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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20250306BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/08 321
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021086267
(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公開番号】P2022179041
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】井野 利昭
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-151375(JP,A)
【文献】特開2016-018123(JP,A)
【文献】特開2016-197221(JP,A)
【文献】特開平04-254880(JP,A)
【文献】特開平04-055874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像装置と、前記現像装置に収容される前記現像剤におけるトナーの濃度であるトナー濃度を検知するトナー濃度検知部と、前記トナー濃度検知部にて検知した前記トナー濃度と基準トナー濃度とに基づいてトナー濃度補正量を調整するトナー濃度調整部と、前記トナー濃度調整部にて調整した前記トナー濃度補正量により前記トナー濃度を補正するトナー濃度補正制御を行う制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記トナー濃度調整部は、前記トナー濃度補正量の調整を所定のトナー濃度調整幅内で行い、
前記制御部は、ユーザーによる当該画像形成装置の使用状況に応じて前記トナー濃度調整幅を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記使用状況に応じて前記トナー濃度調整幅を段階的に変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
トナー画像の濃度である画像濃度を検知する画像濃度検知部と、前記現像装置への現像バイアスを補正するための現像バイアス補正量を調整する現像バイアス調整部とをさらに備え、前記制御部は、前記画像濃度検知部にて検知した前記画像濃度に基づいて前記現像バイアス調整部にて調整した前記現像バイアス補正量により前記現像バイアスを補正する現像バイアス補正制御を行い、
前記現像バイアス調整部は、前記現像バイアス補正量の調整を所定の現像バイアス調整幅内で行い、
前記制御部は、前記使用状況に応じて前記現像バイアス調整幅を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記使用状況に応じて前記現像バイアス調整幅を段階的に変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の画像形成装置であって、
前記トナー濃度調整幅及び前記現像バイアス調整幅において、一方の調整幅が前記使用状況に応じて大きく又は小さくなるように変化させた場合には、他方の調整幅が前記使用状況に応じて前記一方の調整幅の変化とは逆方向になるように変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5までの何れか1つに記載の画像形成装置であって、
前記トナー濃度補正制御を行った後で前記現像バイアス補正制御を行うトナー濃度補正制御優先モードと、前記現像バイアス補正制御を行った後で前記トナー濃度補正制御を行う現像バイアス補正制御優先モードとを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記トナー濃度補正制御優先モードと前記現像バイアス補正制御優先モードとを前記使用状況の調整閾値を境に区分けして実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置であって、
前記使用状況は、当該画像形成装置の印刷頻度及び画像比率を含み、
前記調整閾値は、前記印刷頻度のための第1調整閾値と、前記画像比率のための第2調整閾値とを含み、
前記印刷頻度が前記第1調整閾値以下、かつ、前記画像比率が前記第2調整閾値以下のときに、前記現像バイアス補正制御優先モードに切り替え、前記印刷頻度が前記第1調整閾値よりも大きい、かつ、前記画像比率が前記第2調整閾値よりも大きいときに、前記トナー濃度補正制御優先モードに切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置であって、
前記使用状況は、当該画像形成装置の印刷頻度及び画像比率を含み、
前記調整閾値は、前記印刷頻度のための所定の第1調整閾値と、前記画像比率のための所定の第2調整閾値とを含み、
前記印刷頻度が前記第1調整閾値以下、かつ、前記画像比率が前記第2調整閾値以下のときの前記トナー濃度調整幅は、前記印刷頻度が前記第1調整閾値よりも大きい、かつ、前記画像比率が前記第2調整閾値よりも大きいときの前記トナー濃度調整幅よりも小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の画像形成装置であって、
前記使用状況は、当該画像形成装置の印刷頻度及び画像比率を含み、
前記調整閾値は、前記印刷頻度のための所定の第1調整閾値と、前記画像比率のための所定の第2調整閾値とを含み、
前記印刷頻度が前記第1調整閾値以下、かつ、前記画像比率が前記第2調整閾値以下のときの前記現像バイアス調整幅は、前記印刷頻度が前記第1調整閾値よりも大きい、かつ、前記画像比率が前記第2調整閾値よりも大きいときの前記現像バイアス調整幅よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項7から請求項10までの何れか1つに記載の画像形成装置であって、
前記調整閾値は、当該画像形成装置の周囲温度及び周囲湿度が高くなるに従って大きくなっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までの何れか1つの画像形成装置であって、
