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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】固体撮像装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/78 20230101AFI20250306BHJP
   H04N 25/571 20230101ALI20250306BHJP
   H04N 25/77 20230101ALI20250306BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20250306BHJP
   H04N 25/47 20230101ALI20250306BHJP
【FI】
H04N25/78
H04N25/571
H04N25/77
H04N25/76
H04N25/47
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022532355
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2021016652
(87)【国際公開番号】W WO2021261070
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2020110957
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】井本 努
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 篤親
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/146527(WO,A1)
【文献】特開2020-088676(JP,A)
【文献】特開2020-072317(JP,A)
【文献】特開2019-134202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/33
23/11
23/20-23/30
25/00
25/20-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ入射光の輝度変化を出力する複数の検出画素と、
前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づきイベント信号を出力する検出回路と、
前記複数の検出画素間を接続する第1共通線と、
を備え、
前記検出画素それぞれは、
光電変換素子と、
前記光電変換素子から流出した光電流を当該光電流の対数値に応じた電圧信号に変換する対数変換回路と、
前記対数変換回路から出力された前記電圧信号に基づき前記光電変換素子に入射した入射光の輝度変化を出力する第の回路と、
前記光電変換素子と前記対数変換回路との間に接続された第1トランジスタと、
前記光電変換素子と前記第1共通線との間に接続された第2トランジスタと、
前記第1トランジスタ及び前記対数変換回路を接続する第1ノードと、
前記第2トランジスタ及び前記第1共通線を接続する第2ノードとの間に接続された第3トランジスタと、
を備え、
前記検出回路は、前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づき前記イベント信号を出力する第の回路を備える、
固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1共通線に接続され、前記光電変換素子に蓄積された電荷に応じた電圧値の画素信号を生成する読出し回路をさらに備える、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記読出し回路は、
前記第1共通線と電源線との間に接続されたリセットトランジスタと、
前記第1共通線にゲートが接続された増幅トランジスタと、
を含む、請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
それぞれ入射光の輝度変化を出力する複数の検出画素と、
前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づきイベント信号を出力する検出回路と、
前記複数の検出画素間を接続する第1共通線と、
前記複数の検出画素間を接続する第2共通線と、
を備え、
前記検出画素それぞれは、
光電変換素子と、
前記光電変換素子から流出した光電流を当該光電流の対数値に応じた電圧信号に変換する対数変換回路と、
前記対数変換回路から出力された前記電圧信号に基づき前記光電変換素子に入射した入射光の輝度変化を出力する第1の回路と、
前記光電変換素子と前記対数変換回路との間に接続された第1トランジスタと、
前記光電変換素子と前記第1共通線との間に接続された第2トランジスタと、
前記第2共通線に接続され、前記光電変換素子に蓄積された電荷に応じた電圧値の画素信号を生成する読出し回路と、
前記検出画素それぞれにおける前記光電変換素子と前記第2共通線との間に接続された複数の第4トランジスタと、
を備え、
前記検出回路は、前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づき前記イベント信号を出力する第2の回路を備える、
固体撮像装置。
【請求項5】
前記読出し回路は、
前記第2共通線と電源線との間に接続されたリセットトランジスタと、
前記第2共通線にゲートが接続された増幅トランジスタと、
を含む、請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
それぞれ入射光の輝度変化を出力する複数の検出画素と、
前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づきイベント信号を出力する検出回路と、
前記複数の検出画素間を接続する第1共通線と、
を備え、
前記検出画素それぞれは、
光電変換素子と、
前記光電変換素子から流出した光電流を当該光電流の対数値に応じた電圧信号に変換する対数変換回路と、
前記対数変換回路から出力された前記電圧信号に基づき前記光電変換素子に入射した入射光の輝度変化を出力する第1の回路と、
前記光電変換素子と前記対数変換回路との間に接続された第1トランジスタと、
前記光電変換素子と前記第1共通線との間に接続された第2トランジスタと、
前記対数変換回路から出力された前記電圧信号の変換量を示す微分信号を生成する微分器と、
を備え、
前記検出回路は、前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づき前記イベント信号を出力する第2の回路を備え、
前記第2の回路は、前記検出画素それぞれから出力された前記微分信号のいずれかを選択する選択部と、前記微分信号に基づいて前記イベント信号を出力する比較器と、
を備える、
固体撮像装置。
【請求項7】
前記比較器は、
前記微分信号の電圧値が第1閾値を超えたことを検出して前記イベント信号を出力する第1比較器と、
前記微分信号の電圧値が前記第1閾値よりも低い電圧レベルの第2閾値を下回ったことを検出して前記イベント信号を出力する第2比較器と、
を含む、請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
複数の前記検出回路を備え、
前記検出回路それぞれは、前記複数の検出画素のうちの少なくとも1つでアドレスイベントを検出した場合に当該検出回路からの検出信号の読出しを要求するリクエストを出力し、
前記複数の検出回路のうちの少なくとも1つから出力された前記リクエストを調停することで前記リクエストを出力した検出回路に対する前記検出信号の読出し順序を決定するアービタをさらに備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
それぞれ前記光電変換素子と前記対数変換回路と前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとを含む複数の対数応答部が2次元格子状に配列された受光部を備える第1チップをさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記対数変換回路は、
ソースが前記第1トランジスタに接続された第4トランジスタと、
ゲートが前記第4トランジスタの前記ソースに接続され、ソースが接地された第5トランジスタと、
を含み、
前記第4トランジスタのゲートは、前記第5トランジスタのドレインに接続されている、
請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記対数変換回路は、
ソースが前記第4トランジスタのドレインに接続され、ドレインが電源線に接続された第6トランジスタと、
ゲートが前記第4トランジスタの前記ドレインに接続され、ソースが前記第5トランジスタのドレインに接続された第7トランジスタと、
をさらに含み、
前記第6トランジスタのゲートは、前記第7トランジスタのドレインに接続されている、
請求項10に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
それぞれ入射光の輝度変化を出力する複数の検出画素と、
前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づきイベント信号を出力する検出回路と、
前記複数の検出画素間を接続する第1共通線と、
を備え、
前記検出画素それぞれは、
光電変換素子と、
前記光電変換素子から流出した光電流を当該光電流の対数値に応じた電圧信号に変換する対数変換回路と、
前記対数変換回路から出力された前記電圧信号に基づき前記光電変換素子に入射した入射光の輝度変化を出力する第1の回路と、
前記光電変換素子と前記対数変換回路との間に接続された第1トランジスタと、
前記光電変換素子と前記第1共通線との間に接続された第2トランジスタと、
を備え、
それぞれ前記光電変換素子と前記対数変換回路と前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとを含む複数の対数応答部が2次元格子状に配列された受光部を備える第1チップと、
前記検出回路は、前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づき前記イベント信号を出力する第2の回路を備え、
前記受光部は、格子状に延在する画素分離部をさらに備え、
前記対数応答部それぞれは、前記画素分離部により前記2次元格子状に区画された画素領域それぞれに設けられており、
前記画素領域には、前記第1及び第2トランジスタと、前記第1及び第2トランジスタとは異なる少なくとも2つのトランジスタと、前記光電変換素子とが配置され、
前記少なくとも2つのトランジスタは、前記画素領域において前記光電変換素子を挟む位置に配置され、
前記対数変換回路は、互いに隣接する2つの前記画素領域それぞれにおける前記少なくとも2つのトランジスタのうちの少なくとも1つずつを用いて構成されている、
固体撮像装置。
【請求項13】
複数の前記検出回路が配置された第2チップをさらに備え、
前記第1チップと前記第2チップとは、単一の積層チップを構成する
請求項9~12のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置を制御する制御部と、
を備える撮像装置であって、
前記固体撮像装置は、
それぞれ入射光の輝度変化を出力する複数の検出画素と、
前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づきイベント信号を出力する検出回路と、
前記複数の検出画素間を接続する第1共通線と、
を備え、
前記検出画素それぞれは、
光電変換素子と、
前記光電変換素子から流出した光電流を当該光電流の対数値に応じた電圧信号に変換する対数変換回路と、
前記対数変換回路から出力された前記電圧信号に基づき前記光電変換素子に入射した入射光の輝度変化を出力する第1の回路と、
前記光電変換素子と前記対数変換回路との間に接続された第1トランジスタと、
前記光電変換素子と前記第1共通線との間に接続された第2トランジスタと、
を備え、
前記検出回路は、前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づき前記イベント信号を出力する第2の回路を備え、
前記固体撮像装置は、前記複数の検出画素を含む共有ブロックを複数備え、
前記制御部は、前記固体撮像装置の動作モードを、
前記複数の共有ブロックにおける少なくとも1つにおいて、前記複数の検出画素のうちの1つの検出画像における前記第1及び第2トランジスタをオン状態とし、前記複数の検出画素のうちの他の少なくとも1つの検出画像における前記第1トランジスタをオフ状態とするとともに前記第2トランジスタをオン状態とする第1モードと、
前記複数の共有ブロックの全てにおいて、前記複数の検出画素それぞれの前記第1トランジスタをオン状態とし、前記第2トランジスタをオフ状態とする第2モードと、
のうちのいずれかに切り替える、
撮像装置。
【請求項15】
前記第1モードは、
