(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】無線通信装置、情報提示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20250306BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20250306BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20250306BHJP
H04B 17/23 20150101ALI20250306BHJP
【FI】
H04W16/18
H04W84/18
H04W88/02 110
H04B17/23
(21)【出願番号】P 2024018365
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2021574420の分割
【原出願日】2020-01-31
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田山 修平
(72)【発明者】
【氏名】神谷 謙治
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-119268(JP,A)
【文献】特開2005-033285(JP,A)
【文献】特開2005-109901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0233401(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04B 17/23
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置から信号を無線により受信可能な無線通信部と、
ユーザから測定モードの開始操作を受け付ける操作入力部と、
前記測定モードの開始操作を受け付けた場合に、
前記測定モードの開始後の所定期間に前記複数の通信装置のうちの最も電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第1装置に割り当て、前記所定期間に前記複数の通信装置のうちの2番目に電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第2装置に割り当てる割当部と、
前記第1装置
に割り当てた通信装置から受信した第1信号の電波強度を検出する第1検出部と、
前記第2装置
に割り当てた通信装置から受信した第2信号の電波強度を検出する第2検出部と、
筐体に設けられ、前記第1信号の電波強度が予め定められた第1しきい値より大きい場合、予め定められた種類の点灯をする第1表示部と、
前記筐体に設けられ、前記第2信号の電波強度が前記第1しきい値より大きい場合、予め定められた種類の点灯をする第2表示部と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記第1表示部は、前記第1信号の電波強度が前記第1しきい値より大きい場合、第1の種類の点灯をし、前記第1信号の電波強度が前記第1しきい値以下である場合、前記第1の種類とは異なる第2の種類の点灯をし、
前記第2表示部は、前記第2信号の電波強度が前記第1しきい値より大きい場合、前記第1の種類の点灯をし、前記第2信号の電波強度が前記第1しきい値以下である場合、前記第2の種類の点灯をする
請求項
1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1表示部は、前記第1信号の電波強度が第2しきい値より小さい場合、予め定められた第3の種類の点灯をし、
前記第2表示部は、前記第2信号の電波強度が前記第2しきい値より小さい場合、前記第3の種類の点灯をし、
前記第2しきい値は、前記第1しきい値より小さい
請求項
2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
複数の通信装置から信号を無線により受信可能な無線通信部を備える無線通信装置により実行される情報提示方法であって、
ユーザから測定モードの開始操作を受け付け、
前記測定モードの開始操作を受け付けた場合に、
前記測定モードの開始後の所定期間に前記複数の通信装置のうちの最も電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第1装置に割り当て、前記所定期間に前記複数の通信装置のうちの2番目に電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第2装置に割り当てて、
前記第1装置
に割り当てた通信装置から受信した第1信号の電波強度を検出し、
前記第2装置
に割り当てた通信装置から受信した第2信号の電波強度を検出し、
前記無線通信装置の筐体に設けられた第1表示部が、前記第1信号の電波強度が予め定められた第1しきい値より大きい場合、予め定められた種類の点灯をし、
前記筐体に設けられた第2表示部が、前記第2信号の電波強度が前記第1しきい値より大きい場合、予め定められた種類の点灯をする
情報提示方法。
【請求項5】
情報処理装置により実行されるプログラムであって、
前記情報処理装置は、