当該画像形成装置の周囲環境に応じた第1補正係数を用いて前記トナー濃度補正制御で補正する前記トナー濃度補正量を可変させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までの何れか1つの画像形成装置であって、
前記使用状況に応じた第2補正係数を用いて前記トナー濃度補正制御で補正する前記トナー濃度補正量を可変させることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、画像濃度の調整手段の1つとして、現像装置に収容される現像剤におけるトナーの濃度であるトナー濃度を検知し、検知したトナー濃度に基づいてトナー濃度補正量によりトナー濃度を補正するトナー濃度補正制御がある。
【0003】
ところで、ユーザーは、様々な使用状況(例えば印刷頻度の大小及び/又は画像比率の大小といった使用状況)で画像形成装置を使用する。
【0004】
このような画像形成装置において、ユーザーによる画像形成装置の使用状況によっては、現像装置内の現像剤の撹拌不足等によりトナーの帯電量が不安定になり易いためにトナー飛散が発生し易いといった不都合があり、そうすると、搬送系の部材(例えば搬送ガイド部材や検知部)がトナーで汚れるといった不都合を招く。
【0005】
この点に関し、特許文献1には、異なる作像条件で形成された複数のトナー像からなる諧調パターンを検出した検出値を用いて指標値を算出し、算出した指標値と指標値の狙い値との差に基づいてトナー濃度を調整するにあたり、指標値の狙い値を、実際の装置の使われ方に応じて変化させる画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-56094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置は、ユーザーによる画像形成装置の使用状況によって、トナー飛散が発生し易いといった不都合を低減させるようにはなっていない。
【0008】
そこで、本発明は、ユーザーによる画像形成装置の使用状況に拘わらず、トナー飛散が発生し易いといった不都合を低減させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、現像剤を収容する現像装置と、前記現像装置に収容される前記現像剤におけるトナーの濃度であるトナー濃度を検知するトナー濃度検知部と、前記トナー濃度検知部にて検知した前記トナー濃度と基準トナー濃度とに基づいてトナー濃度補正量を調整するトナー濃度調整部と、前記トナー濃度調整部にて調整した前記トナー濃度補正量により前記トナー濃度を補正するトナー濃度補正制御を行う制御部とを備えた画像形成装置であって、前記トナー濃度調整部は、前記トナー濃度補正量の調整を所定のトナー濃度調整幅内で行い、前記制御部は、ユーザーによる当該画像形成装置の使用状況に応じて前記トナー濃度調整幅を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、ユーザーによる画像形成装置の使用状況に拘わらず、トナー飛散が発生し易いといった不都合を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図2図1に示す画像形成装置における画像形成部部分を示す断面図である。
図3】画像形成装置において画像濃度制御を行うためのシステムブロック図である。
図4】既存の画像形成装置において市場でのトナー濃度補正制御で補正するトナー濃度補正量と現像バイアス補正制御で補正する現像バイアス補正量との関係を台数のヒストグラムで表した図表である。
図5A】画像形成装置の使用状況として用いた調整閾値の一例の調整閾値テーブルを示す図表である。
図5B図5Aに示す調整閾値を示すグラフである。
図6】画像形成装置の使用状況に応じたトナー濃度調整幅の一例のトナー濃度調整幅テーブルを示す図表である。
図7A】画像形成装置の使用状況に応じたトナー濃度調整幅の他の例のトナー濃度調整幅テーブルを示す図表である。
図7B】画像形成装置の使用状況に応じたトナー濃度調整のさらに他の例のトナー濃度調整幅テーブルを示す図表である。
図8】画像形成装置の使用状況に応じた現像バイアス調整幅の一例の現像バイアス調整幅テーブルの一例を示す図表である。
図9A図5Aに示す調整閾値を境にした現像バイアス補正制御優先モードとトナー濃度補正制御優先モードとの区分けを示すグラフである。
図9B図5Aに示す調整閾値を境にした現像バイアス補正制御優先モードとトナー濃度補正制御優先モードとの区分けを示す図表である。
図10A】画像形成装置の周囲温度及び周囲湿度毎の調整閾値の一例の調整閾値テーブルを示す図表である。
図10B図10Aに示す調整閾値を示すグラフである。
図11A】常温常湿の周囲環境でのトナー濃度調整幅テーブルを示す図表である。
図11B】高温高湿の周囲環境でのトナー濃度調整幅テーブルを示す図表である。
図11C】低温低湿の周囲環境でのトナー濃度調整幅テーブルを示す図表である。
図12】第1補正係数の一例の第1補正係数テーブルを示す図表である。
図13】第2補正係数の一例の第2補正係数テーブルを示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
〔画像形成装置全体の説明〕
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。
【0014】
画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンタ機能を有する複合機であり、画像読取装置102によって読み取られた原稿Gの画像を外部に送信する。また、画像形成装置100は、画像読取装置102にて読み取った原稿Gの画像又は外部から受信した画像をカラー若しくは単色で用紙等のシートPに画像形成する。
【0015】
画像読取部130の上側には、画像読取部130に対して開閉自在に支持された原稿送り装置160〔自動原稿搬送装置(ADF)〕が設けられている。画像読取装置102は、原稿送り装置160を備えている。原稿送り装置160は、1枚又は複数枚の原稿Gを1枚ずつ順に搬送する。画像読取装置102は、原稿送り装置160により1枚又は複数枚の原稿のうち1枚ずつ搬送される原稿Gを読み取る。画像読取装置102は、原稿Gを載置する原稿載置台130aと、原稿載置台130a上に載置された原稿Gを読み取る載置原稿読取機能とを備えている。画像形成装置100は、原稿送り装置160が開かれると、画像読取部130の上方の原稿載置台130aが開放され、原稿Gを手置きで置くことができるようになっている。また、原稿送り装置160は、原稿Gを載置する原稿載置トレイ161と、外部に排出された原稿Gを積載する原稿排出トレイ162とを備えている。画像読取装置102は、原稿送り装置160にて搬送された原稿Gを読み取る搬送原稿読取機能を備えている。原稿送り装置160は、原稿載置トレイ161に載置された原稿Gを画像読取部130における原稿読取部130b上に搬送する。画像読取部130は、走査光学系130cを走査して原稿載置台130aに載置された原稿を読み取るか又は原稿送り装置160にて搬送される原稿Gを読み取って画像データを生成する。
