(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】センシングシステム、および、測距システム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/4914 20200101AFI20250306BHJP
G01S 7/4915 20200101ALI20250306BHJP
G01S 17/894 20200101ALI20250306BHJP
H04N 25/773 20230101ALI20250306BHJP
H04N 25/705 20230101ALI20250306BHJP
H10F 39/18 20250101ALI20250306BHJP
【FI】
G01S7/4914
G01S7/4915
G01S17/894
H04N25/773
H04N25/705
H10F39/18 A
(21)【出願番号】P 2022501630
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(86)【国際出願番号】 JP2020042717
(87)【国際公開番号】W WO2021166344
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2020024820
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】中川 慶
(72)【発明者】
【氏名】半澤 克彦
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/221048(WO,A1)
【文献】特開2010-267720(JP,A)
【文献】特開2018-124271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S17/00 -17/95
H04N 5/30 -25/79
G01C 3/06 - 3/08
H10F39/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の垂直同期信号より周波数の高い発光制御信号に同期して照射光を照射する発光部と、
それぞれが光電変換によりパルス信号を生成する所定数の画素と、
前記発光制御信号および前記垂直同期信号のそれぞれに同期して前記パルス信号の個数を計数する計数部と、
前記計数部の計数値に基づいて物体までの距離を測定する信号処理回路と、
前記発光制御信号を生成して前記発光部に供給するドライバと、
撮像モードが設定された場合には前記ドライバを停止させ、測距モードが設定された場合には前記ドライバに前記発光制御信号を生成させるコントローラと
を具備
し、
前記計数部は、
前記発光制御信号に同期して前記パルス信号を計数する処理と前記垂直同期信号に同期して前記パルス信号を計数する処理とを順に行う第1カウンタと、
前記垂直同期信号に同期して前記パルス信号を計数する第2カウンタと
を備え、
前記所定数の画素を配列した画素アレイ部は、複数の画素ブロックに分割され、
前記複数の画素ブロックのそれぞれは、複数のエリアに分割され、
前記計数部は、前記複数のエリアのそれぞれに対応付けて設けられ、
前記第1カウンタは、対応するエリア内の前記画素のそれぞれからの前記パルス信号の論理和を計数し、
前記複数のエリアは、第1および第2のエリアを含み、
前記第1のエリアには、前記発光制御信号との位相差が所定値に設定された第1のイネーブル信号に同期して前記論理和を計数する2個以上の前記第1カウンタが配置され、
前記第2のエリアには、前記位相差が前記所定値と異なる第2のイネーブル信号に同期して前記論理和を計数する2個以上の前記第1カウンタが配置され、
前記信号処理回路は、前記位相差ごとに前記第1カウンタのそれぞれの計数値の統計量を演算して前記統計量に基づいて前記距離を測定する
測距システム。
【請求項2】
前記複数のエリアのそれぞれには、9個の前記画素が配置される
請求項
1記載の測距システム。
【請求項3】
前記複数のエリアのそれぞれには、4個の前記画素が配置される
請求項
1記載の測距システム。
【請求項4】
前記画素ブロック内には、4つのエリアが配置される
請求項
1記載の測距システム。
【請求項5】
所定の垂直同期信号より周波数の高い発光制御信号に基づいて照射光を照射する発光部と、
それぞれが光電変換によりパルス信号を生成する複数の画素と、
前記複数の画素のパルス信号の個数を計数する計数部と、
前記計数部の計数値に基づいて物体までの距離を測定する信号処理回路と、
前記発光制御信号を生成して前記発光部に供給するドライバと、
撮像モードが設定された場合には前記ドライバを停止させ、測距モードが設定された場合には前記ドライバに前記発光制御信号を生成させるコントローラと
を具備し、
前記計数部は複数のカウンタと、前記複数の画素と複数のカウンタの間に接続され、前記複数の画素から出力された複数のパルス信号を受け、任意の複数のカウンタに前記複数のパルス信号を振り分ける出力先制御回路とを備え、
前記複数の画素は、第一のチップに設けられ、
前記出力先制御回路、前記信号処理回路および前記計数部は、第ニのチップに設けられ
、
前記計数部は、
前記発光制御信号に同期して前記パルス信号を計数する処理と前記垂直同期信号に同期して前記パルス信号を計数する処理とを順に行う第1カウンタと、
前記垂直同期信号に同期して前記パルス信号を計数する第2カウンタと
を備え、
前記所定数の画素を配列した画素アレイ部は、複数の画素ブロックに分割され、
前記複数の画素ブロックのそれぞれは、複数のエリアに分割され、
前記計数部は、前記複数のエリアのそれぞれに対応付けて設けられ、
前記第1カウンタは、対応するエリア内の前記画素のそれぞれからの前記パルス信号の論理和を計数し、
前記複数のエリアは、第1および第2のエリアを含み、
前記第1のエリアには、前記発光制御信号との位相差が所定値に設定された第1のイネーブル信号に同期して前記論理和を計数する2個以上の前記第1カウンタが配置され、
前記第2のエリアには、前記位相差が前記所定値と異なる第2のイネーブル信号に同期して前記論理和を計数する2個以上の前記第1カウンタが配置され、
前記信号処理回路は、前記位相差ごとに前記第1カウンタのそれぞれの計数値の統計量を演算して前記統計量に基づいて前記距離を測定する
測距システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、センシングシステムに関する。詳しくは、パルス数を計数するセンシングシステムおよび測距システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非常に微弱な光信号を捉えて光通信、距離計測やフォトンカウントなどを実現するSPAD(Single Photon Avalanche Diode)と呼ばれるデバイスが開発および研究されている。このSPADは、1光子を検出することができるほど感度の高いアバランシェフォトダイオードである。例えば、SPADを用いてパルス信号を生成する画素と、そのパルス信号の個数を露光期間内に計数するカウンタとを配列した固体撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、高感度のSPADを用いて微弱な光を検出することにより、暗い環境下で撮像した際の画質向上を図っている。しかしながら、上述の固体撮像素子では、撮像した画像内の物体までの距離の測定を行うことができない。測距を行うために、赤外線やレーザを用いる測距センサを追加した場合には、システムの消費電力やコストが増大してしまうため、好ましくない。
【0005】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、画像データを撮像するシステムにおいて、測距センサを追加することなく、物体までの距離を測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、所定の垂直同期信号より周波数の高い発光制御信号に同期して照射光を照射する発光部と、それぞれが光電変換によりパルス信号を生成する所定数の画素と、上記発光制御信号および上記垂直同期信号のそれぞれに同期して上記パルス信号の個数を計数する計数部とを具備するセンシングシステムである。これにより、画像データの撮像と測距とが実行されるという作用をもたらす。
【0007】
また、この第1の側面において、上記計数部は、上記発光制御信号に同期して上記パルス信号を計数する第1カウンタと、上記垂直同期信号に同期して上記パルス信号を計数する第2カウンタとを備えてもよい。これにより、カウンタの計数値に基づいて測距が実行されるという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、上記計数部は、上記発光制御信号に同期して上記パルス信号を計数する処理と上記垂直同期信号に同期して上記パルス信号を計数する処理とを順に行う第1カウンタと、上記垂直同期信号に同期して上記パルス信号を計数する第2カウンタとを備えてもよい。これにより、カウンタ数が削減されるという作用をもたらす。
【0009】
また、この第1の側面において、上記所定数の画素を配列した画素アレイ部は、複数の画素ブロックに分割され、上記計数部は、上記画素ブロックごとに設けられ、上記第1カウンタは、上記画素ブロック内の上記画素のそれぞれからの上記パルス信号の論理和を計数してもよい。これにより、画素ブロックごとに距離が測定されるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記画素ブロックごとに4個の上記第1カウンタと5個の上記第2カウンタとが配置されてもよい。これにより、4個の計数値に基づいて距離が測定されるという作用をもたらす。
【0011】
また、この第1の側面において、上記画素ブロックごとに8個の上記第1カウンタと1個の上記第2カウンタとが配置されてもよい。これにより、測距可能な距離範囲が広くなるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記所定数の画素を配列した画素アレイ部は、複数の画素ブロックに分割され、上記複数の画素ブロックのそれぞれは、複数のエリアに分割され、上記計数部は、上記複数のエリアのそれぞれに対応付けて設けられ、上記第1カウンタは、対応するエリア内の上記画素のそれぞれからの上記パルス信号の論理和を計数してもよい。これにより、エリアごとの計数値から距離が測定されるという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記複数のエリアのそれぞれには、9個の上記画素が配置されてもよい。これにより、9画素分のパルス信号の論理和が計数されるという作用をもたらす。
