(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】通知装置、及び排水装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20250307BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20250307BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
E03C1/22 Z
E03C1/22 C
A47K3/00 P
G06K19/06 112
(21)【出願番号】P 2021012082
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平井 良典
(72)【発明者】
【氏名】藤田 源希
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198379(JP,A)
【文献】特開2018-178460(JP,A)
【文献】特開2015-090629(JP,A)
【文献】特開2018-091568(JP,A)
【文献】特開2015-028276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
A47K 3/00-4/00
G06K 19/06
F24H 15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体に形成された排水口を開閉する排水装置の
複数の異常状態を検知可能な検知手段と、前記異常状態を示す信号が入力された際に前記異常状態
に対応した表示を行う表示部から成る通知手段
とを備え
、
前記排水装置は手動操作部及び電動操作部を備え、押動操作に基づいて変位して前記排水口を開閉する手動操作と、電気信号に基づいて動力を前記手動操作部に伝達することで前記排水口の開閉を行う電動操作が可能であって、
前記電動操作部から前記手動操作部への動力の伝達を遮断し、前記手動操作部による操作のみが可能な状態へと切り替える切替手段を有し、
前記検知手段は前記手動操作部の位置に基づいて前記排水口の開閉状態を検知し、
前記表示部は、前記検知手段によって検知された前記異常状態を通知し、前記異常状態の解決方法の一つとして前記切替手段の動作手順を表示可能であることを特徴とする通知装置。
【請求項2】
前記表示部は、
浴室内又は浴室外に取り付けられる操作パネルのディスプレイであることを特徴とする請求項
1に記載の通知装置。
【請求項3】
前記表示部は、
前記異常状態に対応したエラーコードを表示することを特徴とする請求項
1又は請求項2に記載の通知装置。
【請求項4】
前記エラーコードは、前記異常状態の内容又は解決方法に関する情報を含み、通信端末で読み取り可能なエラーコードとして表示されることを特徴とする請求項
3に記載の通知装置。
【請求項5】
前記エラーコードは、一次元コード又は二次元コードであることを特徴とする請求項
3又は請求項
4に記載の通知装置。
【請求項6】
前記エラーコードは、前記排水装置に関する取扱説明書又は前記排水装置に関する専用ウェブサイトにおいて前記異常状態の内容又は解決方法に関する情報が確認可能なエラーコードとして表示されることを特徴とする請求項
3に記載の通知装置。
【請求項7】
槽体に形成された排水口を開閉する排水装置であって、
手動操作部及び電動操作部を備え、押動操作に基づいて前記排水口を開閉する手動操作と、電気信号に基づいて動力を前記手動操作部に伝達することで前記排水口の開閉を行う電動操作が可能であって、
前記電動操作部から前記手動操作部への動力の伝達を遮断し、前記手動操作部による操作のみが可能な状態へと切り替える切替手段を有し、
前記手動操作部の位置に基づいて装置の異常状態を検知する検知手段と、
前記異常状態を示す信号が入力された際に前記異常状態を
表示する表示部から成る通知手段を備え
、
前記表示部は、前記検知手段によって検知された異常状態を通知し、前記異常状態の解決方法の一つとして前記切替手段の動作手順を表示可能であることを特徴とする排水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体に形成された排水口を開閉する排水装置又は槽体に給水を行う給水装置の異常状態を示す通知装置、及び通知装置を備えた排水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給水装置と排水装置に関し、特許文献1のように、操作パネル(リモコン)によって給水装置及び排水装置を操作する構造が知られている。
