(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】光検出及およ測距(LIDAR)システムにおける位相障害を補償する方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20250306BHJP
G01S 17/58 20060101ALI20250306BHJP
G01S 17/34 20200101ALN20250306BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/58
G01S17/34
(21)【出願番号】P 2023521593
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 US2021054005
(87)【国際公開番号】W WO2022076710
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-10-02
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521095112
【氏名又は名称】エヴァ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】ビスワナサ クマール バルガブ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ペリン ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エシャ
(72)【発明者】
【氏名】ムートリ ラジェンドラ ツシャール
(72)【発明者】
【氏名】レズク ミナ
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-085723(JP,A)
【文献】特開2013-190421(JP,A)
【文献】特開2001-343460(JP,A)
【文献】特開平07-225275(JP,A)
【文献】国際公開第2019/211923(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/081808(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出および測距(LIDAR)システム
(以下、LIDARシステムという)における位相障害を補正する方法であって、
ターゲットに向けて第1の光ビームを送信するステップと、
前記第1の光ビームに基づいて前記ターゲットから第2の光ビームを受信してリターン信号を生成するステップと、
局部発振器(LO)ビーム
および前記リターン信号を第1の光検出器に送信し、この第1の光検出器を用いてデジタルサンプリングされたターゲット信号を生成するステップと、
前記第1の光ビームの信号の一部と、この信号の一部をファイバ遅延装置を介して遅延させた光信号とを第2の光検出器に送信し、この第2の光検出器を用いてデジタルサンプリングされた基準信号を生成するステップと、
前記LIDARシステムの推定エゴ速度、および前記ターゲットの推定ターゲット速度を求めるステップと、
前記LIDARシステムの推定エゴ速度および前記ターゲットの推定ターゲット速度に基づいて、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に対して第1の周波数フィルタによって周波数シフトを取り入れるステップと、
前記周波数シフトを取り入れたターゲット信号の位相障害を前記基準信号に基づいて補正するステップと、
ポイントクラウドを生成するために、前記位相障害を補正したターゲット信号の前記周波数シフトを第2の周波数フィルタによって元に戻すステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法は、
前記
推定エゴ速度は、1つ以上のモーションセンサを用いて測定された近接する対象物に基づいて計算された前記LIDARシステムの
エゴ速度である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって
、
前記第1の周波数シフタによる周波数シフトは、前記LIDARシステムのエゴ速度の関数であり、
前記第2の周波数シフタによる周波数シフトは、
前記第1の周波数シフタによる周波数シフトの共役である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法は、
前記ターゲットの周辺において近接する検出ポイントの速度を決定するステップと、
前記近接する検出ポイントの速度に基づいて、前記推定ターゲット速度を生成するステップと、をさらに含む方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の方法であって、
前記近接する検出ポイントの速度を決定するステップは、
前記近接する検出ポイントの総てに対して標準の補正器を実行するステップと、
前記近接する検出ポイントの速度の統計値を推定するステップと、を含む方法。
【請求項6】
請求項
1に記載の方法は、
前記ポイントクラウド内の前記ターゲットの以前の検出ポイントの速度を決定するステップと、
前記以前の検出ポイントの速度に基づいて前記推定ターゲット速度を生成するステップと、をさらに含む方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の方法であって、
前記ポイントクラウド内の前記ターゲットの以前の検出ポイントの速度を決定するステップは、
同一のスキャンライン上にある直前の検出ポイントの速度を決定するステップ、以前のスキャンラインからの検出ポイントの速度を決定するステップ、または、以前のスキャンフレームからの検出ポイントの速度を決定するステップ、を含む方法。
【請求項8】
光検出および測距(LIDAR)システム(以下、LIDARシステムという)であって、
ターゲットに対して第1の光ビームを送信する光ビーム源と、
前記ターゲットからのリターン信号および局部発振器(LO)ビームを受信し、デジタルサンプリングされたターゲット信号を生成する第1の光検出器と、
既知の長さを有し、かつ、前記光ビーム源に結合されたファイバ遅延装置と、
前記ファイバ遅延装置に結合されており、前記第1の光ビームの信号の一部と、この信号の一部を前記ファイバ遅延装置を介して遅延させた信号とを用いて、デジタルサンプリングされた基準信号を生成する第2の光検出器と、
前記LIDARシステムの推定エゴ速度および前記ターゲットの推定ターゲット速度に基づいて、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に対して周波数シフトを取り入れる第1の周波数シフタと、
前記周波数シフトを取り入れたターゲット信号の位相障害を前記基準信号に基づいて補正するデスキューフィルタと、
ポイントクラウドを生成するために、前記位相障害を補正したターゲット信号に対して前記周波数シフトを元に戻す第2の周波数シフタと、
を備える、LIDARシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のLIDARシステムであって、
前記推定エゴ速度は、1つ以上のモーションセンサを用いて測定された近接する対象物に対する前記LIDARシステムのエゴ速度である、LIDARシステム。
【請求項10】
請求項
8に記載のLIDARシステムであって、
前記第1の周波数シフタによる周波数シフトは、前記LIDARシステムのエゴ速度の関数であり、
前記第2の周波数シフタによる周波数シフトは、前記第1の周波数シフタによる周波数シフトの共役である、LIDARシステム。
【請求項11】
請求項
8に記載のLIDARシステムであって、
前記
ターゲットの周辺において近接する検出ポイントの速度に基づいて、前記推定ターゲット速度を決定するようにさらに構成される、LIDARシステム。
【請求項12】
請求項