【0014】
また、この第1の側面において、上記複数のエリアのそれぞれには、4個の上記画素が配置されてもよい。これにより、4画素分のパルス信号の論理和が計数されるという作用をもたらす。
【0015】
また、この第1の側面において、上記画素ブロック内には、4つのエリアが配置されてもよい。これにより、2つのエリアのそれぞれの計数値から距離が測定されるという作用をもたらす。
【0016】
また、この第1の側面において、上記画素ブロック内には、2つのエリアが配置されてもよい。これにより、4つのエリアのそれぞれの計数値から距離が測定されるという作用をもたらす。
【0017】
また、この第1の側面において、上記第1カウンタは、上記画素ブロック内の上記画素のうち設定された個数の画素のそれぞれの上記パルス信号の論理和を計数してもよい。これにより、計数値のデータサイズが変更されるという作用をもたらす。
【0018】
また、この第1の側面において、上記計数部は、上記発光制御信号に同期して上記パルス信号を計数する処理と上記垂直同期信号に同期して上記パルス信号を計数する処理とを順に行う所定数のカウンタを備えてもよい。これにより、カウンタ数が削減されるという作用をもたらす。
【0019】
また、この第1の側面において、上記計数部は、9個の上記カウンタを備えてもよい。これにより、9個の計数値から距離が測定されるという作用をもたらす。
【0020】
また、この第1の側面において、上記計数部は、4個の上記カウンタを備えてもよい。これにより、4個の計数値から距離が測定されるという作用をもたらす。
【0021】
また、この第1の側面において、上記発光制御信号との位相差として複数の設定値のそれぞれが順に設定されるイネーブル信号を供給する画素駆動部をさらに具備し、上記カウンタは、上記イネーブル信号に同期して上記パルス信号を供給してもよい。これにより、測距精度が向上するという作用をもたらす。
【0022】
また、本技術の第2の側面は、所定の垂直同期信号より周波数の高い発光制御信号に同期して照射光を照射する発光部と、それぞれが光電変換によりパルス信号を生成する所定数の画素と、上記発光制御信号および上記垂直同期信号のそれぞれに同期して上記パルス信号の個数を計数する計数部と、上記計数部の計数値に基づいて物体までの距離を測定する測距部とを具備する測距システムである。これにより、画像データが撮像され、計数値に基づいて測距が実行されるという作用をもたらす。
【0023】
また、本技術の第3の側面は、発光制御信号に基づいて照射光を照射する発光部と、それぞれが光電変換によりパルス信号を生成する複数の画素と、前記複数の画素のパルス信号の個数を計数する計数部と、を具備し、前記計数部は複数のカウンタと、前記複数の画素と複数のカウンタの間に接続され、前記複数の画素から出力された複数のパルス信号を受け、任意の複数のカウンタに前記複数のパルス信号を振り分ける出力先制御回路とを備え、前記複数の画素は、第一のチップに設けられ、前記出力制御回路および前記計数部は、第二のチップに設けられるセンシングシステムである。これにより、積層構造のセンシングシステムにおいて、画像データの撮像と測距とが実行されるという作用をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本技術の第1の実施の形態における測距システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】本技術の第1の実施の形態における固体撮像素子の積層構造の一例を示す図である。
【
図3】本技術の第1の実施の形態における固体撮像素子の一構成例を示すブロック図である。
【
図4】本技術の第1の実施の形態における画素ブロックの一構成例を示すブロック図である。
【
図5】本技術の第1の実施の形態における画素の一構成例を示す回路図である。
【
図6】本技術の第1の実施の形態における画素の一構成例を示す断面図である。
【
図7】本技術の第1の実施の形態における出力先制御回路の一構成例を示す回路図である。
【
図8】本技術の第1の実施の形態における画素チップおよび回路チップのそれぞれに設けられる回路の対応関係の一例を示す図である。
【
図9】本技術の第1の実施の形態におけるカウンタの動作を説明するための図である。
【
図10】本技術の第1の実施の形態における固体撮像素子の測距モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】本技術の第1の実施の形態における固体撮像素子の撮像モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図12】本技術の第1の実施の形態における測距システムの全体図の一例である。
【
図13】本技術の第1の実施の形態における測距システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】本技術の第2の実施の形態における画素ブロックの一構成例を示すブロック図である。
【
図15】本技術の第2の実施の形態における出力先制御回路の一構成例を示す回路図である。
【
図16】本技術の第2の実施の形態における画素チップおよび回路チップのそれぞれに設けられる回路の対応関係の一例を示す図である。
【
図17】本技術の第2の実施の形態におけるカウンタの動作を説明するための図である。
【
図18】本技術の第3の実施の形態における出力先制御回路の一構成例を示す回路図である。
【
図19】本技術の第3の実施の形態における画素チップおよび回路チップのそれぞれに設けられる回路の対応関係の一例を示す図である。
【
図20】本技術の第3の実施の形態におけるカウンタの動作を説明するための図である。
【
図21】本技術の第4の実施の形態における出力先制御回路の一構成例を示す回路図である。
【
図22】本技術の第4の実施の形態における画素チップおよび回路チップのそれぞれに設けられる回路の対応関係の一例を示す図である。
【
図23】本技術の第4の実施の形態におけるカウンタの動作を説明するための図である。
【
図24】本技術の第5の実施の形態における画素ブロックに設けられる回路の一例を示す図である。
【
図25】本技術の第6の実施の形態における画素ブロックに設けられる回路の一例を示す図である。
【
図26】本技術の第6の実施の形態における0度エリアの一構成例を示すブロック図である。
【
図27】本技術の第6の実施の形態における出力先制御回路の一構成例を示す回路図である。
【
図28】本技術の第7の実施の形態における画素ブロックに設けられる回路の一例を示す図である。
【
図29】本技術の第7の実施の形態における固体撮像素子の測距モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図30】本技術の第8の実施の形態における画素ブロックに設けられる回路の一例を示す図である。
【
図31】本技術の第8の実施の形態における出力先制御回路の一構成例を示す回路図である。
【
図32】本技術の第8の実施の形態における固体撮像素子の測距モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図33】本技術の第9の実施の形態における画素ブロックに設けられる回路の一例を示す図である。
【
図34】本技術の第10の実施の形態における画素ブロックに設けられる回路の一例を示す図である。
【
図35】本技術の第10の実施の形態における出力先制御回路の一構成例を示す回路図である。
【
図36】本技術の第10の実施の形態における画素駆動部の動作を説明するための図である。
【
図37】車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【
図38】撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
2.第2の実施の形態(1つのカウンタが発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
3.第3の実施の形態(全カウンタが発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
4.第4の実施の形態(8個のカウンタが発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
5.第5の実施の形態(複数のエリアに分割し、発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
6.第6の実施の形態(エリア内の画素数を削減し、発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
7.第7の実施の形態(エリア数を削減し、発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
8.第8の実施の形態(位相差を切り替え、発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
9.第9の実施の形態(位相差を固定し、発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
10.第10の実施の形態(計数対象の画素数を切り替え、発光制御信号および垂直同期信号に同期して計数する例)
11.移動体への応用例
【0026】
<1.第1の実施の形態>
[測距システムの構成例]
図1は、本技術の第1の実施の形態における測距システム100の一構成例を示すブロック図である。この測距システム100は、画像データの撮像と測距とを行うためのものである。測距システム100は、発光部110、ドライバ120、コントローラ130、固体撮像素子200、プロセッサ140およびアプリケーションプロセッサ150を備える。
【0027】
測距システム100内の素子のそれぞれは、1つの電子装置内に配置してもよいし、複数の装置に分散して配置してもよい。複数の装置に分散して配置する場合、例えば、発光部110、ドライバ120、コントローラ130、固体撮像素子200、プロセッサ140が撮像装置内に配置され、アプリケーションプロセッサ150は画像処理装置内に配置される。
【0028】