【0016】
画像形成装置本体101は、光走査装置1、現像装置2~2、像担持体として作用する感光体ドラム3~3、ドラムクリーニング装置4~4、帯電器5~5、1次転写装置70(この例では転写ベルト装置)、2次転写装置11、定着装置12、シート搬送路S、給紙カセット18、シート排出トレイ141を備えている。
【0017】
画像形成装置100は、複数色のトナーを用いて形成したトナー像を転写体として作用する無端状の1次転写ベルト71に1次転写し、1次転写ベルト71に1次転写したトナー像をシートPに2次転写する。
【0018】
本実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色を用いたカラー画像、又は、単色〔例えばブラック(K)〕を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。なお、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックは、以下の説明では、それぞれ、単にY、M、C、Kという。
【0019】
画像形成装置100の画像形成部50には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがY、M、C、Kに対応付けられ、4つの画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdが構成されている。また、画像形成装置本体101には、トナーを収容するトナー収容装置8~8(具体的にはトナーカートリッジ)が着脱可能に設けられる。画像ステーションPa~Pdでは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されるトナー収容装置8~8からトナーを現像装置2~2に供給するようになっている。
【0020】
光走査装置1は、感光体ドラム3~3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2~2は、感光体ドラム3~3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3~3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4~4は、感光体ドラム3~3の表面の残留トナーを除去及び回収する。帯電器5~5は、感光体ドラム3~3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3~3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0021】
1次転写装置70は、1次転写ローラ6~6、1次転写ベルト71、転写駆動ローラ72、転写従動ローラ73及びベルトクリーニング装置9を備えている。1次転写ベルト71は、転写駆動ローラ72及び転写従動ローラ73に張架されている。1次転写ローラ6は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつ1次転写ベルト71の内側に設けられている。1次転写ローラ6~6は、感光体ドラム3~3の表面に形成された各色のトナー像を周方向Wへ周回移動する1次転写ベルト71に1次転写する。
【0022】
2次転写装置11は、2次転写ローラ11aと1次転写ベルト71との間に転写ニップ部TN(転写ニップ領域)を形成しており、シート搬送路Sを通じて搬送されてきたシートPを転写ニップ部TNに挟み込んで搬送する。シートPは、転写ニップ部TNを通過する際に、1次転写ベルト71の表面のトナー像が2次転写されて定着装置12に搬送される。ベルトクリーニング装置9は、シートPに転写されずに1次転写ベルト71の表面に残った廃トナーを除去及び回収する。
【0023】
定着装置12は、シートPを挟んで回転する定着ローラ31及び加圧ローラ32を備えている。定着装置12は、定着ローラ31及び加圧ローラ32の間にトナー像が転写されたシートPを挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像をシートPに定着させる。
【0024】
給紙カセット18は、画像形成に使用するシートPを蓄積しておくためのものであり、光走査装置1の下側に設けられている。シートPは、ピックアップローラ16によって給紙カセット18から引き出されて、シート搬送路Sに搬送される。シート搬送路Sに搬送されたシートPは、2次転写装置11や定着装置12を経由し、排出ローラ17に搬送され、排出部140におけるシート排出トレイ141に排出される。シート搬送路Sには、搬送ローラ13、レジストローラ14及び排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、シートPの搬送を促す。レジストローラ14は、シートPを一旦停止させて、シートPの先端を揃える。レジストローラ14は、一旦停止したシートPを1次転写ベルト71上のトナー像のタイミングに合わせて搬送する。1次転写ベルト71上のトナー像は、1次転写ベルト71と2次転写ローラ11aとの間の転写ニップ部TNでシートPに2次転写される。
【0025】
なお、図1では、給紙カセット18が1つとされているがこれに限定されず、複数の給紙カセット18を設けた構成とし、同じ又はそれぞれに異なる種類のシートPを積載してもよい。
【0026】
また、画像形成装置100は、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ17からシート反転経路Srに逆方向に搬送する。画像形成装置100は、逆方向に搬送されたシートPの表裏を反転し、レジストローラ14に再度導く。また、画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれたシートPを表面と同様にして裏面に画像形成し、シート排出トレイ141に搬出する。