11に記載のLIDARシステムであって、
前記
近接する検出ポイントの総てに対して標準補正を実行することにより、前記近接する検出ポイントの速度を決定し、かつ、前記近接する検出ポイントの速度の統計値を推定する、LIDARシステム。
【請求項13】
請求項
8に記載のLIDARシステムであって、
ポイントクラウド内の前記ターゲットの以前の検出ポイントの速度に基づいて、前記推定ターゲット速度を決定するようにさらに構成される、LIDARシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のLIDARシステムであって、
同じスキャンライン上の直前の検出ポイントの速度を決定すること、以前のスキャンライン上の検出ポイントの速度を決定すること、または、以前のスキャンフレーム上の検出ポイントの速度を決定することによって、前記以前の検出ポイントの速度を決定する、LIDARシステム。
【請求項15】
光検出および測距(LIDAR)システム(以下、LIDARシステムという)における位相障害を補正する方法であって、
当該LIDARシステムからターゲットに第1の光ビームを送信するステップと、
当該LIDARシステムにおいて、局部発振器(LO)ビームと前記ターゲットからのリターン信号とを第1の光検出器で受信し、この第1の光検出器を用いてデジタルサンプリングされたターゲット信号を生成するステップと、
前記第1の光ビームの信号の一部と、この信号の一部をファイバ遅延装置を介して遅延させた光信号とを第2の光検出器で受信し、この第2の光検出器を用いてデジタルサンプリングされた基準信号を生成するステップと、
前記デジタルサンプリングされた基準信号を用いて当該LIDARシステムの1つ以上の位相障害を推定し、1つ以上の推定位相障害を生成するステップと、
前記LIDARシステムのエゴ速度と前記ターゲットの推定ターゲット速度との関数である第1の周波数シフトを前記ターゲット信号に適用するステップと、
前記第1の周波数シフトを適用した前記ターゲット信号の位相障害を前記推定位相障害に基づいて調整するステップと、
デスキューフィルタを用いてポイントクラウドを生成するために、前記第1の周波数シフトの共役である第2の周波数シフトを、前記位相障害を調整した前記ターゲット信号に適用するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の
方法は、
前記ターゲットの周辺において近接する検出ポイントの速度を決定するステップと、
前記近接する検出ポイントの速度に基づいて前記推定ターゲット速度を生成するステップと、をさらに含む方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法は、
前記ポイントクラウド内の前記ターゲットの以前の検出ポイントの速度を決定するステップと、
前記以前の検出ポイントの速度に基づいて前記推定ターゲット速度を生成するステップと、をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)に基づく2020年10月9日に出願された米国仮特許出願第63/089,886号、および2021年6月1日に出願された米国特許出願第17/335,530号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、光検出および測距(LIDAR)システムに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の周波数変調連続波(FMCW)LIDARシステムには、レーザの位相ノイズ、回路の位相ノイズ、レーザの駆動用電子部品が発するフリッカノイズ、温度/天候によるドリフト、チャープレートオフセットなどの位相障害が含まれている。これらの障害は、検出確率の低下、誤警報および距離/速度のバイアスの増加を引き起こし、さらに、推定ターゲット距離/速度の誤差の増加を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、特に、LIDARシステムによって経験され得る位相障害を緩和するLIDARシステムおよび方法の様々な実施形態を説明する。本発明の実施形態は、ドップラー補正された位相障害補正を導入する機能を含む。
【0005】
一つの側面によれば、本開示は、光検出および測距(LIDAR)システムにおける位相障害を補償する方法に関する。
この方法は、ターゲットに向けて第1の光ビームを送信するステップと、前記第1の光ビームに基づいて前記ターゲットからの第2の光ビームを受信してリターン信号を生成するステップと、局部発振器(LO)ビーム、第1の光検出器、および前記リターン信号を用いて、デジタルサンプリングされたターゲット信号を生成するステップと、を含む。
この方法はまた、推定エゴ(「エゴ」とは「自己」という意味、以下同じ)速度および推定ターゲット速度に基づいて、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号のエゴ速度およびターゲット速度を補償し、補償されたデジタルサンプリングされたターゲット信号を生成するステップを含む。
この方法はまた、ポイントクラウドに送信するために、前記補償されたデジタルサンプリングされたターゲット信号に対して位相障害補正を実行するステップを含む。一実施形態では、この方法はまた、前記エゴ速度は、1つ以上のモーションセンサを用いて測定された近接する対象物に基づいて計算された前記LIDARシステムの速度であり、前記LIDARシステムの前記エゴ速度を決定するステップを含む。
一実施形態では、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号の前記エゴ速度およびターゲット速度を補償するステップは、前記システムのエゴ速度の関数である第1の周波数シフトを、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に適用するステップと、前記第1の周波数シフトの共役である第2の周波数シフトを、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に適用するステップと、を含む。
一実施形態では、前記方法はまた、ファイバ遅延装置および第2の光検出器を介して送信される基準ビームを用いて、デジタルサンプリングされた基準信号を生成するステップを含み、かつ、ここで、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に対して位相障害補正を行うことは、前記局部発振器(LO)ビームおよび前記リターン信号によって、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に取り入れられた位相障害を補正することを含む。
一実施形態では、前記方法はまた、前記ターゲットの周辺において近接する検出ポイントの速度を決定するステップと、前記近接する検出ポイントの速度に基づいて、前記推定ターゲット速度を生成するステップと、を含む。一実施形態では、前記近接する検出ポイントの速度を決定するステップは、前記近接する検出ポイントの総てに対して標準の補正器を実行するステップと、前記近接する検出ポイントの速度の統計値を推定するステップと、を含む。一実施形態では、前記方法はまた、ポイントクラウド内の前記ターゲットの以前の検出ポイントの速度を決定するステップと、前記以前の検出ポイントの速度に基づいて前記推定ターゲット速度を生成するステップと、を含む。一実施形態では、前記ポイントクラウド内の前記ターゲットの以前の点の速度を決定するステップは、同一のスキャンライン上にある直前の検出ポイントの速度を決定するステップ、以前のスキャンラインからの検出ポイントの速度を決定するステップ、または、以前のスキャンフレームからの検出ポイントの速度を決定するステップ、を含む。
【0006】