前記複数の共有ブロックの全てにおいて、前記複数の検出画素のうちの1つの検出画像における前記第1及び第2トランジスタをオン状態とし、前記複数の検出画素のうちの他の少なくとも1つの検出画像における前記第1トランジスタをオフ状態とするとともに前記第2トランジスタをオン状態とする第3モードと、
前記複数の共有ブロックの一部において、前記複数の検出画素のうちの1つの検出画像における前記第1及び第2トランジスタをオン状態とし、前記複数の検出画素のうちの他の少なくとも1つの検出画像における前記第1トランジスタをオフ状態とするとともに前記第2トランジスタをオン状態とし、前記複数の共有ブロックのうちの残りの共有ブロックにおいて、前記複数の検出画素それぞれの前記第1トランジスタをオン状態とし、前記第2トランジスタをオフ状態とする第4モードと、
を含み、
前記制御部は、前記固体撮像装置の前記動作モードを、前記第2モードから前記第4モードのうちのいずれかに切り替える、
請求項14に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置などにおいて、垂直同期信号などの同期信号に同期して画像データ(フレーム)を撮像する同期型の固体撮像装置が用いられている。この一般的な同期型の固体撮像装置では、同期信号の周期(例えば、1/60秒)ごとにしか画像データを取得することができないため、交通やロボットなどに関する分野において、より高速な処理が要求された場合に対応することが困難になる。そこで、画素アドレスごとに、その画素の輝度の変化量が閾値を超えた旨をアドレスイベントとして検出する非同期型の固体撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このように、画素毎にアドレスイベントを検出する固体撮像装置は、EVS(Event-based Vision Sensor)やDVS(Dynamic Vision Sensor)とも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5244587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の非同期型の固体撮像装置では、アドレスイベントの検出回路を構成するトランジスタがサブスレッショルド領域で動作するため、低照度時のダイナミックレンジがトランジスタの熱雑音(N)と光電流(S)との比(SN比)に大きく依存する。特に、小型化や高解像度化に伴い画素が微細化された場合では、1画素当たりの光電流が減少するため、SN比が低下して低照度時のダイナミックレンジが非常に狭くなってしまう。そうすると、アドレスイベントの発生に対する感度の低下や誤検出の増加などの不具合が生じ得る。
【0005】
そこで本開示では、低照度時でもダイナミックレンジを確保することを可能にする固体撮像装置及び撮像装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の固体撮像装置は、それぞれ入射光の輝度変化を出力する複数の検出画素と、前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づきイベント信号を出力する検出回路と、前記複数の検出画素間を接続する第1共通線とを備え、前記検出画素それぞれは、光電変換素子と、前記光電変換素子から流出した光電流を当該光電流の対数値に応じた電圧信号に変換する対数変換回路と、前記対数変換回路から出力された前記電圧信号に基づき前記光電変換素子に入射した入射光の輝度変化を出力する第一の回路と、前記光電変換素子と前記対数変換回路との間に接続された第1トランジスタと、前記光電変換素子と前記第1共通線との間に接続された第2トランジスタとを備え、前記検出回路は、前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づき前記イベント信号を出力する第二の回路を備えた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る受光チップの平面図の一例である。
図4】第1の実施形態に係る検出チップの平面図の一例である。
図5】第1の実施形態に係るアドレスイベント検出部の平面図の一例である。
図6】第1の実施形態に係る対数応答部の一構成例を示す回路図である。
図7】第1の実施形態に係る対数応答部の他の一構成例を示す回路図である。
図8】第1の実施形態に係る検出ブロックの一構成例を示すブロック図である。
図9】第1の実施形態に係る微分器の一構成例を示す回路図である。
図10】第1の実施形態に係る比較部の一構成例を示す回路図である。
図11】第1の実施形態に係る微分器、セレクタおよびコンパレータの一構成例を示す回路図である。
図12】第1の実施形態に係る行駆動回路の制御の一例を示すタイミングチャートである。
図13】第1の実施形態に係る検出画素および検出回路の一構成例を示すブロック図である。
図14】第1の実施形態に係る固体撮像装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図15】本技術の第1の実施の形態の変形例における検出画素および検出回路の一構成例を示すブロック図である。
図16】本技術の第1の実施の形態の変形例における行駆動回路の制御の一例を示すタイミングチャートである。
図17】第1の実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。
図18】第1の実施形態に係る共有ブロックのレイアウト例を示す平面図である。
図19】第1の実施形態に係る高解像度モードとビニングモードとのそれぞれにおけるスイッチングトランジスタの制御例を示すタイミングチャートである。
図20】第1の実施形態に係る撮像装置の一動作例を示すフローチャートである。
図21】第2の実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。
図22】第2の実施形態に係る共有ブロックのレイアウト例を示す平面図である。
図23】第2の実施形態に係る高解像度モードとビニングモードとのそれぞれにおけるスイッチングトランジスタの制御例を示すタイミングチャートである。
図24】第3の実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。
図25】第3の実施形態に係る高解像度モードとビニングモードとのそれぞれにおけるスイッチングトランジスタの制御例を示すタイミングチャートである。
図26】第4の実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。
図27】第4の実施形態の変形例に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。
図28】第4の実施形態に係る読出し回路の概略構成例を示す回路図である。
図29】第4の実施形態に係る検出チップの平面図の一例である。
図30】第4の実施形態に係るオブジェクト検出モードと階調画像読出しモードとを切り替えて実行する動作例を示すフローチャートである。
図31】第5の実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。
図32】第5の実施形態の変形例に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。
図33】第6の実施形態に係る検出チップの平面図の一例である。
図34】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図35】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0009】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.第1の実施形態
1.1 撮像装置の構成例
1.2 固体撮像装置の構成例
1.3 対数応答部の構成例
1.3.1 対数応答部の変形例
1.4 検出ブロックの構成例
1.4.1 微分器、セレクタおよびコンパレータの構成例
1.5 行駆動回路の制御例
1.6 検出画素および検出回路の構成例
1.6.1 固体撮像装置の動作例
1.7 検出画素および検出回路の変形例
1.7.1 変形例に係る行駆動回路の制御例
1.8 共有ブロックの構成例
1.9 共有ブロックのレイアウト例
1.10 動作例
1.10.1 タイミングチャート
1.10.2 フローチャート
1.11 作用・効果
2.第2の実施形態
2.1 共有ブロックの構成例
2.2 共有ブロックのレイアウト例
2.3 動作例(タイミングチャート)
2.4 作用・効果
3.第3の実施形態
3.1 共有ブロックの構成例
3.2 動作例(タイミングチャート)
3.3 作用・効果
4.第4の実施形態
4.1 共有ブロックの構成例
4.1.1 共有ブロックの変形例
4.2 読出し回路の構成例
4.3 検出チップの構成例
4.4 動作例
4.5 作用・効果
5.第5の実施形態
5.1 共有ブロックの構成例
5.1.1 共有ブロックの変形例
5.2 動作例
6.第6の実施形態
7.移動体への応用例
【0010】
1.第1の実施形態
まず、第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
1.1 撮像装置の構成例
図1は、本開示の第1の実施形態に係る撮像装置100の一構成例を示すブロック図である。この撮像装置100は、光学部110、固体撮像装置200、記録部120および制御部130を備える。撮像装置100としては、産業用ロボットに搭載されるカメラや、車載カメラなどが想定される。
【0012】
光学部110は、入射光を集光して固体撮像装置200に導く。固体撮像装置200は、入射光を光電変換して画像データを生成する。この固体撮像装置200は、生成した画像データに対して、画像認識処理などの所定の信号処理を画像データに対して実行し、その処理後のデータを記録部120に信号線209を介して出力する。
【0013】
記録部120は、例えば、フラッシュメモリなどで構成され、固体撮像装置200から出力されたデータや制御部130から出力されたデータを記録する。
【0014】
制御部130は、例えば、アプリケーションプロセッサなどの情報処理装置で構成され、固体撮像装置200を制御して画像データを出力させる。
【0015】
1.2 固体撮像装置の構成例
(スタック構造例)
図2は、本実施形態に係る固体撮像装置200の積層構造の一例を示す図である。この固体撮像装置200は、検出チップ202と、その検出チップ202に積層された受光チップ201とを備える。これらのチップは、ビアなどの接続部を介して電気的に接続される。なお、ビアの他、Cu-Cu接合やバンプにより接続することもできる。例えば、受光チップ201は、請求の範囲における第1チップの一例であってよく、検出チップ202は、請求の範囲における第2チップの一例であってよい。
【0016】
(受光チップのレイアウト例)
図3は、本実施形態に係る受光チップ201の平面図の一例である。受光チップ201には、受光部220と、ビア配置部211、212および213とが設けられる。
【0017】
ビア配置部211、212および213には、検出チップ202と接続されるビアが配置される。また、受光部220には、二次元格子状に複数の共有ブロック221が配列される。
【0018】
共有ブロック221のそれぞれには、1又は2以上の対数応答部310が配列される。例えば、共有ブロック221ごとに、4つの対数応答部310が2行×2列で配列される。これらの4つの対数応答部310は、検出チップ202上の回路を共有する。共有する回路の詳細については後述する。なお、共有ブロック221内の対数応答部310の個数は、4つに限定されない。また、各対数応答部310における光電変換素子311を除く回路構成の一部又は全部は、検出チップ202側に配置されてもよい。
【0019】
対数応答部310は、光電変換素子311から流出した光電流をその対数値に応じた電圧信号に変換する。対数応答部310のそれぞれには、行アドレスおよび列アドレスからなる画素アドレスが割り当てられている。なお、本開示における画素とは、後述する後述する光電変換素子311を基準とする構成であってよく、本実施形態では、例えば、後述する検出画素300に相当する構成であってよい。
【0020】
(検出チップのレイアウト例)
図4は、本実施形態に係る検出チップ202の平面図の一例である。この検出チップ202には、ビア配置部231、232および233と、信号処理回路240と、行駆動回路251と、列駆動回路252と、アドレスイベント検出部260とが設けられる。ビア配置部231、232および233には、受光チップ201と接続されるビアが配置される。
【0021】
アドレスイベント検出部260は、対数応答部310ごとにアドレスイベントの有無を検出し、検出結果を示す検出信号を生成する。
【0022】
行駆動回路251は、行アドレスを選択して、その行アドレスに対応する検出信号をアドレスイベント検出部260に出力させる。
【0023】
列駆動回路252は、列アドレスを選択して、その列アドレスに対応する検出信号をアドレスイベント検出部260に出力させる。
【0024】
信号処理回路240は、アドレスイベント検出部260からの検出信号に対して所定の信号処理を実行する。この信号処理回路240は、検出信号を画素の信号として二次元格子状に配列し、画素毎に2ビットの情報を有する画像データを生成する。そして、信号処理回路240は、その画像データに対して画像認識処理などの信号処理を実行する。
