取対象領域として、読み取る。第2読取手段は、搬送路中の第2読取位置において、当該第2読取位置を通過する原稿の他方面の画像を、第1読取領域と共役な第2読取領域にわたって、つまり原稿のサイズよりも大きい当該第2読取領域を読取対象領域として、読み取る。第1整形手段は、第1整形処理を行う。この第1整形処理において、第1整形手段は、第1読取手段により読み取られた第1読取画像から、原稿の一方面の画像に対応する第1画像を切り出す。併せて、第1整形手段は、第1画像が所定程度以上に傾いているときに、当該第1画像の傾きを補正する。そして、第2整形手段は、第2整形処理を行う。この第2整形処理において、第2整形手段は、第2読取手段により読み取られた第2読取画像から、原稿の他方面の画像に対応する第2画像を切り出す。併せて、第2整形手段は、第2画像が前記所定程度以上に傾いているときに、当該第2画像の傾きを補正する。ここで、第2整形手段は、第1整形処理に係る整形情報に基づいて、言わば当該整形情報を利用して、第2整形処理を行う。
【0008】
なお、搬送手段は、原稿のサイズが所定サイズ以上である場合には、当該原稿の搬送速度として設定された設定速度で当該原稿を搬送する。そして、原稿のサイズが所定サイズ未満である場合には、搬送手段は、搬送速度として設定可能な最低速度で当該原稿を搬送する。
【0009】
このように原稿のサイズに応じた搬送速度で当該原稿が搬送される場合、当該原稿の搬送速度に応じて第1読取手段および第2読取手段それぞれの読取解像度が設定されてもよい。
【0010】
本第1の発明においては、第1変換手段が、さらに備えられてもよい。この第1変換手段は、原稿が設定速度とは異なる最低速度で搬送された場合に、第1画像および第2画像それぞれの画像解像度を当該設定速度に応じた画像解像度に変換する。ここで、原稿が設定速度とは異なる最低速度で搬送された場合とは、原稿のサイズが所定サイズ未満であり、かつ、当該原稿の搬送速度として設定された設定速度が最低速度ではない場合を含む。
【0011】
ここで言う所定サイズは、つまり原稿が設定速度および最低速度のいずれで搬送されるのかの境界となるサイズは、任意に変更可能であってもよい。
【0013】
さらに、本第1の発明においては、データ化手段が、備えられてもよい。このデータ化手段は、原稿が名刺である場合に、第1画像および第2画像の少なくとも一方に含まれる文字画像を文字データに変換するデータ化処理を行う。
【0014】
このようなデータ化手段が備えられることに加えて、第2変換手段が、さらに備えられてもよい。この第2変換手段は、第1画像および第2画像のうちのデータ化処理の対象となる処理対象画像の画像解像度が所定解像度よりも高い場合に、当該処理対象画像の画像解像度を所定解像度に変換した上で、当該処理対象画像をデータ化処理に供する。
【0015】
原稿が名刺であるかどうかは、当該原稿のサイズに基づいて判断されてもよい。
【0016】
また、原稿が名刺であるかどうかは、第1画像および第2画像の少なくとも一方のサイズに基づいて判断されてもよい。
【0017】
そして、原稿が名刺であるかどうかの判断基準は、任意に変更可能であってもよい。
【0018】
本第1の発明においては、データ化制御手段が、さらに備えられてもよい。このデータ化制御手段は、ユーザ操作に応じてデータ化手段を有効化または無効化する。
【0019】
本発明のうちの第2の発明に係る画像出力装置は、第1の発明に係る原稿読取装置を備えるとともに、画像出力手段を備える。画像出力手段は、第1整形手段による第1整形処理後の第1画像と、第2整形手段による第2整形処理後の第2画像とを、出力する。
【0020】
本発明のうちの第3の発明に係る原稿読取装置の制御プログラムは、当該原稿読取装置のコンピュータに、第1読取手順、第2読取手順、第1整形手順およびに整形手順を実行させる。ここで、原稿読取装置は、原稿載置部、搬送手段、原稿サイズ検知手段、第1読取手段および第2読取手段を備える。原稿載置部には、シート状の原稿が積層状に複数枚載置可能である。搬送手段は、原稿載置部に載置された原稿を当該原稿載置部から1枚単位で取り出して搬送路に沿って搬送させる。原稿サイズ検知手段は、搬送手段により原稿が搬送される前に、当該原稿のサイズを検知する。また、原稿サイズ検知手段は、原稿載置部に複数枚の原稿が載置された場合、たとえば当該原稿載置部に互いにサイズの異なる複数枚の原稿が載置された場合も、これら複数枚の原稿のうちの最もサイズの大きい原稿のサイズを検知する。第1読取手段は、搬送路中の第1読取位置において、当該第1読取位置を通過する原稿の一方面の画像を読み取る。そして、第2読取手段は、搬送路中の第2読取位置において、当該第2読取位置を通過する原稿の他方面の画像を読み取る。その上で、第1読取手順では、原稿の一方面の画像を、原稿サイズ検知手段により検知された原稿のサイズよりも大きい第1読取領域にわたって、換言すれば当該第1読取領域を読取対象領域として、第1読取手段に読み取らせる。第2読取手順では、原稿の他方面の画像を、前記第1読取領域と共役な第2読取領域にわたって、つまり原稿のサイズよりも大きい当該第2読取領域を読取対象領域として、第2読取手段に読み取らせる。第1整形手順では、第1整形処理を行う。この第1整形処理においては、第1読取手順により読み取られた第1読取画像から、原稿の一方面の画像に対応する第1画像を切り出す。併せて、第1整形処理においては、第1画像が所定程度以上に傾いているときに、当該第1画像の傾きを補正する。そして、第2整形手順では、第2整形処理を行う。この第2整形処理においては、第2読取手順により読み取られた第2読取画像から、原稿の他方面の画像に対応する第2画像を切り出す。併せて、第2整形手順においては、第2画像が所定程度以上に傾いているときに、当該第2画像の傾きを補正する。この第2整形処理は、第1整形処理に係る整形情報に基づいて、言わば当該整形情報を利用して、行われる。
【0021】
本発明のうちの第4の発明に係る原稿読取装置の制御方法は、第1読取ステップ、第2読取ステップ、第1整形ステップおよび第2整形ステップを含む。ここで、原稿読取装置は、原稿載置部、搬送手段、原稿サイズ検知手段、第1読取手段および第2読取手段を備える。原稿載置部には、シート状の原稿が積層状に複数枚載置可能である。搬送手段は、原稿載置部に載置された原稿を当該原稿載置部から1枚単位で取り出して搬送路に沿って搬送させる。原稿サイズ検知手段は、搬送手段により原稿が搬送される前に、当該原稿のサイズを検知する。また、原稿サイズ検知手段は、原稿載置部に複数枚の原稿が載置された場合、たとえば当該原稿載置部に互いにサイズの異なる複数枚の原稿が載置された場合も、これら複数枚の原稿のうちの最もサイズの大きい原稿のサイズを検知する。第1読取手段は、搬送路中の第1読取位置において、当該第1読取位置を通過する原稿の一方面の画像を読み取る。そして、第2読取手段は、搬送路中の第2読取位置において、当該第2読取位置を通過する原稿の他方面の画像を読み取る。その上で、第1読取ステップでは、原稿の一方面の画像を、原稿サイズ検知手段により検知された原稿のサイズよりも大きい第1読取領域にわたって、換言すれば当該第1読取領域を読取対象領域として、第1読取手段により読み取る。第2読取ステップでは、原稿の他方面の画像を、第1読取領域と共役な第2読取領域にわたって、つまり原稿のサイズよりも大きい当該第2読取領域を読取対象領域として、第2読取手段により読み取る。第1整形ステップでは、第1整形処理を行う。この第1整形処理においては、第1読取ステップにより読み取られた第1読取画像から、原稿の一方面の画像に対応する第1画像を切り出す。併せて、第1整形処理においては、第1画像が所定程度以上に傾いているときに、当該第1画像の傾きを補正する。そして、第2整形ステップでは、第2整形処理を行う。この第2整形処理においては、第2読取ステップにより読み取られた第2読取画像から、原稿の他方面の画像に対応する第2画像を切り出す。併せて、第2整形処理においては、第2画像が前記所定程度以上に傾いているときに、当該第2画像の傾きを補正する。この第2整形処理は、第1整形処理に係る整形情報に基づいて、言わば当該整形情報を利用して、行われる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、流し読み方式によりシート状の原稿の両面の画像を同時に読み取る原稿読取装置において、当該原稿が傾いた状態で搬送されたときに、これに簡素な構成かつ簡素な処理により対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る複合機の斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施例におけるADFの原稿載置トレイに原稿が載置される状態を上方から見た図である。
【
図3】
図3は、同実施例における画像読取部およびADFの内部構成を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、同実施例に係る複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、同実施例における原稿のサイズと読取対象領域との関係を示す図である。
【
図6】
図6は、同実施例における画像整形処理の要領を説明するための図である。
【
図7】
図7は、同実施例における画像整形処理の要領を説明するための別の図である。
【
図8】
図8は、同実施例におけるオモテ面の読取画像およびウラ面の読取画像の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、同実施例における設定画面の一部分を示す図である。
【
図10】
図10は、同実施例における主記憶部のRAM内の構成を概念的に示すメモリマップである。
【
図11】
図11は、同実施例におけるADF原稿クロップタスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図12】
図12は、同実施例におけるADF原稿クロップタスクの別の部分の流れを示すフロー図である。
【
図13】