別の側面によれば、本開示は、ターゲットに対して第1の光ビームを送信する光ビーム源と、前記ターゲットからのリターン信号およびLOビームを受信し、デジタルサンプリングされたターゲット信号を生成する第1の光検出器と、既知の長さを有し、かつ、前記光ビーム源に結合されたファイバ遅延装置と、前記ファイバ遅延装置に結合されており、前記ファイバ遅延装置を介して送信される基準ビームを用いて、デジタルサンプリングされた基準信号を生成する第2の光検出器と、推定エゴ速度および推定ターゲット速度に基づいて、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号におけるエゴ速度およびターゲット速度を補償するための少なくとも2つの周波数シフタと、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に対して位相障害補正を行うデスキューフィルタと、を備えるLIDARシステムに関する。
一実施形態では、前記エゴ速度は、1つ以上のモーションセンサを用いて測定された近接する対象物に対する当該LIDARシステムの速度である。一実施形態では、前記少なくとも2つの周波数シフタは、前記システムのエゴ速度の関数である第1の周波数シフトを、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に適用する第1の周波数シフタと、前記前記第1の周波数シフトの共役である第2の周波数シフトを、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に適用する第2の周波数シフタと、を備える。一実施形態では、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に対する位相障害補正は、前記局部発振器(LO)ビームおよび前記リターン信号によって前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に取り入れられる位相障害を補正する。一実施形態では、前記LIDARシステムはまた、前記ターゲットの周辺において近接する検出ポイントの速度に基づいて、前記推定ターゲット速度を決定するように構成される。一実施形態では、前記LIDARシステムは、前記近接する検出ポイントの総てに対して標準補正を実行することにより、前記近接する検出ポイントの速度を決定し、かつ、前記近接する検出ポイントの速度の統計値を推定する。一実施形態では、前記LIDARシステムはまた、ポイントクラウド内の前記ターゲットの以前の検出ポイントの速度に基づいて前記推定ターゲット速度を決定するように構成されている。一実施形態では、前記LIDARシステムは、同じスキャンライン上の直前の検出ポイントの速度を決定すること、以前のスキャンライン上の検出ポイントの速度を決定すること、または、以前のスキャンフレーム上の検出ポイントの速度を決定することによって、前記以前の検出ポイントの速度を決定する。
【0007】
別の側面によれば、本開示は、LIDARシステムにおける位相障害の補償方法に関する。
この方法は、当該LIDARシステムからターゲットに第1の光ビームを送信するステップと、当該LIDARシステムにおいて、前記ターゲットからのリターン信号を第1の光検出器で受信するステップと、ファイバ遅延装置および第2の光検出器を介して送信される基準ビームを用いて、デジタルサンプリングされた基準信号を生成するステップと、前記デジタルサンプリングされた基準信号を用いて当該LIDARシステムの1つ以上の位相障害を推定し、1つ以上の推定位相障害を生成するステップと、当該LIDARシステムのエゴ速度と推定ターゲット速度の関数である第1の周波数シフトを、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に適用するステップと、デスキューフィルタを用いてポイントクラウドに送信するために前記デジタルサンプリングされたターゲット信号の位相障害を調整するステップと、前記第1の周波数シフトの共役である第2の周波数シフトを、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に適用するステップと、を含む。
一実施形態では、デジタルサンプリングされたターゲット信号の位相障害を調整することは、局部発振器(LO)ビームおよび前記リターン信号によって、前記デジタルサンプリングされたターゲット信号に取り入れられた位相障害を補正するステップを含む。一実施形態では、前記方法はまた、前記ターゲットの周辺において近接する検出ポイントの速度を決定するステップと、前記近接する検出ポイントの速度に基づいて、前記推定ターゲット速度を生成するステップとを含む。一実施形態では、前記方法はまた、ポイントクラウド内の前記ターゲットの以前の検出ポイントの速度を決定するステップと、前記以前の検出ポイントの速度に基づいて前記推定ターゲット速度を生成するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の種々の態様を明確にするために、後述の詳細な説明(実施形態)で参照される図面を示す。なお図中の同一の符号は同一の要素である。
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に従った例示的なLIDARシステムを示す。
【0010】
【
図2】本開示の実施形態によるLIDAR波形が検出および処理される方法を示す時間周波数図である。
【0011】
【
図3A】本開示の実施形態によって軽減することができる位相障害を示す。
【0012】
【
図3B】本開示の実施形態によって障害が補正され得る動的シナリオを示す。
【0013】
【
図4】本開示の実施形態による、基準アームを有する例示的なLIDARシステムのブロック図である。
【0014】
【
図5】本開示の実施形態に従ったエゴ・ドップラー補償型位相障害補正器を示す。
【0015】
【
図6】本開示の実施形態に従った近接速度ベースの補正器を示す図である。
【0016】
【
図7】本開示の実施形態に従った前ポイントベースの補正器を示す図である。
【0017】
【
図8】本開示の実施形態に従った反復型位相障害補正器を示す。
【0018】
【
図9】本開示の実施形態に従ったマルチドップラ補償補正器を示す図である。
【0019】
【
図10】本開示の実施形態による、LIDARシステム内の位相障害を補償する方法の一例を示す流れ図である。
【0020】
【
図11】本開示の実施形態による、LIDARシステム内の位相障害を補償する別の方法の例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、LIDARシステムおよびLIDARシステムによって検出される動的シーンにおける位相障害を補償する方法の様々な例を説明する。
いくつかの実施形態によれば、上述したLIDARシステムは、輸送、製造、計測、医療、仮想現実、拡張現実、およびセキュリティシステムなどの任意のセンシング市場において実施することができるが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態によれば、上述したLIDARシステムは、自動運転支援システム、または自動運転車の空間認識を支援する周波数変調連続波(FMCW)デバイスのフロントエンドの一部として実装される。いくつかの実施形態によれば、上述したLIDARシステムは、自動運転支援システム、または自動運転車の空間認識を支援する周波数変調連続波(FMCW)デバイスのフロントエンドの一部として実装される。
【0022】
図1は、本開示の例示的な実施態様によるLIDARシステム100を示す。
LIDARシステム100は、多数の構成要素のいずれか1つまたは複数を含むが、
図1に示すよりも少ない構成要素または追加の構成要素を含んでもよい。
いくつかの実施形態によれば、
図1に示された構成要素の1つ以上は、フォトニクスチップ上に実装することができる。いくつかの実施形態によれば、LIDARシステム100は、フォトニクスチップ上に実装することができる1つ以上のコンポーネントを含む。