【0027】
[画像濃度制御]
図2は、図1に示す画像形成装置100における画像形成部50部分を示す断面図である。図3は、画像形成装置100において画像濃度制御を行うためのシステムブロック図である。
【0028】
図2に示すように、転写駆動ローラ72及び転写従動ローラ73は、1次転写ベルト71に巻き掛けらており、1次転写ベルト71を張設している。転写駆動ローラ72は、図示を省略した回転駆動部(駆動モータ)からの回転駆動力が図示を省略した駆動伝達機構を介して伝達される。これにより、1次転写ベルト71は、画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdから2次転写装置11に向かう周方向Wに周回移動することができる。なお、画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdのそれぞれに構成部材が設けられているが、これらの構成部材は実質的に同様の構成であることから、以下の説明では、これらの構成部材のうちの1つに代表させて説明する。
【0029】
現像装置2は、現像槽21を備えている。現像槽21は、現像剤Dを収容する。現像剤Dは、トナーT及びキャリアCを主成分とする2成分現像剤とされている。
【0030】
画像形成装置100は、図3に示すように、制御部110と、トナー濃度検知部210と、トナー濃度調整部220と、画像濃度検知部230と、現像バイアス調整部240とをさらに備えている。
【0031】
制御部110は、処理部111と、記憶部112とを有している。処理部111は、CPU等のマイクロコンピュータからなっている。記憶部112は、ROM等の不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリを含んでいる。制御部110は、処理部111が記憶部112のROMに予め格納された制御プログラムを記憶部112のRAM上にロードして実行することにより、各種構成要素の作動制御を行う。
【0032】
<トナー濃度補正制御>
トナー濃度検知部210は、現像槽21に収容される現像剤DにおけるトナーTの濃度であるトナー濃度を検知する。トナー濃度は、この例では、現像剤Dに対するトナーTの重量割合である。トナー濃度検知部210としては、代表的には、トナー濃度を透磁率の変化により検知するトナー濃度センサーを例示できる。トナー濃度検知部210は、従来の構成と同じてあり、ここでは、詳しい説明を省略する。トナー濃度検知部210は、制御部110の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部110は、トナー濃度に対応する検知信号を検出することができる。
【0033】
トナー濃度調整部220は、トナー濃度を補正するためのトナー濃度補正量を調整する。詳しくは、トナー濃度調整部220は、トナー収容装置8に収容されるトナーTを現像槽21に補給するトナー補給装置を構成している。
【0034】
制御部110は、トナー濃度補正制御手段Q1を備える。トナー濃度補正制御手段Q1は、トナー濃度検知部210にて検知したトナー濃度に基づいてトナー濃度調整部220にて調整したトナー濃度補正量によりトナー濃度を補正するトナー濃度補正制御を行う。詳しくは、制御部110は、トナー濃度検知部210にて検知したトナー濃度に対応する検知信号が予め定めた所定の基準トナー濃度に対応する基準信号になるようにトナーTの現像槽21へのトナー濃度補正量(トナー補給量)を調整する。ここで、トナー濃度検知部210の検知信号の値としては、代表的には、現像剤Dの重量に対するトナーTの重量の割合に対応する値を例示できる。基準トナー濃度は、例えば、新品の現像剤Dのトナー濃度(例えば6%)とすることができる。基準トナー濃度に対応するトナー濃度検知部210の基準信号の値は新品の現像剤Dを最初にセットアップするときに記憶部112に記憶される。
【0035】
本実施の形態では、トナー濃度調整部220は、トナー濃度補正量の調整を所定のトナー濃度調整幅内で行う。
【0036】
すなわち、トナー濃度補正制御では、トナー濃度検知部210にて検知したトナー濃度が基準トナー濃度(例えば6%)から外れる場合、トナー濃度調整部220は、トナー濃度調整幅内でトナー濃度が基準トナー濃度になるようにトナー濃度補正量を調整する。
【0037】
<現像バイアス補正制御>
画像濃度検知部230は、トナー画像の濃度である画像濃度(濃淡)を検知する。詳しくは、画像濃度検知部230は、1次転写ベルト71上に形成したトナーパターンPT(所謂パッチ)(図2参照)の画像濃度を検知する。画像濃度は、この例では、反射濃度計を用いてベタ部の画像濃度(ID)を測定した値に対応する値である。画像濃度検知部230としては、代表的には、画像濃度を反射光の光量により検知するものを例示できる。
【0038】
図2に示すように、画像濃度検知部230は、画像形成部50において1次転写ローラ6にて1次転写ベルト71上に1次転写されたトナーパターンPTの画像濃度を検知する。この例では、画像濃度検知部230は、プロセスコントロールセンサ(所謂プロコンセンサ)である。画像濃度検知部230は、発光素子(具体的に発光ダイオード)を含む発光部231と、受光素子(具体的にはフォトダイオード)を含む受光部232とを備えている。発光部231は、1次転写ベルト71上のトナーパターンPTに出射光L1を照射する。受光部232は、1次転写ベルト71上のトナーパターンPTから反射してきた反射光L2を受光する。
【0039】
画像濃度検知部230は、制御部110の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部110は、トナーパターンPT~PTの画像濃度に対応する検知信号を検出することができる。
【0040】
現像バイアス調整部240は、現像装置2への現像バイアスを補正するための現像バイアス補正量を調整する。詳しくは、現像バイアス調整部240は、現像装置2の現像ローラ22に対して現像バイアスを調整可能に印加する現像バイアス電源を構成している。
【0041】
制御部110は、現像バイアス補正制御手段Q2を備える。現像バイアス補正制御手段Q2は、画像濃度検知部230にて検知した画像濃度に基づいて現像バイアス調整部240にて調整した現像バイアス補正量により現像バイアスを補正する現像バイアス補正制御を行う。詳しくは、制御部110は、画像濃度検知部230にて検知した画像濃度に対応する検知信号が予め定めた所定の基準画像濃度に対応する基準信号になるように現像装置2への現像バイアス補正量を調整する。ここで、画像濃度検知部230の検知信号の値としては、代表的には、反射濃度計を用いてベタ部を測定した画像濃度(ID)に対応する値を例示できる。例えば、基準画像濃度は、定格画像濃度(例えばID1.3)とすることができる。基準画像濃度に対応する画像濃度検知部230の基準信号の値は予め記憶部112に記憶されている。