【0003】
又、排水装置としては、特許文献2のように、槽体底面に形成された排水口を覆う栓蓋を備えており、当該栓蓋を昇降させることによって排水口を開閉する構造が知られている。特許文献2に記載の排水装置は槽体縁部に配置された手動スイッチ(ボタン部)を直接押動操作することによって栓蓋を昇降させる手動操作部と、台所や浴室内に配置された操作パネル(電動ボタン部)を操作することによって駆動部が動作し、栓蓋を昇降させる電動操作部を備えており、使用者はどちらかの操作を選択し、排水口を開閉することが可能となっている。
【0004】
上記特許文献2に記載の排水装置において、電動操作部は操作パネルからの電気信号に基づいて作動した駆動部が手動操作部に動力を伝達し、手動スイッチを押し下げることで栓蓋を昇降させる。従って、電動操作部の作動中に異常が発生し、電動操作部が手動操作部に干渉した状態のまま動作が停止してしまった場合、排水装置は手動・電動共に操作不可能となる。
【0005】
そこで、特許文献2に記載の排水装置は電動操作部から手動操作部への動作の伝達を遮断し、手動操作部による操作のみを可能とする切替手段(解除機構)を備えており、電動操作部に異常が発生した場合であっても、手動操作部による排水口の開閉を行うことが可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-172292号公報
【文献】特開2018-145653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記排水装置は台所の壁面等、浴室から離間した位置に配置された操作パネルによって排水口の開閉操作を行った場合、排水装置に異常が発生し、動作が停止してしまったとしても使用者は装置の異常状態を知ることができない。この時、給水装置又は排水装置が異常状態を検出するまで異常状態が継続され、水・電気等が無駄となってしまう。
【0008】
又、上記切替手段は、手動スイッチを取り外し、手動スイッチの裏面に連結されていた操作軸を回転させることによって電動操作部から手動操作部への動作の伝達を遮断する構造となっているが、操作軸は浴室内に露出している手動スイッチを取り外して初めて視認可能となるものであり、切替手段の操作方法が分からない、又は排水装置が切替手段を有することが分からない使用者も多かった。
【0009】
又、給水装置に対して異常が発生した場合、操作パネルにエラーコードが表示されるものが知られているが、当該エラーコードだけでは異常状態の内容や解決方法を知ることは不可能であった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑み、排水装置や給水装置の異常状態を把握することが可能であり、当該異常状態内容及び解決方法を容易に確認できる通知装置の提供、及び当該通知装置を備えた排水装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1に記載の本発明は、槽体に形成された排水口を開閉する排水装置の複数の異常状態を検知可能な検知手段と、前記異常状態を示す信号が入力された際に前記異常状態に対応した表示を行う表示部から成る通知手段とを備え、
前記排水装置は手動操作部及び電動操作部を備え、押動操作に基づいて変位して前記排水口を開閉する手動操作と、電気信号に基づいて動力を前記手動操作部に伝達することで前記排水口の開閉を行う電動操作が可能であって、
前記電動操作部から前記手動操作部への動力の伝達を遮断し、前記手動操作部による操作のみが可能な状態へと切り替える切替手段を有し、
前記検知手段は前記手動操作部の位置に基づいて前記排水口の開閉状態を検知し、
前記表示部は、前記検知手段によって検知された前記異常状態を通知し、前記異常状態の解決方法の一つとして前記切替手段の動作手順を表示可能であることを特徴とする通知装置である。
【0013】
請求項2に記載の本発明は、前記表示部は、
浴室内又は浴室外に取り付けられる操作パネルのディスプレイであることを特徴とする請求項1に記載の通知装置である。
【0014】
請求項3に記載の本発明は、前記表示部は、
前記異常状態に対応したエラーコードを表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通知装置である。
【0015】
請求項4に記載の本発明は、前記エラーコードは、前記異常状態の内容又は解決方法に関する情報を含み、通信端末で読み取り可能なエラーコードとして表示されることを特徴とする請求項3に記載の通知装置である。