光学回路101には、能動光学構成要素と受動光学構成要素との組み合わせが含まれている。能動光学構成要素は、光信号などを生成、増幅、および/または検出する。いくつかの例では、能動光学構成要素は、異なる波長の光ビームを有し、1つ以上の光増幅器、1つ以上の光検出器などを含んでいる。
【0023】
自由空間光学系115には、光信号を送信し、能動光回路の適切な入力/出力ポートに光信号をルーティングして操作するための1つ以上の光導波路が含まれている。自由空間光学系115には、タップ、波長分割マルチプレクサ(WDM)、スプリッタ/コンバイナ、偏光ビームスプリッタ(PBS)、コリメータ、カプラなどの1つ以上の光学構成要素が含まれている。
一態様では、自由空間光学系115には、偏光状態を変換し、受信した偏光を、例えば、PBSを用いて光検出器に導くための構成要素が含まれている。また、自由空間光学系115には、異なる周波数を有する光ビームを軸(例えば、高速軸)に沿って異なる角度で偏向させる回折素子がさらに含まれる場合がある。
【0024】
本実施形態のLIDARシステム100は、1つ以上のスキャニングミラーを有する光スキャナ102を備えている。これらのスキャニングミラーは、スキャニングパターンに従って環境をスキャンする光信号を誘導するために、回折素子の速軸に直交または実質的に直交する軸(例.低速軸)に沿って回転可能になっている。
例えば、スキャニングミラーは、1つ以上のガルバノメータによって回転可能である。ターゲット環境内の対象物は、入射光を散乱させてリターン光ビームやターゲットリターン信号にすることがある。
また、光スキャナ102は、リターン光ビームまたはターゲットリターン信号を収集し、これは光学回路101の光回路構成要素に戻される場合がある。例えば、リターン光ビームは、偏光ビームスプリッタによって光検出器に向けられる。
なお、光スキャナ102には、ミラーやガルバノメータに加えて、1/4波長板、レンズ、反射防止コーティングされた光学窓などが含まれる場合がある。
【0025】
LIDARシステム100には、光学回路101および光スキャナ102を制御およびサポートするために、LIDAR制御装置110が設けられている。LIDAR制御装置110には、LIDARシステム100に必要な処理装置が含まれている。
一態様では、処理装置は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つ以上の汎用処理装置である。より具体的には、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサである。また、上記処理装置は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:現場プログラム可能ゲートアレイ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等の特殊用途処理装置の1つ以上であってもよい。
【0026】
一態様では、LIDAR制御装置110には、DSPなどの信号処理ユニット112が設けられる。これにより、LIDAR制御装置110は、光学ドライバ103を制御するためのデジタル制御信号を出力する。そのデジタル制御信号は、信号変換ユニット106を介してアナログ信号に変換される。例えば、信号変換ユニット106には、デジタル/アナログ変換器が含まれる。
光学ドライバ103は、光学回路101の能動光学構成要素に駆動信号を供給し、レーザや増幅器などの光源を駆動する。一態様では、複数の光源を駆動するために、複数の光学ドライバ103および信号変換ユニット106を設けてもよい。
【0027】
LIDAR制御装置110はまた、光スキャナ102に対してデジタル制御信号を出力するように構成されている。モーション制御装置105は、LIDAR制御装置110から受信した制御信号に基づいて、光スキャナ102のガルバノメータを制御することができる。具体的には、デジタル/アナログ変換器を用いて、LIDAR制御装置110からの座標ルーティング情報を、光スキャナ102のガルバノメータによって処理可能な信号に変換することができる。
一態様では、モーション制御装置105は、光スキャナ102の構成要素の位置または動作に関する情報をLIDAR制御装置110に送り返すこともできる。具体的には、アナログ/デジタル変換器を用いて、ガルバノメータの位置に関する情報をLIDAR制御装置110が処理可能な信号に順次変換することができる。
【0028】
LIDAR制御装置110は、さらに、入力されたデジタル信号を解析するように構成されている。これに関連して、LIDARシステム100には、光学回路101によって受信された1つ以上のビームを測定するための光受信器104が設けられている。具体的には、光受信器104としての基準ビーム受信器は、能動光学構成要素からの基準ビームの振幅を測定し、アナログ/デジタル変換器により、同基準ビーム受信器からの信号を、LIDAR制御装置110によって処理可能な信号に変換する。また、光受信器104としてのターゲット受信器は、ビート周波数変調光信号の形でターゲットの距離と速度に関する情報を搬送する光信号を計測する。この場合、光信号の反射ビームは、局部発振器からの信号と混合されてもよい。光受信器104には、ターゲット受信器からの信号をLIDAR制御装置110によって処理可能な信号に変換する高速アナログ/デジタル変換器を設けることができる。
一態様では、光受信器104からの信号は、LIDAR制御装置110に受信される前に、信号調整ユニット107による信号調整の対象となり得る。例えば、光受信器104からの信号は、リターン信号の増幅のために信号調整ユニット107のオペアンプに供給され、そのオペアンプによって増幅された信号がLIDAR制御装置110に供給されるようにしてもよい。
【0029】
一部のアプリケーションでは、LIDARシステム100には、環境の画像をキャプチャするように構成された1つ以上の撮像装置108、同システムの地理的位置を提供するように構成された全地球測位システム(GPS)109、または他のセンサ入力を追加的に設けることもできる。また、LIDARシステム100には画像処理装置114を設けることができる。この場合、同画像処理装置114は、撮像装置108および全地球測位システム(GPS)109から画像および地理的位置を受信し、画像および位置またはそれに関連する情報を、LIDAR制御装置110またはそれに接続された他のシステムに送信するように構成することができる。
【0030】
いくつかの実施例による動作では、LIDARシステム100は、非縮退光学光源を用いて2次元で距離および速度を同時に測定するように構成される。この機能により、周囲環境の距離、速度、方位角および仰角について遠距離測定がリアルタイムで可能になる。
【0031】
いくつかの例では、スキャンプロセスは、光学ドライバ103およびLIDAR制御装置110から開始される。LIDAR制御装置110は、光学ドライバ103に1つ以上の光ビームをそれぞれ変調するように指示し、これらの変調信号は光学回路101の受動光学回路を通って自由空間光学系115のコリメータに送信される。同コリメータは、上記変調信号を光スキャナ102に誘導し、光スキャナ102はモーション制御装置105によって定義され事前にプログラムされたパターンで環境をスキャンする。光学回路101には、光が光学回路101を出る際に光の偏光状態を変換する偏光波長板(PWP)を設けてもよい。
一態様では、偏光波長板は、1/4波長板または半波長板であってもよい。偏光された光ビームの一部は、光学回路101に戻るように反射される場合もある。例えば、LIDARシステム100で使用されるレンズ系またはコリメート系は、自然な反射特性または反射コーティングを有する場合があり、これにより光ビームの一部が光学回路101に反射される。
【0032】