発光部110は、ドライバ120からの発光制御信号LCLKに従って発光し、照射光を照射するものである。例えば、照射光として近赤外光などが用いられる。
【0029】
ドライバ120は、コントローラ130の制御に従って、所定の周期信号を発光制御信号LCLKとして生成し、発光部110に供給するものである。
【0030】
コントローラ130は、ドライバ120およびプロセッサ140を同期して動作させるものである。ここで、測距システムには、物体までの距離を測定する測距モードと、画像データの撮像を行う撮像モードとを含む複数のモードが設定される。測距モードにおいてコントローラ130は、ドライバ120に発光制御信号LCLKを生成させるとともに、発光制御信号LCLKと同一の信号を発光制御信号LCLK'としてプロセッサ140に生成させる。一方、撮像モードにおいてコントローラ130は、ドライバ120を停止させ、プロセッサ140に垂直同期信号VSYNCを生成させる。
【0031】
ここで、垂直同期信号VSYNCの周波数は、例えば、30ヘルツ(Hz)や60ヘルツ(Hz)である。一方、発光制御信号LCLKの周波数は、垂直同期信号VSYNCよりも高く、例えば、10乃至20メガヘルツ(MHz)である。
【0032】
プロセッサ140は、固体撮像素子200およびアプリケーションプロセッサ150を制御するものである。このプロセッサ140は、測距モードにおいて発光制御信号LCLK'を生成して固体撮像素子200に供給し、固体撮像素子200からデプスマップを受け取る。一方、撮像モードにおいてプロセッサ140は、垂直同期信号VSYNCを生成して固体撮像素子200に供給し、固体撮像素子200から画像データを受け取る。そして、プロセッサ140は、デプスマップや画像データをアプリケーションプロセッサ150に供給する。
【0033】
アプリケーションプロセッサ150は、画像データやデプスマップに基づいて、画像認識処理などの所定の処理を行うものである。
【0034】
固体撮像素子200は、光電変換により画像データまたはデプスマップを生成するものである。この固体撮像素子200は、測距モードにおいて、発光制御信号LCLK'に同期して、照射光に対する反射光を光電変換し、デプスマップを生成する。一方、撮像モードにおいて固体撮像素子200は、垂直同期信号VSYNCに同期して、入射光を光電変換し、画像データを生成する。固体撮像素子200は、画像データやデプスマップをプロセッサ140に供給する。なお、固体撮像素子200を備えるシステムは、特許請求の範囲に記載のセンシングシステムの一例である。
【0035】
なお、プロセッサ140、アプリケーションプロセッサ150の機能の一部または全てを固体撮像素子200が有する構成であってもよい。
【0036】
[固体撮像素子の構成例]
図2は、本技術の第1の実施の形態における固体撮像素子200の積層構造の一例を示す図である。この固体撮像素子200は、回路チップ202と、その回路チップ202に積層された画素チップ201とを備える。これらのチップは、ビアなどの接続部を介して電気的に接続される。なお、ビアの他、Cu-Cu接合やバンプにより接続することもできる。これらの他の方式(磁気結合など)により接続することもできる。また、2つのチップを積層しているが、3層以上を積層することもできる。
【0037】
図3は、本技術の第1の実施の形態における固体撮像素子200の一構成例を示すブロック図である。この固体撮像素子200は、画素駆動部210、垂直走査回路220、画素アレイ部230、カラムバッファ240、信号処理回路250および出力部260を備える。画素アレイ部230内には、複数の画素が二次元格子状に配列される。また、画素アレイ部230は、複数の画素ブロック300に分割される。
【0038】
画素駆動部210は、発光制御信号LCLK'に同期して画素アレイ部230内の画素ブロックを駆動し、パルス数の計数を行わせるものである。
【0039】
垂直走査回路220は、垂直同期信号VSYNCに同期して画素の行を順に選択し、計数値をカラムバッファ240へ出力させるものである。
【0040】
カラムバッファ240は、画素ごとの計数値を保持するものである。
【0041】
信号処理回路250は、計数値を配列したデータに対して所定の信号処理を行うものである。例えば、測距モードにおいて、信号処理回路250は、画素ブロック300ごとに計数値に基づいて距離を求め、それらの距離のデータを配列したデプスマップを生成する。また、撮像モードにおいて、信号処理回路250は、画素ごとの計数値を画素データとして、それらを配列した画像データを生成し、画像データに対して各種の画像処理を行う。そして、信号処理回路250は、デプスマップや画像データをプロセッサ140に供給する。
【0042】
[画素ブロックの構成例]
図4は、本技術の第1の実施の形態における画素ブロック300の一構成例を示すブロック図である。画素ブロック300は、画素310と、画素321乃至328と、出力先制御回路370と、カウンタ331乃至343と、スイッチ351乃至363とを備える。
【0043】
画素310は、SPADを用いてパルス信号を生成するものである。画素310は、パルス信号P1を出力先制御回路370およびカウンタ335に供給する。画素321乃至328の構成は、画素310と同様である。これらの9画素は、例えば、3行×3列に配列される。また、画素アレイ部230内において、列ごとに垂直信号線309が配線される。n(nは整数)列目の垂直信号線を309-nとする。
【0044】
画素321は、パルス信号P2を生成し、出力先制御回路370およびカウンタ336に供給する。画素322は、パルス信号P3を生成し、出力先制御回路370およびカウンタ337に供給する。画素323は、パルス信号P4を生成し、出力先制御回路370およびカウンタ338に供給する。画素324は、パルス信号P5を生成し、出力先制御回路370およびカウンタ339に供給する。
【0045】
また、画素325は、パルス信号P6を生成し、出力先制御回路370およびカウンタ340に供給する。画素326は、パルス信号P7を生成し、出力先制御回路370およびカウンタ341に供給する。画素327は、パルス信号P8を生成し、出力先制御回路370およびカウンタ342に供給する。画素328は、パルス信号P9を生成し、出力先制御回路370およびカウンタ343に供給する。
【0046】
出力先制御回路370は、パルス信号P1乃至P9の出力先を制御するものである。測距モードにおいて、出力先制御回路370は、画素駆動部210からのイネーブル信号EN1乃至EN4に同期して、パルス信号P1乃至P9の論理和の信号を生成し、カウンタ331乃至334に入力する。カウンタ331への信号を入力信号CIN1とし、カウンタ332への信号を入力信号CIN2とする。また、カウンタ333への信号を入力信号CIN3とし、カウンタ334への信号を入力信号CIN4とする。一方、撮像モードにおいては、出力先制御回路370からカウンタへ信号が出力されない。
【0047】
カウンタ331は、入力信号CIN1の個数を計数するものである。この入力信号CIN1は、画素ブロック300内の各画素のパルス信号の論理和であるため、その計数値は、画素ブロック300内に入射された光子数を示す。カウンタ331は、計数値をCNT1としてスイッチ351に出力する。
【0048】
カウンタ332乃至334の構成は、カウンタ331と同様である。カウンタ332乃至334は、入力信号CIN2乃至CIN4の計数値をCNT2乃至CNT4としてスイッチ352乃至354に出力する。
【0049】
カウンタ335は、パルス信号P1の個数を計数するものである。このカウンタ335は、計数値をCNT5としてスイッチ355に出力する。カウンタ336乃至343の構成は、カウンタ335と同様である。カウンタ336乃至343は、パルス信号P2乃至P9の計数値をCNT6乃至13としてスイッチ356乃至363に出力する。
【0050】
また、カウンタ331乃至343には、垂直走査回路220からのリセット信号RST1乃至RST13が入力される。カウンタの計数値は、このリセット信号により初期化される。なお、垂直走査回路220の代わりに画素駆動部210がリセット信号を供給することもできる。
【0051】
スイッチ351は、垂直走査回路220からの選択信号SELnに従って垂直信号線309-nを介してカラムバッファ240へ計数値CNT1を出力するものである。スイッチ352乃至363の構成は、スイッチ351と同様である。スイッチ353、355、358および361は、例えば、選択信号SELnに従って垂直信号線309-nを介してカラムバッファ240へ計数値を出力する。スイッチ352、356、359および362は、例えば、選択信号SEL(n+1)に従って垂直信号線309-(n+1)を介してカラムバッファ240へ計数値を出力する。スイッチ354、357、360および363は、例えば、選択信号SEL(n+2)に従って垂直信号線309-(n+2)を介してカラムバッファ240へ計数値を出力する。
【0052】
なお、画素ブロック300内に9画素を配置しているが、画素ブロック300内の画素数は9画素に限定されず、後述するように4画素などであってもよい。また、画素ごとにカウンタを設けているが、カラムごとにカウンタを配置することもできる。この場合には、垂直走査回路220が行を順に選択し、カウンタ群は、選択された行からのパルス信号を計数する。
【0053】
[画素の構成例]
図5は、本技術の第1の実施の形態における画素310の一構成例を示す回路図である。この画素310は、SPAD311、抵抗312およびインバータ313を備える。
【0054】
SPAD311は、光電変換により光電流を生成し、アバランシェ増幅するものである。抵抗312およびSPAD311は、電源端子と接地端子との間において直列に接続される。
【0055】
インバータ313は、抵抗312およびSPAD311の接続点の電位を反転し、パルス信号P1として出力先制御回路370へ出力するものである。
【0056】
また、例えば、SPAD311は、画素チップ201に設けられ、抵抗312およびインバータ313と、その後段の回路(出力先制御回路370など)とは、回路チップ202に設けられる。なお、画素310全体を画素チップ201に設けることもできる。
【0057】
図6は、本技術の第1の実施の形態における画素310の一構成例を示す断面図である。同図に例示するように、マイクロレンズ105により集光された光は、画素310内の各層に入力される。マイクロレンズ105以外の領域の構成は、例えば、特開2018-88488号公報の第0024乃至0053段落に記載のものと同様である。