図13は、同実施例におけるADF原稿クロップタスクの残りの部分の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施例]
本発明の一実施例について、
図1に示される複合機(MFP)10を例に挙げて説明する。
【0025】
本実施例に係る複合機10は、画像形成装置の一種であり、コピー機能、イメージスキャナ機能、プリンタ機能、ファクス機能などの複数の機能を備える。なお、
図1は、使用可能な状態に設置された複合機10の前面、上面および左側面を示す当該複合機10の斜視図である。すなわち、
図1における上下方向は、複合機10の上下方向に対応する。そして、
図1における右斜め下方は、複合機10の前方に対応し、
図1における左斜め上方は、複合機10の後方に対応する。また、
図1における左斜め下方は、複合機10の左方に対応し、
図1における右斜め上方は、複合機10の右方に対応する。
【0026】
この複合機10の上部には、画像読取手段の一例としての画像読取部12が設けられる。この画像読取部12は、後述する原稿100の画像を読み取って、厳密には当該原稿100の一方面の画像を読み取って、その読取画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このため、
図1には示されないが、画像読取部12は、原稿100が載置される原稿台12aと、当該原稿台12aに載置された原稿100の一方面の画像を読み取るための画像読取ユニット12bと、を有する(
図3参照)。
【0027】
画像読取部14の上方には、換言すれば原稿台12aの上方には、当該原稿台12aに載置された原稿100を押さえるための原稿押さえカバーを兼ねるADF14が設けられる。ADF14は、原稿台12aの上面を外部に露出させる状態と、当該原稿台12aの上面を覆う状態と、に遷移可能に設けられる。このため、ADF14は、ヒンジなどの不図示の適当な可動支持部材を介して複合機10の本体(筐体)に結合される。なお、
図1においては、ADF14は、原稿台12aの上面を覆った状態にある。
【0028】
ADF14については、後で詳しく説明するが、当該ADF14は、原稿載置部としての原稿載置トレイ14aを有する。この原稿載置トレイ14aには、原稿100が、厳密にはシート状の原稿100が、載置可能であり、とりわけ複数枚の原稿100、100、…が積層状に載置可能である。そして、ADF14は、原稿載置トレイ14aに載置された原稿100を1枚単位で(1枚ずつ)自動的に画像読取部14へ送り込み、つまり画像読取部14による画像読取処理に供する。画像読取部12による画像読取処理を終えた原稿100は、ADF14の原稿排出トレイ14bに排出される。なお、ADF14は、
図1に示される如く原稿台12aの上面を覆った状態にあり、かつ、原稿台12aに(ADF14自体を除く)何らの物体も載置されていない状態にあるときに、(原稿押さえカバーとしてではなく)当該ADF14としての本来の機能を発揮する。また、ADF14は、後述する如く原稿100の他方面の画像、言わばウラ面の画像、を読み取るためのウラ面読取ユニット14cを内蔵する。
【0029】
さらに、画像読取部12の下方に、画像形成手段の一例としての画像形成部16が設けられる。画像形成部16は、後述する画像処理部24による画像処理後の画像データなどの適宜の画像データに基づく画像を不図示のシート状の画像記録媒体としての用紙に形成する、つまり印刷する、画像形成処理を担う。この画像形成処理は、たとえば公知の電子写真方式(カールソンプロセス方式)により行われる。このため、画像形成部16は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置、クリーニング装置、除電装置などを備える。画像形成部16による画像形成処理後の用紙、言わば印刷物は、排紙トレイ18に排出される。なお、排紙トレイ18は、画像形成部16と画像読取部12との間に設けられ、いわゆる複合機10の胴内空間に設けられる。これに代えて、排紙トレイ18は、複合機10の外側の胴外空間に設けられてもよい。また、画像形成部16は、電子写真方式に限らず、たとえばインクジェット方式によって、画像形成処理を行うものであってもよい。
【0030】
そして、画像形成部16の下方に、換言すれば複合機10の下部に、給紙手段の一例としての給紙部20が設けられる。この給紙部20は、1以上の、たとえば4つの、給紙カセット20a、20a、…を有する。各給紙カセット20a、20a、…には、適宜のサイズの用紙が収容され、たとえば互いに異なるサイズの用紙が収容される。また、複合機10の適宜の位置には、たとえば当該複合機10の右側面には、補助的な給紙トレイである不図示の手差しトレイが設けられる。給紙部20は、各給紙カセット20a、20a、…および手差しトレイのいずれかを給紙元として、当該給紙元から画像形成部16へ用紙を1枚単位で供給する。
【0031】
加えて、複合機10の上部であって、当該複合機10の本体の前部に、概略矩形板状の操作ユニット22が設けられる。この操作ユニット22は、その一側縁を複合機10の本体に結合させつつ、当該一側縁を軸として回動可能に設けられる。この操作ユニット22の一方主面(
図1において上方を向いている主面)は、操作面であり、この操作面には、タッチパネル22a付きのディスプレイ22bが設けられる。
【0032】
タッチパネル22a付きのディスプレイ22bは、矩形状の表示面を有するディスプレイ22bと、このディスプレイ22bの表示面上に重なるように設けられたシート状のタッチパネル22aとが、一体的に組み合わされた構成品である。このうちのタッチパネル22aは、複合機10を使用する不図示のユーザによるタッチ操作を受付可能な操作受付手段の一例であり、たとえば投影型の静電容量方式のパネルである。そして、ディスプレイ22bは、表示手段の一例であり、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)である。なお、タッチパネル22aは、投影型の静電容量方式に限らず、表面型の静電容量方式や電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他方式のパネルであってもよい。また、ディスプレイ22bは、液晶ディスプレイに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどであってもよい。
【0033】
ユーザは、常套的には複合機10の前方に立って、当該複合機10を使用し、とりわけ操作ユニット22を操作する。その際のユーザによる操作ユニット22の操作面の操作性および視認性が良好となるように、当該操作ユニット22は、前述の如く画像読取部12との結合部を軸として回動可能に設けられ、つまりユーザに対する当該操作面の角度が調整可能に設けられる。また、操作ユニット22は、タッチパネル22a以外に、押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチを有する。併せて、操作ユニット22は、ディスプレイ22b以外に、発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。
【0034】
ここで、
図2をも参照しつつ、ADF14に注目すると、当該ADF14は、原稿位置規制手段の一例としての一対の原稿ガイド14dおよび14dを有する。この一対の原稿ガイド14dおよび14dは、原稿載置トレイ14aに載置される原稿100の幅方向、厳密にはADF14による原稿100の搬送方向に垂直な方向(複合機10の前後方向)である言わば搬送幅方向、における原稿100の両側縁の位置を規制する。具体的には、原稿ガイド14dおよび14dは、
図2に矢印14eおよび14eで示されるように、搬送幅方向に沿って手動により移動(摺動)可能であり、原稿100の両側縁に当接することで、当該原稿100の両側縁の位置を機械的に規制する。なお、
図2においては、説明の便宜上、原稿100を破線で示してある。また、原稿ガイド14dおよび14dは、互いに連動して対称的に移動し、つまり一方が移動されると、これに連動して他方が対称的に移動する。
【0035】
併せて、
図1および
図2には示されないが、ADF14は、規制位置検知手段の一例としての後述するガイド幅検知部14f(
図4参照)を有する。このガイド幅検知部14fは、原稿ガイド14dおよび14dによる規制位置を検知し、ひいては原稿ガイド14dおよび14dの相互間距離であるガイド幅を検知する。したがってたとえば、原稿ガイド14dおよび14dにより原稿100の搬送幅方向における両側縁の位置が規制された状態にあるときのガイド幅は、原稿100の搬送幅方向における寸法である幅寸法におおむね相当する。なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、ガイド幅検知部14fは、原稿ガイド14dおよび14dの一方または両方の位置に応じた抵抗値を示すように設けられる可変抵抗器を含み、この可変抵抗器の抵抗値に基づいて、ガイド幅を検知する。これに代えて、ガイド幅検知部14fは、光センサなどの適宜のセンサにより原稿ガイド14dおよび14dの一方または両方の位置を検知し、ひいてはガイド幅を検知する構成であってもよい。
【0036】
さらに、ADF14は、複数の、たとえば2つの、扁平突起状の原稿検知片14gおよび14hを有する。これら2つの原稿検知片14gおよび14hは、原稿載置トレイ14aの搬送幅方向における略中央であって、原稿載置トレイ14aの搬送方向における互いに異なる適宜の位置に配される。そして、各原稿検知片14gおよび14hのそれぞれは、自身に外力が加わっていないときに、とりわけ上方からの外力が加わっていないときに、原稿載置トレイ14aの上面(原稿載置面)よりも上方へ突出した状態にある。一方、各原稿検知片14gおよび14hのそれぞれは、自身に外力が加わると、たとえば原稿100によって覆われると、その原稿100の重みにより原稿載置トレイ14a内に押し込められ、つまりはそうなるように構成される。
【0037】
加えて、
図1および
図2には示されないが、ADF14は、各原稿検知片14gおよび14hそれぞれの状態を検知するための後述する2つの原稿長さセンサ14iおよび14j(