複数の通信装置から信号を無線により受信可能な無線通信部と、
ユーザから測定モードの開始操作を受け付ける操作入力部と、
筐体に設けられた第1表示部と、
前記筐体に設けられた第2表示部と、
を備え、
前記情報処理装置を、
前記測定モードの開始操作を受け付けた場合に、
前記測定モードの開始後の所定期間に前記複数の通信装置のうちの最も電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第1装置に割り当て、前記所定期間に前記複数の通信装置のうちの2番目に電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第2装置に割り当てる割当部と、
前記第1装置
に割り当てた通信装置から受信した第1信号の電波強度を検出する第1検出部と、
前記第2装置
に割り当てた通信装置から受信した第2信号の電波強度を検出する第2検出部と、
前記第1信号の電波強度が予め定められた第1しきい値より大きい場合、前記第1表示部に予め定められた種類の点灯をさせる第1表示制御部と、
前記第2信号の電波強度が前記第1しきい値より大きい場合、前記第2表示部に予め定められた種類の点灯をさせる第2表示制御部と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、情報提示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線IoT(Internet of Things)システムを構築する場合、無線通信装置を対象エリア内に分散して設置し、マルチホップネットワーク等の無線ネットワークを構築する。この場合、安定した通信および冗長性を有する通信を実現するために、複数の無線通信装置のそれぞれを適切な位置に設置しなければならない。例えば、通信の冗長性を確保するために、ある無線通信装置を対象エリアに設置する場合、例えば2つの無線通信装置と通信可能となるような位置に設置するのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-167623号公報
【文献】特開2015-170914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般に、マルチパスの影響や障害物が存在すること等の理由から、単純な通信距離のみにより無線通信装置を2つの無線通信装置と通信可能となるように設置することはできない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、現在位置が通信をするのに適切な位置であるか否かを示す情報をユーザに提示する無線通信装置、情報提示方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る無線通信装置は、複数の通信装置から信号を無線により受信可能な無線通信部と、ユーザから測定モードの開始操作を受け付ける操作入力部と、前記測定モードの開始操作を受け付けた場合に、前記測定モードの開始後の所定期間に前記複数の通信装置のうちの最も電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第1装置に割り当て、前記所定期間に前記複数の通信装置のうちの2番目に電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第2装置に割り当てる割当部と、前記第1装置に割り当てた通信装置から受信した第1信号の電波強度を検出する第1検出部と、前記第2装置に割り当てた通信装置から受信した第2信号の電波強度を検出する第2検出部と、筐体に設けられ、前記第1信号の電波強度が予め定められた第1しきい値より大きい場合、予め定められた種類の点灯をする第1表示部と、前記筐体に設けられ、前記第2信号の電波強度が前記第1しきい値より大きい場合、予め定められた種類の点灯をする第2表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現在位置が通信をするのに適切な位置であるか否かを示す情報をユーザに提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、複数の無線通信装置が設置された対象エリアを示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る無線通信装置の外観を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る無線通信装置の機能構成を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る対象通信装置の設置処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る無線通信装置の外観を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る無線通信装置の機能構成を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る対象通信装置の設置処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、無線通信装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係る無線通信装置10について説明する。実施形態に係る無線通信装置10は、現在位置が通信をするのに適切な位置であるか否かを示す情報をユーザに提示する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、複数の無線通信装置10が設置された対象エリアを示す図である。