【0058】
[出力先制御回路の構成例]
図7は、本技術の第1の実施の形態における出力先制御回路370の一構成例を示す回路図である。この出力先制御回路370は、OR(論理和)ゲート371乃至374と、AND(論理積)ゲート381乃至384とを備える。
【0059】
ORゲート371は、パルス信号P1乃至P9の論理和をANDゲート381に出力するものである。ORゲート372は、パルス信号P1乃至P9の論理和をANDゲート382に出力するものである。ORゲート373は、パルス信号P1乃至P9の論理和をANDゲート383に出力するものである。ORゲート374は、パルス信号P1乃至P9の論理和をANDゲート384に出力するものである。なお、パルス信号P1乃至P9のそれぞれが、ほぼ同時に出力されると、ORゲート371の論理和後の信号は1つになり、ミスカウントが生じてしまう。そのため、ORゲート371の入力数を偶数(P2やP4など)のみ、奇数(P1やP3など)のみ、あるいは、1/3画素分など、配線で減らしてもよい。ORゲート372などのORゲートについても同様である。
【0060】
ANDゲート381は、ORゲート371からの信号と、画素駆動部210からのイネーブル信号EN1との論理積を入力信号CIN1としてカウンタ331に出力するものである。ANDゲート382は、ORゲート372からの信号と、画素駆動部210からのイネーブル信号EN2との論理積を入力信号CIN2としてカウンタ332に出力するものである。ANDゲート383は、ORゲート373からの信号と、画素駆動部210からのイネーブル信号EN3との論理積を入力信号CIN3としてカウンタ333に出力するものである。ANDゲート384は、ORゲート374からの信号と、画素駆動部210からのイネーブル信号EN4との論理積を入力信号CIN4としてカウンタ334に出力するものである。
【0061】
ここで、イネーブル信号EN1は、発光制御信号LCLKと同一の信号である。イネーブル信号EN2は、発光制御信号LCLKの位相を90度ずらした信号である。イネーブル信号EN3は、発光制御信号LCLKの位相を180度ずらした信号である。イネーブル信号EN4は、発光制御信号LCLKの位相を270度ずらした信号である。言い換えれば、イネーブル信号EN1乃至EN4は、発光制御信号LCLKとの位相差が0度、90度、180度、270度の信号である。
【0062】
同図に例示した構成により、カウンタ331は、位相差が0度のイネーブル信号EN1に同期して、画素ブロック300内のパルス数(言い換えれば、光子数)を計数することができる。また、カウンタ332は、位相差が90度のイネーブル信号EN2に同期して、画素ブロック300内のパルス数を計数することができる。カウンタ333は、位相差が180度のイネーブル信号EN3に同期して、画素ブロック300内のパルス数を計数することができる。カウンタ334は、位相差が270度のイネーブル信号EN3に同期して、画素ブロック300内のパルス数を計数することができる。
【0063】
信号処理回路250は、例えば、カウンタ331乃至334の計数値CNT1乃至CNT4に基づいて、次の式により、距離を求める。
d=(c/4πf)×tan-1
×{(CNT2-CNT4)/(CNT1-CNT3)}…式1
上式において、dは距離であり、単位は、例えば、メートル(m)である。cは光速であり、単位は、例えば、メートル毎秒(m/s)である。tan-1は、正接関数の逆関数である。(CNT2-CNT4)/(CNT1-CNT3)の値は、照射光と反射光との位相差を示す。πは、円周率を示す。また、fは照射光の周波数であり、単位は、例えば、メガヘルツ(MHz)である。
【0064】
このように、光の飛行時間に基づいて距離を算出する測距方法は、ToF(Time of Flight)方式と呼ばれる。
【0065】
図8は、本技術の第1の実施の形態における画素チップ201および回路チップ202のそれぞれに設けられる回路の対応関係の一例を示す図である。同図に例示するように、画素ブロック300ごとに、9画素分のSPADが画素チップ201に配列される。また、画素ブロック300ごとに、13個のカウンタが回路チップ202に配列される。なお、同図において回路チップ202内のカウンタ以外の回路(出力先制御回路370など)は、省略されている。
【0066】
13個のカウンタのうち4個は、位相差が0度、90度、180度および270度のイネーブル信号に同期して画素ブロック300内のパルス数を計数する。同図において、カウンタの下部のカッコ内の値は、対応するイネーブル信号の位相差を示す。残りの9個のカウンタは、対応する1つの画素のパルス数を垂直同期信号VSYNCに同期して計数する。
【0067】
図9は、本技術の第1の実施の形態におけるカウンタの動作を説明するための図である。同図におけるカウンタ#1乃至4は、カウンタ331乃至334を示す。カウンタ#5乃至13は、カウンタ335乃至343を示す。
【0068】
測距モードにおいて、カウンタ#1乃至4は、位相差が0度、90度、180度および270度のイネーブル信号EN1乃至EN4に同期して画素ブロック300内のパルス数を計数する。一方、カウンタ#5乃至13は、計数を停止する。
【0069】
撮像モードにおいて、カウンタ#5乃至13は、垂直同期信号VSYNCに同期して対応する画素のパルス数を計数する。一方、カウンタ#1乃至4は、計数を停止する。
【0070】
[固体撮像素子の動作例]
図10は、本技術の第1の実施の形態における固体撮像素子200の測距モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。タイミングT0において、測距モードが設定されたものとする。プロセッサ140は、垂直同期信号VSYNCの供給を停止する。垂直走査回路220は、リセット信号RSTをカウンタ331乃至334に供給し、計数値を初期化する。
【0071】
また、タイミングT1において、ドライバ120は、発光制御信号LCLKの供給を開始し、その信号に同期して発光部110が発光する。また、タイミングT1において、画素駆動部210は、発光制御信号LCLKとの位相差が0度のイネーブル信号EN1の供給を開始する。そして、タイミングT2において、画素駆動部210は、位相差が90度のイネーブル信号EN2の供給を開始する。タイミングT3において、画素駆動部210は、位相差が180度のイネーブル信号EN3の供給を開始する。タイミングT4において、画素駆動部210は、位相差が270度のイネーブル信号EN4の供給を開始する。
【0072】
そして、一定期間が経過すると、垂直走査回路220は、選択信号により、計数値を出力させる。信号処理回路250は、それらの計数値に基づいて、式1を用いて画素ブロック300ごとに距離を求める。
【0073】
図11は、本技術の第1の実施の形態における固体撮像素子200の撮像モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。タイミングT10において、撮像モードが設定されたものとする。プロセッサ140は、タイミングT11以降に垂直同期信号VSYNCの供給を開始する。
【0074】
また、ドライバ120は、発光制御信号LCLKの供給を停止し、画素駆動部210は、イネーブル信号EN1乃至EN4の供給を停止する。垂直走査回路220は、リセット信号RSTをカウンタ335乃至343に供給し、計数値を初期化する。そして、垂直同期信号VSYNCに同期したタイミングT12乃至T13の露光期間において、垂直走査回路220は、リセット信号RSTの供給を停止する。この期間内にカウンタ335乃至343は、パルス数を計数し、垂直走査回路220は、選択信号により、計数値を出力させる。信号処理回路250は、それらの計数値を配列した画像データを生成する。
【0075】
図12は、本技術の第1の実施の形態における測距システム100の全体図の一例である。画素ブロック300内において、画素310、画素321乃至328以外の回路は、計数部330内に配置される。
【0076】
発光部110は、垂直同期信号VSYNCより周波数の高い発光制御信号LCLKに同期して照射光を照射する。また、画素310等の画素のそれぞれは、光電変換によりパルス信号を生成する。
【0077】
測距モードにおいて、出力先制御回路370は、画素ブロック300内のパルス信号の論理和をイネーブル信号EN1乃至EN4に同期してカウンタ331乃至334に供給する。カウンタ331乃至334は、その論理和の信号を計数する。イネーブル信号は、前述したように、発光制御信号LCLKとの位相差が所定値(0度や90度)の信号であるため、カウンタ331乃至334の計数値は、発光制御信号LCLKに同期してパルス数を計数した値となる。なお、カウンタ331乃至334は、特許請求の範囲に記載の第1カウンタの一例である。
【0078】
一方、撮像モードにおいて、カウンタ335乃至343は、垂直同期信号VSYNCに同期して、対応する画素のパルス信号の個数を計数する。なお、カウンタ335乃至343は、特許請求の範囲に記載の第2カウンタの一例である。
【0079】
同図に例示するように、計数部330には、垂直同期信号VSYNCに同期して計数を行うカウンタ335乃至343と、発光制御信号LCLKに同期して計数を行うカウンタ331乃至334とが設けられる。これにより、固体撮像素子200は、画像データの撮像に加えて、ToF方式による測距を行うことができる。また、固体撮像素子200自身が測距を行うことができるため、赤外線やレーザを用いる測距センサを追加する必要がない。このため、測距センサを別途に追加する場合と比較して、測距システム100の消費電力やコストを抑制することができる。
【0080】
図13は、本技術の第1の実施の形態における測距システム100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、例えば、測距および撮像を行うためのアプリケーションが実行されたときに開始される。
【0081】
測距システム100は、測距モードに移行し、発光制御信号LCLKに同期して発光部110が照射光を照射する(ステップS901)。また、カウンタ331乃至334は、発光制御信号LCLKに同期してパルス数を計数する(ステップS902)。そして、信号処理回路250は、計数値に基づいて測距し、デプスマップを生成する(ステップS903)。
【0082】