環境から反射された光信号は、光学回路101を通して受信器(光受信器104)に送られる。このとき、光の偏光状態は変換されているため、光学回路101に反射して戻ってきた偏光光の一部とともに偏光ビームスプリッタで反射される。その結果、反射された光信号は、光源と同じ光ファイバまたは導波路には戻らず、それぞれ別の光受信器に反射される。これらの信号は互いに干渉し、合成された信号を生成する。ターゲットから戻ってくる各ビーム信号は、時間シフトされた波形を生成し、これら2つの波形間の時間的位相差によって光受信器(光検出器)で計測されるビート周波数が生成される。そして、その合成された信号は光受信器104に反射させることができる。
【0033】
光受信器104で受信したアナログ信号は、ADC(アナログ/デジタル変換器)によりデジタル信号に変換される。次いで、同デジタル信号は、LIDAR制御装置110に送信される。同装置の信号処理ユニット112は、同デジタル信号を受信しそれらを処理する。一態様では、信号処理ユニット112は、モーション制御装置105およびガルバノメータ(図示されない)から位置データを受信し、画像処理装置114から画像データを受信する。これにより、信号処理ユニット112は、光スキャナ102が追加ポイントをスキャンする際に、環境内のポイントの距離と速度に関する情報を有する3Dポイントクラウドを生成することができる。信号処理ユニット112はまた、3Dポイントクラウドを画像データと重ね合わせて、周囲の対象物の速度および距離を決定する場合もある。
このシステムはさらに衛星ベースのナビゲーション位置データを処理して正確な全地球的位置情報を提供する場合もある。
【0034】
図2は、一実施形態において、LIDARシステム100のようなLIDARシステムがターゲット環境をスキャンするために使用可能なFMCWスキャニング信号201の時間-周波数
図200である。
この例において、fFM(t)と表示されたFMCWスキャニング信号201は、チャープ帯域幅Δfcおよびチャープ周期Tcを持つ鋸歯状波形(鋸歯「チャープ」)である。鋸歯の傾きは、k=(Δfc/Tc)である。
図2にはまた、一実施形態におけるターゲットリターン信号202が示される。
fFM(t-Δt)で示されるターゲットリターン信号202は、FMCWスキャニング信号201の時間遅延バージョンであり、Δtは、FMCWスキャニング信号201によって照射されたターゲットとの間の往復時間である。この往復時間はΔt=2R/vで与えられる。ここで、Rはターゲットの距離、vは光ビームの速度である光速cである。
したがって、同ターゲットの距離Rは、R=c(Δt/2)として計算できる。
ターゲットリターン信号202がFMCWスキャニング信号と光学的に混合されると、距離依存の差周波数(「ビート周波数」)ΔfR(t)が生成される。ビート周波数ΔfR(t)は、鋸歯の傾きkによって時間遅延Δtと線形の関係にある。つまり、ΔfR(t)=kΔtとなる。ターゲットの範囲RはΔtに比例するので、ターゲットの距離RはR=(c/2)(ΔfR(t)/k)として算出することができる。つまり、距離Rはビート周波数ΔfR(t)と線形の関係にある。
ビート周波数ΔfR(t)は、例えば、LIDARシステム100の光受信器104でアナログ信号として生成される。このビート周波数は、例えば、LIDARシステム100の信号調整ユニット107内のアナログ/デジタル変換器(ADC)によってデジタル化される。このようにしてデジタル化されたビート周波数信号は、LIDARシステム100内の信号処理ユニット(例えば、信号処理ユニット112)でデジタル処理される。
ただし、ターゲットがLIDARシステム100に対して相対速度を有する場合、ターゲットリターン信号202には一般に周波数オフセット(ドップラーシフト)が含まれることに注意する必要がある。
ドップラーシフトは別途検出されてリターン信号の周波数を補正するために使用されるため、
図2では簡略化と説明の容易化のためドップラーシフトは表示されていない。また、ADCのサンプリング周波数は、エイリアシングを発生させずにシステムで処理可能な最高のビート周波数に決定されることに注意する必要がある。一般的に処理可能な最高周波数はサンプリング周波数の半分(すなわち「ナイキスト限界」)である。例えば、限定はしないが、ADCのサンプリング周波数が1ギガヘルツである場合、エイリアシングなしで処理できる最高ビート周波数(ΔfRmax)は500メガヘルツである。この限界は、システムの最大ターゲット距離Rmax=(c/2)(ΔfRmax/k)で決まり、これは鋸歯の傾きkを変更することによって調整することができる。
一例では、ADCからのデータサンプルは連続的であってもよいが、後述する後続のデジタル処理は、LIDARシステム100の所定の周期性に関連付けることができる「時間セグメント」に分割することができる。例えば、限定はしないが、時間セグメントは、チャープ周期Tcの数、または前述の光スキャナによる方位角方向の回転数に対応する。
【0035】
いくつかのシナリオでは、
図1で説明したLIDARシステムなどのLIDARシステムが経験する位相障害の原因がいくつか存在する。
これらの原因として、例えば、レーザの位相ノイズ、回路の位相ノイズ、駆動電子機器がレーザに与えるフリッカノイズ、温度や天候によるドリフト、チャープレートオフセットなどがある。
【0036】
図3Aは、本発明の実施形態によって軽減することができる位相障害を示す。
位相障害を補正したピーク301が、補正していないピーク303に対応して示されている。
図3Aに示すように、受信信号に対する位相障害は、ターゲットの距離に依存する。シナリオによっては、より遠くにあるターゲットは、より近いターゲットと比較して、より高い帯域幅の位相障害を有する場合がある。例えば、
図3Aに示す最も遠い非補正ピーク305は、近い非補正ピーク307と比較して、位相障害の帯域幅が著しく高いことがわかる。
あるシナリオでは、位相障害は距離のみに依存し、ドップラーシフトには依存しない場合があり、一方、ピーク周波数は距離およびドップラーシフトの両方に依存する場合がある。いくつかの実施形態において、位相障害の距離に対する依存性は、本明細書に記載されるいくつかの補正アルゴリズムにおいて利用される場合がある。いくつかの実施形態では、デスキューフィルタは、周波数に線形に比例する負の群遅延に適用することができる。
【0037】
図3Bは、本発明の実施形態によって軽減することができる動的シナリオを示す。
図3Bに示すように、ピーク周波数311は、周波数=α
×(かける)Δt
±(プラスまたはマイナス)ドップラーシフト309として計算でき、αはチャープの傾き(チャープレートともいう)である。
いくつかの実施形態では、デスキューフィルタは、α
×(かける)距離の代わりにα
×(かける)距離
±(プラスまたはマイナス)ドップラーシフトに基づく負の群遅延を適用する。このため、性能の低下と、動的なターゲットに対する検出確率および距離/速度誤差の低下をもたらすおそれがある。
【0038】
本明細書で説明する実施形態は、例えば、説明したエゴ・ドップラー補償型位相障害補正器を利用することによって、これらの問題に対処する。エゴ・ドップラー補償型位相障害補正器は、デスキューフィルタを適用する前にエゴ速度を補償することができる。
本明細書に記載されるエゴ速度は、車両速度、センサ速度、ミラー速度などを含むが、それに限定されない。また、(同エゴ速度は)本明細書に記載されるシステムによって行われ、あるいは、同システムに対して提供された、以前のあらゆるエゴ速度の決定、およびそれらの任意の組み合わせも含む。
本明細書で使用されるように、エゴ速度は、ポイントクラウドのいずれかを使用して推定することができ、あるいは、慣性測定ユニット(IMU)などの1つ以上のモーションセンサを用いて測定することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、