【0042】
本実施の形態において、現像バイアス調整部240は、現像バイアス補正量の調整を所定の現像バイアス調整幅内で行う。
【0043】
すなわち、現像バイアス補正制御では、画像濃度検知部230にて検知した画像濃度が基準画像濃度(例えばID1.3)から外れる場合、現像バイアス調整部240は、現像バイアス調整幅内で画像濃度が基準画像濃度になるように現像バイアス補正量を調整する。
【0044】
図4は、既存の画像形成装置において市場でのトナー濃度補正制御で補正するトナー濃度補正量と現像バイアス補正制御で補正する現像バイアス補正量との関係を台数のヒストグラムで表した図表である。図4において、横軸にトナー濃度補正量をとり、縦軸に現像バイアス補正量(現像バイアス電圧)をとっている。トナー濃度補正量は、所定のトナー補給量であって、トナー濃度を所定の濃度(例えば約1%程度)変化させる値である。
【0045】
ここで、図4中のα部分はトナー濃度補正制御に依存していることを表しており、図4中のβ部分は現像バイアス補正制御に依存していることを表している。
【0046】
ユーザーは、様々な使用状況(例えば印刷頻度の大小及び/又は画像比率の大小といった使用状況)で画像形成装置を使用する。
【0047】
ここで、印刷頻度としては、単位期間(例えば1ヵ月又は1日)当たりの印刷枚数(印字枚数)を例示できる。印刷頻度が予め定めた所定の基準印刷頻度以下のユーザーは、所謂、低コピーボリューム層(低CV層)のユーザーであり、印刷頻度が基準印刷頻度よりも大きいユーザーは、所謂、高コピーボリューム層(高CV層)のユーザーである。ここで、基準印刷頻度としては、例えば、平均印刷頻度や所定の画像比率を挙げることができる。
【0048】
また、画像比率としては、画像形成されるシート(例えばA4サイズのシート)の全体の面積当たりの画像(トナー像)の面積割合(例えばピクセルカウントから算出した面積割合)や、所定サイズのシート(例えばA4サイズのシート)に消費されるトナーTのシート枚数当たりの消費量を例示できる。画像比率が予め定めた所定の基準画像比率以下のユーザーは、所謂、低印字率層のユーザーであり、画像比率が基準画像比率よりも大きいユーザーは、所謂、高印字率層のユーザーである。ここで、基準画像比率としては、例えば、平均画像比率や所定の画像比率を挙げることができる。
【0049】
画像形成装置100は、図2に示すように、カウント計測部250、カレンダー計測部260及びピクセル計測部270をさらに備えている。
【0050】
カウント計測部250は、印刷枚数を計測する。カウント計測部250は、制御部110の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部110は、印刷枚数を検出することができる。
【0051】
カレンダー計測部260は、時間及び日数を計測する。カレンダー計測部260は、制御部110の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部110は、印刷枚数及び時間又は日数から印刷頻度を検出することができる。
【0052】
ピクセル計測部270は、画像読取装置102にて読み取った画像データから画像のピクセル数をカウントする。ピクセル計測部270は、制御部110の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部110は、ピクセルカウントから算出した面積割合により画像比率を検出することができる。
【0053】
ところで、従来の画像形成装置において、ユーザーによる画像形成装置の使用状況によっては、現像装置内の現像剤の撹拌不足等によりトナーの帯電量が不安定になり易いためにトナー飛散が発生し易いといった不都合があり、そうすると、搬送系の部材(例えば搬送ガイド部材や検知部)がトナーで汚れるといった不都合を招く。
【0054】
<第1実施形態>
この点、制御部110は、ユーザーによる画像形成装置100の使用状況(この例では調整閾値TH)に応じてトナー濃度調整幅を変更する。
【0055】
図5Aは、画像形成装置100の使用状況として用いた調整閾値の一例〔TH(TH1)〕の調整閾値テーブルTB1(TB11)を示す図表である。図5Bは、図5Aに示す調整閾値TH(TH1)を示すグラフである。なお、調整閾値テーブルTB1は予め記憶部112に記憶されている。
【0056】
画像形成装置100の使用状況は、図5A及び図5Bに示すように、調整閾値TH(TH1)によって、低印刷頻度層及び低画像比率層のユーザーと、高印刷頻度層及び高画像比率層のユーザーとに区分けすることができる。
【0057】
図6は、画像形成装置100の使用状況に応じたトナー濃度調整幅の一例のトナー濃度調整幅テーブルTB2(TB21)を示す図表である。なお、トナー濃度調整幅テーブルTB2は予め記憶部112に記憶されている。図6に示すトナー濃度調整幅テーブルTB21の値は、トナー濃度の最大の調整幅に対する実調整幅の割合を示している。例えば、トナー濃度の最大の実調整幅(制御部110から実際に出力する実制御値の最大幅)を±30とすると、低印刷頻度層及び低画像比率層のユーザーに対するトナー濃度調整幅は、±16.7%で±5(実制御幅)となり、高印刷頻度層及び高画像比率層のユーザーに対するトナー濃度調整幅は、±100%で±30(実制御幅)となる。このことは、後述する図7A図7B図11Aから図11Cに示すトナー濃度調整幅テーブルTB22~TB26も同様である。
【0058】
図6に示すように、制御部110は、トナー濃度調整幅の大小を使用状況の調整閾値TH(TH1)(図6の二重線参照)を境に区分けしてトナー濃度補正制御を実行する。
【0059】
これにより、ユーザーによる画像形成装置100の使用状況に応じたトナー濃度調整幅にすることができる。
【0060】
また、ユーザーによる画像形成装置100の使用状況の調整閾値THで変更したトナー濃度調整幅内のトナー濃度補正量により画像濃度を安定化させることができる。
【0061】
従って、トナー濃度補正制御を画像形成装置100の使用状況に応じて精度よく行うことができる。
【0062】