【0025】
(検出チップのレイアウト例)
図5は、本実施形態に係るアドレスイベント検出部260の平面図の一例である。このアドレスイベント検出部260には、複数の検出ブロック320が配列される。検出ブロック320は、受光チップ201上の共有ブロック221ごとに配置される。共有ブロック221の個数がN(Nは、整数)である場合、N個の検出ブロック320が配列される。それぞれの検出ブロック320は、対応する共有ブロック221と接続される。
【0026】
1.3 対数応答部の構成例
図6は、本実施形態に係る対数応答部の基本構成例を示す回路図である。この対数応答部310は、光電変換素子311と、nMOS(n-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ312および313とpMOS(p-channel MOS)トランジスタ314とを備える。これらのうち、2つのnMOSトランジスタ312および313は、例えば、光電変換素子311から流れ出した光電流をその対数値に応じた電圧信号に変換する対数変換回路を構成する。また、pMOSトランジスタ314は、この対数変換回路に対する負荷MOSトランジスタとして動作する。なお、光電変換素子311と、nMOSトランジスタ312および313とは、例えば、受光チップ201に配置され、pMOSトランジスタ314は、検出チップ202に配置され得る。
【0027】
nMOSトランジスタ312のソースは光電変換素子311のカソードに接続され、ドレインは電源端子に接続される。pMOSトランジスタ314およびnMOSトランジスタ313は、電源端子と接地端子との間において、直列に接続される。また、pMOSトランジスタ314およびnMOSトランジスタ313の接続点は、nMOSトランジスタ312のゲートと検出ブロック320の入力端子とに接続される。また、pMOSトランジスタ314のゲートには、所定のバイアス電圧Vbias1が印加される。
【0028】
nMOSトランジスタ312および313のドレインは電源側に接続されており、このような回路はソースフォロワと呼ばれる。これらのループ状に接続された2つのソースフォロワにより、光電変換素子311からの光電流は、その対数値に応じた電圧信号に変換される。また、pMOSトランジスタ314は、一定の電流をnMOSトランジスタ313に供給する。
【0029】
また、受光チップ201のグランドと検出チップ202のグランドとは、干渉対策のために互いに分離されている。
【0030】
1.3.1 対数応答部の変形例
図6では、ソースフォロア型の対数応答部310について説明したが、このような構成に限定されない。図7は、本実施形態の変形例に係る対数応答部の基本構成例を示す回路図である。図7に示すように、対数応答部310Aは、例えば、図6に例示したソースフォロア型の回路構成に対し、nMOSトランジスタ312と電源線との間に直列接続されたnMOSトランジスタ315と、nMOSトランジスタ313とpMOSトランジスタ314との間に直列接続されたnMOSトランジスタ316とが追加された、所謂ゲインブースト型の回路構成を備える。4つのnMOSトランジスタ312、313、315及び316は、例えば、光電変換素子311から流れ出した光電流をその対数値に応じた電圧信号に変換する対数変換回路を構成する。
【0031】
このように、ゲインブースト型の対数応答部310Aを用いた場合でも、光電変換素子311からの光電流を、その電荷量に応じた対数値の電圧信号に変換することが可能である。
【0032】
1.4 検出ブロックの構成例
図8は、本実施形態に係る検出ブロック320の一構成例を示すブロック図である。この検出ブロック320は、複数のバッファ330と、複数の微分器340と、選択部400と、比較部500と、転送回路360とを備える。バッファ330および微分器340は、共有ブロック221内の対数応答部310ごとに配置される。例えば、共有ブロック221内の対数応答部310が4つである場合、バッファ330および微分器340は、4つずつ配置される。
【0033】
バッファ330は、対応する対数応答部310からの電圧信号を微分器340に出力する。このバッファ330により、後段を駆動する駆動力を向上させることができる。また、バッファ330により、後段のスイッチング動作に伴うノイズのアイソレーションを確保することができる。
【0034】
微分器340は、電圧信号の変化量、すなわち光電変換素子311に入射した光の輝度変化を微分信号として求める。この微分器340は、対応する対数応答部310からの電圧信号をバッファ330を介して受け取り、微分により、電圧信号の変化量を求める。そして、微分器340は、微分信号を選択部400に供給する。検出ブロック320内のm(mは、1乃至Mの整数)個目の微分信号SinをSinmとする。この微分器340は、例えば、請求の範囲における第一の回路に相当し得る。
【0035】
選択部400は、M個の微分信号のいずれかを、行駆動回路251からの選択信号に従って選択する。この選択部400は、セレクタ410および420を備える。
【0036】
セレクタ410には、M個の微分信号Sinが入力される。セレクタ410は、選択信号に従って、これらの微分信号Sinのいずれかを選択し、Sout+として比較部500に供給する。セレクタ420にもM個の微分信号Sinが入力される。セレクタ420は、選択信号に従って、これらの微分信号Sinのいずれかを選択し、Sout-として比較部500に供給する。
【0037】
比較部500は、選択部400により選択された微分信号(すなわち、変化量)と、所定の閾値とを比較する。この比較部500は、比較結果を示す信号を検出信号として転送回路360に供給する。この比較部500は、例えば、請求の範囲における第二の回路に相当し得る。
【0038】
転送回路360は、列駆動回路252からの列駆動信号に従って、検出信号を信号処理回路240に転送する。
【0039】
(微分器の構成例)
図9は、本実施形態に係る微分器340の一構成例を示す回路図である。この微分器340は、コンデンサ341および343と、インバータ342と、スイッチ344とを備える。
【0040】
コンデンサ341の一端は、バッファ330の出力端子に接続され、他端は、インバータ342の入力端子に接続される。コンデンサ343は、インバータ342に並列に接続される。スイッチ344は、コンデンサ343の両端を接続する経路を行駆動信号に従って開閉する。
【0041】
インバータ342は、コンデンサ341を介して入力された電圧信号を反転する。このインバータ342は反転した信号を選択部400に出力する。
【0042】
スイッチ344をオンした際にコンデンサ341のバッファ330側に電圧信号Vinitが入力され、その逆側は仮想接地端子となる。この仮想接地端子の電位を便宜上、ゼロとする。このとき、コンデンサ341に蓄積されている電位Qinitは、コンデンサ341の容量をC1とすると、次の式(1)により表される。一方、コンデンサ343の両端は、短絡されているため、その蓄積電荷はゼロとなる。
init=C1×Vinit ・・・(1)
【0043】
次に、スイッチ344がオフされて、コンデンサ341のバッファ330側の電圧が変化してVafterになった場合を考えると、コンデンサ341に蓄積される電荷Qafterは、次の式(2)により表される。
after=C1×Vafter ・・・(2)
【0044】
一方、コンデンサ343に蓄積される電荷Q2は、出力電圧をVoutとすると、次の式(3)により表される。
Q2=-C2×Vout ・・・(3)
【0045】
このとき、コンデンサ341および343の総電荷量は変化しないため、次の式(4)が成立する。
init=Qafter+Q2 ・・・(4)
【0046】
式(4)に式(1)乃至式(3)を代入して変形すると、次の式(5)が得られる。
out=-(C1/C2)×(Vafter-Vinit) ・・・(5)
【0047】
式(5)は、電圧信号の減算動作を表し、減算結果の利得はC1/C2となる。通常、利得を最大化することが望まれるため、C1を大きく、C2を小さく設計することが好ましい。一方、C2が小さすぎると、kTCノイズが増大し、ノイズ特性が悪化するおそれがあるため、C2の容量削減は、ノイズを許容することができる範囲に制限される。また、画素ごとに微分器340が搭載されるため、容量C1やC2には、面積上の制約がある。これらを考慮して、例えば、C1は、20乃至200フェムトファラッド(fF)の値に設定され、C2は、1乃至20フェムトファラッド(fF)の値に設定される。
【0048】
(比較部の構成例)
図10は、本実施形態に係る比較部500の一構成例を示す回路図である。この比較部500は、コンパレータ510および520を備える。
【0049】
コンパレータ510は、セレクタ410からの微分信号Sout+と、所定の上限閾値Vrefpとを比較する。このコンパレータ510は、比較結果を検出信号DET+として転送回路360に供給する。この検出信号DET+は、オンイベントの有無を示す。ここで、オンイベントは、輝度の変化量が所定の上限閾値を超えた旨を意味する。
【0050】
コンパレータ520は、セレクタ420からの微分信号Sout-と、上限閾値Vrefpより低い下限閾値Vrefnとを比較する。このコンパレータ520は、比較結果を検出信号DET-として転送回路360に供給する。この検出信号DET-は、オフイベントの有無を示す。ここで、オフイベントは、輝度の変化量が所定の下限閾値を下回った旨を意味する。なお、比較部500は、オンイベントおよびオフイベントの両方の有無を検出しているが、一方のみを検出することもできる。
【0051】
なお、例えば、コンパレータ510は、請求の範囲に記載の第1比較器の一例であってよく、コンパレータ520は、請求の範囲に記載の第2比較器の一例であってよい。また、例えば、上限閾値は、請求の範囲に記載の第1閾値の一例であってよく、下限閾値は、請求の範囲に記載の第2閾値の一例であってよい。
【0052】
1.4.1 微分器、セレクタおよびコンパレータの構成例
図11は、本実施形態に係る検出ブロック320における微分器340、セレクタ410およびコンパレータ510の一構成例を示す回路図である。
【0053】
微分器340は、コンデンサ341および343と、pMOSトランジスタ345および346と、nMOSトランジスタ347とを備える。pMOSトランジスタ345およびnMOSトランジスタ347は、pMOSトランジスタ345を電源側として、電源端子と接地端子との間において直列に接続される。これらのpMOSトランジスタ345およびnMOSトランジスタ347のゲートと、バッファ330との間にコンデンサ341が挿入される。pMOSトランジスタ345およびnMOSトランジスタ347の接続点は、セレクタ410に接続される。この接続構成により、pMOSトランジスタ345およびnMOSトランジスタ347は、インバータ342として機能する。
【0054】
また、pMOSトランジスタ345およびnMOSトランジスタ347の接続点と、コンデンサ341との間においてコンデンサ343とpMOSトランジスタ346とが並列に接続される。このpMOSトランジスタ346は、スイッチ344として機能する。
【0055】
また、セレクタ410には、複数のpMOSトランジスタ411が配置される。pMOSトランジスタ411は、微分器340ごとに配置される。
【0056】
pMOSトランジスタ411は、対応する微分器340とコンパレータ510との間に挿入される。また、pMOSトランジスタ411のゲートのそれぞれには、個別に選択信号SELが入力される。m個目のpMOSトランジスタ411の選択信号SELをSELmとする。これらの選択信号SELにより、行駆動回路251は、M個のpMOSトランジスタ411のいずれかをオン状態に制御し、残りをオフ状態に制御することができる。そして、オン状態のpMOSトランジスタ411を介して、微分信号Sout+が選択された信号としてコンパレータ510に出力される。なお、セレクタ420の回路構成は、セレクタ410と同様である。
【0057】
コンパレータ510は、pMOSトランジスタ511およびnMOSトランジスタ512を備える。pMOSトランジスタ511およびnMOSトランジスタ512は、電源端子と接地端子との間において直列に接続される。また、pMOSトランジスタ511のゲートに微分信号Sout+が入力され、nMOSトランジスタ512のゲートには、上限閾値Vrefpの電圧が入力される。pMOSトランジスタ511およびnMOSトランジスタ512の接続点からは、検出信号DET+が出力される。なお、コンパレータ520の回路構成は、コンパレータ510と同様である。
【0058】
なお、微分器340、セレクタ410およびコンパレータ510のそれぞれの回路構成は、図8を参照して説明した機能を有するものであれば、図11に例示したものに限定されない。例えば、nMOSトランジスタとpMOSトランジスタとを入れ替えることができる。
【0059】
1.5 行駆動回路の制御例