図6を参照して以下でより詳細に説明するように、近接速度ベースの位相障害補正器を使用することができる。信号をデスキューフィルタに通し、標準デスキューフィルタを用いた、近接する全検出ポイントのサブセットの速度を用いて真のターゲット速度の推定値を導き出し、近接速度推定値に基づいて補正手順を再実行してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、以前の検出ポイントに基づいた位相障害補正器を用いることができる。以前の検出ポイントに基づいた位相障害補正器は、以前の推定検出ポイントからの速度を用いて、現在の検出ポイントの最も可能性の高い速度を推定し、デスキュー補正の前にその周波数シフトを適用することができる。いくつかの実施形態では、直前の検出ポイントを用いることができる。実施形態では、以前のスキャンラインからの検出ポイントを用いることができる。いくつかの実施形態では、以前のフレームからの検出ポイントを用いることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、反復型位相障害補正器および/またはマルチドップラ-補償型位相障害補正器を使用することができる。いくつかの実施形態では、ドップラー補償は、説明されたいずれの手法においても、ターゲットのADCサンプルまたはデスキューフィルタ係数のいずれかに適用することができる。
【0042】
図4は、本開示の実施形態による、基準アーム427を有する例示的なLIDARシステムのブロック図である。
図4に示すように、いくつかの実施形態によれば、1つ以上の基準アーム427をLIDARシステムに追加して、送信信号の位相障害を推定するために用いることができるデジタル的にサンプリングされた基準信号426を生成することができる。例えば、一実施形態では、1つ以上の基準アーム427は、
図1の光学回路101、信号変換ユニット106、および/または信号調整ユニット107の一部として含めることができる。この例示的な実施形態では、システムは、FMCWレーザ光源などのビーム源401を含む。ターゲットアーム405は、スキャニング信号403がターゲット407に向かう途中で通過することができる多数の光学部品(例えば、レンズまたはフィルタ)を含む。リターン信号409は、ターゲット407から反射され、光検出器411に向けて送られる。
本実施形態では、スキャニング信号403の一部である局部発振器(LO)信号413は、ターゲット407に送出される前に光検出器411に導かれる。光検出器411から、デジタルサンプリングされたターゲット信号416が、その後、ターゲットADC415を経て、DSP417に至る。
【0043】
この実施形態に示されているように、基準アーム427はスキャニング信号403の信号部分419を受信し、この信号は直接光検出器421に供給される他、既知の長さを有する遅延装置423を通過した後に供給される。
いくつかの実施形態によれば、信号部分419は、スキャニング信号403がターゲットアーム405の光学構成要素を介して同時期に送信されるときに光検出器421によって受信される。いくつかの実施形態によれば、信号部分419は、スキャニング信号403がターゲットアーム405の光学構成要素を通過した後に光検出器421によって受信される。いくつかの実施形態によれば、遅延装置423は、ファイバ-遅延装置などとすることができる。一実施形態では、遅延装置423は、既知の距離で仮想ターゲット(例えば、ファイバ-ターゲット)を作成することができる既知の長さを有するファイバ-コイルを含むことができる。
【0044】
いくつかのシナリオでは、仮想ターゲットの距離は事前に決定することができる。基準遅延の出力における光信号は、
図2に描かれたターゲットリターン信号202と同じ特性を有する。いくつかの実施形態によれば、
図2で説明したのと同様の方法で、仮想ターゲットは、スキャニング信号403の時間遅延バージョンであるリターン信号409を生成することができる。リターン信号409がスキャニング信号403と光学的に混合されると、基準距離に依存する差周波数(以下、「基準ビート周波数」という)が生成される。いくつかの実施形態によれば、基準ビート周波数は、次に、例えば、
図1において本明細書に記載された手順を用いてデジタル化され、調整される。この基準信号は、ターゲットからのリターン信号と同じ位相障害の特徴を有する。基準アーム427によって生成された基準信号に少なくとも部分的に基づく位相障害推定器および位相障害補正器は、ターゲットに向かって送信された信号(すなわち、「ターゲット」信号)およびそこから受信した信号(すなわち、「受信」信号)における位相障害を補償することができる。
【0045】
光検出器421から、デジタル的にサンプリングされた基準信号426は、その後、基準ADC425を、そしてDSP417を通過する。
図4に示すように、本発明の実施形態は、ターゲットからのリターン信号409、局部発振器(LO)信号413、および基準アーム427を含む様々な信号の送受信に基づいてポイントクラウドデータ429を生成することができる。
【0046】
図5は、本発明の実施形態に従ったエゴ・ドップラー補償型位相障害補正器を示す。
図5に示されているように、位相障害補正器509は、デスキューフィルタ508を実行する前に、周波数シフタ507によって、与えられた周波数シフトを受信信号に取り入れ、位相障害補正後に周波数シフタ511で周波数シフトを元に戻すことによって、推定または測定したエゴ・ドップラーを補償するように構成されたエゴ・ドップラー補償型位相障害補正器で構成されている。いくつかの実施形態では、エゴ・ドップラー補償型位相障害補正器は、所定のシーンにおける静的ターゲットに適用することができる。
【0047】
図5に示すように、1つ以上の基準ADC501およびターゲットADC505とともに、位相障害推定器503、位相障害補正器509は、いくつかの実施形態において、
図4のDSP417に対応することができる。
一実施形態では、位相障害推定器503および/または位相障害補正器509のうちの1つ以上が、
図1の信号処理ユニット112の一部として含まれる。いくつかの実施形態では、アーキテクチャは、時間領域フィルタ513、時間領域(TD)から周波数領域(FD)への変換器515、周波数領域フィルタ517、およびピーク検出構成要素519も含む。デジタル信号処理アーキテクチャは、ポイントクラウドデータ521のようなデータを生成し、処理することができる。
本明細書ではポイントクラウドの使用について説明するが、実施形態はそのようなものに限定されず、ポイントクラウドを含むことができるが、これに限定されないことを理解すべきである。
【0048】
図6は、本発明の実施形態に係る位相障害補正器によって用いられる近接速度ベースの補正器を示す。
図6に示すように、位相障害補正器609は、全点のサブセットに対して位相障害補正器623を実行し、近接推定器633を用いて近接検出ポイントに基づいて速度を推定する近接速度ベース補正器を備えて構成される。いくつかの実施形態では、推定値は、近接検出ポイントの速度の平均/中央値または他の任意の統計値である。代替実施形態では、近接速度ベース補正器は、推定ドップラーシフトを補償し、ピークを再推定するために位相障害補正器を再実行することができる。
【0049】
近接速度が推定されると、推定ドップラーシフトがドップラーシフト推定器635によって計算され、デスキューフィルタ608および位相障害補正器609の前に周波数シフタ607で関連する周波数シフトが取り入れられる。
上述したように、デスキューフィルタ608は、周波数に基づく可変遅延を適用するので、周波数シフタ607で導入される周波数の調整は、デスキューフィルタ608によって適用される遅延に影響を与える。いくつかの実施形態では、周波数シフタ611で適用される第2の周波数シフトは、周波数シフタ607で導入される第1の周波数シフトの共役である。
【0050】
図6に示すように、デジタル信号処理アーキテクチャは、1つ以上の基準ADC601およびターゲットADC605とともに、位相障害推定器603、位相障害補正器609を含む。