図3参照)を有する。これら2つの原稿長さセンサ14iおよび14jは、原稿載置トレイ14a内に設けられる。そして、一方の原稿長さセンサ14iは、一方の原稿検知片14gの状態を検知し、他方の原稿長さセンサ14jは、他方の原稿検知片14hの状態を検知する。このような各原稿長さセンサ14iおよび14jは、たとえば光センサであり、詳しくは透過型の光センサである。また、各原稿長さセンサ14iおよび14jは、各原稿検知片14gおよび14hと協働して、後述する原稿長さ検知部14k(
図4参照)を構成する。
【0038】
図3を参照して、画像読取部12およびADF14の内部に注目する。なお、
図3は、画像読取部12およびADF14の内部を複合機10の前方から見た図であり、いわゆる当該内部の構成の模式図である。
【0039】
この
図3に示されるように、画像読取部12は、原稿台12aを有する。原稿台12aは、概略矩形平板状のガラスなどの透明部材により形成され、その両主面を水平方向に沿わせるように設けられる。そして、原稿台12aの下方に、画像読取ユニット12bが設けられる。詳しい説明は省略するが、画像読取ユニット12bは、光源、ミラー、レンズ、ラインセンサなどを有し、原稿台12aの上面に、複合機10の前後方向に沿って延伸する直線状の第1読取位置P1を形成する。さらに、原稿台12aの下方には、画像読取ユニット12bの第1読取位置P1を複合機10の左右方向に沿って移動(走査)させるための不図示の駆動機構が設けられる。
【0040】
すなわち、原稿台12aに原稿100が載置された状態で、画像読取ユニット12bの第1読取位置P1が駆動機構により移動されることによって、当該原稿100の一方面の画像が読み取られ、詳しくは当該原稿100の原稿台12aと対向する側の面であるオモテ面の画像が読み取られる。要するに、原稿100が固定された状態で、当該原稿100の一方面の画像が読み取られ、いわゆる固定読み方式により読み取られる。なお、画像読取ユニット12bの第1読取位置P1が延伸する方向、つまり複合機10の前後方向は、主走査方向と呼ばれる。また、画像読取ユニット12bの第1読取位置P1が駆動機構により移動される方向、つまり複合機10の左右方向は、副走査方向と呼ばれる。
【0041】
そして、ADF14は、原稿載置トレイ14a側の給紙口14mから原稿排出トレイ14b側の排紙口14nに至る原稿搬送路200を有する。
図3に示される如く複合機10の前方から見た原稿搬送路200は、概略U字状(または概略C字状)である。
【0042】
原稿搬送路200の給紙口14mの近傍には、原稿載置トレイ14aに載置された原稿100を当該原稿載置トレイ14aから1枚単位で取り出すためのピックアップローラ14pが設けられる。このピックアップローラ14pにより原稿載置トレイ14aから取り出された原稿100は、給紙口14mを介して原稿搬送路200に取り込まれる。そのために、原稿搬送路200の給紙口14m側の端部、言わば上流側端部に、給紙ローラ(厳密には給紙ローラ対)14qが設けられる。
【0043】
原稿搬送路200には、複数の搬送ローラ(厳密には搬送ローラ対)14r,14r,…が適宜に設けられる。これらの搬送ローラ14r,14r,…は、原稿搬送路200に取り込まれた原稿100を当該原稿搬送路200に沿って(倣うように)搬送させる。また、各搬送ローラ14r,14r,…は、名刺などの小サイズの原稿100をも搬送させることができるように、適当な間隔を置いて設けられる。さらに、原稿搬送路200は、原稿台12aの上面に接する部分を有し、画像読取ユニット12bの第1読取位置P1は、当該部分に固定された状態で待機することが可能である。
【0044】
すなわち、画像読取ユニット12bの第1読取位置P1が固定された状態にあるときに、原稿100が原稿搬送路200に沿って搬送されると、当該原稿100は、その途中で、第1読取位置P1を通過する。これにより、原稿100のオモテ面の画像が読み取られ、いわゆる流し読み方式により読み取られる。なお、原稿100の搬送方向における第1読取位置P1の直前(上流側の直近の位置)には、当該第1読取位置P1への原稿100の供給タイミングを調整するためのレジストローラ14sが設けられる。また、原稿載置トレイ14aに載置される原稿100は、オモテ面を上方へ向けた状態で、当該原稿載置トレイ14aに載置される。
【0045】
さらに、ADF14には、原稿100の他方面であるウラ面の画像を読み取るためのウラ面読取ユニット14cが内蔵される。詳しい説明は省略するが、ウラ面読取ユニット14cもまた、画像読取ユニット12bと同様、光源、ミラー、レンズ、ラインセンサなどを有する。そして、ウラ面読取ユニット14cは、原稿搬送路200中に第2読取位置P2を形成し、詳しくは原稿100の搬送方向における第1読取位置P1よりも下流側に当該第2読取位置P2を形成する。この第2読取位置P2もまた、第1読取位置P1と同様、複合機10の前後方向に沿って、つまり主走査方向に沿って、直線状に延伸する。
【0046】
すなわち、原稿搬送路200に沿って搬送される原稿100は、その途中で、前述の如く第1読取位置P1を通過し、その後、第2読取位置P2を通過する。ここで、ウラ面読取ユニット14cが有効化されているときには、詳しくは後述する両面読取機能が有効化されているときには、原稿100のウラ面の画像がウラ面読取ユニット14cにより読み取られ、つまり流し読み方式により読み取られる。
【0047】
この第2読取位置P2を通過した原稿100は、原稿搬送路200の下流側端部である排紙口14nを介して原稿排出トレイ14bに排出される。そのために、排紙口14nには、排紙ローラ(厳密には排紙ローラ対)14tが設けられる。この排紙ローラ14tを含め、ピックアップローラ14p、給紙ローラ14q、各搬送ローラ14r、14r、…およびレジストローラ14sのそれぞれは、後述するローラ駆動部14u(
図4参照)により駆動される。
【0048】
加えて、原稿搬送路200には、複数の原稿搬送センサ14v、14v、…が適宜に設けられる。これらの原稿搬送センサ14v、14v、…は、原稿搬送路200中の原稿100を検知し、換言すれば原稿搬送路200中の原稿100の位置(搬送位置)を検知する。なお、各原稿搬送センサ14v、14v、…は、たとえば光センサであり、詳しくは反射型の光センサである。また、各原稿搬送センサ14v、14v、…は、後述する搬送検知部14w(
図4参照)を構成する。
【0049】
また、原稿載置トレイ14aの適宜の位置に、たとえば原稿載置トレイ14a内の給紙口14mに近い位置に、原稿載置センサ14xが設けられる。この原稿載置センサ14xは、原稿載置トレイ14aに原稿100が載置されているかどうかを検知するため原稿載置検知手段の一例である。この原稿載置センサ14xもまた、たとえば反射型の光センサである。併せて、原稿載置トレイ14a内の適宜の位置に、前述の各原稿長さセンサ14iおよび14jが設けられる。すなわち、一方の原稿長さセンサ14iは、
図3には示されない一方の原稿検知片14g(
図1および
図2参照)に対応して設けられ、当該一方の原稿検知片14gの状態を検知する。そして、他方の原稿長さセンサ14jは、
図3には示されない他方の原稿検知片14h(
図1および
図2参照)に対応して設けられ、当該他方の原稿検知片14hの状態を検知する。なお、
図3においては、その見易さを考慮して、原稿載置センサ14xならびに各原稿長さセンサ14iおよび14jのそれぞれは、原稿載置トレイ14aの下方に配されるように、つまり当該原稿載置トレイ14aの内部ではなく外部に配されるように、示されている。
【0050】
図4は、複合機10の電気的な構成を示すブロック図である。この
図4に示されるように、複合機10は、画像読取部12、ADF14、画像形成部16、給紙部20および操作ユニット22の他に、画像処理部24、制御部26、補助記憶部28および通信部30を有する。これらは、互いに共通のバス50を介して接続される。なお、画像読取部12、ADF14、画像形成部16、給紙部20および操作ユニット22については、前述の通りである。
【0051】
画像処理部24は、種々の画像データに対して適宜の画像処理を施す。この画像処理部24による画像処理の対象となる画像データには、画像読取部12により生成される読取画像データが、つまり原稿100のオモテ面の読取画像データが、含まれる。また、ウラ面読取ユニット14cにより生成される読取画像データも、つまり原稿100のウラ面の読取画像データも、画像処理部24による画像処理の対象となる画像データに含まれる。特に、画像処理部24は、原稿100のオモテ面の読取画像データに対して後述するオモテ面画像整形処理を施す。併せて、画像処理部24は、原稿100のウラ面の読取画像データに対して後述するウラ面画像整形処理を施す。この画像処理部24による画像処理後の画像データは、当該画像処理部24から適宜に出力され、たとえば画像形成部16に供され、あるいは、補助記憶部28に記憶(保存)され、さらにあるいは、通信部30を介して外部へ出力(送信)される。
【0052】
制御部26は、複合機10の全体的な制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部26は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU26aを、有する。併せて、制御部26は、CPU26aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部26bを有する。主記憶部26bは、不図示のROMおよびRAMを含む。このうちのROMには、CPU26aの動作を制御するための制御プログラム、いわゆるファームウェアが、記憶される。そして、RAMは、CPU26aが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0053】
補助記憶部28は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部28には、前述の画像処理部24による画像処理後の画像データなどの種々のデータが適宜に記憶される。この補助記憶部28は、たとえば不図示のハードディスクドライブを有する。併せて、補助記憶部28は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを有する場合がある。