図12は、本実施形態に係る行駆動回路251の制御の一例を示すタイミングチャートである。タイミングT0において、行駆動回路251は、行駆動信号L1により、1行目を選択し、その行の微分器340を駆動する。この行駆動信号L1により1行目の微分器340内のコンデンサ343が初期化される。また、行駆動回路251は、選択信号SEL1により、共有ブロック221内の2行×2列のうち左上を一定期間に亘って選択し、選択部400を駆動する。これにより、1行目の奇数列においてアドレスイベントの有無が検出される。
【0060】
次にタイミングT1において、行駆動回路251は、行駆動信号L1により、1行目の微分器340を再度、駆動する。また、行駆動回路251は、選択信号SEL2により、共有ブロック221内の2行×2列のうち右上を一定期間に亘って選択する。これにより、1行目の偶数列においてアドレスイベントの有無が検出される。
【0061】
タイミングT2において、行駆動回路251は、行駆動信号L2により、2行目の微分器340を駆動する。この行駆動信号L2により2行目の微分器340内のコンデンサ343が初期化される。また、行駆動回路251は、選択信号SEL3により、共有ブロック221内の2行×2列のうち左下を一定期間に亘って選択する。これにより、2行目の奇数列においてアドレスイベントの有無が検出される。
【0062】
続いてタイミングT3において、行駆動回路251は、行駆動信号L2により、2行目の微分器340を再度、駆動する。また、行駆動回路251は、選択信号SEL4により、共有ブロック221内の2行×2列のうち右下を一定期間に亘って選択する。これにより、2行目の偶数列においてアドレスイベントの有無が検出される。
【0063】
以下、同様に行駆動回路251は、対数応答部310を配列した行を順に選択し、選択した行を行駆動信号により駆動する。また、行駆動回路251は、行を選択するたびに、選択した行の共有ブロック221内の検出画素300のそれぞれを選択信号により順に選択する。例えば、共有ブロック221内に2行×2列の検出画素300が配列される場合、行が選択されるたびに、その行内の奇数列と偶数列とが順に選択される。
【0064】
なお、行駆動回路251は、共有ブロック221を配列した行(言い換えれば、対数応答部310の2行分)を順に選択することもできる。この場合には、行が選択されるたびに、その行の共有ブロック221内の4つの検出画素が順に選択される。
【0065】
1.6 検出画素および検出回路の構成例
図13は、本実施形態に係る検出画素300および検出回路305の一構成例を示すブロック図である。共有ブロック221内の複数の対数応答部310により共有される検出ブロック320のうち、選択部400、比較部500および転送回路360からなる回路を検出回路305とする。また、対数応答部310、バッファ330および微分器340からなる回路を、検出画素300とする。同図に例示するように、複数の検出画素300により検出回路305が共有される。
【0066】
検出回路305を共有する複数の検出画素300のそれぞれは、光電流の対数値に応じた電圧信号を生成する。そして、検出画素300のそれぞれは、行駆動信号に従って電圧信号の変化量を示す微分信号Sinを検出回路305に出力する。検出画素300のそれぞれにおいて、対数値に応じた電圧信号は、対数応答部310により生成され、微分信号は、微分器340により生成される。
【0067】
検出回路305内のセレクタ410および420には、選択信号SEL1やSEL2などの選択信号が共通に入力される。検出回路305は、複数の検出画素300のうち、選択信号の示す検出画素の微分信号(すなわち、変化量)を選択し、その変化量が所定の閾値を超えるか否かを検出する。そして、検出回路305は、列駆動信号に従って検出信号を信号処理回路240に転送する。検出回路305において、微分信号は選択部400により選択され、閾値との比較は、比較部500により行われる。また、検出信号は、転送回路360により転送される。
【0068】
ここで、一般的なDVSでは、比較部500および転送回路360は、対数応答部310、バッファ330および微分器340とともに検出画素ごとに配置される。これに対して、比較部500および転送回路360を含む検出回路305を複数の検出画素300が共有する上述の構成では、共有しない場合と比較して、固体撮像装置200の回路規模を削減することができる。これにより、画素の微細化が容易となる。
【0069】
特に、積層構造を採用する場合、検出回路305を共有しない一般的な構成では、受光チップ201より検出チップ202の方が回路規模が大きくなる。このため、検出チップ202側の回路により、画素の密度が制限され、画素の微細化が困難となる。しかし、複数の検出画素300が検出回路305を共有することにより、検出チップ202の回路規模を削減し、画素を容易に微細化することができる。
【0070】
なお、検出画素300ごとにバッファ330を配置しているが、この構成に限定されず、バッファ330を設けない構成とすることもできる。
【0071】
また、対数応答部310の光電変換素子311とnMOSトランジスタ312および313とを受光チップ201に配置し、pMOSトランジスタ314以降を検出チップ202に配置しているが、この構成に限定されない。例えば、光電変換素子311のみを受光チップ201に配置し、それ以外を検出チップ202に配置することもできる。また、対数応答部310のみを受光チップ201に配置し、バッファ330以降を検出チップ202に配置することもできる。また、対数応答部310およびバッファ330を受光チップ201に配置し、微分器340以降を検出チップ202に配置することもできる。また、対数応答部310、バッファ330および微分器340を受光チップ201に配置し、検出回路305以降を検出チップ202に配置することもできる。また、選択部400までを受光チップ201に配置し、比較部500以降を検出チップ202に配置することもできる。
【0072】
1.6.1 固体撮像装置の動作例
図14は、本実施形態に係る固体撮像装置200の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、例えば、アドレスイベントの有無を検出するための所定のアプリケーションが実行されたときに開始される。
【0073】
行駆動回路251は、いずれかの行を選択する(ステップS901)。そして、行駆動回路251は、選択した行において、それぞれの共有ブロック221内の検出画素300のいずれかを選択して駆動する(ステップS902)。検出回路305は、選択された検出画素300において、アドレスイベントの有無を検出する(ステップS903)。ステップS903の後に、固体撮像装置200は、ステップS901以降を繰り返し実行する。
【0074】
このように、本実施形態では、アドレスイベントの有無を検出する検出回路305を複数の検出画素300が共有するため、検出回路305を共有しない場合よりも回路規模を削減することができる。これにより、検出画素300の微細化が容易となる。
【0075】
1.7 検出画素および検出回路の変形例
上述の第1の実施形態では、固体撮像装置200は、検出画素300を1つずつ選択し、その検出画素についてオンイベントおよびオフイベントを同時に検出していた。しかし、固体撮像装置200は、検出画素を2つ選択し、それらの一方についてオンイベントを検出するとともに他方についてオフイベントを検出することもできる。この第1の実施形態の変形例の固体撮像装置200は、2つの検出画素の一方についてオンイベントを検出するとともに他方についてオフイベントを検出する点において第1の実施に形態と異なる。
【0076】
図15は、本実施形態の変形例における検出画素300および検出回路305の一構成例を示すブロック図である。この第1の実施形態の変形例の検出回路305は、セレクタ410に、選択信号SEL1pやSEL2pなどの選択信号が入力され、セレクタ420に選択信号SEL1nやSEL2nなどの選択信号が入力される点において第1の実施形態と異なる。第1の実施形態の変形例において、検出画素300は2つ選択され、その一方の微分信号をセレクタ410が選択信号SEL1pやSEL2pなどに従って選択する。同時に、他方の微分信号をセレクタ420が選択信号SEL1nやSEL2nなどに従って選択する。
【0077】
1.7.1 変形例に係る行駆動回路の制御例
図16は、本実施形態の変形例における行駆動回路251の制御の一例を示すタイミングチャートである。タイミングT0乃至T2において、微分信号Sin1を出力する検出画素300と、微分信号Sin2を出力する検出画素300の2つが選択されたものとする。タイミングT0乃至T1において、行駆動回路251は、選択信号SEL1pおよびSEL2nをハイレベルにし、選択信号SEL2pおよびSEL1nをローレベルにする。これにより、微分信号Sin1に対応する画素について、オンイベントが検出され、微分信号Sin2に対応する画素についてオフイベントが検出される。
【0078】
そして、タイミングT1乃至T2において、行駆動回路251は、選択信号SEL1pおよびSEL2nをローレベルにし、選択信号SEL2pおよびSEL1nをハイレベルにする。これにより、微分信号Sin2に対応する画素について、オンイベントが検出され、微分信号Sin1に対応する画素についてオフイベントが検出される。
【0079】
このように、本実施形態の変形例によれば、2つの検出画素の一方についてオンイベントを検出するとともに他方についてオフイベントを検出するため、同時刻に、空間的に平行してオンイベントおよびオフイベントを検出することができる。
【0080】
1.8 共有ブロックの構成例
次に、上述した説明における各共有ブロック221のより詳細な構成例について、以下に図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、対数応答部310として、図7に例示したゲインブースト型の対数応答部310Aを引用するが、これに限定されず、例えば、図6に例示したソースフォロア型の対数応答部310など、光電流の対数値に応じた電圧信号を生成する種々の回路が用いられてよい。また、以下の説明では、1つの共有ブロック221が2行×2列の計4つの対数応答部310Aを含む場合を例示するが、これに限定されず、各共有ブロック221は1又は2以上の対数応答部310Aを含んでよい。
【0081】
図17は、本実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。図17に示すように、各共有ブロック221は、4つの対数応答部310A1~310A4を含む。各対数応答部310A1~310A4(以下、対数応答部310A1~310A4を区別しない場合、その符号を310Anとする)は、図6に例示した対数応答部310Aの基本構成に加え、2つのスイッチングトランジスタ317及び318が追加された構成を備える。2つのスイッチングトランジスタ317及び318は、それぞれnMOSトランジスタであってもpMOSトランジスタであってもよい。例えば、スイッチングトランジスタ317は、請求の範囲における第1トランジスタの一例であってよく、スイッチングトランジスタ318は、請求の範囲における第2トランジスタの一例であってよい。
【0082】
スイッチングトランジスタ317は、例えば、光電変換素子311のカソードと、nMOSトランジスタ312のドレイン及びnMOSトランジスタ313のゲートとの間に接続され、光電変換素子311から流れ出した光電流の対数変換回路への流入を制御する。
【0083】
スイッチングトランジスタ318は、例えば、光電変換素子311のカソードと、共通線3101との間に接続される。共通線3101には、同一の共有ブロック221に含まれる全ての対数応答部310Anにおける光電変換素子311のカソードがスイッチングトランジスタ318を介して接続される。例えば、共通線3101は、請求の範囲における第1共通線の一例であってよい。
【0084】
以上のような構成において、1つの共有ブロック221に含まれる対数応答部310Anのうちの2以上の対数応答部310Anにおけるスイッチングトランジスタ318をオン状態にするとともに、この2以上の対数応答部310Anのうちの1つの対数応答部310An(これを対数応答部310A1とする)のスイッチングトランジスタ317をオン状態とし、他の対数応答部310Anのスイッチングトランジスタ317をオフ状態とすることで、対数応答部310A1の光電変換素子311から流れ出した光電流及びスイッチングトランジスタ317がオフ状態とされた対数応答部310Anの光電変換素子311から流れ出した光電流を、対数応答部310A1の対数変換回路に集中的に流入させることができる。すなわち、スイッチングトランジスタ317がオフ状態、スイッチングトランジスタ318がオン状態とされた対数応答部310Anの光電変換素子311から流出した光電流を、スイッチングトランジスタ317及び318の両方がオン状態とされた対数応答部310Anの対数変換回路に集めることが可能となる。
【0085】
このように、複数の光電変換素子311から流出した光電流を1つの対数変換回路に集約可能な構成とすることで、より多くの光電流量を確保することが可能となるため、光電流検出におけるダイナミックレンジを広げることが可能となる。それにより、低照度時などでも十分な広さのダイナミックレンジを確保することが可能となる。
【0086】