【0016】
請求項5に記載の本発明は、前記エラーコードは、一次元コード又は二次元コードであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の通知装置である。
【0017】
請求項6に記載の本発明は、前記エラーコードは、前記排水装置に関する取扱説明書又は前記排水装置に関する専用ウェブサイトにおいて前記異常状態の内容又は解決方法に関する情報が確認可能なエラーコードとして表示されることを特徴とする請求項3に記載の通知装置である。
【0019】
請求項7に記載の本発明は、槽体に形成された排水口を開閉する排水装置であって、
手動操作部及び電動操作部を備え、押動操作に基づいて前記排水口を開閉する手動操作と、電気信号に基づいて動力を前記手動操作部に伝達することで前記排水口の開閉を行う電動操作が可能であって、
前記電動操作部から前記手動操作部への動力の伝達を遮断し、前記手動操作部による操作のみが可能な状態へと切り替える切替手段を有し、
前記手動操作部の位置に基づいて装置の異常状態を検知する検知手段と、
前記異常状態を示す信号が入力された際に前記異常状態を表示する表示部から成る通知手段を備え、
前記表示部は、前記検知手段によって検知された異常状態を通知し、前記異常状態の解決方法の一つとして前記切替手段の動作手順を表示可能であることを特徴とする排水装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、通知手段によって排水装置や給水装置の異常状態を把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図6】(a)
図4のB-B’断面図、(b)(a)から切替手段を作動させた状態を示す断面図である。
【
図7】切替手段を作動させた排水装置を示す断面図である。
【
図8】エラーコードが表示された状態の操作パネルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の通知装置及び排水装置を説明する。尚、以下に記載する発明は実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって発明が制限して理解されるものではない。
【0023】
図1乃至
図3示すように、本実施形態は、槽体Bが配置された浴室UBと、浴室UBの内外に取り付けられた操作パネル2と、槽体Bに給水を行う給水装置4と、排水口1を開閉して槽体B内の湯水を排水する排水装置5から構成されている。
【0024】
浴室UBは内部に浴槽である槽体B、洗い場及びシャワーを備えており、側壁には表示部22を有する操作パネル2が取り付けられている。又、浴室UBの天面には制御部3が取り付けられている。
【0025】
槽体Bは底部に排水口1が形成された浴槽であって、当該排水口1を開閉するための栓蓋54が昇降可能に配置されている。又、槽体Bの縁部には排水装置5の本体部51が取り付けられている。
【0026】
図3に示すように、操作パネル2は、給水装置4や排水装置5の操作を行うボタン部21を備える操作装置であるとともに、通知手段としての表示部22を備える通知装置である。尚、本実施形態において、操作パネル2は浴室UBの側壁と、脱衣所と隣接する部屋(図示せず)の側壁に取り付けられている。
ボタン部21は給湯運転等に対して指示を行うボタンであり、押動によって追い炊き運転や湯張り運転を指示する。
表示部22は操作パネル2のディスプレイであって、通常運転時は湯温や給湯状態が表示される。又、操作パネル2に対して給水装置4や排水装置5の異常状態を示す信号が有線の信号伝送路を経由して入力されると、図示しない制御手段が表示信号を生成して表示部22に供給して表示部22がエラーコード9を表示することによって給水装置4や排水装置5の異常状態を通知する。上記信号伝送路は有線以外の例えば、無線の伝送経路を使用することも可能である。
【0027】
制御部3は電源基盤及び通信基板を有し、給水装置4と通信して排水装置5へと指示を伝達する。又、本実施形態において、制御部3は浴室UBの外側に取り付けられている。
【0028】
給水装置4は上水道に接続された給水管によって供給される水を加熱して給湯管へと出湯する給水運転を実行する給湯器であり、風呂往き管及び風呂戻り管(図示せず)によって槽体Bに接続されている。又、給水装置4は操作パネル2からの信号に基づいて、槽体Bの湯水を循環させながら加熱する追い炊き運転と、槽体Bに対して設定された水量の湯を供給する湯張り運転と、噴出孔(図示せず)から洗浄水を噴射することによって槽体B内を洗浄する洗浄運転を実行可能となっている。又、給水装置4は図示しない検知手段を内部に有しており、自身の異常状態を検知するとともに、当該異常状態を操作パネル2へと出力することが可能となっている。尚、当該検知手段によって検知可能な状態異常は一種類ではなく、複数の異常状態を検知可能となっている。