【0011】
複数の無線通信装置10は、屋内または地下等における対象エリアにおける互いに異なる位置に設置される。複数の無線通信装置10のそれぞれは、対象エリアにおける、天井、床、壁、柱および固定物上等のどのような物に設置されてもよい。
【0012】
複数の無線通信装置10は、例えば、無線IoTシステムを構成する。複数の無線通信装置10のそれぞれは、例えば、Wi-Fi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)等の無線ルータ装置であってもよい。例えば、複数の無線通信装置10は、互いに無線通信により接続され、メッシュネットワークやマルチホップネットワーク等を構成する。
【0013】
対象通信装置20は、複数の無線通信装置10のうちの一つである。対象通信装置20は、ユーザにより対象エリアに設置される対象となる無線通信装置10である。例えば、ユーザは、対象通信装置20を手に持って運んで、対象エリア内に設置する。
【0014】
ユーザに持ち運ばれて設置される際に、対象通信装置20は、ユーザの操作により、測定モードに設定される。測定モードに設定された場合、対象通信装置20は、現在の位置が、他の無線通信装置10と無線通信をするのに適切な位置かどうかを示す情報を、ユーザに提示する。これにより、ユーザは、対象通信装置20を持ち運びながら、その対象通信装置20を設置するのに適切な位置を見つけ出すことができる。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る無線通信装置10(対象通信装置20)の外観を示す図である。
【0016】
無線通信装置10は、筐体22に、アンテナ24が設けられている。アンテナ24は、他の通信装置と、電磁波を無線により送受信する。なお、アンテナ24は、筐体22の内部に設けられていてもよい。
【0017】
無線通信装置10は、第1表示部26と、第2表示部28とを備える。第1表示部26および第2表示部28は、例えば、筐体22の一つの側面に並んで設けられる。
【0018】
第1表示部26は、第1装置から受信した第1信号の電波強度を表す情報を表示する。第1装置は、複数の通信装置のうちの何れか1つの装置である。複数の通信装置は、対象通信装置20が無線により信号を受信することが可能な、対象通信装置20以外の複数の無線通信装置10である。
【0019】
第2表示部28は、第2装置から受信した第2信号の電波強度を表す情報を表示する。第2装置は、複数の通信装置のうちの第1装置以外の何れか1つの装置である。第1実施形態においては、第1表示部26および第2表示部28のそれぞれは、異なる色を発光できる発光ダイオードである。
【0020】
図3は、第1実施形態に係る無線通信装置10(対象通信装置20)の機能構成を示す図である。
【0021】
無線通信装置10は、操作入力部32と、無線通信部34と、割当部36と、第1検出部38と、第2検出部40と、提示部42とを備える。
【0022】
操作入力部32は、ユーザによる操作入力を受け付ける。例えば、操作入力部32は、ユーザが無線通信装置10を持ち運んで対象エリア内に設置する場合に、測定モードの開始操作を受け付ける。
【0023】
無線通信部34は、測定モードに設定された場合、複数の通信装置から信号を無線により受信可能な状態となる。
【0024】
割当部36は、測定モードに設定された場合に、無線通信部34が信号を無線により受信が可能な複数の通信装置のうちの何れか1つを第1装置に割り当てる。また、割当部36は、測定モードに設定された場合に、複数の通信装置のうちの第1装置とは異なる他の1つを第2装置に割り当てる。
【0025】
例えば、割当部36は、測定モードの開始後の所定期間に、複数の通信装置のうちの最も電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第1装置に割り当る。また、割当部36は、複数の通信装置のうちの2番目に電波強度の大きい信号を送信した通信装置を第2装置に割り当ててもよい。
【0026】
また、例えば、割当部36は、測定モードの開始後の所定期間に、複数の通信装置のうちの所定値以上の電波強度の信号を送信した最初の通信装置を第1装置に割り当てもよい。この場合、割当部36は、複数の通信装置のうちの所定値以上の電波強度の信号を送信した2番目の通信装置を第2装置に割り当てる。
【0027】
割当部36は、第1装置から送信された信号に含まれる識別情報(例えば、MAC(Media Access Control)アドレス)を取得し、第1検出部38に設定する。また、割当部36は、第2装置から送信された信号に含まれる識別情報を取得し、第2検出部40に設定する。
【0028】