一方で、十分な照度が得られる場合には、全て又は必要十分な数の対数応答部310Anにおいて、スイッチングトランジスタ318をオフ状態、スイッチングトランジスタ317をオン状態とすることで、この全て又は必要十分な数の対数応答部310Anそれぞれを1つのアドレスイベント検出画素として動作させることが可能となるため、高解像度でのアドレスイベントの検出や動作電力の低減などが可能となる。
【0087】
1.9 共有ブロックのレイアウト例
次に、図17に例示した共有ブロック221のレイアウト例について説明する。図18は、本実施形態に係る共有ブロックのレイアウト例を示す平面図である。なお、図18には、説明の都合上、光電変換素子311が形成される半導体基板の素子形成面側の概略レイアウト例と、素子形成面上に形成された配線層の一部の概略レイアウト例とが示されている。また、図18では、明確化のため、ゲート電極の位置を以て各nMOSトランジスタ312、313、315及び316並びにスイッチングトランジスタ317及び318の配置が示されている。さらに、図18には、後述におけるビニングモードの際に形成される電流経路の概要が太線の矢印により示されている。
【0088】
ここで、本実施形態において、1つの画素の定義には少なくとも2つが存在する。1つは、受光部220の設計において繰り返しのパターンとなるレイアウト上の画素であり、他の1つは、1つの検出画素300として動作する回路上の画素である。この回路上の画素は、それぞれ1つの対数応答部310Anを含んで構成される。以下の説明では、レイアウト上の画素をレイアウト画素と称し、回路上の画素を回路画素と称する。また、検出画素300のうち、受光部220に配置される構成は、対数応答部310Anの全部または一部であるため、ここでは対数応答部310Anを回路画素として説明する。
【0089】
(レイアウト画素)
図18に示すように、受光チップ201において1つのレイアウト画素10がそれぞれ配置される画素エリアは、行方向及び列方向に延在する画素分離部12で区画されている。各レイアウト画素10は、略中央に配置された光電変換素子311と、画素エリアの外周部に沿って配置された、言い換えれば、光電変換素子311を少なくとも2方向(図18では3方向)から囲むように配置された複数のnMOSトランジスタ312、313、315及び316並びにスイッチングトランジスタ317および318、並びに、検出チップ202側に配置されたpMOSトランジスタ314との接続を形成するためのコンタクト314cとを含む。
【0090】
図18に示すレイアウト例において、例えば、図17に例示する各対数応答部310Anにおける左列のnMOSトランジスタ312及び315は、光電変換素子311の左側に配列され、右列のnMOSトランジスタ313及び316は、光電変換素子311の右側に配列される。また、2つのスイッチングトランジスタ317及び318は、例えば、光電変換素子311の上側又は下側に配置される。このように、光電変換素子311が2つずつのnMOSトランジスタで挟まれた対称性の高いレイアウトとすることで、製造時のプロセス精度や歩留まりを高めることが可能となる。
【0091】
また、2つのスイッチングトランジスタ317及び318は、例えば、奇数行では光電変換素子311の下側に配置され、偶数行では光電変換素子311の上側に配置される。すなわち、偶数行のレイアウト画素10は、奇数行のレイアウト画素10を上下反転させたレイアウトを有する。このようなレイアウトとすることで、1つのレイアウト画素10のパターンを全てのレイアウト画素10に流用することが可能となるため、受光部220のレイアウト設計を容易化することも可能となる。
【0092】
さらに、レイアウト画素10を奇数行と偶数行とで上下反転させたレイアウトとすることで、1つの共有ブロック221を構成する対数応答部310Anのスイッチングトランジスタ317及び318を近接することが可能となるため、共通線3101のレイアウト設計の容易化や、共通線3101の配線長の短縮等を達成することも可能となる。
【0093】
(回路画素)
一方、回路上では、あるレイアウト画素10における光電変換素子311と、この光電変換素子311の左側に配置された2つのnMOSトランジスタ312及び315と、このレイアウト画素10に対して左隣に隣接するレイアウト画素10における光電変換素子311の右側に配置された2つのnMOSトランジスタ313及び316とが、1つの回路画素(ここでは対数応答部310An)を構成する。すなわち、レイアウト上の回路画素(ここでは対数応答部310An)では、4つのnMOSトランジスタ312、313、315及び316で構成される対数変換回路が、画素分離部12を跨ぐ構成を有する。
【0094】
このように、隣接するレイアウト画素10間で1つの対数応答部310Anにおける対数変換回路を構成することで、レイアウト画素10の対称性を維持しつつ、対数変換回路の配線長、すなわち、対数変換回路を構成するnMOSトランジスタ312、313、315及び316を接続する配線の長さを短くすることが可能となる。それにより、対数変換回路を構成する配線が形成する時定数を低減して対数変換回路の応答速度を向上させることが可能となる。
【0095】
1.10 動作例
次に、本実施形態に係る撮像装置100の動作例について説明する。上述したように、本実施形態では、スイッチングトランジスタ317及び318のオン/オフを制御することで、1つの対数応答部310(対数応答部310Aであってもよい)が1つの画素として動作するモード(以下、高解像度モードという)と、共有ブロック221における2以上の対数応答部310が1つの画素として動作するモード(以下、ビニングモードという)とを切り替えることが可能である。また、一部の共有ブロック221を高解像度モードで駆動し、残りの共有ブロック221をビニングモードで駆動するモード(以下、ROIモードという)を実現することも可能である。例えば、ビニングモード及びROIモードは、請求の範囲における第1モードの一例であってよく、高解像度モードは、請求の範囲における第2モードの一例であってよい。また、ビニングモードは、請求の範囲における第3モードの一例であってもよく、ROIモードは、請求の範囲における第4モードの一例であってもよい。
【0096】
1.10.1 タイミングチャート
図19は、本実施形態に係る高解像度モードとビニングモードとのそれぞれにおけるスイッチングトランジスタの制御例を示すタイミングチャートである。図19に示すように、区間T10~T11に示す高解像度モードでは、各対数応答部310A1~310A4において、スイッチングトランジスタ317がオン状態とされ、スイッチングトランジスタ318がオフ状態とされる。それにより、各対数応答部310A1~310A4の光電変換素子311から流出した光電流が各自の対数変換回路に流入する電流経路が形成される。
【0097】
これに対し、区間T11~T12に示すビニングモードでは、対数応答部310A1のスイッチングトランジスタ317及び318が両方ともオン状態とされる。一方で、対数応答部310A2~310A4では、スイッチングトランジスタ317がオフ状態とされ、スイッチングトランジスタ318がオン状態とされる。それにより、各対数応答部310A1~310A4の光電変換素子311から流出した光電流が対数応答部310A1の対数変換回路に流入する電流経路が形成される。
【0098】
1.10.2 フローチャート
続いて、撮像装置100の動作例について説明する。図20は、本実施形態に係る撮像装置の一動作例であって、全画素がビニングモードで動作するモード(以下、全画素ビニングモードという)と、全画素が高解像度モードで動作するモード(以下、全画素高解像度モードという)と、ROIモードとを切り替える動作例を示すフローチャートである。なお、本説明では、撮像装置100における制御部130(図1参照)が固体撮像装置200の動作モードを制御する場合を例示するが、これに限定されず、例えば、固体撮像装置200内の信号処理回路240が動作モードを制御するように構成されてもよい。また、図20に例示する動作は、例えば、制御部130や固体撮像装置200に対する割り込み動作等で終了してもよい。
【0099】
図20に示すように、本動作では、起動後、制御部130は、例えば、固体撮像装置200の動作モードに全画素ビニングモードを設定する(ステップS101)。全画素ビニングモードでは、上述したように、受光部220の全ての共有ブロック221がビニングモードで駆動される。その場合、例えば、図17に示す例では、各共有ブロック221における全ての対数応答部310A1~310A4のスイッチングトランジスタ317がオン状態とされるとともに、対数応答部310A1のスイッチングトランジスタ318がオン状態とされ、対数応答部310A2~310A4のスイッチングトランジスタ318がオフ状態とされる。それにより、全ての対数応答部310A1~310A4の光電変換素子311から流出した光電流が対数応答部310A1の対数変換回路に流入する電流経路が形成される。
【0100】
次に、制御部130は、全画素ビニングモードにおいてオブジェクトが検出されたか否かを判定し(ステップS102)、オブジェクトが検出されるまで全画素ビニングモードを継続する(ステップS102のNO)。オブジェクトの検出判定は、例えば、いずれかの共有ブロックにおいてアドレスイベント(オンイベント及び/又はオフイベント)が検出されたか否かや、アドレスイベントが検出された領域がある程度(例えば、予め設定しておいた閾値以上)の面積又は画素数を有しているか否か等に基づいて実行されてよい。また、オブジェクトの検出は、1フレームで判定する必要はなく、連続する数フレームで判定してもよい。なお、1フレームとは、例えば、所定期間内にアドレスイベントが検出された画素のアドレス情報(タイムスタンプを含んでもよい)で構成された画像データであってよい。また、オブジェクトの検出は、画像データに対する物体認識などの処理によって実行されてもよい。
【0101】
オブジェクトが検出された場合(ステップS102のYES)、制御部130は、例えば、検出されたオブジェクトが広範囲のオブジェクトであるか否かや複数のオブジェクトであるか否か等を判定する(ステップS103)。なお、広範囲とは、例えば、受光部220に対して予め設定しておいた割合(例えば、面積又は画素数の20%等)以上を占める範囲等であってよい。
【0102】
広範囲でないオブジェクトが検出された場合(ステップS103のNO)、制御部130は、例えば、固体撮像装置200の動作モードにROIモードを設定する(ステップS104)。ROIモードでは、例えば、受光部220におけるオブジェクトが検出された領域を含む一部の領域が高解像度モードで駆動され、他の領域がビニングモードで駆動される。
【0103】
次に、制御部130は、オブジェクトが検出されたか否かを判定し(ステップS105)、オブジェクトが検出されなければ(ステップS105のNO)、ステップS101へ戻り、固体撮像装置200に全画素ビニングモードを設定し直す。オブジェクトが検出された場合(ステップS105のYES)、制御部130は、ステップS103と同様に、例えば、検出されたオブジェクトが広範囲のオブジェクトであるか否かや複数のオブジェクトであるか否か等を判定し(ステップS106)、広範囲でなければ(ステップS106のNO)、ステップS105へ戻ってROIモードを継続する。
【0104】
ステップS103又はステップS106で広範囲のオブジェクトが検出された場合(ステップS103/S106のYES)、制御部130は、例えば、固体撮像装置200の動作モードに全画素高解像度モードを設定する(ステップS107)。全画素高解像度モードでは、上述したように、受光部220の全ての共有ブロック221が高解像度モードで駆動される。その場合、例えば、図17に示す例では、各共有ブロック221における全ての対数応答部310A1~310A4のスイッチングトランジスタ317がオフ状態とされ、スイッチングトランジスタ318がオン状態とされる。それにより、各対数応答部310A1~310A4の光電変換素子311から流出した光電流が自身の対数変換回路に流入する個別の電流経路が形成される。
【0105】
次に、制御部130は、オブジェクトが検出されたか否かを判定し(ステップS108)、オブジェクトが検出されなければ(ステップS108のNO)、ステップS101へ戻り、固体撮像装置200に全画素ビニングモードを設定し直す。オブジェクトが検出された場合(ステップS108のYES)、制御部130は、ステップS103と同様に、例えば、検出されたオブジェクトが広範囲のオブジェクトであるか否かや複数のオブジェクトであるか否か等を判定し(ステップS109)、広範囲であれば(ステップS109のYES)、ステップS108へ戻って全画素高解像度モードを継続する。一方、検出されたオブジェクトが広範囲又は複数でない場合(ステップS109のNO)、制御部130は、ステップS104へ移行し、固体撮像装置200の動作モードにROIモードを設定して、以降の動作を実行する。
【0106】
1.11 作用・効果
以上のように、本実施形態によれば、複数の光電変換素子311から流出した光電流を1つの対数変換回路に集約可能な構成とすることで、より多くの光電流量を確保することが可能となるため、光電流検出におけるダイナミックレンジを広げることが可能となる。それにより、低照度時などでも十分な広さのダイナミックレンジを確保することが可能となる。
【0107】