なお、画像形成装置100の設置初期では画像形成装置100の使用状況が不正確であるため、本実施の形態に係るトナー濃度補正制御は、画像形成装置100の設置開始から所定の期間(例えば1ヵ月)後に行うことができる。これにより、精度よくトナー濃度調整幅を変更することができる。
【0063】
本実施の形態において、制御部110は、画像形成装置100の使用状況に応じてトナー濃度調整幅を段階的に変更する。
【0064】
図7Aは、画像形成装置100の使用状況に応じたトナー濃度調整幅の他の例のトナー濃度調整幅テーブルTB2(TB22)を示す図表である。図7Aの二重線の上側は、低印刷頻度層及び低画像比率層のユーザーであり、図7Aの二重線の下側は、高印刷頻度層及び高画像比率層のユーザーである。
【0065】
図7Aに示すように、印刷頻度が大きくなるに従ってトナー濃度調整幅を小さくすることができる。また、画像比率が大きくなるに従ってトナー濃度調整幅を大きくすることができる。こうすることで、トナー濃度を低く抑えることができ、これにより、トナー飛散の発生を抑制することができる。
【0066】
従って、ユーザーによる画像形成装置100の使用状況に拘わらず、トナー飛散が発生し易いといった不都合を低減させることができる。
【0067】
図7Aに示すトナー濃度調整幅は、プラス側の値とマイナス側の値とで絶対値で等しいが、異なるようになっていてもよい。
【0068】
図7Bは、画像形成装置100の使用状況に応じたトナー濃度調整のさらに他の例のトナー濃度調整幅テーブルTB2(TB23)を示す図表である。
【0069】
図7Bに示すトナー濃度調整幅は、図7Aに示すように、プラス側の値とマイナス側の値とで絶対値で等しいトナー濃度調整幅に対して、マイナス側に所定量(この例では0.3%)さけシフトさせている。また、それに限定されるものではなく、図7Aに示すような、プラス側の値とマイナス側の値とで絶対値で等しいトナー濃度調整幅に対して、プラス側に所定量シフトさせるようにしてもよい。
【0070】
<第2実施形態>
ところで、従来では、画像濃度補正制御として現像バイアス補正制御とトナー濃度補正制御との2つの制御で画質の安定化を実現させることが多い。詳しくは、プロセス電場変動を抑えるために現像バイアス補正制御を行った後、トナー濃度補正制御を行って必要に応じてトナーを現像装置に補給するようになっている。このような構成では、高印刷頻度層及び高画像比率層のユーザーが使用する場合には、画質性能を確保できるが、低印刷頻度層及び低画像比率層のユーザーが使用する場合には、現像装置内の現像剤の撹拌不足等によりトナーの帯電量が不安定になり易い。このため、トナー飛散が発生し易いといった不都合があり、そうすると、搬送系の部材(例えば搬送ガイド部材や検知部)がトナーで汚れるといった不都合を招く。
【0071】
この点、制御部110は、ユーザーによる画像形成装置100の使用状況(この例では調整閾値TH)に応じて現像バイアス調整幅を変更する。
【0072】
図8は、画像形成装置100の使用状況に応じた現像バイアス調整幅の一例の現像バイアス調整幅テーブルの一例(TB3)を示す図表である。なお、現像バイアス調整幅テーブルTB3は予め記憶部112に記憶されている。図8に示す現像バイアス調整幅テーブルTB3の値は、現像バイアスの最大の調整幅(実電圧幅)に対する実調整幅の割合を示している。例えば、現像バイアスの最大の実調整幅(制御部110から実際に出力する実電圧値の最大幅)を±100Vとすると、低印刷頻度層及び低画像比率層のユーザーに対する現像バイアス調整幅は、±100%で±100V(実電圧幅)となり、高印刷頻度層及び高画像比率層のユーザーに対する現像バイアス調整幅は、±40%で±40V(実電圧幅)となる。
【0073】
図8に示すように、制御部110は、現像バイアス調整幅の大小を使用状況の調整閾値TH(図8の二重線参照)を境に区分けして現像バイアス補正制御を実行する。
【0074】
これにより、ユーザーによる画像形成装置100の使用状況に応じた現像バイアス調整幅にすることができる。
【0075】
また、ユーザーによる画像形成装置の使用状況の調整閾値THで変更した現像バイアス調整幅内の現像バイアス補正量により画像濃度を安定化させることができる。
【0076】
従って、現像バイアス補正制御を画像形成装置の使用状況に応じて精度よく行うことができる。
【0077】
なお、画像形成装置100の設置初期では画像形成装置100の使用状況が不正確であるため、本実施の形態に係る現像バイアス補正制御は、画像形成装置100の設置開始から所定の期間(例えば1ヵ月)後に行うことができる。これにより、精度よく現像バイアス調整幅を変更することができる。
【0078】
本実施の形態において、制御部110は、画像形成装置100の使用状況に応じて現像バイアス調整幅を段階的に変更する。図8の二重線の上側は、低印刷頻度層及び低画像比率層のユーザーであり、図8の二重線の下側は、高印刷頻度層及び高画像比率層のユーザーである。
【0079】
図8に示すように、印刷頻度が大きくなるに従って現像バイアス調整幅を大きくすることができる。また、画像比率が大きくなるに従って現像バイアス調整幅を小さくすることができる。こうすることで、画像形成装置100の使用状況に応じて段階的に変更した現像バイアス調整幅内の現像バイアス補正量により画像濃度を安定化させることができる。
【0080】
本実施の形態では、トナー濃度調整幅及び現像バイアス調整幅において、一方の調整幅が使用状況に応じて大きく又は小さくなるように変化させた場合には、他方の調整幅が使用状況に応じて一方の調整幅の変化とは逆方向になるように変化させる。すなわち、トナー濃度調整幅及び現像バイアス調整幅のうち、一方の調整幅を使用状況に応じて大きくするように変化させた場合には、他方の調整幅を使用状況に応じて小さくするように変化させ、一方の調整幅を使用状況に応じて小さくするように変化させた場合には、他方の調整幅を使用状況に応じて大きくするように変化させる。
【0081】
こうすることで、トナー濃度を低く抑えることができ、これにより、トナー飛散の発生を抑制することができると共に、画像濃度を安定化させることができる。
【0082】
<第3実施形態>
本実施の形態において、制御部110は、現像バイアス補正制御優先モードと、トナー濃度補正制御優先モードとを行う。現像バイアス補正制御優先モードは、現像バイアス補正制御を行った後でトナー濃度補正制御を行う。また、トナー濃度補正制御優先モードは、トナー濃度補正制御を行った後で現像バイアス補正制御を行う。