続いて測距システム100は、撮像モードに移行し、固体撮像素子200は、カウンタ335乃至343に切り替えて、垂直同期信号に同期した露光期間内にパルス数を計数する(ステップS904)。信号処理回路250は、計数値を配列した画像データに基づいて顔認識などの画像処理を行う(ステップS905)。ステップS905の後に、測距システム100は、動作を終了する。
【0083】
なお、固体撮像素子200は、測距(ステップS903)の後に撮像(ステップS904)を行っているが、撮像の後に測距を行ってもよい。また、測距と撮像とを同時に実行することもできる。
【0084】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、計数部330が、発光制御信号および垂直同期信号のそれぞれに同期してパルス数を計数するため、画素において垂直同期信号に同期して画像データを撮像しつつ、測距を行うことができる。
【0085】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、測距のためのカウンタ331乃至334と、撮像のためのカウンタ335乃至343とを9画素ごとに設けていたが、多画素化に伴って必要なカウンタ数が多くなり、回路規模が増大してしまう。この第2の実施の形態の固体撮像素子200は、撮像のためのカウンタの一部を測距にも用いることにより、カウンタ数を削減した点において第1の実施の形態と異なる。
【0086】
図14は、本技術の第2の実施の形態における画素ブロック300の一構成例を示すブロック図である。この第2の実施の形態の画素ブロック300は、カウンタ340乃至343とスイッチ360乃至363とが設けられない点において第1の実施の形態と異なる。
【0087】
また、第2の実施の形態の出力先制御回路370は、カウンタ331乃至339に、入力信号CIN1乃至CIN9を供給する。また、スイッチ351、354および357は、垂直信号線309-nを介して計数値を出力する。スイッチ352、355および358は、垂直信号線309-(n+1)を介して計数値を出力する。スイッチ353、356および359は、垂直信号線309-(n+2)を介して計数値を出力する。
【0088】
図15は、本技術の第2の実施の形態における出力先制御回路370の一構成例を示す回路図である。この第2の実施の形態の出力先制御回路370は、セレクタ391乃至394をさらに備える点において第1の実施の形態と異なる。
【0089】
また、第2の実施の形態のANDゲート381は、論理積をセレクタ391に供給し、ANDゲート382は、論理積をセレクタ392に供給する。ANDゲート383は、論理積をセレクタ393に供給し、ANDゲート384は、論理積をセレクタ394に供給する。
【0090】
セレクタ391は、パルス信号P1と、ANDゲート381からの信号とのいずれかを、制御信号CTRL1に従って選択し、入力信号CIN1としてカウンタ331に供給するものである。
【0091】
また、パルス信号P2は、そのまま入力信号CIN2としてカウンタ332に入力される。
【0092】
セレクタ392は、パルス信号P3と、ANDゲート382からの信号とのいずれかを、制御信号CTRL2に従って選択し、入力信号CIN3としてカウンタ333に供給するものである。
【0093】
また、パルス信号P4は、そのまま入力信号CIN4としてカウンタ334に入力される。パルス信号P5およびP6は、そのまま入力信号CIN5およびCIN6としてカウンタ335および336に入力される。
【0094】
セレクタ393は、パルス信号P7と、ANDゲート383からの信号とのいずれかを、制御信号CTRL3に従って選択し、入力信号CIN7としてカウンタ337に供給するものである。
【0095】
また、パルス信号P8は、そのまま入力信号CIN8としてカウンタ338に入力される。
【0096】
セレクタ394は、パルス信号P9と、ANDゲート384からの信号とのいずれかを、制御信号CTRL4に従って選択し、入力信号CIN9としてカウンタ339に供給するものである。
【0097】
上述の制御信号CTRL1乃至CTRL4は、例えば、画素駆動部210から供給される。測距モードにおいて画素駆動部210は、制御信号CTRL1乃至CTRL4により、セレクタ391乃至394を制御して、ANDゲート381乃至384からの信号を選択させる。これにより、カウンタ331、333、337および339は、位相差が0度、90度、180度および270度のイネーブル信号EN1乃至EN4に同期してパルス数を計数することができる。そして、信号処理回路250は、それらの計数値に基づいて測距を行う。
【0098】
一方、撮像モードにおいて画素駆動部210は、制御信号CTRL1乃至CTRL4により、セレクタ391乃至394を制御して、パルス信号P1、P3、P7およびP9を選択させる。これにより、カウンタ331、333、337および339は、残りのカウンタととともに、垂直同期信号に同期して、対応する画素のパルス数を計数する。
【0099】
図16は、本技術の第2の実施の形態における画素チップ201および回路チップ202のそれぞれに設けられる回路の対応関係の一例を示す図である。同図に例示するように、画素ブロック300ごとに、9画素分のSPADが画素チップ201に配列される。また、画素ブロック300ごとに、9個のカウンタが回路チップ202に配列される。
【0100】
測距モードにおいて9個のカウンタのうち左上、右上、左下および右下のカウンタは、位相差が0度、90度、180度および270度のイネーブル信号EN1乃至EN4に同期してパルス数を計数する。一方、撮像モードにおいて、9個のカウンタのそれぞれは、垂直同期信号に同期して、対応する画素のパルス数を計数する。
【0101】
なお、測距にも用いる4個のカウンタを左上、右上、左下および右下に配置しているが、この配置に限定されない。
【0102】
図17は、本技術の第2の実施の形態におけるカウンタの動作を説明するための図である。図におけるカウンタ#1乃至9は、カウンタ331乃至339を示す。
【0103】
測距モードにおいて、カウンタ#1、#3、#7および#9は、位相差が0度、90度、180度および270度のイネーブル信号EN1乃至EN4(言い換えれば、発光制御信号LCLK)に同期して画素ブロック300内のパルス数を計数する。一方、残りのカウンタは、計数を停止する。
【0104】
撮像モードにおいて、カウンタ#1乃至9は、垂直同期信号VSYNCに同期して対応する画素のパルス数を計数する。
【0105】
同図に例示するように、カウンタ#1、#3、#7および#9が、発光制御信号LCLKに同期して画素ブロック300内のパルス数を計数する処理と、垂直同期信号VSYNCに同期してパルス数を計数する処理とを順に行う。残りのカウンタ#2、#4、#5、#6および#8は、垂直同期信号VSYNCに同期してパルス数を計数する。言い換えれば、撮像に用いる9個のカウンタのうち4個が測距にも用いられる。このため、撮像のための9個のカウンタと、測距のための4個のカウンタとを別々に設ける第1の実施の形態と比較してカウンタ数を削減することができる。
【0106】
なお、カウンタ#1、#3、#7および#9は、特許請求の範囲に記載の第1カウンタの一例であり、カウンタ#2、#4、#5、#6および#8は、特許請求の範囲に記載の第2カウンタの一例である。
【0107】
このように、本技術の第2の実施の形態では、4個のカウンタが、発光制御信号に同期してパルス数を計数する処理と、垂直同期信号に同期してパルス数を計数する処理とを順に行う。これにより、撮像のためのカウンタと、測距のためのカウンタとを別々に設ける必要がなくなるため、カウンタ数を削減することができる。
【0108】
<3.第3の実施の形態>
上述の第2の実施の形態では、4個のカウンタが位相差が0度乃至270度のイネーブル信号に同期してパルス数を計数していたが、この構成では、測距可能な距離の範囲が不足することがある。この第3の実施の形態の固体撮像素子200は、位相差の範囲を広げることにより、測距可能な距離範囲を拡大した点において第2の実施の形態と異なる。
【0109】
図18は、本技術の第3の実施の形態における出力先制御回路370の一構成例を示す回路図である。この第3の実施の形態の出力先制御回路370は、ORゲート375乃至379と、ANDゲート385乃至389と、セレクタ395乃至399とをさらに備える点において第2の実施の形態と異なる。
【0110】
ORゲート375乃至379と、ANDゲート385乃至389と、セレクタ395乃至399との接続構成は、ORゲート371、ANDゲート381およびセレクタ391と同様である。
【0111】
ANDゲート385乃至389には、イネーブル信号EN5乃至EN9が入力される。セレクタ395乃至399には、制御信号CTRL5乃至CRTRL9が入力される。また、セレクタ391乃至399は、パルス信号P1乃至P9と、ANDゲート381乃至389からの信号とのいずれかを選択し、入力信号CIN1乃至CIN9としてカウンタ331乃至339に供給する。
【0112】
イネーブル信号EN1乃至EN9のそれぞれの位相差は、例えば、0度、360度、90度、450度、720度、630度、270度、540度および180度に設定される。イネーブル信号の位相差を0度から720度までにすることにより、0度から270度までの場合と比較して、信号処理回路250が測距可能な距離範囲を拡大することができる。
【0113】
信号処理回路250は、測距モードにおいて、例えば、0乃至720度の位相差により大体の距離を求め、次に、0乃至540度などの位相差により、正確な距離を求める。このように位相差の範囲を徐々に狭くすることにより、距離の精度を徐々に向上させることができる。
【0114】
図19は、本技術の第3の実施の形態における画素チップ201および回路チップ202のそれぞれに設けられる回路の対応関係の一例を示す図である。同図に例示するように、画素ブロック300ごとに、9画素分のSPADが画素チップ201に配列される。また、画素ブロック300ごとに、9個のカウンタが回路チップ202に配列される。
【0115】
測距モードにおいて9個のカウンタのうち左上、右上、左下および右下のカウンタは、位相差が0度、90度、180度および270度のイネーブル信号に同期してパルス数を計数する。また、中央のカウンタは、位相差が720度のイネーブル信号に同期してパルス数を計数する。中央の上下左右のカウンタは、位相差が360度、540度、450度および630度のイネーブル信号に同期してパルス数を計数する。