第1検出部38は、無線通信部34が第1装置から受信した第1信号の電波強度を検出する。例えば、第1検出部38は、無線通信部34が受信した複数のビーコン信号の中から、第1装置の識別情報(例えば第1装置のMACアドレス)が含まれるビーコン信号を検出し、検出したビーコン信号を第1信号として特定する。そして、第1検出部38は、特定した第1信号の電波強度を検出する。電波強度は、例えば、LQI(Link Quality Indicator)またはRSSI(Received Signal Strength Indication)等の値である。
【0029】
第2検出部40は、無線通信部34が第2装置から受信した第2信号の電波強度を検出する。例えば、第2検出部40は、無線通信部34が受信した複数のビーコン信号の中から、第2装置の識別情報が含まれるビーコン信号を検出し、検出したビーコン信号を第2信号として特定する。そして、第2検出部40は、特定した第2信号の電波強度を検出する。
【0030】
提示部42は、測定モードに設定された場合、第1検出部38により検出された第1信号の電波強度、および、第2検出部40により検出された第2信号の電波強度をユーザに提示する。第1実施形態においては、提示部42は、第1表示制御部44と、第2表示制御部46と、第1表示部26と、第2表示部28とを有する。
【0031】
第1表示制御部44は、第1検出部38により検出された第1信号の電波強度に基づき、第1表示部26の表示を制御する。第1表示制御部44は、第1信号の電波強度が、予め定められた第1しきい値より大きい場合、第1表示部26が予め定められた第1の種類の点灯をするように制御する。また、第1表示制御部44は、第1信号の電波強度が第1しきい値以下である場合、第1表示部26が予め定められた第2の種類の点灯をするように制御する。
【0032】
第1表示部26は、第1表示制御部44の制御に応じて点灯をする。従って、第1表示部26は、第1信号の電波強度が第1しきい値より大きい場合、第1の種類の点灯をし、第1信号の電波強度が第1しきい値以下である場合、第2の種類の点灯をする。これにより、第1表示部26は、第1装置から第1しきい値より大きい電波強度の信号を受信ができることをユーザに提示することができる。
【0033】
なお、第1表示制御部44は、第1信号の電波強度が第2しきい値より小さい場合、第1表示部26が予め定められた第3の種類の点灯をするように制御してもよい。この場合、第1表示部26は、第1信号の電波強度が第2しきい値より小さい場合、第3の種類の点灯をする。なお、第2しきい値は、第1しきい値より小さい。これにより、第1表示部26は、第1装置から十分な電波強度の信号を受信ができていないことをユーザに提示することができる。
【0034】
第2表示制御部46は、第2検出部40により検出された第2信号の電波強度に基づき、第2表示部28の表示を制御する。第2表示制御部46は、第2信号の電波強度が、予め定められた第1しきい値より大きい場合、第2表示部28が第1の種類の点灯をするように制御する。また、第2表示制御部46は、第2信号の電波強度が第1しきい値以下である場合、第2表示部28が第2の種類の点灯をするように制御する。
【0035】
第2表示部28は、第2表示制御部46の制御に応じて点灯をする。従って、第2表示部28は、第2信号の電波強度が第1しきい値より大きい場合、第1の種類の点灯をし、第2信号の電波強度が第1しきい値以下である場合、第2の種類の点灯をする。これにより、第2表示部28は、第2装置から第1しきい値より大きい電波強度の信号を受信ができることをユーザに提示することができる。
【0036】
なお、第2表示制御部46は、第2信号の電波強度が第2しきい値より小さい場合、第2表示部28が第3の種類の点灯をするように制御してもよい。この場合、第2表示部28は、第2信号の電波強度が第2しきい値より小さい場合、第3の種類の点灯をする。なお、第2しきい値は、第1しきい値より小さい。これにより、第2表示部28は、第2装置から十分な電波強度の信号を受信ができていないことをユーザに提示することができる。
【0037】
ここで、第1の種類の点灯は、例えば、予め定められた色(例えば緑)の表示である。この場合、第2の種類の点灯は、第1の種類以外の色(例えばオレンジ)の表示である。
【0038】
また、第1の種類の点灯は、連続光の点灯であってもよい。この場合、第2の種類の点灯は、一定間隔の点滅の点灯である。
【0039】
また、第1の種類の点灯は、信号の電波強度が第1しきい値より大きいことを示す文字または図柄の表示であってもよい。この場合、第2の種類の点灯は、信号の電波強度が第1しきい値以下であることを示す文字または図柄の表示である。
【0040】
また、第1の種類の点灯は、第1の数の発光部の点灯であってもよい。例えば、第1の種類の点灯は、2個の発光ダイオードの点灯であってもよい。この場合、第2の種類の点灯は、第1の数より少ない第2の数の発光部の点灯であってもよい。例えば、第2の種類の点灯は、1個の発光ダイオードの点灯であってもよい。
【0041】
また、第3の種類の点灯は、例えば、消灯状態である。また、第3の種類の点灯は、信号の電波強度が第2しきい値より小さいことを示す文字または図柄の表示であってもよい。
【0042】
図4は、第1実施形態に係る対象通信装置20の設置処理の流れを示すフローチャートである。第1実施形態において、対象エリアに対象通信装置20を設置する場合、
図4に示すような流れで処理が進められる。
【0043】