いくつかの実施形態では、近接速度推定器アームは、時間領域フィルタ625、TDからFDへの変換器627、周波数領域フィルタ629、およびピーク検出構成要素631も含む。同様に、ターゲットアームのアーキテクチャは、時間領域フィルタ613、TDからFDへの変換器615、周波数領域フィルタ617、およびピーク検出構成要素619も含むことができる。デジタル信号処理アーキテクチャは、ポイントクラウドデータ621のようなデータを生成し、処理することができる。
【0051】
図7は、本発明の実施形態に従った前検出ポイントベースの補正器を示す図である。
図7に示すように、位相障害補正器709は、以前に推定した検出ポイントに基づいて検出ポイントの速度を推定するように構成された前検出ポイントベース補正器を備えている。いくつかの実施形態では、直前の検出ポイントが用いられることがある。いくつかの実施形態では、以前のスキャンラインからの検出ポイントが用いられてもよいし、以前のフレームからの検出ポイントが用いられてもよい。位相障害補正器の前にドップラーシフトを補償するために、前検出ポイントベースの補正器を使用して速度を推定することができる。
【0052】
図7に示すように、デジタル信号処理アーキテクチャは、1つ以上の基準ADC701およびターゲットADC705とともに、位相障害推定器703、位相障害補正器709を含む。
いくつかの実施形態では、ターゲットアームのアーキテクチャは、時間領域フィルタ713、TDからFDへの変換器715、周波数領域フィルタ717、およびピーク検出部719も含むことができる。デジタル信号処理アーキテクチャは、ポイントクラウドデータ721のようなデータを生成し、処理することができる。この例示的な実施形態では、ピーク検出部719の後、速度推定器723が、上述したように、以前の検出ポイントの速度を推定する。この速度推定に基づき、デスキューフィルタ708および位相障害補正器709の前の周波数シフタ707において、関連する周波数シフトを取り入れることができる。
上述したように、デスキューフィルタ708は、周波数に基づく可変遅延を適用するので、周波数シフタ707で導入される周波数の調整は、デスキューフィルタ708で適用される遅延に影響を与える。いくつかの実施形態では、周波数シフタ711で適用される第2の周波数シフトは、周波数シフタ707で導入される第1の周波数シフトの共役である。
【0053】
図8は、本発明の実施形態に従った反復型位相障害補正器を示す。
図8に示すように、位相障害補正器807は、反復型位相障害補正器を用いて構成されており、収束するまで複数回ループを繰り返すことができる。
図8に示すように、デジタル信号処理アーキテクチャは、位相障害推定器801、フィルタタップの計算803、および位相障害補正器807を含む。
いくつかの実施形態では、ターゲットアームのアーキテクチャは、時間領域フィルタ811、TDからFDへの変換器813、周波数領域フィルタ815、およびピーク検出部817を含むこともできる。
【0054】
この例示的な実施形態では、デスキューフィルタ808および位相障害補正器807の前に、周波数シフタ805で第1の周波数シフトが取り入れられる。周波数シフタ809で第2の周波数シフトを導入することができ、第2の周波数シフトは、周波数シフタ805からの第1の周波数シフトの共役とすることができる。
この例示的な実施形態では、ピーク検出部817の後、収束するまで、周波数シフタ805および周波数シフタ809で取り入れられる異なる周波数シフトを用いて、プロセスが繰り返される。各繰り返しでは、前回の繰り返しからの速度推定値が周波数シフトの適用に用いられる。
したがって、各繰り返しにおいて、選択されたピークおよび対応する距離および速度の推定値が異なる可能性がある。選択されたピークが2回以上の連続した繰り返しで同じであれば、収束が達成される。
【0055】
図9は、本発明の実施形態によるマルチエゴ・ドップラー補償型位相障害補正器を示す。
図9に示すように、位相障害補正器909、927はそれぞれ、異なる複数(N個)のドップラー補償された受信信号に対して位相障害補正を行い、最も良いものを選ぶマルチエゴ・ドップラー補償型位相障害補正器である。
【0056】
図9に示すように、デジタル信号処理アーキテクチャは、1つ以上の基準ADC901およびターゲットADC905とともに、位相障害推定器903、多数の位相障害補正器909、927を含む。この特定の実施形態では、受信信号904は、多数の異なる経路に流用され、各パスは異なる周波数シフトを含む。例えば、第1のデスキューフィルタ908及び第1の位相障害補正器909の前に、周波数シフタ907で第1の周波数シフトを取り入れることができる。第1の位相障害補正器909の後、周波数シフタ907で取り入れられた周波数シフトは、周波数シフタ911で反転させることができる。
いくつかの実施形態では、この第1のターゲットアームは、時間領域フィルタ913、TDからFDへの変換器915、周波数領域フィルタ917、およびピーク検出構成要素919も含むことができる。同様に、N番目のターゲットアームは、N番目のデスキューフィルタ925およびN番目の位相障害補正器927の前に周波数シフタ923にて取り入れられたN番目の周波数シフトを含むことができる。N番目の位相障害補正器927の後、周波数シフタ923にて取り入れられた周波数シフトは、周波数シフタ929にて反転させることができる。いくつかの実施形態では、N番目のターゲットアームは、時間領域フィルタ931、TDからFDへの変換器933、周波数領域フィルタ935、およびピーク検出構成要素937も含むことができる。
最後に、いくつかの遅延のそれぞれについてピークが検出されると、921にて最適のピークを選択することができる。最適なピークを選択することは、いくつかの実施形態では、最も強いピーク、最も高いSNR、または信号検出に使用される他の指標を選ぶことを含む場合がある。
【0057】
図10は、本開示の実施形態による、LIDARシステム内の位相障害を補償する方法の例を示す流れ図である。
この方法は、動作1001において、第1の光ビームをターゲットに送信することによって開始される。第1の光ビームは、例えば、FMWCビームを含むことができる。実施形態では、光ビームは、ビーム源401から送信することができる。
【0058】
動作1003では、リターン信号409が、第1の検出器においてターゲットから受信される。リターン信号409を受信する第1の検出器は、
図4を参照して上述した光検出器411であってよい。
【0059】
動作1005では、局部発振器(LO)局部発振器(LO)信号413、光検出器411、およびリターン信号409を用いて、デジタルサンプリングされたターゲット信号416を生成する。
【0060】
動作1007では、デジタルサンプリングされたターゲット信号416のエゴ速度およびターゲット速度は、推定エゴ速度および推定ターゲット速度に基づいて補償される。この補償は、いくつかの実施形態では、周波数シフタ507,511,607,611,707,711,805,809,907,911,923,929を用いて行うことができる。一実施形態では、第1の周波数シフトは、デジタルサンプリングされたターゲット信号に適用することができ、ここで、第1の周波数シフトは、LIDARシステムのエゴ速度と推定ターゲット速度の関数である。デジタルサンプリングされたターゲット信号には、第1の周波数シフトの共役である第2の周波数シフトを適用することができる。
いくつかの実施形態では、推定ターゲット速度は、近接検出ポイントの速度に基づいており、近接検出ポイントの速度は、近接検出ポイントの総てに対して標準の補正器を実行し、かつ、近接検出ポイントの速度の統計値(例えば、平均値または中央値)を推定することによって決定することができる。
他の実施形態では、推定ターゲット速度は、以前の検出ポイントの速度に基づく。
【0061】
動作1009では、位相障害補正器509,609,709,807,909,927を用いて、デジタルサンプリングされたターゲット信号に対して位相障害補正が実行される。