【0054】
通信部30は、通信手段の一例である。すなわち、通信部30は、不図示の通信網と接続されることで、当該通信網を介しての双方向通信を担う。ここで言う通信網としては、LANやインターネット、公衆交換電話網などがある。また、LANには、無線LAN、とりわけWi-Fi(登録商標)が、含まれる。
【0055】
そして、
図4におけるADF14に注目すると、当該ADF14は、ウラ面読取ユニット14c、ガイド幅検知部14f、原稿長さ検知部14k、ローラ駆動部14uおよび搬送検知部14wを有する。ウラ面読取ユニット14cについては、前述の通りである。また、ガイド幅検知部14fは、前述の如く原稿ガイド14dおよび14dによる規制位置を検知し、ひいては原稿ガイド14dおよび14dの相互間距離であるガイド幅を検知する。原稿長さ検知部14kは、各原稿検知片14gおよび14hと、各原稿長さセンサ14iおよび14jと、を含む。この原稿長さ検知部14kは、各原稿長さセンサ14iおよび14jそれぞれの出力信号に基づいて、つまり各原稿検知片14gおよび14hそれぞれの状態に基づいて、搬送方向における原稿100の寸法である原稿長さ寸法を検知する。
【0056】
なお、ガイド幅検知部14fおよび原稿長さ検知部14kは、CPU26aと協働して、原稿100のサイズを検知するための原稿サイズ検知機能を実現する。すなわち、CPU26aは、ガイド幅検知部14fによる検知結果(ガイド幅)と、原稿長さ検知部14kによる検知結果(原稿長さ寸法)と、に基づいて、原稿100のサイズを検知(導出)する。
【0057】
さらに、ローラ駆動部14uは、前述の如くピックアップローラ14p、給紙ローラ14q、各搬送ローラ14r,14r,…、レジストローラ14sおよび排紙ローラ14tのそれぞれを駆動する。そして、搬送検知部14wは、各原稿搬送センサ14v,14v,…を含む。この搬送検知部14wは、各原稿搬送センサ14v,14v,…それぞれの出力信号に基づいて、原稿搬送路200を搬送中の原稿100の位置(搬送位置)を検知する。
【0058】
さて、本実施例に係る複合機10は、原稿100の両面の画像を同時に読み取る両面読取機能を備える。この両面読取機能によれば、原稿100の両面の画像が流し読み方式により同時に、厳密には並行して、読み取られる。すなわち前述したように、原稿100のオモテ面の画像が、画像読取ユニット12bを含む画像読取部12により読み取られる。併せて、原稿100のウラ面の画像が、ウラ面読取ユニット14cにより読み取られる。
【0059】
このような流し読み方式においては、原稿100が傾いた状態で原稿搬送路200を搬送されることがある。このことは、両面読取機能が有効化されていないときも、つまり原稿100の片面(オモテ面)のみの画像が流し読み方式により読み取られるときも、同様である。これに対処するために、本実施例に係る複合機10は、ADF原稿クロップ機能を備える。
【0060】
このADF原稿クロップ機能によれば、画像読取部12について、
図5に示されるような読取対象領域300が設定される。この読取対象領域300は、原稿100のサイズよりも大きい。具体的には、原稿100の搬送方向において、換言すれば副走査方向において、読取対象領域300の寸法Xaは、原稿100の寸法Xbよりも大きく、たとえば両端縁部分(
図5における左右の両端縁部分)のそれぞれにおいて、ΔXという寸法だけ大きい。そして、原稿100の搬送幅方向において、換言すれば主走査方向において、読取対象領域300の寸法Yaは、原稿100の寸法Ybよりも大きく、たとえば両端縁部分(
図5における上下の両端縁部分)のそれぞれにおいて、ΔYという寸法だけ大きい。
【0061】
なお、副走査方向における両端縁部分それぞれの寸法差ΔXは、たとえば原稿100のサイズに拘らず、5mmである。そして、主走査方向における両端縁部分それぞれの寸法差ΔYもまた、原稿100のサイズに拘らず、たとえば5mmである。この値に限らず、各寸法差ΔXおよびΔYのそれぞれは、たとえば原稿100のサイズに応じた値であってもよく、詳しくは当該原稿100のサイズが大きいほど大きい値であってもよい。また、各寸法差ΔXおよびΔYは、互いに異なる値であってもよいし、任意に設定(変更)可能とされてもよい。
【0062】
このようにして読取対象領域300が設定された上で、画像読取部12による画像読取処理が行われ、厳密には流し読み方式による画像読取処理が行われる。ここでたとえば、原稿100が傾いておらず、つまり当該原稿100の傾き(角度)がゼロである、とする。この場合、
図6の左図に示されるような読取画像310が得られ、厳密には当該読取画像310に応じた読取画像データが生成される。この
図6の左図に示される読取画像310は、原稿100のオモテ面の画像に対応するオモテ面原稿画像320と、前述の各寸法差ΔXおよびΔYに応じた余白部分画像330と、を含む。特に、オモテ面原稿画像320は傾いておらず、つまり当該オモテ面原稿画像320の傾きはゼロである。
【0063】
このオモテ面の読取画像310は、厳密には当該読取画像310に応じたオモテ面の読取画像データは、画像処理部24による画像処理に供され、とりわけオモテ面画像整形処理に供される。このオモテ面画像整形処理においては、オモテ面の読取画像310からオモテ面原稿画像320を切り出すためのクロップ処理が行われる。これにより、オモテ面の読取画像310からオモテ面原稿画像320が切り出され、
図6の右図に示されるようなオモテ面整形画像340が得られる。このオモテ面整形画像340は、厳密には当該オモテ面整形画像340に応じた画像データは、画像処理部24による画像処理後の画像データとして、当該画像処理部24から出力される。
【0064】
これに対して、原稿100が傾いた状態で搬送された場合は、
図7の左図に示されるような読取画像310が得られる。この
図7の左図に示される読取画像310におけるオモテ面原稿画像320は、原稿100の傾きに応じた角度で傾いた画像となる。
【0065】
このような傾いたオモテ面原稿画像320を含む読取画像310についても、画像処理部24によるオモテ面画像整形処理が施され、つまり当該読取画像310からオモテ面原稿画像320を切り出すためのクロップ処理が行われる。さらに、オモテ面原稿画像320の傾きが所定程度以上である場合には、当該オモテ面原稿画像320の傾きを補正するための、つまりオモテ面原稿画像320の傾きをゼロとするための、傾き補正処理が行われる。これにより、
図7の右図に示されるようなオモテ面整形画像340が得られ、つまり
図6の右図に示されるのと同様のオモテ面整形画像340が得られる。そして、オモテ面整形画像340に応じた画像データが、画像処理部24による画像処理後の画像データとして、当該画像処理部24から出力される。
【0066】
なお、傾き補正処理は、クロップ処理の後に行われてもよいし、クロップ処理の前に行われてもよい。すなわち、クロップ処理が行われた上で、傾き補正処理が行われてもよいし、これとは反対に、傾き補正処理が行われた上で、クロップ処理が行われてもよい。また、ここで言う所定程度は、つまり傾き補正処理が行われるかどうかの境界となるオモテ面原稿画像320の傾き度合は、たとえば角度に換算して0.5度であるが、この値に限らない。この所定程度についても、任意に設定(変更)可能とされてもよい。
【0067】
さらに、両面読取機能が有効化されているときには、ウラ面読取ユニット14cについても、
図5に示されるのと同様の読取対象領域400が設定され、厳密にはオモテ面用の読取対象領域300と共役なウラ面用の読取対象領域400が設定される。その上で、原稿100のウラ面の画像を読み取るためのウラ面読取ユニット14cによる画像読取処理が行われる。
【0068】
ここでたとえば、原稿100が傾いておらず、つまり当該原稿100の傾きがゼロである、とする。この場合は、
図6の左図に示されるのと同様のウラ面の読取画像410が得られる。このウラ面の読取画像410もまた、オモテ面の読取画像310と同様、原稿100のウラ面の画像に対応するウラ面原稿画像420と、前述の各寸法差ΔXおよびΔYに応じた余白部分画像430と、を含む。特に、ウラ面原稿画像420は傾いておらず、つまり当該ウラ面原稿画像420の傾きはゼロである。
【0069】
このウラ面の読取画像410は、厳密には当該読取画像410に応じたウラ面の読取画像データは、画像処理部24による画像処理に供され、とりわけウラ面画像整形処理に供される。このウラ面画像整形処理においては、オモテ面画像整形処理と同様、ウラ面の読取画像410からウラ面原稿画像420を切り出すためのクロップ処理が行われる。これにより、ウラ面の読取画像410からウラ面原稿画像420が切り出され、
図6の右図に示されるのと同様のウラ面整形画像440が得られる。このウラ面整形画像440は、厳密には当該ウラ面整形画像440に応じた画像データは、前述のオモテ面整形画像340に応じた画像データとともに、画像処理部24による画像処理後の画像データとして、当該画像処理部24から出力される。
【0070】
これに対して、原稿100が傾いた状態で搬送された場合は、
図7の左図に示されるのと同様のウラ面の読取画像410が得られる。このウラ面の読取画像410におけるウラ面原稿画像420は、原稿100の傾きに応じた角度で傾いた画像となる。
【0071】
このような傾いたウラ面原稿画像420を含む読取画像410についても、画像処理部24によるウラ面画像整形処理が施され、つまり当該読取画像410からウラ面原稿画像420を切り出すためクロップ処理が行われる。さらに、ウラ面原稿画像420の傾きが所定程度以上である場合には、当該ウラ面原稿画像420の傾きを補正するための、つまりウラ面原稿画像420の傾きをゼロとするための、傾き補正処理が行われる。これにより、
図7の右図に示されるのと同様のウラ面整形画像440が得られ、つまり
図6の右図に示されるのと同様のウラ面整形画像440が得られる。そして、ウラ面整形画像440に応じた画像データが、オモテ面整形画像340に応じた画像データとともに、画像処理部24による画像処理後の画像データとして、当該画像処理部24から出力される。