まず、S11において、ユーザは、対象エリアに設置されている複数の無線通信装置10のうち、第1装置および第2装置とする一方の候補(第1候補)を決定する。そして、ユーザは、第1候補に決定した無線通信装置10を通信可能な状態とする。この場合、ユーザは、第1候補に決定した無線通信装置10の位置を修正してもよい。
【0044】
続いて、S12において、ユーザは、対象エリアに設置されている複数の無線通信装置10のうち第1装置および第2装置の他方の候補(第2候補)を決定する。そして、ユーザは、第2候補に決定した無線通信装置10を通信可能な状態とする。この場合、ユーザは、第2候補に決定した無線通信装置10の位置を修正してもよい。また、この場合、ユーザは、対象エリアに設置されている複数の無線通信装置10のうち、第1候補および第2候補以外を、通信できない状態とする。
【0045】
続いて、S13において、ユーザは、対象通信装置20に対して、測定モードを開始する操作をする。測定モードが開始してから所定時間経過すると、対象通信装置20は、S11およびS12において決定した第1候補および第2候補のうちの一方を第1装置に割り当て、他方を第2装置に割り当てる。
【0046】
なお、対象通信装置20は、測定モードの開始後の所定期間に、最も電波強度の大きい信号を送信した無線通信装置10を第1装置に割り当て、2番目に電波強度の大きい信号を送信した無線通信装置10を第2装置に割り当ててもよい。この場合、ユーザは、第1候補または第2候補のうち第1装置に設定したい方の近傍において、対象通信装置20に対して測定モードを開始する操作をする。これにより、対象通信装置20は、S11およびS12において決定した第1候補および第2候補のうちのどちらが第1装置であるかを、ユーザに認識させることができる。
【0047】
続いて、S14において、ユーザは、対象通信装置20を対象エリア内に仮配置する。
【0048】
続いて、S15において、ユーザは、第1表示部26および第2表示部28を確認する。S15で第1表示部26および第2表示部28を確認した結果、第1装置および第2装置の一方または両方からの信号の電波強度が第1しきい値以下である場合、ユーザは、処理をS14に戻す。そして、S14において、ユーザは、対象通信装置20を異なる位置に仮配置し、再度処理を繰り返す。
【0049】
また、S15で第1表示部26および第2表示部28を確認した結果、S14およびS15の処理を所定回数実行した後も、第1装置および第2装置の一方または両方からの信号の電波強度が第1しきい値以下である場合、ユーザは、処理をS11に戻す。そして、S11において、ユーザは、第1候補および第2候補の位置を修正して、再度、処理を繰り返す。
【0050】
S15で第1表示部26および第2表示部28を確認した結果、第1装置および第2装置の両方からの信号の電波強度が第1しきい値より大きい場合、ユーザは、処理をS16に進める。
【0051】
S16において、ユーザは、対象通信装置20を仮配置した位置に正式に設置する。そして、S16の処理を終えると、ユーザは、対象通信装置20の測定モードを終了させて、本フローを終了する。
【0052】
以上のように、第1実施形態に係る無線通信装置10は、第1装置および第2装置の両方と第1しきい値より大きい電波強度で無線通信可能な位置をユーザに表示することができる。従って、第1実施形態に係る無線通信装置10は、第1装置および第2装置と冗長通信をすることをユーザに知らせることができる。これにより、第1実施形態に係る無線通信装置10によれば、現在位置が通信をするのに適切な位置であるか否かを示す情報をユーザに提示することができる。
【0053】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態に係る無線通信装置10について説明する。第2実施形態に係る無線通信装置10は、第1実施形態と略同一の機能および構成を有するので、略同一の機能および構成を有する構成要素については同一の符号を付けて、詳細な説明を省略する。
【0054】
図5は、第2実施形態に係る無線通信装置10(対象通信装置20)の外観を示す図である。
【0055】
第2実施形態に係る無線通信装置10は、音声出力部52を備える。音声出力部52は、例えばスピーカーである。音声出力部52は、筐体22の一つの側面に設けられていてもよいし、筐体22の内部に設けられていてもよい。音声出力部52は、第1装置から受信した第1信号の電波強度、および、第2装置から受信した第2信号の電波強度を表す音声情報を出力する。
【0056】
図6は、第2実施形態に係る無線通信装置10(対象通信装置20)の機能構成を示す図である。
【0057】
第2実施形態に係る無線通信装置10は、提示部42の構成が第1実施形態と異なる。第2実施形態に係る提示部42は、音声制御部54と、音声出力部52とを有する。
【0058】
音声制御部54は、第1検出部38により検出された第1信号の電波強度および第2検出部40により検出された第2信号の電波強度に基づき、音声出力部52から出力させる音声を制御する。より具体的には、音声制御部54は、音声出力部52に、第1音声情報、第2音声情報、第3音声情報または第4音声情報を出力させる。
【0059】