【0116】
図20は、本技術の第3の実施の形態におけるカウンタの動作を説明するための図である。測距モードにおいて、カウンタ#1乃至#9は、位相差が0度、360度、90度、450度、720度、630度、270度、540度および180度のイネーブル信号に同期して画素ブロック300内のパルス数を計数する。
【0117】
撮像モードにおいて、カウンタ#1乃至9は、垂直同期信号VSYNCに同期して対応する画素のパルス数を計数する。
【0118】
このように、本技術の第3の実施の形態によれば、9個のカウンタが、位相差の異なる9個のイネーブル信号に同期してパルス数を計数するため、4個のイネーブル信号に同期して計数する場合と比較して、測距可能な距離範囲を拡大することができる。
【0119】
<4.第4の実施の形態>
上述の第3の実施の形態では、9個のカウンタがイネーブル信号に同期してパルス数を計数していたが、この構成では、測距に用いるデータ数が増大し、信号処理回路250の処理量が増大するおそれがある。この第4の実施の形態の固体撮像素子200は、測距に用いるカウンタの個数を削減した点において第3の実施の形態と異なる。
【0120】
図21は、本技術の第4の実施の形態における出力先制御回路370の一構成例を示す回路図である。この第4の実施の形態の出力先制御回路370は、ORゲート375、ANDゲート385およびセレクタ395が削減された点において第3の実施の形態と異なる。また、パルス信号P5は、そのまま入力信号CIN5としてカウンタ335へ供給される。
【0121】
図22は、本技術の第4の実施の形態における画素チップ201および回路チップ202のそれぞれに設けられる回路の対応関係の一例を示す図である。この第4の実施の形態の画素ブロック300は、中央のカウンタが測距モードにおいて計数しない点において第3の実施の形態と異なる。
【0122】
図23は、本技術の第4の実施の形態におけるカウンタの動作を説明するための図である。測距モードにおいて、カウンタ#5以外の8個のカウンタが、イネーブル信号に同期してパルス数を計数する。言い換えれば、測距に用いられるカウンタが9個から8個に削減されている。これにより、測距に用いるデータ数が少なくなり、信号処理回路250の処理量が削減される。なお、カウンタ#5以外のカウンタは、特許請求の範囲に記載の第1カウンタの一例であり、カウンタ#5は、特許請求の範囲に記載の第2カウンタの一例である。
【0123】
このように、本技術の第4の実施の形態によれば、8個のカウンタがイネーブル信号に同期してパルス数を計数するため、9個のカウンタがイネーブル信号に同期して計数する場合と比較して測距に用いるデータ数を削減することができる。
【0124】
<5.第5の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、画素ブロックごとに、位相差が0度のイネーブル信号に同期したカウンタを1つのみ配置していたが、この構成では、カウンタからの信号の品質が不足するおそれがある。この第5の実施の形態の固体撮像素子200は、同一のイネーブル信号に同期したカウンタを2つ以上配置することにより、信号品質を向上させた点において第1の実施の形態と異なる。
【0125】
図24は、本技術の第5の実施の形態における画素ブロック300に設けられる回路の一例を示す図である。画素ブロック300は、複数のエリアに分割される。例えば、画素ブロック300は、0度エリア410、90度エリア420、180度エリア430および270度エリア440に分割される。0度エリア410には、カウンタ411などの9個のカウンタが3行×3列で配列される。90度エリア420には、カウンタ421などの9個のカウンタが3行×3列で配列される。180度エリア430には、カウンタ431などの9個のカウンタが3行×3列で配列される。270度エリア440には、カウンタ441などの9個のカウンタが3行×3列で配列される。なお、エリアごとの画素数は、カウンタ数と同数(すなわち、9)である。
【0126】
0度エリア410において、左上、右上、左下および右下のカウンタは、位相差が0度のイネーブル信号に同期して0度エリア410内のパルス数を計数する。90度エリア420において、左上、右上、左下および右下のカウンタは、位相差が90度のイネーブル信号に同期して90度エリア420内のパルス数を計数する。180度エリア430において、左上、右上、左下および右下のカウンタは、位相差が180度のイネーブル信号に同期して180度エリア430内のパルス数を計数する。270度エリア440において、左上、右上、左下および右下のカウンタは、位相差が270度のイネーブル信号に同期して270度エリア440内のパルス数を計数する。
【0127】
また、0度エリア410、90度エリア420、180度エリア430および270度エリア440のそれぞれには、出力先制御回路370が配置される。同図において、出力先制御回路370は省略されている。また、第5の実施の形態の出力先制御回路370の構成は、
図15に例示した第2の実施の形態のものと同様である。ただし、4個のカウンタには、同一のイネーブル信号が入力される。
【0128】
同図に例示するように、画素ブロック300ごとに、位相差が同一のイネーブル信号に同期して計数した計数値が4つ生成される。信号処理回路250は、これらの4つの計数値の合計値や平均値を演算し、演算結果を用いて測距を行う。4つの計数値の合計や平均を演算することにより、信号のノイズを低減して信号品質を向上させることができる。
【0129】
なお、各エリアの左上、右上、左下および右下のカウンタは、特許請求の範囲に記載の第1カウンタの一例であり、それ以外のカウンタは、特許請求の範囲に記載の第2カウンタの一例である。また、画素ブロック300ごとのエリア数は、4つに限定されず、エリアごとの画素数も9画素に限定されない。
【0130】
このように、本技術の第5の実施の形態によれば、位相差が同一のイネーブル信号に同期して計数するカウンタを画素ブロック300ごとに4つ配置するため、それらの計数値の合計や平均の演算により信号のノイズを低減することができる。
【0131】
<6.第6の実施の形態>
上述の第5の実施の形態では、エリアごとに9画素を配置していたが、この構成では、画素ブロック300内の画素数が36画素となり、デプスマップの解像度が不足するおそれがある。この第6の実施の形態の固体撮像素子200は、エリアごとの画素数を削減し、デプスマップの解像度を向上させた点において第5の実施の形態と異なる。
【0132】
図25は、本技術の第6の実施の形態における画素ブロック300に設けられる回路の一例を示す図である。第6の実施の形態の画素ブロック300は、エリアごとの画素数が4画素である点において第5の実施の形態と異なる。4画素は、2行×2列で配列される。また、エリアごとに、イネーブル信号に同期してパルス数を計数するカウンタが左上に配置される。
【0133】
同図に例示したように、エリアごとの画素数を4画素に削減したため、エリアごとの画素数が9画素の第5の実施の形態と比較して、デプスマップの解像度を向上させることができる。
【0134】
図26は、本技術の第6の実施の形態における0度エリア410の一構成例を示すブロック図である。0度エリア410には、画素310、321乃至323と、計数部330とが配置される。計数部330には、出力先制御回路370と、カウンタ411乃至414と、スイッチ351乃至354とが配置される。
【0135】
画素310、321乃至323は、パルス信号P1乃至P4を出力先制御回路370に出力する。出力先制御回路370は、入力信号CIN1乃至CIN4をカウンタ411乃至414に供給する。カウンタ411乃至414は、計数値CNT1乃至CNT4をスイッチ351乃至354に供給する。スイッチ351および353は、計数値を垂直信号線309-nに供給し、スイッチ352および354は、計数値を垂直信号線309-(n+1)に供給する。
【0136】
なお、90度エリア420、180度エリア430および270度エリア440の構成は、0度エリア410と同様である。
【0137】
図27は、本技術の第6の実施の形態における出力先制御回路370の一構成例を示す回路図である。この出力先制御回路370には、ORゲート371、ANDゲート381、およびセレクタ391が配置される。第6の実施の形態のORゲート371、ANDゲート381、およびセレクタ391の接続構成は、出力先がカウンタ411である点以外は、第2の実施の形態の
図15と同様である。
【0138】
また、パルス信号P2乃至P4は、そのまま入力信号CIN2乃至CIN4としてカウンタ412乃至414に供給される。
【0139】
なお、カウンタ411は、特許請求の範囲に記載の第1カウンタの一例であり、カウンタ412乃至414は、特許請求の範囲に記載の第2カウンタの一例である。
【0140】
このように、本技術の第6の実施の形態によれば、エリアごとの画素数を4画素に削減したため、エリアごとの画素数が9画素の場合よりも、デプスマップの解像度を向上させることができる。
【0141】
<7.第7の実施の形態>
上述の第6の実施の形態では、画素ブロックごとに4エリアを配置していたが、この構成では、画素ブロック300内の画素数が16画素となり、デプスマップの解像度が不足するおそれがある。この第7の実施の形態の固体撮像素子200は、エリア数を削減し、デプスマップの解像度を向上させた点において第6の実施の形態と異なる。
【0142】
図28は、本技術の第7の実施の形態における画素ブロックに設けられる回路の一例を示す図である。第7の実施の形態の画素ブロック300は、エリア数が2つである点において第6の実施の形態と異なる。例えば、画素ブロック300内に、0度エリア410と180度エリア430とが設けられる。画素ブロック300内のエリア数を4つから2つに削減することにより、画素ブロック300のサイズを小さくすることができる。これにより、デプスマップの解像度を向上させることができる。
【0143】
図29は、本技術の第7の実施の形態における固体撮像素子200の測距モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。タイミングT0において、測距モードが設定されたものとする。プロセッサ140は、垂直同期信号VSYNCの供給を停止する。垂直走査回路220は、リセット信号RSTをカウンタ331乃至334に供給し、計数値を初期化する。