【0083】
図9A及び図9Bは、それぞれ、図5Aに示す調整閾値THを境にした現像バイアス補正制御優先モードとトナー濃度補正制御優先モードとの区分けを示すグラフ及び図表である。
【0084】
現像バイアス補正制御優先モードでは、先ず、現像バイアス補正制御を行うが、現像バイアス補正制御で補正しきれない場合、トナー濃度補正制御を行うことになる。また、トナー濃度補正制御優先モードでは、先ず、トナー濃度補正制御を行うが、トナー濃度補正制御で補正しきれない場合、現像バイアス補正制御を行うことになる。
【0085】
こうすることで、現像バイアス補正制御とトナー濃度補正制御とで優先順位をつけることができ、これにより、現像バイアス補正制御とトナー濃度補正制御とのうち何れを優先するかを明確にすることができる。
【0086】
現像バイアス補正制御優先モードでは、現像バイアス補正制御を行った上でトナー濃度補正制御を行うことができるので、現像バイアス補正制御の優先度を高めることができる。例えば、現像バイアス調整幅を予め定めた所定の基準現像バイアス調整幅よりも大きくすることで、現像バイアス補正制御の優先度をさらに高めることができ、主として現像バイアス補正制御を行うことができる。また、トナー濃度補正制御優先モードでは、トナー濃度補正制御を行った上で現像バイアス補正制御を行うことができるので、トナー濃度補正制御の優先度を高めることができる。例えば、トナー濃度調整幅を基準トナー濃度調整幅よりも大きくすることで、トナー濃度補正制御の優先度をさらに高めることができ、主としてトナー濃度補正制御を行うことができる。
【0087】
本実施の形態の現像バイアス補正制御優先モードとトナー濃度補正制御優先モードとを行う場合において、例えば、図6図7A及び図7Bに示すトナー濃度調整幅並びに図8に示す現像バイアス調整幅を用いることができる。
【0088】
図9A及び図9Bに示すように、制御部110は、現像バイアス補正制御優先モードとトナー濃度補正制御優先モードとを使用状況の調整閾値TH(この例ではTH1)を境に区分けして実行する。
【0089】
これにより、ユーザーによる画像形成装置100の使用状況で現像バイアス補正制御を優先的に行うべきときは、現像バイアス補正制御優先モードに切り替えることができる。また、ユーザーによる画像形成装置100の使用状況でトナー濃度補正制御を優先的に行うべきときは、トナー濃度補正制御優先モードに切り替えることができる。
【0090】
従って、現像バイアス補正制御優先モードとトナー濃度補正制御優先モードとをユーザーによる画像形成装置100の使用状況の調整閾値THにより切り替えることができる。詳しくは、低印刷頻度層及び低画像比率層のユーザーが使用する場合には(図9Bの二重線の上側参照)、現像バイアス補正制御を優先させることにより、主として現像バイアス調整幅内の現像バイアス補正量により画像濃度を安定化させることができる。一方、高印刷頻度層及び高画像比率層のユーザーが使用する場合には(図9Bの二重線の下側参照)、トナー濃度補正制御を優先させることにより、主としてトナー濃度調整幅内のトナー濃度補正量により画像濃度を安定化させることができる。
【0091】
このように、本実施の形態では、ユーザーの使用状況(印刷頻度及び画像比率)に応じて現像バイアス補正制御を優先させるか或いはとナー濃度補正制御を優先させるかの選択的な制御動作を行うことができる。
【0092】
本実施の形態において、使用状況は、画像形成装置100の単位期間当たりの印刷枚数である印刷頻度、及び、画像形成装置100で画像形成されるシートの全体の面積当たりの画像の面積割合である画像比率を含んでいる。
【0093】
調整閾値は、印刷頻度のための所定の第1調整閾値と、画像比率のための所定の第2調整閾値とを含んでいる。
【0094】
制御部110は、印刷頻度が第1調整閾値以下、かつ、画像比率が第2調整閾値以下のときに、現像バイアス補正制御優先モードに切り替え、印刷頻度が第1調整閾値よりも大きい、かつ、画像比率が第2調整閾値よりも大きいときに、トナー濃度補正制御優先モードに切り替える。
【0095】
こうすることで、印刷頻度が第1調整閾値以下、かつ、画像比率が第2調整閾値以下のとき、例えば、低印刷頻度層及び低画像比率層のユーザーが使用する場合に、現像バイアス補正制御優先モードを行うことができる。また、印刷頻度が第1調整閾値よりも大きい、かつ、画像比率が第2調整閾値よりも大きいとき、例えば、高印刷頻度層及び高画像比率層のユーザーが使用する場合に、トナー濃度補正制御優先モードを行うことができる。
【0096】
詳しくは、印刷頻度が第1調整閾値以下、かつ、画像比率が第2調整閾値以下のときに、現像バイアス補正制御を優先させることにより、主として現像バイアス調整幅内の現像バイアス補正量により画像濃度を安定化させることができる。また、印刷頻度が第1調整閾値よりも大きい、かつ、画像比率が第2調整閾値よりも大きいときに、トナー濃度補正制御を優先させることにより、主としてトナー濃度調整幅内のトナー濃度補正量により画像濃度を安定化させることができる。
【0097】
本実施の形態において、画像形成装置100の印刷頻度が第1調整閾値以下、かつ、画像比率が第2調整閾値以下のときのトナー濃度調整幅は、印刷頻度が第1調整閾値よりも大きい、かつ、画像比率が第2調整閾値よりも大きいときのトナー濃度調整幅よりも小さい(現像バイアス補正制御優先モードとトナー濃度補正制御優先モードとを行う場合での図6図7A及び図7B参照)。
【0098】
こうすることで、画像形成装置100の使用状況に応じたトナー濃度補正量にすることができる。
【0099】
本実施の形態において、画像形成装置100の印刷頻度が第1調整閾値以下、かつ、画像形成装置100の画像比率が第2調整閾値以下のときの現像バイアス調整幅は、印刷頻度が第1調整閾値よりも大きい、かつ、画像比率が第2調整閾値よりも大きいときの現像バイアス調整幅よりも大きい(現像バイアス補正制御優先モードとトナー濃度補正制御優先モードとを行う場合での図8参照)。
【0100】
こうすることで、画像形成装置100の使用状況に応じた現像バイアス補正量にすることができる。
【0101】
<第4実施形態>
ところで、画像形成装置100の周囲環境の変化によってもトナー帯電量等の現像特性の変化が発生し、画像濃度が不安定になる。具体的には、低温かつ低湿の周囲環境では、トナー帯電量が大きくなり易く、画像濃度が低下し易い。一方、高温かつ高湿の周囲環境では、トナー帯電量が小さくなり易く、画像濃度が向上し易い。