【0029】
図4及び
図5に示すように、排水装置5は手動操作部6及び電動操作部7を備え、押動操作に基づいて栓蓋54を昇降させて排水口1の開閉を行う手動操作と、電気信号に基づいて栓蓋54を昇降させて排水口1の開閉を行う電動操作が可能となっている。手動操作部6及び電動操作部7によって発生した動力はレリースワイヤ53によって伝達されて栓蓋54を昇降させるとともに、栓蓋54の昇降状態はレリースワイヤ53の端部に連結されたロック機構52によって保持される。
又、排水装置5は自身の異常状態を検知する検知手段8を有している。
【0030】
本体部51は槽体Bの縁部に上端が取り付けられたケーシングであり、槽体B表面に露出する部分を除き、槽体Bの裏側に配置されている。当該本体部51にはロック機構52、手動操作部6、及び電動操作部7が内蔵されており、端部にレリースワイヤ53が連結されている。
【0031】
ロック機構52は端部に上端に手動操作部6が接続されているとともに、下端にはレリースワイヤ53が接続されている。又、ロック機構52は手動操作部6から動力が伝達される毎に、レリースワイヤ53を介して栓蓋54を昇降させるとともに、内部に収納された回転ギアと固定ギアの噛合と噛合の解除が切り替えられることによって、栓蓋54の昇降状態を保持する。
【0032】
レリースワイヤ53は樹脂製のアウターチューブ及び金属製のインナーワイヤから成る動力伝達部材であり、排水装置5に対して手動操作や電動操作が加えられた際、アウターチューブ内をインナーワイヤが摺動することによって手動操作部6又は電動操作部7からの動力を伝達し、栓蓋54を昇降させる。
【0033】
栓蓋54はレリースワイヤ53を介して槽体Bの裏側に配置された排水装置5の本体部51に接続されており、手動操作部6又は電動操作部7からの動力に基づいて昇降することで排水口1を開閉する。
【0034】
手動操作部6はスイッチ部61、操作軸62を有し、排水口1を手動操作によって開閉するための動力を発生させる機構である。
スイッチ部61は本体部51の上端から浴室UB内に露出する円盤状であり、本体部51を上下方向に変位可能であるとともに、裏面に操作軸62が嵌合されている。
操作軸62は天地方向に伸びる棒状であり、その下端はロック機構52が連結されている。又、操作軸62は電動操作部7の押動部74が当接するための凸状の当接部621が外側に向けて突設されているとともに、端部には信号発生部81が取り付けられている。
【0035】
電動操作部7は駆動部71、駆動基板72、駆動軸73、押動部74を有し、排水口1を電動によって開閉するための動力を発生させる機構である。
駆動部71は駆動基板72によって動作が制御されたステッピングモータであり、電気信号に基づいて駆動軸73を回転させるとともに、押動部74を介して操作軸62を押し下げることによって電動操作部7の動力を手動操作部6に伝達する。尚、本実施形態において駆動部71は双方向に回転可能となっている。
駆動基板72は駆動部71に隣接して配置され、駆動部71に対する制御を行う。
駆動軸73は駆動部71の動作によって回転する軸であり、端部にギアが取り付けられている。
押動部74は操作軸62の外周に配置された筒状の部材であり、外側面に駆動軸73と噛合するラックが形成されているとともに、上端において、上記操作軸62に形成された当接部621の上面と当接する段状の被当接部741、及びスリット742が形成されている。
【0036】
検知手段8は信号発生部81と信号受信部82から構成されている。
信号発生部81は操作軸62端部に取り付けられた磁石であり、信号受信部82は信号発生部81から発せられる磁気を検知する磁気センサである。信号受信部82は本体部51に固定されており、操作軸62の軸方向に沿って上下に2箇所設けられている。
尚、上記信号発生部81は、栓蓋54が上昇状態にある時には下方側の信号受信部82と正対するよう位置するとともに、栓蓋54が下降状態にある時には上方の信号受信部82と正対するように位置する。これによって、上下どちらかの信号受信部82が磁気を検知するかによって栓蓋54の状態を検知することができる。
【0037】