【0144】
また、タイミングT1において、ドライバ120は、発光制御信号LCLKの供給を開始し、その信号に同期して発光部110が発光する。また、タイミングT1において、画素駆動部210は、発光制御信号LCLKとの位相差が0度のイネーブル信号EN1の供給を開始する。そして、タイミングT2において、画素駆動部210は、位相差が180度のイネーブル信号EN2の供給を開始する。
【0145】
そして、一定期間が経過すると、垂直走査回路220は、選択信号により、計数値を出力させる。信号処理回路250は、それらの計数値に基づいて、画素ブロック300ごとに距離を求める。
【0146】
このように、本技術の第7の実施の形態によれば、画素ブロック300ごとのエリア数を2つに削減したため、エリア数が4つの場合よりも、デプスマップの解像度を向上させることができる。
【0147】
<8.第8の実施の形態>
上述の第7の実施の形態では、位相差が0度および180度のイネーブル信号に同期してカウンタがパルス数を計数していたが、90度および270度のイネーブル信号を用いないため、測距精度が低下し、測距可能な距離範囲が狭くなってしまう。この第8の実施の形態の固体撮像素子200は、位相差が0度および180度のイネーブル信号に加えて、位相差が90度および270度のイネーブル信号にも同期してパルス数を計数する点において第7の実施の形態と異なる。
【0148】
図30は、本技術の第8の実施の形態における画素ブロック300に設けられる回路の一例を示す図である。この第8の実施の形態の画素ブロック300は、複数のエリアに分割されず、カウンタ411乃至414が配置される点において第7の実施の形態と異なる。また、画素ブロック300には、4画素が配置される。同図においてカウンタ以外の回路(出力先制御回路370など)は、省略されている。
【0149】
また、測距モードにおいて、カウンタ411および414は、0度および180度のイネーブル信号に同期してパルス数を計数し、カウンタ412および413は、90度および270度のイネーブル信号に同期してパルス数を計数する。
【0150】
図31は、本技術の第8の実施の形態における出力先制御回路370の一構成例を示す回路図である。この第8の実施の形態の出力先制御回路370には、ORゲート371乃至374と、ANDゲート381乃至384と、セレクタ391乃至394とが設けられる。
【0151】
ORゲート371乃至374と、ANDゲート381乃至384と、セレクタ391乃至394との接続構成は、第2の実施の形態のORゲート371、ANDゲート381およびセレクタ391と同様である。
【0152】
ANDゲート381乃至384には、イネーブル信号EN1乃至EN4が入力される。セレクタ391乃至394には、制御信号CTRL1乃至CTRL4が入力される。また、セレクタ391乃至394は、パルス信号P1乃至P4と、ANDゲート381乃至384からの信号とのいずれかを選択し、入力信号CIN1乃至CIN4としてカウンタ411乃至414に供給する。
【0153】
図32は、本技術の第8の実施の形態における固体撮像素子200の測距モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。タイミングT0において、測距モードが設定されたものとする。プロセッサ140は、垂直同期信号VSYNCの供給を停止する。垂直走査回路220は、リセット信号RSTをカウンタ331乃至334に供給し、計数値を初期化する。
【0154】
また、タイミングT1において、ドライバ120は、発光制御信号LCLKの供給を開始し、その信号に同期して発光部110が発光する。また、タイミングT1において、画素駆動部210は、発光制御信号LCLKとの位相差が0度のイネーブル信号EN1およいEN4の供給を開始する。そして、タイミングT2において、画素駆動部210は、位相差が90度のイネーブル信号EN2およびEN3の供給を開始する。
【0155】
そして、一定期間が経過すると、垂直走査回路220は、選択信号により、計数値を出力させる。信号処理回路250は、それらの計数値を保持しておく。
【0156】
次にタイミングT3において、垂直走査回路220は、リセット信号RSTをカウンタ331乃至334に供給し、計数値を初期化する。タイミングT4において画素駆動部210は、発光制御信号LCLKとの位相差が180度のイネーブル信号EN1およびEN4の供給を開始する。そして、タイミングT5において、画素駆動部210は、位相差が270度のイネーブル信号EN2およびEN3の供給を開始する。
【0157】
そして、一定期間が経過すると、垂直走査回路220は、選択信号により、計数値を出力させる。信号処理回路250は、保持した計数値と、出力された計数値とに基づいて、画素ブロック300ごとに距離を求める。
【0158】
同図に例示するように、画素駆動部210は、複数の設定値(90度および270度など)のそれぞれが順に位相差に設定されるイネーブル信号を供給する。このように位相差を切り替えることにより、カウンタは、位相差が0度および180度のイネーブル信号に加えて、位相差が90度および270度のイネーブル信号にも同期してパルス数を計数することができる。位相差の個数が多くなるため、測距精度を向上させ、測距可能な距離範囲を拡大することができる。
【0159】
なお、測距モードにおいて、4つのカウンタの全てが計数を行っているが、測距モードにおいて2つのカウンタ(カウンタ411および412など)のみが計数を行うこともできる。測距モード時に動作するカウンタ数を削減することにより、消費電力を削減することができる。
【0160】
このように、本技術の第8の実施の形態によれば、画素駆動部210が、複数の設定値のそれぞれを順に位相差に設定するため、位相差の個数を多くすることができる。これにより、測距精度を向上させ、測距可能な距離範囲を拡大することができる。
【0161】
<9.第9の実施の形態>
上述の第8の実施の形態では、画素駆動部210が、位相差を切り替えていたが、この構成では、位相差を固定する場合と比較して測距の間隔が長くなり、デプスマップのフレームレートが低下してしまう。この第9の実施の形態の固体撮像素子200は、位相差を固定してデプスマップのフレームレートを向上させた点において第8の実施の形態と異なる。
【0162】
図33は、本技術の第9の実施の形態における画素ブロック300に設けられる回路の一例を示す図である。この第9の実施の形態の画素ブロック300には、第8の実施の形態と同様に、カウンタ411乃至414が配置される
【0163】
ただし、測距モードにおいてイネーブル信号EN1乃至EN4の位相差は、固定される。例えば、カウンタ411は、0度のイネーブル信号EN1に同期してパルス数を計数し、カウンタ412は、90度のイネーブル信号EN2に同期してパルス数を計数する。カウンタ413は、180度のイネーブル信号EN3に同期してパルス数を計数し、カウンタ414は、270度のイネーブル信号EN4に同期してパルス数を計数する。位相差を固定したため、第8の実施の形態と比較して、デプスマップのフレームレートが向上する。
【0164】
このように、本技術の第9の実施の形態によれば、画素駆動部210が、イネーブル信号の位相差を固定するため、位相差を切り替える場合と比較してデプスマップのフレームレートを向上させることができる。
【0165】
<10.第10の実施の形態>
上述の第9の実施の形態では、カウンタは、測距モードにおいて4画素の単位でパルス数を計数していたが、計数対象の画素数が増大するほど、計数値の最大値が大きくなり、計数値のデータサイズが大きくなってしまう。この第10の実施の形態の固体撮像素子200は、計数対象の画素数を4画素と2画素とに切り替え、データサイズを可変にする点において第9の実施の形態と異なる。
【0166】
図34は、本技術の第10の実施の形態における画素ブロックに設けられる回路の一例を示す図である。第10の実施の形態の画素ブロック300内には、例えば、0度エリア410と180度エリア430とが設けられる。また、エリアごとに、4画素と出力先制御回路370とが設けられる。測距モードにおいてエリア内の4つのカウンタのうち1つはイネーブル信号に同期してパルス数を計数する。撮像モードにおいて、4つのカウンタのそれぞれは、垂直同期信号に同期してパルス数を計数する。
【0167】
図35は、本技術の第10の実施の形態における出力先制御回路370の一構成例を示す回路図である。この第10の実施の形態の出力先制御回路370には、ORゲート371、372および380と、ANDゲート381および382と、セレクタ391とが設けられる。
【0168】
ORゲート371は、パルス信号P1およびP2の論理和をANDゲート381に供給する。ORゲート372は、パルス信号P3およびP4の論理和をANDゲート382に供給する。
【0169】
ANDゲート381は、ORゲート371からの信号とイネーブル信号EN1aとの論理積をORゲート380に供給する。ANDゲート382は、ORゲート372からの信号とイネーブル信号EN1bとの論理積をORゲート380に供給する。
【0170】
ORゲート380は、ANDゲート381および382のそれぞれからの信号の論理和をセレクタ391に出力する。
【0171】
セレクタ391は、パルス信号P1と、ORゲート380からの信号とのいずれかを、制御信号CTRLに従って選択し、入力信号CIN1としてカウンタ411に供給する。
【0172】
また、パルス信号P2乃至P4は、そのまま入力信号CIN2乃至CIN4として、カウンタ412乃至414に供給される。
【0173】
なお、カウンタ411は、特許請求の範囲に記載の第1カウンタの一例であり、カウンタ412乃至414は、特許請求の範囲に記載の第2カウンタの一例である。
【0174】
図36は、本技術の第10の実施の形態における画素駆動部210の動作を説明するための図である。同図の制御は、0度エリア410に対応するものである。第10の実施の形態において、測距モードには、4画素加算モードと2画素加算モードとのいずれかが設定される。4画素加算モードは、パルス信号の計数対象の画素数を4画素とするモードであり、2画素加算モードは、パルス信号の計数対象の画素数を2画素とするモードである。
【0175】