【0072】
ここで、両面読取機能により得られるオモテ面の読取画像310とウラ面の読取画像410とを対比すると、たとえば
図8に示されるようになる。この
図8に示されるように、オモテ面の読取画像310におけるオモテ面原稿画像320の位置、寸法、形状、傾きなどの態様と、ウラ面の読取画像410におけるウラ面原稿画像420の位置、寸法、形状、傾きなどの態様とは、互いに対称的な(線対称の)関係にあり、言わば共役な関係にある。言い換えれば、オモテ面の読取画像310におけるオモテ面原稿画像320が占める領域の座標と、ウラ面の読取画像410におけるウラ面原稿画像420が占める領域の座標とは、互いに共役な関係にある。
【0073】
この点に着目して、画像処理部24は、オモテ面画像整形処理におけるパラメータやアルゴリズムなどの情報を含む整形情報に基づいて、ウラ面画像整形処理を行う。すなわち、オモテ面画像整形処理における整形情報を利用して、ウラ面画像整形処理が行われる。これにより、ウラ面画像整形処理が簡素化され、当該ウラ面画像整形処理を担う画像処理部24の負担が大きく軽減される。
【0074】
また、ADF原稿クロップ機能においては、原稿100のサイズが所定サイズ以上である場合には、ADF14による原稿100の搬送速度として設定された設定速度で当該原稿100が搬送される。これに対して、原稿100のサイズが所定サイズ未満である場合には、ADF14による原稿100の搬送速度として設定可能な最低速度で当該原稿100が搬送される。これは、ADF14内におけるジャムの発生を防止するためであり、とりわけ原稿100のサイズが所定サイズ未満であるときの、つまりジャムが発生し易いとされる程度に原稿100のサイズが小さいときの、当該ジャムの発生を防止するためである。
【0075】
なお、ADF14による原稿100の搬送速度は、画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる読取解像度に依存する。すなわち、原稿100のサイズが所定サイズよりも小さい場合には、画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる読取解像度は、当該読取解像度として設定可能な最高の値に設定され、たとえば600dpiという値に設定される。これにより、ADF14は、600dpiという読取解像度に応じた搬送速度で、つまり当該搬送速度として設定可能な最低速度で、原稿100を搬送する。これに対して、原稿100のサイズが所定サイズ以上である場合には、画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる読取解像度は、自動的にまたは予め手動により設定された値に従う。そして、ADF14は、設定された読取解像度に応じた搬送速度で原稿100を搬送する。
【0076】
ここで言う所定サイズは、つまりADF14による搬送速度が最低速度および設定速度のいずれに設定されるのかの境界となるサイズは、任意に設定(変更)可能であるが、たとえばハガキサイズ(148mm×100mm)よりも少し大きいサイズとされる。この場合、原稿100のサイズがハガキサイズ以下であるときに、画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる読取解像度が600dpiという最高の値に設定され、これに伴い、ADF14による原稿100の搬送速度として設定可能な最低速度で当該原稿100が搬送される。そして、原稿100のサイズがハガキサイズよりも大きいときには、画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる読取解像度は、自動的にまたは手動により設定された値に従う。これに伴い、ADF14は、設定された読取解像度に応じた搬送速度で原稿100を搬送する。原稿100のサイズは、前述の原稿サイズ検知機能による検知結果に基づいて認識される。
【0077】
なおたとえば、画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる読取解像度が手動により600dpi以外の値(つまり600dpiよりも小さい値)設定された場合であっても、原稿100のサイズが所定サイズ未満である場合には、当該画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる読取解像度は、言わば強制的に600dpiという値に設定される。この結果、オモテ面の読取画像310およびウラ面の読取画像410(両面読取機能が有効化されていないときは、オモテ面の読取画像310)の画像解像度は、換言すればオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440(両面読取機能が有効化されていないときは、オモテ面整形画像340)の画像解像度は、600dpiとなり、つまり手動による設定値とは異なる値となる。
【0078】
このような不一致を是正するために、画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる読取解像度が手動により600dpi以外の値設定された場合であって、原稿100のサイズが所定サイズ未満である場合には、オモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440(両面読取機能が有効化されていないときは、オモテ面整形画像340)の画像解像度が、600dpiという値から、手動により設定された(言わば所期の)読取解像度に応じた値に変換される。この処理もまた、たとえば画像処理部24が担う。このようにして画像解像度が変換された後のオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440が、画像処理部24による画像処理後の画像データとして、当該画像処理部24から出力される。
【0079】
加えて、ADF原稿クロップ機能には、厳密には複合機10がイメージスキャナとして使用されるときのADF原稿クロップ機能には、その附帯的機能(サブ機能)の1つとして、電子名刺化機能が含まれる。この電子名刺化機能によれば、原稿100が名刺である場合に、当該名刺に含まれる文字情報を電子化することができ、つまり電子名刺化することができる。
【0080】
具体的には、電子名刺化機能によれば、たとえばオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440(両面読取機能が有効化されていないときは、オモテ面整形画像340)に含まれる文字画像を文字データ(文字コード)に変換するためのデータ化処理が行われ、いわゆるOCR処理が行われる。このデータ化処理により得られた文字データは、さらにファイル化処理により所定形式の電子ファイルに纏められる。所定形式の電子ファイルとしては、VCFファイルおよびCSVファイルのいずれかを任意に選択することができる。このファイル化処理により生成された電子ファイル、言わば電子名刺データは、その元となったオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像データと紐付けられた状態で、当該画像データとともに出力され、たとえば補助記憶部28に記憶され、あるいは、通信部30を介して外部へ出力される。なお、データ化処理は、たとえば画像処理部24が担う。そして、ファイル化処理は、たとえばCPU26aが担う。
【0081】
より具体的には、データ化処理が行われる前に、当該データ化処理の対象となるオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像解像度が所定解像度に変換され、言わば落とされる。すなわち、原稿100が名刺であるときの、つまり原稿100のサイズが前述の所定サイズ未満であるときの、オモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像解像度は、前述の如く600dpiである。この600dpiという画像解像度のまま、オモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440がデータ化処理に供されると、当該データ化処理を担う画像処理部24に大きな負担が掛かる。この画像処理部24に係る負担を軽減するために、オモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の600dpiという画像解像度が所定解像度に落とされ、たとえば300dpiに落とされる。このようにしてオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像解像度が所定解像度に落とされた上で、当該オモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440がデータ化処理に供される。これにより、データ化処理を担う画像処理部24の負担が大きく軽減される。ここで言う所定解像度は、300dpiに限らず、400dpiなどの他の値であってもよい。
【0082】
なお、原稿100が名刺であるかどうかは、電子名刺化機能が有効化されていることを前提として、たとえば当該原稿100のサイズに基づいて、換言すれば前述の原稿サイズ検知機能による検知結果に基づいて、判断される。原稿100のサイズに代えて、たとえばオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の少なくとも一方のサイズに基づいて、当該原稿100が名刺であるかどうかが判断されてもよい。いずれの場合も、判断基準は、つまり閾値は、任意に設定(変更)可能とされてもよい。
【0083】
図9に、複合機10がイメージスキャナとして使用されるときの、つまりイメージスキャナ機能用の、設定画面500の一部分を示す。この設定画面500においては、ADF原稿クロップ機能を有効化するかどうかを設定(選択)するためのチェックボックス502が設けられる。すなわち、チェックボックス502にチェックマークが付されることで、ADF原稿クロップ機能が有効化される(そうなるように設定される)。そして、チェックボックス502のチェックマークが外されると、ADF原稿クロップ機能が無効化される。なお、