一方で、十分な照度が得られる場合には、全て又は必要十分な数の対数応答部310Anにおいて、スイッチングトランジスタ318をオフ状態、スイッチングトランジスタ317をオン状態とすることで、この全て又は必要十分な数の対数応答部310Anそれぞれを1つのアドレスイベント検出画素として動作させることが可能となるため、高解像度でのアドレスイベントの検出や動作電力の低減などが可能となる。
【0108】
また、ビニングモード時には、共有する対数応答部310An(例えば、共有ブロック221内の全ての対数応答部310An)のスイッチングトランジスタ318を常時オン状態とすることで、各対数応答部310A2~310Anから対数応答部310A1の対数変換回路への電流パスが常に形成された状態となるため、例えば、CMOS型のイメージセンサのような、浮遊拡散領域などの電荷蓄積部を備えることなく、複数の検出画素300で1つの対数変換回路を共有することが可能となる。
【0109】
2.第2の実施形態
次に、第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、第1の実施形態において図17を用いて説明した共有ブロック221の他の構成について、例を挙げて説明する。
【0110】
図17及び図18を用いて説明したように、第1の実施形態では、ビニングモード時にスイッチングトランジスタ318がオフ状態とされた対数応答部310A2~310A4の光電変換素子311から流出した光電流は、共通線3101を介した後、対数応答部310A1のスイッチングトランジスタ317、光電変換素子311のカソード及びスイッチングトランジスタ318を介して、対数応答部310A1の対数変換回路に流入する。そのため、第1の実施形態では、対数応答部310A2~310A4の光電変換素子311から流出した光電流が対数応答部310A1の対数変換回路にスムーズに流入するように、対数応答部310A1のスイッチングトランジスタ317から光電変換素子311のカソードを経てスイッチングトランジスタ318までの電位ポテンシャルをデザインする必要がある。そこで、第2の実施形態では、ポテンシャルデザインに対する制約を大幅に緩和することが可能な共有ブロックについて、例を挙げて説明する。
【0111】
なお、本実施形態に係る撮像装置及び固体撮像装置の構成及び動作は、上述した第1の実施形態に係る撮像装置100及び固体撮像装置200の構成及び動作と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、本実施形態では、第1の実施形態に係る共有ブロック221が後述する共有ブロック621に置き換えられる。
【0112】
2.1 共有ブロックの構成例
図21は、本実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。なお、以下で例示する対数応答部310Bnは、図7に例示したゲインブースト型の対数応答部310Aをベースとした対数応答部の例であるが、これに限定されず、例えば、図6に例示したソースフォロア型の対数応答部310など、光電流の対数値に応じた電圧信号を生成する種々の回路をベースとして対数応答部310Bを構成することができる。また、以下の説明では、1つの共有ブロック621が2行×2列の計4つの対数応答部310Bnを含む場合を例示するが、これに限定されず、各共有ブロック621は1又は2以上の対数応答部310Bnを含んでよい。
【0113】
図21に示すように、本実施形態に係る対数応答部310B1~310B4(本説明において、対数応答部310B1~310B4を区別しない場合、その符号を310Bnとする)は、第1の実施形態において図17を用いて説明した対数応答部310Anと同様の構成において、スイッチングトランジスタ319がさらに追加された構成を備える。スイッチングトランジスタ319のソースは、例えば、スイッチングトランジスタ318のドレインに接続され、ドレインは、例えば、スイッチングトランジスタ317のドレイン、nMOSトランジスタ312のソース及びnMOSトランジスタ313のゲートに接続される。例えば、スイッチングトランジスタ319は、請求の範囲における第3トランジスタの一例であってよい。また、例えば、スイッチングトランジスタ317のドレイン、nMOSトランジスタ312のソース及びnMOSトランジスタ313のゲートを結ぶノードは、請求の範囲における第2ノードの一例であってよく、スイッチングトランジスタ318のドレインは、請求の範囲における第2ノードの一例であってよい。
【0114】
2.2 共有ブロックのレイアウト例
次に、図21に例示した共有ブロック621のレイアウト例について説明する。図22は、本実施形態に係る共有ブロックのレイアウト例を示す平面図である。なお、図22には、説明の都合上、光電変換素子311が形成される半導体基板の素子形成面側の概略レイアウト例と、素子形成面上に形成された配線層の一部の概略レイアウト例とが示されている。また、図22では、明確化のため、ゲート電極の位置を以て各nMOSトランジスタ312、313、315及び316並びにスイッチングトランジスタ317~319の配置が示されている。さらに、図22には、後述におけるビニングモードの際に形成される電流経路の概要が太線の矢印により示されている。例えば、nMOSトランジスタ312は、請求の範囲における第4トランジスタの一例であってよく、nMOSトランジスタ313は、請求の範囲における第5トランジスタの一例であってよく、nMOSトランジスタ315は、請求の範囲における第6トランジスタの一例であってよく、nMOSトランジスタ316は、請求の範囲における第7トランジスタの一例であってよい。
【0115】
図22に示すように、本実施形態に係る各レイアウト画素20は、第1の実施形態において図18を用いて説明したレイアウト画素10と同様の構成において、光電変換素子311に対してスイッチングトランジスタ317が配置された側と同じ側に、スイッチングトランジスタ319が追加された構成を備える。このようなレイアウトとすることで、共通線3101からスイッチングトランジスタ319までの配線を短くすることが可能となる。
【0116】
2.3 動作例(タイミングチャート)
続いて、対数応答部310Bnの動作例について説明する。図23は、本実施形態に係る高解像度モードとビニングモードとのそれぞれにおけるスイッチングトランジスタの制御例を示すタイミングチャートである。図23に示すように、区間T20~T21に示す高解像度モードでは、各対数応答部310B1~310B4において、スイッチングトランジスタ317及び319がオフ状態とされ、スイッチングトランジスタ318がオン状態とされる。それにより、各対数応答部310B1~310B4の光電変換素子311から流出した光電流が各自の対数変換回路に流入する電流経路が形成される。
【0117】
これに対し、区間T21~T22に示すビニングモードでは、対数応答部310B1のスイッチングトランジスタ317がオン状態とされ、スイッチングトランジスタ318がオフ状態とされるとともに、スイッチングトランジスタ319がオン状態とされる。一方で、対数応答部310B2~310B4では、スイッチングトランジスタ317がオフ状態とされ、スイッチングトランジスタ318がオン状態とされるとともに、スイッチングトランジスタ319がオフ状態とされる。それにより、各対数応答部310B1~310B4の光電変換素子311から流出した光電流が対数応答部310B1の対数変換回路に流入する電流経路が形成される。
【0118】
2.4 作用・効果
以上のように、本実施形態によれば、ビニングモード時に、共通線3101を介して流入した光電流が、対数応答部310B1のスイッチングトランジスタ318、光電変換素子311のカソード及びスイッチングトランジスタ317を介さずに、対数応答部310B1のスイッチングトランジスタ319を介して、対数応答部310B1の対数変換回路に流入する電流経路が形成されるため、スイッチングトランジスタ318からスイッチングトランジスタ317までのポテンシャルデザインに対する制約を大幅に緩和することが可能となる。
【0119】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0120】
3.第3の実施形態
次に、第3の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、第1の実施形態において図17を用いて説明した共有ブロック221のさらに他の構成について、例を挙げて説明する。
【0121】
なお、本実施形態に係る撮像装置及び固体撮像装置の構成及び動作は、上述した第1の実施形態に係る撮像装置100及び固体撮像装置200の構成及び動作と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、本実施形態では、第1の実施形態に係る共有ブロック221が後述する共有ブロック721に置き換えられる。
【0122】
3.1 共有ブロックの構成例
図24は、本実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。なお、以下で例示する対数応答部310Cnは、図7に例示したゲインブースト型の対数応答部310Aをベースとした対数応答部の例であるが、これに限定されず、例えば、図6に例示したソースフォロア型の対数応答部310など、光電流の対数値に応じた電圧信号を生成する種々の回路をベースとして対数応答部310Bを構成することができる。また、以下の説明では、1つの共有ブロック721が2行×2列の計4つの対数応答部310Cnを含む場合を例示するが、これに限定されず、各共有ブロック721は1又は2以上の対数応答部310Cnを含んでよい。
【0123】
図24に示すように、本実施形態に係る対数応答部310C1~310C4(本説明において、対数応答部310C1~310C4を区別しない場合、その符号を310Cnとする)は、第2の実施形態において図21を用いて説明した対数応答部310Bnと同様の構成において、スイッチングトランジスタ319が省略された構成を備える。また、対数応答部310Cnでは、スイッチングトランジスタ317のドレインがnMOSトランジスタ312のソースに接続され、ソースがnMOSトランジスタ313のゲート及び光電変換素子311のカソードに接続されるとともに、スイッチングトランジスタ318のドレインが、スイッチングトランジスタ317のソース、nMOSトランジスタ313のゲート及び光電変換素子311のカソードに接続されている。
【0124】
3.2 動作例(タイミングチャート)
続いて、対数応答部310Cnの動作例について説明する。図25は、本実施形態に係る高解像度モードとビニングモードとのそれぞれにおけるスイッチングトランジスタの制御例を示すタイミングチャートである。図25に示すように、区間T30~T31に示す高解像度モードでは、各対数応答部310C1~310B4において、スイッチングトランジスタ317がオン状態とされ、スイッチングトランジスタ318がオフ状態とされる。それにより、各対数応答部310C1~310C4の光電変換素子311から流出した光電流が各自の対数変換回路に流入する電流経路が形成される。
【0125】
これに対し、区間T31~T32に示すビニングモードでは、対数応答部310C1のスイッチングトランジスタ317及び318が共にオン状態とされる。一方で、対数応答部310C2~310C4では、スイッチングトランジスタ317がオフ状態とされ、スイッチングトランジスタ318がオン状態とされる。それにより、各対数応答部310C1~310C4の光電変換素子311から流出した光電流が対数応答部310C1の対数変換回路に流入する電流経路が形成される。
【0126】
3.3 作用・効果
以上のように、本実施形態によれば、例えば第2の実施形態と比較して、スイッチングトランジスタ319を省略することが可能となるため、対数応答部310Cnの画素エリアにおける占有面積を縮小することが可能となる。それにより、光電変換素子311の受光面の面積を増加することが可能となるため、固体撮像装置200の感度向上やダイナミックレンジ拡大を達成することが可能となる。また、スイッチングトランジスタ319が省略されたことで、駆動電流をより低減することも可能となる。
【0127】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0128】
4.第4の実施形態
上述した実施形態では、固体撮像装置200が画素ごとのアドレスイベントの有無を示す検出信号よりなるフレームデータ(画像データに相当)を出力する構成を例示した。これに対し、第4の実施形態では、固体撮像装置200が、画素ごとの検出信号よりなる画像データの他に、画素ごとの露光量に応じた画素信号よりなる画像データ(以下、階調画像データともいう)をも出力し得る構成について、例を挙げて説明する。
【0129】
なお、本実施形態に係る撮像装置及び固体撮像装置の構成及び動作は、上述した第1の実施形態に係る撮像装置100及び固体撮像装置200の構成及び動作と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、本実施形態では、第1の実施形態に係る共有ブロック221が後述する共有ブロック821に置き換えられるとともに、検出チップ202が後述する検出チップ802に置き換えられる。
【0130】
4.1 共有ブロックの構成例