第1音声情報は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第1しきい値より大きいことを示す音である。音声制御部54は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第1しきい値より大きい場合、第1音声情報を音声出力部52から出力させる。従って、音声出力部52は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第1しきい値より大きい場合、第1音声情報を出力する。
【0060】
第2音声情報は、第1信号の電波強度が第1しきい値より大きく、且つ、第2信号の電波強度が第1しきい値より大きくないことを示す音である。音声制御部54は、第1信号の電波強度が第1しきい値より大きく、且つ、第2信号の電波強度が第1しきい値より大きくない場合、第2音声情報を音声出力部52から出力させる。従って、音声出力部52は、第1信号の電波強度が第1しきい値より大きく、且つ、第2信号の電波強度が第1しきい値より大きくない場合、第2音声情報を出力する。
【0061】
第3音声情報は、第1信号の電波強度が第1しきい値より大きくなく、且つ、第2信号の電波強度が第1しきい値より大きいことを示す音である。音声制御部54は、第1信号の電波強度が第1しきい値より大きくなく、且つ、第2信号の電波強度が第1しきい値より大きい場合、第3音声情報を音声出力部52から出力させる。従って、音声出力部52は、第1信号の電波強度が第1しきい値より大きくなく、且つ、第2信号の電波強度が第1しきい値より大きい場合、第3音声情報を出力する。
【0062】
第4音声情報は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第1しきい値より大きくないことを示す音である。音声制御部54は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第1しきい値より大きくない場合、第4音声情報を音声出力部52から出力させる。従って、音声出力部52は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第1しきい値より大きくない場合、第4音声情報を出力する。
【0063】
なお、音声制御部54は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第2しきい値より小さい場合、第5音声情報を音声出力部52から出力させてもよい。従って、音声出力部52は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第2しきい値より小さい場合、第5音声情報を出力する。
【0064】
ここで、第1音声情報は、例えば、第1レベルの連続音である。第2音声情報は、例えば、第1レベルの間欠音である。第3音声情報は、例えば、第1レベルの、第2音声情報とは異なる間隔の間欠音である。なお、第2音声情報および第3音声情報は、同一であってもよい。また、第4音声情報は、第1レベルより小さい、間欠音または連続音である。
【0065】
また、第1音声情報は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第1しきい値より大きいことを示すテキストを読み下す音声であってもよい。また、第2音声情報は、第1信号の電波強度が第1しきい値より大きく、且つ、第2信号の電波強度が第1しきい値より大きくないことを示すテキストを読み下す音声である。
【0066】
また、第3音声情報は、第1信号の電波強度が第1しきい値より大きくなく、且つ、第2信号の電波強度が第1しきい値より大きいことを示すテキストを読み下す音声である。なお、第2音声情報および第3音声情報は、第1信号および第2信号の何れか一方が第1しきい値より大きく、他方が大きくないことを示すテキストを読み下す音声であってもよい。第4音声情報は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第1しきい値より大きくないことを示すテキストを読み下す音声であってもよい。
【0067】
また、第5音声情報は、無音であってもよい。また、第5音声情報は、第1信号の電波強度および第2信号の電波強度の両方が第2しきい値より小さいことを示すテキストを読み下す音声であってもよい。
【0068】
図7は、第2実施形態に係る対象通信装置20の設置処理の流れを示すフローチャートである。第2実施形態において、対象エリアに対象通信装置20を設置する場合、
図7に示すような流れで処理が進められる。
【0069】
第2実施形態に係る設置処理は、
図4に示す第1実施形態の処理と比較して、S15の処理がS21となっている点において異なる。
【0070】
S21において、ユーザは、音声出力部52から出力された音声を確認する。S21で音声出力部52から出力された音声を確認した結果、第1装置および第2装置の一方または両方からの信号の電波強度が第1しきい値以下である場合、ユーザは、処理をS14に戻す。そして、S14において、ユーザは、対象通信装置20を異なる位置に仮配置し、再度処理を繰り返す。
【0071】
また、S21で音声出力部52から出力された音声を確認した結果、S14およびS21の処理を所定回数実行した後も、第1装置および第2装置の一方または両方からの信号の電波強度が第1しきい値以下である場合、ユーザは、処理をS11に戻す。そして、S11において、ユーザは、第1候補および第2候補の位置を修正して、再度、処理を繰り返す。