図9においては、チェックボックス502にチェックマークが付されており、つまりADF原稿クロップ機能が有効化された状態にある。
【0084】
併せて、設定画面500においては、電子名刺化機能を有効化するかどうかを設定するためのチェックボックス504が設けられる。すなわち、チェックボックス504にチェックマークが付されることで、電子名刺化機能が有効化される。そして、チェックボックス504のチェックマークが外されることで、電子名刺化機能が無効化される。なお、
図9においては、チェックボックス504にチェックマークが付されており、つまり電子名刺化機能が有効化された状態にある。また、図示は省略するが、前述のチェックボックス502のチェックマークが外された状態にあるときには、つまりADF原稿クロップ機能が無効化された状態にあるときには、チェックボックス504は、グレーアウトされる。すなわち、前述のチェックボックス502のチェックマークが付されることによって、つまりADF原稿クロップ機能が有効化されることによって、チェックボックス504の操作が可能となる。
【0085】
さらに、設定画面500においては、前述の電子名刺データのファイル形式を選択するためのドロップダウンリスト506が設けられる。このドロップダウンリスト506により、電子名刺データのファイル形式として、VCFファイルおよびCSVファイルのいずれかを任意に選択することができる。なお、
図9においては、電子名刺データのファイル形式として、VCFファイルが選択された状態にある。また、図示は省略するが、チェックボックス504のチェックマークが外された状態にあるときには、つまり電子名刺化機能が無効化された状態にあるときには、ドロップダウンリスト506は、グレーアウトされる。すなわち、チェックボックス504のチェックマークが付されることによって、つまり電子名刺化機能が有効化されることによって、ドロップダウンリスト506の操作が可能となる。
【0086】
加えて、設定画面500においては、電子名刺データに含まれる氏名を当該電子名刺データのファイル名とするかどうかを設定するためのチェックボックス508が設けられる。すなわち、チェックボックス508にチェックマークが付されると、電子名刺データに含まれる氏名が当該電子名刺データのファイル名として設定される。一方、チェックボックス508のチェックマークが外されると、電子名刺データのファイル名として、任意のファイル名を設定することが可能となる。なお、
図9においては、チェックボックス508にチェックマークが付されており、つまり電子名刺データに含まれる氏名が当該電子名刺データのファイル名として設定される状態にある。また、図示は省略するが、前述のチェックボックス504のチェックマークが外された状態にあるときには、つまり電子名刺化機能が無効化された状態にあるときには、チェックボックス508は、グレーアウトされる。すなわち、前述のチェックボックス504のチェックマークが付されることによって、つまり電子名刺化機能が有効化されることによって、チェックボックス508の操作が可能となる。
【0087】
因みに、両面読取機能を有効化するかどうかの設定は、不図示の共通設定画面により行われる。すなわち、不図示の共通設定画面上での操作により、両面読取機能を有効化し、または、無効化することができる。
【0088】
図12は、主記憶部26bのRAM内の構成を概念的に表すメモリマップ600である。このメモリマップ600に示されるように、RAMは、プログラム記憶領域610と、データ記憶領域650と、を有する。
【0089】
このうちのプログラム記憶領域610には、前述の制御プログラムが記憶される。具体的には、制御プログラムは、表示制御プログラム612、操作検出プログラム614、画像読取制御プログラム616、ADF制御プログラム618、画像処理制御プログラム620、画像形成制御プログラム622、給紙制御プログラム624、補助記憶制御プログラム626および通信制御プログラム628を含む。併せて、制御プログラムは、ADF原稿クロッププログラム630を含む。
【0090】
表示制御プログラム612は、ディスプレイ22bに前述の設定画面500などの各種の画面を表示させるのに必要な表示画面データを生成するためのプログラムである。操作検出プログラム614は、タッチパネル22aに対する操作状態を検出するためのプログラムである。画像読取制御プログラム616は、画像読取部12を制御するためのプログラムである。ADF制御プログラム618は、ADF14を制御するためのプログラムである。画像処理制御プログラム620は、画像処理部24を制御するためのプログラムである。画像形成制御プログラム622は、画像形成部16を制御するためのプログラムである。給紙制御プログラム624は、給紙部20を制御するためのプログラムである。補助記憶制御プログラム626は、補助記憶部28を制御するためのプログラムである。通信制御プログラム628は、通信部30を制御するためのプログラムである。そして、ADF原稿クロッププログラム630は、ADF原稿クロップ機能を実現するためのプログラムであり、詳しくはCPU26aに後述するADF原稿クロップタスクを実行させるためのプログラムである。
【0091】
一方、データ記憶領域650には、各種のデータが記憶される。この各種のデータとしては、表示画像生成データ652、操作データ654、設定データ656、一時記憶データ658などがある。
【0092】
表示画像生成データ652は、前述の表示制御プログラム612に基づく表示画面データの生成に用いられるポリゴンデータやテクスチャデータなどのデータである。操作データ654は、タッチパネル22aに対する操作状態を表すデータであり、詳しくは当該タッチパネル22aに対するユーザのタッチ位置(座標)を表す時系列のデータである。設定データ656は、前述の設定画面500による設定内容などの適宜の設定内容を表すデータである。そして、一時記憶データ658は、前述の整形情報などの適宜のデータであり、一時的に記憶されるデータである。
【0093】
ADF原稿クロップ機能を実現するために、CPU26aは、ADF原稿クロッププログラム630に従って、ADF原稿クロップタスクを実行する。このADF原稿クロップタスクの流れを、とりわけ複合機10がイメージスキャナとして使用されるときのADF原稿クロップタスクの流れを、
図11~
図13に示す。なお、CPU26aは、原稿載置トレイ14aに1枚以上の原稿100が載置されている状態で、ADF14による原稿100の送り込み動作の開始を指示する操作が受け付けられたときに、つまり不図示のスタートキーが操作されたときに、これに応答して、ADF原稿クロップタスクを実行する。また、ADF原稿クロップタスクの実行は、ADF原稿クロップ機能が有効化されていることを前提とする。
【0094】
このADF原稿クロップタスクによれば、CPU26aは、まず、ステップS1において、原稿100のサイズを認識し、詳しくは原稿載置トレイ14aに載置されている原稿100のサイズを認識する。この認識は、前述の原稿サイズ検知機能による検知結果に基づく。なお、原稿載置トレイ14aには、互いにサイズの異なる複数の原稿100,100,…が載置される場合があり得るが、この場合は、最もサイズの大きい原稿100の当該サイズが認識される。そして、CPU26aは、処理をステップS3へ進める。
【0095】
ステップS3において、CPU26aは、ステップS1で認識された原稿100のサイズに基づいて、当該原稿100のサイズに応じた読取対象領域300および400を設定する。厳密に言えば、CPU26aは、両面読取機能が有効化されているときには、オモテ面用の読取対象領域300とウラ面用の読取対象領域300との両方を設定する。一方、両面読取機能が有効化されていないときには、CPU26aは、オモテ面用の読取対象領域300のみを設定する。そして、CPU26aは、処理をステップS5へ進める。
【0096】
ステップS5において、CPU26aは、両面読取機能が有効化されているかどうかを判定する。ここでたとえば、両面読取機能が有効化されている場合は(S5:YES)、CPU26aは、処理をステップS7へ進める。一方、面読取機能が有効化されていない場合には(S5:NO)、CPU26aは、処理を後述するステップS41へ進める。
【0097】
ステップS7において、CPU26aは、原稿100のサイズが前述の所定サイズ以上であるかどうかを判定する。ここでたとえば、原稿100のサイズが所定サイズ以上である場合(S7:YES)、CPU26aは、処理をステップS9へ進める。一方、原稿100のサイズが所定サイズ未満である場合は(S7:NO)、CPU26aは、処理を後述するステップS11へ進める。
【0098】
ステップS9において、CPU26aは、ADF14により原稿100を1枚のみ送り込むように、当該ADF14を制御する。その上で、CPU26aは、自動的にまたは予め手動により設定された読取解像度で画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる画像読取処理が行われるように、当該画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cを制御する。これにより、設定解像度に応じた画像解像度のオモテ面の読取画像310およびウラ面の読取画像410が得られる。このステップS9の実行後、CPU26aは、処理をステップS13へ進める。
【0099】
これに対して、CPU26aは、前述のステップS7からステップS11へ処理を進めた場合、当該ステップS11において、ADF14により原稿100を1枚のみ送り込むように、当該ADF14を制御する。その上で、CPU26aは、600dpiという最高の読取解像度で画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる画像読取処理が行われるように、当該画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cを制御する。これにより、600dpiという高い画像解像度のオモテ面の読取画像310およびウラ面の読取画像410が得られる。このステップS11の実行後、CPU26aは、処理をステップS13へ進める。