図26は、本実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。なお、以下で例示する共有ブロック821は、図17に例示した共有ブロック221をベースとしているが、これに限定されず、例えば、第2の実施形態に係る共有ブロック621や第3の実施形態に係る共有ブロック721をベースとすることも可能である。
【0131】
図26に示すように、本実施形態に係る共有ブロック821は、第1の実施形態において図17を用いて説明した共有ブロック221と同様の構成に、画素信号を読み出すための読出し回路370が共通線3101に接続された構成を備える。
【0132】
4.1.1 共有ブロックの変形例
また、本実施形態に係る共有ブロック821は、例えば、第2の実施形態において図21を用いて説明した共有ブロック621をベースとすることも可能である。この場合でも、図27に示すように、共有ブロック821は、図21を用いて説明した共有ブロック621と同様の構成に、画素信号を読み出すための読出し回路370が共通線3101に接続された構成を備える。
【0133】
4.2 読出し回路の構成例
図28は、本実施形態に係る読出し回路の概略構成例を示す回路図である。図28に示すように、本実施形態に係る読出し回路370は、リセットトランジスタ373と、増幅トランジスタ375と、選択トランジスタ376とを備える。
【0134】
この読出し回路370は、対数応答部310Anの光電変換素子311及びスイッチングトランジスタ318とともに動作することで、受光量に応じた画素信号を生成する階調画素810として機能する。すなわち、本実施形態において、各対数応答部310Anのスイッチングトランジスタ318は、階調画素810における転送トランジスタとしても機能する。また、スイッチングトランジスタ318のドレイン、リセットトランジスタ373のソース及び増幅トランジスタ375のゲートが接続されたノードは、蓄積する電荷をその電荷量に応じた電圧に変換する電流電圧変換機能を備える浮遊拡散領域(FD)374として機能する。
【0135】
リセットトランジスタ373のドレイン及び増幅トランジスタ375のドレインは、例えば、電源電圧VDDに接続される。ただし、リセットトランジスタ373のドレインは、例えば、電源電圧VDDとは異なるリセット電圧に接続されてもよい。増幅トランジスタ375のソースは、選択トランジスタ376のドレインに接続され、選択トランジスタ376のソースは、アナログの画素信号を後述するカラムADC(Analog to Digital Converter)270へ入力するための垂直信号線VSLに接続される。
【0136】
画素信号を読み出す際、スイッチングトランジスタ318のゲートには、行駆動回路251からハイレベルの転送信号TRGが印加される。それにより、スイッチングトランジスタ318がオン状態となり、光電変換素子311のカソードに蓄積された電荷がスイッチングトランジスタ318を介して浮遊拡散領域374に転送される。その結果、浮遊拡散領域374に蓄積された電荷の電荷量に応じた電圧値の画素信号が増幅トランジスタ375のソースに出現する。そして、行駆動回路251から選択トランジスタ376のゲートに印加される選択信号SELをハイレベルとすることで、増幅トランジスタ375のソースに出現した画素信号が垂直信号線VSLに出現する。
【0137】
また、浮遊拡散領域374に蓄積された電荷を放出して浮遊拡散領域374をリセットする際には、行駆動回路251からリセットトランジスタ373のゲートにハイレベルのリセット信号RSTが印加される。これにより、浮遊拡散領域374に蓄積された電荷がリセットトランジスタ373を介して電源側へ放出される(FDリセット)。その際、スイッチングトランジスタ318も同期間中にオン状態とすることで、光電変換素子311のカソードに蓄積されている電荷を電源側へ放出することも可能である(PDリセット)。
【0138】
なお、各共有ブロック821において、階調画像データを読み出す際に読出し回路370に同時に接続される光電変換素子311の数、すなわち、同期間にオン状態とされるスイッチングトランジスタ318(転送トランジスタ)の数は、1つに限定されず、複数であってもよい。例えば、各共有ブロック821において、高解像度の階調画像データを読み出す際には、スイッチングトランジスタ318が時分割で順番に読出し回路370に接続され、低照度時などにダイナミックレンジを拡大して読出しを実行する際(ビニング時)には、2以上のスイッチングトランジスタ318が同期間にオン状態とされてよい。
【0139】
4.3 検出チップの構成例
図29は、本実施形態に係る検出チップの平面図の一例である。本実施形態に係る検出チップ802は、第1の実施形態において図4を用いて説明した検出チップ202と同様の構成に、階調画素810から出力されたアナログの画素信号をデジタルの画素信号として読み出すためのカラムADC270が追加された構成を備える。
【0140】
階調画素810それぞれは、行駆動回路251の制御に従ってアナログの画素信号を垂直信号線VSLに出現させることで、アナログの画素信号をカラムADC270に供給する。カラムADC270は、例えば、垂直信号線VSLごとにAD変換器を備え、各垂直信号線VSLを介して入力されたアナログの画素信号に対してAD(Analog to Digital)変換を行う。そして、カラムADC270は、AD変換後のデジタル信号を信号処理回路240に供給する。信号処理回路240は、それらのデジタル信号からなる画像データに対して、所定の画像処理を行う。なお、カラムADC270は、例えば、CDS(Correlated Double Sampling)回路を備え、デジタルの画素信号に含まれるkTCノイズを低減してもよい。
【0141】
4.4 動作例
階調画像データの読出しは、例えば、いずれかの検出画素300においてアドレスイベントの発生が検出された場合に全ての階調画素810から画素信号を読み出すことで実行されてもよいし、アドレスイベントの発生が領域、言い換えれば、検出画素300によりオブジェクトが検出された領域に属する階調画素810から画素信号を読み出すことで実行されてもよい。図30に、本実施形態に係るオブジェクト検出モードと階調画像読出しモードとを切り替えて実行する動作例を示す。なお、本説明では、撮像装置100における制御部130(図1参照)が固体撮像装置200の動作モードを制御する場合を例示するが、これに限定されず、例えば、固体撮像装置200内の信号処理回路240が動作モードを制御するように構成されてもよい。また、図30に例示する動作は、例えば、制御部130や固体撮像装置200に対する割り込み動作等で終了してもよい。
【0142】
図30に示すように、本動作では、起動後、制御部130は、例えば、固体撮像装置200の動作モードにオブジェクト検出モードを設定する(ステップS201)。オブジェクト検出モードとは、アドレスイベントの発生を検出する動作モードであり、例えば、第1の実施形態において図20を用いて説明した動作を実行するモードであってよい。
【0143】
次に、制御部130は、オブジェクト検出モードにおいてオブジェクトが検出されたか否かを判定し(ステップS202)、オブジェクトが検出されるまでアドレスイベント検出モードを継続する(ステップS202のNO)。オブジェクトの検出判定は、例えば、第1の実施形態において図20のステップS102、S105及びS108で説明した動作と同様であってよい。
【0144】
オブジェクトが検出された場合(ステップS202のYES)、制御部130は、例えば、固体撮像装置200から出力されたフレームデータに基づいて、オブジェクトが検出された領域を特定する(ステップS203)。なお、オブジェクトが検出された領域とは、例えば、オンイベント(又はオフイベント)が検出された画素を含む領域であってよい。
【0145】
次に、制御部130は、固体撮像装置200に対して、オブジェクトが検出された領域に対する画素信号の読出しを指示する(ステップS204)。これにより、オブジェクトが検出された領域に属する階調画素810から読み出された画素信号よりなる階調画像データが固体撮像装置200から出力される。
【0146】
4.5 作用・効果
以上のように、本実施形態によれば、アドレスイベントの有無に基づくオブジェクトの検出のみならず、オブジェクトが検出された領域若しくは全画素の階調画像データを取得することも可能となる。
【0147】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0148】
5.第5の実施形態
上述した第4の実施形態では、オブジェクト検出の他に階調画像データの読出しが可能な構成において、読出し回路370が共通線3101に接続された構成を例示した。これに対し、第5の実施形態では、共通線3101とは別の共通線に読出し回路370を接続する場合について、例を挙げて説明する。
【0149】
なお、本実施形態に係る撮像装置及び固体撮像装置の構成及び動作は、上述した第4の実施形態に係る撮像装置100及び固体撮像装置200の構成及び動作と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、本実施形態では、第4の実施形態に係る共有ブロック821が後述する共有ブロック921に置き換えられる。
【0150】
5.1 共有ブロックの構成例
図31は、本実施形態に係る共有ブロックの概略構成例を示す回路図である。なお、以下で例示する共有ブロック921は、図17に例示した共有ブロック221をベースとしているが、これに限定されず、例えば、第2の実施形態に係る共有ブロック621や第3の実施形態に係る共有ブロック721をベースとすることも可能である。
【0151】
図31に示すように、本実施形態に係る共有ブロック921は、第1の実施形態において図17を用いて説明した共有ブロック221と同様の構成において、2以上又はすべての対数応答部310Anにおける光電変換素子311のカソードが、共通線3101とは別の共通線3102により接続された構成を備える。読出し回路370は、この共通線3102に接続されている。そして、読出し回路370と各対数応答部310Anの光電変換素子311との間には、転送トランジスタとしても機能するスイッチングトランジスタ377が設けられており、光電変換素子311と読出し回路370との接続がこのスイッチングトランジスタ377により制御される。例えば、共通線3102は、請求の範囲における第2共通線の一例であってよい。
【0152】
5.1.1 共有ブロックの変形例
また、本実施形態に係る共有ブロック921は、例えば、第2の実施形態において図21を用いて説明した共有ブロック621をベースとすることも可能である。この場合でも、図32に示すように、共有ブロック921は、図21を用いて説明した共有ブロック621と同様の構成において、2以上又はすべての対数応答部310Anにおける光電変換素子311のカソードが共通線3102により接続され、読出し回路370が共通線3102に接続され、読出し回路370と各対数応答部310Anの光電変換素子311との間にスイッチングトランジスタ377が設けられた構成を備える。
【0153】
5.2 動作例
以上のような構成において、読出し回路370を含む階調画素からの画素信号の読出し時には、全ての対数応答部310Anのスイッチングトランジスタ317及び318がオフ状態とされ、対数応答部310Anそれぞれに対応する階調画素のスイッチングトランジスタ377が時分割で順番に読出し回路370に接続される。ただし、ビニング時には、低照度時などにダイナミックレンジを拡大して読出しを実行する際には、2以上のスイッチングトランジスタ318が同期間にオン状態とされることで、ダイナミックレンジが拡大された読出しが実行される。
【0154】
6.第6の実施形態
上述した実施形態では、各共有ブロック221等から出力された検出信号の読出しを要求するリクエストの調停を必要としない同期型のEVSを固体撮像装置200に適用した場合が例示されたが、このような構成に限定されるものではない。例えば、図33に例示する固体撮像装置のように、アドレスイベント検出部260の各行から出力されたリクエストを調停して検出信号の読出し行を順番付けする行アービタ280を備える非同期型のEVSが適用されてもよい。なお、図33には、本実施形態に係る固体撮像装置における検出チップ1002が示されている。
【0155】
このように、非同期型のEVSを適用した場合であっても、上述した実施形態と同様に、複数の光電変換素子311から流出した光電流を1つの対数変換回路に集約することが可能であるため、より多くの光電流量を確保することが可能となる。それにより、光電流検出におけるダイナミックレンジを広げることが可能となるため、低照度時などでも十分な広さのダイナミックレンジを確保することが可能となる。
【0156】
一方で、十分な照度が得られる場合には、全て又は必要十分な数の対数応答部310An等において、スイッチングトランジスタ318をオフ状態、スイッチングトランジスタ317をオン状態とすることで、この全て又は必要十分な数の対数応答部310An等それぞれを1つのアドレスイベント検出画素として動作させることが可能となるため、高解像度でのアドレスイベントの検出や動作電力の低減などが可能となる。