いくつかの実施形態では、この方法は、既知の長さを有するファイバ遅延装置を介して送信される基準ビームを用いて、デジタルサンプリングされた基準信号を生成することも含む。位相障害補正は、LOビームおよびリターン信号によってデジタルサンプリングされたターゲット信号に取り入れられた位相障害を補正することができる。このような実施形態では、基準ビームは、ビームスプリッタを使用して第1の光ビームから分配することができる。いくつかの実施形態では、リターン信号の位相障害を調整することは、リターン信号の周波数に基づいてリターン信号に遅延を取り入れることを含む。このような遅延は、リターン信号の周波数に比例する場合がある。つまり、より遠くのターゲットからの反射はより多くの遅延を受け、より近くのターゲットからの反射はより少ない遅延を受けることがある。この遅延は、例えば、デスキューフィルタ508,608,708,808,908,925を用いて取り入れることができる。
【0062】
図11は、本開示の実施形態による、LIDARシステム内の位相障害を補償する別の例の方法を示す流れ図である。
この方法は、動作1101において、LIDARシステムにてターゲット407から反射されたリターン信号409を受信することによって開始する。リターン信号409は、LIDARシステムから送信されたスキャニング信号(第1の光ビーム)403の反射である。スキャニング信号(第1の光ビーム)403は、いくつかの実施形態において、ビーム源401を用いて送信することができる。
【0063】
動作1103では、この方法は、LIDARシステムのエゴ速度を決定する。いくつかの実施形態では、エゴ速度は、近接する対象物に対するLIDARシステムの速度である。また、エゴ速度には、LIDARシステムに関連するミラーの速度も含まれることがある。
いくつかの実施形態では、LIDARシステムのエゴ速度は、例えば、
図1を参照して説明した信号処理ユニット112またはモーション制御装置105を用いて決定することができる。
【0064】
動作1105では、本方法は、推定ターゲット速度を決定する。いくつかの実施形態では、推定ターゲット速度を決定することは、ターゲットに近接する近接検出ポイントの速度を決定すること、および近接検出ポイントの速度に基づいて推定ターゲット速度を生成することを含む。
いくつかの実施形態では、近接検出ポイントの速度を推定することは、すべての近接検出ポイントに対して標準の補正器を実行すること、および近接検出ポイントの速度の統計値(例えば、平均値または中央値)を推定することを含む。代替実施形態では、推定ターゲット速度を決定することは、ポイントクラウド内のターゲットの以前の検出ポイントの速度を決定することと、以前の検出ポイントの速度に基づいて推定ターゲット速度を生成することを含む。いくつかの実施形態では、以前の検出ポイントは、同じスキャンラインにおける直前の検出ポイント、あるいは、以前のスキャンラインまたは以前のスキャンフレームからの検出ポイントの速度を含む。いくつかの実施形態では、推定ターゲット速度は、例えば、
図1を参照して説明した信号処理ユニット112または画像処理装置114を用いて決定することができる。
【0065】
動作1107では、位相障害推定器503,603,703,801,903を用いて推定位相障害が計算される。動作1109では、第1の周波数シフトがリターン信号に適用される。いくつかの実施形態では、第1の周波数シフトは、LIDARシステムのエゴ速度の関数である。いくつかの実施形態では、第1の周波数シフトは、動作1105で決定された推定ターゲット速度の関数である。
【0066】
第1の周波数シフトが適用されると、動作1111において、リターン信号は、推定位相障害に基づいて位相障害を考慮して調整される。
いくつかの実施形態において、リターン信号の位相障害を調整することは、リターン信号の周波数に基づいてリターン信号に遅延を取り入れることを含む。
このような遅延は、リターン信号の周波数に比例する場合がある。つまり、より遠くのターゲットからの反射はより多くの遅延を受け、より近くのターゲットからの反射はより少ない遅延を受けることがある。この遅延は、例えば、デスキューフィルタ508,608,708,808,908,925を用いて取り入れることができる。
【0067】
動作1113では、デスキューフィルタからの遅延ビームに第2の周波数シフトが適用される。
いくつかの実施形態では、第2の周波数シフトは、第1の周波数シフトの共役である。動作1109および1113にて実行される周波数シフトは、例えば、周波数シフタ507,511,607,611,707,711,805,809,907,911,923,929を用いて実行することができる。
【0068】
前述した説明では、本発明の実施形態を理解しやすくするために、特定のシステム、構成要素、方法などの具体例を複数示しているが、当業者であればこれらの具体例の説明がなくても本発明を実施することができる。また、公知の構成要素や方法はその詳細が省略され、または、単純なブロック図の形式で示されることがあるが、これは本発明の理解を容易にするためである。したがって、開示された内容は単に例示であり、一事例は他の例示と異なる場合があっても、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0069】
本明細書において「一実施形態」または「実施形態」という表現が使用される場合、それらの実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書のいくつかの箇所で「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が現れている場合、必ずしも同じ実施形態を示すものではない。
【0070】
「結合」という用語は、その派生語とともに、2つ以上の要素が相互に作用することを示すために使用される。これらの結合要素は、互いに直接的な物理的または電気的に接触している場合もあれば、接触していない場合もある。
【0071】
ここで説明されている方法の操作は特定の順序で示されているが、各方法の操作の順序は変更されることがあり、特定の操作を逆順で行ってもよいし、少なくとも一部の操作を他の操作と同時に行ってもよい。異なる操作の指示または補助的な操作は、断続的または交互に行うことができる。
【0072】
上記に記載されている発明の実施例についての説明(要約に記載されている内容を含む)は、詳細で網羅的であることを意図しているものではなく、開示された具体的形態に限定するものでもない。本発明の具体的な実施態様および実施例は、例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識する範囲で種々の同等な変更を行うことができる。ここで使用される「例」または「例示的」の語は、例、実例または説明として役立つことを意味するために使用されている。本明細書において「例」または「例示」と説明された態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示」という用語の使用は、概念を具体的な形で示すことを意図している。
本明細書において使用される「または」の用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」として解釈されることを意図している。つまり、特に指定されていない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」という表現は、自然な包括的順列のいずれかを意味する。つまり、XがAを含む場合、XがBを含む場合、あるいはXがAおよびBの両方を含む場合、前述のいずれの場合にも、「XはAまたはBを含む」という条件を満たすことになる。
さらに、本明細書および添付された特許請求の範囲で使用される冠詞「a」および「an」は、特に指定されていない限り、文脈から単数形であることが明らかでない場合には「1つまたは複数」を意味するものと解釈される。
さらに、本明細書において「第1」、「第2」、「第3」、「第4」のような用語が使用される場合、これらの用語は異なる要素を区別するための識別子として使用されるもので、数字の指定に従って必ずしも順序を示すものではない。