【0100】
ステップS13において、CPU26aは、オモテ面の読取画像310のうちのオモテ面原稿画像320が占める領域、言わば原稿領域、を検知し、詳しくは当該原稿領域の座標を検知し、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。そして、CPU26aは、処理をステップS15へ進める。
【0101】
ステップS15において、CPU26aは、ステップS13における検知結果に基づいて、オモテ面画像整形処理を実行し、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。これにより、オモテ面の読取画像310からオモテ面原稿画像320が切り出される。併せて、オモテ面原稿画像320が所定程度以上に傾いているときには、当該オモテ面原稿画像320の傾きが補正される。そして、オモテ面整形画像340が得られる。このステップS15の実行後、CPU26aは、処理をステップS17へ進める。
【0102】
ステップS17において、CPU26aは、ステップS15のオモテ面画像整形処理における整形情報を記憶し、詳しくは前述の一時記憶データ658の1つとして記憶する。その上で、CPU26aは、処理をステップS19へ進める。
【0103】
ステップS19において、CPU26aは、ステップS17で記憶された整形情報に基づいて、ウラ面画像整形処理を実行し、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。すなわち、画像処理部24は、ステップS17で記憶された整形情報に基づいて、つまり当該整形情報を利用して、ウラ面画像整形処理を実行する。これにより、ウラ面の読取画像410からウラ面原稿画像420が切り出される。併せて、ウラ面原稿画像420が所定程度以上に傾いているときには、当該ウラ面原稿画像420の傾きが補正される。そして、ウラ面整形画像440が得られる。このステップS19の実行後、CPU26aは、処理をステップS21へ進める。
【0104】
ステップS21において、CPU26aは、原稿100が名刺であるかどうかを判定する。すなわち、CPU26aは、電子名刺化機能が有効化されており、かつ、原稿100のサイズが名刺のサイズであると見なすことができる場合に、当該原稿100が名刺である、と判定する。それ以外の場合は、CPU26aは、原稿100は名刺ではない、と判定する。なお前述したように、原稿100のサイズに代えて、オモテ面整形画像340およびウラ面原稿画像420の少なくとも一方のサイズに基づいて、当該原稿100が名刺であるかどうかが判定されてもよい。このステップS21において、たとえば原稿100が名刺である場合(S21:YES)、CPU26aは、処理をステップS23へ進める。これに対して、原稿100が名刺ではない場合は(S21:NO)、CPU26aは、処理を後述するステップS31へ進める。
【0105】
ステップS23において、CPU26aは、オモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像解像度を所定解像度に変換し、詳しくは600dpiから300dpiに落とし、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。そして、CPU26aは、処理をステップS25へ進める。
【0106】
ステップS25において、CPU26aは、ステップS23で画像解像度が変換された後のオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像データを記憶し、詳しくは前述の一時記憶データ658の1つとして記憶する。そして、CPU26aは、処理をステップS27へ進める。
【0107】
ステップS27において、CPU26aは、電子名刺化処理を行う。すなわち、CPU26aは、ステップS25で記憶されたオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440に含まれる文字画像を文字データに変換するためのデータ化処理を行い、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。さらに、CPU26aは、データ化処理により得られた文字データを所定形式の電子ファイルに纏めるためのファイル化処理を行う。このファイル化処理においては、前述の設定画面500で設定されたファイル形式の電子ファイルに纏められ、つまり当該ファイル形式の電子名刺データが生成される。併せて、電子名刺データに含まれる氏名が当該電子名刺データのファイル名として付されることを含め、当該電子名刺データに適宜のファイル名が付される。このステップS27の実行後、CPU26aは、処理をステップS29へ進める。
【0108】
ステップS29において、CPU26aは、ステップS27で生成された電子名刺データを記憶し、詳しくは前述の一時記憶データ658の1つとして記憶し、より詳しくはステップS25で記憶された画像データと紐づけた状態で記憶する。そして、CPU26aは、処理をステップS37へ進める。
【0109】
さらに、CPU26aは、前述のステップS21からステップS31へ処理を進めた場合、当該ステップS31において、画像読取部12およびウラ面読取ユニット14cによる読取解像度が手動により設定された設定解像度と異なるかどうかを判定する。ここでたとえば、読取解像度が設定解像度と異なる場合、つまり読取解像度が設定解像度よりも高い場合(S31:YES)、CPU26aは、処理をステップS33へ進める。一方、読取解像度が設定解像度と同じである場合は(S31:NO)、CPU26aは、ステップS33をスキップして、処理を後述するステップS35へ進める。
【0110】
ステップS33において、CPU26aは、オモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像解像度を設定解像度に変換し、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。そして、CPU26aは、処理をステップS35へ進める。
【0111】
ステップS35において、CPU26aは、ステップS33で画像解像度が変換された後のオモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像データを記憶し、詳しくは前述の一時記憶データ658の1つとして記憶する。そして、CPU26aは、処理をステップS37へ進める。
【0112】
ステップS37において、CPU26aは、次の原稿100が存在しないかどうかを判定し、つまり原稿載置トレイ14aに原稿100が載置されていないかどうかを判定する。ここでたとえば、次の原稿100が存在する場合、つまり原稿載置トレイ14aに原稿100が載置されている場合(S37:NO)、CPU26aは、処理をステップS5へ戻す。一方、次の原稿が存在しない場合、つまり原稿載置トレイ14aに原稿100が載置されていない場合は(S37:YES)、CPU26aは、処理をステップS39へ進める。
【0113】
ステップS39において、CPU26aは、ステップS25またはステップS35で記憶された画像データを出力するための出力処理を行う。特に、ステップS25で記憶された画像データについては、ステップS29で記憶された電子名刺データと紐づけられた状態で出力される。このステップS39の出力処理で出力される画像データは、たとえば補助記憶部28に記憶され、あるいは、通信部30を介して外部へ出力される。
【0114】
また、CPU26aは、前述のステップS5からステップS41へ処理を進めた場合、つまり両面読取機能が有効化されていない場合、当該ステップS41において、原稿100のサイズが所定サイズ以上であるかどうかを判定する。ここでたとえば、原稿100のサイズが所定サイズ以上である場合(S41:YES)、CPU26aは、処理をステップS43へ進める。一方、原稿100のサイズが所定サイズ未満である場合は(S41:NO)、CPU26aは、処理を後述するステップS45へ進める。
【0115】
ステップS43において、CPU26aは、ADF14により原稿100を1枚のみ送り込むように、当該ADF14を制御する。その上で、CPU26aは、自動的にまたは予め手動により設定された読取解像度で画像読取部12による画像読取処理が行われるように、つまり原稿100のオモテ面(片面)のみの画像を読み取るための画像読取処理が行われるように、当該画像読取部12を制御する。これにより、設定解像度に応じた画像解像度のオモテ面の読取画像310が得られる。このステップS43の実行後、CPU26aは、処理をステップS47へ進める。
【0116】
これに対して、CPU26aは、ステップS41からステップS45へ処理を進めた場合、当該ステップS45において、ADF14により原稿100を1枚のみ送り込むように、当該ADF14を制御する。その上で、CPU26aは、600dpiという最高の読取解像度で画像読取部12による画像読取処理が行われるように、つまり原稿100のオモテ面のみの画像を読み取るための画像読取処理が行われるように、当該画像読取部12を制御する。これにより、600dpiという高い画像解像度のオモテ面の読取画像310が得られる。このステップS45の実行後、CPU26aは、処理をステップS47へ進める。
【0117】
ステップS47において、CPU26aは、前述のステップS13と同様の要領で、オモテ面の読取画像310のうちのオモテ面原稿画像320が占める領域、つまり原稿領域、を検知し、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。そして、CPU26aは、処理をステップS49へ進める。
【0118】
ステップS47において、CPU26aは、前述のステップS15と同様の要領で、オモテ面画像整形処理を実行し、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。これにより、オモテ面整形画像340が得られる。そして、CPU26aは、処理をステップS51へ進める。