【0157】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様で会ってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0158】
7.移動体への応用例
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0159】
図34は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0160】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図34に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0161】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0162】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0163】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0164】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0165】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0166】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0167】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0168】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0169】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図35の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0170】
図35は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0171】
図35では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0172】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0173】
なお、図35には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0174】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0175】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0176】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0177】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0178】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち撮像部12031に適用され得る。具体的には、図1の撮像装置100は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、画素を微細化して、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0179】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0180】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0181】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
それぞれ入射光の輝度変化を出力する複数の検出画素と、
前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づきイベント信号を出力する検出回路と、
前記複数の検出画素間を接続する第1共通線と、
を備え、
前記検出画素それぞれは、
光電変換素子と、
前記光電変換素子から流出した光電流を当該光電流の対数値に応じた電圧信号に変換する対数変換回路と、
前記対数変換回路から出力された前記電圧信号に基づき前記光電変換素子に入射した入射光の輝度変化を出力する第一の回路と、
前記光電変換素子と前記対数変換回路との間に接続された第1トランジスタと、
前記光電変換素子と前記第1共通線との間に接続された第2トランジスタと、
を備え、
前記検出回路は、前記検出画素それぞれから出力された前記輝度変化に基づき前記イベント信号を出力する第二の回路を備えた
固体撮像装置。
(2)
前記検出画素それぞれは、
前記第1トランジスタ及び前記対数変換回路を接続する第1ノードと、前記第2トランジスタ及び前記第1共通線を接続する第2ノードとの間に接続された第3トランジスタをさらに備える
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記第2トランジスタは、前記第1共通線と、前記光電変換素子及び前記第1トランジスタを接続するノードとの間に接続されている前記(1)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記第1共通線に接続され、前記光電変換素子に蓄積された電荷に応じた電圧値の画素信号を生成する読出し回路をさらに備える前記(1)~(3)の何れか1つに記載の固体撮像装置。
(5)
前記読出し回路は、
前記第1共通線と電源線との間に接続されたリセットトランジスタと、
前記第1共通線にゲートが接続された増幅トランジスタと、
を含む前記(4)に記載の固体撮像装置。
(6)
前記複数の検出画素間を接続する第2共通線と、
前記検出画素それぞれにおける前記光電変換素子と前記第2共通線との間に接続された複数の第4トランジスタと、
前記第2共通線に接続され、前記光電変換素子に蓄積された電荷に応じた電圧値の画素信号を生成する読出し回路をさらに備える前記(1)~(3)の何れか1つに記載の固体撮像装置。
(7)
前記読出し回路は、
前記第2共通線と電源線との間に接続されたリセットトランジスタと、
前記第2共通線にゲートが接続された増幅トランジスタと、
を含む前記(6)に記載の固体撮像装置。
(8)
前記検出画素それぞれは、
前記対数変換回路から出力された前記電圧信号の変換量を示す微分信号を生成する微分器をさらに備える
前記(1)~(7)の何れか1つに記載の固体撮像装置。
(9)
前記検出回路は、
前記検出画素それぞれから出力された前記微分信号のいずれかを選択する選択部と、
前記微分信号に基づいて前記イベント信号を出力する比較器と、
を備える前記(8)に記載の固体撮像装置。
(10)
前記比較器は、
前記微分信号の電圧値が第1閾値を超えたことを検出して前記イベント信号を出力する第1比較器と、
前記微分信号の電圧値が前記第1閾値よりも低い電圧レベルの第2閾値を下回ったことを検出して前記イベント信号を出力する第2比較器と、
を含む前記(9)に記載の固体撮像装置。
(11)
複数の前記検出回路を備え、
前記検出回路それぞれは、前記複数の検出画素のうちの少なくとも1つでアドレスイベントを検出した場合に当該検出回路からの検出信号の読出しを要求するリクエストを出力し、
前記複数の検出回路のうちの少なくとも1つから出力された前記リクエストを調停することで前記リクエストを出力した検出回路に対する前記検出信号の読出し順序を決定するアービタをさらに備える
前記(1)~(10)の何れか1つに記載の固体撮像装置。
(12)
それぞれ前記光電変換素子と前記対数変換回路と前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとを含む複数の対数応答部が2次元格子状に配列された受光部を備える第1チップをさらに備える前記(1)~(11)の何れか1つに記載の固体撮像装置。
(13)
前記対数変換回路は、
ソースが前記第1トランジスタに接続された第4トランジスタと、
ゲートが前記第4トランジスタの前記ソースに接続され、ソースが接地された第5トランジスタと、
を含み、
前記第4トランジスタのゲートは、前記第5トランジスタのドレインに接続されている
前記(12)に記載の固体撮像装置。
(14)
前記対数変換回路は、
ソースが前記第4トランジスタのドレインに接続され、ドレインが電源線に接続された第6トランジスタと、
ゲートが前記第4トランジスタの前記ドレインに接続され、ソースが前記第5トランジスタのドレインに接続された第7トランジスタと、
をさらに含み、
前記第6トランジスタのゲートは、前記第7トランジスタのドレインに接続されている
前記(13)に記載の固体撮像装置。
(15)
前記受光部は、格子状に延在する画素分離部をさらに備え、
前記対数応答部それぞれは、前記画素分離部により前記2次元格子状に区画された画素領域それぞれに設けられている
前記(12)に記載の固体撮像装置。
(16)
前記画素領域には、前記第1及び第2トランジスタと、前記第1及び第2トランジスタとは異なる少なくとも2つのトランジスタと、前記光電変換素子とが配置され、
前記少なくとも2つのトランジスタは、前記画素領域において前記光電変換素子を挟む位置に配置され、
前記対数変換回路は、互いに隣接する2つの前記画素領域それぞれにおける前記少なくとも2つのトランジスタのうちの少なくとも1つずつを用いて構成されている
前記(15)に記載の固体撮像装置。
(17)
複数の前記検出回路が配置された第2チップをさらに備え、
前記第1チップと前記第2チップとは、単一の積層チップを構成する
前記(12)~(16)の何れか1つに記載の固体撮像装置。
(18)
前記(1)~(17)の何れか1つに記載の固体撮像装置と、
前記固体撮像装置を制御する制御部と、
を備える撮像装置。
(19)
前記固体撮像装置は、前記複数の検出画素を含む共有ブロックを複数備え、
前記制御部は、前記固体撮像装置の動作モードを、
前記複数の共有ブロックにおける少なくとも1つにおいて、前記複数の検出画素のうちの1つの検出画像における前記第1及び第2トランジスタをオン状態とし、前記複数の検出画素のうちの他の少なくとも1つの検出画像における前記第1トランジスタをオフ状態とするとともに前記第2トランジスタをオン状態とする第1モードと、
前記複数の共有ブロックの全てにおいて、前記複数の検出画素それぞれの前記第1トランジスタをオン状態とし、前記第2トランジスタをオフ状態とする第2モードと、
のうちのいずれかに切り替える
前記(18)に記載の撮像装置。
(20)
前記第1モードは、
前記複数の共有ブロックの全てにおいて、前記複数の検出画素のうちの1つの検出画像における前記第1及び第2トランジスタをオン状態とし、前記複数の検出画素のうちの他の少なくとも1つの検出画像における前記第1トランジスタをオフ状態とするとともに前記第2トランジスタをオン状態とする第3モードと、
前記複数の共有ブロックの一部において、前記複数の検出画素のうちの1つの検出画像における前記第1及び第2トランジスタをオン状態とし、前記複数の検出画素のうちの他の少なくとも1つの検出画像における前記第1トランジスタをオフ状態とするとともに前記第2トランジスタをオン状態とし、前記複数の共有ブロックのうちの残りの共有ブロックにおいて、前記複数の検出画素それぞれの前記第1トランジスタをオン状態とし、前記第2トランジスタをオフ状態とする第4モードと、
を含み、
前記制御部は、前記固体撮像装置の前記動作モードを、前記第2モードから前記第4モードのうちのいずれかに切り替える
前記(19)に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0182】
10、20 レイアウト画素
12 画素分離部
100 撮像装置
110 光学部
120 記録部
130 制御部
200 固体撮像装置
201 受光チップ
202、802、1002 検出チップ
211、212、213、231、232、233 ビア配置部
220 受光部
221、621、721、821、921 共有ブロック
240 信号処理回路
251 行駆動回路
252 列駆動回路
260 アドレスイベント検出部
270 カラムADC
280 行アービタ
300 検出画素
305 検出回路
310、310A、310An、310Bn、310Cn 対数応答部
311 光電変換素子
312、313、315、316、512 nMOSトランジスタ
314、411、511 pMOSトランジスタ
314c コンタクト
317~319、377 スイッチングトランジスタ
320 検出ブロック
330 バッファ
340 微分器
341、343 コンデンサ
342 インバータ
344 スイッチ
360 転送回路
370 読出し回路
373 リセットトランジスタ
374 浮遊拡散領域
375 増幅トランジスタ
376 選択トランジスタ
400 選択部
410、420 セレクタ
500 比較部
510、520 コンパレータ
3101、3102 共通線
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