上記排水装置5は、停電等によって電動操作部7が途中位置で停止した場合、押動部74が操作軸62に干渉した状態のまま、手動・電動共に操作が不可能となる。そこで、排水装置5は電動操作部7から手動操作部6への動力伝達を遮断し、手動操作部6による操作のみが可能な状態へと切り替える切替手段を備えている。
【0038】
図4及び
図6(a)に示すように、切替手段が作動していない状態において、当接部621は被当接部741と当接し、電動操作部7からの動力は手動操作部6に伝達可能となっている。ここで、スイッチ部61を取り外し、操作軸62を回転させると、操作軸62に形成された当接部621が押動部74に形成されたスリット742の直下に移動する。これにより、当接部621はスリット742を通過し、電動操作部7は手動操作部6に干渉しなくなることから、
図7に示すように、押動部74の位置に関わらず手動操作部6を変位させることが可能となる。
【0039】
以下に、排水装置5の動作について説明する。
【0040】
上記排水装置5は、栓蓋54が下降状態にある時、排水口1が栓蓋54によって閉塞されており、槽体B内に湯水を貯留可能となっている。ここで、スイッチ部61に対して押動操作が加えられると、手動操作部6が作動し、スイッチ部61及び操作軸62が下降するとともに、レリースワイヤ53によって押動操作が伝達されて栓蓋54が上昇する。この時、ロック機構52内部の固定ギアと回転ギアが噛合し、栓蓋54の上昇状態が保持されることで槽体Bの湯水を排水口1より排出することができる。
【0041】
上記栓蓋54の上昇状態において、再度手動操作部6に操作が加えられると、上記ロック機構52内のギアの噛合が解除され、ロック機構52内に取り付けられたスプリング(図示せず)及び自重によって栓蓋54が下降し、再び排水口1が閉塞される。
【0042】
一方、操作パネル2に対して操作が入力されると、電動操作部7が作動する。当該電動操作部7の作動時には、検知手段8によって栓蓋54の位置が検出され、当該栓蓋54の状態が操作パネル2に対する指示と異なる場合に駆動部71が作動し、駆動軸73を回転させる。この時、押動部74によって操作軸62が押し下げられることによって、電動操作部7の動作が手動操作部6へと伝達され、栓蓋54を昇降させる。尚、押動部74が所定位置まで下降した後、駆動部71は逆回転することで押動部74を上昇させ、操作前の位置に復帰する。このようにすることで、電動操作部7による操作を行った後に手動操作部6による操作を行うことが可能となる。
尚、操作パネル2によって指示された動作に対し、検知手段8によって検知された栓蓋54の位置が合致する場合、電動操作部7は作動しない。例えば、給水装置4に対して給湯運転が指示された際に、栓蓋54が上昇状態にあることが検知手段8によって検知されると、電動操作部7が作動して栓蓋54を下降させるが、栓蓋54が下降状態にあることが検知手段8によって検知された場合、電動操作部7は作動せず、給水装置4から給湯が開始される。
【0043】
上記動作中に排水装置5に異常が生じた場合、検知手段8は排水装置5の異常状態を検知する。尚、検知手段8は以下のようにして複数の異常状態を検知することが可能となっている。
【0044】
栓蓋54が上昇又は下降途中にある時に排水装置5が停止した場合、信号発生部81は2つの信号受信部82の間に配置される。この時、検知手段8は信号発生部81から発せられる磁気をいずれの信号受信部82からも検知することができなくなることによって、異常状態を検知することができる。
【0045】
電動操作部7のギアが破損する等して栓蓋54が昇降しない場合、検知手段8は制御部3から電動操作部7に対して栓蓋54を上昇又は下降させる旨の指示が発信されているにも関わらず信号受信部82が信号発生部81の移動を検知せず、一方の信号受信部82でのみ磁気を検知した状態となることによって、異常状態を検知することができる。
【0046】
検知手段8が給水装置4又は排水装置5の異常状態を検知すると、検知した異常状態を示す信号を通知装置である操作パネル2へと出力する。
操作パネル2は上記信号が入力されると、異常状態に対応したエラーコード9を表示部22に表示することによって使用者に対して異常状態を通知する。
【0047】
図8はエラーコード9が表示された状態の操作パネル2を示している。又、エラーコード9は第一エラーコード91と第二エラーコード92から構成されている。
第一エラーコード91はQRコード(登録商標)から成る二次元コードであり、スマートフォン等の通信端末によって読み取り可能なエラーコードである。当該第一エラーコード91を通信端末によって読み取ると、給水装置4又は排水装置5の内、異常状態にある装置に関する情報が記載された専用ウェブサイトを通信端末に表示させる。又、第二エラーコード92は給水装置4又は排水装置5に生じた異常状態に対応した英数字から成る。