【0102】
ここで、低温の温度範囲としては、それには限定されないが、5℃以上15℃未満、常温の温度範囲としては、15℃以上25℃未満、高温の温度範囲としては、25℃以上35℃未満を例示できる。低湿の湿度範囲としては、それには限定されないが、10%以上35%未満、常湿の湿度範囲としては、35%以上60%未満、高湿の湿度範囲としては、60°以上85未満を例示できる。
【0103】
この点、本実施の形態において、調整閾値THは、画像形成装置100の周囲温度及び周囲湿度が高くなるに従って大きくなっている。
【0104】
図10Aは、画像形成装置100の周囲温度及び周囲湿度毎の調整閾値の一例〔TH(TH1,TH2,TH3)〕の調整閾値テーブルTB1(TB12)を示す図表である。図10Bは、図10Aに示す調整閾値TH(TH1,TH2,TH3)を示すグラフである。
【0105】
温度検知部280及び湿度検知部290は、それぞれ、画像形成装置100の周囲の温度及び湿度を検知する。温度検知部280及び湿度検知部290は、制御部110の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部110は、画像形成装置100の周囲の温度及び湿度を検出することができる。
【0106】
画像形成装置100の使用状況は、図10A及び図10Bに示すように、画像形成装置100の周囲温度及び周囲湿度毎の調整閾値TH(TH1)によって、低印刷頻度層及び低画像比率層のユーザーと、高印刷頻度層及び高画像比率層のユーザーとに区分けすることができる。
【0107】
図11Aから図11Cは、それぞれ、常温常湿、高温高湿及び低温低湿の周囲環境でのトナー濃度調整幅テーブルTB2(TB24,TB25,TB26)を示す図表である。
【0108】
図11Aから図11Cに示すように、制御部110は、トナー濃度調整幅を使用状況の調整閾値TH(TH1,TH2,TH3)(図11Aから図11Cの二重線参照)を境に区分けしてトナー濃度補正制御を実行する。
【0109】
こうすることで、たとえ画像形成装置100の周囲環境の変化によってトナー帯電量等の現像特性が変化しても、画像形成装置100の周囲環境に応じて調整閾値THを変更することができ、これにより、画像濃度を安定化させることができる。詳しくは、画像形成装置100の周囲温度及び周囲湿度に応じて調整閾値TH(TH1,TH2,TH3)を変更することができる。例えば、高温かつ高湿の周囲環境では(図11B参照)、調整閾値TH2を常温かつ常湿の周囲環境の調整閾値TH1よりも大きい側にシフトさせて(図10B参照)、現像バイアス補正制御優先モードの領域を大きくする。一方、低温かつ低湿の周囲環境では(図11C参照)、調整閾値TH3を常温かつ常湿の周囲環境の調整閾値TH1よりも小さい側にシフトさせて(図10B参照)、トナー濃度補正制御優先モードの領域を大きくする。これにより、現像バイアス補正制御優先モード及びトナー濃度補正制御優先モードにおいて画像形成装置100の周囲環境に応じた優先モードにすることができる。
【0110】
<第5実施形態>
本実施の形態において、制御部110は、画像形成装置100の周囲環境に応じた第1補正係数K1を用いてトナー濃度補正制御で補正するトナー濃度補正量を可変させる。
【0111】
図12は、第1補正係数の一例(K1)の第1補正係数テーブルTB4を示す図表である。なお、第1補正係数テーブルTB4は予め記憶部112に記憶されている。
【0112】
図12に示すように、トナー濃度調整幅を温度及び湿度に応じて決められた第1補正係数K1(この例では「0.9」、「1」、「1.1」)と掛け合わせることができる。
【0113】
こうすることで、画像形成装置100の周囲温度及び周囲湿度に応じた第1補正係数K1によりトナー濃度調整幅を変更することができる。この例では、高温かつ高湿の周囲環境になるに従ってトナー濃度調整幅を低減させている。換言すれば、低温かつ低湿の周囲環境になるに従ってトナー濃度調整幅を増加させている。これにより、第1補正係数K1で可変させたトナー濃度調整幅内のトナー濃度補正量により画像濃度を安定化させることができる。
【0114】
<第6実施形態>
本実施の形態において、制御部110は、使用状況(印刷頻度及び/又は画像比率この例では印刷頻度)に応じた第2補正係数K2を用いてトナー濃度補正制御で補正するトナー濃度補正量を可変させる。
【0115】
図13は、第2補正係数の一例(K2)の第2補正係数テーブルTB5を示す図表である。なお、第2補正係数テーブルTB5は予め記憶部112に記憶されている。
【0116】
図12に示すように、トナー濃度調整幅を印刷頻度に応じて決められた第2補正係数K2(この例では「0.9」、「0.95」、「1」、「1.05」、「1.1」)と掛け合わせることができる。
【0117】
こうすることで、画像形成装置100の使用状況(この例では印刷頻度)に応じた第2補正係数K2によりトナー濃度調整幅を変更することができる。この例では、印刷頻度が小さくなるに従ってトナー濃度調整幅を低減させている。換言すれば、印刷頻度が大きくになるに従ってトナー濃度調整幅を増加させている。これにより、第2補正係数K2で可変させたトナー濃度調整幅内のトナー濃度補正量により画像濃度を安定化させることができる。
【0118】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0119】
100 画像形成装置
102 画像読取装置
110 制御部
111 処理部
112 記憶部
2 現像装置
21 現像槽
22 現像ローラ
210 トナー濃度検知部
220 トナー濃度調整部
230 画像濃度検知部
240 現像バイアス調整部
250 カウント計測部
260 カレンダー計測部
270 ピクセル計測部
280 温度検知部
290 湿度検知部
50 画像形成部
8 トナー収容装置
C キャリア
D 現像剤
K1 第1補正係数
K2 第2補正係数
P シート
PT トナーパターン
Q1 トナー濃度補正制御手段
Q2 現像バイアス補正制御手段
T トナー
TB1 調整閾値テーブル
TB2 トナー濃度調整幅テーブル
TB21 トナー濃度調整幅テーブル
TB22 トナー濃度調整幅テーブル
TB3 現像バイアス調整幅テーブル
TB4 第1補正係数テーブル
TB5 第2補正係数テーブル
TH 調整閾値
TH1 周囲環境
TH2 調整閾値
TH3 調整閾値
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13