【0119】
ステップS51において、CPU26aは、前述のステップS21と同じ要領で、原稿100が名刺であるかどうかを判定する。ここでたとえば原稿100が名刺である場合(S51:YES)、CPU26aは、処理をステップS53へ進める。一方、原稿100が名刺ではない場合は(S51:NO)、CPU26aは、処理を後述するステップS61へ進める。
【0120】
ステップS53において、CPU26aは、オモテ面整形画像340おの画像解像度を所定解像度に変換し、詳しくは600dpiから300dpiに落とし、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。そして、CPU26aは、処理をステップS55へ進める。
【0121】
ステップS55において、CPU26aは、ステップS23で画像解像度が変換された後のオモテ面整形画像340の画像データを記憶し、詳しくは前述の一時記憶データ658の1つとして記憶する。そして、CPU26aは、処理をステップS57へ進める。
【0122】
ステップS57において、CPU26aは、ステップS55で記憶されたオモテ面整形画像340を対象として、電子名刺化処理を行う。これにより、電子名刺データが生成される。この電子名刺データのファイル形式は、前述の設定画面500で設定されたファイル形式に従う。併せて、電子名刺データに含まれる氏名が当該電子名刺データのファイル名として付されることを含め、当該電子名刺データに適宜のファイル名が付される。このステップS57の実行後、CPU26aは、処理をステップS59へ進める。
【0123】
ステップS59において、CPU26aは、ステップS57で生成された電子名刺データを記憶し、詳しくは前述の一時記憶データ658の1つとして記憶し、より詳しくはステップS55で記憶された画像データと紐づけた状態で記憶する。そして、CPU26aは、処理を前述のステップS37へ進める。
【0124】
また、CPU26aは、ステップS51からステップS61へ処理を進めた場合、当該ステップS61において、画像読取部12による読取解像度が手動により設定された設定解像度と異なるかどうかを判定する。ここでたとえば、読取解像度が設定解像度と異なる場合、つまり読取解像度が設定解像度よりも高い場合(S61:YES)、CPU26aは、処理をステップS63へ進める。一方、読取解像度が設定解像度と同じである場合は(S61:NO)、CPU26aは、ステップS63をスキップして、処理を後述するステップS65へ進める。
【0125】
ステップS63において、CPU26aは、オモテ面整形画像340の画像解像度を設定解像度に変換し、厳密にはそうするように画像処理部24を制御する。そして、CPU26aは、処理をステップS65へ進める。
【0126】
ステップS65において、CPU26aは、ステップS63で画像解像度が変換された後のオモテ面整形画像340の画像データを記憶し、詳しくは前述の一時記憶データ658の1つとして記憶する。そして、CPU26aは、処理をステップS37へ進める。
【0127】
なお、ステップS55またはステップS65が実行された場合は、前述のステップS39の出力処理において、当該ステップS55またはステップS65で記憶された画像データが出力される。特に、ステップS55で記憶された画像データについては、ステップS59で記憶された電子名刺データと紐づけられた状態で出力される。これらの画像データもまた、たとえば補助記憶部28に記憶され、あるいは、通信部30を介して外部へ出力される。
【0128】
以上のように、本実施例によれば、とりわけADF原稿クロップ機能によれば、原稿100が傾いた状態で搬送されたとしても、これに適切に対処することができる。特に、両面読取機能が有効化されているときには、オモテ面整形画像340を得るためのオモテ面画像整形処理における整形情報に基づいて、ウラ面整形画像440を得るためのウラ面画像整形処理が行われる。これにより、ウラ面画像整形処理が簡素化され、当該ウラ面画像整形処理を担う画像処理部24の負担が大きく軽減される。また、本実施例によれば、前述の特許文献1に開示された技術とは異なり、原稿の傾きそのものを補正するための機械的な機構や、原稿の姿勢を検出するためのセンサなどの付随的な要素は、必要ない。すなわち、本実施例によれば、原稿100が傾いた状態で搬送されたときに、これに簡素な構成かつ簡素な処理により対処することができる。
【0129】
なお、本実施例におけるADF14は、本発明に係る搬送手段の一例である。また、画像読取ユニット12bを含む画像読取部12は、本発明に係る第1読取手段の一例であり、ウラ面読取ユニット14cは、本発明に係る第2読取手段の一例である。そして、オモテ面用の読取対象領域300は、本発明に係る第1読取領域の一例であり、ウラ面用の読取対象領域400は、本発明に係る第2読取領域の一例である。さらに、オモテ面の読取画像310は、本発明に係る第1読取画像の一例であり、ウラ面の読取画像410は、本発明に係る第2読取画像の一例である。そして、オモテ面原稿画像320は、本発明に係る第1画像の一例であり、ウラ面原稿画像420は、本発明に係る第2画像の一例である。また、オモテ面画像整形処理は、本発明に係る第1整形処理の一例であり、当該オモテ面画像整形処理を担う画像処理部24は、本発明に係る第1整形手段の一例である。併せて、ウラ面画像整形処理は、本発明に係る第2整形処理の一例であり、当該ウラ面画像整形処理を担う画像処理部24は、本発明に係る第2整形手段の一例である。
【0130】
加えて、ADF原稿クロップタスクのステップS33において、オモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像解像度を設定解像度に変換する処理を担う画像処理部24は、本発明に係る第1変換手段の一例である。そして、ADF原稿クロップタスクのステップS23において、オモテ面整形画像340およびウラ面整形画像440の画像解像度を所定解像度に変換する処理を担う画像処理部24は、本発明に係る第2変換手段の一例である。さらに、ADF原稿クロップタスクのステップS27において、電子名刺化処理のうちのデータ化処理を担う画像処理部24は、本発明に係るデータ化手段の一例である。
【0131】
また、ADF原稿クロップタスクのステップS27の電子名刺化処理は、電子名刺化機能が有効化されていることを前提として実行されるが、当該電子名刺化機能を有効化するかどうかは、前述の如く設定画面500により設定される。そして、設定画面500による設定内容は、前述の如く設定データ656として記憶され、厳密にはCPU26aにより当該設定データ656として記憶される。このようなCPU26aは、本発明に係るデータ化制御手段の一例である。
【0132】
さらに、前述の原稿サイズ検知機能は、CPU26a、ガイド幅検知部14fおよび原稿長さ検知部14kによって実現されるが、当該原稿サイズ検知機能を実現するCPU26a、ガイド幅検知部14fおよび原稿長さ検知部14kは、本発明に係る原稿サイズ検知手段の一例である。なお、原稿100のサイズは、ガイド幅検知部14fによって検知されるガイド幅のみに基づいて、検知(導出)されてもよい。
【0133】
[その他の適用例]
本実施例は、飽くまでも本発明の一具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。すなわち、本実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0134】
たとえば、オモテ面画像整形処理やウラ面画像整形処理などの画像処理部24が担う処理については、当該画像処理部24に代えて、CPU26aが担ってもよい。
【0135】
また、原稿100が名刺であるときに出力される画像データについては、その画像解像度が300dpiという所定解像度に落とされた上で出力されるが、これに限らない。すなわち、600dpiという高い画像解像度のままで画像データが出力されてもよい。ただし、電子名刺化処理におけるデータ化処理に供される画像データについては、画像解像度が落とされた上で、当該データ化処理に供されるのが、望ましい。
【0136】
そして、本実施例においては、複合機10がイメージスキャナとして使用されるときのADF原稿クロップ機能について、説明したが、当該複合機10がコピー機またはファクス装置として使用されるときのADFクロップ機能についても、本発明を適用することができる。ただし、電子名刺化機能については、複合機10がイメージスキャナとして使用されるときのADF原稿クロップ機能についてのみ、適用される。
【0137】
要するに、本発明は、流し読み方式により原稿100の両面の画像を同時に読み取る機能を備える原稿読取装置に適用することができ、さらには、当該原稿読取装置を備えるイメージスキャナ、コピー機、ファクス装置などの画像出力装置に適用することができる。
【0138】
加えて、本発明は、原稿読取装置または画像出力装置という装置の形態に限らず、原稿読取装置の制御プログラムというプログラムの形態、あるいは、原稿読取装置の制御方法という方法の形態によっても、提供することができる。
【0139】
併せて、本発明は、原稿読取装置の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体という形態によっても、提供することができる。ここで言う記録媒体としては、たとえばSDメモリカードやUSBメモリなどの半導体メディア、あるいは、CDやDVDなどのディスクメディアがある。これらの可搬型の記憶媒体に限らず、ROMやハードディスクドライブなどのような装置組込み型(内蔵型)の記憶媒体もまた、ここで言う記録媒体として適用可能である。
【符号の説明】
【0140】
10 … 複合機
12 … 画像読取部
14 … ADF
14c … ウラ面読取ユニット
14f … ガイド幅検知部
14k … 原稿長さ検知部
24 … 画像処理部
26a … CPU
100 … 原稿
200 … 原稿搬送路
300,400 … 読取対象領域
310,410 … 読取画像
320 … オモテ面原稿画像
420 … ウラ面原稿画像