【0048】
使用者は第一エラーコード91によってアクセスした専用ウェブサイトにて第二エラーコード92を入力する等して、第二エラーコード92が示す内容を調べることによって、通信端末に給水装置4又は排水装置5に生じた異常状態の内容及び解決方法(例えば排水装置5であれば上記切替手段の動作手順や部材の交換方法)を表示させることができる。又は、取扱説明書にて第二エラーコード92が示す内容を調べることによって、給水装置4又は排水装置5に生じた異常状態の内容及び解決方法を確認することができる。
【0049】
本実施形態の通知装置又は排水装置によれば、異常状態を示す信号が入力された際に当該異常状態を通知する通知手段としての表示部22を備えることにより、浴室外からであっても排水装置5が異常状態にあることを確認することができる。
【0050】
又、上記表示部22に異常状態に対応したエラーコード9が表示されることにより、異常状態の内容又は解決方法を容易に確認可能である。
【0051】
又、使用者は第一エラーコード91を通信端末によって読み取り、通信端末に異常状態の内容や解決方法を表示させることにより、取扱説明書を紛失していた場合であっても、容易に給水装置4又は排水装置5の異常状態の内容や解決方法を知ることができる。
【0052】
本発明の実施形態は以上であるが、本発明は上記実施形態の構造に限られるものではない。例えば、上記エラーコード9は前記異常状態の内容又は解決方法に関する情報を通信端末で読み取り可能であって、通信端末によってアクセスした専用ウェブサイトにて第二エラーコード92が示す内容を確認することで異常状態の内容又は解決方法を通信端末に表示していたが、第一エラーコード91が給水装置4又は排水装置5の異常状態の内容や解決方法に関する情報を有し、当該通信端末に現在生じている異常状態の内容や解決方法に関する情報を通信端末で読み取り可能であっても良い。
【0053】
又、専用のアプリケーションを通信端末にインストールし、当該アプリケーションによってエラーコードを読み取ることで異常状態の内容や解決方法が確認できても良い。
【0054】
又、専用ウェブサイトは特定の認証コードを入力しなければ異常状態の内容等を確認できないようにしても良い。このようにすることで、修理資格を有する業者のみが修理を行うことができるようすることができる。又、第一エラーコード91を読み取ることによって、部材の発注が行えるようにする等、エラーコード9が示す内容については何ら限定されるものではない。
【0055】
又、上記実施形態において、第一エラーコード91はQRコードに限られるものではなく、その他の二次元コードであっても良い。又、バーコード等の一次元コードであっても良い。
【0056】
又、検知手段は上記実施形態に記載の構造に限られるものではなく、例えば駆動部71に対する過負荷によって生じる発熱を検知するセンサであっても良く、槽体内の水位を検知する水位センサ等、その構造が限定されるものではない。又、検知手段によって検知可能な異常状態は上記実施形態に限られるものではない。例えば駆動部71の脱調状態や過負荷による損傷などを検知可能であっても良い。
【0057】
又、上記実施形態において、通知手段は操作パネル2に形成された表示部22であったが、例えば排水装置5のスイッチ部61の天面に表示部が形成されていても良い。又、その他にも栓蓋54や槽体Bの縁部に表示部が形成されていても良く、表示部の位置については何ら限定されるものではない。
【0058】
又、通知手段はエラーコードの表示に限るものではない。例えば、音声やアラーム音等、音によって異常状態を通知しても良く、エラーコードと音による通知を併用しても良い。
又、異常状態を示す信号を有線または無線の伝送路を介して浴室内外に配置されたスピーカーへと転送しても良い。この場合において、スピーカーは入力された信号に基づいて異常状態を音声やアラーム音等、音によって通知する通知手段を備えた通知装置として機能する。
【0059】
1 排水口
2 操作パネル
21 ボタン部
22 表示部(通知手段)
3 制御部
4 給水装置
5 排水装置
51 本体部
52 ロック機構
53 レリースワイヤ
54 栓蓋
6 手動操作部
61 スイッチ部
62 操作軸
621 当接部
7 電動操作部
71 駆動部
72 駆動基板
73 駆動軸
74 押動部
741 被当接部
742 スリット
8 検知手段
81 信号発生部
82 信号受信部
9 エラーコード
91 第一エラーコード
92 第二エラーコード
B 槽体
UB 浴室