【0072】
S21で音声出力部52から出力された音声を確認した結果、第1装置および第2装置の両方からの信号の電波強度が第1しきい値より大きい場合、ユーザは、処理をS16に進める。
【0073】
S16において、ユーザは、対象通信装置20を仮配置した位置に正式に設置する。そして、S16の処理を終えると、ユーザは、対象通信装置20の測定モードを終了させて、本フローを終了する。
【0074】
以上のように、第2実施形態に係る無線通信装置10は、第1装置および第2装置の両方と第1しきい値より大きい電波強度で無線通信可能な位置をユーザに音声出力することができる。従って、第2実施形態に係る無線通信装置10は、第1装置および第2装置と冗長通信をすることをユーザに知らせることができる。これにより、第2実施形態に係る無線通信装置10によれば、現在位置が通信をするのに適切な位置であるか否かを示す情報をユーザに提示することができる。
【0075】
(無線通信装置10のハードウェア構成)
図8は、無線通信装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。無線通信装置10は、例えば
図8に示すような構成により実現することができる。
【0076】
無線通信装置10は、無線通信機能を有する通常のコンピュータ(情報処理装置)と同様の構成をしている。すなわち、無線通信装置10は、CPU201(Central Processing Unit)と、ROM202(Read Only Memory)と、RAM203(Random Access Memory)と、記憶装置204と、操作入力部32と、無線通信部34と、モニタ部206と、スピーカ部208とを有する。CPU201、ROM202、RAM203、記憶装置204、操作入力部32、無線通信部34、モニタ部206およびスピーカ部208は、バスにより接続されている。
【0077】
CPU201は、記憶装置204に記憶されたプログラムをRAM203に展開して実行し、各部を制御して入出力を行ったり、データの加工を行ったりする。ROM202には、OSの起動用プログラムを記憶装置204からRAM203に読み出すスタートプログラムが記憶されている。RAM203は、CPU201の作業領域としてデータを記憶する。
【0078】
記憶装置204は、例えば、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリ等である。記憶装置204は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラムおよびデータを記憶している。これらのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録して配布されてもよい。また、プログラムは、サーバからダウンロードすることにより配布されてもよい。
【0079】
操作入力部32は、ボタンやキーボード等であり、ユーザによる操作入力を受け付け、CPU201に与える。無線通信部34は、CPU201の制御に応じて他の通信装置と無線により信号を送受信する。モニタ部206は、CPU201の制御に応じて情報を表示する。モニタ部206は、第1表示部26および第2表示部28として機能してもよい。スピーカ部208は、CPU201の制御に応じて情報を音声出力する。スピーカ部208は、音声出力部52として機能してもよい。
【0080】
本実施形態の無線通信装置10で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。また、本実施形態の無線通信装置10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の無線通信装置10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、本実施形態のプログラムを、ROM202等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0081】
無線通信装置10により実行されるプログラムは、割当モジュールと、第1検出モジュールと、第2検出モジュールと、提示モジュールとを含む。
【0082】
無線通信装置10は、プロセッサ(CPU201)が記憶媒体(記憶装置204等)からプログラムを読み出して実行することにより各モジュールが主記憶装置(RAM203)上にロードされ、プロセッサ(CPU201)が、割当部36、第1検出部38、第2検出部40および提示部42として機能する。なお、無線通信装置10は、割当部36、第1検出部38、第2検出部40および提示部42の一部または全部がハードウェアにより実現されていてもよい。
【0083】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0084】
10 無線通信装置
20 対象通信装置
22 筐体
24 アンテナ
26 第1表示部
28 第2表示部
32 操作入力部
34 無線通信部
36 割当部
38 第1検出部
40 第2検出部
42 提示部
44 第1表示制御部
46 第2表示制御部
52 音声出力部