4画素加算モードにおいて、画素駆動部210は、位相差が0度の信号をイネーブル信号EN1aおよびEN1bとして供給する。2画素加算モードにおいて、画素駆動部210は、位相差が0度の信号をイネーブル信号EN1aおよびEN1bの一方として供給する。イネーブル信号EN1aおよびEN1bの他方は供給されない。また、撮像モードにおいて、イネーブル信号は供給されない。なお、180度エリア430の制御は、位相差が180度に設定される点以外は、同図に例示した0度エリア410と同様である。
【0176】
また、画素駆動部210は、測距モードにおいて、制御信号CTRLを「0」にしてセレクタ391にORゲート380からの信号を選択させる。一方、撮像モードにおいて画素駆動部210は、制御信号CTRLを「1」にしてセレクタ391にパルス信号P1を選択させる。
【0177】
図35および
図36に例示した構成により、出力先制御回路370は、画素ブロック300内の4画素のうち設定された個数(4画素または2画素)の画素のそれぞれのパルス信号の論理和を出力し、カウンタ411は、その論理和を計数する。これにより、計数対象の画素数を4画素と2画素とに切り替え、計数値のデータサイズを変更することができる。
【0178】
なお、画素駆動部210は、計数対象の画素数を4画素と2画素とに切り替えているが、この構成に限定されず、例えば、1画素や3画素などに切り替えることもできる。
【0179】
このように、本技術の第10の実施の形態によれば、画素ブロック300内の4画素のうち設定された個数の画素のパルス信号の論理和をカウンタ411が計数するため、計数値のデータサイズを変更することができる。
【0180】
<11.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0181】
図37は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0182】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図37に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0183】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0184】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0185】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0186】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0187】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0188】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0189】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0190】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0191】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図37の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0192】
図38は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0193】
図38では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0194】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0195】
なお、
図38には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0196】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0197】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0198】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0199】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0200】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、
図3の固体撮像素子200は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、センサを追加せずに測距することができるため、車両制御システムの消費電力やコストを低減することができる。
【0201】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0202】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
【0203】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0204】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)所定の垂直同期信号より周波数の高い発光制御信号に同期して照射光を照射する発光部と、
それぞれが光電変換によりパルス信号を生成する所定数の画素と、
前記発光制御信号および前記垂直同期信号のそれぞれに同期して前記パルス信号の個数を計数する計数部と
を具備するセンシングシステム。
(2)前記計数部は、
前記発光制御信号に同期して前記パルス信号を計数する第1カウンタと、
前記垂直同期信号に同期して前記パルス信号を計数する第2カウンタと
を備える前記(1)記載のセンシングシステム。
(3)前記計数部は、
前記発光制御信号に同期して前記パルス信号を計数する処理と前記垂直同期信号に同期して前記パルス信号を計数する処理とを順に行う第1カウンタと、
前記垂直同期信号に同期して前記パルス信号を計数する第2カウンタと
を備える前記(1)記載のセンシングシステム。
(4)前記所定数の画素を配列した画素アレイ部は、複数の画素ブロックに分割され、
前記計数部は、前記画素ブロックごとに設けられ、
前記第1カウンタは、前記画素ブロック内の前記画素のそれぞれからの前記パルス信号の論理和を計数する
前記(3)記載のセンシングシステム。
(5)前記画素ブロックごとに4個の前記第1カウンタと5個の前記第2カウンタとが配置される前記(4)記載のセンシングシステム。
(6)前記画素ブロックごとに8個の前記第1カウンタと1個の前記第2カウンタとが配置される前記(4)記載のセンシングシステム。
(7)前記所定数の画素を配列した画素アレイ部は、複数の画素ブロックに分割され、
前記複数の画素ブロックのそれぞれは、複数のエリアに分割され、
前記計数部は、前記複数のエリアのそれぞれに対応付けて設けられ、
前記第1カウンタは、対応するエリア内の前記画素のそれぞれからの前記パルス信号の論理和を計数する
前記(3)記載のセンシングシステム。
(8)前記複数のエリアのそれぞれには、9個の前記画素が配置される
前記(7)記載のセンシングシステム。
(9)前記複数のエリアのそれぞれには、4個の前記画素が配置される
前記(7)記載のセンシングシステム。
(10)前記画素ブロック内には、4つのエリアが配置される
前記(7)から(9)のいずれかに記載のセンシングシステム。
(11)前記画素ブロック内には、2つのエリアが配置される
前記(7)から(9)のいずれかに記載のセンシングシステム。
(12)前記第1カウンタは、前記画素ブロック内の前記画素のうち設定された個数の画素のそれぞれの前記パルス信号の論理和を計数する
前記(7)から(9)のいずれかに記載のセンシングシステム。
(13)前記計数部は、前記発光制御信号に同期して前記パルス信号を計数する処理と前記垂直同期信号に同期して前記パルス信号を計数する処理とを順に行う所定数のカウンタを備える
前記(1)記載のセンシングシステム。
(14)前記計数部は、9個の前記カウンタを備える
前記(13)記載のセンシングシステム。
(15)前記計数部は、4個の前記カウンタを備える
前記(13)記載のセンシングシステム。
(16)前記発光制御信号との位相差として複数の設定値のそれぞれが順に設定されるイネーブル信号を供給する画素駆動部をさらに具備し、
前記カウンタは、前記イネーブル信号に同期して前記パルス信号を供給する
前記(13)から(15)のいずれかに記載のセンシングシステム。
(17)所定の垂直同期信号より周波数の高い発光制御信号に同期して照射光を照射する発光部と、
それぞれが光電変換によりパルス信号を生成する所定数の画素と、
前記発光制御信号および前記垂直同期信号のそれぞれに同期して前記パルス信号の個数を計数する計数部と、
前記計数部の計数値に基づいて物体までの距離を測定する測距部と
を具備する測距システム。
(18)発光制御信号に基づいて照射光を照射する発光部と、
それぞれが光電変換によりパルス信号を生成する複数の画素と、
前記複数の画素のパルス信号の個数を計数する計数部と、
を具備し、
前記計数部は複数のカウンタと、前記複数の画素と複数のカウンタの間に接続され、前記複数の画素から出力された複数のパルス信号を受け、任意の複数のカウンタに前記複数のパルス信号を振り分ける出力先制御回路とを備え、
前記複数の画素は、第一のチップに設けられ、
前記出力制御回路および前記計数部は、第二のチップに設けられる
センシングシステム。
【符号の説明】
【0205】
100 測距システム
105 マイクロレンズ
110 発光部
120 ドライバ
130 コントローラ
140 プロセッサ
150 アプリケーションプロセッサ
200 固体撮像素子
201 画素チップ
202 回路チップ
210 画素駆動部
220 垂直走査回路
230 画素アレイ部
240 カラムバッファ
250 信号処理回路
260 出力部
300 画素ブロック
310、321~328 画素
311 SPAD
312 抵抗
313 インバータ
330 計数部
331~343、411~414、421、431、441 カウンタ
351~363 スイッチ
370 出力先制御回路
371~380 OR(論理和)ゲート
381~389 AND(論理積)ゲート
391~399 セレクタ
410 0度エリア
420 90度エリア
430 180度エリア
440 270度エリア
12031 撮像部